IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 白石工業株式会社の特許一覧

特許7382091炭酸カルシウムの製造方法、炭酸カルシウムおよび抄紙用填料
<>
  • 特許-炭酸カルシウムの製造方法、炭酸カルシウムおよび抄紙用填料 図1
  • 特許-炭酸カルシウムの製造方法、炭酸カルシウムおよび抄紙用填料 図2
  • 特許-炭酸カルシウムの製造方法、炭酸カルシウムおよび抄紙用填料 図3
  • 特許-炭酸カルシウムの製造方法、炭酸カルシウムおよび抄紙用填料 図4
  • 特許-炭酸カルシウムの製造方法、炭酸カルシウムおよび抄紙用填料 図5
  • 特許-炭酸カルシウムの製造方法、炭酸カルシウムおよび抄紙用填料 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】炭酸カルシウムの製造方法、炭酸カルシウムおよび抄紙用填料
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/18 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
C01F11/18 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022162355
(22)【出願日】2022-10-07
【審査請求日】2022-10-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598039965
【氏名又は名称】白石工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】阪口 裕允
(72)【発明者】
【氏名】大國 咲也夏
(72)【発明者】
【氏名】北 和昂
(72)【発明者】
【氏名】南里 泰徳
【審査官】玉井 一輝
(56)【参考文献】
【文献】特許第7089311(JP,B2)
【文献】国際公開第2007/078018(WO,A1)
【文献】特許第6970469(JP,B2)
【文献】特許第7104446(JP,B2)
【文献】特開2002-293537(JP,A)
【文献】特開2001-199720(JP,A)
【文献】国際公開第2007/078017(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 11/18
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
水酸化ナトリウム水溶液に炭酸ガスを含むガスを導入して、炭酸ナトリウム水溶液を得る、炭酸ガス吸収工程と、
酸化カルシウムと、0-6質量%未満の濃度の水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて、水酸化カルシウム水分散体を得る、水化工程と、
該水酸化カルシウム水分散体における水酸化カルシウムの濃度と水酸化ナトリウムの濃度とを調整する調整工程と、
該水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度が0.04-0.25モル/分以下となるように、該水酸化カルシウム水分散体に該炭酸ナトリウム水溶液を添加して炭酸カルシウムを得る、炭酸化工程と、
を含む、BET比表面積が2.0~15.0m/gであり、アラゴナイト系炭酸カルシウムの含有率が99質量%以上である炭酸カルシウムの製造方法であって、
該調整工程において、該水酸化カルシウム水分散体に固体の水酸化ナトリウムを添加して、該水酸化カルシウム水分散体における水酸化カルシウムの濃度が10質量%-23質量%、水酸化ナトリウムの濃度が4質量%以上になるように各々の濃度を調整する、製造方法。
【請求項2】
BET比表面積が2.0~15.0m/gであり、アラゴナイト系炭酸カルシウムの含有率が99質量%以上である、炭酸カルシウム。
【請求項3】
請求項に記載の炭酸カルシウムを含む、抄紙用填料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸ガス(二酸化炭素)を含む燃焼炉等の煙道排ガス等を利用して炭酸カルシウムを製造する方法に関する。さらに本発明は、炭酸カルシウムおよび炭酸カルシウムを用いた抄紙用填料に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸カルシウム(CaCO)は、各種工業製品の基材や填料として用いられるほか農業や食品の分野でも広く利用されている。工業的な炭酸カルシウムの合成方法として、石灰乳中に炭酸ガスを吹き込み炭酸化させる炭酸ガス化合法が知られている。炭酸ガス化合法にて使用する炭酸ガスとしては、炭酸カルシウム製造プラントに近接して設置されている石灰焼成炉の煙道排ガスが利用されることが多い。