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特許7382082コンテンツを特徴づけるために脳特徴活動マップデータベースを利用するための装置および方法
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  • 特許-コンテンツを特徴づけるために脳特徴活動マップデータベースを利用するための装置および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】コンテンツを特徴づけるために脳特徴活動マップデータベースを利用するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20231109BHJP
   A61B 5/246 20210101ALI20231109BHJP
   A61B 5/377 20210101ALI20231109BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/246
A61B5/377
A61B5/055 382
A61B5/055 311
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021530305
(86)(22)【出願日】2019-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2019060414
(87)【国際公開番号】W WO2020115664
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】62/775,018
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/667,198
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521229670
【氏名又は名称】ブランヴィヴォ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】アサフ、ヤニフ
(72)【発明者】
【氏名】ホヴィッツ、アサフ
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513319(JP,A)
【文献】特開2016-101479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0346164(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0248615(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 5/246
A61B 5/377
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実現される方法であって:
生物に刺激を供給するステップと;
前記生物に適用された前記刺激のコンテンツをラベル付けするステップであって、前記コンテンツは、画像、ビデオ、オーディオおよび感覚的コンテンツからなるグループから選択されるステップと;
前記刺激に応答する前記生物の脳活動を測定するステップと;
前記脳活動を特徴付ける脳特徴活動マップを作成するステップであって、前記脳特徴活動マップを作成するステップは、前記刺激のコンテンツを特徴空間においてそれぞれの前記コンテンツの特徴に分解するステップを有し、前記脳特徴活動マップはそれぞれの前記コンテンツの特徴に特異な前記脳活動を特徴付けする、ステップと;
複数の前記刺激に対し、前記刺激を供給し、前記刺激のコンテンツをラベル付けし、前記脳活動を測定し、そして前記脳特徴活動マップを作成する前記ステップを繰り返して、コンテンツラベルを含む、ラベル付けされた、脳特徴活動マップデータベースを形成するステップと;
新しい刺激を受け取るステップと;
前記新しい刺激の特徴を投影された前記脳特徴活動マップにマッピングするステップであって、前記新しい刺激の特徴をマッピングする前記ステップは、前記新しい刺激を前記特徴空間に分解するステップと、そして前記分解された新しい刺激の前記特徴をモデル化し、前記投影された脳活動マップを生成するステップと、を有するステップと;
前記投影された脳活動マップを前記脳特徴活動マップデータベースと比較して、投影された脳活動マップと脳特徴活動マップデータベースのエントリとの間の類似点および非類似点を識別して、一致を指定するステップと;そして
前記一致に関連するコンテンツラベルに基づいて前記新しい刺激の新しいラベル付けされたコンテンツを特徴づけるステップと;
