(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231109BHJP
B60L 53/53 20190101ALI20231109BHJP
B60L 53/64 20190101ALI20231109BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20231109BHJP
H01M 8/18 20060101ALI20231109BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231109BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H02J7/00 B
B60L53/53
B60L53/64
B60L53/67
H01M8/18
H01M10/44 P
H02J7/00 P
H02J7/10 A
(21)【出願番号】P 2020004784
(22)【出願日】2020-01-15
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】長野 洋
(72)【発明者】
【氏名】實政 直樹
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0069970(US,A1)
【文献】特開2016-185030(JP,A)
【文献】特開2013-255293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H01M 10/42 - 10/48
H01M 8/00 - 8/029
H01M 8/08 - 8/2495
H01M 8/04 - 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給部につながる電力バスと、
前記電力バスにつながる負荷と、
前記電力バスにつながる蓄電池と、
前記電力バスにつながる充電器と、
前記負荷、前記蓄電池、及び前記充電器を含む電気機器の電力を制御する電力管理装置とを備え、
前記電力管理装置は、前記充電器の充電電力及び前記蓄電池の放電電力を段階的に上昇させ、
前記充電電力及び前記放電電力の各々の段階的な上昇は、第二電力値以上第一電力値以下の上昇幅で交互に行い、
前記第一電力値は、前記電力供給部からの受電電力に対して定められた設定電力未満の値であり、
前記第二電力値は、前記第一電力値よりも小さい正の値である、
給電システム。
【請求項2】
前記充電器の前記充電電力が前記設定電力超、前記充電器の定格電力以下の切替電力に達した後、
前記電力管理装置は、前記放電電力を段階的に上昇させる制御から、前記放電電力を前記充電電力に近づけるように調整するフィードバック制御に切り替える請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
複数の前記充電器を有し、
前記電力管理装置は、複数の前記充電器の各々における充電電力の上昇幅の合計が前記第二電力値以上前記第一電力値以下となるように、複数の前記充電器の各々における充電電力の上昇幅を調整する請求項1又は請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記充電器は、
充電対象に対する接続の有無を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果を前記電力管理装置に送信する送信部とを有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記受電電力を検出する第一センサを有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項6】
前記負荷の消費電力を検出する第二センサを有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項7】
前記充電電力を検出する第三センサを有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項8】
前記充電器は、電動車両を充電する急速充電器を有する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項9】
前記蓄電池は、レドックスフロー電池を有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電気自動車用の急速充電器を開示している。この急速充電器は、コンビニエンスストアなどの電力消費施設に設けられる。急速充電器及び電力消費施設はそれぞれ、電力系統から電力が供給される。急速充電器は、設備用蓄電池が内蔵されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電力系統からの受電電力は、電力系統から電力消費施設へ供給される供給電力、即ち電力消費施設の消費電力と、電力系統から充電器へ供給される供給電力との和である。充電器の充電電力は、電力系統から充電器へ供給される供給電力と、設備用蓄電池の放電電力との合計値である。即ち、電力系統からの受電電力は、「電力消費施設の消費電力+充電器の充電電力-設備用蓄電池の放電電力」である。