このほか、炭酸ガスの供給源として、ボイラーやごみ焼却炉等の排ガスも利用される。しかしながら、この場合、炭酸カルシウム製造プラントを焼成炉の近くに設置することができないことがあり、炭酸ガスの供給源となる施設から炭酸カルシウム製造プラントまで通じる煙道排ガス配管を敷設する必要が生じる。煙道排ガスを利用する場合も、炭酸ガスの供給量が一定ではない煙道排ガスの炭酸ガス濃度は通常均一ではなく、炭酸化を効率よく行うことができないという問題があった。さらに煙道排ガスの温度制御ができないため、生成する炭酸カルシウムの性状が煙道排ガス温度の影響を受けやすく、所望の形状の炭酸カルシウムを製造することができない、という問題もあった。一方、炭酸ガス化合法による炭酸カルシウムの合成反応では、炭酸ガスが一旦水に溶解する必要があるため、反応時間が長く、反応効率も高くない。炭酸ガスの吸収効率を高めるために低温で反応させることが多く、高温での反応には適していない。炭酸ガスのすべてが反応に使用されることはなく、使われなかった炭酸ガスは大気中に放出されるという問題もあった。
【0003】
一方、合成された炭酸カルシウムは、無機充填剤として、紙、ゴム、シーリング材料、プラスチック等に適用されている。炭酸カルシウムは、たとえば、紙に充填することで、紙の白色度や不透明度を向上させたり、ゴムに添加することで、ゴムの力学的強度や耐摩耗性を改善したりすることができる。また炭酸カルシウムをシーリング材料に添加することで、シーリング材料の粘度やチキソ性(チクソ性)を調整することができ、炭酸カルシウムをプラスチックに添加すると、プラスチックの力学的強度の向上や熱特性の調整を行うことができる。このように、炭酸カルシウムの各種用途に応じた所望の粒子径やBET比表面積、ならびに所望の結晶形を有するものを作り分ける試みが多数行われている。
【0004】
特許文献1には、苛性化反応により、充填材や顔料として有用なアラゴナイト結晶の炭酸カルシウムと、水酸化ナトリウム水溶液を同時に得る方法が開示されている。
特許文献2には、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)水溶液に炭酸ガスを吸収させて炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)とし、炭酸ソーダと石灰乳(水酸化カルシウム水分散体)とを反応させて、紡錘状形や柱状形の炭酸カルシウムを製造する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-199721号公報
【文献】特開2002-293537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、炭酸ナトリウム水溶液を得るために天然又は合成ソーダ灰を水に溶解させているため、排ガス等から排出された炭酸ガスを利用するという観点は教示されていない。特許文献1の実施例には、消石灰と1モル/リットル/水酸化ナトリウム水溶液を用い、生石灰濃度として10質量%になる割合で混合して石灰乳をつくり、炭酸ナトリウム源として炭酸ナトリウム水溶液(1.6モル/リットル)を用いて、添加速度0.02g[炭酸ナトリウム]/分/g[酸化カルシウム](0.01モル[炭酸ナトリウム]/分/モル[酸化カルシウム])、温度50℃、攪拌速度400rpmの条件で苛性化反応を行い、アラゴナイト結晶の針状炭酸カルシウムが認められたことが開示されている。
一方、特許文献2の炭酸カルシウムの製造方法には、苛性ソーダ水溶液(水酸化ナトリウム水溶液)に燃焼ガス等を吸収させる工程が含まれているが、この製造方法で得られる炭酸カルシウムの粒子の大きさや結晶形、形状と製造方法との関係は必ずしも明確ではない。
【0007】
そこで本発明は、大気中に排出されることになる排ガス等に含まれている炭酸ガスを効率的に利用しつつ、形態の制御された炭酸カルシウムを製造することを目的とする。具体的には、本発明は、アラゴナイト結晶形炭酸カルシウムを効率的に製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の工程:
水酸化ナトリウム水溶液に炭酸ガスを含むガスを導入して、炭酸ナトリウム水溶液を得る、炭酸ガス吸収工程と、
酸化カルシウムと、0-6質量%未満の濃度の水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて、水酸化カルシウム水分散体を得る、水化工程と、
該水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度が0.25モル/分以下となるように、該水酸化カルシウム水分散体に該炭酸ナトリウム水溶液を添加して炭酸カルシウムを得る、炭酸化工程と、
