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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】敷き寝具
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/00 20060101AFI20231109BHJP
   A47C 17/16 20060101ALI20231109BHJP
   A47C 17/207 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
A47C27/00 C
A47C27/00 R
A47C17/16 Z
A47C17/207 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021164961
(22)【出願日】2021-10-06
(65)【公開番号】P2023055517
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2022-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】安川 淳
(72)【発明者】
【氏名】浜口 貴司
(72)【発明者】
【氏名】茂木 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】池田 奨
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-130556(JP,A)
【文献】特開2003-125899(JP,A)
【文献】特開2020-054571(JP,A)
【文献】米国特許第04329747(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02409972(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00
A47C 17/16
A47C 17/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体が載せられる長方形状の敷き寝具であって、
載せられた前記身体の荷重を受ける複数のクッション材と、
前記クッション材を覆う側地と、
を備え、
複数の前記クッション材は、前記側地の内部において、前記敷き寝具の長手方向に沿って並んでおり、
複数の前記クッション材は、前記長手方向の端部に位置すると共に前記使用者の頭部が載せられる複数の第1クッション材と、第2クッション材とを含んでおり、
複数の前記第1クッション材のうち、前記敷き寝具の前記長手方向の端部に位置する一方の前記第1クッション材は、他方の前記第1クッション材の下に入り込むように他方の前記第1クッション材に対して折り畳み可能とされており、且つ、
折り畳まれた複数の前記第1クッション材は、前記第2クッション材に載るように前記第2クッション材に対して折り畳み可能とされており、
複数の前記第1クッション材が積層された一層の枕が形成される低枕モードとなり、且つ、
前記第2クッション材の上に載せられた複数の前記第1クッション材からなる複数層の枕が形成される高枕モードとなり、
前記敷き寝具は前記長手方向に沿って丸められ、
丸められた前記敷き寝具を丸められた状態で保持する保持部材を備える、
敷き寝具。
【請求項2】
複数の前記第1クッション材、及び前記第2クッション材を開いたときに前記身体側に位置する軟質層と、
複数の前記第1クッション材、及び前記第2クッション材を開いたときに前記身体とは反対側に位置する硬質層と、
を備える、
請求項1に記載の敷き寝具。
【請求項3】
複数の前記第1クッション材のそれぞれは、前記敷き寝具の厚さ方向に窪む第1スリットを有する、
請求項1又は2に記載の敷き寝具。
【請求項4】
前記第2クッション材は、前記第1クッション材寄りの位置において前記敷き寝具の幅方向に沿って並ぶ一対の第2スリットを有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の敷き寝具。
【請求項5】
前記軟質層は、鉛直上方に向けられる複数の凸部によって構成されている、
請求項2に記載の敷き寝具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の身体が載せられる敷き寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