【0005】
充電対象への充電時間を短くするために、充電器の充電電力を大きくしすぎると、受電電力が契約電力などの設定電力を超えるおそれがある。受電電力が上記契約電力を超えるほど充電器の充電電力を大きくすれば、配電網に対して許容できない急激な負荷変動が生じて配電系統を不安定にさせるおそれがある。また、受電電力が上記契約電力を超える時間が長くなれば、電気の基本料金が高くなる。一方、蓄電池の放電電力を大きくしすぎれば、受電電力が0未満となるおそれがある。受電電力が0未満となれば、蓄電池の放電電力が電力系統に流れる逆潮流が生じる。即ち、受電電力が契約電力を超えることなく、かつ受電電力が0未満となることなく、契約電力を超える電力を充電対象に充電することができない。よって、充電対象への充電時間が短くならない。
【0006】
そこで、本開示は、電力供給部からの受電電力が設定電力を超えることなく、かつ受電電力が0未満となることなく、設定電力を超える電力を充電対象に充電できる給電システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る給電システムは、
電力供給部につながる電力バスと、
前記電力バスにつながる負荷と、
前記電力バスにつながる蓄電池と、
前記電力バスにつながる充電器と、
前記負荷、前記蓄電池、及び前記充電器を含む電気機器の電力を制御する電力管理装置とを備え、
前記電力管理装置は、前記充電器の充電電力及び前記蓄電池の放電電力を段階的に上昇させ、
前記充電電力及び前記放電電力の各々の段階的な上昇は、第二電力値以上第一電力値以下の上昇幅で交互に行い、
前記第一電力値は、前記電力供給部からの受電電力に対して定められた設定電力未満の値であり、
前記第二電力値は、前記第一電力値よりも小さい正の値である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る給電システムは、電力供給部からの受電電力が設定電力を超えることなく、かつ受電電力が0未満となることなく、設定電力を超える電力を充電対象に充電できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る給電システムの概略を示す構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る給電システムに備わる電力管理装置の制御手順を示すグラフである。
【
図3】
図3は、実施形態に係る給電システムに備わる電力管理装置の制御手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《本開示の実施形態の説明》
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の一態様に係る給電システムは、
電力供給部につながる電力バスと、
前記電力バスにつながる負荷と、
前記電力バスにつながる蓄電池と、
前記電力バスにつながる充電器と、
前記負荷、前記蓄電池、及び前記充電器を含む電気機器の電力を制御する電力管理装置とを備え、
前記電力管理装置は、前記充電器の充電電力及び前記蓄電池の放電電力を段階的に上昇させ、
前記充電電力及び前記放電電力の各々の段階的な上昇は、第二電力値以上第一電力値以下の上昇幅で交互に行い、
前記第一電力値は、前記電力供給部からの受電電力に対して定められた設定電力未満の値であり、
前記第二電力値は、前記第一電力値よりも小さい正の値である。
【0012】
上記給電システムは、電力系統などの電力供給部からの受電電力が契約電力などの設定電力を超えることなく、かつ受電電力が0未満となることなく、設定電力を超える電力を充電対象に充電できる。受電電力は、「負荷の消費電力+充電器の充電電力-蓄電池の放電電力」である。電力管理装置は、充電器の充電電力及び蓄電池の放電電力を特定の上昇幅で交互に段階的に上昇させる。そのため、充電器の充電電力が設定電力を超えても、蓄電池の放電電力が設定電力を超えても、受電電力を第一電力値と第二電力値との範囲内で上下動を繰り返させることができる。即ち、上記給電システムは、配電網に対して許容できない急激な負荷変動が生じることを防止でき、配電系統を不安定にさせることがない。その上、上記給電システムは、電気の基本料金が高くなることがなく、電力バスを介して電力供給部に電力が流れる逆潮流が生じることがない。そうであるにも関わらず、上記給電システムは、設定電力を超える電力量を充電対象に充電できる。よって、上記給電システムは、充電対象の充電時間を短くできる。
【0013】
(2)上記給電システムの一形態として、
前記充電器の前記充電電力が前記設定電力超、前記充電器の定格電力以下の切替電力に達した後、
前記電力管理装置は、前記放電電力を段階的に上昇させる制御から、前記放電電力を前記充電電力に近づけるように調整するフィードバック制御に切り替えることが挙げられる。
