(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】小型二次電池の充放電検査装置及びその充放電検査方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20231109BHJP
G01R 31/364 20190101ALI20231109BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231109BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H01M10/42 A
G01R31/364
H01M10/42 P
H01M10/44 P
H02J7/00 301B
(21)【出願番号】P 2019170358
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】松永 哲也
(72)【発明者】
【氏名】三浦 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】中野 剛志
(72)【発明者】
【氏名】外村 仁
(72)【発明者】
【氏名】田口 秀樹
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-163743(JP,A)
【文献】特開2016-099337(JP,A)
【文献】特開2016-080445(JP,A)
【文献】実開昭61-032969(JP,U)
【文献】特開平06-342009(JP,A)
【文献】特開2012-002796(JP,A)
【文献】特開2007-080812(JP,A)
【文献】特開2013-077486(JP,A)
【文献】特開2004-117215(JP,A)
【文献】米国特許第04451791(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R1/06-1/073
G01R31/36-31/44
H01M10/05-10/0587
H01M10/36-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な小型の二次電池を搬送トレイに多数収容した状態で充放電検査する小型二次電池の充放電検査装置であって、
前記搬送トレイに対して相対的に昇降可能な支持プレートと、
前記支持プレートにその両側を突出させた状態で多数設けられ、前記各二次電池の正極及び負極にその一端部がそれぞれ接続可能な第1、第2の充放電プローブと、
前記支持プレートの前記搬送トレイとは反対側に配置され、前記第1、第2の充放電プローブの他端部に接続される充放電電源とを有
し、
前記充放電電源は電源基板に取付けられ、該電源基板に設けられた基板端子に、前記第1、第2の充放電プローブの他端部が当接可能となり、
前記基板端子と前記充放電電源とが、前記電源基板に形成した配線で接続されることを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の小型二次電池の充放電検査装置において、前記搬送トレイを載置可能な昇降台を有し、前記搬送トレイを前記支持プレートに対して昇降させることを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の小型二次電池の充放電検査装置において、前記第1、第2の充放電プローブは、前記支持プレートに弾性部材を介して設けられ、前記第1、第2の充放電プローブが前記支持プレートに対してその軸心方向に移動可能になっていることを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の小型二次電池の充放電検査装置において、
前記電源基板に前記充放電電源が取付け取外し可能になって、
前記支持プレートと前記電源基板が電源ボックスに収容され、該電源ボックスを内部に搬入又は内部から搬出することを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項5】
請求項
1~4
のいずれか1項に記載の小型二次電池の充放電検査装置において、前記第1、第2の充放電プローブと前記二次電池との位置決めを行う位置決め手段が設けられ、
