(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20231109BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20231109BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20231109BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01L23/12 K
H05K1/02 K
H05K3/28 B
H01L25/00 B
(21)【出願番号】P 2019153441
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 聡
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-175131(JP,A)
【文献】特開2015-170809(JP,A)
【文献】特開2007-311688(JP,A)
【文献】特開2011-258772(JP,A)
【文献】特開2005-216989(JP,A)
【文献】特開2007-013092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0268675(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0270211(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110339(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0304016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 1/02
H05K 3/28
H01L 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面と、前記主面から前記裏面に至る複数の貫通部と
、を有する絶縁層と、
前記複数の貫通部
に個別に収容された複数の第1端子と、
前記主面
に接し、かつ前記裏面から前記厚さ方向に離れ
た下地層
と、前記下地層に積層された本体層と、を含むとともに、前記複数の第1端子に導通する配線層と、
前記配線層に搭載された半導体素子と、
前記複数の第1端子の各々の一部を個別に覆う複数の第2端子と、を備え、
前記下地層および前記本体層の各々は、金属元素を含み、
前記複数の第1端子の各々は、前記本体層に含まれる金属元素と同一の金属元素を含み、
前記複数の第1端子の各々は、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く上面と、前記厚さ方向において前記上面とは反対側を向く下面と、前記上面および前記下面につながる側面と、を有し、
前記配線層は、各々が前記下地層および前記本体層を含むとともに、前記複数の貫通部に個別に収容された部分を含む複数の基部を有し、
前記複数の第1端子の各々の前記上面は、前記複数の基部のいずれかの前記下地層に接しており、
前記複数の貫通部の各々は、前記主面および前記裏面につなが
るとともに、前記複数の貫通部の
いずれかを規定する規定面を有し、
前記規定面は、前記裏面から前記厚さ方向に立ち上がる第1部を
含み、
前記複数の第1端子の各々の前記側面は、前記複数の貫通部のいずれかの前記第1部に接しており、
前記複数の第1端子の各々の前記側面は、前記複数の貫通部のいずれかの前記第1部から露出する露出部を含み、
前記露出部は、前記複数の第1端子のいずれかの前記下面につながっている、半導体装置。
【請求項2】
前記複数の貫通部の各々の前記規定面は、前記厚さ方向において前記主面と前記裏面との間に位置する第2部を含み、
前記第2部は、前記複数の貫通部のいずれかの前記第1部から前記厚さ方向に対して直交する方向に延びており、
前記複数の第1端子の各々の一部は、前記複数の貫通部のいずれかの前記第2部に覆われている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第1端子の各々の前記上面は、前記複数の貫通部のいずれかの前記第2部に接している、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記下地層は、チタンを含む、請求項
1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の第1端子の各々と、前記本体層と、は、銅を含む、請求項
1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の第1端子の各々と、前記本体層と、は、ニッケルを含む、請求項
1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の第2端子の各々は、前記複数の第1端子のいずれかの前記下面を覆う底部と、前記複数の第1端子のいずれかの前記露出部を覆う側部と、を有する、請求項
1ないし6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数の基部の各々は、前記複数の第1端子のいずれかの前記露出部と面一である端面を有し、
前記複数の第2端子の各々の前記側部は、前記複数の基部のいずれかの前記端面を覆っている、請求項
7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数の第2端子の各々は、ニッケルおよび金を含む、請求項
1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数の第2端子の各々は、パラジウムを含む、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体素子は、前記配線層に対向する複数のパッドを有し、
