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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】有害生物防除組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/90 20060101AFI20231109BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20231109BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20231109BHJP
   C07H 19/16 20060101ALN20231109BHJP
【FI】
A01N43/90 105
A01P7/04
A01P3/00
C07H19/16
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021168262
(22)【出願日】2021-10-13
(65)【公開番号】P2023058314
(43)【公開日】2023-04-25
【審査請求日】2022-10-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第03013921(DE,A1)
【文献】英国特許出願公開第02284811(GB,A)
【文献】英国特許出願公開第02287464(GB,A)
【文献】中国特許出願公開第105273025(CN,A)
【文献】特表平10-507063(JP,A)
【文献】特表2019-533727(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213501(WO,A1)
【文献】特開昭54-041327(JP,A)
【文献】Organic Process Research & Development,2008年,12,1229-1237
【文献】PESTICIDE BIOCHEMISTRY AND PHYSIOLOGY,1994年,50,149-158
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 43/90
A01P 7/04
A01P 3/00
C07H 19/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素、CO-、又はスルファモイル基であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
は、ハロゲンであり、
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
は、ハロゲンである。)
で表される化合物又はその塩を含有する有害生物防除組成物であって、
前記有害生物が、鱗翅目害虫、半翅目害虫、いもち病原菌、紋枯病原菌、炭疽病原菌、及び褐斑病原菌からなる群より選択される少なくとも一種である有害生物防除組成物。
【請求項2】
及びRが、それぞれ独立して、水素、又はRCO-である、請求項1に記載の有害生物防除組成物。
【請求項3】
が、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である、請求項1又は2に記載の有害生物防除組成物。
【請求項4】
Xが、フッ素、塩素、又は臭素である、請求項1~のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項5】
Zが、フッ素である、請求項1~のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項6】
前記有害生物が、植物に対する病害虫又は病原菌である、請求項1~のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項7】
前記植物が、イネ科植物、アブラナ科植物、ウリ科植物、及びマメ科植物からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項に記載の有害生物防除組成物。
【請求項8】
植物に直接施用する、又は植物を栽培する土壌に施用するための、請求項1~のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主に有害生物防除組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クロファラビンは、核酸アナログ代謝拮抗薬に分類される第2世代のプリン拮抗薬である。クロファラビンは、細胞内の酵素によって活性型のクロファラビン三リン酸に変換され、リボヌクレオチド還元酵素及びDNAポリメラーゼαの両方の酵素を阻害することにより、白血病細胞でのDNA合成や修復を阻害し、細胞死を誘導する。クロファラビンを有効成分とするエボルトラ(商標)点滴静注20mgが開発され、「再発又は難治性の急性リンパ性白血病」を効能効果として、製造販売が承認されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】エボルトラ(商標)点滴静注20mg 医薬品インタビューフォーム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、有害生物防除に有用な組成物を提供することを1つの課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、次の態様を含む。
項1.
下記式(1):
【化1】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、RCO-、又はスルファモイル基であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
Xは、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロアリール基、RO-、RS-、又はRN-であり、
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
Zは、水素、ハロゲン、アジド基、シアノ基、又はRO-であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物又はその塩を含有する有害生物防除組成物。
項2.
及びRが、それぞれ独立して、水素、又はRCO-である、項1に記載の有害生物防除組成物。
項3.
が、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である、項1又は2に記載の有害生物防除組成物。
項4.
Xが、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、RO-、RS-、又はRN-であり、
、R、R、及びRが、それぞれ独立して、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である、
項1~3のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
項5.
Xが、ハロゲン、シアノ基、又はRO-である、項1~4のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
項6.
Xが、フッ素、塩素、又は臭素である、項1~5のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
項7.
Zが、ハロゲンである、項1~6のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
項8.
Zが、フッ素である、項1~7のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
項9.
前記有害生物が、植物に対する病害虫又は病原菌である、項1~8のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
項10.
前記植物が、イネ科植物、アブラナ科植物、ウリ科植物、マメ科植物、バラ科植物、及びブドウ科植物からなる群より選択される少なくとも一種である、項9に記載の有害生物防除組成物。
項11.
前記有害生物が、鱗翅目害虫、半翅目害虫、いもち病原菌、紋枯病原菌、炭疽病原菌、及び褐斑病原菌からなる群より選択される少なくとも一種である、項1~10のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
項12.
植物に直接施用する、又は植物を栽培する土壌に施用するための、項1~11のいずれか一項に記載の有害生物防除組成物。
項13.
