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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】バンド
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/14 20060101AFI20231109BHJP
   A44C 5/02 20060101ALI20231109BHJP
   G09F 3/06 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
A44C5/14 Z
A44C5/02 Z
G09F3/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018229122
(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公開番号】P2020089597
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-10
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 博覧会名:台東区産業フェア2018 開催日:平成30年11月1日~2日 開催場所:東京都立産業貿易センター台東館6・7階展示室(東京都台東区花川戸2-6-5)
(73)【特許権者】
【識別番号】518434452
【氏名又は名称】株式会社にしかわ製作
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 隆一
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02228915(GB,A)
【文献】特開2006-141488(JP,A)
【文献】特開2008-164654(JP,A)
【文献】特開2012-058496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0216372(US,A1)
【文献】米国特許第04154011(US,A)
【文献】実開昭57-040981(JP,U)
【文献】実開昭52-158391(JP,U)
【文献】実開昭63-077511(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 5/00- 5/24
G09F 3/06
G09F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する材料で帯状に形成された、手首又は足首に巻き付けられて装着されるバンドであって、
長手方向における一方の端部側の、長手方向に沿った両側部に、短手方向に突起する複数の山部と、当該複数の山部の間に位置する複数の谷部とを有し、
長手方向における他方の端部側に、前記他方の端部から順に長手方向に並んで位置する第1の孔と第2の孔を有し、
前記第1の孔と前記第2の孔の短手方向における寸法は、前記複数の山部のうち短手方向に並ぶ2つの山部の頂の間の寸法より短く、かつ、前記複数の谷部のうち短手方向に並ぶ2つの谷部の底の間の寸法より長く、
前記両側部の各々において、前記山部及び前記谷部が描く縁の形状は丸みを帯びた形状であり、
前記一方の端部側の先端部が前記手首又は前記足首の外周面に対向する面である裏面側から前記第1の孔に挿入された後、前記先端部を前記裏面と反対側の面である表面側から前記第2の孔に挿入された状態で、前記複数の山部のうち前記第1の孔の前記他方の端部の端部側の辺である第1の摺動辺に隣接する山部と前記第2の孔の前記他方の端部の端部側の辺である第2の摺動辺に隣接する山部により係止されて、前記手首又は前記足首に装着される
バンド。
【請求項2】
長手方向において、前記複数の山部又は前記複数の谷部が形成されている領域と、前記第1の孔と前記第2の孔が形成されている領域との間の領域に、文字及び模様の少なくとも一方の形状の孔を有する
請求項1に記載のバンド。
【請求項3】
長手方向において、前記複数の山部又は前記複数の谷部が形成されている領域と、前記第1の孔と前記第2の孔が形成されている領域との間の領域に、インクによる筆記を受け付ける筆記領域を有する
請求項1又は2に記載のバンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体等に装着するバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
コンサートやイベント会場等で、参加者に対してオリジナルのリストバンドを配布、販売し装着させて、参加者であることを特定することが行われている。また、病院等の医療機関においては、患者の識別のために、患者の個人情報が記載されたバンドを手首や足首に装着することが行われている。
【0003】
