(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20231109BHJP
F28G 1/16 20060101ALI20231109BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20231109BHJP
F24F 12/00 20060101ALI20231109BHJP
F24F 11/61 20180101ALI20231109BHJP
F24F 1/18 20110101ALI20231109BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20231109BHJP
F24F 11/49 20180101ALI20231109BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20231109BHJP
F24F 110/65 20180101ALN20231109BHJP
F24F 120/14 20180101ALN20231109BHJP
F24F 110/60 20180101ALN20231109BHJP
【FI】
F24F5/00 L
F28G1/16 Z
F24F7/08 A
F24F12/00
F24F11/61
F24F1/18
F24F7/007 B
F24F11/49
F24F11/63
F24F110:65
F24F120:14
F24F110:60
(21)【出願番号】P 2021205604
(22)【出願日】2021-12-17
【審査請求日】2022-11-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大堂 維大
(72)【発明者】
【氏名】高橋 隆
(72)【発明者】
【氏名】鶴薗 祥太
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-144401(JP,A)
【文献】特開2018-189257(JP,A)
【文献】特開2021-038868(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111947281(CN,A)
【文献】特開2001-355904(JP,A)
【文献】特開2004-037036(JP,A)
【文献】特開2007-315713(JP,A)
【文献】特開2009-250528(JP,A)
【文献】国際公開第2021/044948(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 5/00
F28G 1/16
F24F 7/08
F24F 12/00
F24F 11/61
F24F 1/18
F24F 7/007
F24F 11/49
F24F 11/63
F24F 110/65
F24F 120/14
F24F 110/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、
屋外の空気が屋内に給気される第1経路に設けられる第1熱交換器と、
前記屋内の空気が前記屋外に排気される第2経路に設けられる第2熱交換器と、
前記圧縮機、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器が冷媒配管によって接続され、内部を冷媒が流れる冷媒回路と、
空気中の化学物質の濃度を推定し、推定した前記濃度に基づいて前記第2熱交換器の汚れ状態を推定し、前記汚れ状態を推定した結果に応じて、前記第2熱交換器を洗浄するように制御する制御部と、を備え、
前記第2経路は、前記屋内に設けられるトイレに接続され、
前記制御部は、前記トイレの使用頻度に基づいて、前記濃度を推定する、
換気装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記濃度と、前回洗浄してからの経過時間又は前回洗浄してから前記第2熱交換器を通過する空気の量と、に基づいて、前記汚れ状態を推定する、
請求項
1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記トイレに設けられた人感センサによる検出回数、前記トイレに設けられた手洗いにおける手洗い回数及び前記トイレの便器を洗浄する洗浄回数のいずれかに基づいて、前記トイレの使用頻度を推定する、
請求項
1又は請求項
2のいずれかに記載の換気装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2熱交換器を洗浄するように制御する際に、前記第2熱交換器を結露させるように前記冷媒回路を制御する、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項5】
前記第2熱交換器の上方に給水部を備え、
前記制御部は、前記第2熱交換器を洗浄するように制御する際に、前記給水部から前記第2熱交換器に給水するように制御する、
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項6】
前記第2熱交換器は、複数のフィンと、前記複数のフィンを貫通し前記冷媒が流れる複数の配管を備え、
前記複数の配管に含まれる第1配管は、前記第1配管の上方に位置する前記複数の配管に含まれる第2配管のすべてに対して、上方からみて横方向にずらして配置される、
請求項
5に記載の換気装置。
【請求項7】
前記給水部は、複数の給水穴が設けられたトレイである、
請求項
5又は請求項
6のいずれかに記載の換気装置。
【請求項8】
前記給水部は、複数のチューブを備え、
前記複数のチューブのそれぞれは、複数の給水穴を有する、
請求項
5又は請求項
6のいずれかに記載の換気装置。
【請求項9】
前記屋内の空気が前記屋外に排気される前記第2経路とは異なる第3経路に設けられる第3熱交換器を更に備える、
請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の換気装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記第2熱交換器における冷媒蒸発温度を、前記第3熱交換器における冷媒蒸発温度より低くするように制御する、
請求項
9に記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建物内の内気を排出する際に排熱回収し、回収された排熱を利用して建物内へ給気される外気を暖気する排熱回収装置が開示されている。特許文献1には、排気側熱交換部は、厨房から排出される内気より排熱回収するため、熱交換器の外周に汚れが付着し易いこと、熱交換器に洗浄液を吐出して洗浄する洗浄機構を備えること、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱交換器、特に、銅製の配管を用いる熱交換器、は、空気中の化学物質の吸着により腐食する恐れがある。また、熱交換器において腐食が進むと、配管に穴が空いてガス漏れが発生する場合がある。
【0005】
本開示は、還気による排気用熱交換器の汚染を抑制する換気装置及び換気装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
圧縮機と、