下記式(1a):
【化2】
(式中、
1a及びR2aは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、R3aCO-、又はスルファモイル基であり、
3aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
は、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロアリール基、R4aO-、又はR5aS-であり、
4a及びR5aは、それぞれ、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
は、ハロゲン、アジド基、シアノ基、又はR8aO-であり、
8aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物又はその塩。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、例えば有害生物防除に有用な組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態又は全ての実装を記述することを意図するものではない。本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。
【0008】
本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
【0009】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0010】
1.用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0011】
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0012】
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0013】
本明細書中、表記「Cn-m」(ここで、n、及びmは、それぞれ、正の整数であり、n<mである。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
【0014】
本明細書中、「炭化水素基」は、炭素及び水素のみからなる基を意味する。「炭化水素基」の例は、(1)1個以上の芳香族炭化水素基(アリール基)で置換されていてもよい脂肪族炭化水素基、及び(2)1個以上の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい芳香族炭化水素基を包含する。
【0015】
「炭化水素基」は、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組み合わせである構造を有することができる。
【0016】
本明細書中、「脂肪族炭化水素基」は、飽和又は不飽和であることができる。「脂肪族炭化水素基」の例は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、及びシクロアルケニル基を包含する。
【0017】
本明細書中、「アルキル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルキル基を包含し、及びその具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基(例:n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(例:n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基)、ペンチル基(例:n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基)、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、及びデシル基を包含する。
【0018】
本明細書中、「アルケニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC2-10アルケニル基を包含し、及びその具体例は、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-エチル-1-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、4-メチル-3-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、及び5-ヘキセニル基を包含する。
【0019】
本明細書中、「アルキニル基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC2-10アルキニル基を包含し、及びその具体例は、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、2-ペンチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、2-ヘキシニル基、3-ヘキシニル基、4-ヘキシニル基、及び5-ヘキシニル基を包含する。
【0020】
本明細書中、「シクロアルキル基」の例は、C3-10シクロアルキル基を包含し、及びその具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、及びアダマンチル基を包含する。
【0021】
本明細書中、「シクロアルケニル基」の例は、C3-10シクロアルケニル基を包含し、及びその具体例は、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、及びシクロヘプテニル基を包含する。
【0022】
本明細書中、「芳香族炭化水素基(アリール基)」は、例えば単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。「芳香族炭化水素基」の例は、C6-14芳香族炭化水素基を包含し、及びその具体例は、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、及び2-アンスリル基を包含する。
【0023】
本明細書中、前記芳香族炭化水素基で置換された前記脂肪族炭化水素基の例は、アリールアルキル基(アラルキル基)を包含し、及びその具体例は、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、2,2-ジフェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、5-フェニルペンチル基、2-ビフェニルメチル基、3-ビフェニルメチル基、及び4-ビフェニルメチル基等のC7-15アラルキル基を包含する。
【0024】
本明細書中、炭化水素基に置換し得る置換基の例は、ハロゲン、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、モノアルキルアミノ基、及びジアルキルアミノ基を包含する。
【0025】
本明細書中、「ハロゲン」の例は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を包含する。
【0026】
本明細書中、「アルコキシ基」は、RO-(式中、Rはアルキル基である。)で表される基であることができる。「アルコキシ基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルコキシ基を包含し、及びその具体例はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(例:n-プロポキシ基、イソプロポキシ基)、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、及びヘキシルオキシ基を包含する。
【0027】
本明細書中、「アルキルチオ基」は、RS-(式中、Rはアルキル基である。)で表される基であることができる。「アルキルチオ基」の例は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-12アルキルチオ基を包含し、及びその具体例はメチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基(例:n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基)、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、及びヘキシルチオ基を包含する。
【0028】
本明細書中、「モノアルキルアミノ基」は、R-NH-(式中、Rはアルキル基である。)で表される基であることができる。「モノアルキルアミノ基」の例は、モノ直鎖状又は分岐鎖状C1-12アルキルアミノ基を包含し、及びその具体例は、モノメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、モノプロピルアミノ基(例:モノn-プロピルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基)、及びモノブチルアミノ基を包含する。
【0029】
本明細書中、「ジアルキルアミノ基」は、RN-(式中、2個のRは、それぞれ独立して、アルキル基である。)で表される基であることができる。「ジアルキルアミノ基」の例は、ジ直鎖状又は分岐鎖状C1-12アルキルアミノ基を包含し、及びその具体例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジプロピルアミノ基(例:ジn-プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基)、及びメチルプロピルアミノ基(例:メチルn-プロピルアミノ基、メチルイソプロピルアミノ基)を包含する。
