IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231109BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01L23/12 N
H01L23/12 L
H01L23/12 Q
H01L21/60 311S
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019143016
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2021027122
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 聡
(72)【発明者】
【氏名】高田 嘉久
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-318098(JP,A)
【文献】特開2015-082585(JP,A)
【文献】特開2009-188154(JP,A)
【文献】特開2000-031331(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0252249(US,A1)
【文献】特開2014-220309(JP,A)
【文献】特開2016-029697(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0020163(US,A1)
【文献】特開2008-252016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0236879(US,A1)
【文献】特開2014-027172(JP,A)
【文献】特開2004-087529(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0001291(US,A1)
【文献】特開2017-175131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0271249(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110339(US,A1)
【文献】特開平07-078911(JP,A)
【文献】米国特許第05723900(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有する配線層と、
前記裏面の全体を覆う第1絶縁層と、
前記主面に接する第2絶縁層と、
前記第2絶縁層に対向し、かつ前記配線層に搭載された半導体素子と、
前記第2絶縁層に接し、かつ前記半導体素子を覆う封止樹脂と、を備え、
前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、有機化合物を含む材料からなり、
前記裏面の表面粗さは、前記第2絶縁層と前記封止樹脂との界面の表面粗さよりも大で あり、
前記主面の表面粗さは、前記裏面の表面粗さよりも大である、半導体装置。
【請求項2】
前記配線層は、前記主面から前記厚さ方向に突出する複数の第1バンプ部を有し、
前記半導体素子は、前記複数の第1バンプ部に対向する複数のパッドを有し、
前記複数のパッドは、前記複数の第1バンプ部に対して個別に接合されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2絶縁層は、前記厚さ方向に貫通する複数の第1開口を有し、
前記複数の第1バンプ部は、前記複数の第1開口に対して個別に収容されている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2絶縁層は、前記主面の全体を覆っている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層に接している、請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項6】
複数の電子部品をさらに備え、
前記複数の電子部品の各々は、互いに離れた一対の電極を有し、
前記配線層は、前記主面から前記厚さ方向に突出する複数の第2バンプ部を有し、
前記複数の電子部品の各々の前記一対の電極は、前記複数の第2バンプ部のうち、隣り合う2つの第2バンプ部に対して個別に接合されている、請求項3ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記厚さ方向に視て、前記複数の第2バンプ部の各々の面積は、前記複数の第1バンプ部の各々の面積よりも大である、請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2絶縁層は、前記厚さ方向に貫通する複数の第2開口を有し、
前記複数の第2バンプ部は、前記複数の第2開口に対して個別に収容されている、請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1絶縁層は、前記厚さ方向に貫通する複数の貫通部を有し、
前記配線層は、前記主面と、前記主面とは反対側を向く底面と、前記主面および前記底面につながる側面と、を各々が有する複数の基部を有し、
前記複数の基部は、前記複数の貫通部に対して個別に収容された部分を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
複数の端子をさらに備え、
前記複数の端子は、前記複数の基部の各々の前記底面を個別に覆っている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の基部の各々の前記側面は、前記複数の貫通部のいずれかから露出する露出部を含む、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の端子の各々は、前記複数の基部のいずれかの前記底面を覆う底部と、前記複数の基部のいずれかの前記露出部を覆う側部と、を有する、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の端子の少なくともいずれかの前記底部は、前記第1絶縁層に接しており、
