(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】EV充電器等に対応した受配電システム、受配電盤、及び、変圧器
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
H02J3/00
(21)【出願番号】P 2023147239
(22)【出願日】2023-09-11
【審査請求日】2023-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522095610
【氏名又は名称】株式会社力電
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】本家 正雄
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-052954(JP,A)
【文献】中国実用新案第211351263(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統(K)から受電する電力を消費可能な負荷(2)と、前記負荷(2)と系統(K)の間に接続された変圧器(3)を有した受配電システムであって、
前記負荷(2)は、2次側負荷(2a)と3次側負荷(2b)を含み、
前記変圧器(3)は、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器であり、
前記1次巻線は系統(K)に接続され、前記2次巻線は2次側負荷(2a)に接続され、前記3次巻線は3次側負荷(2b)に接続され、
前記2次巻線側の定格電圧と3次巻線側の定格電圧のそれぞれが、前記1次巻線側の定格電圧より低圧であり、
前記2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和が、前記1次巻線側の定格容量より大き
く、
前記変圧器(3)の2次巻線には、前記2次側負荷(2a)として電灯負荷(2a1)及び/又は動力負荷(2a2)が少なくとも接続され、
前記変圧器(3)の3次巻線には、前記3次側負荷(2b)として蓄電池を内蔵した乗り物用の充電器(2B)が少なくとも接続されていると共に、蓄電装置(4)及び/又は発電装置(5)も接続されていて、
前記系統(K)と変圧器(3)の間の系統側電路(6a)を遮断可能な系統遮断器(7a)と前記変圧器(3)と負荷(2)の間の負荷側電路(6b)を遮断可能な負荷遮断器(7b)が内部に設けられた盤筐体(8)と、前記変圧器(3)を備えた受配電盤(10)を有していることを特徴とする受配電システム。
【請求項2】
前記変圧器(3)は、前記充電器(2B)が少なくとも接続されている3次巻線側が、その定格容量を超えて所定時間だけ使用されることを特徴とする請求項
1に記載の受配電システム。
【請求項3】
盤筐体(8)と、前記盤筐体(8)外において系統(K)と当該系統(K)から受電する電力を消費可能な負荷(2)の間に接続された変圧器(3)を備えた受配電盤であって、
前記変圧器(3)は、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器であり、
前記1次巻線は系統(K)に接続され、前記2次巻線は2次側負荷(2a)に接続され、前記3次巻線は3次側負荷(2b)に接続され、
前記2次巻線側の定格電圧と3次巻線側の定格電圧のそれぞれが、前記1次巻線側の定格電圧より低圧であり、
前記2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和が、前記1次巻線側の定格容量より大き
く、
前記盤筐体(8)は、前記系統(K)と変圧器(3)の間の系統側電路(6a)を遮断可能な系統遮断器(7a)が内部に設けられた高圧盤筐体(8A)と、前記変圧器(3)と負荷(2)の間の負荷側電路(6b)を遮断可能な負荷遮断器(7b)が内部に設けられた低圧盤筐体(8B)を含み、
前記高圧盤筐体(8A)の重量と低圧盤筐体(8B)の重量を、前記変圧器(3)が支持していることを特徴とする受配電盤。
【請求項4】
前記高圧盤筐体(8A)の重量と低圧盤筐体(8B)の重量の変圧器(3)による支持として、
前記高圧盤筐体(8A)が、前記変圧器(3)に上方から取り付けられ、
前記低圧盤筐体(8B)が、前記高圧盤筐体(8A)に平面視一方から取り付けられ、
前記低圧盤筐体(8B)の下端が、前記変圧器(3)の下部まで延びていることを特徴とする請求項
3に記載の受配電盤。
【請求項5】
前記変圧器(3)における平面視一方に偏心した位置に、吊下具(3a)が設けられていることを特徴とする請求項
4に記載の受配電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷と系統との間に接続された変圧器を有した受配電システムや、受配電盤、及び、変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受配電システムの一例として、電力供給管理システムが知られている(特許文献1参照)。
この電力供給管理システムは、需要家の住宅にて使用され且つ消費電力が第1の値の第1電気負荷装置及び同需要家の住宅にて使用され且つ消費電力が前記第1の値と異なる第2の値の第2電気負荷装置、に電力供給系統から電力を供給するシステムであって、時間帯別の電力料金単価を設定する料金設定部、及び、前記設定された電力料金単価に関する情報を前記需要家に報知する報知部、を備えるシステムにおいて、前記料金設定部は、前記第1電気負荷装置に対する電力料金単価である第1電力料金単価と、前記第2電気負荷装置に対する電力料金単価である第2電力料金単価と、を互いに異なるように設定するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載された電力供給管理システムは、近年、地球温暖化防止や化石燃料への依存等に対する問題意識の高まりから排気ガスが出ない電気自動車が広く普及し始めているため、第2電気負荷装置が自動車駆動用の車載蓄電池を充電する際に使用される充放電装置となっており、電気自動車の走行により蓄電池の充電量が低下した際には、従来の自動車販売店や給油所などに設置された充電スタンド等にて、蓄電池を充電する必要がある。
ここで、この充電時間を実用的な数分~数十分などにするためには、所定の電力以上(100kW以上など)の電力供給を行う充電器(急速充電器など)が必要となる。
【0005】
しかしながら、この電力供給管理システムは、特許文献1の段落0020や0059等に記載されたように、変圧器の定格容量を超えないようにしながら電力供給系統から電力を供給しているため、当該変圧器の定格容量以上の充電器などの負荷を追加で使用したい等のニーズがある。
そのようなニーズに対応する際、従来は、別の受配電設備を設置する等をしなくてはならず、その設置費用などの余計なコストが生じる問題があった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑み、三巻線型の変圧器における2、3次巻線側の定格容量の和を、1次巻線側の定格容量より大きくする等で、「負荷追加のニーズ対応」や「コストの低減」などを実現し得る受配電システムや受配電盤、変圧器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る受配電システム1は、系統Kから受電する電力を消費可能な負荷2と、前記負荷2と系統Kの間に接続された変圧器3を有した受配電システムであって、前記負荷2は、2次側負荷2aと3次側負荷2bを含み、前記変圧器3は、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器であり、前記1次巻線は系統Kに接続され、前記2次巻線は2次側負荷2aに接続され、前記3次巻線は3次側負荷2bに接続され、前記2次巻線側の定格電圧と3次巻線側の定格電圧のそれぞれが、前記1次巻線側の定格電圧より低圧であり、前記2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和が、前記1次巻線側の定格容量より大きく、前記変圧器3の2次巻線には、前記2次側負荷2aとして電灯負荷2a1及び/又は動力負荷2a2が少なくとも接続され、前記変圧器3の3次巻線には、前記3次側負荷2bとして蓄電池を内蔵した乗り物用の充電器2Bが少なくとも接続されていると共に、蓄電装置4及び/又は発電装置5も接続されていて、前記系統Kと変圧器3の間の系統側電路6aを遮断可能な系統遮断器7aと前記変圧器3と負荷2の間の負荷側電路6bを遮断可能な負荷遮断器7bが内部に設けられた盤筐体8と、前記変圧器3を備えた受配電盤10を有していることを第1の特徴とする。
【0009】
本発明に係る受配電システム1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記変圧器3は、前記充電器2Bが少なくとも接続されている3次巻線側が、その定格容量を超えて所定時間だけ使用される点にある。
【0010】
本発明に係る受配電盤10は、盤筐体8と、前記盤筐体8外において系統Kと当該系統Kから受電する電力を消費可能な負荷2の間に接続された変圧器3を備えた受配電盤であって、前記変圧器3は、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器であり、前記1次巻線は系統Kに接続され、前記2次巻線は2次側負荷2aに接続され、前記3次巻線は3次側負荷2bに接続され、前記2次巻線側の定格電圧と3次巻線側の定格電圧のそれぞれが、前記1次巻線側の定格電圧より低圧であり、前記2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和が、前記1次巻線側の定格容量より大きく、前記盤筐体8は、前記系統Kと変圧器3の間の系統側電路6aを遮断可能な系統遮断器7aが内部に設けられた高圧盤筐体8Aと、前記変圧器3と負荷2の間の負荷側電路6bを遮断可能な負荷遮断器7bが内部に設けられた低圧盤筐体8Bを含み、前記高圧盤筐体8Aの重量と低圧盤筐体8Bの重量を、前記変圧器3が支持していることを第1の特徴とする。
