(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
F02F 7/00 20060101AFI20231109BHJP
F01P 5/10 20060101ALI20231109BHJP
F01P 5/12 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
F02F7/00 N
F02F7/00 M
F01P5/10 A
F01P5/10 B
F01P5/12 F
(21)【出願番号】P 2019149774
(22)【出願日】2019-08-19
(62)【分割の表示】P 2016502927の分割
【原出願日】2014-03-14
【審査請求日】2019-09-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505035585
【氏名又は名称】ポラリス インダストリーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】マシュー アール フロンク
(72)【発明者】
【氏名】マイケル シー バーソロミュー
(72)【発明者】
【氏名】ウルス ヴェンゲル
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ルドルフ ジェニー
(72)【発明者】
【氏名】ブレイン ディー ケーザー
(72)【発明者】
【氏名】ニール エイ ライト
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】河端 賢
【審判官】星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-53699(JP,A)
【文献】特開2008-223594(JP,A)
【文献】特開2002-168416(JP,A)
【文献】特開平9-100709(JP,A)
【文献】実開昭59-035637(JP,U)
【文献】特開2010-53698(JP,A)
【文献】特開2005-120944(JP,A)
【文献】特開平1-277611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/00- 1/42
F02F 7/00
F01P 1/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
V字形構成に成形されたクランクケースと、それぞれがシリンダ穴を有する
第1及び第2のシリンダと、各前記シリンダを覆って配置されたヘッドと、前記クランクケース内で軸支されたクランクシャフトと、前記クランクシャフトに連結され、前記シリンダ内で往復運動するように、それぞれのシリンダ内に配置された
第1及び第2のピストンと、駆動される水ポンプとを備えたエンジンにおいて、
前記水ポンプは、前記クランクシャフトに
間接的に連結され、駆動側端部およびインペラ側端部を有する水ポンプ駆動シャフトを含み、
前記水ポンプ駆動シャフトの前記駆動側端部は、前記クランクケースの中心平面の第1の側に配置されると共に、前記クランクシャフトに
間接的に回転可能に結合され、
前記インペラ側端部は、前記クランクケースの中心平面の第2の側に配置されると共に前記水ポンプのインペラに結合され
、
前記第1ピストンの中心線は、第1回旋部の開口を横切り、
前記第2ピストンの中心線は、第2回旋部の開口を横切り、
前記第1及び第2のシリンダは、前記クランクケースから分離し、第1および第2の境界で前記クランクケースに接続し、
前記第1および第2の回旋部が前記クランクケースを介して前記第1および第2の境界と連通するための通路をさらに備え、
前記第1および第2のシリンダはそれぞれ、前記通路と連通する水供給開口を含み、
前記シリンダは、該シリンダの少なくとも一部分を囲む環状チャネルを含み、前記環状チャネルは、前記水供給開口と連通し、挿入体が前記環状チャネルに配置され、前記挿入体は、前記環状チャネルを通る水流の制御された流れを可能にして、せき止め効果を生じさせることを特徴とするエンジン。
【請求項2】
前記水ポンプは水ポンプハウジングを有し、前記水ポンプハウジングの少なくとも一部分は、前記クランクケースの外側面内に少なくとも部分的に画定されることを特徴とする、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記水ポンプハウジングは、前記クランクケースの外側面にある開口を含み、前記インペラは前記開口に配置されることを特徴とする、請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記クランクシャフトの回転軸と第1のシリンダ穴の中心線との間に引かれた第1の線と、前記クランクシャフトの前記回転軸と第2のシリンダ穴の中心線との間に引かれた第2の線とによって鋭角が画定され、前記鋭角内に水ポンプ開口が存在することを特徴とする、請求項2または3に記載のエンジン。
【請求項5】
前記水ポンプは、前記水ポンプ開口から延びる第1および第2の回旋部を含むことを特徴とする、請求項4に記載のエンジン。
【請求項6】
前記水ポンプは、前記水ポンプ開口から延びる第1および第2の回旋部を含み、
前記第1および第2の回旋部は、前記クランクケースの前記外側面に画定されることを特徴とする、請求項4に記載のエンジン。
【請求項7】
前記通路は、前記クランクシャフトの回転軸に平行な軸に沿って、前記クランクケース内に延びる部分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエンジン。
【請求項8】
前記通路は、前記シリンダ穴の軸に平行な軸に沿って、前記クランクケース内に延びる部分を含むことを特徴とする、請求項1または7に記載のエンジン。
【請求項9】
前記第1及び第2のピストンの第1および第2の中心線は、前記通路にそれぞれ交差することを特徴とする、請求項1に記載のエンジン。
【請求項10】
前記第1及び第2のピストンの前記第1および第2の中心線は、前記通路をそれぞれ二等分することを特徴とする、請求項9に記載のエンジン。
【請求項11】