特許文献1には、帯状のリストバンドの一端側に設けた孔と他端側に設けた孔とを重ね合わせ、それらの孔を挿通するピンを有するクリップを用いて、リストバンドを手首あるいは足首に係止する構成が記載されている。
【0004】
特許文献2には、帯状部材の一端側に幅を細くした先端部分と、その後側に幅方向に対して切り欠かれた切り欠き部を備え、他端側に孔を備えて構成されるリストバンドが記載されている。特許文献2に記載のリストバンドは、一端側の先端部分を他端側の孔に挿入し、一端側の切り欠き部を孔に係合させることにより、手首に対する装着が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-58496号公報
【文献】実用新案登録第3068491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のバンドの構成によれば、バンドを装着するために別の部材であるクリップが必要となり、装着の作業が煩雑になるという問題がある。特許文献2に記載のバンドの構成によれば、帯状部材のみで装着ができるが、柔軟な帯状部材に形成された孔と切り欠き部との係合により帯状部材を係止しているため、係合が外れやすいという問題がある。
【0007】
上記の背景に鑑み、本発明は、簡単な構成で、装着後に外れにくいバンドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、弾性を有する材料で帯状に形成された、手首又は足首に巻き付けられて装着されるバンドであって、長手方向における一方の端部側の、長手方向に沿った両側部に、短手方向に突起する複数の山部と、当該複数の山部の間に位置する複数の谷部とを有し、長手方向における他方の端部側に、前記他方の端部から順に長手方向に並んで位置する第1の孔と第2の孔を有し、前記第1の孔と前記第2の孔の短手方向における寸法は、前記複数の山部のうち短手方向に並ぶ2つの山部の頂の間の寸法より短く、かつ、前記複数の谷部のうち短手方向に並ぶ2つの谷部の底の間の寸法より長く、前記両側部の各々において、前記山部及び前記谷部が描く縁の形状は丸みを帯びた形状であり、前記一方の端部側の先端部が前記手首又は前記足首の外周面に対向する面である裏面側から前記第1の孔に挿入された後、前記先端部を前記裏面と反対側の面である表面側から前記第2の孔に挿入された状態で、前記複数の山部のうち前記第1の孔の前記他方の端部の端部側の辺である第1の摺動辺に隣接する山部と前記第2の孔の前記他方の端部の端部側の辺である第2の摺動辺に隣接する山部により係止されて、前記手首又は前記足首に装着されるバンドを第1の態様として提供する。
【0009】
第1の態様のバンドは、簡単な構成であるが、装着後に外れにくい。
【0012】
1の態様のバンドにおいて、長手方向において、前記複数の山部又は前記複数の谷部が形成されている領域と、前記第1の孔と前記第2の孔が形成されている領域との間の領域に、文字及び模様の少なくとも一方の形状の孔を有する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0013】
の態様のバンドによれば、観る者にメッセージを伝えたり、装着する者を装飾したりできる。
【0014】
第1又は第2の態様のバンドにおいて、長手方向において、前記複数の山部又は前記複数の谷部が形成されている領域と、前記第1の孔と前記第2の孔が形成されている領域との間の領域に、インクによる筆記を受け付ける筆記領域を有する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0015】
の態様のバンドによれば、ユーザ等はバンドに対しインクで筆記を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係るバンドを手首に装着した状態を示した図。
図2】一実施形態に係るバンドの構成を示した平面図。
図3】一実施形態に係るバンドの一端側を他端側に連結する過程を示した図。
図4】変形例に係るバンドの構成を示した図。
図5】変形例に係るバンドの構成を示した図。
図6】変形例に係るバンドの構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態]
以下に本発明の一実施形態に係るバンド1を説明する。図1はバンド1を手首に装着した状態を示した図、図2はバンド1の構成を示した平面図である。図1に示すように、バンド1は、帯状部材10を環状に形成し、例えば使用者の手首Wに巻き付けることにより装着される。
【0018】
バンド1は、シリコン等の合成ゴム、天然ゴム等の弾性を有する材料で帯状に形成された帯状部材10によって構成される。この材料は、わずかな力で変形、伸張し、力を除くと元の形状に戻る性質を備えている。バンド1は、帯状部材10の両端を結合して環状にすることにより、使用者の腕(例えば手首)や脚(例えば足首)の外周に沿って巻き付けて装着される。
【0019】