前記複数のパッドの各々は、前記配線層に導電接合されている、請求項
1ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記配線層に搭載された複数の電子部品をさらに備え、
前記複数の電子部品の各々は、互いに離れた一対の電極を有し、
前記一対の電極の各々は、前記配線層に導電接合されている、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
封止樹脂をさらに備え、
前記封止樹脂は、前記主面および前記配線層の双方に接するとともに、前記半導体素子、および前記複数の電子部品を覆っている、請求項
12に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂を含む材料からなる絶縁層と、当該絶縁層の内部および表面に配置された配線層(特許文献1では導体層)と、当該配線層に接合された半導体チップと、当該半導体チップを封止した樹脂組成物とを備える半導体装置の一例が開示されている。当該半導体装置は、より小型化を図ることが可能であるものの、絶縁層および配線層が曲げに対して脆弱である。このため、特許文献1に開示されているように、当該半導体装置の製造においては、金属板などの支持体層の上に剥離層を形成し、当該剥離層の上に絶縁層および配線層を形成する方法が採られている。支持体層は、配線層に半導体チップを接合させ、かつ当該半導体チップを樹脂封止した後、除去される。剥離層は、支持体層を除去する際、絶縁層および配線層の損傷を防ぐために形成される。剥離層は、チタンなどの金属薄膜からなる。剥離層は、ウエットエッチングにより除去される。
【0003】
当該半導体装置の製造においては、剥離層を除去した後、絶縁層から露出する配線層の複数の領域を個別に覆う複数の端子を、無電解めっきにより形成することがある。剥離層がチタンからなる場合、剥離層の除去が不十分であると複数の端子の形成が困難となる。このため、ウエットエッチングにより剥離層を完全に除去しようとすると、配線層の組成にチタンが含まれる場合、剥離層とともに配線層が侵食されることがある。配線層が侵食されると、絶縁層から配線層が剥離する要因となるおそれがある。したがって、当該半導体装置の製造過程において、配線層の侵食を抑止する方策が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の事情に鑑み、装置の製造過程において、配線層の侵食を抑止することが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される半導体装置は、厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面と、前記主面から前記裏面に至る複数の貫通部と有する絶縁層と、前記複数の貫通部に対して個別に収容された複数の第1端子と、前記主面、および前記複数の第1端子の双方に接し、かつ前記裏面から前記厚さ方向に離れて位置する下地層を含むとともに、前記複数の第1端子に導通する配線層と、前記配線層に搭載された半導体素子と、前記複数の第1端子の各々の一部を個別に覆う複数の第2端子と、を備え、前記下地層の組成は、金属元素を含み、前記複数の貫通部の各々は、前記主面および前記裏面につながり、かつ当該貫通部の形状を規定する規定面を有し、前記複数の貫通部の前記規定面の各々は、前記裏面から前記厚さ方向に立ち上がる第1部を有し、前記複数の第1端子の各々の一部が、前記複数の貫通部の前記規定面のいずれかの前記第1部に直接覆われていることを特徴としている。
【0007】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第1端子の各々は、前記厚さ方向において前記主面と同じ側を向く上面と、前記上面とは反対側を向く下面と、前記上面および前記下面につながる側面と、を有し、前記複数の第1端子の前記上面は、前記下地層に接し、前記複数の第1端子の前記側面の各々は、前記複数の貫通部の前記規定面のいずれかの前記第1部に接している。
【0008】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の貫通部の前記規定面の各々は、前記厚さ方向において前記主面と前記裏面との間に位置する第2部をさらに有し、前記第2部は、前記複数の貫通部の前記規定面のいずれかの前記第1部から前記厚さ方向に対して直交する方向に延び、前記複数の第1端子の各々の一部が、前記複数の貫通部の前記規定面のいずれかの前記第2部に直接覆われている。
【0009】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第1端子の前記上面の各々は、前記複数の貫通部の前記規定面のいずれかの前記第2部に接している。
【0010】
本発明の実施において好ましくは、前記下地層の組成は、チタンを含む。
【0011】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層は、前記下地層に積層され、かつ金属元素を含む本体層をさらに含み、前記複数の第1端子の組成は、金属元素を含み、前記本体層の組成は、前記複数の第1端子の組成に含まれる同一の金属元素を含む。
【0012】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第1端子、および前記本体層の組成は、銅を含む。
【0013】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第1端子、および前記本体層の組成は、ニッケルを含む。
【0014】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層は、前記複数の貫通部に対して個別に収容された部分を含む複数の基部を有し、前記複数の基部の各々は、前記複数の第1端子のいずれかの前記上面に接している。
