(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】光学部材及びこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20231109BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20231109BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231109BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20231109BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20231109BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20231109BHJP
F21Y 105/00 20160101ALN20231109BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231109BHJP
【FI】
G02B5/20
G02F1/13357
F21S2/00 433
F21V8/00 100
F21V9/32
G02F1/1335
F21Y105:00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019005928
(22)【出願日】2019-01-17
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】10-2018-0066151
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン,スン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ペク ヘ
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/190058(WO,A1)
【文献】特開2016-181474(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0258583(US,A1)
【文献】特表2016-509699(JP,A)
【文献】特開2017-173817(JP,A)
【文献】特開2015-057640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0025920(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
G02F 1/13357
F21S 2/00
F21V 8/00
F21V 9/32
G02F 1/1335
F21Y 105/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板と、
前記導光板上に配置されて前記導光板よりも小さい屈折率を有する低屈折層と、
前記低屈折層と前記導光板との間に配置されて前記低屈折層よりも小さい厚さを有する低屈折下部層と、
前記低屈折層上に配置された波長変換層と、を含み、
前記低屈折下部層は、SiOx及びSiNxのうちの少なくとも一つを含み、
前記低屈折下部層の下面は前記導光板の上面に接し、前記低屈折下部層の上面は前記低屈折層の下面に接し、
前記低屈折下部層の屈折率は、前記低屈折層の屈折率よりも大きく、
前記導光板と前記低屈折層との屈折率の差は、0.2以上であり、
前記導光板の入光面は前記導光板の側面であることを特徴とする光学部材。
【請求項2】
前記低屈折下部層は、屈折率1.3~1.7の低屈折物質または屈折率1.5~2.2の高屈折物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項3】
前記低屈折下部層は、前記導光板上に配置された第1低屈折下部層、及び前記第1低屈折下部層上に配置された第2低屈折下部層を含むことを特徴とする請求項2に記載の光学部材。
【請求項4】
前記第1低屈折下部層及び前記第2低屈折下部層のうちのいずれか一つは前記低屈折物質を含み、他の一つは前記高屈折物質を含むことを特徴とする請求項3に記載の光学部材。
【請求項5】
前記第1低屈折下部層の厚さ及び前記第2低屈折下部層の厚さは、それぞれ0.2μm以下であることを特徴とする請求項4に記載の光学部材。
【請求項6】
前記低屈折物質はSiOxであり、前記高屈折物質はSiNxであることを特徴とする請求項4に記載の光学部材。
【請求項7】
前記低屈折層はボイドを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項8】
前記低屈折層の屈折率は、1.2~1.3であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項9】
前記低屈折層の厚さは、0.8μm~1.2μmであることを特徴とする請求項8に記載の光学部材。
【請求項10】
前記波長変換層の上部に配置された波長変換上部層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項11】
前記波長変換上部層の下面は前記導光板の上面に平行であることを特徴とする請求項10に記載の光学部材。
【請求項12】
前記波長変換上部層はSiOxまたはSiNxを含むことを特徴とする請求項11に記載の光学部材。
【請求項13】
前記波長変換上部層は、前記波長変換層上に配置された第1波長変換上部層、及び前記第1波長変換上部層上に配置された第2波長変換上部層を含むことを特徴とする請求項12に記載の光学部材。
【請求項14】
前記第1波長変換上部層及び前記第2波長変換上部層のうちのいずれか一つは透明有機物質を含み、他の一つはSiOx及びSiNxのいずれかを含むことを特徴とする請求項13に記載の光学部材。
【請求項15】
前記第1波長変換上部層はSiOxを含み、前記第2波長変換上部層は透明有機物質を含むことを特徴とする請求項14に記載の光学部材。
【請求項16】
前記第1波長変換上部層及び前記第2波長変換上部層のうちのいずれか一つはSiOxを含み、他の一つはSiNxを含むことを特徴とする請求項13に記載の光学部材。
【請求項17】
前記波長変換上部層は、前記第2波長変換上部層上に第3波長変換上部層をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光学部材。
【請求項18】
前記第1波長変換上部層は透明有機物質を含むことを特徴とする請求項17に記載の光学部材。
【請求項19】
前記第2波長変換上部層及び前記第3波長変換上部層のうちのいずれか一つはSiOxを含み、他の一つはSiNxを含むことを特徴とする請求項18に記載の光学部材。
【請求項20】
前記導光板はガラスを含むことを特徴とする請求項1に記載の光学部材。
【請求項21】
前記導光板の上面は前記低屈折層の下面に平行であることを特徴とする請求項20に記載の光学部材。
【請求項22】
導光板と、
前記導光板上に配置されて前記導光板よりも小さい屈折率を有する低屈折層と、
前記低屈折層上に配置された波長変換層と、
前記低屈折層と前記導光板との間に配置され
て前記低屈折層よりも小さい厚さを有する低屈折下部層と、
前記低屈折層と前記波長変換層との間に配置された低屈折上部層と、を含み、
前記低屈折下部層は、SiOx及びSiNxのうちの少なくとも一つを含み、
前記低屈折下部層の下面は前記導光板の上面に接し、前記低屈折下部層の上面は前記低屈折層の下面に接し、
前記低屈折下部層の屈折率は、前記低屈折層の屈折率よりも大きく、
前記導光板と前記低屈折層との屈折率の差は、0.2以上であり、
前記導光板の入光面は前記導光板の側面であることを特徴とする光学部材。
【請求項23】
前記低屈折下部層は、前記導光板上に配置された第1低屈折下部層、及び前記第1低屈折下部層上に配置された第2低屈折下部層を含むことを特徴とする請求項22に記載の光学部材。
【請求項24】
前記第1低屈折下部層の厚さ及び前記第2低屈折下部層の厚さは、それぞれ0.2μm以下であることを特徴とする請求項23に記載の光学部材。
【請求項25】
前記低屈折上部層はSiOx及びSiNxのうちの少なくとも一つを含み、前記低屈折上部層の屈折率は前記低屈折層の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項22に記載の光学部材。
【請求項26】
前記低屈折上部層は、前記低屈折層上に配置された第1低屈折上部層、及び前記第1低屈折上部層上に配置された第2低屈折上部層を含むことを特徴とする請求項25に記載の光学部材。
【請求項27】
前記第1低屈折上部層の厚さ及び前記第2低屈折上部層の厚さは、それぞれ0.2μm以下であることを特徴とする請求項26に記載の光学部材。
【請求項28】
前記波長変換層の上部に配置された波長変換上部層をさらに含み、前記波長変換上部層はSiOx及びSiNxのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項22に記載の光学部材。
【請求項29】
前記波長変換上部層は、前記波長変換層上に配置された第1波長変換上部層、及び前記第1波長変換上部層上に配置された第2波長変換上部層を含むことを特徴とする請求項28に記載の光学部材。
【請求項30】
前記第1波長変換上部層及び前記第2波長変換上部層のうちのいずれか一つは透明有機物質を含み、他の一つはSiOx及びSiNxのいずれかを含むことを特徴とする請求項29に記載の光学部材。
【請求項31】
前記第1波長変換上部層はSiOxを含み、前記第2波長変換上部層は透明有機物質を含むことを特徴とする請求項30に記載の光学部材。
【請求項32】
前記波長変換上部層は、前記第2波長変換上部層上に第3波長変換上部層をさらに含むことを特徴とする請求項29に記載の光学部材。
【請求項33】
導光板、前記導光板上に配置されて前記導光板よりも小さい屈折率を有する低屈折層、前記低屈折層と前記導光板との間に配置され
て前記低屈折層よりも小さい厚さを有する低屈折下部層、及び前記低屈折層上に配置された波長変換層を含む光学部材と、
前記導光板の少なくとも一側に配置された光源と、
光学部材の上部に配置された表示パネルと、を備え、
前記低屈折下部層は、SiOx及びSiNxのうちの少なくとも一つを含み、
前記低屈折下部層の下面は前記導光板の上面に接し、前記低屈折下部層の上面は前記低屈折層の下面に接し、
前記低屈折下部層の屈折率は、前記低屈折層の屈折率よりも大きく、
前記導光板と前記低屈折層との屈折率の差は、0.2以上であり、
前記導光板の入光面は前記導光板の側面であることを特徴とする表示装置。
【請求項34】
前記低屈折下部層は、前記導光板上に配置された第1低屈折下部層、及び前記第1低屈折下部層上に配置された第2低屈折下部層を含むことを特徴とする請求項33に記載の表示装置。
【請求項35】
前記波長変換層の上部に配置された波長変換上部層をさらに含み、前記波長変換上部層はSiOx及びSiNxのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項33に記載の表示装置。