前記位置決め手段は、前記電源基板に、該電源基板の下方に突出して設けられた複数の位置決めピンと、該位置決めピンが挿通される前記支持プレートに形成された貫通孔と、前記搬送トレイに設けられ、前記貫通孔を貫通した前記位置決めピンの下部が挿入する位置決め用孔とで構成されていることを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の小型二次電池の充放電検査装置において、前記二次電池はSMD型であることを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の小型二次電池の充放電検査装置において、前記支持プレートには、前記二次電池を前記搬送トレイに抑え付け可能な押圧部が設けられていることを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項8】
請求項7記載の小型二次電池の充放電検査装置において、前記押圧部の先側には、下方へ向けて傾斜したスライド部が設けられ、前記二次電池を前記搬送トレイに抑え付けた際に、前記スライド部により前記二次電池を前記搬送トレイ上で摺動させることを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項9】
請求項7又は8記載の小型二次電池の充放電検査装置において、前記押圧部は通電性を備えた材質で構成され、該押圧部が前記二次電池の絶縁性を備えた部分に接触したことを確認できることを特徴とする小型二次電池の充放電検査装置。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の小型二次電池の充放電検査装置を用いた充放電検査方法であって、前記押圧部により前記二次電池を前記搬送トレイに抑え付けた後、前記支持プレートと前記搬送トレイの間に向けて送風ファンによる送風を行って、前記二次電池を充放電検査し、
前記二次電池を充放電検査した後、前記送風ファンによる送風を停止し、所定の時間経過後、前記押圧部による前記二次電池の抑え付けを解除することを特徴とする小型二次電池の充放電検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能な小型の二次電池を搬送トレイに多数収容した状態で充放電検査(充放電試験)する小型二次電池の充放電検査装置及びその充放電検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、充放電可能な二次電池(以下、単に電池とも記載)は、IoT機器等で使用するため小型化されており、その生産数も増加している。
この電池の製造においては、従来の充放電用電池と同様、製造した電池の充放電検査を行い、電池が所定の性能や特性を満たしているか否かを検査してから出荷している。この充放電検査は、充放電検査装置の充放電プローブを二次電池に接触(コンタクト)させることで行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、小型の二次電池を多数同時に充放電検査する場合、二次電池に接触させるための充放電プローブが多数必要となり、この充放電プローブを充放電電源に接続するための配線が膨大となる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で多数の小型の二次電池を同時に充放電検査できる小型二次電池の充放電検査装置及びその充放電検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る小型二次電池の充放電検査装置は、充放電可能な小型の二次電池を搬送トレイに多数収容した状態で充放電検査する小型二次電池の充放電検査装置であって、
前記搬送トレイに対して相対的に昇降可能な支持プレートと、
前記支持プレートにその両側を突出させた状態で多数設けられ、前記各二次電池の正極及び負極にその一端部がそれぞれ接続可能な第1、第2の充放電プローブと、
前記支持プレートの前記搬送トレイとは反対側(背面側)に配置され、前記第1、第2の充放電プローブの他端部に接続される充放電電源とを有する。
【0007】
第1の発明に係る小型二次電池の充放電検査装置において、前記搬送トレイを載置可能な昇降台を有し、前記搬送トレイを前記支持プレートに対して昇降させることができる。
【0008】