屋外の空気が屋内に給気される第1経路に設けられる第1熱交換器と、
前記屋内の空気が前記屋外に排気される第2経路に設けられる第2熱交換器と、
前記圧縮機、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器が冷媒配管によって接続され、内部を冷媒が流れる冷媒回路と、
前記第2熱交換器の汚れ状態を推定し、前記汚れ状態を推定した結果に応じて、前記第2熱交換器を洗浄するように制御する制御部と、を備える、
換気装置を提供する。
【0007】
本開示の換気装置によれば、還気による排気用熱交換器の汚染を抑制できる。
【0008】
上記の換気装置について、前記制御部は、前回洗浄してからの経過時間に基づいて、前記汚れ状態を推定してもよい。
【0009】
上記の換気装置について、前記制御部は、前回洗浄してから前記第2熱交換器を通過する空気の量に基づいて、前記汚れ状態を推定してもよい。
【0010】
上記の換気装置について、前記第2熱交換器に送風する送風機を更に備え、前記制御部は、前回洗浄してからの前記送風機の積算電力に基づいて、前記汚れ状態を推定してもよい。
【0011】
上記の換気装置について、前記制御部は、空気中の化学物質の濃度を推定し、推定した前記濃度に基づいて、前記汚れ状態を推定してもよい。
【0012】
上記の換気装置について、前記第2経路は、前記屋内に設けられるトイレに接続され、前記制御部は、前記トイレの使用頻度に基づいて、前記濃度を推定してもよい。
【0013】
上記の換気装置について、前記制御部は、前記濃度と、前回洗浄してからの経過時間又は前回洗浄してから前記第2熱交換器を通過する空気の量と、に基づいて、前記汚れ状態を推定してもよい。
【0014】
上記の換気装置について、前記制御部は、前記トイレに設けられた人感センサによる検出回数、前記トイレに設けられた手洗いにおける手洗い回数及び前記トイレの便器を洗浄する洗浄回数のいずれかに基づいて、前記トイレの使用頻度を推定してもよい。
【0015】
上記の換気装置について、前記第2経路に臭気センサを更に備え、前記制御部は、前記臭気センサによる検出結果に基づいて、前記汚れ状態を推定してもよい。
【0016】
上記の換気装置について、前記制御部は、前記第2熱交換器を洗浄するように制御する際に、前記第2熱交換器を結露させるように前記冷媒回路を制御してもよい。
【0017】
上記の換気装置について、前記第2熱交換器の上方に給水部を備え、前記制御部は、前記第2熱交換器を洗浄するように制御する際に、前記給水部から前記第2熱交換器に給水するように制御してもよい。
【0018】
上記の換気装置について、前記第2熱交換器は、複数のフィンと、前記複数のフィンを貫通し前記冷媒が流れる複数の配管を備えていてもよい。また、上記の換気装置について、前記複数の配管に含まれる第1配管は、前記第1配管の上方に位置する前記複数の配管に含まれる第2配管のすべてに対して、上方からみて横方向にずらして配置されてもよい。
【0019】
上記の換気装置について、前記給水部は、複数の給水穴が設けられたトレイであってもよい。
【0020】
上記の換気装置について、前記給水部は、複数のチューブを備え、前記複数のチューブのそれぞれは、複数の給水穴を有していてもよい。
【0021】
上記の換気装置について、前記屋内の空気が前記屋外に排気される前記第2経路とは異なる第3経路に設けられる第3熱交換器を更に備えてもよい。
【0022】
上記の制御装置について、前記制御部は、前記第2熱交換器における冷媒蒸発温度を、前記第3熱交換器における冷媒蒸発温度より低くするように制御してもよい。
【0023】
また、本開示は、
圧縮機と、
屋外の空気が屋内に給気される第1経路に設けられる第1熱交換器と、
前記屋内の空気が前記屋外に排気される第2経路に設けられる第2熱交換器と、
前記圧縮機、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器が冷媒配管によって接続され、内部を冷媒が流れる冷媒回路と、を備える換気装置の制御方法であって、
前記第2熱交換器の汚れ状態を推定するステップと、
前記汚れ状態を推定した結果に応じて、前記第2熱交換器を洗浄するように制御するステップと、を含む、
換気装置の制御方法を提供する。
【0024】
本開示の換気装置の制御方法によれば、還気による排気用熱交換器の汚染を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る換気装置の使用状態を平面視で説明する図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る換気装置の使用状態を側面視で説明する図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る換気装置の概略構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る換気装置の機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る換気装置の処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る換気装置の汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る換気装置の汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る換気装置の汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る換気装置の汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る換気装置の汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る換気装置の汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る換気装置の洗浄処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本実施形態に係る換気装置の洗浄処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本実施形態に係る換気装置の排気用熱交換器の構成を説明する図である。
【
図15】
図15は、比較例の換気装置の排気用熱交換器の構成を説明する図である。
【
図16】
図16は、本実施形態に係る換気装置の排気用熱交換器の洗浄状態について説明する図である。
【
図17】
図17は、比較例の換気装置の排気用熱交換器の洗浄状態について説明する図である。
【
図18】
図18は、本実施形態に係る換気装置の排気用熱交換器を洗浄する給水部の構造を説明する図である。
【
図19】
図19は、本実施形態に係る換気装置の排気用熱交換器を洗浄する給水部の構造を説明する図である。
【
図20】
図20は、比較例の換気装置の排気用熱交換器の洗浄について説明する図である。
【
図21】
図21は、本実施形態に係る換気装置の変形例の使用状態を平面視で説明する図である。
【
図22】
図22は、本実施形態に係る換気装置の変形例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0027】