【請求項36】
前記波長変換上部層は、前記波長変換層上に配置された第1波長変換上部層、及び前記第1波長変換上部層上に配置された第2波長変換上部層を含むことを特徴とする請求項35に記載の表示装置。
【請求項37】
前記波長変換上部層は、前記第2波長変換上部層上に第3波長変換上部層をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の表示装置。
【請求項38】
前記光学部材は、前記波長変換層と前記低屈折層との間に配置された低屈折上部層をさらに含むことを特徴とする請求項33に記載の表示装置。
【請求項39】
前記低屈折上部層はSiOx及びSiNxのうちの少なくとも一つを含み、前記低屈折上部層の屈折率は前記低屈折層の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項38に記載の表示装置。
【請求項40】
前記波長変換層の上部に配置された波長変換上部層をさらに含み、前記波長変換上部層はSiOxまたはSiNxを含むことを特徴とする請求項39に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材及びこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、バックライトアセンブリからの光を受けて映像を表示する。幾つかのバックライトアセンブリは光源と導光板とを含む。導光板は、光源から光を受けて表示パネル側へ光の進行方向をガイドする。一部の製品は、光源から提供される光が白色であり、この白色の光を表示パネルのカラーフィルターでフィルタリングして色を実現する。
【0003】
最近では、液晶表示装置の色再現性などの画質を改善するために波長変換フィルムを適用することが研究されている。通常、光源として青色光源を用い、波長変換フィルムを導光板の上部に配置して白色の光に変換する。波長変換フィルムは波長変換粒子を含むが、波長変換粒子は、一般に、水分に脆弱であるため、バリアフィルムで波長変換粒子を保護する。ところが、バリアフィルムは、価格が高く、厚さを増加させる原因になる。また、導光板に波長変換フィルムを積層しなければならないので、複雑な組立工程が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、光透過効率が向上した積層構造を持つ光学部材及びこれを含む表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による光学部材は、導光板と、前記導光板上に配置されて前記導光板よりも小さい屈折率を有する低屈折層と、前記低屈折層と前記導光板との間に配置されて前記低屈折層よりも小さい厚さを有する低屈折下部層と、前記低屈折層上に配置された波長変換層と、を含むことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による光学部材は、導光板と、前記導光板上に配置されて前記導光板よりも小さい屈折率を有する低屈折層と、前記低屈折層上に配置された波長変換層と、前記低屈折層と前記波長変換層との間に配置されて前記低屈折層よりも小さい厚さを有する低屈折上部層と、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明のさらに他の態様による光学部材は、導光板と、前記導光板上に配置されて前記導光板よりも小さい屈折率を有する低屈折層と、前記低屈折層上に配置された波長変換層と、前記低屈折層と前記導光板との間に配置された低屈折下部層と、前記低屈折層と前記波長変換層との間に配置された低屈折上部層と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による表示装置は、導光板、前記導光板上に配置されて前記導光板よりも小さい屈折率を有する低屈折層、前記低屈折層と前記導光板との間に配置された低屈折下部層、及び前記低屈折層上に配置された波長変換層を含む光学部材と、前記導光板の少なくとも一側に配置された光源と、前記光学部材の上部に配置された表示パネルと、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の態様による表示装置は、導光板、前記導光板上に配置されて前記導光板よりも小さい屈折率を有する低屈折層、前記低屈折層上に配置された波長変換層、及び前記低屈折層と前記波長変換層との間に配置された低屈折上部層を含む光学部材と、前記導光板の少なくとも一側に配置された光源と、光学部材の上部に配置された表示パネルと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による光学部材は、光ガイド機能と波長変換機能とを同時に行いながら、屈折率の異なる物質の積層構造により光透過効率を向上させることができる。また、本発明による光学部材は、相対的に薄い厚さを有し、光透過効率を極大化して表示装置の光特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態による光学部材と光源を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II’線に沿った断面図である。
【
図5】波長変換下部層の積層Case及び導光板の上部SiNxの厚さによる透過率の変化を示す図であり、(a)はシミュレーションを行う条件、(b)はシミュレーション結果の一例を示すグラフである。
【
図6】波長変換下部層の積層Case別の最大透過率確保のための積層構造及び厚さを示す表である。
【
図7】多様な実施形態による波長変換下部層の断面図である。
【
図8】多様な実施形態による波長変換下部層の一例を示す断面図である。
【
図9】多様な実施形態による波長変換下部層の一例を示す断面図である。
【
図10】多様な実施形態による波長変換下部層の一例を示す断面図である。
【
図11】多様な実施形態による波長変換下部層の一例を示す断面図である。
【
図12】多様な実施形態による波長変換下部層の一例を示す断面図である。
【
図13】多様な実施形態による波長変換下部層の一例を示す断面図である。
【
図14】多様な実施形態による波長変換下部層の一例を示す断面図である。
【
図15】波長変換上部層の積層Case及び波長変換層の上部SiNxの厚さによる透過率の変化を示す図であり、(a)はシミュレーションを行う条件、(b)はシミュレーション結果の一例を示すグラフであ。
【
図16】波長変換上部層の積層Case別の最大透過率確保のための積層構造及び厚さを示す表である。
【
図17】多様な実施形態による波長変換上部層の一例を示す断面図である。
【
図18】多様な実施形態による波長変換上部層の一例を示す断面図である。
【
図19】多様な実施形態による波長変換上部層の一例を示す断面図である。
【
図20】多様な実施形態による波長変換上部層の一例を示す断面図である。
【
図21】多様な実施形態による光学部材の一例を示す断面図である。
【
図22】多様な実施形態による光学部材の一例を示す断面図である。
【
図23】多様な実施形態による光学部材の一例を示す断面図である。
【
図24】一実施形態による表示装置を示す断面図である。
【
図25】他の実施形態による表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の利点、特徴、及びそれらを達成するための方法は、図面と共に詳細に後述する実施形態を参照すると明らかになる。しかし、本発明は、以下に開示する実施形態に限定されるものではなく、それぞれ異なる多様な形態で具現される。但し、これらの実施形態は、単に本発明の開示を完全なものにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の技術範囲を完全に知らせるために提供されるものである。
【0014】
素子(elements)または層が、他の素子または層の「上(on)」にあると記載される場合、他の素子または層の直上に存在する場合、またはそれらの間に別の層または別の素子が介在している場合を全て含む。明細書全体に亘って、同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0015】
例えば、「第1」、「第2」などの用語は、様々な構成要素を記述するために使用されるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されない。これらの用語は、単に一つの構成要素を他の構成要素と区別するために使用される。よって、以下に記載される第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素である。
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、一実施形態による光学部材と光源を示す斜視図である。
図2は、
図1のII-II’線に沿った断面図である。
【0018】
図1及び
図2を参照すると、光学部材100は、導光板10、導光板上に配置された波長変換下部層70、波長変換下部層70上に配置された波長変換層50、及び波長変換層50上に配置された波長変換上部層60を含む。波長変換下部層70は、低屈折下部層20、低屈折下部層20上に配置された低屈折層30、及び低屈折層30上に配置された低屈折上部層40を含む。
【0019】
導光板10は、光の進行経路を導く役割を果たす。導光板10は、多角柱状を有する。導光板10の平面視形状は、長方形であるが、これに限定されない。本実施形態において、導光板10は、平面視長方形の六角柱状であって、上面10a、下面10b、及び4つの側面10s(10s1、10s2、10s3、10s4)を含む。本明細書及び図面において、4つの側面をそれぞれ区分する必要がある場合には「10s1」、「10s2」、「10s3」、「10s4」と表記するが、単に一つの側面を説明する場合には「10s」と表記する。
【0020】
本実施形態において、導光板10の上面10aと下面10bとはそれぞれ一つの平面上に位置し、上面10aが位置する平面と下面10bが位置する平面とは概ね平行であるため、導光板10は全体的に均一な厚さを有する。しかし、これに限定されるものではなく、上面10aまたは下面10bが複数の平面からなり、上面10aが位置する平面と下面10bが位置する平面とが交差してもよい。例えば、くさび型導光板のように一側面(例えば、入光面)からそれに対向する他の側面(例えば、対光面)に行くほど、厚さが薄くなる。また、特定のポイントまでは、一側面(例えば、入光面)の近くではそれに対向する他の側面(例えば、対光面)側へ行くほど下面10bが上方に傾斜して厚さが減少してから、上面10aと下面10bとが平坦な形状に形成される。
【0021】
光学部材100の一適用例において、光源400は、導光板10の少なくとも一側面10sに隣接して配置される。
図1では、導光板10の一長辺に位置する側面10s1に、プリント基板420に実装された複数のLED光源410が配置されている例を示すが、これに限定されない。例えば、複数のLED光源410が両長辺の側面(10s1、10s3)の両方に隣接して配置されるか、一短辺または両短辺の側面(10s2、10s4)に隣接して配置される。
