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特許7382069超伝導回路を用いたハードウェア効率的フォールトトレラント操作
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】超伝導回路を用いたハードウェア効率的フォールトトレラント操作
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/70 20220101AFI20231109BHJP
【FI】
G06N10/70
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020536948
(86)(22)【出願日】2019-01-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-01
(86)【国際出願番号】 US2019012441
(87)【国際公開番号】W WO2019156760
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】62/613,974
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/733,316
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593152720
【氏名又は名称】イェール ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Yale University
【住所又は居所原語表記】2 Whitney Avenue, New Haven, CT 06510, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブラム,サージ
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジアン,リアン
(72)【発明者】
【氏名】ガービン,スティーブン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】フルンジオ,ルイージ
(72)【発明者】
【氏名】デボレット,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】シェールコプフ,ロバート,ジェイ.,ザ サード
【審査官】多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/123940(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/138378(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/115160(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/151200(WO,A1)
【文献】特表2016-518637(JP,A)
【文献】米国特許第08510618(US,B1)
【文献】Serge Rosenblum et al.,"A CNOT gate between multiphoton qubits encoded in two cavities",arXiv.org [online],arXiv:1709.05425v3,Cornell University,2017年12月,pp.1-10,[令和4年12月22日検索], インターネット:<https://arxiv.org/abs/1709.05425v3>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00-10/80
B82Y 10/00
H10N 60/00-60/12
H10N 60/30-60/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2より多いエネルギー準位の空洞を使用して論理キュービットをエンコードする工程;
2より多いエネルギー準位のアンシラトランスモンを使用して情報をエンコードする工程;および
空洞からアンシラトランスモン中の少なくとも1つの誤りの型を切り離す、空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を成する工程
を含む、
空洞およびアンシラトランスモンを使用してフォールトトレラント(fault-tolerant)量子操作を実行するための方法。
【請求項2】
空洞とアンシラの間の相互作用を成する工程が、側波帯駆動を適用する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
側波帯駆動を適用した場合に、空洞の論理キュービットの進展が、一次アンシラ誤りに対して透明である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
側波帯駆動が、
アンシラトランスモンが第1の励起状態にある場合にアンシラトランスモンによ空洞に適用される第1の周波数シフトを、アンシラトランスモンが第2の励起状態にある場合にアンシラトランスモンによ空洞に適用される第2の周波数シフトと等しくなるように調整する;および
アンシラトランスモンが基底状態励起状態(a ground state excited state)にある場合にアンシラトランスモンによ空洞に適用される第3の周波数シフトを、アンシラトランスモンが第2の励起状態にある場合にアンシラトランスモンによ空洞に適用される第2の周波数シフトと等しくなるように調整する
ように構成される、請求項2記載の方法。
【請求項5】
量子操作が量子論理ゲートを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
量子論理ゲートが、選択的数依存的任意位相(selective number-dependent arbitrary phase)(SNAP)ゲートを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
量子論理ゲートが制御-SWAPゲートを含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
量子論理ゲートが指数関数的-SWAPゲートを含む、請求項5記載の方法。
【請求項9】
誤りがトランスモンにおいて生じる場合に、空洞の論理キュービットが、影響を受けない、請求項5記載の方法。
【請求項10】
量子操作が量子測定を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
量子測定が量子パリティ測定を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
量子測定が誤りシンドロームの測定を含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
マイクロ波照射を支持するように構成される空洞;
空洞に分散的に連結されるアンシラトランスモン;
マイクロ波供給源、ここで該マイクロ波供給源は、
マイクロ波照射を空洞に適用して、2より多いエネルギー準位の空洞を使用して論理キュービットをエンコードする;
マイクロ波照射をアンシラトランスモンに適用して、2より多いエネルギー準位のアンシラトランスモンを使用して情報をエンコードする;および
マイクロ波照射を適用して、空洞からアンシラトランスモン中の少なくとも1つの誤りの型を切り離す空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を成する
ように構成される
を含む、量子情報系。
【請求項14】
マイクロ波照射を適用して空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を成することが、側波帯駆動を適用することを含む、請求項13記載の量子情報系。
【請求項15】
側波帯駆動を適用した場合に、空洞の論理キュービットの進展が、一次のアンシラ誤りに対して透明である、請求項14記載の量子情報系。
【請求項16】
側波帯駆動が:
アンシラトランスモンが第1の励起状態にある場合にアンシラトランスモンによ空洞に適用される第1の周波数シフトを、アンシラトランスモンが第2の励起状態にある場合にアンシラトランスモンによ空洞に適用される第2の周波数シフトと等しくなるように調整する;および
アンシラトランスモンが基底状態励起状態(a ground state excited state)にある場合にアンシラトランスモンによ空洞に適用される第3の周波数シフトを、アンシラトランスモンが第2の励起状態にある場合にアンシラトランスモンによ空洞に適用される第2の周波数シフトと等しくなるように調整する
ように構成される、請求項14記載の量子情報系。
【請求項17】
量子操作が量子論理ゲートを含む、請求項13記載の量子情報系。
【請求項18】
量子論理ゲートが、選択的数依存的任意位相(SNAP)ゲート、制御-SWAPゲートまたは指数関数的-SWAPゲートを含む、請求項17記載の量子情報系。
【請求項19】
誤りがトランスモンにおいて起こる場合に、空洞の論理キュービットが影響を受けない、請求項17記載の量子情報系。
【請求項20】
量子操作が、量子パリティ測定および/または誤りシンドロームの測定を含む、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての相互参照
本願は、2018年1月5日に出願された発明の名称「HARDWARE-EFFICIENT FAULT-TOLERANT OPERATIONS WITH SUPERCONDUCTING CIRCUITS」の米国仮特許出願第62/613,974号および2018年9月19日に出願された発明の名称「HARDWARE-EFFICIENT FAULT-TOLERANT OPERATIONS WITH SUPERCONDUCTING CIRCUITS」の米国仮特許出願第62/733,316号の35 U.S.C. §119(e)下の利益を主張し、それらの両方はそれらの全体において参照により本明細書に援用される。
【0002】
連邦政府により支援される研究
本発明は、米国陸軍研究局により授与されたW911NF-14-1-0011の下、政府支援によりなされた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
量子情報処理は、エネルギー量子化、重ね合わせおよびもつれなどの量子力学的現象を使用して、従来の情報処理では使用されない方法で情報をエンコードして処理する。例えば、特定のコンピューター計算問題は、従来の古典的コンピューター計算ではなく量子コンピューター計算を使用してより効率的に解決され得ることが知られる。しかしながら、現実的なコンピューター選択肢になるために、量子コンピューター計算は、「キュービット」として知られる多くの量子ビットの多くおよびこれらのキュービットの間の相互作用を正確に制御する能力を必要とする。特に、キュービットは、個々に操作され得、多キュービットゲートを実行するために1つ以上の他のキュービットと相互作用し得、効率的に初期化および測定され得、多くのキュービットへと大規模化可能となるために長いコヒーレンス時間を有するべきである。
【0004】
キュービットは、少なくとも2つの直交する状態を有する任意の物理的量子力学系から形成され得る。情報をエンコードするために使用される系の2つの状態は、「コンピューター計算基底(computational basis)」と称される。例えば、光子偏向、電子スピンおよび核スピンは、情報をエンコードし得、そのために量子情報処理のためのキュービットとして使用され得る二準位系である。キュービットの異なる物理的実行は、異なる利点および欠点を有する。例えば、光子偏向は、長いコヒーレンス時間および単純な単一キュービット操作により利益を受けるが、単純な多キュービットゲートを作成できないことを欠点としてもつ。
【0005】
コンピューター計算基底がジョセフソン接合におけるクーパー対の量子化されたエネルギー状態である「位相キュービット」;コンピューター計算基底が超伝導ループにおける循環電流フローの方向である「フラックスキュービット」;およびコンピューター計算基底が超伝導島(superconducting island)のクーパー対の存在または非存在である「電荷キュービット」を含むジョセフソン接合を使用する異なる種類の超伝導キュービットが提唱されている。超伝導キュービットは、2つのキュービットの間の連結が強力であり、2つのキュービットゲートを実行するのに比較的単純にするキュービットの有利な選択であり、超伝導キュービットは従来の電子回路技術を使用して形成され得るメゾスコピック構成要素であるので、大規模化可能である。さらに、超伝導キュービットは、優れた量子コヒーレンスおよびジョセフソン効果に関連する強力な非線形性を示す。全ての超伝導キュービット設計は、非線形の非エネルギー散逸的要素として少なくとも1つのジョセフソン接合を使用する。