実開昭62-63047号公報には、ソファー兼用マットレスが記載されている。このマットレスは、座部枠と、背部枠と、背部枠に対して座部枠を回動可能に支持する回動金具とを備える。座部枠は第1の弾性体に内蔵されており、第1の弾性体には第2の弾性体が折り畳み可能に接続されている。背部枠は第1の弾性体及び第3の弾性体に内蔵されている。回動金具を回動させることによって座部枠に対する背部枠の傾斜角度が調整可能とされている。
【0003】
実公昭55-32518号公報には、複数の座部材、及び背部材を備えた組立式椅子が記載されている。複数の座部材、及び背部材は、互いに重なるように折り畳み可能とされている。複数の座部材、及び背部材が重ねられたときに椅子となり、複数の座部材、及び背部材が開かれたときにベッドとなる。
【0004】
実登3084039号公報には、折り畳みマットレスが記載されている。折り畳みマットレスは、第1マット、第2マット、第3マット、第4マット、第5マット及び第6マットを備える。第1マット、第2マット、第3マット、第4マット、第5マット及び第6マットは、広げられた状態でマットレスとして用いられる。第1マット、第2マット、第3マット、第4マット、第5マット及び第6マットは、互いに重なるように折り畳み可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭62-63047号公報
【文献】実公昭55-32518号公報
【文献】実登3084039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、敷き寝具では、持ち運びやすくて直ぐに使用できることが求められる場合がある。前述したソファー兼用マットレスは、第1の弾性体に座部枠が内蔵されており、第1の弾性体及び第3の弾性体に背部枠が内蔵されており、更に回動金具が設けられるため、重くて持ち運びにくいという問題が生じうる。
【0007】
前述した組立式椅子及び折り畳みマットレスは、複数のパーツを折り畳み可能とされている。しかしながら、複数のパーツを開いて敷き寝具として使うためには、別途枕を容易する必要がある。従って、敷き寝具として用いる場合には枕も持ち運ばなければならないので、持ち運びやすさ及び使いやすさの点で改善の余地がある。
【0008】
本開示は、持ち運びやすく且つ使いやすい敷き寝具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る敷き寝具は、使用者の身体が載せられる長方形状の敷き寝具であって、載せられた身体の荷重を受ける複数のクッション材と、クッション材を覆う側地と、を備える。複数のクッション材は、側地の内部において、敷き寝具の長手方向に沿って並んでいる。複数のクッション材は、長手方向の端部に位置すると共に使用者の頭部が載せられる複数の第1クッション材と、第2クッション材とを含んでいる。複数の1クッション材のうち、敷き寝具の長手方向の端部に位置する一方の第1クッション材は、他方の第1クッション材の下に入り込むように他方の第1クッション材に対して折り畳み可能とされている。折り畳まれた複数の第1クッション材は、第2クッション材に載るように第2クッション材に対して折り畳み可能とされており、複数の第1クッション材が積層された一層の枕が形成される低枕モードとなり、且つ、第2クッション材の上に載せられた複数の第1クッション材からなる複数層の枕が形成される高枕モードとなり、敷き寝具は長手方向に沿って丸められ、丸められた敷き寝具を丸められた状態で保持する保持部材を備える。
【0010】
この敷き寝具では、複数のクッション材が、側地の内部において敷き寝具の長手方向に沿って並んでいる。複数のクッション材は、当該長手方向の端部に位置すると共に使用者の頭部が載せられる複数の第1クッション材と、第2クッション材とを含んでいる。従って、複数の第1クッション材を枕として用いることが可能であるため、別途枕を用意する必要がない。すなわち、この敷き寝具では、枕が一体とされている。よって、枕を持ち運ぶ必要がないので、持ち運びやすい敷き寝具とすることができる。複数の第1クッション材は第2クッション材に対して折り畳み可能とされており、枕として機能する複数の第1クッション材同士でも折り畳み可能とされている。従って、第1クッション材及び第2クッション材の積層数を変えることで枕の高さを調整することが可能である。よって、使用者の好みに応じて枕として機能する第1クッション材の高さを調整することが可能であるため、使いやすい敷き寝具とすることができる。
【0011】
敷き寝具は、複数の第1クッション材、及び第2クッション材を開いたときに身体側に位置する軟質層と、複数の第1クッション材、及び第2クッション材を開いたときに身体とは反対側に位置する硬質層と、を備えてもよい。この場合、開いたときに上側に軟質層が設けられ、軟質層の下側に硬質層が設けられる。従って、使用者の身体が載せられるときに、軟質層で身体の体圧分散を行うと共に硬質層で身体をしっかりと支えることができる。