前記クランクケースに接続され、前記水ポンプ開口、前記第1および第2の回旋部、および前記通路を囲む水ポンプカバーをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のエンジン。
【請求項12】
前記ヘッド内に回転可能に配置されたカムシャフトをさらに備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項13】
前記水ポンプを駆動する駆動ギヤが、前記クランクケースの前記第1の側で前記クランクシャフトに連結されることを特徴とする、請求項12に記載のエンジン。
【請求項14】
前記駆動ギヤに連結された被動ギヤを有する被動シャフトをさらに備えることを特徴とする、請求項13に記載のエンジン。
【請求項15】
a.前記被動シャフトに連結された第1および第2のギヤと、
b.前記第1および第2のギヤに連結された第1および第2のチェーンと、
c.前記カムシャフトに連結され、前記第1および第2のチェーンに同調して回転するギヤと、
をさらに備えることを特徴とする、請求項14に記載のエンジン。
【請求項16】
前記水ポンプ駆動シャフトに連結された第3のギヤをさらに備えることを特徴とする、請求項15に記載のエンジン。
【請求項17】
V字形構成に成形されたクランクケースと、第1シリンダ穴を有する第1シリンダと、第2シリンダ穴を有する第2シリンダと、前記第1及び第2シリンダを覆って配置されたヘッドと、前記クランクケース内で軸支されたクランクシャフトと、前記クランクシャフトに連結され、前記第1シリンダ内で往復運動するように、前記第1シリンダ内に配置された第1ピストンと、前記クランクシャフトに連結され、前記第2シリンダ内で往復運動するように、前記第2シリンダ内に配置された第2ピストンと、水ポンプハウジングを含む水ポンプとを備えたエンジンにおいて、
前記水ポンプは、前記クランクシャフトに連結され、
第1回旋部の壁及び第2回旋部の壁を有する前記水ポンプハウジングの少なくとも一部分は、前記クランクケースの外側面に画定され、
前記第1ピストンの中心線は、前記第1回旋部の開口を横切り、
前記第2ピストンの中心線は、前記第2回旋部の開口を横切ることを特徴とするエンジン。
【請求項18】
前記水ポンプハウジングは、前記クランクケースの外側面にある開口を含み、前記水ポンプは、前記開口に配置されたインペラを含むことを特徴とする、請求項17に記載のエンジン。
【請求項19】
前記水ポンプは、水ポンプ開口から延びる前記第1および第2の回旋部を含むことを特徴とする、請求項18に記載のエンジン。
【請求項20】
前記クランクシャフトの回転軸と前記第1のシリンダ穴の中心線との間に引かれた第1の線と、前記クランクシャフトの前記回転軸と前記第2のシリンダ穴の中心線との間に引かれた第2の線とによって鋭角が画定され、前記水ポンプ開口は前記鋭角内に存在することを特徴とする、請求項19に記載のエンジン。
【請求項21】
駆動側端部およびインペラ側端部を有する水ポンプ駆動シャフトであって、前記水ポンプ駆動シャフトの前記駆動側端部は、前記クランクケースの第1の側に配置され、前記水ポンプ駆動シャフトの前記インペラ側端部は、前記クランクケースの第2の側に配置される水ポンプ駆動シャフトをさらに備えることを特徴とする、請求項20に記載のエンジン。
【請求項22】
前記第1及び第2のシリンダが、前記クランクケースから分離し、第1および第2の境界で前記クランクケースに結合されることを特徴とする、請求項21に記載のエンジン。
【請求項23】
前記第1および第2の回旋部が前記クランクケースを介して前記第1および第2の境界と連通するための通路をさらに備えることを特徴とする、請求項22に記載のエンジン。
【請求項24】
前記通路は、前記クランクシャフトの前記回転軸に平行な軸に沿って、前記クランクケース内に延びる部分を含むことを特徴とする、請求項23に記載のエンジン。
【請求項25】
前記通路の少なくとも一つは、前記第1シリンダ穴の軸に平行な軸に沿って、前記クランクケース内に延びる部分を含み、
前記通路の少なくとも別の一つは、前記第2シリンダ穴の軸に平行な軸に沿って、前記クランクケース内に延びる部分を含むことを特徴とする、請求項23または24に記載のエンジン。
【請求項26】
前記第1および第2のシリンダはそれぞれ、前記通路と連通する水供給開口を含むことを特徴とする、請求項23~25のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項27】
前記シリンダは、前記シリンダの少なくとも一部分を囲む環状チャネルを含み、前記環状チャネルは、前記水供給開口と連通し、挿入体が前記環状チャネルに配置され、前記挿入体は、前記環状チャネルを通る水流の制御された流れを可能にして、せき止め効果を生じさせることを特徴とする、請求項26に記載のエンジン。
【請求項28】
前記第1および第2の線は前記通路に交差することを特徴とする、請求項23~27のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項29】
前記第1および第2の線は、前記通路を二等分することを特徴とする、請求項23に記載のエンジン。
【請求項30】
前記クランクケースに接続され、前記水ポンプ開口、前記第1及び第2の回旋部、および前記通路を囲む水ポンプカバーをさらに備えることを特徴とする、請求項23~29のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項31】
前記ヘッド内に回転可能に配置されたカムシャフトをさらに備えることを特徴とする、請求項17~30のいずれか一項に記載のエンジン。
【請求項32】
前記水ポンプを駆動する駆動ギヤが、前記クランクケースの前記第1の側で前記クランクシャフトに連結されることを特徴とする、請求項21に記載のエンジン。
【請求項33】
前記駆動ギヤに連結された被動ギヤを有する被動シャフトをさらに備えることを特徴とする、請求項32に記載のエンジン。
【請求項34】
a.前記被動シャフトに連結された第1および第2のギヤと、
b.前記第1および第2のギヤに連結された第1および第2のチェーンと、
c.前記ヘッド内に回転可能に配置されたカムシャフトに連結され、前記第1および第2のチェーンに同調して回転するギヤと、