【0012】
その他、受配電盤10は、盤筐体8と、前記盤筐体8外において系統Kと当該系統Kから受電する電力を消費可能な負荷2の間に接続された変圧器3を備えた受配電盤であって、前記盤筐体8は、前記系統Kと変圧器3の間の系統側電路6aを遮断可能な系統遮断器7aが内部に設けられた高圧盤筐体8Aと、前記変圧器3と負荷2の間の負荷側電路6bを遮断可能な負荷遮断器7bが内部に設けられた低圧盤筐体8Bを含み、前記高圧盤筐体8Aの重量と低圧盤筐体8Bの重量を、前記変圧器3が支持していても良い。
【0013】
本発明に係る受配電盤10の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記高圧盤筐体8Aの重量と低圧盤筐体8Bの重量の変圧器3による支持として、前記高圧盤筐体8Aが、前記変圧器3に上方から取り付けられ、前記低圧盤筐体8Bが、前記高圧盤筐体8Aに平面視一方から取り付けられ、前記低圧盤筐体8Bの下端が、前記変圧器3の下部まで延びている点にある。
【0014】
本発明に係る受配電盤10の第3の特徴は、上記第2の特徴に加えて、前記変圧器3における平面視一方に偏心した位置に、吊下具3aが設けられている点にある。
【0015】
その他、変圧器3は、系統Kと当該系統Kから受電する電力を消費可能な負荷2の間に接続される変圧器であって、当該変圧器は、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器であり、前記1次巻線は系統Kに接続され、前記2次巻線は2次側負荷2aに接続され、前記3次巻線は3次側負荷2bに接続され、前記2次巻線側の定格電圧と3次巻線側の定格電圧のそれぞれが、前記1次巻線側の定格電圧より低圧であり、前記2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和は、前記1次巻線側の定格容量より大きくても良い。
【0016】
その他、変圧器3は、当該変圧器は、前記2次巻線側と3次巻線側の一方が、当該一方の定格容量を超えて所定時間だけ使用されても良い。
【0017】
これらの特徴により、三巻線型の変圧器3において、1次巻線を系統Kに接続し、2次巻線を2次側負荷2aに接続し、3次巻線を3次側負荷2bに接続し、2次巻線側の定格電圧と3次巻線側の定格電圧のそれぞれを1次巻線側の定格電圧より低圧にし、2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和を、1次巻線側の定格容量より大きくすることによって、特許文献1とは異なり、充電器などの負荷を追加で使用したい等のニーズに対応が可能となり、そのようなニーズに対応しても、別の受配電設備を設置する等をせずとも良いため、設置費用などの余計なコストが不要となる(「負荷追加のニーズ対応」や「コストの低減」)。
【0018】
又、変圧器3の2次巻線に電灯負荷2a1や動力負荷2a2を接続し、3次巻線に電気自動車等の蓄電池を内蔵した乗り物用の充電器2Bや蓄電装置4、発電装置5を接続し、系統遮断器7aと負荷遮断器7bを内蔵した盤筐体8と、変圧器3を備えた受配電盤10を設けることによって、受配電盤10を介して、1次巻線側の系統Kと、2次巻線側の電灯負荷2a1や動力負荷2a2と、3次巻線側の充電器2Bや蓄電装置4、発電装置5との間の電流の流れを制御して、充電器などの負荷を追加で使用したい等のニーズに、より高度に柔軟に対応することが可能となる。
更に、三巻線型の変圧器3において、充電器2Bが接続されている3次巻線側、若しくは、2次巻線側と3次巻線側の一方が、その定格容量を超えて所定時間だけ使用されることによって、更に「負荷追加のニーズ対応」を実現できる。
【0019】
そして、系統遮断器7aを内蔵した高圧盤筐体8Aの重量と、負荷遮断器7bを内蔵した低圧盤筐体8Bの重量を、変圧器3で支持することによって、受配電システム1における受配電盤10の設置は、変圧器3さえ固定すれば可能となり、設置の容易化も図れる。
その他、高圧盤筐体8Aと低圧盤筐体8Bの変圧器3による支持として、高圧盤筐体8Aを変圧器3に上方側から取り付け、低圧盤筐体8Bを高圧盤筐体8Aに平面視一方から取り付け、低圧盤筐体8Bの下端を変圧器3の下部まで延ばすことによって、変圧器3の上に高圧盤筐体8Aが載っているだけ、設置面積(又は、平面視での専有面積)の低減(「省スペース化」)を図ることが出来、この「省スペース化」をしつつ、低圧盤筐体8Bを変圧器3下部まで垂下させた分だけ低圧盤筐体8Bの内容積(内部スペース)を確保できる。又、変圧器3における平面視一方に偏心した位置に吊下具3aを設けても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る受配電システムや受配電盤、変圧器によると、三巻線型の変圧器における2、3次巻線側の定格容量の和を、1次巻線側の定格容量より大きくする等で、「負荷追加のニーズ対応」や「コストの低減」などを実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る受配電システム、受配電盤、変圧器を例示する概要図である。
【
図2】受配電システム、受配電盤、変圧器を例示する回路図である。
【
図5】
図3の側面図で示された受配電盤における高圧盤筐体のA-A矢視断面図である。
【
図6】
図3の側面図で示された受配電盤における高圧盤筐体のB-B矢視断面図である。
【
図7】
図3の側面図で示された受配電盤における高圧盤筐体、低圧盤筐体、変圧器のC-C矢視断面図である。
【
図8】
図3の側面図で示された受配電盤における高圧盤筐体、低圧盤筐体のD-D矢視断面図である。
【
図9】受配電盤における変圧器の上面を示す平面図である。
【
図10】(a)は受配電盤における高圧盤筐体と低圧盤筐体の間の仕切板を示す正面図であり、(b)は受配電盤における低圧盤筐体内の負荷遮断器を示す正面図である。
【
図11】変圧器における負荷分担を示すグラフであって、(a)は2次巻線側と3次巻線側の負荷分担を示し、(b)は2次巻線側での単相3線と三相3線の負荷分担を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<受配電システム1の全体構成>
図1、2に示されたように、本発明に係る受配電システム1は、後述する負荷2と、後述し且つ本発明に係る変圧器3を有している。
受配電システム1は、少なくとも系統Kから変圧器3を経ての電力を負荷2が消費する。
受配電システム1は、後述する蓄電装置4及び/又は後述する発電装置5を有していたり、後述する系統側電路6aや負荷側電路6b、後述する系統遮断器7aや負荷遮断器7b、後述する高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8Bを有していたり、後述し且つ本発明に係る受配電盤10などを有していても良い。
その他、受配電システム1は、発電装置5が後述する太陽光発電装置5Aである場合、その太陽光発電変換部5Abの後述する制御装置20を有していても良い。
【0023】
受配電システム1が蓄電装置4及び/又は発電装置5を有している場合、負荷2は、系統Kから変圧器3を経ての電力、蓄電装置4からの電力及び/又は発電装置5からの電力を消費しても良い。
尚、本発明における「負荷2は、系統Kから変圧器3を経ての電力、蓄電装置4からの電力及び/又は発電装置5からの電力を消費する」とは、負荷2が、系統Kから変圧器3を経ての電力と、蓄電装置4からの電力と、発電装置5からの電力のうち、少なくとも1つを消費することを意味する。
【0024】
ここで、本発明における「系統Kから変圧器3を経ての電力」とは、系統Kから変圧器3を経ての電力(系統Kから受電した電力(受電力))R全てだけでなく、受電力Rの少なくとも一部との意味である。
又、本発明における「蓄電装置4からの電力」とは、蓄電装置4から出力(放電)される電力(蓄電力)T全てだけでなく、蓄電力Tの少なくとも一部との意味である。
尚、受配電システム1において、蓄電装置4が負荷2に接続された際に蓄電力Tが0(ゼロ)である場合には、接続された当該負荷2が消費するのは受電力Rのみとなるものの、蓄電装置4が当該負荷2に接続された時から既に蓄電力Tが0より大きい(他の所で蓄電装置4に幾らかの電力を充電した後に接続した)場合には、当該負荷2は少なくとも蓄電力Tを消費するとし、必要に応じて受電力Rも合わせて消費することとしても良い。
更に、本発明における「発電装置5からの電力」とは、発電装置5から出力される電力(発電力)H全てだけでなく、発電力Hの少なくとも一部との意味である。
尚、受配電システム1において、発電装置5の発電力Hが0(ゼロ)である場合には、負荷2が消費するのは、上述したような蓄電力Tと受電力Rのうち、少なくとも一方となるものの、発電装置5の発電力Hが0より大きい場合には、当該負荷2は少なくとも発電力H及び蓄電力Tを消費するとし、必要に応じて受電力Rも合わせて消費することとしても良い。
【0025】
ここで、本発明における容量、電力、電流、電圧は、定格範囲の値であっても良く、この場合、定格容量、定格電力、定格電流、定格電圧と言える。
これら定格容量等とは、電気製品を安全に使用するために製造者によって補償された電力等の限度値であるとも言え、更に、定格とは、機器や装置で、安全・適性な動作が保証される使用限度や条件であるとも言える。
又、本発明における電流が交流の場合、容量の値(容量値)、電力の値(電力値)、電流の値(電流値)、電圧の値(電圧値)は、実効値であっても良い。
尚、実際には、所定条件や所定時間内であれば、変圧器3がその定格容量を超える容量の電力にて使用(運転)されたり、変圧器3や系統側電路6a、負荷側電路6b等にその定格電流を超える電流が流れる等であっても良い。
【0026】
<負荷2、電灯負荷2a1、動力負荷2a2>
図1、2に示されたように、負荷2は、上述した系統Kから受電する受電力Rを、少なくとも消費する負荷(負荷設備)である。つまり、負荷2の消費電力(容量)の値は、受配電システム1が系統Kから受電する受電力Rの値より大きくても(負荷2の消費電力の一部だけを、受電力Rで賄っても)良い。
