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特許7382107コード化された超音波送信に対する飛行時間及びコードシグネチャ検出
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】コード化された超音波送信に対する飛行時間及びコードシグネチャ検出
(51)【国際特許分類】
   G01S 15/10 20060101AFI20231109BHJP
   G01S 15/50 20060101ALI20231109BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20231109BHJP
   G01S 7/526 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G01S15/10
G01S15/50
G01S15/931
G01S7/526 M
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020563508
(86)(22)【出願日】2019-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2019030895
(87)【国際公開番号】W WO2019217306
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】62/667,802
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/364,652
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】レイ ディン
(72)【発明者】
【氏名】スリナス マトゥール ラマスワミ
(72)【発明者】
【氏名】アナンド ゴパラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイブハヴ ガーグ
(72)【発明者】
【氏名】アナンド ガネシュ ダバック
(72)【発明者】
【氏名】バヘル エス ハルーン
【審査官】▲高▼場 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-108121(JP,A)
【文献】特表2004-526548(JP,A)
【文献】特開2014-020795(JP,A)
【文献】特表2017-508133(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10106142(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/52 - G01S 7/64
G01S 15/00 - G01S 15/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波検知システムであって、
可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化又は位相変調コード化されたバースト信号を生成するように構成されバースト生成回路要素と
前記バースト生成回路要素に結合される超音波トランスデューサであって、前記バースト信号を超音波音響信号として発信、反射音響信号を変換するように構成される、前記超音波トランスデューサと
レシーバ信号経路であって
第1の信号処理経路であって、
前記超音波トランスデューサに結合される第1の相関器であって、前記変換された反射音響信号からサンプリングされた受信信号を前記バースト信号の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける送信テンプレートと相関するように構成される、前記第1の相関器と
前記第1の相関器に結合される第1のピーク検索段であって、前記第1の相関器の出力から導出されるエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークを検出するように構成され、1つより多くのピークが検出される場合前記ピークが互いに閾値最小距離より大きく離れている、前記第1のピーク検索段と
前記第1のピーク検索に結合される第1のピークバッファであって、前記1つ又は複数のピークをそれらのそれぞれの振幅及び位置によって格納するように構成される、前記第1のピークバッファと
を含む、前記第1の信号処理経路と、
第2の信号処理経路であって、
前記超音波トランスデューサに結合される第2の相関器であって、前記受信信号を第2のバースト信号の第2の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける第2の送信テンプレートと相関するように構成される、前記第2の相関器と、
前記第2の相関器に結合される第2のピーク検索段であって、前記第2の相関器の出力から導出されるエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークを検出するように構成される、前記第2のピーク検索段と、
前記第2のピーク検索段に結合される第2のピークバッファであって、前記1つ又は複数のピークをそれらのそれぞれの振幅及び位置によって格納するように構成される、前記第2のピークバッファと、
を含む、前記第2の信号処理経路と、
前記第1及び第2のピークバッファに結合されるピークランク段であって、前記第1及び第2のピークバッファに格納された及び第2の経路ピークを比較、前記第1及び第2の経路ピークを個々に有効又は無効として指定するように構成される、前記ピークランク段と
を含み、
前記超音波トランスデューサと検出されたオブジェクトとの間の距離を示す前記超音波音響信号前記反射音響信号の飛行時間を計算するように構成される、前記レシーバ信号経路と、
を含む、超音波検知システム。
【請求項2】
請求項に記載の超音波検知システムであって、
前記ピークランク段が、
現在のピークが事前定義された幅のスライディングウィンドウの中間にあると判定することに基づいて前記スライディングウィンドウ内の他のピークの最大を見出すこと
前記現在のピークの振幅が前記スライディングウィンドウ内の他の相関器ピークの最大振幅より大きいと判定することであって、前記他の相関器ピークが前記現在のピークを識別した相関器ではない相関器によって識別される、前記判定することに基づいて前記現在のピークを有効なピークとして指定することと、前記現在のピークの振幅が前記スライディングウィンドウ内の他の相関器ピークの最大振幅より大きくないと判定することに基づいて前記現在のピークを無効なピークとして指定することとの一方又は両方と、
によって前記ピークを個々に有効又は無効として指定するように更に構成される、超音波検知システム。
【請求項3】
請求項に記載のシステムであって、
前記ピークランク段が、
現在のピークが事前定義された幅のスライディングウィンドウの中間にあると判定することに基づいて、前記スライディングウィンドウ内の他のピークの最大を見出すこと
前記現在のピークの振幅が前記スライディングウィンドウ内の他の相関器ピークの最大振幅より大きくないと判定することであって、前記他の相関器ピークが前記現在のピークを識別した相関器ではない相関器によって識別される、前記判定することに基づいて、前記現在のピークを無効なピークとして指定すること、又は、前記現在のピークの振幅が前記スライディングウィンドウ内の他の相関器ピークの最大振幅より大きいと判定することに基づいて前記現在のピークを有効なピークとして指定することの一方と、
前記現在のピークの位置の前の1ウィンドウ幅から開始し、前記現在のピークの前記位置で終了する、前記エンベロープの或る部分内の2番目に大きいピークを見出すこと
前記2番目に大きいピークの振幅が事前定義されるセカンダリピーク閾値より大きいと判定することに基づいて、前記2番目に大きいピークの位置の前の半分のウィンドウ幅から開始し、前記2番目に大きいピークの位置で終了する、前記エンベロープの或る部分内で、他の相関器セカンダリピークの最大振幅を見出すことであって、前記他の相関器セカンダリピークが前記2番目に大きいピークを識別した前記相関器ではない相関器によって識別される、前記見出すことと、
前記2番目に大きいピークの振幅が他の相関器セカンダリピークの最大振幅より大きいと判定することに基づいて前記2番目に大きいピークを有効なピークとして指定すること、又は、前記2番目に大きいピークの振幅が他の相関器セカンダリピークの最大振幅より大きくないと判定することに基づいて前記2番目に大きいピークを無効なピークとして指定することの一方と、
によって前記ピークを個々に有効又は無効として指定するように更に構成される、超音波検知システム。
【請求項4】
請求項に記載の超音波検知システムであって、
前記セカンダリピーク閾値が、
前記現在のピークのいずれかの側のウィンドウ幅の2分の1以内で前記検出されたドミナントピークの前記振幅の4分の1に、及び
前記現在のピークのいずれかの側のウィンドウ幅の2分の1より外でゼロに、
設定される、超音波検知システム。
【請求項5】
請求項1に記載の超音波システムであって、
前記ピークランク段が、前記第1及び第2のピークバッファにおける個々のピークの振幅を閾値振幅と比較することによって、サイドロープピークをなくし、メインピークのみを保持するように更に構成される、システム。
【請求項6】
請求項に記載の超音波検知システムであって、
前記閾値振幅が、前記第1及び第2の相関器によって生成された自己相関出力形状に基づく、超音波検知システム。
【請求項7】
請求項に記載の超音波検知システムであって、
前記閾値振幅が、検索ウィンドウ内の最大ピークの前記振幅の4分の1に設定される、超音波検知システム。
【請求項8】
請求項1に記載の超音波検知システムであって、
前記第1及び第2のピーク検索段が、
前記エンベロープの現在のサンプルを受け取ること
前記現在のサンプルが以前に格納された値より大きいと判定すること
前記エンベロープの前回のサンプルが上昇する値を有していたこと前記現在のサンプルが前記前回のサンプルと同じか又はそれより小さいことを判定することによって、現在のピークに達したと判定することに基づいて、前記格納された値を前記前回のサンプルで置き換えること
前記現在のピークの位置と以前に検出されたピークの位置との差が前記閾値最小距離を超えると判定することに基づいて前記現在のピークの振幅及び位置を新しいピークとして記録すること、又は、前記現在のピークの位置と以前に検出されたピークの位置との差が前記閾値最小距離を超えないと判定すること前記現在のピークの振幅が前記以前に検出されたピークの振幅より大きいと判定することに基づいて前記以前に検出されたピークの振幅及び位置を前記現在のピークの振幅及び位置で上書きすることの一方と、
によってピークを検出するように更に構成される、超音波検知システム。
【請求項9】
請求項8に記載の超音波検知システムであって、
前記閾値最小距離が前記超音波トランスデューサの帯域幅の逆数に等しい、超音波検知システム。
【請求項10】
超音波検知システムであって、