第1の発明に係る小型二次電池の充放電検査装置において、前記第1、第2の充放電プローブは、前記支持プレートに弾性部材を介して設けられ、前記第1、第2の充放電プローブが前記支持プレートに対してその軸心方向に移動可能になっていることが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る小型二次電池の充放電検査装置において、前記支持プレートの前記搬送トレイとは反対側には、前記第1、第2の充放電プローブの他端部が当接可能な電源基板が配置され、該電源基板に前記充放電電源が取付け取外し可能になっていることが好ましい。
【0010】
第1の発明に係る小型二次電池の充放電検査装置において、前記第1、第2の充放電プローブと前記二次電池との位置決めを行う位置決め手段が設けられ、
前記位置決め手段は、前記電源基板に、該電源基板の下方に突出して設けられた複数の位置決めピンと、該位置決めピンが挿通される前記支持プレートに形成された貫通孔と、前記搬送トレイに設けられ、前記貫通孔を貫通した前記位置決めピンの下部が挿入する位置決め用孔とで構成されていることが好ましい。
【0011】
第1の発明に係る小型二次電池の充放電検査装置において、前記二次電池がSMD型である場合に本発明の効果がより顕著になる。
【0012】
第1の発明に係る小型二次電池の充放電検査装置において、前記支持プレートには、前記二次電池を前記搬送トレイに抑え付け可能な押圧部が設けられていることが好ましい。
ここで、前記押圧部の先側には、下方へ向けて傾斜したスライド部が設けられ、前記二次電池を前記搬送トレイに抑え付けた際に、前記スライド部により前記二次電池を前記搬送トレイ上で摺動させることが好ましい。
なお、前記押圧部が通電性を備えた材質で構成され、該押圧部が前記二次電池の絶縁性を備えた部分に接触したことを確認できることが好ましい。
【0013】
前記目的に沿う第2の発明に係る小型二次電池の充放電検査方法は、第1の発明に係る小型二次電池の充放電検査装置を用いた充放電検査方法であって、前記押圧部により前記二次電池を前記搬送トレイに抑え付けた後、前記支持プレートと前記搬送トレイの間に向けて送風ファンによる送風を行って、前記二次電池を充放電検査し、
前記二次電池を充放電検査した後、前記送風ファンによる送風を停止し、所定の時間経過後、前記押圧部による前記二次電池の抑え付けを解除する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る小型二次電池の充放電検査装置及びその充放電検査方法は、搬送トレイに対して相対的に昇降可能な支持プレートに第1、第2の充放電プローブを多数設け、この支持プレートの搬送トレイとは反対側に、第1、第2の充放電プローブに接続される充放電電源を配置するので、従来のように配線を用いることなく、充放電電源と二次電池とを接続できる。
従って、簡単な構成で多数の小型の二次電池を同時に充放電検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る小型二次電池の充放電検査装置の使用状態の説明図である。
【
図2】同小型二次電池の充放電検査装置の充放電プローブと搬送トレイとの位置関係を示す斜視図である。
【
図3】変形例に係る充放電検査装置の充放電プローブと搬送トレイの載置トレイとの位置関係を示す斜視図である。
【
図5】変形例に係る載置トレイの部分拡大斜視図である。
【
図6】他の変形例に係る載置トレイの部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1、
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る小型二次電池の充放電検査装置(以下、単に充放電検査装置とも記載)10は、充放電可能な小型の二次電池11を搬送トレイ12に多数収容した状態で充放電検査する装置である。なお、
図1では、充放電検査装置10へ搬送トレイ12を搬入する方向、及び、充放電検査装置10から搬送トレイ12を搬出する方向を前後方向とし、これと直交する方向を左右方向(幅方向)とする。また、
図2では、説明の便宜上、二次電池11と、後述する第1、第2の充放電プローブ22、23、カードエッジコネクタ32、充放電電源33、及び、固定穴54の全部を図示することなく、その一部のみを図示している。
【0017】
充放電検査装置10で充放電検査する二次電池11は、SMD型(表面実装型)の全固体電池であり、直方体状となって、その一辺が、例えば、20mm以下(10mm以下でもよく、更には5mm以下でもよい)程度の小型のものである。この二次電池は、小型のものであれば形状や種類は特に限定されるものではなく、例えば、その形状は、薄板状、円盤状、立方体状、円柱状等でもよい。
