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特許73820423次元歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシンセシスイメージングシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】3次元歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシンセシスイメージングシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20231109BHJP
   A61B 6/02 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
A61B6/14 301
A61B6/02 351A
A61B6/02 351C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022077036
(22)【出願日】2022-05-09
(62)【分割の表示】P 2019512601の分割
【原出願日】2017-02-01
(65)【公開番号】P2022106930
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】62/333,614
(32)【優先日】2016-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518400147
【氏名又は名称】サラウンド メディカル システムズ インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】501345323
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジェンピン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ オットー ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】タッカー アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シャン ジン
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス ブライアン
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0359504(US,A1)
【文献】特表2003-525680(JP,A)
【文献】特開2016-040012(JP,A)
【文献】特表2009-533151(JP,A)
【文献】特表2010-527741(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046465(WO,A1)
【文献】特開2015-066344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0050298(US,A1)
【文献】特開2011-101745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定式口腔内トモシンセシスシステムを使用する3次元(3D)イメージングのための方法であって、
前記固定式口腔内トモシンセシスシステムの空間的に分散配置されたX線源アレイを患者の口の外側に配置するステップであって、前記空間的に分散配置されたX線源アレイは、1つまたは複数の焦点を含む、配置するステップと、
少なくとも1つのイメージングプロトコルに合わせて構成されたX線検出器ホルダを使用して前記患者の前記口の内側にX線検出器を配置するステップであって、前記X線検出器ホルダは、前記X線検出器ホルダの第1の端部上に配設された複数の磁石を備え、前記X線検出器ホルダの前記第1の端部は、前記患者の前記口の外側に位置する、配置するステップと、
第1のコリメータプレートをコリメータの第1の端部に、第2のコリメータプレートを前記コリメータの第2の端部に提供するステップであって、前記第2のコリメータプレートは、前記少なくとも1つのイメージングプロトコルに合わせて構成された前記X線検出器ホルダに位置合わせされうるように選択される、コリメータプレートを提供するステップと、
前記空間的に分散配置されたX線源アレイおよび前記コリメータを、前記第2のコリメータプレートを前記コリメータの前記第2の端部および前記X線検出器ホルダの前記第1の端部上に結合させることによって前記第2のコリメータプレートを介して前記X線検出器ホルダに結合させるステップと、
前記1つまたは複数の焦点の各々を予め設定された放射線量およびX線エネルギーに対して順次活性化させることによって1つまたは複数の視野角から前記患者の前記口の1つまたは複数のX線投影画像を取得するステップであって、前記1つまたは複数のX線投影画像は、2次元(2D)である、X線投影画像を取得するステップと、
前記1つまたは複数のX線投影画像をコンピューティングプラットフォームに転送するステップと、
1つまたは複数の反復再構成アルゴリズムを使用して、前記1つまたは複数のX線投影画像から、1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を再構成するステップと、
前記1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を処理し、前記1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を、前記コンピューティングプラットフォームに電気的に接続された1つまたは複数のモニタ上に表示するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つまたは複数の反復再構成アルゴリズムが、画像品質を向上させ、所与のサイズの前記X線検出器に合わせて視野を最大化する反復的な切捨てアーチファクト低減方法を実施することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つまたは複数のX線投影画像の少なくとも1つが収集された方向と同じまたは異なる方向である投影方向から1つまたは複数の合成X線投影画像を生成するステップを含み、前記1つまたは複数の合成X線投影画像は2次元(2D)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像および前記1つまたは複数の合成X線投影画像を同時に表示して、歯科疾患の特徴付けおよび診断を向上させるステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数のX線投影画像のシーケンスを異なる投影角度から表示して1つまたは複数の歯の間の近接した界面の視覚化を向上させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ンピュータを制御して固定式口腔内トモシンセシスシステムを使用する3次元(3D)イメージングのための方法を実行するコンピュータ実行可能命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
前記固定式口腔内トモシンセシスシステムの空間的に分散配置されたX線源アレイを患者の口の外側に配置するステップであって、前記空間的に分散配置されたX線源アレイは、1つまたは複数の焦点を含む、配置するステップと、
少なくとも1つのイメージングプロトコルに合わせて構成されたX線検出器ホルダを使用して前記患者の前記口の内側にX線検出器を配置するステップであって、前記X線検出器ホルダは、前記X線検出器ホルダの第1の端部上に配設された複数の磁石を備え、前記X線検出器ホルダの前記第1の端部は、前記患者の前記口の外側に位置する、配置するステップと、
第1のコリメータプレートをコリメータの第1の端部に、第2のコリメータプレートを前記コリメータの第2の端部に提供するステップであって、前記第2のコリメータプレートは、前記少なくとも1つのイメージングプロトコルに合わせて構成された前記X線検出器ホルダに位置合わせされうるように選択される、コリメータプレートを提供するステップと、
前記空間的に分散配置されたX線源アレイおよび前記コリメータを、前記第2のコリメータプレートを前記コリメータの前記第2の端部および前記X線検出器ホルダの前記第1の端部上に結合させることによって前記第2のコリメータプレートを介して前記X線検出器ホルダに結合させるステップと、
前記1つまたは複数の焦点の各々を予め設定された放射線量およびX線エネルギーに対して順次活性化させることによって、1つまたは複数の視野角から前記患者の前記口の1つまたは複数のX線投影画像を取得するステップであって、前記1つまたは複数のX線投影画像は、2次元(2D)である、X線投影画像を取得するステップと、
前記1つまたは複数のX線投影画像をコンピューティングプラットフォームに転送するステップと、
1つまたは複数の反復再構成アルゴリズムを使用して、前記1つまたは複数のX線投影画像から、1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を再構成するステップと、
前記1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を処理し、前記1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を、前記コンピューティングプラットフォームに電気的に接続された1つまたは複数のモニタ上に表示するステップと、を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記空間的に分散配置されたX線源アレイを、前記空間的に分散配置されたX線源アレイが取り付けられた自由度(DOF)装置によって規定された3つの独立した軸周りで回転させて、前記空間的に分散配置されたX線源アレイを前記患者の口に対して整列させるステップを含む、請求項6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願との相互参照
本特許出願は、その内容が参照により全体的に本明細書に組み込まれる、2016年5
月9日に出願された米国仮特許出願第62/333,614号明細書の優先権を主張する

[技術分野]
本明細書に開示する主題は、X線撮影に関する。より詳細には、本明細書に開示する主
題は、3次元歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシンセシスシステム、方法、
およびコンピュータ可読媒体に関する。
[背景技術]
歯科X線撮影は、過去数十年にわたって重要な変化を遂げている。しかし、より正確な
診断に用いるイメージング法の必要性が引き続き高い優先度を占めている。口腔内歯科用
X線は、レントゲンがX線放射を発見してからわずか1年後に導入された。その時以来、
歯科用イメージング技術の進歩には、より敏感な検出器技術、パノラマイメージング、デ
ジタルイメージング、およびコーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)が含まれて
いる。コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、超音波(US
)、および光学技術も、歯科用イメージングについて検討されている。
【0002】
口腔内X線撮影は、歯科用イメージングの主流である。これは、ほとんどの日常的な歯
科的必要性のために、比較的高い分解能、および限定された視野画像を提供する。しかし
、2次元(2D)イメージング様式として、この技術は、重なり合う構造の重畳、および
深さ寸法における空間情報の損失を被る。パノラマイメージングは、一般的な形態の口腔
外イメージングであり、単一の画像内に上顎、下顎、側頭下顎関節(TMJ)および関連
する構造全体を視覚化するが、かなりの幾何学的ゆがみを受け、口腔内X線撮影に比べて
空間分解能が比較的低い。3次元(3D)イメージング様式としてのCBCTは、特に歯
科インプラントおよび歯科矯正治療計画などの外科的計画手順、ならびに歯内および病的
状態の評価において、歯科分野で広く受け入れられている。しかし、2DX線撮影と比較
して、CBCTに関連するいくつかの欠点があり、その中には、金属歯科用修復物/器具
からの過剰なノイズおよびアーチファクトがあり、それによって画像品質を低下させる。
2DX線撮影と比較して、取得、再構成、および解釈の時間は大幅に増加し、それによっ
て臨床効率が低下し、財務コストが増加する。電離放射線量が著しく高くなり、それによ
って患者の放射線負荷を増加させる。
【0003】
多くの技術的進歩にもかかわらず、最も一般的な歯科的状態のいくつかのX線撮影診断
精度は長年改善されておらず、一部の場合、低いままである。例には、う歯検出、歯根破
折の検出、および歯周骨損失の評価が含まれる。
【0004】
う歯は最も一般的な歯科疾患である。世界保健機関(WHO)は、学校の子供の60%
~90%およびほぼすべての成人が、いくらかの時点でう歯を有していると推定している
。う歯病変が十分に早期に(例えば、キャビテーションの前に)検出された場合、それら
を非外科的手段によってはばみ、再石灰化することができる。う歯病変が検出されないま
ま進むと、大規模な修復、歯内療法、場合によっては抜歯が必要となり得るより深刻な状
態に発展する可能性がある。う歯の検出感度は、ここ数十年で大きな改善は見られていな
い。2次元口腔内X線撮影は、現在のゴールドスタンダードであり、象牙質内の病変では
40%~70%、エナメル質に限局した病変では30%~40%の範囲の感度が報告され
ている。CBCTは、う歯の検出に有意な改善をもたらさない。ビーム硬化アーチファク
トおよび患者の動きにより、構造の鮮明さおよび精細度が低下する。
【0005】
垂直歯根破折(VRF)の検出は、臨床的に重要な診断課題であり、歯の管理に重要な
影響を与える。VRFは、歯内治療に関連する最も不快な歯の状態の1つと考えられてい
る。VRFの全体的な検出は依然として貧弱なままである。初期の小根破折を検出するC
BCTの能力は、その比較的低い分解能によって限定される。さらに、過剰なビーム硬化
、ストリークアーチファクト、およびノイズの結果、感度の有意な低下および偽陽性歯根
破折診断の増加が生じる。
【0006】
歯科用X線撮影は、歯の予後を評価し、歯周病に関連する治療決定を行うための重要な
情報を提供する。現在、2次元口腔内X線撮影が歯科用イメージングの主流である。これ
は、ほとんどの日常的な歯科的必要性のために、限定された視野を有する比較的高い分解
能画像を提供する。しかし、この技術は、3D対象物の2D表現により、限定される。2
D画像の結果、重なり合う構造の重畳、および深さ寸法における空間情報の損失を生じさ
せる。その結果、重要な寸法関係が不明瞭になり、観察される鮮明さが低下し、対象とな
る対象物が失われ、病理学的コントラストが低下する。一方、パノラマイメージングは、
一般的な形態の口腔外イメージングであり、上顎、下顎、側頭下顎の関節および関連する