図1において、換気装置1は、建物BLDの屋外の空気を建物BLDの屋内、例えば、リビングルームL、に給気する。また、換気装置1は、建物BLDの屋内の空気を建物BLDの屋外に排気する。
図1は、本実施形態に係る換気装置1の使用状態を平面視で説明する図である。
図2は、本実施形態に係る換気装置1の使用状態を側面視で説明する図である。
図3は、本実施形態に係る換気装置1の概略構成を示す図である。
【0028】
本実施形態に係る換気装置1は、圧縮機10と、給気ユニット20と、排気ユニット30と、を備える。また、換気装置1は、冷媒配管41、冷媒配管42及び冷媒配管43を備える。さらに、換気装置1は、換気装置1の全体を制御する制御部60を備える。なお、圧縮機10と、後述する給気ユニット20の給気用熱交換器21と、後述する排気ユニット30の排気用熱交換器31と、冷媒配管41、冷媒配管42及び冷媒配管43と、をまとめて冷媒回路50という場合がある。
【0029】
給気ユニット20が建物BLDの屋外から取り込む空気を外気OA(OA:Outdoor Air)という。給気ユニット20が建物BLDの屋内に送り込む空気を給気SA(SA:Supply Air)という。排気ユニット30が建物BLDの屋内から取り込む空気を還気RA(RA:Return Air)という。排気ユニット30が建物BLDの屋外に排気する空気を排気EA(EA:Exhaust Air)という。
【0030】
換気装置1の給気ユニット20は、リビングルームLの天井に設けられる。給気ユニット20は、建物BLDの屋外から外気OAを取り込んで、リビングルームLに給気SAを給気する。
【0031】
また、換気装置1の排気ユニット30は、トイレWCの天井に設けられる。排気ユニット30は、建物BLDの屋内、具体的には、トイレWC、から還気RAを取り込んで、建物BLDの屋外に排気EAを排気する。排気ユニット30は、建物BLDの屋内の空気を建物BLDの屋外に排気することから、特に、屋内の空気が汚染されやすい場所、例えば、トイレや台所等、に設けられることが望ましい。
【0032】
なお、
図1及び
図2に示す換気装置1において、給気ユニット20及び排気ユニット30は、それぞれ別の部屋に設けられているが、給気ユニット20及び排気ユニット30が同じ部屋、例えば、トイレWC、に設けられていてもよい。
【0033】
また、排気ユニット30は、トイレWCに設けられ、トイレWCから還気RAを取り込んでいるが、例えば、排気ユニット30から浴室BRまでダクトを設けて、トイレWCからの還気RAに加えて浴室BRからも還気RAを取り込んでもよい。
【0034】
圧縮機10と、冷媒配管41、冷媒配管42及び冷媒配管43とは、建物BLDの天井裏ATに設けられる。
【0035】
なお、上記の説明において、給気ユニット20及び排気ユニット30の設置場所は一例であって、例えば、給気ユニット20及び排気ユニット30のそれぞれを、台所、寝室、納戸、更衣室、ロッカールーム等に設置してもよい。また、例えば、給気ユニット20及び排気ユニット30のそれぞれを、住居用の建物に限らず、業務用の建物や倉庫等に設置してもよい。
【0036】
換気装置1を構成する各構成要素について説明する。
【0037】
[圧縮機10]
圧縮機10は、冷媒回路50を流れる冷媒を圧縮する。例えば、夏において、建物BLDの屋内の温度が、冷房装置等により屋外の温度より低い場合は、圧縮機10は、圧縮した冷媒を排気ユニット30に供給する。また、例えば、冬において、建物BLDの屋内の温度が、暖房器具等により屋外の温度より高い場合は、圧縮機10は、圧縮した冷媒を給気ユニット20に供給する。
【0038】
圧縮機10は、制御部60に接続される。制御部60は、圧縮機10を制御する。
【0039】
[給気ユニット20]
給気ユニット20は、建物BLDの屋外から外気OAを取り込んで、取り込んだ外気OAと冷媒との間で熱交換を行い、熱交換後の外気OAを給気SAとして建物BLDの屋内に給気する。給気ユニット20は、給気用熱交換器21と、送風機22と、を備える。なお、建物BLDの屋外の空気である外気OAが、給気ユニット20を経由して、建物BLDの屋内に給気SAとして給気される経路を給気経路P1という。
図3において、建物BLDの屋外を領域Rout、建物BLDの屋内を領域Rinとして示す。
【0040】
給気用熱交換器21は、外気OAと冷媒との熱交換を行う。給気用熱交換器21は、複数のプレート型のフィンと、フィンを貫通し冷媒が流れる配管と、を備える。
【0041】
給気用熱交換器21は、冷媒配管41を介して圧縮機10に接続するとともに、冷媒配管43を介して排気ユニット30が備える排気用熱交換器31と接続することにより、給気用熱交換器21の配管に冷媒が流れる。給気用熱交換器21のフィンの間を外気OAが流れることにより、外気OAと給気用熱交換器21の配管に流れる冷媒との間で熱交換が行われる。
【0042】
送風機22は、給気用熱交換器21において熱交換した外気OAを建物BLDの屋内に送風する。送風機22は、例えば、遠心送風機又は軸流送風機等である。送風機22は、制御部60に接続される。制御部60は、送風機22を制御する。
【0043】
給気用熱交換器21により、冷媒と熱交換した外気OAは、送風機22により給気SAとして、建物BLDの屋内に送風される。
【0044】
なお、給気用熱交換器21と送風機22との配置について、送風機22から給気用熱交換器21に外気OAを送風してもよい。
【0045】
[排気ユニット30]
排気ユニット30は、建物BLDの屋内から還気RAを取り込んで、取り込んだ還気RAと冷媒との間で熱交換を行い、熱交換後の還気RAを排気EAとして建物BLDの屋外に排気する。排気ユニット30は、排気用熱交換器31と、送風機32と、を備える。なお、建物BLDの屋内の空気である還気RAが、排気ユニット30を経由して、建物BLDの屋外に排気EAとして排気される経路を排気経路P2という。
【0046】
排気用熱交換器31は、還気RAと冷媒との熱交換を行う。排気用熱交換器31は、複数のプレート型のフィンと、フィンを貫通し冷媒が流れる配管と、を備える(
図14、
図18及び
図19参照)。
【0047】
排気用熱交換器31は、冷媒配管42を介して圧縮機10に接続するとともに、冷媒配管43を介して給気ユニット20が備える給気用熱交換器21と接続することにより、排気用熱交換器31の配管に冷媒が流れる。排気用熱交換器31のフィンの間を還気RAが流れることにより、還気RAと排気用熱交換器31の配管に流れる冷媒との間で熱交換が行われる。
【0048】
送風機32は、排気用熱交換器31において熱交換した還気RAを建物BLDの屋外に送風する。送風機32は、例えば、遠心送風機又は軸流送風機等である。送風機32は、制御部60に接続される。制御部60は、送風機32を制御する。
【0049】
排気用熱交換器31により、冷媒と熱交換した還気RAは、送風機32により排気EAとして、建物BLDの屋外に送風される。
【0050】
なお、排気用熱交換器31と送風機32との配置について、送風機32から還気RAを排気用熱交換器31に送風してもよい。
【0051】
[冷媒配管41、冷媒配管42及び冷媒配管43]
