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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】パレット
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/24 20060101AFI20231109BHJP
   B65D 19/38 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B65D19/24 A
B65D19/38 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019113622
(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公開番号】P2020203718
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 瑛
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特許第4564157(JP,B2)
【文献】実開昭64-039237(JP,U)
【文献】特開平09-039966(JP,A)
【文献】実開昭50-068467(JP,U)
【文献】実開平01-061038(JP,U)
【文献】実開昭60-175028(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/24
B65D 19/38
B65D 19/32
B65D 19/36
B65D 71/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視矩形状に形成されて上面が平面上に位置する上面デッキ部と、
平面視矩形状に形成された下面デッキ部と、
前記上面デッキ部の各隅部と前記下面デッキ部の各隅部とをそれぞれ連結する隅桁と、
前記上面デッキ部の各辺の中間部と前記下面デッキ部の各辺の中間部とをそれぞれ連結する中間桁と、
前記上面デッキ部の中央部と前記下面デッキ部の中央部とをそれぞれ連結する中央桁と、を備え、
前記上面デッキ部と前記下面デッキ部との間で、かつ、前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成されるパレットであって、
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記中間桁側の部分に、前記隅桁側の厚肉部となる部分の厚みよりも厚みの薄い薄肉部を有する
パレット。
【請求項2】
平面視矩形状に形成されて上面が平面上に位置する上面デッキ部と、
前記上面デッキ部の各隅部より下方に突出する隅桁と、
前記上面デッキ部の各辺の中間部より下方に突出する中間桁と、
前記上面デッキ部の中央部より下方に突出する中央桁と、を備え、
前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成されるパレットであって、
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記中間桁側の部分に、前記隅桁側の厚肉部となる部分の厚みよりも厚みの薄い薄肉部を有する
パレット。
【請求項3】
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記薄肉部と、前記厚肉部との間に段差部を有する
請求項1又は2記載のパレット。
【請求項4】
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分の中間部に、下方に向けて突出して前記厚肉部となる突起部を有する
請求項3記載のパレット。
【請求項5】
平面視矩形状に形成されて上面が平面上に位置する上面デッキ部と、
平面視矩形状に形成された下面デッキ部と、
前記上面デッキ部の各隅部と前記下面デッキ部の各隅部とをそれぞれ連結する隅桁と、
前記上面デッキ部の各辺の中間部と前記下面デッキ部の各辺の中間部とをそれぞれ連結する中間桁と、
前記上面デッキ部の中央部と前記下面デッキ部の中央部とをそれぞれ連結する中央桁と、を備え、
前記上面デッキ部と前記下面デッキ部との間で、かつ、前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成されるパレットであって、
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記中間桁側の部分に、前記隅桁側の部分の曲げ剛性よりも曲げ剛性が低い低剛性部を有する
パレット。
【請求項6】
平面視矩形状に形成された上面デッキ部と、
平面視矩形状に形成された下面デッキ部と、
前記上面デッキ部の各隅部と前記下面デッキ部の各隅部とをそれぞれ連結する隅桁と、
前記上面デッキ部の各辺の中間部と前記下面デッキ部の各辺の中間部とをそれぞれ連結する中間桁と、
前記上面デッキ部の中央部と前記下面デッキ部の中央部とをそれぞれ連結する中央桁と、を備え、
前記上面デッキ部と前記下面デッキ部との間で、かつ、前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成されるパレットであって、
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記中間桁側の部分に、前記隅桁側の厚肉部となる部分の厚みよりも厚みの薄い薄肉部を有し、
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記薄肉部と、前記厚肉部との間に段差部を有する
パレット。
【請求項7】
平面視矩形状に形成された上面デッキ部と、
前記上面デッキ部の各隅部より下方に突出する隅桁と、
前記上面デッキ部の各辺の中間部より下方に突出する中間桁と、
