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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】操作装置及び作業車両
(51)【国際特許分類】
   G05G 1/00 20080401AFI20231109BHJP
   B60P 1/04 20060101ALI20231109BHJP
   G05G 1/01 20080401ALI20231109BHJP
【FI】
G05G1/00 E
B60P1/04 Z
G05G1/01 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019164244
(22)【出願日】2019-09-10
(65)【公開番号】P2021043621
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗原 浩太
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109605(JP,A)
【文献】特開2017-100523(JP,A)
【文献】特表2003-535746(JP,A)
【文献】米国特許第9086130(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/00
B60P 1/04
G05G 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台を有する作業車両の操作装置であって、
前後方向に操作することで前記作業車両の速度を変更可能な変速指示部と、
前記変速指示部の前方に配置され、前記荷台の昇降を動作可能な昇降指示部と、
前記変速指示部と前記昇降指示部との前記前後方向の間の空間を仕切る仕切り部と、
を備える操作装置。
【請求項2】
中立位置における前記昇降指示部の頂部の高さは、前記変速指示部の上面の高さよりも高い
請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記変速指示部の上面は、平面を有する
請求項1または2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記変速指示部は、水平面に沿う前記前後方向に移動可能である
請求項1から3のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記前後方向に直交する幅方向において前記昇降指示部の側方に位置する側方仕切り部を更に備える
請求項1から4のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記幅方向から見て、前記側方仕切り部は、中立位置における前記昇降指示部を覆うように配置されている
請求項5に記載の操作装置。
【請求項7】
前記昇降指示部は、中立位置から前方側に傾動した前傾位置および前記中立位置から後方側に傾動した後傾位置の間で幅方向に延びる回動軸線の回りに回動可能である
請求項1から6のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項8】
前記仕切り部の上端は、前記回動軸線よりも上方に位置する
請求項7に記載の操作装置。
【請求項9】
前記仕切り部は、前記昇降指示部の傾動軌跡の範囲外に配置されている
請求項7または8に記載の操作装置。
【請求項10】
前記仕切り部の高さは、前記変速指示部の上面の高さよりも低い
請求項1から9のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項11】
前記前後方向から見て、仕切り部は、前記昇降指示部および前記変速指示部と重なる位置に配置されている
請求項1から10のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項12】
前記操作装置は、車両幅方向一方側となるハンドルの左右方向一方側に配置されている
請求項1から11のいずれか一項に記載の操作装置。
【請求項13】
前記操作装置は、前記ハンドルの左右方向一方側に位置するバックモニタの下方近傍に配置されている
請求項12に記載の操作装置。
【請求項14】
ハンドルと、
車両幅方向一方側となる前記ハンドルの左右方向一方側に配置された請求項1から13のいずれか一項に記載の操作装置と、
を備える作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作装置及び作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両としては、砕石現場や土木現場、鉱山等で稼働する運搬車両が知られている。運搬車両の操縦者は、積込場や排土場においてハンドル操作やシフトレバー操作、ダンプレバー(ホイストレバー)操作、アクセル・ブレーキ操作等を行う。
運搬車両は、ボディと呼ばれる昇降可能な荷台を備える。荷台には、土砂等の積荷を積載することができる。運搬車両の操作装置としては、前後方向に操作することで運搬車両の速度を変更可能な変速指示部と、変速指示部の前方に配置され、荷台の昇降を動作可能な昇降指示部と、を備えた構成が一例として知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、幅方向(前後方向に直交する方向)に延びる回動軸線の回りに回動可能(円弧移動可能)な操作レバーと、操作レバーの上端部に結合されたノブ本体と、ノブ本体の前方に配置された可動スイッチと、を備えた構成が開示されている。可動スイッチは、操作レバーの円弧移動に従ってノブ本体と一体に移動(円弧移動)する。ノブ本体と可動スイッチとの前後方向の間には、ノブ本体側と可動スイッチ側とを連通する空間がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9086130号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業車両の操縦者は、所定の場所に作業車両を移動させ、荷台の積荷を排土する作業(排土作業)を行う。例えば、排土作業を行う際、操縦者の手の動きは、以下の(1)から(3)の手順となる。