【0015】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第1端子の前記側面の各々は、前記複数の貫通部の前記規定面のいずれの前記第1部に覆われていない露出部を含み、前記露出部は、前記複数の第1端子のいずれかの前記下面につながっている。
【0016】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第2端子の各々は、前記複数の第1端子のいずれかの前記下面を覆う底部と、当該下面につながる前記複数の第1端子のいずれかの前記露出部を覆う側部と、を有する。
【0017】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の基部の各々は、前記複数の第1端子のいずれかの前記露出部と面一である端面を有し、前記複数の第2端子の前記側部の各々は、前記複数の基部のいずれかの前記端面を覆っている。
【0018】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第2端子の組成は、ニッケルおよび金を含む。
【0019】
本発明の実施において好ましくは、前記複数の第2端子の組成は、パラジウムをさらに含む。
【0020】
本発明の実施において好ましくは、前記半導体素子は、前記配線層に対向する複数のパッドを有し、前記複数のパッドは、前記配線層との導通が確保された状態で前記配線層に接合されている。
【0021】
本発明の実施において好ましくは、前記配線層に搭載された複数の電子部品をさらに備え、前記複数の電子部品の各々は、互いに離れて位置する一対の電極を有し、前記複数の電子部品の前記一対の電極の各々は、前記配線層との導通が確保された状態で前記配線層に接合されている。
【0022】
本発明の実施において好ましくは、封止樹脂をさらに備え、前記封止樹脂は、前記主面および前記配線層の双方に接し、かつ前記半導体素子、および前記複数の電子部品を覆っている。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる半導体装置によれば、当該装置の製造過程において、配線層の侵食を抑止することが可能となる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面に基づき以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の平面図であり、封止樹脂を透過している。
【
図2】
図1に対応する平面図であり、複数の接合層、半導体素子、複数の電子部品、および封止樹脂を透過している。
【
図9】
図1の部分拡大図であり、配線層を透過している。
【
図12】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図13】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図14】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図15】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図16】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図17】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図18】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図19】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図20】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図21】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図22】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図23】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図24】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図25】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図26】
図1に示す半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図27】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の部分拡大平面図であり、配線層および封止樹脂を透過している。
【
図28】
図27のXXVIII-XXVIII線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1~
図11に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、絶縁層10、複数の第1端子51、配線層20、複数の接合層39、半導体素子31、複数の電子部品32、封止樹脂40、および複数の第2端子52を備える。半導体装置A10は、配線基板に表面実装される樹脂パッケージ形式によりものである。当該パッケージ形式は、封止樹脂40から複数のリードが突出していないことが特徴とされるQFN(quad flat non-leaded package)である。ここで、
図1は、理解の便宜上、封止樹脂40を透過している。
図2は、理解の便宜上、
図1に対して複数の接合層39、半導体素子31、および複数の電子部品32をさらに透過している。
図2において透過した半導体素子31、および複数の電子部品32を、それぞれ想像線(二点鎖線)で示している。
図9は、理解の便宜上、
図1に対して配線層20を透過している。
【0028】
