(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/70 20060101AFI20231109BHJP
B41J 25/20 20060101ALI20231109BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20231109BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B41J11/70
B41J25/20
B41J3/36 T
B41J29/38 206
(21)【出願番号】P 2019238978
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 峰
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-045755(JP,A)
【文献】特開2014-000716(JP,A)
【文献】特開2015-139953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/315-2/345
B41J 2/42-2/425
B41J 2/475-2/48
B41J 3/01-3/54
B41J 3/62
B41J 11/00-11/70
B41J 15/00-15/24
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字が形成された被印字媒体により印刷物を作成する印刷装置であって、
排出口を備えた筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、前記被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、
前記搬送手段により前記被印字媒体が前記排出口まで搬送され当該排出口から前記筐体の外部に排出されるときの、前記筐体の内部における搬送経路に設けられ、前記被印字媒体に前記印字を行う印字手段と、
前記筐体の内部に設けられ、前記搬送経路に沿って前記印字手段よりも下流側に設けられ、前記被印字媒体を厚さ方向に切断する切断手段と、
前記筐体の内部に設けられた制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記被印字媒体の種類に対応し、当該被印字媒体を前記切断手段の切断対象とするか切断対象としないかを表す媒体情報を取得する媒体情報取得処理;
を実行するとともに、
前記媒体情報取得処理で取得された前記媒体情報が前記被印字媒体を前記切断対象としていない場合には、前記搬送手段及び前記印字手段を連携して制御し、
前記被印字媒体を搬送しつつ所望の印字を形成する印字形成処理;
前記印字形成処理の完了後さらに前記被印字媒体を搬送し、当該被印字媒体のうち前記所望の印字が形成された第1媒体部分の搬送方向上流側の端部に位置する第1境界部位が前記排出口の縁部に対し前記筐体の壁面方向に沿って対向する対向部位に到達したとき、若しくは、前記第1境界部位が前記筐体の外部に排出されたとき、前記被印字媒体の搬送を停止して位置決めする第1搬送処理;
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記第1搬送処理では、
前記搬送手段は、前記被印字媒体を、前記搬送経路に沿った前記切断手段と前記排出口との間の距離に相当する所定距離だけ搬送する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
不揮発性記憶手段をさらに有し、
前記第1搬送処理では、
前記搬送手段が、前記被印字媒体を、前記不揮発性記憶手段に予め記憶された前記所定距離だけ搬送する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の印刷装置において、
前記所定距離は、
前記媒体情報が前記切断対象とならない複数種類の被印字媒体の各種類に応じて、可変に設定される
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記媒体情報取得処理では、
前記印刷装置に対し有線又は無線を介し接続される外部装置から、前記媒体情報を取得する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5記載の印刷装置において、
前記制御手段は、さらに、
前記第1搬送処理による前記位置決めが終了した後、手動操作による前記境界部位の切断を促す表示を行う表示信号を前記外部装置へ出力する表示信号出力処理;
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項5記載の印刷装置において、
所望の表示を行う表示手段をさらに有し、
前記制御手段は、さらに、
前記第1搬送処理による前記位置決めが終了した後、前記表示手段を制御し、手動操作による前記境界部位の切断を促す表示を行う表示処理;
を実行する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記被印字媒体の種類を検出する検出手段をさらに有し、
前記媒体情報取得処理では、
前記検出手段の検出結果に対応した前記媒体情報を取得する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記制御手段は、
前記媒体情報取得処理で取得された前記媒体情報が前記被印字媒体を前記切断対象とする場合には、前記搬送手段、前記印字手段、及び前記切断手段を連携して制御し、
前記印字形成処理;
前記印字形成処理の完了後さらに前記被印字媒体を搬送し、当該被印字媒体のうち前記所望の印字が形成された第1媒体部分の搬送方向上流側の端部に位置する第1境界部位が前記切断手段に対向したときに前記被印字媒体の搬送を停止して位置決めする第2搬送処理;
前記第2搬送処理による位置決め後、前記切断手段により前記第1境界部位を切断し、当該切断部位よりも搬送方向上流側に位置する第2媒体部分から前記第1媒体部分を分離する、切断処理;
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
請求項9記載の印刷装置において、
前記制御手段は、
前記被印字媒体の種類に対応した前記媒体情報が前記被印字媒体を前記切断対象としていない場合に、前記印字形成処理、前記第1搬送処理、を実行する第1制御モードと、
前記被印字媒体の種類に関係なく、前記印字形成処理、前記第2搬送処理、前記切断処理、を実行する第2制御モードと、
を選択可能に備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記制御手段は、さらに、
前記媒体情報取得処理で取得された前記媒体情報が前記被印字媒体を前記切断対象としていない場合には、前記搬送手段及び前記印字手段を連携して制御し、前記印字形成処理により前記第1媒体部分に前記所望の印字を形成した後、前記第1境界部位に、所定の第1切断目印を印字する第1目印印字処理;
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記制御手段は、さらに、
前記媒体情報取得処理で取得された前記媒体情報が前記被印字媒体を前記切断対象としていない場合には、前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、前記印字形成処理を実行する前に、第1媒体部分の搬送方向下流側の端部に位置する第2境界部位に、所定の第2切断目印を印字する第2目印印字処理;
を実行することを特徴とする印刷装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記制御手段は、
N個(Nは2以上の整数)の前記印刷物を作成する場合で、前記媒体情報取得処理で取得された前記媒体情報が前記被印字媒体を前記切断対象としていない場合には、