(1)ハンドルを手で持ちハンドル操作をしながら排土場所へ車両を移動させる。
(2)排土場所で停車する際にシフトレバー(変速指示部)を操作する。
(3)停車後に荷台をホイスト動作させるためにホイストレバー(昇降指示部)を操作する。
例えば、昇降指示部を操作することなく、変速指示部のみを操作する場合がある。この場合、変速指示部側と昇降指示部側とを連通する空間があると、手や指が昇降指示部に不用意に触れ、荷台が誤動作してしまう可能性がある。
【0006】
そこで本発明は、昇降指示部の誤操作を抑制することができる操作装置及び作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る操作装置は、荷台を有する作業車両の操作装置であって、前後方向に操作することで前記作業車両の速度を変更可能な変速指示部と、前記変速指示部の前方に配置され、前記荷台の昇降を動作可能な昇降指示部と、前記変速指示部と前記昇降指示部との前記前後方向の間の空間を仕切る仕切り部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、昇降指示部の誤操作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る作業車両の斜視図。
図2】実施形態に係る作業車両の運転室内を車両後方かつ上方から見た図。
図3】実施形態に係る作業車両の操作装置の斜視図。
図4】実施形態に係る操作装置の上面図。
図5】実施形態に係る操作装置の左側面図。
図6】実施形態に係る操作装置の前面図。
図7】実施形態に係る操作装置の後面図。
図8】実施形態に係る操作装置のシフトレバー及びホイストスイッチの動作及び配置間隔の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、作業車両の一例としてアーティキュレート式のダンプトラックを挙げて説明する。
【0011】
<作業車両>
図1に示すように、作業車両としてのダンプトラック1は、車両後部2及び車両前部3を備える。以下、ダンプトラック1の前進方向、後進方向及び車両幅方向を「車両前方(車両前後方向一方側)」、「車両後方(車両前後方向他方側)」及び「車両幅方向」と称する。車両幅方向は、「左側(車両幅方向一方側)」又は「右側(車両幅方向他方側)」と称する場合もある。ダンプトラック1が前進する方向に対して右手を右側、ダンプトラック1が前進する方向に対して左手を左側と称する。ダンプトラック1が水平面に配置された状態の上下方向、上方及び下方を単に「上下方向」、「上方」及び「下方」と称する。
【0012】
<車両後部>
車両後部2は、リアフレーム部11、後前輪13及び後後輪14を備える。リアフレーム部11は、車両後部2のフレームを構成している。車両後部2は、車両前部3の車両後方に設けられている。車両後部2は、ホイストシリンダ5及び荷台6を備える。ホイストシリンダ5の一端は、車両後部2のリアフレーム部11に不図示のブラケットを介して回動可能に連結されている。荷台6は、ホイストシリンダ5の他端に不図示のブラケットを介して連結されている。荷台6は、ホイストシリンダ5で駆動される。ホイストシリンダ5は、不図示の油圧回路を介して供給される油圧によって駆動される。
【0013】
<車両前部>
車両前部3は、フロントフレーム部10、前輪12及びキャブ15を備える。
フロントフレーム部10は、車両前部3のフレームを構成している。リアフレーム部11は、フロントフレーム部10の車両後方に不図示の連結部材によって連結されている。フロントフレーム部10及びリアフレーム部11は、上下方向に延びる軸線回りに連結されていることで、互いに水平方向に回動可能とされている。フロントフレーム部10及びリアフレーム部11が相対的に回動した状態で前進又は後進することで、ダンプトラック1の車両前部3が右側又は左側に向かって旋回(右旋回又は左旋回)する。なお、フロントフレーム部10及びリアフレーム部11は、上記の不図示の連結部材を介して前後方向に延びる軸線回りに互いに独立して回動可能とされている。
【0014】
前輪12は、フロントフレーム部10に車両幅方向に離間して一対設けられている。後前輪13は、リアフレーム部11の前部に車両幅方向に離間して一対設けられている。後後輪14は、リアフレーム部11の後部に車両幅方向に離間して一対設けられている。前輪12、後前後輪13及び後後輪14が駆動されることで、ダンプトラック1が前進又は後進する。
【0015】
<キャブ>
キャブ15は、フロントフレーム部10の後部かつ上部に設けられている。キャブ15の内部が操縦者の運転室20(図2参照)とされている。図2に示すように、運転室20には、運転席21、ハンドル22、アクセルペダル23、ブレーキペダル24、バックモニタ25及び操作装置30が設けられている。
【0016】
運転室20における操作装置30の右側には、シガレットライタ26、パワーウインドスイッチ27及びサイドランプスイッチ28が配置されている。運転室20における操作装置30の右側には、フォグランプスイッチ及び回転灯スイッチ等のオプションスイッチ29が配置されていてもよい。
【0017】
運転席21は、キャブ15内の運転室20における車両幅方向中央に設けられている。運転席21は、該運転席21に着座した操縦者がダンプトラック1(図1参照)の車両前方を見渡せるように配置されている。
ハンドル22は、運転室20の車両幅方向中央に設けられている。ハンドル22は、運転席21の車両前方かつ運転席21の座面から見て斜め上方に配置されている。
【0018】
アクセルペダル23は、運転席21の車両前方かつ下部の右側に配置されている。
ブレーキペダル24は、運転席21の車両前方かつ下部の右側であってアクセルペダル23の左側に配置されている。
バックモニタ25は、ダンプトラック1の車両後方、即ち荷台6(図1参照)の車両後方の様子を表示するための表示部である。バックモニタ25は、例えばハンドル22の右側に配置されている。
【0019】
<操作装置>
操作装置30は、ハンドル22の右側であってバックモニタ25の下方近傍に配置されている。操作装置30は、装置本体31、シフトレバー32(変速指示部)、ホイストスイッチ33(昇降指示部)、パーキングブレーキスイッチ34、ホイストスイッチロックノブ35及びガード部36を備える。