前記複数の端子の少なくともいずれかの前記側部は、前記第2絶縁層に接している、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記配線層は、前記複数の基部のいずれかの前記主面から前記厚さ方向に延びる複数の柱状部を有し、
前記複数の柱状部の各々は、前記半導体素子に対向する内側面と、前記内側面とは反対側を向く外側面と、を有し、
前記複数の柱状部の各々の前記外側面は、前記封止樹脂から露出している、請求項12または13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記複数の柱状部の各々の前記外側面は、前記複数の基部のいずれかの前記露出部と面一である、請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記複数の端子の各々の前記側部は、前記複数の柱状部のいずれかの前記外側面を覆っている、請求項14または15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記複数の柱状部の各々の前記内側面は、前記封止樹脂に接しており
前記複数の柱状部の各々の前記内側面の表面粗さは、前記裏面の表面粗さよりも大である、請求項16に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線層の上を覆う絶縁層を備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂を含む材料からなる絶縁層と、当該絶縁層の内部および表面に配置された配線層(特許文献1では導体層)と、当該配線層に接合された半導体チップと、当該半導体チップを封止した樹脂組成物とを備える半導体装置の一例が開示されている。当該半導体装置は、曲げなどに対して比較的強固な支持体層の上において、半導体チップの製造と同様な手法により製造される。支持体層は、樹脂組成物を形成した後に除去される。これにより、絶縁層および配線層の厚さを極力小とすることができるため、当該半導体装置の小型化を図ることができる。
【0003】
特許文献1に開示されている半導体装置は、2層の絶縁層を備える。これらの絶縁層のうち、下層に位置する絶縁層は、配線層を支持している。上層に位置する絶縁層は、配線層の上を覆っている。これにより、配線層からのリーク電流を抑制することができる。しかし、配線層と、当該配線層の上を覆う絶縁層との密着性が十分でないと、当該リーク電流を抑制する効果が十分に発揮され難い。したがって、当該密着性を、より向上させる方策が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-141126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の事情に鑑み、配線層と、当該配線層の上を覆う絶縁層との密着性を、より向上させることが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される半導体装置は、厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有する配線層と、前記裏面の全体を覆う第1絶縁層と、前記主面に接する第2絶縁層と、前記第2絶縁層に対向し、かつ前記配線層に搭載された半導体素子と、前記第2絶縁層に接し、かつ前記半導体素子を覆う封止樹脂と、を備え、前記主面の表面粗さは、前記裏面の表面粗さよりも大であることを特徴としている。
【0007】
本発明の実施において好ましくは、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層は、有機化合物を含む材料からなる。
【0008】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層は、前記主面から前記厚さ方向に突出する複数の第1バンプ部を有し、前記半導体素子は、前記複数の第1バンプ部に対向する複数のパッドを有し、前記複数のパッドは、前記複数の第1バンプ部に対して個別に接合されている。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記第2絶縁層は、前記厚さ方向に貫通する複数の第1開口を有し、前記複数の第1バンプ部は、前記複数の第1開口に対して個別に収容されている。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記第2絶縁層は、前記主面の全体を覆っている。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記第2絶縁層は、前記第1絶縁層に接している。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、複数の電子部品をさらに備え、前記の電子部品の各々は、互いに離れて位置する一対の電極を有し、前記配線層は、前記主面から前記厚さ方向に突出する複数の第2バンプ部を有し、前記複数の電子部品の各々の前記一対の電極は、前記複数の第2バンプ部のうち、隣り合う2つの当該第2バンプ部に対して個別に接合されている。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記厚さ方向に沿って視て、前記複数の第2バンプ部の各々の面積は、前記複数の第1バンプ部の各々の面積よりも大である。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記第2絶縁層は、前記厚さ方向に貫通する複数の第2開口を有し、前記複数の第2バンプ部は、前記複数の第2開口に対して個別に収容されている。