(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】モデル変換方法、モデル変換装置、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 30/23 20200101AFI20231109BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20231109BHJP
【FI】
G06F30/23
G06F30/10
(21)【出願番号】P 2020069955
(22)【出願日】2020-04-08
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】相藤 孝博
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-030569(JP,A)
【文献】特開2004-326296(JP,A)
【文献】特開2017-106766(JP,A)
【文献】特開2016-095599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有限要素法によって作成された詳細モデルの骨格部品に対して、前記骨格部品の各要素の長手方向に対して交差する方向に切断する切断面を定義し、前記切断面によって切断される前記骨格部品の各要素の板厚及び材料特性(密度、ヤング率、ポアソン比、及び降伏応力)を読み取る第1工程と、
前記切断面によって切断される各要素の切断線からなる、前記骨格部品の断面線を作成し、断面線長を求めると共に、前記第1工程で取得された前記板厚及び前記材料特性を定義する第2工程と、
前記断面線を所定のピッチで離散化し、前記切断面上の2次元座標軸における前記断面線の重心を求める第3工程と、
前記第3工程で取得された重心を原点とする座標軸を作成する第4工程と、
前記座標軸に対して、断面特性(断面2次モーメント、相乗モーメント、ねじり定数、及び断面積)を算出する第5工程と、
隣接する前記切断面の重心間の中間位置に節点を作成し、隣接する節点を結ぶビーム要素を作成する第6工程と、
前記ビーム要素に、前記第5工程で取得された前記断面特性及び前記第1工程で取得された前記材料特性のうちの密度、ヤング率、及びポアソン比を定義する第7工程と、
を備えており、
前記詳細モデルをはりモデルに変換することを特徴とするモデル変換方法。
【請求項2】
前記詳細モデルにおいて、パネル部品以外の部品を削除することで、前記パネル部品の要素を抽出する工程と、
前記骨格部品と接合されている前記パネル部品の要素に対して、前記骨格部品から変換された前記ビーム要素と接合部近傍の前記パネル部品の要素と繋ぐ剛体ビームを2本以上作成し、前記ビーム要素と前記パネル部品の要素とを接合する工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のモデル変換方法。
【請求項3】
前記詳細モデルにおいて、ビーム要素に変換された骨格部品及び抽出されたパネル部品以外の部品の質量を求め、変換されたビーム要素及び抽出されたパネル部品からなるはりモデルに求めた質量を定義することを特徴とする請求項2に記載のモデル変換方法。
【請求項4】
前記ビーム要素に変換された前記骨格部品同士の継手部分に、バネ要素を定義する工程を更に備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のモデル変換方法。
【請求項5】
前記第2工程で取得された前記断面線、及び前記第4工程で取得された、重心を原点とする前記座標軸を用いて、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第1算出工程を更に備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のモデル変換方法。
【請求項6】
前記第2工程で取得された前記断面線を用いて、塑性中立となる座標を求める工程と、
取得された前記座標を原点とする塑性中立軸を作成する工程と、
前記塑性中立軸に対して、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第2算出工程と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のモデル変換方法。
【請求項7】
前記第1算出工程では、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする請求項5に記載のモデル変換方法。
【請求項8】
前記第2算出工程では、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする請求項6に記載のモデル変換方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のモデル変換方法により、算出された全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、又は降伏曲げモーメントと、作成された前記はりモデルを用いたロードパス解析において求まる、前記ビーム要素に加わる軸力及びモーメントとを比較して、前記ビーム要素部分の前記骨格部品の断面が前記詳細モデルにおいて断面崩壊するか否かを予測することを特徴とする断面崩壊予測方法。
【請求項10】
有限要素法によって作成された詳細モデルの骨格部品に対して、前記骨格部品の各要素の長手方向に対して交差する方向に切断する切断面を定義し、前記切断面によって切断される前記骨格部品の各要素の板厚及び材料特性(密度、ヤング率、ポアソン比、及び降伏応力)を読み取る読取部と、
前記切断面によって切断される各要素の切断線からなる、前記骨格部品の断面線を作成し、断面線長を求めると共に、前記読取部によりで取得された前記板厚及び前記材料特性を定義する第1定義部と、
前記断面線を所定のピッチで離散化し、前記切断面上の2次元座標軸における前記断面線の重心を求める重心取得部と、
前記第3工程で取得された重心を原点とする座標軸を作成する重心座標軸作成部と、
前記座標軸に対して、断面特性(断面2次モーメント、相乗モーメント、ねじり定数、及び断面積)を算出する第1断面特性算出部と、
隣接する前記切断面の重心間の中間位置に節点を作成し、隣接する節点を結ぶビーム要素を作成するビーム要素作成部と、
前記ビーム要素に、前記断面特性算出部により取得された前記断面特性及び前記読取部により取得された前記材料特性のうちの密度、ヤング率、及びポアソン比を定義する第2定義部と、
を備えており、
前記詳細モデルをはりモデルに変換することを特徴とするモデル変換装置。
【請求項11】
前記詳細モデルにおいて、パネル部品以外の部品を削除することで、前記パネル部品の要素を抽出する抽出部と、
前記骨格部品と接合されている前記パネル部品の要素に対して、前記骨格部品から変換された前記ビーム要素と接合部近傍の前記パネル部品の要素と繋ぐ剛体ビームを2本以上作成し、前記ビーム要素と前記パネル部品の要素とを接合する剛体ビーム作成部と、
を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載のモデル変換装置。