可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化又は位相変調コード化されたバースト信号を生成するように構成されるバースト生成回路要素と、
前記バースト生成回路要素に結合される超音波トランスデューサであって、前記バースト信号を超音波音響信号として発信し、反射音響信号を変換する、ように構成される、前記超音波トランスデューサと、
レシーバ信号経路であって、
第1の信号処理経路であって、
前記超音波トランスデューサに結合される第1の相関器であって、前記変換された反射音響信号からサンプリングされた受信信号を前記バースト信号の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける送信テンプレートと相関するように構成される、前記第1の相関器と、
前記第1の相関器に結合される第1のピーク検索段であって、前記第1の相関器の出力から導出されるエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークを検出するように構成され、1つより多くのピークが検出される場合に前記ピークが互いに閾値最小距離より大きく離れている、前記第1のピーク検索段と、
前記第1のピーク検索段に結合される第1のピークバッファであって、前記1つ又は複数のピークをそれらのそれぞれの振幅及び位置によって格納するように構成される、前記第1のピークバッファと、
前記第1のピークバッファに結合される第1のピークランク段であって、前記第1のピークバッファに格納された前記1つ又は複数のピークを比較し、前記ピークを個々に有効又は無効として指定する、ように構成される、前記第1のピークランク段と、
を含む、前記第1の信号処理経路と、
第2の信号処理経路であって、
前記超音波トランスデューサに結合される第2の相関器であって、前記受信信号を第2のバースト信号の第2の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける第2の送信テンプレートと相関するように構成される、前記第2の相関器と、
前記第2の相関器に結合される第2のピーク検索段であって、前記第2の相関器の出力から導出されるエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークを検出するように構成される、前記第2のピーク検索段と、
前記第2のピーク検索段に結合される第2のピークバッファであって、前記1つ又は複数のピークをそれらのそれぞれの振幅及び位置によって格納するように構成される、前記第2のピークバッファと、
前記第2のピークバッファに結合される第2のピークランク段であって、前記第2のピークバッファに格納された前記1つ又は複数のピークを比較し、前記ピークを個々に有効又は無効として指定する、ように構成される、前記第2のピークランク段と、
を含む、前記第2の信号処理経路と、
前記第1のピークランク段前記第2のピークランク段の出力の比較からドップラー情報を抽出するように構成されるドップラー段と、
を含む、超音波検知システム。
【請求項11】
超音波検知の方法であって、
可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化された又は位相変調コード化されたバースト信号を生成することと、
前記バースト信号に基づいて超音波音響信号を発信することと、
反射音響信号を変換することと、
前記変換された反射音響信号からサンプリングされた受信信号を前記バースト信号の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける送信テンプレートと相関させることと、
前記相関された受信信号から導出されるエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークを検出することであって、複数のピークが検出された場合に前記ピークが互いに閾値最小距離よりも大きく離れている、前記1つ又は複数のピークを検出することと、
それらのそれぞれの振幅及び位置によって前記1つ又は複数のピークを格納することと、
第2の相関された信号を生成するために、前記受信信号を第2のバースト信号の第2の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける第2の送信テンプレートと相関させること
前記第2の相関された信号から導出される第2のエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数の付加的なピークを検出することであって、複数の付加的なピークが検出される場合に前記付加的なピークが互いに閾値最小距離より大きく離れている、前記1つ又は複数の付加的なピークを検出すること
前記1つ又は複数の付加的なピークをそれらのそれぞれの振幅及び位置によって格納すること
前記格納された1つ又は複数のピークと前記格納された1つ又は複数の付加的なピークとを比較し、前記格納された1つ又は複数のピークと前記格納された1つ又は複数の付加的なピークとを個々に有効又は無効として指定することと
検出されたオブジェクトまでの距離を示す前記超音波音響信号と前記反射音響信号との飛行時間を計算することと、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
個々に格納されたピークの前記それぞれの振幅を閾値振幅と比較することによってサイドロープをなくしてメインピークのみを保持することを更に含む、方法。
【請求項13】
超音波検知システムであって、
可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化された又は位相変調コード化されたバースト信号を生成するように構成されバースト生成回路要素であって、前記バースト信号を超音波音響信号として発信して反射音響信号を変換するように構成される超音波トランスデューサに結合されるように適合される、前記バースト生成回路要素と
前記超音波トランスデューサに結合されるように適合されるレシーバ信号経路であって
前記超音波トランスデューサに結合されるように適合される時変利得(TVG増幅器であって、前記変換された反射音響信号を増幅するように構成される、前記TVG増幅器と
前記TVG増幅器に結合されるアナログデジタル変換器(ADC)であって、前記TGV増幅器からの増幅された信号をサンプリングするように構成される、前記ADCと
第1の信号処理経路であって、
前記ADCに結合される第1の相関器であって、前記ADCからの前記サンプリングされた信号を前記バースト信号の周波数変調又は位相変調コードを特徴づける送信テンプレートと相関させるように構成される、前記第1の相関器と
前記第1の相関器に結合される第1のエンベロープ段であって、前記第1の相関器出力のエンベロープを生成するように構成される、前記第1のエンベロープ段と
前記第1のエンベロープ段に結合される第1の閾値段であって、前記エンベロープを振幅閾値化するように構成される、前記第1の閾値段と
前記第1の閾値段に結合される第1のピーク検索段であって、前記振幅閾値化されたエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークを検出するように構成され、複数のピークが検出された場合に前記ピークが互いに閾値最小距離より大きく離れている、前記第1のピーク検索段と
前記第1のピーク検索段に結合される第1のピークバッファであって、前記1つ又は複数のピークをそれらのそれぞれの振幅及び位置によって格納するように構成される、前記第1のピークバッファと
を含む、前記第1の信号処理経路と、
第2の信号処理経路であって、
前記ADCに結合される第2の相関器であって、前記ADCからの前記サンプリングされた信号を第2のバースト信号の第2の周波数変調又は位相変調コードを特徴づける第2の送信テンプレートと相関させるように構成される、前記第2の相関器と、
前記第2の相関器に結合される第2のエンベロープ段であって、前記第2の相関器の出力のエンベロープを生成するように構成される、前記第2のエンベロープ段と、
前記第2のエンベロープ段に結合される第2の閾値段であって、前記エンベロープを振幅閾値化するように構成される、前記第2の閾値段と、
前記第2の閾値段に結合される第2のピーク検索段であって、前記振幅閾値化されたエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークを検出するように構成される、前記第2のピーク検索段と、
前記第2のピーク検索段に結合される第2のピークバッファであって、前記1つ又は複数のピークをそれらのそれぞれの振幅及び位置によって格納するように構成される、前記第2のピークバッファと、
を含む、前記第2の信号処理経路と、
前記第1及び第2のピークバッファに結合されるピークランク段であって、前記第1及び第2のピークバッファに格納された前記1つ又は複数のピークを比較し、前記1つ又は複数のピークを個々に有効又は無効として指定するように構成される、前記ピークランク段と
前記ピークランク段に結合される飛行時間(ToF生成段であって、前記ピークランク段によって提供されピークに基づいて前記発信された超音波音響信号前記反射音響信号のToFを計算するように構成され、前記ToFが前記超音波トランスデューサと検出されたオブジェクトとの距離を示す、前記ToF生成段と、
を含む、前記レシーバ信号経路と、
を含む、超音波検知システム。
【請求項14】
超音波検知システムであって、
可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化された又は位相変調コード化されたバースト信号を生成するように構成されるバースト生成回路要素であって、前記バースト信号を超音波音響信号として発信して反射音響信号を変換するように構成される超音波トランスデューサに結合されるように適合される、前記バースト生成回路要素と、
前記超音波トランスデューサに結合されるように適合されるレシーバ信号経路であって、
前記超音波トランスデューサに結合されるように適合される時変利得(TVG)増幅器であって、前記変換された反射音響信号を増幅するように構成される、前記TVG増幅器と、
前記TVG増幅器に結合されるアナログデジタル変換器(ADC)であって、前記TGV増幅器からの増幅された信号をサンプリングするように構成される、前記ADCと、
前記ADCに結合される相関器であって、前記ADCからの前記サンプリングされた信号を前記バースト信号の周波数変調又は位相変調コードを特徴づける送信テンプレートと相関させるように構成される、前記相関器と、
前記相関器に結合されるエンベロープ段であって、前記相関器の出力のエンベロープを生成するように構成される、前記エンベロープ段と、
前記エンベロープ段に結合される閾値段であって、前記エンベロープを振幅閾値化するように構成される、前記閾値段と、
前記閾値段に結合されるピーク検索段であって、前記振幅閾値化されたエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークを検出するように構成され、複数のピークが検出された場合に前記ピークが互いに閾値最小距離より大きく離れている、前記ピーク検索段と、