帯状部材10の長手方向(図2の上下方向)における一方の端部である端部E1側には、台形状の先端部11が形成されている。また、端部E1側の長手方向に沿った両側部には、帯状部材10の短手方向(図2の左右方向)に突起する複数の山部12と、それら複数の山部12の間に位置する複数の谷部13が形成されている。
【0020】
本実施形態では、端部E1側から先端部11に続く山部12と谷部13は、長手方向に沿った両側部に、各々7つ形成されている。複数の谷部13のうち短手方向に並ぶ2つの谷部13の底の間の寸法をV、複数の山部12のうち短手方向に並ぶ2つの山部12の頂の間の寸法をM(M>V)、1つの山部12を挟んで長手方向に隣接して並ぶ2つの谷部13の底の間の寸法をPとする。1つの谷部13を挟んで長手方向に隣接して並ぶ任意の2つの山部12の頂の間の寸法もPである。
【0021】
帯状部材10の長手方向に沿った両側部に形成される山部12と谷部13が描く縁の形状は、正弦波又はそれに近い形状である。
【0022】
長手方向において隣り合う2つの山部12の頂の間の寸法Pは、山部12の領域のうち、帯状部材10の短手方向に対して最も突出した部分の間の長さを示している。また、長手方向において隣り合う2つの谷部13の底の間の寸法Pは、谷部13の領域のうち、帯状部材10の短手方向に対して最も凹んだ部分の間の長さを示している。
【0023】
帯状部材10の他方の端部である端部E2側には、表面(図2における紙面上側の面)から裏面に貫通する第1孔14と第2孔15とが、帯状部材10の長手方向に並ぶ位置に形成されている。第1孔14、第2孔15の形状は、帯状部材10の短手方向に延びる長方形状に対し4つの角部及び1つの辺に丸みを持たせた形状である。長方形状の各長辺のうち、端部E2側の長辺が摺動辺14A、15Aであり、他方側の長辺が固定辺14B、15Bである。摺動辺14A、15Aは、端部E1側の先端部11、山部12、谷部13が第1孔14、第2孔15に挿入あるいは抜去される際に、端部E1側の部分と摺動しやすい辺である。
【0024】
第1孔14、第2孔15の、帯状部材10の短手方向の寸法はAである。この寸法Aは、寸法Vより長く寸法Mより短い。また、第1孔14の摺動辺14Aから第2孔15の摺動辺15Aまでの長手方向における寸法はLである。
【0025】
装飾部16は、帯状部材10の長手方向において、両側部に山部12又は谷部13が形成されている領域と、第1孔14及び第2孔15が形成されている領域との間の領域である。装飾部16には、文字及び模様の少なくとも一方の形状の孔が形成されている。図2の例では、装飾部16には「+☆☆☆+」という模様が形成されている。例えば、病院等の医療機関において、このようなバンド1を患者の手首や足首に装着することにより、その患者が救急患者であることを報知することができる。また、コンサートやイベント会場においてオリジナルのバンドとして配布、販売する場合には、装飾部16にアーティストの名前やイベントの名称等を示す文字や模様を形成してもよい。
【0026】
なお、帯状部材10の外縁、第1孔14、第2孔15、装飾部16に形成される文字や模様の形状の孔は、例えば、シート状の弾性部材に対し打ち抜き加工を行うことで一度に形成することができる。
【0027】
図3は、バンド1の端部E1側と端部E2側とを連結する過程を示す図である。図1に示すように、バンド1を装着する際は、使用者は、帯状部材10の裏面が手首Wの外周面と対向するように、バンド1を手首Wの周囲に巻く。そして、使用者は、先端部11を帯状部材10の裏面側から第1孔14に近づけ(図3(A)参照)、先端部11を帯状部材10の裏面から第1孔14に向けて挿入する(図3(B)参照)。先端部11は端部E1側に向けて幅が狭くなる台形状となっているため、使用者は先端部11を第1孔14に容易に挿入できる。
【0028】
使用者による先端部11の挿入が続くと、第1孔14へ挿入される部分が先端部11を越えて山部12、谷部13へと達する。さらに、挿入を続けると、短手方向に並ぶ山部12の頂間の寸法Mは第1孔14の短手方向の寸法Aより長いため干渉し合うことになるが、山部12の変形と第1孔14の周辺部分の変形とにより、山部12は、第1孔14へ容易に挿入される。使用者は、手首Wと帯状部材10との隙間が適切な位置となるまで先端部11、山部12、谷部13の第1孔14への挿入を続ける。
【0029】
使用者は、適切な位置まで先端部11等が第1孔14へ挿入されたと判断した場合、その挿入を停止する。図3(C)は、第1孔14に対する先端部11等の挿入が停止された状態を示している。図3(C)の状態において、第1孔14から挿入された山部12のうち、第1孔14の摺動辺14Aに隣接する山部12(1)が摺動辺14Aにより係止される。ただし、この状態ではまだ、その係止の強度が十分ではなく、第1孔14に挿入された先端部11等は比較的容易に第1孔14から外れる。
【0030】