図1の実施形態において、光源400が隣接して配置された導光板10の一長辺の側面10s1は、光源400の光が直接入射する入光面(
図1において、説明の便宜上、「10s1」と表記)となり、それに対向する他の長辺の側面10s3は対光面(
図1において、説明の便宜上、「10s3」と表記)となる。
【0022】
導光板10は無機物質を含む。例えば、導光板10は、ガラスからなるが、これに限定されない。
【0023】
光学部材100の各層(20、30、40、50、60)が互いに接する面に光学界面が形成される。光学部材100は、複数の光学界面(30a、30b、50a、50b)を含む。各光学界面(30a、30b、50a、50b)は、導光板10の上面10aに対して実質的に平行である。
【0024】
導光板10の上面10aには波長変換下部層70が配置される。波長変換下部層70は、低屈折層30、低屈折下部層20、及び低屈折上部層40を含む。波長変換下部層70は、導光板の上面10a上に直接形成され、導光板の上面10aに接触する。波長変換下部層70は、導光板10と波長変換層50との間に介在して光学部材100の全反射を助ける。
【0025】
より具体的に説明すると、導光板10によって入光面10s1から対光面10s3側へ効率よく光ガイドが行われるためには、導光板10における内部全反射が効果的に行われることが好ましい。導光板10における内部全反射が行われる条件は、導光板10の屈折率が、導光板10と光学的界面をなす媒質の屈折率に比べて大きいことである。導光板10と光学界面をなす媒質の屈折率が低いほど全反射臨界角が小さくなり、より多くの内部全反射が行われる。
【0026】
導光板10が屈折率約1.5のガラスからなる場合を例に説明すると、導光板10の下面10bは、屈折率約1の空気層に晒されて空気層と光学的界面をなすので、十分な全反射が行われる。
【0027】
一方、導光板10の上面10aには、他の光学機能層が積層されて一体化されているので、下面10bの場合よりも十分な全反射が行われ難い。例えば、導光板10の上面10aに屈折率1.5以上の物質層が積層されると、導光板10の上面10aでは、全反射が行われない。また、導光板10の上面10aに、導光板10よりも屈折率が僅かに小さい、例えば1.49程度の物質層が積層されると、導光板10の上面10aにおける内部全反射は行われるが、臨界角があまりに大きいため十分な全反射が行われない。導光板10の上面10a上に積層される波長変換層50は、通常1.5内外の屈折率を有するが、このような波長変換層50が導光板10の上面10aに直接積層されると、導光板10の上面10aで十分な全反射が行われ難い。
【0028】
導光板10と波長変換層50との間に介在して導光板10の上面10aと界面をなす低屈折層30は、導光板10よりも低い屈折率を有するため、低屈折層30の下面30bで全反射が行われる。また、低屈折層30は、その上部に配置される物質層である波長変換層50よりも低い屈折率を有するため、波長変換層50が直接導光板10の上面10aに配置される場合よりもさらに多くの全反射が行われる。
【0029】
導光板10上に低屈折下部層20が配置された場合、導光板10と低屈折下部層20との界面においても屈折率の差があって全反射が行われるが、当該界面で全反射臨界角よりも小さい角度で入射した光は、低屈折下部層20側に透過して進行する。低屈折下部層20と低屈折層30との界面で再び反射及び/または屈折が行われるが、低屈折層30の屈折率が低屈折下部層20の屈折率よりも小さい場合、上記界面においても全反射が行われる。光学部材100が低屈折下部層20を含む場合、導光板10と低屈折層30との間に低屈折下部層20が介在するが、最終的に全反射の臨界角を決定するのは、導光板10と低屈折層30との屈折率の差である。低屈折層30の屈折率が小さいほど屈折率の差が大きくなるので、全反射臨界角は小さくなってより多くの全反射が行われる。
【0030】
導光板10と波長変換層50との間に介在して導光板10の上面10aと界面をなす波長変換下部層70は、低屈折層30を含む。低屈折層30は、導光板10よりも低い屈折率を有するため低屈折層30の下面30bで全反射が行われる。また、低屈折層30は、その上部に配置される物質層である波長変換層50よりも低い屈折率を有するため、波長変換層50が直接導光板10の上面10aに配置される場合よりもさらに多くの全反射が行われる。
【0031】
導光板10の屈折率と低屈折層30の屈折率との差は0.2以上である。低屈折層30の屈折率が導光板10の屈折率よりも0.2以上小さい場合、低屈折層30の下面30bを介して十分な全反射が行われる。導光板10の屈折率と低屈折層30の屈折率との差の上限には制限がないが、通常使用される導光板10の物質及び低屈折層30の屈折率を考慮すると、1以下である。低屈折層30の屈折率は1.2~1.4の範囲である。一般に、固体状の媒質は、その屈折率を1に近づけるほど、製造コストが幾何級数的に増加する。低屈折層30の屈折率が1.2以上であれば、過度な製造コストの増加を防ぐことができる。また、低屈折層30の屈折率が1.4以下であることが、導光板10の上面10aの全反射臨界角を十分に小さくする上で有利である。本実施形態において、約1.25の屈折率を有する低屈折層30が使用される。
【0032】
上述した低屈折率を具現するために、低屈折層30はボイドを含む。ボイドは、真空にするか、または空気層や気体などで満たす。ボイドの空間はパーティクルやマトリクスなどによって定義される。以下、
図3及び
図4を参照して、より詳細に説明する。
【0033】
図3及び
図4は、一実施形態による低屈折層の断面図である。
本実施形態において、低屈折層30は、
図3に示すように、複数のパーティクル(PT)、パーティクル(PT)を包含して全体が一つに連結されたマトリクスMX、及びボイドVDを含む。パーティクルPTは、低屈折層30の屈折率及び機械的強度を調節するフィラー(filler)である。
【0034】
低屈折層30には、複数のマトリクスMXの内部にパーティクルPTが分散配置され、マトリクスMXが部分的に空いて当該部位にボイドVDが形成される。たとえば、複数のパーティクルPTとマトリクスMXとを溶媒に混合した後、乾燥及び/または硬化させると、溶媒が蒸発するが、このとき、マトリクスMXの間にボイドVDが形成される。
【0035】
他の実施形態において、低屈折層30は、
図4に示すように、パーティクルなしにマトリクスMXとボイドVDとを含む。例えば、低屈折層30は、発泡樹脂のように全体が一つに連結されたマトリクスMX、及びその内部に配置された複数のボイドVDを含む。
【0036】
図3及び
図4に示すように、低屈折層30がボイドVDを含む場合、低屈折層30の全体屈折率は、パーティクルPT/マトリクスMXの屈折率とボイドVDの屈折率との間の値を有する。上述したように、ボイドVDが屈折率1の真空となるか、またはボイドVDが屈折率約1の空気層や気体などで満たされる場合、パーティクルPT/マトリクスMXとして1.4以上の物質を使用しても、低屈折層30の全体屈折率は1.4以下の値、例えば約1.25の値を有する。本実施形態において、パーティクルPTはSiO
2、Fe
2O
3、MgF
2などの無機物質からなり、マトリクスMXは、ポリシロキサン(polysiloxane)などの有機物からなるが、その他の有機物または無機物からなってもよい。
【0037】
図1及び
図2を再び参照すると、低屈折層30の厚さは0.4μm~2μmである。低屈折層30の厚さが、可視光の波長範囲である0.4μm以上の場合、実効的な光学的界面を成すため、低屈折層30の下面30bでスネルの法則による全反射がよく行われる。低屈折層30が厚い場合、光学部材100の薄膜化に逆行し、材料費用が増加し、光学部材100の輝度の面でも不利であるため、低屈折層30は2μm以下の厚さに形成される。本実施形態において、低屈折層30の厚さは約1μmである。
【0038】
低屈折下部層20は、導光板10と低屈折層30との間に配置される。低屈折下部層20は、導光板10の上面上に直接形成され、導光板10の上面に接触する。また、低屈折層30の下面に接触する。低屈折下部層20は、導光板10と低屈折層30との間に介在する。低屈折下部層20は、低屈折層30よりも屈折率が大きい。低屈折下部層20は、低屈折物質及び高屈折物質のいずれか一つからなる単層構造である。また、低屈折下部層20は、低屈折物質と高屈折物質とが交互に積層された多層構造である。低屈折物質の屈折率は1.3~1.7である。高屈折物質の屈折率は1.5~2.2である。一実施形態として、低屈折物質はSiOxであり、高屈折物質はSiNxである。ただし、低屈折物質及び高屈折物質は、これに限定されるものではなく、屈折率を満足する様々な物質からなる。
【0039】
低屈折下部層20の積層物質及び積層厚さに応じて、光の補強干渉または相殺干渉による影響が変化するので、光透過率が変わることになる。すなわち、低屈折下部層20の積層物質及び積層厚さを調節して光透過率を調節することができる。また、低屈折下部層20が無機膜を含む場合、低屈折下部層20は、低屈折層30に水分/酸素が浸透することを防止する保護膜の役割を果たす。
【0040】
低屈折上部層40は、低屈折層30と波長変換層50との間に配置される。低屈折上部層40は、低屈折層30の上面上に直接形成されて低屈折層30の上面に接触する。また、波長変換層50の下面に接触する。低屈折上部層40は、低屈折層30と波長変換層50との間に介在する。低屈折上部層40は、低屈折層30よりも屈折率が大きい。低屈折上部層40は、低屈折層30の上面から波長変換層50の方向に全反射が起こるのを助ける。低屈折上部層40は、低屈折物質及び高屈折物質のいずれかからなる単層構造である。また、低屈折上部層40は、低屈折物質と高屈折物質とが交互に積層された多層構造であってもよい。低屈折下部層20と同様に、低屈折物質の屈折率は1.2~1.7である。高屈折物質の屈折率は1.5~2.2である。一実施形態として、低屈折物質はSiOx、高屈折物質はSiNxである。ただし、低屈折物質及び高屈折物質は、これに限定されるものではなく、屈折率を満足する様々な物質からなってもよい。
【0041】
低屈折上部層40の積層物質及び積層厚さに応じて、光の補強干渉または相殺干渉による影響が変化するので、光透過率が変わることになる。すなわち、低屈折上部層40の積層物質及び積層厚さを調節して光透過率を調節することができる。また、低屈折上部層40は、光学部材100の光学効率を向上させる。低屈折層30を透過した光が波長変換層50に進入し、分散した散乱粒子に出会うと、波長が変わりながら散乱するが、散乱した光の一部は再び導光板10の方向に進む。低屈折上部層40が低屈折層30よりも高い屈折率を有すると、その界面で全反射が起るか、または再び上部に反射させるため、表示装置の輝度などの光学効率を増加させることができる。
【0042】
低屈折上部層40は、低屈折層30と完全に重畳して低屈折層30への水分及び/または酸素の浸透を防止する。すなわち、低屈折上部層40は、低屈折層30の変形を防止し、硬度を増加させて構造的な安定性をもたらす。また、無機膜を含む低屈折上部層40は、上部の波長変換層50及び下部の低屈折層30に水分及び/または酸素が浸透することを防止する役割を果たす。
