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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】支持装置および振動発生装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/04 20060101AFI20231109BHJP
   G01M 7/02 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
F16C29/04
G01M7/02 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020013472
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120139
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000100676
【氏名又は名称】IMV株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬井 公一
(72)【発明者】
【氏名】島田 啓祐
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-330046(JP,A)
【文献】特開2015-105823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/04
G01M 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の振動方向に沿って往復動する可動部と、前記可動部の周囲に配置される固定部との間に配置され、前記可動部を前記振動方向へ案内するとともに、前記振動方向に直交する方向への前記可動部の動きを規制する支持装置であって、
前記可動部に取り付けられる可動部側受け部材と、
前記可動部側受け部材に対向するように、前記固定部に取り付けられる固定部側受け部材と、
前記可動部側受け部材、および前記固定部側受け部材に挟まれた状態で保持される揺動部材と、
を備え、
前記可動部側受け部材は、
前記振動方向に対して平行な平面であって、かつ、前記振動方向に対して直交する方向に並設される第1可動部側平面および第2可動部側平面と、
前記第1可動部側平面および前記第2可動部側平面に対して所定の角度をなし、かつ、相互に逆方向に傾斜するように形成されるとともに、前記第1可動部側平面および前記第2可動部側平面を挟むように配置される第1可動部側傾斜面および第2可動部側傾斜面と、
を有し、
前記固定部側受け部材は、
前記振動方向に対して平行な平面であって、かつ、前記振動方向に対して直交する方向に並設される第1固定部側平面および第2固定部側平面と、
前記第1固定部側平面および前記第2固定部側平面に対して所定の角度をなし、かつ、相互に逆方向に傾斜するように形成されるとともに、前記第1固定部側平面および前記第2固定部側平面を挟むように配置される第1固定部側傾斜面および第2固定部側傾斜面と、
を有し、
前記第1可動部側傾斜面および前記第1固定部側傾斜面は、相互に対向するように配置されるとともに、同一方向に傾斜するように形成されており、
前記第2可動部側傾斜面および前記第2固定部側傾斜面は、相互に対向するように配置されるとともに、同一方向に傾斜するように形成されており、
前記揺動部材は、
前記第1可動部側平面、前記第2可動部側平面、前記第1固定部側平面および前記第2固定部側平面の各平面に対して平行かつ前記振動方向に直交する方向に設定される回転軸線を有する回転軸と、
前記回転軸に支持されるとともに、前記第1可動部側平面に接触する第1可動部側ローラ面、および前記第1固定部側平面に接触する第1固定部側ローラ面を有する第1ローラ部と、
前記回転軸に支持されるとともに、前記第2可動部側平面に接触する第2可動部側ローラ面、および前記第2固定部側平面に接触する第2固定部側ローラ面を有する第2ローラ部と、
前記回転軸に支持されるとともに、前記第1可動部側傾斜面に接触する第1可動部側係合面、および前記第1固定部側傾斜面に接触する第1固定部側係合面を有し、前記第1可動部側係合面および前記第1固定部側係合面が前記回転軸線に関して点対称に形成されている第1係合部と、
前記回転軸に支持されるとともに、前記第2可動部側傾斜面に接触する第2可動部側係合面、および前記第2固定部側傾斜面に接触する第2固定部側係合面を有し、前記第2可動部側係合面および前記第2固定部側係合面が前記回転軸線に関して点対称に形成されている第2係合部と、
を有し、
前記第1係合部および前記第2係合部は、前記回転軸線が延びる方向において、前記第1ローラ部および前記第2ローラ部を挟むように配置され、
前記第1可動部側係合面と前記第1可動部側傾斜面、および前記第1固定部側係合面と前記第1固定部側傾斜面は、前記第1ローラ部および前記第2ローラ部が回転しながら移動したときに、接触状態が維持されるように形成されており、
前記第2可動部側係合面と前記第2可動部側傾斜面、および前記第2固定部側係合面と前記第2固定部側傾斜面は、前記第1ローラ部および前記第2ローラ部が回転しながら移動したときに、接触状態が維持されるように形成されており、
前記可動部の往復動に従って前記揺動部材が回転しながら移動したときに、前記揺動部材と、前記可動部側受け部材および前記固定部側受け部材との係合作用によって前記揺動部材が前記可動部側受け部材および前記固定部側受け部材の間に保持される、
支持装置。
【請求項2】
前記第1ローラ部は、
前記第1可動部側ローラ面が形成される第1可動部側ローラ部材と、
前記第1固定部側ローラ面が形成される第1固定部側ローラ部材と、
前記第1可動部側ローラ部材および前記第1固定部側ローラ部材がスプリングピンを介して支持されるとともに、前記回転軸に支持される第1ローラ部主体と、
を有し、
前記第2ローラ部は、
前記第2可動部側ローラ面が形成される第2可動部側ローラ部材と、
