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  • 特許-均衡化機械を較正する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】均衡化機械を較正する方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 1/38 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
G01M1/38
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019037318
(22)【出願日】2019-03-01
(65)【公開番号】P2019191152
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】10 2018 104 846.7
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511040469
【氏名又は名称】シェンク ロテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】カイ トルケンミュラー
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-063257(JP,A)
【文献】米国特許第04626147(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 1/00- 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補正ランkで均衡化機械を較正する方法であって、補正すべきロータ(1)が支承部(2)内に回転可能に取り付けられ、駆動ユニットによって加速され、前記方法が、
a.少なくとも1つの測定センサ(3)が、不均衡補正の前の前記ロータ(1)の初期振動を判定して評価デバイス(4)へ伝達し、前記評価デバイス(4)が測定値を振動ベクトル
【数1】
として記憶するステップと、
b.前記ロータ(1)の不均衡が補正されるステップと、
c.前記ロータ(1)の残留振動が前記測定センサ(3)によって測定され、前記評価デバイス(4)へ伝達され、振動ベクトル
【数2】
として記憶されるステップと、
d.前記補正ランkに対する
【数3】
および前記補正ランkに対する補正済み不均衡が、
【数4】
および
【数5】
として前記評価デバイス(4)によって記憶されるステップと、
e.方程式系S=UKTを解くことによって、測定データからプロセス較正行列Kが判定され、すべての均衡化ステップに対して、行列Sが、ステップkに対する転置振動ベクトル
【数6】
を有する行を含み、行列Uが、すべての行内に、ステップkの転置不均衡ベクトル
【数7】
を含み、プロセス較正行列は、K T を転置することによって計算され、
または前記初期振動
【数8】
および/もしくは不均衡ベクトル
【数9】
を使用して、すでに利用可能なプロセス較正行列が選択されるステップと、
f.ステップe.による前記プロセス較正行列が、前記評価デバイス(4)内に較正行列として記憶され、ロータ(1)の未知の不均衡ベクトルを計算するために使用されるステップとを含む方法。
【請求項2】
プロセス較正行列Kを計算するために、ステップa.~d.がn個のロータに対して繰り返されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方程式系S=UKTは、線形補正計算手順に従って解かれることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
すでに均衡化されたロータが、初期振動
【数10】
および/または不均衡ベクトル
【数11】
に従ってクラスタに分類され、前記初期振動および/または前記不均衡ベクトルから、クラスタプロセス較正行列を計算し、クラスタプロセス較正行列を前記すでに利用可能なプロセス較正行列として選択し、前記ロータの初期振動および/または不均衡ベクトルは、前記均衡化すべきロータ(1)の前記初期振動および/または不均衡ベクトルに少なくとも類似していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
選択されたクラスタプロセス較正行列から、クラスタプロセス較正行列が補間され、その行列が、前記すでに利用可能なプロセス較正行列として使用されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記較正は、所定の数のロータに対して一度実行され、または前記均衡化機械のすべてのランに対して更新されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正ランkで均衡化機械を較正する方法に関し、補正すべきロータが支承部内に回転可能に取り付けられ、駆動ユニットによって加速される。
【背景技術】
【0002】