をさらに備えることを特徴とする、請求項33に記載のエンジン。
【請求項35】
前記水ポンプ駆動シャフトに連結された第3のギヤをさらに備えることを特徴とする、請求項21に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してエンジンに関し、より詳細には、機械効率を向上させたエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の異なるエンジンタイプが公知であり、例えば、多燃料タイプが利用可能であり、また、複数の異なる容量のエンジンが、様々な数のシリンダと共に利用可能である。エンジンはまた、2または4ストロークとし、複数の異なる向きに配置されたシリンダを有することができ、例えば、ピストンは、垂直、水平、V字形構成(Vツイン)または他の任意の可能な向きに向けることができる。エンジンはまた、一体化トランスミッションを含む駆動系に組み入れることができる。本開示は、そのようなエンジンのすべてのタイプに適用可能である。
【0003】
一部のエンジンは、例えば、特許文献1、特許文献2、および2011年9月23日に出願された特許文献3に示されており、これらの開示は、参照により本明細書に明示的に援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第8,011,342号明細書
【文献】米国特許第8,269,457号明細書
【文献】米国特許出願第13/242,239号明細書(米国特許出願公開第2012/0073527号明細書)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の実施形態では、クランクケースと、クランクケース内で軸支されたクランクシャフトと、クランクシャフトに連結されたピストンと、内部でピストンが往復運動するシリンダとを備えたエンジンが開示される。ヘッドは、ピストンおよびシリンダを覆って配置され、ヘッドは、スパークプラグ用に成形された、ヘッドを貫通する第1の開孔を含む。少なくとも1つのカムシャフトは、ヘッド内でシリンダの上に配置される。カム保持器は、カムをヘッドに保持するように、カムを覆って配置され、カム保持器は、第1の開口に少なくとも部分的に重なるように成形された第2の開孔を含み、カム保持器は、第1の開孔と第2の開孔との境界でヘッドと封止関係にある。弁カバーは、ヘッドおよびカム保持器を覆って受入れ可能であり、弁カバーを貫通する第3の開孔を有し、第3の開孔は、第2の開孔に少なくとも部分的に重なるように成形され、弁カバーは、第2の開孔と第3の開孔との境界でカム保持器と封止関係にある。
【0006】
別の実施形態では、エンジンは、それぞれがシリンダ穴を有する2つのシリンダを有する、V字形構成に成形されたクランクケースを備える。ヘッドは各シリンダを覆って配置される。クランクシャフトは、クランクケース内で軸支される。2つのピストンはクランクシャフトに連結され、シリンダ内で往復運動するように、それぞれのシリンダ内に配置される。水ポンプは、クランクシャフトに連結され、水ポンプは、駆動側端部およびインペラ側端部を有する水ポンプ駆動シャフトを含む。水ポンプシャフトの駆動側端部は、クランクケースの第1の側に配置され、インペラは、クランクケースの第2の側に配置される。
【0007】
別の実施形態では、エンジンは、V字形構成に成形されたクランクケースと、それぞれがシリンダ穴を有する2つのシリンダと、各シリンダを覆って配置されたヘッドと、クランクケース内で軸支されたクランクシャフトと、クランクシャフトに連結され、シリンダ内で往復運動するように、それぞれのシリンダ内に配置された2つのピストンとを備える。水ポンプは、クランクシャフトに連結され、水ポンプは、水ポンプハウジングを含み、水ポンプハウジングの少なくとも一部分は、クランクケースの外側面に画定される。
【0008】
さらに別の実施形態では、駆動系は、クランクケースと、シリンダ穴を有するシリンダと、シリンダを覆って配置されたヘッドと、クランクケース内で軸支されたクランクシャフトと、クランクシャフトに連結され、シリンダ内で往復運動するようにシリンダ内に配置されたピストンと、クランクシャフトに固定して連結され、クランクシャフトと共に回転できる駆動ギヤとを備え、第1、第2、および第3の被動ギヤは、駆動ギヤと噛合して駆動系の他の構成要素を駆動する。
【0009】
別の実施形態では、エンジンシリンダは、内部に冷却水が供給される環状チャネルを含み、環状チャネルに配置された挿入体は、水の通過を制御することにより、せき止め効果が生じるのを可能にして、確実に環状チャネルが満たされるようにする。
【0010】
本発明の実施形態の以下の説明を添付の図面と共に参照することで、本発明の上記および他の特徴と、それらの特徴を達成する方法とがより明らかになり、本発明自体がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図1~2の駆動系のブロックの右前方斜視図である。
【
図11A】
図2の線11-11で切った、水ポンプ駆動シャフトを横断する拡大断面斜視図である。
【
図12】クランクシャフトの上後方から見た上側斜視図である。
【
図16A】
図13のシリンダの水チャネルに配置する挿入体の斜視図である。
【
図16C】シリンダの水チャネルに配置された挿入体を示す。
【
図20】対応するシリンダ上の所定の位置にあるヘッドを示す上側斜視図である。
【
図22】後方から見た、前部中央アセンブリとクランクシャフト支持部分との中心を通る断面図である。
【
図23】右手側から見たサーモスタットアセンブリの拡大図である。
【
図28】
図24の弁カバーのバッフルプレートの底面図である。
【
図30】駆動系のクランクシャフトを横断し、前部シリンダアセンブリを横断する断面図である。
【
図31】ブロックおよび側部カバーを除いた、本開示のエンジンの右側平面図である。
【
図32】ブロックを除いた本開示の駆動系を示す前部右側斜視図である。
【
図34】一体化した水ポンプおよび発電機カバーの内部図を示す。
【
図35】一体化した水ポンプおよび発電機カバーの外部図を示す。
【
図36】所定の位置にある発電機ステータを示す
