(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】ワイヤーボンディングツールのクリーニングシステム、そのシステムを含むワイヤーボンディング装置、および関連する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20231109BHJP
B08B 1/04 20060101ALI20231109BHJP
B08B 5/04 20060101ALI20231109BHJP
B08B 7/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01L21/60 301G
H01L21/60 301D
B08B1/04
B08B5/04 A
B08B7/00
(21)【出願番号】P 2020539766
(86)(22)【出願日】2019-01-30
(86)【国際出願番号】 US2019015918
(87)【国際公開番号】W WO2019152561
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-27
(32)【優先日】2018-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506395943
【氏名又は名称】クリック アンド ソッファ インダストリーズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】クレーナー、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】デ ジーザス ロザノ デ アルバ、ホセ
(72)【発明者】
【氏名】フ、ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】マフムディ、マシ
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-190589(JP,A)
【文献】特開平07-321143(JP,A)
【文献】特開平06-318618(JP,A)
【文献】特開2012-015262(JP,A)
【文献】特開平02-248055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
B08B 1/04
B08B 5/04
B08B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーボンディング装置であって、
ワイヤーボンディングツールと、
前記ワイヤーボンディングツールのボンディング面の下の位置にワイヤーを案内するワイヤーガイドであって、このワイヤーガイドは(i)前記ワイヤーボンディングツールに対する係合位置と(ii)前記ワイヤーボンディングツールに対する非係合位置との間を移動するように構成されている、前記ワイヤーガイドと、
ボンドオフステーションであって、当該ボンドオフステーションにおいて、前記ワイヤーの末端部分が基板に接合されて接合された末端部分が形成されるものであり、且つ、当該ボンドオフステーションにおいて、前記ワイヤーが前記接合された末端部分から分離され、当該分離により、前記ワイヤーの他方の末端部分が前記ワイヤーボンディングツールの作業面から離れる方へ曲げられるものである、前記ボンドオフステーションと、
前記ワイヤーガイドが前記非係合位置にあるときに前記ワイヤーボンディングツールの先端部の少なくとも一部をクリーニングするクリーニングステーションと
を有
し、
それにより、(a)前記ワイヤーガイドの前記非係合位置への移動は、(b)前記ボンドオフステーションでの前記作業面から離れる方への前記他方の末端部分の曲げと相まって間隙を形成するものであり、当該間隙は前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部が前記クリーニングステーションでクーニングできるような間隙である、
ワイヤーボンディング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、前記クリーニングステーションは少なくとも1つのブラシを含むものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項3】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、さらに、前記ワイヤーボンディングツールを搭載したボンドヘッドアセンブリを有し、このボンドヘッドアセンブリは、前記ワイヤーボンディングツールを複数の軸に沿って移動させるように構成されている、ワイヤーボンディング装置。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤーボンディング装置において、前記クリーニングステーションは少なくとも1つのブラシを含み、前記ボンドヘッドアセンブリはクリーニングのために前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部が前記少なくとも1つのブラシと接触する位置に前記ワイヤーボンディングツールを移動させるものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項5】
請求項4に記載のワイヤーボンディング装置において、前記ワイヤーボンディングツールの前記先端
部が前記少なくとも1つのブラシと接触している間、前記ボンドヘッドアセンブリは所定の運動プロファイルに従って前記少なくとも1つのブラシに対して前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部を移動させるものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項6】
請求項5に記載のワイヤーボンディング装置において、前記所定の運動プロファイルはジグザグ運動経路を含むものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項7】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、前記クリーニングステーションは、前記ワイヤーボンディングツールのクリーニング操作に関連して作動されるように構成されたモーター駆動ブラシを含むものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項8】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、さらに、前記ワイヤーボンディングツールを前記クリーニングステーションでクリーニングした後に、前記ワイヤーボンディングツールの一部を検査する検査システムを有する、ワイヤーボンディング装置。
【請求項9】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、さらに、前記クリーニングステーションによる前記ワイヤーボンディングツールのクリーニングから生じる破片を収集する破片収集システムを有する、ワイヤーボンディング装置。
【請求項10】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、前記クリーニングステーションは前記ワイヤーボンディングツールをクリーニングするためのエネルギー源を含むものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項11】
