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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】絞り調整装置、レンズ鏡筒及び光学機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/02 20210101AFI20231109BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20231109BHJP
   H04N 23/75 20230101ALI20231109BHJP
【FI】
G03B9/02 B
H04N23/55
H04N23/75
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019154634
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021033126
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】澤木 亮二
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-191772(JP,A)
【文献】特開平08-166529(JP,A)
【文献】特開2015-161691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 9/02
H04N 23/55
H04N 23/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトを有する駆動ユニットと、
前記駆動ユニットのシャフトが回転することにより開閉駆動される絞り羽根と、
前記絞り羽根及び前記駆動ユニットを支持する支持部材と、を有する絞り調整装置であって、
前記支持部材に対する前記駆動ユニットの取り付け位置を調整するための取付位置調整機構を有し、
当該取付位置調整機構は、
前記支持部材に対して回転軸を中心として回転可能に設けられ、前記回転軸からずれた位置に保持部を有する偏心部材と、
固定部材と、を有し、
前記駆動ユニットが前記保持部に保持されており、
前記偏心部材は、前記駆動ユニットとは別体として設けられ、前記偏心部材は前記駆動ユニットとは独立して回転可能であり、
前記偏心部材を回転させて前記取り付け位置を調整した前記駆動ユニットを前記支持部材に前記固定部材により固定することができるように構成されている、ことを特徴とする、絞り調整装置。
【請求項2】
前記偏心部材には、前記回転軸と前記保持部との位置関係に対応付けられた目印が形成されている、
請求項1に記載の絞り調整装置。
【請求項3】
前記目印は切り欠き部からなる、
請求項2に記載の絞り調整装置。
【請求項4】
組立状態において、前記目印は外部に露出している、
請求項2又は3に記載の絞り調整装置。
【請求項5】
前記駆動ユニットに取り付けられたフランジを有し、
前記フランジは、前記フランジに形成された固定穴を挿通する固定部材により、前記支持部材に固定することができ、
前記固定穴の直径は前記固定部材の直径よりも大きい、
請求項1~4の何れか1項に記載の絞り調整装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の絞り調整装置を備えたレンズ鏡筒。
【請求項7】
請求項1~5の何れか1項に記載の絞り調整装置を備えた光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絞り調整装置、レンズ鏡筒及び光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カメラのレンズ鏡筒などに組み込まれる絞り調整装置として、モータのシャフトにギヤを取り付け、ギヤの回転運動により複数の絞り羽根を開閉駆動する絞り調整装置が用いられている。
【0003】