【0006】
大規模化可能な量子コンピューター計算は、究極的に、状態調製、ゲート、測定および誤り訂正を含む全ての論理回路構成要素について、フォールトトレラント性(fault tolerance)を必要とする。回路のフォールトトレラント(fault-tolerant)な実行において、かかる回路における一次の誤りは、1ラウンドの誤り訂正後に正確な出力をもたらす。フォールトトレラントシンドローム(fault-tolerant syndrome)測定は、全てのエンコードされた回路において頻度高く出現するので、特に重要な要素である。
【発明の概要】
【0007】
概要
いくつかの局面によると、空洞およびアンシラトランスモンを使用してフォールトトレラント量子操作を実行するための方法が提供され、該方法は、2より多いエネルギー準位の空洞を使用して論理キュービットをエンコードする工程;2より多いエネルギー準位のアンシラトランスモンを使用して情報をエンコードする工程;および空洞から、アンシラトランスモン中の少なくとも1つの誤りの型を切り離す空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を作成する工程を含む。
【0008】
いくつかの態様において、空洞とアンシラの間の相互作用を作成する工程は、側波帯(sideband)駆動を適用する工程を含む。
【0009】
いくつかの態様において、空洞の論理キュービットの進展は、側波帯駆動が適用される場合に、一次アンシラ誤りに対して透明である。
【0010】
いくつかの態様において、側波帯駆動は、第1の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第1の周波数シフトを、第2の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第2の周波数シフトと等しくなるように調整する;および基底状態励起状態(a ground state excited state)のアンシラトランスモンによる空洞上の第3の周波数シフトを、第2の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第2の周波数シフトに等しくなるように調整するように構成される。
【0011】
いくつかの態様において、量子操作は量子論理ゲートを含む。
【0012】
いくつかの態様において、量子論理ゲートは選択的数依存的任意位相(selective number-dependent arbitrary phase)(SNAP)ゲートを含む。
【0013】
いくつかの態様において、量子論理ゲートは、制御-SWAPゲートを含む。
【0014】
いくつかの態様において、量子論理ゲートは、指数関数的-SWAPゲートを含む。
【0015】
いくつかの態様において、誤りはトランスモンにおいて生じ、空洞の論理キュービットは影響を受けない。
【0016】
いくつかの態様において、量子操作は量子測定を含む。
【0017】
いくつかの態様において、量子測定は量子パリティ測定を含む、
【0018】
いくつかの態様において、量子測定は、誤りシンドロームの測定を含む。
【0019】
いくつかの局面によると、マイクロ波照射を支持するように構成される空洞;空洞に分散的に連結されるアンシラトランスモン;マイクロ波照射を空洞に適用して、2より多いエネルギー準位の空洞を使用して論理キュービットをエンコードする;マイクロ波照射をアンシラトランスモンに適用して、2より多いエネルギー準位のアンシラトランスモンを使用して情報をエンコードする;およびマイクロ波照射を適用して、空洞から、アンシラトランスモン中の少なくとも1つの誤りの型を切り離す空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を作成するように構成れるマイクロ波供給源を含む、量子情報系が提供される。
【0020】
いくつかの態様において、マイクロ波照射を適用して空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を作成することは、側波帯駆動を適用することを含む。
【0021】
いくつかの態様において、空洞の論理キュービットの進展は、側波帯駆動が適用される場合に、一次のアンシラ誤りに対して透明である。
【0022】
いくつかの態様において、側波帯駆動は:第1の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第1の周波数シフトを、第2の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第2の周波数シフトと等しくなるように調整する;および基底状態励起状態(a ground state excited state)のアンシラトランスモンによる空洞上の第3の周波数シフトを、第2の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第2の周波数シフトと等しくなるように調整するように構成される。
【0023】
いくつかの態様において、量子操作は量子論理ゲートを含む。
【0024】
いくつかの態様において、量子論理ゲートは、選択的数依存的任意位相(SNAP)ゲート、制御-SWAPゲートまたは指数関数的-SWAPゲートを含む。
【0025】
いくつかの態様において、誤りがトランスモンで生じる場合、空洞の論理キュービットは影響を受けない。
【0026】
いくつかの態様において、量子操作は、量子パリティ測定および/または誤りシンドロームの測定を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面の簡単な説明
以下の図面を参照して、開示される技術の種々の局面および態様を説明する。図は必ずしも一定の比例で描かれていないことが理解されるべきである。
図1図1Aは、いくつかの態様による、量子情報系の模式的ダイアグラムである。図1Bは、いくつかの態様による、図1Aの量子情報系の例示的な空洞およびトランスモンの模式的ダイアグラムである。
図2図2Aは、非フォールトトレラントプロトコルにおける誤りの影響を示す量子回路ダイアグラムである。図2Bは、フォールトトレラントプロトコルにおける誤りの影響を示す量子回路ダイアグラムである。
図3-1】図3Aは、いくつかの態様による、空洞-アンシラエネルギー準位ダイアグラムである。
図3-2】図3Bは、いくつかの態様による、側波帯駆動離調の関数としての周波数シフトのプロットである。図3Cは、いくつかの態様による、側波帯駆動離調の関数としての周波数シフトのプロットである。
図4図4は、いくつかの態様による、側波帯駆動離調の関数としての周波数シフトのプロットである。
図5図5は、いくつかの態様による、側波帯駆動離調の関数としての基底励起状態(ground excited state)およびコヒーレンス時間の間の分散的相互作用のプロットである。
図6図6Aは、側波帯駆動なしの系についての離調時間のプロットである。図6Bは、いくつかの態様による、側波帯駆動を有する系についての離調時間のプロットである。
図7-1】図7Aは、いくつかの態様による、フォールトトレラントパリティ測定プロトコルを図示する量子回路ダイアグラムである。
図7-2】図7Bは、従来のパリティマッピングプロトコルおよび得られたウィグナートモグラム(Wigner tomogram)を図示する。図7Cは、いくつかの態様による、多準位パリティマッピングプロトコルおよび得られたウィグナートモグラムを図示する。図7Dは、いくつかの態様による、フォールトトレラントパリティマッピングプロトコルおよび得られたウィグナートモグラムを図示する。
図8-1】図8Aは、いくつかの態様による、反復パリティシンドローム測定プロトコルの量子回路ダイアグラムである。
図8-2】図8Bは、いくつかの態様による、図8Aのプロトコルにおいてなさる測定の数の関数としての空洞状態忠実度のプロットである。
図9図9は、いくつかの態様による、量子情報系の模式的ダイアグラムである。
図10図10Aは、いくつかの態様による、制御-SWAPゲートの模式図である。図10Bは、いくつかの態様による、制御-SWAPゲートの模式図である。
図11図11Aは、いくつかの態様による、指数関数的-SWAPゲートの模式図である。図11Bは、いくつかの態様による、指数関数的-SWAPゲートの模式図である。
図12図12は、いくつかの態様による、選択的数依存的任意位相(SNAP)ゲートの操作を図示する。
図13図13は、いくつかの態様による、フォールトトレラントSNAPゲートの実行の結果の模式図である。
図14図14は、いくつかの態様による、SNAPゲートについての平均ゲート忠実度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
詳細な説明
本発明者らは、超伝導回路を用いたエラー強く、フォールトトレラントな量子コンピューター計算操作を達成するための単純化された技術を開発した。誤りが先へ伝播することを防ぐための、別々に処理可能なエネルギー準位のラダー(ladder)を有する非調和振動子である超伝導キュービットの多量子状態は、フォールトトレラント操作を達成し、かつ量子誤り訂正のためのシンドローム測定の性能を向上して、論理状態の読出しおよびさらにユニバーサル量子ゲートの操作が使用され得る。さらなる誤り機構を導入することなく、誤りの伝播を防ぐ特殊な対称性が構築され得るので、複雑さおよびハードウェアを減ずることが生じる。これは、エンコードおよびアンシラの両方について2のみのエネルギー準位(多準位キュービットではないキュービット)が使用され、多くのさらなる構成要素が必要となり、実現、試験および作動することがより困難である従来のスキームとは対照的である。記載される態様は、ハードウェア効率的な誤り訂正可能な論理キュービットの実現をエラー強さのある量子操作のための完全なスキームに拡張し、簡易化の長所を保つことにより量子コンピューターについて重要な部品を低減した。
【0029】
フォールトトレラントは、任意の大きなエラー強さのある系について重要な特性である。量子コンピューター計算において、フォールトトレラント性は、誤りについて依然有限の確率を有する部分を使用して、より大きなコンピューター、またはより長くかつより有用なアルゴリズムを構築するために、冗長性(redundancy)および誤り訂正を使用し得ることを意味する。フォールトトレラント性の重要な局面は、誤りの増大を低減または予防することであり、かかる誤りは、誤りが系を飲み込む(overwhelm)前に検出および訂正されるべきである。
【0030】
量子誤り訂正の一般的な考えは周知であり得るが、未解決な問題は、誤り訂正コンピューター計算をどのように実行するかおよびそれをどのように実用的にするかということである。原理的に稼働し得るいくつかの既存のスキーム(表面コード、スタビライザーコード等)があるが、該スキームは現在、キュービットの数、これらのキュービット上の操作の数およびゲート自体の実際の性能に関して、数次の複雑さを必要とする。さらなる複雑化の要因は、フォールトトレラント性についての必要性である。不運なことに、量子ゲートにおいて、単一のキュービット誤りが伝播され、複数の誤りになり得る。例えば、C-NOTゲートの前に生じる制御キュービットにおけるビット-フリップは、この元の制御キュービットが信頼できないものになることを生じるだけでなく、標的キュービットにおいてさらなる誤りを生じる。同様に、標的キュービット上の位相誤りは、制御上でさらなる位相誤りになる。両方の例において、1つの誤りは2つになっている。これは、本発明者らが、いずれかの種類の個々の誤りを予防し得る量子誤り訂正スキームを有するとしても、該スキームはフォールトトレラントではなく、コンピューター計算は失敗し得ることを意味する。
【0031】
誤り訂正のための1つの従来のアプローチは、論理キュービットにおいて情報をエンコードするためだけでなく、全てのアンシラキュービットを複数の物理的キュービットで置き換えるためにも、複数のキュービットを使用することである。アンシラキュービットは、量子コンピューター計算、特に誤り訂正において重要な要素である。例えば、論理キュービットについての誤りシンドロームを測定する場合、従来のアプローチは、複数のキュービットの間の相関を検出する-パリティ検出の一種。一例として、量子誤り訂正のための7キュービットSteaneコードにおいて、これらの7つのキュービットの間のXまたはZ演算子の4方向の相関などの量を測定することが必要である。そのようにするために、対照または標的として単一のアンシラキュービットが使用される一連の4つのC-NOTゲートが使用される。次いで、アンシラの射影測定により、測定された値(Z=+1またはZ=-1)が、この4キュービット相関上の射影に変換される-誤りが生じるかまたは生じないかのどちらでも。測定のために6個の必要とされる相関(またはスタビライザー)があるので、最小誤り訂正のために論理の7キュービットだけでなく、6個のさらなるアンシラおよび測定も必要とされる-回路中、合計13キュービットおよび約24個の2キュービットゲート。