【0043】
波長変換下部層70は、蒸着及びコーティングなどの方法で形成される。波長変換下部層70は、導光板10上に低屈折下部層20、低屈折層30、低屈折上部層40の順に形成される。一実施形態として、低屈折下部層20及び低屈折上部層40は、無機物を含む無機膜で化学気相蒸着方法を用いて形成される。低屈折層30は、有機物を含む有機膜でコーティング方法を用いて形成される。コーティング方法としては、スリットコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、インクジェットコーティングなどが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、他の様々な積層方法が適用される。
【0044】
波長変換層50は波長変換下部層70上に配置される。一実施形態として、波長変換下部層70が低屈折上部層40を含む場合、波長変換層50は低屈折上部層40の上面に配置される。他の実施形態として、波長変換下部層70が低屈折上部層40を含まない場合、波長変換層50は低屈折層30の上面に配置される。波長変換層50は、バインダー層と、バインダー層内に分散された波長変換粒子とを含む。波長変換層50は、波長変換粒子の他に、バインダー層に分散された散乱粒子をさらに含む。
【0045】
バインダー層は、波長変換粒子が分散される媒質であって、一般にバインダーと呼ばれる様々な樹脂組成物からなる。ただし、これに限定されるものではなく、本明細書において、波長変換粒子及び/または散乱粒子を分散配置させることが可能な媒質であれば、その名称は、追加の他の機能、構成物質などに関係なく、バインダー層と呼ばれる。
【0046】
波長変換粒子は、入射した光の波長を変換する粒子であって、例えば、量子ドット(Quantumdot、QD)、蛍光物質、または燐光物質である。波長変換粒子の一例である量子ドットについて詳細に説明すると、量子ドットは、数ナノメートルの大きさの結晶構造を有する物質であって、数百~数千個程度の原子から構成され、サイズが小さいため、エネルギーバンドギャップ(bandgap)が大きくなる量子閉じ込め(quantum confinement)効果を奏する。量子ドットにバンドギャップよりもエネルギーの高い波長の光が入射すると、量子ドットは、その光を吸収して励起状態となり、特定の波長の光を放出しながら基底状態に落ちる。放出された光の波長は、バンドギャップに相当する値を有する。量子ドットは、その大きさと組成などを調節することで、量子閉じ込め効果による発光特性を調節することができる。
【0047】
量子ドットは、例えば、II-VI族化合物、II-V族化合物、III-VI族化合物、III-V族化合物、IV-VI族化合物、I-III-VI族化合物、II-IV-VI族化合物、及びII-IV-V族化合物のうちの少なくとも一つを含む。
【0048】
量子ドットは、コア(Core)、及びコアをオーバーコーティングするシェル(Shell)を含むものである。コアは、これに限定するものではないが、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb、SiC、Ca、Se、In、P、Fe、Pt、Ni、Co、Al、Ag、Au、Cu、FePt、Fe2O3、Fe3O4、Si、及びGeのうちの少なくとも一つである。シェルは、これに限定するものではないが、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、GaSe、InN、InP、InAs、InSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbS、PbSe、及びPbTeのうちの少なくとも一つを含む。
【0049】
波長変換粒子は、入射光をそれぞれ異なる波長に変換する複数の波長変換粒子を含む。例えば、波長変換粒子は、特定の波長の入射光を第1波長に変換して放出する第1波長変換粒子と、第2波長に変換して放出する第2波長変換粒子とを含む。本実施形態において、光源400から出射されて波長変換粒子に入射する光はブルー波長の光であり、第1波長はグリーン波長であり、第2波長はレッド波長である。例えば、ブルー波長は、420nm~470nmにピークを有する波長であり、グリーン波長は、520nm~570nmにピークを有する波長であり、レッド波長は、620nm~670nmにピークを有する波長である。しかし、ブルー波長、グリーン波長、及びレッド波長は、上記の例に限定されるものではなく、本技術分野でブルー、グリーン、及びレッドとして認識できる波長範囲を全て含む。
【0050】
上記の例に示す実施形態において、波長変換層50に入射したブルー光は、波長変換層50を通過しながら、一部が第1波長変換粒子に入射してグリーン波長に変換されて放出され、他の一部が第2波長変換粒子に入射してレッド波長に変換されて放出され、残りの一部は第1及び第2波長変換粒子に入射せずにそのまま出射される。したがって、波長変換層50を通過した光は、ブルー波長の光、グリーン波長の光、及びレッド波長の光を全て含む。放出されるそれぞれ異なる波長の光の割合を適切に調節すると、白色光または他の色の出射光を表示することができる。波長変換層50で変換された光は、狭い範囲の特定の波長内に集中し、狭い半値幅のシャープなスペクトルを有する。したがって、このようなスペクトルの光をカラーフィルターでフィルタリングして色を実現すると、色再現性が改善される。
【0051】
上記の例に示す実施形態とは異なり、入射光が紫外線などの短波長の光であり、これをそれぞれブルー波長、グリーン波長、及びレッド波長に変換する3種類の波長変換粒子が波長変換層50内に配置されて白色光を出射することもできる。
【0052】
波長変換層50は散乱粒子をさらに含む。散乱粒子は、非量子ドット粒子であって、波長変換機能のない粒子である。散乱粒子は、入射した光を散乱させ、より多くの入射光が波長変換粒子側に入射するようにする。それだけでなく、散乱粒子は、波長別の光の出射角を均一に制御する役割を果たす。具体的に説明すると、一部の入射光が波長変換粒子に入射した後、波長が変換されて放出されるとき、その放出方向は無作為な散乱特性を有する。もし波長変換層50内に散乱粒子がなければ、波長変換粒子との衝突後に放出されるグリーン波長及びレッド波長は、散乱放出特性を有するが、波長変換粒子との衝突なしに放出されるブルー波長は、散乱放出特性を有しないため、出射角度によってブルー/グリーン/レッド波長の放出量が異なる。散乱粒子は、波長変換粒子に衝突せずに放出されるブルー波長に対しても散乱放出特性を与えることにより、波長別の光の出射角が同様に調節される。散乱粒子としてはTiO2、SiO2などが使用される。
【0053】
波長変換層50は低屈折層30よりも厚い。波長変換層の厚さは約10μm~50μmである。本実施形態において、波長変換層50の厚さは約10μmである。
【0054】
波長変換層50は、コーティングなどの方法で形成される。例えば、波長変換下部層が形成された導光板10上に波長変換組成物をスリットコーティングし、乾燥及び硬化させて波長変換層50が形成される。しかし、これに限定されるものではなく、他の様々な積層方法が適用される。
【0055】
波長変換層50上には波長変換上部層60が配置される。波長変換上部層60は、水分及び/または酸素(以下、「水分/酸素」という。)の浸透を防ぐパッシベーション層である。波長変換上部層60は複数の積層膜を含む。各積層膜は無機膜または有機膜を含む。波長変換上部層60は少なくとも一つの無機膜を含む。すなわち、波長変換上部層60は、無機膜の単一膜、複数の無機膜、または有機膜及び無機膜の積層膜からなる。
【0056】
各積層膜は、高屈折物質、低屈折物質、及び/または透明有機物質を含んで構成される。波長変換上部層60は、低屈折物質、高屈折物質、または透明有機物質からなる単層膜であるか、屈折率の異なる物質が積層された多層膜である。一実施形態として、高屈折物質及び低屈折物質は、シリコン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、チタン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物、シリコン酸化窒化物などである。一実施形態として、高屈折物質はSiNx(シリコンナイトライド)であり、低屈折物質はSiOx(シリコンオキサイド)である。透明有機物質は、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などである。
【0057】
波長変換上部層60は、波長変換層50に完全に重畳し、波長変換層50の上面を覆う。一実施形態として、波長変換上部層60は、波長変換層50の上面のみを覆うが、他の実施形態として、波長変換上部層60は、外側にさらに延長されて波長変換層50の側面から波長変換下部層70の側面までを覆う。
【0058】
波長変換上部層60の厚さは0.1μm~5μmである。一実施形態として、波長変換上部層60が有機膜を含まない場合、波長変換上部層60の厚さは0.15μm~0.5μmである。他の実施形態として、波長変換上部層60が有機膜を含む場合、波長変換上部層60の厚さは1μm~5μmである。波長変換上部層60の厚さは波長変換層50よりも小さい。波長変換上部層60の厚さが0.1μm以上であれば、有意な水分/酸素浸透防止機能が発揮される。波長変換上部層60の厚さは2μm以下であることが、薄膜化及び透過率の面で有利である。ただし、波長変換上部層60の厚さはこれに限定されるものではなく、波長変換上部層60は様々な厚さで配置される。波長変換上部層60の積層物質の屈折率及び積層厚さなどに応じて、上部に抽出される光の量、すなわち透過率に影響を与える。これについての詳細な説明は後述する。
【0059】
波長変換上部層60は、コーティング及び蒸着などの方法で形成される。例えば、無機物を含む無機膜は、波長変換下部層70と波長変換層50とが順次形成された導光板10上に化学気相蒸着法を用いて形成される。有機物を含む有機膜は、導光板上にコーティング方法を用いて形成される。しかし、これに限定されるものではなく、他の様々な積層方法が適用される。
【0060】
上述したように、光学部材100は、光ガイド機能と波長変換機能とを同時に果たす。光学部材100は、波長変換下部層70及び波長変換上部層60を含む。波長変換下部層70は、低屈折層30、低屈折下部層20、及び低屈折上部層40を含む。低屈折下部層20及び低屈折上部層40は、低屈折層30の屈折率よりも屈折率が大きい物質からなる。低屈折下部層20及び低屈折上部層40は、光学部材に入射した光の補強干渉または相殺干渉による影響を変化させるので、光透過率を向上させる。波長変換上部層60は、高屈折物質または低屈折物質のうちの少なくとも一つの物質からなる層を含む。また、波長変換上部層60は、透明有機物質をさらに含む多層膜であってもよい。波長変換上部層60は、波長変換層を完全に覆って水分/酸素の浸透を防ぐ。また、波長変換上部層60は、波長変換層を透過した光が光学部材100の外部へ効率よく出光されるようにして光学効率を向上させる。
【0061】