構造全体を単一の走査で視覚化する。これはかなりの幾何学的歪みを受けやすく、口腔内
x撮影と比較して空間分解能が比較的低い。
【0007】
これらの診断課題は、高分解能、3D能力、金属アーチファクト感度の低減、および患
者への放射線負荷の低減を伴う診断イメージングシステムの臨床的必要性を示している。
デジタルトモシンセシスイメージングは、限定された角度の一連の投影イメージから再
構成スライス画像を提供する3Dイメージング技術である。デジタルトモシンセシスは、
上に重なる正常な解剖学的構造からの視覚的クラッタを低減することによって、解剖学的
構造の可視性を改良する。現在の臨床トモシンセシスの用途のいくつかの例には、胸部、
腹部、筋骨格および乳房のイメージングが含まれる。
【0008】
1990年代後半に、歯科用イメージングのために、トモシンセシス技術のバリエーシ
ョン、いわゆるTuned Aperture Computed Tomograph
y(TACT)が、検討された。TACTは、従来のX線撮影と比較して、多くのタスク
の診断精度を大幅に改善した。これらの改善には、歯根骨折の検出、歯周骨損失の検出お
よび定量化、インプラント部位評価、および埋没した第3臼歯の評価が含まれていた。し
かし、う歯の結果は確定的ではなかった。
【0009】
TACTは、その技術が患者のイメージングには実用的ではなかったため、臨床的に採
用されなかった。従来のX線管は、固定された点(焦点)からX線が放射される単一画素
装置である。複数の投影画像を取得するために、X線源が、患者の周りで機械的に移動さ
れた。イメージングジオメトリを決定するために基準マーカが使用された。このプロセス
は時間がかかり(例えば、1回の走査につき約30分)、画像取得を達成するために操作
者の高い技能を必要とした。X線源の機械的動作によるイメージングジオメトリのパラー
メータおよび長いイメージング取得時間を正確に決定することの難しさにより、TACT
は非実用的となる。単一のX線源を使用する3D口腔内イメージングのためのTACTの
いずれのリエーションも、同様の欠点および不利点を有する。
【0010】
口腔外トモシンセシスは、実験的装置を用いる、ならびにCBCTを用いる患者の研究
において検討されてきている。口腔外ジオメトリは、高い放射線量を必要とした。画像の
品質は、焦点外れ構造のクロストークによって損なわれた。高放射線量を避けるために、
単一の機械的走査X線源を使用する口腔内トモシンセシスが特許文献において説明されて
おり、最近の刊行物では単一の従来のX線源および回転ファントムを用いて検討されてい
る。残念なことに、TACTについて上述した制約は、これらの方法においても同じであ
り、従来の単一焦点X線管によって主に引き起こされる
したがって、従来の2D口腔内歯科用イメージングと同じ空間分解能を有する3D歯科
画像を患者に対して同等の放射線量で迅速に得ることができる、3D歯科用イメージング
のための固定式口腔内トモシンセシスシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体が必
要とされている。
[発明の概要]
本開示の主題は、1つまたは複数の2次元(2D)X線投影画像から、対象物の3次元
(3D)トモシンセシス画像、特に患者の歯の画像を生成することに関する。
【0011】
本明細書の主題の1つの態様によれば、対象物の3次元(3D)イメージングのための
固定式口腔内トモシンセシスシステムであって、1つまたは複数の焦点を含む空間的に分
散配置されたX線源アレイと、関節アームの第1の端部において空間的に分散配置された
X線源アレイに取り付けられた自由度(DOF)装置であって、関節アームの第1の端部
が対象物の最も近くに位置する、自由度(DOF)装置と、電源と、空間的に分散配置さ
れたX線源アレイを制御するように構成された制御電子機器とを備える制御ユニットであ
って、関節アームの第2の端部に取り付け可能であり、関節アームの内側を通ってまたは
これに沿って電気ケーブルを介して空間的に分散配置されたX線源に接続され、壁または
表面に装着可能である、制御ユニットと、1つまたは複数のX線投影画像を記録するよう
に構成された口腔内検出器であって、1つまたは複数のX線投影画像の各々は、空間的に
分散配置されたX線源アレイの1つまたは複数の焦点の対応する焦点から放射されたX線
放射によって生成される、口腔内検出器と、空間的に分散配置されたX線源アレイと、患
者との間に配設されたコリメータであって、空間的に分散配置されたX線源アレイをX線
検出器に結合させ、空間的に分散配置されたX線源アレイの1つまたは複数の焦点から放
射されたX線放射を、X線センサとしても知られている口腔内検出器によって画定された
共通領域に制限するように構成される、コリメータとを備える、固定式口腔内トモシンセ
シスシステムが、提供される。
固定式口腔内トモシンセシスシステムは、トモシンセシス再構成を実行して、コンピュー
ティングプラットフォームを使用して1つまたは複数のX線投影画像を使用して1つまた
は複数の3D画像を生成するように構成される。
【0012】
本明細書の主題の別の態様によれば、固定口腔内トモシンセシスシステムを使用する3
Dイメージングのための方法であって、固定式口腔内トモシンセシスシステムの空間的に
分散配置されたX線源アレイを患者の口の外側に配置するステップであって、空間的に分
散配置されたX線源アレイは、1つまたは複数の陽極上に空間的に分散配置された1つま
たは複数の焦点を含む、配置するステップと、少なくとも1つのイメージングプロトコル
に合わせて構成されたX線検出器ホルダを使用して患者の口の内側にX線検出器を配置す
るステップであって、X線検出器ホルダは、X線検出器ホルダの第1の端部上に配設され
た複数の磁石を備え、その第1の端部は、患者の口の外側に位置する、配置するステップ
と、第1のコリメータプレートをコリメータの第1の端部に、第2のコリメータプレート
をコリメータの第2の端部に提供するステップであって、第2のコリメータプレートは、
少なくとも1つのイメージングプロトコルに合わせてX線検出器ホルダの1つまたは複数
の様相に対応するように選択される、提供するステップと、空間的に分散配置されたX線
源アレイおよびコリメータを、第2のコリメータプレートをコリメータの第2の端部およ
びX線検出器ホルダの第1の端部上に結合させることによって第2のコリメータプレート
を介してX線検出器ホルダに結合させるステップと、1つまたは複数の焦点の各々を予め
設定された放射線量およびX線エネルギーに対して順次活性化させることによって1つま
たは複数の視野角から患者の口の1つまたは複数のX線投影画像を取得するステップであ
って、1つまたは複数のX線投影画像は、2次元(2D)である、取得するステップと、
1つまたは複数のX線投影画像をコンピューティングプラットフォームに転送するステッ
プと、1つまたは複数の反復再構成アルゴリズムを使用して、1つまたは複数のX線投影
画像から、1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を再構成するステップと、1つまた
は複数の3Dトモシンセシス画像を処理し、1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を
、コンピューティングプラットフォームに電気的に接続された1つまたは複数のモニタ上
に表示するステップとを含む、方法が、提供される。
【0013】
本明細書の主題のさらに別の態様によれば、コンピュータのプロセッサによって実行さ
れると、コンピュータを制御して方法を実行するコンピュータ実行可能命令を含む非一時
的コンピュータ可読媒体であって、この方法は、固定式口腔内トモシンセシスシステムの
空間的に分散配置されたX線源アレイを対象物の第1の側、または患者の口の外側に配置
するステップであって、空間的に分散配置されたX線源アレイは、1つまたは複数の焦点
を含む、配置するステップと、少なくとも1つのイメージングプロトコルに合わせて構成
されたX線検出器ホルダを使用して対象物の第2の側、または患者の口の内側にX線検出
器を配置するステップであって、X線検出器ホルダは、X線検出器ホルダの第1の端部上
に配設された複数の磁石を備え、その第1の端部は、対象物の第1の側、または患者の口
の外側に位置する、配置するステップと、第1のコリメータプレートをコリメータの第1
の端部に、第2のコリメータプレートをコリメータの第2の端部に提供するステップであ
って、第2のコリメータプレートは、少なくとも1つのイメージングプロトコルに合わせ
てX線検出器ホルダの1つまたは複数の様相に対応するように選択される、提供するステ
ップと、空間的に分散配置されたX線源アレイおよびコリメータを、第2のコリメータプ
レートをコリメータの第2の端部およびX線検出器ホルダの第1の端部上に結合させるこ
とによって第2のコリメータプレートを介してX線検出器ホルダに結合させるステップと
、1つまたは複数の焦点の各々を予め設定された放射線量およびX線エネルギーに対して
順次活性化させることによって1つまたは複数の視野角から対象物または患者の口の1つ
または複数のX線投影画像を取得するステップであって、1つまたは複数のX線投影画像
は、2次元(2D)である、取得するステップと、1つまたは複数のX線投影画像をコン
ピューティングプラットフォームに転送するステップと、1つまたは複数の反復再構成ア
ルゴリズムを使用して、1つまたは複数のX線投影画像から、1つまたは複数の3Dトモ
シンセシス画像を再構成するステップと、1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を処
理し、1つまたは複数の3Dトモシンセシス画像を、コンピューティングプラットフォー
ムに電気的に接続された1つまたは複数のモニタ上に表示するステップとを含む、非一時
的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0014】
本明細書に開示する主題の態様の一部は、本明細書の上記で述べられており、ここで開
示する主題によって全体的または部分的に達成されるが、他の態様が、添付の図面に関連
して取り上げられながら説明が進むにつれて明確になり、これは本明細書の以下において
最適に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の主題の特徴および利点は、単に説明的かつ非限定的な例として与えられる添付
の図面と併せて読むべきである以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
図1図1は、本明細書の開示による、X線源とX線検出器との間の固定されたリンク機構を有する口腔内トモシンセシスシステムの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図2A図2Aは、本明細書の開示による、図1のX線源とX線検出器との間の固定されたリンク機構を示す上面図である。
図2B図2Bは、本明細書の開示による、X線源とX線検出器との間のレセプタクルを示す上面斜視図である。
図3図3Aは、本明細書の開示による、口腔内トモシンセシスシステムのためのジオメトリ較正装置の例示的実施形態を示す正面斜視図であり、図3Bは、本明細書の開示による、図3Aのジオメトリ較正装置の例示的な実施形態を示す後面斜視図である。
図4図4は、本明細書の開示による、図3A図3Bの例示的なジオメトリ較正装置を使用してトモシンセシスイメージングジオメトリを決定するためのプロセスを示す例示的な画像キャプチャである。
図5図5A図5B図5C及び図5Dは、本明細書の開示による、口腔内トモシンセシスシステムのための例示的なジオメトリ較正装置を示す概略図である。
図6図6A図6B及び図6Cは、本明細書の開示による、図5A図5Dのジオメトリ較正装置を使用する例示的な光パターンを示す概略図である。
図7図7は、本明細書の開示による、口腔内トモシンセシスシステムのためのジオメトリ較正装置の例示的な実施形態を示す概略図である。
図8図8は、本明細書の開示による、例示的なコンピューティングプラットフォームとインターフェース接続する3次元(3D)歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシンセシスシステムの例示的な実施形態を示す概略システム図である。
図9図9は、本明細書の開示による、一方の端部に自由度装置を有する関節アームと、別の端部に電子機器および電源を有する3D歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシンセシスシステムの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図10図10は、本明細書の開示による、X線センサおよび/または検出器のための例示的なホルダの実施形態を示す斜視図である。
図11図11A及び図11Bは、本明細書の開示による、図10の検出器ホルダのコリメータへの磁気結合の例示的な実施形態を示す詳細斜視図である。
図12図12は、本明細書の開示による、第1のX線制限コリメータプレートおよび第2のX線制限コリメータプレートを有するコリメータの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図13図13は、本明細書の開示による、図12の第1のX線制限コリメータプレートを示す斜視図である。
図14図14は、本明細書の開示による、各焦点から検出器領域にX線ビームをコリメートする例示的なコリメータの概略図である。
図15図15は、本明細書の開示による、3自由度の回転を有する自由度装置の例示的な実施形態の斜視図である。
図16図16は、本明細書の開示による、線形X線源アレイの例示的な実施形態を示す斜視図である。
図17図17Aは、本明細書の開示による、走査方向が根元-歯冠方向に実質的に垂直であるような、X線センサおよび/または検出器の例示的な実施形態に対する線形X線源アレイの相対的な配向の概略図であり、図17Bは、本明細書の開示による、走査方向が根元-歯冠方向に実質的に平行であるような、X線センサおよび/または検出器の例示的な実施形態に対する線形X線源アレイの相対的な配向の概略図である。
図18図18は、本明細書の開示による、合成2次元(2D)口腔内画像の作成および表示を含む、固定式口腔内トモシンセシスシステムを使用する3D歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシンセシス方法の例示的な実施形態のフローチャートを使用する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の主題は、3次元(3D)歯科用イメージング用途のための固定式口腔内トモシ
ンセシスシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体に関するが、そのような固定式口
腔内トモシンセシスシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体が、歯科用イメージン
グ以外の用途に使用されてもよいことが当業者によって理解されるであろう。例えば、本