【0032】
不運なことに、このスキームはフォールトトレラントではないことがある。それぞれのアンシラは、論理レジスタにおいて複数のキュービットと直接相互作用するので、アンシラ中の単一の誤り(XまたはZフリップ)は、論理中で複数の誤りを生じ得、演算子は、いかなる方法においても何が起こったか解決し得ず、論理キュービットのその後の使用は信頼できないものになり得る。1つの可能な解決は、スタビライザー測定に使用されるそれぞれのアンシラを、一群の4つの(望ましくは独立した)キュービットにより置き換えることである。この解決は、4つのアンシラが最初にもつれ(および誤りについてそれ自体が調べられ)、次いでそれぞれのアンシラが論理レジスタにおいて1つのみの物理的キュービットと相互作用する、より複雑な回路を必要とする。ここで、任意の物理的アンシラ中の誤りは、捕捉され得、次のラウンドにおいて再度媒介され得る論理レジスタ内の単一の誤りのみを含む、誤り伝播の一例のみをもたらし得る。最終的に、情報をデコードするためおよび論理レジスタ中に元の誤りがあったかまたはなかったかどうかを学習するために、アンシラ上のより多くの操作が必要とされる。このアプローチの1つの欠点は、回路の複雑性が劇的に増加することであり、ここで、レジスタについての元の7個のキュービットに加えて、単一誤りチェック手順のためにさらに24のアンシラおよび60を超えるゲートが必要になる。部品およびゲートの数の増加は、別の負の結果を有し、アンシラもしくはレジスタキュービットのいずれかにおいて、または実行されるゲートのいずれかにおいて、1つより多くの誤りが生じる確率が低いことが望ましい。このアプローチは、例えば10%の誤りの機会を維持する(そのために有意にそれを二次の補助にする)ために、より多くのキュービットを有するより長い回路を生じるので、損益なしを達成するための閾値は増加し(この例において約10,000分の1部まで)、大規模化はより困難になる。したがって、フォールトトレラント性についてのこのアプローチはより多くの要素を必要とするだけでなく、これらの要素の全てにおいてより多い性能を必要とし、要求が非常に厳しくなり得る。これらの方法においてコンピューター計算をエラー強くし、大規模化可能にすることは、実用的かつ経済的に現実味のある量子コンピューターを構築するための重要な制限である。
【0033】
本発明者らは、多エネルギー準位を有する線形振動子において情報をエンコードすることに頼る、論理キュービットを実現するための新規のハードウェア効率的なアプローチを開発した。このアプローチは、新たな種類の誤りを導入することなく使用可能な状態空間を増加し、それぞれさらなる誤り機構に付属するさらなる物理的キュービット(それぞれ2のみのエネルギー準位を有する)を導入することにより必要な状態空間が構築される従来の誤り訂正とは対照的である。したがって、本明細書に記載される、多準位(2準位キュービットではなくd-準位「キュービット」)を使用するハードウェア効率的なスキームにおいて、実際の誤りを検出および訂正し得るためにより少ない状態およびより少ない部分が必要である。本発明者らは、光子数パリティが光子消失の支配的(dominant)な誤り機構のための誤り検出シンドロームとして働くかかるハードウェア効率的な論理キュービットとして超伝導空洞を使用する能力を開発した。
【0034】
しかしながら、このハードウェア効率的エンコードスキームにおいても、誤りシンドロームを検出し、光子数パリティを測定するために非線形アンシラ(通常トランスモンキュービット)が必要である。これは、非常に高い忠実度および非常に早いケイデンス(cadence)を用いてなされ得る(すなわち、多くの測定は、典型的な天然に存在する誤りの間の時間においてなされる)。これらは、論理キュービットを機能させるための重要な先行条件であり、実際に本発明者らは、損益なしでまたは損益なしをわずかに超える性能を示し、ここで誤り訂正系の操作は、エンコードされた情報の有用な寿命を、同じハードウェアを用いた任意のパッシブスキームよりも長く延長する。しかしながら、性能の1つの制限は、誤り検出機構がフォールトトレラントでなかったことというである。
【0035】
したがって、いくつかの態様によると、ハードウェア効率的性は、超伝導キュービットまたは非線形の系、および線形の超伝導空洞に適用され得る。これは、量子情報処理における種々のタスクに対して全く一般的に適用可能である。複数の機能へのこの技術の適用は理論的に示され、実験室において、該技術が実際に性能を向上し得、向上されたフォールトトレラント性を達成し得ることが示される。この考えは、ソフトウェアアップグレードまたはパルスシークエンスおよびプロトコルにおける改変として、今日使用される系において適用され得る。いくつかの態様において、フォールトトレラント性を、さらなるハードウェアが必要とされない操作に組み込み得る。これらは、任意の技術における広範囲の量子ハードウェアに適用され得る、非常に一般的な原理である。特に超伝導キュービットについて、今日の事実上全てのデバイスは、該デバイスが必要とされるさらなる準位を有し、本明細書に記載される態様の特徴および考えを組み込み得るように作製される。
【0036】
ハードウェア効率的フォールトトレラント性の1つの例は、空洞にエンコードされる論理キュービットの光子数パリティ測定-「猫コード」のためのものである。光子消失誤り(例えば偶から奇へと数パリティを変化する)の測定は、いくつかの公知の物理的誤りの種類に対してフォールトトレラントである。測定の間に光子消失が起こる場合、例えばこれは不正確な測定をもたらし得る。しかしながら、光子消失は、さらなる誤りを生じず、次のラウンドで捕捉され得る。測定が反復される場合、次いで誤りが検出される。連続の測定の間の時間に2つの誤りが実際に生じる、小さい二次の確率のみがある。該測定は、反復および多数投票(majority voting)によりエラー強くかつフォールトトレラントになり得る。
【0037】
論理キュービットを探査し誤りを検出するために使用されるトランスモンアンシラにおいて3種類の誤り:離調、緩和および励起がある。典型的に、離調および緩和の速度は同様であり、励起はより小さい(および原則的に、使用される操作温度では完全に無視できるべきである)。パリティの測定の間にトランスモンキュービットが離調誤りを経験する場合、離調誤りは、不正確な結果を生じるがさらなる誤りは生じない。これは、複数の測定を介して対処することが比較的容易である。測定の間にトランスモンが緩和または励起を受ける場合、緩和または励起はまた、不正確な測定の小さな確率を生じる。しかしながら、より重要なことに、緩和または励起誤りは、エンコードされた空洞上に、訂正可能な種類の誤りではない位相誤りを付与する。すなわち、該測定は、アンシラの既知の誤りに対して十分にフォールトトレラントではなく、誤りの前方への伝播がある。この効果は、誤り訂正プロトコルの性能に対する重大な制限であった。
【0038】
トランスモンアンシラにおける特定の形態の誤りが知られているので、これは、新規ではあるが単純な解法を示す。トランスモンは、空洞内で情報をエンコードする光子に対して(必要な)状態依存的周波数シフトを付与するので、この特定の場合にトランスモンアンシラに対するフォールトトレラント性の欠如が生じる。本発明者らは、トランスモンにおいて少なくとも1つのさらなるエネルギー準位を使用することによりこれを回避し得ることを認識し、理解している。この結果を達成するための第1の構成要素は、アンシラトランスモンが複数の準位(例えばキュービットである)、基底状態|g>、励起状態|e>および少なくとも第2の励起状態|f>を有し、これらの準位のいずれかの間の遷移がマイクロ波パルスを用いて制御され得ることである。第2の構成要素は、緩和は「一度に一回(one rung at a time)」のみ生じること、すなわち|e>は|g>に緩和するが、|f>は|e>のみに緩和するということである。空洞上の2つの励起状態(|f>および|e>)についての周波数シフトが同一である場合、|f>から|e>への緩和は、前方への誤りの伝播または空洞上の未知の位相を誘導しない。しかしながら、|f>および|e>の周波数シフトが|g>と異なる場合、本発明者らは、光子数パリティが依然として学習され得、シンドローム測定が行われ得ることを依然として学習し得る。この技術は、トランスモン緩和に関して、アンシラ使用をフォールトトレラントにする。
【0039】
励起による空転(idling)時間中に同様の効果が起こる。アンシラが|g>にある場合、緩和は起こり得ない。しかしながら、|g>から|e>への励起が起こる場合、ならびに|g>および|e>の周波数シフトが異なる場合、これはまた、望ましくない誤りの前方への伝播を誘導する。代わりに、|g>および|e>の周波数シフトが空転位相の間に一致する場合、励起による誤りの前方への伝播は防がれる。多準位を有するこれらのスキームを拡張(および連結を論理キュービットに適合)して、緩和および励起の両方に対して保護すること、または実際にさらなる準位を使用してフォールトトレラント性が望ましいアンシラにおけるそれぞれのさらなる誤り機構を補償することは原則的に可能である。
【0040】
トランスモンによる空洞上の周波数シフト(または逆に、トランスモン上の空洞内の光子当たりの周波数シフト)は、従来ではカイ(χ)と称される。トランスモンにおいて、トランスモンは非調和であるので、自然のカイはエネルギー準位(|g>、|e>または|f>)に依存する。フォールトトレラントアンシラの具体例として、本発明者らは、周波数シフト(またはカイ値)を、(空転操作をフォールトトレラントにするための)状態|g>および|e>の対または(シンドローム測定をフォールトトレラントにするための)|e>および|f>の対に適合するための機構を提唱し、示した。これを達成するために、準位のRF-仕上げ(dressing)が使用されるが、他の超伝導キュービット型またはより多くのジョセフソン接合を有する回路を使用することにより、種々の他の手段において整列され得る。この技術の一般化はまた、アンシラとしての弱い非調和空洞に、またはキュービットとレジスタの間の他の分散的もしくは非分散的な相互作用に使用され得る。別の可能性は、異なる相互作用、例えば空洞とジョセフソンデバイス(超伝導非線形非対称誘導要素(Superconducting Non-linear Asymmetric Inductive eLement)(SNAIL)など)の間の三波混合を使用することであり、ここでRF駆動は分散的相互作用をオンにし、これは、それぞれのアンシラ準位を用いて位相シフトの必要とされる対称性または同等性を達成するために制御される。
【0041】
いくつかの態様は、空洞についてのアンシラトランスモンの励起に対する一桁にわたる(over an order of magnitude)保護を提供し得、エネルギー緩和と比較して、位相誤りを無視できるものにするように位相誤りを向上し得る。トランスモンにより光子パリティを反復して測定する(3準位を使用する)能力においても同様の向上は可能である。さらに、この考えは、ボゾンキュービット、トランスモンにより媒介される空洞-空洞ゲート、および論理キュービット中の情報の測定に対する単一キュービットゲートの訂正に適用され得る。
【0042】
いくつかの態様は、エラー強くフォールトトレラントな量子操作を実行するためのより単純でより実用的な経路を提供する。超伝導回路のための特定の実行を超えて、この考えは全く一般的であり、利用可能な複数の準位および相互作用ハミルトニアンの形態に対する制御がある他の量子技術において有用であり得る。本発明者らは、これらの技術が、さらなるハードウェアではなく実験プロトコルのわずかな変化を必要とする特定の実行におけるいくつかの操作の忠実度およびフォールトトレラント性をどのように向上し得るかを示す。操作のフォールトトレラント実行の回路の長さまたは系の複雑さはこのアプローチにおいては有意に増加しないので、エラー強さのある操作およびエラー訂正系を示すために、満足するのがより早くかつより容易であるより低い閾値が提供され得る。これは、有用な量子情報処理系を実現するためのコストおよび時間の低減において、非常に有意であり得る。
【0043】
したがって、いくつかの態様は、複数のアンシラではなく単一の多準位アンシラトランスモンのみを使用するのでハードウェア効率的である。いくつかの態様は、空洞進展を、オフ共振(off-resonant)側波帯駆動を用いて元の場所で空洞-アンシラ相互作用を作り変えることにより、一次のアンシラ誤りに対して透明にする。いくつかの実行は、同様のシンドローム割り当て(assignment)忠実度を維持しながら、論理キュービットを破壊することなく実行されるシンドローム測定の数において7倍の増加を生じる。これらの結果は、系特異的誤りモデルを利用するハードウェア効率的アプローチが、フォールトトレラント量子コンピューター計算に向かう実用的な進歩を生じ得ることを示す。