前記ピーク検索段に結合されるピークバッファであって、前記1つ又は複数のピークをそれらのそれぞれの振幅及び位置によって格納するように構成される、前記ピークバッファと、
前記ピークバッファに結合されるピークランク段であって、前記ピークバッファに格納された前記1つ又は複数のピークを比較し、前記1つ又は複数のピークを個々に有効又は無効として指定する、ように構成される、前記ピークランク段と、
前記ピークランク段に結合される飛行時間(ToF)生成段であって、前記ピークランク段によって提供されるピークに基づいて前記発信された超音波音響信号と前記反射音響信号とのToFを計算するように構成され、前記ToFが前記超音波トランスデューサと検出されたオブジェクトとの距離を示す、前記ToF生成段と、
を含む、前記レシーバ信号経路と、
を含み、
前記超音波検知システムにおいて異なる超音波トランスデューサによってバーストパターンが発信されておらず、それに対して予期されたエコータイムアウトが期限切れしていないことを示す中央コントローラからの信号に基づいて、単一信号処理経路を有する、単一相関器構成と
バーストパターンが前記超音波検知システムにおいて異なる超音波トランスデューサによって発信されており、それに対して予期されたエコータイムアウトが期限切れしていないことを示す中央コントローラからの信号に基づいて、複数の信号処理経路を有する、複数相関器構成と、
の間で自動的に切り替わるように構成される、超音波検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、全般的に、電子処理システム及び方法に関し、特に、コード化された超音波送信に対する飛行時間(time of flight)及びコードシグネチャ検出に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波測距は様々な応用例に用いられる。例えば、オートモティブ応用例において、超音波トランスデューサが自動車のバンパー又はフェンダーに配置され得る。トランスデューサは、近隣のオブジェクトが存在する場合、そのオブジェクトで反射する超音波信号を発信し、その反射を検知する。超音波信号の往復時間が測定され、それによってオブジェクトまでの距離が判定される。或いは、複数のトランスデューサからの反射情報を処理することによって、オブジェクトの位置が推定され得る。これにより、衝突回避が達成される。例えば、そのような判定又は推定された情報、又はそれに基づいたナビゲーション情報を、人間の運転者に対して警告信号を提示するように構成された警告システムに対して、又は検出された障害物との衝突を回避するよう車両をナビゲートするように構成された自動運転システムに対して、提示することによって、衝突回避が達成される。
【発明の概要】
【0003】
例示の超音波検知システムは、バースト生成回路、超音波トランスデューサ、及びレシーバ信号経路を含む。バースト生成回路は、可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化又は位相変調コード化されたバースト信号を生成する。超音波トランスデューサは、バースト信号を超音波音響信号として発信し、反射された音響信号を変換する。レシーバ信号経路は、少なくとも、相関器、ピーク検索段、ピークバッファ、及びピークランク段で構成されている。相関器は、変換された反射音響信号からサンプリングされた受信信号を、生成されたバースト信号の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける送信テンプレートと相関させる。ピーク検索段は、相関器の出力から導出されるエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって、1つ又は複数のピークを検出する。複数のピークが検出された場合、それらピークは、互いに閾値最小距離より大きく離れている。ピークバッファはピークをそれらの振幅及び位置によってストアする。ピークランク段は、ピークバッファにストアされたピークを比較し、ピークを個々に有効又は無効として指定する。有効なピークに基づいて、レシーバ信号経路は、トランスデューサと検出されたオブジェクトとの間の距離を示す超音波音響信号及び反射音響信号の飛行時間を計算し得る。
【0004】
別の例において、超音波検出の或る方法が、可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化又は位相変調コード化されたバースト信号を生成すること、バースト信号に基づいて超音波音響信号を発信すること、及び反射音響信号を変換することを含む。変換された反射音響信号からサンプリングされた受信信号が、生成されたバースト信号の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける送信テンプレートと相関される。その後、相関された受信信号から導出されるエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって、1つ又は複数のピークが検出される。検出は、複数のピークが検出された場合、それらのピークが互いに閾値最小距離より大きく離れているという制約の下で行われる。ピークは、その後、それらの振幅及び位置によってストアされ、ストアされたピークは、それらを個々に有効又は無効として指定するために、比較される。その後、検出されたオブジェクトとの間の距離を示す超音波音響信号及び反射音響信号の飛行時間が計算され得る。
【0005】
更に別の例において、超音波検知システムがバースト生成回路及びレシーバ信号経路を含む。バースト生成回路は、可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化又は位相変調コード化されたバースト信号を生成するように構成される。バースト生成回路は、超音波トランスデューサに結合されるように適合されており、超音波トランスデューサは、バースト信号を超音波音響信号として発信し、反射音響信号を変換するように構成される。レシーバ信号経路は、時変利得(TVG)増幅器、アナログデジタル変換器(ADC)、相関器、エンベロープ段、閾値段、ピーク検索段、ピークバッファ、ピークランク段、及び飛行時間(ToF)生成段を含み、ToFは、トランスデューサと検出されたオブジェクトとの間の距離を示す。TVG増幅器は、変換された反射音響信号を増幅するように構成される。ADCは、TGV増幅器からの増幅された信号をサンプリングするように構成される。相関器は、ADCからのサンプリングされた信号を、生成されたバースト信号の周波数変調又は位相変調コードを特徴付ける送信テンプレートと相関させるように構成される。エンベロープ段は、相関器出力のエンベロープを生成するように構成される。閾値段は、エンベロープを振幅閾値化するように構成される。ピーク検索段は、閾値化されたエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって、1つ又は複数のピークを検出するように構成される。複数のピークが検出された場合、それらのピークは、互いに閾値最小距離より大きく離れている。ピークバッファは、それらピークをそれらの振幅及び位置によってストアするように構成される。ピークランク段は、ピークバッファにストアされているピークを比較し、ピークの各々を有効又は無効として指定するように構成される。ToF生成段は、ピークランク段によって提供されるピークに基づいて、発信された超音波音響信号及び反射音響信号のToFを計算するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】オブジェクトまでの距離を測定するための超音波トランスデューサを備える自動車を図示する。
【0007】
図2】中央コントローラと各々コントローラを有する複数の超音波センサユニットとの間の構成を示すハイレベル図である。
【0008】
図3】検知された超音波反射の例示のエンベロープのグラフである。
【0009】
図4】超音波トランスデューサコントローラの受信信号処理経路における例示の部分のブロック図である。
【0010】
図5A】超音波トランスデューサコントローラにおける受信信号処理経路の例示の部分のブロック図である。
【0011】
図5B図5Aにおいて参照される信号プロットである。
図5C図5Aにおいて参照される信号プロットである。
図5D図5Aにおいて参照される信号プロットである。
図5E図5Aにおいて参照される信号プロットである。
図5F図5Aにおいて参照される信号プロットである。
図5G図5Aにおいて参照される信号プロットである。
【0012】
図6】識別及び検証されたピークを有する例示の相関器出力のグラフである。
図7】識別及び検証されたピークを有する例示の相関器出力のグラフである。
【0013】
図8】例示の相関器の信号フローチャートである。
【0014】
図9】例示のピーク検出方法のフローチャートである。
【0015】
図10】例示のピーク検証方法のフローチャートである。
図11】例示のピーク検証方法のフローチャートである。
【0016】
図12】超音波トランスデューサコントローラにおける受信信号処理経路の例示の部分のブロック図である。
【0017】
図13】ドップラー処理の方法を図示するフローチャートである。
【0018】
図14】ドップラー処理を用いる例示の相関器出力のグラフである。
【0019】
図15A】超音波トランスデューサコントローラにおける受信信号処理経路の例示の部分のブロック図である。
【0020】
図15B図15Aにおいて参照される信号プロットである。
図15C図15Aにおいて参照される信号プロットである。
図15D図15Aにおいて参照される信号プロットである。
図15E図15Aにおいて参照される信号プロットである。
【0021】
図16】例示のピーク検証方法のフローチャートである。
【0022】
図17】超音波検出の例示の方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
反射された超音波信号が、超音波トランスデューサによって検出され得、往復時間を測定するために用いられ得、それにより、超音波信号を反射したオブジェクトまでの距離を判定する。例えば、オートモティブ応用例では、車の後方、横方向、又は前方のオブジェクトの距離を検知するために、1つ又は複数の超音波センサを用い得る。本明細書は、特に、複数の超音波トランスデューサが同時に動作しているときに、障害物の超音波検出を強化するシステム及び方法を説明する。異なるトランスデューサによって生成される超音波信号のエコーの識別は、発信された信号バーストをコード化し、受け取ったエコーをそのようなコード化情報の知識を用いて処理することによって改善される。
【0024】
