(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20231109BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20231109BHJP
F24F 11/54 20180101ALI20231109BHJP
F24F 11/63 20180101ALI20231109BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20231109BHJP
F24F 11/89 20180101ALI20231109BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/52
F24F11/54
F24F11/63
F24F11/70
F24F11/89
(21)【出願番号】P 2022021725
(22)【出願日】2022-02-16
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 亮介
(72)【発明者】
【氏名】安藤 和陽
(72)【発明者】
【氏名】東山 伸
(72)【発明者】
【氏名】信龍 大介
(72)【発明者】
【氏名】永原 敬也
(72)【発明者】
【氏名】村上 友樹
(72)【発明者】
【氏名】金子 雅裕
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-053509(JP,A)
【文献】特開2017-036890(JP,A)
【文献】特開2021-129174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信可能に接続され、冷媒が流れる第1機器(21A)及び第2機器(21B1,21B2,21C)と、
前記第1機器(21A)に設けられ冷媒を検出する第1冷媒センサ(27)と、
前記第2機器(21B1,21B2,21C)に設けられ冷媒を検出する第2冷媒センサ(27)と、
前記第1機器(21A)に通信可能に接続され、前記第1冷媒センサ(27)による冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する第1報知機(42A)と、
前記第2機器(21B1,21B2,21C)に通信可能に接続され、前記第2冷媒センサ(27)による冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する第2報知機(42B,42C)と、
前記第1機器(21A)及び前記第2機器(21B1,21B2,21C)を制御する制御装置(39,29)と、を備え、
前記第1報知機(42A)は、前記第1冷媒センサ(27)以外から受信した冷媒の検出に基づいて冷媒漏洩を報知する権限を設定可能であ
りかつ当該権限を設定するか否かを選択可能であり、
前記第2報知機(42B,42C)は、前記第2冷媒センサ(27)以外から受信した冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する権限を設定可能でありかつ当該権限を設定するか否かを選択可能である、空調システム。
【請求項2】
前記制御装置(39,29)は、前記第1報知機(42A)への前記権限の設定に連動して、前記第1機器(21A)及び前記第2機器(21B1,21B2,21C)の運転を許可する、請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記制御装置(39,29)は、前記第1報知機(42A)又は前記第2報知機(42B,42C)への前記権限の設定に連動して、前記第1機器(21A)及び前記第2機器(21B1,21B2,21C)の運転を許可する、請求項
1に記載の空調システム。
【請求項4】
前記第1機器(21A)と接続され、前記冷媒を圧縮する圧縮機(30)を有する第3機器(22)をさらに備え、
前記制御装置(39)が、前記第3機器(22)に設けられる、請求項1~
3のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記第1報知機(42A)に前記権限が設定されている場合、
前記第1機器(21A)及び前記第2機器(21B1,21B2,21C)が、前記第1報知機(42A)と前記第1機器(21A)とを含むグループ(A)を特定する識別情報を共有しており、
前記第2機器(21B1,21B2,21C)が、前記第2冷媒センサ(27)による冷媒の検出に基づき、漏洩検出情報と前記識別情報とを前記第1機器(21A)に送信し、
前記第1機器(21A)が、前記漏洩検出情報と、自身が所属するグループ(A)の識別情報との受信に基づいて、前記第1報知機(42A)に冷媒漏洩の報知を指示する、請求項
1~4のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項6】
前記識別情報が、前記第1機器(21A)の機種名又は機器番号を示す情報である、請求項
5に記載の空調システム。
【請求項7】
前記第1機器(21A)と前記第2機器(21B1,21B2,21C)とが一斉通信可能な通信方式で通信可能に接続される、請求項
5又は
6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記第1報知機(42A)が前記第1機器(21A)を操作するリモートコントローラである、請求項1~
7のいずれか1項に記載の空調システム。
【請求項9】
前記第1機器(21A)及び前記第2機器(21B1,21B2,21C)が、空気調和機の室内機である、請求項1~