連続作製中に均衡化機械を較正するとき、作製部分からマスタ部分、たとえばマスタロータが作製され、それにより既知の試験用不均衡を取り付けることが可能になる。このマスタを使用して、それぞれの場合にすべての不均衡化された平面に対して試験用重りを取り付け、振動を測定することによって、均衡化プロセスが調整の意味で較正される。加えて、試験用重りなしでロータの振動が測定される。これらの差から、不均衡が振動に与える影響を判定することができる。
その結果得られる影響係数行列が、測定デバイス内に記憶され、後にすべての追加部分の不均衡測定のために使用される。影響係数手順は、多くの場合、シャフトが弾性のロータに関連して使用されるが、剛性ロータを均衡化するときに使用することもできる。剛性ロータの場合、影響係数行列の大きさは単により小さく、固定の回転速度のみが使用される。
【数1】
は、測定点の数である長さMの測定ランの振動パラメータのベクトルである。センサを使用する測定または固定の回転速度もしくは回転速度間隔を考慮した測定を、全体として測定点と呼ぶ。複数のセンサまたは複数の回転速度が使用される場合、Mはセンサの数およびサンプリング点の数の積である。
平面の不均衡は、不均衡ベクトル
【数2】
に記憶される。このベクトルの長さはPであり、これは不均衡平面の数である。
測定された振動に対する不均衡の伝達挙動が線形であると仮定して、このシステムは、次の線形方程式系として表すことができる。
【数3】
Kは、この場合、影響係数行列または較正行列である。Kは、寸法M×Pを有する。
振動ベクトル
【数4】
および不均衡ベクトルの両要素、ならびに影響係数行列は、複素数である。振動パラメータに関して、これらは回転速度センサの1次振幅および位相を指し、不均衡値に関して、これらはロータの不均衡の量および角度を指す。
較正行列Kは、較正プロセスにおいて、試験用不均衡を使用するマスタ較正によって識別される。
行列Kが既知であるとき、すべての測定ラン(同じ設計の新しい部分を含む)から、振動値ベクトルからの不均衡ベクトルを計算することができる。これは、Kが2次行列である場合、線形方程式系を解くことによって行われ、またはKが列より多くの行を有し、言い換えれば優決定系である場合、線形補正計算によって行われる。
マスタ部分を使用する周知の較正手順は、誤りを含む可能性があり、これは後に作製プロセス全体に影響を及ぼす。この結果は、不必要に不十分な不均衡補正になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、均衡化機械の代替の較正を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、本発明によれば、補正ランkで均衡化機械を較正する方法を提供することによって実現され、補正すべきロータが支承部内に回転可能に取り付けられ、駆動ユニットによって加速され、この方法は、
a.少なくとも1つの測定センサが、不均衡を補正する前のロータの初期振動を判定して評価デバイスへ伝達し、評価デバイスが測定値を振動ベクトル
【数5】
として記憶するステップと、
b.ロータの不均衡が補正されるステップと、
c.ロータの残留振動が測定センサによって測定され、評価ユニットへ伝達され、振動ベクトル
【数6】
として記憶されるステップと、
d.差
【数7】
および補正ランkに対する補正済み不均衡が、
【数8】
および
【数9】
として評価ユニットによって記憶されるステップと、
e.方程式系S=UKTを解くことによって、この測定データからプロセス較正行列Kを判定し、または初期振動
【数10】
および/もしくは不均衡ベクトル
【数11】
を使用することによって、既存のプロセス較正行列を選択するステップと、
f.ステップe.によるこのプロセス較正行列が、評価ユニット内に較正行列として記憶され、ロータの未知の不均衡ベクトルを計算するために使用されるステップとを含む。
【0005】
したがって、均衡化機械は補正ラン中に較正され、その結果、マスタ部分を使用する別個の較正ランが不要になる。加えて、均衡化機械の較正は、任意の補正ランまたは所定の時点で実行することができる。本発明の意味範囲内のロータは、回転体である。この方法は、様々な回転体(たとえば、シャフト、ターボチャージャロータなど)を均衡化するために使用される様々な均衡化機械に適用することができる。本発明による方法の1つの利点は、特にロータが2つ以上の不均衡な平面を有するときでも、1つのロータ当たり2回の測定、すなわち補正前に1回および補正後に1回だけが必要とされることである。
現在均衡化すべきロータを測定するために、特に現在利用可能なプロセス較正行列を利用し、ロータの測定データを利用して、プロセス較正行列を改善することができる。
【0006】
この方法は、特にマスタ部分を使用する較正が比較的非常に誤りがちであるとき、または補正が不均衡仕様および系統誤差結果(たとえば、ドリル深さ、角度誤差)に正確に追従することができないときに実施されるため、特に有利であることが分かった。
プロセス較正行列は、方程式系S=UKTを使用して判定することができ、較正行列として評価ユニット内に記憶することができ、その結果、追加のロータを均衡化するとき、この較正行列を使用して、不均衡ベクトルを計算することができる。しかし、既存のプロセス較正行列を用いることもできる。これに関して、均衡化すべきロータのパラメータ(たとえば、初期振動、不均衡、たとえば支承部の遊びの幾何学的誤差の大きさなど)は、記憶されているプロセス較正行列がそこから作成された測定データを有するロータのものに整合することが好ましい。