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記第1絶縁層は、前記厚さ方向に貫通する複数の貫通部を有し、前記配線層は、前記主面と、前記主面とは反対側を向く底面と、前記主面および前記底面につながる側面と、を有する複数の基部を有し、前記複数の基部は、前記複数の貫通部に対して個別に収容された部分を含む。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、複数の端子をさらに備え、前記複数の端子は、前記複数の基部の前記底面を個別に覆っている。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の基部の各々の前記側面は、前記複数の貫通部のいずれかから露出する露出部を含む。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の端子の各々は、前記複数の基部のいずれかの前記底面を覆う底部と、当該底面につながる前記複数の基部のいずれかの前記露出部を覆う側部と、を有する。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層は、前記複数の基部のいずれかの前記主面から前記厚さ方向に延びる複数の柱状部を有し、前記複数の柱状部の各々は、前記半導体素子に対向する内側面と、前記内側面とは反対側を向く外側面と、を有し、前記複数の柱状部の前記外側面は、前記封止樹脂から露出している。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の柱状部の各々の前記外側面は、前記複数の基部のいずれかの前記露出部と面一である。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の端子の各々の前記側部は、前記複数の柱状部のいずれかの前記外側面を覆っている。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の柱状部の前記内側面は、前記封止樹脂に接し、前記複数の柱状部の各々の前記内側面の表面粗さは、前記裏面の表面粗さよりも大である。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる半導体装置によれば、配線層と、当該配線層の上を覆う絶縁層との密着性を、より向上させることが可能となる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
図2図1に対応する平面図であり、複数の接合層、半導体素子、複数の電子部品、および封止樹脂を透過している。
図3図1に示す半導体装置の底面図である。
図4図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図5図1のV-V線に沿う断面図である。
図6図1のVI-VI線に沿う断面図である。
図7図4の部分拡大図である。
図8図5の部分拡大図である。
図9図6の部分拡大図である。
図10図9の部分拡大図である。
図11図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図12図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図13図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図14図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図15図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図16図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図17図1に示す半導体装置の製造工程を説明する部分拡大断面図である。
図18図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図19図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図20図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図21図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図22図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図23図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図24図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図25図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図26図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図27】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
図28図27のXXVIII-XXVIII線に沿う断面図である。
図29図27のXXIX-XXIX線に沿う断面図である。
図30図29の部分拡大図である。
図31図30の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1図10に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、第1絶縁層11、配線層20、第2絶縁層12、複数の接合層39、半導体素子31、複数の電子部品32、封止樹脂40、および複数の端子50を備える。半導体装置A10は、配線基板に表面実装される樹脂パッケージ形式によりものである。当該パッケージ形式は、封止樹脂40から複数のリードが突出していないことが特徴とされるQFN(quad flat non-leaded package)である。ここで、図1は、理解の便宜上、封止樹脂40を透過している。図2は、理解の便宜上、図1に対して複数の接合層39、半導体素子31、および複数の電子部品32をさらに透過している。図2において透過した半導体素子31、および複数の電子部品32を、それぞれ想像線(二点鎖線)で示している。