【0012】
複数の第1クッション材のそれぞれは、敷き寝具の厚さ方向に窪む第1スリットを有してもよい。この場合、枕として機能する複数の第1クッション材のそれぞれが第1スリットを有し、第1スリットは敷き寝具の厚さ方向に窪んでいる。従って、第1クッション材の第1スリットが形成された部分に頭部を沈み込みやすくすることができるので、良好な寝心地を使用者に提供することができる。
【0013】
第2クッション材は、第1クッション材寄りの位置において敷き寝具の幅方向に沿って並ぶ一対の第2スリットを有してもよい。この場合、第2クッション材の第1クッション材寄りの位置に一対の第2スリットが敷き寝具の幅方向に沿って形成されている。従って、使用者の肩が載る部分に第2スリットが形成されているので、第2スリットが形成された部分において使用者の肩をやさしく支えることができる。
【0014】
軟質層は、鉛直上方に向けられる複数の凸部によって構成されていてもよい。この場合、軟質層として特殊な材料を用いなくても、複数の凸部によって硬質層よりも軟らかい軟質層を実現できる。
【0015】
の場合、丸められた敷き寝具を保持部材によって保持できるので、一層持ち運びやすい敷き寝具とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、持ち運びやすく且つ使いやすい敷き寝具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る敷き寝具を示す斜視図である。
図2】(a)は、実施形態に係る敷き寝具を模式的に示す平面図である。(b)は、実施形態に係る敷き寝具を模式的に示す底面図である。
図3図2(a)のA-A線断面図である。
図4】(a)及び(b)は、実施形態に係る敷き寝具が丸められる状態を示す図である。
図5】(a)は、実施形態に係る敷き寝具が開かれた状態を示す側面図である。(b)は、一方の第1クッション材が他方の第1クッション材の下に入り込んだ状態を示す側面図である。(c)は、折り畳まれた複数の第1クッション材が第2クッション材の上に載せられた状態を示す側面図である。(d)は、第2クッション材の上に折り畳まれていない複数の第1クッション材が載せられた状態を示す側面図である。
図6】実施形態に係る敷き寝具の複数の第1クッション材、及び第2クッション材を示す平面図である。
図7】変形例に係る敷き寝具の縦断面図である。
図8】変形例に係る敷き寝具が折り畳まれた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る敷き寝具の実施形態について説明する。図面の説明について同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0019】
本開示に係る敷き寝具は、使用者の身体が載せられる。「敷き寝具」とは、使用者が身体を休めたり睡眠をとったりするときに使用者の身体が当てられるものであり、典型的には、マットレス、敷き布団、クッション、ベッドパッド、座布団又は枕である。「使用者」は、敷き寝具を使用する者を示している。「使用者」としては、敷き寝具を購入する者、又は敷き寝具を試用する者が挙げられる。
【0020】
敷き寝具は、載せられた身体の荷重を受ける複数のクッション材を備える。「クッション材」とは、付与された荷重に応じて変形する弾性を備えたものを示している。本実施形態において、複数のクッション材は、折り畳み可能とされている。「折り畳み可能」とは、複数のクッション材が開かれた状態から、複数のクッション材が積層された状態に遷移可能であることを示している。
【0021】
図1は、本実施形態に係る敷き寝具1を示す斜視図である。図2(a)は、敷き寝具1を示す平面図である。図2(b)は、敷き寝具1を示す底面図である。図1図2(a)及び図2(b)に示されるように、敷き寝具1は、平面視において長方形状を呈する。本実施形態において、敷き寝具1はマットレスである。
【0022】
敷き寝具1は、第1方向D1に沿って延びる複数の長辺1bと、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って延びる複数の第1短辺1cと、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に沿って延びる複数の第2短辺1dとを有する。本実施形態において、第1方向D1は敷き寝具1の長手方向であり、第2方向D2は敷き寝具1の幅方向であり、第3方向D3は敷き寝具1の厚さ方向(高さ方向)である。