また、光学部材100の波長変換層50上に配置される波長変換上部層60は、別個のフィルムとして提供される波長変換フィルムよりも製造コストを下げ、厚さを減少させる。一例として、波長変換フィルムは、波長変換層50の上下部にバリアフィルムを付着させるが、バリアフィルムは高価であるだけでなく、厚さも100μm以上と厚いため、波長変換フィルムの全厚は約270μmに達する。一方、本実施形態による光学部材100の場合、導光板10を除いた全厚を約12μm~13μmのレベルに維持することができるため、これを採用する表示装置の厚さを減少させることができる。また、光学部材100は、高価なバリアフィルムを省略することができるため、製造コストも波長変換フィルムよりも安価なレベルで管理することができる。
【0062】
以下、波長変換下部層における最大光透過率を得るための波長変換下部層の積層構造及び厚さについて説明する。光が屈折率の異なる媒質を透過するとき、互いに異なる屈折率を有する媒質が出会う地点で光の反射と屈折が起こる。媒質の屈折率と厚さを知ることができれば、光の反射と屈折に関するフレネル方程式(Fresnel equations)によって積層構造の透過率を導出することができる。すなわち、波長変換下部層の積層構造及び厚さによる透過率を導出するためのシミュレーションを行うことができる。
【0063】
図5は、波長変換下部層の積層Case及び導光板の上部SiNxの厚さによる透過率の変化を示すグラフである。
図6は、波長変換下部層の積層Case別の最大透過率確保のための積層構造及び厚さを示す表である。
【0064】
図5の(a)は、シミュレーションを行う条件を示す。
図5の(a)において、低屈折下部層及び低屈折上部層がすべて2つの層を含む場合を例に説明し、低屈折下部層及び低屈折上部層が省略されるか、または単一の層だけを含む場合には、便宜上、当該層の厚さが0μmであると表記する。
【0065】
図2及び
図5の(a)を参照すると、波長変換下部層70は、導光板10上に低屈折下部層20、低屈折層30、低屈折上部層40が順に積層されている。波長変換下部層70は、導光板10と波長変換層50との間に介在される。低屈折下部層20及び低屈折上部層40はそれぞれ2つ以下の層を含む。
【0066】
シミュレーション条件において、各層の厚さは0μm~0.2μmの範囲で選択される。厚さが0μmであるということは、上述したように当該層を含まないことを意味する。本シミュレーション条件で、低屈折層30の厚さは1μmに設定される。低屈折下部層20及び低屈折上部層40が含む層は、高屈折物質及び低屈折物質からなる。一実施形態として、高屈折物質はSiNx(シリコンナイトライド)であり、低屈折物質はSiOx(シリコンオキサイド)である。以下、高屈折物質はSiNxであり、低屈折物質はSiOxである例を説明する。高屈折物質を含む層と、低屈折物質を含む層とは交互に積層される。高屈折物質及び低物質物質の屈折率は低屈折層30の屈折率よりも大きい。積層構造に応じて、波長変換下部層70の光透過率を求めるための条件を、以下の4つに区分する。
【0067】
波長変換下部層のCase1は、導光板上に高屈折物質、低屈折物質の順に積層された低屈折下部層20と、低屈折層上に高屈折物質、低屈折物質の順に積層された低屈折上部層40とを含む。
【0068】
波長変換下部層のCase2は、導光板上に低屈折物質、高屈折物質の順に積層された低屈折下部層20と、低屈折層上に高屈折物質、低屈折物質の順に積層された低屈折上部層40とを含む。
【0069】
波長変換下部層のCase3は、導光板上に高屈折物質、低屈折物質の順に積層された低屈折下部層20と、低屈折層上に低屈折物質、高屈折物質の順に積層された低屈折上部層40とを含む。
【0070】
波長変換下部層のCase4は、導光板上に低屈折物質、高屈折物質の順に積層された低屈折下部層20と、低屈折層上に低屈折物質、高屈折物質の順に積層された低屈折上部層40とを含む。
【0071】
図5の(b)は、Case1において、導光板上に配置された低屈折下部層のSiNxの厚さによる積層条件別の透過率の変化を示すグラフである。
図5の(b)は、シミュレーション結果の一例であり、
図5の(b)の方式で、他のCaseの積層構造を含む波長変換下部層の透過率を求めることができる。ここで、透過率とは、光源から入射した青色光に対する、波長変換下部層を透過して外部へ放出された青色光の割合を意味する。
図5の(b)のグラフ上のSiNxは高屈折物質を指し、SiOxは低屈折物質を指す。
【0072】
図2及び
図5の(b)を参照すると、
図5の(b)のシミュレーションが行われる波長変換下部層70は、上述したCase1の構造を備えている。Case1の波長変換下部層70は、SiNx、SiOxの順に積層された低屈折下部層20と、SiNx、SiOxの順に積層された低屈折上部層40とを含む。低屈折下部層20のSiNxは、
図5の(b)のグラフ上、X軸に該当するSiNxの厚さに対応する。すなわち、
図5の(b)のグラフにおいて、SiNxは変動する値であり、低屈折下部層20のSiNxを除く低屈折下部層20のSiOxと低屈折上部層40のSiNx及びSiOxの厚さは、指定された値を有する。
図5の(b)は、低屈折下部層20のSiOxの厚さがそれぞれ0.06μm、0.08μm、及び0.2μmである場合、低屈折下部層20のSiNxの厚さによる透過率の変化を示す3つのグラフ(G1、G2、G3)を示す。このとき、低屈折上部層40のSiNx及びSiOxの厚さは、それぞれ0μmであって、波長変換下部層70が低屈折上部層40を含まない場合を示す。
【0073】
G1は、低屈折下部層20のSiOxの厚さが0.06μmであるときの透過率の変化を示すグラフである。G2は、低屈折下部層20のSiOxの厚さが0.08μmであるときの透過率の変化を示すグラフである。G3は、低屈折下部層20のSiOxの厚さが0.2μmであるときの透過率の変化を示すグラフである。G1は、低屈折下部層20のSiNxの厚さが約0.1μmであるときに最大透過率を有する。G2は、低屈折下部層20のSiNxの厚さが約0.02μmまたは約0.14μmであるときに最大透過率を有する。G3は、低屈折下部層20のSiNxの厚さが約0.1μmであるときに最大透過率を有する。すなわち、積層順序及び積層厚さなどの積層構造が変わると、透過率も一緒に変化する。これにより、各積層条件での最大透過率を確認することができ、それによって、最大透過率を有する各積層条件を決定する。
【0074】
図6は、波長変換下部層の積層Case別の最大青色光透過率の確保ための積層構造及び厚さを示す表である。
図6は、各積層Case別の透過率が高い3つの結果値を示す。1.5TのGlassは、厚さ1.5mmの導光板を意味する。低屈折層が1μmであり、波長変換層が10μmである場合のシミュレーション結果値である。
図6において、SiOxは低屈折物質の一例であり、SiNxは高屈折物質の一例である。
【0075】
図2及び
図6を参照すると、Case1のresult3は、
図5の(b)で説明したG1による結果値である。Case1のresult3は、SiNx0.1μm、SiOx0.06μmが導光板上に順次積層された低屈折下部層20を含み、低屈折上部層40のSiNx及びSiOxが0μm、すなわち波長変換下部層70が低屈折上部層40を含まない場合の波長変換下部層70の透過率を示す。result3の波長変換下部層70は81.3%の青色光透過率を有する。このように各Case別の最大青色光の透過率を求めると、4つのCaseとも約81.4%の最大透過率を有する。多様な実施形態による波長変換下部層の積層構造は、
図7~
図14を参照して詳細に説明する。
【0076】
図7~
図14は、多様な実施形態による波長変換下部層の一例を示す断面図である。
図7~
図14に示す実施形態は、波長変換下部層(71、72、73、74、75、76、77、78)の各構成が多様に配置された例を示す。波長変換下部層(71、72、73、74、75、76、77、78)は、低屈折層30を含むが、低屈折下部層(
図2の「20」)または低屈折上部層(
図2の「40」)をさらに含む。幾つかの実施形態において、波長変換下部層は低屈折下部層または低屈折上部層を含まない。ただし、波長変換下部層(71、72、73、74、75、76、77、78)は、効果的に全反射を誘導し且つ光透過率を向上させるために、低屈折下部層(
図2の「20」)及び低屈折上部層(
図2の「40」)のうちの少なくとも一つの層を含む。低屈折下部層(
図2の「20」)及び低屈折上部層(
図2の「40」)は、単層構造であるか、または高屈折物質と低屈折物質とが交互に積層された多層構造である。以下、高屈折物質の例としてSiNxを挙げ、低屈折物質の例としてSiOxを挙げて説明する。ただし、高屈折物質及び低屈折物質はこれに限定されない。
【0077】
図7は、波長変換下部層71の低屈折下部層21及び低屈折上部層41が単層構造である例を示す。
図7に示す波長変換下部層71は、
図6のCase2のresult2に対応する構造である。すなわち、
図7に示す波長変換下部層71において、低屈折下部層21は高屈折物質からなる単層であり、低屈折上部層41は低屈折物質からなる単層である。本実施形態において、低屈折下部層21は、SiNxからなり、厚さが0.06μmである。低屈折上部層41は、SiOxからなり、厚さが0.1μmである。本実施形態による波長変換下部層71の青色光透過率は81.3%である。
【0078】
図8は、波長変換下部層72の低屈折下部層(22a、22b)は屈折率の互いに異なる物質が交互に積層され、低屈折上部層42は単層構造である例を示す。
図8に示す波長変換下部層72は、
図6のCase1のresult1及びresult2に対応する構造である。すなわち、
図8に示す波長変換下部層72において、低屈折下部層(22a、22b)は屈折率の異なる第1低屈折下部層22a及び第2低屈折下部層22bを含む多層からなり、低屈折上部層42は低屈折物質の単層からなる。第1低屈折下部層22aの屈折率は、第2低屈折下部層22bの屈折率よりも大きい。第2低屈折下部層22bは、低屈折上部層42と同一の物質を含む。Case1のresult1に対応する実施形態において、第1低屈折下部層22aは、SiNxからなり、厚さが0.02μmである。第2低屈折下部層22bは、SiOxからなり、厚さが0.06μmである。低屈折上部層42は、低屈折物質であるSiOxからなり、厚さが0.04μmである。これによる波長変換下部層72の青色光透過率は81.4%である。一方、Case1のresult2に対応する実施形態において、波長変換下部層72は、上記result1に対応する実施形態の波長変換下部層72と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。第1低屈折下部層22aの厚さは0.02μmである。第2低屈折下部層22bの厚さは0.08μmである。低屈折上部層42の厚さは0.14μmである。これによる波長変換下部層72の青色光透過率は81.4%である。
【0079】
図9は、波長変換下部層73の低屈折下部層(23a、23b)は屈折率の異なる物質が交互に積層され、低屈折上部層43は単層構造である例を示す。
図9に示す波長変換下部層73は、