【0028】
半導体装置A10の説明においては、その便宜上、配線層20の厚さ方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。図1に示すように、半導体装置A10は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。
【0029】
第1絶縁層11には、図3図6に示すように、配線層20が配置されている。第1絶縁層11は、ポリイミドを含む材料からなる。この他の第1絶縁層11の材料として、ポリベンゾオキサゾールを含む材料、フェノール樹脂を含む材料、およびポリアミドを含む材料など、有機化合物を主体とする材料を採ることができる。このため、第1絶縁層11は、有機化合物を含む材料からなる。第1絶縁層11は、複数の貫通部111を有する。複数の貫通部111は、第1絶縁層11を厚さ方向zに貫通している。半導体装置A10においては、複数の貫通部111の各々は、その第2方向yの一方が開口している。
【0030】
配線層20は、図3図6に示すように、第1絶縁層11の上面と、第1絶縁層11の複数の貫通部111とに配置されている。配線層20は、半導体素子31、および複数の電子部品32と、半導体装置A10が実装される配線基板との導電経路の一部を構成している。図4図6に示すように、配線層20は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く主面201および裏面202を有する。主面201は、半導体素子31、および複数の電子部品32に対向している。裏面202は、第1絶縁層11の上面に接している。第1絶縁層11は、裏面202の全体を覆っている。図7図9に示すように、配線層20は、下地層20Aおよび本体層20Bを含む。
【0031】
下地層20Aは、第1絶縁層11に接している。下地層20Aの一部は、第1絶縁層11の複数の貫通部111の各々に収容されている。下地層20Aは、第1絶縁層11に接するバリア層と、当該バリア層に積層されたシード層とから構成される。バリア層の組成は、チタン(Ti)を含む。シード層の組成は、銅(Cu)を含む。本体層20Bは、下地層20Aに積層されている。本体層20Bの一部は、複数の貫通部111の各々に収容されている。配線層20において、本体層20Bが主たる導電経路となる。本体層20Bの組成は、下地層20Aの当該シード層の組成と同一である。このため、本体層20Bの組成は、銅を含む。
【0032】
図2図5および図6に示すように、配線層20は、複数の基部21、複数の本体部22、および複数のバンプ部23を有する。これらのうち、複数の基部21、および複数の本体部22は、図7図9に示すように、下地層20Aおよび本体層20Bから構成される。
【0033】
図3図5および図6に示すように、複数の基部21は、第1絶縁層11の複数の貫通部111に対して個別に収容された部分と、第1絶縁層11の上面から厚さ方向zに突出する部分とを含む。厚さ方向zに沿って視て、複数の基部21の各々の形状および大きさは、当該基部21の一部が収容された複数の貫通部111のいずれかの形状および大きさと等しい。図9に示すように、複数の基部21の各々は、先述した主面201と、底面211と、側面212とを有する。底面211は、主面201とは反対側を向き、かつ厚さ方向zにおいて裏面202よりも主面201から離れて位置する。側面212は、主面201および底面211につながり、かつ複数の貫通部111のいずれかを規定する第1絶縁層11の表面に接している。複数の基部21の各々の側面212は、複数の貫通部111のいずれかにおいて、その第2方向yの一方が開口した部分から露出する露出部212Aを含む。
【0034】
図4図6に示すように、複数の本体部22は、第1絶縁層11の上面に配置されている。複数の本体部22の各々は、先述した主面201および裏面202を有する。複数の本体部22のいくつかは、複数の基部21のいずれかにつながっている。
【0035】
図4図8に示すように、複数のバンプ部23は、配線層20の主面201に配置されている。複数のバンプ部23は、主面201から厚さ方向zに突出している。複数のバンプ部23の各々は、主面201に接し、かつチタンおよび銅を組成に含む金属薄膜と、当該金属薄膜に積層された銅層から構成される。図2に示すように、厚さ方向zに沿って視て、複数のバンプ部23は、矩形状である。複数のバンプ部23は、複数の第1バンプ部231、および複数の第2バンプ部232を含む。複数の第1バンプ部231の各々は、配線層20を構成する複数の本体部22のいずれかの主面201に配置されている。複数の第2バンプ部232の各々は、配線層20を構成する複数の基部21、および複数の本体部22のいずれかの主面201に配置されている。厚さ方向zに沿って視て、複数の第2バンプ部232の各々の面積は、複数の第1バンプ部231の各々の面積よりも大である。
【0036】
第2絶縁層12は、図4図6に示すように、配線層20の主面201に接している。第2絶縁層12の材料は、第1絶縁層11の材料と同一である。このため、第2絶縁層12は、有機化合物を含む材料からなる。半導体装置A10においては、第2絶縁層12は、主面201の全体を覆っている。さらに、第2絶縁層12は、第1絶縁層11に接している。図2図7および図8に示すように、第2絶縁層12は、複数の第1開口121、および複数の第2開口122を有する。複数の第1開口121、および複数の第2開口122は、第2絶縁層12を厚さ方向zに貫通している。複数の第1バンプ部231は、複数の第1開口121に対して個別に収容されている。複数の第2バンプ部232は、複数の第2開口122に対して個別に収容されている。
【0037】