半導体装置A10の説明においては、その便宜上、絶縁層10の厚さ方向を「厚さ方向z」と呼ぶ。厚さ方向zに対して直交する方向を「第1方向x」と呼ぶ。厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直交する方向を「第2方向y」と呼ぶ。
図1に示すように、半導体装置A10は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。
【0029】
絶縁層10には、
図1~
図6に示すように、配線層20が配置されている。絶縁層10は、ポリイミドを含む材料からなる。この他の絶縁層10の材料として、ポリベンゾオキサゾールを含む材料、フェノール樹脂を含む材料、およびポリアミドを含む材料など、有機化合物を主体とする材料を採ることができる。絶縁層10は、主面101、裏面102、および複数の貫通部11を有する。
【0030】
図4~
図6に示すように、主面101および裏面102は、厚さ方向zにおいて互いに反対側を向く。主面101は、半導体素子31、および複数の電子部品32に対向している。裏面102は、半導体装置A10の外部に対して露出し、かつ半導体装置A10を実装する際、対象となる配線基板に対向する。
図5に示すように、複数の貫通部11は、主面101から裏面102に至って絶縁層10を厚さ方向zに貫通している。
【0031】
図9~
図11に示すように、複数の貫通部11の各々は、規定面111を有する。規定面111は、主面101および裏面102につながっている。規定面111は、複数の貫通部11のうち対象となる当該貫通部11の形状を規定している。半導体装置A10においては、複数の貫通部11の規定面111の各々は、第1部111Aを有する。第1部111Aは、裏面102から厚さ方向zに立ち上がっている。
【0032】
複数の第1端子51は、
図2~
図6(ただし、
図4を除く。)に示すように、絶縁層10の複数の貫通部11に対して個別に収容されている。半導体装置A10が示す例においては、複数の第1端子51の各々は、厚さ方向zに沿って視て矩形状である。複数の第1端子51の組成は、金属元素を含む。当該金属元素は、銅(Cu)、またはニッケル(Ni)である。
【0033】
図9~
図11に示すように、複数の第1端子51の各々は、上面511、下面512および側面513を有する。上面511は、厚さ方向zにおいて絶縁層10の主面101と同じ側を向く。下面512は、上面511とは反対側を向く。側面513は、上面511および側面513につながっている。複数の第1端子51の各々の一部が、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aに直接覆われている。半導体装置A10においては、複数の第1端子51の側面513の各々は、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aに接している。複数の第1端子51の側面513の各々は、露出部513Aを含む。露出部513Aは、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aに覆われていない領域である。露出部513Aは、複数の第1端子51のいずれかの下面512につながっている。
【0034】
配線層20は、
図2~
図6(ただし、
図3を除く。)に示すように、絶縁層10の主面101、および絶縁層10の複数の貫通部11に配置されている。配線層20は、半導体素子31、および複数の電子部品32と、半導体装置A10が実装される配線基板との導電経路の一部を構成している。配線層20は、複数の第1端子51に導通している。
図7~
図11(ただし、
図9を除く。)に示すように、配線層20は、下地層20Aおよび本体層20Bを含む。下地層20Aおよび本体層20Bの各々の組成は、ともに金属元素を含む。
【0035】
下地層20Aは、主面101と、複数の貫通部11の規定面111と、複数の第1端子51の上面511とに接している。下地層20Aは、これらの要素に接するバリア層と、当該バリア層に積層されたシード層とから構成される。バリア層の組成は、チタン(Ti)を含む。このため、下地層20Aの組成は、チタンを含む。シード層の組成は、本体層20Bの組成と同一である。下地層20Aは、絶縁層10の裏面102から厚さ方向zに離れて位置する。本体層20Bは、下地層20Aに積層されている。配線層20において、本体層20Bが主たる導電経路となる。本体層20Bの組成は、複数の第1端子51の組成に含まれる同一の金属元素を含む。このため、本体層20Bの組成は、銅、またはニッケルを含む。
【0036】
図2、
図5および
図6に示すように、配線層20は、複数の基部21、複数の本体部22、および複数のバンプ部23を有する。これらのうち、複数の基部21、および複数の本体部22は、
図7~
図11(ただし、
図9を除く。)に示すように、下地層20Aおよび本体層20Bから構成される。
【0037】
図2、
図10および
図11に示すように、複数の基部21は、絶縁層10の複数の貫通部11に対して個別に収容された部分と、絶縁層10の主面101から厚さ方向zに突出する部分とを含む。複数の基部21の各々は、複数の第1端子51のいずれかに積層されている。このため、複数の基部21の各々は、複数の第1端子51のいずれかの上面511に接している。厚さ方向zに沿って視て、複数の基部21の各々の形状および大きさは、当該基部21と重なる複数の第1端子51のいずれかの形状および大きさと等しい。
図10に示すように、複数の基部21の各々は、端面211を有する。端面211は、複数の第1端子51のいずれかの露出部513Aと面一である。
【0038】
図2~
図6(ただし、
図3を除く。)に示すように、複数の本体部22は、絶縁層10の主面101に配置されている。複数の本体部22のいくつかは、複数の基部21のいずれかにつながっている。
【0039】
図7および
