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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】多層チューブ
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/04 20060101AFI20231109BHJP
   F16L 11/11 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
F16L11/04
F16L11/11
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019051693
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020153428
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 依史
(72)【発明者】
【氏名】水谷 幸治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宗史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-158382(JP,A)
【文献】実開昭53-046015(JP,U)
【文献】特開2018-118498(JP,A)
【文献】特開2014-159838(JP,A)
【文献】米国特許第05918643(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L9/00-11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機材料により形成された多層チューブであって、
前記多層チューブの第一端部は、オス部材である第一相手部材が内挿されることにより、前記第一相手部材の外周面に連結され、
前記多層チューブは、
最内層に配置され、前記多層チューブの全長に亘って形成され、所定の曲げ弾性率を有する弾性層と、
前記多層チューブの全長に亘って形成され、前記弾性層に比べて高い曲げ弾性率を有し、前記弾性層よりも外層側に配置された硬質層と、
を備え、
前記多層チューブの長さ方向において、前記弾性層の厚みおよび前記硬質層の厚みのそれぞれが変化しており、
前記多層チューブの前記第一端部は、前記多層チューブの長さ方向の全体において、前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより厚くなるように形成され、
前記多層チューブの長さ方向の中間部は、前記多層チューブの長さ方向の少なくとも一部において、前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄くなるように形成され、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の総厚みは、前記中間部の長さ方向の全体における前記中間部の総厚みより厚く形成され、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記弾性層の厚みは、前記中間部における前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄くなる部位における前記弾性層の厚みより厚く形成され、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記硬質層の厚みは、前記中間部における前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄くなる部位における前記硬質層の厚みより薄く形成され
前記第一端部の長さ方向の全体において前記第一端部の総厚みに対する前記弾性層の厚みの比率は、前記中間部の長さ方向の全体において前記中間部の総厚みに対する前記硬質層の厚みの比率よりも大きく、
前記第一端部は、前記弾性層が前記硬質層と前記第一相手部材の外周面とにより径方向に圧縮された状態で、前記第一相手部材の外周面に連結される、多層チューブ。
【請求項2】
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記弾性層の厚みは、前記中間部の長さ方向の全体における前記中間部の前記硬質層の厚みよりも厚く形成される、請求項1に記載の多層チューブ。
【請求項3】
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記弾性層の厚みは、前記中間部の長さ方向の全体における前記中間部の総厚みよりも厚く形成される、請求項1又は2に記載の多層チューブ。
【請求項4】
前記第一端部は、前記多層チューブの長さ方向の全体において、内径および外径が同一に形成される、請求項1-3の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項5】
前記第一端部は、前記多層チューブの長さ方向の全体において、前記第一端部の総厚みに対する前記弾性層の厚みの比率が同一となるように形成される、請求項1-4の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項6】
前記多層チューブの長さ方向の中間部は、前記多層チューブの長さ方向の全体において、前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄くなるように形成され、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記弾性層の厚みは、前記中間部の長さ方向の全体における前記中間部の前記弾性層の厚みより厚く形成され、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記硬質層の厚みは、前記中間部の長さ方向の全体における前記中間部の前記硬質層の厚みより薄く形成される、請求項1-の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項7】