【0023】
敷き寝具1は、使用者の身体側(上側)に向けられる表面1Aと、表面1Aとは反対側を向く裏面1Bとを有する。表面1Aには、一方の第1短辺1c寄りの位置において第2方向D2に沿って延在する凹部1fが形成されている。裏面1Bには、一方の第1短辺1c寄りの位置において第2方向D2に沿って延在する凹部1gが形成されている。
【0024】
凹部1f及び凹部1gのそれぞれは、敷き寝具1を折り曲げることが可能な部位である。具体的には、凹部1fの第1方向D1の一方側(例えば図2(a)では左側)の部分を凹部1fの第1方向D1の他方側(例えば図2(a)では右側)の部分に山折りすることが可能である。そして、凹部1gの第1方向D1の一方側の部分を凹部1gの第1方向D1の他方側の部分に山折りすることが可能である。凹部1fは後述する複数の第1クッション材10の間の境界部分であり、凹部1gは第1クッション材10と第2クッション材20との間の境界部分である。
【0025】
図3は、図2(a)のA-A線断面図である。図2(a)、図2(b)及び図3に示されるように、敷き寝具1は、側地2と、側地2の内部に収容される複数のクッション材3とを備える。例えば、側地2は布製であり、クッション材3は柔軟性素材によって構成されている。柔軟性素材とは、荷重の付与によって変形する柔らかい材料を示している。一例として、クッション材3は発泡ウレタンによって構成されている。
【0026】
クッション材3は、敷き寝具1が開かれたときに身体側(上方)に向けられる軟質層3Aと、軟質層3Aとは反対側に向けられる硬質層3Bとを有する。軟質層3Aは、例えば、複数の凸部3bによって構成されている。凸部3bは、例えば、第1方向D1に沿って並ぶと共に第2方向D2に沿って並んでいる。この場合、凸部3bは格子状に配列されている。
【0027】
例えば、クッション材3はプロファイル加工によって作製されている。一例として、クッション材3の第3方向D3の長さ(厚さ)の最大値は3.5cm以上且つ5cm以下であり、クッション材3の第3方向D3の長さの最小値は1cm以上且つ2.5cm以下である。クッション材3の第3方向D3の長さの最大値とは、クッション材3の下面3dから凸部3bの頂部までの高さである。クッション材3の第3方向D3の長さの最小値とは、下面3dから一対の凸部3bの間の最も窪んだ部分までの高さである。
【0028】
本実施形態において、軟質層3Aは凸部3bが形成された層であり、硬質層3Bは軟質層3Aの下部に位置する板状の層である。軟質層3Aの材料は、硬質層3Bの材料と同一であってもよいし、硬質層3Bの材料と異なっていてもよい。複数のクッション材3は、第1方向D1の端部に位置する複数の第1クッション材10と、第2クッション材20とを含む。
【0029】
例えば、敷き寝具1は、2つの第1クッション材10と1つの第2クッション材20とを備える。第1クッション材10は使用者の頭部が載せられる部位である。すなわち、第1クッション材10は、敷き寝具1の枕として機能する。第2クッション材20は使用者の頭部以外の部分が載せられる部位である。
【0030】
平面視において、第1クッション材10は、例えば、第2方向D2に沿って延びる複数の長辺11と、第1方向D1に沿って延びる複数の短辺12とを有する長方形状を呈する。例えば、長辺11の長さは30cm以上且つ100cm以下である。一例として、長辺11の長さは60cmである。短辺12の長さは、例えば、10cm以上且つ50cm以下である。一例として、短辺12の長さは20cmである。
【0031】
平面視において、第2クッション材20は、例えば、第1方向D1に沿って延びる複数の長辺21と、第2方向D2に沿って延びる複数の短辺22とを有する長方形状を呈する。例えば、長辺21の長さは、100cm以上且つ200cm以下である。一例として、長辺21の長さは140cmである。短辺22の長さは、例えば、30cm以上且つ100cm以下である。一例として、短辺22の長さは60cmである。
【0032】
側地2の内部において、複数の第1クッション材10のそれぞれと第2クッション材20とは互いに分断された状態で収容されている。側地2は、一対の第1クッション材10の間に形成される凹部2fと、第1クッション材10及び第2クッション材20の間に形成される凹部2gとを有する。凹部2fは敷き寝具1の凹部1fに対応し、凹部2gは敷き寝具1の凹部1gに対応する。
【0033】
側地2は、使用者の身体側に向けられる上面2bと、上面2bとは反対側を向く下面2cとを有する。例えば、凹部2fは側地2の下面2cに縫い込まれており、凹部2gは側地2の上面2bに縫い込まれている。これにより。凹部2fの第1方向D1の一方側及び他方側のそれぞれに第1クッション材10が収容される第1収容空間S1が形成され、凹部2gの第1収容空間S1とは反対側に第2クッション材20が収容される第2収容空間S2が形成される。