図8に示すように、複数のバンプ部23は、本体層20Bの上に配置されている。複数のバンプ部23は、本体層20Bから厚さ方向zに突出している。複数のバンプ部23の組成は、本体層20Bの組成に含まれる同一の金属元素を含む。このため、複数のバンプ部23の組成は、銅、またはニッケルを含む。
図2に示すように、複数のバンプ部23は、複数の第1バンプ部231、および複数の第2バンプ部232を含む。複数の第1バンプ部231の各々は、複数の本体部22のいずれかを構成する本体層20Bの上に配置されている。複数の第2バンプ部232の各々は、複数の基部21のいずれかを構成する本体層20Bの上に、または複数の本体部22のいずれかを構成する本体層20Bの上に配置されている。厚さ方向zに沿って視て、複数の第1バンプ部231の各々の大きさは、複数の第2バンプ部232の各々の大きさよりも小である。
【0040】
複数の接合層39は、
図4~
図8に示すように、配線層20の複数のバンプ部23に対して個別に配置されている。複数の接合層39は、導電性を有する。複数の接合層39の各々は、複数のバンプ部23のいずれかに接するニッケル層と、当該ニッケル層に積層された錫(Sn)を含む合金層とにより構成される。当該合金層は、たとえば、錫-銀(Ag)系合金、または錫-アンチモン(Sb)系合金からなる。複数の接合層39は、複数の第1接合層391、および複数の第2接合層392を含む。複数の第1接合層391は、複数のバンプ部23のうち、複数の第1バンプ部231に対して個別に配置されている。複数の第2接合層392は、複数のバンプ部23のうち、複数の第2バンプ部232に対して個別に配置されている。
【0041】
半導体素子31は、
図4~
図7(ただし、
図5を除く。)に示すように、配線層20の複数のバンプ部23のうち、複数の第1バンプ部231に搭載されている。半導体素子31は、フリップチップ実装型の素子である。半導体装置A10が示す例においては、半導体素子31は、LSIである。半導体素子31は、複数のパッド311を有する。複数のパッド311は、半導体素子31の内部に構成された回路に導通している。複数のパッド311の各々は、複数の第1バンプ部231のいずれかに対向している。
図7に示すように、複数のパッド311の各々は、複数の接合層39のうち、複数の第1接合層391のいずれかを介して複数の第1バンプ部231のいずれかに接合されている。すなわち、複数のパッド311は、配線層20との導通が確保された状態で配線層20に接合されている。これにより、半導体素子31は、配線層20に導通している。
【0042】
複数の電子部品32の各々は、
図2および
図5に示すように、配線層20の複数のバンプ部23のうち、隣り合う2つの第2バンプ部232に搭載されている。複数の電子部品32は、表面実装型、かつチップ型である。複数の電子部品32の各々は、抵抗器、コンデンサおよびインダクタなどの受動素子、並びにダイオードのいずれかに該当する。半導体装置A10が示す例においては、複数の電子部品32のいずれかが抵抗器である場合は、厚膜(メタルグレーズ皮膜)型の抵抗器を想定している。あわせて、複数の電子部品32のいずれかがコンデンサである場合は、セラミックコンデンサを想定している。
【0043】
図1および
図5に示すように、複数の電子部品32の各々は、一対の電極321を有する。一対の電極321は、互いに離れて位置する。
図8に示すように、複数の電子部品32の一対の電極321の各々は、複数の接合層39のうち、複数の第2接合層392のいずれかを介して複数の第2バンプ部232のいずれかに接合されている。すなわち、複数の電子部品32の一対の電極321の各々は、配線層20との導通が確保された状態で配線層20に接合されている。これにより、複数の電子部品32は、配線層20に導通している。
【0044】
封止樹脂40は、
図4~
図6に示すように、絶縁層10の主面101、および配線層20の双方に接している。封止樹脂40は、配線層20(ただし、複数の基部21の一部を除く。)、半導体素子31、および複数の電子部品32を覆っている。封止樹脂40は、たとえば黒色のエポキシ樹脂を含む絶縁材料からなる。
【0045】
複数の第2端子52は、
図3~
図6(ただし、
図4を除く。)に示すように、複数の第1端子51の各々の一部を個別に覆い、かつ半導体装置A10の外部に対して露出している。複数の第2端子52の各々が、ハンダを介して配線基板に接合されることによって、半導体装置A10が当該配線基板に実装される。半導体装置A10においては、複数の第2端子52の各々は、複数の第1端子51のいずれかから近い順に、ニッケル層、パラジウム(Pd)層、金(Au)層の順に積層された複数の金属層から構成される。このため、複数の第2端子52の組成は、ニッケル、パラジウムおよび金を含む。
【0046】
図9および
図10に示すように、複数の第2端子52の各々は、底部521および側部522を有する。底部521は、複数の第1端子51のいずれかの下面512を覆っている。側部522は、複数の第1端子51のいずれかの底部521につながり、かつ当該底部521から厚さ方向zに延びている。複数の第2端子52の側部522の各々は、複数の第1端子51のいずれかの露出部513Aと、配線層20の複数の基部21のいずれかの端面211とを覆っている。
【0047】
【0048】
最初に、
図12に示すように、基材80の厚さ方向zの一方側の表面に仮固定層801を塗布する。基材80は、ガラス板である。基材80は、ガラス板の他、シリコンウエハでもよい。仮固定層801は、有機化合物を含む材料からなる。
【0049】
次いで、
図13に示すように、仮固定層801の全体を覆う剥離層802を形成する。剥離層802は、仮固定層801に接し、かつチタンからなる金属薄膜と、当該金属薄膜に積層され、かつ銅からなる金属薄膜とからなる。剥離層802は、スパッタリング法によりこれらの金属薄膜をそれぞれ成膜することによって形成される。
【0050】
次いで、