【請求項12】
前記詳細モデルにおいて、ビーム要素に変換された骨格部品及び抽出されたパネル部品以外の部品の質量を求め、変換されたビーム要素及び抽出されたパネル部品からなるはりモデルに求めた質量を定義する第3定義部を更に備えたことを特徴とする請求項11に記載のモデル変換装置。
【請求項13】
前記ビーム要素に変換された前記骨格部品同士の継手部分に、バネ要素を定義するバネ要素作成部を更に備えたことを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載のモデル変換装置。
【請求項14】
前記第1定義部により取得された前記断面線、及び前記重心座標軸作成部により取得された、重心を原点とする前記座標軸を用いて、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第2断面特性算出部を更に備えたことを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載のモデル変換装置。
【請求項15】
前記第1定義部により取得された前記断面線を用いて、塑性中立となる座標を求める塑性中立座標取得部と、
前記塑性中立座標取得部で取得された前記座標を原点とする塑性中立軸を作成する塑性中立軸作成部と、
前記塑性中立軸に対して、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第3断面特性算出部と、
を更に備えたことを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載のモデル変換装置。
【請求項16】
前記第2断面特性算出部は、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする請求項14に記載のモデル変換装置。
【請求項17】
前記第3断面特性算出部は、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする請求項15に記載のモデル変換装置。
【請求項18】
有限要素法によって作成された詳細モデルの骨格部品に対して、前記骨格部品の各要素の長手方向に対して交差する方向に切断する切断面を定義し、前記切断面によって切断される前記骨格部品の各要素の板厚及び材料特性(密度、ヤング率、ポアソン比、及び降伏応力)を読み取る第1工程と、
前記切断面によって切断される各要素の切断線からなる、前記骨格部品の断面線を作成し、断面線長を求めると共に、前記第1工程で取得された前記板厚及び前記材料特性を定義する第2工程と、
前記断面線を所定のピッチで離散化し、前記切断面上の2次元座標軸における前記断面線の重心を求める第3工程と、
前記第3工程で取得された重心を原点とする座標軸を作成する第4工程と、
前記座標軸に対して、断面特性(断面2次モーメント、相乗モーメント、ねじり定数、及び断面積)を算出する第5工程と、
隣接する前記切断面の重心間の中間位置に節点を作成し、隣接する節点を結ぶビーム要素を作成する第6工程と、
前記ビーム要素に、前記第5工程で取得された前記断面特性及び前記第1工程で取得された前記材料特性のうちの密度、ヤング率、及びポアソン比を定義する第7工程と、
をコンピュータに実行させて、前記詳細モデルをはりモデルに変換することを特徴とするモデル変換プログラム。
【請求項19】
前記詳細モデルにおいて、パネル部品以外の部品を削除することで、前記パネル部品の要素を抽出する工程と、
前記骨格部品と接合されている前記パネル部品の要素に対して、前記骨格部品から変換された前記ビーム要素と接合部近傍の前記パネル部品の要素と繋ぐ剛体ビームを2本以上作成し、前記ビーム要素と前記パネル部品の要素とを接合する工程と、
を更にコンピュータに実行させることを特徴とする請求項18に記載のモデル変換プログラム。
【請求項20】
前記詳細モデルにおいて、ビーム要素に変換された骨格部品及び抽出されたパネル部品以外の部品の質量を求め、変換されたビーム要素及び抽出されたパネル部品からなるはりモデルに求めた質量を定義することを特徴とする請求項19に記載のモデル変換プログラム。
【請求項21】
前記ビーム要素に変換された前記骨格部品同士の継手部分に、バネ要素を定義する工程を更にコンピュータに実行させることを特徴とする請求項18~20のいずれか1項に記載のモデル変換プログラム。
【請求項22】
前記第2工程で取得された前記断面線、及び前記第4工程で取得された、重心を原点とする前記座標軸を用いて、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第1算出工程を更にコンピュータに実行させることを特徴とする請求項18~21のいずれか1項に記載のモデル変換プログラム。
【請求項23】
前記第2工程で取得された前記断面線を用いて、塑性中立となる座標を求める工程と、
取得された前記座標を原点とする塑性中立軸を作成する工程と、
前記塑性中立軸に対して、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第2算出工程と、
を更にコンピュータに実行させることを特徴とする請求項18~21のいずれか1項に記載のモデル変換プログラム。
【請求項24】
前記第1算出工程では、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする請求項22に記載のモデル変換プログラム。
【請求項25】
前記第2算出工程では、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする請求項23に記載のモデル変換プログラム。
【請求項26】
請求項24又は25に記載のモデル変換プログラムの前記第1算出工程又は前記第2算出工程により、算出された全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、又は降伏曲げモーメントと、作成された前記はりモデルを用いたロードパス解析において求まる、前記ビーム要素に加わる軸力及びモーメントとを比較して、前記ビーム要素部分の前記骨格部品の断面が前記詳細モデルにおいて断面崩壊するか否かを予測する工程を、コンピュータに実行させることを特徴とする断面崩壊予測プログラム。
【請求項27】
請求項18~25のいずれか1項に記載のモデル変換プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項28】
請求項26に記載の断面崩壊予測プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モデル変換方法、モデル変換装置、プログラム及び記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、自動車車体の成形解析や衝突変形解析には、有限要素法(Finite Element Method:FEM)が用いられている。自動車車体についてFEMを用いて解析するには、数百万の要素により詳細なFEMモデル(詳細フルカーモデル)を構築する。この詳細フルカーモデルを用いて種々の車体性能評価解析を行い、解析結果に基づいて実際の自動車車体が開発される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