前記上面デッキ部の中央部より下方に突出する中央桁と、を備え、
前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成されるパレットであって、
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記中間桁側の部分に、前記隅桁側の厚肉部となる部分の厚みよりも厚みの薄い薄肉部を有し、
前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記薄肉部と、前記厚肉部との間に段差部を有する
パレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットに関し、さらに詳しくは、上面デッキ部、下面デッキ部、隅桁、中間桁及び中央桁を備え、上面デッキ部と下面デッキ部との間で、かつ、隅桁と中間桁との間にフォーク挿入口が形成されるパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面部と裏面部との間に複数個の桁を配設して表面部と裏面部とを連結すると共に、隣接する桁の間にフォーク挿入口を形成した合成樹脂パレットが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
フォーク挿入口は、図13Aに示すように、側面視矩形状をしており、フォーク挿入口の上側に位置する表面部は、所定の一様な厚みを有している。
【0004】
表面部上に荷物91が積載されたパレットは、フォークリフトのフォークがフォーク挿入口に挿入されてリフトアップされた状態で、搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4564157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フォーク挿入口にフォークが挿入されてリフトアップされたパレットは、図13Bに示すように、側面視において、パレットが撓み、パレットに載置されている荷物が荷割れして、荷崩れが発生するおそれがあった。
【0007】
また、パレットに載置されている荷物が荷割れしてパレットの外寸よりはみ出た場合、トラックや倉庫といった決められたスペースに荷物及びパレットを詰め込む際に、荷割れした荷物が先にスペースの横の荷物と当たってしまい、スペースに入れることができなくなるおそれがある。この場合、フォークで運んできたパレットを床に置き、パレットが撓まないように床に置いた状態のままパレットを引きずるかあるいは押してスペースに入れることになり、手間と時間がかかる、という問題があった。
【0008】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、荷物が載置されても上方に凸となるように撓みにくいパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る一形態のパレットは、平面視矩形状に形成された上面デッキ部と、平面視矩形状に形成された下面デッキ部と、隅桁と、中間桁と、中央桁と、を備える。前記隅桁は、前記上面デッキ部の各隅部と前記下面デッキ部の各隅部とをそれぞれ連結する。前記中間桁は、前記上面デッキ部の各辺の中間部と前記下面デッキ部の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。前記中央桁は、前記上面デッキ部の中央部と前記下面デッキ部の中央部とをそれぞれ連結する。前記パレットには、前記上面デッキ部と前記下面デッキ部との間で、かつ、前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成される。前記パレットは、前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記中間桁側の部分に、前記隅桁側の厚肉部となる部分の厚みよりも厚みの薄い薄肉部を有する。
【0010】
本発明に係る他形態のパレットは、平面視矩形状に形成された上面デッキ部と、隅桁と、中間桁と、中央桁と、を備える。前記隅桁は、前記上面デッキ部の各隅部より下方に突出する。前記中間桁は、前記上面デッキ部の各辺の中間部より下方に突出する。前記中央桁は、前記上面デッキ部の中央部より下方に突出する。前記パレットには、前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成される。前記パレットは、前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記中間桁側の部分に、前記隅桁側の厚肉部となる部分の厚みよりも厚みの薄い薄肉部を有する。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る更に他形態のパレットは、平面視矩形状に形成された上面デッキ部と、平面視矩形状に形成された下面デッキ部と、隅桁と、中間桁と、中央桁と、を備える。前記隅桁は、前記上面デッキ部の各隅部と前記下面デッキ部の各隅部とをそれぞれ連結する。前記中間桁は、前記上面デッキ部の各辺の中間部と前記下面デッキ部の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。前記中央桁は、前記上面デッキ部の中央部と前記下面デッキ部の中央部とをそれぞれ連結する。前記パレットには、前記上面デッキ部と前記下面デッキ部との間で、かつ、前記隅桁と前記中間桁との間にフォーク挿入口が形成される。前記パレットは、前記上面デッキ部の前記フォーク挿入口に対応する部分において、前記中間桁側の部分に、前記隅桁側の部分の曲げ剛性よりも曲げ剛性が低い低剛性部を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るパレットにあっては、中間桁側の部分に積載された荷物により、中間桁側の部分が低くなるような曲げモーメントが薄肉部又は低剛性部にかかると、薄肉部又は低剛性部で曲がって中間桁側の部分が低くなって下方に凹む。パレットの中間桁側の部分の付近が下方に凹むと、荷物には、荷物が中央側に傾くような力がはたらくため、荷割れが起きにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第一実施形態に係るパレットの斜視図である。
