IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

<>
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図1
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図2
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図3
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図4
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図5
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図6
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図7
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図8
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図9
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図10
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図11
  • 特許-人力駆動車用の制御装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20231109BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20231109BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B62M6/45
B60L15/20 Z
B60L9/18 J
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019182113
(22)【出願日】2019-10-02
(65)【公開番号】P2021054370
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】土澤 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 潤平
(72)【発明者】
【氏名】中倉 正裕
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-164836(JP,A)
【文献】特開2016-203813(JP,A)
【文献】特開2001-063678(JP,A)
【文献】特開2018-024416(JP,A)
【文献】特開平08-026170(JP,A)
【文献】特開平11-105776(JP,A)
【文献】特開平11-091678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/45
B60L 15/20
B60L 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、第1パラメータに基づいて前記モータの制御を行う第1制御状態と、前記第1制御状態における前記モータの制御を行わない第2制御状態とを、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて切り替えるように構成される、制御装置。
【請求項2】
前記第1パラメータは、前記人力駆動車に入力される人力駆動力を含む、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合、前記第1制御状態において前記モータを制御するように構成され、
前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合、前記第2制御状態において前記モータを制御するように構成される、請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記モータの回転速度が予め定める速度以下になるように前記モータを制御するように構成され、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記予め定める速度を変更するように構成される、制御装置。
【請求項5】
前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記予め定める速度は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記予め定める速度よりも大きい、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記人力駆動車のクランクの回転速度、前記人力駆動車に入力される人力駆動力のトルク、および、前記人力駆動車に入力される人力駆動力の仕事率の少なくとも1つが予め定める値以上になると、前記モータの出力が上昇しないように前記モータを制御するように構成され、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記予め定める値を変更するように構成される、制御装置。
【請求項7】
前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記予め定める値は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記予め定める値よりも大きい、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記人力駆動車のクランクが回転を開始してからのクランクの回転角度が予め定める角度以上になると前記モータが駆動するように前記モータを制御し、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記予め定める角度を変更するように構成される、制御装置。
【請求項9】
前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記予め定める角度は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記予め定める角度よりも小さい、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記モータは、前記人力駆動車の推進をアシスト可能に構成され、
前記制御部は、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御する、請求項4から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
第1パラメータが増加する場合、前記第1パラメータの変化に対する前記モータの出力の変化の応答速度が第1応答速度になるように前記モータを制御し、
前記第1パラメータが減少する場合、前記応答速度が第2応答速度になるように前記モータを制御し、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記第1応答速度を変更するように構成される、制御装置。
【請求項12】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
第1パラメータが減少する場合、前記第1パラメータの変化に対する前記モータの出力の変化の応答速度が第2応答速度になるように前記モータを制御し、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記第2応答速度を変更するように構成される、制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記第1パラメータが増加する場合、前記応答速度が第1応答速度になるように前記モータを制御し、
前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記第1応答速度を変更するように構成される、請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記第2応答速度は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記第2応答速度よりも小さい、請求項12または13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記第1応答速度は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記第1応答速度よりも大きい、請求項11または13に記載の制御装置。
【請求項16】
前記モータは、前記人力駆動車の推進をアシスト可能に構成され、
前記第1パラメータは、前記人力駆動車に入力される人力駆動力を含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記人力駆動車は、前記搬送部の連結状態を検出する連結状態検出部をさらに含み、
前記制御部は、前記連結状態検出部の検出状態に応じて前記モータを制御する、請求項1から16のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項18】
運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車のクランクの回転速度に対する車輪の回転速度の比率を変更する変速機を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車の走行状態および走行環境の少なくとも1つに基づいて前記変速機の制御を行う第3制御状態と、前記第3制御状態における前記変速機の制御を行わない第4制御状態とを、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて切り替えるように構成される、制御装置。
【請求項19】
前記人力駆動車は、前記搬送部の連結状態を検出する連結状態検出部をさらに含み、
前記制御部は、前記連結状態検出部の検出状態に応じて前記第3制御状態と前記第4制御状態とを切り替える、請求項18に記載の制御装置。
【請求項20】