を含む、BET比表面積が2.0~15.0m/gであり、アラゴナイト系炭酸カルシウムを主成分として含む炭酸カルシウムの製造方法である。
【0009】
ここで該水化工程の後に、該水酸化カルシウム水分散体における水酸化カルシウムの濃度と水酸化ナトリウムの濃度とを調整する調整工程をさらに含むことが好ましい。
また、該調整工程において、該水酸化カルシウム水分散体における水酸化カルシウムの濃度が10質量%-23質量%、水酸化ナトリウムの濃度が4質量%以上になるように各々の濃度を調整することが好ましい。
該調整工程において、該水酸化カルシウム水分散体に固体の水酸化ナトリウムを添加することが好ましい。
該アラゴナイト系炭酸カルシウムの含有率が99質量%以上の炭酸カルシウムを製造することが好ましい。
【0010】
本発明は、BET比表面積が2.0~15.0m/gである、アラゴナイト系炭酸カルシウムを主成分として含む炭酸カルシウムである。
【0011】
さらに本発明は、上記の炭酸カルシウムを含む、抄紙用填料である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来の方法に比べて工程中の炭酸ナトリウム水溶液および水酸化ナトリウムを高濃度に調製すること、従来法に比べて高濃度の水酸化カルシウム水分散体を使用することにより、効率よく所望のアラゴナイト結晶形状の炭酸カルシウムを連続して得ることができる。また煙道排ガスおよび工程中の未反応の炭酸ガスを工程に戻して利用すること、および上記の反応液の高濃度化により、製造時に発生する炭酸ガスおよび水酸化ナトリウムを含むアルカリ性廃液放出量を抑制でき、環境への負荷を少なくすることができる。本発明の方法により得られる炭酸カルシウムは、シーラント、接着剤、インキおよび各種プラスチック材料への添加に用いられ、特に抄紙の用途に適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の製造方法を説明するフロー図である。
図2図2は、実施例1で得られた、アラゴナイト結晶形炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真(倍率:10000倍)である。
図3図3は、実施例2で得られた、アラゴナイト結晶形炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真(倍率:10000倍)である。
図4図4は、実施例3で得られた、アラゴナイト結晶形炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真(倍率:10000倍)である。
図5図5は、比較例1で得られた、アラゴナイト結晶形炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真(倍率:10000倍)である。
図6図6は、炭酸化工程における水酸化カルシウム水分散体への炭酸ナトリウム水溶液の添加時間と、生成する炭酸カルシウムのBET比表面積およびアラゴナイト結晶が占める割合(アラゴナイト含有率)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、さらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態にのみ限定されるものではない。
【0015】
本発明の一の実施形態は、以下の工程:
水酸化ナトリウム水溶液に炭酸ガスを含むガスを導入して、炭酸ナトリウム水溶液を得る、炭酸ガス吸収工程と、
酸化カルシウムと、0-6質量%未満の濃度の水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて、水酸化カルシウム水分散体を得る、水化工程と、
該水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度が0.25モル/分以下となるように、該水酸化カルシウム水分散体に該炭酸ナトリウム水溶液を添加して炭酸カルシウムを得る、炭酸化工程と、
を含む、BET比表面積が2.0~15.0m/gであり、アラゴナイト系炭酸カルシウムを主成分として含む炭酸カルシウムの製造方法である。
【0016】