【0034】
側地2は、第1方向D1に向けられる一対の第1側面2hと、第2方向D2に向けられる一対の第2側面2jとを有する。敷き寝具1は、側地2に形成された複数のファスナー4を有する。各ファスナー4は、例えば、第1側面2hの下端、及び第2側面2jの下端のそれぞれに設けられる。
【0035】
複数のファスナー4のそれぞれは、平面視においてL字状を呈する。ファスナー4は、前述した第1収容空間S1及び第2収容空間S2のそれぞれに対応して配置されている。複数のファスナー4のそれぞれによって、各第1収容空間S1に対する各第1クッション材10の出し入れ、及び第2収容空間S2に対する第2クッション材20の出し入れが可能とされている。
【0036】
敷き寝具1は、第1方向D1に沿って巻き付けることが可能とされている。以下では、敷き寝具1を巻き付ける巻き付け方法について説明する。図4(a)及び図4(b)は、第1方向D1に沿って敷き寝具1を巻き付ける手順を示している。図4(a)及び図4(b)では、第1クッション材10及び第2クッション材20の図示を簡略化している。まず、図4(a)に示されるように、第2クッション材20に対して第1クッション材10を上げつつ凹部1f及び凹部1gが開くように、複数の第1クッション材10を折り曲げる(複数の第1クッション材を折り曲げる工程)。
【0037】
次に、図4(b)に示されるように、折り曲げた複数の第1クッション材10を第2クッション材20の上に載せた状態とする(複数の第1クッション材を第2クッション材の上に載せる工程)。そして、複数の第1クッション材10を囲むように第2クッション材20を丸めて(第2クッション材を丸める工程)、一連の工程が完了する。
【0038】
図2(b)、図4(a)及び図4(b)に示されるように、敷き寝具1は、丸められた敷き寝具1を丸められた状態で保持する保持部材5を備える。敷き寝具1は、例えば、複数(一例として2つ)の保持部材5を有する。保持部材5は、側地2の下面2cに縫い込まれており下面2cから第1方向D1に突出する帯状部材6と、帯状部材6の先端部に設けられた第1接合部材7と、下面2cに縫い込まれており第1接合部材7が接合する第2接合部材8とを備える。第1接合部材7は、例えば、帯状部材6の上面に設けられ、丸められた敷き寝具1の第2接合部材8に接合する。第1接合部材7及び第2接合部材8は、一例として、面ファスナーである。
【0039】
また、敷き寝具1は、敷き寝具1の使用時(敷き寝具1が開かれているとき)に、第1接合部材7が接合される第3接合部材9を備えていてもよい。例えば、敷き寝具1は第2方向D2に沿って並ぶ一対の第3接合部材9を有し、各第3接合部材9は各第2接合部材8よりも脚側(第1クッション材10とは反対側)に設けられる。
【0040】
帯状部材6の長さ(第1方向D1への帯状部材6の長さ)を長さL1、帯状部材6の下面2cに縫い込まれた部分の中心から第3接合部材9の中心までの距離を距離L2とすると、長さL1は距離L2と同程度である。長さL1及び距離L2は、例えば、30cm以上且つ100cm以下であり、一例として、60cmである。
【0041】
以上、側地2の下面2cに第2接合部材8及び第3接合部材9が固定されている例について説明したが、第2接合部材8及び第3接合部材9の少なくともいずれかが省略されてもよい。例えば、巻き付けられた敷き寝具1を保持する接合部材と、敷き寝具1の使用時に帯状部材6が止められる接合部材とが兼用されてもよい。
【0042】
次に、敷き寝具1の使用方法の例について説明する。図5(a)、図5(b)、図5(c)及び図5(d)は、敷き寝具1の使用方法の例を説明するための図である。まず、図5(a)に示されるように、敷き寝具1は、複数の第1クッション材10及び第2クッション材20を開いた状態で使用することが可能である。
【0043】
図5(b)に示されるように、複数の第1クッション材10の間に位置する凹部1fを開いて第1方向D1の端部に位置する一方の第1クッション材10を他方の第1クッション材10の下に入れる。このとき、複数(例えば2つ)の第1クッション材10が積層された一層の枕P1が形成される低枕モードとなる。
【0044】
図5(c)に示されるように、凹部1gを開いて第2クッション材20の上に複数層の第1クッション材10を載置する。このとき、第2クッション材20の上に載せられた複数(一例として2つ)の第1クッション材10からなる複数層(一例として2層)の枕P2が形成される高枕モードとなる。
【0045】