明細書に説明するシステムは、参照によって本明細書に全体が組み込まれる米国特許第7
,751,528号明細書に開示されているような固定式デジタル乳房トモシンセシス(
s-DBT)システムの形で改変されてよい。特に、s-DBTシステムの固定式設計は
、X線管の動作によって引き起こされる画像ぼやけを排除することによってシステムの空
間分解能を増大させる。また、高フレームレート検出器と統合して患者の動作および圧縮
下の不快感を最小限に抑えることで、より高速の走査時間が達成される。機械的動作の制
約がないs-DBTシステムの固定式設計は、走査時間を変更することなく、より深い分
解能のためのより広い角度のトモシンセシス走査も可能にする。
【0017】
いくつかの態様では、本明細書に説明する固定式口腔内トモシンセシスシステム、方法
、およびコンピュータ可読媒体は、歯科用イメージング用途に使用される。詳細には、固
定式口腔内トモシンセシスシステムは、患者の口の内側に置かれたX線検出器を使用する
口腔内イメージング用途に使用され得る。他の態様では、固定式トモシンセシスシステム
は、患者の口の外側に置かれたX線検出器を使用する口腔外イメージング用途に使用され
てもよい。
【0018】
いくつかの態様では、固定式口腔内トモシンセシスシステム、方法、およびコンピュー
タ可読媒体は、二重エネルギー用途で利用され得る。例えば、撮像される各対象物につい
て、2つの完全な組のX線投影画像を収集することができる。第1の組は第1のX線エネ
ルギーで収集することができ、第2の組は第2のX線エネルギーで収集することができ、
このとき第1のX線エネルギーは第2のX線エネルギーとは異なる。1つのこのような態
様によれば、2組のX線画像が2つの異なるX線陽極電圧で収集され、次いで、処理され
、再構成され、および減算されて、例えばう歯などの特定の特徴に対するコントラストを
強調する。別のそのような態様によれば、各視角において、第1のX線エネルギーで1つ
および第2のX線エネルギーで他のものの2つの投影画像を取得することができる。
【0019】
したがって、本開示の主題は、3D歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシン
セシスシステム、方法、およびコンピュータ可読媒体を提供する。いくつかの実施形態に
よれば、3D歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシンセシスシステム、方法、
およびコンピュータ可読媒体は、X線源と、患者の口の内部に配置するためのX線検出器
と、ジオメトリ較正装置と、X線源、X線検出器、または関心領域(ROI)を移動させ
ることなく患者の口(例えば、歯)内の対象物のROIの複数の投影図を得るための制御
電子機器とを含むことができる。図1は、全体的に100で示す口腔内トモシンセシスシ
ステムの1つのそのような実施形態を示す。システム100は、全体的に110で示すX
線源と、X線検出器120と、全体的に130で示す制御ユニットと、全体的に140で
示すコリメータと、X線検出器ホルダ150とを備えることができる。いくつかの態様で
は、システム100は、不動であるように装着されてよい。例えば、システム100は、
天井、壁などから装着することができる。他の態様では、システム100は移動可能であ
ってもよい。例えば、システム100は車輪を含むことができ、移動カート上、ハンドト
ラック上、スタンド上などに置かれてよい。図1は、全体的に104で示す機械的アーム
を使用する、システム100が取り付けられた全体的に102で示す移動カートを示す。
機械的アーム104は、撮像される対象物周りのシステム100の位置を調節するために
、ピボットまたはヒンジジョイント周りで回転式におよび/または軸方向に移動可能であ
ってよい。したがって、移動カート102および機械的アーム104を使用することによ
って、システム100は、対象物に対する最適な配置のために自由に移動および回転する
ことができる。任意選択により、移動カート102は、イメージングのために電力を供給
することができる充電式バッテリ(図示せず)を備えることができ、それにより、システ
ム100に給電するための電気コードおよび/またはワイヤの必要性を低減する。
【0020】
X線源110は、対象物(例えば、患者の歯)のROIが置かれる場所または位置に向
かってX線ビーム(例えば、図2Aの108)を向けるように構成することができる。X
線ビームは、いくつかの異なる角度からその場所または位置に向けることができる。さら
に、X線源110、X線検出器120および対象物は、生成されたX線ビームがX線検出
器120によって検出されるように配置することができる。いくつかの態様では、X線源
110は、生成されたX線ビームが実質的に対象物に向けられ、対象物のROIを通過で
きるように配置された空間的に分散配置されたX線源アレイ(例えば、図3Aの310)
を備えることができる。いくつかの態様では、対象物の異なるROIを1つまたは複数の
イメージングセッション中に撮像することができるため、この対象物のROIは変化する
ことができる。
【0021】
いくつかの態様では、X線源110のX線源アレイは、線形アレイとして分散配置され
た複数の個々にプログラム可能なX線画素(例えば、図3Aの312)を含むことができ
る。代替的に、X線画素は、X線源110に沿って、非線形的に、例えば、円弧、円周、
多角形、2次元マトリックスなどに分散配置されてよい。いくつかの態様では、アレイ内
のX線画素は、対象物のROIに向かってX線ビームを向けるために、均一に離間され、
および/または傾斜されてよい。いずれにせよ、X線画素は、X線ビームが実質的に対象
物に向けられ、X線検出器120によって検出されるように任意の適切な位置に配置され
得る。特に、X線源110およびX線検出器120は、X線源110による対象物の照射
中およびX線検出器120による検出中に互いに対して固定することができる。X線源1
10は、所定のドウェルタイムおよび所定のX線量レベルに対して順次活性化する(例え
ば、一度に1つの画素が活性化される)ように(例えば、制御ユニット130によって)
制御することができる。
【0022】
いくつかの態様では、X線源110のX線源アレイは、例えば、10個から100個の
画素の間、特に25個の画素を含むことができる。各画素は、例えばXinRay Sy
stems Inc.を含む製造業者から市販されているもののような、例えばカーボン
ナノチューブ(CNT)電界放射ベースの陰極と、電子を抽出するためのゲート電極と、
電界放射電子をターゲット(例えば、陽極)上の小さな領域または焦点に集束させるため
の1セットの電子集束レンズ(例えば、Ein-Zel型静電集束レンズ)とを含むこと
ができる。特に、CNT陰極は冷陰極であり、瞬時にオンおよびオフを切り替えることが
できる。このようにCNT陰極を使用することにより、熱陰極(例えば、陰極線管、マイ
クロ波管、X線管など)に基づく従来の真空電子機器と比較して、X線源110のウォー
ムアップ時間および発熱を低減することができる。代わりに、各画素は、熱陰極、光電陰
極などを含むことができる。
【0023】
いくつかの態様では、X線源画素が円弧ではなく検出器平面に平行に線形に配置されて
いる場合、画素からX線源までの距離は画素ごとに変化し得る。X線ビーム進行距離のこ
のような変動を補償するために、各画素からのX線管電流は、ファントム表面における磁
束強度が同じままであるように、(例えば、制御ユニット130によって)個々に制御さ
れ、調節され得る。
【0024】
X線源110のX線源アレイの各画素によって生成された焦点および/またはX線フラ
ックスのサイズは、制御ユニット130によって調節され得る。焦点は、約0.05mm
から2mmのサイズの範囲であることができる。システム100は、各X線源画素に対し
て等方的な0.2×0.2mm有効焦点サイズに合わせて設計され得る。個々の焦点サイ
ズは、集束電極の電位(例えば、電圧)を調節することによって調節され得る。電流の変
動および遅延を最小限に抑え、また画素ごとのばらつきを低減するために、電気補償ルー
プを組み込んで、ゲート電圧を自動的に調節して一定の予め設定された放射電流を維持す
ることができる。CNT陰極の面積は、0.2×0.2mmの有効焦点サイズで約10m
AのピークX線管電流を得ることができるように選択することができる。特に、CNT面
積および焦点サイズを増大させることにより、50~100mAのより高いX線ピーク電
流を得ることができる。
【0025】
いくつかの態様では、X線検出器120は、投影画像の口腔内または口腔外検出に合わ
せて構成することができる。例えば、X線検出器120は、患者の口の内部の患者の歯の
背後に配置されるように構成された口腔内X線検出器を備えることができる。X線検出器
120は、毎秒1から100フレーム(例えば、ヘルツ)程度の高速フレームレートを含
むことができる。X線検出器120はまた、対象物(例えば、患者の口内の歯)の投影画
像を検出するために、10×10ミクロンから200×200ミクロンの範囲内の画素サ
イズを有する高空間分解能を含むこともできる。
【0026】
X線検出器120は、トモシンセシスのために異なる角度から対象物の投影画像を収集
するように構成することができる。そうするために、システム100のハウジング132
内に格納され得る制御ユニット130は、本明細書に説明するような、(例えば真空室内
の1つまたは複数の陽極上の)X線源110の領域上に空間的に分散配置された電子放射
画素のX線源アレイを、所定の照射時間、放射線量、X線エネルギーに合わせて順次活性
化させ、各焦点からのX線フラックスの強度を調節するように構成することができる。X
線源110は、X線検出器120と電子的にインターフェース接続することができ、それ
により、各焦点から生じる放射線から投影画像が記録される。特に、制御ユニット130
は、X線源110のX線源アレイと対象物との間の距離に基づいて、各焦点からの放射線
を直接読み取り、X線管電流を読み取り、または陰極電流を読み取ることによってX線放
射の強度を変化させることができる。このようにして、あらゆる視角から対象物に送り出
されるX線量は、実質的に同じである。
【0027】
いくつかの態様では、各焦点のサイズおよび/またはX線源110によって生成された
X線フラックスは、制御ユニット130によって調節され得る。例えば、制御ユニット1
30は、X線源110が各焦点に対して最大100kVpおよび最大10~20mAの管
電流で、また0.1mmから1.5mmの範囲の焦点サイズでは、カーボンナノチューブ
面積および焦点サイズを増大させることによって50~100mAのより高いX線ピーク
電流で作動されるように調整することができる。いくつかの態様では、制御ユニット13
0は、集束電極の電位を調節することによって個々の焦点サイズを調節することもできる
。いくつかの態様では、制御ユニット130は、電気補償ループを組み込んでゲート電圧
を調節して一定の予め設定された放射電流を維持することによって、電流変動を最小限に
抑え、画素間のばらつきを低減することができる。
【0028】
コリメータ140は、X線源110の窓と検出器120との間に置かれて、X線放射を
対象物のROIに制限することができる。いくつかの態様では、コリメータ140の第1
の端部をX線源110に固定することができ、コリメータ140の第2の端部は、検出器
120の方向に折り畳み可能および/またはテーパー状に構成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、機械的固定具(例えば、X線検出器ホルダ150)は、既知
の固定された位置でX線源110をX線検出器120に接続して取り付けることができる
。したがって、常に、X線検出器120に対するX線源110の位置が知られ、維持され
得る。代替的に、X線検出器120に対するX線焦点の位置は、X線検出器120とX線
源110との間の物理的接続によって決定される必要はない。その代わりに、ジオメトリ
較正装置を利用して、X線検出器120に対するX線源110の位置を決定し、それによ
ってX線検出器120に対するX線焦点の位置を検出することができる。
【0030】
次に図2Aを参照すると、システム100のより詳細な図が示されている。特に、X線
源110とX線検出器120とX線検出器ホルダ150との間の関係がより詳細に示され
ている。図2Aに示すように、X線検出器ホルダ150は、互いに既知の距離でX線源1
10をX線検出器120に固定する。いくつかの態様では、X線検出器ホルダ150の第
1の端部はX線源110に固定され、X線検出器ホルダ150の第2の端部はX線検出器
120に固定される。いくつかの態様では、X線源110のX線源アレイは、複数の画素
を含み、そのそれぞれは、既知の場所に配置され、対象物に向かって内方向に既知の角度
を指すように設定される。したがって、X線源110およびX線検出器120が互いに固
定された距離をおいて配設されるとき、X線検出器120に対してX線源アレイ画素によ
って生成される焦点の正確な位置は既知である。
【0031】
例えば、図2Aでは、X線源110とX線検出器120とは、X線検出器ホルダ150
によって距離Dだけ固定的に分離される。この例では、X線源110は線形X線源アレイ
を備え、X線源検出器120は、患者の、全体的に106で示す歯を撮像するために患者
の口内に置くための口腔内検出器として構成される。X線検出器120は、歯106の特
定のROIの背後に配置されてよい。したがって、X線源110が活性化されると、全体
的に108で示すX線ビームが生成されて歯106のROIを通ってX線検出器120に
投影され得る。距離Dは固定された既知の量であるので、X線検出器120に対してX線
源アレイ画素によって生成された焦点の正確な位置は既知である。このようにして、2D
投影画像の3D画像への再構成を改良することができる。
【0032】
図2Bを参照すると、X線検出器ホルダ150を使用する代替策が示されている。詳細
には、X線源(例えば、110)をX線検出器(例えば、120)に互いに既知の距離で
接続するために、全体的に200で示す装置を利用することができる。いくつかの態様で
は、装置200は、レセプタクル210を備えることができ、このレセプタクルは、X線
源に取り付け可能であり、X線検出器に取り付け可能な連結アーム220と連結可能であ
る。装置200が口腔内トモシンセシスシステム(例えば100)で使用される場合、レ
セプタクル210はX線源(例えば110)に取り付け可能であってよく、連結アーム2
20と磁気的に連結されてよく、この連結アームは、患者の口の中に配置された口腔内X
線検出器(例えば、120)に取り付け可能であってよい。
【0033】
いくつかの態様では、レセプタクル210は、任意の適切な材料、例えば、任意の金属
または金属材料(例えば、アルミニウム(Al)、鋼、鉄(Fe)、その合金など)、任
意の非金属材料(例えばプラスチック、ポリマーなど)、非磁性材料、磁性材料、および
/またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。レセプタクル210は、X線源
