(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】電極装置および円筒状金属コイルの加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/36 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
H05B6/36 D
(21)【出願番号】P 2020038926
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 芳明
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-043942(JP,A)
【文献】特開2002-194447(JP,A)
【文献】特開2003-092025(JP,A)
【文献】特開昭61-019097(JP,A)
【文献】特開平06-108162(JP,A)
【文献】米国特許第05124520(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/00-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属帯板が円筒状に巻回された円筒状金属コイルの内周面に接触可能な第1の電極と、
前記円筒状金属コイルの外周面に接触可能な第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極を電気的に接続する導電部材と、
前記第1の電極および前記第2の電極を互いに近づける向きに押圧力を加える押圧手段と
、
前記第1の電極が固定され、前記第2の電極が摺動可能に取り付けられるフレームと
を備え
、
前記押圧手段は、前記フレームに反力をとって前記押圧力を加える、電極装置。
【請求項2】
前記導電部材は、
前記第1の電極に接続され、前記フレームに沿って延びる架設導体棒と、
前記架設導体棒に沿って移動可能、かつ前記架設導体棒に接触可能であり、前記第2の電極に接続される接触部材と
を含む、請求項
1に記載の電極装置。
【請求項3】
金属帯板が円筒状に巻回された円筒状金属コイルの内周面に接触可能な第1の電極と、
前記円筒状金属コイルの外周面に接触可能な第2の電極と、
前記第1の電極および前記第2の電極を電気的に接続する導電部材と、
前記第1の電極および前記第2の電極を互いに近づける向きに押圧力を加える押圧手段とを備え、
前記押圧手段は、前記円筒状金属コイルの中心部を貫通する鉄心に反力をとって前記第1の電極に前記押圧力を加える
、電極装置。
【請求項4】
前記第2の電極は、前記円筒状金属コイルが載置されるスキッドである、請求項
3に記載の電極装置。
【請求項5】
前記円筒状金属コイルの中心部を貫通する鉄心を含むリング状トランスと、
前記リング状トランスに巻回される一次側誘導コイルと、
前記一次側誘導コイルに接続される一次電源と、
請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の電極装置と
を含む円筒状金属コイルの加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極装置および円筒状金属コイルの加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状金属コイルを効率よく、均一に短時間で熱処理する方法として、特許文献1および特許文献2には、金属帯板を板間が絶縁するように巻いた円筒状金属コイルの内側を貫通する鉄心と、一次側誘導コイル(以下、一次コイルともいう。)を巻いた鉄心とを円筒状金属コイルの外で連結してリング状トランスを構成するとともに、円筒状金属コイルをトランスの二次側誘導コイル(以下、二次コイルともいう。)とするとともに、最外周部の金属帯板と最内周部の金属帯板とを導電部材で短絡して二次閉回路を構成する技術が記載されている。この場合、一次コイルに電圧を加えることによって、円筒状金属コイルに二次電流が流れて加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-119740号公報
【文献】特開平11-236626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1および特許文献2において、導電部材をどのようにして円筒状金属コイルの最外周部および最内周部の金属帯板に取り付けるかは説明されていない。各文献の図面には、最外周部および最内周部の金属帯板を引き出して電極に連結するように図示されている。しかしながら、例えば板厚が厚い場合や、高強度鋼板などの硬質の金属帯板の場合、最外周および最内周の金属帯板を円筒状金属コイルから離して引き出すことは困難である。また、引き出した金属帯板に、電極を接続するための穴開けなどの加工をすることも容易ではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、円筒状金属コイルの内周側および外周側に短絡手段を短時間に容易かつ確実に接続することが可能な電極装置、および電極装置を含む円筒状金属コイルの加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]金属帯板が円筒状に巻回された円筒状金属コイルの内周面に接触可能な第1の電極と、円筒状金属コイルの外周面に接触可能な第2の電極と、第1の電極および第2の電極を電気的に接続する導電部材と、第1の電極および第2の電極を互いに近づける向きに押圧力を加える押圧手段とを備える電極装置。