【0020】
<装置本体>
装置本体31は、操作装置30の外形をなす部品である。図3に示すように、装置本体31は、ベース部40、第一段部41及び第二段部42を備える。装置本体31に、上述したレバー等(シフトレバー32、ホイストスイッチ33、パーキングブレーキスイッチ34及びホイストスイッチロックノブ35)が配置されている。
【0021】
図4に示すように、ベース部40は、車両前後方向に長手方向を沿わせかつ車両幅方向に短手方向を沿わせた矩形状をなしている。以下、ベース部40の長手方向を「ベース部40の前後方向」又は単に「前後方向」と称する。また、ベース部40の短手方向を「ベース部40の幅方向」又は単に「幅方向」と称する。ベース部40は、該ベース部40の前部から幅方向右側に張り出す張出し部43を備える。ベース部40は、該ベース部40の後部上面に開口し、かつ、パーキングブレーキスイッチ34の一部を収容する孔部40hを有する。
【0022】
図5に示すように、第一段部41は、ベース部40の上部に設けられている。第一段部41は、ベース部40の前後方向の中央部および前部にわたって延びている。第一段部41の後部は、ベース部40の後部上面と連続して面を形成している。ベース部40は、第一段部41の後部からベース部40の後部上面に向かって傾斜する第一後部傾斜面41aを有する。第一後部傾斜面41aは、幅方向の左側から見た側面視(以下、側面視)で後側に向かうに従って下方に位置するように傾斜している。第一段部41の左側部は、ベース部40の左側面に連なるように傾斜する第一側部傾斜面41bを有する。第一側部傾斜面41bは、後面視で左側に向かうに従って下方に位置するように傾斜している(図7参照)。第一段部41は、該第一段部41の上面に開口し、かつ、シフトレバー32の一部を収容するシフト用溝部41h(図4参照)を有する。
【0023】
図5に示すように、第二段部42は、第一段部41の上部かつ前部に設けられている。第二段部42の後部は、第一段部41の上面と連続して面を形成している。ベース部40は、第二段部42の後部から第一段部41の上面に向かって傾斜する第二後部傾斜面42aを有する。第二後部傾斜面42aは、側面視で後側に向かうに従って下方に位置するように傾斜している。第二段部42の左側部は、ベース部40の左側部に連なるように傾斜する第二側部傾斜面42bを有する。第二側部傾斜面42bは、後面視で左側に向かうに従って下方に位置するように、第一側部傾斜面41bよりも急峻に傾斜している(図7参照)。第二段部42は、該第二段部42の上面に開口し、かつ、ホイストスイッチロックノブ35の一部を収容するノブ用溝部42h(図4参照)を有する。
【0024】
<シフトレバー>
シフトレバー32は、前後方向に操作されることでダンプトラック1(図1参照)の速度を変更可能である。シフトレバー32は、前後方向に操作されることで不図示の変速装置のギアを所定の変速段に切り換え可能である。シフトレバー32は、ダンプトラック1(図1参照)の前進及び後進を切り換える際に操作される。シフトレバー32は、運転席21(図2参照)に着座した操縦者の右手によって操作される。
【0025】
図7に示すように、シフトレバー32は、第一段部41に形成されたシフト用溝部41h(図4参照)を介して上方に向かって延び、前面視あるいは後面視で見てL字状の形状をなしている。シフトレバー32は、シフト用溝部41hの形成範囲を移動範囲として、水平面に沿う前後方向に移動可能とされている(図8参照)。
【0026】
シフトレバー32は、シフト用溝部41hの前後方向の後方位置PD(図8参照)にある場合には、ダンプトラック1を前進可能な状態とする。
シフトレバー32は、シフト用溝部41hの前後方向の前方位置PR(図8参照)にある場合には、ダンプトラック1を後進可能な状態とする。
シフトレバー32は、シフト用溝部41hの前後方向の中央位置PN(図8参照)にある場合には、ダンプトラック1を前進不能かつ後進不能な状態(ニュートラル状態)とする。
【0027】
以下、シフトレバー32の移動範囲における中央位置PN、前方位置PR及び後方位置PDをニュートラル位置、リバース位置及びドライブ位置と称する場合がある。シフトレバー32は、ニュートラル位置から前方側に移動したリバース位置およびニュートラル位置から後方側に移動したドライブ位置の間で移動可能である。
【0028】
図3に示すように、シフトレバー32は、アーム部50、グリップ部51及びサイドスイッチ52を備える。
アーム部50は、第一段部41に形成されたシフト用溝部41hを介して上下方向に延びている。アーム部50は、装置本体31に対して前後方向に移動可能に連結されている。
グリップ部51は、アーム部50の上端から右側に向かうように幅方向に延びている。グリップ部51の外周面は、運転席21に着座した操縦者の右手によって握られるグリップ面とされている。グリップ部51の下部は、後面視で右側に向かうに従って上方に位置するように傾斜している(図7参照)。
【0029】
グリップ部51は、該グリップ部51の上面に、操縦者の手のひらを載置可能な面積の載置面部51aを有する。載置面部51aは、凹凸を有しない滑らかな面とされている。後面視で、載置面部51aは、上方に凸をなすように湾曲している(図7参照)。側面視で、載置面部51aは、水平面に平行な前後方向に沿う平面とされている(図5参照)。
【0030】
サイドスイッチ52は、押されることでアーム部50を前後方向に移動可能とするスイッチである。サイドスイッチ52は、グリップ部51の左側端部に設けられている。サイドスイッチ52は、運転席21に着座した操縦者の右手の親指によって操作される。
【0031】
操縦者がシフトレバー32を操作する際には、操縦者は、シフトレバー32のグリップ部51における載置面部51aに右手の手のひらをあてがうとともに該右手の中指、薬指及び小指によってグリップ部51を握りしめる。この際、右手の親指は、グリップ部51の左側端部におけるサイドスイッチ52を押すことになる。例えば、右手の人差し指は、アーム部50の前方に折り曲げた状態で配置される。
【0032】
<ホイストスイッチ>