図34と同様の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図全体を通して、同じ参照符号は同じ部品を示す。特に指定のない限り、図面は等比例である。下記に開示する実施形態は、網羅的であることを意図されておらず、または本発明を、以下の詳細な説明で開示したものと全く同じ形態に限定することも意図されていない。むしろ、実施形態は、当業者が実施形態の教示を利用することができるように選択および説明されている。本開示は、第一にオートバイ用エンジンを対象としているが、本明細書で開示される特徴は、ATV、スノーモービル、実用車、水上オートバイなどの他のパワースポーツ車両に同様に適用できることを理解されたい。
【0013】
図1~3を参照すると、駆動系が全体として2で示されている。駆動系2は、オートバイを対象としているが、他の車両用の駆動系として同様に使用することができる。駆動系2は、単一モジュールのエンジンおよびトランスミッションからなる複合体であり、エンジン部分は4で示され、トランスミッション部分は6で示されている。駆動系2は、前部シリンダアセンブリ8(
図2)および後部シリンダアセンブリ10を含む。一体型ブロック12(
図3)は、エンジン部分4およびトランスミッション部分6の両方用に設けられている。示すように、前部シリンダアセンブリ8は、前部シリンダ14(
図21)、前部ヘッド16(
図21)、および前部弁カバー18(
図2)からなる。
図1に最もよく示すように、後部シリンダアセンブリ10は、後部シリンダ部材24、後部ヘッド26、および後部弁カバー28からなる。クラッチカバー34は、後部トランスミッション部分6でブロック12に連結されている。ギヤカバー36(
図2)は、エンジン部分4において、ブロックの前端でブロック12に連結されて、本明細書で説明する複数のギヤシャフトを覆う。ブロック12は、エンジンクランクケースおよびトランスミッションハウジングを画定する。
【0014】
駆動系2は、38で示すオイルフィルタ(
図2)、サーモスタットアセンブリ40(
図2)、前部排気ポート42(
図18)、およびスロットル44(
図1)を含む。駆動系は、水ポンプ46(
図2)、出力用駆動スプロケット48(
図2)をさらに含む。後部排気ポート50は
図1に示されている。最後に、駆動系2は、
図2に示すように、前部スパークプラグ開口52および後部スパークプラグ開口54を含む。
【0015】
ここで
図3~8を参照して、駆動系ブロック12がさらに詳細に説明される。最初に
図3を参照すると、ブロック12は、2つの半体12a、12bで構成されている。引き続き
図3を参照して、ブロック部分12aは、内部容積76を画定する周縁壁74によって画成された内壁72を含む。内側壁74は、ボス82内に画成された複数のねじ付き開孔80を有する平面縁部78を画定するように機械加工されている。同様に、および
図6を参照すると、ブロック部分12bは、96で示す内部容積を画定する周縁壁94によって画成された内壁92を含む。壁94は、ボス102内に画成されたねじ付き開孔100を有する平面縁部98を画定する。
【0016】
ここで
図3および
図5を参照すると、本明細書で説明するように、複数の開孔が、両方の壁72、92を通ってブロック12を完全に貫通している。示すように、開孔110は、ボス114の内径112(
図5)と、ボス118によって画成された直径116(
図6)とによって画定される。開孔110は、本明細書で説明するように、クランクシャフトの取付け用に成形されている。
図5~7を参照すると、本明細書で説明するように、貫通孔120が、水ポンプ駆動シャフト用として示されている。
図7に示すように、開孔120は、ブロック半体12a上で直径122によって画定され、ブロック半体12b上で直径124によって画定される。
【0017】
ここで
図3および
図6を参照して、クラッチ取付け用の貫通開孔130が、本明細書でさらに詳細に説明される。開孔130は、ボス132によって画定され、内径134(
図5)を画定する。開孔130は、本明細書でさらに説明するように、ハウジング150内にある開口140(
図6)と連通している。ブロック部分12bは、駆動スプロケット48を担持する出力シャフトを受け入れる直径162を有する開孔160をさらに含む。
【0018】
ここで、
図6および
図7を参照すると、水ポンプハウジング170は、ブロック部分12bと一体化して画定される。水ポンプハウジング170は、172、174、176、および178を含む複数の段部を含み、段部178は、ハウジング170を介して水を放出するための回旋部180a、180b(
図6)を画定する。
図6に示すように、回旋部180a、180bは、段付き部分178と交差する部分182を有して螺旋形とされ、部分182は外側に螺旋を描き、部分184と共に、平面98からの凹部として水チャネルを形成している。回旋部180a、180bは開口186に入り、開口186は、
図6で見て後方に移行して、
図8に最もよく示すように、開口188と連通している。水開口188は、ブロック12の上側平面190まで延び、この面190は、本明細書でさらに説明するように、シリンダ14を受けるように成形されている。したがって、回旋部180a、180bと上側面190a、190bとの間に通路が画定され、部分186a、186bは、クランクシャフトの回転軸にほぼ平行な軸に沿ってクランクケースに入り込み、部分188a、188bは、シリンダ穴の軸にほぼ平行な軸に沿ってクランクケースに入り込む。
【0019】
単一の水ポンプハウジング170が面98に一体化して画定され、2つの回旋部180a、180bを画定しているのが
図8から分かり、本明細書でさらに説明するように、回旋部180aは、冷却水を前部シリンダアセンブリ8に供給し、回旋部180bは、水を後部シリンダアセンブリ10に供給する。
【0020】
図6を参照すると、貫通開口120は、中心線194a、194bによって画定される「V字形部」内にあり、中心線194a、194bは、開口110の中心を通って延び、平面190a、190bに垂直であると分かる。中心線194a、194bは鋭角を画定し、エンジン部分4内のピストンの中心線も表すと分かる。
図6および