【0044】
いくつかの態様は、誤り透明シンドローム測定を実行する。これを達成するために、2つのアプローチ:(1)論理キュービットおよびアンシラキュービットの両方をエンコードするための多準位系を使用すること、ならびに(2)所望の測定相互作用を乱されないにしつつ、論理キュービットから支配的なアンシラ誤りを切り離す相互作用を作り変えることが使用される。フォールトトレラント性の程度は、フォールトトレラントプロトコルを使用するパリティ測定の性能を、2準位アンシラを使用する従来のパリティ測定を比較することにより決定される。フォールトトレラント性利得は、これらの2つの実行の間の誤り伝播確率の比として定義される。いくつかの態様は、7のフォールトトレラント性利得を達成し、論理キュービット忠実度の消失を、シンドローム測定当たり1.8%±0.2%まで下げる。83%のシンドローム割り当て忠実度は、フォールトトレラントプロトコルに移ることにより大きく影響を受けない。
【0045】
図1は、いくつかの態様による、量子情報系100の模式的ダイアグラムである。量子情報系100は、空洞101、アンシラトランスモン104およびマイクロ波供給源106を含む。1つの空洞および1つのアンシラトランスモンのみが図1の例示的な系100に示されるが、他の態様は、さらなる空洞およびトランスモンを含み得る。
【0046】
空洞101は、マイクロ波照射の量子状態を支持する任意の種類の空洞であり得る。例えば、いくつかの態様において、空洞101は、超伝導材料等により形成される伝送路共振器または三次元空洞であり得る。
【0047】
アンシラトランスモン104は空洞101に分散的に連結される。アンシラトランスモン104は、アンシラトランスモン104自体の量子状態の回転を実行するように制御され得る。さらに、アンシラトランスモン104は、関連のある空洞101のそれぞれと相互作用して、アンシラトランスモン104と空洞101の間の制御された相互作用を実行するように制御され得る。
【0048】
マイクロ波供給源106は、空洞101およびアンシラトランスモン104に連結され得る。マイクロ波供給源106と他の構成要素の間の連結は、マイクロ波供給源が多空洞量子情報系100の構成要素のそれぞれにマイクロ波照射を適用するための経路を提供する。いくつかの態様において、マイクロ波供給源106は、構成要素のそれぞれに容量的に連結され得る。
【0049】
図1Bは、いくつかの態様による、図1Aの量子情報系100の役割を果たし得る特定の例示的な系110(簡易化のためにマイクロ波供給源106は示さない)の模式的ダイアグラムである。系110は、三次元(3D)空洞111およびアンシラデバイス141を含む。
【0050】
3D空洞111および112は、中心スタブ114と外壁115の間でλ/4伝送路共振器の3Dバージョンとして働く。例えば、中心スタブ114の直径は3.2mmであり得、外壁115の直径は9.5mmであり得る。しかしながら、態様は任意の特定の寸法に限定されないことに注意されたい。空洞101の共振周波数は、空洞111内の中心スタブ114の高さにより決定され得る。例えば、中心スタブ114は4.8mmの高さを有し得る。3D空洞111は第1の周波数のマイクロ波照射112を支持する。いくつかの態様において、空洞111は、マイクロ波供給源106からのマイクロ波照射がそこを通って適用され得るポート113を含む。例えば、マイクロ波照射を空洞に適用することにより、空洞の量子状態で変位(displacement)操作が実行され得る。
【0051】
アンシラデバイス141は空洞111に連結される。アンシラデバイス141は、マイクロ波照射のポンプおよび読み出しパルスを用いてトランスモン144を駆動するためのポンプポート142ならびにトランスモン144からの読み出しマイクロ波信号を受信するための読出しポート143を含む。トランスモン144は、少なくとも部分的に第1の空洞111に突出する第1のアンテナパッド145を介して、第1の空洞111に連結される。第2のアンテナパッド146は、トランスモン144を準平面共振器147に連結する。
【0052】
アンシラデバイス141は:
【数1】
は、トランスモンと連結された特定の空洞のボゾンモードの数演算子である)として表される制御-位相シフト(CPS)操作を実行するために使用され得る。いくつかの態様において、光子数パリティ操作は、
【数2】
であるので、位相シフトは、πであり、制御-パリティ操作の実行を生じる。いくつかの態様において、CPSゲートは、アンシラトランスモンとそれぞれの空洞の間の分散的連結を有するハミルトニアン下で、時間進展から得られ得る、
【数3】
持続時間t=π/χの間、連結強度χ。
【0053】
いくつかの態様は、単一の3D超伝導空洞111中でエンコードされる論理キュービットに対して誤り透明シンドローム測定を実行する。一例として、空洞は、特性
【数4】
を有し得る。いくつかの態様において、量子情報は、偶の光子数パリティおよび平均光子数2を有するシュレディンガー猫状態を使用してエンコードされる。かかるエンコードにおいて、支配的な空洞誤り、単一光子消失は、エンコードされた情報を破壊することなく、パリティを、偶から奇へと変化させる。パリティジャンプの数が忠実に測定される場合に情報は回復され得、パリティ測定が、単一光子消失速度に対してしばしば実行されることが必要とされる。アンシラトランスモン144(
【数5】
)は、空洞111に分散的に連結され、系のパリティを測定するために使用される。
【0054】
量子情報系110の分散的相互作用ハミルトニアンは、
【数6】
として表され得、ここで
【数7】
は、それぞれのアンシラ状態についてのベア空洞(bare cavity)周波数シフト(参照のこのフレームにおいて
【数8】
)であり、
【数9】
は空洞消滅演算子である。時間
【数10】
の間のこの相互作用下の進展は、アンシラにおける|g>/|e>重ね合わせの位相に対して、空洞のパリティをマッピング(map)する。この位相を決定するためにアンシラ上でラムゼイ干渉法を実行することにより、パリティの有効なQND測定が生じる。このパリティ測定技術は、損益なしの点での誤り訂正を説明するために使用され、この点で誤り訂正された寿命は、該系の最良の要素の寿命と等しくなる。
【0055】
上述のスキームに基づく誤り訂正の1つの制限は、パリティマッピングの間のアンシラの緩和により誘導される論理誤りである。これは、
【数11】
の相互作用時間の間のアンシラの励起状態から基底状態へのジャンプを考慮することにより見られ得る。dAは、従来の非フォールトトレラントスキームについてのアンシラエネルギー緩和の効果を示す量子回路ダイアグラム200である。空洞は、シュレディンガー猫状態(そのウィグナートモグラム201により模式的に示される)において調製され、アンシラは、基底状態|g>および励起状態|e>の重ね合わせにおいて調製される。直線202は空洞の個々の状態を表す。
【数12】
はアンシラの状態を条件としての角度θの空洞CPS相互作用を表す。θ=χtについて第1の空洞CPS相互作用203を実行し、その後θ=π-χtについて第2の空洞CPS相互作用205を実行する。誤り207は、時間
【数13】
で起こり、χtの空洞位相シフトを生じる。示されるように、これはθ=πのCPS相互作用211、次いでその間に生じる誤り214を有するθ=χt-πのCPS相互作用213と等しい。かかるジャンプ誤りは、光子数パリティを正確に決定することを妨げるが、空洞を完全に離調させるというより有害な効果も有する。ジャンプ時間は、0~
【数14】
の間でほぼ均一に分布されるので、空洞は、0~πの間で均一に分布される位相空間回転を獲得する。これは、ウィグナートモグラム215により例示されるように、tにわたり平均された場合に空洞状態を完全に離調させ、離調されたシュレディンガー猫状態を示す。
【0056】
したがって、訂正できない論理ビット-フリップ誤りは、実行されたパリティ測定の数に比例する確率を付加される。このコストは、誤り訂正プロトコルの設計者に、他の場合では望ましいものよりも低い頻度で誤りシンドロームを測定することを強制し、結果的に、潜在的に達成可能な寿命利得を低減する。緩和誤りは、相互作用ハミルトニアンと交換(commute)されないので、より多い準位で、従来プロトコルの非フォールトトレラント性が生じる。特に、支配的な誤りを有する相互作用ハミルトニアンの交換子(commutator)は、
【数15】
であり、論理サブ空間において些細でない操作を生じるので、訂正できない誤りである。対照的に、誤り(|e><e|)は相互作用と交換されるので、同等の速度で起こるアンシラの純粋な離調は、望ましくない空洞デコヒーレンスを生じない。そのため、相互作用の間のアンシラ離調事象の最後の結果は、相互作用後のアンシラ離調事象と同等であり、明らかに論理キュービットには影響しない。そのため、パリティ測定は、アンシラ離調に関して「透明」である。
【0057】
いくつかの態様において、第3の準位をアンシラヒルベルト空間に導入することにより、誤り透明性は緩和を含むように拡張され得る。これはさらなる自由度を提供し、一次の誤り伝播の速度をゼロにしながら、空洞-アンシラ相互作用の速度が維持される。初期アンシラエンコードは|g>および|f>の重ね合わせ(|g>および|e>の代わり)に変化され、支配的な誤りは、|f>から|e>への緩和になる(選択規則は|f>から|g>への直接の遷移を禁止する)。相互作用ハミルトニアンとこの誤り(|e><f|)の交換子は
【数16】
【数17】
に比例する)は離調速度(
【数18】
に比例する)に非依存的であるので、
【数19】
を大きくおよび
【数20】
=0を選択することにより、緩和誘導離調を除去しながら、測定を維持することが実行可能になる。そのため、所望のフォールトトレラント相互作用ハミルトニアンは、
【数21】
であり、明らかに|f>からのアンシラ緩和および離調事象と交換される。
【0058】
図2Bは、いくつかの態様による、フォールトトレラントスキームについてのこのアンシラエネルギー緩和の効果を示す量子回路ダイアグラム200である。空洞は、シュレディンガー猫状態(ウィグナートモグラム251により模式的に示される)において調製される。直線252は、空洞の個々の状態を表す。
【数22】
はアンシラの状態を条件としての角度θの空洞CPS相互作用を表す。θ=χtについて第1の空洞CPS相互作用253を実行し、その後θ=π-χtについて第2の空洞CPS相互作用205を実行する。誤り257は時間
【数23】
で起こる。生じる空洞位相シフトはない。示されるように、これはθ=πのCPS相互作用221、その後のパリティマッピングの終わりに誤りが起こると同等である。これは、誤りが相互作用と交換されるためである。したがって、ウィグナートモグラム265により示されるような空洞状態の離調はなく、離調がないシュレディンガー猫状態が示される。
【0059】
いくつかの態様において、これら2つのハミルトニアンパラメータを調整するエラー強さのある方法が独立して使用される。これは共振周波数
【数24】
に近い側波帯トーンを導入することにより達成され得、駆動項
【数25】
が生じ、これは準位|e,n>および|h,n-1>を連結し、ここでnは空洞光子の数であり、|h>は第3の励起アンシラ状態である。図3Aは、複数のトランスモン状態(|g>、|e>、|f>、|h>)についての得られた空洞アンシラエネルギー準位ダイアグラムおよび空洞の光子数状態(|0>、|1>、|2>)を図示する。適用されたマイクロ波トーン(tone)(二重矢印)はラビ速度Ωおよび離調Δを有する|e,n>、|h,n-1>遷移周波数を駆動する。得られるStarkシフトは、有効
【数26】
を量Ω2/4Δだけ変化させる。この特定の実験を通して使用される駆動振幅について、共振Δ=0からの離調の場合、ラビ振動速度はΩ/2π=1.7MHzである。十分に離調された場合(Δ<<Ω)、この時間依存的ハミルトニアンは、時間非依存的有効相互作用:
【数27】
を用いて一次まで近似され得、ここで
【数28】
である。このハミルトニアンは、|e>または|h>内にあるアンシラで条件づけられた分散的相互作用ハミルトニアンの所望の形態を有する。離調を選択することにより、正または負のいずれかの符号を用いて、誘導された
【数29】
を作り変え得る。そのため、合計相互作用ハミルトニアン
【数30】
を考慮すると、これは、
【数31】
(図3Bに示されるようにΔ/2π=8.28MHzで)または
【数32】
(図3Cに示されるようにΔ/2π=-6.4MHzで)のいずれかの合計相殺(cancellation)を可能にする。分散的相互作用の線形構成要素は完全に相殺され得、次数
【数33】
のより高次の非線形分散シフトのみが残る。図3Bおよび図3Cは、側波帯駆動を使用した分散的相互作用の相殺を図示する。図3Bおよび図3Cは、空洞内の変化する光子数を伴う|g>~|e>および|e>~|f>遷移のそれぞれの分光学の結果を示す。