図10に示すように、配線層20において、主面201の表面粗さsr1は、裏面202の表面粗さsr2よりも大である。主面201および裏面202の表面粗さsr1,sr2とは、主面201および裏面202の各々において、厚さ方向zにおいて最も配線層20の内部に位置する最底部と、当該最底部から厚さ方向zにおいて最も離れて位置する最頂部との厚さ方向zの距離である。
【0038】
複数の接合層39は、図4図8に示すように、配線層20の複数のバンプ部23に対して個別に配置されている。複数の接合層39は、第2絶縁層12の上面から厚さ方向zに突出している。複数の接合層39は、導電性を有する。複数の接合層39の各々は、複数のバンプ部23のいずれかに接し、かつチタンおよび銅を組成に含む金属薄膜と、当該金属薄膜に積層されたニッケル(Ni)層と、当該ニッケル層に積層され、かつ錫(Sn)を組成に含む合金層とにより構成される。複数の接合層39は、複数の第1接合層391、および複数の第2接合層392を含む。複数の第1接合層391は、複数のバンプ部23のうち、複数の第1バンプ部231に対して個別に配置されている。複数の第2接合層392は、複数のバンプ部23のうち、複数の第2バンプ部232に対して個別に配置されている。
【0039】
半導体素子31は、図4図7(ただし、図5を除く。)に示すように、配線層20の複数のバンプ部23のうち、複数の第1バンプ部231に搭載されている。半導体素子31は、第2絶縁層12に対向している。半導体素子31は、フリップチップ実装型の素子である。半導体装置A10が示す例においては、半導体素子31は、LSIである。半導体素子31は、複数のパッド311を有する。複数のパッド311は、半導体素子31の内部に構成された回路に導通している。複数のパッド311の各々は、複数の第1バンプ部231のいずれかに対向している。図7に示すように、複数のパッド311の各々は、複数の接合層39のうち、複数の第1接合層391のいずれかを介して複数の第1バンプ部231のいずれかに接合されている。これにより、複数のパッド311は、複数の第1バンプ部231に対して個別に接合され、かつ配線層20との導通が確保されている。したがって、半導体素子31は、配線層20に導通している。
【0040】
複数の電子部品32の各々は、図2および図5に示すように、配線層20の複数のバンプ部23のうち、隣り合う2つの第2バンプ部232に搭載されている。複数の電子部品32は、表面実装型、かつチップ型である。複数の電子部品32の各々は、抵抗器、コンデンサおよびインダクタなどの受動素子、並びにダイオードのいずれかに該当する。半導体装置A10が示す例においては、複数の電子部品32のいずれかが抵抗器である場合は、厚膜(メタルグレーズ皮膜)型の抵抗器を想定している。あわせて、複数の電子部品32のいずれかがコンデンサである場合は、セラミックコンデンサを想定している。
【0041】
図1および図5に示すように、複数の電子部品32の各々は、一対の電極321を有する。一対の電極321は、互いに離れて位置する。図8に示すように、複数の電子部品32の一対の電極321の各々は、複数の接合層39のうち、複数の第2接合層392のいずれかを介して複数の第2バンプ部232のいずれかに接合されている。これにより、複数の電子部品32の各々の一対の電極321は、複数の第2バンプ部232のうち、隣り合う2つの当該第2バンプ部232に対して個別に接合され、かつ配線層20との導通が確保されている。したがって、複数の電子部品32は、配線層20に導通している。
【0042】
封止樹脂40は、図4図6に示すように、第2絶縁層12の上面に接している。封止樹脂40は、半導体素子31、および複数の電子部品32を覆っている。封止樹脂40は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を含む絶縁材料からなる。
【0043】
複数の端子50は、図3図6(ただし、図4を除く。)に示すように、配線層20の複数の基部21の底面211を個別に覆っている。複数の端子50は、半導体装置A10の外部に対して露出している。複数の端子50の各々が、ハンダを介して配線基板に接合されることによって、半導体装置A10が当該配線基板に実装される。半導体装置A10においては、複数の端子50の各々は、複数の基部21のいずれかの底面211から近い順に、ニッケル層、パラジウム(Pd)層、金(Au)層の順に積層された複数の金属層から構成される。このため、複数の端子50の組成は、ニッケル、パラジウムおよび金を含む。
【0044】
図9に示すように、複数の端子50の各々は、底部501および側部502を有する。底部501は、複数の基部21のいずれかの底面211を覆っている。側部502は、複数の端子50のいずれかの底部501につながり、かつ当該底部501から厚さ方向zに延びている。複数の端子50の側部502の各々は、当該底面211につながる複数の基部21のいずれかの露出部212Aを覆っている。
【0045】
次に、図11図26に基づき、半導体装置A10の製造方法の一例について説明する。図11図26(ただし、図17を除く。)の断面位置は、図6の断面位置と同一である。
【0046】
最初に、図11に示すように、基材80の厚さ方向zの一方側の表面に仮固定層801を塗布する。基材80は、ガラス板である。基材80は、ガラス板の他、シリコンウエハでもよい。仮固定層801は、有機化合物を含む材料からなる。
【0047】
次いで、図12に示すように、仮固定層801の全体を覆う剥離層802を形成する。剥離層802は、仮固定層801に接し、かつチタンからなる金属薄膜と、当該金属薄膜に積層され、かつ銅からなる金属薄膜とからなる。剥離層802は、スパッタリング法によりこれらの金属薄膜をそれぞれ成膜することによって形成される。
【0048】
次いで、図13に示すように、剥離層802を覆う第1絶縁層81を形成する。第1絶縁層81は、厚さ方向zにそれを貫通する複数の貫通部811を有する。第1絶縁層81は、感光性ポリイミドを含む材料からなる。第1絶縁層81は、スピンコータなどを用いて当該材料を剥離層802の全体に塗布した後、当該材料に対してリソグラフィパターニングを施すことにより形成される。これにより、第1絶縁層81には、複数の貫通部811が形成された状態となる。複数の貫通部811から、剥離層802の一部が露出する。