図2図2は、同上のパレットの平面図である。
図3図3は、同上のパレットの下面図である。
図4図4は、同上のパレットを上下の中央で切断した断面を上方より見たときの断面図である。
図5図5Aは、同上のパレットの側面図である。図5Bは、同上のパレットの他例の一部拡大側面図である。
図6図6は、同上のパレットを上下の中央で切断した断面を下方より見たときの断面図である。
図7図7は、第二実施形態に係るパレットの側面図である。
図8図8は、第三実施形態に係るパレットの側面図である。
図9図9は、第四実施形態に係るパレットの側面図である。
図10図10は、第五実施形態に係るパレットの側面図である。
図11図11は、第六実施形態に係るパレットの側面図である。
図12図12は、第八実施形態に係るパレットの側面図である。
図13図13Aは、従来例に係るパレットの撓んでいない状態の側面図である。図13Bは、同上のパレットの撓んだ状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、パレットに関する。以下、本発明に係るパレットを添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0015】
第一実施形態に係るパレットについて、図1図5Bに基いて説明する。第一実施形態に係るパレットの強さは、JISZ0602の試験でB種である。
【0016】
図1に示すように、パレット1は、上面デッキ部2と、下面デッキ部3と、桁部4と、を備える。パレット1は、合成樹脂の射出成形により一体に成形される。すなわち、上面デッキ部2と桁部4とは一体に連結され、下面デッキ部3と桁部4とは一体に連結されている。第一実施形態におけるパレット1は、片面使用のパレット1であり、上面デッキ部2が上側に位置し、かつ、下面デッキ部3が下側に位置する状態で使用するように設計されている。すなわち、上面デッキ部2と下面デッキ部3とは、平面視における外郭形状は略同一であるものの、全体的な形状及び高さ等は同一となるように形成されていない。以下の説明において、上面デッキ部2が位置する方を上方とし、下面デッキ部3が位置する方を下方とする。
【0017】
上面デッキ部2は、図2に示すように平面視矩形状に形成されており、下面デッキ部3は、図3に示すように下面視(平面視)矩形状に形成されている。図1図3に示すように、上面デッキ部2と下面デッキ部3とは、ともに平面視における外郭形状が正方形状で同形かつ同大に形成されており、平面視において外郭が重なるように上下方向に間隔をあけて配置される。
【0018】
図2に示すように、上面デッキ部2は、桁上部21と、上桟部22と、上桟間部23と、を有する。桁上部21は、桁部4の上側に位置する。上面デッキ部2は、桁上部21として、隅桁上部211と、中間桁上部212と、中央桁上部213と、を有する。
【0019】
隅桁上部211は、平面視において、上面デッキ部2の四個の隅部にそれぞれ位置する。隅桁上部211は、平面視において矩形状(正方形状)をした上面デッキ部2の一辺に沿ったリブ24がこれに直交するリブ25と連結されることにより、形成されている。隅桁上部211は、上下に貫通する貫通口を有するメッシュ状に形成される。隅桁上部211は、後述する隅桁41の上側に位置し、隅桁41と一体に形成されている。
【0020】
中間桁上部212は、上面デッキ部2の四個の辺の中間部にそれぞれ位置する。中間桁上部212は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。中間桁上部212は、後述する中間桁42の上側に位置し、中間桁42と一体に形成されている。
【0021】
中央桁上部213は、上面デッキ部2の中央部に位置する。中央桁上部213は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。中央桁上部213は、後述する中央桁43の上側に位置し、中央桁43と一体に形成されている。
【0022】
上桟部22は、二個の桁上部21間に位置して、二個の桁上部21を連結する。上面デッキ部2は、上桟部22として、端上桟部221と、内上桟部222と、を有する。
【0023】
端上桟部221は、隅桁上部211と中間桁上部212との間に位置して、隅桁上部211と中間桁上部212とを連結する。端上桟部221は、上面デッキ部2の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。端上桟部221は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0024】
内上桟部222は、中間桁上部212と中央桁上部213との間に位置して、中間桁上部212と中央桁上部213とを連結する。内上桟部222は、中央桁上部213から90度ピッチで放射状に計四個設けられる。内上桟部222は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0025】
上桟間部23は、四辺が上桟部22に囲まれる部分に位置して、上桟部22にそれぞれ連結される。上桟間部23は、計四個設けられる。上桟間部23は、隅桁上部211と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0026】
上面デッキ部2の桁上部21、上桟部22及び上桟間部23の上面は、同一平面上に位置している。
【0027】