【0007】
すべての均衡化ステップに対して、行列Sが、ステップkに対する転置振動ベクトル
【数12】
を有する行を含み、行列Uが、すべての行内に、ステップkの転置不均衡ベクトル
【数13】
を含み、プロセス較正行列は、KTを転置することによって計算され、複数のすでに均衡化されたロータを使用して、方程式系S=UKTを使用するプロセス較正行列Kを計算することが好ましい。方程式系S=UKTは、最適化手順によって、特に線形補正計算手順によって解くことができる。有利には、均衡化すべきロータのものに本質的に類似またはさらには同一のパラメータを有するロータの測定データが使用される。
1つの設計は、すでに均衡化されたロータが、それらの初期振動
【数14】
および/またはそれらの不均衡ベクトル
【数15】
に基づいてクラスタに編成され、それらの初期振動および/または不均衡ベクトルから、特に方程式系S=UKTを解くことによって、クラスタプロセス較正行列が計算され、これがすでに存在するプロセス較正行列として使用され、クラスタプロセス較正行列は、すでに存在するプロセス較正行列として選択され、プロセス較正行列はロータを備え、これらのロータの初期振動および/または不均衡ベクトルは、均衡化すべきロータの初期振動および/または不均衡ベクトルに少なくとも類似していることを示す。また、初期振動
【数16】
の代わりに、不均衡ベクトルを使用してクラスタプロセス較正行列を計算することも有利である。任意のサイズのクラスタを選択することができる。また、追加のロータパラメータを使用して、クラスタを形成することもできる。
選択されたクラスタプロセス較正行列から、クラスタプロセス較正行列が補間され、これらがすでに存在するプロセス較正行列として使用されることが好ましい。追加のクラスタプロセス較正行列があり、均衡化すべきロータが、クラスタプロセス較正行列を明らかに選択することを可能にしないパラメータを有する場合、すでに利用可能なクラスタプロセス較正行列から、すなわち均衡化すべきロータの初期振動および/または不均衡ベクトルに本質的に同一であるロータデータを使用して、新しいクラスタプロセス較正行列を補間することができる。
有利には、較正は、所定の数のロータに対して一度行うことができ、または均衡化機械のすべてのランに対して更新することができる。これによって、すべてのランで較正を改善することができる。
【0008】
本発明について、図面に示す本発明の実施形態を使用して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】均衡化機械内に取り付けられたロータの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、均衡化機械を概略的に示し、駆動式ロータ1が支承部2内に取り付けられている。支承部2は、軟性または剛性の支承部とすることができる。測定センサ3(たとえば、振動センサ)の測定値から、ロータ1の振動を計算することができる。記録された測定値は、評価デバイス4へ供給される。たとえば、回転速度センサおよび角度センサなどの追加のセンサを設けることもできる。振動センサとして設計された測定センサ3は、たとえば支承台上で、ロータ上で直接、またはハウジング上で、振動を測定することができる。測定センサ3の位置は、この手順を実行するときに重要ではない。センサの数もまた、それぞれの場合、応用例に適合させることができる。
不均衡測定デバイスを駆動することで、ロータ1を対応する回転速度まで加速させ、駆動はまた、均衡化のための固定の回転速度を指定することができるように制御することができる。記録すべき測定値はまた、正常動作モードで記録することができ、その結果、たとえば事前定義可能な均衡化回転速度でロータ1を開始するとき、測定値が記録され、評価デバイス4へ供給される。ロータ1はまた、その動作回転速度まで加速させることができる。
本発明による方法では、特殊なマスタを使用する較正ランの代わりに、プロセス較正が実行され、較正は、ロータ1の実際の均衡化中に、均衡化ランを使用することによって、言い換えれば補正ランを較正ランとして使用することによって行われる。この意味で、本発明による方法はまた、プロセス較正と呼ぶことができる。この較正は、後続ロータに使用することができる。較正に使用されるロータは、補正後の不均衡を測定するとき、プロセス較正から利益を得ることができる。
本発明による方法では、振動ベクトルは、適した測定センサ3を使用して補正前に補正ステップに対して測定され、
【数17】
として評価デバイス4によって記憶される。不均衡は、均衡化機械の現在有効な較正を使用して、すなわち均衡化機械内にすでに記憶されている較正を使用して計算される。作製を開始するとき、較正を計算するために使用することができる以前の均衡化ステップはまだ存在しない。第1の較正、したがって不均衡の計算は、マスタ較正を使用して行うことができる。別法として、実際の不均衡が未知のまま、試験用均衡化プロセスを行うこともできる。すべての追加の較正は、本発明による方法を使用して実行される。
【0011】
計算された不均衡
【数18】
は、ロータ1に対して補正され、振動は、残留振動として再び測定され、
【数19】