【0030】
本明細書中、「芳香族複素環基(ヘテロアリール基)」は、例えば単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができ、5~18員、5~16員、5~14員、又は5~12員であることができる。「芳香族複素環基」の例は、5又は6員の単環性芳香族複素環基、及び5~18員の芳香族縮合複素環基を包含する。
【0031】
本明細書中、「5又は6員の単環性芳香族複素環基」の例は、ピロリル基(例:1-ピロリル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基)、フリル基(例:2-フリル基、3-フリル基)、チエニル基(例:2-チエニル基、3-チエニル基)、ピラゾリル基(例:1-ピラゾリル基、3-ピラゾリル基、4-ピラゾリル基)、イミダゾリル基(例:1-イミダゾリル基、2-イミダゾリル基、4-イミダゾリル基)、イソオキサゾリル基(例:3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基)、オキサゾリル基(例:2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基)、イソチアゾリル基(例:3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基)、チアゾリル基(例:2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基)、トリアゾリル基(例:1,2,3-トリアゾール-4-イル基、1,2,4-トリアゾール-3-イル基)、オキサジアゾリル基(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル基、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル基)、チアジアゾリル基(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル基、1,2,4-チアジアゾール-5-イル基)、テトラゾリル基、ピリジル基(例:2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基)、ピリダジニル基(例:3-ピリダジニル基、4-ピリダジニル基)、ピリミジニル基(例:2-ピリミジニル基、4-ピリミジニル基、5-ピリミジニル基)、及びピラジニル基を包含する。
【0032】
本明細書中、「5~18員の芳香族縮合複素環基」の例は、イソインドリル基(例:1-イソインドリル基、2-イソインドリル基、3-イソインドリル基、4-イソインドリル基、5-イソインドリル基、6-イソインドリル基、7-イソインドリル基)、インドリル基(例:1-インドリル基、2-インドリル基、3-インドリル基、4-インドリル基、5-インドリル基、6-インドリル基、7-インドリル基)、ベンゾ[b]フラニル基(例:2-ベンゾ[b]フラニル基、3-ベンゾ[b]フラニル基、4-ベンゾ[b]フラニル基、5-ベンゾ[b]フラニル基、6-ベンゾ[b]フラニル基、7-ベンゾ[b]フラニル基)、ベンゾ[c]フラニル基(例:1-ベンゾ[c]フラニル基、4-ベンゾ[c]フラニル基、5-ベンゾ[c]フラニル基)、ベンゾ[b]チエニル基、(例:2-ベンゾ[b]チエニル基、3-ベンゾ[b]チエニル基、4-ベンゾ[b]チエニル基、5-ベンゾ[b]チエニル基、6-ベンゾ[b]チエニル基、7-ベンゾ[b]チエニル基)、ベンゾ[c]チエニル基(例:1-ベンゾ[c]チエニル基、4-ベンゾ[c]チエニル基、5-ベンゾ[c]チエニル基)、インダゾリル基(例:1-インダゾリル基、2-インダゾリル基、3-インダゾリル基、4-インダゾリル基、5-インダゾリル基、6-インダゾリル基、7-インダゾリル基)、ベンゾイミダゾリル基(例:1-ベンゾイミダゾリル基、2-ベンゾイミダゾリル基、4-ベンゾイミダゾリル基、5-ベンゾイミダゾリル基)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル基(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル基、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル基、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル基、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル基、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル基)、ベンゾオキサゾリル基(例:2-ベンゾオキサゾリル基、4-ベンゾオキサゾリル基、5-ベンゾオキサゾリル基、6-ベンゾオキサゾリル基、7-ベンゾオキサゾリル基)、1,2-ベンゾイソチアゾリル基(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル基、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル基、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル基、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル基、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル基)、ベンゾチアゾリル基(例:2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基)、イソキノリル基(例:1-イソキノリル基、3-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基)、キノリル基(例:2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、5-キノリル基、8-キノリル基)、シンノリニル基(例:3-シンノリニル基、4-シンノリニル基、5-シンノリニル基、6-シンノリニル基、7-シンノリニル基、8-シンノリニル基)、フタラジニル基(例:1-フタラジニル基、4-フタラジニル基、5-フタラジニル基、6-フタラジニル基、7-フタラジニル基、8-フタラジニル基)、キナゾリニル基(例:2-キナゾリニル基、4-キナゾリニル基、5-キナゾリニル基、6-キナゾリニル基、7-キナゾリニル基、8-キナゾリニル基)、キノキサリニル基(例:2-キノキサリニル基、3-キノキサリニル基、5-キノキサリニル基、6-キノキサリニル基、7-キノキサリニル基、8-キノキサリニル基)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル基(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル基、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル基)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル基(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル基、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル基、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル基、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル基、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル基、及びイミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル基)を包含する。
【0033】
2.有害生物防除組成物
本開示の有害生物防除組成物は、下記式(1):
【化3】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、RCO-、又はスルファモイル基(HN-SO-)であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
Xは、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロアリール基、RO-、RS-、又はRN-であり、
、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
Zは、水素、ハロゲン、アジド基(-N=N=N)、シアノ基、又はRO-であり、
は、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物又はその塩を含有する。
【0034】
一実施形態において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、又はRCO-であることが好ましく、水素、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、又はRCO-であることがより好ましく、水素、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又はRCO-であることが更に好ましく、水素、アルキル基、又はRCO-であることが更により好ましく、水素、又はRCO-であることが特に好ましい。
【0035】
一実施形態において、R及びRは同種の基であることが好ましい。
【0036】