図3に示すように、下面デッキ部3は、桁下部31と、下桟部32と、を有する。桁下部31は、桁部4の下側に位置する。下面デッキ部3は、桁下部31として、隅桁下部311と、中間桁下部312と、中央桁下部313と、を有する。
【0028】
隅桁下部311は、平面視において、下面デッキ部3の四個の隅部にそれぞれ位置する。隅桁下部311は、平面視において下面デッキ部3の一辺に沿ったリブ34がこれに直交するリブ35と連結されることにより形成されている。隅桁下部311は、上下に貫通する貫通口を有するメッシュ状に形成される。隅桁下部311は、隅桁41の下側に位置し、隅桁41と一体に形成されている。
【0029】
中間桁下部312は、下面デッキ部3の四個の辺の中間部にそれぞれ位置する。中間桁下部312は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。中間桁下部312は、中間桁42の下側に位置し、中間桁42と一体に形成されている。
【0030】
中央桁下部313は、下面デッキ部3の中央部に位置する。中央桁下部313は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。中央桁下部313は、中央桁43の下側に位置し、中央桁43と一体に形成されている。
【0031】
下桟部32は、二個の桁下部31間に位置して、二個の桁下部31を連結する。下面デッキ部3は、下桟部32として、端下桟部321と、内下桟部322と、を有する。
【0032】
端下桟部321は、隅桁下部311と中間桁下部312との間に位置して、隅桁下部311と中間桁下部312とを連結する。端下桟部321は、下面デッキ部3の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。端下桟部321は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0033】
内下桟部322は、中間桁下部312と中央桁下部313との間に位置して、中間桁下部312と中央桁下部313とを連結する。内下桟部322は、中央桁下部313から90度ピッチで放射状に計四個設けられる。内下桟部322は、隅桁下部311と同様のリブと貫通口を有するメッシュ状に形成される。
【0034】
下面デッキ部3は、上面デッキ部2の上桟間部23に相当する構成を有さない。下面デッキ部3の四辺が下桟部32に囲まれる部分には、上下に貫通する桟間開口33(図4参照)が形成される。桟間開口33は、計四個設けられる。
【0035】
下面デッキ部3の桁下部31及び下桟部32の下面は、同一平面上に位置している。
【0036】
図1に示すように、桁部4は、上面デッキ部2と下面デッキ部3との間に位置して、上面デッキ部2と下面デッキ部3とを連結する。パレット1は、桁部4として、隅桁41と、中間桁42と、中央桁43と、を有する。
【0037】
隅桁41は、上面デッキ部2の各隅部と下面デッキ部3の各隅部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の隅桁上部211と、隅桁上部211の下方に位置する下面デッキ部3の隅桁下部311とが、それぞれ隅桁41により連結される。図4に示すように、隅桁41は、計四個設けられる。隅桁41は、上下方向に伸びる筒部44を有する。筒部44の水平断面における形状は、概ね正方形状である。また、隅桁41の筒部44内には、平面視において上面デッキ部2の一辺に沿ったリブ45とこれに直交して連結されるリブとにより、形成されている。
【0038】
中間桁42は、上面デッキ部2の各辺の中間部と下面デッキ部3の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の中間桁上部212と、中間桁上部212の下方にそれぞれ位置する下面デッキ部3の中間桁下部312とが、中間桁42により連結される。中間桁42は、計四個設けられる。中間桁42は、隅桁41と同様に、上下方向に伸びる筒部44を有する。筒部44の水平断面における形状は、概ね正方形状である。また、中間桁42の筒部44内には、平面視において上面デッキ部2の一辺に沿ったリブとこれに直交して連結されるリブとにより、形成されている。
【0039】
中央桁43は、上面デッキ部2の中央部と下面デッキ部3の中央部とをそれぞれ連結する。具体的には、上面デッキ部2の中央桁上部213と、下面デッキ部3の中央桁下部313とが、中央桁43により連結される。中央桁43は、隅桁41及び中間桁42と同様に、上下方向に伸びる筒部44を有する。筒部44の水平断面における形状は、概ね正方形状である。また、中央桁43の筒部44内には、平面視において上面デッキ部2の一辺に沿ったリブとこれに直交して連結されるリブとにより、形成されている。
【0040】
下面デッキ部3の桁下部31及び下桟部32の下面が水平面に載置されたとき、上面デッキ部2の桁上部21、上桟部22及び上桟間部23の上面は、水平な同一平面上に位置する。すなわち、パレット1の厚み(すなわち上面と下面との間の上下長さ)は一定に形成されている。
【0041】
図1に示すように、パレット1は、フォーク挿入口10を有する。フォーク挿入口10は、上面デッキ部2と下面デッキ部3との間で、かつ、隅桁41と中間桁42との間に形成される。具体的には、フォーク挿入口10は、図5Aに示すように、上側に端上桟部221、下側に端下桟部321、側方に隅桁41と中間桁42とが位置してこれらに囲まれる部分である。フォーク挿入口10は、端上桟部221と端下桟部321の各対にそれぞれ対応しており、パレット1の四個の辺にそれぞれ二個ずつ、計八個設けられる。
【0042】