請求項10に記載のワイヤーボンディング装置において、前記エネルギー源はレーザー光源を含むものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項12】
請求項11に記載のワイヤーボンディング装置において、前記レーザー光源はクリーニング操作に関連する所定の運動プロファイルに従って前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部に対して移動するように構成されている、ワイヤーボンディング装置。
【請求項13】
請求項11に記載のワイヤーボンディング装置において、前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部はクリーニング操作に関連する所定の運動プロファイルに従って前記レーザー光源に対して移動するように構成されている、ワイヤーボンディング装置。
【請求項14】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、前記クリーニングステーションは、前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の少なくとも一部に対応する形状を有するプリフォーム構造を含むものであり、このプリフォーム構造は前記ワイヤーボンディングツールから破片を除去するように構成されている、ワイヤーボンディング装置。
【請求項15】
請求項14に記載のワイヤーボンディング装置において、前記プリフォーム構造の形状は前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の溝に対応するものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項16】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、前記クリーニングステーションは前記ワイヤーボンディングツールをクリーニングするための噴射式クリーニング源を含むものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項17】
請求項16に記載のワイヤーボンディング装置において、前記噴射式クリーニング源は、(i)前記ワイヤーボンディングツールをクリーニングするためのガス圧式クリーニング機構、(ii)前記ワイヤーボンディングツールをクリーニングするためのCO
2ベースのクリーニング機構、(iii)前記ワイヤーボンディングツールをクリーニングするためのサンドブラストベースのクリーニング機構、および(iv)前記ワイヤーボンディングツールをクリーニングするためのビードブラストベースのクリーニング機構のうちの少なくとも1つを含むものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項18】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、さらに、前記ワイヤーボンディングツールを搭載した超音波発生器を有し、前記超音波発生器は前記クリーニングステーションでのクリーニング操作の少なくとも一部の間に前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部に超音波運動を提供するものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項19】
請求項1に記載のワイヤーボンディング装置において、(i)前記ワイヤーボンディングツールに対する前記係合位置と(ii)前記ワイヤーボンディングツールに対する前記非係合位置との間の移動は自動化されているものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項20】
ワイヤーボンディング装置であって、
ワイヤーボンディングツールと、
ボンドオフステーションであって、当該ボンドオフステーションにおいて、前記ワイヤーの末端部分が基板に接合されて接合された末端部分が形成されるものであり、且つ、当該ボンドオフステーションにおいて、前記ワイヤーが前記接合された末端部分から分離され、当該分離により、前記ワイヤーの他方の末端部分が前記ワイヤーボンディングツールの作業面から離れる方へ曲げられるものである、前記ボンドオフステーションと、
前記他方の末端部分が前記作業面から離れる方へ曲げられた後に前記ワイヤーボンディングツールをクリーニングするクリーニングステーションであって、少なくとも1つのブラシを含むものであり、前記少なくとも1つのブラシは前記ワイヤーボンディング装置上に固定ブラシを含み、前記ワイヤーボンディングツールは、クリーニング操作中、前記ワイヤーボンディングツールの先端部が前記固定ブラシと接触するように動かされるように構成されているものである、前記クリーニングステーションと
を有するワイヤーボンディング装置
【請求項21】
請求項20に記載のワイヤーボンディング装置において、前記ワイヤーボンディングツールは前記クリーニング操作に関連する所定の運動プロファイルに従って動くように構成されている、ワイヤーボンディング装置。
【請求項22】
請求項20に記載のワイヤーボンディング装置において、さらに、前記ワイヤーボンディングツールを搭載した超音波発生器を有し、前記超音波発生器は、前記クリーニング操作の少なくとも一部の間、前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部に超音波運動を提供するものである、ワイヤーボンディング装置。
【請求項23】
請求項20に記載のワイヤーボンディング装置において、さらに、前記ワイヤーボンディングツールのボンディング面の下の位置にワイヤーを案内するワイヤーガイドを有し、前記ワイヤーガイドは、(i)前記ワイヤーボンディングツールに対する係合位置と(ii)前記ワイヤーボンディングツールに対する非係合位置との間を自動移動するように構成されている、ワイヤーボンディング装置。
【請求項24】
ワイヤーボンディング装置のワイヤーボンディングツールの先端部をクリーニングする方法であって、
(a
1)
ワイヤーの末端部分を前記ワイヤーボンディングツールの作業面から離れる方へ曲げるように、前記ワイヤーボンディング装置のボンドオフステーションでボンドオフプロセスを行う工程と、
(a2)前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部が前記ワイヤーボンディング装置のクリーニングステーションに接近できるように、
ワイヤーガイドの作動を通じて前記ワイヤーの末端部分を前記ワイヤーボンディングツール
の前記作業面からさらに離
れる方へ動かす工程と、
(b)工程(a1)
及び(a2)の後に、前記クリーニングステーションで前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の少なくとも一部をクリーニングする工程と
を有する方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、
前記ワイヤーガイドは、前記ワイヤーボンディングツールのボンディング面の下の位置にワイヤーをガイドする
ように前記ワイヤーボンディング装置に設けられているものであり、工程(a