【0014】
切替電力に達した時点で放電電力が充電電力を超える場合や、充電電力の経時的な低下によって充電電力が放電電力未満となる場合がある。いずれの場合であっても、上記の構成は、電力管理装置がフィードバック制御に切り替えることで、放電電力が充電電力に対して過度に多くなることを抑制できる。
【0015】
(3)上記給電システムの一形態として、
複数の前記充電器を有し、
前記電力管理装置は、複数の前記充電器の各々における充電電力の上昇幅の合計が前記第二電力値以上前記第一電力値以下となるように、複数の前記充電器の各々における充電電力の上昇幅を調整することが挙げられる。
【0016】
上記の構成は、複数の充電器で複数の充電対象を同時に充電したり、1つの充電器で1つの充電対象を充電している間、他の充電器を待機させて他の充電対象の充電を待機させたりすることができる。
【0017】
(4)上記給電システムの一形態として、
前記充電器は、
充電対象に対する接続の有無を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果を前記電力管理装置に送信する送信部とを有することが挙げられる。
【0018】
上記の構成は、電力管理装置が充電器の充電対象への接続の有無を把握できる。
【0019】
(5)上記給電システムの一形態として、
前記受電電力を検出する第一センサを有することが挙げられる。
【0020】
上記の構成は、電力管理装置が電力供給部からの受電電力をモニタすることができる。
【0021】
(6)上記給電システムの一形態として、
前記負荷の消費電力を検出する第二センサを有することが挙げられる。
【0022】
上記の構成は、電力管理装置が負荷の消費電力をモニタすることができる。
【0023】
(7)上記給電システムの一形態として、
前記充電電力を検出する第三センサを有することが挙げられる。
【0024】
上記の構成は、電力管理措置が充電器の充電電力をモニタすることができる。
【0025】
(8)上記給電システムの一形態として、
前記充電器は、電動車両を充電する急速充電器を有することが挙げられる。
【0026】
上記の構成は、電動車両の電池容量が多くても、比較的短時間で電動車両を充電できる。
【0027】
(9)上記給電システムの一形態として、
前記蓄電池は、レドックスフロー電池を有することが挙げられる。
【0028】
レドックスフロー電池は、充電状態をモニタし易い。また、レドックスフロー電池は、大容量化が可能である上に、経年劣化が少なくて長寿命である。加えて、レドックスフロー電池は、安全性が高い。
【0029】
《本開示の実施形態の詳細》
本開示の実施形態の詳細を、以下に説明する。
【0030】
《実施形態》
〔給電システム〕
図1から
図3を参照して、実施形態に係る給電システム1を説明する。給電システム1は、
図1に示すように、電力バス2と負荷3と蓄電池4bと充電器5と電力管理装置6とを備える。電力バス2は、電力供給部10につながる。負荷3と蓄電池4bと充電器5とはそれぞれ、電力バス2につながる。本形態では、蓄電池4bは、PCS(Power Conditoning System)4aを介して電力バス2につながる。電力管理装置6は、蓄電池4b及び充電器5を含む電気機器の電力を制御する。本形態に係る給電システム1の特徴の一つは、電力管理装置6が蓄電池4bと充電器5とに対して特定の制御を行う点にある。以下、詳細に説明する。本形態の給電システム1は、コンビニエンスストアに蓄電池4bと充電器5とを併設した施設を備える。
【0031】
[電力バス]
電力バス2は、電力供給部10につながり、電力供給部10から電力が供給される。電力供給部10は、電力バス2に対する供給電力量に制約がある電力系統及び電源が含まれる。供給電力量の制約としては、電力系統に対する契約電力、電力バス2により規定される所定の区域に電力を供給する発電機における定格出力などが挙げられる。電力供給部10は、本形態では電力系統である。その他の電力供給部10としては、例えば、発電機などが挙げられる。電力バス2には、電力バス2の上流側から下流側に向かって順に受電盤71及び分電盤72が介在されている。受電盤71は、電力供給部10から送られる電力を変圧し、分電盤72へ分配する。分電盤72は、受電盤71から送られる電力を負荷3と蓄電池4bと充電器5とに分配する。
【0032】
[負荷]
負荷3は、電力バス2につながり、電力バス2を介して電力供給部10から電力が供給される。負荷3の種類は、特に限定されない。負荷3としては、例えば、一般家庭、コンビニエンスストアなどの小型の小売店を含む商業施設、駐車場、プラント、工場、一般企業などが挙げられる。ここでいう負荷3は、後述する蓄電池4b及び充電器5を除く。負荷3の数は、特に限定されず、単数でも複数でもよい。本形態では、コンビニエンスストアにおける照明、空調、冷蔵庫・冷凍庫、及び調理機器など定常的に電力を消費する定常負荷が負荷3に相当する。
【0033】
[蓄電池]