前記第2固定部側ローラ面が形成される第2固定部側ローラ部材と、
前記第2可動部側ローラ部材および前記第2固定部側ローラ部材がスプリングピンを介して支持されるとともに、前記回転軸に支持される第2ローラ部主体と、
を有する、
請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
前記可動部側受け部材、および、前記固定部側受け部材は、
それぞれ前記振動方向に延びるように設けられる案内部を有し、
前記第1ローラ部および前記第2ローラ部は、
前記案内部を挟むように形成される案内面を有し、
前記揺動部材は、前記第1ローラ部および前記第2ローラ部に形成される前記案内面で前記案内部を挟んだ状態で、前記可動部側受け部材および前記固定部側受け部材の間に保持される、
請求項1または請求項2に記載の支持装置。
【請求項4】
前記可動部の往復動に従って前記揺動部材が回転しながら移動する場合における、前記回転軸の移動領域を包含するとともに、前記固定部側受け部材または前記可動部側受け部材に固定される保持部を、さらに備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の支持装置。
【請求項5】
所定の振動方向に沿って往復動する可動部と、
前記可動部の周囲に配置される固定部と、を備え、
前記可動部と前記固定部との間に請求項1から請求項4のいずれかに記載の支持装置を複数個配置した、
振動発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば振動試験装置に用いられる振動発生装置において、所定の振動方向に沿って往復動する可動部を支持する際に好適に用いられる支持装置、および、この支持装置を用いた振動発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動試験装置に用いられる振動発生装置においては、いわゆる横揺れを防止して可動部を所定の1軸方向(振動方向)に沿って往復動させることが重要である。横揺れとは、可動部が振動方向に直交する方向(以下、ラジアル方向ということもある)に動くことである。この横揺れを防止するために、振動発生装置では、可動部とその周囲に配置されているヨークなどの固定部との間に支持装置が配置されている。支持装置は、可動部を振動方向へ案内するとともに、ラジアル方向への可動部の動きを規制する。
【0003】
本出願人は、特許文献1において、振動発生装置に用いられる支持装置を提案している。この支持装置は、一対の受け部材および揺動部材から構成されている。一対の受け部材は、振動発生装置の可動部と固定部とにそれぞれ取り付けられる。可動部と固定部に取り付けられた受け部材には、それぞれ一対の平面および一対の傾斜面が設けられている。揺動部材は、可動部と固定部に取り付けられた受け部材に挟まれた状態で保持される。
【0004】
図7は、特許文献1に開示された支持装置を構成する揺動部材350を示す図である。図7に示すように、揺動部材350は、一対のローラ部361,362および一対の係合部371,372を有している。ローラ部361,362および係合部371,372は、可動部と固定部にそれぞれに設けられた受け部材の平面および傾斜面に接触するように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3536148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の支持装置では、一対の係合部371,372は、一対のローラ部361,362によって挟まれるように配置されている。また、一対の係合部371,372が接触する可動部および固定部の傾斜面は、相互に逆方向に傾斜するように形成されているとともに、相互に隣接して配置されている。このため、振動発生装置の作動中において、揺動部材350が偏心モーメントを受けて僅かに傾斜すると、係合部371,372が接触している傾斜面から外れて本来接触する傾斜面とは異なる隣接する傾斜面に乗り上げてしまう場合があった。
【0007】
また、ローラ部361,362が摩耗等した場合には、メンテナンスのためローラ部361,362を交換する必要があるが、ローラ部361,362はボルト351で組み付けられており、ローラ部361,362を交換することは容易ではなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、揺動部材が偏心モーメントを受けた場合であっても係合部が隣接する傾斜面に乗り上げることを防止できるとともに、ローラ部の交換が容易であり、メンテナンスのコストを抑制することができる、支持装置および振動発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明の支持装置は、
所定の振動方向に沿って往復動する可動部と、前記可動部の周囲に配置される固定部との間に配置され、前記可動部を前記振動方向へ案内するとともに、前記振動方向に直交する方向への前記可動部の動きを規制する支持装置であって、
前記可動部に取り付けられる可動部側受け部材と、
前記可動部側受け部材に対向するように、前記固定部に取り付けられる固定部側受け部材と、
前記可動部側受け部材、および前記固定部側受け部材に挟まれた状態で保持される揺動部材と、
を備え、
前記可動部側受け部材は、
前記振動方向に対して平行な平面であって、かつ、前記振動方向に対して直交する方向に並設される第1可動部側平面および第2可動部側平面と、
前記第1可動部側平面および前記第2可動部側平面に対して所定の角度をなし、かつ、相互に逆方向に傾斜するように形成されるとともに、前記第1可動部側平面および前記第2可動部側平面を挟むように配置される第1可動部側傾斜面および第2可動部側傾斜面と、
を有し、
前記固定部側受け部材は、
前記振動方向に対して平行な平面であって、かつ、前記振動方向に対して直交する方向に並設される第1固定部側平面および第2固定部側平面と、