【0049】
次いで、図14図16に示すように、第1絶縁層81と、第1絶縁層81の複数の貫通部811から露出する剥離層802の一部との上面に、配線層82を形成する。配線層82を形成する工程は、図14に示す下地層82Aを形成する工程と、図15に示す複数の本体層82Bを形成する工程とを含む。
【0050】
まず、図14に示すように、第1絶縁層81と、第1絶縁層81の複数の貫通部811から露出する剥離層802の一部とを覆う下地層82Aを形成する。下地層82Aは、第1絶縁層81と、第1絶縁層81の複数の貫通部811から露出する剥離層802の一部との全体にバリア層をスパッタリング法により成膜させた後、当該バリア層の全体にシード層をスパッタリング法により成膜させることにより形成される。当該バリア層は、厚さが100nm~300nmのチタンからなる。当該シード層は、厚さが200nm~600nmの銅からなる。
【0051】
次いで、図15に示すように、下地層82Aの上面に複数の本体層82Bを形成する。複数の本体層82Bは、銅からなる。複数の本体層82Bは、下地層82Aの上面にリソグラフィパターニングを施した後、下地層82Aを導電経路とした電解めっきにより形成される。本工程を経ることにより、第1絶縁層81の複数の貫通部811の各々は、下地層82Aと、複数の本体層82Bのいずれかとにより埋め尽くされた状態となる。
【0052】
次いで、図16に示すように、下地層82Aの一部を除去する。下地層82Aの除去対象は、複数の本体層82Bが積層されていない部分である。下地層82Aは、硫酸(H2SO4)および過酸化水素(H22)の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。本工程を経ることにより、配線層82の形成が完了する。第1絶縁層81の上面に積層され、かつ残存した下地層82Aと、これに積層された複数の本体層82Bの一部とが、半導体装置A10の配線層20の複数の本体部22となる。
【0053】
次いで、図17に示すように、配線層82の露出面821を薬液塗布により粗化させる。露出面821は、本工程において外部に露出する配線層82の表面を指す。当該薬液は、酸性溶液およびアルカリ性溶液のどちらかが選択される。酸性溶液の一例は、硫酸および過酸化水素の混合溶液である。アルカリ性溶液の一例は、ギ酸アンモニウム(NH4HCO2)の水溶液である。これらのうち酸性溶液が選択される場合は、図16に示す下地層82Aの一部を除去する工程において、下地層82Aの除去とともに露出面821を粗化させてもよい。
【0054】
次いで、図18に示すように、第1絶縁層81の一部と、配線層82とを覆う第2絶縁層83を形成する。第2絶縁層83は、厚さ方向zにそれを貫通する複数の開口831を有する。第2絶縁層83は、感光性ポリイミドを含む材料からなる。第2絶縁層83は、スピンコータなどを用いて第1絶縁層81の一部と、配線層82の表面との全体に塗布した後、当該材料に対してリソグラフィパターニングを施すことにより形成される。これにより、第2絶縁層83には、複数の開口831が形成された状態となる。複数の開口831から、配線層82の本体層82Bの一部が露出する。
【0055】
次いで、図19に示すように、第2絶縁層83の複数の開口831に対して個別に収容された複数のバンプ部23(半導体装置A10の配線層20の一部)を形成する。複数のバンプ部23の形成にあたっては、まず、第2絶縁層83と、複数の開口831から露出する配線層82の本体層82Bの一部との全体に、スパッタリング法により下地層82Aと同一の構成の金属薄膜を成膜させる。次いで、当該金属薄膜を導電経路とした電解めっきにより当該金属薄膜の上面に銅層を形成する。最後に、ウエットエッチングにより第2絶縁層83の上面に位置する当該金属薄膜および当該銅層を除去する。以上により、複数のバンプ部23の形成が完了する。
【0056】
次いで、図20に示すように、複数のバンプ部23の上面に対して、複数の接合層39を個別に形成する。複数の接合層39の形成にあたっては、まず、第2絶縁層83と、複数のバンプ部23との上面に対してリソグラフィパターニングを施す。これにより、当該リソグラフィパターニングから複数のバンプ部23の各々の一部が露出する。次いで、当該リソグラフィパターニングと、当該リソグラフィパターニングから露出する複数のバンプ部23の一部との全体に、スパッタリング法により下地層82Aと同一の構成の金属薄膜を成膜させる。次いで、当該金属薄膜を導電経路とした電解めっきにより当該金属薄膜の上にニッケル層、および錫を含む合金層をこの順で形成する。最後に、リフトオフにより当該リソグラフィパターニングと、これの上面に積層された当該金属薄膜、当該ニッケル層および当該合金層とを除去する。以上により、複数の接合層39の形成が完了する。
【0057】
次いで、図21に示すように、半導体素子31、および複数の電子部品32を、複数の接合層39を介して複数のバンプ部23に接合する。半導体素子31は、フリップチップボンディングにより複数のバンプ部23に接合される。まず、複数の電子部品32の一対の電極321の各々を、複数の接合層39のうち、複数の第2接合層392のいずれかに仮付けする。次いで、コレットを用いて、半導体素子31の複数のパッド311を、複数の接合層39のうち、複数の第1接合層391に対して個別に仮付けする。次いで、複数の接合層39をリフローにより溶融させる。最後に、溶融した複数の接合層39を冷却により固化させることによって、複数のバンプ部23に対する半導体素子31、および複数の電子部品32の接合が完了する。
【0058】
次いで、図22に示すように、第2絶縁層83に接する封止樹脂84を形成する。封止樹脂84は、黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。封止樹脂84は、コンプレッション成型により形成される。本工程を経ることにより、半導体素子31、および複数の電子部品32が封止樹脂84に覆われた状態となる。