蓄電池4bは、上述したように本形態ではPCS4aを介して電力バス2につながる。PCS4aは、電力管理装置6からの指令を受けて蓄電池4bへの充電や蓄電池4bからの放電などを行う。また、PCS4aは、直流電力と交流電力とを双方向に変換する。
【0034】
蓄電池4bの種類は、後述する充電器5の定格電力をまかなえる容量を有する既存の二次電池であれば特に限定されない。蓄電池4bは、本形態のようにレドックスフロー電池であることが好ましい。レドックスフロー電池は、充電状態をモニタし易い。また、レドックスフロー電池は、大容量化が可能である上に、経年劣化が少なくて長寿命である。加えて、レドックスフロー電池は、安全性が高い。その他の蓄電池4bとしては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池などが挙げられる。
【0035】
蓄電池4bの数は、特に限定されず、単数でも複数でもよい。蓄電池4bの数が単数の場合、蓄電池4bは、後述する充電器5の定格電力をまかなえる容量を有するものを用いる。蓄電池4bの数が複数の場合、複数の蓄電池4bの合計容量が、充電器5の定格電力をまかなえる容量を超えていればよい。勿論、各蓄電池4bの容量が、充電器5の定格電力をまかなえる容量を超えていてもよい。
【0036】
[充電器]
充電器5は、電力バス2につながる。充電器5は、充電対象100を充電する。充電対象100は、例えば、電動車両が挙げられる。電動車両としては、電気自動車が挙げられる。本形態の充電対象100は、電気自動車である。
【0037】
充電器5の種類は、充電対象100の種類にもよるものの、本形態のように充電対象100が電動車両の場合、急速充電器であることが好ましい。そうすれば、電動車両の電池容量が多くても、電動車両の充電が比較的短時間で完了する。充電器5の数は、特に限定されず、単数でもよいし複数でもよい。
【0038】
充電器5の定格電力は、少なくとも電力供給部10からの受電電力に対して定められた設定電力超の値であることが挙げられる。充電器5の数が複数の場合、各充電器5の定格電力が少なくとも上記設定電力超であることが挙げられる。上記設定電力は、例えば、本形態のように電力供給部10が電力系統の場合、契約電力が挙げられる。即ち、上記契約電力が50kWであれば、充電器5の定格電力は、50kW超が挙げられる。充電器5の定格電力は、更に100kW以上、特に150kW以上が挙げられる。充電器5の定格電力は、例えば、500kW以下、更に400kW以下、特に350kW以下が挙げられる。即ち、充電器5の定格電力は、50kW超500kW以下、更に100kW以上400kW以下、特に150kW以上350kW以下が挙げられる。
【0039】
充電器5は、検知部51と送信部52とを有する。検知部51は、充電器5の充電対象100への接続の有無を検知する。検知部51としては、充電器5と充電対象100に搭載される電池との電気的接続を検知するものが利用できる。送信部52は、検知部51の検知結果を電力管理装置6に送信する。送信部52としては、有線又は無線にて検知信号を伝送できる公知の送信手段が利用できる。充電器5が検知部51及び送信部52を有することで、電力管理装置6は充電器5の充電対象100への接続の有無を把握できる。検知部51は、更に、充電対象100からの要求電力や充電完了の信号を検知することもできる。送信部52は、更に、充電対象100からの要求電力や充電完了の信号を電力管理装置6に送信することもできる。
【0040】
[電力管理装置]
電力管理装置6は、蓄電池4b及び充電器5を含む電気機器の電力を制御する。電力管理装置6は、詳しい制御手順は後述するものの、充電器5に充電電力の上昇幅を指令し、PCS4aに蓄電池4bの充放電電力の上昇幅を指令する。電力管理装置6は、電力供給部10からの受電電力と負荷3の消費電力と充電器5の充電電力とをモニタする。これらのモニタは、本形態では、後述する第一センサ81、第二センサ82、及び第三センサ83により行える。電力管理装置6としては、EMS(Energy Manegement System)が挙げられる。
【0041】
電力管理装置6は、充電器5の充電対象100への接続が完了した後、充電器5の充電電力及び蓄電池4bの放電電力を段階的に上昇させる。充電電力及び放電電力の各々の段階的な上昇は、所定の上昇幅で交互に行う。即ち、電力管理装置6は、充電器5に充電電力の所定の上昇幅を指令し、PCS4aに蓄電池4bの放電電力の所定の上昇幅を指令する。充電電力及び放電電力の各々の上昇幅は、後述する第二電力値以上第一電力値以下である。充電電力及び放電電力の各々の上昇幅は、第二電力値以上第一電力値以下の範囲内で、充電対象100への充電時間が極力短くなるように設定するとよい。第一電力値と第二電力値との差が大きいほど、上昇幅の上限値を大きくできるため、充電対象100への充電時間を短くでき、特に、充電器5の充電電力が後述する切替電力に達するまでの時間を短縮できる。
【0042】