冷媒配管41は、圧縮機10と給気ユニット20との間、より具体的には、圧縮機10と給気ユニット20が備える給気用熱交換器21との間、を接続する。冷媒配管42は、圧縮機10と排気ユニット30との間、より具体的には、圧縮機10と排気ユニット30が備える排気用熱交換器31との間、を接続する。冷媒配管43は、給気ユニット20と排気ユニット30との間、より具体的には、給気ユニット20が備える給気用熱交換器21と排気ユニット30が備える排気用熱交換器31との間、を接続する。
【0052】
[冷媒回路50]
冷媒回路50は、圧縮機10と、給気用熱交換器21と、排気用熱交換器31と、冷媒配管41、冷媒配管42及び冷媒配管43と、を備える。冷媒回路50は、圧縮機10、給気用熱交換器21及び排気用熱交換器31が冷媒配管41、冷媒配管42及び冷媒配管43によって接続され、内部に冷媒が流れる。
【0053】
冷媒回路50の動作について説明する。例えば、夏において、建物BLDの屋内の温度が、冷房装置等により屋外の温度より低い場合は、圧縮機10は、圧縮した冷媒を排気ユニット30に供給する。排気ユニット30が備える排気用熱交換器31は、圧縮した冷媒が供給されることにより、凝縮器として作用する。一方、給気ユニット20が備える給気用熱交換器21は、蒸発器として作用する。
【0054】
排気用熱交換器31が凝縮器、給気用熱交換器21が蒸発器、として作用することにより、還気RAの冷熱を回収して、外気OAを冷却できる。
【0055】
また、例えば、冬において、建物BLDの屋内の温度が、暖房器具等により屋外の温度より高い場合は、圧縮機10は、圧縮した冷媒を給気ユニット20に供給する。給気ユニット20が備える給気用熱交換器21は、圧縮した冷媒が供給されることにより、凝縮器として作用する。一方、排気ユニット30が備える排気用熱交換器31は、蒸発器として作用する。
【0056】
給気用熱交換器21が凝縮器、排気用熱交換器31が蒸発器、として作用することにより、還気RAの熱を回収して、外気OAを加熱できる。
【0057】
[制御部60]
制御部60は、換気装置1の全体を制御する。
図4は、本実施形態に係る換気装置1が備える制御部60の機能ブロック図である。なお、
図4には、制御部60に関連する構成要素についても記載している。
【0058】
制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ及びメモリを備えた制御回路である。制御部60の機能は、メモリに読み出し可能に記憶されたプログラムによって、プロセッサが動作することにより実現される。制御部60の具体例として、マイコン(マイクロコンピュータ)が挙げられる。制御部60は、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)でもよい。
【0059】
制御部60は、演算部61と、時計部62と、外部接続部63と、を備える。
【0060】
演算部61は、制御部60の全体を制御する。また、演算部61は、後述する汚れ状態推定処理及び洗浄処理を実行する。
【0061】
時計部62は、演算部61から指令を受けると、指令を受けたときの時刻を演算部61に出力する。時計部62は、いわゆるリアルタイムクロックである。
【0062】
外部接続部63は、制御部60に接続される機器等との通信を行う。
【0063】
制御部60には、前述のように圧縮機10と、送風機22と、送風機32と、が接続される。また、制御部60には、洗浄処理を行うときに、排気用熱交換器31に洗浄水を供給する給水部70が接続される。さらに、制御部60には、汚れ状態推定処理を行う際に使用する人感センサ81と、臭気センサ82と、が接続される。
【0064】
なお、制御部60に接続される機器は、上記に限らない。制御部60で行う処理に応じて適宜必要な機器を接続してもよい。
【0065】
<制御部60における処理>
本実施形態に係る換気装置1の処理、より具体的には、制御部60による処理、について説明する。本実施形態に係る換気装置1の処理を説明することにより、換気装置1の制御方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る換気装置1の処理を示すフローチャートである。
【0066】
制御部60は、換気装置1が動作を開始すると、排気用熱交換器31の汚れ状態を推定する汚れ状態推定処理を行う(ステップS10)。汚れ状態推定処理の詳細については、後述する。
【0067】
制御部60は、汚れ状態推定処理(ステップS10)の結果に基づいて、排気用熱交換器31が汚れているかどうかを判断する(ステップS20)。排気用熱交換器31が汚れていると推定した場合(ステップS20のYes)は、制御部60は排気用熱交換器31を洗浄する洗浄処理を行う(ステップS30)。排気用熱交換器31が汚れていないと推定した場合(ステップS20のNo)は、制御部60はステップS40に進む。
【0068】
ステップS30において、制御部60は、排気用熱交換器31の洗浄処理を行う。洗浄処理の詳細については後述する。制御部60は、洗浄処理(ステップS30)が終了したら、ステップS40に処理を進める。
【0069】
制御部60は、処理を終了するかどうか判断する(ステップS40)。処理を終了する場合(ステップS40のYes)は、制御部60は処理を終了する。処理を終了しない場合(ステップS40のNo)は、制御部60はステップS10に戻って処理を繰り返す。
【0070】
[汚れ状態推定処理]
次に、排気用熱交換器31の汚れ状態を推定する汚れ状態推定処理について、具体例を列挙して詳細を説明する。
【0071】
(第1汚れ状態推定処理)
第1汚れ状態推定処理は、前回、排気用熱交換器31を洗浄してからの経過時間に基づいて、排気用熱交換器31の汚れ状態を推定する。なお、前回、排気用熱交換器31を洗浄してからの経過時間とは、複数回洗浄が行われている場合には、直近(直前)に排気用熱交換器31を洗浄してからの経過時間である。
図6は、本実施形態に係る換気装置1の第1汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。例えば、洗浄してから時間が経過すると、還気RAに含まれる化学物質又はほこりが排気用熱交換器31に付着したり、カビが排気用熱交換器31において繁殖したりすること等が考えられる。第1汚れ状態推定処理では、前回、排気用熱交換器31を洗浄してから所定の時間が経過していると、排気用熱交換器31が汚れていると推定する。
【0072】
制御部60は、第1汚れ状態推定処理を開始すると、前回の洗浄時刻を取得する(ステップS11)。例えば、制御部60の演算部61は、前回行った洗浄時刻を記憶したメモリから、前回の洗浄時刻を取得する。換気装置1を最初に動作させるときには、最初に動作を開始した時刻を前回の洗浄時刻として取得する。
【0073】
制御部60は、前回洗浄してからの経過時間が時間閾値以上であるかどうかを判断する(ステップS12)。制御部60は、前回洗浄してからの経過時間を、例えば、時計部62から現在の時刻を取得して、ステップS11で取得した前回の洗浄時刻を用いて算出する。
【0074】