なお、バンド1には、複数の山部12、谷部13が設けられているため、使用者は自身の手首Wのサイズに合う位置に対応する山部12により、帯状部材10を手首Wに対して係止させることができる。図3(C)においては、端部E1から4番目の山部12(1)までが第1孔14に挿入され係止されている。例えば、この使用者よりも手首Wが細い使用者に装着する場合であれば、山部12(1)よりも図3(C)中で右側に位置する山部12まで第1孔14に挿入され係止されることとなる。また、この使用者よりも手首Wが太い使用者に装着する場合であれば、山部12(1)よりも図3(C)中で左側に位置する山部12まで第1孔14に挿入され係止されることとなる。
【0031】
続いて、使用者は、第1孔14へ裏面側から挿入されて表面側へ露出している先端部11、山部12、谷部13(図3(C))を、図3(D)の状態となるように、第2孔15へと表面側から挿入する。第1孔14への挿入時と同様に、先端部11が、端部E1に近づくほど幅が狭くなる台形状となっているため、使用者は先端部11を容易に第2孔15に挿入できる。また、短手方向に並ぶ2つの山部12の頂間の寸法Mは、第2孔15の短手方向の幅Aより長いが、山部12の変形と第2孔15の周辺部分の変形とにより、山部12は、第2孔15へ容易に挿入可能である。
【0032】
使用者は、先端部11を第2孔15に挿入し、続いて山部12、谷部13からなる部分を第2孔へと挿入する。先端部11、山部12、谷部13が第2孔15へ挿入され、第1孔14から表面に露出して第2孔15まで延在する部分が平坦な状態になると装着が完了する。
【0033】
図3(D)は、装着が完了した状態を示した図である。図3(D)の状態において、山部12(1)は、第1孔14の摺動辺14Aにより係止されている。また、山部12(2)(図3(C)中では、帯状部材10の裏側に隠れているため破線で示す)は、第2孔15の摺動辺15Aにより係止されている。
【0034】
ここで留意すべき点は、図3(D)の状態において、帯状部材10の端部E1側の部分の裏面が端部E2側の部分の表面に接することによって、第1孔14及び第2孔15の周辺部分の変形と、それらの孔に接する山部12(1)及び山部12(2)の変形が抑制され、第1孔14に挿入された部分の山部12(1)による係止と、第2孔15に挿入された部分の山部12(2)による係止の強度が増す点である。その結果、帯状部材10は、手首Wから容易に外れない。
【0035】
なお、図3(D)に示すように、第1孔14と隣接している山部12(1)と、第2孔15と隣接している山部12(2)との間に、もう1つの山部12(3)がある。すなわち、山部12(1)と山部12(2)との間隔は2Pであり、この間隔2Pが寸法Lと同等の長さとなっている。このように、寸法Lを、隣り合う山部12の間隔Pのn倍(nは自然数)とすると、帯状部材10の端部E1側の、端部E2側の部分と重なり合っている部分において、だぶつきが生じない。
【0036】
ただし、帯状部材10の端部E1側の部分の裏面と、端部E2側の部分の表面が接している部分においては、端部E1側の部分が外側にあるため、端部E1側の部分の周長の方が、端部E2側の部分の周長よりもわずかに長くなる。また、端部E1側の部分は第1孔14の裏面側から表面側へ出る部分と、第2孔15の表面側から裏面側へ入る部分において屈曲するため、その部分にわずかな長さを要する。従って、寸法Lを、隣り合う山部12の間隔Pのn倍(nは自然数)と正確に一致させると、帯状部材10の端部E1側の、端部E2側の部分と重なり合っている部分において、わずかにつっぱりが生じる場合がある。そのような場合は、寸法Lは、隣り合う山部12の間隔Pの正確にn倍(nは自然数)ではなく、間隔Pのn倍よりも、帯状部材10の端部E1側の部分と端部E2側の部分の周長差や、帯状部材10の端部E1側の部分の屈曲に要する長さに応じた分だけわずかに短い寸法とすることで、帯状部材10の端部E1側の、端部E2側の部分と重なり合っている部分において、つっぱりを生じにくくすることができる。本願において、寸法Lが、隣り合う山部12の間隔Pのn倍(nは自然数)と正確に一致する場合に加え、上述したように、帯状部材10の端部E1側の部分と端部E2側の部分の周長差や、帯状部材10の端部E1側の部分の屈曲に要する長さを考慮して、寸法Lが、隣り合う山部12の間隔Pのn倍(nは自然数)よりもわずかに短い場合を含むことを「寸法Lは、隣り合う山部12の間隔Pの実質的にn倍(nは自然数)である」と表現するものとする。
【0037】
[変形例]
上述した実施形態は様々に変形することができる。以下にそれらの変形の例を示す。なお、上述した実施形態および以下に示す変形例は適宜組み合わされてもよい。
【0038】
(1)上述した実施形態において、帯状部材10に形成される山部12及び谷部13が描く縁の形状は、正弦波又はそれに近い形状であるものとした。本発明に係るバンドが有する山部及び谷部が描く縁の形状はこれに限られない。
【0039】