2)は前記ワイヤーガイドを(i)前記ワイヤーボンディングツールに対する係合位置から(ii)前記ワイヤーボンディングツールに対する非係合位置に移動させる工程を含むものであり、工程(b)は、前記ワイヤーガイドが前記非係合位置にあるときに前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の少なくとも一部のクリーニングをする工程を含むものである、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法において、前記クリーニングステーションは少なくとも1つのブラシを含むものである、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法において、さらに、前記ワイヤーボンディングツールを搭載したボンドヘッドアセンブリを有し、前記ボンドヘッドアセンブリは前記ワイヤーボンディングツールを複数の軸に沿って移動させるように構成されている、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、前記クリーニングステーションは少なくとも1つのブラシを含むものであり、前記ボンドヘッドアセンブリは前記先端部の少なくとも一部をクリーニングするために前記ワイヤーボンディングツールを当該ワイヤーボンディングツールの前記先端部が前記少なくとも1つのブラシと接触する位置に動かすものである、方法。
【請求項29】
請求項24に記載の方法において、前記クリーニングステーションは前記ワイヤーボンディングツールのクリーニング操作に関連して作動されるように構成されたモーター駆動ブラシを含むものである、方法。
【請求項30】
請求項24に記載の方法において、さらに、工程(b)の後に、前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部を検査する工程を有する、方法。
【請求項31】
請求項24に記載の方法において、さらに、前記クリーニングステーションによる前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の少なくとも一部をクリーニングすることから生じる破片を破片収集システムを用いて収集する工程を有する、方法。
【請求項32】
請求項24に記載の方法において、前記クリーニングステーションは、前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の少なくとも一部をクリーニングするためのエネルギー源を含むものである、方法。
【請求項33】
請求項24に記載の方法において、前記クリーニングステーションは前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の少なくとも一部に対応する形状を有するプリフォーム構造を含むものであり、前記プリフォーム構造は前記ワイヤーボンディングツールから破片を除去するように構成されている、方法。
【請求項34】
請求項24に記載の方法において、前記クリーニングステーションは前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の少なくとも一部をクリーニングするための噴射式クリーニング源を含むものである、方法。
【請求項35】
請求項24に記載の方法において、前記ワイヤーボンディング装置は前記ワイヤーボンディングツールを搭載した超音波発生器を含むものであり、前記超音波発生器は前記クリーニングステーションのクリーニング操作の少なくとも一部の間に前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部に超音波運動を提供するものである、方法。
【請求項36】
請求項24に記載の方法において、前記ワイヤーボンディング装置は前記ワイヤーボンディングツールのボンディング面の下の位置にワイヤーをガイドする
前記ワイヤーガイドを含むものであり、前記ワイヤーガイドは(i)前記ワイヤーボンディングツールに対する係合位置と(ii)前記ワイヤーボンディングツールに対する非係合位置との間を自動移動するように構成されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2018年1月30日に出願された米国仮特許出願第62/624,037号の利益を主張するものであり、その内容はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ワイヤーボンディングツールのクリーニングに関し、より具体的には、ワイヤーボンディング装置のワイヤーボンディングツールをクリーニングする改善されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体パッケージング産業および電気的相互接続を必要とするその他の産業において、ワイヤーおよびリボンボンディングはワイヤーボンディング装置の使用に際し広く採用されている技術である。ワイヤーボンディング操作およびリボンボンディング操作では、様々な種類のエネルギー(例えば、超音波エネルギー、熱音波エネルギー、熱圧縮エネルギー等)を用いてワイヤー/リボンの端部が第1の接合位置に接合される。前記第1の接合位置で第1の接合が形成された後、ある長さのワイヤー/リボンが第2の接合位置まで延長され、次いで第2の接合位置で第2の接合が形成される。
【0004】
従来のワイヤーボンディング(例えば、ボールボンディング、ウェッジボンディング、リボンボンディング等)において、ワイヤー/リボンに使用される例示的な導電性材料としては、とりわけ、アルミニウム、銅、金が挙げられる。
【0005】
ワイヤーボンディングの課題は、ワイヤーボンディング操作(wire bonding operation)で使用されるワイヤーボンディングツールの汚染である。例えば、ウェッジボンディング操作およびリボンボンディング操作では、ツールがワイヤー(例えば、アルミニウムワイヤー)の小片で汚染されることがある。この汚染はワイヤーボンディング操作の有効性に影響を及ぼす。ツールの交換および/またはツールのクリーニングは操作の遅延や過分な費用をもたらす可能性がある。
【0006】
したがって、ワイヤーボンディング装置のワイヤーボンディングツールのための改善されたクリーニングシステム、そのようなクリーニングシステムとリボンボンディングツールとを含む改善されたワイヤーボンディング装置、およびワイヤーボンディング装置のワイヤーボンディングツールをクリーニングする改善された方法を提供することが望ましい。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 特開平05-190589号公報
(特許文献2) 米国特許出願公開第2013/0341377号明細書
(特許文献3) 米国特許出願公開第2005/0184133号明細書
(特許文献4) 特開2008-147550号公報
(特許文献5) 米国特許出願公開第2002/0096187号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な実施形態によれば、ワイヤーボンディング装置が提供される。このワイヤーボンディング装置は、(a)ワイヤーボンディングツールと、(b)前記ワイヤーボンディングツールのボンディング面の下の位置にワイヤーを案内するワイヤーガイドであって、このワイヤーガイドは(i)前記ワイヤーボンディングツールに対する係合位置(例えば、
図3B参照)と(ii)前記ワイヤーボンディングツールに対する非係合位置(
図3D参照)との間を移動するように構成されている、前記ワイヤーガイドと、(c)前記ワイヤーガイドが前記非係合位置にあるときに前記ワイヤーボンディングツールの先端部の少なくとも一部をクリーニングするクリーニングステーションとを含む。前記係合位置は、前記ワイヤーガイドが前記ワイヤーボンディングツールの前記ボンディング(作業)面の下の位置にワイヤーの端部を案内する位置である。前記非係合位置は前記ワイヤーガイドが前記係合位置から離れた(例えば、離れるように旋回された)位置である。
【0008】