詳細フルカーモデルを用いて車体性能評価(剛性、ロードパス等)解析を行うには、詳細フルカーモデルの規模にもよるが、数時間~数十時間の解析時間を要する。更に、一度作成された詳細フルカーモデルは、部品間の干渉や接合のための要件を満たすために緻密にモデル化されているため、ある部品の形状を変更しようとした場合には、詳細フルカーモデルの修正作業に多大な工数を要する。
【0005】
そのため、詳細フルカーモデルのある骨格部品の断面形状(耐力)を変更した場合、配置を変えた場合、周囲の骨格部品との結合位置を変更した場合等における車体の性能評価解析を行うには多大なモデル修正工数や解析時間を要し、数十~数百のケースについて検討を行うことは現実的に不可能である。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、自動車車体等の複雑で大規模な解析対象に対しても、シェル要素等による詳細モデルを、極めて短時間で高精度な性能評価解析を可能とするはりモデルに変換することができるモデル変換方法、モデル変換装置、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、鋭意検討の結果、以下に示す発明の諸様態に想到した。本発明の要旨は、次の通りである。
【0008】
(1)
有限要素法によって作成された詳細モデルの骨格部品に対して、前記骨格部品の各要素の長手方向に対して交差する方向に切断する切断面を定義し、前記切断面によって切断される前記骨格部品の各要素の板厚及び材料特性(密度、ヤング率、ポアソン比、及び降伏応力)を読み取る第1工程と、
前記切断面によって切断される各要素の切断線からなる、前記骨格部品の断面線を作成し、断面線長を求めると共に、前記第1工程で取得された前記板厚及び前記材料特性を定義する第2工程と、
前記断面線を所定のピッチで離散化し、前記切断面上の2次元座標軸における前記断面線の重心を求める第3工程と、
前記第3工程で取得された重心を原点とする座標軸を作成する第4工程と、
前記座標軸に対して、断面特性(断面2次モーメント、相乗モーメント、ねじり定数、及び断面積)を算出する第5工程と、
隣接する前記切断面の重心間の中間位置に節点を作成し、隣接する節点を結ぶビーム要素を作成する第6工程と、
前記ビーム要素に、前記第5工程で取得された前記断面特性及び前記第1工程で取得された前記材料特性のうちの密度、ヤング率、及びポアソン比を定義する第7工程と、
を備えており、
前記詳細モデルをはりモデルに変換することを特徴とするモデル変換方法。
【0009】
(2)
前記詳細モデルにおいて、パネル部品以外の部品を削除することで、前記パネル部品の要素を抽出する工程と、
前記骨格部品と接合されている前記パネル部品の要素に対して、前記骨格部品から変換された前記ビーム要素と接合部近傍の前記パネル部品の要素と繋ぐ剛体ビームを2本以上作成し、前記ビーム要素と前記パネル部品の要素とを接合する工程と、
を更に備えたことを特徴とする(2)に記載のモデル変換方法。
【0010】
(3)
前記詳細モデルにおいて、ビーム要素に変換された骨格部品及び抽出されたパネル部品以外の部品の質量を求め、変換されたビーム要素及び抽出されたパネル部品からなるはりモデルに求めた質量を定義することを特徴とする(2)に記載のモデル変換方法。
【0011】
(4)
前記ビーム要素に変換された前記骨格部品同士の継手部分に、バネ要素を定義する工程を更に備えたことを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載のモデル変換方法。
【0012】
(5)
前記第2工程で取得された前記断面線、及び前記第4工程で取得された、重心を原点とする前記座標軸を用いて、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第1算出工程を更に備えたことを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のモデル変換方法。
【0013】
(6)
前記第2工程で取得された前記断面線を用いて、塑性中立となる座標を求める工程と、
取得された前記座標を原点とする塑性中立軸を作成する工程と、
前記塑性中立軸に対して、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第2算出工程と、
を更に備えたことを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のモデル変換方法。
【0014】
(7)
前記第1算出工程では、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする(5)に記載のモデル変換方法。
【0015】
(8)
前記第2算出工程では、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする(6)に記載のモデル変換方法。
【0016】
(9)
(7)又は(8)に記載のモデル変換方法により、算出された全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、又は降伏曲げモーメントと、作成された前記はりモデルを用いたロードパス解析において求まる、前記ビーム要素に加わる軸力及びモーメントとを比較して、前記ビーム要素部分の前記骨格部品の断面が前記詳細モデルにおいて断面崩壊するか否かを予測することを特徴とする断面崩壊予測方法。
【0017】
(10)
有限要素法によって作成された詳細モデルの骨格部品に対して、前記骨格部品の各要素の長手方向に対して交差する方向に切断する切断面を定義し、前記切断面によって切断される前記骨格部品の各要素の板厚及び材料特性(密度、ヤング率、ポアソン比、及び降伏応力)を読み取る読取部と、
前記切断面によって切断される各要素の切断線からなる、前記骨格部品の断面線を作成し、断面線長を求めると共に、前記読取部によりで取得された前記板厚及び前記材料特性を定義する第1定義部と、
前記断面線を所定のピッチで離散化し、前記切断面上の2次元座標軸における前記断面線の重心を求める重心取得部と、
前記第3工程で取得された重心を原点とする座標軸を作成する重心座標軸作成部と、
前記座標軸に対して、断面特性(断面2次モーメント、相乗モーメント、ねじり定数、及び断面積)を算出する第1断面特性算出部と、
隣接する前記切断面の重心間の中間位置に節点を作成し、隣接する節点を結ぶビーム要素を作成するビーム要素作成部と、
前記ビーム要素に、前記断面特性算出部により取得された前記断面特性及び前記読取部により取得された前記材料特性のうちの密度、ヤング率、及びポアソン比を定義する第2定義部と、
を備えており、
前記詳細モデルをはりモデルに変換することを特徴とするモデル変換装置。
【0018】
(11)
前記詳細モデルにおいて、パネル部品以外の部品を削除することで、前記パネル部品の要素を抽出する抽出部と、