前回洗浄してからの経過時間が時間閾値以上である場合(ステップS12のYes)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていると推定する(ステップS13)。そして、制御部60は、処理を終了する。一方、前回洗浄してからの経過時間が時間閾値未満である場合(ステップS12のNo)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていないと推定する(ステップS14)。そして、制御部60は、処理を終了する。
【0075】
(第2汚れ状態推定処理)
第2汚れ状態推定処理は、前回、排気用熱交換器31を洗浄してからの排気用熱交換器31を通過する空気の量に基づいて、排気用熱交換器31の汚れ状態を推定する。
図7は、本実施形態に係る換気装置1の第2汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。前回、排気用熱交換器31を洗浄してからの排気用熱交換器31を通過する空気の量が多くなると、通過する空気により排気用熱交換器31が汚染されると考えられる。第2汚れ状態推定処理では、前回、排気用熱交換器31を洗浄してからの風量の積算値(通過する空気の量)が所定の閾値を超過していると、排気用熱交換器31が汚れていると推定する。
【0076】
制御部60は、第2汚れ状態推定処理を開始すると、前回の洗浄時刻からの排気用熱交換器31を通過する風量の積算値を取得する(ステップS111)。例えば、制御部60の演算部61は、前回行った洗浄時刻から現在までの排気用熱交換器31を通過した風量の積算値をメモリから取得する。そして、取得した排気用熱交換器31を通過した風量の積算値に、現在の風量を積算して、前回行った洗浄時刻から現在までの排気用熱交換器31を通過する風量の積算値を取得する。なお、風量は、例えば、排気用熱交換器31の上流又は下流に、風量センサを設けて測定してもよい。
【0077】
制御部60は、前回洗浄してからの排気用熱交換器31を通過する風量の積算値が風量閾値以上であるかどうかを判断する(ステップS112)。
【0078】
排気用熱交換器31を通過する風量の積算値が風量閾値以上である場合(ステップS112のYes)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていると推定する(ステップS13)。そして、制御部60は、処理を終了する。一方、排気用熱交換器31を通過する風量の積算値が風量閾値未満である場合(ステップS112のNo)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていないと推定する(ステップS14)。そして、制御部60は、処理を終了する。
【0079】
(第3汚れ状態推定処理)
第3汚れ状態推定処理は、前回、排気用熱交換器31を洗浄してからの排気用熱交換器31を通過する空気の量に基づいて、排気用熱交換器31の汚れ状態を推定する。第3汚れ状態推定処理では、排気ユニット30の送風機32の電力積算値(積算電力)に基づいて、排気用熱交換器31を通過する空気の量を推定する。
図8は、本実施形態に係る換気装置1の第3汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。第3汚れ状態推定処理では、前回、排気用熱交換器31を洗浄してからの送風機32の電力を用いて通過する空気の量を推定して、所定の空気の量が排気用熱交換器31を通過していると、排気用熱交換器31が汚れていると推定する。
【0080】
制御部60は、第3汚れ状態推定処理を開始すると、前回の洗浄時刻からの排気ユニット30の送風機32の電力積算値(積算電力)を取得する(ステップS211)。例えば、制御部60の演算部61は、前回行った洗浄時刻から現在までの排気ユニット30の送風機32の電力積算値(積算電力)をメモリから取得する。そして、取得した排気ユニット30の送風機32の電力積算値(積算電力)に、現在の送風機32の電力値を積算して、前回行った洗浄時刻からの送風機32の電力積算値(積算電力)を取得する。
【0081】
制御部60は、前回行った洗浄時刻からの排気ユニット30の送風機32の電力積算値(積算電力)が電力閾値以上であるかどうかを判断する(ステップS212)。
【0082】
前回行った洗浄時刻から排気ユニット30の送風機32の電力積算値(積算電力)が電力閾値以上である場合(ステップS212のYes)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていると推定する(ステップS13)。そして、制御部60は、処理を終了する。一方、前回行った洗浄時刻から排気ユニット30の送風機32の電力積算値(積算電力)が電力閾値未満である場合(ステップS212のNo)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていないと推定する(ステップS14)。そして、制御部60は、処理を終了する。
【0083】
(第4汚れ状態推定処理)
第4汚れ状態推定処理は、化学物質の濃度を推定して、推定した化学物質の濃度に基づいて、排気用熱交換器31の汚れ状態を推定する。
図9は、本実施形態に係る換気装置1の第4汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。例えば、トイレにおいて、アンモニアやトイレの洗浄液の揮発成分等の化学物質の濃度が高いと、排気用熱交換器31が汚染されると考えられる。第4汚れ状態推定処理では、空気中(還気RA中)の化学物質の濃度が高いと、排気用熱交換器31が汚れていると推定する。
【0084】
制御部60は、第4汚れ状態推定処理を開始すると、排気用熱交換器31に流入する還気RAにおける化学物質の濃度を推定する(ステップS311)。例えば、制御部60の演算部61は、トイレWCの使用頻度に基づいて、還気RA中の化学物質の濃度を推定する。トイレWCの使用頻度は、例えば、トイレWCに設けられた人感センサ81による検出回数から求める。人感センサ81は、例えば、トイレWCの照明を自動的にオン、オフするために用いられるセンサである。トイレWCの使用頻度が高い場合は、還気RA中の化学物質の濃度が高いと推定する。また、トイレWCの使用頻度が低い場合は、還気RA中の化学物質の濃度が低いと推定する。
【0085】
制御部60は、推定した還気RA中の化学物質の濃度が濃度閾値以上であるかどうかを判断する(ステップS312)。
【0086】
推定した還気RA中の化学物質の濃度が濃度閾値以上である場合(ステップS312のYes)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていると推定する(ステップS13)。そして、制御部60は、処理を終了する。一方、推定した還気RA中の化学物質の濃度が濃度閾値未満である場合(ステップS312のNo)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていないと推定する(ステップS14)。そして、制御部60は、処理を終了する。
【0087】
なお、トイレWCの使用頻度の推定は、人感センサ81による検出回数を用いて推定するのに限らない。例えば、トイレWCに設けられた手洗いにおける手洗い回数又はトイレWCに設けられた便器を洗浄する洗浄回数に基づいて推定してもよい。また、トイレWCの使用頻度の推定は、人感センサ81による検出回数、トイレWCに設けられた手洗いにおける手洗い回数及びトイレWCに設けられた便器を洗浄する洗浄回数のいずれか二つ又はすべてを組み合わせて推定してもよい。
