(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
A63F7/02 349A
A63F7/02 328
(21)【出願番号】P 2019201583
(22)【出願日】2019-11-06
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】牧野 徳幸
【審査官】冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-196010(JP,A)
【文献】特開平05-131062(JP,A)
【文献】特開2016-119971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の側方に隣り合わせで設置される遊技装置を含む遊技場用システムであって、
遊技機の奥行方向の位置を特定するために当該遊技機に隣り合う遊技装置の側面に設けられ、遊技機の奥行方向の位置に応じて当該遊技機の側面を検知するか否かが切り換わる検知センサを含む検知手段と、
前記遊技装置の姿勢を基準とし
た遊技機の相対的な傾斜度を示す傾斜情報を特定する傾斜情報特定手段
と、を備え、
前記検知センサは、発光した光が反射されて戻るか否かに応じて近接する対象物の存否を判定することで対象物を検知する光電センサ、音波センサ、遊技機の側面により押圧されて押し込まれる押込スイッチ、或いは遊技機を磁気的に検出するギャップセンサにより構成されている一方、当該検知センサを含む検知手段は、鉛直方向に離間する少なくとも2箇所に設けられ、
前記傾斜情報特定手段は、鉛直方向の位置が異なるいずれか2箇所の検知手段により特定された奥行方向の位置の差分に基づき前記傾斜情報を特定する遊技場用システム。
【請求項2】
前記検知手段は、
前記遊技機の奥行方向の位置に応じて当該遊技機の側面を検知するか否かが切り換わる
よう、前記遊技装置の側面に設けられる検知センサを含んで構成される請求項1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記検知手段は
、前記検知センサが奥行方向に複数配置されて構成される請求項
2に記載の遊技場用システム。
【請求項4】
鉛直方向に離間する少なくとも2箇所に設けられた検知手段のうちの少なくともいずれかの検知手段では、奥行方向に沿って間隔を空けて複数の前記検知センサが配置された列が上下2段に亘って設けられ、
上下2段の列のうちの一方の列を構成する検知センサは、奥行方向において、他方の列で隣り合う検知センサの中間に位置している請求項3に記載の遊技場用システム。
【請求項5】
前記傾斜情報特定手段により特定された前記傾斜情報を管理する管理手段を備え、
前記遊技機は、遊技媒体である玉を遊技領域に発射する遊技を可能とし、
前記管理手段は、遊技機の識別情報に対応付けて前記傾斜情報を管理する請求項1~4のいずれか1項に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場において、遊技台の下部が例えば4分5厘(およそ13.6mm)程度、遊技台の上部よりも遊技者側に張り出すように傾けた所謂ねかせ状態で遊技台を設置することがある。また、遊技島側の台枠に固定された遊技台のねかせ度合いをねじ調節により調節するための機構の提案もある(例えば下記の特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遊技台のねかせ度合いをどのように調節すれば良いかは、熟練者の経験や勘に頼っており、調節作業を任せられる従業員等が限られるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、遊技台のねかせ度合いを管理可能な遊技場用システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技場用システムは、遊技機の側方に隣り合わせで遊技装置が設置された遊技場を対象としている。この遊技場用システムは、遊技装置の姿勢を基準として遊技機の相対的な傾斜度を示す傾斜情報を特定する傾斜情報特定手段を備えている。この傾斜情報特定手段は、遊技装置に設けられる検知手段の検知状況に基づいて傾斜情報を特定する。
【0007】
本発明の遊技場用システムは、遊技装置の姿勢を基準として遊技機の相対的な傾斜度を示す傾斜情報を特定可能であって、遊技機を管理する上で有用なシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】遊技機のねかせ調節機構の断面構造を示す断面図(
図4におけるA-A線矢視断面図)。
【
図7】近接検知部の説明図((a)は近接検知部の正面図、(b)は近接検知部のB-B線矢視断面図。)。
【