給電システム1が複数の充電器5を有する場合、電力管理装置6は、複数の充電器5の各々における充電電力の上昇幅を調整する。この調整は、複数の充電器5の各々における充電電力の上昇幅の合計が第二電力値以上第一電力値以下の範囲内となるように行う。上記合計が上記範囲内であれば、複数の充電器5の各々における充電電力の上昇幅は互いに同一であってもよいし少なくとも一つが異なっていてもよい。複数の充電器5の各々における充電電力の上昇幅がいずれも第二電力値以上第一電力値以下の範囲内となるようにしてもよい。また、いずれか一つの充電器5を除く他の充電器5における充電電力の上昇幅を0kWとしてもよい。充電器5の充電電力の上昇幅を0kWとするとは、充電器5の充電を待機状態とすることである。更に、少なくとも一つの充電器5における充電電力の上場幅を第二電力値未満としてもよい。複数の充電器5を有することで、複数の充電器5で複数の充電対象100を同時に充電したり、1つの充電器5で1つの充電対象100を充電している間、他の充電器5を待機させて他の充電対象100の充電を待機させたりすることができる。
【0043】
第一電力値は、電力供給部10からの受電電力に対して定められた設定電力未満の値である。設定電力とは、本形態のように電力供給部10が電力系統の場合には契約電力が挙げられる。例えば、契約電力が50kWのとき、設定電力は50kWであり、第一電力値は50kW未満である。
【0044】
第一電力値は、設定電力に対して余裕度を持った値とすることが好ましい。余裕度を持った値とすることで、何らかの理由で受電電力が一時的に上記契約電力を超えることが抑制され易い。余裕度は適宜選択できる。第一電力値が余裕度を持った値とする場合、第一電力値は、例えば、設定電力の95%以下が挙げられ、更には設定電力の90%以下としてもよい。即ち、設定電力が50kWのとき、第一電力値は、例えば、45kW以下が挙げられ、更に40kW以下としてもよい。
【0045】
一方、第二電力値は、第一電力値よりも小さい正の値である。即ち、第二電力値は、0kW超第一電力値未満である。第二電力値は、0kWに対して余裕度を持った値とすることが好ましい。余裕度を持った値とすることで、何らかの理由で受電電力が0kW未満となることが抑制され易く、蓄電池4bの放電電力が電力バス2を介して電力供給部10に流れる逆潮流が抑制される。余裕度は適宜選択できる。第二電力値が余裕度を持った値とする場合、第二電力値は、例えば、設定電力の10%以上が挙げられ、更には設定電力の15%以上としてもよい。即ち、設定電力が50kWのとき、第二電力値は、例えば、5kW以上が挙げられ、更には7.5kW以上としてもよい。
【0046】
電力管理装置6は、所定の切替電力に達したら、充電電力と放電電力の段階的な上昇を繰り返す制御から、放電電力を充電電力に近づけるように調整するフィードバック制御に切り替える。切替電力は、充電器5の充電電力が設定電力超、充電器5の定格電力以下である。具体的な切替電力とは、例えば、以下の(1)から(3)のいずれか一つの電力が挙げられる。
(1)充電器5の定格電力
(2)電力管理装置6が充電器5に充電電力の上昇幅を指令しても、一定期間、充電電力の上昇が見られなかったときの充電電力
(3)充電対象100からの要求電力
【0047】
切替電力に達した時点で放電電力が充電電力を超える場合や、充電対象100の充電の進行などに伴う充電電力の経時的な低下によって充電電力が放電電力未満となる場合がある。いずれの場合であっても、電力管理装置6は、放電電力が充電電力に対応するように、PCS4aに蓄電池4bの放電電力の変動幅を指令する。その変動幅は、放電電力と充電電力との差分に相当する大きさである。このフィードバック制御によって、放電電力が充電電力に対して過度に多くなることを抑制できる。
【0048】
電力管理装置6は、充電器5が使用されていない時間帯で、PCS4aに蓄電池4bの充電を指令する。蓄電池4bの充電電力の上昇幅は、蓄電池4bの放電電力の上昇幅と同様、上述したように、第二電力値以上第一電力値以下が挙げられる。
【0049】
[センサ]
給電システム1は、本形態では、第一センサ81、第二センサ82、及び第三センサ83を備える。第一センサ81は、電力供給部10から電力バス2への受電電力を検出する。第一センサ81は、受電盤71の上流に設けられている。第一センサ81で検出される受電電力は、負荷3の消費電力と充電器5の充電電力と蓄電池4bの放電電力の合計値である。即ち、受電電力は、「消費電力+充電電力-放電電力」である。第二センサ82は、電力供給部10から負荷3への供給電力、即ち負荷3の消費電力を検出する。第二センサ82は、分電盤72と負荷3との間に設けられている。第三センサ83は、充電器5の充電電力を検出する。第三センサ83は、分電盤72と充電器5との間に設けられている。これらの検出結果は、電力管理装置6に送られる。第一センサ81により、電力管理装置6が電力供給部10からの受電電力をモニタすることができる。第二センサ82により、電力管理装置6が負荷3の消費電力をモニタすることができる。第三センサ83により、電力管理装置6が充電器5の充電電力をモニタすることができる。
【0050】
[制御手順]
図2、
図3を参照して、電力管理装置6における蓄電池4bの放電電力及び充電器5の充電電力を制御する手順の一例を説明する。