前記中間部は、全長に亘って非蛇腹状に形成され、全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄く形成される、請求項に記載の多層チューブ。
【請求項8】
前記中間部は、非蛇腹状の屈曲部および非蛇腹状の直線部を備え、
前記屈曲部および前記直線部は、全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄く形成される、請求項に記載の多層チューブ。
【請求項9】
前記中間部は、蛇腹部および非蛇腹部を備え、
前記蛇腹部および前記非蛇腹部は、全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄く形成される、請求項に記載の多層チューブ。
【請求項10】
前記多層チューブの長さ方向の中間部は、
非蛇腹状に形成され、全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより厚くなるように形成される屈曲部と、
非蛇腹状に形成され、全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄く形成される直線部と、
を備え、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記弾性層の厚みは、前記中間部の前記直線部の長さ方向の全体における前記中間部の前記直線部の前記弾性層の厚みより厚く形成され、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記硬質層の厚みは、前記中間部の前記直線部の長さ方向の全体における前記中間部の前記直線部の前記硬質層の厚みより薄く形成される、請求項1-の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項11】
前記多層チューブの長さ方向の中間部は、
全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより厚くなるように形成される蛇腹部と、
全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄くなるように形成される非蛇腹部と、
を備え、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記弾性層の厚みは、前記中間部の前記非蛇腹部の長さ方向の全体における前記中間部の前記非蛇腹部の前記弾性層の厚みより厚く形成され、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記硬質層の厚みは、前記中間部の前記非蛇腹部の長さ方向の全体における前記中間部の前記非蛇腹部の前記硬質層の厚みより薄く形成される、請求項1-の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項12】
前記多層チューブの長さ方向の中間部は、
耐衝撃性が高い部位に位置し、全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより厚くなるように形成される耐衝撃部と、
前記耐衝撃性が低い部位に位置し、全長に亘って前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄くなるように形成される通常部と、
を備え、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記弾性層の厚みは、前記中間部の前記通常部の長さ方向の全体における前記中間部の前記通常部の前記弾性層の厚みより厚く形成され、
前記第一端部の長さ方向の全体における前記第一端部の前記硬質層の厚みは、前記中間部の前記通常部の長さ方向の全体における前記中間部の前記通常部の前記硬質層の厚みより薄く形成される、請求項1-の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項13】
前記多層チューブにおいて前記第一端部と前記中間部とを接続する第一接続部は、前記中間部側から前記第一端部に向かって、前記弾性層の厚みが連続的に厚くなるように形成され、かつ、前記硬質層の厚みが連続的に薄くなるように形成される、請求項1-12の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項14】
前記多層チューブの第二端部は、第二相手部材が内挿または外装されることにより、前記第二相手部材の外周面または内周面に連結され、
前記第二端部は、前記多層チューブの長さ方向の全体において、前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより厚くなるように形成され、
前記第二端部の長さ方向の全体における前記第二端部の前記弾性層の厚みは、前記中間部における前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄くなる部位における前記弾性層の厚みより厚く形成され、
前記第二端部の長さ方向の全体における前記第二端部の前記硬質層の厚みは、前記中間部における前記弾性層の厚みが前記硬質層の厚みより薄くなる部位における前記硬質層の厚みより薄く形成される、請求項1-13の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項15】
前記第二端部は、前記多層チューブの長さ方向の全体において、内径および外径が同一に形成される、請求項14に記載の多層チューブ。
【請求項16】