1つの搬送トレイ12に収容される二次電池11の個数は、特に限定されるものではないが、例えば、100個以上、好ましくは500個以上、更に好ましくは1000個以上である。一方、上限値は、例えば、10000個程度にできる。
【0018】
充放電検査装置10は、1つの搬送トレイ12に収容された多数の二次電池11を同時に充放電検査するものであり、例えば、充放電検査設備の左右方向、及び/又は、上下方向に設けられた複数の検査ステージ13のそれぞれに、充放電検査装置10を格納して使用できる。
この充放電検査装置10は、
図1に示すように、平面視して長方形状(又は正方形状)のベース台14と、このベース台14に立設された複数の支柱15と、搬送トレイ12を載置する昇降台16と、この昇降台16を昇降させる複数の昇降手段17と、支柱15の上端部に設けられた支持プレート18とを有している。
以下、詳しく説明する。
【0019】
支柱15は、ベース台14の四隅部に立設配置され、ベース台14に対して支持プレート18の高さ位置を固定するものである。
昇降台16は、ベース台14の左側と右側にそれぞれ配置された対となる昇降板部19、20で構成され、この昇降板部19、20が、搬送トレイ12をその両側から支持して、昇降台16上に搬送トレイ12を載置するものである。なお、
図1中の符号21は、昇降台16を所定の高さ位置に支持する支持台である。
昇降手段17は、例えば、上下方向に進退駆動するエアシリンダー(油圧シリンダーでもよい)であり、平面視してベース台14の左右方向両側の前後方向中央位置(2つの支柱15の間)に対となって配置されている。この昇降手段17のシリンダチューブ17a(基部:上部)は支持プレート18が下面に固定された電源基板31に取付け固定され、ピストンロッド17b(先部:下部)は昇降板部19、20に取付け固定され、対となる昇降板部19、20を支持プレート18(電源基板31)に対して同時に昇降させることができる(同期駆動させることができる)。
なお、昇降手段17をベース台14上に立設配置し(シリンダチューブ17aをベース台14に取付け固定し)、ピストンロッド17bを昇降板部19、20に取付け固定することもでき、また、昇降台が1つであれば昇降手段は1個でもよい。
【0020】
支持プレート18には、棒状の第1、第2の充放電プローブ22、23が対となって、その両側を突出させた状態で多数設けられている。この第1、第2の充放電プローブ22、23は二次電池11を充放電検査するものであり、電圧測定機能も有している。
第1の充放電プローブ22は、その下端部(一端部)が二次電池11の正極に当接可能なものであり、第2の充放電プローブ23は、その下端部(一端部)が二次電池11の負極に当接可能なものである。このため、1個の支持プレート18に設けられる第1、第2の充放電プローブ22、23の本数は、第1、第2の充放電プローブ22、23を一組として、1個の搬送トレイ12に収容される二次電池11の最大個数と同じにしている。
【0021】
支持プレート18は、
図2に示すように、樹脂製の2枚の板材24で構成され、各板材24にザグリ加工を施し、形成された穴の大径部25が向き合うように2枚の板材24を貼り合わせることで、空間部26を形成している。この空間部26には、第1、第2の充放電プローブ22、23の軸心方向中央に設けられた拡径部(拡幅部)27が配置され、第1、第2の充放電プローブ22、23の軸心方向両側が、支持プレート18の小径部28を介してその厚み方向両側に突出した状態となっている。
なお、空間部26内では、第1、第2の充放電プローブ22、23の拡径部27がその軸心方向に隙間29、30を有した状態で配置される。
【0022】
この空間部26内の隙間29、30には、図示しないばね材(弾性部材の一例)がそれぞれ収容配置されている。これにより、第1、第2の充放電プローブ22、23が支持プレート18に対してその軸心方向に往復移動可能になって、二次電池11に対する第1、第2の充放電プローブ22、23の接触圧力と、支持プレート18の背面側(搬送トレイ12とは反対側)に配置される電源基板31に対する第1、第2の充放電プローブ22、23の接触圧力を、それぞれ調整できる。
なお、ばね材は、第1、第2の充放電プローブ22、23の拡径部27の軸心方向片側(上側の隙間29又は下側の隙間30)のみに配置することもできる。
また、上記したばね材を用いることなく、例えば、両側駆動もしくは片側駆動の従来公知の第1、第2の充放電プローブ(弾性部材を備えた)を支持プレートに設けて、上記した動作を行うこともできる。