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記脳特徴活動マップが、脳接続性マトリックスを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脳接続性マトリックスが、脳コネクトームを形成するための脳組織の微細構造推定に基づく接続性マトリックスの重みを含む、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記測定が、解剖学的磁気共鳴画像法(MRI)、拡散テンソル画像法(DTI)、ファンクショナルMRI(fMRI)、脳波(EEG)、脳磁図(MEG)、赤外線画像法、紫外線画像法、コンピュータトモグラフィー(CT)、脳マッピング超音波、生体内細胞データ、生体内分子データ、ゲノムデータ、および光学的画像化、のうちの1つまたは複数によって行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記脳活動マップに対応するハードウェア回路を形成するステップをさらに含み、前記ハードウェア回路は、前記刺激に応答する前記生物の前記脳活動に対応する能動要素を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の生物に刺激を与えるステップと;
前記刺激に応答する前記複数の生物の脳活動を測定するステップと;および
前記脳活動を特徴付ける脳特徴活動マップを作成するステップと;
をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記刺激は、一連のフレーム、画像、音、触覚信号または匂いを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コンテンツラベルは、好ましくないコンテンツラベルおよび好ましくなくはないコンテンツラベルを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記好ましくないコンテンツラベルが、暴力的、性的、虐待的または攻撃的な刺激に基づく、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンテンツラベルは、意思決定プロセスのために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記脳特徴活動マップおよび前記コンテンツラベルが、コンテンツ汚染スコアを計算するために使用される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コンテンツ汚染スコアは、視聴者の幸福に対するコンテンツの影響を特徴付けるコンテンツ強度の尺度である、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、認知分類を決定するためのコンテンツの自動評価に関する。より具体的には、本発明は、脳特徴活動マップデータベースを利用してコンテンツを特徴づけるための技術に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2018年12月4日に出願された米国暫定特許出願第62/775,018(特許文献1)の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
機械学習および深層学習は、計算システムがデータから学習できるという考えに基づく人工知能の分野の分科である。人間の脳は、特に計算システムの学習プロセスにおいて、常にこれらの方法のインスピレーションの源であった。人間の脳とその背景にある生物学的神経ネットワークは、少量のデータを処理して認知分類に迅速に到達するための効率的な方法を有する。
【0004】
暴力的、性的、虐待的または攻撃的なコンテンツなどの好ましくないコンテンツを投稿する個人は、ユーザのソーシャルメディア体験を傷つける。ソーシャルメディアプロバイダーはそのようなコンテンツを削除しようと努めているが、既存の手法は手動であるため、時間がかかり面倒である。したがって、認知分類を決定するためにコンテンツの自動評価(例えば、不快なものと不快でないもの、偽物と本物、楽しいものと楽しくないものなど)に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国暫定特許出願第62/775,018
【発明の概要】
【0006】
コンピュータで実装された方法は、生物に刺激を供給し、刺激に応答する生物の脳活動を測定し、脳活動を特徴付ける脳特徴活動マップを作成するステップを含む。供給、測定、作成の操作は、異なる刺激に対して繰り返され、脳の特徴活動マップデータベースを形成する。新しい刺激が受け取られる。新しい刺激の特徴は、投影された脳活動マップにマッピングされる。投影された脳活動マップは、脳特徴活動マップデータベースと比較され、投影された脳活動マップと脳特徴活動マップデータベースのエントリとの間の類似点と非類似点が識別され、一致が指定される。新しい刺激は、一致に基づいて特徴付けられて認知分類を確立する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は添付の図面を参照する詳細な説明により、より完全に理解されよう:
図1】本発明の実施形態により構成されたシステムを示す図である。
図2】本発明の実施形態による、脳特徴活動マップデータベースを構築するための処理操作を示す図である。
図3】脳特徴活動マップデータベースを利用してコンテンツを特徴付けるための処理操作を示す図である。 同様の参照番号は、図面の幾つかの図を通して対応する同様の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、ネットワーク106を介してサーバ104と通信しているクライアントデバイス102を備えたシステム100を示しており、ネットワーク106は、有線ネットワークと無線ネットワークの任意の組み合わせであり得る。磁気共鳴画像法(MRI)装置などの脳活動測定装置107もネットワーク106に接続されている。以下で詳細に説明するように、脳活動測定装置107は、人間などの生物に供給される異なる刺激に対して脳特徴活動マップを生成するのに使用される。脳特徴活動マップは、与えられた刺激に対する脳応答からの測定可能な脳信号を脳の解剖学的アトラス(たとえば、ブロードマン(Brodmann)マップ、AALマップなど)に投影することによって生成される。このプロセスでは、与えられた刺激が事前定義された特徴のセットに分解され、各特徴と脳の活動との相関関係が類似性分析によってテストされる。次に、脳の特徴活動マップを使用して、脳の特徴活動マップデータベースを生成する。このデータベースは、新しい刺激をその内容(たとえば、暴力的、性的、攻撃的、虐待的、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルなど)に従って分類するため、およびその好ましくないまたは好ましくなくはない性質に関する意思決定プロセスに使用される。したがって、システムは、新しいコンテンツを分類および特徴付けるための自動化された技術を提供する。
【0009】
新しいコンテンツは、クライアントデバイス102からサーバ104に提出され得る。新しいコンテンツは、画像、ビデオ、オーディオ、または感覚的なコンテンツであり得る。クライアントデバイス102は、コンピュータ、タブレット、スマートフォンなどであり得る。クライアントデバイス102は、バス114を介して入力/出力デバイス112に接続された中央演算装置110を含む。入力/出力デバイス112は、キーボード、マウス、タッチディスプレイなどを含みうる。ネットワークインタフェース回路116はまた、ネットワーク106への接続を提供するためにバス114に接続される。メモリ120はまた、バス114に接続される。メモリ120は、サーバ104と対話するために使用され得るクライアントアプリケーション122を格納する。 クライアントデバイス102およびサーバ104は、ユーザ入力なしで自動的に動作するクラウドベースのリソースであり得る。
【0010】
サーバ104は、中央演算装置130、入力/出力デバイス132、バス134、およびネットワークインタフェース回路136を含む。メモリ140は、バス134に接続されている。メモリ140は、本明細書に開示された動作を実施するためにプロセッサ130によって実行される命令を格納する。メモリ140は、生物に提示された刺激に応答する脳活動を特徴付ける脳特徴活動マップを生成するための命令を含む、脳特徴活動マップジェネレータ142を格納する。異なる刺激および異なる対象を使用して、脳特徴活動マップを収集し、脳特徴活動マップデータベース144を形成する。メモリ140はまた、新しい刺激プロセッサ146を格納する。サーバ104は、クライアントデバイス102からなどの新しい刺激を受け取り、新しい刺激の特徴を投影された脳活動マップへマップする。投影された脳活動マップは、新しい刺激に対する脳の応答の推定値である。推定は、新しい刺激の事前定義された特徴を抽出するステップと、脳の特徴活動マップから最も近い特徴のセットに一致するものを見つけるステップと(類似性分析を通じて)、そしてすべての特徴から関連する脳の特徴滑動を組み合わせることによって新しい刺激に対する脳の応答を計算するステップと、によって行われる。
【0011】
投影された脳活動マップの作成中に、脳特徴活動マップのラベリングも推定される。新しい刺激ラベルの生成は、一組の予測子によって行われる。後者は、脳特徴活動マップデータベース144からの対応する脳応答のラベリングに対する各特徴の類似性および非類似性を予測する。新しい刺激は、一致または指定された一致の組み合わせに基づいて特徴付けられる。
【0012】