フォーク挿入口10は、側方に向けて開口しており、ハンドフォークリフトのフォーク9(図5Aの破線参照)が挿入される。フォーク9は、パレット1の一辺に形成されたフォーク挿入口10より挿入され、フォーク9の先端は、パレット1の一辺に対向する辺に形成されたフォーク挿入口10より少し出るが、必ずしもフォーク9の先端がフォーク挿入口10より出なくてもよい。フォーク9が挿入され得る一連の空間が、フォーク挿入空間11となる。すなわち、フォーク挿入空間11は、端上桟部221と端下桟部321との間(フォーク挿入口10)、上桟間部23と桟間開口33との間、内上桟部222と内下桟部322との間、上桟間部23と桟間開口33との間、端上桟部221と端下桟部321との間(フォーク挿入口10)に順に到る一連の空間により構成される。フォーク挿入空間11は、パレット1の一辺とこれに対向する辺とにかけて二本並設され、パレット1の一辺に隣接する辺とこれに対向する辺とにかけて二本並設され、計四本が平面視において井の字状をなすように設けられる。パレット1は、いわゆる四方差しのパレットとなる。
【0043】
パレット1にあっては、フォーク挿入口10よりフォーク9が挿入されて、上面デッキ部2がフォーク9により支持される。従来のパレット1にあっては、上面デッキ部2がフォーク9により支持されると、図13Bに示すように、上面デッキ部2が上方に凸となるように撓んで、荷物91がパレット1から落下するおそれがあった。
【0044】
そこで、上面デッキ部2(パレット1)が上方に凸となるように撓みにくくするため、第一実施形態のパレット1は、図5Aに示すように、薄肉部6を有している。薄肉部6は、上面デッキ部2のフォーク挿入口10に対応する部分(すなわち端上桟部221)において、中間桁42側の部分に形成される。端上桟部221において、薄肉部6よりも隅桁41側の部分は、厚肉部5となる。厚肉部5と薄肉部6との境目は、フォーク挿入口10の中央位置より隅桁41側に位置することが好ましい。
【0045】
薄肉部6の厚みは、厚肉部5の厚みよりも薄い。厚肉部5と薄肉部6との厚みの差は、3mm以上であることが好ましく、5mm以上であることが更に好ましい。
【0046】
また、厚肉部5の外面には、補強のためのリブ51が形成され、薄肉部6の外面には、補強のためのリブ61が形成されている。リブ51、61は、それぞれ上下方向に伸びるもので、間隔をあけて複数形成されている。
【0047】
また、フォーク9がフォーク挿入口10よりフォーク挿入空間11に挿入される際、フォーク9の先端は、薄肉部6よりも厚肉部5に当たりやすいため、破損しにくい。更に、リブ51の幅(水平方向の長さ)は、リブ61の幅よりも長く形成されることが好ましい。これにより、より一層、厚肉部5が破損しにくくなる。
【0048】
また、パレット1の平面視における外周側のリブは、内側のリブよりも厚く形成されることが好ましい。
【0049】
第一実施形態では、パレット1が水平面に載置された状態で、厚肉部5の下面は水平面となる。厚肉部5の厚み及び薄肉部6の厚みは、それぞれ一定である。また、薄肉部6の下面は、厚肉部5の下面よりも上側に位置する。また、厚肉部5と薄肉部6との間には、厚みが急激に変化する段差部12が形成される。なお、他例として、図5Bに示すように、段差部12の外面に、補強のため、上下方向に伸びるリブ121が形成されてもよい。段差部12には応力集中が発生しやすく破損しやすいが、リブ121が形成されることにより、段差部12が破損しにくくなる。
【0050】
図5Aに示すように、薄肉部6は、フォーク挿入空間11の長手方向の全長にわたって形成されることが好ましい。すなわち、薄肉部6は、フォーク挿入空間11に対応する、端上桟部221、上桟間部23、内上桟部222、上桟間部23及び端上桟部221に形成されることが好ましい。厚肉部5も同様に、フォーク挿入空間11の長手方向の全長にわたって形成されることが好ましい。なお、この場合、上桟間部23に対応する部分は、フォーク挿入空間11が交差する部分である。このため、フォーク挿入空間11に対応する厚肉部5の長手方向の一部に、このフォーク挿入空間11に交差するフォーク挿入空間11の薄肉部6が横切るように形成される。このため、第一実施形態では、図6に示すように、厚肉部5は、上面デッキ部2の四個の隅部においてそれぞれ、隅桁上部211の部分を除く平面視L字状に形成されている。更に、中間桁上部212と中央桁上部213の間の桟(すなわち内上桟部222)には、厚肉部16が設けられている。なお、内上桟部222に設けられる厚肉部16は、任意の構成であり、設けられなくてもよい。内上桟部222に厚肉部16が設けられていない場合、中央部が下方に凹みやすくなる。
【0051】
フォーク9が、フォーク挿入口10よりフォーク挿入空間11に挿入されて上面デッキ部2を支持すると、厚肉部5の下面がフォーク9の上面によって支持され、薄肉部6の下面はフォーク9の上面に支持されにくい(但し、薄肉部6の下面がフォーク9の上面に支持される場合もあり得る)。このため、上面デッキ部2の両方の厚肉部5の間の部分(撓みやすい部分とする)の上面に載置された荷物により、撓みやすい部分は、下方に凹むように撓もうとする曲げモーメントを受ける。撓みやすい部分は、前記曲げモーメントを受けると、下方に凹むように撓む。薄肉部6の曲げ剛性は、厚肉部5の曲げ剛性よりも低く、厚肉部5が高剛性部7を構成するとともに薄肉部6が低剛性部8を構成する。
【0052】
撓みやすい部分が下方に凹むように撓むと、撓みやすい部分の端部側の部分も、全体的に下方に凹むように撓もうとする曲げモーメントを受ける。この結果、パレット1が上方に凸となって荷物がパレット1から落下するといったことが起こりにくくなる。
【0053】
また、厚肉部5と薄肉部6との間に段差部12が形成されるため、厚肉部5の下面がフォーク9の上面によって支持された時に段差部12(特に厚肉部5の部分)が基点となって、薄肉部6がフォーク9の上面よりも上方に位置するため、薄肉部6の撓み代が確保される。
【0054】
次に、第二実施形態に係るパレット1について、図7に基いて説明する。なお、第二実施形態のパレット1は、第一実施形態のパレット1と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0055】