8のいずれか1項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、室外機と複数の室内機とが冷媒配管を介して接続された空気調和機が開示されている。複数の室内機には、それぞれ冷媒漏洩検知センサとリモートコントローラとが接続されている。
【0003】
特許文献1記載の空気調和機は、冷媒漏洩検知センサが冷媒漏洩を検知すると、室内機と室外機と隣の部屋の室内機を介して、隣の部屋のリモコンに冷媒漏洩の検知情報を送信する。隣の部屋のリモコンは検知情報を受けて警報を発報する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、冷媒漏洩時に漏洩検知した室内機に接続されたリモコンと、隣の部屋のリモコンとで冷媒漏洩の警報を発報することが開示されているが、漏洩が発生した部屋と隣の部屋に漏洩発生後の対応を行うことができる人がいるとは限らない。
【0006】
本開示は、管理者等に対して適切に冷媒漏洩が発生したことを報知することができる空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の空調システムは、
互いに通信可能に接続され、冷媒が流れる第1機器及び第2機器と、
前記第1機器に設けられ冷媒を検出する第1冷媒センサと、
前記第1機器に通信可能に接続され、前記第1冷媒センサによる冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する第1報知機と、
前記第1機器及び前記第2機器を制御する制御装置と、を備え、
前記第1報知機は、前記第1冷媒センサ以外から受信した冷媒の検出に基づいて冷媒漏洩を報知する権限を設定可能である。
【0008】
上記構成の空調システムは、例えば、管理室に設置された機器及び報知機を、それぞれ第1機器及び第1報知機とすることで、第1機器が設置されている箇所以外の冷媒漏洩であっても第1報知機で報知し、管理者等に冷媒の漏洩を認識させることができる。
【0009】
(2)好ましくは、前記制御装置は、前記第1報知機への前記権限の設定に連動して、前記第1機器及び前記第2機器の運転を許可する。
この構成によれば、第1報知機への前記権限の設定に連動して、第1、第2機器の運転が許可されるので、第1報知機に前記権限が設定されるまでは第1、第2機器を運転できなくなる。そのため、前記権限を設定していない状態で空調システムが稼働するのを抑制することができる。
【0010】
(3)好ましくは、前記第2機器に設けられ冷媒を検出する第2冷媒センサと、
前記第2機器に通信可能に接続され、前記第2冷媒センサによる冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する第2報知機と、を備え、
前記第2報知機は、前記第2冷媒センサ以外から受信した冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する権限を設定可能である。
この構成によれば、第1報知機及び第2報知機の全てに又はいずれかに対して選択的に前記権限を設定することができる。そのため、第1、第2報知機の全てに前記権限を設定しなくてもよく、必要な範囲内で冷媒漏洩を報知することができる。
【0011】
(4) 前記制御装置は、前記第1報知機又は前記第2報知機への前記権限の設定に連動して、前記第1機器及び前記第2機器の運転を許可する。
この構成によれば、第1報知機及び第2報知機のうち一方のみに前記権限が設定されれば、管理者に冷媒漏洩を知らせることができるため、第1機器及び第2機器の運転を許可することができる。
【0012】
(5)好ましくは、前記第1機器と接続され、圧縮機を有する第3機器をさらに備え、
前記制御装置が、前記第3機器に設けられる。
この構成によれば、仮に、制御装置が第1機器に設けられていると、第1機器と第3機器との間で通信不良が生じていても、第1報知機に報知権限が付与されたことを制御装置が知ることができ、制御装置は、第3機器以外の第1機器及び第2機器の運転を許可できる。本開示では、制御装置が第3機器に設けられているので、第1機器と第3機器との間で通信不良が生じた場合、制御装置は、第1報知機に報知権限が設定されたことを知ることができない。そのため、第1機器~第3機器全体の運転を停止した状態に維持することができる。
【0013】
(6)好ましくは、前記第1報知機に前記権限が設定されている場合、
前記第1機器及び前記第2機器が、前記第1報知機と前記第1機器とを含むグループを特定する識別情報を共有しており、
前記第2機器が、前記第2冷媒センサによる冷媒の検出に基づき、漏洩検出情報と前記識別情報とを前記第1機器に送信し、
前記第1機器が、前記漏洩検出情報と、自身が所属するグループの識別情報との受信に基づいて、前記第1報知機に冷媒漏洩の報知を指示する。
この構成によれば、第1機器は、第2機器が送信した漏洩検出情報と識別情報とを受信することよって、第1報知機に冷媒漏洩の報知指示を行い、第1報知機で第2機器の冷媒漏洩を報知することができる。
【0014】
(7)好ましくは、前記識別情報が、前記第1機器の機種名又は機器番号を示す情報である。
この構成によれば、第1機器に元々付与されている機種名又は機器番号を利用して識別情報を設定することができる。
【0015】
(8)好ましくは、前記第1機器と前記第2機器とが一斉通信可能な通信方式で通信可能に接続される。
この構成によれば、第2機器から第1機器へ冷媒漏洩情報及び識別情報を迅速に伝え、早期の報知を実現することができる。
【0016】
(9)好ましくは、前記第1報知機が前記第1機器を操作するリモートコントローラである。
【0017】
(10)好ましくは、前記第1機器及び前記第2機器が、空気調和機の室内機である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の一実施形態に係る空調システムの全体構成図である。
【