一の実施形態において、炭酸カルシウムとは、組成式CaCOで表されるカルシウムの炭酸塩であり、貝殻、鶏卵の殻、石灰岩、白亜などの主成分である。炭酸カルシウムは、石灰石を粉砕、分級して得られる重質炭酸カルシウム(天然炭酸カルシウム)と化学反応により得られる軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)とに分類されるが、本実施形態で用いる炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウムである。したがって、本明細書にて単に炭酸カルシウムと云う場合、特に断らない限り軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)のことを意味するものとする。炭酸カルシウムには、カルサイト結晶(三方晶系菱面体晶)、アラゴナイト結晶(直方晶系)、バテライト結晶(六方晶)等の結晶形が存在し、一の実施形態では、特にアラゴナイト結晶形を有する炭酸カルシウム(本明細書では、「アラゴナイト系炭酸カルシウム」と称する。)を主成分として含む炭酸カルシウムを製造することができる。ここで、「アラゴナイト系炭酸カルシウムを主成分として含む炭酸カルシウム」とは、炭酸カルシウムの総質量を基準として、およそ98%以上、好ましくは99%以上の炭酸カルシウムがアラゴナイト系炭酸カルシウムであることを指す。一の実施形態においてアラゴナイト系炭酸カルシウムは、一次粒子のアスペクト比が約2以上であることが好ましい。本明細書でアスペクト比とは、炭酸カルシウムの一次粒子の縦横比のことであり、すなわち炭酸カルシウムの一次粒子の長径と短径との比のことを指す。炭酸カルシウムのアスペクト比は、電子顕微鏡にて測定することができる。具体的には、電子顕微鏡を用いた観察による画像解析にて算出することができる。一の実施形態で生成する炭酸カルシウムのアスペクト比は、2~10、好ましくは2.5~8である。
【0017】
一の実施形態は、炭酸ガス吸収工程と、水化工程と、炭酸化工程とを少なくとも含む炭酸カルシウムの製造方法である。炭酸ガス吸収工程は、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に炭酸ガス(二酸化炭素、CO)を吸収させ、炭酸ナトリウム(NaCO)水溶液を得る工程である。水酸化ナトリウムは一般に苛性ソーダとも呼ばれ、市販品を適宜利用することができる。水酸化ナトリウム水溶液は、水酸化ナトリウムを水に溶解して得られるほか、製紙工程で得られる水酸化ナトリウムを含む液体(いわゆる「白液」)を用いることもできる。
【0018】
一の実施形態において、水化工程は、酸化カルシウム(CaO)と、濃度が0-6質量%未満の水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて水酸化カルシウム(CaCO)水分散体である石灰乳を得る工程である。石灰乳とは水酸化カルシウムの水懸濁液(「水酸化カルシウム水分散体」あるいは「水酸化カルシウム水スラリー」と称することがある。)のことである。水化工程に用いる酸化カルシウムは、一般に生石灰とも呼ばれる、カルシウムの酸化物である。酸化カルシウムは市販のものを適宜利用することができる。本工程で酸化カルシウムと反応させる水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、0-6質量%未満である。本工程で得られる水酸化カルシウムは、一般に消石灰とも呼ばれる、カルシウムの水酸化物塩である。
水化工程と、上記の炭酸ガス吸収工程とは、並行して同時に行うことができ、炭酸ガス吸収工程に次いで水化工程、あるいは、水化工程に次いで炭酸ガス吸収工程、のように、続けて行うことも可能である。
【0019】
一の実施形態において、炭酸化工程は、水化工程で得られた水酸化カルシウム水分散体(以下、適宜「石灰乳」と称することがある。)と、炭酸ガス吸収工程で得られた炭酸ナトリウム水溶液とを反応させて、炭酸カルシウム(CaCO)を得る工程である。この工程は、一般に苛性化工程とも呼ばれる。この工程で、水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度が0.25モル/分以下となるように、水酸化カルシウム水分散体に該炭酸ナトリウム水溶液を添加することが好ましい。水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度が大きすぎると、アラゴナイト系炭酸カルシウムを得られなくなる。水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度を大きくすると、生成する炭酸カルシウムのアラゴナイト系炭酸カルシウム含有率が小さくなり、BET比表面積は大きくなる傾向にある。すなわち、水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度を大きくしてくことで、生成する炭酸カルシウムを微細化することができる。また水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は小さければ小さいほど好ましいが、工業的には0.005モル/分程度まで小さくすることが可能である。
【0020】
