(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】燃料電池システム、制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04746 20160101AFI20231109BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20231109BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20231109BHJP
H01M 8/04089 20160101ALI20231109BHJP
B60L 58/33 20190101ALN20231109BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/0432
H01M8/0438
H01M8/04089
B60L58/33
(21)【出願番号】P 2019162969
(22)【出願日】2019-09-06
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】種岡 秀之
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-117220(JP,A)
【文献】国際公開第2016/013333(WO,A1)
【文献】特開2004-193042(JP,A)
【文献】国際公開第2017/158939(WO,A1)
【文献】特開2006-244758(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0122004(US,A1)
【文献】特開2010-073343(JP,A)
【文献】特開2014-086131(JP,A)
【文献】特開2008-226523(JP,A)
【文献】特開2006-185617(JP,A)
【文献】特開2014-127451(JP,A)
【文献】特開2003-031251(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031470(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 - 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、
隣り合う前記膜電極接合体の間に設けられ、前記膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、
を有する燃料電池と、
前記冷媒流路と接続され、前記冷媒が循環する循環路と、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路に向けて前記冷媒を送出するポンプと、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記ポンプおよび前記圧力調整弁の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記燃料電池の温度に基づいて、前記ポンプの回転数を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を制御し、
前記燃料電池の温度と前記燃料電池に送られる前記冷媒の温度との差が小さいほど、前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を大きくし、
前記ガス流路内の前記ガスの圧力に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を制御する、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を、前記ガス流路内の前記ガスの圧力に近づくように制御する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記セパレータには、前記ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路および空気が流通する空気流路が形成されており、
前記空気流路には、過給機により吸引された前記空気が供給される、
請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記水素流路内の前記水素ガスの圧力は、前記空気流路内の前記空気の圧力に近づくように制御され、
前記制御装置は、前記空気流路内の前記空気の圧力の目標値に相当する目標過給圧に基づいて、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を制御する、
請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記燃料電池の温度が目標温度に対して高い場合に、前記燃料電池の温度と前記目標温度との差が大きいほど、前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を大きくする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、
隣り合う前記膜電極接合体の間に設けられ、前記膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、
を有する燃料電池と、
前記冷媒流路と接続され、前記冷媒が循環する循環路と、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路に向けて前記冷媒を送出するポンプと、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、
前記ポンプおよび前記圧力調整弁の動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記セパレータには、前記ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路および空気が流通する空気流路が形成されており、
前記空気流路には、過給機により吸引された前記空気が供給され、
前記空気流路内の前記空気の圧力が当該圧力の目標値に相当する目標過給圧になるように前記過給機が駆動され、
前記水素流路内の前記水素ガスの圧力は、前記空気流路内の前記空気の圧力に近づくように制御され、
前記水素流路内の前記水素ガスの圧力、および、前記空気流路内の前記空気の圧力は、前記目標過給圧に追従して変化し、
前記制御装置は、
前記燃料電池の温度に基づいて、前記ポンプの回転数を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を制御し、
前記ガス流路内の前記ガスの圧力に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を制御
し、
前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力の目標値に相当する目標水圧を前記目標過給圧と一致するように決定し、
前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を前記目標水圧に制御する、
燃料電池システム。
【請求項7】
電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、
隣り合う前記膜電極接合体の間に設けられ、前記膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、
を有する燃料電池と、