前記骨格部品と接合されている前記パネル部品の要素に対して、前記骨格部品から変換された前記ビーム要素と接合部近傍の前記パネル部品の要素と繋ぐ剛体ビームを2本以上作成し、前記ビーム要素と前記パネル部品の要素とを接合する剛体ビーム作成部と、
を更に備えたことを特徴とする(10)に記載のモデル変換装置。
【0019】
(12)
前記詳細モデルにおいて、ビーム要素に変換された骨格部品及び抽出されたパネル部品以外の部品の質量を求め、変換されたビーム要素及び抽出されたパネル部品からなるはりモデルに求めた質量を定義する第3定義部を更に備えたことを特徴とする(11)に記載のモデル変換装置。
【0020】
(13)
前記ビーム要素に変換された前記骨格部品同士の継手部分に、バネ要素を定義するバネ要素作成部を更に備えたことを特徴とする(10)~(12)のいずれかに記載のモデル変換装置。
【0021】
(14)
前記第1定義部により取得された前記断面線、及び前記重心座標軸作成部により取得された、重心を原点とする前記座標軸を用いて、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第2断面特性算出部を更に備えたことを特徴とする(10)~(13)のいずれかに記載のモデル変換装置。
【0022】
(15)
前記第1定義部により取得された前記断面線を用いて、塑性中立となる座標を求める塑性中立座標取得部と、
前記塑性中立座標取得部で取得された前記座標を原点とする塑性中立軸を作成する塑性中立軸作成部と、
前記塑性中立軸に対して、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第3断面特性算出部と、
を更に備えたことを特徴とする(10)~(13)のいずれかに記載のモデル変換装置。
【0023】
(16)
前記第2断面特性算出部は、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする(14)に記載のモデル変換装置。
【0024】
(17)
前記第3断面特性算出部は、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする(15)に記載のモデル変換装置。
【0025】
(18)
有限要素法によって作成された詳細モデルの骨格部品に対して、前記骨格部品の各要素の長手方向に対して交差する方向に切断する切断面を定義し、前記切断面によって切断される前記骨格部品の各要素の板厚及び材料特性(密度、ヤング率、ポアソン比、及び降伏応力)を読み取る第1工程と、
前記切断面によって切断される各要素の切断線からなる、前記骨格部品の断面線を作成し、断面線長を求めると共に、前記第1工程で取得された前記板厚及び前記材料特性を定義する第2工程と、
前記断面線を所定のピッチで離散化し、前記切断面上の2次元座標軸における前記断面線の重心を求める第3工程と、
前記第3工程で取得された重心を原点とする座標軸を作成する第4工程と、
前記座標軸に対して、断面特性(断面2次モーメント、相乗モーメント、ねじり定数、及び断面積)を算出する第5工程と、
隣接する前記切断面の重心間の中間位置に節点を作成し、隣接する節点を結ぶビーム要素を作成する第6工程と、
前記ビーム要素に、前記第5工程で取得された前記断面特性及び前記第1工程で取得された前記材料特性のうちの密度、ヤング率、及びポアソン比を定義する第7工程と、
をコンピュータに実行させて、前記詳細モデルをはりモデルに変換することを特徴とするモデル変換プログラム。
【0026】
(19)
前記詳細モデルにおいて、パネル部品以外の部品を削除することで、前記パネル部品の要素を抽出する工程と、
前記骨格部品と接合されている前記パネル部品の要素に対して、前記骨格部品から変換された前記ビーム要素と接合部近傍の前記パネル部品の要素と繋ぐ剛体ビームを2本以上作成し、前記ビーム要素と前記パネル部品の要素とを接合する工程と、
を更にコンピュータに実行させることを特徴とする(18)に記載のモデル変換プログラム。
【0027】
(20)
前記詳細モデルにおいて、ビーム要素に変換された骨格部品及び抽出されたパネル部品以外の部品の質量を求め、変換されたビーム要素及び抽出されたパネル部品からなるはりモデルに求めた質量を定義することを特徴とする(19)に記載のモデル変換プログラム。
【0028】
(21)
前記ビーム要素に変換された前記骨格部品同士の継手部分に、バネ要素を定義する工程を更にコンピュータに実行させることを特徴とする(18)~(20)のいずれかに記載のモデル変換プログラム。
【0029】
(22)
前記第2工程で取得された前記断面線、及び前記第4工程で取得された、重心を原点とする前記座標軸を用いて、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第1算出工程を更にコンピュータに実行させることを特徴とする(18)~(21)のいずれかに記載のモデル変換プログラム。
【0030】
(23)
前記第2工程で取得された前記断面線を用いて、塑性中立となる座標を求める工程と、
取得された前記座標を原点とする塑性中立軸を作成する工程と、
前記塑性中立軸に対して、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出する第2算出工程と、
を更にコンピュータに実行させることを特徴とする(18)~(21)のいずれかに記載のモデル変換プログラム。
【0031】
(24)
前記第1算出工程では、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする(22)に記載のモデル変換プログラム。
【0032】
(25)
前記第2算出工程では、前記切断面によって切断された各シェル要素の前記切断線において、隣接する前記切断線間の角度差が5°以内の場合には、前記隣接する前記切断線を同一直線上にあるとみなし、前記隣接する前記切断線を一本の直線で表現し、前記直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ前記断面線を残し、前記直線のそれ以外の部分を削除した前記断面線を用い、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを算出することを特徴とする(23)に記載のモデル変換プログラム。
【0033】
(26)
(24)又は(25)に記載のモデル変換プログラムの前記第1算出工程又は前記第2算出工程により、算出された全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、又は降伏曲げモーメントと、作成された前記はりモデルを用いたロードパス解析において求まる、前記ビーム要素に加わる軸力及びモーメントとを比較して、前記ビーム要素部分の前記骨格部品の断面が前記詳細モデルにおいて断面崩壊するか否かを予測する工程を、コンピュータに実行させることを特徴とする断面崩壊予測プログラム。
【0034】
(27)
(18)~(25)のいずれかに記載のモデル変換プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0035】
(28)