前記搬送部に関する情報は、前記搬送部の種類、前記搬送部の形状、前記搬送部のサイズ、前記搬送部の年式、前記搬送部の最大積載量、前記搬送部への荷重状態、および、前記搬送部の重量情報の少なくとも1つを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項21】
前記搬送部の重量情報は、前記搬送部の重量、および、前記搬送部の総重量の少なくとも1つを含む、請求項20に記載の制御装置。
【請求項22】
前記搬送部の連結状態は、前記人力駆動車の第1連結部と前記搬送部の第2連結部との連結または非連結状態、前記第1連結部と前記第2連結部との間に作用する荷重、操作装置による連結モードと非連結モードとの切り替え、および、前記人力駆動車と前記搬送部との相対距離の少なくとも1つを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に搭載される電動コンポーネントを制御する人力駆動車用の制御装置が知られている。電動コンポーネントは、人力駆動車に取り付けられるモータを含む。従来の人力駆動車用の制御装置は、電動コンポーネントに含まれるモータを制御する。特許文献1は、従来の人力駆動車用の制御装置の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平10-511621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、人力駆動車の好適な走行に貢献できる人力駆動車用の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制御装置は、運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、第1パラメータに基づいて前記モータの制御を行う第1制御状態と、前記第1制御状態における前記モータの制御を行わない第2制御状態とを、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて切り替えるように構成される。
上記第1側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて第1制御状態と第2制御状態とを切り替えられるため、人力駆動車の好適な走行に貢献できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、前記第1パラメータは、前記人力駆動車に入力される人力駆動力を含む。
上記第2側面の制御装置によれば、第1制御状態において、人力駆動力に応じてモータを好適に制御できる。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合、前記第1制御状態において前記モータを制御するように構成され、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合、前記第2制御状態において前記モータを制御するように構成される。
上記第3側面の制御装置によれば、搬送部が人力駆動車に連結されている場合、第1パラメータに応じてモータを制御できる。
【0008】
本発明の第4側面に従う制御装置は、運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記モータの回転速度が予め定める速度以下になるように前記モータを制御するように構成され、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記予め定める速度を変更するように構成される。
上記第4側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、予め定める速度を変更できるため、人力駆動車の好適な走行に貢献できる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の制御装置において、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記予め定める速度は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記予め定める速度よりも大きい。
上記第5側面の制御装置によれば、搬送部が人力駆動車に連結されている場合、搬送部が人力駆動車に連結されていない場合よりもモータの回転速度を大きくできる。
【0010】
本発明の第6側面に従う制御装置は、運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車のクランクの回転速度、前記人力駆動車に入力される人力駆動力のトルク、および、前記人力駆動車に入力される人力駆動力の仕事率の少なくとも1つが予め定める値以上になると、前記モータの出力が上昇しないように前記モータを制御するように構成され、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記予め定める値を変更するように構成される。
上記第6側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、予め定める値を変更できるため、人力駆動車の好適な走行に貢献できる。
【0011】
前記第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記予め定める値は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記予め定める値よりも大きい。
上記第7側面の制御装置によれば、搬送部が人力駆動車に連結されている場合、搬送部が人力駆動車に連結されていない場合よりもモータの出力を大きくできる。
【0012】
本発明の第8側面に従う制御装置は、運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車のクランクが回転を開始してからのクランクの回転角度が予め定める角度以上になると前記モータが駆動するように前記モータを制御し、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記予め定める角度を変更するように構成される。
上記第8側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、予め定める角度を変更できるため、人力駆動車の好適な走行に貢献できる。
【0013】
前記第8側面に従う第9側面の制御装置において、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記予め定める角度は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記予め定める角度よりも小さい。
上記第9側面の制御装置によれば、搬送部が人力駆動車に連結されている場合、搬送部が人力駆動車に連結されていない場合よりも早期にモータを駆動できる。
【0014】
前記第4から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記モータは、前記人力駆動車の推進をアシスト可能に構成され、前記制御部は、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に応じて前記モータを制御する。
上記第10側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、モータによる人力駆動車の推進のアシストを制御できる。
【0015】
本発明の第11側面に従う制御装置は、運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、第1パラメータが増加する場合、前記第1パラメータの変化に対する前記モータの出力の変化の応答速度が第1応答速度になるように前記モータを制御し、前記第1パラメータが減少する場合、前記応答速度が第2応答速度になるように前記モータを制御し、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記第1応答速度を変更するように構成される。
上記第11側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、第1応答速度を変更できるため、人力駆動車の好適な走行に貢献できる。
【0016】
本発明の第12側面に従う制御装置は、運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車に取り付けられるモータを制御する制御部を備え、前記制御部は、第1パラメータが減少する場合、前記第1パラメータの変化に対する前記モータの出力の変化の応答速度が第2応答速度になるように前記モータを制御し、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記第2応答速度を変更するように構成される。
上記第12側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、第2応答速度を変更できるため、人力駆動車の好適な走行に貢献できる。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の制御装置において、前記制御部は、前記第1パラメータが増加する場合、前記応答速度が第1応答速度になるように前記モータを制御し、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、前記第1応答速度を変更するように構成される。
上記第13側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、第1応答速度を変更できる。
【0018】
前記第12または第13側面に従う第14側面の制御装置において、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記第2応答速度は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記第2応答速度よりも小さい。
上記第14側面の制御装置によれば、搬送部が人力駆動車に連結されている場合、搬送部が人力駆動車に連結されていない場合よりも人力駆動力が減少する場合のモータの出力の低下を抑制できる。
【0019】
前記第11または第13側面に従う第15側面の制御装置において、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されている場合の前記第1応答速度は、前記搬送部が前記人力駆動車に連結されていない場合の前記第1応答速度よりも大きい。