前記第二端部は、前記多層チューブの長さ方向の全体において、前記第二端部の総厚みに対する前記弾性層の厚みの比率が同一となるように形成される、請求項14または15に記載の多層チューブ。
【請求項17】
前記第二端部の長さ方向の全体における前記第二端部の総厚みは、前記多層チューブの長さ方向の中間部の長さ方向の全体における前記中間部の総厚みより厚く形成され、
前記第二端部の長さ方向の全体における前記第二端部における前記硬質層の厚みは、前記中間部の長さ方向の全体における前記中間部における前記硬質層の厚みより薄く形成され、
前記第二端部の長さ方向の全体において前記第二端部の総厚みに対する前記弾性層の厚みの比率は、前記中間部の長さ方向の全体において前記中間部の総厚みに対する前記硬質層の厚みの比率よりも大きい、請求項1416の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項18】
前記第二端部は、オス部材である前記第二相手部材が内挿されることにより、前記第二相手部材の外周面に連結され、
前記第二端部は、前記弾性層が前記硬質層と前記第二相手部材の外周面とにより径方向に圧縮された状態で、前記第二相手部材の外周面に連結される、請求項1417の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項19】
前記第二端部は、屈曲可能な柔軟性を有する、請求項18に記載の多層チューブ。
【請求項20】
前記第二端部は、メス部材である前記第二相手部材が外装されることにより、前記第二相手部材の内周面に連結され、屈曲可能な柔軟性を有し、
前記第二端部において、前記硬質層の外周面が前記第二相手部材の内周面に溶着または係止される、請求項1417の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項21】
前記多層チューブは、さらに、
前記多層チューブの全長に亘って形成され、前記弾性層と前記硬質層の間に形成され、前記弾性層と前記硬質層とを接着する接着層を備える、請求項1-20の何れか1項に記載の多層チューブ。
【請求項22】
前記多層チューブは、さらに、
前記多層チューブの全長に亘って形成され、前記硬質層の外層側であって前記多層チューブの最外層に配置された保護層を備える、請求項1-21の何れか1項に記載の多層チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料により形成された多層チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用の流体流通用の配管(ダクトやホース)において、金属または硬質樹脂のチューブが用いられる。そして、金属または硬質樹脂のチューブをオス型相手部材に外装することにより連結する場合には、チューブをオス型相手部材に直接連結することはできない。そのため、ゴムホースを介在させる必要があった。金属または硬質樹脂のチューブとゴムホースの接続部分において、流体の漏れの問題が生じる。
【0003】
また、金属または硬質樹脂のチューブをコネクタなどのメス型相手部材に内挿することにより連結する場合には、ゴムホースを介在させることは必要ない。しかし、組み付け性の観点より、端部は柔軟性を有することが求められる。
【0004】
ここで、特許文献1には、相手部材が内挿される場合において、相手部材が内挿される部分を軟質樹脂の単独構造部分と、軟質樹脂層および硬質樹脂層からなる多層構造部分とを有する樹脂チューブが記載されている。また、特許文献1には、相手部材が外装される場合において、相手部材が外装される部分を硬質樹脂の単独構造部分と、軟質樹脂層および硬質樹脂層からなる多層構造部分とを有する樹脂チューブが記載されている。そして、当該樹脂チューブにおいて、単独構造部分と多層構造部分とが一体的にブロー成形されている。また、樹脂の多層構造の成形については、特許文献2-5に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-141131号公報
【文献】特開昭53-105563号公報
【文献】特許第3619239号公報
【文献】特公平6-17056号公報
【文献】特許第2782185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の樹脂チューブにおいては、軟質樹脂層または硬質樹脂層は、端部に至る範囲に連続性を有している。そのため、従来のようにゴムホースなどを介在させる場合に比べて、流体の漏れに対して効果的に機能する。しかし、特許文献1に記載の樹脂チューブにおいては、軟質樹脂または硬質樹脂からなる単独構造部分が存在する。そのため、硬質樹脂層と軟質樹脂層の何れか一方は、樹脂チューブの長さ方向において連続性を有していない。従って、単独構造部分と多層構造部分との境界において、強度、耐圧性能、耐衝撃性能などについて性能低下の原因となり得る。
【0007】
本発明は、流体の漏れの問題を低減すると共に、端部に至る範囲において所望の性能を発揮することができる多層チューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る多層チューブは、有機材料により形成される。当該多層チューブ第一端部は、オス部材である第一相手部材が内挿されることにより、第一相手部材の外周面に連結される。多層チューブは、最内層に配置され、多層チューブの全長に亘って形成され、所定の曲げ弾性率を有する弾性層と、多層チューブの全長に亘って形成され、弾性層に比べて高い曲げ弾性率を有し、弾性層よりも外層側に配置された硬質層とを備える。
【0009】
多層チューブにおいては、弾性層および硬質層の両者が、多層チューブの全長に亘って形成されている。つまり、弾性層が途中で断絶することもなく、硬質層が途中で断絶することもない。従って、多層チューブの長さ方向において、弾性層も連続性を有すると共に、硬質層も連続性を有する。その結果、流体の漏れの問題について、より高い機能により解消できる。