図6のCase2のresult1及びresult3に対応する構造である。すなわち、
図9に示す波長変換下部層73において、低屈折下部層(23a、23b)は、屈折率の異なる第1低屈折下部層23a及び第2低屈折下部層23bを含む多層からなり、低屈折上部層43は、低屈折物質の単層からなる。
図9の実施形態は、
図8と同一の層数を含むが、
図9の実施形態において、第1低屈折下部層23aの屈折率は第2低屈折下部層23bの屈折率よりも小さい。また、第1低屈折下部層23aは、低屈折上部層43と同一の物質を含む。Case2のresult1に対応する実施形態において、第1低屈折下部層23aは、SiOxからなり、厚さが0.06μmである。第2低屈折下部層23bは、SiNxからなり、厚さが0.08μmである。低屈折上部層43は、SiOxからなり、厚さが0.02μmである。これによる波長変換下部層73の青色光透過率は81.4%である。一方、Case2のresult3に対応する実施形態による波長変換下部層73は、上記result1に対応する実施形態の波長変換下部層73と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。第1低屈折下部層23aの厚さは0.04μmである。第2低屈折下部層23bの厚さは0.08μmである。低屈折上部層43の厚さは0.02μmである。これによる波長変換下部層73の青色光透過率は81.3%である。
【0080】
図10は、低屈折下部層を含まず、低屈折上部層(44a、44b)が多層構造である波長変換下部層74を示す。
図10に示す波長変換下部層74は、
図6のCase4のresult3に対応する構造である。すなわち、
図10に示す波長変換下部層74において、低屈折下部層は、厚さが0μmであって配置されず、低屈折上部層(44a、44b)は、屈折率の異なる第1低屈折上部層44a及び第2低屈折上部層44bを含む多層からなる。第1低屈折上部層44aの屈折率は、第2低屈折上部層44bの屈折率よりも小さい。Case4のresult3に対応する実施形態として、第1低屈折上部層44aは、SiOxからなり、厚さが0.06μmである。第2低屈折上部層44bは、SiNxからなり、厚さが0.1μmである。これによる波長変換下部層74の青色光透過率は81.3%である。
【0081】
図11は、波長変換下部層75の低屈折下部層25が単層構造であり、低屈折上部層(45a、45b)は屈折率の異なる物質が交互に積層された多層構造である例を示す。
図11に示す波長変換下部層75は、
図6のCase3のresult1に対応する構造である。すなわち、
図11に示す波長変換下部層75において、低屈折下部層25は、高屈折物質を含む単層構造であり、低屈折上部層(45a、45b)は、屈折率の異なる第1低屈折上部層45a及び第2低屈折上部層45bを含む多層からなる。第1低屈折上部層45aの屈折率は、第2低屈折上部層45bの屈折率よりも小さい。低屈折下部層25は、第2低屈折上部層45bと同一の物質からなる。Case3のresult1に対応する実施形態として、低屈折下部層25は、SiNxからなり、厚さが0.02μmである。第1低屈折上部層45aは、SiOxからなり、厚さが0.06μmである。第2低屈折上部層45bは、SiNxからなり、厚さが0.04μmである。これによる波長変換下部層75の青色光透過率は81.4%である。
【0082】
図12は、波長変換下部層76の低屈折下部層26が単層構造であり、低屈折上部層(46a、46b)は屈折率の異なる物質が交互に積層された多層構造である例を示す。
図12に示す波長変換下部層76は、
図6のCase4のresult1及びresult2に対応する構造である。すなわち、
図12に示す波長変換下部層76において、低屈折下部層26は、低屈折物質を含む単層構造であり、低屈折上部層(46a、46b)は、屈折率の異なる第1低屈折上部層46a及び第2低屈折上部層46bを含む多層からなる。第1低屈折上部層46aの屈折率は、第2低屈折上部層46bの屈折率よりも小さい。
図12の実施形態は、
図11と同一の層数を含むが、
図11の実施形態に対して、低屈折下部層26が低屈折物質からなる。また、低屈折下部層26は、第1低屈折上部層46aと同一の物質からなる。Case4のresult1に対応する実施形態として、低屈折下部層26は、SiOxからなり、厚さが0.06μmである。第1低屈折上部層46aは、SiOxからなり、厚さが0.08μmである。第2低屈折上部層46bは、SiNxからなり、厚さが0.02μmである。これによる波長変換下部層76の青色光透過率は81.4%である。Case4のresult2に対応する実施形態による波長変換下部層76は、上記result1に対応する実施形態の波長変換下部層76と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。低屈折下部層26の厚さは0.04μmである。第1低屈折上部層46aの厚さは0.08μmである。第2低屈折上部層46bの厚さは0.02μmである。これによる波長変換下部層76の青色光透過率は81.3%である。
【0083】
図13は、波長変換下部層77の低屈折下部層(27a、27b)及び低屈折上部層(47a、47b)が屈折率の異なる物質が交互に積層された多層構造である例を示す。
図13に示す波長変換下部層77は、
図6のCase3のresult2及びresult3に対応する構造である。すなわち、
図13に示す波長変換下部層77において、低屈折下部層(27a、27b)は、屈折率の異なる第1低屈折下部層27a及び第2低屈折下部層27bを含む多層からなり、低屈折上部層(47a、47b)は、屈折率の異なる第1低屈折上部層47a及び第2低屈折上部層47bを含む多層からなる。第1低屈折下部層27aの屈折率は、第2低屈折下部層27bの屈折率よりも大きい。第1低屈折上部層47aの屈折率は、第2低屈折上部層47bの屈折率よりも小さい。また、第1低屈折下部層27aは第2低屈折上部層47bと同一の物質からなり、第2低屈折下部層27bは第1低屈折上部層47aと同一の物質からなる。Case3のresult2に対応する実施形態として、第1低屈折下部層27aは、SiNxからなり、厚さが0.02μmである。第2低屈折下部層27bは、SiOxからなり、厚さが0.02μmである。第1低屈折上部層47aは、SiOxからなり、厚さが0.04μmである。第2低屈折上部層47bは、SiNxからなり、厚さが0.06μmである。これによる波長変換下部層77の青色光透過率は81.4%である。Case3のresult3に対応する実施形態による波長変換下部層77は、上記result2に対応する実施形態の波長変換下部層77と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。第1低屈折下部層27aの厚さは0.02μmである。第2低屈折上部層47bの厚さは0.04μmである。第1低屈折上部層47aの厚さは0.02μmである。第2低屈折上部層47bの厚さは0.08μmである。これによる波長変換下部層77の青色光透過率は81.4%である。
【0084】
図14は、
図10とは逆に、低屈折上部層を含まず、低屈折下部層(28a、28b)が多層構造である波長変換下部層78を示す。
図14に示す波長変換下部層78は、
図6のCase1のresult3に対応する構造である。すなわち、
図14に示す波長変換下部層78において、低屈折上部層は、厚さが0μmであって配置されず、低屈折下部層(28a、28b)は、屈折率の異なる第1低屈折下部層28a及び第2低屈折下部層28bを含む多層からなる。第1低屈折下部層28aの屈折率は、第2低屈折下部層28bの屈折率よりも大きい。Case1のresult3に対応する実施形態として、第1低屈折下部層28aは、SiNxからなり、厚さが0.1μmである。第2低屈折下部層28bは、SiOxからなり、厚さが0.06μmである。これによる波長変換下部層78の青色光透過率は81.3%である。
【0085】
図15は、波長変換上部層の積層Case及び波長変換層の上部SiNxの厚さによる透過率の変化を示す図である。
図16は、波長変換上部層の積層Case別の最大透過率確保のための積層構造及び厚さを示す表である。
【0086】
図2及び
図15を参照すると、
図15の(a)は、シミュレーションを行う条件を示す。波長変換上部層60は、波長変換層50上に配置される。波長変換上部層60は、高屈折物質、低屈折物質、及び透明有機物質を含む。一実施形態として、高屈折物質はSiNx(シリコンナイトライド)であり、低屈折物質はSiOx(シリコンオキサイド)である。以下、高屈折物質はSiNxであり、低屈折物質はSiOxであるとして説明する。透明有機物質は、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などである。高屈折物質及び低屈折物質を含む各層は、厚さが0μm~0.2μmである。透明有機物質を含む層は、厚さが0μm~5μmである。厚さが0μmであるというのは、当該層を含まないことを意味する。高屈折物質、低屈折物質、及び透明有機物質を含む層の積層構造に応じて、合計6つの条件に区分されるが、実質的に高い光透過率を示す3つの条件について説明する。
【0087】
波長変換上部層60のCase1は、波長変換層50上に高屈折物質、低屈折物質、透明有機物質を含む層が順に積層された構造を含む。
【0088】
波長変換上部層60のCase2は、波長変換層50上に高屈折物質、透明有機物質、低屈折物質を含む層が順に積層された構造を含む。
【0089】
波長変換上部層60のCase3は、波長変換層50上に透明有機物質、高屈折物質、低屈折物質を含む層が順に積層された構造を含む。
【0090】
図15の(b)は、Case2において、波長変換層50上に配置されたSiNxの厚さによる透過率の変化を示すグラフである。
図15の(b)は、シミュレーション結果の一例であり、
図15の(b)のような方式で他のCaseの積層構造を含む波長変換上部層60の透過率を求める。ここで、透過率とは、波長変換層50を介して入射した白色光に対する、波長変換上部層60を透過して外部へ放出された白色光の割合を意味する。
【0091】
図15の(b)を参照すると、波長変換上部層60のSiNxの厚さが変化するにつれて、透過率も変化することが分かる。SiNxの厚さが変わる場合、光の補強干渉または相殺干渉による影響が変化するので、光透過率が変わる。材料による光吸収により、SiNxの厚さが厚くなるほど最大光透過率の値が低くなる傾向を示す。Case2による波長変換上部層60は、SiNxの厚さが約0.1μmであるときに最大透過率を有する。このようにCase1~Case3による波長変換上部層60の積層順序及び積層厚さなどの積層構造を変化させて各積層条件での最大透過率を求める。
【0092】
図16は、波長変換上部層の積層Case別の最大透過率確保のための積層構造及び厚さを示す表である。
図16は、各積層Case別の透過率が高い3つの結果値を示す。
図16において、SiNxは高屈折物質の一例であり、SiOxは低屈折物質の一例である。OCは透明有機物質を指す。各Case別の最大光透過率を求めると、波長変換上部層60は87.5%~88.2%の最大光透過率を有する。多様な実施形態による波長変換上部層60の積層構造は、以下、