図14】ねかせの範囲毎に区分して遊技データ集計する方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、遊技機3が複数設置された遊技場において遊技機3を管理するための遊技場用システム1に関する例である。特に、本例の遊技場用システム1は、各遊技機3を設置する際の傾きである傾斜度(傾斜情報、ねかせ)を特定する機能を備えている。以下、
図1~
図14を参照して遊技場用システム1を説明する。
【0010】
遊技場では、
図1のごとく、パチンコ遊技機3(以下、単に遊技機3という。)に対して、遊技装置2や表示装置51等が個別に設置されている。玉やポイント等の遊技価値の付与機能や計数機能を備える遊技装置2は、対応する遊技機3と隣り合う他の遊技機3との間の隙間のスペースに設置されている。遊技装置2は、対応する遊技機3の左側に配置され、呼出ランプ511を備える表示装置51は遊技機3の上方に設置される。なお、遊技場には、パチンコ遊技機以外にスロットマシンなども設置されている。スロットマシンの場合は、対応する遊技機の右側に遊技装置が設置される。
【0011】
遊技場内の通路に面して遊技機3が配列された遊技島では、2台の遊技機3毎に1台ずつ中継装置54が設置されている。また、遊技場内に設けられた図示しない管理スペースには、遊技場内の各種の機器の稼動状況を集中的に管理するための管理装置10が設置されている。遊技者が遊技により獲得した遊技価値である所有価値を景品に交換するための景品カウンターには、景品交換のためのPOS端末55が設置されている。また、遊技機3が配列された遊技島の島端等には、遊技カード53に対応付けられた残高(プリペイド残高)の精算を受け付ける残高精算機57が設置されている。
【0012】
遊技場では、管理装置10が通信可能に接続された有線LAN等の場内ネットワーク500が構築されている。遊技機3に対応して個別に設置された表示装置51及び遊技装置2は、中継装置54を介して場内ネットワーク500に接続されている。場内ネットワーク500を利用する本例の遊技場用システム1では、遊技装置2などの遊技機3の周辺装置と管理装置10との間の各種の通信が中継装置54を介して実現されている。
【0013】
管理装置10は、遊技場に設置された各種機器の動作状態を管理するほか、遊技装置2を介して各遊技機3の遊技情報を収集し、遊技機3単位で遊技データを管理している。さらに、管理装置10は、遊技者が所持する遊技カード53に対応付けられる残高や持玉などの価値を記憶し、遊技カード53の識別情報であるカードIDを対応付けて管理している。
【0014】
次に、本例の遊技場用システム1を構成する遊技機3、遊技装置2、管理装置10について説明する。なお、遊技機3の説明に続いて、遊技機3を設置する際のねかせ(傾斜度)を調節するためのねかせ調節機構17について説明する。
(遊技機)
遊技機3(
図2)は、遊技領域をなす盤面330に玉を発射して遊技が行われる遊技機である。遊技機3では、矩形状の金属製の外枠3Fに対して、玉が流下する遊技領域をなす盤面330を含む本体枠と、盤面330を覆うガラス窓を含む開閉扉33と、が回動可能に取り付けられている。開閉扉33を回動させると、盤面330へのアクセスが可能になる。本体枠を回動させると、電子基板などが収容された内部へのアクセスが可能になる。遊技機3は、遊技島側の木製の島枠171、172(
図4及び
図5参照。)に外枠3Fを固定することで遊技島に設置される。外枠3Fは、例えば、木ねじを利用してねじ止め固定される。
【0015】
本例の遊技機3は、遊技を通じて獲得された遊技価値(ポイント)である第1獲得価値を表す情報(本例では遊技玉ポイントを例示)を記憶する、いわゆる封入式の遊技機である。封入式の遊技機3は、遊技媒体である玉が封入されており、遊技者側に玉が払い出されることがない。玉は、遊技領域である盤面330への発射と、盤面330からの排出と、を繰り返し、遊技機3の内部で循環する。遊技機3では、ポイントを1Pずつ消費して玉を発射でき、いずれかの入賞口に玉が入賞すればポイントを獲得できる。獲得されたポイントは、遊技機3が記憶するポイント(遊技玉ポイント)に加算される。
【0016】
遊技機3は、始動口31への入賞に応じて大当り抽選を実行する、いわゆるセブン機である。この遊技機3は、大当り抽選に応じて図柄変動を実行するゲームを開始し、大当り図柄の停止表示により大当り当選を報知する。大当り当選が発生すれば、大入賞装置36が開放されるラウンドが複数回繰り返される有利な大当り状態に移行できる。ラウンドでは、大入賞装置36の開放により大入賞口360に玉が高頻度で入賞し、入賞する毎にポイントが付与される。なお、大入賞口360の入賞に応じて付与されるポイントは15ポイントである。
【0017】