本発明の他の例示的な実施形態によれば、ワイヤーボンディング装置が提供される。ワイヤーボンディング装置は、(a)ワイヤーボンディングツールと、(b)前記ワイヤーボンディングツールをクリーニングするクリーニングステーションであって、少なくとも1つのブラシを含むものであり、前記少なくとも1つのブラシは前記ワイヤーボンディング装置上に固定ブラシを含み、前記ワイヤーボンディングツールは、クリーニング操作中、当該ワイヤーボンディングツールの先端部が前記固定ブラシと接触するように動かされるように構成されているものである、前記クリーニングステーションとを含む。
【0009】
本発明の更なる他の例示的な実施形態によれば、ワイヤーボンディング装置のワイヤーボンディングツールの先端部をクリーニングする方法が提供される。この方法は、(a)前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部が前記ワイヤーボンディング装置のクリーニングステーションに接近できるように、前記ワイヤーボンディングツールからワイヤーを離す工程と、(b)工程(a)の後に、前記ワイヤーボンディングツールの前記先端部の少なくとも一部を前記クリーニングステーションでクリーニングする工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は添付の図面と併せて以下の詳細な説明を読むことで最もよく理解される。一般的な慣行に従い、図面の種々の特徴は縮尺どおりではないことに留意されたい。むしろ、種々の特徴の寸法は明瞭性のため適宜拡大または縮小されている。図面に含まれる図は以下のとおりである。
【
図1】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の諸要素のブロック図である。
【
図2A】
図2A~
図2Cは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置のボンドオフステーションを示すブロック図である。
【
図2B】
図2A~
図2Cは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置のボンドオフステーションを示すブロック図である。
【
図2C】
図2A~
図2Cは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置のボンドオフステーションを示すブロック図である。
【
図3A】
図3A~
図3Dは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の分離ステーションを示すブロック図である。
【
図3B】
図3A~
図3Dは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の分離ステーションを示すブロック図である。
【
図3C】
図3A~
図3Dは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の分離ステーションを示すブロック図である。
【
図3D】
図3A~
図3Dは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の分離ステーションを示すブロック図である。
【
図4A】
図4A~
図4Bは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図4B】
図4A~
図4Bは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図5A】
図5A~
図5Cは、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図5B】
図5A~
図5Cは、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図5C】
図5A~
図5Cは、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の更なる他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の更なる他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図8A】
図8A~
図8Dは、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の更なる他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図8B】
図8A~
図8Dは、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の更なる他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図8C】
図8A~
図8Dは、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の更なる他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図8D】
図8A~
図8Dは、本発明の他の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の更なる他のクリーニングステーションを示すブロック図である。
【
図9A】
図9A~
図9Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の廃棄ステーションを示すブロック図である。
【
図9B】
図9A~
図9Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の廃棄ステーションを示すブロック図である。
【
図9C】
図9A~
図9Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の廃棄ステーションを示すブロック図である。
【
図9D】
図9A~
図9Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の廃棄ステーションを示すブロック図である。
【
図9E】
図9A~
図9Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の廃棄ステーションを示すブロック図である。
【
図10A】
図10A~
図10Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の再位置調整ステーションを示すブロック図である。
【
図10B】
図10A~
図10Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の再位置調整ステーションを示すブロック図である。
【
図10C】
図10A~
図10Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の再位置調整ステーションを示すブロック図である。
【
図10D】
図10A~
図10Eは、本発明の例示的な実施形態に係るワイヤーボンディング装置の再位置調整ステーションを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「ワイヤーボンディングツール」という用語は、ワークピース(被加工物)にワイヤーの一部を接合するのに用いる任意の種類のツールをいう。例示的なワイヤーボンディングツールには、ウェッジボンディングツール(ウェッジツールまたはウェッジともいう)、ボールボンディングツール(キャピラリーツールまたはキャピラリーともいう)、およびリボンボンディングツールが含まれる。したがって、本明細書に記載の「ワイヤーボンディング装置」という用語は、ウェッジボンディング装置、ボールボンディング装置、リボンボンディング装置、スタッドバンピング機等を指し得る。