【0023】
電源基板31は、支柱15の上端部に取付け固定されている(支持プレート18は電源基板31を介して支柱15に設けられている)。
この電源基板31の上面には、複数のカードエッジコネクタ32が設けられ、充放電電源33が取付け取外し可能になっているので、メンテナンス性を良好にできる。また、電源基板31の下面には、基板端子34が設けられ、第1、第2の充放電プローブ22、23の上端部(他端部)が当接可能になっている。これにより、第1、第2の充放電プローブ22、23の上端部が充放電電源33に接続されることになる。
このカードエッジコネクタ32と基板端子34は、1個の充放電電源33に複数の二次電池11が並列接続されるように、電源基板31に形成した配線で接続されている。
なお、支持プレートと電源基板は、支柱に対して着脱可能にすることもできる。具体的には、支持プレートと電源基板が収容された電源ボックス(メンテナンス用)を、ベース台の左側の支柱の上部に設けられた固定部と、ベース台の右側の支柱の上部に設けられた固定部に、着脱可能にするのがよく、特に、各固定部に、ベース台の前後方向に沿ってガイドレールを取付け、搬送トレイ12の搬入側及び搬出側とは反対側(充放電検査装置10の奥側)から、電源ボックスを、充放電検査装置10内へ搬入又は充放電検査装置10内から搬出することもできる。
【0024】
電源基板31には、その下方に突出した複数の円柱状の位置決めピン35が設けられ、この位置決めピン35が、支持プレート18に形成された断面円形の位置決めピン用の貫通孔36を貫通し、その下部を下方へ突出させている。なお、支持プレート18は電源基板31の下側に、その相対位置がずれないように取付け固定されている。
これにより、支持プレート18と電源基板31を一体化できると共に、電源基板31の基板端子34と第1、第2の充放電プローブ22、23との接触を確実に実施できる。
なお、第1、第2の充放電プローブ22、23は、電源基板31の基板端子34とは隙間を有した状態で配置され、当接可能となっているが、当接させた状態(接触状態)でもよい。
【0025】
充放電検査装置10には、
図1に示すように、OPCサーバを備えた充放電制御部(充放電PC)37と、昇降台16の高さ位置を検出するセンサ38と、昇降手段17を操作する電磁弁39が設けられている。
これにより、充放電制御部37は、センサ38の情報(昇降台16の高さ位置)をPLC40を介して読み取ることができ、また、センサ38の情報を基に、充放電制御部37の指令によってPLC40の信号で電磁弁39(昇降手段17)を操作して、昇降台16を昇降させることができる。
【0026】
なお、充放電検査装置10には、充放電検査を行う際に発生する熱エネルギーが二次電池11に干渉することを抑制、更には防止するための送風ファン(図示しない)が設けられている。
この送風ファンは、例えば、充放電検査装置10の奥側(後ろ側)に配置して、支持プレート18と搬送トレイ12の間を奥側から手前側(前側)へかけて送風することができ、また、充放電検査装置10の左右方向の両側又は片側に配置して、左側から右側又は右側から左側へかけて送風することもできる。なお、送風ファンの設置台数は、特に限定されるものではなく、1台又は2台以上の複数台でもよい。
【0027】
充放電検査装置10で使用する搬送トレイ12は、二次電池11を多数収容した状態で、充放電検査装置10への搬入と充放電検査装置10からの搬出を行うためのものであり、この多数の二次電池11を同時に充放電検査装置10で充放電検査するために使用可能なものである。なお、搬送トレイ12は、他の用途、例えば、二次電池11の受け入れや出荷、他の検査、管理等に使用することもできる。
以下、詳しく説明する。
【0028】
搬送トレイ12は、台座トレイ50と、この台座トレイ50上に配置される複数(ここでは4個)の載置トレイ51とを有している。
台座トレイ50は平面視して正方形状又は長方形状となって、その下側には、下方へ向けて開口した断面凹状の挿入部52が形成され、例えば、スタッカクレーン(搬送手段)のフォーク(爪部)を挿入部52に差し込むことで、搬送トレイ12を搬送可能な構成となっている。なお、挿入部の形成位置や数は、例えば、搬送トレイの大きさや使用するスタッカクレーンの種類等に応じて種々変更できる。
【0029】