第一実施形態では、厚肉部5の厚み及び薄肉部6の厚みはそれぞれ一定であった。また、厚肉部5と薄肉部6との間には段差部12が形成されていた。これに対して、第二実施形態では、厚肉部5の厚み及び薄肉部6の厚みはそれぞれ、隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて連続的に薄くなっている。
【0056】
上面デッキ部2のフォーク挿入口10に対応する部分(端上桟部221)は、全体で隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて一様に連続的に薄くなっている。厚肉部5と薄肉部6との間には段差部が形成されていない。このため、厚肉部5と薄肉部6との境界は明確ではないが、便宜上、フォーク挿入口10の隅桁41側の端部と中間桁42側の端部の中央部を厚肉部5と薄肉部6との境界とする。なお、厚肉部5と薄肉部6との境界は、フォーク挿入口10の隅桁41側の端部と中間桁42側の端部の中央部に限定されない。厚肉部5が高剛性部7を構成するとともに薄肉部6が低剛性部8を構成する。
【0057】
第二実施形態では、厚肉部5と薄肉部6との間に厚みが急激に変化する段差部が形成されないため、応力集中が発生しにくい。これにより、パレット1の応力集中が発生した部分より破壊されるのを抑制することができる。
【0058】
次に、第三実施形態に係るパレット1について、図8に基いて説明する。なお、第三実施形態のパレット1は、第一実施形態のパレット1と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0059】
第一実施形態では、上面デッキ部2のフォーク挿入口10に対応する部分(端上桟部221)の隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて、厚肉部5と薄肉部6とが順に位置して、端上桟部221に二個の段部が形成され、一個の段差部12が形成されていた。これに対して、第三実施形態では、端上桟部221の隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて、端上桟部221の厚みが順に薄くなる三個の段部が形成され、段部の間に計二個の段差部が形成されている。
【0060】
端上桟部221は、最も隅桁41側に位置する段部が厚みの最も厚い厚肉部5となり、この段部の中間桁42側に隣接する段部(端上桟部221の中央部に位置する段部)は、最も隅桁41側に位置する段部よりも厚みの薄い薄肉部6となる。最も中間桁42側に位置する段部は、端上桟部221の中央部に位置する段部よりも厚みの薄い薄肉部6となる。なお、この場合、端上桟部221の中央部に位置する段部は、最も中間桁42側に位置する段部(薄肉部6)との関係で、厚肉部5となる。厚肉部5が高剛性部7を構成するとともに薄肉部6が低剛性部8を構成する。
【0061】
第三実施形態では、端上桟部221に三個の段部が形成され、二個の段差部が形成されているため、フォーク9が段差部を跨いで位置しやすい。すなわち、ハンドフォークリフトによって、フォーク9の幅又は二個のフォーク9の間隔が異なるが、フォーク挿入口10に挿入されたフォーク9が段差部を跨いで位置しやすくなる。フォーク9が段差部を跨いで位置すると、段差部の中間桁42側に位置する薄肉部6の撓み代が確保される。
【0062】
次に、第四実施形態に係るパレット1について、図9に基いて説明する。なお、第四実施形態のパレット1は、第三実施形態のパレット1と大部分において同じである。このため、第三実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0063】
第三実施形態では、端上桟部221の隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて、端上桟部221の厚みが順に薄くなる三個の段部が形成され、段部の間に計二個の段差部が形成されていた。これに対して、第四実施形態では、端上桟部221の隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて、端上桟部221の厚みが薄くなり、次に厚みが厚くなる三個の段部が形成され、段部の間に計二個の段差部が形成されている。
【0064】
端上桟部221は、最も隅桁41側に位置する段部が厚みの最も厚い厚肉部5となり、この段部の中間桁42側に隣接する段部(端上桟部221の中央部に位置する段部)は、最も隅桁41側に位置する段部よりも厚みの薄い薄肉部6となる。最も中間桁42側に位置する段部は、端上桟部221の中央部に位置する段部よりも厚みの厚い厚肉部13となる。厚肉部13の厚みと厚肉部5の厚みは同じであり、厚肉部13の下面と厚肉部5の下面は同一平面上に位置する。
【0065】
第四実施形態では、フォーク9が厚肉部5と薄肉部6とにわたって位置してこの間の段差部を跨ぐと、薄肉部6の撓み代が確保される。また、厚肉部13の強度は薄肉部6の強度よりも大きいため、厚肉部13の部分に薄肉部6が連続している場合と比較して、パレット1の強度が向上する。
【0066】
次に、第五実施形態に係るパレット1について、図10に基いて説明する。なお、第五実施形態のパレット1は、第四実施形態のパレット1と大部分において同じである。このため、第四実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0067】
第四実施形態では、端上桟部221の隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて、厚肉部5、薄肉部6及び厚肉部13が順に位置し、厚肉部13の厚みと厚肉部5の厚みは同じであった。これに対し、第五実施形態では、端上桟部221の隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて、厚肉部5、薄肉部6及び厚肉部14が順に位置し、厚肉部5の厚みは厚肉部14の厚みよりも厚く形成されている。