【0010】
さらに、本発明に係る多層チューブは、全長に亘って、少なくとも弾性層および硬質層を有する多層構造となる。従って、本発明に係る多層チューブは、特許文献1に記載の多層チューブのような単独構造部分と多層構造部分との境界を有しない。このように、本発明に係る多層チューブは、境界を有しないことにより、安定した所望の性能を発揮することができる。
【0011】
さらに、多層チューブの第一端部は、多層チューブの長さ方向の全体において、弾性層の厚みが硬質層の厚みより厚くなるように形成されている。さらに、多層チューブの長さ方向の中間部は、多層チューブの長さ方向の少なくとも一部において、弾性層の厚みが硬質層の厚みより薄くなるように形成されている。第一端部の長さ方向の全体における第一端部の総厚みは、中間部の長さ方向の全体における中間部の総厚みより厚く形成されている。第一端部の長さ方向の全体における第一端部の弾性層の厚みは、中間部における弾性層の厚みが硬質層の厚みより薄くなる部位における弾性層の厚みより厚く形成され、第一端部の長さ方向の全体における第一端部の硬質層の厚みは、中間部における弾性層の厚みが硬質層の厚みより薄くなる部位における硬質層の厚みより薄く形成されている。第一端部の長さ方向の全体において第一端部の総厚みに対する弾性層の厚みの比率は、中間部の長さ方向の全体において中間部の総厚みに対する硬質層の厚みの比率よりも大きくされている。第一端部は、弾性層が硬質層と第一相手部材の外周面とにより径方向に圧縮された状態で、第一相手部材の外周面に連結される。
その結果、多層チューブの第一端部において、当該第一端部を第一相手部材に連結する際の連結性能が良好となる。また、多層チューブの長さ方向において、弾性層の厚みおよび硬質層の厚みのそれぞれが変化している。その結果、多層チューブは、部位の目的に応じて、弾性層の厚みと硬質層の厚みを変化させることができる。従って、多層チューブ全長に亘って、所望の性能を有するようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第一例の多層チューブの拡大断面図である。
図2】第一例の多層チューブの正面図であって、弾性層が厚い部位にハッチングを付す。
図3】第二例の多層チューブの拡大断面図である。
図4】第三例の多層チューブの拡大断面図である。
図5】第四例の多層チューブの拡大断面図である。
図6】第五例の多層チューブの正面図であって、弾性層が厚い部位にハッチングを付す。
図7】第六例の多層チューブの正面図であって、弾性層が厚い部位にハッチングを付す。
図8】第七例の多層チューブの正面図であって、弾性層が厚い部位にハッチングを付す。
図9】第八例の多層チューブの正面図であって、弾性層が厚い部位にハッチングを付す。
図10】第九例の多層チューブの正面図であって、弾性層が厚い部位にハッチングを付す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1.適用対象)
多層チューブは、例えば、自動車用の配管に適用される。多層チューブを適用可能自動車用の配管には、ターボインテークダクト、エアーブローダクト、ウォーター配管、燃料配管などがある。内部を流通させる流体は、エア、水、燃料など種々のものを適用できる。
【0014】
また、多層チューブは、両端部のそれぞれを相手部材に連結される。相手部材としては、多層チューブの端部に内挿される部材、多層チューブの端部に外装される部材の何れも適用される。多層チューブの両端部に、相手部材が内挿されるようにしてもよいし、相手部材が外装されるようにしてもよい。また、多層チューブの第一端部に第一相手部材が内挿され、多層チューブの第二端部に第二相手部材が外装されるようにしてもよい。
【0015】
また、多層チューブは、直線状のチューブおよび曲がりチューブの何れでもよい。さらに、多層チューブは、全長に亘って非蛇腹状に形成されるようにしてもよいし、長さ方向の少なくとも一部に蛇腹状に形成されるようにしてもよい。
【0016】
(2.第一例の多層チューブ1)
第一例の多層チューブ1について、図1および図2を参照して説明する。多層チューブ1は、図1および図2の右側に位置する第一端部10と、図1および図2の左側に位置する第二端部20と、第一端部10と第二端部20との間に位置する中間部30とを備える。さらに、多層チューブ1は、第一端部10と中間部30との境界部分を構成する第一接続部40、および、第二端部20と中間部30との境界部分を構成する第二接続部50を備える場合を例に挙げる。なお、多層チューブ1は、第一接続部40および第二接続部50が存在しない構成とすることもできる。
【0017】
図2に示すように、第一端部10は、全長に亘って非蛇腹状に形成されている。さらに、本例では、第一端部10は、直線状に形成されている。第一端部10は、第一相手部材T1に連結されている。本例では、第一相手部材T1は、オス部材である場合を例に挙げる。従って、多層チューブ1の第一端部10は、オス部材である第一相手部材T1が内挿されることにより、第一相手部材T1に連結される。ただし、第一相手部材T1は、メス部材を適用することもできる。
【0018】
図2に示すように、第二端部20は、全長に亘って非蛇腹状に形成されている。さらに、本例では、第二端部20は、直線状に形成されている。第二端部20は、第二相手部材T2に連結されている。本例では、第二相手部材T2は、メス部材である場合を例に挙げる。従って、多層チューブ1の第二端部20は、メス部材である第二相手部材T2が外装されることにより、第二相手部材T2に連結される。ただし、第二相手部材T2は、第一相手部材T1と同様に、オス部材を適用することもできる。
【0019】
図2に示すように、中間部30は、全長に亘って非蛇腹状に形成されている。さらに、本例では、中間部30は、直線部(直線状に形成された部位)により構成されている。ただし、中間部30は、直線部のみにより構成されるのではなく、直線部および屈曲部(屈曲形成された部位)により構成されるようにしてもよいし、屈曲部のみにより構成されるようにしてもよい。