前記搬送手段及び前記印字手段を連携して制御し、前記印字形成処理をN-1回繰り返すことで、1番目からN-1番目までの前記印刷物を作成した後、
前記搬送手段及び前記印字手段を連携して制御し、前記印字形成処理及び前記第1搬送処理を行うことで、N番目の前記印刷物を作成する
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字媒体に印字を形成する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被印字媒体に印字を形成して印刷物を作成する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置においては、カートリッジ(テープカートリッジ)から供給されて搬送されるテープ(被印字媒体)に対し、印字手段(印刷ヘッド)で所望の印刷が行われる。その後、さらにテープが搬送されて印刷部分の上流側端部が切断手段(テープカッタ)に対向する位置まで到達したときに、当該切断手段により上記上流側端部の切断が行われる。切断されたテープは、さらに下流側へと搬送され、筐体(装置ケース)に設けた排出口(テープ排出口)から装置外へと排出される。
【0003】
ここで、被印字媒体には、切断手段による切断が困難であったり、切断手段で切断を行わないほうが好ましい、特殊な種類が存在する。この従来技術の印刷装置では、切断手段の耐久性に悪影響が出る特殊な被印字媒体に対しては、上述の切断手段による切断を行わないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように切断手段による切断を行わない場合には、ユーザが、適宜の切断具(ハサミやカッター等)で上記上流側端部の切断を行う必要がある。しかしながら、筐体の排出口は切断手段よりも下流側に位置しており、排出口と切断手段との間にはある程度の距離が存在している。そのため、上記の処理の流れにおいて単純に切断を省略すると、所望の印字が形成された上記印刷部分のうち上記上流側端部(切断手段に対向している)の近傍は排出口よりも筐体内部側に位置している状態となる。すなわち、そのままでは、ユーザは上記上流側端部に対し切断具による切断を行えない。したがって、切断具による切断を行うためには、上記カートリッジを印刷装置から取り外し被印字媒体を手動で搬送しなければならず、煩雑で不便であった。
【0006】
本発明の目的は、切断手段による切断を行わない被印字媒体に対してユーザが切断具で切断を行う際の、煩雑さを解消できる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、印字が形成された被印字媒体により印刷物を作成する印刷装置であって、排出口を備えた筐体と、前記筐体の内部に設けられ、前記被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により前記被印字媒体が前記排出口まで搬送され当該排出口から前記筐体の外部に排出されるときの、前記筐体の内部における搬送経路に設けられ、前記被印字媒体に前記印字を行う印字手段と、前記筐体の内部に設けられ、前記搬送経路に沿って前記印字手段よりも下流側に設けられ、前記被印字媒体を厚さ方向に切断する切断手段と、前記筐体の内部に設けられた制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記被印字媒体の種類に対応し、当該被印字媒体を前記切断手段の切断対象とするか切断対象としないかを表す媒体情報を取得する媒体情報取得処理;を実行するとともに、前記媒体情報取得処理で取得された前記媒体情報が前記被印字媒体を前記切断対象としていない場合には、前記搬送手段及び前記印字手段を連携して制御し、前記被印字媒体を搬送しつつ所望の印字を形成する印字形成処理;前記印字形成処理の完了後さらに前記被印字媒体を搬送し、当該被印字媒体のうち前記所望の印字が形成された第1媒体部分の搬送方向上流側の端部に位置する第1境界部位が前記排出口の縁部に対し前記筐体の壁面方向に沿って対向する対向部位に到達したとき、若しくは、前記第1境界部位が前記筐体の外部に排出されたとき、前記被印字媒体の搬送を停止して位置決めする第1搬送処理;を実行することを特徴とする。
【0008】
本願発明の印刷装置においては、搬送手段で搬送される被印字媒体の所定部位(第1媒体部分)に対し印字手段により印字が形成される。そして、印字形成後の被印字媒体がさらに搬送され、第1媒体部分の上流側端部(以下適宜、印字部上流端」という)が、印字手段の下流側にある切断手段に対向する位置まで到達したときに、当該切断手段が上記印字部上流端の切断を行うことで、印刷物が作成される。
【0009】
本願発明においては、前述の煩雑さを回避するために、制御手段が、まず媒体情報取得処理を実行し、その時点で印刷装置に装着されている被印字媒体の媒体情報を取得する。この媒体情報は、当該被印字媒体を上記切断手段の切断対象とするかしないかを表す、被印字媒体の種類に対応した情報である。
【0010】
そして、被印字媒体が切断対象とならない種類であった場合には、制御手段は、印字形成処理と、第1搬送処理と、を実行する。すなわち、印字手段及び搬送手段が互いに連携し、被印字媒体を搬送しつつ所望の印字を被印字媒体の第1媒体部分に形成する。さらにその後、被印字媒体を搬送し、上記印字が形成された第1媒体部分の上流側端部の第1境界部位が、筐体の排出口から筐体外部に排出されたとき(又は排出口の縁部に対向したとき)のタイミングで、搬送停止して位置決めする。これにより、ユーザは、筐体の外部に(又は筐体の排出口位置において)露出している当該第1境界部位をそのまま切断具で切断することで、所望の印字が形成された第1媒体部分を取得することができる。これにより、前述のような、ユーザがカートリッジを取り外したり、等の煩雑さを解消できるので、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、切断手段による切断を行わない被印字媒体に対してユーザが切断具で切断を行う際の、煩雑さを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態の印字ラベル作成システムの全体を表すシステム構成図である。
【
図2】カートリッジホルダ6を含む筐体の内部構造を、模式的に表す拡大平面図である。
【
図3】ラベルプリンタ及び操作端末の制御系を表す機能ブロック図である。
【
図4】通常テープを用いる場合の印字ラベルの作成工程を表す説明図である。
【
図5】特殊テープを用いる場合に、
図4と同等の状態で搬送停止して切断具により切断を行う比較例を表す説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態における、特殊テープを用いる場合の印字ラベルの作成工程の一例を表す説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態における、特殊テープを用いる場合の印字ラベルの作成工程の別の例を表す説明図である。
【
図8】CPUが実行する制御手順を示すフローチャートである。
【
図9】連続印刷を行う変形例における、通常テープを用いる場合の印字ラベルの作成工程の一例を表す説明図である。
【
図10】連続印刷を行う変形例における、特殊テープを用いる場合の印字ラベルの作成工程の一例を表す説明図である。
【
図11】CPUが実行する制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<印字ラベル作成システムの構成>