【0012】
本発明の例示的な態様によれば、ツールの堆積物(例えば、破片、汚染物質等)は、複数の例示的な本発明のクリーニングシーケンスの1つによってワイヤーボンディングツールのツール先端部から除去することができる。そのようなクリーニングシーケンスは自動とすることができる(例えば、所定の時間間隔若しくは所定回数の操作の完了、またはプロセス信号のトリガー等、所定のイベントの発生をトリガーとする)。あるいは、クリーニングシーケンスは使用者により始動されてもよい。
【0013】
特定の例示的シーケンスは以下のとおりである:ボンディングツールを(例えば、ボンド・ヘッド・アセンブリを用いて)ワイヤー取扱い位置に移動させる;ワイヤーを(手動で又は自動的に)ワイヤーボンディングツールから離す;そして、ワイヤーボンディングツールをワイヤーボンディング装置のクリーニングステーションに移動させる(例えば、この場合、クリーニングステーションは、1若しくはそれ以上のブラシ、レーザー、プリフォーム、その他の機構を含み得る)。クリーニングステーションでは、ワイヤーボンディングツールの一部(例えば、ワイヤーボンディングツールの作業面を含む先端部分)が当該クリーニングステーションを用いてクリーニングされる。
【0014】
ブラシの場合、ワイヤーボンディングツールはブラシ頂部上の位置に移動され得る。ワイヤーボンディング装置は「第1の接触」位置を決定することができる。「第1の接触」位置の決定後、ワイヤーボンディングツールはZ方向に特定の距離または特定の力が測定されるまで下降される。ワイヤーボンディング装置は、例えば、特定時間または特定回数ブラシ移動が完遂されるまで、ブラシに対するツールのブラッシング運動(例えば、ジグザグ運動またはその他の所定の運動プロファイル)を実行する。前記動作は、ワイヤーボンディングツール、ブラシ、またはその両方によって完遂できることに留意されたい。
【0015】
クリーニング後(且つ使用されるクリーニングステーションの種類に関係なく)、ワイヤーボンディングツールはワイヤーボンディング装置の検査位置に移動され、そこで(例えば、操作者により手動で、視覚システムおよびコンピュータ等を用いて自動的に)ワイヤーボンディングツール先端部の清浄度レベルが評価され得る。
【0016】
クリーニングおよび任意選択的な検査の後、次いで、ワイヤーボンディングツールはワイヤー取扱い位置に移動されてもよく、ワイヤーがワイヤーボンディングツールに関連する位置(例えば、ワイヤーボンディングツールの先端部下または作業面下に)に戻される。手動または自動のボンドオフ(例えば、引張り試験を含む単一接合)がワイヤーボンディング装置のボンドオフ位置で実行されてもよい。ワイヤーボンディングツールが適切にクリーニングされたと判定された場合(または確認検査なく完了した場合)、次いで、ワイヤーボンディング装置は生産に戻されてよい。
【0017】
様々な図面を通じて、本明細書で説明される場合を除き、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0018】
具体的に
図1を参照すると、ワイヤーボンディング装置100のブロック図が示されている。ワイヤーボンディング装置100は本来例示的なものであり、本発明は
図1に示す詳細に限定されない。例えば、
図1は、特定の種類のワイヤーボンディングツール(超音波ウェッジボンディング用のウェッジボンディングツール)およびボンドヘッド要素を示している。しかしながら、本発明はこの特定の種類のワイヤーボンディングツールまたはボンドヘッド要素に限定されない。さらに、
図1はワイヤーボンディング装置100の複数の「ステーション」を示す。本発明はこれらのステーションのそれぞれを必須としないことが理解される。むしろ、これらのステーション(または本発明の範囲内の他のステーションまたは機構)の選択されたものは、所与の用途のために選択されていてよい。さらに、ステーションは、図示の順序での使用に限定されない。むしろ、ステーション(例えば、検査ステーション)は必要に応じてプロセス中いつでも使用することができる。
【0019】
ワイヤーボンディング装置100は、ボンドヘッドアセンブリ102を含む。ボンドヘッドアセンブリ102は、ワイヤーボンディングツール104と、(ワイヤーを切断するための)カッター106と、(例えば、
図2Aに示すワイヤーガイド108aを含む)ワイヤーガイドアセンブリ108を運搬する。ワイヤー103(例えば、
図2Aを参照)は、ワイヤーガイドアセンブリ108によって、ワイヤーボンディングツール104のボンディング面の下の位置に案内される。また、ボンドヘッドアセンブリ102は(以下でより詳細に説明する)ロック機構110も運搬する。ボンドヘッドアセンブリ102は、ワイヤーボンディング装置100のx軸に沿って、ワイヤーボンディング装置100のy軸に沿って、ワイヤーボンディング装置100のz軸に沿って、およびワイヤーボンディング装置100のシータ軸周りを動くように構成されている。したがって、本明細書で説明するクリーニング操作(および関連操作)に関連してワイヤーボンディングツール104はこれらの軸に沿って(および周りを)所望のように動かされ得る。
【0020】
ワイヤーボンディング装置100はボンディング領域112を含む。ボンディング領域112において、ワイヤーボンディングツール104はワイヤー103(例えば、
図2Aを参照)を接合して、所与の用途のための電気的相互接続を提供する。
図1に示す例では、ボンディングワイヤー103は第1のワークピース112a(例えば、半導体ダイ等の半導体要素)と第2のワークピース112b(例えば、リードフレーム、その他の半導体要素等の基板等)との間に接合されることとなる。
【0021】
図1に示されるように、ワイヤーボンディング装置100は、ボンドオフステーション114と、分離ステーション116と、クリーニングステーション118と、廃棄ステーション120と、再位置調整ステーション122と、検査ステーション124とを含む。これら「ステーション」の様々な例は後続の図面にわたり提供されている。「ステーション」という用語は、特定の機能/操作に適合したワイヤーボンディング装置の領域として広く定義されるものと理解されたい。
【0022】
ここで、
図2A~
図2Cを参照すると、「ボンドオフプロセス」が示されている。ワイヤーボンディングツールのクリーニングに関連して、ワイヤーボンディングツール先端部のボンディング面に接近できることが望ましい。それ故、ワイヤーを作業面から遠ざける必要がある。このプロセスへの例示的なアプローチは、
図3A~
図3Dに関連して説明されている。しかしながら、先端部の作業面とワイヤーの端部との間に追加の間隙が必要な場合がある。この追加の間隙の詳細はクリーニング操作の具体的な種類によって異なる。例えば、ワイヤーの端部を作業面の一方または他方へ曲げることが望ましい場合がある。他の例では、ワイヤーの端部を作業面から離れるように下向きに曲げることが望ましい場合がある。いずれにせよ、ワイヤーボンディングツール先端部の作業面とワイヤーの端部との間にある追加のレベルの間隙を設けることが望ましいことがある。本発明の例示的な態様によれば、ボンドオフステーション114を用いてそのような追加の間隙を提供することができる。
【0023】
ボンドオフステーション114に関して、ワイヤーの端部はボンドオフステーション114で提供された基板に「接合」(例えば、超音波接合)される。次いで、前記接合後、ワイヤーは当該ワイヤーの接合された端部分から引き離される(または他の方法で分離される)。この引き離し操作に関連するボンドヘッドアセンブリ102の動きは、ワイヤーガイドアセンブリ108により運搬されるワイヤーの端部に屈曲(または他の変化)をもたらす。