前記冷媒流路と接続され、前記冷媒が循環する循環路と、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路に向けて前記冷媒を送出するポンプと、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、
を備える燃料電池システムの制御装置であって、
前記ポンプおよび前記圧力調整弁の動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、
前記燃料電池の温度に基づいて、前記ポンプの回転数を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を制御し、
前記燃料電池の温度と前記燃料電池に送られる前記冷媒の温度との差が小さいほど、前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を大きくし、
前記ガス流路内の前記ガスの圧力に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を制御する、
制御装置。
【請求項8】
電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、
隣り合う前記膜電極接合体の間に設けられ、前記膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、
を有する燃料電池と、
前記冷媒流路と接続され、前記冷媒が循環する循環路と、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路に向けて前記冷媒を送出するポンプと、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、
を備える燃料電池システムの制御装置であって、
前記ポンプおよび前記圧力調整弁の動作を制御する制御部を有し、
前記セパレータには、前記ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路および空気が流通する空気流路が形成されており、
前記空気流路には、過給機により吸引された前記空気が供給され、
前記空気流路内の前記空気の圧力が当該圧力の目標値に相当する目標過給圧になるように前記過給機が駆動され、
前記水素流路内の前記水素ガスの圧力は、前記空気流路内の前記空気の圧力に近づくように制御され、
前記水素流路内の前記水素ガスの圧力、および、前記空気流路内の前記空気の圧力は、前記目標過給圧に追従して変化し、
前記制御部は、
前記燃料電池の温度に基づいて、前記ポンプの回転数を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を制御し、
前記ガス流路内の前記ガスの圧力に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を制御
し、
前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力の目標値に相当する目標水圧を前記目標過給圧と一致するように決定し、
前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を前記目標水圧に制御する、
制御装置。
【請求項9】
電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、
隣り合う前記膜電極接合体の間に設けられ、前記膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、
を有する燃料電池と、
前記冷媒流路と接続され、前記冷媒が循環する循環路と、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路に向けて前記冷媒を送出するポンプと、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、
を備える燃料電池システムの制御方法であって、
制御装置が、前記燃料電池の温度に基づいて、前記ポンプの回転数を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を制御するステップと、
前記制御装置が、前記ガス流路内の前記ガスの圧力に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を制御するステップと、
を含
み、
前記冷媒の流量を制御するステップにおいて、前記制御装置が、前記燃料電池の温度と前記燃料電池に送られる前記冷媒の温度との差が小さいほど、前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を大きくする、
制御方法。
【請求項10】
電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、
隣り合う前記膜電極接合体の間に設けられ、前記膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、
を有する燃料電池と、
前記冷媒流路と接続され、前記冷媒が循環する循環路と、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路に向けて前記冷媒を送出するポンプと、
前記循環路に設けられ、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、
を備える燃料電池システムの制御方法であって、
前記セパレータには、前記ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路および空気が流通する空気流路が形成されており、
前記空気流路には、過給機により吸引された前記空気が供給され、
前記空気流路内の前記空気の圧力が当該圧力の目標値に相当する目標過給圧になるように前記過給機が駆動され、
前記水素流路内の前記水素ガスの圧力は、前記空気流路内の前記空気の圧力に近づくように制御され、
前記水素流路内の前記水素ガスの圧力、および、前記空気流路内の前記空気の圧力は、前記目標過給圧に追従して変化し、
制御装置が、前記燃料電池の温度に基づいて、前記ポンプの回転数を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の流量を制御するステップと、
前記制御装置が、前記ガス流路内の前記ガスの圧力に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御することにより前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を制御するステップと、
前記制御装置が、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力の目標値に相当する目標水圧を前記目標過給圧と一致するように決定するステップと、
前記制御装置が、前記冷媒流路内の前記冷媒の圧力を前記目標水圧に制御するステップと、
を含む、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池を種々の装置の電力源として利用する技術の開発が進められている。燃料電池では、電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む複数の膜電極接合体が積層されており、アノード電極に燃料ガス(具体的には、水素ガス)が供給され、カソード電極に酸化ガス(具体的には、空気)が供給されることによって発電が行われる。
【0003】