図2の横軸は時間を示し、縦軸は電力(kW)を示す。
図2は、受電電力の推移を実線、負荷3の消費電力の推移を破線、充電電力の推移を点線、放電電力の推移を一点鎖線、設定電力を二点鎖線で示す。
図3は、消費電力、充電電力、放電電力、受電電力、充電電力の上昇幅、放電電力の上昇幅、及びフィードバック制御の値の推移を示す表である。太線矢印や細線矢印の先の数字は、その矢印の根元の数値同士の合計を意味する。破線矢印の先の数字は、破線矢印の根元の数値を意味する。
図2、
図3において、負荷3は、説明の便宜上、一定としているが、実際はコンビニエンスストアの電気機器の使用状況に応じて変動する。
【0051】
本例では、電力管理装置6は、充電電力と放電電力の段階的な上昇を繰り返す。そして、電力管理装置6は、充電器5の充電電力が切替電力に達したら、充電電力と放電電力の段階的な上昇を繰り返す段階的制御から、放電電力を充電電力に近づけるように調整するフィードバック制御に切り替える。以下の説明は、一台の充電器5を備える給電システム1、複数台の充電器5を備える給電システム1、の順に行う。
【0052】
以下の例では、充電対象100を電気自動車のバッテリーとし、設定電力、即ち契約電力を50kW、第一電力値を45kW、第二電力値を5kW、各充電器5の定格電力を150kW、負荷3の消費電力を15kWとする。即ち、本例の充電電力及び放電電力の各々の上昇幅は、5kW以上45kW以下の値とする。切替電力は、充電器5の定格電力とする。第一センサ81が検出する受電電力は、負荷3の消費電力と充電器5の充電電力と蓄電池4bの放電電力の合計、即ち、「消費電力+充電電力-放電電力」である。電力の数値は、例示であり、本例に限定されない。
【0053】
充電器5の検知部51が充電器5の充電対象100への接続を検知したら、充電器5の送信部52がその検知結果を電力管理装置6に送信する。このとき、充電対象100の要求電力が電力管理装置6に送信されてもよい。
【0054】
(充電器の数が一台の場合)
電力管理装置6は、充電器5に充電電力の一回目の上昇幅を指令する。このとき、蓄電池4bは放電しておらず、放電電力は0kWである。充電電力の一回目の上昇幅は、「第一電力値-負荷3の消費電力」以下が挙げられる。即ち、充電電力の一回目の上昇幅は、30kW以下が挙げられる。充電電力の一回目の上昇幅が30kW超であれば、負荷3の消費電力が15kWであるため、受電電力が45kW超となり第一電力値を超えてしまうからである。本形態において、充電電力の一回目の上昇幅は、「第一電力値-負荷3の消費電力」、即ち30kWとする。
【0055】
一回目の充電により、充電器5の充電電力は、30kWとなる。一回目の充電後の受電電力は、負荷3の消費電力の15kWと充電電力の30kWとの合計である45kWとなる。即ち、受電電力が上記契約電力未満である。
【0056】
次に、電力管理装置6は、PCS4aに蓄電池4bの放電電力の一回目の上昇幅を指令する。放電電力の一回目の上昇幅は、「第一電力値-第二電力値」以下が挙げられる。即ち、放電電力の一回目の上昇幅は、40kW以下が挙げられる。放電前の受電電力が45kWであるため、例えば、放電電力の一回目の上昇幅が40kW超であれば、放電後の受電電力が5kW未満となり第二電力値未満となるからである。本形態において、放電電力の一回目の上昇幅は、40kWとする。
【0057】
一回目の放電により、蓄電池4bの放電電力は、40kWとなる。一回目の放電後の受電電力は、負荷3の消費電力15kWと充電電力の30kWとの合計から放電電力の40kWを引いた5kWとなる。即ち、受電電力が0kW超であり、逆潮流が生じない。
【0058】
放電電力は、
図2に示すように、電力管理装置6の指令に応じて比較的僅かなタイムラグで上昇する。これに対して、充電電力は、他の負荷3の消費電力や放電電力に応じて変化する受電電力の存在を前提としており、その上昇は、
図2に示すように、蓄電池4bの放電電力に比較して一定の時間を要し、所定の傾きで上昇する。そのため、充電対象100の充電電力の上昇が比較的急峻な場合であっても、受電電力のピークが立ち難く、受電電力が一時的に上記契約電力を超えることがない。充電電力と放電電力の段階的上昇は、一方が一定の間に行われる。一定区間を設けることで、受電電力のピークがより立ち難いと考えられる。
【0059】
次に、電力管理装置6は、充電器5に充電電力の二回目の上昇幅を指令する。充電電力の二回目の上昇幅は、「第一電力値-第二電力値」以下が挙げられる。即ち、充電電力の二回目の上昇幅は、40kW以下が挙げられる。充電前の受電電力が5kWであるため、例えば、充電電力の二回目の上昇幅が40kW超であれば、受電電力が45kW超となり第一電力値超となるからである。本形態において、充電電力の二回目の上昇幅は、40kWとする。
【0060】
二回目の充電により、充電器5の充電電力は、30kWと40kWの合計である70kWとなる。二回目の充電後の受電電力は、45kWとなる。即ち、充電器5の充電電力が上記契約電力を超えているものの、受電電力が上記契約電力を超えることなく上記契約電力未満となる。