図2】空気調和機の冷媒回路を示す概略的な構成図である。
【
図4】冷媒漏洩の報知の仕組みを説明するためのブロック図である。
【
図5】各グループの識別情報を複数の室内機で共有する処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】管理グループの識別情報を複数の室内機で共有する処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】室内機の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ、空調システムの実施形態を詳細に説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る空調システムの全体構成図である。
本実施形態の空調システム10は、例えば、ビル等に設置される。空調システム10は、ビルの室内に設置される室内機21と、室外に設置される室外機22とを有する空気調和機11を含む。
図1では、第1冷媒系統で動作する空気調和機11Aと、第2冷媒系統で動作する空気調和機11Bとが示されている。
【0020】
各冷媒系統において、空気調和機11の室外機22と複数の室内機21とは第1通信線L1によって通信可能に接続されている。第1冷媒系統の室外機22と、第2冷媒系統の室外機22とも第1通信線L1によって通信可能に接続されている。この第1通信線L1による通信は、各冷媒系統において室外機22と室内機21との間の個別の通信が可能であるとともに、全冷媒系統において、室内機21及び室外機22のいずれかの機器から他の機器に対して情報の一斉送信(いわゆるブロードキャスト)が可能な通信方式(第1通信方式)が採用されている。
【0021】
各冷媒系統において、いずれかの室内機21には、リモートコントローラ42が接続されている。このリモートコントローラ42は、室内機21及び室外機22の運転のオンオフ操作や、設定温度等の入力操作を行うために用いられる。本実施形態では、
図1に点線の枠で囲んで示すように、1つのリモートコントローラ42と、これに接続された室内機21とが1つのグループを構成しており、空調システム10は、グループ毎に、室内機21の運転の制御が可能となっている。各グループには、一般に「親機」と呼ばれる、1台の代表となる室内機21が定められている。
【0022】
各グループにおいて、室内機21とリモートコントローラ42とは第2通信線L2によって通信可能に接続されている。この第2通信線L2による通信は、複数の室内機21が、リモートコントローラ42に対して順番に通信することができる順次通信が可能な通信方式(第2通信方式;いわゆるポーリング方式)が採用されている。
【0023】
図2は、空気調和機の冷媒回路を示す概略的な構成図である。
空気調和機11は、冷媒回路23によって冷媒を循環させることにより蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行う。本実施形態では、冷媒として、可燃性、微燃性、毒性、又は温室効果等の性質を持つ冷媒、例えばR32冷媒が用いられる。
【0024】
冷媒回路23は、圧縮機30、四路切換弁32、室外熱交換器(熱源熱交換器)31、室外膨張弁34、液閉鎖弁36、室内膨張弁24、室内熱交換器(利用熱交換器)25、ガス閉鎖弁37、及びこれらを接続する冷媒配管40L、40Gを備える。
【0025】
室内機21は、冷媒回路23を構成する室内膨張弁24と室内熱交換器25とを備えている。室内膨張弁24は、冷媒圧力の調節や冷媒流量の調節を行うことが可能な電動膨張弁により構成されている。室内熱交換器25は、クロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器とされ、室内の空気と熱交換するために用いられる。
【0026】
室内機21は、さらに室内ファン26と冷媒センサ27とを備えている。室内ファン26は、室内の空気を室内機21の内部に取り込み、取り込んだ空気と室内熱交換器25との間で熱交換を行わせた後、当該空気を室内に吹き出すように構成されている。室内ファン26は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。
【0027】
冷媒センサ27は、冷媒回路23から漏洩した冷媒を検出する。冷媒センサ27は、室内機21の内部における冷媒配管の近傍に設けられている。ただし、冷媒センサ27は、後述するリモートコントローラ42や、室内の天井、壁、床等に設けられていてもよい。
【0028】
室外機22は、冷媒回路23を構成する圧縮機30、四路切換弁32、室外熱交換器31、室外膨張弁34、液閉鎖弁36、及びガス閉鎖弁37を備えている。
圧縮機30は、低圧のガス冷媒を吸引し高圧のガス冷媒を吐出する。圧縮機30は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。圧縮機30は、モータがインバータ制御されることによって容量(能力)を変更可能な可変容量型(能力可変型)である。ただし、圧縮機30は一定容量型であってもよい。圧縮機30は複数台設けられていてもよい。この場合、容量可変型の圧縮機と一定容量形の圧縮機とが混在していてもよい。
【0029】
四路切換弁32は、冷媒配管における冷媒の流れを反転させ、圧縮機30から吐出される冷媒を室外熱交換器31と室内熱交換器25との一方に切り換えて供給する。これにより、空気調和機11は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことができる。
【0030】
室外熱交換器31は、例えばクロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するために用いられる。室外膨張弁34は、冷媒圧力の調節や冷媒流量の調節を行うことが可能な電動膨張弁により構成されている。液閉鎖弁36は、手動の開閉弁である。ガス閉鎖弁37も手動の開閉弁である。