負荷2は、例えば、自動車販売店や給油所などであったり、レンタカー店舗(レンタカー屋)であったり、工場・作業所における後述の充電器2Bを含んでいたり、電気・電子機器などの電力を使用する機器設備(白熱電灯や蛍光灯、水銀灯(照明器具)などの一般の電灯負荷2a1や、エアコン、モータ、ポンプなど一般の動力負荷2a2等)を含んでいても良く、工場・作業所そのものを含んでいても良い。
又、負荷2は、会社等の法人・団体や個人、官公署・組合などの事務所、住宅、店舗、倉庫・車庫・駐車場・駐輪場、校舎・講堂・体育館、研究施設、病院・診療所、旅館・ホテル、劇場・映画館・競技場・野球場などにおける電気・電子機器などの電力を使用する機器や、会社などの事務所等そのものを含んでいても良く、これらが組み合わさったものを含んでも構わない。
このような負荷2は、後述する2次側負荷2aと、3次側負荷2bを含んでいる。
【0027】
<2次側負荷2a、3次側負荷2b、充電器2B>
図1、2に示されたように、2次側負荷2aは、後述する変圧器3の2次巻線に接続される負荷2であり、3次側負荷2bは、変圧器3の3次巻線に接続される負荷2である。
1つの受配電システム1において、2次側負荷2aや3次側負荷2bの個数も、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
2次側負荷2aには、上述した電灯負荷2a1や動力負荷2a2などが含まれても良く、3次側負荷2bには、後述する充電器2Bが含まれていても構わない。
尚、上述とは逆に、2次側負荷2aには、充電器2Bが含まれ、3次側負荷2bには、電灯負荷2a1や動力負荷2a2などが含まれても良く、その他、2次側負荷2aと3次側負荷2bの一方だけ、又は、両方に、電灯負荷2a1や動力負荷2a2、充電器2Bなどが含まれていても構わない。
以下では特に、充電器2Bについて詳解する。
【0028】
充電器2Bは、急速充電器や、普通充電器、超急速充電器など何れの構成でも構わない。尚、3次側負荷2bは、充電器2Bだけであったり、充電器2Bが含まれていなかったり、充電器2Bと充電器2B以外の負荷設備であっても良い。
ここで、本発明における「充電器2B」とは、電気自動車(EV)や、プラグインハイブリッド車などの他、電動二輪車などのバッテリ(蓄電池)を内蔵した乗り物の充電に用いる設置型の充電装置や充電施設であって、充電スタンドや、充電ステーション、充電スポット等とも言う。尚、充電器2Bは、乗り物以外に、バッテリ(蓄電池)を内蔵したスマートフォンや携帯電話などの通信機器や、携帯用PC(パーソナルコンピュータ)、電気製品などの充電に用いる充電装置や充電施設であっても良い。
充電器2Bから電気自動車などへの出力は、直流の電流であっても、交流の電流であっても良く、何れか一方のみ出力可能であったり、両方を出力可能であっても構わない。
一方、電気自動車などは、プラグ等を介して、直流の電流を入力したり、交流の電流を入力しても良く、何れか一方のみ入力可能であったり、両方入力可能であっても構わない。
尚、充電器2Bは、充電器2Bからの出力が直流の電流である場合は、急速充電を行い、充電器2Bからの出力が交流の電流である場合は、普通充電を行う構成であっても良い。
充電器2Bは、蓄電装置4からの電力や受電力Rなどを蓄電する蓄電部を有していたり、蓄電装置4からの電流を、交流から直流に又は直流から交流に変換する変換部(AC/DCコンバータや、DC/ACインバータ(DC/ACコンバータ)、DC/DCコンバータなど)を有していても良い。
【0029】
1つの受配電システム1において、充電器2Bの個数も、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
充電器2Bの容量は、30kWや50kWであったり、100kWや180kW(90kW×2)、200kW以上などであっても構わない。
充電器2Bの充電時間は、電気自動車などのバッテリの容量によるが、バッテリが満充電となるまで、急速充電器であれば、例えば、約10分や約20分、約30分、約40分などであったり、10分以上120分以下などであっても良く、普通充電器であれば、例えば、約5時間や約7時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約24時間であったり、2時間以上30時間以下などであっても良く、超急速充電器(例えば、蓄電部を有し、蓄電部に蓄電した電力を高電圧で出力する等)であれば、約3分や約5分、約10分などであったり、1分以上10分以下などであっても構わない。
尚、電気自動車などのバッテリの容量も、特に限定はないが、例えば、100kWhや180kWh(90kWh×2)であったり、50kWh以上2000kWh以下、好ましくは70kWh以上1500kWh以下、更に好ましくは90kWh以上1000kWh以下であっても良い。
【0030】
<変圧器3>
図1~4、9、11に示されたように、変圧器3は、上述した系統Kからの交流電流を、上述した負荷2に適した電圧の交流電流に変圧するものであり、所謂、トランスである。尚、トランスとは、トランスフォーマーの略である。
変圧器3は、負荷2と系統Kの間に接続されており、1次巻線と2次巻線と3次巻線を備えた三巻線型の変圧器である。
変圧器3は、1次巻線が、系統Kに接続されていて、2次巻線が、上述した2次側負荷2aに接続されていて、3次巻線が上述した3次側負荷2bに接続されている。
変圧器3は、後述する高圧盤筐体8Aの重量と、後述する低圧盤筐体8Bの重量を支持しているとも言え、又、後述する吊下具3aを有していても良い。
【0031】
変圧器3は、その1~3次巻線の各結線方式についても特に制限はないが、例えば、系統K側である1次巻線が星型結線(Y結線)で、2次側負荷2aである2次巻線が三角形結線(Δ結線)で(つまり、1次側・2次側の順でY-Δ結線)、3次側負荷2bである3次巻線が星型結線(Y結線)で(つまり、1次側・3次側の順でY-Y結線)あっても良く、その他、1次・2次の順で、Y-Y結線やΔ-Y結線、Δ-Δ結線であったり、1次・3次の順で、Y-Δ結線やΔ-Y結線、Δ-Δ結線であっても構わない。
尚、2次巻線の結線方式がΔ結線である場合、このΔ結線から、単相3線(1φ3W)と三相3線(3φ3W)の2つの出力が設けられていて、これら単相3線と三相3線を同時使用可能としても良く、その他、単相2線(1φ2W)の出力などが、1つだけ設けられていたり、上述した単相3線か三相3線の代わりに設けられたり、単相3線と三相3線に加えて合計3つが同時使用可能に設けられていても構わない。以下、2次巻線のΔ結線からは、主に、単相3線と三相3線を同時使用可能に設けられているとして述べる。
【0032】
変圧器3は、2次巻線側の定格電圧と3次巻線側の定格電圧のそれぞれ(あわせて、負荷2側の定格電圧)が、1次巻線側の定格電圧(系統K側の定格電圧)より低圧であり、謂わば、変圧器3は降圧変圧器であるとも言える。
系統K側である1次巻線側の定格電圧は、具体的な値は特に制限はないが、例えば、高圧の6000Vや6600Vや、特高の22000V等であったり、その他、210Vや200V、105V、100V等の低圧であっても良い。
2次側負荷2aである2次巻線側の定格電圧も、具体的な値は特に制限はないが、例えば、105V以上210V以下や、105V、210V、100Vなどであったり、70V以上260V以下、好ましくは80V以上240V以下、更に好ましくは90V以上220V以下であっても良い。
3次側負荷2bである3次巻線側の定格電圧も、具体的な値は特に制限はないが、例えば、242V以上420V以下や、242V、420V、440Vなどであったり、90V以上1000V以下、好ましくは100V以上800V以下、更に好ましくは150V以上600V以下であっても良い。
変圧器3において、2、3次巻線側である負荷2側の定格電圧と、1次巻線側である系統K側の定格電圧の差は、特に限定はないが、例えば、6180Vや、6358V、6390V、6495Vなどであったり、0Vより大きく22000V以下、好ましくは1000V以上6600V以下、更に好ましくは5000V以上6550V以下であっても良い。
【0033】
変圧器3は、2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和が、1次巻線側の定格容量より大きい。尚、変圧器3の各巻線側の定格容量の単位は、VA(ブイエー)となる。
系統K側である1次巻線側の定格容量は、具体的な値は特に制限はないが、例えば、200kVAなどであったり、5kVA以上2000kVA以下、好ましくは30kVA以上1500kVA以下、更に好ましくは50kVA以上1000kVA以下であっても良い。
2次側負荷2aである2次巻線側の定格容量も、具体的な値は特に制限はないが、例えば、100kVAなどであったり、2kVA以上1000kVA以下、好ましくは15kVA以上750kVA以下、更に好ましくは25kVA以上500kVA以下であっても良い。
3次側負荷2bである3次巻線側の定格容量も、具体的な値は特に制限はないが、例えば、200kVAなどであったり、5kVA以上2000kVA以下、好ましくは30kVA以上1500kVA以下、更に好ましくは50kVA以上1000kVA以下であっても良い。
尚、2次巻線側の定格容量と、3次巻線側の定格容量の大小関係は、特に限定はなく、3次巻線側の定格容量が、2次巻線側の定格容量より大きくとも良く、又、その逆や、略同じでも構わない。
又、2次巻線側の定格容量と、上述した2次側負荷2aの定格消費電力(定格容量)の大小関係も、特に限定はなく、2次巻線側の定格容量が、2次側負荷2aの定格消費電力より大きくとも良く、又、その逆や、略同じでも構わない。
更に、3次巻線側の定格容量と、上述した3次側負荷2bの定格消費電力(定格容量)の大小関係も、特に限定はなく、3次巻線側の定格容量が、3次側負荷2bの定格消費電力より大きくとも良く、又、その逆や、略同じでも構わない。
【0034】