【数34】
ならびにより高次の非線形分散シフトは、光子数に関する遷移周波数の広がりから抽出され得る。有効駆動準位ダイアグラムを示す挿入図中の矢印により強調されるように、示される交差点は、
【数35】
が約0である場所を示す。点線は、側波帯駆動が適用されない場合の遷移周波数を言及する。
【0060】
図4はさらに、側波帯駆動が光子数分裂(splitting)をどのように改変するかを図示する。プロット401は、側波帯駆動の離調の関数としての周波数シフトを示す。点線は、側波帯駆動が適用されない場合の遷移周波数を表す。プロット402は、側波帯駆動が適用されない場合の種々の空洞光子数についてのアンシラ周波数シフトの関数としての励起確率を示す。プロット403は、全ての光子数値について周波数シフトが約0である場所で側波帯駆動が適用された場合の種々の空洞光子数についてのアンシラ周波数シフトの関数としての励起確率を示す。
【0061】
いくつかの態様において、側波帯駆動は、|g>と|e>の間のアンシラ遷移から空洞を切り離すために使用され得る。これは、
【数36】
となるように離調を選択することにより達成され得る。離調のこの選択は、熱アンシラ励起(0.65msごとに平均1回起こる)のために空洞が離調することを防ぎ、空洞にエンコードされるキュービットのコヒーレンス時間の有意な増加を生じる。本発明者らが初期状態
【数37】
を調製して離調された側波帯駆動をオンにする場合、コヒーレンスは約1.8ms間維持され、
【数38】
~2.2msの限界に近づく。13±1msの残存離調時間は、|e>から|f>への二次の励起によりほとんど説明され得る。この表示は、系-アンシラ相互作用の相殺における駆動の有効性を示すだけでなく、駆動の追加が、測定できる程度では望ましくない空洞デコヒーレンスを生じないことも示す。
【0062】
ベア空洞は単一の光子消失によりほぼ完全に制限されるが、アンシラに分散的に連結される空洞は、自発的なアンシラ励起の結果として離調を経験する。図5は、
【数39】
(実線)の際の共振Δからの、側波帯駆動離調の関数として変化する|g>と|e>(データ点に印をつける)の間の測定された分散的相互作用を示すプロット501を含む。図5のプロット502は、空洞ラムゼイ実験から得られた側波帯駆動周波数の関数としての空洞コヒーレンス時間を示す。量子誤り訂正の非存在下で、空洞コヒーレンス時間は究極的に2T1~2.2ms(頂部付近の点-破線)に制限される。側波帯駆動なしでは、熱アンシラ励起は、空洞コヒーレンスを約650μs(点線)に制限する。この離調供給源は、
【数40】
についてほぼ完全に除去される。残りの離調時間(すなわち光子減衰を除く)は13±1ms(灰色の実線)であり、|g>および|f>からの二次の熱励起により設定される20msの限界(頂部付近の点-破線の下の破線)に近づく。空洞コヒーレンスの分析的挙動(データ点を通る実線)は、観察される値(データ点)とぴったりと一致する。熱アンシラ励起に対する保護は、
【数41】
(灰色の点線)となる際に開始し、その点で、平均熱励起軌道について空洞は部分的にのみ離調する。
【0063】
図6Aは側波帯駆動なしの離調時間を示し、図6Bは側波帯駆動ありの離調時間を示す。2つの比較から見られ得るように、離調時間
【数42】
は、側波帯調整のために有意に増加される。さらに、
【数43】
であるので、離調時間は約14msに延長される。
【0064】
いくつかの態様において、離調Δは、
【数44】
および式2のハミルトニアンとなるように選択され得、ここで|f>から|e>へのアンシラ緩和は空洞の進展を変化させない。この相互作用により、フォールトトレラントパリティ測定プロトコルが構築され得、非フォールトトレラント実行と比較され得る。図7Aは、いくつかの態様によるプロトコルを図示する量子回路ダイアグラム700である。平均光子数2を有する偶の(even)シュレディンガー猫状態を空洞内で調製する701。以下に概略されるように3つの異なる方法でアンシラ上に光子数パリティをマッピングする703。アンシラを測定すること721により測定およびリセット705を行い、パリティ測定の結果を決定し、該結果を、回転723を使用して基底状態にリセットする。アンシラ誘導誤りに焦点を当てるために、|g>を生じるように後に選択される第2のパリティ測定707を実行することにより(下記の
【数45】
プロトコルを使用して)、光子消失をフィルターにかけて除去する。最終的に、第1のパリティ測定の結果に対して条件づけられる最終的な空洞状態の忠実度を決定するために、空洞上でウィグナートモグラフィー711を実行する。ウィグナートモグラフィー711は、変位操作731、パリティ測定733およびアンシラの測定735を含む。
【0065】
フォールトトレラントプロトコル(
【数46】
)の利点は、該プロトコルを、2つの代替的なプロトコル:アンシラ内でエンコードする|g>+|e>を使用する従来のパリティ測定(
【数47】
および|g>+|f>エンコードを使用するが、
【数48】
をゼロ(zeroes)にする側波帯駆動を適用しない
【数49】
と比較することにより示される。
【0066】
図7Bは、結果が|g>または|e>のいずれかである従来の
【数50】
パリティマッピングプロトコル741を図示する。プロット743は、アンシラが状態|g>における測定器(measure)である状態についての得られたウィグナートモグラムを示す。プロット745は、アンシラが状態|e>における測定器である状態についての得られたウィグナートモグラムを示す。誤りなしの事象は|g>を生じるが、離調事象は、アンシラを|e>で終わらせる。緩和誤りは、等しい確率で|g>または|e>の検出を生じるので選抜され得ない。そのため、緩和誤りは、両方の結果についての空洞状態の忠実度の低下として表される。
【0067】
図7Cは、側波帯駆動を適用しない
【数51】
プロトコル751を図示する。|g>+|f>重ね合わせにおいてアンシラを初期化するために、g-eπ/2パルスに続いてe-fπパルスを使用する。系は、時間
【数52】
の間の相互作用ハミルトニアン下で進展するので、空洞位相空間は、条件的π回転を獲得する。アンシラ調製シーケンスの逆数を適用した後、アンシラ誤りが生じない場合は、アンシラは状態|g>にある。離調誤りが生じる場合は、アンシラは|e>で終わる。
【数53】
プロトコルとは対照的に、緩和事象は、アンシラが|f>で終わるかかる事象のために区別され得る。プロット753は、アンシラが状態|g>における測定器である状態についての得られたウィグナートモグラムを示す。プロット755は、アンシラが状態|e>における測定器である状態についての得られたウィグナートモグラムを示す。プロット757は、アンシラが状態|f>における測定器である状態についての得られたウィグナートモグラムを示す。そのため、離調事象は空洞状態に有意に影響を及ぼさず、相互作用により交換されない緩和事象は、空洞状態を離調することが明らかである。
【0068】
図7Dにおいて、フォールトトレラントパリティマッピング
【数54】
761を実行する。
【数55】
プロトコルのシーケンスに加えて、側波帯駆動も適用されるので、2つのe-fπパルスの間の時間において
【数56】
である。プロット763は、アンシラが状態|g>における測定器である状態についての得られたウィグナートモグラムを示す。プロット765は、アンシラが状態|e>における測定器である状態についての得られたウィグナートモグラムを示す。プロット767は、アンシラが状態|f>における測定器である状態についての得られたウィグナートモグラムを示す。この場合、空洞コヒーレンスは、アンシラ緩和の場合であっても維持される。離調事象の発生率(prevalence)の適度な増加は、強い駆動の存在下でわずかに低下したアンシラ離調速度の結果である。
【0069】
図7B~Cにおいて、それぞれの結果の発生率は、それぞれのウィグナートモグラムの右上にパーセンテージとして示される。さらに、状態忠実度F(それぞれのウィグナートモグラムの左上に示される)が示され、それぞれは0.01より小さい統計的な誤りを有する。3種類のパリティ測定の比較から、
【数57】
であるFTパリティ測定
【数58】
のみが、全てのあり得るアンシラ結果について保存される論理キュービットを生じる。
【0070】
最終的に、誤り訂正設定において、論理キュービットのパリティは、反復して測定されなければならない。この文脈におけるフォールトトレラントパリティ測定により供給される利点を示すために、図8Aに示されるプロトコルを使用し(図7Aに関して記載されるものと同様である)、ここで3種類のパリティ測定は、時間の変数を使用し、測定数の関数として最終的な状態忠実度を決定する。修正できない誤りを強調するために、パリティジャンプが起こる軌道を排除する。指数関数的な適合により、本発明者らは、空洞忠実度が減衰する特徴的な測定数(N0)を代入し得る。
【0071】
図8Aは、いくつかの態様によるプロトコルを図示する量子回路ダイアグラム800である。該プロトコルは、反復されたパリティシンドローム測定である。空洞において、平均光子数2を有する偶のシュレディンガー猫状態を調製する801。先に概略されるように、3つの異なる方法の1つにおいてアンシラ上に光子数パリティをマッピングする703a。測定およびリセット804aを行う。光子数パリティマッピングを数(n)回(803b、803c、....803n)反復し得、測定およびリセット操作も、数(n)回(804b、804c、...803(n)反復し得る。最終的に、第1のパリティ測定の結果に対して条件づけられた最終的な空洞状態の忠実度を決定するために空洞上でウィグナートモグラフィー805を実行する。
【0072】
図8Bは、図7B~Dにおいて概略される3種類のパリティ測定についてなされたパリティ測定の回数の関数としての空洞状態忠実度を図示するプロットである。プロット811により
【数59】
パリティ測定を表し;プロット812により
【数60】
パリティ測定を表し;プロット813により
【数61】
パリティ測定を表す。点線は、モンテカルロ軌道から抽出されたシミュレートされた忠実度であり、破線は、データ点に対する指数関数的適合である。
【0073】
図8Bから、
【数62】
であることが見られ得、側波帯駆動を有さないことがさらに示され、
【数63】
プロトコルは
【数64】
と比較していくつかの利点を提供する。第1の理由は、|f>の緩和時間(24μs)がほぼ|e>の緩和時間(26μs)であり、
【数65】
のパリティ測定は
【数66】
のパリティ測定時間の半分よりも小さいために、
【数67】
についての緩和の確率がより低くなることである。第2の理由は、(図7Cにおける緩和事象後の残存コヒーレンスから明らかなように)空洞角度が、
【数68】
の間で分布されるために、アンシラ緩和事象が生じると、空洞がより小さく離調することである。フォールトトレラント実行は、2.7±0.4倍だけ
【数69】
を向上させ、
【数70】
の合計フォールトトレラント性利得を生じる。これらの要因により空洞位相分布がどのように影響を受けるかのモンテカルロシミュレーションは、観察された結果と良好に一致する忠実度減衰曲線を生じる。残りの誤りは、ほとんどが、パリティマッピングの間の励起またはアンシラ読出しの間の減衰のいずれかに起因する。
【0074】
したがって、上述に基づいて、いくつかの態様は、全ての一次のアンシラ誤りに対して保護される論理キュービットのパリティチェックシンドローム測定を含み、非フォールトトレラント測定と比較して、7.2のフォールトトレラント性利得を生じる。達成されるフォールトトレラント性の種類は、従来のフォールトトレラントスキームとは異なり、いくつかの意味においてより望ましい。一般的に、得られた誤りが誤り訂正のさらなるラウンドにより元に戻され得る限りは、アンシラ誤りは、論理キュービットに伝播され得る。しかしながら、アンシラと論理キュービットの間で誤り透明相互作用を使用することにより、アンシラ誤りの伝播は全体的に防がれる。さらに、シンドローム測定は光子消失に対しても透明であるので、猫コード誤り訂正スキームと充分に適合性である。示されるスキームは、より高次のフォールトトレラント保護へと容易に拡張可能である。例えば、3アンシラ準位の代わりに4アンシラ準位を使用することにより、本発明者らは、2次までの緩和誤りに対して保護し得るか、または代替的に一次までの緩和および熱励起の両方に対して保護し得る。本発明者らは、本発明に示されるフォールトトレラント性についてのハードウェア効率的なアプローチを、量子誤り訂正の潜在的な利益を十分に利用するための重要なツールとすることを構想する。
【0075】
本明細書において使用されるデータのいくつかを獲得するために使用される特定の例示的なデバイスのための系パラメーターを表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【0076】