上記のように炭酸化工程において、水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度を調整し、一の実施形態にてアラゴナイト系炭酸カルシウムを主成分として含む炭酸カルシウムを製造するためには、水化工程の後に、水酸化カルシウム水分散体における水酸化カルシウムの濃度と水酸化ナトリウムの濃度とを調整する調整工程をさらに含むことが好ましい。特に、調整工程において、水酸化カルシウム水分散体における水酸化カルシウムの固形分濃度は10-23質量%に調整し、水酸化ナトリウムの濃度は4質量%以上となるように調整することが好ましい。特に、水化工程で得られた水酸化カルシウム水分散体の濃度の調整は、水酸化カルシウム水分散体に固体の水酸化ナトリウムを添加して濃度を調整することができる。このように水酸化カルシウム水分散体における水酸化カルシウムの固形分濃度を調整することで、炭酸化工程における水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度を調整しやすくすることができる。なお、上記の炭酸ガス吸収工程で得られた炭酸ナトリウム水溶液の濃度を溶解度以下、好ましくは10-20質量%程度に調整し、添加流量を調整することで、水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度を0.25モル/分以下とすることができる。
【0021】
好ましくは、上記の範囲に濃度を調整した水酸化カルシウム水分散体に炭酸ナトリウム水溶液を添加する際には、水酸化カルシウム水分散体に存在する水酸化カルシウムの量に対して、炭酸ナトリウム水溶液中に存在する炭酸ナトリウムの量がモル比で0.9-1.5となるように、炭酸ナトリウム水溶液を添加するのが好ましい。濃度を調整した水酸化カルシウム水分散体に、炭酸ガス吸収工程で得られ、必要に応じて濃度を調整した炭酸ナトリウム水溶液を添加して、温度40-80℃、あるいは45-65℃で反応させることが好ましい。炭酸化工程の反応温度が高すぎても、低すぎても、加熱や冷却に必要なエネルギー等に必要なコストが増大する。なお、炭酸化工程における反応温度を高くすると、得られるアラゴナイト系炭酸カルシウム(針状)の形状が太くなる傾向がある。炭酸化工程の反応は、反応液を撹拌して行うのが好ましい。好ましくは、水酸化カルシウム水分散体に炭酸ナトリウム水溶液を上記の速度で徐々に添加してこれらが完全に混合するまでの時間(完全混合時間)が3-25秒間、あるいは5-22秒間となるように撹拌機を調整することができる。反応容器を撹拌する手段として、従来から用いられているプロペラ撹拌機、パドル翼撹拌機、リボン撹拌機、タービン翼撹拌機、馬蹄翼撹拌機、糸巻翼撹拌機、ミキサー撹拌機、磁気撹拌機等を使用することができる。本工程の反応では、炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムが生じる。水溶性の水酸化ナトリウムは反応液中に溶解し、水溶性の低い炭酸カルシウムは固体として析出する。
【0022】
こうして、アラゴナイト系炭酸カルシウムの含有率が99質量%以上の炭酸カルシウムを製造することができる。アラゴナイト系炭酸カルシウムの含有率は、アラゴナイト系炭酸カルシウムの含有率が既知である炭酸カルシウム(複数)について粉末X線回折法(XRD法)によるピーク強度を測定し、検量線を作成することにより算出することができる。図1は、一の実施形態の製造方法のフローである。図1中、1は炭酸ガス吸収工程であり、2は水化工程であり、3は炭酸化工程である。
【0023】
また、一の実施形態で製造される炭酸カルシウムは、BET比表面積が2.0~15.0m/gであることが好ましい。BET比表面積は、日本産業規格JIS Z 8830「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」にしたがい測定することができる。
【0024】
一の実施形態により、BET比表面積が2.0~15.0m/gであり、アラゴナイト系炭酸カルシウムを主成分として含む、二の実施形態の炭酸カルシウムを製造することができる。
【0025】
なお、一の実施形態で製造される二の実施形態の炭酸カルシウムは、レーザー回折式粒子径測定装置で測定した個数基準による平均粒子径[D50]が5.0~12.0μmであることが好ましい。平均粒子径[D50]は、レーザー回折式粒子径測定装置で測定した個数基準により算出することができる。ここで平均粒子径[D50]は、炭酸カルシウムの一次粒子が凝集してできた高次粒子のサイズのことである。また、二の実施形態の炭酸カルシウムは、アラゴナイト系炭酸カルシウムの含有率が99質量%以上であることが好ましい。
【0026】