ホイストスイッチ33は、車両後部2の荷台6の昇降を動作させるためのスイッチである。ホイストスイッチ33は、シフトレバー32の前方に配置されている。前面視で、左右方向の位置関係を見たときに、ホイストスイッチ33の位置は、シフトレバー32のグリップ部51の左側部の位置と重なる位置に配置されている(図6参照)。ホイストスイッチ33は、運転席21に着座した操縦者の右手の指によって操作される。例えば、ホイストスイッチ33は、人差し指または中指によって操作することができる。
【0033】
ホイストスイッチ33は、スイッチ本体60及びスイッチノブ61を備える。
スイッチ本体60は、装置本体31の第二段部42の上面に設けられている。スイッチ本体60は、スイッチノブ61を傾動可能にスイッチノブ61の一部を収容する収容凹部60a(図8参照)を有する。図8に示すように、収容凹部60aは、側面視で下方に凹む円弧状をなしている。
スイッチノブ61は、スイッチ本体60に対して幅方向に延びる回動軸線Oを支点として該回動軸線Oの回りに回動可能に連結されている。スイッチノブ61の回動軸線Oは、幅方向に平行、かつ、前後方向に直交している。
【0034】
スイッチノブ61は、中立位置P0においてスイッチ本体60から上方に起立している。スイッチノブ61の前後方向における厚みは、側面視でスイッチ本体60とは反対側に向かうに従って徐々に小さくなっている。スイッチノブ61におけるスイッチ本体60の収容凹部60aと対面する面以外の面(上方側、前方側及び後方側の面)は、操作面62とされている。操作面62は、運転席21に着座した操縦者の右手の指(例えば、人差し指または中指)によって操作される。
【0035】
操作面62は、頂部62a、前部操作面62b及び後部操作面62cによって構成されている。
頂部62aは、スイッチノブ61におけるスイッチ本体60とは反対側の端部(突出端部)である。頂部62aは、前部操作面62bと後部操作面62cとを前後方向に接続する部分である。図6に示すように、頂部62aは、回動軸線Oに平行に直線状に延びている。すなわち、頂部62aは、幅方向に一様に延びている。頂部62aは、操作面62のうち回動軸線Oから最も離れた部分とされている。つまり、頂部62aは、回動軸線Oを中心とする円周上に存在する。その円周は、口述する傾動軌跡K1に対応する。
【0036】
図8に示すように、前部操作面62bは、スイッチノブ61における収容凹部60aから前方側に露出する面である。前部操作面62bは、スイッチノブ61が突出する方向を長手方向とするとともに、幅方向を短手方向とする面である。
【0037】
後部操作面62cは、スイッチノブ61における収容凹部60aから後方側に露出する面である。後部操作面62cは、スイッチノブ61が突出する方向を長手方向とするとともに、幅方向を短手方向とする面である。前部操作面62bと後部操作面62cとの前後方向の間隔は、側面視で頂部62aに向かうに従って徐々に小さくなっている。
【0038】
スイッチノブ61は、中立位置P0、前傾位置P1及び後傾位置P2の間で回動軸線Oの回りに回動可能である。
中立位置P0は、スイッチノブ61が前方及び後方のいずれにも傾動していない位置である。スイッチノブ61が中立位置P0にある場合には、荷台6を上昇不能かつ下降不能な状態(荷台6の保持状態もしくは荷台6が拘束されずに外力によって上昇あるいは下降できる状態、以下「中立状態」と称する。)とする。
前傾位置P1は、スイッチノブ61が中立位置P0から前方側に傾動した位置である。スイッチノブ61が前傾位置P1にある場合には、荷台6を下降可能な状態とする。
後傾位置P2は、スイッチノブ61が中立位置P0から後方側に傾動した位置である。スイッチノブ61が後傾位置P2にある場合には、荷台6を上昇可能な状態とする。
スイッチノブ61が中立位置P0にある場合、前傾位置P1にある場合、後傾位置P2にある場合のいずれであっても、操作面62は、収容凹部60aからスイッチ本体60とは反対側(上方側、前方側及び後方側)に露出している。
【0039】
中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部の高さH1は、シフトレバー32の上面の高さH2よりも高い(H1>H2)。ここで、中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部の高さH1は、中立位置P0にあるホイストスイッチ33におけるスイッチノブ61の頂部62aの上端位置を意味する。シフトレバー32の上面の高さH2は、シフトレバー32におけるグリップ部51の載置面部51aの上端位置を意味する。
【0040】
ホイストスイッチ33の回動軸線Oの位置は、シフトレバー32の前後方向の位置にかかわらず定位置にある。ホイストスイッチ33は、シフトレバー32の前後方向の移動に従ってシフトレバー32と一体に移動しない。ホイストスイッチ33のスイッチノブ61が定位置にあるため、シフトレバー32が前後方向に移動すると、シフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の間隔は変わる。すなわち、シフトレバー32の前後方向の移動によって、シフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の相対位置が変動する。
【0041】
<パーキングブレーキスイッチ>
パーキングブレーキスイッチ34は、ダンプトラック1を停止させるためのスイッチである。図4に示すように、パーキングブレーキスイッチ34は、シフトレバー32の後方に配置されている。パーキングブレーキスイッチ34は、装置本体31に対して幅方向に延びる不図示の軸線の回りに前傾又は後傾が可能ないわゆるシーソースイッチである。パーキングブレーキスイッチ34は、運転席21に着座した操縦者の右手によって操作される。
【0042】
<ホイストスイッチロックノブ>
ホイストスイッチロックノブ35は、ホイストスイッチ33を動作不能にする(ロックする)ためのスイッチである。ホイストスイッチロックノブ35は、ホイストスイッチ33の右側方に配置されている。ホイストスイッチロックノブ35は、装置本体31に対して幅方向に延びる不図示の軸線の回りに前傾又は後傾が可能ないわゆるシーソースイッチである。ホイストスイッチロックノブ35は、運転席21に着座した操縦者の右手によって操作される。
【0043】
<ガード部>