ここで、隣り合う膜電極接合体の間には、セパレータが設けられている。セパレータには、膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路(具体的には、水素ガスが流通する水素流路と空気が流通する空気流路)および冷媒が流通する冷媒流路が形成されている。冷媒流路は、冷媒が循環する循環路と接続されており、循環路に設けられるポンプにより冷媒流路内の冷媒の流量が制御されることによって、燃料電池の温度が制御される(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、セパレータには、上記のようにガス流路および冷媒流路が形成されているので、ガス流路内のガスと冷媒流路内の冷媒との間での圧力差に起因して応力が生じる。このようにセパレータに生じる応力からセパレータを保護する(つまり、セパレータの破損を抑制する)観点では、ガス流路内のガスと冷媒流路内の冷媒との間での圧力差を抑制することが好ましい。ここで、冷媒の循環路に設けられるポンプを用いて冷媒流路内の冷媒の流量を制御することにより冷媒流路内の冷媒の圧力を制御することによって、上記圧力差を抑制する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、ガス流路内のガスの圧力の変化に伴って冷媒流路内の冷媒の流量が変化してしまうので、燃料電池の温度を適切に制御することが困難となる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、燃料電池におけるセパレータの保護および燃料電池の温度の適正化を両立することが可能な燃料電池システム、制御装置および制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両の燃料電池システムは、電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、隣り合う膜電極接合体の間に設けられ、膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、を有する燃料電池と、冷媒流路と接続され、冷媒が循環する循環路と、循環路に設けられ、冷媒流路に向けて冷媒を送出するポンプと、循環路に設けられ、冷媒流路内の冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、ポンプおよび圧力調整弁の動作を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、燃料電池の温度に基づいて、ポンプの回転数を制御することにより冷媒流路内の冷媒の流量を制御し、燃料電池の温度と燃料電池に送られる冷媒の温度との差が小さいほど、冷媒流路内の冷媒の流量を大きくし、ガス流路内のガスの圧力に基づいて、圧力調整弁の開度を制御することにより冷媒流路内の冷媒の圧力を制御する。
【0008】
制御装置は、冷媒流路内の冷媒の圧力を、ガス流路内のガスの圧力に近づくように制御してもよい。
【0009】
セパレータには、ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路および空気が流通する空気流路が形成されており、空気流路には、過給機により吸引された空気が供給されてもよい。
【0010】
水素流路内の水素ガスの圧力は、空気流路内の空気の圧力に近づくように制御され、制御装置は、空気流路内の空気の圧力の目標値に相当する目標過給圧に基づいて、冷媒流路内の冷媒の圧力を制御してもよい。
【0011】
制御装置は、燃料電池の温度が目標温度に対して高い場合に、燃料電池の温度と目標温度との差が大きいほど、冷媒流路内の冷媒の流量を大きくしてもよい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の車両の燃料電池システムは、電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、隣り合う膜電極接合体の間に設けられ、膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、を有する燃料電池と、冷媒流路と接続され、冷媒が循環する循環路と、循環路に設けられ、冷媒流路に向けて冷媒を送出するポンプと、循環路に設けられ、冷媒流路内の冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、ポンプおよび圧力調整弁の動作を制御する制御装置と、を備え、セパレータには、ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路および空気が流通する空気流路が形成されており、空気流路には、過給機により吸引された空気が供給され、空気流路内の空気の圧力が当該圧力の目標値に相当する目標過給圧になるように過給機が駆動され、水素流路内の水素ガスの圧力は、空気流路内の空気の圧力に近づくように制御され、水素流路内の水素ガスの圧力、および、空気流路内の空気の圧力は、目標過給圧に追従して変化し、制御装置は、燃料電池の温度に基づいて、ポンプの回転数を制御することにより冷媒流路内の冷媒の流量を制御し、ガス流路内のガスの圧力に基づいて、圧力調整弁の開度を制御することにより冷媒流路内の冷媒の圧力を制御し、冷媒流路内の冷媒の圧力の目標値に相当する目標水圧を目標過給圧と一致するように決定し、冷媒流路内の冷媒の圧力を目標水圧に制御する。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の制御装置は、電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、隣り合う膜電極接合体の間に設けられ、膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、を有する燃料電池と、冷媒流路と接続され、冷媒が循環する循環路と、循環路に設けられ、冷媒流路に向けて冷媒を送出するポンプと、循環路に設けられ、冷媒流路内の冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、を備える燃料電池システムの制御装置であって、ポンプおよび圧力調整弁の動作を制御する制御部を有し、制御部は、燃料電池の温度に基づいて、ポンプの回転数を制御することにより冷媒流路内の冷媒の流量を制御し、燃料電池の温度と燃料電池に送られる冷媒の温度との差が小さいほど、冷媒流路内の冷媒の流量を大きくし、ガス流路内のガスの圧力に基づいて、圧力調整弁の開度を制御することにより冷媒流路内の冷媒の圧力を制御する。
上記課題を解決するために、本発明の制御装置は、電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、隣り合う膜電極接合体の間に設けられ、膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、を有する燃料電池と、冷媒流路と接続され、冷媒が循環する循環路と、循環路に設けられ、冷媒流路に向けて冷媒を送出するポンプと、循環路に設けられ、冷媒流路内の冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、を備える燃料電池システムの制御装置であって、ポンプおよび圧力調整弁の動作を制御する制御部を有し、セパレータには、ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路および空気が流通する空気流路が形成されており、空気流路には、過給機により吸引された空気が供給され、空気流路内の空気の圧力が当該圧力の目標値に相当する目標過給圧になるように過給機が駆動され、水素流路内の水素ガスの圧力は、空気流路内の空気の圧力に近づくように制御され、水素流路内の水素ガスの圧力、および、空気流路内の前記空気の圧力は、目標過給圧に追従して変化し、制御部は、燃料電池の温度に基づいて、ポンプの回転数を制御することにより冷媒流路内の冷媒の流量を制御し、ガス流路内のガスの圧力に基づいて、圧力調整弁の開度を制御することにより冷媒流路内の冷媒の圧力を制御し、冷媒流路内の冷媒の圧力の目標値に相当する目標水圧を目標過給圧と一致するように決定し、冷媒流路内の冷媒の圧力を目標水圧に制御する。