台座トレイ50の上側には、平面視して正方形状又は長方形状の凹部53が複数(ここでは、載置トレイ51の個数と同じ4個)形成され、この凹部53内に載置トレイ51がそれぞれ配置されている。このため、載置トレイ51同士は干渉しない構造となっている。
凹部53の底面と載置トレイ51の裏面とは互いに接触し、載置トレイ51が、凹部53の底面に沿って凹部53内を移動可能(摺動可能)になっている。なお、載置トレイ51の移動をスムーズに行うため、凹部53の底部及び/又は載置トレイ51の裏面部を、潤滑性のある材料で構成してもよく、また、凹部53の底面と載置トレイ51の裏面との間に潤滑材を配置してもよい。
この凹部53の内幅は、載置トレイ51の移動範囲に応じて設定できるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、載置トレイ51の外幅よりも20mm以下、好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下の範囲で広くする(あそびを設ける)のがよい。
【0030】
載置トレイ51には、平面視して長方形状の固定穴54が多数形成され、この固定穴54に二次電池11を収容配置できる構成となっている。この固定穴54の形状は、二次電池11の輪郭に対応した形状であり、その内幅は、収容する二次電池11の側面とは僅少の隙間を有する程度(固定穴54内で二次電池11の位置がずれない程度)の大きさになっている。
なお、1つの載置トレイ51に形成する固定穴54の数は、収容する二次電池11の最大個数に対応し、特に限定されるものではないが、例えば、50個以上、好ましくは150個以上、更に好ましくは300個以上にすることができる。一方、上限値は、例えば、1000個程度にできる。
【0031】
載置トレイ51の4隅部のうち、その対角位置となる2つの隅部に位置決め用孔55(貫通した孔であるが有底の穴でもよい)が設けられている。
この位置決め用孔55は断面円形となって、前記した貫通孔36を貫通した位置決めピン35の下部が挿入されるものであり、この位置決め用孔55に位置決めピン35の下部が挿通されることで、支持プレート18に対する載置トレイ51の位置、即ち、第1、第2の充放電プローブ22、23に対する二次電池11の位置を調整(位置決め)できる(平面視して、第1、第2の充放電プローブ22、23が二次電池11の正極及び負極に重なるように調整できる)。従って、位置決め用孔の個数や配置位置は、この位置調整ができる構成であれば、特に限定されるものではない。
【0032】
この位置調整がなされた状態では、位置決めピン35の下面は位置決め用孔55内の高さ方向の途中に位置する(台座トレイ50の凹部53の底面に接触しない位置)。
この位置調整は、支持プレート18に対して搬送トレイ12を上昇させる際に、位置決め用孔55に位置決めピン35が進入することで実施できるため、位置決めピン35の先部(下部)を先細り形状にするのがよく、また、位置決め用孔55の上側を上方に向けて拡径するテーパ状にするのがよい。
なお、上記した位置決め用孔55と貫通孔36と位置決めピン35で位置決め手段が構成されているが、第1、第2の充放電プローブ22、23に対する二次電池11の位置を調整できれば、位置決め手段の構成は特に限定されるものではなく、例えば、支持プレートに設けられた位置決めピンと載置トレイ(搬送トレイ)に設けられた位置決め用孔で構成することもできる。
【0033】
上記した載置トレイ51の代わりに、
図3に示す載置トレイ60を使用することもできる。なお、載置トレイ60の構成は、基本的には載置トレイ51と同様であるため、
図3においては載置トレイの全体を図示することなく、その一部のみを図示している。
載置トレイ60は、トレイ本体61と、トレイ本体61の裏面側に取付け固定される樹脂製の端子基板62とを有している。トレイ本体61には、二次電池11の輪郭に対応した断面長方形状の貫通孔63と、この貫通孔63の隣接位置に形成された断面円形の2つの貫通孔64、65が形成されている。このトレイ本体61の裏面に端子基板62を取付け固定することで、各貫通孔63~65の底が塞がれ、固定穴66(固定穴54に相当)と第1、第2の通電穴67、68が形成される。
【0034】
図3、
図4に示すように、固定穴66の底面となる端子基板62の表面には、二次電池11の正極及び負極がそれぞれ当接可能な正極当接部69及び負極当接部70が、金メッキにより形成されている。この正極当接部69と負極当接部70は離れて、絶縁状態になっている。