前記第1固定部側平面および前記第2固定部側平面に対して所定の角度をなし、かつ、相互に逆方向に傾斜するように形成されるとともに、前記第1固定部側平面および前記第2固定部側平面を挟むように配置される第1固定部側傾斜面および第2固定部側傾斜面と、
を有し、
前記第1可動部側傾斜面および前記第1固定部側傾斜面は、相互に対向するように配置されるとともに、同一方向に傾斜するように形成されており、
前記第2可動部側傾斜面および前記第2固定部側傾斜面は、相互に対向するように配置されるとともに、同一方向に傾斜するように形成されており、
前記揺動部材は、
前記第1可動部側平面、前記第2可動部側平面、前記第1固定部側平面および前記第2固定部側平面の各平面に対して平行かつ前記振動方向に直交する方向に設定される回転軸線を有する回転軸と、
前記回転軸に支持されるとともに、前記第1可動部側平面に接触する第1可動部側ローラ面、および前記第1固定部側平面に接触する第1固定部側ローラ面を有する第1ローラ部と、
前記回転軸に支持されるとともに、前記第2可動部側平面に接触する第2可動部側ローラ面、および前記第2固定部側平面に接触する第2固定部側ローラ面を有する第2ローラ部と、
前記回転軸に支持されるとともに、前記第1可動部側傾斜面に接触する第1可動部側係合面、および前記第1固定部側傾斜面に接触する第1固定部側係合面を有し、前記第1可動部側係合面および前記第1固定部側係合面が前記回転軸線に関して点対称に形成されている第1係合部と、
前記回転軸に支持されるとともに、前記第2可動部側傾斜面に接触する第2可動部側係合面、および前記第2固定部側傾斜面に接触する第2固定部側係合面を有し、前記第2可動部側係合面および前記第2固定部側係合面が前記回転軸線に関して点対称に形成されている第2係合部と、
を有し、
前記第1係合部および前記第2係合部は、前記回転軸線が延びる方向において、前記第1ローラ部および前記第2ローラ部を挟むように配置され、
前記第1可動部側係合面と前記第1可動部側傾斜面、および前記第1固定部側係合面と前記第1固定部側傾斜面は、前記第1ローラ部および前記第2ローラ部が回転しながら移動したときに、接触状態が維持されるように形成されており、
前記第2可動部側係合面と前記第2可動部側傾斜面、および前記第2固定部側係合面と前記第2固定部側傾斜面は、前記第1ローラ部および前記第2ローラ部が回転しながら移動したときに、接触状態が維持されるように形成されており、
前記可動部の往復動に従って前記揺動部材が回転しながら移動したときに、前記揺動部材と、前記可動部側受け部材および前記固定部側受け部材との係合作用によって前記揺動部材が前記可動部側受け部材および前記固定部側受け部材の間に保持される(第1の構成)。
【0010】
上記構成によれば、第1係合部および第2係合部は、回転軸線が延びる方向において、第1ローラ部および第2ローラ部を挟むように配置されている。
このため、第1係合部および第2係合部が接触する第1可動部側傾斜面と第2可動部側傾斜面、および、第1固定部側傾斜面と第2固定部側傾斜面とを、それぞれ回転軸線が延びる方向において離隔させて配置することができる。よって、揺動部材が偏心モーメントを受けた場合であっても、第1係合部および第2係合部が本来接触する傾斜面とは異なる傾斜面に乗り上げることを防止することができる。
【0011】
本発明の支持装置の具体構成として、次の構成が挙げられる。
【0012】
上記第1の構成において、
前記第1ローラ部は、
前記第1可動部側ローラ面が形成される第1可動部側ローラ部材と、
前記第1固定部側ローラ面が形成される第1固定部側ローラ部材と、
前記第1可動部側ローラ部材および前記第1固定部側ローラ部材がスプリングピンを介して支持されるとともに、前記回転軸に支持される第1ローラ部主体と、
を有し、
前記第2ローラ部は、
前記第2可動部側ローラ面が形成される第2可動部側ローラ部材と、
前記第2固定部側ローラ面が形成される第2固定部側ローラ部材と、
前記第2可動部側ローラ部材および前記第2固定部側ローラ部材がスプリングピンを介して支持されるとともに、前記回転軸に支持される第2ローラ部主体と、
を有してもよい(第2の構成)。
【0013】
上記構成によれば、第1可動部側ローラ部材および第1固定部側ローラ部材は、スプリングピンを介して第1ローラ部主体に支持され、第2可動部側ローラ部材および第2固定部側ローラ部材は、スプリングピンを介して第2ローラ部主体に支持されている。
このため、メンテナンスの際に第1ローラ部および第2ローラ部を回転軸から外さずに、摩耗等が生じた第1可動部側ローラ部材、第1固定部側ローラ部材、第2可動部側ローラ部材、および第2固定部側ローラ部材のみをスプリングピンから引き抜いて交換することができる。よって、支持装置のメンテナンスが容易であるとともに、メンテナンスのコストを抑制することができる。
【0014】
上記第1または第2の構成において、
前記可動部側受け部材、および、前記固定部側受け部材は、
それぞれ前記振動方向に延びるように設けられる案内部を有し、
前記第1ローラ部および前記第2ローラ部は、
前記案内部を挟むように形成される案内面を有し、
前記揺動部材は、前記第1ローラ部および前記第2ローラ部に形成される前記案内面で前記案内部を挟んだ状態で、前記可動部側受け部材および前記固定部側受け部材の間に保持されてもよい(第3の構成)。
【0015】
上記構成によれば、揺動部材は、第1ローラ部および第2ローラ部に形成される案内面で案内部を挟んだ状態で、可動部側受け部材および固定部側受け部材の間に保持される。
このため、揺動部材が偏心モーメントを受けた場合であっても、揺動部材を可動部側受け部材および固定部側受け部材の間に安定した姿勢で保持することができる。
【0016】
上記第1から第3のいずれかの構成において、
前記可動部の往復動に従って前記揺動部材が回転しながら移動する場合における、前記回転軸の移動領域を包含するとともに、前記固定部側受け部材または前記可動部側受け部材に固定される保持部を、さらに備えてもよい(第4の構成)。
【0017】