【0020】
図1に示すように、多層チューブ1は、異なる種類の有機材料による多層構造を有する。本例では、多層チューブ1は、2層構造を有する場合を例に挙げるが、3層以上を有するようにしてもよい。多層チューブ1は、最内層に形成された筒状の弾性層11,21,31,41,51と、外層側に形成された筒状の硬質層12,22,32,42,52とを備える。
【0021】
弾性層11,21,31,41,51は、多層チューブ1の全長に亘って連続して形成されている。弾性層11,21,31,41,51は、所定の曲げ弾性率を有している。所定の曲げ弾性率とは、柔軟性、弾性を有する程度の弾性率である。つまり、弾性層11,21,31,41,51は、軟質の有機材料により形成されている。
【0022】
弾性層11,21,31,41,51は、樹脂またはエラストマーにより形成される。弾性層11,21,31,41,51には、樹脂として、例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン)、脂肪族ポリアミド(PA46、PA6、PA66、PA610、PA612、PA1010、PA1012、PA11、PA12)、半芳香族ポリアミド(PA4T、PA6T、PA9T、PA10T、PA11T、MXD6)、ポリエステル樹脂(PET、PBT、PBN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、エチレンービニルアルコール共重合体(EVOH)、フッ素樹脂(ETFE、PVDF、PFA)、ポリアセタール(POM)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリメチルペンテン樹脂(TPX)、シンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)を適用できる。
【0023】
また、弾性層11,21,31,41,51には、エラストマーとして、例えば、非架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPV)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、フッ素系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS)を適用できる。
【0024】
ここで、弾性層11,21,31,41,51は、図1に示すように、1種類の弾性材料による1層構造としてもよい。この他に、弾性層11,21,31,41,51は、異なる弾性材料による多層構造としてもよい。
【0025】
硬質層12,22,32,42,52は、多層チューブ1の全長に亘って連続して形成されている。硬質層12,22,32,42,52は、弾性層11,21,31,41,51よりも外層側に配置されている。硬質層12,22,32,42,52は、弾性層11,21,31,41,51に比べて高い曲げ弾性率を有する。
【0026】
硬質層12,22,32,42,52は、樹脂またはエラストマーにより形成される。硬質層12,22,32,42,52には、弾性層11,21,31,41,51に適用可能な樹脂、および、エラストマーを適用できる。ただし、弾性層11,21,31,41,51および硬質層12,22,32,42,52は、曲げ弾性率が異なればよく、同種の有機材料を適用することもできる。
【0027】
ここで、硬質層12,22,32,42,52は、図1に示すように、1種類の硬質材料による1層構造としてもよい。この他に、硬質層12,22,32,42,52は、異なる硬質材料による多層構造としてもよい。
【0028】
多層チューブ1の長さ方向において、弾性層11,21,31,41,51の厚みH11,H21,H31および硬質層12,22,32,42,52の厚みH12,H22,H32のそれぞれが変化している。以下に、各部位における厚みについて詳細に説明する。ここで、第一例においては、多層チューブ1の総厚みH10,H20,H30は、全長に亘って同一である場合を例に挙げる。
【0029】
図1に示すように、第一端部10は、弾性層11の厚みH11が硬質層12の厚みH12より厚くなるように形成されている。さらに、第一端部10の長さ方向において、弾性層11の厚みH11は同一であり、硬質層12の厚みH12も同一である。ただし、各厚みH11,H12は、変化させてもよい。
【0030】
第一端部10において、オス部材である第一相手部材T1は、内挿されている。弾性層11が、第一相手部材T1の外周面に密着した状態となり、第一端部10は第一相手部材T1に連結される。従って、弾性層11の作用によって、第一端部10は、第一相手部材T1との間で、高い保持力を有すると共に、高いシール性を有する。
【0031】
さらに、弾性層11は、硬質層12の内周面と第一相手部材T1の外周面とにより径方向に圧縮された状態となる。ここでは、第一端部10において、硬質層12は、弾性層11を圧縮した状態で支持する力を発揮できる程度の厚みH12を有する。そして、弾性層11が圧縮されることによって、第一端部10は第一相手部材T1に連結される。つまり、弾性層11の圧縮によって、より高い保持力を有すると共に、より高いシール性を有する。
【0032】
ここで、第一端部10は、屈曲可能な柔軟性を有するようにしてもよい。硬質層12を屈曲可能な柔軟性を有するような厚みH12とすることにより、第一端部10が当該性質を有するようにできる。第一端部10が当該性質を有することにより、第一端部10がゴムホースに類似した態様となり、第一端部10を第一相手部材T1への取付性が良好となる。
【0033】