図17~
図20で詳細に説明する。
【0093】
図17~
図20は、多様な実施形態による波長変換上部層の一例を示す断面図である。
図17~
図20の実施形態は、波長変換上部層(61、62、63、64)の各構成が多様に配置された例を示す。波長変換上部層(61、62、63、64)は、効果的に光を透過し、波長変換層に水分/酸素が浸透するのを防止するために、高屈折物質、低屈折物質、及び透明有機物質のうちの少なくとも二つの物質を含む層が積層された多層構造である。
【0094】
図17は、波長変換層50上に波長変換上部層が配置され、波長変換上部層(61a、61b)は第1波長変換上部層61a及び第2波長変換上部層61bを含む多層構造である例を示す。
図17に示す波長変換上部層(61a、61b)は、
図16のCase1のresult1~result3に対応する構造である。すなわち、
図17に示す波長変換上部層(61a、61b)は、高屈折物質を含まず、屈折率の異なる第1波長変換上部層61a及び第2波長変換上部層61bを含む多層からなる。第1波長変換上部層61aの屈折率は、第2波長変換上部層61bの屈折率よりも大きい。Case1のresult1に対応する実施形態において、第1波長変換上部層61aは、SiOxからなり、厚さが0.1μmである。第2波長変換上部層61bは、透明有機物質からなり、厚さが2μmである。これによる波長変換上部層(61a、61b)の白色光透過率は87.9%である。Case1のresult2に対応する実施形態による波長変換上部層(61a、61b)は、上記result1に対応する実施形態の波長変換上部層と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。第1波長変換上部層61aの厚さは0.1μmである。第2波長変換上部層61bの厚さは3.5μmである。これによる波長変換上部層61a、61bの白色光透過率は87.7%である。また、Case1のresult3に対応する実施形態による波長変換上部層(61a、61b)は、上記result1に対応する実施形態の波長変換上部層と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。第1波長変換上部層61aの厚さは0.1μmである。第2波長変換上部層61bの厚さは4.5μmである。これによる波長変換上部層61a、61bの白色光透過率は87.5%である。
【0095】
図18は、波長変換層50上に波長変換上部層(62a、62b)が配置され、波長変換上部層は第1波長変換上部層62a及び第2波長変換上部層62bを含む多層構造である例を示す。
図18に示す波長変換上部層(62a、62b)は、
図16のCase2のresult1~result3に対応する構造である。すなわち、
図18に示す波長変換上部層(62a、62b)は、透明有機物質を含まず、屈折率の異なる第1波長変換上部層62a及び第2波長変換上部層62bを含む多層からなる。第1波長変換上部層62aの屈折率は、第2波長変換上部層62bの屈折率よりも大きい。Case2のresult1に対応する実施形態として、第1波長変換上部層62aは、SiNxからなり、厚さが0.1μmである。第2波長変換上部層62bは、SiOxからなり、厚さが0.05μmである。これによる波長変換上部層(62a、62b)の白色光透過率は88.2%である。Case2のresult2に対応する実施形態による波長変換上部層(62a、62b)は、上記result1に対応する実施形態の波長変換上部層と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。第1波長変換上部層62aの厚さは0.1μmである。第2波長変換上部層62bの厚さは0.2μmである。これによる波長変換上部層(62a、62b)の白色光透過率は87.9%である。また、Case2のresult3に対応する実施形態による波長変換上部層(62a、62b)は、上記result1に対応する実施形態の波長変換上部層と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。第1波長変換上部層62aの厚さは0.1μmである。第2波長変換上部層62bの厚さは0.35μmである。これによる波長変換上部層62a、62bの白色光透過率は87.7%である。
【0096】
図19は、波長変換層50上に波長変換上部層(63a、63b)が配置され、波長変換上部層(63a、63b)は第1波長変換上部層63a及び第2波長変換上部層63bを含む多層構造である例を示す。
図19に示す波長変換上部層(63a、63b)は、
図16のCase3のresult1に対応する構造である。すなわち、
図19に示す波長変換上部層は、低屈折物質を含まず、屈折率の異なる第1波長変換上部層63a及び第2波長変換上部層63bを含む多層からなる。第1波長変換上部層63aの屈折率は、第2波長変換上部層63bの屈折率よりも小さい。Case3のresult1に対応する実施形態として、第1波長変換上部層63aは、透明有機物質からなり、厚さが1μmである。第2波長変換上部層63bは、SiNxからなり、厚さが0.05μmである。これによる波長変換上部層63a、63bの白色光透過率は88.2%である。
【0097】
図20は、波長変換層50上に波長変換上部層(64a、64b、64c)が配置され、波長変換上部層(64a、64b、64c)は第1波長変換上部層64a、第2波長変換上部層64b、及び第3波長変換上部層64cを含む多層構造である例を示す。
図20に示す波長変換上部層(64a、64b、64c)は、
図16のCase3のresult2~result3に対応する構造である。すなわち、
図20に示す波長変換上部層(64a、64b、64c)は、屈折率の異なる第1波長変換上部層64a、第2波長変換上部層64b、及び第3波長変換上部層64cを含む多層からなる。第1波長変換上部層64aの屈折率が最も小さく、第2波長変換上部層64bの屈折率が最も大きい。第3波長変換上部層64cの屈折率は、第1波長変換上部層64aの屈折率よりも大きく、第2波長変換上部層64bの屈折率よりも小さい。Case3のresult2に対応する実施形態として、第1波長変換上部層64aは、透明有機物質からなり、厚さが1μmである。第2波長変換上部層64bは、SiNxからなり、厚さが0.05μmである。第3波章変換上部層64cは、SiOxからなり、厚さが0.05μmである。これによる波長変換上部層(64a、64b、64c)の白色光透過率は88.2%である。Case3のresult3に対応する実施形態による波長変換上部層(64a、64b、64c)は、上記result2に対応する実施形態の波長変換上部層と同一の物質で積層され、各層の厚さを異にする。第1波長変換上部層64aの厚さは1μmである。第2波長変換上部層64bの厚さは0.05μmである。第3波長変換上部層64cの厚さは0.3μmである。これによる波長変換上部層(64a、64b、64c)の白色光透過率は88.2%である。
【0098】
図21~
図23は、多様な実施形態による光学部材の一例を示す断面図である。
図21~
図23の実施形態は、上述した波長変換下部層70と波長変換上部層60とが多様に組み合わせられた例を示す。
図7~
図14で説明した8つの波長変換下部層(71、72、73、74、75、76、77、78)の構造と、
図17~
図20で説明した4つの波長変換上部層(61、62、63、64)の構造とを組み合わせると、32個の多様な実施形態による光学部材(101、102、103)が得られる。ただし、光学部材の積層構造は、これに限定されず、さらに多様な積層構造を含み得る。本発明の多様な実施形態による光学部材において、
図7~
図14で説明した波長変換下部層(71、72、73、74、75、76、77、78)は、低屈折下部層20を含まない波長変換下部層74、低屈折上部層40を含まない波長変換下部層78、及び低屈折下部層と低屈折上部層とを両方含む波長変換下部層(71、72、73、75、76、77)に区分される。波長変換上部層60は、
図17~
図20で説明した4つの波長変換上部層(61、62、63、64)である。
【0099】
光学部材100の最終光透過率は、波長変換下部層70の青色光透過率と波長変換上部層60の白色光透過率とを乗じて得られる。
【0100】
図21を参照すると、本発明の一実施形態による光学部材101は、波長変換下部層70及び波長変換上部層60aを含む。波長変換下部層70は、低屈折層30及び低屈折上部層40aを含み、低屈折下部層は含まない。波長変換下部層70は、
図10で説明した波長変換下部層74である。すなわち、波長変換下部層は、低屈折下部層を含まず、低屈折上部層40aが多層構造である波長変換下部層70である。波長変換上部層60aは、無機物または有機物を含む層が積層された多層構造である。
【0101】
図22を参照すると、本発明の他の実施形態による光学部材102は、波長変換下部層70及び波長変換上部層60bを含む。波長変換下部層70は、低屈折下部層20b及び低屈折層30を含み、低屈折上部層は含まない。波長変換下部層70は、
図14で説明した波長変換下部層78である。すなわち、波長変換下部層は、低屈折上部層を含まず、低屈折下部層20bが多層構造である波長変換下部層70である。波長変換上部層60bは、無機物または有機物を含む層が積層された多層構造である。
【0102】
図23を参照すると、本発明のさらに他の実施形態による光学部材103は、波長変換下部層70及び波長変換上部層60cを含む。波長変換下部層70は、低屈折下部層20c、低屈折層30、及び低屈折上部層40cを含む。波長変換下部層70は、
図7~
図14で説明した波長変換下部層70のうちの、
図10及び
図14の波長変換下部層(74、78)を除いた残りの実施形態による波長変換下部層(71、72、73、75、76、77)である。すなわち、波長変換下部層70は、単層構造または多層構造の低屈折下部層20cと、単層構造または多層構造の低屈折上部層40cとを含む。波長変換上部層60cは、無機物または有機物を含む層が積層された多層構造である。
【0103】
図24は、一実施形態による表示装置を示す断面図である。
【0104】
図24を参照すると、表示装置1000は、光源400、光源の出射経路上に配置された光学部材100、及び光学部材の上部に配置された表示パネル300を含む。
【0105】
光学部材は、上述した実施形態による光学部材がすべて適用される。
図24では
図2の光学部材100が適用された例を示す。
【0106】
光源400は、光学部材100の一側に配置される。光源400は、光学部材100の導光板10の入光面10s1に隣接して配置される。光源400は、複数の点光源または線光源を含む。点光源はLED(light emitting diode)光源410である。複数のLED光源410はプリント基板420に実装される。LED光源410はブルー波長の光を発光する。
【0107】
LED光源410は、
図24に示すように、上面に光を放出する上面発光LEDである。この場合、プリント基板420はハウジング500の側壁520上に配置される。
【0108】