【0031】
室外機22は、さらに室外ファン33を備えている。室外ファン33は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。室外ファン33は、屋外の空気を室外機22の内部に取り込み、取り込んだ空気と室外熱交換器31との間で熱交換を行わせた後、当該空気を室外機22の外部に吹き出すように構成されている。
【0032】
上記構成の空気調和機11が冷房運転を行う場合、四路切換弁32が
図1において実線で示す状態に保持される。圧縮機30から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁32を経て室外熱交換器31に流入し、室外ファン33の作動により室外空気と熱交換して放熱する。放熱した冷媒は、全開状態の室外膨張弁34を通過して各室内機21に流入する。室内機21において、冷媒は、室内膨張弁24で所定の低圧に減圧され、さらに室内熱交換器25で室内空気と熱交換して蒸発する。冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は、室内ファン26によって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。室内熱交換器25で蒸発した冷媒は、ガス冷媒配管40Gを通って室外機22に戻り、四路切換弁32を経て圧縮機30に吸い込まれる。
【0033】
空気調和機11が暖房運転を行う場合、四路切換弁32が
図1において破線で示す状態に保持される。圧縮機30から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁32を経て各室内機21の室内熱交換器25に流入する。室内熱交換器25において、冷媒は室内空気と熱交換して放熱する。冷媒の放熱によって加熱された室内空気は、室内ファン26によって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器25において液化した冷媒は、液冷媒配管40Lを通って室外機22に戻り、室外膨張弁34で所定の低圧に減圧され、さらに室外熱交換器31で室外空気と熱交換して蒸発する。室外熱交換器31で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁32を経て圧縮機30に吸い込まれる。
【0034】
図3は、空気調和機の制御系統のブロック図である。
室内機21は、制御系の構成要素として、制御装置29を備えている。制御装置29は、CPU等の制御部29a、RAM、ROM等の記憶部29bを有するマイクロコンピュータ等により構成されている。制御装置29は、FPGAやASIC等の集積回路を備えたものであってもよい。制御装置29は、前述した室内ファン26及び室内膨張弁24の動作を制御する。制御装置29は、第2通信線L2を介して冷媒センサ27から送信された信号を受信する。冷媒センサ27は、冷媒回路23から漏洩した冷媒の検出信号を制御装置29に送信する。
【0035】
リモートコントローラ42は、室内機21の制御装置29に通信可能に接続されている。ユーザは、リモートコントローラ42に対して空気調和機11のオンオフの操作、設定温度の入力の操作等を行うことができる。実施形態のリモートコントローラ42は、制御装置42aと、表示パネル(表示部)42bとを有している。制御装置42aは、CPU等の制御部と、RAM,ROM等の記憶部とを有するマイクロコンピュータにより構成されている。制御装置は、FPGAやASIC等の集積回路を備えたものであってもよい。表示パネル42bは、後述するように冷媒センサ27が冷媒を検出したときに、その旨を報知する報知部として機能する。
【0036】
室外機22は、制御装置39を備えている。制御装置39は、CPU等の制御部39a、RAM、ROM等の記憶部39bを有するマイクロコンピュータ等により構成されている。制御装置39は、FPGAやASIC等の集積回路を備えたものであってもよい。制御装置39は、圧縮機30、室外ファン33、及び室外膨張弁34の動作を制御する。制御装置39は、複数の室内機21の室内ファン26及び室内膨張弁24の動作を制御するための制御信号を室内機21の制御装置29に送信する。
【0037】
[冷媒漏洩の報知]
本実施形態では、例えば、冷媒として微燃性を有するR32冷媒が用いられる。そのため、室内機21の冷媒回路23から冷媒が漏洩した場合、できるだけ早くユーザ等に報知することが望まれる。本実施形態では、冷媒センサ27が冷媒を検出したときに、その情報(漏洩検出情報)が室内機21の制御装置29からリモートコントローラ42の制御装置42aに送信され、リモートコントローラ42の表示パネル42bに警報を表示することによって冷媒漏洩が報知される。そのため、部屋を利用するユーザは、冷媒が漏洩したことを認識することができる。
【0038】
以上のような冷媒漏洩の報知について、複数の室内機21とリモートコントローラ42とを有する空調システム10は、次のような課題を潜在的に抱えている。
(第1の課題)
日本国内の空気調和機の規格(日本冷凍空調工業会標準規格;JRA規格)では、冷媒漏洩が発生したときに建物の管理者等に報知することが求められている。大規模のビルでは、全ての空気調和機が集中管理装置で一括管理されていることが多いため、いずれかの室内機21で冷媒漏洩が生じた場合にはその情報を集中管理装置で受信し、管理者に報知することができる。しかしながら、中小規模のビル等ではそのような集中管理装置を備えていないことが多いため、冷媒漏洩を管理者等に報知することは困難である。そのため、冷媒漏洩に対する対応が遅くなる可能性がある。