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の制御方法は、電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、隣り合う膜電極接合体の間に設けられ、膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、を有する燃料電池と、冷媒流路と接続され、冷媒が循環する循環路と、循環路に設けられ、冷媒流路に向けて冷媒を送出するポンプと、循環路に設けられ、冷媒流路内の冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、を備える燃料電池システムの制御方法であって、制御装置が、燃料電池の温度に基づいて、ポンプの回転数を制御することにより冷媒流路内の冷媒の流量を制御するステップと、制御装置が、ガス流路内のガスの圧力に基づいて、圧力調整弁の開度を制御することにより冷媒流路内の冷媒の圧力を制御するステップと、を含み、冷媒の流量を制御するステップにおいて、制御装置が、燃料電池の温度と燃料電池に送られる冷媒の温度との差が小さいほど、冷媒流路内の冷媒の流量を大きくする。
上記課題を解決するために、本発明の制御方法は、電解質膜、アノード電極およびカソード電極を含む積層された複数の膜電極接合体と、隣り合う膜電極接合体の間に設けられ、膜電極接合体に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒が流通する冷媒流路が形成されているセパレータと、を有する燃料電池と、冷媒流路と接続され、冷媒が循環する循環路と、循環路に設けられ、冷媒流路に向けて冷媒を送出するポンプと、循環路に設けられ、冷媒流路内の冷媒の圧力を調整する圧力調整弁と、を備える燃料電池システムの制御方法であって、セパレータには、ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路および空気が流通する空気流路が形成されており、空気流路には、過給機により吸引された空気が供給され、空気流路内の空気の圧力が当該圧力の目標値に相当する目標過給圧になるように過給機が駆動され、水素流路内の水素ガスの圧力は、空気流路内の空気の圧力に近づくように制御され、水素流路内の水素ガスの圧力、および、空気流路内の空気の圧力は、目標過給圧に追従して変化し、制御装置が、燃料電池の温度に基づいて、ポンプの回転数を制御することにより冷媒流路内の冷媒の流量を制御するステップと、制御装置が、ガス流路内のガスの圧力に基づいて、圧力調整弁の開度を制御することにより冷媒流路内の冷媒の圧力を制御するステップと、制御装置が、冷媒流路内の冷媒の圧力の目標値に相当する目標水圧を目標過給圧と一致するように決定するステップと、制御装置が、冷媒流路内の冷媒の圧力を目標水圧に制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃料電池におけるセパレータの保護および燃料電池の温度の適正化を両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る燃料電池の構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る制御装置が行うポンプの制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る目標流量の決定に用いられるマップの一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る目標回転数の決定に用いられるマップの一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る制御装置が行う圧力調整弁の制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態に係る目標水圧の決定に用いられるマップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
<燃料電池システムの構成>
図1~
図3を参照して、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1の構成について説明する。
【0019】
図1は、燃料電池システム1の概略構成を示す模式図である。
【0020】
燃料電池システム1は、燃料電池11を備えるシステムであり、具体的には、車両に搭載され、当該燃料電池11を車両の駆動用モータの電力源として利用するためのものである。なお、本発明に係る燃料電池システムは、車両以外の他の装置に搭載されてもよく、例えば、船舶等の車両以外の移動体に搭載されてもよく、建物における発電システムとして利用される定置式のものであってもよい。
【0021】
具体的には、燃料電池システム1は、
図1に示されるように、燃料電池11と、冷媒が循環する循環路12と、ポンプ13と、圧力調整弁14と、制御装置50とを備える。さらに、燃料電池システム1は、ラジエータ15と、入口水温センサ41と、出口水温センサ42と、水圧センサ43とを備える。
【0022】
燃料電池11は、燃料ガス(具体的には、水素ガス)と酸化ガス(具体的には、空気)とを反応させることにより発電する電池である。燃料電池システム1では、燃料電池11への水素ガスの供給は、燃料電池11と接続される水素ガス供給流路21および水素ガス排出流路22と、水素供給源25とによって実現される。また、燃料電池11への空気の供給は、燃料電池11と接続される空気供給流路31および空気排出流路32と、過給機35とによって実現される。
【0023】
【0024】
具体的には、燃料電池11は、
図2に示されるように、積層された複数の膜電極接合体110(MEA:Membrane Electrode Assembly)と、隣り合う膜電極接合体110の間に設けられるセパレータ120とを有する。つまり、燃料電池11において、膜電極接合体110とセパレータ120とが交互に積層されている。
【0025】
膜電極接合体110は、電解質膜111、アノード電極112およびカソード電極113を含む。詳細には、電解質膜111は、水素イオンを通過させる性質を有する膜である。アノード電極112およびカソード電極113は、電解質膜111を挟んで対向して配置されており、例えば、白金または白金を含有する合金がカーボン粒子上に担持されている触媒層を有する。アノード電極112は、発電時に電子を失う側の電極であり、カソード電極113は、発電時に電子を得る側の電極である。
【0026】
セパレータ120には、膜電極接合体110に供給されるガスが流通するガス流路および冷媒(具体的には、冷却水)が流通する冷媒流路133が形成されている。具体的には、セパレータ120には、ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路131および空気が流通する空気流路132が形成されている。
【0027】
具体的には、セパレータ120は、膜電極接合体110のアノード電極112と接するアノード側セパレータ121と、当該膜電極接合体110と隣り合う膜電極接合体110のカソード電極113と接するカソード側セパレータ122とを含む。
【0028】
アノード側セパレータ121およびカソード側セパレータ122は、例えば、ステンレスまたはチタン等の金属材料によって形成されている。具体的には、アノード側セパレータ121およびカソード側セパレータ122は、金属薄板(例えば、略0.1mm程度の厚さの金属薄板)をプレス加工することによって得られる。
【0029】