ここまで述べたように、変圧器3は、2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和が、1次巻線側の定格容量より大きいため、2、3次巻線側で負荷分担を行っても良く、例えば、
図11(a)は、1次巻線側の定格容量が200kVAで、2次巻線側の定格容量が100kVAで、3次巻線側の定格容量が200kVAである変圧器3における2次巻線側と3次巻線側の負荷分担の関係を示すグラフである。
この
図11(a)を詳解すれば、変圧器3において、2次巻線側を定格容量と同じ100kVAで使用(詳しくは、単相3線を20kVAで、三相3線を80kVAで同時使用するなど、単相3線の使用容量と三相3線の使用容量の比が1:4となるように同時使用)した場合、3次巻線側は定格容量より小さい80kVAで使用されることとなる(
図11(a)中の点X参照)。尚、主に充電器2B等が接続される3次巻線側は、2次巻線側で使用される容量を問わず、最低でも80kVAの容量は確保されると言える。一方、3次巻線側を定格容量と同じ200kVAで使用した場合、2次巻線側は定格容量より圧倒的に小さい0kVAで使用(当然、単相3線と三相3線の何れも0kVAで使用)されることとなる(
図11(a)中の点Y参照)。その他、2次巻線側や3次巻線側は、それぞれの定格容量と同じ容量で使用していない(
図11(a)中の点Xでも点Yでもない)場合には、
図11(a)中の点Xと点Yを結んだ線分(線分XY)上にて示される負荷分担にて、それぞれが使用される。
ここで、上述では、2次巻線側の定格容量が100kVAで、3次巻線側の定格容量が200kVAであった場合だが、各定格容量がそれら以外の値であった場合も含めて言及すれば、2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の比が1:2の場合、具体的な各値は問わず、
図11(a)中の点Xにおいては、2次巻線側の容量と3次巻線側の定格容量の比が100:80であり、
図11(a)中の点Yにおいては、2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の比が0:100であっても良い。その他、2次巻線側と3次巻線側の負荷分担の関係は、2次巻線側と3次巻線側の一方が、その定格容量一杯まで所定時間だけ使用していれば、2次巻線側と3次巻線側の他方は、その定格容量を下回って前記所定時間だけ使用されても良く、更に、充電器2Bが少なくとも接続されている3次巻線側は、2次巻線側がその定格容量一杯まで所定時間だけ使用していても、最低でも0kVAより大きい容量(例えば、3次巻線側の定格容量の2割以上8割以下、好ましくは3割以上6割以下(4割など))は確保されるような負荷分担がされても構わない。尚、充電器2Bが少なくとも接続されている側が、逆に、2次巻線側であれば、上述の関係は逆となる。
又、2次巻線側における単相3線と三相3線も、負荷分担を行っても良く、例えば、
図11(b)は、2次巻線側全体としての定格容量が100kVAで、単相3線の電圧が105V以上210Vであって、同時使用可能な単相3線と三相3線の負荷分担の関係を示すグラフである。
この
図11(b)を詳解すれば、変圧器3の2次巻線側において、単相3線を60kVAで使用した場合、三相3線は0kVAで使用されることとなる(
図11(b)中の点x参照)。一方、三相3線を100kVAで使用した場合、単相3線は0kVAで使用されることとなる(
図11(b)中の点y参照)。尚、主に電灯負荷2a1や動力負荷2a2が接続される単相3線と三相3線においては、一方が2次巻線側の定格容量一杯(100kVA)を使用し、他方はその分0kVAとなることを許容していると言える。又、三相3線を80kVAで使用した場合、単相3線は20kVAで使用される(逆に言えば、単相3線を20kVAで使用すれば、三相3線は80kVAで使用される)こととなる(
図11(b)中の点z参照)。その他、単相3線や三相3線は、それぞれが2次巻線側の定格容量と同じ容量で使用していない(
図11(b)中の点xでも点yでもない)場合には、
図11(b)中の点xと点zを結んだ線分(線分xz)上や、点zと点yを結んだ線分(線分zy)上にて示される負荷分担にて、それぞれが使用される。
ここで、上述では、2次巻線側の定格容量が100kVAであった場合だが、その定格容量がそれ以外の値であった場合も含めて言及すれば、
図11(b)中の点xにおいては、単相3線の使用容量と三相3線の使用容量の比が60:0であり、
図11(b)中の点yにおいては、単相3線の使用容量と三相3線の使用容量の比が0:100であり、
図11(b)中の点zにおいては、単相3線の使用容量と三相3線の使用容量の比が20:80であっても良い。その他、単相3線と三相3線の負荷分担の関係は、動力負荷2a2が少なくとも接続される三相3線は、2次巻線側の定格容量一杯を使用可能にする一方で、電灯負荷2a1が少なくとも接続される単相3線は、三相3線の使用容量が0kVAであってm、2次巻線側の定格容量一杯を使用できないようにしていても良く、大まかには、三相3線の使用容量が、単相3線の使用容量より大き目になるような負荷分担がなされているとも言える。
【0035】
変圧器3の平面視形状は、略正方形状や略矩形状であっても(つまり、側面が4つあっても)良いが、これら4つの側面等に、放熱フィンが外方突出状に設けられていても良く、この放熱フィンの突出長さは、各側面とも略同じであったり、又、4つの側面中、1つの側面の突出長さが、他の3つの側面の突出長さより短かったり、1つの側面にだけ放熱フィンが設けられていなくとも構わない。この放熱フィンの突出長さが短い等の側面を、後述する低圧盤筐体8Bの後面に対して所定間隔を空けて対向させることによって、受配電盤10としてのコンパクト化が図れると共に、変圧器3と低圧盤筐体8Bの間に間隔(隙間)が確保し易くなり、変圧器3と低圧盤筐体8Bの間に溜まる錆やゴミ等を落とし易くなる。
又、変圧器3には、接地端子や混触防止板などが設けられていても良い。
更に、変圧器3は、油入式変圧器(自冷式や風冷式、水冷式など)であったり、乾式変圧器(自冷式や風冷式、水冷式など)であっても良い。以下は、変圧器3は、主に油入式変圧器であるとして述べる。尚、この場合、変圧器3の下部には排油弁が設けられていても良い。
【0036】
<変圧器3の2、3次巻線側の一方の所定時間の定格容量を超えた使用>
変圧器3としては、2次巻線側と3次巻線側の一方が、当該一方の定格容量を超えて所定時間だけ使用されても良い。
これは、上述したように、変圧器3が油入式変圧器であれば、定格容量を越えて使用されても、所定時間の間であれば、当該変圧器3内の油はすぐに温度は上がらないためであり、その他、変圧器3が水冷式などの場合であっても、当該水などの温度がすぐに上がらないことから、同様であるとも言える。
ここで、この場合の所定時間とは、特に限定はないが、例えば、1時間や30分であったり、1時間30分や2時間、4時間などであったり、10分以上6時間以下、好ましくは20分以上5時間以下などであっても良く、定格容量を越える割合も、特に限定はないが、例えば、125%や、120%、130%などであったり、100%より大きく140%以下、好ましくは110%以上135%以下であっても構わない。この場合の所定時間・定格容量を超える割合の具体的な値も、特に限定はないが、例えば、2次巻線側又は3次巻線側を、その定格容量が200kVA(100%)であれば、実際の容量としては125kVA(125%)で1時間運転(使用)しても良い。
【0037】
尚、2、3次巻線側の一方の所定時間の定格容量を超えた使用をする前には、定格容量以下で連続使用(連続運転)しておいても良く、この定格容量以下の割合も、特に限定はないが、例えば、80%や70%、90%などであったり、60%以上100%以下、好ましくは65%以上95%以下であったり、連続使用される時間も、特に限定はないが、例えば、24時間や、12時間、36時間などであったり、6時間以上48時間以下、好ましくは9時間以上42時間以下であっても構わない。
このような2、3次巻線側の一方の所定時間の定格容量を超えた使用が可能となることで、例えば、複数の充電器2Bを有した受配電システム1において、当該複数の充電器2Bが同時に使用される場合などにも対応が出来、使用者もより安心して、変圧器3や受配電システム1、受配電盤10を使用できると言える。
よって、受配電システム1においては、変圧器3は、充電器2Bが少なくとも接続されている3次巻線側が、その定格容量を超えて所定時間だけ使用されるものとしても良い。
【0038】
<変圧器3の上面(天板)3A>
ここまで述べた変圧器3の上面3Aの具体的な構成については、特に限定はないが、例えば、
図9に示したように、上面3Aは平面視で略矩形状であって、上述した1~3次巻線の端子が、上方突出状に設けられていても良く、1~3次巻線それぞれにおける端子の個数は、少なくとも3つ以上であり、例えば、1次巻線の端子は、高圧側の端子(高圧端子3H)であって、3つ(U端子、V端子、W端子)又は4つ(U端子、V端子、W端子と、巻線中点から引き出したO端子)である。
2次巻線の端子は、低圧側の端子(低圧端子3L、又は、3L1)であって、単相3線と三相3線がある場合は4つ(単相3線はu端子、巻線中点から引き出したo端子、v端子であり、三相3線はu端子、v端子、w端子であり、u端子とv端子は兼用され、u端子、v端子、w端子、o端子の合計4つ)、又は、単相3線のみがある場合は3つ(u端子、o端子、v端子)で、三相3線のみがある場合は3つ(u端子、v端子、w端子)である。
3次巻線の端子も、低圧側の端子(低圧端子3L、又は、3L2)であって、3つ(a端子、b端子、c端子)又は4つ(a端子、b端子、c端子と、巻線中点から引き出したn端子)である。
【0039】
これらの1~3次巻線の端子の配置についても、特に限定はないが、例えば、変圧器3が高圧盤筐体8Aの重量と低圧盤筐体8Bの重量を支持している場合(特に、高圧盤筐体8Aが変圧器3に上方から取り付けられ、低圧盤筐体8Bが高圧盤筐体8Aに平面視一方から取り付けられ、低圧盤筐体8Bの下端が変圧器3の下部まで延びている場合)であれば、上面3Aにおける平面視一方側の辺(例えば、前側の辺)に略沿って、2次巻線の端子と3次巻線の端子が一列に並んで配置されていても良く、これら平面視一方側の端子は、負荷側(低圧側)の端子であるとも言える。