上記第15側面の制御装置によれば、搬送部が人力駆動車に連結されている場合、搬送部が人力駆動車に連結されていない場合よりも人力駆動力が増加する場合にモータの出力を早期に上昇できる。
【0020】
前記第11から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御装置において、前記モータは、前記人力駆動車の推進をアシスト可能に構成され、前記第1パラメータは、前記人力駆動車に入力される人力駆動力を含む。
上記第16側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて、モータによる人力駆動車の推進のアシストを制御できる。
【0021】
前記第1から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の制御装置において、前記人力駆動車は、前記搬送部の連結状態を検出する連結状態検出部をさらに含み、前記制御部は、前記連結状態検出部の検出状態に応じて前記モータを制御する。
上記第17側面の制御装置によれば、連結状態検出部の検出状態に応じて好適にモータを制御できる。
【0022】
本発明の第18側面に従う制御装置は、運転者着座部とは異なる搬送部を連結可能な人力駆動車に搭載される人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車のクランクの回転速度に対する車輪の回転速度の比率を変更する変速機を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記人力駆動車の走行状態および走行環境の少なくとも1つに基づいて前記変速機の制御を行う第3制御状態と、前記第3制御状態における前記変速機の制御を行わない第4制御状態とを、前記搬送部の連結状態および前記搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて切り替えるように構成される。
上記第18側面の制御装置によれば、搬送部の連結状態および搬送部に関する情報の少なくとも1つに応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替えられるため、人力駆動車の好適な走行に貢献できる。
【0023】
前記第18側面に従う第19側面の制御装置において、前記人力駆動車は、前記搬送部の連結状態を検出する連結状態検出部をさらに含み、前記制御部は、前記連結状態検出部の検出状態に応じて前記第3制御状態と前記第4制御状態とを切り替える。
上記第19側面の制御装置によれば、連結状態検出部の検出状態に応じて好適に第3制御状態と第4制御状態とを切り替えられる。
【0024】
前記第1から第19側面のいずれか1つに従う第20側面の制御装置において、前記搬送部に関する情報は、前記搬送部の種類、前記搬送部の形状、前記搬送部のサイズ、前記搬送部の年式、前記搬送部の最大積載量、前記搬送部への荷重状態、および、前記搬送部の重量情報の少なくとも1つを含む。
上記第20側面の制御装置によれば、搬送部の種類、搬送部の形状、搬送部のサイズ、搬送部の年式、搬送部の最大積載量、搬送部への荷重状態、および、搬送部の重量情報の少なくとも1つに応じた制御を実行できる。
【0025】
前記第20側面に従う第21側面の制御装置において、前記搬送部の重量情報は、前記搬送部の重量、および、前記搬送部の総重量の少なくとも1つを含む。
上記第21側面の制御装置によれば、搬送部の重量情報は、搬送部の重量、および、搬送部の総重量の少なくとも1つに応じた制御を実行できる。
【0026】
前記第1から第21側面のいずれか1つに従う第22側面の制御装置において、前記搬送部の連結状態は、前記人力駆動車の第1連結部と前記搬送部の第2連結部との連結または非連結状態、前記第1連結部と前記第2連結部との間に作用する荷重、操作装置による連結モードと非連結モードとの切り替え、および、前記人力駆動車の車体と前記搬送部との相対距離の少なくとも1つを含む。
上記第22側面の制御装置によれば、人力駆動車の第1連結部と搬送部の第2連結部との連結または非連結状態、第1連結部と第2連結部との間に作用する荷重、操作装置による連結モードと非連結モードとの切り替え、および、人力駆動車の車体と搬送部との相対距離の少なくとも1つに応じた制御を実行できる。
【発明の効果】
【0027】
本開示の人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車の好適な走行に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図。
図2】第1実施形態の人力駆動車用の制御装置の電気的な構成を示すブロック図。
図3図1の人力駆動車の第1連結部と搬送部の第2連結部の拡大図。
図4図2の制御部によって実行され、搬送部の連結状態に応じて第1制御状態と第2制御状態とを切り替える処理のフローチャート。
図5図2の制御部によって実行され、搬送部の連結状態に応じたモータの制御の第1例の処理のフローチャート。
図6図2の制御部によって実行され、搬送部の連結状態に応じたモータの制御の第2例の処理のフローチャート。
図7図2の制御部によって実行され、搬送部の連結状態に応じたモータの制御の第3例の処理のフローチャート。
図8図2の制御部によって実行され、搬送部の連結状態に応じたモータの制御の第4例の処理のフローチャート。
図9図2の制御部によって実行され、搬送部の連結状態に応じたモータの制御の第5例の処理のフローチャート。
図10】第2実施形態の制御部によって実行され、搬送部の連結状態に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える処理のフローチャート。
図11】第1変形例の搬送部を含む人力駆動車の側面図。
図12】第2変形例の搬送部を含む人力駆動車の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
図1から図9を参照して、第1実施形態の人力駆動車10に搭載される人力駆動車用の制御装置60について説明する。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力Hによって駆動することができる車である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、自転車として説明する。
【0030】
人力駆動車10は、人力駆動力Hが入力されるクランク12を備える。人力駆動車10は、車輪14と、車体16と、を、さらに備える。車輪14は、後輪14Aと、前輪14Bと、を含む。車体16は、フレーム18を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸12Aと、クランク軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム12Bとを含む。各クランクアーム12Bには、ペダル20がそれぞれ連結される。後輪14Aは、クランク12が回転することによって駆動される。後輪14Aは、フレーム18に支持される。クランク12と後輪14Aとは、駆動機構22によって連結される。駆動機構22は、クランク軸12Aに連結される第1回転体24を含む。クランク軸12Aと第1回転体24とは、一体回転するように連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク12が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク12が後転した場合に、クランク12と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0031】
第2回転体26は、後輪14Aに連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と後輪14Aとの間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられている。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転した場合に、後輪14Aを前転させ、第2回転体26が後転した場合に、第2回転体26と後輪14Aとの相対回転を許容するように構成される。
【0032】
フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪14Bが取り付けられている。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結されている。本実施形態では、後輪14Aが駆動機構22によってクランク12に連結されるが、後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つが、駆動機構22によってクランク12に連結されてもよい。フレーム18には、運転者着座部36が取り付けられる。運転者着座部36は、例えば、フレーム18のシートチューブに取り付けられる。
【0033】
人力駆動車10は、人力駆動車用のバッテリ38を含む。バッテリ38は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ38は、制御装置60に電力を供給する。バッテリ38は、好ましくは、制御装置60の制御部62と有線または無線によって通信可能に接続される。バッテリ38は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)、CAN(Controller Area Network)、または、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)によって制御装置60の制御部62と通信可能である。
【0034】