図8に示すように、中心線194aは、開口186a、188aと交差し、一方、中心線194bは、開口186b、188bと交差している。示すように、中心線194aは、開口186a、188aを概ね二等分し、一方、中心線194bは、開口186b、188bを概ね二等分している。
【0021】
ここで
図4を参照すると、上側平面190a、190bは、2つのブロック半体12a、12bによって画定されると分かる。本明細書でさらに説明するように、開口200a、200bも、それぞれシリンダ14、24用の受入れ領域を画定して設けられている。
図3および
図4を参照すると、ブロック半体12aは、それぞれ面190aを貫通する通路210aと、面190bを貫通する通路210bとを含む。通路210a、210bは、開放された容積部76(
図3)内に通じ、本明細書で説明するように、カムチェーンへのアクセスを可能にするのが分かる。
【0022】
ここで
図9を参照すると、エンジンクランクシャフトが250で示されている。エンジンクランクシャフト250は、カウンタウェイト254から延びるシャフト部分252と、カウンタウェイト258から延びるシャフト部分256とを含む。シャフト部分252は、主ジャーナル260と、増大外径部分262と、スプライン付きシャフト部分264と、268で示すねじ付き開孔を有するポスト部分266とを含む。シャフト部分256は、主ジャーナル270と、シャフト部分272と、テーパ付きシャフト部分274とを含む。クランクシャフト250は、カウンタウェイト254、258間に延びるクランクピンジャーナル276をさらに含む。低減質量部分280は、カウンタウェイト254、258の窪み部分として、カウンタウェイトの内側に設けられ、弓形面282、284で示す壁部分、および286で示す平面部分を画定する。
【0023】
図10、
図11A、および
図11Bを参照して、水ポンプ用の駆動列が本明細書で説明される。
図10に最もよく示すように、駆動ギヤ300は、302で示す内側スプライン付き連結部を有して設けられ、この連結部は、クランクシャフト250のスプライン付き外側面264(
図9)に対応している。駆動ギヤ300は、304で示す外歯をさらに含み、クランクシャフト250の回転により、ギヤ300が駆動回転する。被動ギヤ310は、駆動ギヤ300に同調して回転する。ギヤ312、314は、それぞれ歯316、318を含み、歯316、318は、駆動ギヤ300の歯304とピッチが同じである。被動ギヤ310は、バックラッシュギヤであり、ギヤ312、314は、歯316、318が若干回転可能に互いから離間するように、ばねによるねじり負荷を相互にかけられている。これは、歯の係合による騒音および振動を低減する。
【0024】
ギヤ310は、322で示すシャフト部分を有するシャフト320に取り付けられ、シャフト部分322は、シャフト320のショルダ部324(
図11A)で終端している。ギヤ310は、当技術分野において公知のように、キーおよびキー溝によって、シャフト部分322に対して固定されている。
図11Aに示すように、シャフト320は、第1のギヤ330、および332で示す第2のギヤをさらに含む。本明細書でさらに詳細に説明されるように、ギヤ330、332は、協働してカムチェーンを駆動するのが分かる。シャフト320は、反対側の端部に、ショルダ部336、直径部338、および直径部340をさらに含む。
図11Aに最もよく示すように、ギヤ344は、外径部分338に配置され、ショルダ部336と当接している。ギヤ344はまた、上記と同様に、キーおよびキー溝によって、シャフト320に対して固定されている。シャフト320は、第1の側に隣接して配置されたボールベアリング372(
図11Aを参照のこと)と、(図示していないが
図11Aで面124、340間に配置された)滑り軸受との2つのベアリングによって、回転可能に保持されている。
【0025】
ここで
図10を参照すると、水ポンプインペラ駆動体が350で示されている。駆動体350は、駆動ギヤ344と同調して回転する被動ギヤ354を端部に有するシャフト352を含む。ポンプインペラ356は、シャフト352の反対側の端部に取り付けられ、ベーン358を含む。インペラ356は、外径部分360を含む。シール362は、364で示す封止リブを有して設けられている。
【0026】
ここで
図11Aを参照すると、クランクシャフト250が駆動ギヤ300に連結されて示されており、一方、駆動ギヤ300は、ギヤ310に駆動可能に連結されている。ギヤ310はシャフト320に連結されている。シャフト320は、直径部分340が開孔124に取り付けられた状態で示され(
図5も参照のこと)、ベアリングキャップ370は、反対側の端部322を、ボール359を有するボールベアリング372に連結している。ベアリングキャップ370は、ブロック12に直接連結されている。
図11Aはまた、噛合したギヤ344、354を示し、ギヤ354が、留め具380によってシャフト352に連結されている。ベアリング366は開孔120に配置され、シャフト352が回転できるようにシャフト352と協働する。シャフトの回転方向が、
図10に矢印で示されている。
【0027】
これにより、インペラ356が水ポンプハウジング内の所定の位置に配置され(
図8、11B)、ベーン358は、回旋部180a、180bに近接して配置されると分かる。
図12は、クランクシャフト250と水ポンプインペラ356との間の連結を示し、さらに、平面98(
図8)に密着して取り付けることができる、402で示す合わせ面を有する水ポンプカバー400を示している。水ポンプカバー400は、例えば、対応する開孔404a、406a、開孔404b、406b、および開孔404c、406cを貫通する留め具によって、水ポンプハウジング170に取り付けることができる。ハウジング400は、ハウジング170の中に水を供給する、410で示す取水接続部をさらに含む。カバーはまた、回旋部180aを囲む細長い部分412aと、回旋部180bを囲む細長い部分412bとを含む。
【0028】
このように、水ポンプ46、特に、水ポンプインペラ356は、クランクシャフト250に直接連結され、それにより、クランクシャフト250が回転することで、水ポンプ46による取水接続部410を介した水の移動が起こり、エンジンブロック12の上側面190a、190b(