一実施形態において、Rは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましい。当該置換基はヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であることが好ましく、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であることがより好ましく、アルコキシ基であることが更に好ましい。当該置換基が存在する場合、当該置換基の数は1個以上置換可能な最大数以下から選択され、1個又は2個であることが好ましい。
【0037】
一実施形態において、Xは、水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、RO-、RS-、又はRN-であることが好ましく、ハロゲン、シアノ基、又はRO-であることがより好ましく、ハロゲンであることが更に好ましく、フッ素、塩素、又は臭素であることが更により好ましい。
【0038】
一実施形態において、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、水素、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましく、水素、又はアルキル基であることが更により好ましい。
【0039】
一実施形態において、Zは、ハロゲンであることが好ましく、フッ素であることが更に好ましい。
【0040】
一実施形態において、Rは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましく、アルキル基であることが更により好ましい。
【0041】
一実施形態において、R及びRは、それぞれ独立して、水素、又はRCO-であり、Rは、1個以上の置換基(例:アルコキシ基)を有していてもよいアルキル基であり、X及びZは、それぞれ独立して、ハロゲンであることが好ましい。当該実施形態において、Xはフッ素であることが更に好ましい。
【0042】
一実施形態において、式(1)で表される化合物又はその塩は、下記式(1-1)~(1-12)からなる群より選択される化合物又はその塩であることが好ましい。
【0043】
【化4】
【0044】
式(1)で表される化合物の塩は、酸付加塩であってもよく塩基付加塩であってもよい。
【0045】
前記酸付加塩は無機酸塩であってもよく有機酸塩であってもよい。前記無機酸塩の例は、塩酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、ピロ硫酸、及びメタリン酸との塩を包含する。前記有機酸塩の例は、クエン酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、及びスルホン酸(例:メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びナフタレンスルホン酸)との塩を包含する。
【0046】
前記塩基付加塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を包含する。
【0047】
式(1)で表される化合物又はその塩の製造方法は、特に限定されないが、例えば下記の反応スキームに示すように、式(2)で表される化合物を、式(3)で表される化合物と反応させる工程Aを含むことが好ましい。
【0048】
【化5】
(式中、R1b及びR2bは、それぞれ独立して、ヒドロキシル基の保護基であり、Haloはハロゲンであり、X及びZは前記と同じである。)
【0049】
1b及びR2bで表される保護基としては、一般にヒドロキシル基の保護に用いられているものを全て使用することができる。一実施形態において、R1b及びR2bは、それぞれ独立して、エーテル型保護基(例:t-ブチル基、ベンジル基、トリチル基)、アセタール型保護基(例:テトラヒドロピラニル基)、アシル型保護基(例:アセチル基、ベンゾイル基)、及びシリルエーテル型保護基(例:t-ブチルジメチルシリル基)からなる群より選択することができる。
【0050】
一実施形態において、Haloは臭素又は塩素であることが好ましい。
【0051】
式(2)で表される化合物、及び式(3)で表される化合物の各使用量は、反応が進行する限り、特に限定されない。式(2)で表される化合物の使用量に対する式(3)で表される化合物の使用量の比(モル比)の下限は、例えば0.1、0.5、又は1であることができる。当該比の上限は、例えば10、9、8、7、6、又は5であることができる。当該比は、例えば0.1~10、0.5~8、又は1~5であることができる。
【0052】
工程Aの反応は、塩基の存在下で行うことが好ましい。当該塩基の好適な例は、非求核塩基を包含し、及びその具体例は、金属水素化物(例:カルシウムハイドライド)、及び金属アルコキシド(例:t-ブトキシナトリウム、t-ブトキシカリウム)を包含する。当該塩基は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
工程Aの反応は、溶媒中で行うことが好ましい。当該溶媒の好適な例は、ハロゲン系溶媒(例:ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン)、アルコール系溶媒(例:エタノール、プロパノール、ブタノール、t-アミルアルコール、ペンタノール)、及びニトリル系溶媒(例:アセトニトリル)を包含する。当該溶媒は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
工程Aの反応温度は、反応が進行する限り、特に限定されない。当該反応温度の下限は、例えば5℃、10℃、又は15℃であることができる。当該反応温度の上限は、例えば100℃、90℃、又は80℃であることができる。当該反応温度は、例えば5~100℃、10~90℃、又は15~80℃であることができる。
【0055】
式(1)で表される化合物又はその塩の製造方法は、ヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程Bを更に含んでいてもよい。工程Bの脱保護は、常法に従って実施することができる。
【0056】
別の実施形態において、式(1)で表される化合物又はその製造方法は、
式(3)で表される化合物の代わりに2-アミノ-6-クロロ-9H-プロリンを用いる以外は工程Aと同様に実施する工程D、
工程Dにより得られた生成物を、亜硝酸又は亜硝酸エステル及び臭素源(例:CuBr、CHBr)又はヨウ素源(例:CuI、CH)と反応(ザンドマイヤー反応)させる工程E、並びに
工程Eにより得られた生成物のプリン環の6位をアミノ化し、及びフラン環骨格の3’及び5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程F
を含むことが好ましい。当該方法は、例えば国際公開第2020/213501号を参照することができる。
【0057】
式(1)で表される化合物又はその製造方法は、工程B又は工程Fで得られた脱保護体を、RCOOH又はそのエステルもしくはハライドと反応させる工程Gを含んでいてもよい。工程Gの反応(エステル化反応)は、常法に従って実施することができる。
【0058】
式(1)で表される化合物又はその製造方法において、各工程で得られた生成物は、所望により、ろ過、カラムクロマトグラフィー、濃縮、抽出等の手法により精製してもよい。
【0059】
有害生物防除組成物中の式(1)で表される化合物又はその塩の含有量は、有害生物防除に対する有効量であることが好ましい。当該含有量の下限は、有害生物防除組成物100質量部に対して、例えば0.01質量部、0.05質量部、0.1質量部、0.5質量部、1質量部、5質量部、又は10質量部であることができる。当該含有量の上限は、有害生物防除組成物100質量部に対して、例えば99質量部、90質量部、85質量部、80質量部、75質量部、70質量部、65質量部、60質量部、55質量部、又は50質量部であることができる。当該含有量は、有害生物防除組成物100質量部に対して、例えば0.01~99質量部、0.05~90質量部、又は0.1~80質量部であることができる。
【0060】
有害生物防除組成物は、式(1)で表される化合物又はその塩、及び担体を含有することが好ましい。当該担体は、固体担体、液体担体、及びガス状担体のいずれであってもよい。
【0061】
固体担体としては、例えば、活性炭、シリカ、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等の無機粒子;カオリン、珪藻土、ベントナイト、クレー、酸性白土等の粘土鉱物;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等のポリマー粒子;肥料;木粉等が挙げられる。
【0062】
液体担体としては、例えば、水(例:水道水、イオン交換水、蒸留水、滅菌水)、アルコール類(例:メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル類(例:ジエチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジメチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン)、エステル類(例:酢酸エチル、フタル酸ジエチル)、ケトン類(例:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、脂肪族炭化水素類(例:ケロシン、鉱油)、芳香族炭化水素類(例:キシレン、トルエン、アルキルナフタレン)、ハロゲン化炭化水素類(例:ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等)、ニトリル類(例:アセトニトリル、イソブチロニトリル)、スルホキシド類(例:ジメチルスルホキシド)、アミド類(例:N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド)、植物油等が挙げられる。