このような絞り調整装置では、ギヤの取り付け位置の精度を厳密にする必要がある。このため、例えば、特許文献1には、ビス止め部が形成されたフランジをモータに固定しておき、フランジのビス止め部以外の箇所に形成された当接部を腕部により押える構成とし、モータの回転調整を可能とした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-191772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、駆動ユニットの組み立て精度等によりギヤのかみ合わせの精度が悪いと、絞り羽根を開閉駆動するためのトルクが異なってしまったり、異音が発生する原因となってしまったりする。しかしながら、特許文献1に記載された発明では、モータの回転調整をすることは可能であるものの、ギヤの位置を調整することはできず、ギヤのかみ合わせの調整を行うことができない。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、駆動ユニットの位置調整が可能な絞り調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シャフトを有する駆動ユニットと、駆動ユニットのシャフトが回転することにより開閉駆動される絞り羽根と、絞り羽根及び駆動ユニットを支持する支持部材と、を有する絞り調整装置であって、支持部材に対して回転軸を中心として回転可能に設けられ、回転軸からずれた位置に保持部を有する偏心部材を有し、駆動ユニットが保持部に保持されている、ことを特徴とする。
【0008】
上記構成の本発明によれば、駆動ユニットが偏心部材の保持部により保持されているため、偏心部材を回転させることにより駆動ユニットのシャフトの位置を変更することができ、ギヤのかみ合わせの調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、駆動ユニットの位置調整が可能な絞り調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態による絞り調整装置を有する光学機器を示す概略図である。
図2図1に示す光学機器の絞り調整装置を示す斜視図である。
図3図1に示す光学機器の絞り調整装置を示す斜視分解図である。
図4図1に示す光学機器の絞り調整装置を示す被写体側から見た図である。
図5図1に示す光学機器の絞り調整装置を示すカム座をはずした状態の被写体側から見た図である。
図6図1に示す光学機器の絞り調整装置を示す光軸に沿った断面図である。
図7図6におけるA部拡大図である。
図8図4におけるB部拡大図である。
図9A図2に示す絞り調整機構の偏心板を示す結像側から見た斜視図である。
図9B図2に示す絞り調整機構の偏心板を示す被写体側から見た斜視図である。
図9C図2に示す絞り調整機構の偏心板を示す被写体側から見た斜視図である。
図10A図2に示す絞り調整機構のC部の拡大平面図である。
図10B図2に示す絞り調整機構の固定ねじを取り外した状態のC部の拡大平面図である。
図10C図2に示す絞り調整機構の駆動ユニット及びフランジを取り外した状態のC部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態による絞り調整装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による絞り調整装置を有する光学機器を示す概略図である。光学機器1は、例えば、カメラであり、カメラ本体2と、カメラ本体2に取り付けられたレンズ鏡筒4とを備える。カメラ本体2は、例えばCMOSなどのイメージセンサ2Aと、例えば集積回路からなる制御部2Bを含む。レンズ鏡筒4は、絞り調整装置6を有する。レンズ鏡筒4を通った光がカメラ本体2のイメージセンサ2Aにより撮影される。絞り調整装置6は、カメラ本体2の制御部2Bに接続されており、イメージセンサ2Aに入射する光の強度に応じて絞り調整装置6を駆動し、絞り調整装置6を通過する光量を調整する。なお、以下の説明では、レンズ鏡筒4の光軸に垂直な面内において、光軸から離間する方向を半径方向外方という。
【0012】
図2図8は、図1に示す光学機器の絞り調整装置を示し、図2は斜視図、図3は斜視分解図、図4は被写体側から見た図、図5はカム座をはずした状態の被写体側から見た図、図6は光軸に沿った断面図、図7図6におけるA部拡大図、図8図4におけるB部拡大図である。図2図8に示すように、絞り調整装置6は、絞り機構部10と、駆動部20と、フレキシブル基板30と、を備える。なお、図2、3、6、7における下方が被写体側であり、上方が結像側である。
【0013】
絞り機構部10は、絞り地板12と、カム座14と、複数の絞り羽根16と、動輪18と、を備える。絞り地板12とカム座14とにより形成される内部空間内に絞り羽根16と、動輪18とが支持される。また、後述するように絞り地板12の台座部12Dに駆動ユニット22が支持される。すなわち、絞り地板12とカム座14が絞り羽根16及び駆動ユニット22を支持する支持部材として機能する。