ガード部36は、操縦者がホイストスイッチ33以外のレバー等を操作する場合(例えばシフトレバー32のみを操作する場合)、あるいは、操縦者がホイストスイッチ33を操作する意思がない状態でホイストスイッチ33の近傍で手や指を動かす場合、操縦者の手や指がホイストスイッチ33に不用意に触れることを防ぐための壁部である。図5に示すように、ガード部36は、装置本体31の第二段部42の上面に設けられている。ガード部36は、例えば、装置本体31と同一の部材で一体に形成されている。図4に示すように、ガード部36は、後壁部70(仕切り部)及び側壁部71,72(側方仕切り部)を備える。つまり、上面視で、ガード部36は、前方に開放するU字状をなしている。なお、ガード部36は、さらに前壁部を備え、上面視で矩形状をなしていてもよい。ガード部36は、ホイストスイッチ33の傾動軌跡K1の範囲外に配置されている(図8参照)。つまり、ホイストスイッチ33の傾動軌跡K1は、ガード部36の縁よりも内側に離れている。
【0044】
<後壁部>
後壁部70は、ガード部36のうちシフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の間の空間を仕切る部分である。後壁部70は、ホイストスイッチ33の後方に配置されている。後壁部70は、前面視で見たときに左右方向及び上下方向においてホイストスイッチ33及びシフトレバー32と重なる位置に配置されている(図6参照)。
【0045】
後壁部70は、スイッチノブ61が突出する方向を短手方向とするとともに、幅方向を長手方向とする矩形状をなしている。後壁部70の幅方向の長さは、スイッチノブ61の幅方向の長さよりも長い。回動軸線Oに直交する断面視で、後壁部70は、上側に向かうに従って前方に位置するように傾斜する直線状をなしている(図8参照)。後壁部70の上端は、回動軸線Oよりも上方に位置している。上面視で、後壁部70の上端は、幅方向に対し平行であって直線状をなしている(図4参照)。
【0046】
後壁部70の高さH3は、シフトレバー32の上面の高さH2よりも低い。ここで、後壁部70の高さは、後壁部70の上端位置を意味する。
後壁部70は、ホイストスイッチ33の傾動軌跡K1の範囲外に配置されている。後壁部70の上端は、後傾位置P2におけるスイッチノブ61の後部操作面62cと間隔をあけて配置されている。
【0047】
<側壁部>
側壁部71,72は、ガード部36のうち幅方向においてホイストスイッチ33の左右側方に位置する部分である。図4に示すように、側壁部71,72は、左側壁部71及び右側壁部72で構成されている。左側壁部71は、ホイストスイッチ33の左側方に位置する部分である。右側壁部72は、ホイストスイッチ33の右側方に位置する部分である。
【0048】
左側面部71は、ホイストスイッチ33の左側面と間隔をあけて配置されている。側面視で、左側壁部71は、中立位置P0におけるスイッチノブ61(図8参照)を覆うように配置されている(図5参照)。図5に示すように、左側壁部71は、中立位置P0および前傾位置P1におけるスイッチノブ61全体(図8参照)を覆うように上側に向かうに従って前後方向の長さが小さい台形状をなしている。側面視で、左側壁部71は、中立位置P0におけるスイッチノブ61の頂部62aよりも上方の位置で前後方向に直線状に延びる上底と、装置本体31の第二段部42の上面に沿いかつ前後方向に直線状に延びる下底とを有する台形状をなしている。側面視で、右側壁部72は、左側壁部71の外形と重なる台形状をなしている。左側壁部71の後側下部には、後壁部70の幅方向の左端部が結合されている。右側壁部72の後側下部には、後壁部70の幅方向の右端部が結合されている。なお、スイッチノブ61が前傾位置P1にあるときに、側面視において左側壁部71あるいは右側壁部72の台形形状の外に、スイッチノブ61が見えるように配置されてもよい。ガード部36は、スイッチノブ61が前傾位置P1に操作されるような誤操作までを防止するものでなくてもよい。
【0049】
<シフトレバー及びホイストスイッチの配置>
図8に示すように、前方位置PRにおけるシフトレバー32と後傾位置P2におけるホイストスイッチ33との前後方向の間には空間がある。例えば、前方位置PRにおけるシフトレバー32と後傾位置P2におけるホイストスイッチ33との前後方向の間隔L1は、少なくとも数10mm以上であることが好ましい。ここで、該間隔L1は、前方位置PRにおけるシフトレバー32のグリップ部51の前端と後傾位置P2におけるホイストスイッチ33の頂部62aの後端との前後方向の間の間隔(最短距離)を意味する。
【0050】
例えば、間隔L1は、操縦者が前方位置PRにあるシフトレバー32の載置面部51aに右手の手のひらを置いた状態で、右手の人差し指を前方かつ下方に折り曲げた場合に後傾位置P2にあるホイストスイッチ33に触れないよう折り曲げた人差し指を後壁部70の後方に配置することが可能な大きさであることが好ましい。
【0051】
後方位置PDにおけるシフトレバー32と中立位置P0におけるホイストスイッチ33との前後方向の間隔L2は、少なくとも間隔L1よりも長く数10mm以下であることが好ましい。ここで、該間隔L2は、後方位置PDにおけるシフトレバー32のグリップ部51の後端と中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部62aの上端との前後方向の間隔(最短距離)を意味する。
【0052】
例えば、間隔L2は、操縦者が後方位置PDにあるシフトレバー32の載置面部51aに右手の手のひらを置いた状態で、右手の人差し指を前方に向かって延ばして中立位置P0にあるホイストスイッチ33の頂部62aに人差し指の腹をのせることが可能な大きさであることが好ましい。図中符号80は、日本人女性(例えば小柄な女性)の右手を模した外形である。図中符号L0は、日本人女性の右手80の前後方向の長さである。
なお、シフトレバー32の前後方向の長さL3は、シフトレバー32の前後方向の移動ピッチL4(図の例では中央位置PNにおけるシフトレバー32の前端と前方位置PRにおけるシフトレバー32の前端との前後方向の間隔)よりも長く設定されている。
【0053】
<作用効果>