なお、低枕モードでは、図5(b)の例に代えて、図5(d)に示されるように、凹部1gを介して複数の第1クッション材10を折り曲げて第2クッション材20の上に複数の第1クッション材10を載置してもよい。このとき、第2クッション材20の上に第1クッション材10からなる一層の枕P1が形成される低枕モードとなる。
【0046】
図6は、第1クッション材10及び第2クッション材20を示す平面図である。図6に示されるように、第1クッション材10は第1クッション材10の上面において窪む第1スリット13を有し、第2クッション材20は第2クッション材20の上面において窪む第2スリット23を有する。例えば、第1スリット13は第1クッション材10を第3方向D3に貫通しており、第2スリット23は第2クッション材20を第3方向D3に貫通している。
【0047】
第1スリット13は、例えば、第1クッション材10の長手方向(第2方向D2)の中央を含む領域に形成されている。第1クッション材10は、例えば、複数の第1スリット13からなる第1スリット群G1を有し、第1スリット群G1が第2方向D2の中央に形成されている。
【0048】
第1スリット13は、例えば、直線部13bと、直線部13bの両端のそれぞれにおいて拡張する一対の拡張部13cとを有する。拡張部13cは、一例として、円弧状に拡張している。例えば、複数の第1スリット13の向きは互いに異なっている。一例として、第1スリット群G1は4つの第1スリット13から構成されており、4つの第1スリット13の直線部13bの延長線が四角形を成すように各第1スリット13が配置されている。
【0049】
例えば、一対の第2スリット23が、第2クッション材20の長手方向(第1方向D1)の端部において第2クッション材20の幅方向(第2方向D2)に沿って並ぶように配置されている。第2クッション材20は、例えば、複数の第2スリット23からなる第2スリット群G2を有する。
【0050】
第2クッション材20は、例えば、複数の第2スリット群G2を有する。一例として、第2スリット群G2の数は4である。第2クッション材20の第1方向D1の端部において第2方向D2に並ぶように2つの第2スリット群G2が配置されている。そして、当該2つの第2スリット群G2の脚側(第1クッション材10とは反対側)において第2方向D2に沿って並ぶように残り2つの第2スリット群G2が配置されている。
【0051】
4つの第2スリット群G2のうち2つの第2スリット群G2は、第2クッション材20の第1クッション材10側の端部20bからXcm(Xは自然数)の第1領域R1に配置される。残り2つの第2スリット群G2は、第1領域R1の端部20bとは反対側の端部からXcmの第2領域R2に配置される。例えば、Xの値は、第1クッション材10の短辺12の長さと同一である。一例として、Xの値は20である。
【0052】
第2スリット23は、例えば、直線部23bと、直線部23bの両端のそれぞれにおいて拡張する一対の拡張部23cとを有する。拡張部23cは、一例として、円弧状に拡張している。例えば、複数の第2スリット23の向きは互いに異なっている。一例として、第2スリット群G2は4つの第2スリット23から構成されており、4つの第2スリット23の直線部23bが四角形を成すように各第2スリット23が配置されている。
【0053】
続いて、本実施形態に係る敷き寝具1から得られる作用効果について詳細に説明する。図5(a)~図5(d)に示されるように、敷き寝具1では、複数のクッション材3が、側地2の内部において第1方向D1(敷き寝具1の長手方向)に沿って並んでいる。複数のクッション材3は、第1方向D1の端部に位置すると共に使用者の頭部が載せられる複数の第1クッション材10と、第2クッション材20とを含んでいる。従って、複数の第1クッション材10を枕P1,P2として用いることが可能であるため、別途枕を用意する必要がない。すなわち、敷き寝具1では、枕P1,P2が一体とされている。よって、枕を持ち運ぶ必要がないので、持ち運びやすい敷き寝具1とすることができる。
【0054】
複数の第1クッション材10は第2クッション材20に対して折り畳み可能とされており、枕P1,P2として機能する複数の第1クッション材10同士でも折り畳み可能とされている。従って、第1クッション材10及び第2クッション材20の積層数を変えることにより、高い枕P2、及び低い枕P1を切り替えることができ高さを調整することが可能である。よって、使用者の好みに応じて枕P1,P2として機能する第1クッション材10の高さを調整することが可能であるため、使いやすい敷き寝具1とすることができる。
【0055】