又、上面3Aにおける平面視一方側とは反対側の平面視他方側の辺(例えば、後側の辺)に略沿って、1次巻線の端子が一列に並んで配置されていても良く、これら平面視他方側の端子は、負荷側(高圧側)の端子であるとも言える。
その他、上面3Aには、油面温度計などが設けられていても良い。
【0040】
<吊下具3aなど>
図3に示したように、吊下具3aは、変圧器3そのもの、又は、受配電盤10全体をクレーン等にて吊り下げて運搬や積載、設置などの際に、ワイヤーロープの先についているクレーンフック自体や、玉掛用のワイヤー、リングなどを引っかける部分である。
吊下具3aの具体的な構成は、特に限定はないが、例えば、フック状であったり、環状などであっても良い。
吊下具3aが設けられた位置は、少なくとも変圧器3における平面視一方に偏心した位置であっても良く、この偏心距離は、片持ちされた後述の低圧盤筐体8Bの重量などに応じて、吊り下げられた際、受配電盤10全体が略水平となるような距離であると言える。
【0041】
吊下具3aは、1つの変圧器3に対して、2つ以上設けられていても良く、例えば、上述した上面3Aにおける平面視一方側及び平面視他方側の辺(前側の辺と後側の辺)以外の残り2つの辺(左側の辺と右側の辺)の近傍に、左右一対に設けられていても良く、その他、1つだけ設けられ(つまり、上述した上面3Aの平面視略中央付近など)ても構わない。
又、吊下具3aは、変圧器3における平面視一方に偏心した位置以外に設けられても良く、例えば、平面視一方に偏心していない位置(前後方向略中央位置など)にも設けられていても構わず、この偏心していない位置の吊下具の
図3中の符号は、3a’とする。
ここまで述べた変圧器3は、その重量が、後述する盤筐体8の重量(高圧盤筐体8Aの重量と低圧盤筐体8Bの重量の和)より重くても良く、変圧器3の重量の具体的な値は、特に限定はないが、例えば、1000kg以上2000kg以下、好ましくは1300kg以上1800kg以下、更に好ましくは1400kg以上1700kg以下(1550kgなど)であっても構わない。
【0042】
<蓄電装置4>
図1、2に示されたように、蓄電装置4は、上述した系統Kから変圧器3を経ての電力や、後述する発電装置5からの電力(発電力)Hなどを蓄電する装置である。
蓄電装置4は、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池などの蓄電池(バッテリ)であったり、発電装置5からの発電力H等を用いた水の電気分解等により生成した水素を貯蔵し、必要なときに燃料電池等にて電力を取り出す他、フライホール等にて運動エネルギーとしての蓄電(貯蔵)や、揚水にて位置エネルギーとしての蓄電(貯蔵)、キャパシタ等にてそのまま電気エネルギーとしての蓄電(貯蔵)などをする装置であっても構わない。
蓄電装置4は、後述する負荷側電路6b(3次負荷側電路6b2)を介して、上述した変圧器3の3次巻線や、3次側負荷2bに接続されていて、この蓄電装置4からの蓄電力Tは、負荷側電路6bを介して、3次側負荷2bに消費されたり、更に、変圧器3を介して、2次側負荷2aに消費されても良い。
【0043】
1つの受配電システム1において、蓄電装置4の個数は、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
蓄電装置4の畜電力Tも、特に限定はないが、例えば、50kWや100kWであったり、200kW(100kW×2)であったり、30kW以上2000kW以下、好ましくは50kW以上1500kW以下、更に好ましくは70kW以上1000kW以下であっても良い。
蓄電装置4の畜電力量(容量)Tも、特に限定はないが、例えば、100kWhや200kWhであったり、390kWh(195kWh×2)であったり、50kWh以上2000kWh以下、好ましくは100kWh以上1500kWh以下、更に好ましくは200kWh以上1000kWh以下であっても良い。
尚、蓄電装置4の蓄電力Tは、上述した3次側負荷2b等の消費電力より大きくとも良い。又、蓄電装置4は、自立運転機能を有していても良い。
【0044】
<蓄電変換部4a>
図1に示されたように、上述した蓄電装置4への蓄電や、蓄電装置4からの放電は、直流の電流にて行われるため、蓄電装置4と3次側負荷2bとの間には、3次負荷側電路6b2からの交流電流を直流電流に変換したり、蓄電装置4からの直流電流を3次負荷側電路6b2への交流電流に変換する蓄電変換部4aが接続されていても良い。
蓄電変換部4aは、3次負荷側電路6b2からの交流電流を直流電流に変換するコンバータと、蓄電装置4からの直流電流を交流電流に変換するインバータを備えていても良く、その他、これらのコンバータやインバータが変換する交流の電圧や周波数を制御する制御機や、気中遮断機(ACB)等を備えていても構わない。蓄電変換部4aの制御機で、蓄電装置4としての自立運転を制御しても良い。
尚、蓄電変換部4aは、パワコン(パワーコンディショナーの略)とも呼ばれる。
【0045】
1つの受配電システム1において、蓄電変換部4aの個数も、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良く、上述した蓄電装置4の個数と同じであっても構わない。
蓄電変換部4aの変換できる蓄電変換電力(容量)T’も、特に限定はないが、例えば、50kWや100kWであったり、200kW(100kW×2)であったり、30kW以上2000kW以下、好ましくは100kW以上1500kW以下、更に好ましくは200kW以上1000kW以下であっても良い。
尚、蓄電変換部4aの蓄電変換電力T’は、上述した蓄電装置4の蓄電力Tより小さくとも良く、その他、上述した3次側負荷2b等の消費電力より大きくとも構わない。
その他、蓄電装置4は、蓄電池補器4’として、変圧器3の2次巻線に、2次負荷側電路6bを介して接続されていても良い。
【0046】
<発電装置5>
図1、2に示されたように、発電装置5は、発電するのであれば、何れの構成でも良く、発電装置5は、上述した後述する負荷側電路6b(3次負荷側電路6b2)を介して、上述した変圧器3の3次巻線や、3次側負荷2bに接続されていて、この発電装置5からの発電力Hは、負荷側電路6bを介して、3次側負荷2bに消費されたり、更に、変圧器3を介して、2次側負荷2aに消費されても良い。
発電装置5は、例えば、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、太陽熱発電、大気中の熱その他の自然界に存する熱による発電、バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの)による発電などを行うものであっても良い。
この他、発電装置5は、海洋温度差や波力、潮流(海流)、潮汐による発電を行うものであっても良い。
【0047】
1つの受配電システム1において、発電装置5の個数は、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良い。
発電装置5の発電力(容量)Hも、特に限定はないが、例えば、50kWや100kWであったり、100kW以上200kW以下や、200kW以上400kW以下(100kW以上200kW以下×2)であったり、30kW以上2000kW以下、好ましくは100kW以上1500kW以下、更に好ましくは200kW以上1000kW以下であっても良い。
尚、発電装置5の発電力Hは、上述した3次側負荷2b等の消費電力と略同じであったり、より大きくとも良い。
以下は、特に、太陽光発電を行う太陽光発電装置5Aについて述べる。
【0048】
<太陽光発電装置5A>
図1に示されたように、太陽光発電装置5Aは、太陽電池5Aaと、この太陽電池5Aaからの直流電流を交流電流に変換する太陽光発電変換部5Abを備えている。
この他、太陽光発電装置5Aは、日射強度を測定する日射計や、太陽光発電変換部5Abや送電部を収容する配電盤や、この配電盤内の空調を行うエアコン、太陽電池5Aaや接続箱等からの直流電流を集めて太陽光発電変換部5Abへ送る集電部などを有していても良い。
太陽光発電装置5Aにおける太陽電池5Aaは複数であっても良く、これら複数の太陽電池5Aaが直列に繋がって太陽電池ストリングを形成していても良い。
太陽光発電装置5Aにおいて、複数の太陽電池ストリングが並列に接続された接続箱を有していても良く、このような接続箱は複数であっても構わない。
【0049】
<太陽電池5Aa>
図1に示されたように、太陽電池5Aaそれぞれは、光が照射されることによって、正極(+極)と負極(-極)の間に直流電力を発生し、発生する電力は、100W以上300W以下(例えば、250Wなど)である。
太陽電池5Aaは、通常パネル状であり、その設置する際の角度(水平方向から太陽電池5Aaのパネルまでの角度、以下、設置角度)θによって、発電量が異なる(例えば、設置角度θ=30°のときの発電量を100%とすれば、θ=20°で約99%、θ=10°で約95%、θ=0°で約90%)。
又、複数ある太陽電池5Aaのうち、ある太陽電池5Aaの+極に別の太陽電池5Aaの-極を接続し、別の太陽電池5Aaの+極にまた別の太陽電池5Aaの-極を接続し、以下、これを繰り返して、複数(例えば、5枚以上20枚以下)の太陽電池5Aaを直列に接続して、1本の太陽電池ストリングとなる。
【0050】
このように、複数の太陽電池5Aaが直列に繋がった太陽電池ストリング全体としての+極(電力出力端)と、-極(グランド端)の間の電圧は、各太陽電池5Aaで発生された直流電圧の和であって、天候、時刻などで変動するが、200V以上1000V以下となる。
太陽電池ストリングの電力出力端から出力される電力は、各太陽電池5Aaの電力の和であって、500W以上6000W以下(例えば、出力電力が250Wの太陽電池5Aaを14枚接続した場合、3500W=3.5kW)となる。