上述のものは誤り訂正およびフォールトトレラント測定の実行に焦点を当てられる。同じ側波帯駆動技術は、量子論理ゲートなどの他の量子操作に拡張され得る。3つのかかるフォールトトレラント量子論理ゲート:制御-SWAP(c-SWAP)ゲート;指数関数的-SWAP(e-SWAP)ゲート;および選択的数依存的任意位相(SNAP)ゲートを以下に記載する。
【0077】
c-SWAPおよびe-SWAPゲートは、2つの空洞の光子状態を交換するゲートである。したがって、かかるゲートを実行するために使用される量子情報系は、図1Bに示されるものの改変バージョンであり、2つの空洞、2つのアンシラトランスモンおよび連結トランスモンを含む。
【0078】
図9は、c-SWAPおよび/またはe-SWAPゲートを実行するために使用される量子情報系910を図示する。該系910は、第1の三次元(3D)空洞911、第2の3D空洞921、連結デバイス931、第1のアンシラデバイス941および第2のアンシラデバイス951を含む。
【0079】
第1および第2の3D空洞911および912は、中心スタブ914および924それぞれと外壁915および925それぞれの間のλ/4伝送路共振器の3Dバージョンとして働く。例えば、中心スタブ914および924の直径は3.2mmであり得、外壁915および925の直径は9.5mmであり得る。しかしながら、態様は任意の特定の寸法に限定されないことに注意されたい。空洞901および902のそれぞれの共振周波数は、それらのそれぞれの空洞内の中心スタブ914および924の高さにより決定され得る。例えば、中心スタブ914は4.8mmの高さを有し得、第2の中心スタブ924は5.6mmの高さを有し得る。第1の3D空洞911は第1の周波数のマイクロ波照射912を支持し、第2の3D空洞921は、第1の周波数とは異なる第2の周波数のマイクロ波照射922を支持する。いくつかの態様において、第1の空洞911および第2の空洞921は、マイクロ波供給源906からのマイクロ波照射がそこを通って適用され得るポート913および923のそれぞれを含む。マイクロ波照射を空洞に適用することは、例えば空洞の量子状態に対する置換操作を実行し得る。
【0080】
連結デバイス931は、第1の空洞911と第2の空洞921の間の非線形相互作用を提供する連結トランスモン934を含む。トランスモン934は、第1の空洞911に少なくとも部分的に挿入される第1のアンテナ935および第2の空洞921に少なくとも部分的に挿入される第2のアンテナ936に連結され、それぞれのアンテナの少なくとも一部は、そのそれぞれの空洞に突出する。第1のおよび第2のアンテナ935/936は、例えば第1および第2の空洞911/921のそれぞれに対する容量的連結を提供する円形パッドであり得る。
【0081】
連結デバイス931はまた、トランスモン934の状態を読み出す能力を提供する共振器938を含む。第3のアンテナ937は、共振器938と共振器938を連結する。いくつかの態様において、共振器938は、第1の空洞911または第2の空洞921のいずれかよりも低いQ値を有する準平面共振器である。いくつかの態様において、トランスモン934および共振器934は、単一のサファイア基板上に作製される。マイクロ波照射の読み出しパルスはポンプポート932により受信され得、得られたマイクロ波信号は読出しポート933から受信され得る。
【0082】
連結デバイス931のトランスモン934の非線形性は、第1の空洞911および(an)第2の空洞921の間の周波数変換バイナリー連結を実行するために使用される4波混合を可能にする。4波混合は、周波数適合条件ω12p2p1(式中、ω1は第1の空洞911の共振周波数であり、ω2は第2の空洞921の共振周波数であり、ωp1はモードcと関連する第1のポンプの周波数であり、ωp2はモードdと関連する第2のポンプの周波数である)を満たすマイクロ波照射でポンプポート932を介してトランスモン934をポンピングすることにより制御される。この連結は、空洞モードの間で有効時間依存的BS相互作用を実行する。従来の光学機器から公知のように、ビームスプリッターのユニタリー進展は、ユニタリー演算子:
【数71】
)により記載される。
【0083】
θ=π/2について、ビームスプリッターユニタリー演算子は、消滅演算子aおよびbのそれぞれに関連する2つの空洞モードの間の状態を交換するSWAP操作を実行する。θ=π/4およびθ=-π/4について、ユニタリー演算子は50/50ビームスプリッターに対応する。通常の光学機器とは異なり、マイクロ波空洞固有モードは異なる周波数を有し、非線形性なしで互いに連結されない。しかしながら、ジョセフソン非線形性およびさらなるパラメトリックポンプを使用して、空洞周波数の差を補償し得るので、異なる周波数を有するモードは、コヒーレントに連結され得る。例えば、ジョセフソン非線形性からの4モード連結
【数72】
(式中、h.c.は第1項のエルミート共役を表し、g4は4モード連結定数である)に基づいて、モードcおよびdはポンピングされ得、
【数73】
を有する式(6)における有効ビームススプリッター連結ハミルトニアンをもたらす振幅
【数74】
を有する古典的コヒーレント状態により近似され得る。g(τ)はAc(τ)およびAd(τ)の振幅および位相を制御することにより調整され得ることに注意。この方法において、いくつかの態様は、極端に高いオン/オフ比を有するビームスプリッター連結を容易にオン/オフし得る。これは、キュービットの間の「常時オン」の容量的または他の固定連結に対して明確な利点である。さらに、モードcおよびdをポンピングすることにより、それらの周波数の合計は空洞モード周波数の合計と等しくなり、形態
【数75】
の二線形(bi-linear)連結を実現し得る。これらの2つの操作を用いて、2つの空洞間の任意の線形シンプレクティック変換を実行し得る。
【0084】
いくつかの態様において、ジョセフソン非線形性を使用してユニタリービームスプリッター演算子を実行する上述のアプローチは、ジョセフソンデバイスにおける欠点に対してエラー強くなり得る。例えば、該デバイスの固有の非線形性は弱いがパラメトリックポンピングが強い場合、モードcおよびdにおける熱ノイズの影響は、このノイズが大きなコヒーレント状態振幅AcおよびAdに対して小さいという事実により抑制され得る。この領域(regime)における操作はまた、ビームスプリッターの線形性を増加し得るので、広範囲の光子数を含む量子状態についてSWAP操作が実行され得る。
【0085】
ビームスプリッターユニタリー変換は、量子情報処理について非常に有用な要素である。例えば、ビームスプリッターユニタリー演算子により作動されるガウス入力状態(例えばコヒーレント状態、スクイーズド状態)の進展は古典的コンピューターにより効率的にシミュレートされ得るが、非ガウス入力状態(例えばフォック状態)の進展は、些細でない出力状態をもたらし得る。例えば、ボゾンサンプリングの複雑さは、古典的コンピューターによりシミュレートすることが困難な出力状態の些細でない統計学的特性を説明する。さらに、単一光子供給源および光子検出器の両方と合わされたビームスプリッターユニタリーは、ゲートのもつれの見込みの性質および非常に厄介なリソースオーバーヘッド(resource overhead)を含む大きな難題を伴うが、ユニバーサル線形光学量子コンピューター計算(LOQC)を達成し得る。
【0086】
いくつかの態様において、線形光学量子コンピューター計算に限定されるのではなく、量子情報処理を容易にするためにさらなる非線形要素が使用され得る。例えば、マイクロ波光子を有する超伝導回路の物理的プラットフォームを使用することは、単一光子供給源および光子検出器の能力を提供するだけでなく、2準位または多準位アンシラとして使用され得る少なくとも1つの高度に制御可能なトランスモンを含む。いくつかの態様において、ビームスプリッターユニタリー演算子および空洞-トランスモン分散連結ゲートを合わせる量子操作は、量子情報処理操作を実行するために使用される。いくつかの態様において、分散連結ゲートは依然として、トランスモン(または他の)アンシラの量子状態により(例えば該状態に基づいておよび/または該状態に条件づけられて)制御される線形光学機器変換である。線形光学機器およびゲートに基づく量子コンピューター計算の能力のこの併合(merging)は、強力であり、特定の論理エンコードから独立した様式で光子状態において論理的にエンコードされたキュービットに対してゲート操作を実行することを可能にする。したがって、いくつかの態様において、情報の論理エンコードは、同じ操作を用いて同じハードウェアを使用するのに変化し得る。
【0087】
第1のアンシラデバイス941は連結デバイス931と同様であるが、両方の空洞ではなく第1の空洞911のみに連結される。第1のアンシラデバイスは、マイクロ波照射のポンプおよび読み出しパルスを用いてトランスモン944を駆動するためのポンプポート942ならびにトランスモン944からの読み出しマイクロ波信号を受信するための読出しポート943を含む。トランスモン944は、少なくとも部分的に第1の空洞911に突出する第1のアンテナパッド945を介して第1の空洞911に連結される。第2のアンテナパッド946は、トランスモン944を準平面共振器947に連結する。
【0088】
第2のアンシラデバイス951は第1のアンシラデバイス941と同様であるが、第1の空洞911ではなく第2の空洞921のみに連結される。第2のアンシラデバイスは、マイクロ波照射のポンプおよび読み出しパルスを用いてトランスモン954を駆動するためのポンプポート952ならびにトランスモン954からの読み出しマイクロ波信号を受信するための読出しポート953を含む。トランスモン954は、少なくとも部分的に第1の空洞911に突出する第1のアンテナパッド955を介して第1の空洞911に連結される。第2のアンテナパッド956は、トランスモン944を準平面共振器947に連結する。
【0089】
第1および第2のアンシラデバイス941および952は:
【数76】
はトランスモンと連結した特定の空洞のボゾンモードの数演算子である)
として表されるCPS操作を実行するために使用され得る。いくつかの態様において、光子数パリティ操作は
【数77】
であるため、位相シフトはπであり、制御されたパリティ操作の実行を生じる。いくつかの態様において、CPSゲートは、持続時間t=π/χおよび連結強度χについて、アンシラトランスモンとそれぞれの空洞の間の分散連結を有するハミルトニアン
【数78】
下での時間進展から得られ得る。
【0090】
量子情報系910を実行するためのパラメーターの例示的な組は以下のとおりである:第1の空洞911はカー/2π=2kHzおよびω1/2π=5.45GHzを有し得;第2の空洞921はカー/2π=3kHzおよびω2/2π=6.55GHzを有し得;連結デバイス931はα/2π=74MHz、ω/2π=5.95GHz、χc1/2π=0.26MHzおよびχc2/2π=0.32MHzを有し得;第1のアンシラトランスモン941はα/2π=180MHz、ω/2π=4.5GHz、χ/2π=0.76MHzを有し得;第2のアンシラトランスモン951はα/2π=180MHz、ω/2π=5.0GHz、χ/2π=1.26MHzを有し得る。
【0091】
いくつかの態様において、c-SWAPゲートは、BS操作とCPS操作の組合せを使用して実行され得る。c-SWAPゲートは2つの空洞モードおよび1つのアンシラトランスモン上で作動し、アンシラトランスモンの状態に基づいて2つの空洞の状態を交換する。そのため、ユニタリーc-SWAP演算子は:
【数79】
(式中|g>および|e>は、アンシラトランスモンの基底状態および第1の励起状態のそれぞれを表す)として記載され得る。(c-SWAP)2=Iであるため、c-SWAPは可逆的である。c-SWAPゲートは時々、古典的コンピューター計算についてユニバーサルであるFredkinゲートと称される。量子コンピューター計算について、c-SWAPおよび単一キュービット回転は、ユニバーサルコンピューター計算を可能にする一組の量子ゲートを形成する。
【0092】
図10Aは、c-SWAPゲートの量子回路ダイアグラム1000を図示する。直線1001、1002および1003は、第1の空洞911、第2の空洞921およびアンシラトランスモン931を表す。量子回路ダイアグラムにおいて、操作は、左から右へ時間の関数として、種々の構成要素に対して実行される。c-SWAPゲートについての記号は、空洞直線1001および1002のそれぞれで「X」、ならびにアンシラトランスモン直線1003上でドットを含む。
【0093】
図10Bは、BS操作およびCPS操作を使用してc-SWAPゲートを実行するための例示的な量子回路ダイアグラム1010を図示する。第1に、θ=π/4である第1のBS操作1011は、第1の空洞1001と第2の空洞1002の間で実行される。上述のように、BS操作は連結トランスモン934を使用して実行され得る。第1のBS操作1011の後、アンシラトランスモン1003と第2の空洞1002の間でCPS操作1013が実行される。最終的に、θ=-π/4である第2のBS操作1015は、第1の空洞1001と第2の空洞1002の間で実行される。