上記構成によれば、保持部は、可動部の往復動に従って揺動部材が回転しながら移動する場合における、回転軸の移動領域を包含する。
このため、可動部側受け部材および固定部側受け部材と揺動部材との係合が外れた場合でも、揺動部材が可動部側受け部材および固定部側受け部材の間から脱落することを防止することができる。
【0018】
また、本発明の振動発生装置は、
所定の振動方向に沿って往復動する可動部と、
前記可動部の周囲に配置される固定部と、を備え、
前記可動部と前記固定部との間に第1から第4のいずれかの構成の支持装置を複数個配置する(第5の構成)。
【0019】
上記構成によれば、揺動部材が偏心モーメントを受けた場合であっても、第1係合部および第2係合部が本来接触する傾斜面とは異なる傾斜面に乗り上げることを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の支持装置および振動発生装置によれば、揺動部材が偏心モーメントを受けた場合であっても係合部が隣接する傾斜面に乗り上げることを防止できるとともに、ローラ部の交換が容易であり、メンテナンスのコストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態1に係る支持装置を用いた振動発生装置を振動軸に沿って切断した断面図である。
図2図2は、振動発生装置を振動軸方向から見た図である。
図3図3は、本発明の実施形態1に係る支持装置を振動発生装置の振動軸方向から見た図である。
図4図4は、支持装置を振動発生装置の振動軸に交差する方向から見た図である。
図5図5は、揺動部材の第1ローラ部から第1固定部側ローラ部材を取り外した状態を示す図である。
図6図6は、支持装置が作動する状態を示す図である。
図7図7は、特許文献1に開示された支持装置を構成する揺動部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施形態1]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態1に係る支持装置100、および支持装置100を用いた振動発生装置200を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0023】
[振動発生装置]
まず、振動発生装置200について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る支持装置100を用いた振動発生装置200を振動軸L1に沿って切断した断面図である。本実施形態では、Z軸方向を垂直方向(鉛直方向)とし、Y軸方向を水平方向とし、YZ平面に垂直な方向をX軸方向とする。
【0024】
図1に示すように、振動発生装置200は、動電型加振機であり、振動軸L1がZ軸方向に対して平行となるように配置されており、Z軸方向の振動を発生させる。振動発生装置200は、励磁コイル131,132、ヨーク135、ドライブコイル137、筒体139、支持装置100等を備えている。筒体139は、本発明の可動部に相当し、ヨーク135は、本発明の固定部に相当する。
【0025】
励磁コイル131,132は、静磁場を形成する。ヨーク135は、励磁コイル131,132により形成された静磁場による磁気回路および磁気ギャップを形成する。ドライブコイル137は、磁気ギャップ内に配置される振動発生用のコイルである。
【0026】
ヨーク135は、第1ヨーク部1351、第2ヨーク部1352、および第3ヨーク部1353を一体的に組み合わせて構成されている。第1ヨーク部1351、第2ヨーク部1352、および第3ヨーク部1353は、強磁性体によって形成されている。第1ヨーク部1351の外周面と、第2ヨーク部1352の内周面との間に磁気ギャップが形成されている。なお、ヨーク135を構成する第1ヨーク部1351、第2ヨーク部1352、および第3ヨーク部1353の材質としては、高透磁率で高強度の磁性材料、例えばSS400等の低炭素鋼を好適に用いることが可能である。
【0027】
励磁コイル131,132は、円筒状に巻回されており、第2ヨーク部1352の内周面において振動軸L1方向に離隔した状態で並んで取り付けられている。励磁コイル131,132は、第3ヨーク部1353と、第1ヨーク部1351の外鍔1354とによって位置決めされている。
【0028】
ドライブコイル137は、非磁性体からなる筒体139の一端側(図1では、-Z軸方向側)の外周面に巻回されている。ドライブコイル137は、励磁コイル131,132と、ヨーク135(第1ヨーク部1351、および第2ヨーク部1352)との対向間の磁気ギャップ内に、励磁コイル131,132およびヨーク135に対し非接触の状態で挿入されている。なお、筒体139の材質としては、非磁性体の高強度の金属(例えばアルミニウム合金)や、合成樹脂(例えばカーボンファイバ)等を好適に用いることが可能である。
【0029】
ドライブコイル137および筒体139は、Z軸方向に沿ってスライド可能に設けられている。具体的には、制御部(図示せず)によって電力増幅器を介して励磁コイル131,132に直流電流を供給することにより、励磁コイル131,132を取り巻くヨーク135内に磁気回路(静磁場)が生成される。ヨーク135には上述したような磁気ギャップが形成されており、磁気ギャップ内に配置されたドライブコイル137に所定周波数の交流電流を制御部により供給することによって、磁気ギャップに生成される静磁場とドライブコイル137に供給される交流電流との間に働く力により、ドライブコイル137が磁束の方向と直交する方向にスライドする。この場合、ドライブコイル137および筒体139は、ヨーク135から外方へ向けて突出(前進)する方向(図1では、+Z軸方向)のスライドと、ヨーク135へ向けて内方(図1では、-Z軸方向)へ退避(後退)する方向のスライドとを繰り返し行う。つまり、ドライブコイル137および筒体139(可動部)は、ドライブコイル137に供給される交流電流の信号に応じた周波数でヨーク135(固定部)に対してZ軸方向に沿って振動する。
【0030】