図2Aに具体的に示すように、ボンドオフステーション114のボンドオフ基板114aはワイヤーボンディング装置支持構造101によって運搬される。ボンドオフ基板114aは、いくつかの「ボンドオフ」操作後に当該ボンドオフ基板114aが交換されるという点で消耗基板と見なすことができる。
【0024】
再び
図2Aを参照すると、基板114aのボンドオフのためワイヤー103の端部が超音波接合されている。
図2Bはこの超音波接合の簡略化された上面図である(明確性のために特定の要素が除去されている)。
図2A~
図2Bに示す接合後、ワイヤー103はボンドヘッドアセンブリ102の動きに基づいて最後に接合された端部103aから引き離される(または他の方法で分離される)。この結果、
図2Cでは、他の分離した接合端部分103a(
図2における3つの接合端部103aとは対照的に4つの接合端部分103aがある)と、ワイヤーガイドアセンブリ108によって運搬される屈曲端部103bとがある。
図2Cに示すように、屈曲端部103bはワイヤー103の供給中心からオフセットしているので(および、ワイヤーボンディングツール104の溝104bからオフセットしているので、溝104bの例については
図5Cを参照)、ワイヤーボンディングツール104の作業面に向かって追加の間隙がもたらされる。上述したように、ボンドオフステーション114で達成されるボンドオフプロセスにより、クリーニング操作の詳細において所望の任意の方向にワイヤーが曲げられる(またはその他の場合ではワイヤーガイドアセンブリ108からのワイヤー103の供給中心からオフセットされる)。
【0025】
図2A~
図2Cにおいてボンドオフステーション114が利用されるかどうかに関係なく、ワイヤー103の端部とワイヤーボンディングツール104の作業面104a(例えば、
図3Bおよび
図3Dを参照)との間に分離を提供することが望ましいことがある。
図3A~
図3Dは例示的な分離ステーション116を示す。ワイヤー103の端部と作業面104aとの間の分離を提供するために、ワイヤーボンディング装置100は可動(例えば、旋回式)のワイヤーガイドアセンブリ108を備え得る。より具体的には、ワイヤーガイドアセンブリ108は、ワイヤーボンディングツール104から離れるように旋回されて、所望の分離を提供し得る。ワイヤーガイドアセンブリ108の前記動作は、自動であっても(すなわち機械により自動化されていても)よいし、または手動であってもよい。ワイヤーボンディングツール104から離れるワイヤーガイドアセンブリ108の動きが自動化されている場合、当該動きは、機械式インターロック、運動システム(例えば、モーター、シリンダー等)等によって提供され得る。
図3A~
図3Dに示す例では、自動化された機械式インターロックが示されている。ロック機構110は、ワイヤーボンディングツール104に対してワイヤーガイドアセンブリ108を所定の位置でロックする。ワイヤーガイドアセンブリ108の旋回動作を可能にするためには、ロック機構110は「ロック解除」位置に作動されなければならない。ブロック部分116aおよび116bが分離ステーション116に提供される。ボンドヘッドアセンブリ102の運動を通じて、ロック機構110はブロック部分116aおよび116bの一方または両方との係合により作動される。したがって、(ボンドヘッドアセンブリ102の動きを通じた)ロック機構110とブロック部分116aおよび/または116bとの機械的係合により、ロック機構110はロック解除され、ワイヤーガイドアセンブリ108はワイヤーボンディングツール104から遠ざかるように動く(例えば、旋回する)ことができる(例えば、
図3C~
図3Dを参照)。(ボンドヘッドアセンブリ102の動きを通じた)ロック機構110とブロック部分116aおよび/または116bとの機械的再係合により、ロック機構110は再びロックされ、ワイヤーガイドアセンブリ108をワイヤーボンディングツール104に対しその動作位置でロックする(例えば、
図3A~
図3Bを参照)。当然、
図3A~
図3Dは、分離ステーション116の1つの型を示すものに過ぎず、本発明の範囲内で代替構成が企図される。
【0026】
ボンドオフステーション114および/または分離ステーション116での上記操作後、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'(本明細書では「先端部」または「ツール先端部」ともいう)はクリーニングステーション118でのクリーニングの準備ができる。(例えば、
図1を参照)。本発明によれば、様々な異なる種類のクリーニングステーション118を用いることができる。
図4A~
図4Bはクリーニングステーション118aを示す。
図5A~
図5Cはクリーニングステーション118bを示す。
図6はクリーニングステーション118cを示す。
図7はクリーニングステーション118dを示す。
図8A~
図8Dはクリーニングステーション118eを示す。クリーニングステーション118a、118b、118c、118d、および118eのいずれか(および本発明の範囲内の任意の他のクリーニングステーション)を
図1のクリーニングステーション118として用いることができる。
【0027】
具体的に
図4Aを参照すると、クリーニングステーション118aは少なくとも1つのブラシ108a1を含む。ブラシ108a1は、(以下で説明するように)固定ブラシであってもよく、または(不図示の運動システムで動かされる)可動ブラシであってもよい。ブラシ108a1は拘持部分108a1aにより共に保持される毛108a1bを含む。ブラシ108a1はワイヤーボンディング装置支持構造101によって支持されている。クリーニングステーション118aはまた、破片収集システム105を含む。例えば、破片収集システム105は、クリーニングステーション118aでのワイヤーボンディングツール104のクリーニングから生じる破片(例えば、ワイヤーボンディングツール104から放出された破片、破損した毛108a1b等から生じる破片)を収集する減圧式のシステムであってよい。代替的な種類の破片収集システム(例えば、鉄の破片を引き付けるための磁気システム、クリーニング操作を少なくとも部分的に取り囲む破片を収集するための容器等)が本発明の範囲内で企図される。
【0028】
ボンドヘッドアセンブリ102は、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'の作業面104aがブラシ108a1の毛108a1bと接触する位置にワイヤーボンディングツール104を移動させる。ワイヤーボンディングツール104の先端部104'がブラシ108a1の毛108a1bと接触している間、ボンドヘッドアセンブリ102は、所定の運動プロファイルに従ってブラシ108a1に対してワイヤーボンディングツール104の先端部104'を動かす。例えば、
図4Bは(簡略化された上面図の観点から)ジグザグ運動経路104''を含む所定の運動プロファイルを示す。当然、代替の所定の運動プロファイルが本発明の範囲内で企図される。
【0029】
クリーニングステーション118aでのワイヤーボンディングツール104の先端部104'のクリーニング操作に関して、力制御(例えば、閉ループ制御)を用いることが望ましい場合がある。具体的には、力センサ(例えば、不図示のロードセル等)がボンドヘッドアセンブリ102の一部として、またはブラシ108a1に対して(例えば、下に)提供されてもよい。そのような力センサーはクリーニング操作中の力を測定するのに用いることができる。力センサからの力データはワイヤーボンディング装置100の制御部または他のコンピュータに提供することができる。したがって、閉ループ力制御モードにおいて力データを用いることでクリーニング操作に対し調整を行うことができる。