に取り付けるように構成された金属レセプタクルを含むことができる。レセプタクル21
0は、X線源アレイからのX線放射をコリメートすることを可能にするために、全体的に
212で示す中空内部を含むことができる。連結アーム220に取り付けるために、レセ
プタクル210は、外側側面に沿って配設された、全体的に214で示す傾斜チャネルを
含むことができる。チャネル214は、レセプタクル210の全長に沿って配設すること
ができ、連結アーム220の長手方向部分222の隆起した内面228を受け入れるよう
に対応して寸法設定し、成形することができる。
【0034】
いくつかの態様では、連結アーム220は、任意の適切な材料、例えば、任意の金属ま
たは金属材料(例えば、アルミニウム(Al)、鋼、鉄(Fe)、その合金など)、任意
の非金属材料(例えばプラスチック、ポリマーなど)、非磁性材料、磁性材料、および/
またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。例えば、連結アーム220は、磁
性長手方向部分222と、エルボー224と、X線検出器ホルダ226とを備えることが
できる。エルボー224の第1の端部は、長手方向部分222の一方の端部に向かって配
設され、長手方向部分から垂直に延びることができ、それによって長手方向部分と直角を
形成する。X線検出器ホルダ226は、エルボー224の第2の端部に配設可能であり、
X線検出器(例えば、120)を固定的に保持するように構成することができる。X線検
出器が口腔内X線検出器である場合、X線検出器ホルダ226は、患者の口内に口腔内X
線検出器を固定して配置するように構成することができる。
【0035】
連結アーム220の長手方向部分222は、レセプタクル210のチャネル214内に
取り外し可能に受け入れられるようにサイズ設定し、成形することができる隆起した内面
228を含むことができる。いくつかの態様では、連結アーム220は、磁気取付具を介
して、レセプタクル210に取り付けられるように、およびレセプタクル210から外れ
るように移動されるように構成することができる。例えば、磁気取付具は、チャネル21
4および長手方向部分222の隆起した内面228の一方または両方の長さに沿って設け
られた、全体的に216で示す金属接点を含むことができる。金属接点216は、チャネ
ル214と内面228との間の整列および連結の精度に関する即時のフィードバックを提
供するように構成することができる。加えて、このような接点216は、装置220の迅
速な解放機能を可能にすることができ、これは、例えば患者が突然動く場合に有用になり
得る。
【0036】
次に図3A図3Bを参照すると、X線源310およびX線検出器320を備える口腔
内トモシンセシスシステムで使用するための、全体的に300で示すジオメトリ較正装置
の第1の例示的な実施形態が示される。ジオメトリ較正装置300は、例えば、プレート
またはスクリーン330と、少なくとも1つの光源340と、カメラ350と、少なくと
も1つのジャイロスコープ360、または配向および回転を計算および/または検出する
ように構成された任意の他の装置とを備えることができる。
【0037】
いくつかの態様では、X線源310とX線検出器320とが物理的に互いに連結されて
いない実施形態であっても、X線源310に対するX線検出器320の位置は固定され得
る。例えば、図3Aおよび図3Bでは、X線源310およびX線検出器320が、図1
図2BのX線検出器ホルダ150のような機械的リンク機構によって物理的に分離されて
おらず、X線源のX線検出器に対する固定位置を別の形で維持できることを示している。
そうではなく、X線源310およびX線検出器320は、X線源310に対するX線検出
器320の相対位置をジオメトリ較正技術によって動的に決定できるように互いに物理的
に分離されてもよく、これは以下でより詳細に説明される。
【0038】
いくつかの態様では、X線源310は、個々にプログラム可能なX線画素314を含む
、全体的に312で示すX線源アレイ312を含むことができる。図3Aの例示的な実施
形態に示すように、5から20個の画素314は、実質的に線形アレイとして分散配置さ
れてよく、X線をX線検出器320に投影するように構成されてよく、それによって対象
物(例えば、患者の歯)のROIの投影画像を生成する。しかし、X線源310およびX
線検出器320は互いに物理的に連結されていないので、X線源310に対するX線検出
器320の位置を幾何学的に較正するためにジオメトリ較正装置300を利用することが
できる。
【0039】
いくつかの態様では、少なくとも1つの光源340は、X線源310に対するプレート
330の並進位置を決定するために、全体的に342で示す光ビームをプレート330上
に投影して、全体的に344で示す光点を生成することができる。いくつかの態様では、
X線検出器320をプレート330に物理的に連結することができる。例えば、クロスバ
ー322を使用して、X線検出器320をプレート330に固定することができる。クロ
スバー322は、例えば、約2cmから20cmの間の長さを有することができる。いく
つかの態様では、クロスバー322の長さを調節することができる。プレート330は、
例えば、約5cmおよび20cmからの大凡の寸法を有する、紙、プラスチック、金属ま
たはそのような材料の任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの態様では、クロ
スバー322は、プレート330が、X線検出器320がある平面に平行な平面内にある
ように、プレート330をX線検出器320に固定することができる。他の態様では、プ
レート330は、X線検出器320に対して傾斜していてもよい。
【0040】
いくつかの態様では、検出器320が口腔内X線検出器として構成される場合、プレー
ト330は患者の口から突出することができる。こうして、プレート330を既知の固定
された距離でX線検出器320に連結することができるため、X線源310に対するプレ
ート330の角度および並進位置の決定により、X線源310に対するX線検出器320
の位置を決定することができる。
【0041】
いくつかの態様では、少なくとも1つの光源340が、プレート330上に投影するこ
とができる。例えば、少なくとも1つの光源340は、プレート330上に投影するよう
に構成された低出力レーザまたは他の光、例えば650nmの波長を有する5mWレーザ
ポインタを備えることができる。少なくとも1つの光源340は、X線源310および/
またはコリメータに装着されるか、または別の形で取り付けられてよい。図3A図3B
に示すように、図示する実施形態は4つの光源340を有し、それぞれは、X線源310
の別個のコーナに配置されている。4つの光源340の各々は、プレート330に向かっ
て傾斜されて、プレート330上に光ビーム342を投影し、それによって4つの別個の
光点344(例えば図4の344A~Dを参照)を生成することができる。4つの光源3
40の各々がプレート330に向けられる入射角に応じて、光点344は、矩形、正方形
、三角形、または任意の他の形状を形成することができ、このとき各投影された光ビーム
342は、そのような投影された形状のコーナ頂点を形成する光点344を生み出す。い
くつかの態様では、各光源340がX線源310上に装着される入射角は既知であってよ
く、X線源310に対するプレート330の並進位置を決定するために使用することがで
きる。特に、このようにして少なくとも1つの光源340を配置した結果、プレート33
0上の投影された光ビーム342から生み出された光点344によって形成される形状は
、プレート330がX線源310から遠ざかるにつれて小さくなり、プレート330がX
線源310に近づくにつれて大きくなる。
【0042】
いくつかの態様では、カメラ350は、プレート330上の投影された光点344の位
置を記録してX線源310に対するプレート330の並進位置を決定することができる。
いくつかの態様では、カメラ350は、対象物またはシステムの意図しない動きがある場
合、撮像手順中に動作追跡および補正を提供するように構成することもできる。カメラ3
50は、例えばX線源310またはコリメータ(図示せず)上の既知の位置に装着され得
る高分解能の高速デジタルカメラを含むことができる。図3A図3Bに示すように、カ
メラ350は、X線源310の上面かつX線源310の正面縁に隣接して中央に装着され
得る。いくつかの態様では、カメラ350は、キャプチャされた写真画像をコンピューテ
ィングプラットフォーム(例えば、図8の804を参照)に送信することができる。例え
ば、カメラ350は、プレート330上の光点344の位置をキャプチャする写真画像を
コンピューティングプラットフォームに送信して、X線源310に対するプレート330
の並進位置を決定し、それによってX線源310に対するX線検出器320の位置を決定
することができる。
【0043】
いくつかの態様では、少なくとも1つのジャイロスコープ360が含まれて、X線源3
10に対するプレート330の角度位置を決定することができる。例えば、少なくとも1
つのジャイロスコープ360は、例えばParallax Inc.を含む製造業者から
市販されているParallax Gyroscope Module 3軸 L3G4
200Dを含むことができる。したがって、X線源310に対するプレート330の角度
位置を決定することは、いくつかの技術のうちの1つで達成することができる。例えば、
第1の技術は、第1のジャイロスコープ360をX線源310に、第2のジャイロスコー
プ(図示せず)をプレート330に装着することと、コンピューティングプラットフォー
ムにおいて各ジャイロスコープからのデータ点を比較することとを含むことができる。別
の例では、第2の技術は、プレート330をX線源アレイ310と同じ平面に配置するこ
とによってプレート330をリセットすることと、X線源310に装着された第1のジャ
イロスコープ360のデータをリセットすることと、イメージングプロセス中、初期X線
源平面からの逸脱を測定することとを含むことができる。
【0044】
次に図4を参照すると、カメラ(例えば、350)からの例示的な画像キャプチャは、
プレート330上に投影し、全体的に344A~Dで示す光点を生み出す光ビーム342
の結果生じるキャプチャされた画像を示す。この例では、図3A図3Bを参照して上述
したのと同様に配置された4つの別個の光源340から生成された光ビーム342から、
4つの別個の光点344A~Dが生み出され、各光点344A~Dは、矩形形状の1つの
コーナまたは矩形形状の頂点を形成する。座標系が、X線源310に対するX線検出器3
20の並進位置を決定するためにx、y、およびz方向を確立するように定義され得る。
いくつかの態様では、各光点間の距離は、X線源310に対するプレート330のzオフ
セットを決定することができる。例えば、第1の光点344Aと第2の光点344Bとの
間で測定された水平またはx距離b、または第2の光点344Bと第3の光点344C
との間で測定された垂直またはy距離bは、X線源310に対するプレート330の、
したがってX線検出器320のzオフセットを決定することができる。その理由は、光点
344A~D間の距離は、少なくとも1つの光源340に取り付けられた任意の回折格子
、少なくとも1つの光源340の波長、およびzオフセットの仕様によって一意的に決定
されるためである。他の態様では、光点からプレート330の縁までの距離とプレート3
30の対向する縁間の距離との比は、X線源310に対するプレート330のxオフセッ
トまたはyオフセットを決定することができる。例えば、光点344Dからプレート33
0の縁までの水平またはx距離aとプレート330の2つの対向する縁間の水平または
x距離cとの比(例えば、a/c)は、X線源310に対するプレート330、し
たがってX線検出器320のxオフセットを決定することができる。別の例示的な例では
、光点344Dからプレート330の縁までの垂直またはy距離aとプレート330の
2つの対向する縁間の垂直またはy距離cとの比(例えばa/c)は、X線源31
0に対するプレート330の、したがってX線検出器320のyオフセットを決定するこ
とができる。
【0045】
ここで図5A図5Dを参照すると、X線源510およびX線検出器520を含む口腔
内トモシンセシスシステムで使用するための、全体的に500で示す例示的なジオメトリ
較正装置500の第2の実施形態が示される。ここでは、ジオメトリ較正装置500を使
用する断層撮影画像の例示的な連続取得が示される。図5Aはジオメトリ較正装置500
の初期セットアップを示しており、図5B図5Dは、2つの異なる位置(例えば、図5
B~図5Cに示す第1の位置および図5Dに示す第2の位置)におけるX線源のアレイ内
の異なる陰極の順次活性化を示す。特に、装置500は、例えば、プレートまたはスクリ
ーン530、光源540、およびカメラ550を備えることができる。
【0046】
図5Aを参照すると、装置500は、2D投影画像を取得する前に初期構成で構成する
ことができる。X線源510に対するX線検出器520の位置は固定され得るが、この実
施形態では、X線源510およびX線検出器520は互いに物理的に連結されていないも
のとして示される。したがって、機械的リンク機構が、X線源510とX線検出器520
との間を連結することはなく、その間に固定された分離を維持することはない。そうでは
なく、X線源510およびX線検出器520は、X線源510に対するX線検出器520
の相対的な位置がジオメトリ較正技術によって動的に決定され得るように物理的に互いに
分離され、これは、以下でより詳細に説明される。
【0047】
いくつかの態様では、X線源510は、個別にプログラム可能なX線画素516を含む
、全体的に512で示すX線源アレイを備えることができる。図5A図5Dに示すよう
に、9個の画素516が線形アレイとして分散配置されてよく、これらの画素は、全体的
に514で示すX線ビーム(例えば、図5B図5Dを参照)をX線検出器520上に投
影して対象物502(例えば患者の歯)のROIの投影画像を生成するように構成するこ
とができる。しかし、X線源510およびX線検出器520は物理的に互いに連結されて
いないので、X線源510に対するX線検出器520の位置を幾何学的に較正するために
ジオメトリ較正装置500を利用することができる。
【0048】
いくつかの態様では、X線検出器520は、プレート530に物理的に連結され得る。
例えば、クロスバー522を使用して、X線検出器520をプレート530に固定するこ
とができる。クロスバー522は、例えば、約2cmから20cmの間の長さを有するこ
とができる。いくつかの態様では、クロスバー522は長さを調節可能である。プレート
530は、例えば、紙、プラスチック、金属、またはそれらの任意の組み合わせを含むこ
とができる。いくつかの態様では、クロスバー522は、X線検出器520がある平面に
平行な平面内にプレート530があるように、プレート530をX線検出器520に固定
することができる。他の態様では、プレート530は、X線検出器520に対して傾斜し
ていてもよい。
【0049】