【0039】
(第2の課題)
本実施形態の空調システム10のように、複数の室内機21がリモートコントローラ42に対してポーリング方式で通信する場合、室内機21は、冷媒を検出した後すぐにリモートコントローラ42と通信できるとは限らず、順番が回ってきてから通信を行うことになる。そのため、リモートコントローラ42による報知が遅延する可能性がある。
【0040】
本実施形態の空調システム10では、このような第1、第2の課題に鑑み、次のような手段を講じている。
まず、第1の課題に関して、本実施形態の空調システム10では、いずれかのリモートコントローラ42が管理用として設定可能に構成されている。施工業者やサービスマンは、空調システム10を据え付けたとき又は後に、特定のリモートコントローラ42に対して管理用の設定を行うことができる。この管理用の設定は、特定のリモートコントローラ42に対して、当該リモートコントローラ42に接続された室内機21の冷媒センサ27以外から受信した冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩の報知を行う権限(以下、「報知権限」ともいう)を与えるものである。
【0041】
例えば、ビルの管理人室に設置された室内機21とそのリモートコントローラ42とをそれぞれ管理用として設定し、当該リモートコントローラ42に報知権限を与えると、当該リモートコントローラ42が所属するグループ以外の他の室内機21で検出された冷媒の漏洩を、管理用に設定されたリモートコントローラ42で報知することができ、管理室内に居る管理者にすぐに冷媒漏洩の発生を知らせることができる。
【0042】
第2の課題に関して、本実施形態の空調システム10は、各グループの複数の室内機21のいずれかで冷媒が検出された場合、そのグループに含まれる全ての室内機21からリモートコントローラ42に対して冷媒漏洩の報知を指示可能に構成されている。そのため、リモートコントローラ42と通信する順番に関係なく、グループ内で最初にリモートコントローラ42と通信する室内機21から、当該リモートコントローラ42に冷媒漏洩の報知指示を行うことができ、遅延を生じることなくリモートコントローラ42で冷媒漏洩の発生を報知し、室内にいるユーザに冷媒漏洩を知らせることができる。
【0043】
以下、冷媒漏洩の報知に関する具体的な内容について説明する。
図4は、冷媒漏洩の報知の仕組みを説明するためのブロック図である。
図4には、空調システム10に含まれる一部のグループA,B,Cが抽出して示されている。各グループA,B,Cには、1又は複数の室内機21A,21B1,21B2,21Cとリモートコントローラ42A,42B,42Cとが含まれている。なお、グループAとグループCには、1台の室内機21A,21Cしか示されていないが、複数台の室内機が含まれていてもよい。
【0044】
図4に示す例では、グループAに含まれる室内機21Aとリモートコントローラ42Aとが管理用に設定されている。このグループAに含まれる室内機21A及びリモートコントローラ42Aは、例えばビルの管理室に設置されたものとすることができる。
【0045】
各グループA,B,Cに含まれる室内機21A,21B1,21B2,21Cの記憶部29bには、自身が所属するグループA,B,Cを特定するための識別情報が記憶されている。例えば、グループAの室内機21Aには、グループAの識別情報が記憶されている。グループBの室内機21B1,21B2には、グループBの識別情報が記憶されている。グループCの室内機21Cには、グループCの識別情報が記憶されている。同じグループBに所属する室内機21B1,21B2には、同じ識別情報が共有されている。
【0046】
管理グループA以外に所属するグループB,Cの室内機21B1,21B2,21Cの記憶部29bには、自身のグループB,Cの識別情報に加えて、管理用に設定されたグループAの識別情報も記憶されている。したがって、全ての室内機21A,21B1,21B2,21Cには、管理グループAの識別情報が共有されている。
【0047】
本実施形態の空調システム10では、各グループA,B,Cの識別情報として、各グループA,B,Cに含まれる室内機の機種名と機器番号とが用いられている。より具体的に、本実施形態の空調システム10では、各グループA,B,Cにおいて、代表となる室内機21A,21B1,21Cの機種名及び機器番号が識別情報として採用される。代表となる室内機は、一般に「親機」と呼ばれる室内機であり、例えばリモートコントローラ42に電力を供給する室内機が採用される。なお、機器番号とは、各室内機21に付与された固有の番号であり、例えば製造番号や通信用のアドレス等が該当する。
【0048】
図5は、各グループの識別情報を複数の室内機で共有する処理手順を示すフローチャートである。
図5では、一例として
図4のグループBにおける複数台の室内機21B1,21B2で識別情報を共有する手順を説明する。
まず、グループB内において代表となる室内機21B1は、自身の識別情報(機種名および機器番号)をリモートコントローラ42Bに送信する(ステップS11)。この識別情報の送信はポーリング方式の通信による。
【0049】
識別情報を受信したリモートコントローラ42Bは、グループB内の他の室内機21B2に代表となる室内機21B1の識別情報を送信する(ステップS12)。この識別情報の送信もポーリング方式の通信による。
【0050】
識別情報を受信した他の室内機21B2は、当該識別情報を記憶部29bに記憶し、室内機21B1の識別情報を共有する(ステップS13)。
【0051】
図6は、管理グループの識別情報を複数の室内機で共有する処理手順を示すフローチャートである。
一例として、グループAのリモートコントローラ42Aに報知権限を設定する場合について説明する。