図14に示すように、剥離層802を覆う絶縁層82を形成する。絶縁層82は、厚さ方向zにそれを貫通する複数の貫通部821を有する。絶縁層82は、感光性ポリイミドを含む材料からなる。絶縁層82は、スピンコータなどを用いて当該材料を剥離層802と、複数の導電層81との全体に塗布した後、当該材料に対してリソグラフィパターニングを施すことにより形成される。これにより、絶縁層82には、複数の貫通部821が形成された状態となる。
【0051】
次いで、
図15に示すように、剥離層802に接し、かつ絶縁層82の複数の貫通部821に対して個別に収容された複数の導電層81を形成する。複数の導電層81は、銅からなる。複数の導電層81は、絶縁層82をマスクとし、かつ剥離層802を導電経路とした電解めっきにより形成される。本工程により、複数の貫通部821の各々を囲む絶縁層82の周面が、複数の導電層81のいずれかの側面に一様に接する。
【0052】
次いで、
図16~
図18に示すように、絶縁層82と、絶縁層82の複数の貫通部821から露出する複数の導電層81の各々の一部との上に、配線層83を形成する。配線層83を形成する工程は、
図16に示す下地層83Aを形成する工程と、
図17に示す複数の本体層83Bを形成する工程と、
図18に示す複数のバンプ層83Cを形成する工程とを含む。
【0053】
まず、
図16に示すように、絶縁層82と、絶縁層82の複数の貫通部821から露出する複数の導電層81の各々の一部とを覆う下地層83Aを形成する。下地層83Aは、絶縁層82と、複数の貫通部821から露出する複数の導電層81の各々の一部との全体にバリア層をスパッタリング法により成膜させた後、当該バリア層の全体にシード層をスパッタリング法により成膜させることにより形成される。当該バリア層は、厚さが100nm~300nmのチタンからなる。当該シード層は、厚さが200nm~600nmの銅からなる。
【0054】
次いで、
図17に示すように、下地層83Aの上に複数の本体層83Bを形成する。複数の本体層83Bは、銅からなる。複数の本体層83Bは、下地層83Aの上にリソグラフィパターニングを施した後、下地層83Aを導電経路とした電解めっきにより形成される。本工程を経ることにより、絶縁層82の複数の貫通部821の各々は、複数の導電層81のいずれかと、下地層83Aと、複数の本体層83Bのいずれかとにより埋め尽くされた状態となる。
【0055】
次いで、
図18に示すように、複数の本体層83Bの上に複数のバンプ層83Cを形成する。複数のバンプ層83Cは、銅からなる。複数のバンプ層83Cは、下地層83A、および複数の本体層83Bの上にリソグラフィパターニングを施した後、下地層83A、および複数の本体層83Bを導電経路とした電解めっきにより形成される。本工程を経ることにより、配線層83の形成が完了する。
【0056】
次いで、
図19に示すように、配線層83の複数のバンプ層83Cの上に対して、複数の接合層39を個別に形成する。本工程においては、まず、下地層83A、複数の本体層83B、および複数のバンプ層83Cの上にリソグラフィパターニングを施す。次いで、下地層83A、複数の本体層83B、および複数のバンプ層83Cを導電経路とした電解めっきにより、ニッケル層を形成する。最後に、下地層83A、複数の本体層83B、複数のバンプ層83C、および当該ニッケル層を導電経路とした電解めっきにより、当該ニッケル層の上に錫を含む合金層を形成することによって、複数の接合層39の形成が完了する。
【0057】
次いで、
図20に示すように、下地層83Aの一部を除去する。下地層83Aの除去対象は、複数の本体層83Bが積層されていない部分である。下地層83Aは、硫酸(H
2SO
4)および過酸化水素(H
2O
2)の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。本工程を経ることにより、絶縁層82の上に積層され、かつ残存した下地層83Aと、これに積層された複数の本体層83Bの一部とが、半導体装置A10の配線層20の複数の本体部22となる。あわせて、複数のバンプ層83Cが、半導体装置A10の配線層20の複数のバンプ部23となる。
【0058】
次いで、
図21に示すように、半導体素子31、および複数の電子部品32(図示の都合上、
図21に示す電子部品32は単数)を、複数の接合層39を介して配線層20に接合する。このうち、半導体素子31は、フリップチップボンディングにより配線層20に接合される。まず、複数の電子部品32の一対の電極321の各々を、複数の接合層39のうち、複数の第2接合層392のいずれかに仮付けする。次いで、コレットを用いて、半導体素子31の複数のパッド311を、複数の接合層39のうち、複数の第1接合層391に対して個別に仮付けする。次いで、複数の接合層39をリフローにより溶融させる。最後に、溶融した複数の接合層39を冷却により固化させることによって、配線層20に対する半導体素子31、および複数の電子部品32の接合が完了する。
【0059】
次いで、
図22に示すように、絶縁層82および配線層20に接する封止樹脂84を形成する。封止樹脂84は、黒色のエポキシ樹脂を含む材料からなる。封止樹脂84は、コンプレッション成型により形成される。本工程を経ることにより、配線層20、半導体素子31、および複数の電子部品32(図示の都合上、
図22に示す電子部品32は単数)が封止樹脂84に覆われた状態となる。あわせて、絶縁層82の複数の貫通部821に位置する配線層83も、封止樹脂84に覆われた状態となる。
【0060】
次いで、
図23に示すように、厚さ方向zを向く封止樹脂84の表面にテープ85を貼り付けた後、基材80および仮固定層801を除去する。まず、封止樹脂84の当該表面にテープ85を貼り付ける。テープ85は、ダイシングテープである。テープ85は、厚さ方向zにおいて封止樹脂84に対して絶縁層82とは反対側に位置する。次いで、基材80にレーザを照射する。これにより、基材80と仮固定層801との接合が弱くなり、仮固定層801から基材80を剥がすことができる。最後に、仮固定層801にプラズマを照射することにより、剥離層802に付着した仮固定層801が除去される。
【0061】
次いで、