いくつかの態様では、検出器520が口腔内X線検出器として構成される場合、プレー
ト530は患者の口から突出することができる。したがって、プレート530を既知の固
定された距離でX線検出器520に連結することができる(例えば、クロスバー522を
使用して)ため、X線源510に対するプレート530の角度および並進位置の決定によ
り、X線源510に対するX線検出器520の位置を決定することができる。プレート5
30は、例えば5cmから20cmの間の大凡の寸法を有する紙、プラスチック、金属、
またはそのような材料の任意の組み合わせから作製され得る。
【0050】
光源540は、全体的に542で示す光ビームをプレート530上に投影し、全体的に
544で示す光点を生み出して、X線源510に対するプレート530の並進位置を決定
するように構成することができる。いくつかの態様では、ジオメトリ較正装置300の第
1の実施形態と比較して、1つだけの光源540が必要とされ得る。光源540は、X線
源510および/またはコリメータ(図示せず)に装着され、または別の形で取り付けら
れてよい。いくつかの態様では、光源540はカメラ550と一体であり、両方ともX線
源510に取り付けられるように構成することができる。図5A図5Dに示すように、
光源540は、カメラ550に装着され、X線源510の中央にその正面縁に隣接して装
着され得る。特に、光源540は、プレート530上に投影するように構成された低出力
レーザまたは他の光、例えば650nmの波長を有する5mWレーザポインタを備えるこ
とができる。
【0051】
いくつかの態様では、既知の相対位置で、既知の回折線間隔を有する少なくとも1つの
回折格子(図示せず)をX線源510に取り付けることができる。例えば、1次元(1D
)回折格子を使用することができる。別の例では、第1の格子が1D回折格子であり、第
2の格子が2D回折格子である2つの格子を使用することができる。いくつかの態様では
、格子は、互いに類似していても異なっていてもよい回折線間隔をそれぞれ含むことがで
きる。回折線間隔は、格子内の各回折線の間の距離を含むことができる。他の態様では、
格子は、同じ光学的寸法を含むことができ、互いに対して異なる方向に配向され得る。ジ
オメトリ較正装置500が少なくとも1つの回折格子を備える場合、光源540は、光ビ
ーム542がX線源510に対して既知の場所で回折格子を通過するように装着すること
ができ、格子を通過した結果、光源540は以下の分離式y=mλD/dに従って、垂直
(y)および水平(x)に分離され、式中m=0,1,2,3は回折点の次数を示し、λ
は光源540の波長であり、Dは回折元からプレート530の距離であり、dは回折格子
スリット分離である。
【0052】
いくつかの態様では、カメラ550は、プレート530上に投影された光点544の位
置を記録してX線源510に対するプレート530の並進位置を決定することができる。
いくつかの態様では、カメラ550は、対象物502またはシステム(例えば、システム
100)の意図しない動きがある場合、撮像手順中に動作追跡および補正を提供するよう
に構成することもできる。カメラ550は、例えばX線源510またはコリメータ(図示
せず)上の既知の位置に装着され得る高分解能の高速デジタルカメラを含むことができる
。上記で論じたように、カメラ550は、光源540も同様に、X線源510の中央にX
線源510の正面縁に隣接して装着され得る。いくつかの態様では、カメラ550は、キ
ャプチャされた写真画像をコンピューティングプラットフォーム(例えば、図8の804
を参照)に送信することができる。例えば、カメラ550は、プレート530上の光点5
44の位置をキャプチャする写真画像をコンピューティングプラットフォームに送信して
、X線源510に対するプレート530の並進位置を決定することができ、それによって
X線源510に対するX線検出器520の位置を決定する。
【0053】
したがって、光源540およびカメラ550は、プレート530に向かって傾斜されて
光ビーム542を少なくとも1つの回折格子を通してプレート530上に投影し、それに
よってスクリーン530上の異なる位置に光点544(例えば、図6A図6Cの544
A~Cを参照)を生み出し、こうしてスクリーン530上に光パターンを提供することが
できる。特に、光源540および/またはスクリーン530の異なる位置の結果、異なる
光パターンを得ることができ、光パターンの各々は、カメラ550によってキャプチャさ
れ、スクリーン530および取り付けられたX線検出器520のジオメトリをX線源51
0内の各画素に対して較正するために使用され得る。
【0054】
装置500が構成され、2D投影画像の生成の準備が整うと、カメラ550は、X線検
出器520およびスクリーン530が第1の位置にあるときに光源540(例えば、レー
ザ)によって生み出される初期光パターンをキャプチャし、キャプチャされたパターンを
処理およびジオメトリ較正のためにコンピューティングプラットフォーム(例えば804
)に送信するように構成することができる。例えば、カメラ550は、X線検出器520
およびスクリーン530が初期の、または第1の位置にあるときに、スクリーン530上
に初期光パターンを形成する光点544をキャプチャするように構成することができる。
このキャプチャされた画像の処理は、ジオメトリ較正のための基準として使用することが
できる。
【0055】
次に図5B図5Dを参照すると、2D投影画像の取得が示され、ここでは、X線源5
10のX線源アレイ512内の各々の画素516は、X線検出器520およびスクリーン
530が第1の位置にあり、次に第2の位置にあるときに順次活性化される。図5B~図
5Dは、3つだけの画素516および2つだけの異なる位置の順次活性化を示しているが
、当業者は、これらの図は単なる例示であり、非限定的であることを認識するであろう。
例えば、X線源510内の各画素516を活性化させることができ、検出器520は結果
として生じる画像を記録するように構成される。図5A図5Dに示すように、9個の画
素516がある場合、9個の画素516のすべてを個々に活性化することができ、X線検
出器520は、活性化された画素516に対するX線検出器520の各位置に対するそれ
ぞれの画像を記録するように構成することができる。いくつかの態様では、X線検出器5
20は、1つの位置にあるだけでよく、この場合、9個の画素516を一度活性化するだ
けでよく、各画素516の活性化は個々に実行される。しかし、X線検出器520が複数
の位置に移動される場合、X線検出器520が後続の複数の位置の各々に移動されるとき
、9個の画素516の各々は、個々に再活性化される。
【0056】
図5Bでは、X線源510内の第2の画素516Aは、検出器520上に投影するX線
ビーム514を生成するための活性化された状態で示されており、検出器は、スクリーン
530およびX線検出器520が第1の位置にある間の投影された画像を記録する。特に
、X線源510内の第2の画素516Aが活性化される前に、X線源510内の画素51
6の第1のものが活性化されていてよく、X線検出器520が、それによって生成された
画像を記録していてもよい。同様に、図5Cでは、X線源510内の第3の画素516B
が活性化されて、検出器520上に投影するX線ビーム514を生成し、検出器は、スク
リーン530およびX線検出器520が第1の位置にある間の投影された画像を記録する
。スクリーン530はX線源アレイ512内の第2の画素516Aおよび第3の画素51
6Bの活性化中、第1の位置にとどまるので、光点544によって生成される光パターン
は、ジオメトリ較正の目的で同じままである。
【0057】
しかし、図5Dでは、スクリーン530およびX線検出器520は、第1の位置(点線
で示す)とは異なる第2の位置に移動される。図5Dに示す例では、スクリーン530お
よびX線検出器520は、X線源510に対して、左に向かってx方向に移動される。ス
クリーン530およびX線検出器520は移動し得るが、X線源510は初期位置にとど
まる。そのようなシナリオでは、光点544は、スクリーン530が第1の位置にあった
ときとは異なる場所においてスクリーン530上に投影するため、光ビーム542がスク
リーン530上に投影されるとき、光点544から形成される光パターンは異なるジオメ
トリを有する。これは、スクリーン530およびX線検出器520が移動されるあらゆる
後続位置についても依然として適用され、各後続位置もまた、第1の位置および互いの位
置とは異なる。
【0058】
したがって、スクリーン530およびX線検出器520が第2の位置、または第1の位
置以外の任意の位置に移動されると、カメラ550は、X線検出器520およびスクリー
ン530が第1の位置以外の任意の位置にあるときに光源540によって生み出された第
2の光パターンをキャプチャし、キャプチャされた第2の光パターンを処理およびジオメ
トリ較正のためにコンピューティングプラットフォーム(例えば、図8の804)に送信
するように構成することができる。例えば、カメラ550は、X線検出器520およびス
クリーン530が第2の位置にあるとき、スクリーン530上に第2の光パターンを形成
する光点544を含む画像をキャプチャするように構成することができる。このキャプチ
ャされた画像の処理は、ジオメトリ較正のための基準として使用することができる。いく
つかの態様では、依然として図5Dを参照すると、X線源アレイ512内の第4の画素5
16Cは、検出器520上に投影するX線ビーム514を生成するように活性化させるこ
とができ、検出器は、スクリーン530およびX線検出器520が第2の位置にある間に
投影される画像を記録する。第2の位置におけるX線源アレイ512内の各連続する画素
516の活性化はまた、X線検出器520およびスクリーン530が第2の位置にある間
に他の連続する画像を生成するために起こり得る。
【0059】
いくつかの態様では、X線源アレイ512内の各画素516が活性化され、投影された
画像がX線検出器520によって記録された後、3D画像再構成を開始することができる
。例えば、3D画像再構成はトモシンセシス再構成を含むことができる。3D画像再構成
は、コンピュータプログラムおよび/またはワークステーション(例えば、図8の804
)を使用して達成されて、記録された2D投影画像から3D断層画像を分析する、較正す
る、再構成する、表示するなどを行うことができる。カメラ550によってキャプチャさ
れ記録されたジオメトリ較正データ(例えば、写真画像)は、コンピュータプログラムお
よび/またはワークステーションによって利用されて、X線検出器520に対するX線源
アレイ512の各画素516の相対位置を決定することができる。この位置データは、歯
の3D画像のトモシンセシス再構成のために使用される。
【0060】
次に図6A図6Cを参照すると、その各々は、光ビーム542がプレート530上に
投影され、光点544を生成した結果得られるキャプチャされた画像の例を示す。図6A
図6Cの各々は、光源(例えば、540)に対するスクリーン530の異なる位置およ
び/または配向を示す。特に、光源に対してスクリーン530を移動させた結果、スクリ
ーン530上の光点544によって生み出された光パターンは変化することができる。し
たがって、光点544のパターンを比較し分析することによって、検出器520に対する
X線源510の相対的な動きを決定することができる。
【0061】
図6Aは、光源に対してスクリーン530の第1の位置および第1の配向において生み
出される、全体的に544Aで示す第1の光パターンの全体的に600Aで示す第1の概
略図を示す。図6Aでは、第1の光パターン544Aの光点は、第1の光パターンを形成
し、これは、スクリーン530が光源に対して「短いz距離」に、かつX線源(例えば5
10)上に装着された光源を含む平面に平行な平面内に配置されていることを示す。ここ
で、「短い」は、図6Bおよび「長いz距離」、すなわちスクリーン530が長いz距離
に沿って配置されるときよりX線源からのz距離が小さいことに対して定義される。した
がって、スクリーン530がz方向に光源のより近くに配置されると、第1の光パターン
544Aの離間された光点はより密接になる。
【0062】
図6Bは、第2の位置であるが、依然として光源に対するスクリーン530の第1の配
向で生み出された、全体的に544Bで示す、第2の光パターンの全体的に600Bで示
す第2の概略図を示す。図6Bでは、第2の光パターン544Bの光点は、第2の光パタ
ーンを形成し、これは、スクリーン530が光源に対して「長いz距離」に、かつX線源
上に装着された光源を含む平面に平行な平面内に配置されていることを示す。したがって
、スクリーン530がz方向に光源からより遠くに配置されると、第2の光パターン54
4Bの光点はより広がる。
【0063】
図6Cは、光源に対してスクリーン530の第3の位置および第2の配向において生み
出された、全体的に544Cで示す第3の光パターンの、全体的に600Cで示す第3の
概略図を示す。図6Cでは、第3の光パターン544Cの光点は、第2の光パターンを形
成し、これは、スクリーン530が光源に対して約10cmから40cmのz距離に、か
つX線源上に装着された光源を含む平面に対して回転された平面内に配置されることを示
す。スクリーン530が光源を含む平面に対して回転される場合、第3の光パターン54
4Cの各光点間の相対距離は、スクリーン530が光源を含む平面に平行に配向された場
合と異なり得る。そのような場合、回転計算を較正中に使用して、X線源に対する、スク
リーン530に接続されたX線検出器(例えば、520)の角度位置を決定することがで
きる。したがって、スクリーン530が光源を含む平面に対してより回転すると、第3の
光パターン544Cの各光点間の相対距離は増大する。逆に、スクリーン530が光源を
含む平面に対してあまり回転しないと、第3の光パターン544Cの各光点間の相対距離
は小さくなる。
【0064】
次に図7を参照すると、口腔内トモシンセシスシステム(例えば、システム100)で
使用するためのジオメトリ較正装置700の例示的な実施形態の第3の実施形態が概略的
に示されている。ジオメトリ較正装置700は、例えば、光源710と、カメラ720と
、スクリーンまたはプレート730と、第1の格子740と、第2の格子750とを含む
ことができる。
【0065】
光源710は、可視光線レーザまたはX線源アレイ(この実施形態では図示せず)に取
り付けられた任意の他の光源を含むことができる。光源710は、任意の適切な既知の周
波数および波長の光を提供することができる。いくつかの態様では、ジオメトリ較正装置
300の第1の実施形態と比較して、1つだけの光源710が必要とされ得る。いくつか
の態様では、カメラ720は、光源710に対して装着され、X線源アレイに取り付けら
れる。例えば、カメラ720は、当業者に理解されるように、光源710の上もしくは下
に、または光源710に対して任意の適切な位置に装着することができる。
【0066】
いくつかの態様では、光源710は、少なくとも1つの光学回折格子を通してスクリー
ンまたはプレート730上に投影することができる。2つの光学回折格子740および7