複数のトランスデューサの同時動作を可能にすることは、検出システムの速度を大幅に向上させ、それによって、関連するドライバー警告又は自動運転制御システムの応答性も大きく改善させる。異なるトランスデューサからの信号バーストのコード化は、相関された反射信号のエンベロープにおけるメインピークを他のトランスデューサから検知されたエコーに対応するピーク(メイン又はサブ)から区別することによって反射検出を改善する。このメインピークは真の反射に対応する。現在のシステム及び方法は、相関器出力における有効なピークを識別するために、ピーク検索、ピークバッファ、及びピークランクロジックを用いる。ピークランクロジックは、1つのバーストコード、又は2つ又はそれ以上のバーストコード、又はドップラー検出を用いる2つ又はそれ以上のバーストコードを取り扱うように設計された異なるモードをサポートする。検証されたピーク情報(例えば、振幅及び時間)は、複数のバーストからのピークを用いて、あり得る目標又は障害物に関する更にインテリジェントな情報を生成するために、中央コントローラに報告され得及び/又はフュージョンロジックにローカルにストアされ得る。
【0025】
図1は、超音波に基づく距離測定(即ち、測距)システムの使用、即ち、前方及び/又は後方バンパーにおいて、1つ又は複数の超音波トランスデューサ105を含む自動車100における使用を図示する。図1の例において、4つの超音波トランスデューサ105が示されているが、各バンパーにおけるトランスデューサの数は、他の例において、4つ以外であり得る。本明細書において用いられる場合、「トランスデューサ」は、超音波トランスデューサを指す。任意の単一のトランスデューサが、超音波信号を発信し、電気信号を音響信号に変換すること、及び、反射された信号を検知し、音響信号を電気信号に変換することの両方に機能し得る。各トランスデューサ105は、例えば、音波を発信し得、その後、オブジェクト(例えば、オブジェクト120)で跳ね返り、トランスデューサに戻った後、発信された音波の反響を検出し得る。音が最初にトランスデューサから発信されるときと、反射された音波が戻ってトランスデューサにおいて検出されるときまでの間の経過時間tは、トランスデューサに結合されたレシーバ回路要素によって測定され得る。総往復距離は、空気を通過する音速c(およそ、毎秒約344メートル又は毎秒1,129フィート)と、測定された時間tとの積として計算され得る。その後、トランスデューサとオブジェクトとの間の距離D1が、式D1=ct/2によって求められ、ここで2で割ることは、反射された音波が往復してトランスデューサに戻るということを考慮している。
【0026】
幾つかの例において、音波信号は、特定の周波数、典型的には約20kHzより上、例えば約50kHzで、音の短いバーストとして発信される。発信された音波は、典型的には、複数のパルス、例えば、約15パルスから100パルスの間、例えば、約20パルスから65パルスの間を含む。コントローラ(図1に示されない)は、例えば、単一のトランスデューサ105と関連付けられ、単一のトランスデューサ105とパッケージ化された集積回路(IC)として実装され得るが、電気駆動信号を用いてトランスデューサ105を駆動し得る。トランスデューサ105は、その後、電気駆動信号を、トランスデューサから出ていく音響音波に変換し得る。関連するトランスデューサに、バーストを発信するように指示するコントローラは、本明細書において、トランスデューサを「バーストする」と称され得る。トランスデューサ105は、受け取った反射音波を電気信号に変換し、変換された信号を、受信信号を処理するために構成されたコントローラにおけるレシーバに渡す。コントローラの内部には、バーストシーケンスの発信時に開始されるタイマーがあり、有効なエコーを受け取ると、タイマーの値は、エコーの飛行時間(ToF)として記録される。上述したように、この飛行時間は、2で除算され、空気中の音速で乗算され、トランスデューサ105と反射するオブジェクト120との間の距離が得られる。
【0027】
幾つかの実装において、トランスデューサ105は全て同じ周波数(例えば、50kHz)を発信するが、それを逐次様式で行う。即ち、1つのトランスデューサ105が音信号を発信し、事前定義された時間期間、反射を待機し、その後、次のトランスデューサ105がその音信号を発信することを許可される。待機がないと、どのトランスデューサが、エコーされた信号を発信したのかが不明瞭になり得、それにより、反射するオブジェクトの位置及び距離の判定の精度が低下し得る。このような待機は、5メートルの例示の最大オブジェクト検出レンジについて、異なるトランスデューサの連続バースト間で約30ミリ秒が経過しなければならないことを意味する。それは、4個のセンサの典型的な補数の単一のスキャンが120ミリ秒かかることを意味する。この時間の長さは、衝突検出及び警告に関与するもの等の時間重視の用途においては、受け入れがたく長い可能性があり得る。
【0028】
上述のシングルトーン実装とは対照的に、本明細書に説明されるシステム及び方法は、例えば、異なるトランスデューサのバースト信号間で区別し、それにより、異なるトランスデューサのバースト間で必要となる時間を短縮するか又はなくすために、コード化波形のバースト信号を用いる。シングルトーンバースト信号を用いるのではなく、任意の1つのトランスデューサによって、周波数変調信号が発信され得、例えば、複数のトランスデューサから生じるリターンエコーの曖昧性回避を可能にする。或いは、バースト信号は、位相変調コード化され得る。
【0029】
そのような周波数変調コード化を用いる例において、各バーストは、例えば、矩形波に似ているが、波形の各パルスが、異なる周波数に対応する異なる持続期間を有するパルスシーケンスで構成され得る。幾つかの例において、所与の音バーストを生成するために用いられる周波数は、第1の周波数と第2の周波数との間の範囲であり得、従って、Δfと称される差を有し得る。例として、バーストにおける第1のパルスが、48.0kHzの周波数に対応する持続期間を有し得、バーストにおける第2のパルスが、48.2kHzの周波数に対応する持続期間を有し得、バーストにおける第3のパルスが、48.4kHzの周波数に対応する持続期間を有し得、以下同様に、52.0kHzの周波数に対応する持続期間を有し得るバーストの21番目及び最後のパルスまで続く。上記は、1つの例を示すにすぎず、バースト内に異なる周波数パルスが配置されることや、この例におけるように連続周波数増加を超えること、又は他の例におけるように、周波数が減少すること、又は周波数が増加しその後減少すること、又は周波数が減少しその後増加することなど、他のパルス周波数やバースト毎のバルス数も可能である。
【0030】
このように、他の例において、バーストは、第1の周波数から第2の、より高い周波数に上方に掃引し得、また、再び第1の周波数に、又は第2の周波数より低い第3の周波数に下がり得る。また他の例において、バーストは、一意のコード化シグネチャを生成するために、事前定義されたパターンを用いて2つ又はそれ以上の周波数の間で切り替え得る。更に他の例において、バーストは第1の周波数から第2の、より低い周波数に下方に掃引し得、その後、第1の周波数に、又は第2の周波数より高い第3の周波数に戻り得る。他の変調パターンも同様に可能である。パターンが如何なるものであれ、パルス周波数、パルスの数、パルスの時間持続期間、及び/又はパルスの時間配置(例えば、周波数、持続期間等による)に関するバーストの特定の掃引特性は、バーストを発信するトランスデューサを識別するバーストシグネチャとして働き得る。各トランスデューサは、それが発信するコード化されたバースト波形においてそれ自体の一意の周波数変調シグネチャを持ち得る。少なくとも部分的に上述したバーストコード化のおかげで、異なるトランスデューサからのバーストにおける掃引の周波数範囲のオーバーラップに対して制限を設ける必要がない。バーストは、周波数変調コード化されるのではなく、位相変調コード化されることもあり得る。
【0031】
下記に更に詳細に説明するように、特定のトランスデューサに関連付けられたコントローラにおけるレシーバ回路要素は相関器を備え得る。相関器は、駆動信号を生成するために用いられるコード化された信号からサンプリングされたテンプレートを備え得る。これにより、トランスデューサは、それ自体のテンプレートにのみ相関する。具体的には、各トランスデューサが別個の周波数又は位相変調パターンを有するので、各トランスデューサのレシーバ回路要素は、受信信号を、そのトランスデューサ自体の周波数又は位相変調シグネチャにのみ相関させることができる。異なるトランスデューサのバーストが別個であるため、バーストは、時間的にオーバーラップし得、例えば、全てのトランスデューサ105はそれらの音信号を並行して又は同時に発信し得る。発信された各音信号が、特定のトランスデューサ105に対して一意にコード化されているので、反射された音信号も同様に一意であり、各トランスデューサに接続されているレシーバ回路要素によって差別化され得る。
【0032】
図2は、例えば、電子制御ユニット(ECU)などの中央コントローラ204によって指示されるような複数の超音波センサモジュール202の構成を示す。各センサモジュール202は、関連する個々のコントローラ(特に図示されていない)を含み得る。個々のコントローラは、例えば、集積回路(IC)として実装され得、またセンサモジュール202における超音波トランスデューサ(特に図示されていない)を駆動するように、並びに、ターゲット又は障害物に対応するエコーを含み得る受信信号を処理するように構成される。処理後、トランスデューサに関連付けられたコントローラは、処理されたエコー情報を中央コントローラ204に送り返し得、中央コントローラ204は、複数のトランスデューサ(例えば、図示された例において、4つのトランスデューサ全部)からの処理されたエコー情報を集め得、複数のトランスデューサからの収集された情報に基づいて、検出されたオブジェクトを三角測量で測量し得る。中央コントローラ204はまた、干渉を取り扱うための処理を含む、幾つかの付加的なハイレベル処理を実施し得る。
【0033】
図3は、受信されたエコー信号302及びそのエンベロープ304の例を示す。エコー信号302は、超音波トランスデューサによって音響信号として受信され得、電気信号に変換され得、それはトランスデューサに関連付けられた個々のコントローラにおけるアナログデジタル変換器によって増幅及びサンプリングされ得る。個々のコントローラは、その後、サンプリングされた受信信号302からエンベロープ304を生成し得る。個々のコントローラは、更に、エンベロープを閾値306と比較するように構成され得る。閾値を超えるエンベロープが、検出されたターゲット又は障害物に対応する有効なエコー(例えば、音響環境的ノイズ又はレシーバ信号経路に固有の電気ノイズであるか否か等、単なるノイズではなく)として宣言され得、バースト発信とエコー受信との間の経過時間に基づいて、飛行時間が計算され得る。
【0034】
図3に図示された閾値306は、単一値の静的閾値である必要はない。幾つかの例において、閾値は、例えば、バースト発信の時間から開始し、時間に関して変動し得る。図4は、例示のレシーバ信号経路400を示し、レシーバ信号経路400は、センサモジュール202におけるトランスデューサに関連する個々のコントローラにおいて用いられ得、センサモジュール202は時間変動閾値マップを用いる。受信された音響信号から、超音波トランスデューサによって変換されたアナログ電気信号が、アナログデジタル変換器(ADC)402によってサンプリングされ得る。ADC出力は、その後、バンドパスフィルタ404に進み得る。整流器406、ピークホールド段408、及びローパスフィルタ410が、受信信号のエンベロープを再構築するために用いられ得、それは、そのエンベロープがオブジェクトからの有効エコーを示すとして宣言するか否かのために、比較器412を用いて閾値マップ414と比較され得る。閾値をパスし、それによって、反射されたオブジェクトが有効オブジェクトとして宣言されると、飛行時間が記録され得、その情報は中央コントローラ204(例えば、ECU)に送り返され得る。