第二端部20は、弾性層21の厚みH21が硬質層22の厚みH22より厚くなるように形成されている。さらに、第二端部20の長さ方向において、弾性層21の厚みH21は同一であり、硬質層22の厚みH22も同一である。ただし、各厚みH21,H22は、変化させてもよい。
【0034】
第二端部20において、メス部材である第二相手部材T2が、外装されている。また、第二端部20において、硬質層22が最外層に形成されている。そして、第二端部20において、硬質層22が第二相手部材T2に溶着または係止されている。第二端部20において最外層に硬質層22が形成されていることにより、第二相手部材T2との高い連結力を発揮できる。
【0035】
ただし、第二端部20においては、最内層に厚い弾性層21が形成されている。従って、第二端部20は、屈曲可能な柔軟性を有するようにできる。硬質層22を屈曲可能な柔軟性を有するような厚みH22とすることにより、第二端部20が当該性質を有するようにできる。第二端部20が当該性質を有することにより、第二端部20がゴムホースに類似した態様となり、第二端部20を第二相手部材T2への取付性が良好となる。
【0036】
中間部30は、全長に亘って、弾性層31の厚みH31が硬質層32の厚みH32より薄くなるように形成されている。さらに、中間部30の長さ方向において、弾性層31の厚みH31は同一であり、硬質層32の厚みH32も同一である。ただし、各厚みH31,H32は、変化させてもよい。
【0037】
また、中間部30における硬質層32の厚みH32は、第一端部10および第二端部20における硬質層12,22の厚みH12,H22よりも十分に厚く形成されている。従って、中間部30は、硬質層のみにより形成される配管や、金属により形成される配管と同等の機能を発揮することができる。すなわち、中間部30は、所定以上の曲げ剛性を有する構成とすることができる。
【0038】
また、中間部30において、内層側に薄い弾性層31が形成されている。弾性層31の存在によって、中間部30の耐久性を高めることができる。中間部30において、硬質材料のみの場合に比べると、薄い弾性層31の存在により衝撃吸収力が向上し、耐久性を高めることができる。
【0039】
第一接続部40は、第一端部10と中間部30との境界部分を構成する。そして、第一接続部40において、弾性層41は、第一端部10の弾性層11と中間部30の弾性層31とを連続的に接続する。つまり、弾性層41は、厚みが徐々に変化している。また、第一接続部40において、硬質層42は、第一端部10の硬質層12と中間部30の硬質層32とを連続的に接続する。つまり、硬質層42は、厚みが徐々に変化している。従って、各層41,42の急激な変化による悪影響を低減できる。
【0040】
第二接続部50は、第二端部20と中間部30との境界部分を構成する。そして、第二接続部50において、弾性層51は、第二端部20の弾性層21と中間部30の弾性層31とを連続的に接続する。つまり、弾性層51は、厚みが徐々に変化している。また、第二接続部50において、硬質層52は、第二端部20の硬質層22と中間部30の硬質層32とを連続的に接続する。つまり、硬質層52は、厚みが徐々に変化している。従って、各層51,52の急激な変化による悪影響を低減できる。
【0041】
上述したように、多層チューブ1においては、弾性層11,21,31,41,51および硬質層12,22,32,42,52の両者が、多層チューブの全長に亘って形成されている。つまり、弾性層11,21,31,41,51が途中で断絶することもなく、硬質層12,22,32,42,52が途中で断絶することもない。従って、多層チューブ1の長さ方向において、弾性層11,21,31,41,51も連続性を有すると共に、硬質層12,22,32,42,52も連続性を有する。その結果、流体の漏れの問題について、より高い機能により解消できる。
【0042】
さらに、多層チューブ1は、全長に亘って、少なくとも弾性層11,21,31,41,51および硬質層12,22,32,42,52を有する多層構造となる。従って、多層チューブ1は、従来の樹脂チューブのような単独構造部分と多層構造部分との境界を有しない。このように、多層チューブ1は、境界を有しないことにより、安定した所望の性能を発揮することができる。
【0043】
さらに、多層チューブ1の第一端部10は、弾性層11の厚みH11が硬質層12の厚みH12より厚くなるように形成される。その結果、多層チューブ1の第一端部10において、当該第一端部10を第一相手部材T1に連結する際の連結性能が良好となる。また、多層チューブ1の第二端部20は、弾性層21の厚みH21が硬質層22の厚みH22より厚くなるように形成される。その結果、多層チューブ1の第二端部20において、当該第二端部20を第二相手部材T2に連結する際の連結性能が良好となる。
【0044】
また、多層チューブ1の長さ方向において、弾性層11,21,31,41,51の厚みH11,H21,H31および硬質層12,22,32,42,52の厚みH12,H22,H32のそれぞれが変化している。その結果、多層チューブ1は、部位の目的に応じて、弾性層11,21,31,41,51の厚みH11,H21,H31と硬質層12,22,32,42,52の厚みH12,H22,H32を変化させることができる。従って、多層チューブ1の全長に亘って、所望の性能を有するようにできる。
【0045】
(3.第二例の多層チューブ2)
第二例の多層チューブ2について、図3を参照して説明する。多層チューブ2は、第一例の多層チューブ1に対して、第一端部10および第二端部20の構成が異なる。
【0046】
第一端部10の総厚みH10は、中間部30の総厚みH30よりも厚く形成されている。第二端部20の総厚みH20も、中間部30の総厚みH30よりも厚く形成されている。第一端部10において、弾性層11の厚みH11は、硬質層12の厚みH12よりも厚い。第二端部20において、弾性層21の厚みH21は、硬質層22の厚みH22よりも厚い。中間部30において、弾性層31の厚みH31は、硬質層32の厚みH32よりも薄い。