50が、ジオメトリ較正装置700内に含まれる。スクリーンまたはプレート730は、
X線検出器(この実施形態では図示せず)に取り付けられ、撮像される対象物のROIの
前に配置され得る。例えば、スクリーン730は、口腔内X線検出器に取り付けられ、患
者の口の外側に配置され得る。プレート730は、例えばクロスバー(例えば、図3A
図3Bおよび図5A図5Dの322、522それぞれ)を使用して、既知の相対位置で
X線検出器に取り付けられ得る。プレート730は、紙、プラスチック、金属またはこれ
らの材料の任意の組み合わせを含むことができ、プレート730の寸法は約5cmから2
0cmである。
【0067】
いくつかの態様では、プレート730は、中央に配置されるか、または他の方法で配置
された所定の較正されたマーカ732を含むことができる。所定の較正されたマーカ73
2は、一領域を包囲する正方形または他の囲み形状を含むことができる。光源710は、
全体的に752で示す分割された光ビームをプレート730上に、特に所定の較正された
マーカ732によって形成された形状内に投影するように構成することができる。所定の
較正されたマーカ732を光点M0、M1、M2などに対する基準点として使用して、X
線源に対する、プレート730が取り付けられたX線検出器の位置を決定することができ
、これは、以下でより詳細に論じられる。いくつかの態様では、プレート730は、所定
の較正されたマーカ732内に画定された較正円734を含む。較正円734の位置は、
光源710の所望の位置に対応するものとしてオペレータによって予め決定され得る。し
たがって、オペレータは、光源710によって生成された光ビーム702が初期光点M0
を較正円734内に生み出すように光源710の位置を調節することができる。
【0068】
いくつかの態様では、少なくとも1つの回折格子が、既知の位置でX線源に取り付けら
れ得る。図7に示すように、2つの回折格子740および750は、光源710の正面に
配置され、それにより、光源710から放射される光ビームは、光ビームを分割すること
ができる格子740および750を通って投影することができる。分割された光ビームは
、その後、複数の光点M1、M2の形態でプレート730上に投影することができる。特
に、光ビームからの初期光点M0もプレート730上に投影される。
【0069】
いくつかの態様では、格子740および750は、それらの間に既知の回折線間隔を有
する1Dまたは2D光学回折格子とすることができる。図7の例示的な実施形態によれば
、第1の回折格子740は、1D回折格子であり、第2の回折格子750もまた、1D回
折格子である。いくつかの態様では、回折格子740および750はそれぞれ、互いに類
似していても異なっていてもよい回折線間隔を含むことができる。回折線間隔は、格子内
の各回折線の間の距離を含むことができる。例えば、第1の回折格子740および/また
は第2の回折格子750は、例えば約0.001mmから0.1mmで離間された回折線
を含むことができる回折線間隔を有して構成することができる。他の態様では、格子74
0および750は、同じ光学寸法を含むことができ、互いに対して異なる方向に配向され
得る。図7では、例えば、第1の回折格子740および第2の回折格子750は、互いに
対して回転式に配向される。ジオメトリ較正装置700のこの例示的な実施形態によれば
、第1の格子740は、第2の格子750の配向に対して90度回転される。
【0070】
格子740および750は、光源710によって放射された初期光ビーム702を分割
して、プレート730上に複数の光点M1、M2を生成するように構成することができる
。初期光ビーム702は、可視範囲(例えば、約390nmから700nm)の波長を含
む光ビームとすることができる。初期光点M0は、光ビーム702によって生成すること
ができ、較正円734内に光源710、ひいてはX線源を配置するための基準として使用
することができる。
【0071】
光ビーム702は、1つまたは複数の回折格子を通過するように構成することもできる
。ジオメトリ較正装置700が少なくとも1つの回折格子(例えば第1および第2の回折
格子740,750)を有するので、光源710は、光ビーム702がX線源に対して既
知の場所で回折格子740および750を通過するように装着することができ、格子74
0および750を通過した結果、光源710は以下の分離式y=mλD/dに従って、垂
直(y)および水平(x)方向に分離され、式中m=0,1,2,3は回折点の次数を示
し、λは光源710の波長であり、Dは回折元からのプレート730の距離であり、dは
回折格子スリット分離である。図7に示すように、例えば、光ビーム702は、第1の回
折格子740および第2の回折格子750を通過し、各格子は、他方に対して90度回転
される。第1の回折格子740は、例えば約0.001mmから0.1mmまで離間した
水平線を含む第1の回折線間隔を有して構成され、第2の回折格子750は、例えば約0
.001mmから0.1mmまで離間した垂直線を含む第2の回折線間隔を有して構成さ
れる。垂直および水平の両方の他の回折線間隔は、当業者の技術水準内にあることが理解
されよう。したがって、ビーム702は、第1の回折格子740によって水平方向に複数
の水平ビーム742に分割され、その中央のビームは、第2の回折格子750を通過し、
その結果、水平ビーム742のこの中央ビームは、別個の垂直ビーム752に分割される
。いくつかの態様では、分割された水平および垂直ビーム742および752は、所定の
較正されたマーカ732によって画定された領域内のプレート730上に投影することが
できる。図7の例示的な実施形態によれば、4つが水平ビーム742であり、4つが垂直
ビーム752である8つの別個のビームがプレート730上に投影され、8つの別個の光
点M1、M2を含む2D光パターン736を形成する。この例示的な実施形態では、4つ
の光点M1および4つの光点M2が形成され、初期光点M0は、光点M1、M2から形成
される光パターン736の中心内に配置される。しかし、M0、M1、M2などの複数の
回折点次数を使用して、プレート730に対する光源710の位置、したがって、X線検
出器に対するX線源の位置を決定することができる。
【0072】
いくつかの態様では、カメラ720は、所定の較正マーカ732内の光点M1、M2お
よび初期光点M0の少なくとも1つの投影画像をキャプチャし、少なくとも1つのキャプ
チャされた画像をコンピューティングプラットフォームに送信するように構成することが
できる(例えば、図8の804を参照)。例えば、カメラ720は、X線源に対するプレ
ート730の並進位置を決定し、それによってX線源に対するX線検出器の位置を決定す
るために、プレート730上の較正マーカ732内の初期光点M0および光点M1、M2
の位置をキャプチャする画像をコンピューティングプラットフォームに送信することがで
きる。したがって、各強度ピークに対して、初期光点M0、光点M1、M2、所定の較正
マーカ732、および回折角θmを有する光パターン736を使用して、ビーム702が
第1の格子740に当たるときの位置とプレート730上の各光点M1、M2との間の距
離をコンピューティングプラットフォームにおいて決定することができる。例えば、ジオ
メトリ較正モジュールは、ビーム702が第1の格子740にあたるときの位置と、プレ
ート730上の各光点M1、M2との間の距離、ならびにプレート730の軸回転の3つ
の角度を計算することができる。特に、プレート730の6自由度はすべて、第1のビー
ム分割点(例えば、ビーム702が第1の格子740にあたる位置)に対して光点M1、
M2によって形成された光パターン736から決定することができる。結果として、イメ
ージングシステムの完全なジオメトリは、プレート730に対するX線検出器の相対位置
と、光源710に対するX線源の相対位置とに基づいて決定することができる。
【0073】
したがって、ジオメトリ較正の目的に使用される技術にかかわらず、X線源に対するX
線検出器の角度および/または並進位置を決定することができ、これによって、取得され
たX線投影画像からトモシンセシス画像を正確に再構成するのを助けることができる。し
たがって、画像取得中のX線源の決定された位置(例えば、角度位置および/または並進
位置)は、撮像された対象物のトモシンセシス再構成画像を生成することを可能にするこ
とができる。
【0074】
次に図8を参照すると、例示的なコンピューティングプラットフォーム804とインタ
ーフェース接続する固定式口腔内トモシンセシスシステム802の例示的な実施形態の、
全体的に800で示す概略的なシステム図が示される。特に、本明細書で説明するように
構成された場合、例示的なコンピューティングプラットフォーム804は、複数の視点か
ら2D投影画像を取得し、次いでそのような画像を、X線源または患者の移動を伴わずに
処理することにより、3D歯科用イメージングのための固定式口腔内トモシンセシスイメ
ージングの技術的分野を改良することができる、専用コンピューティングプラットフォー
ムになる。
【0075】
いくつかの態様では、例示的なトモシンセシスシステム802は、図1(例えば、10
0)、図9および/または図17に上述したようなトモシンセシスシステムを含む。いく
つかの態様では、トモシンセシスシステム802は、上記で説明したもの(例えば、30
0、500、700)などのジオメトリ較正装置810を備えることができる。トモシン
セシスシステム802は、写真画像の処理によってシステム802のジオメトリを較正す
るためのコンピューティングプラットフォーム804とインターフェース接続するように
構成することができる。例えば、トモシンセシスシステム802は、例えば、口腔内検出
器をコンピューティングプラットフォームに接続するデータ送信ライン、無線送信などの
インターフェースを介して、口腔内検出器からコンピューティングプラットフォーム80
4に1つまたは複数の投影画像を送信するように構成することができる。コンピューティ
ングプラットフォーム804はまた、2D投影画像のトモシンセシス再構成に合わせて構
成されてもよい。
【0076】
コンピューティングプラットフォーム804は、システム802のジオメトリを較正す
ることに関連する1つまたは複数の態様を実行するように構成することができる。いくつ
かの態様では、コンピューティングプラットフォーム804は、1つまたは複数のスタン
ドアロンエンティティ、装置、またはプロセッサ上で実行されるソフトウェアであってよ
い。いくつかの態様では、コンピューティングプラットフォーム804は、単一ノードで
あってよく、または複数のコンピューティングプラットフォームまたはノードにわたって
分散されてよい。コンピューティングプラットフォーム804は、ジオメトリ較正以外の
目的での使用にも適していてよい。
【0077】
いくつかの態様では、コンピューティングプラットフォーム804は、トモシンセシス
システム802のジオメトリを較正することに関連する1つまたは複数の態様、ならびに
トモシンセシス再構成などのジオメトリ較正以外の態様を実行するように構成されたジオ
メトリ較正モジュール806を含むことができる。いくつかの態様では、コンピューティ
ングプラットフォーム804は、取得された2DX線投影画像を再構成するように構成さ
れた別個のトモシンセシス再構成モジュール(図示せず)を含むこともできる。特に、ジ
オメトリ較正モジュール806は、トモシンセシス再構成およびジオメトリ較正を実行す
るように構成することができる。ジオメトリ較正モジュール806は、トモシンセシスシ
ステム802のジオメトリ較正に関連する1つまたは複数の態様を実行するための任意の
適切なエンティティ(例えば、プロセッサ上で実行するソフトウェア)であってよい。ジ
オメトリ較正モジュール806は、1つまたは複数の画像取得セッション中にカメラ(例
えば、350,550,720)から少なくとも1つの写真画像を受け取る機能を含むこ
とができる。例えば、ジオメトリ較正モジュール806および/またはコンピューティン
グプラットフォーム804に関連するインターフェース808は、スクリーン、プレート
などが取り付けられる対象物のROIに対するX線検出器の位置における調整ごとに、ジ
オメトリ較正装置810から、スクリーン、プレートなど上の光パターン、光点などの様
々な位置の写真画像を受け取ることができる。この例では、ジオメトリ較正モジュールの
ユーザ(例えば、ユーザまたはオペレータによって使用可能な装置またはコンピューティ
ングプラットフォーム)は、対象物のROIに対するX線検出器の位置における調整ごと
に、スクリーン、プレートなど上の光パターン、光点などの少なくとも1つの写真画像を
キャプチャし、この画像は、ジオメトリ較正モジュール806によって後で受け取られ得
る。
【0078】
ジオメトリ較正モジュールとは別個の、または一体的なトモシンセシス再構成モジュー
ルは、対象物の2DX線投影画像を取得および/または処理するように構成することがで
きる。例えば、トモシンセシス再構成モジュールは、例えば、フィルタされた逆投影およ
び反復再構成(例えば、反復的な切り捨てアーチファクト低減(iterative t
runcation artifact reduction))を含む様々なアルゴリ
ズムによって、対象物の取得された2DX線投影画像を再構成するように構成することが
できる。
【0079】
コンピューティングプラットフォーム804および/またはジオメトリ較正モジュール
806は、将来の使用のために1つまたは複数の写真画像を記憶する機能を含むことがで
きる。いくつかの態様では、コンピューティングプラットフォーム804および/または
ジオメトリ較正モジュール806は、画像をインスタンス化または初期化し、および/ま
たは画像を他のコンピューティングプラットフォームまたは装置に提供する機能を含むこ
とができる。例えば、コンピューティングプラットフォーム804および/またはジオメ
トリ較正モジュール806は、1つまたは複数の写真画像を受け取り、それらの画像に基
づいてシステム802のジオメトリを較正し、および/またはそれらの画像をインターフ
ェース808を介して他のノードに、トモシンセシスシステム802のジオメトリ較正の
ために提供することができる。
【0080】
いくつかの態様では、コンピューティングプラットフォーム804および/またはジオ
メトリ較正モジュール806は、トモシンセシスシステム802のジオメトリ較正に関連
するデータおよび/または写真画像を収容するデータ記憶装置812を含むかまたはこれ
にアクセスすることができる。例えば、コンピューティングプラットフォーム804およ
び/またはジオメトリ較正モジュール806は、これまでの写真画像、マッピングされた
座標系、画像データ、プロファイル、設定、または構成を収容するデータ記憶装置812
にアクセスすることができる。データ記憶装置812の例示的な実施形態は、フラッシュ
メモリ、ランダムアクセスメモリ、不揮発性媒体、および/または他の記憶装置などの非
一時的なコンピュータ可読媒体を含むことができる。いくつかの態様では、データ記憶装
置812は、コンピューティングプラットフォーム804および/またはジオメトリ較正
