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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】超音波ホモジナイザー
(51)【国際特許分類】
   B01F 31/80 20220101AFI20231109BHJP
   B01F 35/90 20220101ALI20231109BHJP
   B02C 19/18 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B01F31/80
B01F35/90
B02C19/18 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020132667
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2021087943
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】P 2019214384
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000124959
【氏名又は名称】株式会社カイジョー
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】関本 峰幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 仁士
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩史
(72)【発明者】
【氏名】河村 孝
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-168888(JP,A)
【文献】米国特許第05026167(US,A)
【文献】特開平04-059032(JP,A)
【文献】特開2008-136993(JP,A)
【文献】実開昭51-058150(JP,U)
【文献】特開2003-200042(JP,A)
【文献】特開2003-003175(JP,A)
【文献】特開平09-155180(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0087127(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107303534(CN,A)
【文献】Generd Products, 2003年3月, vol.4, p.28-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 31/80
B01F 35/90
B02C 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波発生手段と、
前記超音波発生手段で発生した超音波を照射する照射ホーンと、
前記照射ホーンの照射面を内部に収容するホルダと、
前記ホルダの下端面に形成され、混合液を前記ホルダ内に取り込む取込口と、
前記ホルダにおいて、前記取込口よりも上方に形成され、前記ホルダ内に取り込まれた混合液を排出する排出口とを備え、
前記取込口の開口面積は前記照射ホーンの照射面積よりも小さく、前記照射ホーンの照射面は前記取込口の上方に臨むように配置されるとともに、
前記排出口を前記ホルダの周囲に複数設け、各排出口と接続された排出配管の下流を合流させる
ことを特徴とする超音波ホモジナイザー。
【請求項2】
前記照射ホーンの振動中心にフランジを取り付け、前記フランジを前記ホルダに固定することを特徴とする請求項1に記載の超音波ホモジナイザー。
【請求項3】
前記ホルダの周囲に冷却用の媒体を通過させるジャケットが設けられ、前記ジャケットの上方に前記排出口が設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の超音波ホモジナイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波を照射して分散を行う超音波ホモジナイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波ホモジナイザーでは、液中に配置された振動子を超音波領域の振動数で振動させ、振動面(照射面)から液中に照射される超音波により発生するキャビテーションにより液中に粉体等の物質を分散させている。例えば特許文献1では、縦長の円筒容器の軸に沿って軸方向に振動する振動子を配置し、円筒容器の側面上方から混合液を供給し、側面下方から混合液を排出している。また、振動子の軸方向に沿って所定間隔で円環状の振動面(照射面)を平行に多数設け、振動面同士の隙間に形成される複数の超音波照射領域で効果的にキャビテーションを発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-017886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、振動面同士の間の混合液に効果的に超音波キャビテーションを発生させることができるものの、混合液の多くは、振動面同士の間に形成される超音波照射領域よりも外側の円筒内周面寄りの領域を内周面に沿って流れる。そのため混合液の多くは超音波キャビテーションに触れることなく排出され、十分な分散効果は得られない。