(26)に記載の断面崩壊予測プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、自動車車体等の複雑で大規模な解析対象に対しても、シェル要素等による詳細モデルを、極めて短時間で高精度な性能評価解析を可能とするはりモデルに変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】第1の実施形態によるモデル変換装置の基本構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態によるモデル変換方法の基本構成を示すフロー図である。
【
図3】シェル要素で構成された自動車車体の詳細フルカーモデルの骨格部品を示す模式図である。
【
図4】詳細フルカーモデルの全体の骨格部品について切断面を定義する具体例を示す模式図である。
【
図5】骨格部品の切断面による切断から重心座標軸の作成までの様子を示す模式図である。
【
図6】はりモデルにパネル部品を適用する様子を示す模式図である。
【
図7】第1の実施形態において付加される構成要素及びステップを示す図である。
【
図8】パネル部品及びその近傍に存するビーム要素の様子を模式的に示す斜視図である。
【
図9】第1の実施形態において付加される構成要素及びステップを示す図である。
【
図10】継手部分に対してバネ要素を定義して作成されたはりモデルの一例を示す模式図である。
【
図11】第1の実施形態において付加される構成要素及びステップを示す図である。
【
図13】第1の実施形態において付加される構成要素及びステップを示す図である。
【
図14】塑性中立軸を作成する様子を示す模式図である。
【
図15】FEMモデルを用いたねじり剛性解析を示す模式図である。
【
図16】ねじり剛性解析の結果を示す特性図である。
【
図17】カルマンの有効幅の考慮の有無に応じて作成された断面線を示す模式図である。
【
図18】第1の実施形態で得られたはりモデルを用いた断面崩壊予測方法を示すフロー図である。
【
図19】第2の実施形態によるはりモデルの更なる利用方法を示すフロー図である。
【
図20】コンピュータ機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、自動車車体等を解析対象とするモデル変換方法及びモデル変換装置について説明する。
図1は本実施形態によるモデル変換装置の基本構成を示すブロック図、
図2は本実施形態によるモデル変換方法の基本構成を示すフロー図である。
【0040】
本実施形態では、有限要素法(FEM)によるシェル要素で構成された自動車車体の詳細フルカーモデルを変換対象とする。詳細フルカーモデルの一例を
図3に示す。この詳細フルカーモデルは、解析用ソフトウェアとしてLS-DYNAが用いられ、約350万のシェル要素で表現されている。
【0041】
本実施形態によるモデル変換装置の基本構成は、
図1に示すように、読取部1、第1定義部2、重心取得部3、座標軸作成部4、断面特性算出部5、ビーム要素作成部6、及び第2定義部7を備えている。モデル変換方法の基本構成では、
図2に示すように、モデル変換装置に対応して、ステップS1~S7が実行される。
【0042】
(読取工程:ステップS1)
読取部1は、先ず、
図3に示すような、シェル要素で構成された自動車車体の詳細フルカーモデルの骨格部品に対して、骨格部品の長手方向に対して交差する方向に切断する切断面を定義する。切断面は、骨格部品の長手方向に対して直交する方向に切断する面とすることが好ましい。詳細フルカーモデルの骨格部品について切断面を定義する具体例を
図4に示す。骨格部品に対して切断線を定義する具体例を
図5(a)に示す。骨格部品の各シェル要素Eを、その長手方向に対して直交する方向に切断する切断面Sを定義する。このとき、並列する複数のシェル要素Eにおける切断面Sによる切断線をA-Bで示す。
【0043】
続いて、読取部1は、切断面によって切断された骨格部品の各シェル要素の板厚及び材料特性(密度、ヤング率、ポアソン比、及び降伏応力)を読み取る。
【0044】
(特性等定義工程:ステップS2)
第1定義部2は、先ず、ステップS1で取得された切断面によって切断された各シェル要素の切断線からなる、骨格部品の断面線を作成し、その断面線長を求める。断面線の具体例を
図5(b)に示す。断面線は、各シェル要素の切断線から構成されている。
【0045】
続いて、第1定義部2は、ステップS1で取得された板厚及び材料特性(密度、ヤング率、ポアソン比、及び降伏応力)を断面線に対して定義する。
【0046】
(重心取得工程:ステップS3)
重心取得部3は、先ず、断面線を所定のピッチで離散化する。断面線を離散化する具体例を
図5(c)に示す。
続いて、重心取得部3は、切断面上の2次元座標軸(X'-Y'座標軸)における断面線の重心を求める。断面線の重心を求める具体例を
図5(d)に示す。ここで、重心のX' 座標及びY' 座標は、以下のようにして求めることができる。
【0047】
重心のX'座標
=Σ{Y'座標軸からのX'成分距離)×(微小面積)×(密度)÷(断面線の全質量)}
重心のY'座標
=Σ{(X'座標軸からのY'成分距離)×(微小面積)×(密度)÷(断面線の全質量)}
【0048】
(重心座標軸作成工程:ステップS4)
重心座標軸作成部4は、ステップS3で取得された重心を原点とする座標軸(X-Y座標軸)を作成する。座標軸を作成する具体例を
図5(e)に示す。
【0049】
(断面特性算出工程:ステップS5)
断面特性算出部5は、ステップS4で作成された座標軸に対して、断面特性(断面2次モーメント、相乗モーメント、ねじり定数、及び断面積)を算出する。ここで、X軸周り及びY軸周りの断面2次モーメント、相乗モーメント、開断面及び閉断面のねじり定数は、以下のようにして求めることができる。
【0050】
X軸周りの断面2次モーメント
=Σ{(X座標軸からのY成分距離)2×(微小面積)}
Y軸周りの断面2次モーメント
=Σ{(Y座標軸からのX成分距離)2×(微小面積)}
【0051】
相乗モーメント
=Σ{(Y座標軸からのX成分距離)×(X座標軸からのY成分距離)×(微小面積)}
【0052】
開断面のねじり定数
={(断面線長)×(板厚)3÷3.0}×係数
係数としては、骨格部品の拘束状態に応じて5~1000の値を用いることができる。
閉断面のねじり定数
=4.0×(断面内側の面積)2÷{(断面線長)÷(板厚)}
【0053】
(ビーム要素作成工程:ステップS6)
ビーム要素作成部6は、
図4の矩形枠A内を拡大して示すように、隣接する2枚の切断面の重心間の中間位置に節点を作成し、隣接する節点を結ぶことにより、ビーム要素作成する。
【0054】
(特性等定義工程:ステップS7)
第2定義部7は、ステップS6で作成されたビーム要素に対して、ステップS5で取得された断面特性(断面2次モーメント、相乗モーメント、ねじり定数、及び断面積)及びステップS1で取得された材料特性のうちの密度、ヤング率、及びポアソン比を定義する。
【0055】
以上により、シェル要素で構成された自動車車体の詳細フルカーモデルの骨格部品が変換されてなる、ビーム要素で構成されたはりモデルが作成される。作成されたはりモデルの一例を
図6に示す。このはりモデルは、解析用ソフトウェアとしてNASTRANが用いられ、約400のビーム要素を含む約30万要素で表現されている。