遊技機3の前面には、遊技椅子に着席した遊技者に対面するように盤面330が設けられている。この盤面330の下方には、払出式の遊技機(図示略)における上皿に代えて、棚状に遊技者側に張り出すカウンター部35が設けられている。さらにカウンター部35の下方、遊技者側から向かって右側には、盤面330に打ち込む玉の発射強度を調節するために遊技者が操作する操作ハンドル335が立設されている。盤面330の上部両側には、装飾ランプ部336が配置され、下部両側にはスピーカ331が配置されている。
【0018】
玉を貯留するための窪みが設けられた払出式の遊技機の上皿とは異なり、カウンター部35の上面は平らになっている。カウンター部35の上面の中央付近には、6個の7セグメント表示器が横一列に配置された遊技玉P表示部355が埋め込まれている。遊技玉P表示部355の左側には、計数ボタン357が配置され、同右側には、残高表示部351、貸玉ボタン352、返却ボタン353等が配置されている。
【0019】
遊技玉P表示部355は、遊技者が遊技により獲得し遊技機3が記憶している遊技価値であるポイントの数量(遊技玉ポイント)の表示部である。1ポイントは、玉1個分に対応している。遊技玉P表示部355に表示されるポイントは、払出式の遊技機における遊技者の手元にある計数前の遊技玉の数量に相当している。
【0020】
計数ボタン357は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントを計数して、所有価値である持玉(第2獲得価値)に移行する計数処理を実行させる計数操作の操作ボタンである。この計数ボタン357は、遊技機3により記憶される遊技玉ポイント(遊技価値)の全部または一部を、遊技装置2にて記憶される持玉に移行するために遊技者が行う所定の計数操作を受け付ける計数操作受付手段である。
【0021】
残高表示部351は、遊技装置2が受け付けた貨幣(貨幣価値)のうちの残りの金額である残高(プリペイド残高)を表示する表示部である。
貸玉ボタン352は、残高を対価としてポイントの付与を受けるための操作ボタンである。
【0022】
返却ボタン353は、遊技を終了等するときに遊技カード53(
図1)を返却あるいは発行等させるための所定の発行操作のための操作ボタンである。遊技装置2に持玉や残高がある状態で遊技を終了する場合、返却ボタン353の押下げ操作により、持玉や残高が記録された遊技カード53の返却あるいは発行を受けることができる。
【0023】
盤面330は、玉が流下する領域である。盤面330には、液晶表示部390を含む表示装置39を中心として、スルーゲート345、一般入賞口343、始動口31、大入賞装置36等が配置されている。盤面330の最下部には、入賞することなく流下した玉を回収するためのアウト孔338が開口している。
大当り抽選結果を表示する液晶表示部390は、3桁の数字図柄を表示画面391に変動表示し、停止した3桁の数字図柄の組み合わせにより特図判定の当否を報知する。3桁のゾロ目が大当りを報知する大当り図柄となっている。
【0024】
遊技機3は、
図3のごとく、主回路40を中心として電気的に構成されている。主回路40に対しては、上記の構成のほか、遊技者が獲得した遊技価値であるポイントを遊技玉ポイントとして記憶する記憶部43、玉の発射装置441を制御する発射制御回路44、入賞玉を検出する入賞センサ414、大入賞装置36を開放させる大入賞口ソレノイド424、遊技演出を制御する演出制御回路45、外部機器とのインターフェースをなすI/F部48等が電気的に接続されている。さらに、主回路40には、電力を供給するための電源回路部428が接続されている。また、演出制御回路45には、アンプ/スピーカ331、装飾ランプ部336、液晶表示部390等が電気的に接続されている。
【0025】
記憶部43は、フラッシュROMなどの記憶デバイスを利用して構成されている。記憶部43は、遊技に伴い減算され、遊技で入賞すると加算される遊技玉ポイントを記憶する記憶手段である。遊技機3では、遊技価値であるポイントを1P消費して、遊技媒体である玉を発射できる。
【0026】
I/F部48は、中継装置54や遊技装置2などの外部機器とのインターフェースである。遊技機3は、I/F部48を介して中継装置54に遊技信号を出力するほか、遊技装置2との間で直接的に信号や情報の送受信が可能になっている。なお、遊技機3と遊技装置2との間で送受信される信号や情報の構成については、遊技装置2の構成を説明した後で説明する。
【0027】
主回路40は、CPU401、記憶素子であるROM402・RAM403、所定範囲の乱数を発生する乱数発生部407、抽選用乱数を抽出する乱数抽出部406等を備えている。主回路40は、図示しない抽選テーブルに規定された当選乱数に対して、この抽選用乱数を照合することで大当り抽選を実行する。そして大当りのとき、大当り状態を発生させる。
【0028】