【0063】
ガス状担体としては、例えば、ブタンガス;フロンガス;HFO、HFC等の代替フロンガス;液化石油ガス(LPG);炭酸ガス等が挙げられる。
【0064】
前記担体は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。一実施形態において、前記担体は固体担体又は液体担体である。
【0065】
式(1)で表される化合物又はその塩の含有量に対する前記担体の含有量の比(質量比)の下限は、例えば0.1、0.5、又は1であることができる。当該比の上限は、例えば、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50、又は10であることができる。当該比は、例えば0.1~1000、0.5~500、又は1~100であることができる。
【0066】
有害生物防除組成物は、任意の追加成分(又は補助剤)を更に含有することができる。当該追加成分の一例として、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。
【0067】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸ジアルカノールアミド(例:ラウリン酸ジエタノールアミド)、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド(例:ポリオキシエチレンステアリン酸アミド)、ポリオキシアルキレンアリールエーテル(例:ポリオキシエチレンフェニルエーテル)、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル(例:ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル(例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル)、多価アルコールの脂肪酸エステル(例:ポリエチレングリコールモノ又はジステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールモノ又はジラウリン酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)、グリセリン脂肪酸エステル(例:モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン)、ソルビタン脂肪酸エステル(例:モノラウリル酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
【0068】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルカンスルホン酸(例:ドデカンスルホン酸)、アレーンスルホン酸(例:ドデシルベンゼンスルホン酸)、ポリアルキレングリコールスルホン酸(例:ポリエチレングリコールスルホン酸)、アルキル硫酸(例:ラウリル硫酸)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸(例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸)、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸(例:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸)、アルキルリン酸(例:ラウリルリン酸)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸(例:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸)、ポリオキシアルキレンアリールエーテルリン酸(例:ポリオキシエチレンフェニルエーテルリン酸)、又はこれらの塩(ナトリウム塩等のアルカリ金属塩)、及び長鎖脂肪酸塩(例:ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸アルミニウム塩、ステアリン酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミン)等が挙げられる。
【0069】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩(例:ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド)、トリアルキルアンモニウム塩(例:ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム)、トリ(ポリオキシアルキレンアルキル)アンモニウム塩(例:トリ(ポリオキシエチレンステアリル)アンモニウムクロライド)等が挙げられる。
【0070】
両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン類(例:ベタイン;ジメチルドデシルカルボキシベタイン等のアルキルベタイン)、ホスファチジン酸誘導体(例:レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン)、ジメチルアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
【0071】
界面活性剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。式(1)で表される化合物又はその塩の含有量に対する界面活性剤の含有量の比(質量比)の下限は、例えば0.1、0.5、又は1であることができる。当該比の上限は、例えば、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、50、又は10であることができる。当該比は、例えば0.1~1000、0.5~500、又は1~100であることができる。
【0072】
前記追加成分の別の例として、不凍剤、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、着色剤、可塑剤、潤滑剤、分散剤、緩衝剤、微量元素が挙げられる。
【0073】
有害生物防除組成物は、例えば、
粉剤[例:式(1)で表される化合物又はその塩0.1~10質量%及び固体担体90~99.9質量%を含有する粉剤]、
顆粒剤[例:式(1)で表される化合物又はその塩0.1~30質量%及び固体担体70~99.5質量%を含有する顆粒剤]、
水和剤[例:式(1)で表される化合物又はその塩0.5~90質量%、固体担体5~95質量%、及び界面活性剤0.5~20質量%を含有する水和剤]、
懸濁液濃縮物[例:式(1)で表される化合物又はその塩5~75質量%、液体担体24~94質量%、及び界面活性剤1~40質量%を含有する懸濁液濃縮物]、又は
乳化性濃縮物[例:式(1)で表される化合物又はその塩1~95質量%、液体担体1~80質量%、及び界面活性剤1~30質量%を含有する懸濁液濃縮物]
であることができる。
【0074】
有害生物防除組成物により防除可能な有害生物は、例えば病害虫又は病原菌であることができ、植物に対する病害虫又は病原菌であることが好ましい。
【0075】
前記病害虫としては、例えば、昆虫、線虫、ダニ、マダニ等が挙げられるが、これらに限定されない。前記病害虫は、下表に示す系統又は分類に属する病害虫であることが好ましい。
【表1】
【0076】
前記病害虫は、鱗翅目害虫又は半翅目害虫であることが更に好ましく、鱗翅目害虫であることが更により好ましく、コナガ科害虫及びヤガ科害虫からなる群より選択される少なくとも一種であることが特に好ましい。
【0077】
前記病原菌としては、例えば、いもち病原菌、紋枯病原菌、炭疽病原菌、疫病原菌、うどんこ病原菌、褐斑病原菌、かび病原菌(例:灰色かび病原菌)、さび病原菌、黒星病原菌、褐条病原菌、馬鹿苗病原菌、苗立枯病原菌、もみ枯病原菌、軟腐病原菌、かいよう病原菌、黒腐病原菌、腐敗病原菌、花雷腐敗病原菌、根こぶ病原菌、青枯病原菌、根腐萎凋病原菌、つる割病原菌、黄化萎縮病原菌、葉枯病原菌、黒穂病原菌などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
前記病原菌は、いもち病原菌、紋枯病原菌、炭疽病原菌、及び褐斑病原菌からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0079】
有害生物防除組成物により防除可能な有害生物が、植物に対する病害虫又は病原菌である場合、当該植物は、植物の全体であっても一部であってもよい。植物の一部の例は、茎、葉、花、穂、果実、幹、枝、種子、根、芽、及び苗を包含する。
【0080】
前記植物の例は、イネ科植物(例:イネ、オオムギ、コムギ、トウモロコシ、エンバク)、アブラナ科植物(例:ダイコン、カブ、ハクサイ、キャベツ、シロナ、ミズナ、ミブナ、コマツナ、ブロッコリー、カリフラワー)、ウリ科植物(例:カボチャ、キュウリ、シロウリ、スイカ、トウガン、メロン)、ナス科植物(例:ピーマン、ナス、トマト、トウガラシ、ジャガイモ、シシトウ)、セリ科植物(例:ニンジン、パセリ、ミツバ、セロリ)、ユリ科植物(例:ネギ、タマネギ、ニラ、ワケギ、ラッキョウ)、キク科植物(例:キク、シュンギク、ゴボウ、ヒマワリ、レタス、フキ、ベビーリーフ)、アカザ科植物(例:ホウレンソウ、フダンソウ)、ヒルガオ科植物(例:サツマイモ)、マメ科植物(例:エンドウ、ダイズ、ソラマメ、エダマメ、インゲン、ラッカセイ)、バラ科植物(例:イチゴ、モモ、スモモ、リンゴ、ナシ)、及びブドウ科植物(例:ブドウ)を包含する。
【0081】