【0094】
いくつかの態様において、e-SWAP操作は、c-SWAPゲートとアンシラトランスモン回転の組合せを使用して実行され得る。e-SWAPは、2つの空洞上で作動し、ユニタリー演算子:
【数80】
により表される。
【0095】
θ=π/2について、e-SWAPゲートはSWAPゲートと同等であり、ここで得られるグローバル位相シフト(i)は、オブザバブルではない。θ=π/4について、
【数81】
は、同一性演算子とSWAP演算子のコヒーレント組合せであり、時々
【数82】
と示される。単一キュービット回転およびキュービット上で作動する
【数83】
演算子は、一組のユニバーサル量子ゲートを形成する。
【0096】
e-SWAP演算子とビームスプリッターユニタリー演算子の間に類似性および相違がある。0および1の合計励起を有するボゾンサブ空間について、2つは同等である(例えば
【数84】
)。しかしながら、1より大きい合計励起を有するサブ空間について、2つの演算子は異なる挙動をする(例えば
【数85】
【0097】
e-SWAP演算子の1つの特徴は、該演算子は任意の数のボゾンを含む単一モードボゾンエンコードに関して論理サブ空間を保存するということである。任意の単一モードボゾンエンコードの論理状態
【数86】
について、e-SWAP操作
【数87】
は、任意のボゾンコードおよび任意のパラメーターθについてのコード空間を保存する。この重要な特性は、同じハードウェアを使用したボゾンエンコードの異なる選択を用いて量子情報処理を実行することを可能にする。この強力な特徴は、ハードウェアに大きな柔軟性を与え、固定されたハードウェア上の「ソフトウェアアップデート」を介した量子誤り訂正について異なるエンコードを用いた実験を可能にする。
【0098】
いくつかの態様において、2つの空洞モードの間のe-SWAP演算子は、2準位アンシラトランスモンを使用して実行され得る。例えば、図11Aは第1の空洞1101、第2の空洞1102およびアンシラトランスモン1103の間の量子回路ダイアグラム1100である。e-SWAP操作を実行するための図示される方法は以下のとおりである:(1)アンシラトランスモン1103を量子状態
【数88】
へと初期化する;(2)アンシラトランスモン1103の状態に基づいて制御された第1の空洞1101と第2の空洞1102の間で第1のc-SWAP操作1111を実行する;(3)X軸の周囲でアンシラトランスモン1103を角度2θだけ回転させる1112
【数89】
;および(4)アンシラトランスモン1103の状態に基づいて制御された第1の空洞1101と第2の空洞1102の間で第2のc-SWAP操作1113を実行する。前述の方法の後、アンシラトランスモンを初期状態|+>まで復元し、2つの空洞モードから切り離し;一方で、2つの空洞モードは、e-SWAP操作
【数90】
を経験する。アンシラトランスモン1103が測定される場合1114、誤りがないことを仮定すると、結果は初期状態|+>である。
【0099】
いくつかの態様において、e-SWAP演算子のエラー強さのある実行は、図11Bに図示されるように、c-SWAP演算子をビームスプリッター演算子およびCPSゲートに分解することにより得られ得る。e-SWAPゲートを実行する方法は:(1)アンシラトランスモン1103を量子状態|g>へと初期化する工程;(2)第1の空洞1101と第2の空洞1102の間でθ=π/4である第1のBS操作1141を実行する工程;(3)アンシラトランスモン1103上で第1のアダマール操作1142を実行する工程;(4)第2の空洞1102とアンシラトランスモン1103の間で第1のCPS操作1143を実行するする工程;(5)X軸の周囲でアンシラトランスモン1103の角度2θだけの回転1144を実行する工程
【数91】
;(6)第2の空洞1102とアンシラトランスモン1103の間で第2のCPS操作1145を実行する工程;(7)アンシラトランスモン1103上で第2のアダマール操作1146を実行する工程;(8)第1の空洞1101と第2の空洞1102の間でθ=-π/4である第2のBS操作1147を実行する工程を含む。アンシラトランスモン1103を測定する場合1148、誤りがないことを仮定すると、結果は初期状態|g>である。
【0100】
c-SWAPおよび/またはe-SWAP操作についての実行において、側波帯調整を用いた複数のアンシラ状態の使用は、ゲートを、エラー強く、フォールトトレラントに、かつハードウェア効率的にするために使用され得る。
【0101】
例えば、トランスモン状態の自発的な減衰に関連する一次の誤りは、報告(heralded)および訂正の両方がされ得る。いくつかの態様において、空洞-トランスモン連結ハミルトニアンは、「誤り透明(error transparent)」に変更されるので、トランスモン減衰の主要次(leading order)の誤りは、空洞の全ての論理的状態について誤り透明ハミルトニアンと交換される。次いで、進展の際に起こったトランスモン減衰は、進展の終わりに起こったトランスモン減衰であると同定され得、誤り分析を有意に簡易化し得る。
【0102】
いくつかの態様において、4トランスモン準位(|g>、|e>、|f>、|h>)が使用され、ここで|g>-|h>サブ空間は、情報のキュービットをエンコードするために使用され、|e>-|f>サブ空間は、誤りを検出するために使用される。さらなる準位を導入することにより、|g>-|h>サブ空間からのトランスモン減衰誤りは、量子チャンネル
【数92】
により特徴付けられ得、ここで
【数93】
である。|g>-|h>より張られるサブ空間はキュービットをエンコードするために使用され、|e>、|f>および|h>より張られるサブ空間は、例えば側波帯駆動のために、空洞モードとの均一な強度の分散連結を有する。
【0103】
いくつかの態様において、図11Bに示される回路と同等の量子回路が使用されるが、ユニタリー操作は4準位トランスモンに対して一般化される。いくつかの態様において、空洞モードへの制御可能な逆作用(back-action)は、トランスモンと空洞の間の分散連結
【数94】
を、状態|e>、|f>および|h>について同一の分散シフトχを有するように作り変えることにより制御されるので、CPSゲートは、
【数95】
である。
【0104】
いくつかの態様において、一般化されたアダマールゲートに関連するユニタリー演算子は、
【数96】
となる。
【0105】
したがって、アダマール回転は、g-hサブ空間内で実行され、e-fサブ空間にわたってはわずかに働く。
【0106】
いくつかの態様において、トランスモン回転は、
【数97】
となり、g-hサブ空間内で回転し、状態|e>および|f>を交換する。
【0107】
いくつかの態様において、CPS操作は、
【数98】
となる。
【0108】
4準位トランスモンに対して拡張された上記のゲートを用いて、一次のトランスモン離調誤りを検出することおよび一次のトランスモン減衰誤りを訂正することが可能である。
【0109】
第1のCPS操作1143の間のトランスモン減衰は、トランスモン状態についての|h>の測定1148を生じ、一方で、減衰は分散連結を変化させないので、空洞モードは、誤りなくCPSゲート下で進展し続ける。第2のCPS操作1145の間のトランスモン減衰は、トランスモン状態についての|f>の測定を生じ、一方で、空洞モードは所望の
【数99】
として進展する。トランスモン減衰誤り(第1および第2のCPSゲートのそれぞれの間のトランスモン減衰に関連する|h>および|f>状態)は明白に区別され得るので、CPSゲートの間の一次のトランスモン減衰誤りは、いくつかの態様において積極的に訂正され得る。
【0110】
したがって、フォールトトレラントc-SWAPおよびe-SWAPゲートはいくつかの態様において実行され得る。
【0111】
別の態様において、さらなる準位および側波帯駆動は、フォールトトレラントSNAPゲートを実行するために使用され得る。SNAPゲートは、演算子:
【数100】
に関連する。
【0112】
空洞において、空洞の異なるフォック状態はそれぞれ、トランスモンの異なる遷移周波数に関連する。例えば、空洞内に光子がないキュービットの遷移周波数は、0MHzの離調と定義される(およびいくつかの態様において5GHz~10GHzであり得る見かけのキュービット遷移周波数と等しい)。空洞が単一の光子を含む場合、キュービットの遷移周波数は約10MHzだけ離調し;空洞が2つの光子を含む場合、キュービットの遷移周波数は約17MHzだけ離調し;空洞が3つの光子を含む場合、キュービットの遷移周波数は約26MHzだけ離調し;空洞が4つの光子を含む場合、キュービットの遷移周波数は約34MHzだけ離調し;空洞が5つの光子を含む場合、キュービットの遷移周波数は約43MHzだけ離調する。遷移周波数のこの数依存的離調は、nχ離調として近似され得、ここでnは空洞の励起数であり、χは光子数当たりの離調である。例えば、χは約8.3MHzであり得る。
【0113】
キュービットの遷移周波数のこの数依存的離調に基づいて、キュービットは、狭いスペクトル幅および特定の励起数についての離調された遷移周波数に適合するように調整された中心周波数を有する駆動パルスを使用して選択的に処理され得る。例えば、キュービットを10MHz離調を有する周波数で駆動することで、空洞内に単一の光子がある場合にのみ空洞の量子状態を変化させる。したがって、SNAPゲートは、標的化される状態に適合するような適切な周波数を選択することにより、振動子の特定のフォック状態の量子位相を調整するために適用され得る。SNAPゲートはまた、それぞれ同じ信号内の異なるフォック状態を標的化する複数のパルスを含み得;それぞれのパルスは異なる周波数であり得るので、パルスは単一の信号に合され得る。
【0114】
図12は、いくつかの態様による量子力学的振動子の状態を操作する例示的なプロセスを示す。図12において、振動子の|1>および|2>フォック状態を標的化する2つのパルスを含むSNAPゲートは、該振動子に分散的に連結されるトランスモンキュービットに適用される。初期状態におけるそれぞれの円の面積は、振動子の測定が関連のある測定を生じる確率を表す。例えば、振動子の測定は|1>状態または|2>状態ではなく|0>状態を測定する可能性が高い。
【0115】
図12は、トランスモンキュービットのブロッホ球内の立体角を囲む(enclose)トランスモン上で実行される2つの回転が、連結した振動子に範囲を定められた角度(subtended angle)と等しい幾何学的位相を付与するという考えを例示するために提供される。図12の例において、2つの回転は、特定の方法でキュービットを駆動することによりキュービット上で実行される。この例において、2つのπパルス(ブロッホ球の周りにπラジアンの回転を引き起こすパルス)は、キュービットの状態を、空洞のそれぞれの励起数に関連するブロッホ球状の軌道をたどらせるために使用される。例えば、該軌道は、|g>から|e>までのブロッホ球上の第1の経路をたどり、次いで|e>から|g>へと戻るブロッホ球上の同じ軌道をたどる。結果的に、立体角は軌道により範囲を定めされず、振動子の|0>構成要素に幾何学的位相は導入されない。
【0116】
対照的に、|1>状態についての軌道は、|g>から|e>までのブロッホ球上の第1の経路をたどり、|e>から|g>へと戻るブロッホ球上の第2の経路をたどる。結果的に、軌道は、第1の立体角の範囲を定め、そのために第1の幾何学的位相が空洞の|1>構成要素に導入される。|2>についての軌道は、|g>から|e>までのブロッホ球上の第1の経路をたどり、|e>から|g>へと戻るブロッホ球上の第2の経路をたどる。結果的に、軌道は、第2の立体角の範囲を定め、そのために第2の幾何学的位相が空洞の|2>構成要素に導入される。いくつかの態様において、第1の立体角は第2の立体角とは異なり、振動子のそれぞれの構成要素に導入される異なる幾何学的位相が生じる。示されるように、|2>についての軌道により範囲を定められた立体角は、|1>についての軌道の立体角より大きく、したがって、振動子の関連のある状態に付与される位相は、後述の場合よりも前述の場合において大きい。
【0117】
いくつかの態様において、ブロッホ球の軌道の第1の経路およびブロッホ球上の軌道の第2の経路は、πパルスを用いて作成される。キュービットの量子状態により採られる正確な経路は、πパルスが適用される軸に依存し得る。この場合に、第1の経路および第2の経路は異なるようになり得、それにより軌道がブロッホ球上の立体角の範囲を定めるようになる。結果的に、幾何学的位相が、キュービット-振動子系の量子状態に導入され得る。
【0118】
いくつかの態様において、SNAPゲートの間のキュービットの量子状態は、軌道により例示されるように、基底状態で開始して終了する。この型の軌道は、SNAPゲートが実行される前および/または後に、振動子の量子状態に対する緩和および離調時間の影響を低減し得る。
【0119】