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態のラベルプリンタを備えた印字ラベル作成システムの全体構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の印字ラベル作成システム1は、ラベルプリンタ3と、例えばスマートフォンからなる操作端末2と、を有する。なお、ラベルプリンタ3が印刷装置の一例に相当し、操作端末2が外部装置の一例に相当する。
【0016】
ラベルプリンタ3は、操作端末2との間で各種の情報や指示信号を送受し、ユーザの操作に基づき操作端末2から送信された印刷ジョブに対応して、所望のテキストや画像等の印字を備えた印字ラベルLを作成する。印字ラベルLが印刷物の一例に相当する。なお、操作端末2は、いわゆるフィーチャーフォン等の携帯情報端末や、タブレット型・ノート型・デスクトップ型等の各種コンピュータ、等でもよい。
【0017】
<カートリッジ及びその周囲の詳細構造>
ラベルプリンタ3の筐体3Aの内部には、上記印字ラベルLを作成するためのカートリッジ7がカートリッジホルダ6に対し着脱可能に設けられる。
【0018】
図2に示すように、カートリッジ7は、ラベルプリンタ3のカートリッジホルダ6に収納されており、第1ロール102と、第2ロール104と、リボン供給側ロール211と、リボン巻取りローラ106と、テープ送りローラ27と、を有する。
【0019】
第1ロール102には、帯状の基材テープ101が巻回されており、第2ロール104には、上記基材テープ101と略同じ幅である透明な被印字テープ103が巻回されている。リボン供給側ロール211からはインクリボン105が繰り出され、印字後のインクリボン105がリボン巻取りローラ106によって巻き取られる。但し、被印字媒体として感熱テープが用いられる場合はインクリボン105は不要となる。
【0020】
テープ送りローラ27は、カートリッジ7のテープ排出部の近傍に回転可能に支持されている。なお、上記被印字テープ103と、当該被印字テープ103に上記基材テープ101が貼り合わされた上記印字済みラベル用テープ109とが、被印字媒体の一例に相当する。
【0021】
基材テープ101はこの例では4層構造となっており(
図2中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(
図2中右側)よりその反対側(
図2中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PET等から成る色付きのベースフィルム101b、適宜の粘着材からなる粘着層101c、剥離紙101dの順序で積層されている。上記剥離紙101dが、最終的にラベル状に完成した上記印字ラベルLが被着体に貼り付けられる際に剥がされることで、粘着層101cにより印字ラベルLが当該被着体に接着される。
【0022】
本実施形態では、予め用意された複数種類のカートリッジ7のうち、ユーザが所望する適宜の種類のカートリッジ7をカートリッジホルダ6に装着して、印字ラベルLを作成することができる。
【0023】
上記構成のカートリッジ7において、カートリッジ7外に設けられた搬送用モータ119(後述の
図3参照)の駆動力が、図示しないギヤ機構を介し、カートリッジホルダ6に設けられたリボン巻取りローラ駆動軸107及びテープ送りローラ駆動軸108に伝達される。これにより、上記リボン巻取りローラ106及び上記テープ送りローラ27が、互い連動して回転駆動される。一方、テープ送りローラ駆動軸108は、カートリッジホルダ6側に設けられたテープ圧接ローラ28及びプラテンローラ26と、図示しないギヤ機構にて連結されている。この結果、前述のテープ送りローラ駆動軸108の駆動に伴い、上記テープ送りローラ27、テープ圧接ローラ28、及びプラテンローラ26が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出されて搬送され、テープ送りローラ27へ供給される。なお、上記テープ送りローラ駆動軸108が、搬送手段の一例に相当している。
【0024】
このとき、上記プラテンローラ26の回転により、第2ロール104からは被印字テープ103が繰り出され搬送されるとともに、その搬送経路においてプラテンローラ26に対向して設けられた印字ヘッド23が通電される。この結果、被印字テープ103の裏面に、操作端末2から送信された印字データに対応した所望の印字R(後述の
図4~
図6、
図9、
図10等参照)が印刷される。なお、印字ヘッド23が印字手段の一例に相当する。この結果、前述のようにして駆動されるテープ送りローラ27及びテープ圧接ローラ28が、上記基材テープ101と上記印字Rが形成された被印字テープ103とを押圧し接着させる。これにより、上記印字済みラベル用テープ109が生成され、
図2中矢印Aで示す方向に送られて、カートリッジ7外へと搬出する。被印字テープ103への印字Rの形成が終了したインクリボン105は、前述したリボン巻取りローラ駆動軸107の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
【0025】
そして、上述のように貼り合わされて生成された印字済みラベル用テープ109がカッタ40によって切断されて印字ラベルLが生成され、筐体3Aの排出口3aから筐体3Aの外部へと排出される。なお、このとき、カッタ40は、被印字テープ103の搬送経路に沿って印字ヘッド23よりも所定の距離Laだけ離間した下流側に配置されている。また、カッタ40と排出口3aとの間は、被印字テープ103の搬送経路、言い換えれば印字済みラベル用テープ109の搬送経路、に沿って所定の距離Lbだけ離れている。なお、カッタ40が切断手段の一例に相当している。
【0026】
<制御系>
本実施形態のラベルプリンタ3及び操作端末2の制御系を
図3により説明する。
【0027】
<操作端末2の制御系>
図3において、操作端末2は、CPU12と、RAM13a及びROM13b等を備えたメモリ13と、操作ボタン14と、通信制御部15と、フラッシュメモリ等の大容量記憶装置16と、タッチパネル17と、を有する。
【0028】
メモリ13のRAM13aには、例えばユーザがタッチパネル17を適宜に操作することで作成された、上記印字ラベルLに表記したい所望の印字内容に対応した印字データが記憶される。なお、この所望の印字内容を、以下適宜、「ラベル印字」と称する。
【0029】
CPU12は、メモリ13のRAM13aの一時記憶機能を利用しつつ、メモリ13のROM13bや大容量記憶装置16に記憶された各種プログラムを実行することで、操作端末2全体の制御を行う。
【0030】
通信制御部15は、ラベルプリンタ3との間で行われる通信(後述)の制御を行う。なお、この通信は無線通信でもよいし、ケーブル等を通じた有線通信であってもよい。
【0031】
メモリ13のROM13bには、所定の制御プログラムが記憶されている。なお、この制御プログラムは、大容量記憶装置16に記憶されていてもよい。なお、大容量記憶装置16は、本体メモリに限られず、SDメモリカード等の適宜の外部メモリでもよい。
【0032】
<ラベルプリンタ3の制御系>
図3において、ラベルプリンタ3には、各機器を制御するCPU111と、このCPU111に対し、それぞれデータバス112を介して接続された入出力インターフェース113と、ROM116と、不揮発性のEEPROM118と、メモリ117とが設けられている。なお、CPU111が制御手段の一例に相当する。なおEEPROM118が、不揮発性記憶手段の一例に相当する。
【0033】
ROM116には、上記操作端末2からの印字データに対応して上記印字ヘッド23及び搬送用モータ119を駆動する印字制御プログラム等、ラベルプリンタ3の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。なお、このプログラムには、後述の
図8、
図11等に示すフローチャートの各手順を実行させる印刷処理プログラムが含まれる。CPU111は、これら各種プログラムに基づいて各種の演算を行い、ラベルプリンタ3全体の制御を行う。