図3に示されるように、本実施形態に係る敷き寝具1は、複数の第1クッション材10、及び第2クッション材20を開いたときに身体側に位置する軟質層3Aと、複数の第1クッション材10、及び第2クッション材20を開いたときに身体とは反対側に位置する硬質層3Bと、を備える。よって、開いたときに上側に軟質層3Aが設けられ、軟質層3Aの下側に硬質層3Bが設けられる。従って、使用者の身体が載せられるときに、軟質層3Aで身体の体圧分散を行うと共に硬質層3Bで身体をしっかりと支えることができる。
【0056】
図6に示されるように、複数の第1クッション材10のそれぞれは、第3方向D3(敷き寝具1の厚さ方向)に窪む第1スリット13を有してもよい。この場合、枕P1,P2として機能する複数の第1クッション材10のそれぞれが第1スリット13を有し、第1スリット13は敷き寝具1の厚さ方向に窪んでいる。従って、第1クッション材10の第1スリット13が形成された部分に頭部を沈み込みやすくすることができるので、良好な寝心地を使用者に提供することができる。
【0057】
本実施形態において、第2クッション材20は、第1クッション材10寄りの位置において第2方向D2に沿って並ぶ一対の第2スリット23を有する。よって、第2クッション材20の第1クッション材10寄りの位置に一対の第2スリット23が敷き寝具1の幅方向に沿って形成されている。従って、使用者の肩が載る部分に第2スリット23が形成されているので、第2スリット23が形成された部分において使用者の肩をやさしく支えることができる。
【0058】
図3に示されるように、本実施形態において、軟質層3Aは、鉛直上方に向けられる複数の凸部3bによって構成されている。よって、軟質層3Aとして特殊な材料を用いなくても、複数の凸部3bによって硬質層3Bよりも軟らかい軟質層3Aを実現できる。
【0059】
図4(a)及び図4(b)に示されるように、本実施形態において、敷き寝具1は第1方向D1に沿って丸められる。敷き寝具1は丸められた敷き寝具1を丸められた状態で保持する保持部材5を備える。よって、丸められた敷き寝具1を保持部材5によって保持できるので、一層持ち運びやすい敷き寝具1とすることができる。
【0060】
次に、変形例に係る敷き寝具31について図7及び図8を参照しながら説明する。敷き寝具31は、第2クッション材20が丸められる敷き寝具1とは異なっており、複数の第2クッション材40を備え、複数の第2クッション材40が折り畳まれる。敷き寝具31の一部の構成は、敷き寝具1の一部の構成と同一である。以下では、敷き寝具1の構成と重複する説明を適宜省略する。
【0061】
敷き寝具31は、使用者の身体側に向けられる表面31Aと、表面31Aとは反対側を向く裏面31Bとを有する。表面31Aには第2方向D2に沿って延在する複数の凹部31fが形成されており、裏面31Bには第2方向D2に沿って延在する複数の凹部31gが形成されている。
【0062】
敷き寝具31は、複数のクッション材33と、複数のクッション材33を収容する側地32とを備える。複数のクッション材33は、第1方向D1の端部に位置する複数の第1クッション材10と、複数の第2クッション材40とを含む。例えば、敷き寝具31は、2つの第1クッション材10と、5つの第2クッション材40とを備える。
【0063】
第2クッション材40は、例えば、第1方向D1の長さが前述した第2クッション材20とは異なっており、その他の点においては第2クッション材20と同一であってもよい。第2クッション材40の第1方向D1の長さは、例えば、第1クッション材10の第1方向D1の長さの2倍である。
【0064】
側地32の内部において、複数の第1クッション材10のそれぞれと複数の第2クッション材40のそれぞれとは互いに分断された状態で収容されている。側地32は、一対の第1クッション材10の間、及び一対の第2クッション材40の間、のそれぞれにおいて下方に窪む凹部32fと、第1クッション材10と第2クッション材40の間、及び一対の第2クッション材40の間のそれぞれにおいて上方に窪む凹部32gとを有する。
【0065】
凹部32fは敷き寝具31の凹部31fに対応し、凹部32gは敷き寝具31の凹部31gに対応する。凹部32f及び凹部32gは、第1方向D1に沿って交互に配置されている。側地32は、使用者の身体側に向けられる上面32bと、上面32bとは反対側を向く下面32cとを有する。凹部32fは側地32の下面32cに縫い込まれており、凹部32gは側地32の上面32bに縫い込まれている。これにより、第1方向D1の一端の凹部32fから見て第1方向D1の一方側及び他方側のそれぞれに第1クッション材10が収容される第1収容空間S1が形成され、凹部32gの第1収容空間S1とは反対側に第2クッション材40が収容される複数の第2収容空間S2が形成される。
【0066】