【0014】
絞り地板12は、円環状の略平坦な円環部12Aと、円環部12Aの外周に沿って結像側に向かって立設された環状壁12Bと、環状壁12Bの縁から半径方向外方に延びる円環状の縁部12Cと、台座部12Dと、を有する。円環部12Aの中央には円形の開口が形成されている。また、台座部12Dは、円環部12Aに周方向に延びるように、結像側に向かって立設されている。台座部12Dには、円形の貫通穴12Fと、貫通穴12Fに隣接してねじ穴12Hとが形成されている。台座部12Dに相当する箇所の環状壁12Bは台座部12Dの形状に合わせて半径方向外方に突出している。台座部12Dに相当する箇所の環状壁12Bは、カム座14の円環部14Aの外周縁よりも半径方向外方に位置している。貫通穴12Fの内周面には中心に向かって突出する円環状の縮径部12Gが形成されている。貫通穴12F内には、後述する偏心板40が縮径部12G上に載置されている。縁部12Cの被写体側の面には、等しい角度間隔で半径方向外方に延びる凹部12Eが形成されている。凹部12Eは結像側に向かって凹んでおり、凹部12Eの深さは、カム座14の板厚と略等しい。絞り地板12は、例えば、樹脂からなり、円環部12Aと、環状壁12Bと、縁部12Cと、台座部12Dとは一体に形成されている。
【0015】
カム座14は、円環状の円環部14Aと、円環部14Aから光軸から離間する方向に延びる取付部14Bと、を有する。カム座14の円環部14Aの中央には、絞り地板12の円環部12Aの開口と等しい直径の開口が形成されている。円環部14Aには、周方向に対して半径方向に傾斜するような複数のカム溝14Cが、等しい角度間隔で形成されている。取付部14Bは、等しい角度間隔で設けられており、取付部14Bの半径方向外縁は、絞り地板12の縁部12Cの外周縁と同じ直径の円弧状になっている。カム座14は、例えば、樹脂からなり、円環部14Aと、取付部14Bとは一体に形成されている。
【0016】
絞り羽根16は、それぞれ例えば、樹脂材からなり、略円弧状の平板に形成されている。絞り羽根16の被写体側の面には円柱状の第1の突部16Aが立設され、結像側の面には、第1の突部16Aから離間した位置に円柱状の第2の突部16Bが立設されている。第1の突部16Aは、それぞれ、カム座14の対応するカム溝14C内に配置されている。
【0017】
動輪18は、円環状の円環部18Aと、円環部の外周部に周方向に所定の間隔にわたって形成されたギヤ部18Bとを備える。円環部18Aには、結像側の面に等しい角度間隔で複数の凹部(図示せず)が形成されている。動輪18は、絞り地板12の円環部12Aの被写体側に光軸方向に隣接し、絞り地板12の環状壁12Bにより包囲されるように配置されており、光軸を中心として回動可能に支持されている。円環部18Aの複数の凹部には、それぞれ、絞り羽根16の第2の突部16Bが入り込んでおり、絞り羽根16は動輪18に第2の突部16Bを中心に回動可能に支持されている。ギヤ部18Bは円弧状に形成されており、半径方向外方の面にギヤ歯が形成さている。カム座14は、取付部14Bが絞り地板12の凹部12E内に位置するように配置された状態でビス止めされている。動輪18及び絞り羽根16は、カム座14と絞り地板12とにより挟み込まれた状態で支持されている。
【0018】
絞り機構部10は、絞り地板12に対して動輪18が回転することにより、絞り羽根16が動輪とともに移動するとともに、絞り羽根16の第1の突部16Aがカム座14のカム溝14Cに沿って案内されることにより、絞り羽根16が第2の突部16Bを中心に回動する。これにより、各絞り羽根16の先端部が半径方向に進退し、絞り羽根16で囲まれる中心の開口の面積を変更して通過する光量を調整することができる。
【0019】
駆動部20は、駆動ユニット22と、フランジ24と、固定ねじ26と、を備える。駆動ユニット22は、例えば、モータからなり、モータ本体22Dとモータ本体22Dに対して回転駆動されるシャフト22Aとを有する。モータ本体22Dは、円柱状に突出する首部22D1を有し、シャフト22Aは首部22D1から延びている。シャフト22Aにはギヤ22Bが取り付けられている。また、駆動ユニット22は入力部22Cを有し、入力部22Cはフレキシブル基板30に接続される。駆動ユニット22は、フレキシブル基板30を介して入力部22Cに入力された電力に応じてシャフト22Aを回転駆動する。
【0020】