上述した複数(例えば、5本以上15本以下)の太陽電池ストリングが、1個の接続箱へ並列に接続されている。
従って、それぞれの太陽電池ストリングの電力出力端(+極)とグランド端(-極)の間の電圧は、同一となり、上述したように、約0.5kW以上6kW以下である。
但し、1個の接続箱に対して、複数の太陽電池ストリングの電流が流れ込むため、接続箱に集まる電力は、2.5kW以上90kW以下(例えば、接続箱に、出力電力が3.5kWの太陽電池ストリングを、6本接続していれば21kW、12本接続していれば42kW)である。
よって、複数の接続箱を持つ太陽光発電装置5Aであれば、その太陽光発電力HAは、上述したように、50kWや100kWであったり、100kW以上200kW以下や、200kW以上400kW以下(100kW以上200kW以下×2)であったり、30kW以上2000kW以下、好ましくは100kW以上1500kW以下、更に好ましくは200kW以上1000kW以下となると言える。
【0051】
<太陽光発電変換部5Ab>
図1に示されたように、上述した太陽電池5Aaからの出力は、直流の電流にて行われるため、太陽電池5Aaと大電力電路4との間には、太陽電池5Aaからの直流電流を大電力電路4への交流電流に変換する太陽光発電変換部5Abが接続されていても良い。
太陽光発電変換部5Abは、太陽電池5Aaからの直流電流を交流電流に変換するインバータ等を備えていても良く、その他、このインバータが変換する交流の電圧や周波数を制御する制御機や、気中遮断機(ACB)等を備えていても構わない。
尚、太陽光発電変換部5Abも、パワコン(パワーコンディショナーの略)とも呼ばれる。
【0052】
1つの受配電システム1において、太陽光発電変換部5Abの個数も、特に限定はないが、例えば、1つであったり、複数であっても良く、1つの太陽光発電装置5Aに1つずつ存在しても構わない。
太陽光発電変換部5Abの変換できる発電変換電力(太陽光発電変換電力、容量)H’も、特に限定はないが、例えば、10kWや30kWであったり、50kWや、62.5kW、100kW(50kW×2)、125kW(62.5kW×2)であったり、5kW以上1000kW以下、好ましくは10kW以上750kW以下、更に好ましくは20kW以上500kW以下であっても良い。
尚、太陽光発電変換部5Abの発電変換電力H’も、上述した3次側負荷2b等の消費電力と略同じであったり、より大きくとも良い。
更に、太陽光発電変換部5Abの発電変換電力H’は、上述した太陽光発電装置5Aとしての太陽光発電力HAより小さく(換言すれば、太陽光発電力HAが、発電変換電力H’より大きく)とも良く、この場合、太陽電池5Aaは、太陽光発電変換部5Abに対して過積載であるとも言え、過積載であれば、太陽光発電装置5Aからの電力で、3次側負荷2b等の消費電力をほぼ供給でき易くなるとも言える。
【0053】
<系統側電路6a、負荷側電路6bなど>
図1~4、7に示されたように、系統側電路6aは、系統Kと、上述した変圧器3の間を接続する電路である。
又、負荷側電路6bは、上述した変圧器3と、上述した負荷2の間を接続する電路であって、詳解すれば、変圧器3と、上述した2次側負荷2aの間を接続する電路が、2次負荷側電路6b1であり、変圧器3と、上述した3次側負荷2bの間を接続する電路が、3次負荷側電路6b2である。
尚、本発明における「電路」とは、電気を流すものであって、銅、アルミニウム、銀、金、ニクロム等の導体や、この導体を絶縁物で覆ったケーブル、一般的な電線などを含む。
【0054】
各電路6a、6b1、6b2における電圧は、上述した変圧器3の1~3次巻線側における電圧と同じであると言え、詳しくは、系統側電路6aの電圧は、変圧器3の1次巻線側の電圧(謂わば、系統Kの電圧)であり、2次負荷側電路6b1の電圧は、変圧器3の2次巻線側の電圧であり、3次負荷側電路6b2の電圧は、変圧器3の3次巻線側の電圧となる。
系統側電路6aや、各負荷側電路6b1、6b2で導通される電流は、三相3線(3φ3W)で60Hz又は50Hz等の交流であったり、その他、単相3線(1φ3W)や、単相2線(1φ2W)等の交流であっても良い。
【0055】
<系統遮断器7a、負荷遮断器7bなどの各遮断器>
図1~5、7、10(b)に示されたように、受配電システム1や受配電盤10は、後述する系統遮断器7aや負荷遮断器7bを有していたり、その他、蓄電遮断器7cや蓄電補器遮断器7c’、発電遮断器7dを有していても構わない。
系統遮断器7aは、上述した系統側電路6aを遮断可能な遮断器であり、負荷遮断器7bは、上述した負荷側電路6bを遮断可能な遮断器であって、負荷側電路6bについて詳解すれば、上述した2次負荷側電路6b1を遮断可能な遮断器が、2次負荷遮断器7b1であり、上述した3次負荷側電路6b2を遮断可能な遮断器が、3次負荷遮断器7b2である。
尚、2次負荷遮断器7b1について更に詳解すれば、2次負荷側電路6b1のうち、特に、変圧器3の2次巻線と電灯負荷2a1の間を接続する電路(電灯負荷側電路(一般電灯負荷側電路)6b11)を遮断可能な遮断器が、電灯負荷遮断器(一般電灯負荷遮断器)7b11であり、変圧器3の2次巻線と動力負荷2a2の間を接続する電路(動力負荷側電路(一般動力負荷側電路)6b12)を遮断可能な遮断器が、動力負荷遮断器(一般動力負荷遮断器)7b12である。
又、蓄電遮断器7cは、上述した3次負荷側電路6b2と蓄電装置4の間の電路を遮断可能な遮断器であり、発電遮断器7dは、上述した3次負荷側電路6b2と発電装置5の間の電路を遮断可能な遮断器である。
その他、変圧器3の2次巻線に、充電器2Bや蓄電池補器4’が接続されている場合には、変圧器3の2次巻線と充電器2Bの間を接続する電路(2次負荷側電路6b1)を遮断可能な遮断器は、やはり2次負荷遮断器7b1であると言え、変圧器3の2次巻線と蓄電池補器4’の間の電路を遮断可能な遮断器が、蓄電補器遮断器7c’である。
【0056】
これらの遮断器のうち、系統遮断器7aは、真空遮断器(VCB、Vacuum Circuit Breaker)であっても良く、3次負荷遮断器7b2や、蓄電遮断器7c、発電遮断器7dは、漏電遮断器(ELCB、Earth Leakage Circuit Breaker、特に、母線プラグインブレーカ(BPM、Bus Plug in Mccb(Molded Case Circuit Break))であっても良く、その他、電灯負荷遮断器7b11や動力負荷遮断器7b12を含む2次負荷遮断器7b1や、蓄電補器遮断器7c’は、配線用遮断器(MCCB、Molded Case Circuit Break 、特に、母線プラグインブレーカ)であっても良い。
これら遮断器の定格容量も、特に限定はないが、例えば、6kWや20kW、50kW、100kW、111kW、180kW、250kWであったり、1kW以上1000kW以下、好ましくは10kW以上600kW以下、更に好ましくは40kW以上400kW以下であっても良い。
詳解すれば、3次負荷遮断器7b2は、他の遮断器より最も定格容量が大きくても(250kWや、180kWなど)良く、発電遮断器7dが、その次に定格容量が大きくても(111kWなど)良く、蓄電遮断器7cが、更にその次に定格容量が大きくても(100kWなど)良く、その他、2次負荷遮断器7b1と動力負荷遮断器7b12は、略同じ定格容量(50kWなど)であって、動力負荷遮断器7b12が、更に小さい定格容量(20kWなど)で、蓄電補器遮断器7c’が、最も小さい定格容量(6kWなど)であっても構わない。
1つの各遮断器を介して、複数の負荷2や、複数の蓄電装置4、複数の発電装置5等が、3次負荷側電路6b2や2次負荷側電路6b1に接続されていても良く、又、1つの各遮断器を介して、1つの負荷2や、1つの蓄電装置4、1つの発電装置5等が、3次負荷側電路6b2や2次負荷側電路6b1に接続されていても構わない。
【0057】
<盤筐体8>
図1~8に示されたように、盤筐体8は、後述する受配電盤10の機器を内蔵する筐体であって、1つの受配電システム1において、1つだけ存在しても良いし、複数存在しても構わない。
盤筐体8の具体的な構成は、特に限定はないが、例えば、後述する高圧盤筐体8Aと、後述する低圧盤筐体8Bを含んでいても良い。
尚、盤筐体8は、高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8B以外の盤の筐体を含んでいても良く、例えば、後述する制御装置20や通信装置などを内蔵したコントロールボックスやキュービクル等の機器筐体などを含んでも構わない。
又、盤筐体8の重量(高圧盤筐体8Aの重量と低圧盤筐体8Bの重量の和)は、上述した変圧器3の重量より軽くても良く、盤筐体8の重量の具体的な値は、特に限定はないが、例えば、100kg以上500kg以下、好ましくは150kg以上450kg以下、更に好ましくは200kg以上400kg以下(300kgなど)であっても構わない。
【0058】
<高圧盤筐体8A、低圧盤筐体8B>
図1~8、10に示されたように、高圧盤筐体8Aは、上述した盤筐体8に含まれると共に、上述した系統遮断器7aが内部に設けられた盤筐体である。
又、低圧盤筐体8Bは、上述した盤筐体8に含まれると共に、上述した負荷遮断器7bが内部に設けられた盤筐体である。
尚、これらの盤筐体8A、8Bの重量は、上述した変圧器3に支持されていても良く、このような支持として、高圧盤筐体8Aが、上述した変圧器3に上方から取り付けられ、低圧盤筐体8Bが、高圧盤筐体8Aに平面視一方(例えば、前方から)から取り付けられ、低圧盤筐体8Bの下端が、変圧器3の下部まで延びていても構わない。
ここで、「低圧盤筐体8Bの下端が、変圧器3の下部まで延びている」とは、低圧盤筐体8Bの下端が、変圧器3の下端の近傍(変圧器3の下端より上方で且つ変圧器3の上下方向長さにおける下から1/4(4分の1)以上1/3(3分の1)以下の部分の範囲内に入る)まで延びていることや、低圧盤筐体8Bの下端が、変圧器3の下端と略同じ高さであることを含むものの、低圧盤筐体8Bの下端が、変圧器3の下端より下方まで延びていることは含まない。又、低圧盤筐体8Bの下端が、変圧器3の下端と略同じ高さであっても、低圧盤筐体8Bは、設置面に対しては設置されておらず、変圧器3だけが設置面に対して設置されていても良く、逆に、低圧盤筐体8Bも、設置面に対して設置されていても構わない。