[2]第1の電極が固定され、第2の電極が摺動可能に取り付けられるフレームをさらに備え、押圧手段は、フレームに反力をとって押圧力を加える、[1]に記載の電極装置。
[3]導電部材は、第1の電極に接続され、フレームに沿って延びる架設導体棒と、架設導体棒に沿って移動可能、かつ架設導体棒に接触可能であり、第2の電極に接続される接触部材とを含む、[2]に記載の電極装置。
[4]押圧手段は、円筒状金属コイルの中心部を貫通する鉄心に反力をとって第1の電極に押圧力を加える、[1]に記載の電極装置。
[5]第2の電極は、円筒状金属コイルが載置されるスキッドである、[4]に記載の電極装置。
[6]円筒状金属コイルの中心部を貫通する鉄心を含むリング状トランスと、リング状トランスに巻回される一次側誘導コイルと、一次側誘導コイルに接続される一次電源と、[1]から[5]のいずれか1項に記載の電極装置とを含む円筒状金属コイルの加熱装置。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、円筒状金属コイルの内周側および外周側に短絡手段を短時間に容易かつ確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る円筒状金属コイルの加熱装置の構成を概略的に示す図である。
【
図2A】
図1に示す加熱装置のII-II線位置から見た部分断面図である。
【
図2B】
図1に示す加熱装置のII-II線位置から見た部分断面図である。
【
図3】
図1に示す加熱装置のIII-III線位置から見た断面図である。
【
図4】
図1の例で利用可能な、電極装置に組み込まれる導電部材長さ調整装置の例を示す図であり、(a)は電極装置を電極が設置される側と反対側のフレーム面側から見た正面図であり、(b)は導電部材長さ調節装置を(a)の側面から見た図、(c)は導電部材長さ調節装置を動作させた状態を説明する図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る円筒状金属コイルの加熱装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る円筒状金属コイルの加熱装置の構成を概略的に示す図である。加熱装置は、金属帯板が円筒状に巻回された円筒状金属コイル1の中心部を貫通する鉄心2と、鉄心2の両端に着脱可能に接続されるU字形の鉄心3と、鉄心3に巻回される一次コイル4と、電極装置5とを含む。鉄心2,3は、例えば電磁鋼板などの良磁性体で形成される。後述するように、電極装置5は、円筒状金属コイル1の内周面および外周面にそれぞれ接触する1対の電極で円筒状金属コイル1を挟持し、それによって円筒状金属コイル1に巻回された金属帯板の始端部と終端部とが短絡される。ここで、円筒状金属コイル1に巻回された金属帯板の各層の間は、巻回時に層間に介挿される絶縁体もしくは各層の表面に形成される絶縁被膜、または前工程の熱間圧延で金属帯板の表面に形成されているスケールによって実質的に絶縁されている。
【0011】
上記のような加熱装置では、一次コイル4に接続された一次電源6を用いて一次電圧を加えると、リング状トランスを構成する鉄心2,3の作用によって一次コイルの巻き数に応じた二次電圧が円筒状金属コイル1の中に誘起される。上記のように円筒状金属コイル1に巻回された金属帯板の各層の間は実質的に絶縁されているため、円筒状金属コイル1は鉄心2に巻回された二次コイルを構成し、金属帯板の各層と電極装置5とによって構成される二次回路に二次電流が流れることによってジュール熱が発生する。一次電源6の周波数を比較的低く設定すれば、円筒状金属コイル1に巻回された金属帯板の幅方向について実質的に均一な電流が流れるため、円筒状金属コイル1を均一にジュール加熱することができる。
【0012】
図2Aおよび
図2Bは
図1に示す加熱装置のII-II線位置から見た部分断面図であり、
図3は