【0030】
具体的に
図5Aを参照すると、クリーニングステーション118bは少なくとも1つのブラシ118b1を含む。ブラシ118b1は、回転ブラシ(例えば、ワイヤーボンディングツール104のクリーニング操作に関連して作動するように構成されたモーター駆動ブラシ)であり、動作制御部118b2によって駆動される。
図5Bは、
図5Aに示す位置に対して90度回転されたワイヤーボンディングツール104を示す(この変更は任意であり、本発明の範囲内で必須ではない)。
図5Bは、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'の溝104b内に堆積した破片104cを示す。(図示の毛を含む)ブラシ118b1は回転させて破片104cを解放するのに用いられる(
図5Cに示す溝104b内に破片104cが実質的にないクリーニングツール104を参照)。破片収集システム105はクリーニングステーション118bに提供される。破片収集システム105は、クリーニングステーション118bでのワイヤーボンディングツール104のクリーニングから生じる破片(例えば、ワイヤーボンディングツール104から放出された破片、ブラシ118b1の毛の破損から生じる破片等)を収集する減圧式のシステムまたはその他の種類の収集システムとすることができる。
【0031】
クリーニングステーション118bでのワイヤーボンディングツール104の先端部104'のクリーニング操作に関連して、力制御(例えば、閉ループ制御)をすることが望ましい場合がある。具体的には、力センサ(例えば、不図示のロードセル等)が、ボンドヘッドアセンブリ102の一部として、またはブラシ108b1に対して(例えば、下に)提供され得る。このような力センサーはクリーニング操作中の力を測定するのに用いることができる。力センサからの力データはワイヤーボンディング装置100の制御部または他のコンピュータに提供することができる。したがって、閉ループ力制御モードにおいて力データを用いることでクリーニング操作に対し調整を行うことができる。
【0032】
ここで
図6を参照すると、エネルギーを用いるクリーニングシステム118cが示されている。クリーニングステーション118cは、エネルギー源送達システム118c1(例えば、レーザー光源、その他の光源、プラズマ源、熱源等)と、エネルギー源送達システム118c1の動作を制御するエネルギー源制御部118c2とを含む。エネルギー源送達システム118c1の動作を通じて、エネルギー118c3(例えば、レーザー光エネルギー、その他の光エネルギー、プラズマエネルギー、熱エネルギー等)は、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'の作業面104aに方向付けられる。破片収集システム105がクリーニングステーション118cに含まれる。破片収集システム105は、クリーニングステーション118cでのワイヤーボンディングツール104のクリーニングから生じる破片(例えば、ワイヤーボンディングツール104から放出された破片等)を収集する減圧式のシステムまたはその他の種類の収集システムとすることができる。
【0033】
ここで
図7を参照すると、噴射式クリーニングシステム118dが示されている。クリーニングステーション118dは、噴射式クリーニング機構/クリーニング源118d1(例えば、ワイヤーボンディングツール104をクリーニングするためのガス圧式のクリーニング機構、ワイヤーボンディングツール104をクリーニングするためのCO
2ベースのクリーニング機構、ワイヤーボンディングツール104をクリーニングするためのサンドブラストベースのクリーニング機構、ワイヤーボンディングツール104をクリーニングするためのビードブラストベースのクリーニング機構等)と、噴射式クリーニング機構/噴射式クリーニング源118d1の動作を制御する制御部118d2とを含む。また、クリーニングステーション118dは容器118d3を含む。ボンドヘッドアセンブリ102の動きを通じて、ワイヤーボンディングツール104の一部(および、恐らくワイヤーガイドアセンブリ108および/またはブレード106の一部等のその他のボンドヘッド要素)が容器118d3内にその開口部を通じて運ばれる。噴射式クリーニング機構118d1の動作を通じて、噴射(噴射式クリーニング機構118d1から外向きに出る矢印線を参照)(例えば、空気噴射、CO
2噴射等ののガス噴射、サンドブラスト材料の噴射、ビードブラスト材料の噴射等)が、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'(および/または容器118d3内のその他のボンドヘッド要素)からの破片をクリーニングするために、容器118d3内にあるワイヤーボンディングツール104の先端部104'に向けられる。
【0034】
ここで
図8A~
図8Dを参照すると、クリーニングシステム118eが示されている。クリーニングステーション118eは基板118e1上に複数のプリフォーム構造118e2を含む。プリフォーム構造118e2はワイヤーボンディングツール104の先端部104'の少なくとも一部(例えば、先端104'の溝104b)に対応する形状を有することができる。プリフォーム構造118e2はワイヤーボンディングツール104から破片104cを除去するように構成されている。クリーニングステーション118eのクリーニング操作は、ワイヤーボンディングツール104を搭載した超音波発生器を用いることができ、この場合、超音波発生器はボンドヘッドアセンブリ102の一部である(そのような超音波発生器は、ワイヤーをボンディング位置に超音波接合するためにワイヤーボンディング装置のボンドヘッドアセンブリに含まれていることがよく知られている)。
図8Bは、
図8Aに示す位置に対して90度回転されたワイヤーボンディングツール104を示す(この変更は任意であり、本発明の範囲内において必須ではない)。
図8Bは、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'の溝104bに破片104cが堆積していることを示す。
図8Cは、溝104bが(例えば、ボンドヘッドアセンブリ102の前記動きにより)プリフォーム構造118e2の1つと係合することを示す。(例えば、ボンドヘッドアセンブリ102に備えられた超音波発生器を用いて)超音波エネルギーを加えることができ、次いで、
図8Dに示すようにワイヤーボンディングツール104が(例えば、ボンドヘッドアセンブリ102の動きにより)プリフォーム構造118e2上に上昇される。破片104cは最も右側のプリフォーム構造118e2に移されており、溝104bには破片104cが実質的にないことが示されている。特定の例示的な場合において、プリフォーム構造118e2は、例えば、ワイヤーボンディングツール104の溝104bからのアルミニウム破片の除去に特に適している(例えば、銅線等で形成された)銅構造とすることができる。
【0035】
クリーニングステーション118eの基板118e1は、いくつかのクリーニング操作(例えば、基板118e1に含まれるプリフォーム構造118e2ごとに1回のクリーニング操作)の後、基板118e1を交換できるという点で、消耗基板と見なすことができる。
【0036】