【0088】
また、
図10に示すように、排気用熱交換器31に流入する還気RAにおける化学物質の濃度の推定と、排気用熱交換器31を通過する風量の積算値とを組み合わせて、排気用熱交換器31の汚染状態を推定してもよい。
【0089】
制御部60は、ステップS311と同様にして、排気用熱交換器31に流入する還気RAにおける化学物質の濃度を推定する(ステップS411)。さらに、制御部60は、ステップS111と同様にして、前回の洗浄時刻からの排気用熱交換器31を通過する風量の積算値を取得する(ステップS412)。そして、制御部60は、化学物質の濃度と風量の積算値から算出する推定値が閾値以上であるかどうかを判断する(ステップS413)。
【0090】
化学物質の濃度と風量の積算値から算出した推定値が閾値以上である場合(ステップS413のYes)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていると推定する(ステップS13)。そして、制御部60は、処理を終了する。一方、化学物質の濃度と風量の積算値から算出した推定値が閾値未満である場合(ステップS413のNo)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていないと推定する(ステップS14)。そして、制御部60は、処理を終了する。
【0091】
例えば、化学物質の濃度と風量の積算値から算出する推定値として、化学物質の濃度と風量との積の積算値を用いる。化学物質の濃度と風量との積を使うと、例えば、化学物質の濃度が低い場合は、高い場合と比較して、同じ風量に対して推定値が小さくなることから、洗浄処理の頻度が低くなる。一方、化学物質の濃度が高い場合は、低い場合と比較して、同じ風量に対して推定値が大きくなることから、洗浄処理の頻度が高くなる。
【0092】
なお、
図10に示す汚れ状態推定処理においては、風量の積算値を用いていたが、風量の積算値に換えて、例えば、前回洗浄してからの時間を用いてもよい。
【0093】
また、化学物質の濃度を推定する汚れ状態推定処理は、排気ユニット30によりトイレWCからの還気RAを排気する場合に限らず、台所や浴室等の化学物質の濃度が高まる空間の還気RAを排気する場合に用いてもよい。また、化学物質の濃度を直接センサ等により測定してもよい。
【0094】
(第5汚れ状態推定処理)
第5汚れ状態推定処理は、化学物質の濃度を臭気センサ82により推定して、推定した化学物質の濃度に基づいて、排気用熱交換器31の汚れ状態を推定する。
図11は、本実施形態に係る換気装置1の第5汚れ状態推定処理を示すフローチャートである。
【0095】
制御部60は、第5汚れ状態推定処理を開始すると、臭気センサ82の検出結果を取得する(ステップS511)。制御部60は、臭気センサ82の検出結果が閾値以上であるかどうかを判断する(ステップS512)。
【0096】
臭気センサ82の検出結果が閾値以上である場合(ステップS512のYes)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていると推定する(ステップS13)。そして、制御部60は、処理を終了する。一方、臭気センサ82の検出結果が閾値未満である場合(ステップS512のNo)、制御部60は、排気用熱交換器31は汚れていないと推定する(ステップS14)。そして、制御部60は、処理を終了する。
【0097】
なお、汚れ状態推定処理については、上記に列挙した汚れ状態推定処理を組み合わせてもよい。汚れ状態推定処理を組み合わせる場合には、例えば、人工知能関連技術を用いてもよい。
【0098】
[洗浄処理]
次に、排気用熱交換器31を洗浄する洗浄処理について詳細を説明する。
【0099】
(第1洗浄処理)
第1洗浄処理は、排気用熱交換器31に温度の低い冷媒を供給して、排気用熱交換器31を結露させて、結露した水により、排気用熱交換器31を洗浄する。
図12は、本実施形態に係る換気装置1の第1洗浄処理を示すフローチャートである。
【0100】
制御部60は、第1洗浄処理を開始すると、排気用熱交換器31の温度を下げるように、圧縮機10(冷媒回路50)を制御する(ステップS31)。制御部60は、排気用熱交換器31の温度を下げるように圧縮機10(冷媒回路50)を制御するために、排気用熱交換器31を蒸発器として作用させる。また、制御部60は、排気用熱交換器31が結露する温度になるように、冷えた冷媒を排気用熱交換器31に供給するように圧縮機10(冷媒回路50)を制御する。
【0101】
制御部60は、排気用熱交換器31が結露した状態で所定期間待機する。具体的には、制御部60は、所定期間が経過したかを判断する(ステップS32)。所定期間が経過した場合(ステップS32のYes)は、冷媒回路50の動作を通常運転に戻す(ステップS33)。そして、処理を終了する。所定期間が経過していない場合(ステップS32のNo)は、ステップS32の処理を繰り返す。なお、所定期間は、結露により排気用熱交換器31が洗浄されるのに必要な期間である。
【0102】
なお、排気用熱交換器31を結露させる場合には、湿度の高い還気RA、例えば、浴室BRの空気、を排気用熱交換器31に吸気するようにしてもよい。
【0103】
(第2洗浄処理)
第2洗浄処理は、排気用熱交換器31の上方に設けられる給水部70から、排気用熱交換器31に給水して、給水した水により、排気用熱交換器31を洗浄する。
図13は、本実施形態に係る換気装置1の第2洗浄処理を示すフローチャートである。
【0104】
制御部60は、第2洗浄処理を開始すると、給水部70から給水を開始するように制御する(ステップS131)。
【0105】
制御部60は、排気用熱交換器31の上方に設けられる給水部70から排気用熱交換器31に給水された状態で所定期間待機する。具体的には、制御部60は、所定期間が経過したかを判断する(ステップS32)。所定期間が経過した場合(ステップS32のYes)は、給水部70からの給水を停止するように制御する(ステップS133)。そして、処理を終了する。所定期間が経過していない場合(ステップS32のNo)は、ステップS32の処理を繰り返す。なお、所定期間は、給水により排気用熱交換器31が洗浄されるのに必要な期間である。
【0106】
なお、制御部60は、第1洗浄処理と第2洗浄処理を組み合わせて処理してもよい。
【0107】
<排気用熱交換器31の構成>
第2洗浄処理において、排気用熱交換器31の上方に設けられる給水部70から、排気用熱交換器31に水が給水されることにより、排気用熱交換器31が洗浄される。給水部70から水が給水されるときに、排気用熱交換器31が水により洗浄されやすい排気用熱交換器31の構成について説明する。
図14は、本実施形態に係る換気装置1の排気用熱交換器31の構成を説明する図である。なお、排気用熱交換器31を通る空気(還気RA)は、
図14の紙面の横方向に流れる。
【0108】
排気用熱交換器31は、複数のプレート型のフィン31fと、フィン31fを貫通して設けられる複数の配管31pを備える。
【0109】