人力駆動車10は、モータ40をさらに含む。モータ40は、人力駆動車10の推進をアシスト可能に構成される。モータ40は、1または複数の電気モータを含む。モータ40は、ペダル20から後輪14Aまでの人力駆動力Hの動力伝達経路、および、前輪14Bの少なくとも1つに回転を伝達するように構成される。ペダル20から後輪14Aまでの人力駆動力Hの動力伝達経路は、後輪14Aを含む。本実施形態では、モータ40は、人力駆動車10のフレーム18に設けられ、第1回転体24に回転を伝達するように構成される。モータ40およびモータ40が設けられるハウジングを含んで、ドライブユニットが構成される。モータ40とクランク軸12Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、クランク軸12Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク12の回転力によってモータ40が回転しないように第3ワンウェイクラッチが設けられる。後輪14Aおよび前輪14Bの少なくとも1つにモータ40を設ける場合、モータ40は、ハブモータを含んでもよい。
【0035】
好ましくは、人力駆動車10は、人力駆動車10の変速比を変更するように構成される変速機42を含む。人力駆動車10の変速比は、クランク軸12Aの回転速度Nに対する車輪14の回転速度Wの比率である。本実施形態では、駆動輪は後輪14Aである。変速機42は、例えばフロントディレイラ、リアディレイラ、および、内装変速機の少なくとも1つを含む。変速機42が内装変速機を含む場合、内装変速機は、例えば、後輪14Aのハブに設けられる。変速機42は、電動アクチュエータによって動作するように構成される電動変速機、および、ボーデンケーブルによって動作するように構成されるケーブル式変速機の少なくとも1つを含む。
【0036】
人力駆動車10は、運転者着座部36とは異なる搬送部70を連結可能に構成される。搬送部70は、人力駆動車10の第1連結部46と搬送部70の第2連結部70Aとを介して連結される。第1連結部46は、例えば、フレーム18に設けられる。本実施形態の搬送部70は、荷台72を含む。荷台72は、例えば、後輪14Aの上方に取り付けられる。第1連結部46と、第2連結部70Aとは、例えば、ボルトBを介して連結される。
【0037】
制御装置60は、制御部62を含む。制御部62は、予め定める制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。演算処理装置は、相互に離れた複数の場所に設けられてもよい。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。好ましくは、制御装置60は、記憶部64をさらに含む。記憶部64には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read-Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、および、フラッシュメモリの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random access memory)を含む。
【0038】
制御装置60は、好ましくは、モータ40の駆動回路66をさらに備える。駆動回路66と、制御部62とは、好ましくは、モータ40が設けられるハウジングに設けられる。駆動回路66と、制御部62とは、例えば同一の回路基板に設けられてもよい。駆動回路66は、インバータ回路を含む。駆動回路66は、バッテリ38からモータ40に供給される電力を制御する。駆動回路66は、制御部62と有線接続または無線接続される。駆動回路66は、制御部62からの制御信号に応じてモータ40を駆動させる。
【0039】
好ましくは、人力駆動車10は、車速センサ48、クランク回転センサ50、および、トルクセンサ52をさらに含む。
【0040】
車速センサ48は、人力駆動車10の車輪14の回転速度Wに応じた情報を検出するように構成される。車速センサ48は、例えば、人力駆動車10の車輪14に設けられる磁石を検出するように構成される。車速センサ48は、例えば、車輪14が1回転する間に、予め定める回数の検出信号を出力するように構成される。予め定める回数は、例えば、1である。車速センサ48は、車輪14の回転速度に応じた信号を出力する。制御部62は、車輪14の回転速度と、車輪14の周長に関する情報とに基づいて人力駆動車10の車速Vを算出できる。記憶部64には車輪14の周長に関する情報が記憶される。車速センサ48は、例えばリードスイッチを構成する磁性リード、または、ホール素子を含む。車速センサ48は、人力駆動車10のフレーム18のチェーンステイに取り付けられ、後輪14Aに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク30に設けられ、前輪14Bに取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。本実施形態において、車速センサ48は、車輪14が一回転した場合に、リードスイッチが磁石を1回検出するように構成される。車速センサ48は、車輪14に設けられる磁石を検出する構成に限らず、例えば、光学センサなどを含んで構成されてもよい。車速センサ48は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0041】
クランク回転センサ50は、クランク軸12Aの回転速度Nに応じた情報を検出するように構成される。クランク回転センサ50は、例えば、人力駆動車10のフレーム18またはドライブユニットに設けられる。クランク回転センサ50は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸12A、クランク軸12Aに連動して回転する部材、または、クランク軸12Aから第1回転体24までの間の動力伝達経路に設けられる。クランク軸12Aに連動して回転する部材は、モータ40の出力軸を含む。クランク回転センサ50は、クランク軸12Aの回転速度Nに応じた信号を出力する。磁石は、クランク軸12Aから第1回転体24までの人力駆動力Hの動力伝達経路において、クランク軸12Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、磁石は、クランク軸12Aと第1回転体24との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、第1回転体24に設けられてもよい。クランク回転センサ50は、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよい。クランク回転センサ50は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0042】
トルクセンサ52は、人力駆動力Hによってクランク12に与えられるトルクに応じた信号を出力するように構成される。トルクセンサ52は、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、好ましくは、第1ワンウェイクラッチよりも動力伝達経路の上流側に設けられる。トルクセンサ52は、歪センサ、磁歪センサ、または、圧力センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルクセンサ52は、動力伝達経路、または、動力伝達経路に含まれる部材の近傍に含まれる部材に設けられる。動力伝達経路に含まれる部材は、例えば、クランク軸12A、クランク軸12Aと第1回転体24との間において人力駆動力Hを伝達する部材、クランクアーム12B、または、ペダル20である。トルクセンサ52は、無線通信装置または電気ケーブルを介して、制御部62に接続される。
【0043】
制御部62は、人力駆動車10に取り付けられるモータ40を制御する。好ましくは、制御部62は、第1パラメータP1に応じてモータ40を制御する。好ましくは、第1パラメータP1は、人力駆動車10の走行状態および走行環境と対応するパラメータを含む。好ましくは、第1パラメータP1は、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hを含む。人力駆動力Hは、トルクHTで表されてもよく、仕事率WHで表されてもよい。人力駆動力Hが仕事率によって表される場合、人力駆動力Hは、トルクセンサ52によって検出されたトルクとクランク回転センサ50によって検出されたクランク軸12Aの回転速度Nとを乗算することによって得られる。制御部62は、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hに応じてモータ40を制御する。第1パラメータP1は、車速Vおよびクランク軸12Aの回転速度Nの少なくとも1つを含んでいてもよい。第1パラメータP1は、人力駆動車10の走行路の道路勾配および走行抵抗の少なくとも1つを含んでいてもよい。好ましくは、制御部62は、車速センサ48、クランク回転センサ50、および、トルクセンサ52の出力に応じてモータ40を制御する。
【0044】
制御部62は、例えば、第1モータ制御、第2モータ制御、第3モータ制御、第4モータ制御、第5モータ制御、第6モータ制御、第7モータ制御、第8モータ制御、および、第9モータ制御の少なくとも1つを実行する。好ましくは、制御部62は、少なくとも第1モータ制御を実行する。
【0045】
第1モータ制御において、例えば、制御部62は、人力駆動力Hに対して、モータ40によるアシスト力Mが予め定めるアシスト比率Xになるように、モータ40を制御するように構成される。予め定めるアシスト比率Xは、一定ではなく、例えば、人力駆動力Hに応じて変化してもよく、車速Vに応じて変化してもよく、人力駆動力Hおよび車速Vの両方に応じて変化してもよい。人力駆動力Hおよびアシスト力Mは、トルクによって表されてもよく、仕事率によって表されてもよい。人力駆動力Hおよびアシスト力Mをトルクによって表わす場合、人力駆動力Hを人力トルクTHと記載し、アシスト力MをアシストトルクTMと記載する。人力駆動力Hおよびアシスト力Mを仕事率によって表わす場合、人力駆動力Hを人力仕事率WHと記載し、アシスト力Mをアシスト仕事率WMと記載する。人力駆動車10の人力トルクTHに対するアシストトルクTMのトルク比率を、アシスト比率ATと記載する場合がある。人力仕事率WHに対するモータ40によるアシスト仕事率WMの比率を、アシスト比率AWと記載する場合がある。制御部62は、例えば、人力駆動力Hとアシスト比率Xとの対応関係の少なくとも一部が互いに異なる複数の制御状態から選択される1つの制御状態によって、モータ40を制御するように構成される。
【0046】