ダンプトラック1の荷台6には土砂等の積荷を積載することができる。ダンプトラック1の操縦者は、所定の場所にダンプトラック1を移動させ、荷台6の積荷を排土する作業(排土作業)を行う。例えば、操縦者がダンプトラック1を操縦し、排土作業を行う際、操縦者の手の動きは、以下の(1)から(3)の手順となる。
(1)ハンドルを手で持ちハンドルの操作をしながら排土場所へダンプトラックを移動させる。
(2)排土場所で停車する際にシフトレバーを操作する。
(3)停車後に荷台をホイスト動作させるためにホイストレバーを操作する。
【0054】
ハンドル、シフトレバー、ホイストレバーのそれぞれの配置位置が離れていた場合、以下の問題が生じる可能性がある。仮に、ハンドルの右側方にシフトレバーが配置され、シフトレバーの後方にホイストレバーが配置されているとする。
この場合、排土作業を行う際の右手の動きは、ハンドル、ハンドルの右側方に位置するシフトレバー、シフトレバーの後方に離れて配置されたホイストレバーの順に移動する。そのため、ハンドルとシフトレバーとの左右方向の間隔、シフトレバーとホイストレバーとの前後方向の間隔がそれぞれ大きい場合、操縦者は各動作で右手を大きく移動させなければならない。このような動作を繰り返せば右手への負担が大きくなり、操縦者の疲労の一因となってしまう。また、操縦者は各動作の際に右手を大きく動かすとともに視線の移動を伴うおそれがあり煩わしいと感じるおそれもある。
【0055】
これに対して本実施形態では、ホイストスイッチ33はシフトレバー32の前方近傍に配置されている。
これによって、操縦者は、シフトレバー32からホイストスイッチ33へ向かって右手を移動させる際に、右手を大きく移動させずとも、ホイストスイッチ33を操作することができる。即ち、本実施形態ではシフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の間隔が小さいため、操縦者はシフトレバー32の動作後にホイストスイッチ33を容易に操作することができる。したがって、操縦者の右手の負担に起因する疲労感を軽減することができる。
さらに本実施形態では、昇降指示部としてレバー式のホイストレバーではなくスイッチ式のホイストスイッチ33を採用している。そのため、右手の指でホイストスイッチ33を容易に操作することができる。
このように本実施形態では、ホイストスイッチ33の操作性向上を図ることができる。
【0056】
ところで、ダンプトラック1が稼働する現場によっては、操縦者は様々な方向に手を動かす必要がある。例えば、操縦者はホイストスイッチ33を操作することなく、シフトレバー32のみを操作する場合がある。この場合、シフトレバー32側とホイストスイッチ33側とを連通する空間があると、手や指がホイストスイッチ33に不用意に触れ、荷台6が誤動作してしまう可能性がある。
【0057】
これに対して本実施形態では、シフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の間の空間を仕切る後壁部70を備える。
そのため、操縦者がホイストスイッチ33以外のレバー等を操作する場合(シフトレバー32のみを操作する場合)、ホイストスイッチ33に後方から右手が触れることを抑制することができる。例えば、操縦者がシフトレバー32の操作中に右手を不用意に前方へ動かしても、右手はホイストスイッチ33の後方にある後壁部70で遮られるため、右手がホイストスイッチ33に不用意に触れることを抑制することができる。したがって、ホイストスイッチ33の誤操作を抑制することができる。
【0058】
本実施形態では、中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部62aの高さH1は、シフトレバー32の上面の高さH2よりも高い(H1>H2)。
そのため、中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部62aの高さH1がシフトレバー32の上面の高さH2以下の場合と比較して、ホイストスイッチ33の誤操作を抑制することができる。
例えば本実施形態の場合、操縦者が右手をシフトレバー32の上面に置いた状態で中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部62aを操作する場合、操縦者は指を意識的に上方に上げる必要がある。そのため、指がホイストスイッチ33に不用意に触れることを抑制することができる。
【0059】
本実施形態では、シフトレバー32の上面は、載置面部51a(平面)を有する。
そのため、シフトレバー32の長時間の操作により生じる疲労感を軽減することができる。すなわち、シフトレバー32をパームレストとしても機能させることができる。例えば、操縦者は右手をシフトレバー32に置きながらホイストスイッチ33を操作することができる。ここでシフトレバー32がパームレストを兼ねる場合、ホイストスイッチ33の誤操作の機会が増えるため、ホイストスイッチ33の誤操作の抑制を図った本実施形態の構成は実益が大きい。
【0060】
本実施形態では、シフトレバー32は、水平面に沿う前後方向に移動可能である。
そのため、シフトレバー32が幅方向(前後方向に直交する方向)に延びる回動軸線(不図示)の回りに回動可能(円弧移動可能)な場合と比較して、シフトレバー32の前方にあるホイストスイッチ33の操作性を確保しやすい。
本実施形態の場合、ホイストスイッチ33は、シフトレバー32の前後方向の移動に従ってシフトレバー32と一体に移動しない。すなわち、シフトレバー32の前後方向の移動によって、シフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の相対位置が変動する。ここでシフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の相対位置が変動する場合、ホイストスイッチ33の誤操作の機会が増えるため、ホイストスイッチ33の誤操作の抑制を図った本実施形態の構成は実益が大きい。
【0061】
本実施形態では、操作装置30は、幅方向においてホイストスイッチ33の側方に位置する側壁部71,72を備える。
そのため、操縦者がホイストスイッチ33以外のレバー等を操作する場合、ホイストスイッチ33に幅方向側方から右手が触れることを抑制することができる。したがって、ホイストスイッチ33の誤操作を抑制することができる。