【0035】
図5Aは、例えば、各々それ自体のシグネチャ周波数変調又は位相変調コードを有するバーストシグネチャを発信する2つ又はそれ以上の異なる超音波トランスデューサからの、2つ又はそれ以上のコード化された信号を区別するコード化処理を採用するシステムにおける例示のレシーバ信号経路500を示す。これらのコードは、図5Aにおいて、「コード1」及び「コード2」として示される。図5Aは、簡単にするため、2つのコードの例を示す。他の例は、ADC504とピークランク段526との間に付加的な並列処理経路を、各コードに対してそのような経路を1つ実装することによって、より多くのコード(例えば、4つのコード)に適応し得る。例示のレシーバ信号経路500は、有効なピーク情報及びコードIDを識別するために、複数の相関器508及び対応する事後処理を用いる。
【0036】
レシーバ信号経路500が属するレシーバは、レシーバが関連付けられている超音波トランスデューサによるバーストの発信の開始によって、受信信号の処理を開始するようにトリガされる。レシーバ信号経路500において、超音波トランスデューサによって受信された音響信号から変換されたアナログ電気信号が、時変利得(TVG)増幅器502によって増幅され得、ADC504によってサンプリングされ得る。図示された例において、ADC504の時間変動出力は、2つの並列信号処理経路において2つの相関器を有する。第1の相関器508は、コード1と記され、第1のバーストパターンによって用いられる第1のコードについての情報を提供する第1の送信(TX)テンプレートを受け取る。第2の相関器は、コード2と表示され、第2のバーストパターンによって用いられる第2のコードに対応する第2のTXテンプレートを受け取る。例えば、第1のトランスデューサが、コード1シグネチャを有するバーストを発信し得、第2のトランスデューサが、コード2シグネチャを有するバーストを発信し得る。両方のトランスデューサがそれらのそれぞれのバーストを同時に発信すると、同じ外部オブジェクトから反射されたエコーを持つ受信した反射信号において両方のコードが観察され得る。1つのトランスデューサに関連付けられたレシーバは、異なってコード化されたバーストを同時期に発信した2つ(又はそれ以上)の異なるトランスデューサのバーストからの反射を観察し得る。レシーバ信号経路500の並列経路の各々において実施される処理は、レシーバによって観察されたエコーが、第1のトランスデューサによって発信された、例えばコード1を持つ、コード化されたバースト信号からの反射であるか、或いは、第2のトランスデューサによって発信された、例えばコード2を持つ、コード化されたバースト信号からの反射かを判定するための手法を提供する。
【0037】
図5Bにおいて、例示のADC出力506は、約80パルスを有する時間ドメイン波形として示される。他の種々の例において、バーストが、それ以上の又はそれ以下のパルスを有し得る。それぞれの相関器508を用いて処理された後、ADC出力506のエンベロープは、エンベロープ段510を用いて再構成される。図5Cに示されるコード1経路のエンベロープ段出力512のグラフにおいて観察され得るように、コード1エコーは、大きな自己相関ピークを有する。コード2エコーは、図5Dにおいて、コード2経路エンベロープ段出力514のグラフで示されるように、幾つかの相互相関ピークを有する。本明細書において用いられる場合、「自己相関」は、受信したエコーのコードIDが相関器テンプレートのコードIDと一致するときの相関器出力を指し、「相互相関」は、受信したエコーのコードIDが相関器テンプレートのコードIDと一致しないときの相関器出力を指す。レシーバ信号経路500によって実施される処理の目標は、受信したエコーがコード1エコーであるか或いはコード2エコーであるか、例えば、受信したエコーが第1のトランスデューサによって発信されたバーストの反射に対応しているか或いは第2のトランスデューサによって発信されたバーストの反射に対応しているかを見分けることができ、その後、中央コントローラ(即ち、ECU)に報告するために、反射された信号のエンベロープのピークの位置及び振幅を記録できるようにすることである。
【0038】
それぞれのエンベロープ段510の出力は、それぞれの閾値段516に供給され、そこで、それぞれの生成されたエンベロープ(例えば、エンベロープ512又はエンベロープ514)が閾値と比較される。閾値は、例えば、或る種のノイズレベルより高く設定され得、それによって、受信信号経路における潜在的な電気的ノイズ、又はその環境における音響ノイズから、オブジェクト検出の誤検知(false positive)トリガを避ける。或る例では、或るタイプのオブジェクト及び/又は或る距離にあるオブジェクトからのトリガを避けることが望ましい場合もある。閾値は、このようなオブジェクトの検出を抑制するために、より高く設定され得る。閾値段516の機能の例として、閾値段516に続いて、閾値を下回る入力エンベロープ信号の任意の部分がゼロにされ、一方、閾値を超える入力エンベロープ信号の任意の部分が同じ値に維持され得る。閾値は、時間に関して一定である値である必要はなく、それ自体は、事前定義され得及び/又は動的に生成され得る時間変動信号であり得る。
【0039】
各それぞれの閾値段516の後、それぞれのピーク検索段518は、閾値化されたエンベロープ波形におけるピークの位置を見つけるために、ピーク検索を実施する。各信号経路が処理するピークの数を減らすために、ピーク検索は、各ピーク検索段518に対する入力として提供されるピーク間の最小ピーク距離に依存する。この最小ピーク距離は、プログラムで定数として割り当てられ得、或いはサンプリングされた反射信号のエンベロープにおけるピークについての情報に従って動的に生成され得る。この最小ピーク距離は、例えば、コード1処理経路の例におけるグラフ512においてみられるように、およそ、メインの自己相関ピークの幅になるように設定され得る。この最小ピーク距離内で、1つのピークが別のピークから実質的に分離され得ないことがあり得る。ピーク検索段518のこのピーク距離閾値化の態様は、各々、それぞれの信号処理経路によって処理されるピークの数を低減することに役立ち、それによって、関連するピークのみが処理のために、例えばピークランク段526によって、保持される。
【0040】
図5Eに示されるコード1処理経路ピークグラフ520に示されるように、5つのピークが位置している。図5Fに示されるコード2処理経路ピークグラフ522に示されるように、3つピークが位置している。これらのピークは、各検出されたピークの位置及び振幅をストアする各並列データ経路のピークバッファ524に書き込まれる。並列信号処理経路が収束するピークランク段526は、複数のデータ経路からくるピークを比較し、検出されたエコーが、コード1エコー(即ち、コード1でコード化されたバーストに対応する反射)として指定されるべきか、或るはコード2エコー(即ち、コード2でコード化されたバーストに対応する反射)として指定されるべきであるかを判定する。ピークランク段526の例示の出力528が図5Gに示される。任意の有効なピークが検出された場合、ピークランク段526は、その後、任意のピークのピーク位置及び振幅を、そのようなピークが属するコードを示すコード識別子と共に記録し得る。例として、ピークランク段526は、レシーバ信号経路500全体が関連付けられているコードを有するピークのみを記録するように構成され得る(レシーバが単一のトランスデューサに関連付けられているため)。(1つのレシーブ経路が1つのトランスデューサに関連付けられている場合でも、そのトランスデューサは、空中で他のコードを受信し得、そのレシーバは、他のコードとして設定されているテンプレートを備える他の相関器を介して他のコードのピーク位置を正しく識別し得る。)このように、例えば、レシーバ信号経路500が、コード1でコード化されたバーストを発信するトランスデューサに関連付けられているコントローラにある場合、ピークランク段526は、コード1ピークのみを記録するように構成され得る。ピークランク段526への制御入力は、スライディング比較ウィンドウのサイズ2winと、例えば、ピークランク段526が、ドミナントピークのみか、又はドミナントピークとセカンダリピークの両方のいずれを報告するべきか、を指定する動作のモードとを含み得る。これらの制御入力は、中央コントローラ(例えば、ECU)によって提供され得る。
【0041】
時間における各ピーク位置は、バーストの開始に関連するため、ピーク位置及び振幅が記録されると、飛行時間(ToF)は、飛行時間生成段530における各ピークに対して判定され得る。タイマー532は、発信されたバーストの開始から、リスニング期間の終了までの時間を追跡する。これは予期されるターゲット/障害物の範囲によって判定される。提供されたピーク位置からの、飛行時間生成段530によって判定された経過時間(これはバーストから発生するエコーがトランスデューサで観察される時間に対応する時間値である)に音速を掛け、(音響信号の、トランスデューサからオブジェクトまで及びそこからの戻りの往復を考慮して)2で割ると、オブジェクトの検出された距離が得られる。タイマー532は、各コード(レシーバ信号経路500が関連付けられているトランスデューサに関連付けられるコード及び/又は他のコードを含む)のバースト開始時間からの経過時間を追跡し得る。
【0042】
対応するピーク振幅及びコードIDと共に、判定された飛行時間及び/又はオブジェクト距離は中央コントローラ(例えば、ECU)534に報告され得、飛行時間フュージョン段536に提供され得る。飛行時間フュージョン段536は、複数のバーストから飛行時間情報をストアし、ストアされた情報を用いて検出されたオブジェクトの有効性を確認するために用いる。疑わしいターゲットが、複数のバーストについて、同じ位置にあることが検出された場合(例えば、超音波検出システムが取り込まれている車両の既知の動きを考慮して)、特定の位置における有効ターゲット/障害物の信頼レベルは、対応して高くなる。それに対し、大きく移動するターゲット位置は、誤検知オブジェクト位置識別(即ち、真のオブジェクトではない)を示し得る。このように、フュージョン段536による複数のバーストの追跡は、任意の1つのバーストにおいて識別されたピークが複数のバーストにわたって一貫して有効であるか否かの判定に役立つ。また更に、オブジェクトのタイプ(例えば、歩道を歩く歩行者、又は動いている自転車)等の検出されたオブジェクトの特性は、オブジェクトの動きによって推測され得、フュージョン段536は、例えば、記録されたオブジェクトの動きをデータベースと比較することによって、又はニュートラルネットワークを用いることによって、又は他の識別スキームを用いることによって、そのような特性を確認するように構成され得る。示されるように、任意のフュージョン結果も中央コントローラ(例えば、ECU)534に報告され得る。