図12の最も右のボックスは、それぞれの幾何学的位相の導入後のそれぞれのフェーザー(phasor)の最終的な状態を例示する。立体角はキュービットの量子状態により範囲を定めされなかったので、n=0に関連するフェーザーは位相シフトを経験しない。破線により例示されるように、n=1に関連するフェーザーは、第1の位相シフトを獲得する。破線により例示されるように、n=2に関連するフェーザーは、第2の位相シフトを獲得する。いくつかの態様において、第2の位相シフトは第1の位相シフトとは異なり、例えば第2の位相シフトは、第1の位相シフトよりも大きいかまたは小さい。
【0120】
周波数シフトを相殺して、SNAPゲートを誤り透明にするために側波帯駆動を適用する3準位のトランスモン(|g>、|e>、|f>)を使用するという前述の考えが使用され得る。したがって、SNAPゲートの間にトランスモン誤りが起こる場合、空洞の状態は破壊されない。図13は、SNAPゲートのかかる実行の結果を例示する。アンシラトランスモンがフォールトトレラントSNAPゲートの後に測定される場合、状態|g>においてアンシラが見出されれば、SNAPゲートは適切に実行された。この実行の予測されない結果は、アンシラトランスモンが|e>(ビットフリップ誤りのため)または|f>(位相誤りのため)のいずれかであると測定される場合、SNAPゲートは適切に実行されなかったが、代わりに同一の演算子が空洞の状態に対して作用したということである。したがって、アンシラの状態により誤りが報告されるだけでなく、空洞の状態は、誤りが起こる場合に完全に影響を受けない。これは、SNAPゲートを十分にフォールトトレラントにする。
【0121】
図14は、アンシラトランスモンを測定すること(または測定しないこと)により生じ得る種々の結果について、フォック状態エンコード論理キュービットに作用するSNAPゲートについての平均ゲート忠実度のプロットである。
【0122】
フォールトトレラントの考えは、d準位トランスモンを使用することにより任意の次数の離調誤りを抑制することにさらに拡張され得、d-1励起状態に適合するχは、(d-2)次数までのトランスモン緩和誤りを抑制し得る。
【0123】
本開示に記載される技術のいくつかの局面および態様がこのように記載されるが、種々の変更、改変および向上は当業者に容易であることが理解されよう。かかる変更、改変および向上は、本明細書に記載される技術の精神および範囲内にあることが意図される。例えば、当業者は、機能を実施するためおよび/または結果および/または本明細書に記載される利点の1つ以上を得るための種々の他の手段および/または構造を容易に構想し、かかる変形および/または改変のそれぞれは本明細書に記載される態様の範囲内にあると考えられる。当業者は、常套的な実験を超えないもの、本明細書に記載される特定の態様と同等の多くの同等物を使用することを認識するかまたは確かめ得る。そのため、前述の態様は、例示のみにより提示されること、ならびに添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、具体的に記載されるもの以外の発明の態様が実施され得ることが理解されよう。また、本明細書に記載される2つ以上の特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せは、かかる特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
【0124】
また、記載されるように、いくつかの局面は、1つ以上の方法として具体化され得る。方法の一部として実施される行為は、任意の適切な方法で順序づけられ得る。したがって、行為が例示されるものと異なる順序で実施される態様が構成され得、例示的な態様において連続的な行為として示されるとしても、これはいくつかの行為を同時に実施することを含み得る。
【0125】
本明細書において定義および使用される場合、全ての定義は、辞書の定義、参照により援用される文書の定義、および/または定義された用語の通常の意味を支配するものと理解されるべきである。
【0126】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、反対のことを明確に示さない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0127】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、句「および/または」は、そのように接続された要素、すなわちある場合において接続的に存在し、他の場合において離接的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」と共に列挙される複数の要素は、同じ様式、すなわちそのように接続された要素の「1つ以上」と解釈されるべきである。「および/または」節で具体的に特定された要素以外の他の要素は、具体的に特定されたこれらの要素と関連するか関連しないかのいずれにせよ、任意に存在し得る。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」についての参照は、「含む(comprising)」などの開放型の専門用語を伴って使用される場合、一態様においてAのみ(任意にB以外の要素を含む)、別の態様においてBのみ(任意にA以外の要素を含む)、さらに別の態様においてAとBの両方(任意に他の要素を含む)などのことをいい得る。
【0128】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、1つ以上の要素のリストに関して、句「少なくとも1つ」は、要素のリスト中のいずれか1つ以上の要素から選択されるが、要素のリスト内に具体的に列挙されるそれぞれの要素の少なくとも1つおよび全ての要素を必ずしも含むわけではなく、該要素のリストにおける要素の任意の組合せを排除しない少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。この規定はまた、具体的に特定されるこれらの要素に関係があるか関係がないかのいずれにしても、句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内に具体的に特定される要素以外の要素が任意に存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」もしくは同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一態様において、Bが存在せずに1つより多くを任意に含む少なくとも1つのA(およびB以外の要素を任意に含む);別の態様において、Aが存在せずに1つより多くを任意に含む少なくとも1つのB(およびA以外の要素を任意に含む);さらに別の態様において、1つより多くを任意に含む少なくとも1つのAおよび1つより多くを任意に含む少なくとも1つのB(および他の要素を任意に含む)などのことをいい得る。
【0129】
また、本明細書で使用される語法および用語法は、説明を目的とするものであり、限定とみなされるべきではない。本明細書中の「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」およびそれらの変形の使用は、以降に列挙される項目およびそれらの同等物ならびにさらなる項目を包含することを意味する。
【0130】
特許請求の範囲および上述の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「で構成される(composed of)」等の全ての移行の句は、開放型である、すなわち含むが限定されないことを意味すると理解される。移行の句「からなる(consisting of)」および「本質的にからなる(consisting essentially of)」のみはそれぞれ、閉鎖型または半閉鎖型の移行の句である。
本発明の態様として以下のものが挙げられる。
項1
2より多いエネルギー準位の空洞を使用して論理キュービットをエンコードする工程;
2より多いエネルギー準位のアンシラトランスモンを使用して情報をエンコードする工程;および
空洞からアンシラトランスモン中の少なくとも1つの誤りの型を切り離す、空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を作成する工程
を含む、
空洞およびアンシラトランスモンを使用してフォールトトレラント(fault-tolerant)量子操作を実行するための方法。
項2
空洞とアンシラの間の相互作用を作成する工程が、側波帯駆動を適用する工程を含む、項1記載の方法。
項3
側波帯駆動を適用した場合に、空洞の論理キュービットの進展が、一次アンシラ誤りに対して透明である、項2または任意の他の前記項記載の方法。
項4
側波帯駆動が、
第1の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第1の周波数シフトを、第2の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第2の周波数シフトと等しくなるように調整する;および
基底状態(a ground state excited state is)のアンシラトランスモンによる空洞上の第3の周波数シフトを、第2の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第2の周波数シフトと等しくなるように調整する
ように構成される、項2または任意の他の前記項記載の方法。
項5
量子操作が量子論理ゲートを含む、項1または任意の他の前記項記載の方法。
項6
量子論理ゲートが、選択的数依存的任意位相(selective number-dependent arbitrary phase)(SNAP)ゲートを含む、項5または任意の他の前記項記載の方法。
項7
量子論理ゲートが制御-SWAPゲートを含む、項5または任意の他の前記項記載の方法。
項8
量子論理ゲートが指数関数的-SWAPゲートを含む、項5または任意の他の前記項記載の方法。
項9
誤りがトランスモンにおいて生じる場合に、空洞の論理キュービットが、影響を受けない、項5または任意の他の前記項記載の方法。
項10
量子操作が量子測定を含む、項1または任意の他の前記項記載の方法。
項11
量子測定が量子パリティ測定を含む、項10または任意の他の前記項記載の方法。
項12
量子測定が誤りシンドロームの測定を含む、項10または任意の他の前記項記載の方法。
項13
マイクロ波照射を支持するように構成される空洞;
空洞に分散的に連結されるアンシラトランスモン;
マイクロ波照射を空洞に適用して、2より多いエネルギー準位の空洞を使用して論理キュービットをエンコードする;
マイクロ波照射をアンシラトランスモンに適用して、2より多いエネルギー準位のアンシラトランスモンを使用して情報をエンコードする;および
マイクロ波照射を適用して、空洞からアンシラトランスモン中の少なくとも1つの誤りの型を切り離す空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を作成する
ように構成されるマイクロ波供給源
を含む、量子情報系。
項14
マイクロ波照射を適用して空洞とアンシラトランスモンの間の相互作用を作成することが、側波帯駆動を適用することを含む、項13記載の量子情報系。
項15
側波帯駆動を適用した場合に、空洞の論理キュービットの進展が、一次のアンシラ誤りに対して透明である、項14または任意の他の前記項記載の量子情報系。
項16
側波帯駆動が:
第1の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第1の周波数シフトを、第2の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第2の周波数シフトと等しくなるように調整する;および
基底状態(a ground state excited state is)のアンシラトランスモンによる空洞上の第3の周波数シフトを、第2の励起状態のアンシラトランスモンによる空洞上の第2の周波数シフトと等しくなるように調整する
ように構成される、項14または任意の他の前記項記載の量子情報系。
項17
量子操作が量子論理ゲートを含む、項13または任意の他の前記項記載の量子情報系。
項18
量子論理ゲートが、選択的数依存的任意位相(SNAP)ゲート、制御-SWAPゲートまたは指数関数的-SWAPゲートを含む、項17または任意の他の前記項記載の量子情報系。
項19
誤りがトランスモンにおいて起こる場合に、空洞の論理キュービットが影響を受けない、項17または任意の他の前記項記載の量子情報系。
項20
量子操作が、量子パリティ測定および/または誤りシンドロームの測定を含む、項1または任意の他の前記項記載の方法。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9
図10
図11
図12
図13
図14