図8)で開孔188a、188bから水を送出するのが分かる。ここで
図13~16Cを参照して、シリンダ14がさらに詳細に説明される。
【0029】
ここで
図13~16Cを参照して、シリンダ14がさらに詳細に説明される。なお、説明は、前部シリンダアセンブリ8用のシリンダであるシリンダ14に関するものであるが、さらに、シリンダ24も、鏡像の関係にあることを除いて、シリンダ14に関して説明したのと実質的に同じであることが分かる。
【0030】
図13に示すように、シリンダ14は、422で示す内径部分を有する中央シリンダ部分420を含み、当然のことながら、中央シリンダ部分420は、駆動系のエンジン部分のピストンを受け入れる。シリンダ部分420は、424で示す上側面を含み、上側面424は、シリンダ14の残りの上側面部分426と同一平面上にある。
図14および
図15に示すように、下側平面428は、上側平面426と平行な態様で画定される。なお、シリンダ部分420は、下側平面428の下に延びる下側部分430も有する。さらに、下側シリンダ部分430は、上側面190a(
図4)の下で、開口200a(
図4)およびブロック12のクランクケースまで延びることが分かる。
【0031】
壁部分436(
図13)はシリンダ部分420を囲み、シリンダ部分420の内側面440から離間した、438で示す内側環状面を画定し、内側環状面438と内側面440との間にチャネル442が画定される。チャネル442は冷却水を受け入れるように画定され、そのため、冷却水がシリンダ部分420を環流し、燃焼によって発生した熱からシリンダ部分420を冷却すると分かる。この点について、
図14および
図15に最もよく示すように、チャネルまたは開口450が、シリンダ部分420と外側壁436との間に画定される。開口450は、シリンダ14がブロック12の面190aに配置された場合に、通路188a(
図3)と合致することが分かる。外側壁436は、456で示す開口を設けた454などの複数のボスをさらに含み、当然のことながら、開口456は、当技術分野で公知のように、ブロック12の上部に置かれたスタッドを受け入れる。
【0032】
シリンダ14はまた、462で示す、内側のほぼ矩形の内側容積部を設けた、囲み容積部分460を含み、この内側容積部462は、シリンダ14がブロック12に置かれた場合に、開口210a(
図3)と合致する。容積部分462は、本明細書で説明するように、カムチェーンがオーバヘッドカムまで上方に向かって通過するのを可能にする。
【0033】
シリンダ14は、シリンダのまわりの十分な冷却を確実にするように設計されている。
図13に示すように、スロット470が、上側面426に隣接して内側面438に設けられている。
図16Aおよび
図16Bに示すように、挿入体480が、タブ部分486がある内方に弓形の面484を有するテーパ付き本体部分482を有して設けられている。挿入体480の外側面は、外側面492を途切れさせるスロット部分490を含む。
図16Cを参照すると、挿入体480は、タブ486がスロット470内に配置され、ボス454の上に配置された状態で挿入されて示されている。示すように、挿入体480は、水チャネル450に隣接して配置され、内側水チャネル442全体にわたって延びている。スロット490は、水がある程度制御されて挿入体を通過するのを可能にし、一方、挿入体480は、せき止め効果を生じさせて、水が循環して空所またはチャネル442全体を満たすようにして、シリンダ420全体の適切な冷却を保証する。ここで
図17~19を参照して、ヘッド16がさらに詳細に説明される。
【0034】
最初に
図17を参照すると、ヘッド16は、502で示す複数の取付け開孔を有する下側平面500を含み、この取付け開孔502は、ヘッドをシリンダに14に対して所定の位置に配置するために、位置的に開孔456(
図13)に対応している。ヘッド16は、シリンダ14の上側面の水チャネル442(
図13)のパターンと一致する、直径に沿ったパターンで配置された複数の水受入れスロット504をさらに含む。したがって、シリンダ14およびチャネル442を上方に向かって流れる水は、チャネル504に流入して、ヘッド16の燃焼室510を冷却すると分かる。さらに、燃焼室510は、吸気弁用の2つの開口512と、排気弁用の2つの開口514とを含むのが分かる。
【0035】
ヘッド16は、複数の内部チャンバを含む鋳造品である。第1に、および
図19に関連して、内側水チャンバ520は、水出口530(
図17)と連通する燃焼室510の外側に画定される。したがって、シリンダ14からヘッド16に移動した水は、チャネル504を通ってチャンバ520に進み、530から出る。さらに、水出口530は、エンジンの「V字形部」に出て行き、ヘッド26上の対応する開口も、エンジンの「V字形部」に通じていて、各出口は、反対側のシリンダアセンブリに対向することが分かる。
【0036】
図17に示すように、吸気ポートと連通する内部空気チャンバが画定され、一方、吸気ポートは、弁開口512と連通している。内部チャンバ540(
図19)と連通する吸気ポートは544で示され、フランジ546と、548で示す取付け開孔とを含む。したがって、ヘッド16に進入した空気は、吸気ポート544からチャンバ540に入り、弁開口512を通って燃焼室510内に進む。同様に、排気弁開口514は、内部排気チャンバ(図示せず)と連通し、内部排気チャンバは、
図18に示す排気ポート42に連通している。
【0037】
再度
図19および
図20を参照すると、ヘッド16は、550で示す上側平面を含み、さらに、カム受入れ領域、すなわち、排気カム用の領域552と吸気カム用の領域554とを画定する。これに関連して、ヘッド16は、562で示す半円筒形の受入れ開口を有する横断壁560と、566で示す半円筒形の開口を有する横断壁564とを含む。
図20に最もよく示すように、横断壁560は、572で示す半円筒形の開口をさらに含み、横断壁564は、574で示す半円筒形の開口を含む。したがって、本明細書でさらに説明するように、カムシャフトは、それぞれの弁開口512、514にまたがって位置し、カムシャフトの対応する受入れ領域552、554内に置かれるのが分かる。
【0038】