アノード側セパレータ121におけるアノード電極112と接する面には、アノード電極112に供給される水素ガスが流通する水素流路131が形成されている。具体的には、水素流路131は溝状であり、アノード側セパレータ121における水素流路131の経路は、特に限定されず、任意の位置で折れ曲がっていてもよく、分岐していてもよい。
図1に示されるように、水素流路131の一端に水素ガス供給流路21が接続されており、水素流路131の他端に水素ガス排出流路22が接続されている。水素供給源25は、水素ガス供給流路21に設けられている。水素供給源25から水素ガス供給流路21に送られた水素ガスは、水素ガス供給流路21を介して燃料電池11内の水素流路131に供給され、水素流路131を通った後に、水素ガス排出流路22を通って排出される。具体的には、燃料電池11内には、各膜電極接合体110に水素ガスが供給されるように、複数の水素流路131が形成されている。
【0030】
カソード側セパレータ122におけるカソード電極113と接する面には、カソード電極113に供給される空気が流通する空気流路132が形成されている。具体的には、空気流路132は溝状であり、カソード側セパレータ122における空気流路132の経路は、特に限定されず、任意の位置で折れ曲がっていてもよく、分岐していてもよい。
図1に示されるように、空気流路132の一端に空気供給流路31が接続されており、空気流路132の他端に空気排出流路32が接続されている。過給機35は、空気供給流路31に設けられている。過給機35により空気供給流路31に吸引された空気は、空気供給流路31を介して燃料電池11内の空気流路132に供給され、空気流路132を通った後に、空気排出流路32を通って排出される。具体的には、燃料電池11内には、各膜電極接合体110に空気が供給されるように、複数の空気流路132が形成されている。
【0031】
アノード側セパレータ121およびカソード側セパレータ122は、互いに貼り合わされており、隣り合うアノード側セパレータ121とカソード側セパレータ122との間に冷却水が流通する冷媒流路133が形成されている。具体的には、冷媒流路133は溝状であり、隣り合うアノード側セパレータ121とカソード側セパレータ122との間における冷媒流路133の経路は、特に限定されず、任意の位置で折れ曲がっていてもよく、分岐していてもよい。
図1に示されるように、冷媒流路133は、循環路12と接続されており、循環路12を循環する冷却水が冷媒流路133内を流通するようになっている。つまり、冷媒流路133は、循環路12と連通しており、冷却水の循環経路の一部を形成するものである。具体的には、燃料電池11内には、各セパレータ120に冷却水が供給されるように、複数の冷媒流路133が形成されている。
【0032】
循環路12、ポンプ13、圧力調整弁14およびラジエータ15は、冷却水により燃料電池11を冷却するために設けられている。なお、冷却水は本発明に係る冷媒の一例に過ぎず、循環路12を循環する冷媒として、冷却水以外の冷媒(例えば、フロンまたはアルコール等)が用いられてもよい。
【0033】
循環路12は、冷却水が循環する流路である。ポンプ13、圧力調整弁14およびラジエータ15の各装置は、循環路12に設けられており、循環路12を循環する冷却水が当該各装置内を流通するようになっている。
【0034】
ポンプ13は、燃料電池11の冷媒流路133に向けて冷却水を送出する。具体的には、ポンプ13は、循環路12における燃料電池11よりも上流側に設けられ、循環路12における当該ポンプ13よりも下流側に向けて冷却水を送出する。それにより、燃料電池11の冷媒流路133に向けて冷却水が送出される。制御装置50によりポンプ13の回転数が制御されることにより、燃料電池11の冷媒流路133内の冷却水の流量が制御される。
【0035】
圧力調整弁14は、燃料電池11の冷媒流路133内の冷却水の圧力を調整する。具体的には、圧力調整弁14は、循環路12における燃料電池11よりも下流側に設けられ、循環路12における当該圧力調整弁14よりも上流側の冷却水の圧力を調整する。それにより、燃料電池11の冷媒流路133内の冷却水の圧力が調整される。制御装置50により圧力調整弁14の開度が制御されることにより、燃料電池11の冷媒流路133内の冷却水の圧力が制御される。
【0036】
ラジエータ15は、循環路12を流通する冷却水の熱を放熱することにより、冷却水を冷却する。具体的には、ラジエータ15は、循環路12における圧力調整弁14よりも下流側、かつ、ポンプ13よりも上流側に設けられ、当該ラジエータ15内を流通する冷却水を冷却する。それにより、冷媒流路133内での燃料電池11との熱交換により暖められた冷却水は、ラジエータ15により冷却された後、ポンプ13に送られる。
【0037】
入口水温センサ41は、循環路12における燃料電池11よりも上流側の冷却水の温度である入口水温を検出し、検出結果を制御装置50に出力する。具体的には、入口水温センサ41は、循環路12における冷媒流路133の上流側端部(つまり、冷媒流路133の入口)の近傍に設けられ、設置箇所における冷却水の温度を入口水温として検出する。制御装置50が行う後述する処理では、入口水温は、燃料電池11に送られる冷却水の温度に相当する値として利用される。
【0038】
出口水温センサ42は、循環路12における燃料電池11よりも下流側の冷却水の温度である出口水温を検出し、検出結果を制御装置50に出力する。具体的には、出口水温センサ42は、循環路12における冷媒流路133の下流側端部(つまり、冷媒流路133の出口)の近傍に設けられ、設置箇所における冷却水の温度を出口水温として検出する。制御装置50が行う後述する処理では、出口水温は、燃料電池11の温度に相当する値として利用される。
【0039】
水圧センサ43は、循環路12における圧力調整弁14よりも上流側の冷却水の圧力を検出し、検出結果を制御装置50に出力する。具体的には、水圧センサ43は、循環路12における燃料電池11よりも下流側、かつ、圧力調整弁14よりも上流側に設けられ、設置箇所における冷却水の圧力を検出する。制御装置50が行う後述する処理では、水圧センサ43により検出される冷却水の圧力である検出水圧は、燃料電池11の冷媒流路133内の冷却水の圧力に相当する値として利用される。
【0040】
制御装置50は、燃料電池システム1における各装置の動作を制御する。
【0041】
例えば、制御装置50は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)およびCPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等で構成される。
【0042】
また、制御装置50は、燃料電池システム1における各装置と通信を行う。制御装置50と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。例えば、制御装置50は、ポンプ13、圧力調整弁14および燃料電池システム1における各センサと通信を行う。
【0043】
なお、本実施形態に係る制御装置50が有する機能は複数の制御装置により少なくとも部分的に分割されてもよく、複数の機能が1つの制御装置によって実現されてもよい。制御装置50が有する機能が複数の制御装置により少なくとも部分的に分割される場合、当該複数の制御装置は、CAN等の通信バスを介して、互いに接続されてもよい。
【0044】
図3は、制御装置50の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
制御装置50は、例えば、
図3に示されるように、取得部51と、制御部52とを有する。
【0046】
取得部51は、制御部52が行う処理において用いられる各種情報を取得する。また、取得部51は、取得した情報を制御部52へ出力する。例えば、取得部51は、燃料電池システム1における各センサと通信することによって、各センサから出力される検出結果を取得する。