当該植物は、イネ科植物、アブラナ科植物、ウリ科植物、マメ科植物、バラ科植物、及びブドウ科植物からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、イネ科植物、アブラナ科植物、ウリ科植物、及びマメ科植物からなる群より選択される少なくとも一種であることが更に好ましい。
【0082】
一実施形態において、有害生物防除組成物は、有害生物に直接施用してもよく、有害生物の生息場所又は生息(もしくは発生)し得る場所に施用してもよい。有害生物の生息場所又は生息し得る場所としては、例えば、農作物や観葉植物等を育成する場所(例:ビニールハウス、果樹園、畑、庭、プランタ)、農作物や観葉植物等を保管する場所(例:厨房、倉庫)等が挙げられる。
【0083】
一実施形態において、有害生物防除組成物は、植物(全体又は一部)に直接施用してもよく、植物を栽培する土壌に施用してもよい。
【0084】
施用方法としては、一般に有害生物防除組成物の施用で採用されている方法を全て採用することができ、例えば、塗布又は散布であることができる。有害生物防除組成物の施用量の下限は、適用面積1ha当たり、例えば1g、5g、10g、15g、20g、25g、30g、35g、40g、45g、50g、100g、200g、300g、400g、又は500gであることができる。当該施用量の上限は、1ha当たり、例えば、10000g、9000g、8000g、7000g、6000g、5000g、4000g、3000g、2000gであることができる。当該施用量は、1ha当たり、例えば1~10000g、5~9000g、又は10~8000gであることができる。
【0085】
3.式(1a)で表される化合物又はその塩
本開示は、下記式(1a):
【化6】
(式中、
1a及びR2aは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、R3aCO-、又はスルファモイル基であり、
3aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
は、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、ヘテロアリール基、R4aO-、又はR5aS-であり、
4a及びR5aは、それぞれ、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であり、
は、ハロゲン、アジド基、シアノ基、又はR8aO-であり、
8aは、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基である。)
で表される化合物又はその塩を包含する。
【0086】
一実施形態において、R1a及びR2aは、それぞれ独立して、1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、又はR3aCO-であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、又はR3aCO-であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又はR3aCO-であることが更に好ましく、アルキル基、又はR3aCO-であることが更により好ましく、R3aCO-であることが特に好ましい。
【0087】
一実施形態において、R1a及びR2aは同種の基であることが好ましい。
【0088】
一実施形態において、R3aは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましい。当該置換基はヒドロキシル基、メルカプト基、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であることが好ましく、アルコキシ基、又はアルキルチオ基であることがより好ましく、アルコキシ基であることが更に好ましい。当該置換基の数は1個以上置換可能な最大数以下であればよく、1個又は2個であることが好ましい。
【0089】
一実施形態において、Xは、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、R4aO-、又はR5aS-であることが好ましく、ハロゲン、シアノ基、又はR4aO-であることがより好ましく、ハロゲンであることが更に好ましく、フッ素、塩素、又は臭素であることが更により好ましい。
【0090】
一実施形態において、R4a及びR5aは、それぞれ、水素、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、水素、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、水素、又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましく、水素、又はアルキル基であることが更により好ましい。
【0091】
一実施形態において、Zは、ハロゲンであることが好ましく、フッ素であることが更に好ましい。
【0092】
一実施形態において、R8aは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることが好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基であることが更に好ましく、アルキル基であることが更により好ましい。
【0093】
一実施形態において、R1a及びR2aは、それぞれ独立して、R3aCO-であり、R3aは、1個以上の置換基(例:アルコキシ基)を有していてもよいアルキル基であり、X及びZは、それぞれ独立して、ハロゲンであることが好ましく、R1a及びR2aは、それぞれ独立して、R3aCO-であり、R3aは、1個以上の置換基(例:アルコキシ基)を有していてもよいアルキル基であり、Xはフッ素であり、Zはハロゲンであることが更に好ましい。
【0094】
一実施形態において、式(1a)で表される化合物又はその塩は、下記式(1a-1)~(1a-9)からなる群より選択される化合物又はその塩であることが好ましい。
【0095】
【化7】
【0096】
式(1a)で表される化合物の塩は、例えば式(1)で表される化合物の塩で例示した酸又は塩基との塩であることができる。
【0097】
式(1a)で表される化合物又はその塩は、例えば式(1)で表される化合物又はその塩と同様に製造することができる。
【実施例
【0098】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。なお、本実施例において、略号「Bz」はベンゾイル基を意味する。
【0099】
(実施例1)
2-デオキシ-2-フルオロ-1,3,5-トリ-O-ベンゾイル-α-D-アラビノフラノース 5g(10.8mmol)を脱水ジクロロメタン 20 mLに溶解後、臭化水素-酢酸溶液(5.1 mol/L) 4.8 mL(24.5 mmol)を滴下し、16時間攪拌した。反応溶液にクロロホルムを加えた後、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄後、硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。この溶液をろ過した後、濃縮乾固することで化合物1を4.56g得た。
【0100】
【化8】
【0101】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 4.70-4.83 (m, 3 H), 5.50-5.65 (m, 2 H), 6.61 and 6.65 (d×2, 1 H), 7.42-7.62 (m, 6 H), 8.04-8.11 (m, 4 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -165.73-165.95.
【0102】
t-ブトキシカリウム 0.477g(4.25mmol)、カルシウムハイドライド 0.179g(4.25mmol)をt-アミルアルコール 20 mL、脱水アセトニトリル 4 mLに溶解後、2-クロロアデニン 0.721g(4.25 mmol)を添加した。続いて、化合物1 1.2g(2.84 mmol)を脱水アセトニトリル 6 mLに溶解したものを滴下した。滴下後、50℃で16時間攪拌した。反応溶液に酢酸エチルを加えてろ過後、カラム精製を行うことで化合物2を0.327g得た。
【0103】
【化9】
【0104】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 4.55-4.57 (m, 1 H), 4.79-4.80 (m, 2 H), 5.28 and 5.40 (d×2, 1 H), 5.72 and 5.76 (d×2, 1 H), 5.80 (br s, 2 H), 6.53 and 6.59 (d×2, 1 H), 7.44-7.58 (m, 6 H), 8.05-8.10 (m, 5 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -198.35-198.59.
【0105】
化合物2 0.327g(0.64 mmol)をテトラヒドロフラン 3.0 mL、メタノール 1 mLに溶解後、ナトリウムメトキシド 0.069g(1.28 mmol)を添加し、1時間攪拌した。反応溶液を濃縮乾固後、カラム精製を行うことで化合物3を0.139g得た。
【0106】
【化10】
【0107】
1H NMR (CD3CN, 400 MHz) δ: 3.82-3.83 (m, 2 H), 3.99-4.00 (m, 1 H), 4.20-4.22 (m, 1 H), 4.62-4.68 (m, 1 H), 5.09 (d, 1 H), 5.17 and 5.30 (t×2, 1 H), 6.37 and 6.41 (d×2, 1 H), 6.99 (br s, 2 H), 8.16 (s, 1 H).