図19に示すように、ヘッド16はまた、中央管状部分580を含み、この中央管状部分580は、582で示す開口を有する円筒形とすることができ、開口582も円筒形とすることができる。円筒形の開口582は、スパークプラグ受入れ開口586(
図17)へのアクセスを可能にし、一方、スパークプラグ受入れ開口586は、燃焼室510と連通しているのが分かる。ヘッド16は、上側面560および下側面500を通過するカムチェーン用の通路590をさらに含む。通路590は、通路462(
図13)および通路210a(
図4)に対応すると分かる。本明細書で説明するように、対応する受入れ領域552、554にカムを保持するために、開孔対594a、594bは、それぞれ半円筒形開口562、566の横に位置し、開孔596a、596bは、それぞれ半円筒形開口572、574の横に位置している。
【0039】
単一のヘッドだけが16で示されているが、排気量を変えるために、様々な異なる直径422をそれぞれが有するヘッドの製品系列が企図されていることを理解されたい。
【0040】
ここで
図20および
図21を参照して、シリンダ14およびヘッド16の整列が説明される。
図21に最もよく示すように、ヘッド16は、カム通路462、590が一列に整列して、一貫した垂直通路を提供するように、シリンダ14を覆って配置して示され、さらに、シリンダ14の上部の水チャネル442は、水チャンバ520および受入れ開口504と一列に整列して示されている。すでに説明したように、冷却水は、ブロック12から上方に向かってシリンダ14の通路442を通り、上方に向かって開口504を通ってチャンバ520に移動して、シリンダおよび燃焼室510の両方を冷却し、ポート530(
図20)から出る。最後に、
図22に関連して、ブロック12の回旋部180aと上側通路188aとの交差部が、通路450、504、およびチャンバ520の連通と共に示されている。
【0041】
ここで水冷却システムの完結が、サーモスタットアセンブリ40との関連で説明される。
図23に示すように、サーモスタット40は、前部シリンダアセンブリ8と後部シリンダアセンブリ10との中間にある、エンジン部分4の「V字形部」に位置する。サーモスタットアセンブリ40は、602で示す第1の入力部、および604で示す第2の入力部を有するサーモスタット600を含む。サーモスタット600は、2つの出口、すなわち、606で示す一方と、608で示す第2のものを含む。入り口602は、ホース610によって水排出ポート530(
図17も参照のこと)と連通している。ホース610は、612、614などのクランプによって、所定の位置に固定されているのが分かる。第2のホース620は、入り口604に接続された第1の端部と、シリンダアセンブリ10の対応する水排出ポート530に接続された第2の端部とを設けられている。したがって、
図22に関連して上記に説明したように、シリンダアセンブリ8、10を通って上方に移動する冷却水は、ヘッド16の対応する水ポート530から出てホース610、620に入り、ポート602、604を通ってサーモスタット600に流入する。
【0042】
したがって、始動したばかりのエンジンに見られるように、冷却水がまた冷たい場合、サーモスタットは閉じたままであり、冷却水はポート608から出てホース630に入る。ホース630は、クランプ634によってポート608に接続された第1の端部632と、接続器(図示せず)によって戻りポート(
図2)に接続された第2の端部636とを有する。接続器644は、すでに説明したように、水を回旋部から前部シリンダアセンブリ8および後部シリンダアセンブリ10に戻して再循環させるために、冷却水を直接水ポンプ46に戻す。サーモスタットが開かれる(サーモスタット600用の事前設定温度になる)状態までエンジンが加熱されると、水は出口ポート606を流れ、オートバイの前部の方にラジエータまで進む。ラジエータは、冷却水用の閉じたシステムを形成するために、ポート606に接続された導入ポートと、ポート410(
図2)に接続された出口ポートとを有することが分かる。駆動系2と併用する例示的なオートバイが、2013年3月15日に出願された同時係属出願中の米国特許出願第61/799,880号明細書(代理人整理番号PLR-05-25858.01P-US-e)でより完全に説明されている。
【0043】
ここで
図24および
図25を参照すると、カム担体または担体が、カム受入れ領域552を覆うための本体部分652と、カム受入れ領域554を覆うための本体部分654とを有して650で示されている。本体部分652は、開孔594aと整列する開孔704a、開孔594bと整列する開孔704b、開孔596aと整列する開孔706a、および開孔596bと整列する開孔706bを含む。
図24に最もよく示すように、カム担体650はまた、半円筒形の凹部562に対応する半円筒形の凹部712と、ヘッド16の凹部566(
図20)に対応する半円筒形の凹部716とを含む。本体部分654は、凹部572に対応する半円筒形の凹部718と、凹部574(
図20)に対応する凹部720とを含む。
図25に示すように、カム担体650の下側面は、ヘッド16の上面550(
図19)と密着することができる平面732も含む。
【0044】
図24に示すように、カム担体650は、円筒形とすることができ、742で示す上側面と744で示す下側面とを有する中央管状部分740をさらに含む。
図25に示すように、下側面744は、シール(図示せず)を埋め込むための環状凹部を画定するアンダーカット部分746を含む。下側面744は、円筒形部分580(
図19)と協働するように成形され、円筒部分740は、750で示す内径をさらに含み、この内径750は、円筒形部分580の内径582(
図19)と実質的に同じである。こうして、カムは、カムギヤが領域590(
図19)に配置された状態で、受入れ領域552、554に配置することができる。この場合に、カムのそれぞれの領域552、554内で、吸気弁および排気弁の上の所定の位置にカムを保持するために、カム担体650を、カムを覆って受け入れて、ヘッドに連結することができる。
【0045】
ここで
図26を参照すると、弁カバー18は、784で示す開口が円筒形部材786によって画成された中央領域782がある本体部分780を有して示されている。