人力仕事率WHは、人力トルクTHとクランク軸12Aの回転速度Nとの乗算によって算出される。モータ40の出力が減速機を介して人力駆動力Hの動力経路に入力される場合は、減速機の出力を、アシスト力Mとする。減速機がない場合、アシスト仕事率WMは、モータ40の出力トルクと、モータ40の回転速度との乗算によって算出される。減速機がある場合は、アシスト仕事率WMは、減速機の出力トルクと、減速機の出力回転速度との乗算によって算出される。減速機がある場合、記憶部64は、減速機の減速比に関する情報を記憶するように構成される。制御部62は、モータ40の回転速度と、減速機の減速比に関する情報とに応じて、減速機の出力回転速度を算出できる。記憶部64は、例えば、モータ40の制御指令とモータ40の出力トルクとの関係を示す情報を記憶している。制御部62は、例えば、記憶部64に記憶されているモータ40の制御指令とモータ40の出力トルクとの関係を示す情報に応じて、モータ40の出力トルクを算出できる。制御部62は、例えば、モータ40の出力トルクと、減速機の減速比に関する情報とに応じて、減速機の出力トルクを算出できる。制御部62は、人力トルクTHまたは人力仕事率WHに応じて、制御指令をモータ40の駆動回路66に出力するように構成される。制御指令は、例えばトルク指令値を含む。複数の制御状態は、モータ40を駆動しない制御状態を含んでいてもよい。
【0047】
第2モータ制御において、例えば、制御部62は、アシスト力Mが上限値MX以下になるようにモータ40を制御する。アシスト力Mがトルクによって表される場合、制御部62は、アシストトルクTMが上限値MTX以下になるようにモータ40を制御する。好ましくは、上限値MTXは、30Nm以上90Nm以下の範囲の値である。上限値MTXは、例えば、80Nmである。上限値MTXは、例えば、モータ40の出力特性によって決定される。アシスト力Mが仕事率によって表される場合、制御部62は、アシスト仕事率WMが上限値MWX以下になるようにモータ40を制御する。
【0048】
第3モータ制御において、例えば、制御部62は、車速Vが予め定める車速VX以上になると、モータ40を停止する。予め定める車速VXは、例えば、時速45Kmである。予め定める車速VXは、時速45Km未満であってもよく、例えば、時速25Kmであってもよい。予め定める第1速度WXは、予め定める車速VXと対応する値または予め定める車速VX未満と対応する値であることが好ましい。
【0049】
第4モータ制御において、例えば、制御部62は、クランク軸12Aの回転速度Nが予め定める第1回転速度N1未満の場合、モータ40を停止する。予め定める第1回転速度N1は、例えば、0rpmである。例えば、制御部62は、クランク軸12Aの回転速度Nが予め定める第2回転速度N2以上になると、モータ40を停止する、または、アシスト力Mが小さくなるようにモータ40を制御してもよい。
【0050】
第5モータ制御において、例えば、制御部62は、モータ40の回転速度Sが予め定める速度SA以下になるようにモータ40を制御するように構成される。
【0051】
第6モータ制御において例えば、制御部62は、第2パラメータP2が予め定める値P2以上になると、モータ40の出力が上昇しないようにモータ40を制御するように構成される。
【0052】
第7モータ制御において、例えば、制御部62は、人力駆動車10のクランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CA以上になるとモータ40が駆動するようにモータ40を制御する。
【0053】
第8モータ制御において、例えば、制御部62は、第1パラメータP1が増加する場合、応答速度Rが第1応答速度R1になるようにモータ40を制御する。
【0054】
第9モータ制御において、例えば、制御部62は、第1パラメータP1が減少する場合、第1パラメータP1の変化に対するモータ40の出力の変化の応答速度Rが第2応答速度R2になるようにモータ40を制御する。
【0055】
好ましくは、人力駆動車10は、搬送部70の連結状態を検出する連結状態検出部54をさらに含む。搬送部70の連結状態は、人力駆動車10の第1連結部46と搬送部70の第2連結部70Aとの連結または非連結状態、第1連結部46と第2連結部70Aとの間に作用する荷重、操作装置による連結モードと非連結モードとの切り替え、および、人力駆動車10と搬送部70との相対距離の少なくとも1つを含む。搬送部70の連結状態は、搬送部70が人力駆動車10に連結されている第1連結状態と、搬送部70が人力駆動車10に連結されていない第2連結状態とを含む。第1連結状態は、人力駆動車10の第1連結部46と搬送部70の第2連結部70Aとの連結状態と対応する。第2連結状態は、人力駆動車10の第1連結部46と搬送部70の第2連結部70Aとの非連結状態と対応する。搬送部70の連結状態が第1連結部46と第2連結部70Aとの間に作用する荷重を含む場合、搬送部70と人力駆動車10とが連結されている場合の荷重と対応する場合は第1連結状態に対応し、搬送部70と人力駆動車10とが連結されている場合の荷重と対応しない場合は第2連結状態に対応する。搬送部70の連結状態が操作装置による連結モードと非連結モードとの切り替えを含む場合、操作装置によって連結モードが選択されている場合は第1連結状態に対応し、非連結モードが選択されている場合は第2連結状態に対応する。搬送部70の連結状態が人力駆動車10と搬送部70との相対距離を含む場合、人力駆動車10と搬送部70との距離が搬送部70と人力駆動車10とが連結されている場合の距離と対応する場合は第1連結状態に対応し、人力駆動車10と搬送部70との距離が搬送部70と人力駆動車10とが連結されている場合の距離と対応しない場合は第2連結状態に対応する。好ましくは、第1連結状態および第2連結状態は、互いに排反の関係である。
【0056】
連結状態検出部54は、例えば、リードスイッチを含む。リードスイッチは、車体16に設けられ、搬送部70に設けられる磁石を検出する。連結状態検出部54は、リードスイッチに代えてまたは加えて、接触センサ、第1荷重センサ、無線通信可能な第1通信部、および、第1読取センサの少なくとも1つを含んでいてもよい。接触センサは、人力駆動車10と搬送部70との接触を検出可能に構成される。接触センサは、例えば、圧電素子を含む圧力センサであってもよい。圧力センサは、搬送部70が連結されることによって搬送部70から車体16にかかる圧力を検出する。第1荷重センサは、第1連結部46と第2連結部70Aとの間に作用する荷重を検出可能に構成される。第1通信部は、第1通信部とは異なる第2通信部と通信可能に構成される。一例では、人力駆動車10および搬送部70の一方に第1通信部が設けられ、人力駆動車10および搬送部70の他方に第2通信部が設けられる。この例では、人力駆動車10と搬送部70との相対距離が所定距離未満の場合、第1通信部と第2通信部との通信が実行される。第1読取センサは、バーコードおよび二次元コードの少なくとも1つを読み取り可能に構成される。一例では、人力駆動車10および搬送部70の一方に第1読取センサが設けられ、人力駆動車10および搬送部70の他方にバーコードおよび二次元コードの少なくとも1つが設けられる。連結状態検出部54は、カメラを含んでいてもよい。
【0057】
好ましくは、制御部62は、連結状態検出部54の検出状態に応じてモータ40を制御する。好ましくは、制御部62は、搬送部70が人力駆動車10に連結されている第1連結状態の場合と、搬送部70が人力駆動車10に連結されていない第2連結状態の場合とで、モータ40の制御を異ならせる。
【0058】
好ましくは、搬送部70に関する情報は、搬送部70の種類、搬送部70の形状、搬送部70のサイズ、搬送部70の年式、搬送部70の最大積載量、搬送部70への荷重状態、および、搬送部70の重量情報の少なくとも1つを含む。好ましくは、搬送部70の重量情報は、搬送部70の重量、および、搬送部70の総重量の少なくとも1つを含む。
【0059】
制御部62が搬送部70に関する情報に応じてモータ40を制御する場合、好ましくは、人力駆動車10は、搬送情報検出部を備え、制御部62は、搬送情報検出部の検出状態に応じてモータ40を制御するように構成される。
【0060】
搬送情報検出部は、例えば、第2荷重センサ、重量センサ、第3通信部、および、第2読取センサの少なくとも1つを含む。第2荷重センサは、搬送部70に作用する荷重を検出可能に構成される。重量センサは、搬送部70の重量、および、搬送部70に積載される人および荷物等の重量の少なくとも1つを検出可能に構成される。一例では、搬送部70の重量と、搬送部70に積載される人および荷物等の重量との和が演算されることによって、搬送部70の総重量が算出される。第3通信部は、第3通信部とは異なる第4通信部と通信可能に構成される。一例では、人力駆動車10および搬送部70の一方に第3通信部が設けられ、人力駆動車10および搬送部70の他方に第4通信部が設けられる。第3通信部は、第4通信部と通信することによって、搬送部70に関する情報を取得する。第1通信部および第3通信部は、共通の1つの通信部であってもよい。第2読取センサは、バーコードおよび二次元コードの少なくとも1つを読み取り可能に構成される。一例では、人力駆動車10および搬送部70の一方に第2読取センサが設けられ、人力駆動車10および搬送部70の他方にバーコードおよび二次元コードの少なくとも1つが設けられる。第2読取センサは、バーコードおよび二次元コードの少なくとも1つを読み取ることによって、搬送部70に関する情報を取得する。第1読取センサおよび第2読取センサは、共通の1つの読取センサであってもよい。
【0061】
制御部62が搬送部70の種類に応じてモータ40を制御する場合、例えば、制御部62は、搬送部70の種類が予め定める種類の場合、第1連結状態の場合と同様にモータ40を制御し、予め定める種類ではない場合、第2連結状態の場合と同様にモータ40を制御する。
【0062】
制御部62が搬送部70の形状に応じてモータ40を制御する場合、例えば、制御部62は、搬送部70の形状が予め定める形状の場合、第1連結状態の場合と同様にモータ40を制御し、予め定める形状ではない場合、第2連結状態の場合と同様にモータ40を制御する。
【0063】
制御部62が搬送部70のサイズに応じてモータ40を制御する場合、例えば、制御部62は、搬送部70のサイズが予め定めるサイズの場合、第1連結状態の場合と同様にモータ40を制御し、予め定めるサイズではない場合、第2連結状態の場合と同様にモータ40を制御する。好ましくは、予め定めるサイズは、予め定める第1サイズ以上の場合を含む。
【0064】