本実施形態の場合、側壁部71,72は、ホイストスイッチ33の左側方に位置する左側壁部71と、ホイストスイッチ33の右側方に位置する右側壁部72と、で構成されている。そのため、操縦者がホイストスイッチ33以外のレバー等を操作する場合、ホイストスイッチ33に幅方向両側方から右手が触れることを抑制することができる。
例えば、操縦者がハンドル22の操作後に右手を不用意に右側方へ動かしても、右手はホイストスイッチ33の左側方にある左側壁部71で遮られるため、右手がホイストスイッチ33に不用意に触れることを抑制することができる。
本実施形態の場合、側壁部71,72の高さは、中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部62aの高さよりも高い。そのため、上方からのホイストスイッチ33の誤操作を抑制することができる。
【0062】
本実施形態では、幅方向から見て、側壁部71,72は、中立位置P0におけるホイストスイッチ33を覆うように配置されている。
そのため、中立位置P0にあるホイストスイッチ33に幅方向側方から右手が触れることをより効果的に抑制することができる。
【0063】
本実施形態では、ホイストスイッチ33は、中立位置P0から前方側に傾動した前傾位置P1および中立位置P0から後方側に傾動した後傾位置P2の間で幅方向に延びる回動軸線Oの回りに回動可能である。
この構成によれば、ホイストスイッチ33が前後方向に延びる回動軸線の回りに回動可能な場合と比較して、シフトレバー32の前方にあるホイストスイッチ33の操作性を確保しやすい。
【0064】
本実施形態では、後壁部70の上端は、ホイストスイッチ33の回動軸線Oよりも上方に位置する。
この構成によれば、後壁部70によってホイストスイッチ33のうちホイストスイッチ33の操作に寄与する部分(後部操作面62c)の少なくとも一部を後方から覆うことができる。したがって、ホイストスイッチ33の誤操作をより効果的に抑制することができる。
【0065】
本実施形態では、後壁部70は、ホイストスイッチ33の傾動軌跡K1の範囲外に配置されている。
この構成によれば、ホイストスイッチ33を傾動させる際にホイストスイッチ33が後壁部70に接触しない。すなわち、後壁部70はホイストスイッチ33の動作を阻害しない。したがって、ホイストスイッチ33の操作性を確保することができる。
【0066】
本実施形態では、前方位置PRにおけるシフトレバー32と後傾位置P2におけるホイストスイッチ33との前後方向L1の間隔は、少なくとも数10mm以上ある。この場合、該間隔L1が短い場合と比較して、ホイストスイッチ33の誤操作を抑制しやすい。
さらに、後方位置PDにおけるシフトレバー32と中立位置P0におけるホイストスイッチ33との前後方向の間隔L2は、少なくとも間隔L1よりも長く数10mm以下である。この場合、該間隔L2が手のひらの長さを考慮して設定されることで、小柄な女性でもホイストスイッチ33を操作しやすい。加えて、シフトレバー32のリバース位置PRよりも使用頻度が高いニュートラル位置P0及びドライブ位置PDにおいて、操縦者はシフトレバー32に右手の手のひらを置きながら右手の人差し指でホイストスイッチ33を操作することができる。
【0067】
本実施形態では、後壁部70の高さH3は、シフトレバー32の上面の高さH2よりも低い。
この構成によれば、後壁部70の高さH3がシフトレバー32の上面の高さH2以上の場合と比較して、シフトレバー32の前方にあるホイストスイッチ33の操作性を確保しやすい。
【0068】
本実施形態では、後壁部70は、前後方向から見たときに左右方向及び上下方向においてホイストスイッチ33およびシフトレバー32と重なる位置に配置されている。
そのため、シフトレバー32を中央位置PNから前方位置PRに移動させた場合、ホイストスイッチ33に後方から右手が触れることをより効果的に抑制することができる。
本実施形態では、ホイストスイッチ33は、前後方向から見たときに左右方向及び上下方向においてシフトレバー32と重なる位置に配置されている。そのため、シフトレバー32の操作後にシフトレバー32の前方にあるホイストスイッチ33を操作しやすい。したがって、ホイストスイッチ33の操作性を確保しつつホイストスイッチ33の誤操作を抑制することができる。
【0069】
本実施形態では、操作装置30は、ハンドル22の右側方に位置するバックモニタ25の下方近傍に配置されている。
そのため、操縦者は右手の手元を見ながら視線をわずかに動かすのみでバックモニタ25を視認することができる。例えば、操縦者は荷台6をホイスト動作させる際にダンプトラック1の車両後方の状況を確認したい場合、操作装置30を操作しつつ、バックモニタ25に映し出された車両後方の状況を容易に視認することができる。
【0070】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、ハンドル22の左側を車両幅方向一方側(左右方向一方側)、ハンドル22の右側を車両幅方向他方側(左右方向他方側)とし、当該ハンドル22の右側に操作装置30を配置した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、操作装置30をハンドル22の左側に配置してもよい。
【0071】
上述した実施形態では、ハンドル22が車両幅方向中央に配置されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ハンドル22は、車両幅方向一方側となる車両左側に配置されていてもよい。この場合、運転席21は車両左側に配置される。
【0072】
上述した実施形態では、シフトレバー32の前後方向の移動によって、シフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の相対位置が変動する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、シフトレバー32の前後方向の移動によって、シフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の相対位置が変動しない構成であってもよい。
【0073】