主回路40は、ROM402から読み出したプログラムをCPU401に実行させる事により、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)遊技実行手段:遊技を通じて獲得された遊技価値(ポイント)である第1獲得価値を表す遊技玉ポイントを記憶可能であり、ポイントを対価として遊技を行わせる手段。遊技実行手段は、遊技玉ポイントから差し引く1ポイントを対価として、盤面330に玉を1個発射することで遊技を行わせる。
(2)遊技価値付与手段:遊技の進行に応じて遊技者に付与されるポイント(入賞付与価値)により遊技玉ポイントを加算更新する手段。
【0029】
(ねかせ調節機構)
ねかせ調節機構17(
図4及び
図5)は、遊技機3の傾斜度を表すねかせを調節するための機構である。ねかせ調節機構17によれば、遊技島の島枠171、172に外枠3Fをねじ止めして設置された遊技機3について、ねかせ(傾斜度、傾斜情報)を個別に調節できる。ねかせ調節機構17は、可動機構を介してベース枠173に保持された島枠172、及び島枠172を前後方向に進退させるための調節ボルト177等を含む機構である。ねかせ調節機構17における調節ボルト177は、ベース枠173に固定されたプレート175に貫通配置され、島枠172の側面に螺入されている。
【0030】
遊技島側の造作である島枠171、172は、遊技機3の外枠3Fを取り付けるための上下一対の木製の枠である。なお、
図4では上側の島枠171の図示を省略している。本例の構成では、上側の島枠171は可動機構を持たず遊技島側に固定されている一方、下側の島枠172は、可動機構を介して前後方向(奥行方向)に変位可能な状態で遊技島側に保持されている。下側の島枠172は、前後方向に沿う左右一対のレール170を介して進退可能な状態で、遊技島側に固定されたベース枠173に支持されている。
【0031】
ベース枠173の前面の左右両側には、短冊平板状の金属製のプレート175が取り付けられている。プレート175は、長手方向が鉛直方向に沿うようにベース枠173の前面に固定され、上方の突出部分が島枠172の側面に対面している。プレート175には、調節ボルト177を貫通配置するための孔が設けられている。
【0032】
左右のプレート175には、それぞれ、遊技機3のねかせを調節するための調節ボルト177が貫通配置されている。調節ボルト177の先端側は、島枠172の側面に穿設されたねじ孔に螺入されている。調節ボルト177の軸部の後端には、ボルト頭部との間でプレート175を挟持するようにEリング178が固定されている。調節ボルト177は、このEリング178によってプレート175から脱落しないように抜け止めされている。
【0033】
調節ボルト177は、ボルト頭部とEリング178とでプレート175を挟持する状態にある。島枠172に対する調節ボルト177のねじ込み量を変更すれば、プレート175と島枠172との間隙を変更でき、これにより島枠172を前後方向に変位させることが可能である。上下の島枠171、172に外枠3Fをねじ止めして遊技機3を設置した状態で下側の島枠172の前後方向の位置を変更すれば、遊技機3の下部を前後方向に変位でき、これにより遊技機3の傾斜度であるねかせを調節できる。このとき、上側の島枠171に対する下側の島枠172のねじれを抑制できるよう、左右の調節ボルト177のねじ込み量を均等に調節すると良い。
【0034】
本例では調整ボルト177等によりねかせを調整することを例示したが、調整ボルトを使用することなく、例えば島枠172に取手等を設けてねかせを調整するといった他の調整方法を採用しても良いし、遊技機3の外枠3Fのねじ止めを調整する等してねかせを調整するための特別な機構を別途設けずに本案を採用しても勿論良い。
【0035】
(遊技装置)
遊技装置2は、
図6のごとく、遊技に必要な玉やポイントを付与する付与処理や、遊技者が遊技により獲得した遊技価値である遊技玉ポイントを計数して持玉に変換する計数処理等を実行する装置である。遊技装置2は、各遊技機3に対して1対1で対応して設けられている。遊技場では、遊技装置2を利用して遊技に必要な玉やポイントの付与を受けると、対応する遊技機3での遊技が可能となる。
【0036】
遊技装置2の前面パネル27には、状態表示部21、貨幣投入口22、タッチパネル23、遊技ボタン24、カード挿入口26等が設けられている。
状態表示部21は、装置エラーや一般カード532のストック切れ等の作動状態を表示する表示部である。
【0037】
貨幣投入口22は、ポイントの対価となる貨幣を投入する挿入口である。
タッチパネル23は、遊技者が指先等で表示画面に触れて操作するタッチ操作が可能な表示装置である。タッチパネル23は、持玉や残高(プリペイド残高)等を表示するほか、遊技者の設定操作を受け付ける各種の画面を表示する。
【0038】
遊技ボタン24は、遊技者が獲得した遊技価値である持玉(所有価値)を元にして、遊技に必要なポイントの付与を受けるための操作ボタンである。