19F NMR (CD3CN, 400 MHz) δ: -198.12-198.88
【0108】
(実施例2)
化合物3 0.122g(0.4 mmol)を脱水ピリジン 3.0 mLに溶解後、4-メチルペンタノイルクロリド 0.127 mL(0.922 mmol)を添加し、16時間攪拌した。反応溶液にクロロホルムと3N HClを加えて分液した後、水洗した。このクロロホルム層を濃縮乾固した後、カラム精製を行うことで化合物4を0.145g得た。
【0109】
【化11】
【0110】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.88 and 0.94 (d, 12 H), 1.53-1.57 (m, 6 H), 2.34-2.43 (m, 4 H), 4.23-4.25 (m, 1 H), 4.41-4.46 (m, 2 H), 5.04 and 5.17 (d×2, 1 H), 5.31 and 5.35 (d×2, 1 H), 6.00 (br s, 2 H), 6.40 and 6.45 (d×2, 1 H), 8.03(s, 1 H)
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -198.35-198.59
【0111】
(実施例3)
化合物3 0.122g(0.4 mmol)を脱水ピリジン 3.0 mLに溶解後、メトキシアセチルクロリド 0.084 mL(0.92 mmol)を添加し、16時間攪拌した。反応溶液にクロロホルムと3N HClを加えて分液した後、水洗した。このクロロホルム層を濃縮乾固した後、カラム精製を行うことで化合物5を0.123g得た。
【0112】
【化12】
【0113】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 3.46 and 3.49 (s×2, 6 H), 4.11 and 4.12 (s×2, 4 H), 4.29-4.31 (m, 1 H), 4.54-4.59 (m, 2 H), 5.10 and 5.22 (d×2, 1 H), 5.42 and 5.43 (d×2, 1 H), 5.74 (br s, 2 H), 6.41 and 6.47 (d×2, 1 H), 8.05 (s, 1 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -198.70-198.93.
【0114】
(実施例4)
化合物3 0.139g(0.46 mmol)を脱水ピリジン 5.0 mLに溶解後、ヘキサノイルクロリド 0.146 mL(1.05 mmol)を添加し、16時間攪拌した。反応溶液にクロロホルムと3N HClを加えて分液した後、水洗した。このクロロホルム層を濃縮乾固した後、カラム精製を行うことで化合物6を0.12g得た。
【0115】
【化13】
【0116】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.88-0.94 (m, 6 H), 1.20-1.35 (m, 8 H), 1.50-1.70 (m, 4 H), 2.34-2.45(m, 4 H), 4.20-4.25 (m, 1 H), 4.30-4.50 (m, 2 H), 5.04 and 5.17 (d×2, 1 H), 5.32 and 5.37 (d×2, 1 H), 5.71 (br s, 2 H), 6.40 and 6.45 (d×2, 1 H), 8.03 (s, 1 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -198.35-198.60.
【0117】
(実施例5)
2-ブロモ-6-クロロプリン 9-β-D-(2'-デオキシ-3',5'-ジ-O-ベンゾイル-2'-フルオロ)アラビノリボサイド 1.05g(1.82 mmol)をテトラヒドロフラン 1.0 mL、アンモニウム/メタノール(2 M) 6 mLに溶解後、100℃で一晩攪拌した。反応溶液を濃縮乾固後、カラム精製を行うことで化合物7を0.38g得た。
【0118】
【化14】
【0119】
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ: 3.59-3.64 (m, 2 H), 3.80-3.83 (m, 1 H), 4.35-4.41 (m, 1 H), 5.03 (t, 1 H), 5.12 and 5.26 (t×2, 1 H), 5.91 (d, 1 H), 6.26 and 6.29 (d×2, 1 H), 7.85 (br s, 2 H), 8.21 (s, 1 H).
19F NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ: -197.87-198.10.
【0120】
(実施例6)
化合物7 0.121g(0.348 mmol)を脱水ピリジン 5.0 mLに溶解後、4-メチルペンタノイルクロリド 0.105mL(0.767 mmol)を添加し、16時間攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと3N HClを加えて分液した後、水洗した。この酢酸エチル層を濃縮乾固した後、カラム精製を行うことで化合物8を0.195g得た。
【0121】
【化15】
【0122】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.88 and 0.94 (d, 12 H), 1.55-1.59 (m, 6 H), 2.37-2.45 (m, 4 H), 4.23-4.25 (m, 1 H), 4.39-4.46 (m, 2 H), 5.05 and 5.17 (d×2, 1 H), 5.31 and 5.36 (d×2, 1 H), 5.89 (br s, 2 H), 6.40 and 6.46 (d×2, 1 H), 8.01 (s, 1 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -198.27-198.51.
【0123】
(実施例7)
化合物7 0.08g(0.23 mmol)を脱水ピリジン 8.0 mLに溶解後、ヘキサノイルクロリド 0.0694 mL(0.506 mmol)を添加し、16時間攪拌した。反応溶液を濃縮乾固後、カラム精製を行うことで化合物9を0.061g得た。
【0124】
【化16】
【0125】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.85-0.94 (m, 6 H), 1.25-1.34 (m, 8 H), 1.55-1.67 (m, 4 H), 2.34-2.41 (m, 4 H), 4.20-4.25 (m, 1 H), 4.40-4.48 (m, 2 H), 5.04 and 5.17 (d×2, 1 H), 5.32 and 5.36 (d×2, 1 H), 5.73 (br s, 2 H), 6.40 and 6.45 (d×2, 1 H), 8.01 (s, 1 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -198.26-198.50.
【0126】
(実施例8)
化合物7 0.16g(0.46 mmol)を脱水ピリジン 4.0 mLに溶解後、メトキシアセチルクロリド 0.092 mL(1.01 mmol)を添加し、16時間攪拌した。反応溶液にクロロホルムと3NHClを加えて分液した後、水洗した。このクロロホルム層を濃縮乾固した後、カラム精製を行うことで化合物10を0.11g得た。
【0127】
【化17】
【0128】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 3.44 and 3.49 (s×2, 6 H), 4.10 and 4.15 (s×2, 4 H), 4.29-4.31 (m, 1 H), 4.54-4.60 (m, 2 H), 5.10 and 5.23 (d×2, 1 H), 5.43 and 5.47 (d×2, 1 H), 5.76 (br s, 2 H), 6.41 and 6.47 (d×2, 1 H), 8.02 (s, 1 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -198.60-198.85.