図2は、脳特徴活動マップデータベース144を構築するための処理操作を示す。ステップ200において最初に、生物が選択される。典型的には、生物はヒトであるが、本発明の実施形態によれば、他の生命体が使用されうる。生物は、脳活動測定装置107に接続されている。次にステップ202において、刺激が新しい生物に供給される。ステップ204において新しい生物のその刺激に応答した脳活動が測定される。通常、測定は、画像の形式であり、次に、以下に詳述するように、脳の特徴活動マップに変換される。次に、同じ生物が新しい刺激にさらされうる(ステップ210の判断結果-「はい」の場合)、その場合、操作ステップ202~206が再度実行される。被験者に新しい刺激を与えない場合(ステップ210の判断結果-「いいえ」の場合)、ステップ208で別の生物をテストするかどうかを決定する。そうであれば(ステップ208の判断結果-「はい」の場合)、操作200~210を繰り返す。したがって、このプロセスは、複数の刺激に対する複数の生物の複数の脳特徴活動マップを構築することができる。他の生物が評価されない場合(ステップ208の判断結果-「いいえ」の場合)、ステップ212で、脳特徴活動マップが、脳特徴活動データベースにロードされる。次に、ステップ214で、脳特徴活動マップは、以下で詳細に説明されるように、ラベルに関連付けられ得る。
【0013】
脳特徴活動マップデータベース144が構築されると、それは、新しい刺激を特徴づけるために使用され得る。特に、新しい刺激プロセッサ146を使用して、クライアントマシン102から新しい刺激を受信することができる。あるいは、新しい刺激プロセッサ146をクライアントマシン102に実装することができる。図3は、新しい刺激を受信する最初の操作ステップ300を示す。ステップ302で、新しい刺激特徴は投影された脳活動マップにマッピングされる。この操作ステップは、図2の脳特徴活動マップを生成する操作ステップ206と一致している。ステップ304で、投影された脳活動マップは、脳活動マップデータベース144と比較されて、一致を見つける。ステップ306で、新しい刺激は、一致に基づいて特徴付けられる。言い換えれば、一致に関連付けられたラベルは、新しい刺激に関連付けられる。
【0014】
脳特徴活動マップは、関数符号化アプローチを使用して、非特異的画像特徴を1つのパターンに、または一連の非特異的ビデオフレームを一連のパターンに関連付ける変換を使用する。測定は、解剖学的磁気共鳴画像法(MRI)、拡散MRI(dMRI)、ファンクショナルMRI(fMRI)、脳波(EEG)、脳磁図(MEG)、赤外線画像法、紫外線画像法、コンピュータ断層撮影法(CT)、脳マッピング超音波、生体内細胞データ、生体内分子データ、ゲノムデータ、および光学画像化の内の1つ以上により実行される。脳活動には、事前定義された脳領域の脳信号(fMRIからの太字信号、EEGからのERP信号など)が含まれる。
【0015】
脳特徴活動モデルは、解剖学的、接続性、および活動の分析を統合する。この方法において活動信号は、刺激の特徴に依存する領域的脳応答を抽出するために分析される。脳活動応答は、同じ領域間の接続性マトリックスを使用して相関が解除され、特徴間の変動性が高まる。
【0016】
一実施形態では、脳活動測定装置107からの画像が、事前定義された脳領域(次のセクションの定義を参照)における脳信号(fMRIからのBOLD信号、EEGからのERP信号など)の活動が、選択された認知層をどのように説明できるかを決定するために評価される。脳活動記録分析は、例えば、fMRIのBOLD信号が画像内の顔の存在をどのように説明できるかということでありうる。このようなアプローチ(fMRIを使用した符号化/復号化のGalantラボの出版物と類似)は、異なる認知層の脳全体の全体的表現を提供できる。次に、認知層に接続性関連マトリックスを乗じて、脳コネクトームと呼ばれる特徴固有の脳関連マトリックスを形成する。
【0017】
脳コネクトームは、機能的(静止状態fMRI)、構造的(拡散ベースの繊維追跡)、またはそれら2つの組み合わせのいずれかで計算され、そして組織の様々な微細構造推定値(例えば、流線の数、軸索直径の分布など)により重み付けされうる。
【0018】
刺激のそれぞれは、特徴および特徴セットへの分解を受ける。これらの特徴は、画像特徴のフーリエ変換など、逆格子空間の画像コンテンツを表す場合がある。イベント関連の測定値のセット全体は、一般線形モデルや領域の特徴固有の脳活動を表す他のアプローチなどの、モデリングを通じて分析される。
【0019】
脳特徴活動マップデータベースを使用して、リバースエンジニアリングアプローチにおいて、新しい刺激がその特徴空間に分解され、次いで(GLMまたは例を介して)モデル化されて、画像固有の脳応答領域コードが作成される。このシミュレーションまたはモデリングは、画像の知覚が脳活動測定装置を介して測定されたかのように、領域的脳応答を提供する。
【0020】
一実施形態では、脳内の多様なネットワークおよびサブネットワークの灰白質アーキテクチャ、白質アーキテクチャ、および動的機能が収集される。灰白質データは、正規化された領域の灰白質指数(「脳領域」)に変換される。分析された白質データは、重み付けされたニューロン接続(「脳コネクトーム」)に変換される。脳の特徴的および生理学的データは、脳領域を付加され、脳コネクトームに従って重み付けされる。これにより、脳活動の追加の重み付けされたマップが作成される。脳活動マップは、刺激固有の活動に従って各脳領域をラベル付けする(「活動ラベル」)。活動ラベルは、脳領域間の相互作用を考慮しながら(つまり、コネクトームに従って重み付けされる)、各脳領域内の脳活動の強度を表す連続的な数値インデックスである。