【0047】
第一端部10における硬質層12の厚みH12は、中間部30における硬質層32の厚みH32より薄い。従って、第一端部10において第一端部10の総厚みH10に対する弾性層11の厚みH11の比率(H11/H10)は、中間部30において中間部30の総厚みH30に対する硬質層32の厚みH32の比率(H32/H30)よりも大きい。反対に、第一端部10において第一端部10の総厚みH10に対する硬質層12の厚みH12の比率(H12/H10)は、中間部30において中間部30の総厚みH30に対する弾性層31の厚みH31の比率(H31/H30)よりも小さい。
【0048】
第二端部20も、第一端部10と同様である。すなわち、第二端部20における硬質層22の厚みH22は、中間部30における硬質層32の厚みH32より薄い。従って、第二端部20において第二端部20の総厚みH20に対する弾性層21の厚みH21の比率(H21/H20)は、中間部30において中間部30の総厚みH30に対する硬質層32の厚みH32の比率(H32/H30)よりも大きい。反対に、第二端部20において第二端部20の総厚みH20に対する硬質層22の厚みH22の比率(H22/H20)は、中間部30において中間部30の総厚みH30に対する弾性層31の厚みH31の比率(H31/H30)よりも小さい。
【0049】
第一端部10および第二端部20における硬質層12,22の厚みH12,H22が、中間部30の硬質層32の厚みH32に比べて薄い。そのため、第一端部10および第二端部20の強度が、中間部30に比べて大きく低下するおそれがある。
【0050】
しかし、第二例の多層チューブ2においては、第一端部10および第二端部20の総厚みH10,H20を、中間部30の総厚みH30より厚くしている。そして、硬質層12,22による強度低下の分を、弾性層11,21の厚みH11,H21を厚くすることにより補強している。従って、第一端部10全体として、中間部30と同程度の強度を有するようにできる。第二端部20も同様である。
【0051】
(4.第三例の多層チューブ3)
第三例の多層チューブ3について、図4を参照して説明する。多層チューブ3は、第一例の多層チューブ1に対して、筒状の接着層13,23,33,43,53をさらに備える。
【0052】
接着層13,23,33,43,53は、多層チューブ3の全長に亘って連続して形成されている。接着層13,23,33,43,53は、弾性層11,21,31,41,51と硬質層12,22,32,42,52の径方向間に形成され、弾性層11,21,31,41,51と硬質層12,22,32,42,52とを接着する。接着層13,23,33,43,53は、全長に亘って均一の厚みを有する。
【0053】
接着層13,23,33,43,53の曲げ弾性率は、弾性層11,21,31,41,51の曲げ弾性率と同等としてもよいし、硬質層12,22,32,42,52の曲げ弾性率と同等としてもよいし、弾性層11,21,31,41,51の曲げ弾性率と硬質層12,22,32,42,52の曲げ弾性率の中間としてもよい。
【0054】
(5.第四例の多層チューブ4)
第四例の多層チューブ4について、図5を参照して説明する。第四例の多層チューブ4は、第一例の多層チューブ1に対して、筒状の保護層14,24,34,44,54を備える。
【0055】
保護層14,24,34,44,54は、多層チューブ4の全長に亘って連続して形成されている。保護層14,24,34,44,54は、硬質層12,22,32,42,52の外層側であって、多層チューブ4の最外層に配置されている。保護層14,24,34,44,54は、全長に亘って均一の厚みを有する。保護層14,24,34,44,54の曲げ弾性率は、硬質層12,22,32,42,52の曲げ弾性率と低くするとよい。従って、保護層14,24,34,44,54は、多層チューブ4の保護機能を全長に亘って発揮する。
【0056】
(6.第五例の多層チューブ5)
第五例の多層チューブ5について、図6を参照して説明する。図6に示すように、多層チューブ5は、直線状に形成されている。ここで、図6において、ハッチングを付した部位は、弾性層が硬質層よりも厚く、ハッチングを付していない部位は、弾性層が硬質層よりも薄い。ハッチングの有無の意味は、図7図10においても同様である。
【0057】
詳細には、多層チューブ5は、第一端部10、第二端部20、中間部130、第一接続部40および第二接続部50を備える。第一端部10および第二端部20は、第一例から第四例の多層チューブ1~4の何れか1つにおける第一端部10および第二端部20を適用できる。つまり、第一端部10および第二端部20は、弾性層11,21が硬質層12,22より厚くなるように形成されている。
【0058】
中間部130は、非蛇腹状の直線部により構成されている。ここで、第一例から第四例の多層チューブ1~4の中間部30は、全長に亘って、弾性層31が硬質層32よりも薄くなるように形成されている。これに対して、第五例の多層チューブ5の中間部130は、弾性層が硬質層よりも薄い部位130a,130cと、弾性層が硬質層よりも厚い部位130bとを備える。弾性層および硬質層の意味は、第一例から第四例の多層チューブ1~4にて説明したとおりである。第一接続部40および第二接続部50は、第一例から第四例の多層チューブ1~4における第一接続部40および第二接続部,50と同様に構成される。
【0059】
弾性層の厚みが厚い部位130bは、例えば、相対的に耐衝撃性が高い部位に位置し、耐衝撃部として機能させることができる。一方、弾性層の厚みが薄い部位130a,130cは、例えば、相対的に耐衝撃性が低い部位に位置し、通常部として機能させることができる。
【0060】
(7.第六例の多層チューブ6)