LED光源410から放出されたブルー波長の光は、光学部材100の導光板10に入射する。光学部材100の導光板10は、光を導き、導光板10の上面10aまたは下面10bを介して出射させる。光学部材100の波長変換層50は、導光板10から入射したブルー波長の光の一部を他の波長、例えばグリーン波長及びレッド波長に変換する。変換されたグリーン波長及びレッド波長の光は、変換されていないブルー波長と共に上部へ放出されて表示パネル300側に提供される。
【0109】
導光板10の下面10bには散乱パターン80が配置される。散乱パターン80は、導光板10の内部で全反射によって進行する光の進行角度を変えて導光板10の外部へ出射させる役割を果たす。
【0110】
本実施形態において、散乱パターン80は別途の層またはパターンとして提供される。例えば、導光板10の下面10b上に、凸パターン及び/または凹パターンを含むパターン層を形成して、または印刷パターンを形成して、散乱パターン80として機能させる。
【0111】
他の実施形態において、散乱パターン80は、導光板10自体の表面形状からなる。例えば、導光板10の下面10bに凹溝を形成して散乱パターン80として機能させる。
【0112】
散乱パターン80の配置密度は領域によって異なる。例えば、相対的に進行する光量が豊富な入光面10s1に隣接した領域は、配置密度を小さくし、相対的に進行する光量が少ない対光面10s3に隣接した領域は、配置密度を大きくする。
【0113】
表示装置1000は、光学部材100の下部に配置された反射部材90をさらに含む。反射部材90は、反射フィルムまたは反射コーティング層を含む。反射部材90は、光学部材100の導光板10の下面10bへ出射された光を反射して、再び導光板10の内部に進入させる。
【0114】
表示パネル300は、光学部材100の上部に配置される。表示パネル300は、光学部材100から光の提供を受けて、画面を表示する。このように光を受けて画面を表示する受光性表示パネルの例としては、液晶表示パネルや電気泳動パネルなどが挙げられる。以下では、表示パネルとして液晶表示パネルの例を挙げるが、これに限定されず、他の様々な受光性表示パネルが適用される。
【0115】
表示パネル300は、第1基板310、第1基板310に対向する第2基板320、及び第1基板310と第2基板320との間に配置された液晶層(図示せず)を含む。第1基板310と第2基板320とは相互に重畳する。本実施形態において、いずれかの基板が他の基板よりも大きいため、外側にさらに突出する。
図24では、上部に位置する第2基板320が、より大きく光源400の配置された側面に向かって突出した例を示す。第2基板320の突出領域は、駆動チップや外部回路基板が実装される空間を提供する。この例とは異なり、下側に位置する第1基板310が第2基板320よりも大きいために外側へ突出してもよい。表示パネル300における、突出した領域を除いた第1基板310と第2基板320とが重畳する領域は、光学部材100の導光板10の側面10sに概ね整列される。
【0116】
光学部材100は、モジュール間の結合部材610を介して表示パネル300と結合される。モジュール間の結合部材610は、平面視形状が四角枠状からなる。モジュール間の結合部材610は、表示パネル300及び光学部材100におけるそれぞれの縁部に位置する。
【0117】
本実施形態において、モジュール間の結合部材610の下面は、光学部材100の波長変換上部層60の上面に配置される。モジュール間の結合部材610の下面は、波長変換上部層60上で波長変換層50の上面にのみ重畳し、側面には重畳しないように配置される。
【0118】
モジュール間の結合部材610は、ポリマー樹脂や接着テープまたは粘着テープなどを含む。
【0119】
他の実施形態において、モジュール間の結合部材610は、さらに光透過阻止機能を果たす。例えば、モジュール間の結合部材610がブラック顔料や染料などの光吸収物質を含むか、または反射物質を含むことにより、光透過阻止機能を果たす。
【0120】
表示装置1000は、ハウジング500をさらに含む。ハウジング500は、一面が開放されており、底面510と、底面510に連結された側壁520とを含む。底面510及び側壁520によって定義された空間内に、光源400、光学部材100/表示パネル300付着体、及び反射部材90が収納される。光源400、反射部材90、及び光学部材100/表示パネル300付着体は、ハウジング500の底面510上に配置される。ハウジング500の側壁520の高さは、ハウジング500の内部に置かれた光学部材100/表示パネル300付着体の高さと実質的に同一である。表示パネル300は、ハウジング500の側壁上端に隣接して配置され、これらはハウジング結合部材620によって互いに結合される。ハウジング結合部材620は、平面視形状が四角枠状からなる。ハウジング結合部材620は、ポリマー樹脂や接着テープまたは粘着テープなどを含む。
【0121】
表示装置1000は、少なくとも一つの光学フィルム200をさらに含む。一つまたは複数の光学フィルム200は、光学部材100と表示パネル300との間でモジュール間の結合部材610によって囲まれた空間に収納される。一つまたは複数の光学フィルム200の側面は、モジュール間の結合部材610の内側面に接してそれに付着される。
図24では、光学フィルム200と光学部材100との間、及び光学フィルム200と表示パネル300との間がそれぞれ離隔した例を示すが、この離隔空間は必須的に要求されるものではない。
【0122】
光学フィルム200は、プリズムフィルム、拡散フィルム、マイクロレンズフィルム、レンチキュラフィルム、偏光フィルム、反射偏光フィルム、位相差フィルムなどである。表示装置1000は、同じ種類または異なる種類の複数の光学フィルム200を含む。複数の光学フィルム200が適用される場合、各光学フィルム200は、互いに重畳するように配置され、それぞれの側面がモジュール間の結合部材610の内側面に接して付着される。各光学フィルム200同士は互いに離隔し、それらの間に空気層が配置される。
【0123】
図24に示す実施形態による表示装置1000は、モジュール間の結合部材610を介して、光学部材100及び表示パネル300、さらには光学フィルム200まで一体化し、ハウジング結合部材620を介して表示パネル300とハウジング500とを結合する。したがって、モールドフレームを省略しても、複数の部材の安定した結合が可能であるため、表示装置1000を軽量化することができる。また、導光板10と波長変換層50とが一体化されることにより、表示装置1000の厚さを減少させることができる。また、ハウジング結合部材620を介して表示パネル300の側面とハウジング500の側壁520とを結合させることにより、表示画面側のベゼル空間を無くしまたは最小化することができる。
【0124】
図25は、他の実施形態による表示装置を示す断面図である。
【0125】
図25を参照すると、表示装置1001は、光源400、光源の出射経路上に配置された光学部材100_1、及び光学部材の上部に配置された表示パネル300を含む。
図25は、
図24とは異なり、波長変換上部層60_1が波長変換層50_1の上面及び側面と波長変換下部層70_1の側面とを覆っている光学部材100_1を含む表示装置1001を示す。
【0126】
波長変換層50_1、特に、それに含まれている波長変換粒子は、水分/酸素に対して脆弱である。波長変換フィルムの場合、波長変換層の上下面にバリアフィルムを積層して波長変換層への水分/酸素の浸透を防ぐが、本実施形態の場合、バリアフィルムなしで波長変換層50_1が直接配置されるので、バリアフィルムの代わりに、波長変換層50_1を保護する密封構造が必要である。密封構造は、波長変換上部層60_1及び導光板10_1によって実現される。
【0127】
波長変換層50_1に水分が浸透することが可能なゲート(入口)は、波長変換層50_1の上面、側面、及び下面である。上述したように、波長変換層50_1の上面及び側面は、波長変換上部層60_1によって覆われて保護されるので、水分/酸素の浸透が遮断または少なくとも低減(以下、「遮断/低減」という。)される。
【0128】
一方、波長変換層50_1の下面は、波長変換下部層70_1の上面に当接しているが、波長変換下部層70_1がボイドVDを含むか、または有機物質からなる場合、波長変換下部層70_1の内部で水分の移動が可能なので、それを介して波長変換層50_1の下面への水分/酸素の浸透が行われ得る。ただし、本実施形態では、波長変換下部層70_1も密封構造を有するので、波長変換層50_1の下面を介した水分/酸素の浸透が源泉的に遮断される。
【0129】
具体的に説明すると、波長変換下部層70_1の側面が波長変換上部層60_1によって覆われて保護されるので、波長変換下部層70_1の側面を介した水分/酸素の浸透が遮断/低減される。波長変換下部層70_1が波長変換層50_1よりも突出して上面の一部が露出しても、当該部位は波長変換上部層60_1によって覆われて保護されるので、これを介した水分/酸素の浸透も遮断/低減される。波長変換下部層70_1の下面は導光板10_1に当接している。導光板10_1がガラスなどの無機物質からなる場合、波長変換上部層60_1と同様に、水分/酸素の浸透が遮断/低減される。結局、波長変換下部層70_1と波長変換層50_1との積層体は、表面が波長変換上部層60_1と導光板10_1とに囲まれて密封されるので、たとえ波長変換下部層70_1の内部に水分/酸素移動経路が設けられていても、水分/酸素の浸透自体が密封構造によって遮断/低減されるため、水分/酸素による波長変換粒子の劣化を防止しまたは少なくとも緩和される。
【0130】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を逸脱することなく、他の具体的な形態で実施できる。したがって、以上で記載した実施形態は、すべての面で例示的なものであって、限定的なものではない。
【符号の説明】
【0131】
10 導光板
10a 上面
10b 下面
10s、10s2、10s4 側面
10s1 側面(入光面)
10s3 側面(対光面)
20、21、25、26 低屈折下部層
22a、23a、27a、28a (第1)低屈折下部層
22b、23b、27b、28b (第2)低屈折下部層
30 低屈折層
30a、50a、50b 光学界面
30b 下面(光学界面)
40、41、42、43 低屈折上部層
44a、45a、46a、47a (第1)低屈折上部層
44b、45b、46b、47b (第2)低屈折上部層
50、50_1 波長変換層
60、60_1、61、62、63、64 波長変換上部層
61a、62a、63a (第1)波長変換上部層
61b、62b、63b (第2)波長変換上部層
70、70_1、71、72、73、74、75、76、77、78 波長変換下部層
80 散乱パターン
90 反射部材
100、100_1、101、102、103 光学部材
200 光学フィルム
300 表示パネル
310 第1基板
320 第2基板
400 光源
410 LED光源
420 プリント基板
500 ハウジング
510 底面
520 側壁
610 結合部材
620 ハウジング結合部材
1000、1001 表示装置