【0068】
第五実施形態では、フォーク9が厚肉部5と薄肉部6とにわたって位置してこの間の段差部を跨ぐと、薄肉部6の撓み代が確保される。また、厚肉部14の強度は薄肉部6の強度よりも大きいため、厚肉部14の部分に薄肉部6が連続している場合と比較して、パレット1の強度が向上する。
【0069】
次に、第六実施形態に係るパレット1について、図11に基いて説明する。なお、第六実施形態のパレット1は、第一実施形態のパレット1と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0070】
第六実施形態のパレット1は、端上桟部221の厚みは基本的に一定であるが、隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけての一部に下方に向けて突出する突起部15が形成されており、結果的にこの突起部15が厚肉部5となっている。突起部15は、端上桟部221の一部として一体に形成されてもよいし、初めに端上桟部221とは別体として形成されて溶着により一体に形成されてもよい。
【0071】
突起部15は、フォーク挿入空間11の長手方向の一部にのみ形成される。突起部15は、フォーク挿入空間11の長手方向に離散的に複数個形成されてもよい。また、突起部15は、フォーク挿入空間11の長手方向全長にわたって形成されても良い。
【0072】
突起部15(厚肉部5)の中間桁42側の部分が薄肉部6となる。厚肉部5が高剛性部7を構成するとともに薄肉部6が低剛性部8を構成し、突起部15の隅桁41側の部分も低剛性部8となる。
【0073】
第六実施形態では、隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけての一部に形成され、かつ、フォーク挿入空間11の長手方向の一部に形成される突起部15により、厚肉部5が形成されるため、簡単な構成により厚肉部5が形成可能である。
【0074】
次に、第七実施形態に係るパレット1について説明する。なお、第七実施形態のパレット1は、第一実施形態のパレット1と大部分において同じである。このため、第一実施形態と重複する説明については説明を省略する。
【0075】
第一実施形態では、上面デッキ部2のフォーク挿入口10に対応する部分(端上桟部221)は、厚肉部5及び薄肉部6を有していた。これに対し、第七実施形態では、端上桟部221の厚みは隅桁41側の端部から中間桁42側の端部にかけて厚みは一定であるが、隅桁41側の部分に高剛性部7が形成され、中間桁42側の部分に低剛性部8が形成されている。
【0076】
高剛性部7及び低剛性部8は、例えば、高剛性部7の材質の弾性率(ヤング率)を低剛性部8の材質の弾性率よりも大きくしたり、一方を中空構造とするとともに他方を中実構造とする等、構造を異ならせたりすることにより、実現される。
【0077】
第七実施形態では、端上桟部221の厚みを一定にしながら、高剛性部7及び低剛性部8を形成することが可能となる。
【0078】
次に、第八実施形態に係るパレット1について、図12に基いて説明する。なお、第八実施形態のパレット1は、第一実施形態~第七実施形態のいずれかの実施形態のパレット1と大部分において同じである。このため、第一実施形態~第七実施形態のパレット1と重複する説明については説明を省略する。
【0079】
第八実施形態のパレット1は、第一実施形態~第七実施形態のいずれかの実施形態のパレット1と比較して、下面デッキ部3を備えない点で異なる。第八実施形態のパレット1にあっては、隅桁41は上面デッキ部2の各隅部より下方に突出する。また、中間桁42は、上面デッキ部2の各辺の中間部より下方に突出する。また、中央桁43は、上面デッキ部2の中央部より下方に突出する。フォーク挿入口10は、隅桁41と中間桁42との間に形成される。上面デッキ部2、厚肉部5、薄肉部6、高剛性部7及び低剛性部8等については、それぞれ第一実施形態~第七実施形態のパレット1のいずれかの実施形態のパレット1と同様である。
【0080】
第八実施形態のパレット1は、第一実施形態~第七実施形態のいずれかの実施形態のパレット1が奏する効果を得ることができる。
【0081】
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。
【0082】
パレット1は、上面デッキ部2と下面デッキ部3と桁部4とが一体に成形されなくてもよく、別々に成形された後、溶着されてもよい。
【0083】
パレット1の強さは、JISZ0602の試験におけるB種に限定されない。
【0084】
パレット1は、両面使用のパレット1として形成されてもよい。この場合、上面デッキ部2と下面デッキ部3とが同一となるように形成されて、使用状態において上面デッキ部2と下面デッキ部3のいずれが上側に位置してもよい。
【0085】
上面デッキ部2と下面デッキ部3とは、平面視長方形状に形成されてもよい。また、上面デッキ部2及び下面デッキ部3は、平面視において厳密な矩形に形成されなくてもよい。
【0086】
第一実施形態~第七実施形態の下面デッキ部3にあっては、端下桟部321は四個の辺にそれぞれ二個ずつ計八個設けられ、内下桟部322は中央桁下部313から90度ピッチで放射状に計四個設けられていた。これに対し、井の字状をなす二本ずつ二対のフォーク挿入空間11のうちの一対の二本のフォーク挿入空間11に位置する計四個の端下桟部321及び計二個の内下桟部322をなくしてもよい。この場合も、パレット1はいわゆる四方差しのパレットとなる。
【0087】
また、下面デッキ部3は、任意の構成であり、設けられる必要はない。
【0088】
隅桁上部211、中間桁上部212、中央桁上部213、端上桟部221、内上桟部222及び上桟間部23は、板状に形成されてもよく、構造は特に限定されない。