モジュール806の外部にあってよく、および/またはそれらと一体化していてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、コンピューティングプラットフォーム804および/または
ジオメトリ較正モジュール806は、ユーザおよび/またはノードと交流するための1つ
または複数の通信インターフェースを含むことができる。例えば、コンピューティングプ
ラットフォーム804および/またはジオメトリ較正モジュール806は、コンピューテ
ィングプラットフォーム804および/またはジオメトリ較正モジュール806のユーザ
と通信するための通信インターフェースを提供することができる。いくつかの態様では、
コンピューティングプラットフォーム804および/またはジオメトリ較正モジュール8
06のユーザは、自動システムであってよく、または人間のユーザによって制御されても
、または制御可能であってもよい。コンピューティングプラットフォーム804および/
またはジオメトリ較正モジュール806のユーザは、デバイス810のカメラを使用して
、1つまたは複数の写真画像をキャプチャし、これらの画像をコンピューティングプラッ
トフォーム804および/またはジオメトリ較正モジュール806に送信することができ
る。コンピューティングプラットフォーム804は、図8の例示的な実施形態によれば、
再構成された3Dトモシンセシス画像の少なくとも一部および/または1つまたは複数の
2D投影画像の少なくとも一部を表示するように構成された1つまたは複数のモニタ81
4に電気的に接続されるものとして示される。1つまたは複数のモニタ814は、任意の
適切なタイプ(例えば、CRT、LCD、OLED、ホログラフィック、投影など)のも
のであってよく、任意の適切な構成および個数で配置されてよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、コンピューティングプラットフォーム804は、対象物のR
OIの2DX線投影画像を取得するための、本明細書で説明するトモシンセシスシステム
802を構成する機能を含むことができる。例えば、コンピューティングプラットフォー
ム804は、X線源を起動してX線ビームの生成を始めることによって、トモシンセシス
システム802を使用する2DX線投影画像の取得を制御することができる。別の態様で
は、コンピューティングプラットフォーム802は、例えば、並進ステージを移動させる
、X線検出器を対象物に対して移動させるなどを含む、トモシンセシスシステム802内
の条件を変更する機能を含むことができる。いくつかの態様では、コンピューティングプ
ラットフォーム804は、コンテンツ(例えば、前に取得された2DX線投影画像を使用
して再構成された3Dトモシンセシス画像)を生成する機能および/またはイメージング
セッションに関連する記憶されたコンテンツを取り出す機能を含むことができる。
【0083】
全体的に900で示す固定式口腔内トモシンセシスシステムの別の例の実施形態によれ
ば、図9に示すトモシンセシスシステム900は、X線源930と、全体的に912で示
す口腔内X線検出器と、X線検出器ホルダ910と、一方の端部に自由度装置940を、
他方の端部に制御ユニット960を備えた関節アーム950と、一方の端部がX線源93
0に接続され、別の端部がX線検出器ホルダ910に磁気的に結合されるX線コリメータ
920とを含む。X線コリメータ920は、任意の適切なファスナによってX線検出器ホ
ルダ910に結合され得ると考えられる。
【0084】
いくつかの態様では、トモシンセシスシステム900は、不動であるように装着され得
る。例えば、トモシンセシスシステム900は、天井、壁などに装着可能である。他の態
様では、トモシンセシスシステム900は移動可能であってもよい。例えば、トモシンセ
シスシステム900は車輪を含むことができ、移動カート、ハンドトラック、スタンド上
などに置かれてよい。さらに、制御ユニット960は、少なくとも部分的に制御ユニット
960内に収容される電源、制御電子機器、ケーブル配線などを含むことができる。いく
つかの態様では、電源(図示せず)は、制御ユニット960の内部ではなく、関節アーム
950の内部に設けられてもよい。いくつかの態様では、電源は、イメージングのための
電力を供給することができる充電式バッテリ(図示せず)を備えることができ、それによ
り、使用中の電力用の電気コードおよび/またはワイヤの必要性を取り除く。関節アーム
950は、いくつかの実施形態によれば、一方の端部において制御ユニット960に取り
付けられ、別の端部においてX線源930および/または検出構成要素(例えば、X線検
出器912)に取り付けられ得る。いくつかの態様では、ケーブル配線は、制御ユニット
960からX線源930および/または検出構成要素(例えば、X線検出器912)まで
関節アーム950に沿って通されて、これらの構成要素を3D歯科用イメージングに使用
可能にすることができる。他の態様では、ケーブル配線は、関節アームの内側にあってよ
い。さらなる態様では、ケーブル配線は、関節アームから分離して、または上述したもの
とは別の方法で設けられてよい。自由度(DOF)装置940が、関節アーム950とX
線源930との間に設けられ、X線源930および/またはX線検出器912を、撮像さ
れる対象物の周りの3自由度に配向することができる。
【0085】
関節アーム950は、延長アーム952と、第1のアームセクション954と、第2の
アームセクション956とを含むことができる。図9に示す実施形態によれば、延長アー
ム952は、延長アーム952が実質的に第1の平面内を移動することを可能にするピボ
ットおよび/または別のタイプの取付具を介して、第1の端部において制御ユニット96
0に取り付けられる。例えば、図9の延長アーム952は、第1の水平面内で枢動可能で
あってよい。この実施形態の延長アームの第2の端部は、第1のアームセクション954
が実質的に第2の平面内で枢動することを可能にするピボットおよび/または別のタイプ
の取付具を介して、第1のアームセクション954の第1の端部に取り付けられる。例え
ば、図9の第1のアームセクション954は、第1の水平面に実質的に垂直な第2の垂直
面内で枢動可能であってよい。しかし、第2の平面内の第1のアームセクション954の
枢動は、延長アーム952の干渉により、約180度に限定され得る。したがって、第1
のアームセクション954の第2の端部は、第2のアームセクション956が第1のアー
ムセクション954とは反対方向に第2の平面内で枢動することを可能にするピボットお
よび/または別のタイプの取付具を介して、第2のアームセクション956の第1の端部
に取り付けられる。例えば、図9の第2のアームセクション956は、第1のアームセク
ション954の方向とは反対の方向に第2の垂直平面内で枢動能であってよい。第2のア
ームセクション956の第2の端部は、DOF装置940および/またはDOF装置94
0が軸の周りを回転することを可能にする別の適切なタイプの取付具に取り付けられる。
このようにして、トモシンセシスシステム900は、撮像される対象物の周りでx、y、
および/またはzのいずれかで調整可能である。こうして、トモシンセシスシステム90
0は、最適な配置に合わせて自由に移動され、回転され得る。その結果、トモシンセシス
システム900は、X線源930、X線検出器912、またはROIのいずれも移動させ
ることなく、対象物(例えば患者の歯)のROIの複数の投影図を得ることができるため
、実質的に固定式となる。これは、少なくとも部分的には、DOF装置940または構造
が関節アーム950の一方の端部に取り付けられた関節アーム950によるものである。
【0086】
図9のX線源930およびX線検出器912は、図1を参照して上述したのと同様の方
法で構成することができる。いくつかの態様では、X線源930は、線形または別の形で
空間的に分散配置された焦点を有する。いくつかの態様では、X線源アレイ内の各画素の
X線管電流は、制御ユニット960を使用して同じX線管電流に設定されるように構成さ
れ、抽出電圧は、各々の対応する画素の抽出ゲートにかけられるように構成され、1つま
たは複数のX線投影画像の各々に対するX線照射レベルは、照射時間を変更することによ
って設定される。いくつかの態様では、本明細書に説明するシステムは、一定の照射モー
ドで作動されてよく、X線照射レベルは、画素の各々に対してX線管電流を変更すること
によって調節されるように構成される。
【0087】
いくつかの態様では、X線検出器912は、患者の口の内部に挿入されるように構成さ
れた口腔内X線検出器であってよい。別の形では、X線検出器912は、口腔外にあって
よい。さらに、いくつかの態様では、X線検出器は、空間的に分散配置されたX線源アレ
イからのX線照射と同期されて、1回または複数回の走査中に患者の1つまたは複数の画
像を記録するデジタル検出器であってよく、1つまたは複数の画像の各々は、空間的に分
散配置されたX線源アレイの対応する焦点から放射されたX線放射によって形成される。
【0088】
いくつかの態様では、図9に示すX線検出器912は、咬翼イメージング用途のために
X線検出器ホルダ910に取り付けられる。例えば、図10は、X線検出器ホルダ910
の例示的な実施形態のより詳細な斜視図を提供する。X線検出器ホルダ910は、生体適
合性プラスチックを含むことができるが、3D歯科用イメージング用途で使用するために
機能する他の材料もまた企図される。X線検出器ホルダの、全体的に902で示す第1の
端部は、コリメータの一方の端部と位置合わせされるように構成されるよう示されている
が、任意の適切な検出器が、X線検出器ホルダ910の、全体的に904で示す第2の端
部にスナップ留めされるか、または別の形で嵌合されてもよい。例えば、X線検出器ホル
ダ910の第1の端部902は、実質的に矩形のプロファイルを有し、コリメータの実質
的に矩形のプロファイル(図11A図11Bの920を参照)と一致する開口中心を有
する。
【0089】
本明細書で使用する「コリメータ」は、照準コーン(例えば、図11A図11Bの9
14を参照)および/または1つまたは複数のX線制限コリメータプレートを含む。リン
ク機構908は、X線検出器ホルダの第1の端部902をX線検出器ホルダの第2の端部
904に連結することができる。リンク機構は、わずかな曲がりまたは湾曲を有して、X
線検出器ホルダの第2の端部904を、X線検出器ホルダ910の第1の端部902の実
質的に矩形のプロファイルの開口中心内に実質的に入れるように配置することができる。
X線検出器ホルダに検出器を取り付けるための機構は、X線検出器ホルダの第2の端部に
一体的に形成されてよく、または別の形で設けられてもよい。
【0090】
いくつかの態様では、X線検出器ホルダの第1の端部902は、X線検出器ホルダ91
0をコリメータと取り外し可能な整列状態に保つための機構を有する。この例示的な実施
形態によれば、複数の磁石906が、X線検出器ホルダ910の第1の端部902上の実
質的に矩形のプロファイルの周囲周りに設けられる。例えば、10個の磁石906が第1
の端部902に埋め込まれる。
【0091】
図11A図11Bは、図9のX線検出器ホルダ910が、全体的に920で示すコリ
メータの照準コーン914の一方の端部において第2のコリメータプレート916と整列
していることを示している。図11A図11Bの第2のコリメータプレート916は、
X線検出器ホルダ910の第1の端部902上の実質的に矩形のプロファイルに対応する
実質的に矩形のプロファイルを有する。複数の磁石922が、第2のコリメータプレート
916の実質的に矩形のプロファイル上に設けられ、X線検出器ホルダ910の第1の端
部902上に設けられた磁石906に位置的に対応する。しかし、磁石の極性は、第2の
コリメータプレート916およびX線検出器ホルダ910上のこれらの磁石間で逆転され
、それにより、X線検出器ホルダ910および第2のコリメータプレート916が十分に
近い範囲にもっていかれたとき、各構成要素上の磁石906および922は互いに引き付
けられ、構成要素は、磁力によって互いに整列するようにもっていかれる。有利には、X
線検出器ホルダ910と照準コーン914上の第2のコリメータプレート916との間の
結合は、2つの構成要素の互いに対する配置を確実にするのに役立つが、これは永久的な
取り付けではない。したがって、X線検出器ホルダ910および第2のコリメータプレー
ト916は、2つの構造体間に引張力または剪断力を加え、それらの間の磁気結合を遮断
することによって、整列から外れるようにもっていくことができる。
【0092】
図12は、コリメータ920の照準コーン914のさらなる図を提供する。X線制限お
よび/または減衰特性および/または特徴を有する第1のコリメータプレート928と、
コリメータ920の射出窓924との間に照準コーン914が置かれて、X線源930、
X線検出器912、またはコリメータプレート916、928のいかなる機械的動作も無
しに、X線放射を口腔内検出器の表面上の実質的に共通領域に制限または限定する。いく
つかの態様では、照準コーン914の、全体的に926で示す第1の端部は、X線源93
0の近位にあるか、または別の形でこれ結合され、一方で照準コーン914の射出窓92
4は、X線検出器ホルダ910の近位にあるか、または別の形でこれに結合される。第1
のコリメータプレート928は、照準コーン914の第1の端部926に位置し、第2の
コリメータプレート916は、照準コーン914の射出窓924に位置する。第1および
第2のコリメータプレート928および916の両方は、いくつかの実施形態では、X線
検出器ホルダ910の方向にコリメータ920から放射されたX線放射の量を限定または
別の形で減衰させるように構成することができる。1つの実施形態によれば、第1のコリ
メータプレート928は、各々の焦点に対してX線の1つまたは複数の様相を調節するよ
うに構成することができ、第2のコリメータプレート916は、X線場を口腔内X線検出
器の形状およびサイズにさらに限定して患者を保護するように構成することができる。第
1および第2のコリメータプレート916の両方は、高レベルのX線制限および/または
減衰特性を有する材料を含むことができる。
【0093】
依然として図12を参照すると、第2のコリメータプレート916は、照準コーン91
4の開口部または共通の開口の直径よりも小さい直径を有する開口中心または共通の開口
を有することができる。共通の開口は、矩形として成形されるが、他の形状も企図される
。第2のコリメータプレート916は、X線検出器の配向および/またはサイズに応じて
照準コーン914上で交換可能であるように構成される。このようにして、第2のコリメ
ータプレート916は、回転可能であり、変更可能であり、および/または異なるサイズ
および/または形状の共通の開口を有するプレートと取り換え可能になり得る。共通開口
は、X線場を口腔内X線およびX線検出器の形状およびサイズにさらに限定するように構
成することができる。例えば、X線検出器912がX線検出器ホルダ910上で横向きの
配向で配向されている場合、第2のコリメータプレート916も同様に、X線検出器91
2の配向に一致するように照準コーン914上に横向きの配向で配向され得る。例示的な