【0034】
また入出力インターフェース113には、上記印字ヘッド23と、上記リボン巻取りローラ駆動軸107及びテープ送りローラ駆動軸108を駆動する搬送用モータ119と、上記カッタ40を駆動するカッタモータ43とが、それぞれ適宜の駆動回路(図示省略)を介し、接続されている。また入出力インターフェース113には通信制御部208が接続されており、この通信制御部208によって、操作端末2との間で行われる通信(後述)の制御が行われる。なお、
図3に表されているラベルプリンタ3の各構成要素は、筐体3A内に配置されている。
【0035】
<通常テープと特殊テープ>
上記構成のラベルプリンタ3では、前述のように、予め用意された複数種類のカートリッジ7のうちユーザが所望する適宜の種類のカートリッジ7をカートリッジホルダ6に装着して使用できる。その際、複数種類のカートリッジ7それぞれに備えられるテープ、すなわち被印字テープ103や基材テープ101の種類によっては、カッタ40による切断が困難であったり、カッタ40で切断を行わないほうが好ましい、特殊な種類が存在する。以下適宜、そのような特殊な種類のテープを「特殊テープ」と称し、また特殊テープ以外の種類のテープを「通常テープ」と称することがある。
【0036】
本実施形態のラベルプリンタ3では、上記通常テープに対しては、前述したように、印字済みラベル用テープ109により作成された印字ラベルLの上流側端部をカッタ40で切断することにより、テープ搬送方向に沿って印字ラベルLの上流側ラベル用テープ109から分離する。一方、上記特殊テープに対しては、上記のようなカッタ40による切断を行わないまま、すなわち印字ラベルLの上流側ラベル用テープ109につながった状態のまま排出口3aから排出し、ユーザがハサミ等の適宜の切断具によって切断を行う。以下、それぞれの動作態様を説明する。
【0037】
<通常テープを用いた印字ラベル作成>
まず、
図4(a)~(f)を用いて、上記通常テープを用いた印字ラベルLの作成挙動について説明する。なお、実際は、前述のように印字ヘッド23で印字形成された被印字テープ103に対しテープ送りローラ27及びテープ圧接ローラ28により上記基材テープ101が貼り合わせられ、その下流側において印字済みラベル用テープ109となる。
図4(a)~(f)では、図示の煩雑を避けるために「103(109)」の符号を付して1本のテープ状に略示している。なお、後述の
図5~
図7、
図9、
図10等も同様である。
【0038】
図4(a)は、先行して作成された印字ラベルLが切断された状態である、初期位置状態を表している。この状態から、例えば適宜の印刷開始指令が入力されると、被印字テープ103、基材テープ101、及び印字済みラベル用テープ109の搬送(以下適宜、単に「テープ搬送」という)が開始される。またこれに伴い、印字ヘッド23に上記通電が行われることで、被印字テープ103のうち所定の印字領域を含む第1テープ部分103aに対し、所望のラベル印字、この例ではアルファベット文字「ABCD」の印字Rの形成が開始される。なお、第1テープ部分103aが第1媒体部分の一例に相当している。
【0039】
図4(b)は、上記のようにして、上記「ABCD」のうち「A」と「B」の文字まで形成された状態を示している。さらにテープ搬送及び印字形成が進むと、「ABCD」の文字のすべての印字Rが完了する(
図4(c)参照)。なお、
図4(c)には、上記「ABCD」の印字を備え、印字ラベルLとなる部分の搬送方向上流側の端部を併せて破線203で概念的に図示している。この破線203で示す部位は、言い替えれば、印字ラベルLとなる部分と、それよりも上流側のテープとの境界部位であり、以下適宜、単に「境界部位」と称する。
【0040】
上記印字完了状態で印字ヘッド23への通電は終了し、テープ搬送のみが引き続き行われる。その後、上記境界部位203が上記カッタ40に対向するまで搬送は継続され、境界部位がカッタ40に対向したらテープ搬送が停止され、位置決めされる(
図4(d)参照)。なお、
図4(c)に示す状態から
図5(c)に示す状態までにテープ搬送された搬送距離は、上述した、印字ヘッド23からカッタ40までの距離Laに等しい。
【0041】
この後、カッタ40が駆動されることで上記境界部位203が切断される(
図4(e)参照)。この場合境界部位203は切断部位の一例に相当している。なお、上述したように、詳細には、被印字テープ103及び基材テープ101を含む印字済みラベル用テープ109全体が厚さ方向に切断される。これにより、被印字テープ103のうち上記境界部位203より上流側の第2テープ部分103bから、印字「ABCD」が形成された上記第1テープ部分103aが分離される。なお、このときに分離されるのは、第1テープ部分103aに加え、貼り合わされている基材テープ101も含まれるが、以下適宜、単に「第1テープ部分103a」と称する。同様に、上記第2テープ部分103bに加え、それに貼り合わされている基材テープ101も併せて、以下適宜、単に「第2テープ部分103b」と称する。なお第2テープ部分103bは第2媒体部分の一例である。こうして分離された第1テープ部分103aは、
図4(f)に示すように、排出口3aから印字ラベルLとして排出される。
【0042】
<特殊テープによる印字ラベル作成>
上述したように、本実施形態では、特殊テープに対しては、上記カッタ40による切断を行わない。そのような場合の印字ラベルLの作成挙動において生じ得る課題を、
図5に示す比較例によりそれぞれ説明する。
【0043】
図5に示す比較例では、前述の
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)と同様の挙動を経た後、
図4(d)と同様の
図5(a)に示すように、境界部位203がカッタ40に対向してテープ搬送が停止している状態となる。なお、この境界部位が第1境界部位の一例に相当している。このとき、上記
図4(d)の後の
図4(e)のようにカッタ40による切断を行うことはできないことから、ユーザが適宜の切断具で切断を行う必要がある。しかしながら、
図4(a)に示すカッタ40への対向位置に境界部位203が存在していると、それより下流側の「ABCD」の印字Rが形成された第1テープ部分103aのうちの一部は、カッタ40と排出口3aとの間の距離Lbの区間に残存する。すなわち、この例では、「ABCD」のうち文字「A」の全部と文字「B」の下流側半分までは排出口3aから筐体3Aの外部へと露出しているものの、文字「B」の上流側半分と文字「CD」は筐体3Aの内部に残っている。そのため、
図5(a)に示した状態のまま、ユーザが筐体3Aの外部で切断具にて第1テープ部分103aの切断を行う場合、
図5(b)及び
図5(c)に示すように、この例では「B]の文字の真ん中、すなわち、上記印字ラベルLの途中で分断することしかできない。
【0044】
上記を回避するためには、前述の
図5(a)に示す状態でカートリッジホルダ6からカートリッジ7から取り外し、その取り外した状態で上記境界部位203を切断することも考えられるが、その場合、上記カートリッジ7の取り外し作業がユーザにとって煩雑となる。
【0045】
<実施形態の手法>
そこで、本実施形態のラベルプリンタ3では、上記煩雑さを回避するために、前述の距離Laのテープ搬送に加え、さらにカッタ40と排出口3aとの間の上記距離Lbのテープ搬送を追加して行う。すなわち、本実施形態では、前述の
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)、さらに、
図4(d)と同様の
図6(a)に示すような、境界部位203がカッタ40に対向する状態となった後、さらにテープ搬送が実行される(白ブロック矢印参照)。そして、
図6(b)、
図6(c)に示す状態を経て、