図4は、この変形例に係るバンドの帯状部材の構成を示した図である。帯状部材10の先端部11に続く部分には、複数の山部112及び谷部113が形成されており、これらの山部112及び谷部113が描く縁の形状は、ノコギリ波に丸みを帯びさせた形状となっている。
【0040】
山部112は、傾斜辺112Aと傾斜辺112Bとにより形成されている。端部E1側の傾斜辺112Aは、傾斜辺112Bと比べて、帯状部材10の長手方向に対する傾斜角度が小さい。隣り合う山部112の間には、谷部113が形成され、隣り合う山部112間の間隔はPであり、隣り合う谷部113間の間隔もPである。
【0041】
端部E1側から、第1孔14あるいは第2孔15に挿入する際に、傾斜辺112Aの傾斜角度が小さいため、挿入がしやすい。また、挿入後においては、傾斜辺112Bの傾斜角度が大きいため、挿入された山部112が、第1孔14あるいは第2孔15から抜去しにくい。そのため、帯状部材10が装着した手首Wから外れにくい。
【0042】
(2)第1孔14及び第2孔15に例示される、帯状部材の端部E2側に設けられる孔(帯状部材の端部E1側の部分が差し込まれる孔)の形状は、様々に変更されてよい。図5は、上述した実施形態に係るバンド1とは異なる形状の孔が設けられたバンドの一例であるバンド2の端部E2側の部分を示した図である。バンド2を構成する帯状部材20の端部E2側の部分には、バンド1が有する第1孔14と第2孔15に代えて、第1孔24と第2孔25が設けられている。第1孔24と第2孔25の各々は、バンド2の短手方向に延伸するスリットと、そのスリットの両端に設けられた裂け止め用の円形の孔により構成される。このように、本願に係るバンドの帯状部材の端部E2側に設けられる孔の少なくとも一部がスリットにより構成されてもよい。
【0043】
(3)上述の実施形態においては、バンド1を構成する帯状部材10のうち、長手方向において、複数の山部12又は複数の谷部13が形成されている領域と、第1孔14及び第2孔15が形成されている領域との間の領域(以下、「中間領域」という)に、文字及び模様の少なくとも一方の形状の孔が形成されるものとした。これに代えて、もしくは加えて、帯状部材の中間領域に、インクによる筆記を受け付ける筆記領域を設けてもよい。
【0044】
図6は、この変形例に係るバンド3の中間領域を示した図である。バンド3を構成する帯状部材30の中間領域には、筆記領域31が設けられている。筆記領域31は、例えば、帯状部材30の表面に、乾燥するとインクによる筆記を受け付ける塗膜となる塗料を塗布することにより形成されてもよいし、インクによる筆記を受け付けるフィルム状部材を接着剤等により取り付けることにより形成されてもよい。
【0045】
筆記領域31に用いられる素材として、例えばホワイトボードのように、その上にインクで筆記された文字や模様が容易に消去可能な素材が採用されてもよい。
【0046】
また、中間領域に、エンボス加工や印刷等により、文字や模様が描かれてもよい。
【0047】
(4)上述の実施形態においては、帯状部材10の端部E2側には第1孔14、第2孔15の2つの孔を設けるものとしたが、3つ以上の孔を設けるものとしてもよい。
【0048】
3つの孔を設ける構成の場合、例えば、先端部11に続いて設けられた第1孔14と第2孔15に続いて、さらに第3孔を設ける。第3孔は、第1孔14、第2孔15と同様の大きさで、第3孔の摺動辺から第2孔15の摺動辺15Aまでの距離は、摺動辺14Aと摺動辺15Aとの距離と同様にLとすることが好ましい。このような構成において、第2孔15から裏面側に挿入された先端部11、山部12、谷部13を、裏面側から第3孔に挿入し、挿入された山部12のうち第3孔の摺動辺に隣接する山部12により、さらに第3孔から山部12が抜去することを係止できる。このため、帯状部材10を手首Wからさらに外れにくくすることができる。
【0049】
また、この変形例に係るバンドにおいて、手首の太い人は第1孔14の裏面側から表面側へ貫通させた先端部11を第2孔15の表面側から裏面側へ挿入することによってバンドを装着し、手首の細い人は第2孔15の裏面側から表面側へ貫通させた先端部11を第3孔の表面側から裏面側へ挿入することによってバンドを装着する、といった使い方がされてもよい。
【0050】
(5)上述の実施形態においては、装着の際に、帯状部材10の先端部11を、第1孔14へ裏面側から挿入し、第2孔15へ表面側から挿入するものとしたが、各々反対側から挿入するものとしてもよい。すなわち、帯状部材10の先端部11を、第1孔14へ表面側から挿入し、その後第2孔15へ裏面側から挿入するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1・2・3…バンド、10・20・30…帯状部材、11…先端部、12…山部、13…谷部、14・24…第1孔、15・25…第2孔、16…装飾部、31…筆記領域、112…山部、113…谷部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6