として記憶される。この差
【数20】
および補正ランkに対する補正済みの不均衡は、
【数21】
および
【数22】
として記憶され、補正ランまたは補正ステップは、同じまたは新しいロータを含ことができる。プロセス較正行列Kを計算するために、方程式系S=UKTを解く。これによって、すべての均衡化ステップに対して、行列Sは、ステップkの転置振動ベクトルを有する行を含み、ここで
【数23】
である。それに対応して、行列Uは、すべての行内に、ステップの転置不均衡ベクトル
【数24】
を含む。
この方程式系は、右辺に、行列Uならびに行列KTを未知数として含み、すべての列SおよびKTに対して個々に解くことができる。この方程式系は概して列より多くの行を有する(不均衡化された平面より多くの均衡ステップまたはロータ1が使用される)ため、優決定系であり、線形補正計算方法などの最適化手順を使用して解くことができる。次いでKTを転置することによって、プロセス較正行列が判定される。
ロータ1を使用する正常な較正において、P個の平面に対してP+1回の較正ランが必要とされるが、本発明による方法はまた、平面の数にかかわらず、1つのロータ1当たり1回の補正ステップを使用して機能する。これは、連続プロセスにおいて、短いサイクル速度が重要であり、したがって多くの場合、1つの補正ステップのみを有することが要件であるため、この方法の1つの利点である。本発明による方法を使用すると、短いサイクル速度を実現することができることが示されている。
【0012】
この方法では、プロセス較正行列を使用し、影響係数手順を利用して不均衡を計算する。この文脈で、影響係数手順は多くの場合、シャフトが弾性のロータで使用されることが指摘される。しかし、影響係数手順は、剛性ならびにシャフトが弾性のロータを均衡化するときに使用される一般的な手順であると理解することができる。剛性ロータに関して、本発明の意味範囲内でプロセス較正行列とも呼ばれる影響係数行列のサイズは単により小さく、固定の回転速度のみが使用される。別法として、別の最適化手順を使用して、不均衡を計算することもできる。
プロセス較正内でより多数のロータ1が使用されるため、大きい誤差件数にかかわらず、測定値に対して良好な結果が得られる。優決定方程式系を解くとき、散乱誤差が減少し、ロータ1の系統的伝達挙動のみが判定される。これは、単一のマスタロータを使用した場合と比較すると主な利点であり、単一のマスタロータは、その個々の支承特性のため、作製の相違を表す必要がなく、したがって正確で誤りのない較正を確保することができない。
【0013】
プロセス較正は、特定の1群のロータ1もしくは補正ステップに対して一度実行することができ、または連続して更新することができる。測定データを判定してプロセス較正行列Kを計算する方法のステップa.~d.は、n個のロータを使用して繰り返すことができる。このタイプの更新される較正では、特定の数の事前測定ランが常に使用される(たとえば、過去200個のロータ)。これによって、較正がプロセスのゆっくりとした変化(たとえば、工具の摩耗または上流の作製ステップの変更)を考慮に入れることを確実にすることができる。ステップを選択することに関して、たとえば特定の限度範囲内に位置する入力パラメータを有する部分のみが使用されるという追加の規則を定義することができる。これによって、たとえば不特定性範囲がそれらの利益より大きい特に小さい補正不均衡を除外することができる。操作者による介入なく自動的に更新を行う場合、このプロセスを「自己学習」と呼ぶことができる。
【0014】
ターボチャージャ本体群の一連の関連する均衡化において、振動挙動が入力不均衡に非線形に依存し、その結果、入力振動の大きさに応じて系統的な均衡化誤差が生成されることが示されている。様々な振幅の入力データが使用されるとき、様々な較正行列が得られる。特に初期不均衡が大きい場合、系統的な補正誤差が増大する。これに関して、ロータがそれらの初期振動
【数25】
および/またはそれらの不均衡ベクトル
【数26】
に従ってクラスタに編成され、それらの初期振動および/または不均衡ベクトルが、クラスタプロセス較正行列を形成し、これがすでに利用可能なプロセス較正行列として使用されることが有利であることが分かっている。これは、既存のプロセス較正行列を使用することができることを意味する。たとえば初期状態の初期振動によって、どの較正に対してそれぞれのランを使用することができるか、すなわちどのクラスタプロセス較正行列が選択されるか、または現在のプロセス較正行列が有利であるかどうかを決定する。不均衡を計算する際、初期振動の大きさを使用して、記憶されているプロセス較正行列が選択される。
【0015】
入力値を選択するために、振動レベルからスカラ(または多次元)選択値を計算しなければならない。これは、たとえば平均化プロセス較正行列または最大振動量を使用する不均衡量とすることができる。プロセス較正行列を選択して不均衡を計算するために、それぞれのクラスタのクラスタプロセス較正行列を選択することができ、または利用可能なクラスタプロセス較正行列からの個々のプロセス較正行列を補間することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 ロータ
2 支承部
3 測定センサ
4 評価デバイス
図1