排気用熱交換器31を洗浄する際には、複数のフィン31fのそれぞれと、複数の配管31pのそれぞれとに、給水部70からの水が十分当たるように供給されることが望ましい。本実施形態に係る排気用熱交換器31は、複数の配管31pのそれぞれ(第1配管)は、複数の配管31pの中で上方に位置するすべての配管31p(第2配管)に対して、上方から見て横方向にずらして配置されている。
【0110】
図14に示すように、排気用熱交換器31は、上下方向に配管31p同士が重ならないように配置されている。したがって、上方から供給される水が、矢印付き線に示すように、配管31pのそれぞれに供給される。配管31pのそれぞれに水が供給されることにより、複数の配管31pのそれぞれは、上方から供給される水により十分洗浄される。
【0111】
一方、
図15に示す比較例の換気装置の排気用熱交換器31zは、フィン31fzを貫通して上下方向に配管31pzが重なって設けられる。上方から供給される水は、配管31pzの横をすり抜ける。したがって、下側の配管31pzには、水がかかりにくく十分洗浄されない。
【0112】
上下に並ぶ配管が並ぶ場合の洗浄状態について説明する。
図16は、本実施形態に係る換気装置の排気用熱交換器31の洗浄状態について説明する図である。
図17は、比較例の換気装置の排気用熱交換器の洗浄状態について説明する図である。
【0113】
上下に並ぶ配管について、少なくとも配管の外径の二分の一以上、配管の中心がずれていることが望ましい。例えば、
図16に基づいて説明すると、上下の配管における中心の横方向における距離を距離L1、配管の外径を外径D1とすると、下記の式を満たすことが望ましい。
【0114】
L1 > D1/2
【0115】
上記の式を満たすことにより、
図16に示すように、下側の配管において、配管の両側に水を流すことができる。
【0116】
一方、
図17に示すように、上下の配管における中心の横方向における距離を距離L2、配管の外径を外径D1として、下記の式のように、上下の配管が少なくとも配管の外径の二分の一以下しか中心が横方向にずれていないとする。上下の配管が少なくとも配管の外径の二分の一以下しか中心が横方向にずれていない場合には、領域Raで示す部分に水が流れにくく、十分洗浄できない。
【0117】
L2 < D1/2
【0118】
なお、排気用熱交換器31の上方から水が供給されることから、
図14における紙面の横方向から見て、配管31pは重なっていてもよい。なお、フィン31fについては、
図14のフィン31f1に示すように、傾いて設けられていてもよい。また、汚染状態によっては、比較例として示した構成を、換気装置1に適用してもよい。
【0119】
<給水部70の構成>
給水部70として、ノズルを設けてもよいが、ここでは、特に、本実施形態に係る換気装置1に適する給水部70の構成について説明する。
【0120】
(給水部70の第1例)
図18は、本実施形態に係る換気装置の排気用熱交換器を洗浄する給水部の構造を説明する図である。給水部70の第1例として、給水部71について説明する。給水部71は、複数の給水穴71hが設けられたトレイである。給水部71であるトレイに水が供給されると、給水穴71hから、水が排気用熱交換器31に供給される。給水穴71hは、配管31pの位置に応じて設けられる。
【0121】
(給水部70の第2例)
図19は、本実施形態に係る換気装置の排気用熱交換器を洗浄する給水部の構造を説明する図である。給水部70の第2例として、給水部72について説明する。給水部72は、複数の給水穴72hが設けられた複数のチューブである。給水部72であるチューブに水が供給されると、給水穴72hから水が、排気用熱交換器31に供給される。給水穴は、配管31pの位置に応じて設けられる。
【0122】
例えば、
図20に示すように、ノズル37zから水を供給すると、ノズル37zからは、一定の広がりをもって水が散水されることから、フィン31fのノズル37zに対して反対側の部分において水がかかりにくい領域Rbが生じる。給水部71及び給水部72によれば、排気用熱交換器31の上方から、略垂直に給水できることから、排気用熱交換器31の洗浄をよりよく行うことができる。
【0123】
なお、上記の説明では、給水部70から水が供給される例について説明したが、給水部70から、例えば、洗浄液等を供給してもよい。また、最初に、給水部70から洗浄液を供給して洗浄し、その後、給水部70から水を流して、洗浄液を洗い落とすようにしてもよい。
【0124】
<作用・効果>
本実施形態に係る換気装置及び換気装置の制御方法によれば、還気による排気用熱交換器の汚染を抑制できる。本実施形態に係る換気装置及び換気装置の制御方法は、排気用熱交換器に付着した汚れの状態を推定し、排気用熱交換器が汚れている場合に排気用熱交換器を洗浄する。本実施形態に係る換気装置及び換気装置の制御方法によれば、排気用熱交換器が汚れたときに排気用熱交換器を洗浄することにより、排気用熱交換器が腐食劣化するのを防止できる。本実施形態に係る換気装置及び換気装置の制御方法は、特に、排気用熱交換器をトイレ等の腐食性の化学物質の濃度が高くなる場所に用いる場合に有効である。本実施形態に係る換気装置及び換気装置の制御方法によれば、排気用熱交換器が汚れて排気用熱交換器の洗浄が必要なときに、排気用熱交換器を洗浄できる。
【0125】
また、本実施形態に係る換気装置及び換気装置の制御方法によれば、排気用熱交換器の表面の汚れを洗浄することで、伝熱性能(空調効率)を維持できる。例えば、熱交換器の腐食を防止するために、熱交換器の表面にコーティングを行うことが考えられるが、製造コストが上昇するとともに、伝熱性能が低下する。本実施形態に係る換気装置及び換気装置の制御方法によれば、伝熱性能(空調効率)を維持して、腐食を防止できる。
【0126】
さらに、本実施形態に係る換気装置及び換気装置の制御方法によれば、熱交換器の構造及び給水部の構造により、排気用熱交換器の奥、特に排気用熱交換器の奥に設けられた冷媒が通る配管、まで洗浄できる。
【0127】
なお、給気用熱交換器21が第1熱交換器の一例、排気用熱交換器31が第2熱交換器の一例、給気経路P1が第1経路の一例、排気経路P2が第2経路の一例、である。
【0128】
また、上記の説明では、換気装置1は、1台の給気ユニット20と、1台の排気ユニット30と、を備えていたが、給気ユニット20と排気ユニット30の台数は1台に限らない。すなわち、給気ユニット20及び排気ユニット30のいずれか一方を複数台備えてもよいし、給気ユニット20及び排気ユニット30のそれぞれを複数台備えてもよい。
【0129】
<変形例>
本実施形態に係る換気装置1の変形例である換気装置2について説明する。換気装置2は、排気ユニットを複数備える。より具体的には、換気装置2は、換気装置1の排気ユニット30に加えて排気ユニット130を備える。換気装置2は、洗浄が必要な排気用熱交換器、具体的には、排気用熱交換器31と、洗浄が不必要な排気用熱交換器、具体的には、排気用熱交換器131と、を備える。換気装置2には、洗浄が必要な排気用熱交換器と、洗浄が不必要な排気用熱交換器と、が並列に接続される。
【0130】
図21は、本実施形態に係る換気装置の変形例である換気装置2の使用状態を平面視で説明する図である。
図22は、本実施形態に係る換気装置の変形例である換気装置2の概略構成を示す図である。
【0131】