以上の敷き寝具31では、第1方向D1の端から1番目の第2クッション材40に当該端から2番目の第2クッション材40が載せられ、第1方向D1の端からN-1番目(Nは第2クッション材40の数以下の数、図7の例では5以下の数)の第2クッション材40に当該端からN番目の第2クッション材40が載せられ、当該第2クッション材40に複数の第1クッション材10を載せることが可能である。その結果、敷き寝具31は、複数層の第2クッション材40の上に複数の第1クッション材10が載せられた状態となるように折り畳まれる。この場合、前述した保持部材5を不要にすることができる。
【0067】
以上、本開示に係る敷き寝具の実施形態及び変形例について説明した。しかしながら、本開示に係る敷き寝具は、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において更に変形することが可能である。すなわち、本開示に係る敷き寝具の各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した実施形態又は変形例に限定されるものではなく、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0068】
前述では、1つの第2クッション材20を備えた敷き寝具1、及び5つの第2クッション材40を備えた敷き寝具31について説明したが、第2クッション材の数は2以上若しくは4以下、又は6以上であってもよく、特に限定されない。また、前述の実施形態では、2つの第1クッション材10を備え、高さを2段階で調整可能な枕P1,P2を備える敷き寝具1について説明した。しかしながら、3つ以上の第1クッション材10を備え、高さを3段階以上で調整可能な枕を備える敷き寝具であってもよい。
【0069】
前述の実施形態では、凸部3bを有するクッション材3を備える敷き寝具1について説明した。しかしながら、凸部3bを有しないクッション材を備える敷き寝具であってもよく、クッション材の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は適宜変更可能である。
【0070】
前述の実施形態では、第1スリット13を有する第1クッション材10、及び第2スリット23を有する第2クッション材20を備え、第1スリット13は第1クッション材10を第3方向D3に貫通し、第2スリット23を第2クッション材20を第3方向D3に貫通している例について説明した。しかしながら、第1スリット13は第1クッション材10を貫通していなくてもよいし、第2スリット23は第2クッション材20を貫通していなくてもよい。
【0071】
また、第1クッション材及び第2クッション材が有するスリットの形状、大きさ、数及び配置態様は、前述した実施形態に限られず適宜変更可能である。更に、第1クッション材及び第2クッション材の少なくともいずれかがスリットを有しないクッション材であってもよく、スリットを省略することも可能である。
【0072】
前述の実施形態では、帯状部材6、第1接合部材7及び第2接合部材8を有する2つの保持部材5を備える敷き寝具1について説明した。しかしながら、保持部材の数は1つ又は3つ以上であってもよい。保持部材は、例えば、丸められた敷き寝具1を括る輪状のゴム部材であってもよく、保持部材の構成は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…敷き寝具、1A…表面、1b…長辺、1B…裏面、1c…第1短辺、1d…第2短辺、1f,1g…凹部、2…側地、2b…上面、2c…下面、2f,2g…凹部、2h…第1側面、2j…第2側面、3…クッション材、3A…軟質層、3B…硬質層、3b…凸部、3d…下面、4…ファスナー、5…保持部材、6…帯状部材、7…第1接合部材、8…第2接合部材、9…第3接合部材、10…第1クッション材、11…長辺、12…短辺、13…第1スリット、13b…直線部、13c…拡張部、20…第2クッション材、20b…端部、21…長辺、22…短辺、23…第2スリット、23b…直線部、23c…拡張部、31…敷き寝具、31A…表面、31B…裏面、31f,31g…凹部、32…側地、32b…上面、32c…下面、32f,32g…凹部、33…クッション材、40…第2クッション材、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、G1…第1スリット群、G2…第2スリット群、L2…距離、P1,P2…枕、R1…第1領域、R2…第2領域、S1…第1収容空間、S2…第2収容空間。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8