【0043】
図6及び図7は、異なる相関器508によって検出されたピークを検証するための、相関器信号処理経路出力及びピークランク段526の機能を示す例示のグラフを示す。実線のプロットは、相関器1出力の閾値化されたエンベロープを示す。破線のプロットは、相関器2出力の閾値化されたエンベロープを示す。処理の目的は、2つの相関器出力からドミナントピークを見つけることである。識別されたピークの振幅は、「X’」で記される。検証されたピークは、ピーク位置を(時間と等価のサンプル数によって)示す縦線により、ピークに接続されたグラフの頂部の円によって示されている。これに対して、無効化されたピークは、グラフの底部の円によって示されている。
【0044】
図6において、スライディングウィンドウ606は、ピーク検証のために用いられる。ウィンドウ606は、図6に示されるように、時間にわたって、又は同等に、逐次サンプルにわたってスライドする。スライディングウィンドウ606は、例えば、サンプル数n=0からサンプル数n=5,000までスライドし得る。ピークがウィンドウ606の中間に存在する場合、そのピークは、図9のフローチャートに関連して以下に説明するプロセスによって、検証のためにチェックされ得る。要約すると、ウィンドウ606の現在の時間インデックスは、ピーク位置にウィンドウサイズを加えたものとの等価性について比較される。即ち、ピーク位置がn-2winからnの範囲を有するスライディング比較ウィンドウ606の中間に位置するときである。図6に示されるように、ピークがウィンドウ606の中間にある場合、特定のピークのサイズが、その事例においてウィンドウ内で他の相関器によって見出された全てのピークの最大と比較される。このように、図6の例において、相関器2のピーク602は、ウィンドウ606内にある相関器1のピーク608に対して比較される。スライディングウィンドウ606が、相関器1のピーク604を評価するために、時間的に更にスライドすると、そのピークは、相関器2のピーク610に対して比較される。ピーク振幅がウィンドウにおける他の相関器からの全てのピークの振幅より大きい場合、そのピークは有効なピークと宣言される。一方、ピーク振幅がウィンドウにおける全ての他の相関器ピークの振幅より大きくない場合、そのピークは有効なピークではないと宣言され、この方法は、次のサンプルインデックスに進む(即ち、図9に図示されるプロセスの最初に戻る)。
【0045】
図6の例において、相関器2(破線)の閾値化されたエンベロープ波形は、この処理の後、サンプル数およそ2,200において宣言された有効なピーク602を有するが、1,500から3,000のサンプル範囲における全ての相関器1(実線)のピークは無効なピークと宣言される。3,000から5,000のサンプル範囲では、相関器1(実線)のピーク604は有効なピークであると判定され、一方、その範囲の相関器2(破線)のピークは全て相関器からの相互相関として、無効であると判定される。
【0046】
コード1エコーが、図5Aの2つの相関器を介して処理される場合、コード1相関器508は、大きなピークに遭遇するが、コード1エコーとコード2テンプレートとの間に幾らかの残留相互相関が残る。コード1エコーとコード2テンプレートとの間のその残留相互相関は、図6において、3,000~5,000サンプル範囲における破線ピークによって示される。コード1ピーク604は、そのサンプル範囲において、コード2ピークよりはるかに高いので、図5Aのピークランク段526は、図6の3,000~5,000サンプルの間で観察されるエコーは、コード1でエンコードされたバーストのエコーであり、コード2でエンコードされたバーストのエコーではないということができる。
【0047】
図7は、ピークランク段526が、動作制御入力のモードによって、ドミナントピークだけでなくセカンダリピークも報告するように設定されるときの機能を図示する。スライディングウィンドウ706が、サンプル数2,000~2,500の間で最初に相関器1(実線)ピーク704と交差するとき、ピーク704は、スライディングウィンドウ706によって特定される幅内に入るおよそ2,500サンプルにおいて、より大きい相関器2ピークにも関わらず、セカンダリピーク閾値708より上のセカンダリピークとして検証される。ピーク702はドミナント相関器1ピークとして報告され、ピーク704はセカンダリ相関器1ピークとして報告される。全ての他のピークは無効にされる。なお、セカンダリピーク閾値708は、閾値段516によって提供される閾値と同じではない。
【0048】
図8は、図5Aにおける相関器段508のいずれかに対応し得る相関器の簡略化された例示の信号フローチャートを示す。相関器入力(RX BPF出力として示されるサンプリングされた受信信号)及びTXテンプレートがメモリバッファに入力され得、加算器及び乗算器のパイプライン演算が可能になり、面積が節約される。相関の深度は、再サンプリングされたTXテンプレートにおけるサンプルの数に等しく、それは、サンプリングされた受信信号(RX BPF出力)におけるサンプルの数に等しい。「D」と記された各ボックスは、1サンプルの遅延ユニットを表す。TXテンプレート経路における遅延ユニットの数は、再サンプリングされたTXテンプレートにおけるサンプルの数に等しく、それは、サンプリングされた受信信号経路における遅延ユニットの数に等しい。「×」と記された各円は2つの入力からのサンプルの乗算を表す。「+」と記された円は、種々の乗算されたサンプルの加算、即ち、累積を表す。動作において、TXテンプレートは固定されたままであるが、サンプリングされた受信信号は、新しくサンプリングされた受信信号入力が受け取られる各時間インデックスに対してスライドする(サンプリングされた受信信号の以前に受け取られたサンプルは、チェーンを介して左から右にシフトされる)。各時間インデックスで、受信(RX)サンプルは、TXテンプレートで乗算され、それらが合計され、所与の時間インデックスにおける相関器出力を提供する。例500の2コードシステムは、1つの相関器入力を有するが、それは、2つのTXテンプレート(2コードに対して)と相関され得、2つの相関器出力を生成し得る。
【0049】
図9は、図5Aにおけるピーク検索段518によって実施され得る、特定された最小ピーク距離を有する例示のピーク検索方法900を示す。例えばバッファにストアされたストレージユニットoutは、前にストアされた値を保持する(outは、デフォルトとしてゼロに初期化され得る)。各新しい閾値化エンベロープサンプルx(n)が導入される(902)と、新しいサンプルはストレージユニットにおける前にストアされた値と比較される(904)。現在の振幅値x(n)が、ストアされた値out(n-1)より大きい場合、ストアされた値は、現在の入力を用いて、上書きされる(906)。或いは、現在の入力が、ピーク値908に到達した後、低下し始め、条件x(n-2)<x(n-1)AND x(n)≤x(n-1)を満たす場合、方法900はこの値をストレージユニット910に記録し始める。そうでない場合、ストレージユニットは同じ値912を保持する。
【0050】
このように、方法900は、潜在的なピーク位置を検出し、更に、この新しく検出された潜在的なピーク位置を前に記録されたピーク位置と比較し得、この新しく検出された潜在的なピーク位置が、前に記録されたピーク位置からの最小距離より大きいか否かを確認する。最後のピークが、新しく識別された潜在的なピークから最小距離よりも大きく離れている場合(914)、新しく識別された潜在的なピークは確認されたピークと宣言され、そのように記録される(916)。一方、最後のピークが、新しく識別された潜在的なピークから最小距離914よりも小さく離れている場合、新しく識別された潜在的なピークは、前に記録されたピークより振幅において大きい場合(918)、確認されたピークであり(前に記録されたピークと置き換わる(920))。
【0051】
最小ピーク距離は、およそ自己相関パルスの幅、例えば、およそ1/Bサンプルとして設定され得、Bはトランスデューサの帯域幅である。複数のピークが自己相関機能の頂部付近に存在し得るので、複数の間隔が狭いピークを捕捉することを避けるために、最小ピーク距離が用いられる。最小ピーク距離は、例えば、プログラム可能なレジスタ設定であり得る。例として、トランスデューサ帯域幅B=5kHzであり、トランスデューサ周波数が55kHzである場合、最小ピーク距離は、1/5000×55,000×7(オーバーサンプリングの場合)=77サンプルにほぼ等しく成り得る。ここで7は、ADCサンプリングレートをトランスデューサ周波数で割った比である。それは、主として、ADCの前のアンチエイリアシングフィルタの帯域幅によって決定される。Bが1kHzから8kHzまで変化し、トランスデューサ周波数が40kHzから80kHzまで変化する場合、最小ピーク距離は、round(1/B×transducerFrequency×7)として設定され得る。なお、この数は、ADCサンプルの単位である。それはまた、round(1/B×ransducerFrequency×7/ADCSampleRate)として時間を表す数でもあり得る。
【0052】
図10及び図11は、それぞれ、例示のピークランク方法1000及び1100を示す。図5Aのピークランク段526は、ピークが有効か否か、及び有効なピークのコードIDを判定するために用いられる。図10の方法1000は、ピークランク段526の機能の1つのモードを図示し、図6のグラフに関連して見ることができる。入力ピーク1002が、条件n==peak.loc+winによって示されるように、時間ウィンドウ606の中央位置にある場合(その幅2winは、例えば、プログラム可能レジスタ設定であり得る)、そのピークが全ての他の相関器出力におけるピークと比較される(1008)、即ち、同じ時間ウィンドウ1006内の、異なる相関器からのピークに対して比較される。入力ピークが最大である場合、それは有効なピークであると宣言される(1010)。そのピーク位置、振幅、及びコードID(相関器番号)は、その後、ピークバッファに記録され保持される。しかしながら、入力ピークが、同じウィンドウにおけるピークの中で最大ではない場合、それは無効と宣言され(1012)、そのプロセスは次の入力ピークに対して開始する。入力ピークが、スライディングウィンドウの中央にない場合(1004)、サンプルインデックスnが増分され、それによって、ウィンドウをスライドさせ、再びピークについてウィンドウの中間がチェックされる(1004)。
【0053】
方法1000に関して、図6のグラフは、2つの相関器を用いる例を示す。スライディングウィンドウ606は、チェックされるべき時間ウィンドウである。示されている特定の時間において、チェックされている(602)相関器の2つのピークはウィンドウ606の中央にあり、それは、ウィンドウ内の全ての相関器出力ピークの中で最大である。従って、ピーク602は有効なピークとして宣言される。
【0054】