【0005】
本発明は、超音波ホモジナイザー内を流れる混合液に効果的に超音波キャビテーションを発生させ、超音波ホモジナイザーの分散性能を向上することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である超音波ホモジナイザーは、超音波発生手段と、前記超音波発生手段で発生した超音波を照射する照射ホーンと、前記照射ホーンの照射面を内部に収容するホルダと、前記ホルダの下端面に形成され、混合液を前記ホルダ内に取り込む取込口と、前記ホルダにおいて、前記取込口よりも上方に形成され、前記ホルダ内に取り込まれた混合液を排出する排出口とを備え、前記取込口の開口面積は前記照射ホーンの照射面積よりも小さく、前記照射ホーンの照射面は前記取込口の上方に臨むように配置されるとともに、前記排出口を前記ホルダの周囲に複数設け、各排出口と接続された排出配管の下流を合流させることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である超音波ホモジナイザーは、第1の発明において、前記照射ホーンの振動中心にフランジを取り付け、前記フランジを前記ホルダに固定することを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明である超音波ホモジナイザーは、第1または第2の発明において、前記ホルダの周囲に冷却用の媒体を通過させるジャケットが設けられ、前記ジャケットの上方に前記排出口が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超音波ホモジナイザー内を流れる混合液に効果的に超音波キャビテーションを発生させ、超音波ホモジナイザーの分散性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の超音波ホモジナイザーの縦断面図である。
図2図1の超音波ホモジナイザーのホルダを中心とする一部拡大縦断面図である。
図3】照射ホーンとホルダの径方向の配置を示す平面図である。
図4】本実施形態の超音波ホモジナイザーを用いたユニットの構成を示すブロック図である。
図5】変形例の超音波ホモジナイザーのアウトレット部および混合液排出管の配置を示す一部拡大縦断面図である。
図6】変形例の超音波ホモジナイザーのアウトレット部の配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態の超音波ホモジナイザーの縦断面図であり、図2は、ホルダ12を中心とする超音波ホモジナイザー10の部分拡大縦断面図である。
【0013】
本実施形態の超音波ホモジナイザー10は、液体と粉体、液体と液体など様々な混合液が注入されるホルダ12と、所定の周波数、強度、波形の超音波を発生する超音波発生装置14とを備える。
【0014】
超音波発生装置14は、超音波発振器14A、超音波振動子14B、ブースター14C、照射ホーン14Dを備える。超音波発振器14Aは、設定される所定の周波数、強度、波形に対応する駆動信号を発生し、これを超音波振動子14Bへ供給(印加)する。超音波振動子14Bは、超音波発振器14Aからの駆動信号により振動し、超音波振動子14Bで発生した超音波振動は、ブースター14Cにおいて振幅が増幅されて照射ホーン14Dへと伝達される。これにより照射ホーン14Dは、所定の周波数、強度、波形で軸に沿って上下方向に振動される。照射ホーン14Dは、例えば円筒形状を呈し、軸を垂直にしてその下端部がホルダ12内に挿入される。
【0015】
照射ホーン14Dは、ホルダ12の上部開口縁18に取り付けられたフランジ部材20によってその振動中心が保持され、ホルダ12に対して所定位置に固定される。フランジ部材20は、例えばネジ22などの取り付け部材によりホルダ12の上部開口縁18に取り付けられる。
【0016】
ホルダ12は、照射ホーン14Dが挿入されるとともに混合液が供給される混合液槽24をその中央に備える。混合液槽24の周囲には、その外周を取り囲むように、冷却液(冷却媒体)が流通する冷却槽(ジャケット)26が配置される。混合液槽24は円筒形状を呈し、上部開口縁18を通して外部へと開放される。
【0017】
混合液槽24の底面の中央にはインレット部(取込口)24Aが設けられ、混合液供給管28Aが接続される。混合液槽24の上方外側部にはアウトレット部(排出口)24Bが設けられ、混合液排出管28Bが接続される。すなわち、混合液は、混合液槽24の底部中央から流入し、上方外側部から排出される。
【0018】
一方、冷却槽26の下方外側部にはインレット部26Aが設けられ、冷却液供給管30Aが接続される。また、冷却槽26の上方外側部において、例えば混合液槽24を挟んでインレット部26Aとは略反対側には、アウトレット部(排出口)26Bが設けられ、冷却液排出管30Bが接続される。なお、冷却液は、超音波振動によるホルダ12内の混合液の温度上昇を抑える。
【0019】
図2に示されるように、円筒形の照射ホーン14Dの振動面(照射面)である下端面14Eは、混合液槽24の底面から所定距離を隔て、インレット部(取込口)24Aの上方に臨むように配置され、これにより混合液槽24と照射ホーン14Dの下端面14Eとの間には一定間隔の流路が形成される。
【0020】