筒体139の内部には、ドライブコイル137および筒体139のZ軸方向のスライドを案内する案内棒140、およびガイドローラ141が設けられている。また、筒体139とヨーク135との間には、ドライブコイル137および筒体139のZ軸方向のスライドを案内する支持装置100が設けられている。ガイドローラ141は、第1ヨーク部1351の内壁面に支持されており、案内棒140をZ軸方向に案内する。ガイドローラ141は、案内棒140の周囲に120度間隔で3箇所に配置されている。図1では、3箇所のガイドローラ141のうち1箇所のガイドローラ141が見えている。なお、ガイドローラ141は、案内棒140の周囲に90度間隔で4箇所に配置されていてもよい。
【0031】
支持装置100(101、102、103、104)(図2参照)は、第3ヨーク部1353の端部と筒体139との間に配置されている。支持装置100については、後に詳細に説明する。
【0032】
筒体139の他端側(図1では、+Z軸方向側)には、振動台(図示せず)が連結される。振動発生装置200では、制御部(図示せず)により振動発生装置200を駆動することによって、ドライブコイル137、筒体139、および振動台が一体的にZ軸方向に沿って振動し、振動台上に保持された供試体に対するZ軸方向の加振が行われる。
【0033】
図2は、振動発生装置200を振動軸L1方向から見た図である。図2に示すように、支持装置100(101、102、103、104)は、Z軸方向に沿って往復動する筒体139と、筒体139の周囲に配置されるヨーク135(第3ヨーク部1353)の端部との間に配置されている。支持装置100(101、102、103、104)は、それぞれ筒体139の周囲に90度間隔で4箇所に配置されている。なお、支持装置100は、筒体139の周囲に120度間隔で3箇所に配置されていてもよい。
【0034】
[支持装置]
図3は、本発明の実施形態1に係る支持装置100を振動発生装置200の振動軸L1方向(+Z軸方向)から見た図である。振動発生装置200に設けられている支持装置100(101、102、103、104)(図2参照)は、いずれも同一の構成を有している。
【0035】
図3に示すように、支持装置100は、可動部側受け部材10、固定部側受け部材30、揺動部材50、および保持部90を備えている。
【0036】
可動部側受け部材10は、筒体139の周面に取り付けられている。
【0037】
固定部側受け部材30は、可動部側受け部材10に対向するように、ヨーク135に取り付けられている。本実施形態では、固定部側受け部材30は、第3ヨーク部1353の上部に固定された支持部136に取り付けられている。
【0038】
揺動部材50は、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30に挟まれた状態で保持されている。
【0039】
保持部90は、固定部側受け部材30に固定されている。
【0040】
揺動部材50は、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30との係合作用によって、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の間に保持されている。そして、揺動部材50は、筒体139の往復動に従って、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の間で回転しながら移動する(図6参照)。これにより、支持装置100は、筒体139を振動方向へ案内するとともに、振動方向に直交する方向への筒体139の動きを規制している。このような支持装置100の基本的な動作原理については、本出願人が特許第3536148号公報において提案した支持装置と共通している。一方、特許第3536148号公報において提案した支持装置と、本発明に係る支持装置では、各部材の配置や構成が大きく異なっている。以下、支持装置100を構成する可動部側受け部材10、固定部側受け部材30、揺動部材50、および保持部90について詳細に説明する。
【0041】
可動部側受け部材10は、第1可動部側平面11、第2可動部側平面12、第1可動部側傾斜面15、第2可動部側傾斜面16、および案内部18を有している。
【0042】
第1可動部側平面11および第2可動部側平面12は、振動方向(Z軸方向)に対して平行な平面である。第1可動部側平面11および第2可動部側平面12は、振動方向に対して直交する方向(Y軸方向)に並設されている。
【0043】
第1可動部側傾斜面15および第2可動部側傾斜面16は、第1可動部側平面11および第2可動部側平面12に対して所定の角度を成すように形成される平面である。第1可動部側傾斜面15および第2可動部側傾斜面16は、相互に逆方向に傾斜するように形成されている。相互に逆方向に傾斜するとは、例えば第1可動部側傾斜面15が振動方向(Z軸方向)に対して+θ度傾斜しているとすると、第2可動部側傾斜面16は振動方向(Z軸方向)に対して-θ度傾斜している状態をいう。第1可動部側傾斜面15および第2可動部側傾斜面16は、第1可動部側平面11および第2可動部側平面12を挟むように配置されている。
【0044】
案内部18は、第1可動部側平面11および第2可動部側平面12に挟まれるように配置されている。案内部18は、固定部側受け部材30に向けて突出する突条であり、振動方向(Z軸方向)に沿って延びるように設けられている。
【0045】
固定部側受け部材30は、第1固定部側平面31、第2固定部側平面32、第1固定部側傾斜面35、第2固定部側傾斜面36、および案内部38を有している。
【0046】
第1固定部側平面31および第2固定部側平面32は、振動方向(Z軸方向)に対して平行な平面である。第1固定部側平面31および第2固定部側平面32は、振動方向に対して直交する方向(Y軸方向)に並設されている。
【0047】