【0059】
高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8Bは、その各具体的な構成に、特に限定はないが、例えば、それぞれが、全体として略直方体状や、立方体状等に形成されていても良く、キュービクルとも呼ばれる。尚、高圧盤筐体8Aと低圧盤筐体8Bは、その上面(天板)が後傾していても良い。
以下、高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8Bは、それぞれ主に略直方体状であるとして述べる。
高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8Bは、それぞれ開閉自在な扉(2枚の観音開きの扉、1枚の横開きの扉など)8Aa、8Baを1つ又は複数有していても良く、特に、低圧盤筐体8Bにおいて扉8Baが設けられた側を、低圧盤筐体8B(だけでなく受配電盤10としても)前側としても良く、又、高圧盤筐体8Aにおいて扉8Aaが設けられた側を、高圧盤筐体8A(だけでなく受配電盤10としても)後側としても構わない。尚、高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8Bにおける扉は、8Aa、8Baは、それぞれを掃き出し窓状にしても良い。
その他、高圧盤筐体8Aと低圧盤筐体8Bの間は、仕切板8sで仕切られていても良く(
図3、10(a)参照)。又、高圧盤筐体8Aの前後長さは、変圧器3の前後長さより長いため、高圧盤筐体8Aの後部8Abは、変圧器3より後方突出状となっていても良い(
図3参照)。更に、低圧盤筐体8Bの上端部には、前方突出した庇部8Bbが設けられていても良い(
図3参照)。
【0060】
各盤筐体8A、8Bの大きさは、特に限定はないが、高圧盤筐体8Aであれば、例えば、左右長さ(幅)が990mmで、前後長さ(奥行)が950mmで、前面側における上下長さ(高さ)が1070mmで、後面側における上下長さが1040mmであったり、左右長さが700mm以上1600mm以下、好ましくは800mm以上1400mm以下、更に好ましくは900mm以上1200mm以下であったり、前後長さが650mm以上1550mm以下、好ましくは750mm以上1350mm以下、更に好ましくは850mm以上1150mm以下であったり、前面側や後面側における上下長さが800mm以上1700mm以下、好ましくは900mm以上1500mm以下、更に好ましくは1000mm以上1300mm以下であっても良い。
低圧盤筐体8Bの大きさについては、例えば、左右長さ(幅)が990mmで、庇部8Bbを除く前後長さ(奥行)が350mm(庇部8Bbを含めると、480mm)で、前面側における上下長さ(高さ)が1860mmで、後面側における上下長さが1850mmであったり、左右長さが700mm以上1600mm以下、好ましくは800mm以上1400mm以下、更に好ましくは900mm以上1200mm以下であったり、庇部8Bbを除く前後長さが200mm以上650mm以下、好ましくは250mm以上550mm以下、更に好ましくは300mm以上450mm以下(庇部8Bbを含めると、350mm以上800mm以下、好ましくは400mm以上700mm以下、更に好ましくは450mm以上600mm以下)であったり、前面側や後面側における上下長さが1550mm以上2450mm以下、好ましくは1650mm以上2250mm以下、更に好ましくは1750mm以上2050mm以下であっても良い。
【0061】
高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8Bは、その外部から内部へ空気を吸入する吸気口8’や、その内部から外部へ排出する排気口8”を有していても良い。
これら吸気口8’や排気口8”の位置は、特に限定はないが、例えば、吸気口8’は、高圧盤筐体8Aにおける後方突出状の後部8Abの下面や、低圧盤筐体8Bの後面(変圧器3との隙間に開口するように)設けられても良く、又、排気口8”は、低圧盤筐体8Bにおける庇部8Bbの下面に設けられていても構わず、これらの箇所に吸気口8’や排気口8”を設けることで、各盤筐体8A、8Bの側面にガラリ等を設ける場合より目立つことがなく、見栄えが向上すると言える。その他、一般的に、吸気口8’は、高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8Bの下部に設けられ、排気口8”は、高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8B(変圧器3より上方)に設けられていても良い。
ここで、高圧盤筐体8Aと低圧盤筐体8Bの間の仕切板8sにも、空気が通る開口部(謂わば、通気口)が設けられても良いが、この通気口は、高圧盤筐体8Aの内部の空気が、その外部である低圧盤筐体8Bの内部へ通るため、高圧盤筐体8Aにとっては排気口8”であると言え、低圧盤筐体8Bにとっては吸気口8’であると言える。
その他、低圧盤筐体8B内には、2次負荷側電路6b1や3次負荷側電路6b2に対して、母線プラグインブレーカである2次負荷遮断器7b1や3次負荷遮断器7b2を差し込む差込部8Bcを有していても良く(
図3、4、7参照)、特に、この差込部8Bcに差し込んだ状態の母線プラグインブレーカの2次負荷遮断器7b1を、
図10(b)に示す。尚、2次負荷遮断器7b1や3次負荷遮断器7b2は、この差込部8Bcに差し込まれているだけでなく、高圧盤筐体8A内(低圧盤筐体8Bからすれば、言わば、裏側)に配設されていても良く、この裏側に配設された2次負荷遮断器7b1や3次負荷遮断器7b2は、母線プラグインブレーカでなくとも構わない。
又、高圧盤筐体8Aにおける後方突出状の後部8Abの下面には、系統側電路6aである高圧ケーブルの挿通孔が設けられても良く、その結果、高圧ケーブルは、高圧盤筐体8Aの後部8Abの下面から下方に垂下することとなり、系統側電路6a(高圧ケーブル)を配設しても、受配電盤10の前後長さに支障はない。
更に、低圧盤筐体8Bの下面にも、負荷側電路6bである低圧ケーブルの挿通孔が設けられても良く、その結果、低圧ケーブルは、低圧盤筐体8Bの下面から下方に垂下することとなり、負荷側電路6b(低圧ケーブル)を配設しても、受配電盤10の前後長さに支障はない。
【0062】
<受配電盤10>
図1~8に示されたように、本発明に係る受配電盤10は、上述した盤筐体8と、上述した変圧器3を備えた盤である。
よって、受配電盤10の重量は、上述した変圧器3の重量と、上述した盤筐体8の重量(高圧盤筐体8Aの重量と低圧盤筐体8Bの重量の和)を足した値となり、その具体的な値は、特に限定はないが、例えば、1100kg以上2500kg以下、好ましくは1450kg以上2250kg以下、更に好ましくは1600kg以上2100kg以下(1850kgなど)であっても構わない。
このような受配電盤10は、盤筐体8(高圧盤筐体8Aと低圧盤筐体8B)の内部に、上述した系統側電路6a(の一部)と系統遮断器7a、及び、上述した負荷側電路6b(の一部)と負荷遮断器7bを有しており、その他、蓄電遮断器7cや蓄電補器遮断器7c’、発電遮断器7dを有していても良い。
又、受配電盤10は、1つの受配電システム1において、1つだけ存在しても良いし、複数存在しても構わない。
【0063】
尚、受配電盤10は、高圧盤筐体8Aの内部における系統側電路6aに、限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器(LBS、Load Break Switch、)10aや、零相電圧検出器(ZPD、Zero-Phase Potential Device)10b、電力ヒューズ(PF、Power Fuse)10c、計器用変圧器(VT、Voltage Transformer)10d、サーキットプロテクタ(CP、Circuit Protector)10e、同期検定器10f、計器用変流器(CT、Current Transformer)10g、デジタルマルチメータ(逆電力継電器(RPR、Reverse Power Relay)や、地絡過電圧継電器(OVGR、Over Voltage Ground Relay)の機能を有したもの)10h、単巻変圧器10j、無停電電源装置(UPS、Uninterruptible Power Supply)10kが設けられていても良い。
又、受配電盤10は、低圧盤筐体8Bの内部における負荷側電路6b(厳密には、2次負荷側電路6b1と3次負荷側電路6b2のそれぞれ)においては、計器用変流器10n(一部は、クランプ型変流器10n’)、ヒューズ(F、Fuse)10p、電圧計10q、電圧計切替開閉器(VS、Voltage change over Switch)10r、電流計10s、電流計切換開閉器(AS、Ammeter change over Switch)10t、電力計(例えば、電圧計10qの出力と各計器用変流器10nの出力に基づいて、負荷2(充電器2B)の電力と、蓄電装置4の電力(蓄電力T)と、発電装置5の電力(発電力H)を測定する各電力計など)10uが設けられていても良い。
更に、受配電盤10は、変圧器3からB種接地(EB)や、断路端子10vと抵抗10xを介してのD種接地(ED)がされていても良い。
【0064】
<制御装置20>
図2に示されたように、制御装置20は、上述した受配電盤10における盤筐体8内のデジタルマルチメータ10hに接続され、デジタルマルチメータ10hからの出力(停止信号など)や、電力計(各電力計)uからの出力に基づき、上述した太陽光発電変換部5Abの変換を停止させる等の制御をする装置であって、1つの装置で構成されていても良いが、スマートロガー20aと、所定のプログラムを実行するシーケンサやコンピュータ等の制御部20bで構成されていても良い。