【0059】
次いで、図23に示すように、厚さ方向zを向く封止樹脂84の表面にテープ85を貼り付けた後、基材80および仮固定層801を除去する。まず、封止樹脂84の当該表面にテープ85を貼り付ける。テープ85は、ダイシングテープである。テープ85は、厚さ方向zにおいて封止樹脂84に対して第1絶縁層81および第2絶縁層83とは反対側に位置する。次いで、基材80にレーザを照射する。これにより、基材80と仮固定層801との接合が弱くなり、仮固定層801から基材80を剥がすことができる。最後に、仮固定層801にプラズマを照射することにより、剥離層802に付着した仮固定層801が除去される。
【0060】
次いで、図24に示すように、剥離層802を除去する。剥離層802は、硫酸および過酸化水素の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。本工程を経ることにより、配線層82の一部が第1絶縁層81から視認できる。
【0061】
次いで、図25に示すように、第1絶縁層81と、第1絶縁層81の複数の貫通部811に位置する配線層82と、第2絶縁層83と、封止樹脂84とを、第1方向xおよび第2方向yの双方向に沿った格子状に切断することにより、複数の個片に分割する。切断には、ダイシングブレードなどが用いられる。ただし、本工程においては、テープ85は切断されない。このため、隣り合う2つの当該個片との間には、溝Gが形成される。本工程を経ることにより、当該個片となった第1絶縁層81、第2絶縁層83および封止樹脂84が、それぞれ半導体装置A10の第1絶縁層11、第2絶縁層12および封止樹脂40となる。あわせて、当該個片となった第1絶縁層81の複数の貫通部811に位置する配線層82が、半導体装置A10の配線層20の複数の基部21となる。本工程を経ることにより、複数の基部21の露出部212Aが、封止樹脂40から視認できる。
【0062】
最後に、図26に示すように、配線層20の複数の基部21の各々の一部を個別に覆う複数の端子50を形成する。複数の端子50は、無電解めっきにより形成される。以上の工程を経ることにより、半導体装置A10が製造される。
【0063】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0064】
半導体装置A10は、主面201および裏面202を有する配線層20と、裏面202の全体を覆う第1絶縁層11と、主面201に接する第2絶縁層12と、第2絶縁層12に対向し、かつ配線層20に搭載された半導体素子31と、半導体素子31を覆う封止樹脂40とを備える。主面201および裏面202は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。図10に示すように、主面201の表面粗さsr1は、裏面202の表面粗さsr2よりも大である。これにより、主面201の単位面積(厚さ方向zに沿って視た単位面積)当たりの表面積が、裏面202の単位面積当たりの表面積よりも大となる。よって、主面201に接する第2絶縁層12の面積をより大とすることができる。さらに、主面201に対する第2絶縁層12の投錨効果(アンカー効果)がより大となる。したがって、半導体装置A10によれば、配線層20と、配線層20の上を覆う絶縁層(第2絶縁層12)との密着性を、より向上させることができる。
【0065】
第2絶縁層12は、厚さ方向zに貫通する複数の第1開口121を有する。配線層20は、主面201から厚さ方向zに突出する複数の第1バンプ部231を有する。複数の第1バンプ部231は、複数の第1開口121に対して個別に収容されている。半導体素子31の複数のパッド311は、複数の第1バンプ部231に対して個別に接合されている。これにより、複数のパッド311と、配線層20との境界におけるリーク電流を、より効果的に抑制することができる。
【0066】
第2絶縁層12は、配線層20の主面201の全体を覆っている。これにより、配線層20からのリーク電流を、より効果的に抑制できる。さらに、第2絶縁層12が第1絶縁層11に接する構成をとることにより、当該リーク電流の抑制効果がさらに向上する。
【0067】
半導体装置A10は、一対の電極321を有する複数の電子部品32をさらに備える。配線層20は、主面201から厚さ方向zに突出する複数の第2バンプ部232を有する。複数の電子部品32の各々の一対の電極321は、複数の第2バンプ部232のうち、隣り合う2つの当該第2バンプ部232に対して個別に接合されている。これにより、半導体素子31に入力される電気信号の電圧調整などを複数の電子部品32が担うことができる。したがって、半導体装置A10とともに配線基板に実装される電子部品の数を削減することができる。
【0068】
第2絶縁層12は、厚さ方向zに貫通する複数の第2開口122を有する。複数の第2バンプ部232は、複数の第2開口122に対して個別に収容されている。これにより、複数の電子部品32の一対の電極321と、配線層20との境界におけるリーク電流を、より効果的に抑制することができる。
【0069】
第1絶縁層11は、厚さ方向zに貫通する複数の貫通部111を有する。配線層20は、複数の貫通部111に対して個別に収容された部分を含む複数の基部21を有する。複数の基部21の各々は、底面211および側面212を有する。複数の基部21の各々の側面212は、複数の貫通部111のいずれかから露出する露出部212Aを含む。半導体装置A10は、複数の基部21の底面211を個別に覆う複数の端子50をさらに備える。複数の端子50は、複数の基部21のいずれかの底面211を覆う底部501と、当該底面211につながる複数の基部21のいずれかの露出部212Aを覆う側部502とを有する。これにより、半導体装置A10をハンダにより配線基板に実装する際、複数の端子50の各々において、当該ハンダが底部501のみならず側部502にも付着する。したがって、当該配線基板に対する半導体装置A10の実装強度を向上させることができる。