図6(d)に示すように、上記境界部位203が、排出口3aの縁部に対し筐体3Aの壁面方向に対向する対向部位に到達したら、搬送を停止し位置決めを行う。なお、上記のように境界部位203が対向部位に到達したときに搬送停止し位置決めするのに限られず、境界部位203が筐体3Aの外部に排出されたときに搬送停止し位置決めするようにしてもよい。また、以上において、距離La+Lbのテープ搬送を一気に行ってもよいし、距離Laのテープ搬送を行って一旦搬送し停止した後、改めて距離Lbのテープ搬送を行うようにしてもよい。これにより、ユーザは、
図6(e)に示すように、筐体3Aの外部で切断具にて上記境界部位203を切断することで、上記印字ラベルLを得ることができる。
【0046】
なお、上記手法において、
図6(a)~(e)に対応する
図7(a)~(e)にそれぞれ示すように、上記第1テープ部分103aに対する印字Rの形成の後に、境界部位203に対し、上記切断具での切断時の目印となるカットマークCM1を印字するようにしてもよい。この例では、カットマークCM1は、互いに向かい合う2つの三角形形状となっている。なお、カットマークCM1が第1切断目印の一例に相当する。併せて、
図7(a)~(e)にそれぞれ示すように、第1テープ部分103aに対する印字Rの形成の前に、第1テープ部分103aの搬送方向下流側の端部に、カットマークCM2を印字するようにしてもよい。この例では、カットマークCM2は、カットマークCM1と同様、互いに向かい合う2つの三角形形状となっているが、カットマークCM1と別形状でもよい。なお、上記搬送方向下流側の端部が第2境界部位の一例に相当し、上記カットマークCM2は第2切断目印の一例に相当する。この場合、ユーザは当該カットマークCM2の部分を切断具で切断することで、余白部分の少ない印字ラベルLを得ることができる(
図7中の2点鎖線参照)。
【0047】
<CPUが実行する制御内容>
本実施形態の上記手法を実現するために、ラベルプリンタ3の上記CPU111が実行する制御手順を、
図8のフローチャートより説明する。なお、このフローが実行される前に、予め、操作者により、操作端末2のタッチパネル17を用いて、印字ラベルLのラベル印字の内容は入力・設定済みである。そして、通信制御部208及び通信制御部15を介し操作端末2との通信が確立され、上記ラベル印字を含む印刷開始指令が操作端末2から受信されると、このフローが開始される。
【0048】
まず、ステップS5で、CPU111は、カートリッジホルダ6に装着されているカートリッジ7に備えられる被印字テープ103の媒体情報を取得する。この媒体情報は、上記被印字テープ103が、カッタ40の切断対象となる通常テープであるか、カッタ40の切断対象とはならない特殊テープであるか、を表す情報である。このステップS5では、操作端末2のタッチパネル17又は操作ボタン14等の操作によりユーザが入力した上記媒体情報が、上記通信制御部15,08間の通信を経て取得される。あるいは、例えばカートリッジホルダ6に設けられた公知のセンサによりカートリッジ7の種類が検出されることで、このステップS5において、当該センサの検出結果に対応した上記媒体情報が取得されるようにしてもよい。このステップS5で実行される処理が媒体情報取得処理の一例に相当し、センサが検出手段の一例に相当する。
【0049】
その後、ステップS10で、CPU111は、上記ステップS5で取得された媒体情報に基づき、カートリッジ7内の被印字テープ103が、上記特殊テープであるか否かを判定する。特殊テープであればステップS10がYES判定となり後述のステップS15に処理が移され、通常テープであればステップS10がNO判定となり後述のステップS55に処理が移される。
【0050】
ステップS15では、CPU111は、上記テープ搬送を開始させる。具体的には、搬送用モータ119を介しテープ送りローラ駆動軸108を回転させることで、上記被印字テープ103、基材テープ101、印字済みラベル用テープ109の搬送を開始させる。
【0051】
そして、ステップS20で、CPU111は、上記のようにして搬送開始された各テープが被印字テープ103の印字開始位置に到達したか否かを判定する。具体的には、この例では、印字ヘッド23に対向する位置に、前述の印字領域の下流側先端部が対向したか否かを公知の手法により判定する。印字開始位置でない場合、NO判定でループ待機状態となり、印字開始位置になるまでテープ搬送を継続する。印字開始位置となった場合、YES判定となり、ステップS25へ処理を移す。
【0052】
ステップS25では、CPU111はテープ搬送を行いつつ印字ヘッド23を制御し、予め定められた形状、前述の例では三角形状の、カットマークCM2を被印字テープ103に形成する。なお、カットマークCM2は形成しなくてもよい。このステップS25で実行される処理が第2目印印字処理の一例に相当する。
【0053】
その後、ステップS30で、CPU111は、さらにテープ搬送を行いつつ印字ヘッド23を制御し、操作端末2から送信された前述の印刷開始指令に含まれた上記ラベル印字を、被印字テープ103に形成する。上記ラベル印字は、前述の例では、「ABCD」の印字Rである。このステップS30で実行される処理が、被印字媒体を切断対象としない場合における印字形成処理の一例に相当する。
【0054】
その後、ステップS35で、CPU111は、ステップS25と同様、テープ搬送を行いつつ印字ヘッド23を制御し、予め定められた形状、前述の例では三角形状の、カットマークCM1を被印字テープ103に形成する。なお、カットマークCM1は形成しなくてもよい。このステップS35で実行される処理が第1目印印字処理の一例に相当する。
【0055】
その後、ステップS40で、CPU111は、上記ステップS35での処理後においてさらにテープ搬送を行いつつ、被印字テープ103のうち上記第1テープ部分103aの上流側端部である上記境界部位203がカッタ40に対向した状態であるか否かを判定する。上記境界部位203がカッタ40に対向した状態となっていなかったらNO判定となり、ループ待機する。一方、上記境界部位203がカッタ40に対向した状態となっていたらYES判定となり、ステップS45に移行する。
【0056】
ステップS45では、CPU111は、さらに上記距離Lbだけテープ搬送を行った後、ステップS48で搬送用モータ119によるテープ送りローラ駆動軸108の回転を停止させることで、上記テープ搬送を停止する。また、距離Lbの値は、当該ラベルプリンタ3に固有の値として予めEEPROM118に記憶されており、ステップS45では、このLbの値が読みだされて用いられる。
【0057】
なお、このときのテープ搬送時の搬送量が上記距離Lbに到達したことの検出は、例えばパルスモータである上記搬送用モータ119へのパルス数をカウントする等、公知の手法により検出すれば足りる。なお、ステップS45及びステップS48で実行する処理が、第1搬送処理の一例に相当している。
【0058】
その後、ステップS50で、CPU111は、通信制御部208,15を介し操作端末2へ表示信号を出力し、タッチパネル17に、上記境界部位203の切断を促す報知を行う。この例では、前述の
図1に示したように、タッチパネル17において、「カット準備できました。ハサミなどでカットしてください」のメッセージMによる視覚的報知が行われる。このステップS50で実行される処理が、表示信号出力処理の一例に相当する。なおこのとき、ラベルプリンタ3に適宜の表示手段を設け、このステップS50において上記メッセージMと同様の視覚的報知を上記表示手段において行うようにしてもよい。この場合、ステップS50で実行される処理は、表示処理の一例に相当する。その後、このフローを終了する。
【0059】
一方、上記ステップS10でNO判定されて移行したステップS55では、CPU111は、上記ステップS15と同様のステップS55で、前述のようにしてテープ搬送を開始する。その後、CPU111は、上記ステップS20と同様のステップS60で、上記CPU111は、被印字テープ103の印字開始位置に到達したか否かを判定する。印字開始位置でない場合NO判定となりループ待機する一方、印字開始位置となったらYES判定となり、ステップS70へ移行する。