図1に示す加熱装置のIII-III線位置から見た断面図である。図示されるように、電極装置5は、電極51,52と、フレーム53と、エアシリンダー54と、ケーブル55とを含む。電極51は円筒状金属コイル1の内周面1Sに接触し、電極52は円筒状金属コイル1の外周面1Eに接触する。電極51,52の接触面は、円筒状金属コイルの形状に合わせた円筒面であってもよい。具体的には、電極51の接触面が凸状の円筒面であり、電極52の接触面が凹状の円筒面であってもよい。フレーム53は、電極51,52のそれぞれを支持する。図示された例において、電極51はフレーム53に固定され、電極52はフレーム53に沿って摺動可能に取り付けられる。エアシリンダー54は、フレーム53に反力をとって、電極52を電極51に近づける向きに押圧力を加える。ケーブル55は、電極51,52にそれぞれ電気的に接続される。ケーブル55は二次電流が流れることによって高温になるため、例えば水冷ケーブルなどの冷却手段が組み込まれたケーブルを用いてもよい。
【0013】
円筒状金属コイル1に電極装置5を取り付ける場合、まず電極51,52が接触する金属帯板の内周面1Sおよび外周面1Eの部分で、あらかじめグラインダーなどの研磨装置により表層のスケールなどの抵抗層ないし絶縁層を除去して導電性の良い金属表面を露出させておく必要が有る。この円筒状金属コイル1の金属表面を露出させる作業は、前記の様に人がグラインダーで行っても良いし、研磨機械などで自動的に行っても良く手段は問わない。その後、
図2Aおよび
図3に示すように、電極51,52の間を円筒状金属コイル1の巻き厚よりも大きくした状態で、電極51,52およびフレーム53によって形成されるU字形またはコの字形の内側に円筒状金属コイル1の端面が入るように電極装置5を配置する。電極装置5の移動には、例えば
図3に示すような移動台車56が用いられてもよい。このとき、電極51は円筒状金属コイル1の内周面1Sに対向し、電極52は円筒状金属コイル1の外周面1Eに対向し、フレーム53は円筒状金属コイル1の径方向に延びる。次に、
図2Bに示すように、エアシリンダー54を用いて電極52を電極51に向けて押圧することによって、電極52および電極51をそれぞれ円筒状金属コイル1の内周面1Sおよび外周面1Eに接触させる。
図1~
図3の例では、円筒状金属コイル1の幅方向片側だけに電極装置を配置する場合を示しているが、幅方向の両側に配置しても構わないし、挟む場所も1点ではなく複数部位でも構わない。
【0014】
上記のような構成によって、本実施形態では、円筒状金属コイル1の内周面1Sおよび外周面1Eに電極51,52およびケーブル55からなる短絡手段を容易かつ確実に接続することができる。円筒状金属コイル1の内周面1Sおよび外周面1Eにそれぞれ接触する電極51,52で円筒状金属コイル1を挟持することによって、金属帯板を引き出すことなく容易に円筒状金属コイル1に短絡手段を接続することができる。また、エアシリンダー54を用いて電極51,52の間に押圧力を加えることによって、ボルトなどで電極を締結する場合などのように金属帯板に穴開け等の加工をしなくても確実に円筒状金属コイル1に短絡手段を接続することができる。なお、このような本実施形態に係る電極装置5は、例えばステンレス鋼や高張力鋼などの硬質の金属帯板を巻回した円筒状金属コイル1についてより有利に用いられるが、これらの例には限定されない。
【0015】
なお、上述のように一次電源6、一次コイルにより誘起される二次電流は、円筒状金属コイル1に巻回された金属帯板の幅方向について拡散して流れるため、電極51,52は円筒状金属コイル1の端面付近、すなわち金属帯板の幅方向端部付近に接触していてもよい。また、円筒状金属コイル1に巻回された金属帯板の各層の間は電気的に絶縁されているが熱は伝わるため、必ずしも電極51,52が接触する内周面1Sおよび外周面1Eは金属帯板の始端および終端に一致していなくてもよい。
【0016】
上記の例では電極51,52を互いに近づける向きに押圧力を加える押圧手段としてエアシリンダー54を用いたが、他の例ではスプリングなどを用いて押圧力が加えられてもよい。フレーム53に形成されたねじ穴に螺合し、電極52に向かって締め込まれるボルトによって押圧力を加えてもよい。また、上記の例ではエアシリンダー54を用いて電極52を電極51に向けて押圧したが、エアシリンダー、または他の押圧手段を用いて、電極51を電極52に向けて押圧してもよい。
【0017】
図4(a)~(c)は、
図1の例で利用可能な、電極装置に組み込まれる導電部材長さ調整装置の例を示す図である。上述した電極装置5では、電極52がフレーム53に沿って摺動可能に取り付けられ、電極51,52の間の距離が可変であることによって、円筒状金属コイル1への電極装置5の取り付けが容易になり、また同じ電極装置5を異なる巻き厚の円筒状金属コイル1の短絡手段として用いることができる。しかしながら、この場合、導電部材であるケーブル55の長さが電極51,52の間の最大の距離に対応する結果、エアシリンダー54による押圧によって電極51,52の間の距離が縮まった場合にはケーブル55の長さが余り、円筒状金属コイル1との不要な接触によるスパークなどのトラブルを起こす可能性があったり、不要な長さ分のインピーダンスが高くなってジュール加熱の効率が低下する可能性がある。
【0018】
そこで、例えば
図4に示されるような導電部材長さ調整装置を電極装置5に組み込んでもよい。