【0047】
制御部52は、取得部51により取得された情報を用いて各処理を実行する。制御部52は、具体的には、ポンプ13および圧力調整弁14の動作を制御する。
【0048】
制御部52は、例えば、ポンプ制御部52aと、調整弁制御部52bとを備える。
【0049】
ポンプ制御部52aは、ポンプ13の動作を制御する。具体的には、ポンプ制御部52aは、ポンプ13の回転数を制御する。それにより、燃料電池11の冷媒流路133内の冷却水の流量が制御される。
【0050】
調整弁制御部52bは、圧力調整弁14の動作を制御する。具体的には、調整弁制御部52bは、圧力調整弁14の開度を制御する。それにより、燃料電池11の冷媒流路133内の冷却水の圧力が制御される。
【0051】
上記のように、制御装置50の制御部52は、ポンプ13および圧力調整弁14の動作を制御する。ここで、制御部52は、燃料電池11の温度に基づいて、ポンプ13の回転数を制御することにより冷媒流路133内の冷却水の流量を制御し、燃料電池11のガス流路内のガスの圧力に基づいて、圧力調整弁14の開度を制御することにより冷媒流路133内の冷却水の圧力を制御する。それにより、燃料電池11におけるセパレータ120の保護および燃料電池11の温度の適正化を両立することが可能となる。このような、制御装置50により行われるポンプ13および圧力調整弁14の制御に関する処理の詳細については、後述にて説明する。
【0052】
<燃料電池システムの動作>
続いて、
図4~
図8を参照して、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1の動作について説明する。
【0053】
上述したように、冷媒流路133内の冷却水の圧力を制御する方法として、ポンプ13を用いて冷媒流路133内の冷却水の流量を制御することにより冷媒流路133内の冷却水の圧力を制御する方法がある。しかしながら、この方法では、冷媒流路133内の冷却水の流量の制御(以下、流量制御とも呼ぶ)と、冷媒流路133内の冷却水の圧力の制御(以下、水圧制御とも呼ぶ)とを独立に行うことができないので、燃料電池11におけるセパレータ120の保護および燃料電池11の温度の適正化を両立することが困難となる場合がある。
【0054】
ここで、本実施形態に係る燃料電池システム1には、圧力調整弁14が設けられている。それにより、圧力調整弁14を用いて冷媒流路133内の冷却水の圧力を制御することができる。ゆえに、圧力調整弁14を用いた水圧制御とは独立して、ポンプ13を用いて流量制御を行うことができる。このように、燃料電池システム1では、ポンプ13の制御による流量制御と、圧力調整弁14の制御による水圧制御とを独立に行うことができる。
【0055】
以下では、燃料電池システム1の制御装置50が行うポンプ13の制御に関する処理と、圧力調整弁14の制御に関する処理とを順に説明する。
【0056】
[ポンプの制御]
まず、
図4~
図6を参照して、制御装置50が行うポンプ13の制御に関する処理について説明する。
【0057】
図4は、制御装置50が行うポンプ13の制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図4に示される制御フローは、繰り返し実行される。
【0058】
図4に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS501において、ポンプ制御部52aは、燃料電池11の温度の目標値である目標温度を決定する。
【0059】
例えば、ポンプ制御部52aは、燃料電池11の出力に基づいて、目標温度を決定する。具体的には、ポンプ制御部52aは、燃料電池11の発電効率ができるだけ高くなるように、燃料電池11の出力に基づいて目標温度を決定することが好ましい。制御装置50は、例えば、燃料電池11への空気および水素ガスの供給を制御する装置と通信することにより、燃料電池11の出力を示す情報を取得することができる。なお、燃料電池11への空気および水素ガスの供給の制御は、制御装置50により行われてもよい。
【0060】
次に、ステップS502において、ポンプ制御部52aは、冷媒流路133内の冷却水の流量の目標値である目標流量を決定する。
【0061】
例えば、ポンプ制御部52aは、出口水温および目標温度に基づいて、目標流量を決定する。以下、
図5に示されるマップM1を用いて目標流量が決定される例について説明する。
【0062】
図5は、目標流量の決定に用いられるマップM1の一例を示す図である。
【0063】
マップM1では、出口水温から目標温度を減算して得られる値「出口水温-目標温度」に対する目標流量の特性が特性線L11,L12,L13によって規定されている。なお、特性線L11,L12,L13は、後述するように、出口水温と入口水温との差に応じて使い分けられる。
【0064】
各特性線L11,L12,L13では、「出口水温-目標温度」が正である場合に、「出口水温-目標温度」が大きいほど、目標流量が大きくなっている。ここで、出口水温は、上述したように、燃料電池11の温度に相当する値である。つまり、ポンプ制御部52aは、燃料電池11の温度が目標温度に対して高い場合に、燃料電池11の温度と目標温度との差が大きいほど、目標流量を大きな値に決定する。それにより、燃料電池11の温度が目標温度に対して高い場合に、燃料電池11の温度と目標温度との差が大きいほど、冷媒流路133内の冷却水の流量を大きくすることができるので、冷媒流路133内の冷却水により燃料電池11を冷却する能力を増大させることができる。
【0065】
なお、各特性線L11,L12,L13では、「出口水温-目標温度」が負である場合に、目標流量は0ではなく、正の値となっている。つまり、ポンプ制御部52aは、燃料電池11の温度が目標温度に対して低い場合に、目標流量を0ではなく、正の値に決定する。それにより、燃料電池11の温度が目標温度に対して低い場合に、冷媒流路133内で冷却水が滞留することを抑制することができるので、冷却水の滞留により燃料電池11の温度分布にむらが生じることを抑制することができる。
【0066】
特性線L11では、「出口水温-目標温度」がいずれの値をとる場合においても、目標流量が特性線L12と比較して大きくなっている。また、特性線L12では、「出口水温-目標温度」がいずれの値をとる場合においても、目標流量が特性線L13と比較して大きくなっている。ポンプ制御部52aは、出口水温と入口水温との差が小さくなるにつれて、目標流量の決定に用いる特性線を特性線L13、特性線L12、特性線L11の順に変化させる。ここで、入口水温は、上述したように、燃料電池11に送られる冷却水の温度に相当する値である。つまり、ポンプ制御部52aは、燃料電池11の温度と燃料電池11に送られる冷媒の温度との差が小さいほど、目標流量を大きな値に決定する。それにより、燃料電池11の温度と燃料電池11に送られる冷却水の温度との差である温度差が小さいほど、冷媒流路133内の冷却水の流量を大きくすることができるので、冷媒流路133内の冷却水により燃料電池11を冷却する能力が上記温度差の低下に伴って不足することを抑制することができる。
【0067】
なお、
図5に示される例では、マップM1において、出口水温と入口水温との差に応じて使い分けられる特性線として、特性線L11,L12,L13の3つの特性線が設定されているが、マップM1において、出口水温と入口水温との差に応じて使い分けられる特性線の数は、2または4以上であってもよい。また、「出口水温-目標温度」に対する目標流量の特性を規定する特性線は、出口水温と入口水温との差に応じて連続的に変化してもよい。
【0068】
次に、ステップS503において、ポンプ制御部52aは、ポンプ13の回転数の目標値である目標回転数を決定する。