【0060】
ステップS70では、上記ステップS30と同様に、CPU111は、印字ヘッド23を制御し、操作端末2から送信された印刷開始指令に含まれた上記ラベル印字を、被印字テープ103に形成する。なお、このステップS70で実行される処理が、被印字媒体を切断対象とする場合における印字形成処理の一例に相当する。
【0061】
その後、ステップS40と同様のステップS80で、CPU111は、さらにテープ搬送を行いつつ、上記境界部位203がカッタ40に対向した状態であるか否かを判定する。上記境界部位203がカッタ40に対向した状態となっていなかったらNO判定となり、ループ待機する。一方、上記境界部位203がカッタ40に対向した状態となっていたらYES判定となり、ステップS90に移行する。
【0062】
ステップS90では、上記ステップS48と同様に、CPU111は、テープ搬送を停止する。ステップS70の実行後、ステップS80がYES判定となるまでに実行される搬送量の搬送が、第2搬送処理の一例に相当している。
【0063】
その後、CPU111は、ステップS95で、カッタモータ43を制御してカッタ40を駆動し境界部位203の切断を行う。これにより、上記第2テープ部分103bから第1テープ部分103aが分離され、分離された第1テープ部分103aによって印字ラベルLが生成される。ステップS95で実行する処理が切断処理の一例に相当する。
【0064】
その後、ステップS98で、生成された印字ラベルLが筐体3A外へと排出され、このフローを終了する。
【0065】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のラベルプリンタ3においては、搬送される被印字テープ103の第1テープ部分103aに対し印字Rが形成される。そして、通常テープが用いられる場合は印字Rが形成された後の被印字テープ103がさらに搬送され、第1テープ部分103aの上流側端部である境界部位203が、印字ヘッド23の下流側にあるカッタ40に対向する位置まで到達したときに、カッタ40が境界部位203の切断を行うことで、印字ラベルLが作成される。
【0066】
このとき、本実施形態においては、上記通常テープでない特殊テープが用いられるときのユーザにとっての煩雑さを回避するために、CPU111によって、まずステップS5が実行され、その時点でラベルプリンタ3に装着されている被印字テープ103の媒体情報が取得される。この媒体情報は、当該被印字テープ103がカッタ40の切断対象となる通常テープであるか、切断対象とならない特殊テープであるかを表す、被印字テープ103の種類に対応した情報である。
【0067】
そして、被印字テープ103が特殊テープであった場合には、CPU111により、ステップS15~ステップS50が実行される。ステップS30では、被印字テープが搬送されつつ所望の印字Rが第1テープ部分103aに形成される。さらにその後、被印字テープ103が搬送され、上記印字Rが形成された第1テープ部分103aの上流側端部である境界部位203が、筐体3Aの排出口3aから筐体外部に排出されたとき、又は、排出口3aの縁部に対向したとき、のタイミングで搬送停止し位置決めされる。これにより、ユーザは、筐体3Aの外部において又は筐体3Aの排出口3aの位置において露出している、当該境界部位203をそのまま切断具で切断することで、所望の印字が形成された印字ラベルLを取得することができる。これにより、前述のような、ユーザがカートリッジを取り外す必要がある等の煩雑さを解消できるので、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
なお、このとき、本実施形態では特に、被印字テープ103が特殊テープではない一般の通常テープがある場合には、ステップS55~ステップS98が行われる。これにより、通常通り、第1テープ部分103aへの所望の印字の形成の後、境界部位203をカッタ40より切断することができる。
【0068】
また、本実施形態では特に、ステップS45において、印字済みラベル用テープ109は、搬送経路に沿ってカッタ40と排出口3aとの間の距離に相当する距離Lbだけ搬送される。このように、カッタ40・排出口3a間の距離相当だけテープ搬送することにより、ユーザが手動で切断すべき境界部位203を確実に排出口3a又は筐体3Aの外まで搬送し露出させることができる。
【0069】
また、本実施形態では特に、上記距離Lbが、EEPROM118に記憶されている。これにより、ラベルプリンタ3の電源がOFFされた場合でも上記距離Lbの値を確実に保持でき、ユーザによる毎回の使用時に、確実に上記境界部位203を露出させることができる。
【0070】
また、本実施形態では特に、ステップS5において、ラベルプリンタ3に対し有線又は無線を介し接続される操作端末2から、上記媒体情報が取得される。これにより、ユーザが自分の意図を反映させる形で、使用しようとしている被印字テープ103が切断困難である種類である、又は、切断しないほうがよい種類であることを、ラベルプリンタ3側に知らせ、カッタ40による切断を行わせないようにすることができる。
あるいは、前述したように、ラベルプリンタ3に設けたセンサによって被印字テープ103の種類を検出することもできる。この場合、被印字テープ103が特殊テープであった場合、ユーザがわざわざ手動で入力しなくても自動的にラベルプリンタ3側において検知し、カッタ40による切断を行わないようにすることができる。
【0071】
また、本実施形態では特に、ステップS50において、ステップS48におけるテープ搬送停止及び位置決めが終了した後、手動操作による境界部位203の切断を促す表示を行う表示信号が操作端末2へと出力され、操作端末2において対応するメッセージMの表示が行われる。あるいは、前述したように、ラベルプリンタ3内に設けた表示手段において、同様の表示を行うこともできる。これらにより、ユーザに対し、カッタ40による切断を行わずに搬送が終了しユーザの手動操作による切断待ち状態になったことを、確実に認識させることができる。特に、前述のセンサを介した検知によりラベルプリンタ3側で自動的にカッタ40による切断を行わないようにした場合には、ユーザが知らないうちに上記切断待ち状態になっているため、上記効果が特に有効である。
【0072】
また、本実施形態では特に、ステップS30で第1テープ部分103aに所望の印字Rを形成した後、境界部位203にカットマークCM1が形成される。これにより、ユーザは、上記ステップS48で切断待ちの状態となった印字済みラベル用テープ109に対し、形成されたカットマークCM1をガイドとして用いつつ、容易に境界部位203の切断を行うことができる。
【0073】
また、本実施形態では特に、ステップS30で第1テープ部分103aに所望の印字Rを形成する前に、第1テープ部分の103a搬送方向下流側の端部に位置する境界部位に、カットマークCM2を印字する。これにより、ユーザは、形成されたカットマークCM2をガイドとして用いつつ、容易に上記境界部位の切断を行うことができる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0075】
(1)境界部位を送り出す搬送距離を可変とする場合
すなわち、上記実施形態では、ステップS45において境界部位203を筐体3Aの排出口3aへと送り出すための距離は、カッタ40と排出口3aとの間の距離Lbに等しい値に固定的に設定されていた。これに対し、本変形例では、この送り出すための距離が、特殊テープの種類に応じて可変に設定される。すなわち、特殊テープである被印字テープ103が、例えば布などの場合には、ユーザが切断具で切断するときに張力を付与しピンと張ったほうが切断しやすい。この場合、境界部位203を送り出すための所定距離を長めにして、手でつまみやすいようにすると便利である。逆に、そのような張力付与を行わなくても切断できる種類の被印字テープ103では、上記所定距離をなるべく短くしたほうが被印字テープ103等の浪費を抑制できる。