【0070】
〔第2実施形態〕
図27図31に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、図27は、理解の便宜上、封止樹脂40を透過している。
【0071】
半導体装置A20においては、第2絶縁層12、配線層20、および複数の端子50の構成が、先述した半導体装置A10の当該構成と異なる。
【0072】
図27および図30に示すように、半導体装置A20においては、第2絶縁層12は、先述の複数の第1開口121、および複数の第2開口122に加えて、複数の第3開口123をさらに有する。複数の第3開口123は、第2絶縁層12を厚さ方向zに貫通している。厚さ方向zに沿って視て、複数の第3開口123の各々は、矩形状であり、かつ第1絶縁層11の複数の貫通部111のいずれかと、当該貫通部111に収容された部分を含む配線層20の複数の基部21のいずれかとの双方に重なっている。
【0073】
図27図29に示すように、半導体装置A20においては、配線層20は、複数の柱状部24を有する。複数の柱状部24の各々は、配線層20の複数の基部21のいずれかの主面201から厚さ方向zに延びている。複数の柱状部24の各々の一部は、第2絶縁層12の複数の第3開口123のいずれかに収容されている。複数の柱状部24の組成は、配線層20を構成する本体層20Bの組成と同一である。このため、複数の柱状部24の組成は、銅を含む。
【0074】
図30に示すように、複数の柱状部24の各々は、内側面241および外側面242を有する。内側面241は、半導体素子31に対向している。内側面241は、封止樹脂40および第2絶縁層12の双方に接している。外側面242は、内側面241とは反対側を向く。外側面242は、封止樹脂40から露出している。外側面242は、配線層20の複数の基部21のいずれかの露出部212Aと面一である。複数の端子50の各々の側部502は、複数の柱状部24のいずれかの外側面242を覆っている。
【0075】
図10および図31に示すように、複数の柱状部24の各々の内側面241の表面粗さsr3は、配線層20の裏面202の表面粗さsr2よりも大である。内側面241の表面粗さsr3とは、内側面241において、内側面241が向く方向(半導体装置A20では第2方向y)において最も配線層20の内部に位置する最底部と、当該最底部から当該方向において最も離れて位置する最頂部との当該方向の距離である。
【0076】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0077】
半導体装置A20は、主面201および裏面202を有する配線層20と、裏面202の全体を覆う第1絶縁層11と、主面201に接する第2絶縁層12と、第2絶縁層12に対向し、かつ配線層20に搭載された半導体素子31と、半導体素子31を覆う封止樹脂40とを備える。主面201および裏面202は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。図10に示すように、主面201の表面粗さsr1は、裏面202の表面粗さsr2よりも大である。したがって、半導体装置A20によっても、配線層20と、配線層20の上を覆う絶縁層(第2絶縁層12)との密着性を、より向上させることができる。
【0078】
半導体装置A20においては、配線層20は、複数の基部21のいずれかの主面201から厚さ方向zに延びる複数の柱状部24を有する。複数の柱状部24は、互いに反対側を向く内側面241および外側面242を有する。外側面242は、封止樹脂40から露出している。複数の端子50の各々の側部502は、複数の柱状部24のいずれかの外側面242を覆っている。これにより、複数の端子50の各々の側部502の厚さ方向zの寸法がより大となる。このため、半導体装置A20をハンダにより配線基板に実装する際、複数の端子50の各々において、側部502に付着する当該ハンダの体積がより大となる。したがって、当該配線基板に対する半導体装置A20の実装強度を、半導体装置A10の当該実装強度よりも向上させることができる。
【0079】
配線層20の複数の柱状部24の内側面241は、封止樹脂40に接している。複数の柱状部24の各々の内側面241の表面粗さsr3は、配線層20の裏面202の表面粗さsr2よりも大である。これにより、複数の柱状部24の各々の内側面241の単位面積(半導体装置A20においては第2方向yに沿って視た単位面積)当たりの表面積が、裏面202の単位面積(厚さ方向zに沿って視た単位面積)当たりの表面積よりも大となる。したがって、先述した半導体装置A20の配線層20と第2絶縁層12との関係と同様に、複数の柱状部24と、これらに接する封止樹脂40との密着性を、より向上させることができる。
【0080】
本発明は、先述した半導体装置A10および半導体装置A20に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0081】
A10,A20:半導体装置
11:第1絶縁層
111:貫通部
12:第2絶縁層
121:第1開口
122:第2開口
123:第3開口
20:配線層
201:主面
202:裏面
20A:下地層
20B:本体層
21:基部
211:底面
212:側面
212A:露出部
22:本体部
23:バンプ部
231:第1バンプ部
232:第2バンプ部
24:柱状部
241:内側面
242:外側面
31:半導体素子
311:パッド
32:電子部品
321:電極
39:接合層
391:第1接合層
392:第2接合層
40:封止樹脂
50:端子
501:底部
502:側部
sr1,sr2,sr3:表面粗さ
80:基材
801:仮固定層
802:剥離層
81:第1絶縁層
811:貫通部
82:配線層
821:露出面
82A:下地層
82B:本体層
83:第2絶縁層
831:開口
84:封止樹脂
85:テープ
G:溝
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31