【0069】
具体的には、ポンプ制御部52aは、冷媒流路133内の冷却水の流量がステップS502で決定した目標流量と同程度となるように、目標回転数を目標流量に基づいて決定する。以下、
図6に示されるマップM2を用いて目標回転数が決定される例について説明する。
【0070】
図6は、目標回転数の決定に用いられるマップM2の一例を示す図である。
【0071】
マップM2では、目標流量に対する目標回転数の特性が特性線L21によって規定されている。
【0072】
特性線L21では、目標流量が大きいほど、目標回転数が大きくなっている。つまり、ポンプ制御部52aは、目標流量が大きいほど、目標回転数を大きな値に決定する。
【0073】
次に、ステップS504において、ポンプ制御部52aは、ポンプ13の回転数をステップS503で決定した目標回転数に制御する。それにより、冷媒流路133内の冷却水の流量をステップS502で決定した目標流量に制御することができる。ゆえに、燃料電池11の温度をステップS501で決定した目標温度に制御することができる。
【0074】
【0075】
上記のように、
図4に示される制御フローでは、制御装置50は、燃料電池11の温度が目標温度に対して高い場合に、燃料電池11の温度と目標温度との差が大きいほど、冷媒流路133内の冷却水の流量を大きくする。
【0076】
また、
図4に示される制御フローのように、燃料電池11の温度をより適切に制御する観点では、制御装置50は、燃料電池11の温度と燃料電池11に送られる冷媒の温度との差が小さいほど、冷媒流路133内の冷却水の流量を大きくすることが好ましい。
【0077】
[圧力調整弁の制御]
次に、
図7および
図8を参照して、制御装置50が行う圧力調整弁14の制御に関する処理について説明する。
【0078】
図7は、制御装置50が行う圧力調整弁14の制御に関する処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図7に示される制御フローは、繰り返し実行される。
【0079】
図7に示される制御フローが開始されると、まず、ステップS601において、調整弁制御部52bは、過給機35による過給圧(つまり、過給機35により吸引され空気流路132に供給される空気の圧力)の目標値である目標過給圧を取得する。ここで、目標過給圧は、空気流路132内の空気の圧力の目標値に相当する。
【0080】
例えば、制御装置50は、燃料電池11への空気および水素ガスの供給を制御する装置と通信することにより、目標過給圧を取得することができる。ここで、目標過給圧は、燃料電池11の出力に基づいて決定される。
【0081】
詳細には、燃料電池11の出力が要求値になるように、過給機35により吸引される空気の流量および圧力(つまり、過給圧)の目標値が決定され、当該空気の流量および圧力が目標値と同程度になるように過給機35が駆動される。そして、水素流路131内の水素ガスの圧力(以下、水素ガス圧とも呼ぶ)は、例えば水素流路131に設けられる制御弁が制御されること等によって、空気流路132内の空気の圧力(以下、空気圧とも呼ぶ)に近づくように制御される。つまり、水素ガス圧が空気圧に略一致するように制御される。ゆえに、水素ガス圧と空気圧(つまり、過給圧)とは、略一致しており、目標過給圧に追従して変化する。
【0082】
水素ガス圧の調整では、空気圧の調整と比較して、一般に応答性が良好である。ゆえに、空気圧を水素ガス圧に近づくように制御する場合よりも、水素ガス圧を空気圧に近づくように制御する場合の方が、水素ガス圧と空気圧(つまり、過給圧)との乖離を生じにくくすることができる。
【0083】
なお、上記の空気圧および水素ガス圧の制御は、制御装置50により行われてもよい。
【0084】
次に、ステップS602において、調整弁制御部52bは、冷媒流路133内の冷却水の圧力の目標値である目標水圧を決定する。
【0085】
例えば、調整弁制御部52bは、目標過給圧に基づいて、目標水圧を決定する。以下、
図8に示されるマップM3を用いて目標水圧が決定される例について説明する。
【0086】
図8は、目標水圧の決定に用いられるマップM3の一例を示す図である。
【0087】
マップM3では、目標過給圧に対する目標水圧の特性が特性線L31によって規定されている。
【0088】
特性線L31では、目標過給圧が大きいほど、目標水圧が大きくなっている。具体的には、特性線L31では、目標水圧が目標過給圧と略一致するように規定されている。つまり、調整弁制御部52bは、目標水圧を目標過給圧と略一致するように決定する。
【0089】
次に、ステップS603において、調整弁制御部52bは、圧力調整弁14の開度の目標値である目標開度を決定する。
【0090】
具体的には、調整弁制御部52bは、冷媒流路133内の冷却水の圧力がステップS602で決定した目標水圧と同程度となるように、目標開度を目標水圧に基づいて決定する。例えば、調整弁制御部52bは、基本的には、目標水圧が大きいほど、目標開度を小さな値に決定するが、目標開度の決定において、冷却水の温度等の他のパラメータがさらに用いられてもよい。
【0091】
次に、ステップS604において、調整弁制御部52bは、圧力調整弁14の開度を目標開度に制御する。それにより、冷媒流路133内の冷却水の圧力をステップS602で決定した目標水圧に制御することができる。
【0092】
ここで、目標水圧は、上記のように、目標過給圧と略一致するように決定される。ゆえに、冷媒流路133内の冷却水の圧力を、目標過給圧と略一致するように制御することができる。また、水素ガス圧および空気圧は、略一致しており、目標過給圧に追従して変化する。ゆえに、冷媒流路133内の冷媒の圧力を、ガス流路内のガスの圧力に近づくように制御することができる。
【0093】
【0094】
なお、調整弁制御部52bは、圧力調整弁14の制御において、圧力調整弁14の開度の制御として、冷媒流路133内の冷却水の圧力に相当する検出水圧と目標水圧との差に基づく制御(つまり、フィードバック制御)をさらに行うことが好ましい。
【0095】
上記のように、
図7に示される制御フローでは、制御装置50は、冷媒流路133内の冷却水の圧力を、ガス流路内のガスの圧力に近づくように制御する。
【0096】
また、
図7に示される制御フローのように、セパレータ120をより適切に保護する観点では、制御装置50は、目標過給圧に基づいて冷媒流路133内の冷却水の圧力を制御することが好ましい。具体的には、制御装置50は、冷媒流路133内の冷却水の圧力を、目標過給圧と略一致するように制御することが好ましい。
【0097】
なお、上記では、冷媒流路133内の冷却水の圧力が目標過給圧に基づいて制御される例を説明したが、制御装置50は、目標過給圧以外の他のパラメータに基づいて冷媒流路133内の冷却水の圧力を制御してもよい。例えば、制御装置50は、冷媒流路133内の冷却水の圧力を、水素ガス圧または空気圧の検出値と略一致するように制御してもよい。
【0098】
<燃料電池システムの効果>
続いて、本発明の実施形態に係る燃料電池システム1の効果について説明する。
【0099】
本実施形態に係る燃料電池システム1では、冷媒(例えば、冷却水)が循環する循環路12には、燃料電池11のセパレータ120の冷媒流路133に向けて冷媒を送出するポンプ13が設けられる。また、循環路12には、冷媒流路133内の冷媒の圧力を調整する圧力調整弁14が設けられる。それにより、ポンプ13の制御による冷媒流路133内の冷却水の流量の制御(つまり、流量制御)と、圧力調整弁14の制御による冷媒流路133内の冷却水の圧力の制御(つまり、水圧制御)とを独立に行うことができる。
【0100】