制御部62が搬送部70の年式に応じてモータ40を制御する場合、例えば、制御部62は、搬送部70の年式が予め定める年式の場合、第1連結状態の場合と同様にモータ40を制御し、予め定める年式ではない場合、第2連結状態の場合と同様にモータ40を制御する。
【0065】
制御部62が搬送部70の最大積載量に応じてモータ40を制御する場合、例えば、制御部62は、搬送部70の最大積載量が予め定める最大積載量の場合、第1連結状態の場合と同様にモータ40を制御し、予め定める最大積載量ではない場合、第2連結状態の場合と同様にモータ40を制御する。好ましくは、予め定める最大積載量は、予め定める第1最大積載量以上の場合を含む。
【0066】
制御部62が搬送部70への荷重状態に応じてモータ40を制御する場合、例えば、制御部62は、搬送部70への荷重状態が予め定める荷重の場合、第1連結状態の場合と同様にモータ40を制御し、予め定める荷重ではない場合、第2連結状態の場合と同様にモータ40を制御する。好ましくは、予め定める荷重は、予め定める第1荷重以上の場合を含む。
【0067】
制御部62が搬送部70の重量に応じてモータ40を制御する場合、例えば、制御部62は、搬送部70の重量が予め定める重量の場合、第1連結状態の場合と同様にモータ40を制御し、予め定める重量ではない場合、第2連結状態の場合と同様にモータ40を制御する。好ましくは、予め定める重量は、予め定める第1重量以上の場合を含む。
【0068】
制御部62が搬送部70の総重量に応じてモータ40を制御する場合、例えば、制御部62は、搬送部70の総重量が予め定める総重量の場合、第1連結状態の場合と同様にモータ40を制御し、予め定める総重量ではない場合、第2連結状態の場合と同様にモータ40を制御する。好ましくは、予め定める総重量は、予め定める第1総重量以上の場合を含む。
【0069】
搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第1例では、制御部62は、第1パラメータP1に基づいてモータ40の制御を行う第1制御状態と、第1制御状態におけるモータ40の制御を行わない第2制御状態とを、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて切り替えるように構成される。好ましくは、第1制御状態および第2制御状態は、互いに排反の関係である。好ましくは、制御部62は、搬送部70が人力駆動車10に連結されている場合、第1制御状態においてモータ40を制御するように構成される。制御部62は、搬送部70が人力駆動車10に連結されていない場合、第2制御状態においてモータ40を制御するように構成される。好ましくは、制御部62は、第1連結状態の場合、第1制御状態においてモータ40を制御し、第2連結状態の場合、第2制御状態においてモータ40を制御する。好ましくは、制御部62は、第1制御状態において、モータ40による人力駆動車10の走行のアシストが可能なようにモータ40を駆動させる。好ましくは、制御部62は、第2制御状態において、モータ40による人力駆動車10の走行のアシストが行われないようにモータ40を駆動させない。好ましくは、制御部62は、第2制御状態において、モータ40を制御しない。好ましくは、制御部62は、第1制御状態において、少なくとも第1モータ制御を実行し、第2制御状態において第1モータ制御を実行しない。
【0070】
図4を参照して、第1制御状態と第2制御状態とを切り替える処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図4に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部62は、図4のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS11からの処理を繰り返す。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、ステップS11に移行し、ステップS12またはステップS13の処理が終了した場合、次に制御部62に電力が供給されるまでステップS11の処理を行わないようにしてもよい。
【0071】
制御部62は、ステップS11において、第1連結状態か否かを判定する。制御部62は、第1連結状態の場合、ステップS12に移行する。制御部62は、ステップS12において、第1制御状態に切り替え、処理を終了する。制御部62は、第1制御状態の場合、第1制御状態を維持して処理を終了する。
【0072】
制御部62は、ステップS11において、第1連結状態ではない場合、ステップS13に移行する。制御部62は、ステップS13において、第2制御状態に切り替え、処理を終了する。制御部62は、第2制御状態の場合、第2制御状態を維持して処理を終了する。
【0073】
図5を参照して、搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第1例において実行される処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図5に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部62は、図5のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS21からの処理を繰り返す。
【0074】
制御部62は、ステップS21において、第1制御状態か否かを判定する。制御部62は、第1制御状態の場合、ステップS22に移行する。制御部62は、ステップS22において、第1パラメータP1に基づいてモータ40を制御し、処理を終了する。
【0075】
制御部62は、ステップS21において、第1制御状態ではない場合、処理を終了する。制御部62は、第2制御状態の場合、ステップS22においてNOに進み、モータ40の制御を行わずに処理を終了する。
【0076】
搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第2例では、制御部62は、第5モータ制御を実行されるように構成され、制御部62は、モータ40の回転速度Sが予め定める速度SA以下になるようにモータ40を制御するように構成される。制御部62は、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、予め定める速度SAを変更するように構成される。好ましくは、搬送部70が人力駆動車10に連結されている場合の予め定める速度SXは、搬送部70が人力駆動車10に連結されていない場合の予め定める速度SYよりも大きい。
【0077】
図6を参照して、モータ40を制御する第2例の処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図6に示すフローチャートのステップS31に移行する。制御部62は、図6のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS31からの処理を繰り返す。
【0078】
制御部62は、ステップS31において、第1連結状態か否かを判定する。制御部62は、第1連結状態の場合、ステップS32に移行する。制御部62は、ステップS32において、モータ40の回転速度Sが予め定める速度SX以下になるようにモータ40を制御する。
【0079】
制御部62は、ステップS31において、第1連結状態ではない場合、ステップS33に移行する。制御部62は、ステップS33において、モータ40の回転速度Sが予め定める速度SY以下になるようにモータ40を制御する。制御部62は、第2連結状態の場合、ステップS33において、モータ40の回転速度Sが予め定める速度SY以下になるようにモータ40を制御する。
【0080】
搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第3例では、制御部62は、第6モータ制御を実行されるように構成され、制御部62は、第2パラメータP2が予め定める値P2以上になると、モータ40の出力が上昇しないようにモータ40を制御するように構成される。制御部62は、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、予め定める値P2を変更するように構成される。第2パラメータP2は、人力駆動車10のクランク軸12Aの回転速度N、人力駆動車10に入力される人力駆動力HのトルクTH、および、人力駆動車10に入力される人力駆動力Hの仕事率HWの少なくとも1つを含む。好ましくは、制御部62は、第2パラメータP2が予め定める値PX未満において第2パラメータP2の上昇に応じてモータ40の出力を上昇させ、第2パラメータP2が予め定める値PX以上になると、モータ40の出力をクランプさせる。好ましくは、搬送部70が人力駆動車10に連結されている場合の予め定める値PXは、搬送部70が人力駆動車10に連結されていない場合の予め定める値PYよりも大きい。
【0081】
図7を参照して、モータ40を制御する第3例の処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図7に示すフローチャートのステップS41に移行する。制御部62は、図7のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS41からの処理を繰り返す。
【0082】
制御部62は、ステップS41において、第1連結状態か否かを判定する。制御部62は、第1連結状態の場合、ステップS42に移行する。制御部62は、ステップS42において、第2パラメータP2が予め定める値PX以上か否かを判定する。制御部62は、第2パラメータP2が予め定める値PX以上ではない場合、処理を終了する。制御部62は、第2パラメータP2が予め定める値PX以上の場合、ステップS43に移行する。制御部62は、ステップS43において、モータ40の出力が上昇しないようにモータ40を制御し、処理を終了する。
【0083】
制御部62は、ステップS41において第1連結状態ではない場合、ステップS44に移行する。制御部62は、ステップS44において、第2パラメータP2が予め定める値PY以上か否かを判定する。制御部62は、第2パラメータP2が予め定める値PY以上ではない場合、処理を終了する。制御部62は、第2パラメータP2が予め定める値PY以上の場合、ステップS43に移行する。制御部62は、ステップS43において、モータ40の出力が上昇しないようにモータ40を制御し、処理を終了する。
【0084】
搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第4例では、制御部62は、第7モータ制御を実行するように構成され、制御部62は、人力駆動車10のクランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CA以上になるとモータ40が駆動するようにモータ40を制御する。制御部62は、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、予め定める角度CAを変更するように構成される。好ましくは、搬送部70が人力駆動車10に連結されている場合の予め定める角度CXは、搬送部70が人力駆動車10に連結されていない場合の予め定める角度CYよりも小さい。
【0085】
図8を参照して、モータ40を制御する第4例の処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図8に示すフローチャートのステップS51に移行する。制御部62は、図8のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS51からの処理を繰り返す。制御部62は、クランク12の回転が停止した後にクランク12の回転が再開されると、ステップS51に移行するようにしてもよい。
【0086】
制御部62は、ステップS51において、第1連結状態か否かを判定する。制御部62は、第1連結状態の場合、ステップS52に移行する。制御部62は、ステップS52において、クランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CX以上か否かを判定する。制御部62は、クランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CX以上の場合、ステップS53に移行する。制御部62は、ステップS53において、モータ40が駆動するようにモータ40を制御し、処理を終了する。
【0087】
制御部62は、ステップS52において、クランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CX以上ではない場合、処理を終了する。制御部62は、ステップS52において、クランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CX以上ではない場合、予め定める角度CX以上になるまでステップS52の処理を繰り返すようにしてもよい。
【0088】
制御部62は、ステップS51において、第1連結状態ではない場合、ステップS54に移行する。制御部62は、ステップS54において、クランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CY以上か否かを判定する。制御部62は、クランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CY以上の場合、ステップS53に移行する。制御部62は、ステップS53において、モータ40が駆動するようにモータ40を制御し、処理を終了する。
【0089】
制御部62は、ステップS54において、クランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CY以上ではない場合、処理を終了する。制御部62は、ステップS54において、クランク12が回転を開始してからのクランク12の回転角度Cが予め定める角度CY以上ではない場合、予め定める角度CY以上になるまでステップS54の処理を繰り返すようにしてもよい。
【0090】
搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第5例では、制御部62は、第8モータ制御および第9モータ制御を実行するように構成され、制御部62は、第1パラメータP1が増加する場合、応答速度Rが第1応答速度R1になるようにモータ40を制御し、第1パラメータP1が減少する場合、第1パラメータP1の変化に対するモータ40の出力の変化の応答速度Rが第2応答速度R2になるようにモータ40を制御する。制御部62は、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、第2応答速度R2を変更するように構成される。好ましくは、制御部62は、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、第1応答速度R1を変更するように構成される。好ましくは、第1応答速度R1は、第2応答速度R2以上である。第1パラメータP1が増加する場合の第1応答速度R1を大きくすることによって、第1パラメータP1が増加する場合、モータ40の出力を早期に上昇させることができる。第1パラメータP1が減少する場合の第2応答速度R2を小さくすることによって、第1パラメータP1が減少する場合にモータ40の出力の低下を抑制できる。搬送部70が人力駆動車10に連結されている場合の第2応答速度R2Xは、搬送部70が人力駆動車10に連結されていない場合の第2応答速度R2Yよりも小さい。搬送部70が人力駆動車10に連結されている場合の第1応答速度R1Xは、搬送部70が人力駆動車10に連結されていない場合の第1応答速度R1Yよりも大きい。
【0091】
制御部62は、例えば、フィルタ処理によって第1応答速度R1を変更する。制御部62は、例えば、フィルタ処理によって第2応答速度R2を変更する。フィルタ処理には、例えば、時定数が用いられる。制御部62は、時定数を変更することによって第1応答速度R1および第2応答速度R2を変更する。
【0092】
を参照して、モータ40を制御する第5例の処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図9に示すフローチャートのステップS61に移行する。制御部62は、図9のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS61からの処理を繰り返す。
【0093】
制御部62は、ステップS61において、第1連結状態か否かを判定する。制御部62は、第1連結状態の場合、ステップS62に移行する。制御部62は、ステップS62において、第1パラメータP1が増加しているか否かを判定する。制御部62は、第1パラメータP1が増加している場合、ステップS63に移行する。制御部62は、ステップS63において、応答速度Rが第1応答速度R1Xになるようにモータ40を制御し、処理を終了する。
【0094】
制御部62は、ステップS62において、第1パラメータP1が増加していない場合、ステップS64に移行する。制御部62は、ステップS64において、第2応答速度R2Xになるようにモータ40を制御し、処理を終了する。
【0095】
制御部62は、ステップS61において第1連結状態ではない場合、ステップS65に移行する。制御部62は、ステップS65において、第1パラメータP1が増加しているか否かを判定する。制御部62は、第1パラメータP1が増加している場合、ステップS66に移行する。制御部62は、ステップS66において、応答速度Rが第1応答速度R1Yになるようにモータ40を制御し、処理を終了する。
【0096】
制御部62は、ステップS65において、第1パラメータP1が増加していない場合、ステップS67に移行する。制御部62は、ステップS67において、第2応答速度R2Yになるようにモータ40を制御し、処理を終了する。
【0097】
制御部62は、搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第1例、第2例、第3例、第4例、および、第5例のうちの1つのみを実行してもよく、第2例、第3例、第4例、および、第5例のうちの2つ以上を実行するようにしてもよい。
【0098】
制御部62は、搬送部70の連結状態に応じて、アシスト比率X、アシスト力Mの上限値MX、予め定める車速VX、予め定める第1回転速度N1、および、予め定める第2回転速度N2の少なくとも1つを変更するようにしてもよい。例えば、第1連結状態の場合のアシスト比率X、アシスト力Mの上限値MX、予め定める車速VX、および、予め定める第2回転速度N2は、第2連結状態の場合のアシスト比率X、アシスト力Mの上限値MX、予め定める車速VX、および、予め定める第2回転速度N2よりも大きい。例えば、第1連結状態の場合の予め定める第1回転速度N1は、第2連結状態の場合の予め定める第1回転速度N1よりも小さい。
【0099】
<第2実施形態>
図2および10を参照して、第2実施形態の制御装置60について説明する。第2実施形態の制御装置60は、制御部62がモータ40に変えて変速機42を制御する点以外は、第1実施形態の制御装置60と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0100】
本実施形態において、好ましくは、変速機42は、電動変速機を含む。電動変速機は、電動アクチュエータおよび変速機本体を含む。制御部62は、電動アクチュエータを動作させることによって変速機本体を動作させ、人力駆動車10の変速比率を変更する。
【0101】
制御部62は、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに基づいて変速機42の制御を行う第3制御状態と、第3制御状態における変速機42の制御を行わない第4制御状態とを、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて切り替えるように構成される。好ましくは、第3制御状態および第4制御状態は、互いに排反の関係である。好ましくは、制御部62は、連結状態検出部54の検出状態に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0102】
制御部62は、第1連結状態の場合、第3制御状態において変速機42を制御し、かつ、第2連結状態の場合、第4制御状態において変速機42を制御してもよい。制御部62は、第1連結状態の場合、第4制御状態において変速機42を制御し、かつ、第2連結状態の場合、第3制御状態において変速機42を制御してもよい。
【0103】
制御部62が搬送部70に関する情報に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、好ましくは、人力駆動車10は、搬送情報検出部を備え、制御部62は、搬送情報検出部の検出状態に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替えるように構成される。