図24に示すように、剥離層802を除去する。剥離層802は、硫酸および過酸化水素の混合溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。本工程を経ることにより、複数の導電層81の一部が、絶縁層82から視認できる。
【0062】
次いで、
図25に示すように、複数の導電層81と、絶縁層82と、絶縁層82の複数の貫通部821に位置する配線層83と、封止樹脂84とを、第1方向xおよび第2方向yの双方向に沿った格子状に切断することにより、複数の個片に分割する。切断には、ダイシングブレードなどが用いられる。ただし、本工程においては、テープ85は切断されない。このため、隣り合う2つの当該個片との間には、溝Gが形成される。本工程を経ることにより、当該個片となった絶縁層82が半導体装置A10の絶縁層10となり、かつ当該個片となった封止樹脂84が半導体装置A10の封止樹脂40となる。あわせて、当該個片となった複数の導電層81が半導体装置A10の複数の第1端子51となり、かつ当該個片となった配線層83が半導体装置A10の配線層20の複数の基部21となる。さらに、複数の基部21の一部が、封止樹脂40から視認できる。
【0063】
最後に、
図26に示すように、複数の第1端子51の各々の一部と、複数の基部21の各々の一部とを個別に覆う複数の第2端子52を形成する。複数の第2端子52は、無電解めっきにより形成される。以上の工程を経ることにより、半導体装置A10が製造される。
【0064】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0065】
半導体装置A10においては、絶縁層10の複数の貫通部11に対して個別に収容された複数の第1端子51と、複数の第1端子51に導通する配線層20と、複数の第1端子51の各々の一部を個別に覆う複数の第2端子52とを備える。配線層20は、複数の第1端子51に接し、かつ絶縁層10の裏面102から厚さ方向zに離れて位置する下地層20Aを含む。複数の貫通部11の各々は、裏面102につながり、かつ当該貫通部11の形状を規定する規定面111を有する。複数の貫通部11の規定面111の各々は、裏面102から厚さ方向zに立ち上がる第1部111Aを有する。複数の第1端子51の各々の一部が、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aに直接覆われている。これにより、半導体装置A10の製造過程において、
図24に示す剥離層802を除去する工程の際、下地層20A(
図24では下地層83A)へのエッチング液の到達が複数の導電層81により阻止される。複数の導電層81は、
図25に示す個片化の工程において複数の第1端子51となる要素である。したがって、半導体装置A10によれば、半導体装置A10の製造過程において、配線層20の侵食を抑止することが可能となる。
【0066】
複数の第1端子51の各々は、上面511および下面512につながる側面513を有する。複数の第1端子51の側面513の各々は、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aに接している。これにより、半導体装置A10の製造過程において、
図24に示す剥離層802を除去する工程の際、エッチング液の侵入は、複数の第1端子51の側面513の各々と、当該側面513に接する複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aとの境界で阻止されることとなる。
【0067】
複数の第1端子51による配線層20の侵食の抑止効果は、剥離層802の組成と、下地層20Aの組成とに、ともにチタンが含まれる場合においてより顕著となる。
【0068】
複数の第1端子51の側面513の各々は、複数の貫通部11の規定面111のいずれの第1部111Aに覆われていない露出部513Aを含む。露出部513Aは、複数の第1端子51のいずれかの下面512につながっている。一方、複数の第2端子52の各々は、底部521と、複数の第1端子51のいずれかの露出部513Aを覆う側部522とを有する。これにより、半導体装置A10をハンダにより配線基板に実装する際、当該ハンダが底部521のみならず側部522にも付着する。これにより、当該配線基板に対する半導体装置A10の実装強度を向上させることができる。
【0069】
配線層20は、複数の貫通部11に対して個別に収容された部分を含む複数の基部21を有する。複数の基部21の各々は、複数の第1端子51のいずれかの露出部513Aと面一である端面211を有する。複数の第2端子52の側部522の各々は、複数の基部21のいずれかの端面211を覆っている。これにより、複数の第2端子52の側部522の各々の厚さ方向zの寸法がより大となる。このため、半導体装置A10をハンダにより配線基板に実装する際、側部522に付着する当該ハンダの体積がより大となる。したがって、当該配線基板に対する半導体装置A10の実装強度をより向上させることができる。
【0070】
複数の第2端子52の組成は、ニッケルおよび金を含むことが好ましい。これにより、半導体装置A10をハンダにより配線基板に実装する際、当該ハンダの熱衝撃から配線層20および複数の第1端子51を保護しつつ、当該ハンダの濡れ性が良好なものとなる。複数の第2端子52の組成に、ニッケルおよび金を含むことに加え、パラジウムを含むことにより、当該ハンダの濡れ性がより良好なものとなる。
【0071】
半導体装置A10は、配線層20に搭載された複数の電子部品32をさらに備える。複数の電子部品32は、配線層20との導通が確保された状態で配線層20に接合されている。これにより、半導体素子31に入力される電気信号の電圧調整などを複数の電子部品32が担うことができる。したがって、半導体装置A10とともに配線基板に実装される電子部品の数を削減することができる。
【0072】
〔第2実施形態〕
図27~