二の実施形態の炭酸カルシウムを、たとえばシーラント、接着剤、インキ、プラスチック組成物等の添加剤として利用する場合は、炭酸カルシウムの表面を処理し、表面処理炭酸カルシウムとして用いることもできる。本明細書にて表面処理炭酸カルシウムとは、炭酸カルシウムの表面を表面処理剤が覆う状態となっているか、あるいは、少なくとも炭酸カルシウムの表面に表面処理剤が付着した状態となっていることを指す。この際、炭酸カルシウムの単位BET比表面積あたりの表面処理剤による表面被覆率は、0.15-0.60[%/(m/g)]であることが好ましい。表面処理炭酸カルシウムの単位BET比表面積あたりの表面処理剤による表面被覆率(すなわち表面処理量)は、加熱後の重量減少(加熱減量)から測定することができ、たとえば、以下の方法で測定することができる:表面処理炭酸カルシウムを規定量秤量し、熱重量測定装置(TG)等を用いて室温から昇温し、200℃に達したときおよび500℃に達したときに、それぞれ重量を測定する。以下の式:

[数1]

加熱減量比[%]=[{(200℃の時の試料の重量[g])-(500℃の時の試料の重量[g])}/(200℃の時の試料の重量[g])]×100

により、表面処理炭酸カルシウムの加熱減量比を算出し、先に説明したBET比表面積で除すると、表面処理炭酸カルシウムの表面被覆率を求めることができる。
【0027】
炭酸カルシウムの表面処理は、たとえば、脂肪酸およびその誘導体、樹脂酸およびその誘導体、シリカ、有機ケイ素化合物、縮合リン酸および縮合リン酸塩からなる群より選択される物質を含む表面処理剤を用いて行うことができる。本実施形態では、脂肪酸の金属塩、特に脂肪酸ナトリウム塩または脂肪酸カリウム塩を含む表面処理剤を用いて表面処理されていることが特に好ましい。ここで脂肪酸としては、炭素数が6-24、好ましくは炭素数が10-20の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸を挙げることができる。このような脂肪酸として、たとえば、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸(ペンタデシル酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、エイコセン酸、およびエルカ酸が挙げられる。これらの脂肪酸およびその金属塩は、1つまたは2つ以上を組み合わせて用いることができる。表面処理炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムの単位BET比表面積あたりの表面処理剤による表面被覆率が、0.15-0.60[%/(m/g)]、好ましくは0.20-0.45[%/(m/g)]、さらに好ましくは0.25-0.40[%/(m/g)]となるように表面処理されていることが好ましい。
【0028】
なお、炭酸カルシウムの表面処理は、既知の方法で適宜行うことが可能であるが、たとえば、炭酸カルシウムと水とを含むスラリーに、上記の脂肪酸類の少なくとも1種を添加し、脱水、乾燥する方法(湿式法)により行うことができる。たとえば、脂肪酸のアルカリ金属塩で炭酸カルシウムを表面処理する具体的な方法としては、次のような方法が挙げられる。
【0029】
脂肪酸を水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ金属水溶液中で加熱しながら、脂肪酸アルカリ金属塩水溶液を得る。次に、炭酸カルシウムと水とのスラリーに、脂肪酸アルカリ金属塩水溶液を添加して、攪拌する。これにより、炭酸カルシウムの表面に脂肪酸アルカリ金属塩を付着させることができる
【0030】
なお、炭酸カルシウムと水とのスラリー中における炭酸カルシウムの固形分の含有量は、炭酸カルシウムの平均粒子径、炭酸カルシウムのスラリー中への分散性、スラリーの脱水の容易さ、等を考慮して適宜調整すればよい。一般的には、スラリーの固形分含有量を2~30質量%程度、好ましくは5~20質量%程度となるように調整することにより、適度な粘度のスラリーとすることができ、これにより炭酸カルシウムの表面処理を適切に行うことが可能となる。炭酸カルシウムの単位BET比表面積あたりの表面処理剤による表面被覆率が、0.15-0.60[%/(m/g)]となるように、炭酸カルシウム水スラリーの固形分含有量、脂肪酸アルカリ金属塩の濃度、撹拌時間、撹拌速度等を調整することができる。
【0031】
表面を脂肪酸アルカリ金属塩で処理した炭酸カルシウム水スラリーの脱水は、たとえば、フィルタープレス等の方法によって行うことができる。また、乾燥は、たとえば、箱型乾燥機等を用いて行えばよい。このように、三の実施形態の抄紙用填料としての使用のために、二の実施形態の炭酸カルシウムに必要に応じて表面処理を行うことができる。
【0032】
二の実施形態の炭酸カルシウムは、抄紙用填料として好ましく利用することができる。したがって三の実施形態は、上記の炭酸カルシウムを含む抄紙用填料である。二の実施形態の炭酸カルシウムを抄紙用填料として利用するには、上記のような表面処理は施さずに、そのまま用いることが好ましい。