【0076】
そこで、本変形例においては、上記のような事情に対応し、上記所定距離を、被印字テープ103の各種類に応じて可変に設定する。その際は、例えば予め用意された、複数の被印字テープ103の種類と、各種類に対応した上記所定距離との相関が適宜の部位、例えばメモリ117又はEEPROM118に記憶されていてもよい。そして、例えば前述のように操作端末2の操作によりユーザが入力した媒体情報、若しくは、上記センサの検出結果に対応して取得された媒体情報、に基づき、上記相関が参照されることで、上記所定距離が可変に設定される。これにより、ユーザにとっての利便性をさらに向上することができる。
【0077】
(2)2つの制御モードを設ける場合
すなわち、本変形例では、ラベルプリンタ3は、上述したように被印字テープ103が特殊テープである場合に限りカッタ40による切断を行わない第1モードと、被印字テープ103が特殊テープであるか通常テープであるかにかかわらずカッタ40による切断を行う第2モードと、の2つの制御モードを備える。すなわち、第1モードが選択された場合は、前述の
図8に示した各手順がCPU111により実行される。一方、第2モードが選択された場合は、前述の
図8のうち、ステップS5~ステップS50は省略され、ステップS55~ステップS98のみが実行される。このとき、操作端末2の操作等を介してユーザにより第1モード又は第2モードが選択可能としてもよいし、ラベルプリンタ3ごとに、予め第1モード又は第2モードのいずれか一方に固定的に設定されていてもよい。その設定は上記EEPROM118内に記憶されていてもよい。なお、第1モードが第1制御モードの一例に相当し、第2モードが第2制御モードの一例に相当する。
【0078】
この変形例においては、切断困難である特殊テープ又は切断しないほうがよい特殊テープである被印字テープ103に対し、カッタ40による切断を行わないようにする機能を、ユーザの好みやニーズによって使用するか不用とするかを適宜に選択することが可能となる。
【0079】
(3)連続印刷による印字ラベル作成を行う場合
上記実施形態及び(1)(2)に示す変形例においては、第1テープ部分103aの上流側端部である境界部位203を切断し、その上流側に位置する第2テープ部分103bから分離することで、印字ラベルLを生成した。本変形例では、複数の印字ラベルLとなる部分(以下適宜、単に「印字ラベル部Lo」と称する)を互いにつながったままの連続した状態とし、複数の印字ラベル部Loのうち最後に生成される印字ラベル部Loについてのみ、上記のような境界部位203による切断が行われ、その上流側に位置する第2テープ部分103bから分離される。以下適宜、このような手法による印字ラベルの作成手法を「連続印刷」と称する。
【0080】
次に、上記連続印刷による本変形例における印字ラベルLの作成工程について説明する。
【0081】
<通常テープを用いた印字ラベル作成>
まず、被印字テープ103として通常テープが用いられる場合を
図9(a)~(g)を用いて説明する。この例では、3つの印字ラベルLを連続印刷により生成する場合を例にとって説明する。まず、上記
図4(a)~(c)で説明した例と同様、印刷開始指令が入力されるとテープ搬送が開始されるとともに、被印字テープ103の第1テープ部分103aに対し「ABCD」の印字形成が開始される。前述のようにして上記「ABCD」の文字のすべての印字が完了すると印字ヘッド23への通電は終了し、さらに上記境界部位203が印字ヘッド23に対向するまでわずかに搬送された後、テープ搬送が停止されて位置決めされる。
図9(a)は、上記
図4(c)に対応する、この位置決め停止状態を示している。
【0082】
このとき、上記
図4とは異なり、カッタ40による切断は行われず、「ABCD」の印字Rが形成された第1テープ部分103aは、後続の印字済みラベル用テープ109と境界部位203を介しつながったままである。このような印字Rが形成された後の第1テープ部分103aを、印字ラベルLに準ずるものとして本変形例においては適宜、印字ラベル部Loと称する。これにより、3つのうち1つの印字ラベル部Loの生成が完了する。
【0083】
その後、テープ搬送が再び開始されるとともに、被印字テープ103のうち前述の第1テープ部分103aに後続する同様の第1テープ部分103aに対し再び「ABCD」の印字形成が開始される(
図9(b)参照)。なお、本変形例においては、隣接する印字ラベル部Lo,Loどうしの間の境界部位203の切断が行われず、これに対応して、上記印字形成の再開時において、上記境界部位203に、カットマークCM3が印字形成される。この例ではカットマークCM3は、前述のカットマークCM1,CM2と同様、互いに向かい合う2つの三角形形状となっている。なお
図9に示す例では、一番最初の第1テープ部分103aの搬送方向下流側先端、すなわち上記印字領域が開始される部位にも、上記カットマークCM3が形成される。そして、前述と同様、上記「ABCD」の文字の印字が完了すると印字ヘッド23への通電は終了する。
図9(c)は、通電終了後にさらに搬送が進み、上記境界部位203の近傍が印字ヘッド23に対向した状態を示している。これにより、3つのうち2つの印字ラベル部Loの生成が完了する。
【0084】
上記以降、さらに前述同様の処理が繰り返され、「ABCD」の文字の印字が完了すると印字ヘッド23への通電は終了する。
図9(d)は、通電終了後にさらに搬送が進み、3番目の印字ラベル部Loの上流側端部となる境界部位203の近傍が印字ヘッド23に対向した状態を示しており、これによって3つの印字ラベル部Loの生成がすべて完了する。
【0085】
その後、本変形例においても、先に
図4(d)を用いて前述したのと同様、
図9(e)に示すようにテープ搬送のみが引き続き行われる。上記境界部位203が上記カッタ40に対向するまで搬送は継続され、境界部位203がカッタ40に対向したらテープ搬送が停止され、位置決めされる(
図9(e)参照)。なお、前述と同様、
図9(d)に示す状態から
図9(e)に示す状態までにテープ搬送された搬送距離は、印字ヘッド23からカッタ40までの距離Laに等しい。
【0086】
この後、カッタ40が駆動されることで上記境界部位203が切断される(
図9(f)参照)。これにより、被印字テープ103のうち上記境界部位203より上流側の第2テープ部分103bから、印字「ABCD」がそれぞれ形成されかつ互いに連続している3つの印字ラベル部Loが分離され、3つの印字ラベルLが生成される。これら3つの印字ラベルLは、前述の
図4(f)と同様、排出口3aから排出される。
【0087】
<特殊テープによる印字ラベル作成>
次に、被印字テープ103として特殊テープが用いられる場合を
図10(a)~(c)を用いて説明する。この例では、3つの印字ラベルLを連続印刷により生成する場合を例にとって説明する。
【0088】
この場合、上記実施形態において
図6を用いて前述したのと同様、ユーザによる煩雑さを回避するために、前述の距離Laのテープ搬送に加え、さらに上記距離Lbのテープ搬送を追加して行う。すなわち、本変形例では、前述の
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)、
図9(d)、さらに、
図9(e)と同様の
図10(a)に示すような、境界部位203がカッタ40に対向する状態となった後、さらにテープ搬送が実行される(
図10(b)の白ブロック矢印参照)。そして、