施工業者やサービスマンにより、グループAに含まれるリモートコントローラ42Aに対して報知権限を付与する設定が行われると(ステップS21)、リモートコントローラ42Aは、報知権限が設定されたことを示す情報(設定情報)をグループAの代表となる室内機21Aに送信する(ステップS22)。この送信は、ポーリング方式の通信による。
【0052】
次いで、設定情報を受信した室内機21Aは、管理グループAの代表として、当該グループAの識別情報である自身の機種名及び機器番号を他の室内機21B1,21B2,21Cに送信する(ステップS23)。この送信は、ブロードキャスト方式の通信による。したがって、管理用に設定された室内機21Aの識別情報は室外機22にも送信される。室外機22に送信された識別情報の扱いについては後述する。
【0053】
他の室内機21B1,21B2,Cは、それぞれ受信した管理グループAの識別情報を記憶部29bに記憶し、全ての室内機21A,21B1,21B2,21Cにおいて当該識別情報を共有する(ステップS24)。
【0054】
図7は、室内機の制御手順を示すフローチャートである。
図7には、冷媒の漏洩を検出した室内機21と、他の室内機21から冷媒が漏洩した情報を受信した室内機21との双方の制御手順が示されている。この制御手順は、室内機21の制御装置29によるものである。
【0055】
空調システム10の各室内機21は、冷媒センサ27によって漏洩した冷媒が検出されたか否かを判断する(ステップS31)。このステップS31における判断が肯定的(Yes)である場合、室内機21は、ブロードキャスト方式で次の3つの情報(a)~(c)からなる冷媒漏洩情報を他の室内機21に送信する。
【0056】
(a)冷媒の漏洩を検出したことを示す情報(漏洩検出情報)
(b)自身のグループの識別情報
(c)管理グループの識別情報
【0057】
情報(a)は、室内機21から冷媒が漏洩し、その冷媒を当該室内機21に設けられた冷媒センサ27が検出した場合に生成される信号であり、漏洩フラグとも呼ばれる。この漏洩検出情報を受信した室内機21は、自分以外の他の室内機21で冷媒が漏洩していることを認識することができる。
【0058】
情報(b)は、前述したように、
図5に示す手順によってグループ内で共有された代表となる室内機21の識別情報(機種名および機器番号)である。情報(c)は、
図6に示す手順によって全ての室内機21で共有された管理グループ内の代表となる室内機21の識別情報(機種名および機器番号)である。
【0059】
冷媒の漏洩を検出した室内機21は、ポーリング方式によってリモートコントローラ42との通信機会が回ってきたときに、当該リモートコントローラ42に冷媒漏洩の報知指示を行う(ステップS33)。
【0060】
一方、空調システム10の各室内機21は、他の室内機21から冷媒漏洩情報を受信したか否かを判断する(ステップS41)。このステップS41における判断が肯定的(Yes)である場合、室内機21は、自身が所属するグループの識別情報と、送信された2つの識別情報とを比較する(ステップS42)。このステップS42における判断が肯定的(Yes)である場合、処理をステップS43に進め、否定的(No)である場合、ステップS41に処理を戻す。
【0061】
室内機21は、冷媒漏洩情報のうち、自身のグループの識別情報と一致する識別情報を受信した場合、当該室内機21と同じグループ内の他の室内機21から冷媒が漏洩していると認識することができる。例えば、
図4に示す室内機21B1が冷媒漏洩情報(漏洩検出情報と、グループA及びグループBの識別情報)を送信し、それを室内機21B2が受信した場合、室内機21B2は、自身のグループBの識別情報と、受信したグループA及びグループBの識別情報とを比較する。室内機21B2は、自身のグループBの識別情報と一致する識別情報を受信しているので、同じグループB内の他の室内機21B1で冷媒が漏洩していると認識することができる。
【0062】
そのため、
図7のステップS43において、室内機21は、ポーリング方式によってリモートコントローラ42との通信機会が回ってきたときに、当該リモートコントローラ42に冷媒漏洩の報知指示を行う。これにより、冷媒が漏洩した室内機21と、これと同じグループ内の他の室内機21との双方において、当該グループ内のリモートコントローラ42に冷媒漏洩の報知指示を行うことができる(ステップS33,S43)。そのため、冷媒が検出された後、最初にリモートコントローラ42と通信可能となった室内機21から当該リモートコントローラ42に冷媒漏洩の報知指示を行うことができ、リモートコントローラ42による冷媒漏洩の報知が遅れるのを抑制することができる。
【0063】
一方、
図4に示す室内機21B1が冷媒漏洩情報(漏洩検出情報と、グループA及びグループBの識別情報)を送信し、それを管理グループA内の室内機21Aが受信した場合、室内機21Aは、自身のグループAの識別情報と、受信したグループA及びグループBの識別情報とを比較する(ステップS42)。室内機21Aは、自身のグループAの識別情報と一致する識別情報を受信しているので、
図7のステップS43において、当該室内機21Aは、自身の通信機会に管理グループA内のリモートコントローラ42Aに対して冷媒漏洩の報知指示を行う。管理グループA内のリモートコントローラ42Aの報知により、ビル等の管理室内にいる管理者は、空調システム10内のいずれかの室内機21で冷媒漏洩が発生していることを把握することができ、冷媒漏洩に対する適切な対処を行うことができる。
【0064】
なお、管理グループA内に複数の室内機21Aが含まれている場合、その全ての室内機21Aは、自身のグループAの識別情報と一致する識別情報を受信することになるので、それぞれ自身の通信機会に管理グループA内のリモートコントローラ42Aに対して冷媒漏洩の報知指示を行う。したがって、冷媒が検出された後、最初にリモートコントローラ42Aと通信する室内機21Aから報知指示を行うことができ、当該リモートコントローラ42Aによる報知が遅れるのを抑制することができる。