図3は、照射ホーン14Dとホルダ12の径方向の配置を示す平面図であり、混合液槽24のインレット部24Aの内周面、照射ホーン14Dの外周面、混合液槽24の外周壁、冷却槽26の外周壁の位置が描かれる。図3に示されるように、本実施形態において、混合液槽24のインレット部24Aの内周面、照射ホーン14Dの外周面、混合液槽24の外周壁、冷却槽26の外周壁は略同心円的に配置され、照射ホーン14Dの外周面と混合液槽24の内周面の間には一定間隔の流路が形成される。
【0021】
インレット部24Aの取込口の内径は、照射ホーン14Dの外径よりも小さく、取込口の開口面積は照射ホーン14Dの照射面積よりも小さい。インレット部24Aから混合液槽24内に流入された混合液は、照射ホーン14Dの下端面中央に向けて略垂直上向に流れ込み、照射ホーン14Dの下端面14Eに当たって略水平方向に放射状に流れの向きを変える。混合液は、混合液槽24の底面と照射ホーン14Dの間に形成された流路に沿って放射状に径方向外側に流れる。
【0022】
同構成によりインレット部24Aの取込口から流入した混合液は全て、混合液槽24の底面と照射ホーン14Dの間に形成された流路に沿って流れ、混合液は照射ホーン14Dの下端面14E近くをこれに沿って移動することとなる。そのため、混合液体の粉体は照射ホーン14Dの振動面(照射面)である下端面14Eが発生する超音波キャビテーションによって効率的に一様に混合液中に分散される。
【0023】
放射状に流れる混合液が混合液槽24の内周面近くに達すると、内周面に当たって上向きに流れが変えられる。これにより混合液は、混合液槽24の内周面と照射ホーン14Dの外周面の間の流路に沿って上昇し、アウトレット部24Bから排出される。
【0024】
一方、インレット部26Aから冷却槽26内に流入した冷却液は、混合液槽24の外周面と冷却槽26の内周面の間に形成される円環状の流路に沿って流れ、反対側のアウトレット部26Bから排出される。すなわち、混合液槽24内を流れる混合液と冷却槽26内を流れる冷却液の間では、混合液槽24の側壁を通して熱交換が行われ、混合液が冷却される。
【0025】
図4は、複数の超音波ホモジナイザー10をユニットとして用いる場合の構成を示すブロック図である。図2に示される実施形態では、4台の超音波ホモジナイザー10が並列に接続さている。すなわち、混合液は、各超音波ホモジナイザー10のホルダ12に分配されて供給され、各ホルダ12から排出される混合液は、再び合流される。
【0026】
以上のように、本実施形態の超音波ホモジナイザーによれば、超音波ホモジナイザーの構成では、ホルダに流入する混合液が全て照射ホーンの振動面の近傍に沿って移動するので、混合液には効果的に超音波キャビテーションが発生し、混合液内の粉体は効率的に一様に分散される。
【0027】
次に図5図6を参照して、本実施形態の超音波ホモジナイザーの変形例について説明する。なお、図5は、変形例の超音波ホモジナイザーのアウトレット部および混合液排出管の配置を示す模式的な一部拡大縦断面図であり、図6は、変形例の超音波ホモジナイザーのアウトレット部の配置を示す図5のA-A断面図である。なお、実施形態と同様の構成に関しては同一参照符号を用い、その説明を省略する。
【0028】
実施形態の超音波ホモジナイザー10の混合液槽24の上方外側部には、1つのアウトレット部24Bが設けられたが、変形例の超音波ホモジナイザー32のホルダ34では、外周部に沿って複数のアウトレット部(排出口)36が設けられる。各アウトレット部36には、それぞれ混合液排出管(排出配管)38が接続され、混合液排出管38の各々は下流部Cにおいて合流される。なお、図5に示される合流位置Cは模式的なものであり、その配置は任意である。
【0029】
複数のアウトレット部36は、混合液槽24の上方外側部の同じ高さに、混合液槽24の円筒軸周りに例えば等間隔で(回転対称に)配置される。図6では、アウトレット部36が放射状に4つ設けられている。なお、アウトレット部36の数は4つに限定されるものではなく、3つや6つなどでもよい。また、冷却槽26に設けられる冷却液のアウトレット部26Bは、インレット部26Aの反対側において、アウトレット部36と競合しない位置に配置される。図5において、アウトレット部26Bは、アウトレット部36の下方に配置されているが、アウトレット部36同士の間の同じ高さに配置することも可能である。
【0030】
以上のように変形例の構成においても、実施形態と同様の効果が得られる。更に、変形例では、混合液槽内の流れが全周に亘ってより一様になるため、より分散の効率が向上する。
【0031】
なお、超音波ホモジナイザーが発生する超音波の振幅や周波数、波形は、調整可能であることが好ましい。また、本実施形態では、複数の超音波ホモジナイザーを並列に接続してユニットとしていたが、複数の超音波ホモジナイザーを直列に接続してユニットとしてもよい。また、本実施形態では、冷却液を冷媒として用いたが、気体を冷却媒体として用いることもできる。
【符号の説明】
【0032】
10、32 超音波ホモジナイザー
12、34 ホルダ
14 超音波発生装置
14D 照射ホーン
20 フランジ部材
24 混合液槽
24A インレット部(取込口)
24B、36 アウトレット部(排出口)
26 冷却槽(ジャケット)
26B アウトレット部(排出口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6