【実施例
【0033】
以下に本発明の実施形態を具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
[実施例1]
(1)炭酸ガス吸収工程
濃度12.9質量%の水酸化ナトリウム水溶液に、30体積%の炭酸ガスを含有する二酸化炭素-空気混合ガスを、水溶液のpHが11.5になるまで導入した。濃度14.8質量%の炭酸ナトリウム水溶液644kgを得た。
(2)水化工程
水に酸化カルシウムを混合し、水化させて水酸化カルシウムの水分散体である石灰乳を得た。得られた水酸化カルシウムのBET比表面積を日本産業規格JIS Z 8830(ISO 9277:2010)にしたがい測定したところ、15.9m/gであった。水酸化カルスム水分散体(石灰乳)の濃度を調整して、固形分濃度15.0質量%、水酸化ナトリウム濃度6.4質量%の石灰乳を389kg得た。
(3)炭酸化工程
水化工程で得られた389kgの水酸化カルシウム水分散体(石灰乳)を、プロペラ撹拌機を備えた反応タンクに導入した。ここに炭酸ガス吸収工程で得られた炭酸ナトリウム水溶液630kgを120分間かけて添加し、反応液を撹拌した(水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は0.01モル/分)。この時、反応タンク内での完全混合時間が21秒間となるようにプロペラ撹拌機を作動させ、反応タンク内温度は50℃となるように調整した。得られた炭酸カルシウム水スラリーを濾過し、濾過ケーキを水で洗浄した後、105℃の恒温乾燥機で1時間乾燥した。炭酸カルシウム粉体を79kg得た。得られた炭酸カルシウムを電子顕微鏡にて観察したところ針状形状であるアラゴナイトであった。図2は、実施例1で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。この炭酸カルシウムのBET比表面積(JIS Z 8830にしたがい測定)は、4.6m/gであり、XRD法により測定したアラゴナイト含有率は100%であった。
【0035】
[実施例2]
実施例1の炭酸化工程において、水酸化カルシウム水分散体に炭酸ナトリウム水溶液630kgを30分間かけて添加したこと以外は実施例1を繰り返した(水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は0.04モル/分)。炭酸カルシウム粉体を79kg得た。得られた炭酸カルシウムを電子顕微鏡にて観察したところ針状形状であるアラゴナイトであった。図3は、実施例2で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。この炭酸カルシウムのBET比表面積(JIS Z 8830にしたがい測定)は、7.4m/gであり、XRD法により測定したアラゴナイト含有率は99.6%であった。
【0036】
[実施例3]
実施例1の炭酸化工程において、水酸化カルシウム水分散体に炭酸ナトリウム水溶液630kgを15分間かけて添加したこと以外は実施例1を繰り返した(水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は0.08モル/分)。炭酸カルシウム粉体を79kg得た。得られた炭酸カルシウムを電子顕微鏡にて観察したところ針状形状であるアラゴナイトであった。図4は、実施例3で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。この炭酸カルシウムのBET比表面積(JIS Z 8830にしたがい測定)は、7.9m/gであり、XRD法により測定したアラゴナイト含有率は99.4%であった。
【0037】
[実施例4]
実施例1の炭酸化工程において、水酸化カルシウム水分散体に炭酸ナトリウム水溶液630kgを10分間かけて添加したこと以外は実施例1を繰り返した(水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は0.12モル/分)。炭酸カルシウム粉体を79kg得た。得られた炭酸カルシウムを電子顕微鏡にて観察したところ針状形状であるアラゴナイトであった。この炭酸カルシウムのBET比表面積(JIS Z 8830にしたがい測定)は、3.9m/gであり、XRD法により測定したアラゴナイト含有率は100%であった。
【0038】
[実施例5]
実施例1の炭酸化工程において、水酸化カルシウム水分散体に炭酸ナトリウム水溶液630kgを5分間かけて添加したこと以外は実施例1を繰り返した(水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は0.24モル/分)。炭酸カルシウム粉体を79kg得た。得られた炭酸カルシウムを電子顕微鏡にて観察したところ針状形状であるアラゴナイトであった。この炭酸カルシウムのBET比表面積(JIS Z 8830にしたがい測定)は、5.0m/gであり、XRD法により測定したアラゴナイト含有率は100%であった。