【0056】
本実施形態では、上述したモデル変換装置の基本構成及びモデル変換方法の基本構成に、以下の構成要素及びステップを付加することができる。
【0057】
[パネル部品の取扱い]
詳細フルカーモデルには、パネル部品が含まれている。本実施形態では、
図6に示すように、詳細フルカーモデルのパネル部品10をはりモデルにおいてそのまま適用する。
【0058】
図7は、本実施形態において付加される構成要素及びステップを示す図であり、(a)が本実施形態において
図1のモデル変換装置の基本構成に付加される構成要素を示すブロック図、(b)が本実施形態において
図2のモデル変換方法の基本構成に付加されるステップを示すフロー図である。
図8は、パネル部品及びその近傍に存するビーム要素の様子を模式的に示す斜視図である。
【0059】
(抽出工程:ステップS11)
抽出部8は、詳細フルカーモデルにおいて、用いられているパネル部品10のシェル要素10aを抽出する。
【0060】
(剛体ビーム作成工程:ステップS12)
図2のステップS7の後に、ビーム作成部9は、骨格部品と接合されているパネル部品10のシェル要素10aに対して、
図2のステップS1~S6により骨格部品から変換されたビーム要素101と接合部102の近傍のパネル部品10のシェル要素10aと繋ぐ剛体ビーム103を2本以上(
図8の例では2本)作成する。これにより、ビーム要素101とパネル部品10のシェル要素10aとが剛体ビーム103で接合される。
【0061】
上記のように、ビーム要素とパネル部品のシェル要素とを剛体ビームで接続することにより、骨格部品にパネル部品と接続されている場合に、パネル部品の影響を考慮した、正確なはりモデルを作成することができる。
【0062】
[ビーム要素間の継手部分の取扱い]
作成されたはりモデルには、
図6の矩形枠Bを拡大した図の円C内に示すように、骨格部品同士の継手部分に、その骨格部品を変換したビーム要素同士の継手部分が存在する。本実施形態では、この継手部分に対してバネ要素を適用するようにしても良い。
【0063】
図9は、本実施形態において付加される構成要素及びステップを示す図であり、(a)が本実施形態において
図1のモデル変換装置の基本構成に付加される構成要素を示すブロック図、(b)が本実施形態において
図2のモデル変換方法の基本構成に付加されるステップを示すフロー図である。
【0064】
(バネ要素作成工程:ステップS21)
図2のステップS7の後に、バネ要素作成部11は、ビーム要素に変換された骨格部品同士の継手部分に、バネ要素を定義する。具体的には、バネ要素作成部11は、シェル要素で構成された詳細フルカーモデルの継手部分(結合部分)を抜き取った構造モデルを用いて、各並進方向(X,Y,Z方向)及び各回転方向(X軸,Y軸,Z軸周り)の剛性値を取得し、この剛性値をバネ定数として、継手部分に対してバネ要素を定義する。継手部分に対してバネ要素を定義して作成されたはりモデルの一例(
図6の矩形枠Bを拡大した図に対応する)を
図10に示す。
【0065】
上記のように、ビーム要素間の継手部分にバネ要素を定義することにより、継手部分の影響を考慮した、正確なはりモデルを作成することができる。
【0066】
[他の断面特性の取得(1)]
図11は、本実施形態において付加される構成要素及びステップを示す模式図であり、(a)が本実施形態において
図1のモデル変換装置の基本構成に付加される構成要素を示すブロック図、(b)が本実施形態において
図2のモデル変換方法の基本構成に付加されるステップを示すフロー図である。
【0067】
(他の断面特性の算出工程:ステップS31)
他の断面特性算出部12は、
図2のステップS2で作成された断面線及びステップS4で作成された、重心を原点とする座標軸を用いて、他の断面特性(全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメント)を算出する。算出された全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーントは、外部ファイルに出力される。ここで、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントは、以下のようにして求めることができる。
【0068】
全断面塑性軸力
=(断面積)×(降伏応力)
【0069】
X軸周りの全塑性曲げモーメント
=Σ{(X座標軸からのY成分距離)×(微小面積)×(降伏応力)}
Y軸周りの全塑性曲げモーメント
=Σ{(Y座標軸からのX成分距離)×(微小面積)×(降伏応力)}
【0070】
X軸周りの降伏曲げモーメント
=Σ{(X座標軸からのY成分距離)×(微小面積)×(降伏応力)
×(X座標軸からのY成分距離)÷(X座標軸から最も遠いY成分距離)}
Y軸周りの降伏曲げモーメント
=Σ{(Y座標軸からのX成分距離)×(微小面積)×(降伏応力)
×(Y座標軸からのX成分距離)÷(Y座標軸から最も遠いX成分距離)}
【0071】
ここで、
図2のステップS2において、断面線を以下のように作成しても良い。
図1の第1定義部2は、ステップS1で取得された切断面によって切断された各シェル要素の各切断線において、隣接する切断線間の角度差が5°以内の場合には、当該隣接する切断線を同一直線上にあるとみなして一本の直線で表現する。そして、直線の両端部つまり、稜線のR止まり位置から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ断面線を残す(直線のそれ以外の部分を削除する)。例えば
図12に示す断面線において、上部の直線について破線部分を削除し、有効幅の1/2の幅wの部分のみ断面線を残す。
【0072】
カルマンの有効幅は、以下のように表される。
カルマンの有効幅=t{π2Ek/(12(1-ν2)σ)}1/2
t:板厚
E:ヤング率
k:係数(=2.4~4.0)
ν:ポアソン比
σ:降伏応力
【0073】
そして、上記のように断面線を作成したうえで、ステップS31において、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントが算出される。この手法により、更に正確な全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを得ることができる。
【0074】
[他の断面特性の取得(2)]
ここでは、上記した他の断面特性の取得(1)とは異なる手法により、他の断面特性を取得する場合について説明する。
図13は、本実施形態において付加される構成要素及びステップを示す図であり、(a)が本実施形態において
図1のモデル変換装置の基本構成に付加される構成要素を示すブロック図、(b)が本実施形態において
図2のモデル変換方法の基本構成に付加されるステップを示すフロー図である。
【0075】
(塑性中立座標の取得工程:ステップS41)
塑性中立座標点取得部13は、
図2のステップS2で作成された断面線を所定のピッチで離散化し、切断面上の2次元座標軸(X'-Y'座標軸)における断面線の塑性中立となる点を求める。断面線の塑性中立点を求める具体例を