フランジ24は板状の部材であり、円形の固定穴24A(図7)と、貫通穴24Bとが形成されている。固定穴24Aの直径は、駆動ユニット22の首部22D1の直径と等しい。また、貫通穴24Bの直径は、固定ねじ26の直径よりも大きい。フランジ24は、固定穴24Aに駆動ユニット22の首部22D1が挿入された状態で、駆動ユニット22と一体になっている。
【0021】
図9A図9Cは、図2に示す絞り調整機構の偏心板を示し、図9Aは結像側から見た斜視図、図9Bは被写体側から見た斜視図、図9Cは結像側から見た平面図である。図9A及び図9Bに示すように、偏心板(偏心部材)40は、外周が円形の基部42と、基部42から被写体側(裏面側)に突出する外周が円形の突出部44とを有する。基部42の外周形状と、突出部44の外周形状とは同心の円形になっている。また、偏心板40には表裏面を貫通する円形の保持穴(保持部)46が形成されている。保持穴46の中心軸は、基部42及び突出部44の中心軸(回転軸)に対してずれている(離間している)。これにより、図9Cに示すように、基部42の幅は部位によって異なっており、図9Cにおける12時の角度における幅D1が最小となり、6時の角度における幅D3で最大となり、3時の角度における幅D2は、D1以上、D2以下となっている。また、基部42の表面には、図9Cにおける12時、3時、9時の角度に、それぞれ半径方向に延びる第1の切り欠き部42Aが形成されている。すなわち、3つの第1の切り欠き部42Aのうちの中央の第1の切り欠き部42Aの箇所において、基部42の幅が最小になっており、基部42の中心軸と保持穴46との位置関係に対応づけられた目印として機能する。また、図9Bに示すように、突出部44の裏面には等しい角度間隔で第2の切り欠き部44Aが形成されている。突出部44の裏面に形成された第2の切り欠き部44Aは、それぞれ異なる形状になっている。3つの第2の切り欠き部44Aのうちの一つの第2の切り欠き部44Aは、基部42の幅が最小になっている箇所に形成されている。すなわち、第2の切り欠き部44Aは、基部42の中心軸と保持穴46との位置関係に対応づけられた目印として機能する。
【0022】
図10Aは、図2に示す絞り調整機構のC部を拡大して示す平面図であり、図10Bは固定ねじを取り外した状態を、図10Cはさらに駆動ユニット及びフランジを取り外した状態を示す。本実施形態の駆動ユニットは以下のように固定されている。図10Cに示すように、絞り地板12の台座部12Dに形成された貫通穴12Fに偏心板40が嵌め込まれている。この際、縮径部12Gと当接するように基部42が貫通穴12F内に位置するとともに、縮径部12Gの内側に突出部44が位置するように、偏心板40は配置されている。これにより偏心板40は、貫通穴12F内で基部42の中心軸周りに絞り地板12に対して回動することができる。
【0023】
図10A及び図10Bに示すように、駆動ユニット22は、偏心板40の保持穴46に駆動ユニット22の首部22D1が挿入され、偏心板40により保持される。そして、フランジ24の貫通穴24Bに固定ねじ26が挿通され、固定ねじ26が絞り地板12のねじ穴12Hに締め込まれる。これにより、フランジ24が固定ねじ26により固定され、駆動ユニット22が固定される。このように駆動ユニット22は固定された状態で、駆動ユニット22のシャフト22Aに取り付けられたギヤ22Bの光軸側の部分と、動輪18のギヤ部18Bとがかみ合っている。そして、駆動ユニット22のシャフト22Aが回動すると動輪18が回動し、絞り羽根16が中心の開口の面積を変更して光量が調整される。なお、このように駆動ユニット22を固定した状態(組立状態)において、図8に示すように、貫通穴12F及び貫通穴12Fに取り付けられた偏心板40は、カム座14と絞り地板12との間の隙間から対物側に露出している。
【0024】
ここで、駆動ユニット22のギヤ22Bと、動輪18のギヤ部18Bとのかみ合わせが浅すぎてノイズが発生する場合や、かみ合わせが深すぎて駆動トルクが大きい場合には、以下に説明するように駆動ユニット22のシャフト22Aの位置を調整して、かみ合わせを調整する。
【0025】