図10におけるアプローチ1000は、ウィンドウにおけるドミナントピークのみを検出するように構成される。従って、小さいオブジェクトが大きいオブジェクトの前にある場合、大きいオブジェクトの相互相関が小さいオブジェクトの自己相関ピークより大きいと、それは見逃される可能性がある。小さいオブジェクトを検出するために、方法1000は、方法1100におけるように、有効なドミナントピークを見つけた後、セカンダリピークを探し続けるように修正され得る。方法1100の上部は、図10における方法1000と同じように機能し、方法1100の部分1102から1112は方法1000の1002から1012と同じように機能する。図11のフローチャートに示されるように、図7のグラフに関連してみることができるが、ドミナントピーク1110を見つけた後、そのドミナントピークより時間的に2winウィンドウサイズ前において、2番目に大きいピークが見つけられる(1114)。
【0055】
この識別されたセカンダリピークが事前定義されたセカンダリピーク閾値(図7において、セカンダリピーク閾値708として示される)より大きい場合(1116)、このピークが、このセカンダリピークの位置より時間的に前のウィンドウ内の他の相関器からのピーク(1118)より大きいか否かが判定される(1120)。(このように、図11におけるボックス1118において、peak.locは、新しく見出されたセカンダリピークの位置であり、ひし形1104におけるpeak.locと同じではないことに留意する。)それも真である場合、このセカンダリピークも有効なピークと宣言される(1122)。セカンダリピーク閾値(例えば、閾値708)は、例えば、ドミナントピークからのサイドローブを無視するように定義される。例えば、図7に示されるように、閾値は、検出されたドミナントピークのいずれかの側におけるウィンドウ幅の2分の1内で検出されたドミナントピークの0.25倍に設定され得、検出されたドミナントピークのいずれかの側におけるウィンドウ幅の2分の1の外では0の振幅(即ち、高さ)に設定され得る。識別されたセカンダリピークがこのセカンダリピークの位置より時間的に前のウィンドウ内の他の相関器からのピーク(1118)より大きくない場合、それは、無効なピークとして宣言される(1124)。
【0056】
図7のグラフにおいて示される事例において、図10の以前のアプローチ1000が用いられる場合、相関器1ピーク704は、相関器2出力における他の全てのピークより大きくないため、無効として宣言される。相関器2ピークは、約2,500サンプルにおいて、ウィンドウ内に入り、ピーク704より大きい。この小さい方のピーク704を見逃さないために、ドミナントピーク702が一旦検証されると、方法1100は、その前にある他の相関器1ピークのどれかをセカンダリピークとして検証されるべきか否かを確認するために用いられ得る。大きなピークの前にあるより小さいピークのこの検証は、超音波検出システムが大きなオブジェクトの前にある小さいオブジェクトを検出するために役立ち得る。例として、オートモティブ応用例の文脈において、方法1100は、自動車と大きな壁との間の薄い道標の検出を確実にすることに役立ち得る。そうでなければ、道標は、壁によって生成されるドミナント音響反射の観点から、検出されないこともあり得る。
【0057】
図12は、ドップラーコード化を備えるコード化処理を用いて、例えば、それぞれ、それ自体のシグネチャ周波数変調コードを有するバーストシグネチャを発信する2つ又はそれ以上の異なる超音波トランスデューサからの2つ又はそれ以上のコード化信号を区別するシステムにおける別の例示のレシーバ信号経路1200を示す。上述したように、反射された超音波信号は、超音波トランスデューサによって検出され得、往復時間を測定するために用いられ得、それによって、超音波信号を反射したオブジェクトまでの距離を判定し得る。超音波トランスデューサと超音波信号を反射するオブジェクトとの間の相対速度がゼロの場合(例えば、自動車がオブジェクトに対して静止している場合)、往復時間は容易に且つ正確に判定され得る。しかしながら、超音波トランスデューサとオブジェクトとの間の相対速度がゼロ以外の場合、受信された超音波信号にドップラーシフトが生成される。即ち、受信された超音波信号の周波数は、最初にトランスデューサによって送信された周波数とは異なり得る。トランスデューサとオブジェクトとの間の距離が時間経過とともに増大すると、受信された超音波信号の周波数は送信された信号の周波数より低くなり、またその逆も同様である。トランスデューサとオブジェクトとの間の相対的速度は、自動車が静止オブジェクトから離れていくか又はそれに向かっていくかに起因し得、オブジェクトが移動して自動車が停止している場合もあり得、又は自動車とオブジェクトの両方が動いている場合もあり得る。
【0058】
ピーク振幅情報及びドップラーテンプレート情報は、ドップラー周波数シフトを計算し、ドップラーが関連するピーク位置シフトを修正するために有用である。従って、例1200は、超音波トランスデューサに対して移動しているオブジェクトに対するドップラーシフトを判定し得る超音波検知システムに向けられる。このシステムは、トランスデューサとオブジェクトとの間の音波の往復時間を判定し、ドップラーシフトを判定し、ドップラーシフトに対する測定された時間を修正する。測定されたドップラーシフトは、オブジェクトがセンサに近づいている、或いは、センサから遠ざかっているというメッセージ、アラート、アナウンス等を生成するためにも用いられ得る。
【0059】
図12のレシーバ信号経路1200における段1202、1204、1208、1210、1216、1218、1224、1226、1230、1232、1234、及び1236は、図5Aのレシーバ信号経路500における段502、504、508、510、516、518、524、526、530、532、534、及び536に対応して番号が付され、すでに上記にレシーバ信号経路500に関して説明されているように、同様に機能する。超音波トランスデューサに対して移動するターゲット/障害物によって引き起こされるドップラー効果は、周波数シフトされたエコーを引き起こし、周波数シフトされたエコーは、対応する周波数シフトされたテンプレートに適応され得る。従って、ドップラー効果の検出を可能にするためにドップラーシフト化周波数に対する特定のテンプレートが生成され得、それによってオブジェクトとトランスデューサの相対的な速度が理解され得る。
【0060】
図12の例示のレシーバ信号経路1200において、各それぞれの並列信号処理経路のピークバッファ1224は、コード1ドップラーが観察されるか又はコード2ドップラー反射が観察されるかを判定し得る。2つのピークランクブランチ1226によって生成される有効なピークが、2つのピークランク段1226からのピークを関連付けるために付加的な処理を行うように構成されるドップラー段1228を通過する。従って、ピーク振幅情報及びドップラーテンプレート情報は、ドップラー周波数シフトを計算し、ドップラー関連ピーク位置シフトを修正するために用いられ得る。本明細書で用いられるタイプのドップラーシフト処理は、2018年12月26日出願の米国特許出願番号16/232、308、「ドップラーシフトの存在下における超音波エコー処理」に更に説明され、それは、参照として本明細書に組み込まれる。
【0061】
図13は、ドップラーシフト処理方法1300を図示するフローチャートである。一方はプラスのドップラーシフトを有するドップラーテンプレートを有し、他方はマイナスのドップラーシフトを有するドップラーテンプレートを有する、2つの相関器が、方法1300への入力として、それぞれのピーク1302、1304を提供する。これら2つのテンプレートは、米国特許出願番号16/232、308に記載されているように、ドップラーシフトの所望の量によって調整されるデシメーション比率を用いて、TXバーストパターンをデシメーションすることによって生成される。各相関器からのピークは、サイドローブピークをなくすために、最初に、それぞれのピークランキング1306、1308を通過する。ピークランキング1306、1308の後の有効なピークが有効ピークバッファに書き込まれる(1310)。現在の時間インデックスが、有効なピークバッファにおけるピーク位置+ドップラーウィンドウストップ数+ランクウィンドウサイズに等しい場合(1312)、及びピークがチェックされていない場合(1314)、そのピークに対してチェックが実施される。最初に、他の相関器出力におけるチェッキングウィンドウ(peak.loc+dopplerWinStartからpeak.loc+dopplerWinStop)においてピークが存在するか否かが判定される(1316)(現在のピークがプラスのドップラーシフトを有する相関器からのものである場合、他の相関器はマイナスのドップラーシフトを有するものであり、又はその逆も同様である)。(1320において)他の相関器出力においてピークが存在する場合、第1のピークを選択する(1322)。他の相関器からの第1のピーク及びチェックされている現在のピークを、チェック済みとして記す(1322)。2つのピークの大きい方の振幅、位置、相関器数を報告する(1322)。(1320において)他の相関器出力にピークが存在しない場合、現在のピークをチェック済みとして記す(1324)。そのピークの振幅、位置、相関器数を報告する(1324)。
【0062】
図13の方法1300において、dopplerWinStart及びdopplerWinStopの値は、図14に示されるように計算され得る。公称ドップラーピーク距離dopplerPeakDistは、エコーが入る2つの相関器出力の間の公称ピーク距離である。これは、レジスタ設定を介してプログラミングされ得るか又はバースト信号から記録され得る。(後者のケースでは、トランスデューサがバーストすると、バースト信号も電気的にレシーバに結合する。結合されたバースト信号は、第1の相関器出力において大きなピークを生成し、第2の相関器出力において大きなピークを生成する。2つのピーク間の距離は、公称ピーク距離(dopplerPeakDist)として記録され得、用いられ得る。)値dopplerCheckOffsetは、例えばユーザによってプログラミングされ得、例えば、0.25に設定され得る。従って、ドップラーピークの各々を有効又は無効として指定することは、チェックされる各ピークに対して、公称ドップラーピーク距離に基づいて、時間ウィンドウのそれぞれの開始及び終了時間を確立するために、チェックされているピークの時間に対して2つの値を加算することによって時間ウィンドウを確立することと、チェックされているピークが常駐するドップラーエンベロープからの第1又は第2のドップラーエンベロープの他において、時間ウィンドウ内のピークを検索することと、及びチェックされているピークを時間ウィンドウ内のピークに比較し、チェックされているピークと時間ウィンドウにおけるピークの内の大きい方のみを有効なピークとして指定することとを含み得る。
【0063】
レシーバ信号経路1200は、2コード例を表すが、他の例(図示されていない)において、レシーバ信号経路1200は、4つのバーストコード(コード1、コード2、コード1ドップラー、及びコード2ドップラー)に関与する4つの並列処理経路を有し得、通常及びドップラー経路をドップラー段1228にマージし得る。