1つの受配電システム1において、制御装置20の個数は、1つ又は複数であっても良い。
制御装置20は、上述した盤筐体8の内部に設けられているが、盤筐体8(高圧盤筐体8Aや低圧盤筐体8B)の外部に設けられても良い。
制御装置20(スマートロガー20aと制御部20b)の電源は、上述した無停電電源装置10kに接続されて、当該無停電電源装置10kから入力される(スマートロガー20aは、無停電電源装置10kからACアダプター20cを介して電源を入力されていても良い)。又、制御装置20の監視・設定変更・操作等は、使用者が直接触れて行っても良いが、インターネットや電話回線等の通信装置を介して遠隔で行っても構わない。尚、スマートロガー20aは、ACアダプター20cを介さずに、電源を入力されていても良い。
その他、制御装置20は、系統K、負荷2、受配電盤10、蓄電装置4及び発電装置5の間の電流の流れも制御しても良い。
【0065】
<盤筐体8と系統Kの間の機器30a~30e>
図2に示されたように、受配電システム1は、盤筐体8外の系統側電路6aにおいて、盤筐体8と系統Kの間に、取引用変成器(Voltage and Current Transformer、VCT)30aや、買電用電力量計30b、売電用電力量計30cを有していたり、電柱取付にて、柱上気中開閉器(Pole Air Switches、PAS)30dや、柱上気中開閉器30dに付属する保護継電器装置(Storage Over Current Ground、SOG)30eなどを有していても良い。
尚、
図2中の取引用変成器30aにおけるKは、系統K側を示し、Lは、負荷(Load)側を示す。
又、各電力量計30b、30cは、乙種電気用品であっても良く、柱上気中開閉器30dは、別途、計器用変圧器(VT)や、零相電圧検出器(ZPD)、避雷器(Lighting Arrester、LA)を内蔵していても構わない。
これらの取引用変成器30a、買電用電力量計30b、売電用電力量計30c、柱上気中開閉器30d、保護継電器装置30eは、後述する系統K側(電力会社側)のシステムが有していることとしても良い。
【0066】
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。受配電システム1や受配電盤10、変圧器3等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
受配電システム1は、蓄電装置4や発電装置5を有していなくとも良く、この場合、受配電システム1は、まず蓄電装置4や発電装置5なしで設置され、その後、蓄電装置4や発電装置5を後付けしても構わない。
受配電システム1は、充電器2Bが少なくとも接続されている3次巻線側が、その定格容量を超えて所定時間だけ使用されなくとも良く、又、変圧器3は、2次巻線側と3次巻線側の一方が、当該一方の定格容量を超えて所定時間だけ使用されなくとも構わない。
その他、受配電システム1は、充電器2Bが少なくとも接続されている3次巻線側が、その定格容量を超えて所定時間だけ使用されている際には、充電器2Bが少なくとも接続されていない2次巻線側が、その定格容量を下回って前記所定時間だけ使用されても良く、又、変圧器3は、2次巻線側と3次巻線側の一方が、当該一方の定格容量を超えて所定時間だけ使用されている際には、2次巻線側と3次巻線側の他方が、当該他方の定格容量を下回って前記所定時間だけ使用されても良い。尚、充電器2Bが少なくとも接続されている側が、逆に、2次巻線側であれば、上述の関係は逆となる。
高圧盤筐体8Aの重量と低圧盤筐体8Bの重量の変圧器3による支持として、高圧盤筐体8Aと低圧盤筐体8Bの配置が、上述と逆であっても良い。
変圧器3は、吊下具3aを有していなくとも良い。
【0067】
変圧器3の2次巻線側の定格容量と3次巻線側の定格容量の和は、負荷2全体の消費電力(容量)より大きくても良く、又、その逆や、略同じでも構わない。
蓄電装置4の蓄電力Tは、負荷2の消費電力より小さくても良い。
蓄電変換部4aの蓄電変換電力T’は、蓄電装置4の蓄電力Tと略同じであったり、より大きくても良く、その他、負荷2の消費電力と略同じであったり、より小さくても構わない。
発電装置5の発電力Hは、負荷2の消費電力より小さくても良い。
太陽光発電変換部5Abの発電変換電力H’は、太陽光発電装置5Aの太陽光発電力HAと略同じであったり、より大きくても良く、その他、負荷2の消費電力と略同じであったり、より小さくても構わない。
受配電システム1や受配電盤10は、変圧器3と負荷側電路6bの間に、変圧器3からの交流電流を負荷側電路6bへの直流電流に変換したり、負荷側電路6bからの直流電流を変圧器3への交流電流に変換する変換部が接続される等によって、負荷側電路6bに直流の電流を導通させても良く、この場合、充電器2Bなどの負荷2中の変換部や、蓄電装置4中の蓄電変換部4a、発電装置5中の太陽光発電変換部5Ab等を有していなくとも構わない。
遮断器のうち、3次負荷遮断器7b2や、蓄電遮断器7c、発電遮断器7dも、配線用遮断器であっても良い。又、その他の電灯負荷遮断器7b11や動力負荷遮断器7b12を含む2次負荷遮断器7b1や、蓄電補器遮断器7c’が、漏電遮断器であっても良い。
受配電システム1や受配電盤10は、蓄電遮断器7cや蓄電補器遮断器7c’、発電遮断器7dを有していなくとも良い。
受配電システム1や受配電盤10は、電灯負荷遮断器7b11や動力負荷遮断器7b12を含む2次負荷遮断器7b1、3次負荷遮断器7b2や、蓄電遮断器7c、蓄電補器遮断器7c’、発電遮断器7d等の遮断器を有してはいるものの、それらの一部を使用していなくとも(謂わば、予備の遮断器を有していても)良い。
受配電システム1や受配電盤10は、制御装置20や、取引用変成器30a、買電用電力量計30b、売電用電力量計30c、柱上気中開閉器30d、保護継電器装置30eを有していなくとも良い。
その他、受配電システム1は、盤筐体8外の系統側電路6aにおいて、盤筐体8と系統Kの間に、上述した機器30a~30eの代わりに、別の遮断器や断路器、計器用変流器、電力ヒューズ、計器用変圧器、サーキットプロテクタ、電圧計、電圧計切替開閉器、デジタルマルチメータ(過電流継電器(OCR、Over Current Relay)や、不足電圧継電器(UVR、Under Voltage Relay)の機能を有したもの)などが、受配電盤10(盤筐体8)とは別の盤の内部に設けられていても良く、この別の盤の内部には、励磁突入電流抑制回路や、上述した太陽光発電変換部5Ab、当該太陽光発電変換部5Abと太陽電池5Aaの間の電路を遮断可能な遮断器なども設けられていても構わない。又、上述した別の遮断器などは、必ずしも、上述した別の盤の内部に設けられていなくとも良く、上述した別の遮断器などは、盤筐体8の内部に設けられていたり、何れの盤の内部にも設けられていなくとも構わない。尚、上述した励磁突入電流抑制回路は、盤筐体8の内部に設けられていても良く、この場合、励磁突入電流抑制回路は、盤筐体8の内部であれば、何れの箇所に設けられていても構わないが、例えば、上述した限流ヒューズ付高圧交流負荷開閉器10aの代わりに設けられていても良い。
ここまで述べた受配電システム1や受配電盤10、変圧器3に関わる系統Kについて、以下に詳解する。
【0068】
<系統K>
図1、2に示されたように、系統Kは、受配電システム1や受配電盤10、変圧器3に送電する(受電させる)ものであって、電力会社などが電気を消費者に供給するためのシステム全体のことを言い、電力系統Kとも言える。系統Kは、具体的には、変電所・送電線・配電線などの設備を備え、発電所が含まれる場合もある。又、系統Kは、上述した取引用変成器30a、買電用電力量計30b、売電用電力量計30c、柱上気中開閉器30d、保護継電器装置30eを有していても良い。
このような系統Kで扱われる電力は、交流、直流の何れでも良いが、以下は、交流であるとして述べる。
系統Kでは、送電される電力の多くが交流であるため、送電線で三相3線(3φ3W)式により送電され、その送電の際の送電ロスを減らすため、基幹的な長距離送電の区間は出来るだけ高電圧(例えば、6600Vや22000Vなど)で送電される。
系統Kで送電される電力は、消費地に近い場所で何段かに分けて電圧が変圧(降圧)され、柱上変圧器等以降は単相2線(1φ2W)などでの配電も行なわれる。
系統Kは、電力会社などの系統(商用電力系統)であったり、企業・自治体などの組織が独自に有するシステムやプラント内部の系統(独立電力系統)であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
受配電システム、受配電盤、及び、変圧器は、負荷が充電器だけでなく、その他何れの負荷設備に対しても利用でき、又、何れの電力契約や引込態様であっても使用でき、屋外・屋内を問わず利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 受配電システム
2 負荷
2a 2次側負荷
2b 3次側負荷
3 変圧器
3a 吊下具
4 蓄電装置
5 発電装置
6a 系統側電路
6b 負荷側電路
7a 系統遮断器
7b 負荷遮断器
8 盤筐体
8A 高圧盤筐体
8B 低圧盤筐体
10 受配電盤
K 系統
【要約】
【課題】三巻線型の変圧器における2、3次巻線側の定格容量の和を、1次巻線側の定格容量より大きくする等して「負荷追加のニーズ対応」や「コストの低減」などを実現する。
【解決手段】系統Kからの電力等を消費する負荷2と変圧器3を有した受配電システム1や受配電盤10、変圧器3である。変圧器3は三巻線型の変圧器で、1次巻線は系統Kに接続され、2、3次巻線は負荷2に接続され、2、3次巻線側の各定格電圧は1次巻線側の定格電圧より低圧で、2、3次巻線側の定格容量の和は1次巻線側の定格容量より大きい。又、変圧器3は、3次巻線に電気自動車等の充電器2Bや蓄電装置4、発電装置5等が接続されたり、3次巻線側がその定格容量を超えて所定時間だけ使用されたり、系統側電路6aの系統遮断器7aを内蔵した高圧盤筐体8Aと、負荷側電路6bの負荷遮断器7bを内蔵した低圧盤筐体8Bを、変圧器3が支持する等しても良い。
【選択図】
図1