【0065】
図4に示す室内機21Cは、室内機21B1から送信された冷媒漏洩情報を受信したとしても、自身のグループCの識別情報と、受信したグループA及びBの識別情報とが一致しないため、リモートコントローラ42Cに報知指示を行わない。したがって、
図7のステップS42からステップS41に処理が戻される。
【0066】
[室外機によるインターロック機能]
本実施形態の空調システム10は、複数のリモートコントローラ42のいずれかに報知権限を設定した場合に、これに連動して室内機21の運転を許可するインターロック機能を備えている。例えば、室外機22は、
図6のステップS23において、管理グループAの代表となる室内機21Aからブロードキャスト方式で送信された識別情報を受信する。室外機22は、この識別情報を受信することによっていずれかのリモートコントローラ42に報知権限が付与されたことを把握することができ、この識別情報の受信に基づいて室内機21の運転を許可することができる。
【0067】
仮に、いずれのリモートコントローラ42にも報知権限が設定されていない状態で、室内機21の運転が許可されたとすると、冷媒漏洩が発生したときに管理者にその旨を報知することができなくなり、上述のJRA規格を順守することが困難となる。本実施形態の空調システム10においては、いずれかのリモートコントローラ42に報知権限が設定されない限り、室内機21の運転が許可されないので、報知権限を設定していない状態で空調システム10が稼働するのを抑制することができる。報知権限の設定のし忘れも抑制することができる。
【0068】
室外機22の制御装置39は、空調システム10内の少なくとも1つのリモートコントローラ42に報知権限が設定されることによって室内機21の運転を許可することができる。
【0069】
以上のようなインターロック機能は、室内機21の制御装置29に備わっていてもよい。この場合、いずれかのリモートコントローラ42に報知権限が設定された場合に、室内機21の制御装置29が、当該室内機21の運転を許可する。ただし、この場合、室内機21と室外機22との間で通信不良が生じていても、リモートコントローラ42に報知権限が設定されたことを制御装置29が認識することができるので、制御装置29は、室外機22以外の室内機21の運転を許可できる可能性がある。本実施形態では、室外機22の制御装置39がインターロック機能を有しているので、このような不都合が生じることがない。
【0070】
[他の実施形態]
以上に説明した空調システム10では、空気調和機11の室内機21に冷媒センサ27が設けられ、この室内機21における冷媒漏洩を報知することについて説明した。しかしながら、本開示の空調システム10は、室内機21に加えて又は代えて、冷媒が流れる他の機器、例えば外気処理機又は換気装置における冷媒の漏洩を冷媒センサで検出し、リモートコントローラで報知するものであってもよい。
【0071】
上記実施形態では、リモートコントローラ42の表示パネル42bを利用して冷媒漏洩を報知しているが、これに限定されるものではなく、リモートコントローラ42に設けられたライトやブザーを用いて光や音で冷媒漏洩が報知されてもよい。冷媒漏洩を報知するための報知機は、リモートコントローラ42に限らず、報知専用の機器によって構成されていてもよい。
【0072】
各グループA,B,Cの識別情報は、代表となる室内機21A,21B1,21Cの機種名及び機器番号に限らず、代表以外の室内機の機種名及び機器番号であってもよい。識別情報は、機種名及び機器番号のいずれか一方のみを含んでいてもよい。
【0073】
管理用の報知権限の設定は、空調システム10内の全てのリモートコントローラ42に対して行うことができる。そのため、管理用の報知権限の設定は、全てのリモートコントローラ42の中からいずれか1つ又は複数のリモートコントローラ42を選択して行うことができる。これにより、管理者や特定の室内に居る人等、必要な人のみに対して冷媒漏洩を知らせることができる。報知権限の設定に連動して室内機21の運転を許可するインターロック機能は、少なくとも1つのリモートコントローラ42に対して報知権限の設定が行われた場合に機能すればよい。
【0074】
[実施形態の作用効果]
(1)本実施形態の空調システム10は、互いに通信可能に接続され、冷媒が流れる第1機器(例えば、
図4における室内機21A)及び第2機器(例えば、
図4における室内機21B1,21B2,又は21C)と、前記第1機器21Aに設けられ冷媒を検出する第1冷媒センサ27と、第1機器21Aに通信可能に接続され、第1冷媒センサ27による冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する第1報知機(例えば、
図4におけるリモートコントローラ42A)と、第1機器21A及び第2機器21B1,21B2,21Cを制御する制御装置(例えば、
図3における制御装置39又は制御装置29)を備える。第1報知機42Aは、第1冷媒センサ27以外から受信した冷媒の検出に基づいて冷媒漏洩を報知する権限を設定可能である。
【0075】
この構成によれば、例えば、管理室に設置された機器及び報知機を、それぞれ第1機器21A及び第1報知機42Aとすることで、第1機器21Aが設置されている箇所以外の冷媒漏洩であっても第1報知機42Aで報知し、迅速に管理者等に伝えることができる。
【0076】