第六例の多層チューブ6について、図7を参照して説明する。多層チューブ6は、第一端部10、第二端部20、中間部230、第一接続部40および第二接続部50を備える。第一端部10、第二端部20、第一接続部40および第二接続部50は、第一例から第四例の多層チューブ1~4の何れか1つにおける第一端部10、第二端部20、第一接続部40および第二接続部50を適用できる。
【0061】
ここで、第一例から第四例の多層チューブ1~4の中間部30は、全長に亘って、非蛇腹状の直線部により構成されている。これに対して、第六例の多層チューブ6の中間部230は、非蛇腹状の屈曲部230b,230d、および、非蛇腹状の直線部230a,230c,230eを備える。なお、屈曲箇所の数は、適宜変更可能である。そして、屈曲部230b,230dおよび直線部230a,230c,230eは、それぞれ全長に亘って、弾性層が硬質層よりも薄くなるように形成されている。つまり、中間部230では、全長に亘って、弾性層が硬質層よりも薄く形成されている。
【0062】
本例では、屈曲部230b,230dおよび直線部230a,230c,230eが、内径および外径を同程度としつつ、屈曲部230b,230dも、直線部230a,230c,230eも、所望の強度および曲げ弾性率を有するようにできる。
【0063】
(8.第七例の多層チューブ7)
第七例の多層チューブ7について、図8を参照して説明する。多層チューブ7は、第一端部10、第二端部20、中間部330、第一接続部40および第二接続部50を備える。第一端部10、第二端部20、第一接続部40および第二接続部50は、第一例から第四例の多層チューブ1~4の何れか1つにおける第一端部10、第二端部20、第一接続部40および第二接続部50を適用できる。
【0064】
第七例の多層チューブ7の中間部330は、非蛇腹状の屈曲部330b,330d、および、非蛇腹状の直線部330a,330c,330eを備える。なお、屈曲箇所の数は、適宜変更可能である。そして、直線部330a,330c,330eは、弾性層が硬質層よりも薄くなるように形成されている。一方、屈曲部330b,330dは、弾性層が硬質層よりも厚くなるように形成されている。つまり、中間部330は、弾性層の厚みおよび硬質層の厚みを変化させている。これにより、屈曲部330b,330dの成形が容易となる。
【0065】
(9.第八例の多層チューブ8)
第八例の多層チューブ8について、図9を参照して説明する。多層チューブ8は、第一端部10、第二端部20、中間部430、第一接続部40および第二接続部50を備える。第一端部10、第二端部20、第一接続部40および第二接続部50は、第一例から第四例の多層チューブ1~4の何れか1つにおける第一端部10、第二端部20、第一接続部40および第二接続部50を適用できる。
【0066】
ここで、第一例から第四例の多層チューブ1~4の中間部30は、全長に亘って、非蛇腹状に形成されている。これに対して、第八例の多層チューブ8は、蛇腹部430bおよび非蛇腹部430a,430cを備える。なお、蛇腹部分の数は、適宜変更可能である。
【0067】
そして、蛇腹部430bおよび非蛇腹部430a,430cは、それぞれ全長に亘って、弾性層の厚みが硬質層の厚みより薄くなるように形成されている。つまり、中間部430は、全長に亘って、弾性層が硬質層よりも薄くなるように形成されている。従って、多層チューブ8は、ある程度の硬さを有する蛇腹部430bおよび非蛇腹部430a,430cを備える。
【0068】
(10.第九例の多層チューブ9)
第九例の多層チューブ9について、図10を参照して説明する。多層チューブ9は、第一端部10、第二端部20、中間部530、第一接続部40および第二接続部50を備える。第一端部10、第二端部20、第一接続部40および第二接続部50は、第一例から第四例の多層チューブ1~4の何れか1つにおける第一端部10、第二端部20、第一接続部40および第二接続部50を適用できる。
【0069】
第九例の多層チューブ9の中間部530は、蛇腹部530b、および、非蛇腹部530a,530cを備える。なお、蛇腹部分の数は、適宜変更可能である。そして、非蛇腹部530a,530cは、弾性層が硬質層よりも薄くなるように形成されている。一方、蛇腹部530bは、弾性層が硬質層よりも厚くなるように形成されている。つまり、中間部530は、弾性層の厚みおよび硬質層の厚みを変化させている。これにより、蛇腹部530bの成形が容易となる。
【0070】
(11.その他)
なお、上記例においては、多層チューブ1-9の長さ方向の中間部30,130,230,330,430,530は、少なくとも一部において、弾性層の厚みが硬質層の厚みより薄くなるように形成された部位を有する場合を例に挙げた。ただし、この構成に限られることなく、多層チューブ1-9の長さ方向の中間部30,130,230,330,430,530が、弾性層の厚みが硬質層の厚みより薄くなるように形成された部位を有しないようにしてもよい。すなわち、多層チューブ1-9の長さ方向において、弾性層の厚みおよび硬質層の厚みのそれぞれが変化していれば、全長に亘って弾性層の厚みが硬質層の厚みより厚くなるように形成されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1-9:多層チューブ、 10:第一端部、 11,21,31,41,51:弾性層、 12,22,32,42,52:硬質層、 13,23,33,43,53:接着層、 14,24,34,44,54:保護層、 20:第二端部、 30,130,230,330,430,530:中間部、 40:第一接続部、 50:第二接続部、 130a,130c:通常部、 130b:耐衝撃部、 230a,230c,230e,330a,330c,330e:直線部、 230b,230d,330b,330d:屈曲部、 430a,430c,530a,530c:非蛇腹部、 430b,530b:蛇腹部、 T1:第一相手部材、 T2:第二相手部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10