この正極当接部と負極当接部の表面は平滑であるが、例えば、表面が凹凸状になった端子を正極当接部及び負極当接部として端子基板に実装することで、二次電池11の正極及び負極との接触を更に安定させることができる。
また、第1、第2の通電穴67、68の底面となる端子基板62の表面には、第1、第2の充放電プローブ22、23がそれぞれ当接可能な正極端子部71及び負極端子部72が、金メッキにより形成されている。この正極端子部71と負極端子部72は、二次電池11の正極及び負極の最小幅よりも幅広に形成されている。
【0035】
上記した正極当接部69と正極端子部71は第1の導通部73で、負極当接部70と負極端子部72は第2の導通部74で、それぞれ接続されている。これにより、正極当接部69と正極端子部71は第1の導通部73によって通電可能となり、負極当接部70と負極端子部72は第2の導通部74によって通電可能となる。
上記した構成により、第1、第2の充放電プローブ22、23を二次電池11の正極及び負極に直接接触させることなく、正極端子部71と負極端子部72を介して間接的に充放電検査を実施できる。このため、第1、第2の充放電プローブ22、23の二次電池11への接触領域が狭くても(二次電池11が特に小型の場合でも)、充放電検査を確実に実施できる。また、充放電検査を行う二次電池の形状が変わっても、充放電検査装置の構成を変更することなく、トレイ本体の形状(二次電池を収容配置する貫通孔の形状)を変更するのみで、充放電検査を実施できる。
【0036】
なお、二次電池11は、正極と負極の各部分の厚みが、正極と負極の間の絶縁部分よりも厚く形成された構成であるため、正極と正極当接部69との接触、及び、負極と負極当接部70との接触が容易である。しかし、二次電池11は端子基板62側に押圧されないため、二次電池11の正極と正極当接部69との接触、及び、負極と負極当接部70との接触を、確実に実施できない場合もある。
この場合、第1、第2の充放電プローブ22、23が設けられた支持プレート18に更に、その下方に突出した抑えピン(押圧部の一例)75を多数設け、この抑えピン75で二次電池11の絶縁部分を上方から押圧し、二次電池11を搬送トレイ12に抑え付ける。なお、抑えピン75も、ばね材(弾性部材)を介して支持プレート18に設けることが好ましい。
【0037】
また、抑えピン75の代わりに、
図5に示す抑えピン(押圧部の一例)76を使用することもできる。この抑えピン76は、その先側(下側)に、水平部77と、この水平部77に連続する下方へ向けて傾斜したスライド部78とを有し、二次電池11を抑え付けた際に、二次電池11をスライド部78によって水平方向に移動させた後、水平部77によって抑え付け固定するものである。このため、
図5に示す固定穴79のように、その形状を、二次電池11が移動可能な程度に二次電池11の輪郭よりも大きく形成し(少なくとも二次電池11のスライド方向に大きくし)、スライド部78が進入可能な補助凹部80を設ける。
更に、この抑えピン76の代わりに、
図6に示す抑えピン(押圧部の一例)76aを使用することもできる。この抑えピン76aは、その先側(下側)に、二股に分かれた傾斜したスライド部78aを有し、この対向するスライド部78aの間隔が、下方へ向けて徐々に広がっている。なお、対向するスライド部78aの間隔は、スライド部78aの下端位置で、二次電池11のスライド方向の幅より大きくなっており、スライド部78aの上端位置で、二次電池11のスライド方向の幅と同等又は小さくなっている。
このため、
図6に示す固定穴79aのように、その形状を、二次電池11が移動可能な程度に二次電池11の輪郭よりも大きく形成し(少なくとも二次電池11のスライド方向に大きくし)、二次電池11の移動方向両側にスライド部78aがそれぞれ進入可能な補助凹部80、80aを設ける。
これにより、二次電池11の正極及び負極が、正極当接部69及び負極当接部70の表面を擦りながら移動(摺動)するため、正極当接部69や負極当接部70の表面に形成された酸化皮膜を除去でき、正極及び負極と正極当接部69及び負極当接部70との接触性の向上を図ることができる。
【0038】
上記した抑えピン75(抑えピン76、76aも同様)は樹脂製の絶縁性を備えた材質で構成されているが、通電性(金属製)を備えた材質で構成することもできる。
この場合、抑えピンに、例えば、従来公知のスイッチ付プローブ等を使用して、二次電池の樹脂製の絶縁性を備えた材質(即ち、正極と負極を除く部分)に対し、抑えピンの接触を確認することができる。