本実施形態に係る換気装置2は、圧縮機10と、給気ユニット20と、排気ユニット30及び排気ユニット130と、を備える。また、換気装置2は、冷媒配管141、冷媒配管142、冷媒配管143、冷媒配管145、冷媒配管146及び冷媒配管147(以下、まとめて換気装置2の冷媒配管という。)を備える。
【0132】
さらに、換気装置2は、冷媒配管142、冷媒配管144及び冷媒配管146が接続し、三方向に分岐する分岐管142sを備える。また、換気装置2は、冷媒配管143、冷媒配管145及び冷媒配管147が接続し、三方向に分岐する分岐管143sを備える。
【0133】
さらにまた、換気装置2は、換気装置1の制御部60に換えて、換気装置2の全体を制御する制御部160を備える。制御部160は、制御部60が有する機能をすべて含む。
【0134】
なお、圧縮機10と、給気用熱交換器21、排気用熱交換器31及び排気ユニット130の排気用熱交換器131と、換気装置2の冷媒配管と、をまとめて冷媒回路150という場合がある。
【0135】
圧縮機10は、冷媒配管141を介して給気用熱交換器21に接続される。また、圧縮機10は、冷媒配管142、分岐管142s及び冷媒配管144を介して排気用熱交換器31に接続される。さらに、圧縮機10は、冷媒配管142、分岐管142s及び冷媒配管146を介して排気用熱交換器131に接続される。
【0136】
給気用熱交換器21は、冷媒配管143、分岐管143s及び冷媒配管145を介して、排気用熱交換器31に接続される。また、給気用熱交換器21は、冷媒配管143、分岐管143s及び冷媒配管147を介して、排気用熱交換器131に接続される。
【0137】
複数の排気ユニットのうち排気ユニット30は、特に、屋内の空気が汚染されやすい場所、例えば、トイレや台所等、に設けられることが望ましい。
図21においては、排気ユニット30は、トイレWCに設けられる。制御部160は、制御部60と同様に、排気ユニット30の排気用熱交換器31の汚れ状態を推定する。そして、制御部160は、制御部60と同様に、汚れ状態を推定した結果に応じて、排気用熱交換器31を洗浄するように制御する。
【0138】
一方、複数の排気ユニットのうち排気ユニット130は、屋内の空気が清浄な場所、例えば、リビングルーム等に設けられる。
図21においては、排気ユニット130は、リビングルームLに設けられる。排気ユニット130は、清浄な空気を排気することから排気用熱交換器131が汚染される度合いは、排気ユニット30と比較して低い。特に、排気用熱交換器131を腐食されるようなガスによって汚染される可能性は低い。したがって、制御部160は、排気用熱交換器131の汚れ状態の推定処理や排気用熱交換器131の洗浄処理を行わなくてもよい。
【0139】
排気ユニット130が建物BLDの屋内から取り込む空気を還気RAcという。排気ユニット130が建物BLDの屋外に排気する空気を排気EAcという。
【0140】
給気ユニット20及び排気ユニット30は、換気装置1と共通の構成であることから、ここでは給気ユニット20及び排気ユニット30については説明を省略して、排気ユニット130について説明する。
【0141】
[排気ユニット130]
排気ユニット130は、建物BLDの屋内から還気RAcを取り込んで、取り込んだ還気RAcと冷媒との間で熱交換を行い、熱交換後の還気RAcを排気EAcとして建物BLDの屋外に排気する。排気ユニット130は、排気用熱交換器131と、送風機132と、を備える。なお、建物BLDの屋内の空気である還気RAcが、排気ユニット130を経由して、建物BLDの屋外に排気EAcとして排気される経路を排気経路P3という。
【0142】
排気用熱交換器131は、還気RAcと冷媒との熱交換を行う。排気用熱交換器131は、複数のプレート型のフィンと、フィンを貫通し冷媒が流れる配管と、を備える(
図14、
図18及び
図19参照)。
【0143】
排気用熱交換器131は、冷媒配管を介して圧縮機10に接続するとともに、冷媒配管を介して給気ユニット20が備える給気用熱交換器21と接続することにより、排気用熱交換器131の配管に冷媒が流れる。排気用熱交換器131のフィンの間を還気RAcが流れることにより、還気RAcと排気用熱交換器131の配管に流れる冷媒との間で熱交換が行われる。
【0144】
送風機132は、排気用熱交換器131において熱交換した還気RAcを建物BLDの屋外に送風する。送風機132は、例えば、遠心送風機又は軸流送風機等である。送風機132は、制御部160に接続される。制御部160は、送風機132を制御する。
【0145】
排気用熱交換器131により、冷媒と熱交換した還気RAcは、送風機132により排気EAcとして、建物BLDの屋外に送風される。
【0146】
なお、排気用熱交換器131と送風機132との配置について、送風機132から還気RAcを排気用熱交換器131に送風してもよい。
【0147】
<制御部160の制御>
リビングルーム等の比較的空気が清浄な場所に設置される排気ユニット130が備える排気用熱交換器131は、汚染される可能性が低い。一方、トイレ等の腐食ガス等が含まれる場所に設置される排気ユニット30が備える排気用熱交換器31は、汚染される可能性が高い。したがって、制御部160は、排気用熱交換器131に対して、排気用熱交換器31を効率よく洗浄する必要がある。
【0148】
制御部160は、冷媒回路150を制御して、洗浄が必要な排気ユニット30が備える排気用熱交換器31の冷媒蒸発温度を、排気ユニット130が備える排気用熱交換器131の冷媒蒸発温度より低くする。排気ユニット30が備える排気用熱交換器31の冷媒蒸発温度を、排気ユニット130が備える排気用熱交換器131の冷媒蒸発温度より低くすることによって、排気用熱交換器31に生じる結露をより誘発するようにする。排気用熱交換器31に生じる結露をより誘発するようにすることにより、効率よく洗浄が必要な排気用熱交換器31を効率よく洗浄する。
【0149】
なお、上記の説明では、換気装置2は、洗浄が必要な排気用熱交換器と、洗浄が不必要な排気用熱交換器と、をそれぞれ1台ずつ備えていたが、台数については、それぞれ1台に限らない。例えば、洗浄が必要な排気用熱交換器、すなわち、排気用熱交換器31を複数台備えてもよい。また、洗浄が不必要な排気用熱交換器、すなわち、排気用熱交換器131を複数台備えてもよい。さらに、洗浄が必要な排気用熱交換器及び洗浄が不必要な排気用熱交換器のそれぞれを複数台備えてもよい。
【0150】
なお、排気経路P3が第3経路の一例、排気用熱交換器131が第3熱交換器の一例、である。
【0151】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0152】
1、2 換気装置
10 圧縮機
20 給気ユニット
21 給気用熱交換器
22 送風機
30 排気ユニット
31、131 排気用熱交換器
31f フィン
31p 配管
32、132 送風機
41、42、43、141、142、143、144、145、146、147 冷媒配管
50、150 冷媒回路
60、160 制御部
61 演算部
62 時計部
63 外部接続部
70、71、72 給水部
71h、72h 給水穴
81 人感センサ
82 臭気センサ
AT 天井裏
BLD 建物
BR 浴室
L リビングルーム
WC トイレ
EA、EAc 排気
OA 外気
RA、RAc 還気
SA 給気