【0021】
脳領域は、脳灰白質の解剖学的データ(例えば、解剖学的磁気共鳴画像法(MRI)、拡散テンソル画像法(DTI)、および灰白質の他の生体内画像法技術)から計算され、セグメント化された脳アトラス上で平均化される。脳コネクトームは、脳の白質の解剖学的データ(例えば、解剖学的磁気共鳴画像法(MRI)、拡散テンソル画像法(DTI)、赤外線画像法、および脳の白質の他の生体内画像法技術)から計算される。白質指数は、脳組織の微細構造推定(例えば、平均拡散係数、異方性係数、半径方向拡散係数、軸索密度、軸索直径、軸索伝導速度など)に基づいており、その微小構造レベル上の脳コネクトームを特徴づけるために使用される。これらの特徴による脳コネクトームの特性評価は、脳領域間の生物学的重み付けを含むマトリックスを作成する。たとえば、2つの脳領域を接続する多数の軸索(脳組織の微細構造フィーチャ)は、ネットワーク内のこれら2つのハブ間の強力な接続性を示す(つまり、軸索の数が多いほど、接続はより強力になる)。白質の微細構造特性を明らかにするためにニューロ画像化技術を使用すると、脳ネットワークの基礎となる接続性を明らかにする脳コネクトームが得られる。
【0022】
活動ラベルは、脳の機能的および生理学的画像化(例えば、拡散テンソル画像化(DTI)、機能的MRI(fMRI)、脳波(EEG)、ならびに脳の他の生理学的および機能的生体内画像化技術)から計算され、各脳領域の刺激特異的活動を特定する。活動ラベルは、脳の機能的および生理学的画像化を行う中で刺激が生物に導入されたときに作成される。この段階では、生物は刺激を感知するときにラベリングタスクを完了する必要がある。刺激は、生物の感覚(例えば、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)によって知覚できる任意のデータでありうる。刺激を提示するプロセスは、その性質に従って刺激を送達するための装置(例えば、それぞれ、視覚、音声、触覚、嗅覚および味覚刺激のためのスクリーン、スピーカー、触覚刺激装置、臭気放出装置、および味覚送達装置を含む)を含む。刺激を送達する装置は、脳の機能的および生理学的画像化装置への刺激の送達を管理するためのソフトウェアを備えているか、または統合されている。このソフトウェアは、与えられた刺激の時間と順序を記録する役割も果たす。脳のマルチモデル画像化が完了し、脳の特徴の活動データが記録されると、生物はラベリングセッションを受ける。このセッションでは、刺激が再び生物に導入されるため、生物は刺激にラベルを付けることができる。完了すると、脳特徴活動マップとそのラベリングの生データが分析される。これは、特徴符号化アプローチを使用して、刺激特徴を脳活動のパターンまたはパターンのシーケンスに関連付ける変換を使用する。説明したように、脳の機能的および生理学的データは脳領域で拡張され、次に脳コネクトームに従って重み付けされて活動ラベルが作成される。活動ラベルの特異性を改善するために、脳活動マップは、脳活動マップに脳コネクトーム行列を乗ずることによって重み付けされる。
【0023】
上記のマルチモデリング脳画像技術のすべては、生きている脳の構造および機能の複雑な表現を形成するために使用される構成要素である。マルチモダリティの組み合わせにより、多層接続マトリックスが生成される。脳領域脳コネクトームと活動ラベルの組み合わせは、少なくとも2つの別個の方法で測定される。
【0024】
刺激内容は、感情的な内容、文脈、価値または覚醒などのハード分類(例えば、特定の物体、音、触覚、匂いなど)またはソフト分類(主観的、個人固有の分類)を表しうる。モデルは、分析されたニューロ画像化データを使用して、一般線形モデルや特定の分類にリンクされた他のアプローチなどのモデリングを通じて、一連の領域脳応答を提供する。本発明の一実施形態は、ビデオファイルまたは一連の画像から推定された一連の脳特徴活動マップに関する。ビデオは一連のフレームに分割され、各フレームはその特徴空間に分解されて、投影された脳活動マップが作成される。次に、脳の応答のダイナミクスを表すために、順次脳活動マップが作成される(たとえば、ビデオの知覚が連続的な脳活動測定装置を介して測定されたかのように、ビデオ固有の脳応答シーケンスを作成する)。投影された脳活動マップの作成中に、ラベリングシーケンシャル脳活動マップが与えられる。刺激とラベルが一緒に追加されて、順次脳特徴活動マップデータベース144を形成する。作成されると、画像またはビデオファイルの新しいシーケンスは、順次脳活動マップデータベースの一致または指定された一致の組み合わせに基づいて特徴付けられ得る。
【0025】