(2)上記実施形態では、制御装置39又は29は、第1報知機42Aへの前記権限の設定に連動して、第1機器21A及び第2機器21B1,21B2,21Cの運転を許可する。そのため、第1報知機42Aへの前記権限の設定に連動して、第1、第2機器21A,21B1,21B2,21Cの運転が許可されるので、第1報知機42Aに報知権限が設定されるまで第1、第2機器21A,21B1,21B2,21Cを運転できなくなる。そのため、報知権限を設定していない状態で空調システムが稼働するのを抑制することができる。さらに、報知権限の設定のし忘れも抑制することができる。
【0077】
(3)上記実施形態では、空調システム10が、第2機器21B1,21B2,21Cに設けられ冷媒を検出する第2冷媒センサ(例えば、
図4におけるグループB又はグループCの冷媒センサ27)と、第2機器21B1,21B2,21Cに通信可能に接続され、第2冷媒センサ27による冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する第2報知機(例えば、
図4におけるリモートコントローラ42B又は42C)と、を備え、第2報知機42B,42Cは、第2冷媒センサ27以外から受信した冷媒の検出に基づいて、冷媒漏洩を報知する権限を設定可能である。これにより、第1報知機42A及び第2報知機42B,42Cのうちの全てに又はいずれかに選択的に前記権限を設定することができる。そのため、第1、第2報知機42A,42B,42Cの全てに前記権限を設定しなくてもよく、必要な範囲内で冷媒漏洩の報知を行うことができる。
【0078】
(4)上記実施形態では、制御装置39,29は、第1報知機42A又は前記第2報知機42B,42Cへの前記権限の設定に連動して、第1機器21A及び第2機器21B1,21B2,21Cの運転を許可する。そのため、第1報知機42A及び第2報知機42B,42Cのうち一方のみに前記権限が設定されれば、管理者に冷媒漏洩を知らせることができるため、第1機器21A及び第2機器21B1,21B2,21Cの運転を許可することができる。
【0079】
(5)上記実施形態では、第1機器21Aと接続され、圧縮機30を有する第3機器(例えば、室外機22)をさらに備え、制御装置39が、第3機器22に設けられる。この場合、仮に、制御装置が第1機器21Aに設けられていると、第1機器21Aと第3機器22との間で通信不良が生じていても、第1報知機42Aに報知権限が付与されたことを制御装置が知ることができ、制御装置は、第3機器22以外の第1機器21A及び第2機器21B1,21B2,21Cの運転を許可できる。上記実施形態では、制御装置39が第3機器22に設けられているので、第1機器21Aと第3機器22との間で通信不良が生じた場合、制御装置39は、第1報知機42Aに報知権限が設定されたことを知ることができない。そのため、第1機器21A、第2機器21B1,21B2,21C、及び第3機器22全体の運転を停止した状態に維持することができる。
【0080】
(6)上記実施形態では、第1報知機42Aに前記権限が設定されている場合、第1機器21A及び第2機器21B1,21B2,21Cが、第1報知機42Aと前記第1機器21Aとを含むグループAを特定する識別情報を共有しており、第2機器21B1,21B2,21Cが、第2冷媒センサ27による冷媒の検出に基づき、漏洩検出情報と識別情報とを第1機器21Aに送信し、第1機器21Aが、冷媒検出情報と、自身が所属するグループAの識別情報との受信に基づいて、第1報知機42Aに冷媒漏洩の報知を指示する。これにより、第1機器21Aは、第2機器21B1,21B2,21Cが送信した漏洩検出情報と識別情報とを受信することよって、第1報知機42Aに冷媒漏洩の報知指示を行い、第1報知機42Aで第2機器21B1の冷媒漏洩を報知することができる。
【0081】
(7)上記実施形態では、識別情報が、第1機器21Aの機種名又は機器番号を示す情報である。この構成によれば、第1機器21Aに元々付与されている機種名又は機器番号を利用して識別情報を設定することができる。
【0082】
(8)上記実施形態では、第1機器21Aと第2機器21B1,21B2,21Cとが一斉通信可能な通信方式で通信可能に接続される。この構成によれば、第2機器21B1から第1機器21Aへ冷媒漏洩情報及び識別情報を迅速に伝え、早期の報知を実現することができる。
【0083】
(9)上記実施形態では、第1報知機42Aが第1機器21Aを操作するリモートコントローラである。これにより、第1機器21Aを操作するリモートコントローラ42Aを利用して冷媒漏洩を報知することができる。
【0084】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、空調システムのインターロック機能は、報知機に対する報知権限の設定に連動する方法に限らず、他の方法を採用することができる。例えば、空調システムは、少なくとも1つの報知機が通信可能に接続された場合に、室内機の運転を許可するように構成されていてもよい。ただしこの場合、どの報知機にも前記報知権限が設定されないこともあり得る。したがって、どの報知機にも前記報知権限が設定されない場合には、いずれかの冷媒センサで冷媒が検出されたときに、漏洩検出情報の受信に基づいて全ての報知機が冷媒漏洩を報知してもよい。報知機は、リモートコントローラに限らず、空調システムの室外機及び室内機を集中制御する集中機器であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 :空調システム
11 :空気調和機
21A :室内機(第1機器)
21B1 :室内機(第2機器)
21B2 :室内機(第2機器)
21C :室内機(第2機器)
22 :室外機(第3機器)
27 :冷媒センサ
29 :制御装置
30 :圧縮機
39 :制御装置
42A :リモートコントローラ(第1報知機)
42B :リモートコントローラ(第2報知機)
42C :リモートコントローラ(第2報知機)