そして、制御装置50は、燃料電池11の温度に基づいて、ポンプ13の回転数を制御することにより冷媒流路133内の冷媒の流量を制御する。それにより、燃料電池11の温度を適切に制御することができる。また、制御装置50は、燃料電池11のセパレータ120のガス流路内のガス(具体的には、水素流路131内の水素ガスおよび空気流路132内の空気)の圧力に基づいて、圧力調整弁14の開度を制御することにより冷媒流路133内の冷媒の圧力を制御する。それにより、ガス流路内のガスと冷媒流路133内の冷媒との間での圧力差を抑制することができる。ゆえに、上記圧力差に起因してセパレータ120に生じる応力によるセパレータ120の破損を抑制することができるので、セパレータ120を保護することができる。
【0101】
上記のように、燃料電池システム1によれば、流量制御による燃料電池の温度の適正化と、水圧制御によるセパレータ120の保護とを独立に行うことができる。ゆえに、燃料電池11におけるセパレータ120の保護および燃料電池11の温度の適正化を両立することができる。
【0102】
ここで、特に車両に搭載される燃料電池システムでは、近年、燃料電池システム1のように、セパレータ120の材料として比較的薄い金属薄板を用いる場合が多い。この場合、例えば、セパレータ120の材料としてカーボンを用いる場合と比較して、セパレータ120がガス流路内のガスと冷媒流路133内の冷媒との間での圧力差に起因して生じる応力により降伏しやすくなる。ゆえに、ガス流路内のガスと冷媒流路133内の冷媒との間での圧力差を抑制する必要性が高い。よって、セパレータ120の材料としてカーボンを用いる場合において、流量制御による燃料電池の温度の適正化と、水圧制御によるセパレータ120の保護とを独立に行うことによって、燃料電池11におけるセパレータ120の保護および燃料電池11の温度の適正化を両立する効果を有効に活用することができる。
【0103】
また、本実施形態に係る燃料電池システム1では、制御装置50は、冷媒流路133内の冷媒の圧力を、ガス流路内のガスの圧力に近づくように制御することが好ましい。それにより、ガス流路内のガスと冷媒流路133内の冷媒との間での圧力差を適切に抑制することができるので、セパレータ120を適切に保護することができる。
【0104】
また、本実施形態に係る燃料電池システム1では、セパレータ120には、ガス流路として、水素ガスが流通する水素流路131および空気が流通する空気流路132が形成されており、空気流路132には、過給機35により吸引された空気が供給されることが好ましい。ここで、特に車両に搭載される燃料電池システムでは、燃料電池システム1のように、燃料電池11の出力密度を増大させる目的で、燃料電池11への空気の供給に過給機35が利用される場合が多い。この場合、過給機35を利用することによって、セパレータ120のガス流路内のガスの圧力が比較的高くなる。ゆえに、ガス流路内のガスと冷媒流路133内の冷媒との間での圧力差を抑制する必要性が高い。
【0105】
よって、燃料電池11への空気の供給に過給機35が利用される場合において、流量制御による燃料電池の温度の適正化と、水圧制御によるセパレータ120の保護とを独立に行うことによって、燃料電池11におけるセパレータ120の保護および燃料電池11の温度の適正化を両立する効果を有効に活用することができる。
【0106】
また、本実施形態に係る燃料電池システム1では、水素流路131内の水素ガスの圧力(つまり、水素ガス圧)は、空気流路132内の空気の圧力(つまり、空気圧)に近づくように制御され、制御装置50は、空気流路132内の空気の圧力の目標値に相当する目標過給圧に基づいて、冷媒流路133内の冷媒の圧力を制御することが好ましい。ここで、水素ガス圧が空気圧に近づくように制御され、過給機35により吸引された空気が空気流路132に供給される場合には、水素ガス圧および空気圧は、目標過給圧に追従して変化する。ゆえに、冷媒流路133内の冷媒の圧力を目標過給圧に基づいて制御することによって、例えば、当該冷媒の圧力を水素ガス圧または空気圧の検出値に基づいて制御する場合と比較して、当該冷媒の圧力の変化が水素ガス圧および空気圧の変化に対して遅れることを抑制することができる。よって、ガス流路内のガスと冷媒流路133内の冷媒との間での圧力差をより適切に抑制することができるので、セパレータ120をより適切に保護することができる。
【0107】
また、本実施形態に係る燃料電池システム1では、制御装置50は、燃料電池11の温度が目標温度に対して高い場合に、燃料電池11の温度と目標温度との差が大きいほど、冷媒流路133内の冷媒の流量を大きくすることが好ましい。それにより、燃料電池11の温度と目標温度との差が大きいほど、冷媒流路133内の冷媒により燃料電池11を冷却する能力を増大させることができる。ゆえに、燃料電池11の温度の適正化を適切に実現することができる。
【0108】
また、本実施形態に係る燃料電池システム1では、制御装置50は、燃料電池11の温度と燃料電池11に送られる冷媒の温度との差が小さいほど、冷媒流路133内の冷媒の流量を大きくすることが好ましい。それにより、冷媒流路133内の冷媒により燃料電池11を冷却する能力が燃料電池11の温度と当該燃料電池11に送られる冷媒との間の温度差の低下に伴って不足することを抑制することができる。ゆえに、燃料電池11の温度をより適切に制御することができる。
【0109】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例または修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【0110】
例えば、上記では、
図1を参照して、燃料電池システム1の構成について説明したが、本発明に係る燃料電池システムの構成は、このような例に限定されず、例えば、
図1に示される燃料電池システム1に対して一部の構成要素を削除、追加または変更を加えたものであってもよい。例えば、
図1に示される燃料電池システム1に対して過給機35を削除したものも、本発明に係る燃料電池システムに含まれる。
【0111】
また、例えば、上記では、
図2を参照して、燃料電池11の構成について説明したが、本発明に係る燃料電池の構成は、このような例に限定されず、例えば、
図2に示される燃料電池11に対して一部の構成要素を削除、追加または変更を加えたものであってもよい。例えば、
図2に示される燃料電池11に対してセパレータ120の材料をカーボンに変更したものも、本発明に係る燃料電池に含まれる。
【0112】
また、例えば、上記では、出口水温センサ42により検出される出口水温が燃料電池11の温度に相当する値として利用される例について説明したが、出口水温センサ42以外の他のセンサ(例えば、燃料電池11の一部の温度を検出するセンサ)の検出結果が燃料電池11の温度に相当する値として利用されてもよい。なお、その場合、燃料電池システム1の構成から出口水温センサ42は省略され得る。
【0113】
また、例えば、本明細書においてフローチャートを用いて説明した処理は、必ずしもフローチャートに示された順序で実行されなくてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、燃料電池システム、制御装置および制御方法に利用できる。
【符号の説明】
【0115】
1 燃料電池システム
11 燃料電池
12 循環路
13 ポンプ
14 圧力調整弁
15 ラジエータ
21 水素ガス供給流路
22 水素ガス排出流路
25 水素供給源
31 空気供給流路
32 空気排出流路
35 過給機
41 入口水温センサ
42 出口水温センサ
43 水圧センサ
50 制御装置
51 取得部
52 制御部
52a ポンプ制御部
52b 調整弁制御部
110 膜電極接合体
111 電解質膜
112 アノード電極
113 カソード電極
120 セパレータ
121 アノード側セパレータ
122 カソード側セパレータ
131 水素流路(ガス流路)
132 空気流路(ガス流路)
133 冷媒流路