【0104】
制御部62が搬送部70の種類に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、例えば、制御部62は、搬送部70の種類が予め定める種類の場合、第1連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替え、予め定める種類ではない場合、第2連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0105】
制御部62が搬送部70の形状に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、例えば、制御部62は、搬送部70の形状が予め定める形状の場合、第1連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替え、予め定める形状ではない場合、第2連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0106】
制御部62が搬送部70のサイズに応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、例えば、制御部62は、搬送部70のサイズが予め定めるサイズの場合、第1連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替え、予め定めるサイズではない場合、第2連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0107】
制御部62が搬送部70の年式に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、例えば、制御部62は、搬送部70の年式が予め定める年式の場合、第1連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替え、予め定める年式ではない場合、第2連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0108】
制御部62が搬送部70の最大積載量に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、例えば、制御部62は、搬送部70の最大積載量が予め定める最大積載量の場合、第1連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替え、予め定める最大積載量ではない場合、第2連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0109】
制御部62が搬送部70への荷重状態に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、例えば、制御部62は、搬送部70への荷重状態が予め定める荷重の場合、第1連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替え、予め定める荷重ではない場合、第2連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0110】
制御部62が搬送部70の重量に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、例えば、制御部62は、搬送部70の重量が予め定める重量の場合、第1連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替え、予め定める重量ではない場合、第2連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0111】
制御部62が搬送部70の総重量に応じて第3制御状態と第4制御状態とを切り替える場合、例えば、制御部62は、搬送部70の総重量が予め定める総重量の場合、第1連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替え、予め定める総重量ではない場合、第2連結状態の場合と同様に第3制御状態と第4制御状態とを切り替える。
【0112】
好ましくは、制御部62は、第4制御状態において、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに基づいて変速機42を動作させない。好ましくは、制御部62は、第4制御状態において、変速機42を操作するための操作装置の操作に応じて変速機42を動作させる。好ましくは、制御部62は、第3制御状態において、変速機42を操作するための操作装置の操作に応じて変速機42を動作させる。
【0113】
好ましくは、制御部62は、第3制御状態において、人力駆動車10の走行状態および走行環境の少なくとも1つに関する第3パラメータP3に応じて変速機42を制御する。人力駆動車10の走行状態に関する第3パラメータP3は、例えば、人力駆動車10の人力駆動力Hおよびクランク軸12Aの回転速度Nの少なくとも1つを含む。人力駆動車10の走行環境に関する第3パラメータP3は、例えば、走行路の道路勾配および走行抵抗の少なくとも1つを含む。制御部62は、第3制御状態において、例えば、第3パラメータP3が予め定める範囲WP3に含まれるように変速機42を制御する。制御部62は、第3制御状態において、例えば、人力駆動力Hが予め定める範囲に含まれるように変速機42を制御する。制御部62は、例えば、第3制御状態において、クランク軸12Aの回転速度Nが予め定める範囲に含まれるように変速機42を制御する。制御部62は、第3制御状態において、例えば、道路勾配が大きい場合に変速比が小さくなるように変速機42を制御する。制御部62は、例えば、第3制御状態において、走行抵抗が大きい場合に変速比が小さくなるように変速機42を制御する。
【0114】
図10を参照して、第3制御状態と第4制御状態とを切り替える処理について説明する。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、処理を開始して図10に示すフローチャートのステップS71に移行する。制御部62は、図10のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、予め定める周期後にステップS71からの処理を繰り返す。制御部62は、制御部62に電力が供給されると、ステップS71に移行し、ステップS72またはステップS73の処理が終了した場合、次に制御部62に電力が供給されるまでステップS71の処理を行わないようにしてもよい。
【0115】
制御部62は、ステップS71において、第1連結状態か否かを判定する。制御部62は、第1連結状態の場合、ステップS72に移行する。制御部62は、ステップS72において、第3制御状態に切り替え、処理を終了する。制御部62は、第3制御状態の場合、第3制御状態を維持して処理を終了する。
【0116】
制御部62は、ステップS71において、第1連結状態ではない場合、ステップS73に移行する。制御部62は、ステップS73において、第4制御状態に切り替え、処理を終了する。制御部62は、第4制御状態の場合、第4制御状態を維持して処理を終了する。
【0117】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従う人力駆動車用の制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用の制御装置は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0118】
・第1実施形態の制御部62は、第2実施形態の図10の処理を実行するようにしてもよい。
・第1実施形態において、制御部62は、人力駆動車10の推進をアシストするモータ40に変えて、人力駆動車10の推進をアシストしないモータを制御するようにしてもよい。例えば、人力駆動車10の推進をアシストしないモータは、例えば、電動アジャスタブルシートポストに用いられるモータを含む。
【0119】
・第1実施形態の搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第5例において、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、第1応答速度R1を変更し、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、第2応答速度R2を変更しないように構成されてもよい。
【0120】
・第1実施形態の搬送部70の連結状態に応じたモータ40の制御の第5例において、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、第2応答速度R2を変更し、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、第1応答速度R1を変更しないように構成されてもよい。
【0121】
・第2実施形態において、制御部62は、第3パラメータP3が予め定める範囲WP3になるように変速機42を制御し、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、予め定める範囲WP3を変更するようにしてもよい。この変形例において、第4制御状態は省略される。
【0122】
・第2実施形態において、制御部62は、人力駆動車10の走行開始時に予め定める変速比になるように変速機42を制御し、搬送部70の連結状態および搬送部70に関する情報の少なくとも1つに応じて、予め定める変速比を変更するようにしてもよい。この変形例において、第4制御状態は省略される。
【0123】
・搬送部70は、図11に示される牽引車74であってもよい。牽引車74は、搬送車輪74Aを含む。
・搬送部70は、図12に示されるチャイルドシート76であってもよい。
【0124】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0125】
10…人力駆動車、12…クランク、14…車輪、36…運転者着座部、40…モータ、42…変速機、46…第1連結部、54…連結状態検出部、60…制御装置、62…制御部、70…搬送部、70A…第2連結部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12