第1固定部側傾斜面35および第2固定部側傾斜面36は、第1固定部側平面31および第2固定部側平面32に対して所定の角度を成すように形成される平面である。第1固定部側傾斜面35および第2固定部側傾斜面36は、相互に逆方向に傾斜するように形成されている。相互に逆方向に傾斜するとは、上述の第1可動部側傾斜面15および第2可動部側傾斜面16と同様に、例えば第1固定部側傾斜面35が振動方向(Z軸方向)に対して+θ度傾斜しているとすると、第2固定部側傾斜面36は振動方向(Z軸方向)に対して-θ度傾斜している状態をいう。第1固定部側傾斜面35および第2固定部側傾斜面36は、第1固定部側平面31および第2固定部側平面32を挟むように配置されている。
【0048】
案内部38は、第1固定部側平面31および第2固定部側平面32に挟まれるように配置されている。案内部38は、可動部側受け部材10に向けて突出する突条であり、振動方向(Z軸方向)に沿って延びるように設けられている。
【0049】
ここで、第1可動部側傾斜面15および第1固定部側傾斜面35は、相互に対向するように配置されているとともに、同一方向に傾斜するように形成されている。同一方向に傾斜するとは、例えば第1可動部側傾斜面15が振動方向(Z軸方向)に対して+θ度傾斜しているとすると、第1固定部側傾斜面35も振動方向(Z軸方向)に対して+θ度傾斜している状態をいう。
【0050】
また、第2可動部側傾斜面16および第2固定部側傾斜面36も、相互に対向するように配置されるとともに、同一方向に傾斜するように形成されている。同一方向に傾斜するとは、上述の第1可動部側傾斜面15および第1固定部側傾斜面35と同様に、第2可動部側傾斜面16が振動方向(Z軸方向)に対して-θ度傾斜しているとすると、第2固定部側傾斜面36も振動方向(Z軸方向)に対して-θ度傾斜している状態をいう。
【0051】
揺動部材50は、回転軸51、ブッシュ54、第1ローラ部61、第2ローラ部62、第1係合部71、および第2係合部72を有している。第1ローラ部61および第2ローラ部62は、回転軸51によって支持され、また、第1係合部71および第2係合部72は、回転軸51の回転軸線L2が延びる方向において、第1ローラ部61および第2ローラ部62を挟むように配置されている。
【0052】
回転軸51は、第1ローラ部61、第2ローラ部62、第1係合部71、および第2係合部72を支持する部材である。第1係合部71および第2係合部72は、ブッシュ54を介して回転軸51に支持されている。本実施形態では、回転軸51はボルトであり、ブッシュ54は、弾性体(例えば、ゴム素材)で形成されている。回転軸51の回転軸線L2は、第1可動部側平面11、第2可動部側平面12、第1固定部側平面31および第2固定部側平面32の各平面に対して平行かつ振動方向に直交する方向(Y軸方向)に設定されている。ボルトである回転軸51とナット52により、第1ローラ部61、第2ローラ部62、第1係合部71、および第2係合部72が回転軸51に支持された状態で固定されている。なお、第1係合部71および第2係合部72は、ブッシュ54が弾性変形可能であることにより、回転軸51の回転軸線L2回りに所定角度の範囲で回転可能である。
【0053】
第1ローラ部61は、第1可動部側平面11に接触する第1可動部側ローラ面63、および第1固定部側平面31に接触する第1固定部側ローラ面64を有している。第1可動部側ローラ面63および第1固定部側ローラ面64は、第1可動部側平面11と第1固定部側平面31との間隙を直径とする円筒状の周面の一部と同一の形状を有している。
【0054】
第2ローラ部62は、第2可動部側平面12に接触する第2可動部側ローラ面65、および第2固定部側平面32に接触する第2固定部側ローラ面66を有している。第2可動部側ローラ面65および第2固定部側ローラ面66は、第2可動部側平面12と第2固定部側平面32との間隙を直径とする円筒状の周面の一部と同一の形状を有している。
【0055】
第1係合部71は、第1可動部側傾斜面15に接触する第1可動部側係合面73、および第1固定部側傾斜面35に接触する第1固定部側係合面74を有している。第1可動部側係合面73および第1固定部側係合面74は、回転軸線L2に関して点対称に形成されている。
【0056】
第2係合部72は、第2可動部側傾斜面16に接触する第2可動部側係合面75、および第2固定部側傾斜面36に接触する第2固定部側係合面76を有している。第2可動部側係合面75および第2固定部側係合面76は、回転軸線L2に関して点対称に形成されている。
【0057】
ここで、第1係合部71の第1可動部側係合面73および第1固定部側係合面74は、第1ローラ部61および第2ローラ部62が回転しながら移動したときに(図6参照)、第1可動部側係合面73と第1可動部側傾斜面15、および第1固定部側係合面74と第1固定部側傾斜面35の接触状態が維持されるように形成されている。また、第1可動部側係合面73と第1可動部側傾斜面15、および第1固定部側係合面74と第1固定部側傾斜面35の接触状態において、第1係合部71に回転軸線L2回りの回転モーメントが加わった場合には、ブッシュ54の弾性変形により第1係合部71が回転軸線L2回りに回転する。
【0058】
同様に第2係合部72の第2可動部側係合面75および第2固定部側係合面76は、第1ローラ部61および第2ローラ部62が回転しながら移動したときに(図6参照)、第2可動部側係合面75と第2可動部側傾斜面16、および第2固定部側係合面76と第2固定部側傾斜面36の接触状態が維持されるように形成されている。また、第2可動部側係合面75と第2可動部側傾斜面16、および第2固定部側係合面76と第2固定部側傾斜面36の接触状態において、第2係合部72に回転軸線L2回りの回転モーメントが加わった場合には、ブッシュ54の弾性変形により第2係合部72が回転軸線L2回りに回転する。
【0059】
また、第1ローラ部61および第2ローラ部62には、それぞれ案内面67および案内面68が形成されている。案内面67は、可動部側受け部材10に設けられた案内部18を挟むように形成されている。案内面68は、固定部側受け部材30に設けられた案内部38を挟むように形成されている。揺動部材50は、第1ローラ部61および第2ローラ部62に形成される案内面67,68によって、それぞれ案内部18,38を挟んだ状態で、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の間に保持されている。