【0039】
続いて、小型二次電池の充放電検査方法について、
図1、
図2を参照しながら説明する。
搬送トレイ12は、スタッカクレーンによって、検査ステージ13に配置された充放電検査装置10に自動で搬入され、搬送トレイ12が昇降台16上に載置される。この搬送トレイ12の載置トレイ51には、多数の二次電池11が収容配置されている。
【0040】
次に、充放電制御部37の指令によってPLC40の信号で電磁弁39(昇降手段17)を操作して、搬送トレイ12を支持プレート18に向けて上昇させる。このとき、電源基板31に設けられた位置決めピン35が貫通孔36を介して位置決め用孔55に挿入され、位置決めピン35に対する載置トレイ51内の二次電池11の配列が、前後左右で正確な位置に決定される。
更に搬送トレイ12が上昇すると、位置決めピン35に対して正確な位置に配列された第1、第2の充放電プローブ22、23と、二次電池11の正極及び負極とがそれぞれコンタクトされ、昇降手段17は、第1、第2の充放電プローブ22、23のストローク(ばね圧)と、二次電池11の正極及び負極との接触圧力の関係から決定した上昇位置で停止する。これにより、第1、第2の充放電プローブ22、23と二次電池11の正極及び負極とは、最適な接圧条件となる。
【0041】
第1、第2の充放電プローブ22、23と二次電池11の正極及び負極とのコンタクト完了通知を、PLC40から充放電制御部37が読み取ると、予め設定した充放電検査のフローに従って充放電電源33が駆動し、二次電池11の充放電検査を完了させる。
この充放電検査においては、送風ファンを駆動させて、熱エネルギーが二次電池11に干渉することを抑制、更には防止する。しかし、
図3、
図4に示す載置トレイ60では、第1、第2の充放電プローブ22、23が正極端子部71及び負極端子部72に接触することから、二次電池11を抑えピン75で載置トレイ60に抑え付け、支持プレート18と載置トレイ60の間に向けて送風ファンによる送風を行う。これにより、送風によって二次電池11が載置トレイ60から飛び出すことを防止できる。
【0042】
上記した充放電試験が終了した後は、送風ファンによる送風を停止し、所定の時間(例えば、数秒程度)経過後、搬送トレイ12が降下する。これにより、抑えピン75による二次電池11の抑え付けを解除する。
そして、搬送トレイ12は、スタッカクレーンによって、充放電検査装置10から自動で搬出される。
以上の操作を、予め設定されたプログラムに基づいて、各搬送トレイ12に対し順次行う。これにより、簡単な構成で多数の小型の二次電池を同時に充放電検査できる。
なお、充放電検査が終了した二次電池11は、例えば、搬送トレイ12に収容配置された状態で搬出できる。また、搬送トレイ12からの二次電池11の取出しは、例えば、吸引手段等を用いて実施できる。
【0043】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の小型二次電池の充放電検査装置及びその充放電検査方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、搬送トレイを支持プレートに対して昇降させる場合について説明したが、支持プレートを搬送トレイに対して昇降させることもできる。
【符号の説明】
【0044】
10:小型二次電池の充放電検査装置、11:二次電池、12:搬送トレイ、13:検査ステージ、14:ベース台、15:支柱、16:昇降台、17:昇降手段、17a:シリンダチューブ、17b:ピストンロッド、18:支持プレート、19、20:昇降板部、21:支持台、22:第1の充放電プローブ、23:第2の充放電プローブ、24:板材、25:大径部、26:空間部、27:拡径部、28:小径部、29、30:隙間、31:電源基板、32:カードエッジコネクタ、33:充放電電源、34:基板端子、35:位置決めピン、36:貫通孔、37:充放電制御部、38:センサ、39:電磁弁、40:PLC、50:台座トレイ、51:載置トレイ、52:挿入部、53:凹部、54:固定穴、55:位置決め用孔、60:載置トレイ、61:トレイ本体、62:端子基板、63~65:貫通孔、66:固定穴、67:第1の通電穴、68:第2の通電穴、69:正極当接部、70:負極当接部、71:正極端子部、72:負極端子部、73:第1の導通部、74:第2の導通部、75、76、76a:抑えピン(押圧部)、77:水平部、78、78a:スライド部、79、79a:固定穴、80、80a:補助凹部