図14(a)に示す。ここで、塑性中立点のX' 座標及びY' 座標は、以下のようにして求めることができる。
【0076】
塑性中立点のX'座標
=Σ{(Y'座標軸からのX'成分距離)×(微小面積)×(降伏応力)÷(降伏応力)×(断面積)}
塑性中立点のY'座標
=Σ{(X'座標軸からのY'成分距離)×(微小面積)×(降伏応力)÷(降伏応力)×(断面積)}
【0077】
(塑性中立軸作成工程:ステップS42)
塑性中立軸作成部14は、ステップS41で取得された塑性中立点を原点とする塑性中立軸(X-Y座標軸)を作成する。塑性中立軸を作成する具体例を
図14(b)に示す。
【0078】
(他の断面特性算出工程:ステップS43)
他の断面特性算出部15は、ステップS42で作成された塑性中立軸に対して、他の断面特性(全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメント)を算出する。算出された全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントは、外部ファイルに出力される。ここで、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントの求め方は、上述した他の断面特性の取得(1)の場合と同様である。
【0079】
ここで、
図2のステップS2において、断面線を以下のように作成しても良い。
図1の第1定義部2は、ステップS1で取得された切断面によって切断された各シェル要素の各切断線において、隣接する切断線間の角度差が5°以内の場合には、当該隣接する切断線を同一直線上にあるとみなして一本の直線で表現し、直線の両端部から、カルマンの有効幅式で計算される有効幅の1/2の距離のみ断面線を残す(直線のそれ以外の部分を削除する)。
【0080】
そして、上記のように断面線を作成したうえで、ステップS41~S43により、全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントが算出される。この手法により、更に正確な全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、及び降伏曲げモーメントを得ることができる。
【0081】
[実施例]
以下、本実施形態の具体的な諸実施例について説明する。
【0082】
(実施例1)
実施例1では、車体のねじり剛性解析を、パネル部品を適用したはりモデル(はりモデル(1)とする)を用いて行った場合、及びパネル部品及びバネ要素を適用したはりモデル(はりモデル(2)とする)を用いて行った場合について、シェル要素による詳細フルカーモデルを用いた場合との比較に基づいて説明する。
図15は、FEMモデルを用いたねじり剛性解析を示す模式図である。
図15では、車体の変形倍率は500倍として示している。
【0083】
ねじり剛性解析は、
図15に示すように、車体のリアダンパマウント部を拘束し、左右のフロントストラットタワートップ部に上下逆方向の荷重を入力して行った。
【0084】
解析結果を
図16に示す。はりモデル(1)では、詳細フルカーモデルに比べて若干大きいものの、概ね詳細フルカーモデルに近いねじり剛性値を示した。はりモデル(2)では、
図15(b)に示すように、ねじり剛性解析時に生じた変形は詳細フルカーモデルとほぼ同等であり、詳細フルカーモデルにより近い(ほぼ同等と言える程度の)ねじり剛性値を示した。
【0085】
(実施例2)
実施例2では、他の断面特性の取得(2)において塑性中立軸を用いてカルマンの有効幅を考慮して作成した断面線を使用して、降伏曲げモーメントを算出する場合について説明する。
図17(a)に有効幅を考慮しないで作成した断面線を、
図17(b)に有効幅を考慮して作成した断面線をそれぞれ例示する。
【0086】
取得された降伏曲げモーメントの値を、実部材に曲げを加えた際の最大モーメントの値と比較した。その結果、実部材の最大モーメント値に近い取得された降伏曲げモーメント値が得られたことが判った。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、自動車車体等の複雑で大規模な解析対象に対しても、シェル要素等による詳細モデルを、極めて短時間で高精度な性能評価解析を可能とするはりモデルに変換することができる。
【0088】
(実施例3)
実施例3では、第1の実施形態で得られたはりモデルを用いた断面崩壊予測方法について説明する。
図18は、第1の実施形態で得られたはりモデルを用いた断面崩壊予測方法を示すフロー図である。
【0089】
実施例3では、第1の実施形態で作成されたはりモデルを用い、慣性リリーフ法によりロードパス解析を行う(ステップS51)。慣性リリーフ法とは、拘束されていない物体に対して、外力を加えた時にモデルが回転や並進運動しないように反力を発生させることで、外力に対する変形や発生荷重を慣性を考慮して求める方法であり、ロードパス解析とは、自動車車体のFEMモデルに対して、上記慣性リリーフ法を用いて衝突を模擬した入力を加えた時の、各骨格部品に発生する荷重を求めることである。
【0090】
実施例3では、
図1で示したモデル変換装置に第3定義部が付加される。第3定義部は、詳細フルカーモデルにおいて、ビーム要素に変換された骨格部品及び抽出されたパネル部品以外の部品の質量を求め、変換されたビーム要素及び抽出したパネル部品からなるはりモデルに、求めた質量を定義する。これにより、変換前の詳細フルカーモデルと変換後のはりモデルとで質量が等しくなり、慣性リリーフ法によるロードパス解析を正確に行うことができる。
【0091】
上記のロードパスの慣性リリーフ解析において取得された、ビーム要素に加わる軸力及びモーメントと、第1の実施形態で説明した他の断面特性の取得(1)における
図11(b)のステップS31又は(2)の
図13(b)のステップS43で取得された全塑性軸力、全塑性曲げモーメント、又は降伏曲げモーメントとを比較する(ステップS52)。これにより、ビーム要素部分の骨格部品の断面が詳細フルカーモデルにおいて断面崩壊するか否かを予測する(ステップS53)。
【0092】
具体的には、例えば、はりモデルを用いたロードパスの慣性リリーフ解析において、車体のバンパー部に例えば200kNの入力を与え、Frサイドメンバー部のビーム要素に加わる軸力及びモーメントを求める。それと共に、他の断面特性の取得(1)又は(2)の手法により、当該ビーム要素の位置における全塑性軸力及び降伏曲げモーメントの値を求める。そして、取得された軸力及びモーメントの値と、全塑性軸力及び降伏曲げモーメントの値とを所定の断面崩壊予測式に代入する。以上により、当該断面が崩壊するか否かを予測することができる。
【0093】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態で得られた、はりモデルの更なる利用方法について説明する。
図19は、本実施形態によるはりモデルの更なる利用方法を示すフロー図である。
【0094】
本実施形態では、先ず、シェル要素による詳細フルカーモデルを取得する(ステップS101)。この詳細フルカーモデルとしては、自動車車体の開発過程で作成されたものや、いわゆるリバースエンジニアリングで作成されたものが利用される。