【0060】
保持部90は、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30と揺動部材50との係合が不用意に外れた場合において、揺動部材50が可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の間から脱落することを防止する部材である。保持部90は、回転軸51の両端(+Y軸方向側および-Y軸方向側)に配置されており、固定部側受け部材30に固定されている。
【0061】
図4は、支持装置100(101)を振動発生装置200の振動軸L1に交差する方向(+Y軸方向)から見た図である。図4に示すように、揺動部材50は、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30との係合作用によって、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の間に保持されている。図4では、可動部側受け部材10の第2可動部側平面12および第2可動部側傾斜面16、固定部側受け部材30の第2固定部側平面32および第2固定部側傾斜面36、揺動部材50の第2ローラ部62および第2係合部72、および保持部90等が示されている。
【0062】
第1ローラ部61および第2ローラ部62が接触する、第1可動部側平面11、第2可動部側平面12、第1固定部側平面31、および第2固定部側平面32は、振動方向(Z軸方向)に対して平行となるように形成されている。
【0063】
一方、第1係合部71および第2係合部72が接触する、第1可動部側傾斜面15、第2可動部側傾斜面16、第1固定部側傾斜面35、および第2固定部側傾斜面36は、第1可動部側平面11、第2可動部側平面12、第1固定部側平面31、および第2固定部側平面32に対して所定の角度を成すように形成されている。例えば、図4に示された、第2可動部側傾斜面16および第2固定部側傾斜面36は、相互に対向するように配置されるとともに、振動方向(Z軸方向)に対して同一方向に傾斜するように形成されている。
【0064】
また、第1係合部71に形成される第1可動部側係合面73および第1固定部側係合面74は、回転軸線L2に関して点対称に形成されており、第2係合部72に形成される第2可動部側係合面75および第2固定部側係合面76も、回転軸線L2に関して点対称に形成されている。例えば、図4に示された、第2可動部側係合面75および第2固定部側係合面76は、第1ローラ部61および第2ローラ部62が回転しながら移動したときに(図6参照)、第2可動部側係合面75と第2可動部側傾斜面16、および第2固定部側係合面76と第2固定部側傾斜面36の接触状態が維持されるように形成されている。
【0065】
保持部90は、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30と揺動部材50との係合が不用意に外れた場合において、揺動部材50が可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の間から脱落することを防止する部材である。保持部90は、回転軸51の両端(+Y軸方向側および-Y軸方向側)に配置されており、固定部側受け部材30に固定されている。
【0066】
保持部90は、回転軸51を取り囲むように形成される枠部93を有している。枠部93は、筒体139の往復動に従って揺動部材50が回転しながら移動する場合における、回転軸51の移動領域を包含するように形成されている。可動部側受け部材10および固定部側受け部材30と揺動部材50との係合が不用意に外れた場合には、枠部93によって回転軸51を保持することにより、揺動部材50が可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の間から脱落することを防止する。
【0067】
図5は、揺動部材50の第1ローラ部61から第1固定部側ローラ部材82を取り外した状態を示す図である。図5に示すように、第1ローラ部61は、第1可動部側ローラ部材81、第1固定部側ローラ部材82、および第1ローラ部主体83を有している。第1可動部側ローラ部材81および第1固定部側ローラ部材82は、自己潤滑性の高い合成樹脂素材で構成されており、それぞれ第1可動部側ローラ面63および第1固定部側ローラ面64が形成されている。第1ローラ部主体83は、金属素材で構成されており、回転軸51に支持されている。第1ローラ部主体83には、スプリングピン88を介して第1可動部側ローラ部材81および第1固定部側ローラ部材82が取り付けられている。第1可動部側ローラ部材81および第1固定部側ローラ部材82には、スプリングピン88を挿入させるためのピン孔881が形成されている。
【0068】
同様に第2ローラ部62は、第2可動部側ローラ部材85、第2固定部側ローラ部材86、および第2ローラ部主体87を有している。第2可動部側ローラ部材85および第2固定部側ローラ部材86は、自己潤滑性の高い合成樹脂素材で構成されており、それぞれ第2可動部側ローラ面65および第2固定部側ローラ面66が形成されている。第2ローラ部主体87は、金属素材で構成されており、回転軸51に支持されている。第2ローラ部主体87には、スプリングピン88を介して第2可動部側ローラ部材85および第2固定部側ローラ部材86が取り付けられている。第2可動部側ローラ部材85および第2固定部側ローラ部材86には、スプリングピン88を挿入させるためのピン孔881が形成されている。
【0069】