図4に示された例において、導電部材は、電極51に接続されるケーブル55Aと、ケーブル55Aを介して電極51に接続され、フレーム53に沿って延びる架設導体棒55Bと、架設導体棒55Bに沿って移動可能、かつ架設導体棒55Bに接触可能であり、電極52に接続される接触部材55Cとを含む。接触部材55Cは、例えばスプリングやねじなどを用いて架設導体棒55Bに押し付け可能に構成されている。接触部材55Cが架設導体棒55Bに押し付けられることによって接触部材55Cが架設導体棒55Bに接触した状態で固定され、電極51,52の間がケーブル55A,架設導体棒55B、および接触部材55Cを介して導通する。接触部材55Cが架設導体棒55Bに押し付けられていない間は、接触部材55Cが電極52とともに移動可能になる。
【0019】
図4(a)に示されるように、フレーム53には長手方向に延びる開口部53Aが形成され、架設導体棒55Bは開口部53Aの上方に、開口部53Aを長手方向に横切って架設される。接触部材55Cは、開口部53Aを通ってフレーム53の反対側に取り付けられた電極52に接続されている。架設導体棒55Bは、ケーブル55Aとは反対側で、支持部材53Bを介してフレーム53に固定される。接触部材55Cを架設導体棒55Bに沿って移動させるために、ボールねじを構成するねじ軸61、ナット62、およびねじ軸固定部63,64、ならびにナット62を接触部材55Cに連結する連結部材65を含む移動支持機構が設けられる。移動支持機構は、例えば上記で説明したエアシリンダー54のような押圧手段と共通であってもよいし、押圧手段とは別に設けられてもよい。
【0020】
図4(b)および
図4(c)に示されるように、接触部材55Cを電極52とともに架設導体棒55Bに沿って移動させ、移動先で接触部材55Cを架設導体棒55Bに押し付けることによって、導電部材のうち導通する部分を電極51,52の間の距離、すなわち円筒状金属コイル1の巻き厚に応じた最低限の長さにすることができる。
図4(b)には円筒状金属コイル1の最小巻き厚に対応する電極51,52の間の距離d1が示され、
図4(b)には円筒状金属コイル1の最大巻き厚に対応する電極51,52巻の距離d2が示されているが、それぞれの例において導電部材のうち導通する部分の長さは長さd1,d2とほぼ同じになる。これによって、不要な長さ分のインピーダンスが高くなってジュール加熱の効率が低下することを防止できる。また、上記の例では、導電部材のうち導通する部分の長さが架設導体棒55Bを用いて調節され、架設導体棒55Bの余った部分は支持部材53Bを介してフレーム53に固定されるため、余った導電部材が円筒状金属コイルに接触してスパークするなどの不要なトラブルを避けることができる。
【0021】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る円筒状金属コイルの加熱装置の構成を示す断面図である。
図5は
図2と同じ方向の断面図であり、
図5に示された構成を除いて本実施形態に係る加熱装置の構成は第1の実施形態と同様である。本実施形態では、加熱装置が、電極51,52と、エアシリンダー54と、ケーブル55と、絶縁体57とを含む。本実施形態において、エアシリンダー54は、円筒状金属コイル1の中心部を貫通している鉄心2に反力をとって、電極51を電極52に近づける向きに押圧力を加える。絶縁体57は、エアシリンダー54と電極51との間に介挿され、エアシリンダー54の押圧力を電極51に伝えるとともに電極51と鉄心2との間を絶縁する。別の例では、絶縁体がエアシリンダー54と鉄心2との間に介挿されてもよい。
【0022】
本実施形態では、エアシリンダー54が円筒状金属コイル1の内側に配置されるため、円筒状金属コイル1をスキッド7に載せ、電極52を円筒状金属コイル1とスキッド7との間に挟み込んで配置することができる。あるいは、スキッド7を円筒状金属コイル1の外周面1Eに接触する電極として利用してもよい。この場合、ケーブル55は電極51およびスキッド7にそれぞれ電気的に接続される。本実施形態でも、エアシリンダー54に代えてスプリングやボルトなどの他の押圧手段を用いてもよい。また、短絡のための導電部材ならびに電極には、必要に応じて水冷装置などの冷却機構を設けても良い。
なお、上記の実施形態では、トランスを用いた場合について説明したが、トランスを用いずに円筒状金属コイルの始端部と終端部とに電極を取りつけ直接通電加熱する場合にも本発明は適用可能である。
【0023】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0024】
1…円筒状金属コイル、1E…外周面、1S…内周面、2,3…鉄心、4…一次コイル(一次側誘導コイル)、5…電極装置、6…一次電源、7…スキッド、51,52…電極、53…フレーム、54…エアシリンダー、55…ケーブル(導電部材)、55A…ケーブル、55B…架設導体棒、55C…接触部材、56…移動台車、57…絶縁体。