本発明の一実施形態は、内容物汚染スコア(CCS)に関する。CCSは、活動ラベルの累積強度を計算することにより、さまざまなコンテンツタイプの露出レベルを推定する測定可能なインデックスである。新しい刺激が提示されると、それは活動ラベルの投影脳活動マップに変換され、その内容に従ってラベル付けされる。CCSは、各コンテンツクラスに対する各刺激の各活動ラベルを保存することにより、有害なコンテンツへの推定曝露レベルとその潜在的な影響を追跡する方法である。例として、暴力的なコンテンツの特定の刺激セットに対する高いCCSランキングは、潜在的な視聴者の幸福に大きな悪影響を与える可能性がある。後者は、刺激セットを「職場では安全ではない」(NSFW)として、または視聴者をインパクトゾーン(IZ)としてラベル付けする場合がある。同様に、暴力的なコンテンツの特定の刺激セットに対するCCSランキングが低いことは、潜在的な視聴者の幸福への悪影響が少ないことを表しうる。後者は、刺激セットを「職場では安全」(SFW)としてラベル付けするか、視聴者をセーフゾーン(SZ)としてラベル付けしうる。
【0026】
本発明の一実施形態は、脳特徴活動マップおよびデータベースをモデル化するための強化学習フェーズ(「強化学習モデル」)に関する。強化された学習モデルでは、新しい刺激がその特徴空間に分解されて、投影脳活動マップが作成される(つまり、画像の知覚が脳活動測定装置を介して測定されたかのように、画像固有の脳応答が作成される)。投影脳活動マップの作成中に、脳特徴活動マップのラベル付けが与えられる(推定されない)。刺激ラベルは、既存の脳特徴活動マップデータベース144に追加されて、強化された脳特徴活動マップデータベースを作成する。強化学習フェーズの後、新しいラベルのない刺激は、一致または指定された一致の組み合わせに基づいて特徴付けられうる。
【0027】
本発明の一実施形態は、様々なコンピュータ実装操作を実行するためのコンピュータコードをその上に有する、コンピュータ可読記憶媒体を備えたコンピュータ記憶製品に関する。メディアおよびコンピュータコードは、本発明の目的のために特別に設計および構築されたものであり得るか、またはコンピュータソフトウェア技術の技術を有する人々に周知で利用可能な種類のものであり得る。コンピュータ可読媒体の例には、限定されないが、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気媒体。 CD-ROM、DVD、ホログラフィックデバイスなどの光メディア、光磁気媒体、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、プログラマブルロジックデバイス(「PLD」)、ROMおよびRAMデバイスなど、プログラムコードを格納および実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスを含む。コンピュータコードの例には、コンパイラによって生成されるようなマシンコード、およびインタプリタを使用してコンピュータによって実行される高レベルのコードを含むファイルが含まれる。例えば、本発明の実施形態は、JAVA(登録商標)、C ++、または他のオブジェクト指向プログラミング言語および開発ツールを使用して実装され得る。本発明の別の実施形態は、機械実行可能ソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、ハードワイヤード回路に実装され得る。
【0028】
本発明の一実施形態は、脳特徴活動マップのプロセスをシミュレートすることができるハードウェア回路に関する。ハードウェアは、少なくとも200の回路を同時に実行できるマルチコアハードウェアで構成されている。各回路は、デジタルシナプスマトリックスを介して装置内の他のすべての回路に物理的に接続されているが、2つの回路間の通信は、生物の脳コネクトームに従って行われる。刺激がハードウェア装置に提示されると、コンピュータプロセッサ媒体は、その所与の刺激の特徴を分解するために、コンピュータによって実装される様々な操作を実行する。次に、特徴は、異なるハードウェア回路にわたって脳特徴活動操作を実行するためのコンピュータコードをその上に有する、別のコンピュータ可読記憶媒体に変換される。
【0029】
説明の目的のため、上記の説明は本発明の完全な理解を提供するために特定の命名法を使用した。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要とされないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の上記説明は、例示および説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。明らかに、上記の教えを考慮すると、多くの修正やバリエーションが可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実際の用途を最もよく説明するために選択および説明され、それにより、当業者は、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて本発明および様々な実施形態を最もよく利用することができる。以下の特許請求の範囲およびそれらの同等物が本発明の範囲を定義することが意図されている。
図1
図2
図3