【0061】
次に、電力管理装置6は、PCS4aに蓄電池4bの放電電力の二回目の上昇幅を指令する。放電電力の二回目の上昇幅は、一回目の上昇幅と同様の理由から、40kW以下が挙げられる。本形態において、放電電力の二回目の上昇幅は、40kWとする。
【0062】
二回目の放電により、蓄電池4bの放電電力は、40kWと40kWの合計である80kWとなる。二回目の放電後の受電電力は、5kWとなる。即ち、蓄電池4bの放電電力が上記契約電力を超えているものの、受電電力が0kW超である。よって、逆潮流が生じない。
【0063】
三回目以降の充電電力及び放電電力の各々の上昇幅を、二回目の充電電力及び放電電力の各々の上昇幅と同じとすると、次の通りとなる。
【0064】
三回目の充電により、充電器5の充電電力は、70kWと40kWの合計である110kWとなる。三回目の充電後の受電電力は、45kWとなる。
【0065】
三回目の放電により、蓄電池4bの放電電力は、80kWと40kWの合計である120kWとなる。三回目の放電後の受電電力は、5kWとなる。
【0066】
四回目の充電により、充電器5の充電電力は、110kWと40kWの合計である150kWとなる。本形態では、この時点で、充電電力が充電器5の定格電力に達する。四回目の充電後の受電電力は、45kWとなる。
【0067】
四回目の放電により、蓄電池4bの放電電力は、120kWと40kWの合計である160KWとなる。本形態では、この時点で、放電電力が充電器5の定格電力を超える。四回目の放電後の受電電力は、5kWとなる。
【0068】
このように、本例では、一回目の充電電力の上昇幅を30kWとし、一回目以降の放電電力の上昇幅と二回目以降の充電電力の上昇幅とを同じ40kWとした。その結果、制御の途中で充電器5の充電電力と蓄電池4bの放電電力がそれぞれ上記契約電力を超えているものの、受電電力は、第二電力値と第一電力値との範囲内で上下動を繰り返し、0kW超上記契約電力未満となる。このような段階的制御によって切替電力に達するまでの合計時間は比較的短時間とすることができる。本例のような段階的制御では、例えば、数十秒程度、長くても数分程度で切替電力まで達することができる。
【0069】
充電器5の充電電力が切替電力である定格電力に達したので、電力管理装置6は、上述した充電電力と放電電力の段階的な上昇を繰り返す制御から、放電電力を充電電力に近づけるように調整するフィードバック制御に切り替える。
【0070】
切替電力に達した時点で放電電力が充電電力を超える場合がある。そのため、電力管理装置6は、放電電力が充電電力に対応するように調整する。また、充電対象100の充電状態が上がると、充電対象100側からの要求電力が低下する。電力管理装置6は、適宜なサンプリング間隔で充電対象100の要求電力と充電器5の充電電力とをモニタする。充電対象100の要求電力に対して充電電力が乖離すると、電力管理装置6は、充電電力が要求電力に合致するように充電器5に充電電力の調整を指令する。電力管理装置6は、この充電電力の経時的な変化に対応するように放電電力を調整する。
【0071】
本例では、放電電力が充電電力を超えている。そのため、電力管理装置6は、放電電力が充電電力に対応するように、PCS4aに蓄電池4bの放電電力の変動幅を指令する。この変動幅は、放電電力と充電電力との差分に相当する大きさである。その後、電力管理装置6は、上述の充電電力の経時的な低下に合わせて、PCS4aに蓄電池4bの放電電力の変動幅を指令する。この変動幅も、放電電力と充電電力との差分に相当する大きさである。
【0072】
充電対象100への充電が完了したら、電力管理装置6はこれらの制御を終了する。充電対象100への充電の完了は、例えば、充電対象100から充電完了の信号を受け取ったとき、或いは、充電器5と充電対象100との接続が外れたことを充電器5の検知部51が検知し、その検知結果が送信部52によって電力管理装置6に送信されたときが挙げられる。
【0073】
(充電器の数が複数台の場合)
電力管理装置6は、複数の充電器5の各々における充電電力の上昇幅を調整する。この調整は、複数の充電器5の上昇幅の合計が第一電力値以下、本例では40kW以下となるように行う。電力管理装置6は、1台目の充電器5による充電対象100への充電が完了するまで、2台目以降の充電器5を待機させてもよいし、1台目の充電器5による充電対象100への充電が完了する前に、2台目以降の充電器5を動作させてもよい。待機とは、電力管理装置6が2台目以降の充電器5に上昇幅を指令しない、或いは上昇幅を0kWと指令することを言う。2台目以降の充電器5を動作させるとは、2台目以降の充電器5に0kW超の所定の上昇幅を指令する。
【0074】
充電器5を待機させる場合、1台目の充電器5による充電対象100への充電が完了したら、電力管理装置6は、2台目の充電器5に充電電力の上昇幅を指令し、3台目以降の充電器5を待機させる。
【0075】