シナリオの別の例では、X線検出器912が、X線検出器ホルダ910上で縦向きの配向
で配向されているとき、第2のコリメータプレート916も同様に、照準コーン914上
で縦向きの配向で配向され得る。
【0094】
図13は、第1のコリメータプレート928をさらに示す。第1のコリメータプレート
928は、X線源内の1つまたは複数の開口と整列するように構成された1つまたは複数
の穴または開口932を有し、これによって、例えば、X線場のサイズ、ビーム強度、お
よび/またはX線源930からのX線ビームのビーム方向を限定する。図12および図1
3の例示的な実施形態によれば、7つの開口932は、第1のコリメータプレート928
の長さにわたって線形に分散配置され、同様にX線源930内に設けられた7つの開口(
図示せず)に対応する。第1のコリメータプレートを照準コーン914および/またはX
線源930に装着するためのブラケット934が設けられ、第1のコリメータプレート9
28と一体化されてよい。この例示的な実施形態によれば、第1のコリメータプレート9
28は、照準コーン914および/またはX線源930の一方または両方にプレートを取
り外し可能に装着するための4つの一体的に形成されたブラケット934を有する。
【0095】
したがって、図14は、全体的に920で示すコリメータの例示的な実施形態を示し、
ここでは照準コーン914は、その第1の端部に第1のコリメータプレート928と、そ
の第2の端部に第2のコリメータプレート916とを有している。この実施形態では7つ
存在する1つまたは複数の焦点948のそれぞれは、第1のコリメータプレート928に
よって調節されるX線ビーム949を放射する。X線ビーム949は、第1のコリメータ
プレート928、照準コーン914、第2のコリメータプレート916を通ってX線検出
器912上に配置されたセンサまで進行し、このセンサは、X線検出器ホルダ910によ
って使用中実質的に固定して保持される。第2のコリメータプレート916は、X線ビー
ムをX線検出器アクティブ領域の寸法(例えば、データが収集され得るX線検出器912
内に画定される領域)のサイズおよび/または形状にさらに限定するように構成すること
ができる。このように、コリメータ920は、各焦点948からのX線照射が、アクティ
ブ検出器領域の寸法の特定の割合内で同じX線検出器912にコリメートされるように構
成することができる。例えば、コリメータ920は、X線放射をアクティブ検出器領域の
寸法の約1パーセント(1%)にコリメートするように構成することができる。しかし、
本明細書の主題の範囲から逸脱することなく、より大きなまたはより少ない割合も企図さ
れる。
【0096】
次に図15を参照すると、全体的に940で示す自由度(DOF)構造または装置の例
示的な実施形態がその中に示されている。DOF装置940は、X線源930と関節アー
ム950とに取り付けられるように構成される。いくつかの態様では、DOF装置940
は、ピボット、ピン、ネジ、ばね、および/またはX線源930が撮像される対象物(例
えば、患者の口の中の1つまたは複数の歯)に対して3つの独立した自由度で回転するこ
とを可能にする任意の他の機構を介してX線源930に取り付け可能である。例えば、第
1のアーム942は、X線源930を軸CL3およびCL4の周りでそれぞれ回転させる
ことを可能にする枢動可能なピン944を介して、X線源930の側面および背面に取り
付けることができる。この例では、第2のアーム946は、X線源930の、第1のアー
ム942が取り付けられたのと同じ側面に取り付けられ、X線源930の上面を覆って湾
曲し、関節アーム950の端部に取り付け可能とすることができる。DOF装置940の
第2のアーム946および第1のアーム942は、同じ枢動可能なピン944を介してX
線源930に取り付けられるものとして示されているが、これらの取り付けは、X線源9
30が軸CL2周りで回転することを可能にする異なる枢動可能なピン944によっても
達成され得る。第2のアーム946は、別の形で、X線源930の他の対向する側面に配
置されてもよい。当業者によって理解されるように、3つの軸CL2、CL3、およびC
L4の周りの装置の回転を可能にすることができるDOF装置940の異なる構造構成も
また利用することができる。
【0097】
次に図16を参照すると、全体的に935で示す線形X線源アレイの例示的な実施形態
の斜視図が示されている。線形X線源アレイ935は、図1のX線源アレイ110に関し
て上記で説明したのと同様の特性および機能を備えて構成することができる(例えば、図
16の線形X線源アレイ935は、1つまたは複数のX線焦点を含むことができる)。こ
の実施形態によれば、線形X線源アレイ935は、X線管(例えば、CNT)用のハウジ
ング936と、1つまたは複数の画素とを有し、さらに、1つまたは複数のX線ビームお
よび固有の濾過のための出口をもたらすように構成されたX線射出窓938も有する。い
くつかの態様では、X線射出窓938は、線形に分散配置されたX線画素のための出口を
提供するための矩形窓として構成される。しかし、X線源アレイ935が円形である場合
、X線射出窓938は、それに対応して円形の形状であってよい。X線源アレイ935の
すべての実施形態において、そのX線射出窓938は、任意の適切な形状を有することが
できる。その結果、当業者には、X線源アレイ935のX線射出窓938が、その内部の
X線画素分散のサイズおよび/または形状に対応するように構成されることは明らかであ
ろう。
【0098】
したがって、X線検出器に対するX線源アレイの相対的な配向が走査方向に影響を及ぼ
すことになる。図17A図17Bは、この影響を示す。図17Aでは、全体的に935
で示すX線源アレイは、線形に分散配置されたX線源アレイとして概略的に示され、これ
は、その長手方向軸Aをx方向に平行にして配向される。したがって、図17Aでは、撮
像されている対象物(例えば、歯106)がy方向に特定の距離だけ離れて置かれる場合
、走査方向は根元-歯冠のz方向に対して垂直である。反対に、図17Bでは、X線源ア
レイ935は、ここでも線形に分散配置されたX線源アレイとして構成され、これは、そ
の長手方向軸Aをx方向に垂直にして配向される。したがって、図17Bでは、撮像され
る対象物(例えば、歯106)がy方向に特定の距離だけ離れて置かれる場合、走査方向
は根元-歯冠のz方向に対して平行である。
【0099】
合成2次元(2D)口腔内画像の作成および表示を含む固定式口腔内トモシンセシスシ
ステムを使用する3D歯科用イメージングのための口腔内トモシンセシス方法を示す方法
フロー図が、図18に示される。
【0100】
第1のステップ1000Aにおいて、システムの立ち上げおよび/またはチェックが開
始される。開始されるシステムの立ち上げおよび/またはチェックは、医療従事者によっ
て達成されてよく、および/または固定式口腔内トモシンセシスシステムおよび/または
3D歯科用イメージングの方法に特異的に結び付けられた専用コンピューティング装置を
使用してロボット制御でおよび/または自動的に行われてもよい。専用コンピューティン
グ装置は、図8に示すコンピューティングプラットフォーム804などの装置であってよ
い。いくつかの態様では、システム立ち上げおよび/またはチェックのステップは、X線
検出器、X線アレイ、コンピューティングプラットフォームなどを含むそれぞれの構成要
素を開始することを含むことができる。
【0101】
第2のステップ1000Bでは、患者がチェックインすることができる。例えば、患者
がチェックインすることができ、患者情報を含むファイルに(例えば、図8のコンピュー
ティングプラットフォーム804のデータ記憶装置812から)アクセスすることができ
、このファイルを固定式口腔内トモシンセシスシステムにアップロードすることができる
【0102】
第3のステップ1000Cでは、患者は、検出器ホルダに取り付けられた検出器を患者
の口の内部に置くことができる場所に置かれ得る。例えば、患者をリクライニングシート
に着座させ、検出器またはX線検出器ホルダ910(例えば図10)に取り付けられた口
腔内検出器を、患者の口内のROI(例えば1つまたは複数の歯)に近接する患者の口内
に配置することができる。
【0103】
第4のステップ1000Dでは、検出器ホルダの位置は、照準コーンとの整列のために
検出器ホルダを準備するように調節され得る。例えば、図10に示すような検出器または
X線検出器ホルダ910の第1の端部は、照準コーン914(例えば、図11A図11
Bを参照)との取り付けのために準備されてよい。
【0104】
第5のステップ1000Eでは、X線検出器ホルダは照準コーンに結合され得る。例え
ば、X線検出器ホルダ910の第1の端部は、X線検出器ホルダ910の第1の端部およ
び照準コーン914に埋め込まれた複数の磁石906,922を介して照準コーン914
に磁気的に結合されてよい。
【0105】
第6のステップ1000Fでは、システムは、3Dトモシンセシスためのすべての投影
画像を取得するように活性化され得る(例えば、トモシンセシス走査を実行するように活
性化される)。例えば、トモシンセシス走査を実行することは、空間的に分散配置され得
るX線源アレイの対応する焦点または画素から放射されるX線放射を使用して1つまたは
複数のX線投影画像を収集することを含むことができる。いくつかの態様では、X線源ア
レイ内のX線画素の各々を個々に活性化させることができる。いくつかの態様では、X線
照射およびデータ収集は、予めプログラムされたイメージングプロトコルに従って同期化
されるように構成される。予めプログラムされたプロトコルは、コンピューティングプラ
ットフォーム(例えば、図8の804)およびその関連する、トモシンセシス走査セッシ
ョンの前にプログラムされた固定式口腔内トモシンセシスシステムによって実行される一
連のステップを含むことができる。例えば、プロトコルは、(a)第1の焦点から放射さ
れるX線光子による口腔内検出器のデータ収集の開始をトリガするステップであって、ド
ウェルタイムはX線照射時間と同じである、トリガするステップと、(b)ドウェルタイ
ム後、第1の焦点からのX線放射をスイッチオフし、固定された読み出し時間の間、口腔
内検出器によって、データをコンピューティングプラットフォームに送信するステップと
、(c)固定された読み出し時間の終了時に、第2の焦点からのX線放射をスイッチオン
し、再度口腔内検出器データ取得を開始するステップと、(d)最後の焦点からの最後の
X線投影画像が記録されるまでプロセスを繰り返すステップとを含むことができる。別の
例では、プロトコルは、(a)対応する焦点から放射されたX線光子による各フレームの
口腔内検出器データ取得の開始をトリガし、ドウェルタイムをフレームの各々に対して予
め設定するステップと、(b)X線照射の各々後に、口腔内検出器によってデータをコン
ピューティングプラットフォームに送信するステップと、(c)フレームの各々のX線画
像取得後に、口腔内検出器をリセットし、最後の焦点からの最後のX線投影画像が記録さ
れるまでプロセスを繰り返すステップとを含む。当業者に理解されるように、他のプロト
コルも含まれてよい。さらに、X線検出器は、特定のプロトコルに合わせて構成および/
または設計することができる。
【0106】
第7のステップ1000Gでは、画像処理および再構成が、コンピューティングプラッ
トフォーム(例えば、図8の804)で実行され得る。例えば、各X線画素から取得され
た画像スライスの各々は、コンピューティングプラットフォーム804において単一のト
モシンセシス画像になるように再構成され得る。いくつかの態様では、第6のステップ中
に取得された1つまたは複数のX線投影画像は、口腔内検出器(図9を参照)から、例え
ば、口腔内検出器をコンピューティングプラットフォーム、に接続するワイヤデータ送信
ライン、無線送信などを通って、コンピューティングプラットフォーム804に送信され
得る。
【0107】
任意選択となり得る第8のステップ1000Hでは、第7のステップにおける3D再構
成画像から2D画像を合成することができる。例えば、2D画像は、1つまたは複数の元
のX線投影画像が収集された方向と同じ、または異なる方向である投影方向から合成され
てよい。
【0108】
第9のステップ1000Iでは、再構成された3D画像、および任意選択により、2D
合成された画像は、データベース内に保存され得る。例えば、データベースは、固定式口
腔内トモシンセシスシステムに関連する専用コンピューティングプラットフォームの図8
のデータ記憶装置812であってよい。
【0109】
第10のステップ1000Jでは、再構成された3D画像および/または任意選択の2
D画像は、ディスプレイを使用して、任意の医療関係者および/または患者に表示され得
る。例えば、ユーザは、再構成された3D画像および/または任意の2D画像が記憶され
るデータ記憶装置812にアクセスし、図8のコンピューティングプラットフォーム80
4に関連するディスプレイ上に再構成された画像を表示することができる。いくつかの態
様では、異なる投影角度からの1つまたは複数の合成X線投影画像のシーケンスを表示す
ることは、これが歯科医などの医療提供者が1つまたは複数の歯間の近接した界接面をよ
り良好に視覚化することを可能にし得るので、有利になり得る。いくつかの態様では、1
つまたは複数の合成X線投影画像が、1つまたは複数の3Dトモシンセシススライス画像
(例えば、3Dトモシンセシス画像を再構成するために使用される3D画像)と共に同時
に表示されて、例えば、歯科疾患などの疾患の特徴付けおよび診断精度を高めることがで
きる。
【0110】
図18の例示的な方法のフローチャートは、説明の目的のためにのみ提供され、異なる
および/または追加のステップが、上記で説明した主題の範囲から逸脱することなく実施
され得ることが理解されよう。また、本明細書に説明する様々なステップは、異なる順序
またはシーケンスで行われてよく、またはそれらの全体が省略されてもよいことが理解さ
れよう。
【0111】
歯科用イメージングのための図に関して上記で説明したが、上記のシステム、方法、お
よびコンピュータ可読媒体は、歯科用イメージング以外の用途に使用することができ、そ
のようなものに限定されない。したがって、本主題は、その精神および本質的特徴から逸
脱することなく、他の形態で具体化することができる。したがって、上記で説明した実施
形態は、すべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと考えられるべきであ
る。本主題は、特定の好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者に明らかな他
の実施形態も本発明の主題の範囲内である。
【0112】
本明細書に説明する主題の様々な詳細は、本明細書に説明する主題の範囲から逸脱する
ことなく変更されてよいことが理解される。さらに、上述の説明は、本明細書に記載する
主題が特許請求の範囲によって定義されるため、例示のみを目的とし、限定を目的とする
ものではない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18