図27に最もよく示すように、円筒形部材786は、内側チャネル790があるシール788を有する。シール788は、別個のシールとすることができ、または円筒形部分786と一体に型成形することもできる。シール786、特に、チャネル790は、カム担体650の円筒形部分740の上側端部742(
図24)を覆って受け入れられるのが分かる。示すように、本体部分780は、その上面に沿って全体的に湾曲して端部壁796、798を有する。出口ポートは、本明細書で説明するように、800でブリーザチューブ802に接続されて配置されている。弁カバー18の裏面は、プレート部分812によって画成されたバッフルプレート810を含む。プレート部分812は、管状部分786のまわりに受入れ可能な円形開口814を含む。バッフルプレート810は、直立バッフル816をさらに含み、留め具818は、バッフルプレート810を弁カバー18内に連結する。この場合に、ホース802は、未使用のガスを再循環させるために、オートバイのエアボックスに接続されて、燃焼室から漏れた未使用ガスをエアボックスおよび空気清浄機に戻して再循環させる。
【0046】
ここで
図25および
図30を参照して、ヘッド16、弁カバー18、およびカム担体650の相互作用が説明される。示すように、カム保持器650はヘッド16の上に位置し、カムをヘッド内に保持するために、カムを覆って配置されている。カム担体は、開孔750を画定する直立管状壁740を含む。直立管状壁740は、ヘッドの上側平面550と接するように成形された下側平面744(
図25を参照のこと)を画定する。シール(
図30を参照のこと)が、直立管状壁の下側平面744とヘッドの上側平面550との境界にある。中央円筒形部分740は、ヘッド16の上に配置され、開口582(
図22を参照のこと)と整列している。弁カバー18は、開孔784(
図26を参照のこと)が開孔750に重なるように、カム担体650を覆って配置されて示されている。シール788は、円筒形部分740を覆って所定の位置に配置され、それにより、カム担体650を介して弁カバー18をヘッド16に対して封止する。
【0047】
ここで
図31および
図32を参照して、本開示の他の態様が以下に説明される。すでに説明したように、クランクシャフト250に直接連結された駆動ギヤ300はギヤ310を駆動する。
図32に示すように、ギヤ310はギヤ330、332を駆動し、ギヤ330、332は、最終的にカムチェーンを駆動することはすでに説明した。カムチェーン850a、850bが
図31に示されており、それぞれギヤ330、332に同調して動く。駆動系2は、排気タイミングギヤ852aおよび吸気タイミングギヤ854aと、排気タイミングギヤ852bおよび吸気タイミングギヤ854bとをさらに含む。したがって、タイミングチェーンは、個々の通路210a(
図3)、通路462(
図13)、および通路590(
図18)によって画定される通路を貫通する。
図31はまた、タイミングチェーンテンショナ860a、860b、862bを示している。
【0048】
さらに、前部被動ギヤ870が示されており、被動ギヤ870は、被動ギヤ870のほぼ真後ろに配置されたオイルポンプ872(
図32)を駆動する。オイルポンプ872は、876で示すスノーケル(
図31を参照のこと)を有するオイル取込み管874を有する。被動ギヤ870に加えて、駆動ギヤ300はまた、クラッチ882を駆動する880(
図33を参照のこと)を駆動する。クラッチ882は、複数のギヤ900(
図32)と噛合した複数のギヤ890を有するシャフト884(
図31を参照のこと)を駆動する。ギヤ900は、最終的に出力スプロケット48(
図33を参照のこと)に連結され、出力スプロケット48は、ベルト(図示せず)によってオートバイリアホイールに連結される。
【0049】
このように、駆動ギヤ300は、クランクシャフトで直接駆動される単一のギヤから様々な態様の駆動系を駆動する。説明したように、駆動ギヤ300はギヤ310を駆動し、次に、ギヤ310は両方のカムチェーン850a、850bを駆動し、次に、カムチェーン850a、850bは、オーバヘッドカムを駆動する。さらに、駆動ギヤ300は、水ポンプ駆動シャフト350の被動ギヤ310への連結係合によって水ポンプを駆動する。駆動ギヤ300はさらに被動ギヤ870を駆動し、次に、被動ギヤ870はオイルポンプ872を駆動する。最後に、説明したように、駆動ギヤ300は、クラッチ882を駆動するギヤ880を駆動する。
【0050】
再度
図11Bを参照すると、ほとんどの境界要素間の封止には、シール910などの押圧式定位置角形ビードシールが含まれ、このシールは、漏れをなくす頑強なシールを提供する。
【0051】
図32に示すように、横方向可動ギヤと共に横に移動する速度センサ920が設けられている。
【0052】
図34~35を参照すると、水ポンプハウジング170を覆う部分930と、発電機を覆う部分932とを含む水ポンプカバー400が示されており、共通のカバーにより、要素間の継ぎ目が無継ぎ目になる。
図2に示すように、小カバーまたはバッジ940は、試験目的で取り外し可能である。
【0053】
上記のように、ヘッド16は、様々な排気量に対処するために、様々な大きさとすることができる。構成要素のモジュール性により、様々な美的外観の製品系列を用意することも可能である。例えば、様々なシリンダ、ヘッド、弁カバー、および他のカバーを様々な美的外観で用意することができ、それでもなお、ブロック12に同様に連結される。
【0054】
本開示の潤滑システムは、2011年9月23日に出願された米国特許出願第13/242,239号明細書(米国特許出願公開第20120073527号明細書)に示され、説明されたものと同様であり、この特許の主題は、参照により本明細書に援用される。相違点は、潤滑システムが伝動用の伝動シャフトにも潤滑油を供給することである。
【0055】
本発明が、例示的な設計を有するとして説明されたが、本発明は、本開示の趣旨および範囲内でさらに修正することができる。したがって、本願は、本発明の一般原理を使用する本発明の任意の変形形態、使用法、または改造形態を包含することを意図されている。さらに、本願は、本発明が属する技術分野での公知例または慣例の範囲に入る本開示からの逸脱を包含することを意図されている。