2台目以降の充電器5を動作させる場合、電力管理装置6は、複数の充電器5の各々に同じ充電電力の上昇幅を指令してもよいし、異なる充電電力の上昇幅を指令してもよい。異なる充電電力の上昇幅を指令する場合、電力管理装置6は、例えば、次のように指令してもよい。
【0076】
1台目の充電器5の充電対象100への接続後、2台目の充電器5が充電対象100に接続される前、電力管理装置6は、1台目の充電器5に充電電力の上昇幅を40kWと指令し、PCS4aに蓄電池4bの放電電力の上昇幅を40kWと指令したとする。電力管理装置6は、2台目の充電器5が充電対象100に接続された際、1台目の充電器5に充電電力の上昇幅を24kWと指令し、2台目の充電器5に充電電力の上昇幅を16kWと指令する。即ち、1台目の充電器5における充電電力の上昇幅は40kWから24kWに減少する。これらの指令は、同時に行ってもよいし、順番に行っても良い。PCS4aに指令する蓄電池4bの放電電力の上昇幅は、40kWのままである。
【0077】
3台目の充電器5が充電対象100へ接続される前に1台目の充電器5による充電対象100への充電が完了すれば、完了した時点で電力管理装置6は、2台目の充電器5に充電電力の上昇幅を40kWと指令するとよい。即ち、2台目の充電器5における充電電力の上昇幅は、16kWから40kWに増加する。PCS4aに指令する蓄電池4bの放電電力の上昇幅は、40kWのままである。
【0078】
1台目の充電器5による充電対象100への充電が完了する前に、3台目の充電器5が充電対象100へ接続された場合は、次の通りとしてもよい。
【0079】
電力管理装置6は、1台目の充電器5に充電電力の上昇幅を20kW、2台目の充電器5に充電電力の上昇幅を12kW、3台目の充電器5に充電電力の上昇幅を8kWと指令する。即ち、1台目の充電器5における充電電力の上昇幅は40kW、24kW、20kWの順に減少する。2台目の充電器5における充電電力の上昇幅は16kW、12kWの順に減少する。PCS4aに指令する蓄電池4bの放電電力の上昇幅は、40kWのままである。
【0080】
1台目の充電器5による充電対象100への充電が完了すれば、完了した時点で電力管理装置6は、2台目の充電器5に充電電力の上昇幅を24kWと指令し、3台目の充電器5に充電電力の上昇幅を16kWと指令する。即ち、2台目の充電器5における充電電力の上昇幅は、12kWから24kWに増加し、3台目の充電器5における充電電力の上昇幅は、8kWから16kWに増加する。PCS4aに指令する蓄電池4bの放電電力の上昇幅は、40kWのままである。
【0081】
そして、2台目の充電器5による充電対象100への充電が完了すれば、完了した時点で電力管理装置6は、3台目の充電器5に充電電力の上昇幅を40kWと指令する。即ち、3台目の充電器5における充電電力の上昇幅は、8kW、16kW、40kWの順に増加する。PCS4aに指令する蓄電池4bの放電電力の上昇幅は、40kWのままである。
【0082】
なお、充電器5の数が4台以上である場合も同様に、全数の充電器5の充電電力の上昇幅の合計が第一電力値以下、本例では40kW以下となるように全数の充電器5の各々における充電電力の上昇幅を調整するとよい。
【0083】
(蓄電池の充電)
電力管理装置6は、充電器5の未使用時の時間帯で、PCS4aに蓄電池4bの充電を指令する。蓄電池4bの充電電力の上昇幅は、第二電力値以上第一電力値以下が挙げられる。蓄電池4bの充電電力の上昇幅は、「第一電力値-負荷3の消費電力」以下が挙げられる。即ち、蓄電池4bの充電電力の上昇幅は、30kW以下が挙げられる。
【0084】
〔作用効果〕
本形態の給電システム1は、電力供給部10からの受電電力が設定電力を超えることなく、かつ受電電力が0未満となることなく、設定電力を超える電力を充電対象100に充電できる。電力管理装置6は、充電器5の充電電力及び蓄電池4bの放電電力を第二電力値以上第一電力値以下の範囲内の上昇幅で交互に段階的に上昇させる。そのため、充電器5の充電電力が設定電力を超えても、蓄電池4bの放電電力が設定電力を超えても、受電電力を第一電力値と第二電力値との範囲内で上下動を繰り返させることができる。即ち、本形態の給電システム1は、配電網に対して許容できない急激な負荷変動が生じることを防止でき、配電系統を不安定にさせることがない。その上、本形態の給電システム1は、電気の基本料金が高くなることがなく、逆潮流が生じることがない。そうであるにも関わらず、本形態の給電システム1は、設定電力を超える電力量を充電対象100に充電できる。よって、本形態の給電システム1は、充電対象100への充電時間を短くできる。特に、本形態の給電システム1は、上昇幅が第二電力値以上第一電力値の範囲内であるため、充電電力の上昇が急峻な充電対象100の充電に好適に利用できる。
【0085】
本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
1 給電システム
2 電力バス
3 負荷
4a PCS
4b 蓄電池
5 充電器
51 検知部
52 送信部
6 電力管理装置
71 受電盤
72 分電盤
81 第一センサ
82 第二センサ
83 第三センサ
10 電力供給部
100 充電対象