まず、絞り調整装置6の結像側からギヤのかみ合わせを調整する方法を説明する。結像側からギヤのかみ合わせを調整する場合には、まず、図10Bに示すように固定ねじ26を取り外し、次に、図10Cに示すように駆動ユニット22及びフランジ24を取り外す。これにより、偏心板40が露出する。この状態で、偏心板40の基部42に形成された第1の切り欠き部42Aに冶具を差し込み、偏心板40を貫通穴12F内で回転させる。この際、3つの第1の切り欠き部42Aの位置関係に基づき、基部42の幅を認知することができる。偏心板40の保持穴46の中心の位置が基部42及び突出部44の中心軸に対して偏心しているため、偏心板40を回転させることにより、保持穴46の位置を半径方向に近接又は離間させることができる。そして、偏心板40を回転させて保持穴46の位置を調整した後、再び保持穴46に駆動ユニットの首部22D1を挿入し、フランジ24の貫通穴24Bに固定ねじ26を挿通させる。そして、固定ねじ26を絞り地板12のねじ穴12Hに締め込む。これにより、ギヤのかみ合わせの調整が完了する。
【0026】
また、絞り調整装置6の被写体側からギヤのかみ合わせを調整することも可能である。被写体側からギヤのかみ合わせを調整する場合には、まず、駆動ユニット22及びフランジ24が移動可能になる程度まで固定ねじ26を緩める。そして、図8に示すように、偏心板40が被写体側に露出している部分から、冶具を用いて偏心板40を貫通穴12F内で回転させる。この際、第2の切り欠き部44Aの形状に基づき、基部42の幅を認知することができるとともに、第2の切り欠き部44Aに冶具を挿入して偏心板40を回転させることができる。偏心板40の保持穴46の中心の位置が、基部42及び突出部44の中心軸に対して偏心しているため、偏心板40を回転させることにより、保持穴46の位置を光軸に向かって近接又は離間させることができる。そして、偏心板40を回転させて保持穴46の位置を調整した後、固定ねじ26を絞り地板12のねじ穴12Hに締め込み、駆動ユニット22及びフランジを固定する。これにより、ギヤのかみ合わせの調整が完了する。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、絞り調整装置6は、絞り地板12に対して回転軸を中心として回転可能に設けられ、回転軸からずれた位置に保持穴46を有する偏心板40を有し、駆動ユニット22の首部22D1が保持穴46に保持されている。これにより、偏心板40を回転させることにより駆動ユニット22のシャフト22Aの位置を変更することができ、ギヤのかみ合わせの調整を行うことができる。
【0028】
また、本実施形態では、偏心板40には、回転軸と保持穴46との位置関係に対応付けられた第1の切り欠き部42A及び第2の切り欠き部44Aが形成されている。これにより、偏心板40をどのように回転させれば、駆動ユニット22を所望の位置に配置できるかを容易に認知することができる。
【0029】
また、本実施形態では、回転軸と保持穴46との位置関係に対応付けられた目印が第1の切り欠き部42A及び第2の切り欠き部44Aからなるため、これら第1の切り欠き部42A及び第2の切り欠き部44Aに冶具を挿入して偏心板40を回転させることができる。
【0030】
また、本実施形態では、組立状態において、第2の切り欠き部44Aが外部に露出している。これにより、絞り調整装置6を分解することなく、駆動ユニット22の位置を調整することができる。
【0031】
また、本実施形態では、駆動ユニット22に取り付けられたフランジ24を有し、フランジ24は、フランジ24に形成された固定穴24Aを挿通する固定ねじ26により、絞り地板12に固定することができ、固定穴24Aの直径は固定ねじ26の直径よりも大きい。これにより、駆動ユニット22を完全に取り外すことなく、駆動ユニット22の位置を調整することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 光学機器
2 カメラ本体
2A イメージセンサ
2B 制御部
4 レンズ鏡筒
6 絞り調整装置
10 絞り機構部
12 絞り地板
12A 円環部
12B 環状壁
12C 縁部
12D 台座部
12E 凹部
12F 貫通穴
12G 縮径部
12H ねじ穴
14 カム座
14A 円環部
14B 取付部
14C カム溝
16 絞り羽根
16A 第1の突部
16B 第2の突部
18 動輪
18A 円環部
18B ギヤ部
20 駆動部
22 駆動ユニット
22A シャフト
22B ギヤ
22C 入力部
22D モータ本体
22D1 首部
24 フランジ
24A 固定穴
24B 貫通穴
26 固定ねじ
30 フレキシブル基板
40 偏心板
42 基部
42A 第1の切り欠き部
44 突出部
44A 第2の切り欠き部
46 保持穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C