【0089】
上面デッキ部2の桁上部21、上桟部22及び上桟間部23の上面は、必ずしも同一平面上に位置しなくてもよい。
【0090】
隅桁下部311、中間桁下部312、中央桁下部313、端下桟部321及び内下桟部322は、板状に形成されてもよく、構造は特に限定されない。
【0091】
下面デッキ部3の桁下部31及び下桟部32の下面は、必ずしも同一平面上に位置しなくてもよい。
【0092】
隅桁41、中間桁42、中央桁43の筒部44の形状及び構造は、特に限定されない。
【0093】
厚肉部5の形状は、平面視L字状に限定されない。
【0094】
厚肉部5の外面に形成されるリブ51及び薄肉部6の外面に形成されるリブ61は、任意の構成であり、設けられなくてもよい。
【0095】
以上、述べた第一実施形態~第七実施形態およびその変形例から明らかなように、第1の態様のパレット(1)は、平面視矩形状に形成された上面デッキ部(2)と、平面視矩形状に形成された下面デッキ部(3)と、隅桁(41)と、中間桁(42)と、中央桁(43)と、を備える。隅桁(41)は、上面デッキ部(2)の各隅部と下面デッキ部(3)の各隅部とをそれぞれ連結する。中間桁(42)は、上面デッキ部(2)の各辺の中間部と下面デッキ部(3)の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。中央桁(43)は、上面デッキ部(2)の中央部と下面デッキ部(3)の中央部とをそれぞれ連結する。パレット(1)には、上面デッキ部(2)と下面デッキ部(3)との間で、かつ、隅桁(41)と中間桁(42)との間にフォーク挿入口(10)が形成される。パレット(1)は、上面デッキ部(2)のフォーク挿入口(10)に対応する部分において、中間桁(42)側の部分に、隅桁(41)側の厚肉部(5)となる部分の厚みよりも厚みの薄い薄肉部(6)を有する。
【0096】
第1の態様によれば、中間桁(42)側の部分に積載された荷物により、中間桁(42)側の部分が低くなるような曲げモーメントが薄肉部(6)にかかると、薄肉部(6)で曲がって中間桁(42)側の部分が低くなって下方に凹む。この結果、パレット(1)に載置されている荷物に、荷物が中央側に傾くような力がはたらくため、荷割れが起きにくくなる。
【0097】
第2の態様のパレット(1)は、平面視矩形状に形成された上面デッキ部(2)と、隅桁(41)と、中間桁(42)と、中央桁(43)と、を備える。隅桁(41)は、上面デッキ部(2)の各隅部より下方に突出する。中間桁(42)は、上面デッキ部(2)の各辺の中間部より下方に突出する。中央桁(43)は、上面デッキ部(2)の中央部より下方に突出する。パレット(1)には、隅桁(41)と中間桁(42)との間にフォーク挿入口(10)が形成される。パレット(1)は、上面デッキ部(2)のフォーク挿入口(10)に対応する部分において、中間桁(42)側の部分に、隅桁(41)側の厚肉部(5)となる部分の厚みよりも厚みの薄い薄肉部(6)を有する。
【0098】
第2の態様によれば、中間桁(42)側の部分に積載された荷物により、中間桁(42)側の部分が低くなるような曲げモーメントが薄肉部(6)にかかると、薄肉部(6)で曲がって中間桁(42)側の部分が低くなって下方に凹む。この結果、パレット(1)に載置されている荷物に、荷物が中央側に傾くような力がはたらくため、荷割れが起きにくくなる。
【0099】
第3の態様では、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、パレット(1)は、上面デッキ部(2)のフォーク挿入口(10)に対応する部分において、薄肉部(6)と、厚肉部(5)との間に段差部(12)を有する。
【0100】
第3の態様によれば、段差部(12)が形成されるため、薄肉部(6)の撓み代が確保される。
【0101】
第4の態様では、第3の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、パレット(1)は、上面デッキ部(2)のフォーク挿入口(10)に対応する部分の中間部に、下方に向けて突出して厚肉部(5)となる突起部(15)を有する。
【0102】
第4の態様によれば、簡単な構成により厚肉部(5)を形成することができる。
【0103】
第5の態様のパレット(1)は、平面視矩形状に形成された上面デッキ部(2)と、平面視矩形状に形成された下面デッキ部(3)と、隅桁(41)と、中間桁(42)と、中央桁(43)と、を備える。隅桁(41)は、上面デッキ部(2)の各隅部と下面デッキ部(3)の各隅部とをそれぞれ連結する。中間桁(42)は、上面デッキ部(2)の各辺の中間部と下面デッキ部(3)の各辺の中間部とをそれぞれ連結する。中央桁(43)は、上面デッキ部(2)の中央部と下面デッキ部(3)の中央部とをそれぞれ連結する。パレット(1)には、上面デッキ部(2)と下面デッキ部(3)との間で、かつ、隅桁(41)と中間桁(42)との間にフォーク挿入口(10)が形成される。パレット(1)は、上面デッキ部(2)のフォーク挿入口(10)に対応する部分において、中間桁(42)側の部分に、隅桁(41)側の部分の曲げ剛性よりも曲げ剛性が低い低剛性部(8)を有する。
【0104】
第5の態様によれば、中間桁(42)側の部分に積載された荷物により、中間桁(42)側の部分が低くなるような曲げモーメントが低剛性部(8)にかかると、低剛性部(8)で曲がって中間桁(42)側の部分が低くなって下方に凹む。この結果、パレット(1)が上方に凸となって荷物がパレット(1)から落下するといったことが起こりにくくなる。
【符号の説明】
【0105】
1 パレット
10 フォーク挿入口
12 段差部
15 突起部
2 上面デッキ部
3 下面デッキ部
41 隅桁
42 中間桁
5 厚肉部
6 薄肉部
8 低剛性部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13