図29に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。ここで、
図27は、先述した半導体装置A10にかかる
図9に対応する部分拡大平面図であり、配線層20および封止樹脂40を透過している。
【0073】
半導体装置A20においては、絶縁層10の複数の貫通部11の構成が、先述した半導体装置A10の当該構成と異なる。
【0074】
図28および
図29に示すように、半導体装置A20においては、複数の貫通部11の規定面111の各々は、第1部111A、第2部111Bおよび第3部111Cを有する。第2部111Bは、厚さ方向zにおいて絶縁層10の主面101と裏面102との間に位置する。第2部111Bは、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aから厚さ方向zに対して直交する方向に延びている。第3部111Cは、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第2部111Bと、主面101とにつながっている。第3部111Cは、凸状の曲面をなしている。
【0075】
図28および
図29に示すように、半導体装置A20においては、複数の第1端子51の各々の一部が、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aと、当該規定面111の第2部111Bとに直接覆われている。複数の第1端子51の側面513の各々は、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aに接している。あわせて、複数の第1端子51の上面511の各々は、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第2部111Bに接している。これにより、複数の第1端子51の上面511の各々は、当該第1端子51が収容された複数の貫通部11のいずれかの形状を規定する規定面111の第2部111Bおよび第3部111Cがなす絶縁層10の庇状の部分に接する構成となる。
【0076】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0077】
半導体装置A20においては、絶縁層10の複数の貫通部11に対して個別に収容された複数の第1端子51と、複数の第1端子51に導通する配線層20と、複数の第1端子51の各々の一部を個別に覆う複数の第2端子52とを備える。配線層20は、複数の第1端子51に接し、かつ絶縁層10の裏面102から厚さ方向zに離れて位置する下地層20Aを含む。複数の貫通部11の各々は、裏面102につながり、かつ当該貫通部11の形状を規定する規定面111を有する。複数の貫通部11の規定面111の各々は、裏面102から厚さ方向zに立ち上がる第1部111Aを有する。複数の第1端子51の各々の一部が、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aに直接覆われている。したがって、半導体装置A20によっても、半導体装置A20の製造過程において、配線層20の侵食を抑止することが可能となる。
【0078】
半導体装置A20においては、複数の貫通部11の規定面111の各々は、厚さ方向zにおいて絶縁層10の主面101と裏面102との間に位置する第2部111Bを有する。第2部111Bは、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aから厚さ方向zに対して直交する方向に延びている。複数の第1端子51の各々の一部が、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aと、当該規定面111の第2部111Bとに直接覆われている。これにより、半導体装置A20の製造過程において、
図24に示す剥離層802を除去する工程の際、下地層20Aへのエッチング液の到達が複数の第1端子51によって、半導体装置A10の場合よりも強固に阻止される。
【0079】
半導体装置A20においては、複数の第1端子51の側面513の各々は、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第1部111Aに接している。あわせて、複数の第1端子51の上面511の各々は、複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第2部111Bに接している。これにより、半導体装置A20の製造過程において、
図24に示す剥離層802を除去する工程の際、エッチング液の侵入は、複数の第1端子51の上面511の各々と、当該上面511に接する複数の貫通部11の規定面111のいずれかの第2部111Bとの境界でも阻止されることとなる。したがって、半導体装置A20による下地層20Aへのエッチング液の到達阻止効果は、半導体装置A10の場合よりもさらに向上する。
【0080】
本発明は、先述した半導体装置A10および半導体装置A20に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0081】
A10,A20:半導体装置
10:絶縁層
101:主面
102:裏面
11:貫通部
111:規定面
111A:第1部
111B:第2部
111C:第3部
20:配線層
20A:下地層
20B:本体層
21:基部
211:端面
22:本体部
23:バンプ部
231:第1バンプ部
232:第2バンプ部
31:半導体素子
311:パッド
32:電子部品
321:電極
39:接合層
391:第1接合層
392:第2接合層
40:封止樹脂
51:第1端子
511:上面
512:下面
513:側面
513A:露出部
52:第2端子
521:底部
522:側部
80:基材
801:仮固定層
802:剥離層
81:導電層
82:絶縁層
821:貫通部
83:配線層
83A:下地層
83B:本体層
83C:バンプ層
84:封止樹脂
85:テープ
G:溝
z:厚さ方向
x:第1方向
y:第2方向