【0129】
(実施例9)
化合物1 1.26g(2.98 mmol)、2-フルオロアデニン 1.10g(7.18 mmol)を脱水アセトニトリル 10 mLに溶解後、BSA 2.76 mL(8.96 mmol)を添加し、80℃で1時間攪拌した。0℃まで冷却後、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル 1.3 mL(7.18 mmol)を添加して15分攪拌した後、再び80℃まで昇温した後、一晩攪拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液とクロロホルムを加えてセライトろ過後分液した。このクロロホルム層を水洗後、濃縮乾固し、カラム精製を行うことで化合物11を0.254g得た。
【0130】
【化18】
【0131】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 4.55-4.57 (m, 1 H), 4.79-4.80 (m, 2 H), 5.26 and 5.39 (d×2, 1 H), 5.72 and 5.76 (d×2, 2 H), 6.47 and 6.53 (d×2, 1 H), 7.45-7.55 (m, 6 H), 8.03-8.11 (m, 5 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -50.46, -197.87-198.13.
【0132】
化合物11 0.25g(0.51 mmol)をテトラヒドロフラン 6.0 mL、メタノール 3 mLに溶解後、ナトリウムメトキシド 0.049g(0.91 mmol)を添加し、30分攪拌した。反応溶液を濃縮乾固後、カラム精製を行うことで化合物12を0.138g得た。
【0133】
【化19】
【0134】
1H NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ: 3.60-3.70 (m, 2 H), 3.78-3.81 (m, 1 H), 4.05-4.08 (m, 1 H), 4.36-4.42 (m, 1 H), 5.04 (t, 1 H), 5.11 and 5.24 (t×2, 1 H), 5.91 (d, 1 H), 6.22 and 6.26 (d×2, 1 H), 7.90 (br s, 2 H), 8.19 (s, 1 H).
19F NMR (DMSO-d6, 400 MHz) δ: -50.40, -199.05-199.22.
【0135】
(実施例10)
化合物12 0.137g(0.477 mmol)を脱水ピリジン 4.0 mLに溶解後、メトキシアセチルクロリド 0.096 mL(1.05 mmol)を添加し、16時間攪拌した。反応溶液に酢酸エチルと3N HClを加えて分液した後、水洗した。この酢酸エチル層を濃縮乾固した後、カラム精製を行うことで化合物13を0.093g得た。
【0136】
【化20】
【0137】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 3.43 and 3.48 (s×2, 6 H), 4.11 and 4.14 (s×2, 4 H), 4.31-4.32 (m, 1 H), 4.54-4.58 (m, 2 H), 5.09 and 5.21 (d×2, 1 H), 5.43 and 5.46 (d×2, 1 H), 5.74 (br s, 2 H), 6.35 and 6.41 (d×2, 1 H), 8.02 (s, 1 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -50.40, -199.05-199.22.
【0138】
(実施例11)
化合物12 0.102g(0.355 mmol)を脱水ピリジン 3.0 mLに溶解後、4-メチルペンタノイルクロリド 0.112 mL(0.817 mmol)を添加し、16時間攪拌した。反応溶液にクロロホルムと3N HClを加えて分液した後、水洗した。このクロロホルム層を濃縮乾固した後、カラム精製を行うことで化合物14を0.129g得た。
【0139】
【化21】
【0140】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.88 and 0.94 (d, 12 H), 1.55-1.59 (m, 6 H), 2.37-2.40 (m, 4 H), 4.20-4.25 (m, 1 H), 4.39-4.49 (m, 2 H), 5.03 and 5.16 (d×2, 1 H), 5.32 and 5.36 (d×2, 1 H), 5.81 (br s, 2 H), 6.34 and 6.40 (d×2, 1 H), 8.03 (s, 1 H).
19F NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: -50.40, -198.64-198.90.
【0141】
(試験例1)
実施例1の化合物3(1質量部)に対し製剤の副資剤(キシレン:DMF:ソルポール3005X(東邦化学工業株式会社)=4:4:1)(9質量部)を混合し、10%乳剤を作製した。展着剤グラミンS(東洋グリーン株式会社)を10000倍加用した水で所定濃度の希釈液を調製した。薬剤希釈液を各供試作物にスプレーガンにて十分量散布した。
【0142】
(試験例2)
実施例10の化合物13(1質量部)に対し製剤の副資剤(キシレン:DMF:ソルポール3005X(東邦化学工業株式会社)=4:4:1)(9質量部)を混合し、10%乳剤を作製した。展着剤グラミンS(東洋グリーン株式会社)を10000倍加用した水で所定濃度の希釈液を調製した。薬剤希釈液を供試作物にスプレーガンにて十分量散布した。
【0143】
病害虫の試験方法
供試作物への薬剤の散布後、風乾し、供試虫10頭を放虫した。供試虫逃亡を防ぐため植物をカップとナイロンゴースで覆った。6日後の生存虫の数から死亡率を算出し、補正死亡率を、下記式:
補正死亡率(%)=[(無処理区の生存率-処理区の生存率)/無処理区の生存率]×100
に基づいて算出した。
【0144】
いもち病原菌の試験方法
2.5葉期の幼苗に薬剤を散布処理し、いもち病罹病株と一緒に湿室にて8日間置き、病斑の形成面積を計測し、対無処理区比から防除価を、下記式(N):
防除価=100-(処理区の被害/無処理区の被害)×100 (N)
【0145】
紋枯病原菌の試験方法
5葉期のイネに薬剤を散布処理し、地際に紋枯病菌(フスマ)をばらまいて湿室にて6日間置いた後、病斑の上昇を計測し、防除価を前記式(N)に基づいて算出した。
【0146】
炭疽病原菌の試験方法
第一本葉完全展開期のダイズの初生葉に薬剤を散布処理し、炭疽病菌の胞子懸濁液を噴霧接種して湿室にて7日間置いた。葉上の病斑面積を計測し、防除価を前記式(N)に基づいて算出した。
【0147】
褐斑病原菌の試験方法
2葉期のキュウリに薬剤を散布処理し、褐斑病菌の胞子懸濁液を噴霧接種して湿室にて8日間置いた。葉上の病斑面積を計測し、防除価を前記式(N)に基づいて算出した。
【0148】
試験結果を表2及び表3に示す。また、各病原菌の試験方法において、薬害も合わせて確認したが、いずれも薬害は認められなかった。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】