【0039】
[実施例6]
実施例1において、水化工程で得られた水酸化カルシウム水分散体(石灰乳)の濃度を、固形分濃度15.0質量%、水酸化ナトリウム濃度4.0質量%に調整したこと以外は実施例1を繰り返した(水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は0.01モル/分)。炭酸カルシウム粉体を79kg得た。得られた炭酸カルシウムを電子顕微鏡にて観察したところ針状形状であるアラゴナイトであった。この炭酸カルシウムのBET比表面積(JIS Z 8830にしたがい測定)は、6.3m/gであり、XRD法により測定したアラゴナイト含有率は99.6%であった。
【0040】
[比較例1]
実施例1の炭酸化工程において、水酸化カルシウム水分散体に炭酸ナトリウム水溶液630kgを1/6分間(10秒間)かけて添加したこと以外は実施例1を繰り返した(水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は7.2モル/分)。炭酸カルシウム粉体を79kg得た。図5は、比較例1で得られた炭酸カルシウムの電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。得られた炭酸カルシウムを電子顕微鏡にて観察したところ針状形状であるアラゴナイトではなく、微細な形状を有する炭酸カルシウムが大半であった。この炭酸カルシウムのBET比表面積(JIS Z 8830にしたがい測定)は、10.7m/gであり、XRD法により測定したアラゴナイト含有率は40.8%であった。
【0041】
[比較例2]
実施例1において、水化工程で得られた水酸化カルシウム水分散体(石灰乳)の濃度を、固形分濃度15.0質量%、水酸化ナトリウム濃度3.3質量%に調整したこと以外は実施例1を繰り返した(水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は0.01モル/分)。得られた炭酸カルシウムを電子顕微鏡にて観察したところアラゴナイト系炭酸カルシウムが含まれていた。この炭酸カルシウムのBET比表面積(JIS Z 8830にしたがい測定)は、10.7m/gであり、XRD法により測定したアラゴナイト含有率は97.1%であった。
【0042】
[比較例3]
実施例1の水化工程において、水の代わりに6.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いたが、得られた水酸化カルシウム水分散体(石灰乳)の粘性が高く、次工程に進むことができなかった。
【0043】
図6は、炭酸化工程における水酸化カルシウム水分散体への炭酸ナトリウム水溶液の添加時間と、製造された炭酸カルシウムのBET比表面積ならびにアラゴナイト含有率との関係をグラフにしたものである。水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度は、小さいほどアラゴナイト含有率は向上し、およそ0.25モル/分を超える程度になるとアラゴナイト含有率が低下する。
【0044】
すなわち、炭酸化工程において、水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度が小さいと、アラゴナイト系炭酸カルシウムを製造しやすくなる。水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度を制御することで所望の結晶形を有する炭酸カルシウムを得ることができる。
【要約】      (修正有)
【課題】大気中に排出されることになる排ガス等に含まれている炭酸ガスを効率的に利用しつつ、アラゴナイト結晶形炭酸カルシウムを効率的に製造すること。
【解決手段】以下の工程:水酸化ナトリウム水溶液に炭酸ガスを含むガスを導入して、炭酸ナトリウム水溶液を得る、炭酸ガス吸収工程と、酸化カルシウムと、0-6質量%未満の濃度の水酸化ナトリウム水溶液とを反応させて、水酸化カルシウム水分散体を得る、水化工程と、該水酸化カルシウム水分散体中の水酸化カルシウム1モルに対する炭酸ナトリウムの添加速度が0.25モル/分以下となるように、該水酸化カルシウム水分散体に該炭酸ナトリウム水溶液を添加して炭酸カルシウムを得る、炭酸化工程と、を含む、BET比表面積が2.0~15.0m/gであり、アラゴナイト系炭酸カルシウムを主成分として含む炭酸カルシウムの製造方法を提供する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6