【0064】
図15Aは、コード化された処理を用いるが、図15Cに示されるように、生成されたエンベロープ1512においてサイドローブを生成し得るコード1と示される1つのバーストコードのみに関与するシステムにおける、更に別の例示のレシーバ信号経路1500を示す。図15Aのレシーバ信号経路1500における段1502、1504、1508、1510、1516、1518、1524、1526、1530、1532、1534、及び1536は、図5Aのレシーバ信号経路500における段502、504、508、510、516、518、524、526、530、532、534、及び536に対応して番号が付され、レシーバ信号経路500に関して既に上述されているように、同様に機能する。図15B図15C、及び図15Dに示されるグラフ1506、1512、及び1520は、従って、それぞれ、図5B図5C、及び図5Eに示されるグラフ506、512、及び520に類似している。しかしながらレシーバ信号経路1500において、ピークランク段1526は、図5Eにおけるグラフ1528に示されるように、サイドローブを消去し、メインピークのみを保持するように構成される。図15Cに示されるグラフ1512は、そのメインピーク及びサブピークの相対的な振幅に関連するサイドローブ比を有し、レシーバ信号経路1500が上述した検索ウィンドウ内で、ピーク比較を実施するとき、このシステムは、最大ピークをみつけ、最大ピークの振幅にサイドローブ比(例えば、0.25)を乗算し、サイドローブ閾値レベルを計算する。その後、ピークがサイドローブ閾値レベルより低い場合、それは有効なピークとして検証されない。
【0065】
飛行時間検出は、1つのコードのみが「空中」にあるとき(即ち、1つのシグネチャコードのバーストのみが発信されていて、その予期された反射受信時間が期限切れになっていないとき)、例えば、例示のレシーバ信号経路500又は例示のレシーバ信号経路1200のそれから例示のレシーバ信号経路1500のそれに単純化され得る。自己相関出力にサイドローブが存在しない場合、飛行時間は、閾値交差によって、或いはピーク検索出力におけるピークの位置から判定され得る。サイドローブが存在する場合、ドミナントピークのサイドローブから幾つかのピークが来ることがあり得る。
【0066】
図16は、そのようなサイドローブピークをなくすために用いられ得る方法1600を図示する。方法1600は、ドミナントピーク検出を実施することにおいて、図10のピークランク方法1000に類似している。方法部分1602、1604、1606、1610、及び1612は、同様に番号が付された方法部分1002、1004、1006、1010、及び1012に対応し、図10に関して上述されたように、同様に機能する。図16の方法1600における違いは、1008におけるように他の相関器出力をチェックするのではなく、方法1600は、同じ相関器出力における他のピークをチェックし、現在のピークが、閾値に対して、他のドミナントピークのサイドローブであるか否かを判定する(1608)。閾値は、自己相関出力形状に基づいて変化し得るか、又は例えば、検索ウィンドウ内の最大ピークの振幅の0.25倍等の値に固定され得る。この検索ウィンドウは、前述の幅2winの検索ウィンドウと実質的に同じである。現在のサンプルnから、それはn-2winからnの幅である。ピーク位置から、それはpeak.loc-winからpeak.loc+winである。サイドローブピークをなくすことは、付加的に又は代替として、エンベロープ段1510に続く閾値段1516において時間変動閾値の適切な、より高い調節を用いて達成され得る。
【0067】
例示の超音波検出システムはまた、予期される「空中のコード」の数(即ち、システムにおける複数のトランスデューサによって最近発信され、予期されるエコータイムアウトが期限切れしていない、異なるバーストパターンの数)等の種々の基準に基づいて、種々の例示のレシーバ信号経路500、1200、1500の間の自動モード切り替えを実施し得る。例えば、中央コントローラは、レシーバ経路を含むコントローラに、1つのコードのみが空中にあることを報告し得、経路例1500へのモード切り替えを促し得る。その後、複数のコードが空中にあるという報告が例500又は1200へのモード切り替えを促し得る。このように、このシステムは、予期されるエコータイムアウトが期限切れしていない、バーストパターンがシステムにおける異なるトランスデューサによって発信されていないことを示す中央コントローラからの信号に基づいて、シングル信号処理経路を有するシングル相関器構成と、予期されるエコータイムアウトが期限切れしていない、バーストパターンがシステムにおける異なるトランスデューサによって発信されていることを示す中央コントローラからの信号に基づいて、複数の信号処理経路を有する複数相関器構成との間で、自動的に切り替えるように構成され得る。
【0068】
図17は、超音波検出の方法1700を図示する。可変持続時間のパルスのシーケンスを含む周波数変調コード化されたバースト信号が生成される(1702)。バースト信号に基づく超音波音響信号が発信される(1704)。その後、反射音響信号が変換される。変換された反射音響信号からサンプリングされた受信信号が、生成されたバースト信号の周波数変調コードを特徴付ける送信テンプレートと相関される(1708)。その後、相関された受信信号から導出されるエンベロープにおけるピークのそれぞれの位置及び振幅を判定することによって1つ又は複数のピークが検出される(1710)。検出(1710)は、検出されたピークが、各々、互いに、事前定義された最小距離を有することを確実にするように動作する。検出されたピークは、その後、それらの振幅及び位置によって、ストアされる(1712)。ストアされたピークは、それらの各々を有効又は無効として指定するために互いに比較される(1714)。その後、検出されたオブジェクトまでの間の距離を示す音響信号及び反射音響信号の飛行時間が計算され得る(1716)。この方法は、例えば、それぞれ図5A図12、及び図15Aに図示されるレシーバ信号経路500、1200、又は1500のいずれかを含む超音波検出システムによって実施され得る。
【0069】
本明細書に説明されるシステム及び方法は、各々が、受信信号を送信テンプレートと相関させるように構成される相関器、ピーク間の特定された最小ピーク距離を有するピークを検索するように構成されるピーク検索段、ピーク検索出力をストアするように構成されるピークバッファ、及び、複数の超音波トランスデューサが同時にバーストするときに、複数の相関器出力を比較しそれと共に、受け取られたコード化された超音波反射の区別を改善するように構成されるピークランク段を有する1つ又は複数の並列レシーバ信号処理経路を用い得る。本明細書に説明されるシステム及び方法はまた、1つのコードのみが空中にあるとき、相関器出力のサイドローブの低減を有利に提供し得る。本明細書に説明されるシステム及び方法は、ドミナントピークとセカンダリピークの両方を報告することによって、そうでなければより大きい障害物によって隠される可能性のあるより小さい障害物の検出を更に有利に可能にし得る。本明細書に説明されるシステム及び方法は更に、超音波検出トランスデューサに対して移動する障害物の検出に対して、ドップラー処理を適応させ得る。本明細書に説明されるシステム及び方法は、複数のセンサの同時バーストを可能にし、それにより、走査時間を低減し、システム応答性を改善する。それらは、また、コード化されたバースト波形を用いることを可能にし、それは、干渉に対してよりロバストである。更に、それらは、ドミナントピークのみ、又はドミナントピークとセカンダリピークの両方を検出するように構成可能であり、それによって、より大きい障害物の前にある小さいターゲット/障害物の検出が改善される。それらは、複数のセンサのバースト時間に基づいて飛行時間を計算し得、飛行時間フュージョンを用いて複数のバーストを長期にわたって追跡し(即ち、複数の連続バーストからのエコー情報を組み合わせ得)、誤ったエコーを除去する。
【0070】
特定用途向けIC(ASIC)又は複数のASICを用いて、本明細書に説明されるシステムは実装され得、本明細書に説明される方法は実行され得る。幾つかの例において、システム及び方法は、相関器、エンベロープ段、閾値段、ピーク検索段、ピークバッファ段、ピークランク段、及び飛行時間生成段において関与される信号処理をソフトウェア命令として実行するようにプログラミングされた汎用デジタル電子コンピュータを用いて、実装又は実行され得る。
【0071】
本明細書において、用語「基づく」は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。本明細書において、用語「結合する」は、間接的又は直接的な有線接続又はワイヤレス接続のいずれかを意味する。従って、第1のデバイス、要素、又は構成要素が第2のデバイス、要素、又は構成要素に結合する場合、その結合は、直接結合を介してもよく、他のデバイス、要素、又は構成要素、及び接続を介する間接的な結合を介してもよい。同様に、第1の構成要素又は位置と、第2の構成要素又は位置との間に結合されているデバイス、要素、構成要素は、直接接続を介してもよく、他のデバイス、要素、又は構成要素、及び結合を介する間接接続を介してもよい。タスク又は機能を実施するように「構成される」デバイスは、製造元によって製造された時点で、その機能を実施するように構成され(例えば、プログラミングされる及び/又はハードワイヤードされ)得、又は製造の後、ユーザによってその機能及び/又は他の付加的又は代替の機能を実施するように構成され得る(又は再構成可能である)。構成は、そのデバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介して、ハードウェア構成要素の構成及び/又はレイアウト、又は、そのデバイスの及びデバイスの相互接続を介して、又はそれらの組み合わせを介して行われ得る。更に、或る構成要素を含むと言われる回路又はデバイスが、その代わりに、説明された回路要素又はデバイスを形成するために、それらの構成要素に結合するように構成され得る。例えば、1つ又は複数の半導体要素(トランジスタ等)、1つ又は複数の受動要素(抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタ等)、及び/又は1つ又は複数の電源(電圧及び/又は電流電源等)を含むように説明される構造は、その代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内に1つの半導体要素のみを含み得る。また、例えば、エンドユーザ及び/又はサードパーティによって、製造時又は製造時以降に、説明された構造を形成するために、受動要素及び/又は電源の少なくとも幾つかに結合するように構成され得る。
【0072】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態における変更が可能であり、他の実施形態が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
図17