【0095】
続いて、第1の実施形態の手法により、詳細フルカーモデルがはりモデルに変換される(ステップS102)。
【0096】
続いて、作成されたはりモデルを用いて、各種の性能評価解析が行われる(ステップS103)。性能評価解析としては、上記の実施例で説明した車体のねじり剛性解析及びロードパスの慣性リリーフ解析、車体の固有振動数解析等がある。数百~数千ケースの解析が行われ、改善骨格部品の創出に供される。例えば、骨格部品(ビーム要素)の断面特性の感度の解析により、骨格部品の対策を要する部分(成分)が特定される。継手部分に適用されたバネ要素の感度解析により、骨格部品の対策を要する継手部分(成分)が特定される。骨格部品(ビーム要素)の配置の解析により、高剛性の骨格部品配置構造(スペースフレーム)や、マルチロードパス(最適な荷重の分配)骨格部品配置構造が検討される。
【0097】
続いて、ステップS103による骨格部品の改善検討結果に基づき、シェル要素による改善骨格部品の詳細フルカーモデルを作成する(ステップS104)。作成された詳細フルカーモデルについて、各種性能等の検討を経た後、次期車の開発に供される。
【0098】
ビーム要素を用いたはりモデルでは、シェル要素を用いた詳細フルカーモデルと比べて、性能評価解析に要する時間が極めて短い。例えばねじり剛性解析を行う場合、詳細フルカーモデルでは数十分間を要するのに対して、はりモデルでは数秒間~数分間で行うことができる。改善骨格部品を創出する際に骨格部品の配置変更をする場合でも、詳細フルカーモデルでは1日~3日を要するのに対して、はりモデルでは殆ど瞬時に行うことができる。
【0099】
以上説明したように、本実施形態によれば、数分間程度の短時間ではりモデルを作成することが可能である。更に、作成されたはりモデルを用いて車体の性能評価解析(ねじり剛性解析、ロードパス解析等)を行った場合、詳細フルカーモデルと同等の正確な解析結果を得ることができる。そのため、詳細フルカーモデルを用いた場合と比較して、短時間(数秒間~数分間)且つ同等の精度で車体性能評価解析が可能である。加えて、ビーム要素に変換された骨格部品の断面形状(耐力)を変更した場合、配置を変えた場合、結合位置を変更した場合、等のモデル変更をプログラム上で瞬時に実行することが可能となる。
【0100】
これによって、骨格部品に関する各種条件を変化させながら、車体の性能評価解析を短時間で実行することが可能となり、数百から数千のケースについて検討することが可能となる。このようにして得られた結果を比較することで、車体性能を向上させるための、骨格部品の断面耐力の設定、骨格配置を検討することができ、容易に車体の性能を向上させる方法を見出すことができる。
【0101】
[第3の実施形態]
上述した第1の実施形態によるモデル変換装置の構成要素である、
図1に示した読取部1、第1定義部2、重心取得部3、座標軸作成部4、断面特性算出部5、ビーム要素作成部6、及び第2定義部7や、
図7の抽出部8及びビーム作成部9、
図9のバネ要素作成部11、
図11の他の断面特性算出部12、
図13の塑性中立座標点取得部13、塑性中立軸作成部14、及び他の断面特性算出部15等の構成要素は、専用のハードウェアにより実現されるものであっても良い。また、上記の各構成要素は、メモリ及びCPU(中央演算装置)により構成され、各構成要素の諸機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであっても良い。
【0102】
また、上記の各構成要素の諸機能を実現するためのプログラム(
図2のステップS1~S7、
図7のステップS11~S12、
図9のステップS21、
図11のステップS31、
図13のステップS41~S43等を実行するためのプログラム)、及び
図18の断面崩壊予測方法のステップS51~S53をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、上記の各構成要素の処理を実行しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0103】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものでも良い。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものでも良い。また上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、更に前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0104】
一具体例として、本実施形態に示したモデル変換装置及びモデル変換方法、並びに断面崩壊予測方法は、
図20に示すようなコンピュータ機能200により実施される。
コンピュータ機能200は、CPU201と、ROM202と、RAM203とを備える。また、操作部(CONS)209のコントローラ(CONSC)205と、CRTやLCD等の表示部としてのディスプレイ(DISP)210のディスプレイコントローラ(DISPC)206とを備える。更に、ハードディスク(HD)211、及びフレキシブルディスク等の記憶デバイス(STD)212のコントローラ(DCONT)207と、ネットワークインタフェースカード(NIC)208とを備える。それら機能部201,202,203,205,206,207,208は、システムバス204を介して互いに通信可能に接続された構成としている。
【0105】
CPU201は、ROM202又はHD211に記憶されたソフトウェア、又はSTD212より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス204に接続された各構成部を総括的に制御する。即ち、CPU201は、上述したような動作を行うための処理プログラム(構造体設計支援プログラム)を、ROM202、HD211、又はSTD212から読み出して実行することで、本実施形態における動作を実現するための制御を行う。RAM203は、CPU201の主メモリ又はワークエリア等として機能する。
【0106】
CONSC205は、CONS209からの指示入力を制御する。DISPC205は、DISP210の表示を制御する。DCONT207は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び本実施形態における上記の処理プログラム等を記憶するHD211及びSTD212とのアクセスを制御する。NIC208はネットワーク213上の他の装置と双方向にデータをやりとりする。
なお、通常のコンピュータ端末装置を用いる代わりに、モデル変換装置に特化された所定の計算機等を用いても良い。
【符号の説明】
【0107】
1 読取部
2 第1定義部
3 重心取得部
4 座標軸作成部
5 断面特性算出部
6 ビーム要素作成部
7 第2定義部
8 抽出部
9 ビーム作成部
10 パネル部品
10a シェル要素
11 バネ要素作成部
12,15 他の断面特性算出部
13 塑性中立座標点取得部
14 塑性中立軸作成部
101 ビーム要素
102 接合部
103 剛体ビーム