図5に示すように、第1ローラ部61および第2ローラ部62のメンテナンスの際には、第1ローラ部61および第2ローラ部62を回転軸51から外さずに、摩耗等が生じた第1可動部側ローラ部材81、第1固定部側ローラ部材82、第2可動部側ローラ部材85、および第2固定部側ローラ部材86のみをスプリングピン88から引き抜いて交換することができる。第1可動部側ローラ部材81、第1固定部側ローラ部材82、第2可動部側ローラ部材85、および第2固定部側ローラ部材86の素材である自己潤滑性の高い合成樹脂素材は、第1ローラ部主体83および第2ローラ部主体87の素材である金属素材よりも比較的高価であるが、摩耗等が生じた部分のみ交換することができるため、第1ローラ部61および第2ローラ部62の全体を交換するよりも安価であり、メンテナンスのコストを抑制することができる。また、スプリングピン88は、ボルトおよびナットと比較して振動による緩みが生じにくく、また、ボルトおよびナットのように工具を操作するためにスペースを広く確保しておく必要がない。さらに、スプリングピン88は、ボルトおよびナットのように締結したり緩める作業が不要であり、メンテナンス時には交換対象である第1可動部側ローラ部材81等をスプリングピン88から引き抜き、新たな第1可動部側ローラ部材81等を差し込むことで完了するため、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0070】
なお、第1可動部側ローラ部材81、第1固定部側ローラ部材82、第2可動部側ローラ部材85、および第2固定部側ローラ部材86をスプリングピン88から引き抜く際には、例えば細い金属棒を挺子のように使用することで容易に引く抜くことができる。第1可動部側ローラ部材81、第1固定部側ローラ部材82、第2可動部側ローラ部材85、および第2固定部側ローラ部材86には、それぞれ金属棒を差し込むための凹部89を形成してもよい。この場合、交換したい部分の凹部89に金属棒の一端部を差し込み、第1ローラ部主体83または第2ローラ部主体87に金属棒を当接させながら金属棒の他端部を押すことで、金属棒を挺子のように使用して交換したい部分をスプリングピン88から容易に引き抜くことができる。
【0071】
図6は、支持装置100が作動する状態を示す図である。図6に示すように、筒体139が往復動するに従って、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の相対的な位置が変化する。揺動部材50は、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30との係合作用によって、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30の間で回転しながら移動する。第1係合部71および第2係合部72は、回転軸線L2回りの回転モーメントが加わった場合には、可動部側受け部材10および固定部側受け部材30に接触した状態を維持しながら、ブッシュ54の弾性変形により回転軸線L2回りに回転する。これにより、支持装置100は、筒体139を振動方向へ案内するとともに、振動方向に直交する方向への筒体139の動きを規制することができる。
【0072】
以上説明した本実施形態に係る支持装置100および振動発生装置200によれば、第1係合部71および第2係合部72は、回転軸線L2が延びる方向において、第1ローラ部61および第2ローラ部62を挟むように配置されている。このため、第1係合部71および第2係合部72が接触する第1可動部側傾斜面15と第2可動部側傾斜面16、および、第1固定部側傾斜面35と第2固定部側傾斜面36とを、それぞれ回転軸線L2が延びる方向において離隔させて配置することができる。よって、揺動部材50が偏心モーメントを受けた場合であっても、第1係合部71および第2係合部72が本来接触する傾斜面とは異なる傾斜面に乗り上げることを防止することができる。
【0073】
また、第1可動部側ローラ部材81および第1固定部側ローラ部材82は、スプリングピン88を介して第1ローラ部主体83に支持され、第2可動部側ローラ部材85および第2固定部側ローラ部材86は、スプリングピン88を介して第2ローラ部主体87に支持されている。このため、メンテナンスの際に第1ローラ部61全体、および第2ローラ部62全体を回転軸51から外さずに、摩耗等が生じた第1可動部側ローラ部材81、第1固定部側ローラ部材82、第2可動部側ローラ部材85、および第2固定部側ローラ部材86のみを第1ローラ部主体83および第2ローラ部主体87に取り付けられたスプリングピン88から引き抜くことで交換することができる。よって、支持装置100のメンテナンスが容易であるとともに、メンテナンスのコストを抑制することができる。
【0074】
[変形例]
今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0075】
例えば、支持装置100を構成する可動部側受け部材10、固定部側受け部材30、および揺動部材50の形状は、本実施形態で説明した形状に限定されない。
【0076】
本実施形態では、保持部90は、固定部側受け部材30に固定されているとしたが、保持部90を可動部側受け部材10に固定するようにしてもよい。また、保持部の形状は実施形態に係る保持部90の形状に限定されない。
【符号の説明】
【0077】
100 支持装置
10 可動部側受け部材
30 固定部側受け部材
50 揺動部材
11 第1可動部側平面
12 第2可動部側平面
15 第1可動部側傾斜面
16 第2可動部側傾斜面
31 第1固定部側平面
32 第2固定部側平面
35 第1固定部側傾斜面
36 第2固定部側傾斜面
51 回転軸
61 第1ローラ部
62 第2ローラ部
63 第1可動部側ローラ面
64 第1固定部側ローラ面
65 第2可動部側ローラ面
66 第2固定部側ローラ面
71 第1係合部
72 第2係合部
73 第1可動部側係合面
74 第1固定部側係合面
75 第2可動部側係合面
76 第2固定部側係合面
135 固定部(ヨーク)
139 可動部(筒体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7