上述した実施形態では、シフトレバー32の移動範囲における中央位置PN、前方位置PR及び後方位置PDをニュートラル位置、リバース位置及びドライブ位置とする例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、シフトレバー32の移動範囲における中央位置PN、前方位置PR及び後方位置PDをニュートラル位置、ドライブ位置及びリバース位置としてもよい。この場合、シフトレバー32は、ニュートラル位置から後方側に移動したリバース位置およびニュートラル位置から前方側に移動したドライブ位置の間で移動可能である。なお、ドライブ位置は、後方位置PDに加えて、複数の変速段を切り換えて設定できるようにしてもよい。
【0074】
上述した実施形態では、ホイストスイッチ33が中立位置P0にある場合、前傾位置P1にある場合及び後傾位置P2にある場合のそれぞれを中立状態、荷台6を下降可能な状態及び荷台6を上昇可能な状態に対応する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ホイストスイッチ33が中立位置P0にある場合、前傾位置P1にある場合及び後傾位置P2にある場合のそれぞれを中立状態、荷台6を上昇可能な状態及び荷台6を下降可能な状態に対応するものとしてもよい。すなわち、ホイストスイッチ33の前傾動作及び後傾動作に伴って荷台6の昇降を可能とする動作が実施形態とは逆であってもよい。
【0075】
上述した実施形態では、ガード部36は、装置本体31と同一の部材で一体に形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ガード部36は、装置本体31と異なる部材で一体に形成されていてもよい。この場合、装置本体31とは別個に製造したガード部としてのガード部材を装置本体31に取り付ける。
【0076】
上述した実施形態では、中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部62aの高さH1は、シフトレバー32の上面の高さH2よりも高い例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、中立位置P0におけるホイストスイッチ33の頂部62aの高さH1がシフトレバー32の上面の高さH2以下であってもよい。
【0077】
上述した実施形態では、シフトレバー32の上面は、操縦者の手のひらを載置可能な面積の載置面部51aを有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、シフトレバー32の上面は、操縦者の手のひらを載置可能な面積を有しなくてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、シフトレバー32は、水平面に沿う前後方向に移動可能である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、シフトレバー32は、水平面に対して斜めに交差する方向に移動可能であってもよい。例えば、シフトレバー32は、幅方向(前後方向に直交する方向)に延びる回動軸線の回りに回動可能(円弧移動可能)であってもよい。
【0079】
上述した実施形態では、操作装置30は、幅方向においてホイストスイッチ33の側方に位置する側壁部71,72を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、操作装置30は、側壁部71,72を備えなくてもよい。すなわち、操作装置30は、ガード部36として後壁部70のみを備えていてもよい。
【0080】
上述した実施形態では、ホイストスイッチ33は、中立位置P0から前方側に傾動した前傾位置P1および中立位置P0から後方側に傾動した後傾位置P2の間で幅方向に延びる回動軸線Oの回りに回動可能である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ホイストスイッチ33は、上方から押圧可能なボタン式であってもよい。この場合、後壁部70の上端は、ボタンの被操作面(例えばボタンの上面)よりも上方に配置される。
【0081】
上述した実施形態では、後壁部70の高さH3は、シフトレバー32の上面の高さH2よりも低い例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、後壁部70の高さH3は、シフトレバー32の上面の高さH2以上であってもよい。
【0082】
上述した実施形態では、後壁部70は、スイッチノブ61が突出する方向を短手方向とするとともに、幅方向を長手方向とする矩形状をなしている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、後壁部70は、スイッチノブ61が突出する方向に延びる棒状をなしていてもよい。すなわち、後壁部70は、シフトレバー32とホイストスイッチ33との前後方向の間の空間を仕切る仕切り部として機能すればよい。
【0083】
上述した実施形態では、作業車両の一例としてアーティキュレート式のダンプトラック1に本発明を適用した例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、リジットフレーム式のダンプトラック等の他の作業車両に本発明を適用してもよい。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…ダンプトラック(作業車両)、6…荷台、22…ハンドル、25…バックモニタ、30…操作装置、32…シフトレバー(変速指示部)、33…ホイストスイッチ(昇降指示部)、51a…載置面部、70…後壁部(仕切り部)、71…左側壁部(側方仕切り部)、72…右側壁部(側方仕切り部)、O…回動軸線、PN…中央位置、PR…前方位置、PD…後方位置、P0…中立位置、P1…前傾位置、P2…後傾位置、K1…傾動軌跡、L1…前方位置におけるシフトレバーと後傾位置におけるホイストスイッチとの前後方向の間隔、L2…後方位置におけるシフトレバーと中立位置におけるホイストスイッチとの前後方向の間隔、H1…中央位置におけるホイストスイッチの頂部の高さ、H2…シフトレバーの上面の高さ、H3…後壁部の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8