図10(b)に示すように、上記境界部位203が、排出口3aの縁部に対し筐体3Aの壁面方向に対向する対向部位に到達したら、搬送を停止し位置決めを行う。なお、前述と同様、境界部位203が筐体3Aの外部に排出されたときに搬送停止し位置決めするようにしてもよい。また、距離La+Lbのテープ搬送を一気に行ってもよいし、距離Laのテープ搬送を行って一旦搬送し停止した後、改めて距離Lbのテープ搬送を行うようにしてもよい。これにより、ユーザは、
図10(c)に示すように、筐体3Aの外部で切断具にて上記境界部位203を切断することで、互いに連続した3つの印字ラベルLを得ることができる。なお、3番目に生成される印字ラベル部Loの生成の際、前述と同様、第1テープ部分103aに対する「ABCD」の印字Rの形成の後に、境界部位203に対し、上記切断具での切断時の目印となるカットマークを印字するようにしてもよい(図示省略)。
【0089】
<CPUが実行する制御内容>
本変形例の上記手法を実現するために、ラベルプリンタ3の上記CPU111が実行する制御手順を、前述の
図8に対応する
図11のフローチャートより説明する。なお、このフローが実行される前に、予め、操作者により、上記操作端末2のタッチパネル17を用いて、印字ラベルLの作成数N及びそれぞれのラベル印字の内容は入力・設定済みである。そして、上記通信制御部208及び上記通信制御部15を介し操作端末2との通信が確立され、上記作成数N及び上記ラベル印字を含む印刷開始指令が操作端末2から受信されると、このフローが開始される。
【0090】
まず、ステップS2で、CPU111は、操作端末2から送信された印刷開始指令に含まれている、印字ラベルLの作成数Nを取得する。なお前述の例では、N=3の場合となっている。
【0091】
その後、ステップS30で、CPU111は、被印字テープ103への印字処理回数、言い替えれば作成した印字ラベル部Loの数、に対応するカウンタ変数Kを、1に初期化する。
【0092】
その後のステップS5、ステップS10は
図8と同様である。ステップS10がYES判定の場合は、
図8と同様のステップS15、ステップS20、ステップS25を経て、ステップS30で、CPU111は、前述の印刷開始指令に含まれた上記ラベル印字のうち、この時点のカウンタ変数Kの値に対応する印字内容を、被印字テープ103に形成する。上記ラベル印字は、前述の例では、「ABCD」の印字Rである。本変形例においても、このステップS30で実行される処理が、被印字媒体を切断対象としない場合における印字形成処理の一例に相当する。その後、本変形例においては、
図8におけるステップS35は省略され、ステップS40へ処理が移される。
【0093】
図8と同様のステップS40を経て、新たに設けたステップS42において、CPU111は、この時点における上記カウンタ変数Kの値が、ステップS2で取得された作成数Nに達しているか否かを判定する。K<NであればNO判定となり、ステップS43でKを1インクリメントした後、ステップS25に処理が移され、同様の手順が繰り返される。ステップS42においてK=NとなっていればYES判定となり、
図8と同様のステップS45、ステップS48、及びステップS50が実行されて、このフローを終了する。このとき、本変形例においても、ステップS45及びステップS48で実行する処理が、第1搬送処理の一例に相当し、ステップS50で実行される処理が、表示信号出力処理の一例に相当している。
【0094】
一方、上記ステップS10でNO判定された場合は、
図8と同様のステップS55、ステップS60を経て、ステップS60がYES判定されたら、新たに設けたステップS65へ処理を移す。
【0095】
ステップS65では、前述のステップS25と同様、CPU111は、テープ搬送を行いつつ印字ヘッド23を制御し、予め定められた形状、前述の例では三角形状の、カットマークCM3を被印字テープ103に形成する。その後、
図8と同様の、ステップS70、ステップS80、ステップS90を経て、新たに設けたステップS92へと処理が移される。なお本変形例においても、ステップS70の実行後、ステップS80がYES判定となるまでに実行される搬送量の搬送が、第2搬送処理の一例に相当している。
【0096】
ステップS92では、前述のステップS42と同様、CPU111は、この時点における上記カウンタ変数Kの値が、ステップS2で取得された作成数Nに達しているか否かを判定する。K<NであればNO判定となり、ステップS93でKを1インクリメントした後、ステップS55に処理が移され、同様の手順が繰り返される。ステップS92においてK=NとなっていればYES判定となり、
図8と同様のステップS95及びステップS98が実行されて、このフローを終了する。本変形例においても、ステップS95で実行する処理が切断処理の一例に相当する。
【0097】
<本変形例の効果>
以上説明したように、本変形例においては、N個(Nは2以上の整数)の印字ラベルLを作成する場合には、被印字テープ103が特殊テープであった場合には、ステップS25~ステップS40がN-1回繰り返されることで、1番目からN-1番目までの印字ラベルLが作成される。そしてその後、ステップS25~ステップS40、及び、ステップS45~ステップS48における距離Lbのテープ搬送が行われることで、N番目の印字ラベルLが作成される。なお、前述の例ではN=3の場合である。
【0098】
このように、本変形例においては、複数の印字ラベルLを連続して作成するいわゆる連続印刷を行う際において、一番最後に作成される印字ラベルLの生成の際に上記実施形態の手法を適用する。これにより、境界部位203が、筐体3Aの排出口3aから筐体3Aの外部に排出されたとき又は排出口3aの縁部に対向したときのタイミングで、テープ搬送を停止して位置決めする。この結果、前述と同様、ユーザは、筐体3Aの外部に又は筐体3Aの排出口3aの位置において露出している最後の印字ラベルLに関わる境界部位203を切断具で容易に切断することができ、利便性を向上することができる。
【0099】
(4)その他
以上においては、ラベルプリンタ3に有線あるいは無線による通信回線を介して操作端末2が接続されており、上記作成数Nや印刷内容を表す印刷データを含む印刷開始指令を操作端末2から受信して印字ラベルLが作成された。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ラベルプリンタ3に適宜に設けられた操作部に対する操作者の操作入力に基づき、上記作成数Nや上記印刷内容を表す印刷データを生成して用いる、いわゆるスタンドアローンタイプのラベルプリンタ3に上記の手法を適用してもよい。
【0100】
また、以上においては、基材テープ101とは別の被印字テープ103に印字を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、基材テープに備えられた被印字層又は受像層に印字を行う方式、すなわち貼りあわせを行わないタイプに本発明を適用してもよい。
【0101】
また、以上において、
図3に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。また、
図8、
図11に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0102】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0103】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0104】
2 操作端末
3 ラベルプリンタ(印刷装置の一例)
3A 筐体
3a 排出口
23 印字ヘッド(印字手段の一例)
40 カッタ(切断手段の一例)
103 被印字テープ(被印字媒体の一例)
103a 第1テープ部分(第1媒体部分)
109 印字済みラベル用テープ(被印字媒体の一例)
108 テープ送りローラ駆動軸(搬送手段の一例)
111 CPU(制御手段の一例)
203 境界部位