当然、超音波エネルギーを用いて破片を移すことに関しては、(例えば、ワイヤーボンディングツールの溝に対応する形状とは異なる)その他の形状を用いてもよい。例えば、平坦なプレートまたは基板(例えば、セラミックプレート、適切な面粗さを有するプレートなど)にワイヤーボンディングツール104の作業面104aを接触させてもよく、次いで、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'から特定の破片を除去するために超音波エネルギー(および/またはボンドヘッドアセンブリ102によって提供される運動プロファイル)を適用してもよい。
【0037】
(例えば、クリーニングステーション118a、118b、118c、118d、118eのいずれか、または本発明の範囲内のその他のクリーニングステーションを用いた)クリーニング操作後、クリーニングの追加の工程が廃棄ステーション120(例えば、
図1参照)で行われてもよい。このような廃棄ステーションは、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'から破片を(例えば、空気等の強制ガス若しくは減圧またはその他のシステム等を用いて)除去するのに用いられる。そのような破片としては、(i)前述のクリーニング操作中にワイヤーボンディングツール104から放出された破片、(ii)クリーニングステーションが少なくとも1つのブラシ等を含む用途ではブラシの破損した毛に起因する破片等、がありうる。
図9A~
図9Dはそのような廃棄ステーション120の例を示す。廃棄ステーション120は、(蓋120a1を含む)容器120aと、ガス/減圧源120b(例えば、空気配管、ガス配管、減圧配管等)とを含む。
図9Bは、先端部104'、ワイヤーガイド108a、およびブレード106上に破片104cがあることを示す。
図9Cに示すように、ボンドヘッドアセンブリ102の動きを通じて、ワイヤーボンディングツール104の一部(およびおそらくワイヤーガイドアセンブリ108および/またはブレード106の一部等のその他のボンドヘッド要素)が蓋120a1の開口部を通して容器120a内にもたれされた。ガス/減圧源120bの動作(例えば、ガス/減圧源120bから容器120a内に空気またはその他のガスが押し込まれる)により、破片104cは、先端部104'、ワイヤーガイド108a、およびブレード106から除去される(
図9D~
図9Eを参照、このような要素には
図9Bと比べて破片104cがない)。当然、例えば、図示の強制ガス式システム/減圧式システムとは対照的に、鉄を含む破片を引き付ける磁気式のシステム等、代替の廃棄ステーション120が企図される。
【0038】
(例えば、廃棄ステーション120での更なるクリーニングの有無にかかわらず、本発明のクリーニングステーションの1つで実行される)クリーニング操作が完了した後、例えば、更なるワイヤーボンディング操作を実行するためにワイヤー103の端部の再位置調整が望ましい場合がある。ワイヤー103の端部は、ボンドオフステーション114および/または分離ステーション116での前記操作のため、位置がずれている可能性がある。さらに、本明細書に記載のクリーニング操作およびその他の操作はワイヤー103の端部の位置ずれをもたらす可能性がある。このように、再位置調整ステーション122(例えば、
図1を参照)を用いてワイヤー103の端部を再位置調整することが望ましい場合がある。
図10A~
図10Dは、例示的な再位置調整ステーション122を示す。
【0039】
再位置調整ステーション122は、ワイヤーボンディング装置支持構造101によって支持されたブロック122aを含む。ブロック122aは、直線溝122a2内に延びるV字形溝122a1を画定する。
図10B~10Cは、ワイヤー103の端部を(例えば、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'の溝104bと合致するように)再位置調整するプロセスを示す上面図である。
図10Bに示すように、(不図示の)ボンドヘッドアセンブリ102の動きを通じて、(「屈曲した」端部103'を含む)ワイヤー103は、V字形溝122a1に係合し、次いで直線溝122a2に係合する(
図10C~
図10Dを参照)。そのとき、
図10Dに示すように、ワイヤー103の端部103'はワイヤーボンディングツール104の端部104'の溝104bと合致するように再位置調整される。
【0040】
クリーニング(および再位置調整等の本明細書において所望の任意のその他のプロセス)の後、検査ステーション124(
図1を参照)を用いて様々な要素を検査することができる。例えば、検査ステーション124を用いてワイヤーボンディングツール104(例えば、ワイヤーボンディングツール104の先端部104')が現在きれいであることを確認することができる。さらに、検査ステーション124を用いて、ワイヤー103の端部がワイヤーボンディングツール104の先端部104'の溝104bに入るように適切に位置調整されていることを判定することができる。検査ステーション124は、1若しくはそれ以上の視覚システム要素(例えば、カメラ、レンズ、ミラー等の光学要素等)を含んで所望の要素を撮像することができる。検査ステーション124は、例えば、検査ステーション124の視覚システム要素によって生成された画像の画像処理を可能にするために、ワイヤーボンディング装置104のコンピュータと通信することができる。画像処理により、例えば、ワイヤーボンディングツール104の先端部104'がきれいかどうか、第1の場所においてワイヤーボンディングツール104の先端部104'のクリーニングが必要かどうか、ワイヤー103の端部が先端部104'の溝104bに入るように適切に位置調整されているかどうか等を判定することができる。
図1では、検査ステーション124が再位置調整ステーション122の下流に示されているが、検査ステーション124はいつでも用いることができることが理解される。例えば、検査ステーション124を用いてワイヤー103の端部の再位置調整が必要であることを判定することができ、それにより再位置調整ステーション122での再位置調整が開始される。その他の例では、検査ステーション124を用いて(廃棄ステーション120で)更なるクリーニング操作を行うべきかを判定してもよい。
【0041】
本明細書に記載のクリーニング操作のいずれかにおいて、(例えば、当業者に知られているように、ワイヤーボンディングツールを搭載し、ボンドヘッドアセンブリの一部として含まれる)超音波発生器を用いて、クリーニングステーションのいずれか、またはワイヤーボンディング装置100のその他のステーション(
図1参照)のいずれかでのそのようなクリーニング操作の少なくとも一部の間、ワイヤーボンディングツールの先端部へ超音波運動を提供することができる。
【0042】
クリーニング、検査、および本明細書に記載のその他の所望のプロセスの後、ワイヤーガイドは望ましくは係合位置に戻される。例えば、これは、
図3A~
図3Dに関して上述したプロセスを逆にすることによって達成することができる。すなわち、ロック機構110は、上述のように作動されて、ワイヤーガイドアセンブリ108を係合位置に戻しロックし得る。この動作およびその他の必要な確認(例えば、ワイヤー接合を再開する前のボンドオフ、ワイヤー接合を再開する前のボンドオフの引張り試験等)の後、ワイヤーボンディング装置はワイヤーボンディング操作を再開する準備ができる。
【0043】
本明細書では特定の実施形態を参照して本発明を例示および説明しているが、本発明は示した詳細に限定されることを意図するものではない。しろ、本発明から逸脱することなく、特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で細部に様々な修正を加えることができる。