カード挿入口26は、所有価値である持玉や残高等が対応付けられた遊技カード53の挿入あるいは発行のための挿入口である。
【0039】
カード挿入口26には、会員カード531や一般カード532(
図8)等の遊技カード53を挿入可能である。会員カード531は、会員登録した遊技者に発行される遊技カードである。一般カード532は、遊技終了時に残高あるいは持玉が残っている場合に発行される遊技カードである。
【0040】
遊技カード53は、遊技により遊技者が獲得した遊技価値である持玉(所有価値)を対応付け可能な記憶媒体である。会員カード531であるか一般カード532であるかによらず、遊技カード53には、識別情報であるカードIDのほか、当日の遊技により獲得された遊技価値である持玉や、当日入金した貨幣価値のうちの残高等のデータが対応付けられる。
【0041】
なお、会員カード531は、前日以前の遊技により獲得した所有価値(持玉等)を貯玉等として遊技場側に預け入れて、後日の引出しを可能にする会員向けの貯玉サービスに対応している。この貯玉等については、改ざん等の不正を未然に回避するため、カードIDを対応付けて専ら管理装置10で記憶、管理され、遊技カード53には記録されない。
【0042】
遊技カード53に対応付けられた持玉、残高などの記録情報については、遊技カード53の不正利用の防止等を目的として管理装置10側でも管理されている。遊技装置2やPOS端末55(
図1)や残高精算機57(
図1)など、遊技カード53を取り扱う場内装置は、遊技カード53を受け付けるとカードIDを読み出して管理装置10に照会を要求し、記録情報の正否を確認する。また、これらの場内装置は、遊技カード53の記録情報を書き換えて更新する際、新たな記録情報を管理装置10に送信する。管理装置10は、遊技カード53の識別情報であるカードID単位で、遊技カード53に対応付けられた持玉や残高等を記憶し管理している。
【0043】
遊技装置2の側面(対応する遊技機側の側面)には、
図6のごとく、遊技機3の外枠3Fを検知するための検知手段の一例をなす近接検知部25が設けられている。近接検知部25は、遊技装置2の上部及び下部の2か所に同一仕様で設けられ、鉛直方向に離間して配置されている。ここで、同図中の破線は、この遊技機3の外枠3Fの外形を示している。特に、遊技装置2の側面において破線により囲まれる領域FPは、遊技機3の外枠3Fが対面する領域を示している。
【0044】
上下2か所の近接検知部25(
図7(a))は、検知センサの一例をなす光電センサ250を利用して構成されている。光電センサ250は、
図7(b)のごとく、窪みの底面に配置された発光部250Pと受光部250Rとの組合せを備える光学式の近接センサである。光電センサ250は、発光した光が反射されて戻るか否かに応じて近接する対象物(外枠3F)の存否を判定することで対象物を検知する。
【0045】
近接検知部25(
図7(a))では、奥行き方向に沿って5個の光電センサ250が等間隔で配置された列が上下2段に設けられている。近接検知部25は、全体として奥行方向に長い矩形状を呈している。各段の光電センサ250の配置間隔は、尺貫法の一分(3.03mm)である。上段の列と、下段の列とは、光電センサ250の配置ピッチPが同様である一方、位相がずれている。下段の列の光電センサ250は、上段の列の隣り合う光電センサ250の中間に位置している。
【0046】
近接検知部25は、上記のごとく奥行方向に長く形成されると共に、領域FPの外縁をなす鉛直方向の境界BD(
図6)が横断するように配置されている。つまり、近接検知部25は、一部が遊技機3の外枠3Fに対面する一方、一部が外枠3Fに対面しないように位置している。このように位置する近接検知部25によれば、外枠3Fの有無に加えて、領域FPの境界BDの奥行方向の位置を特定可能である。
【0047】
上下2段の光電センサ250の組合せによれば、配置ピッチPの2倍の精度で、遊技機3の奥行方向の位置を把握可能である。以下の説明では、
図7のごとく、上段の光電センサ250の番号を奥行方向手前側(図中左側)から1番、2番、3番、4番、5番とし、下段の光電センサ250の番号を奥行方向手前側から1.5番、2.5番、3.5番、4.5番、5.5番とする。本例では、1番、2番などの光電センサ250の序列を奥行方向の位置の指標として取り扱っている。奥行方向の位置の最小単位である1番分に相当する位置の違いは、上記のごとく一分(3.03mm)である。なお、上下2段とすれば配置ピッチPの2倍の精度となるが、上下3段や4段等とすれば3倍、4倍の精度を見込められる一方で、簡易的に配置ピッチ同等の精度を見込むため1段としても勿論良い。
【0048】
遊技装置2は、
図8のごとく、CPU201、ROM202、RAM203等を備える制御部20を中心として電気的に構成されている。制御部20に対しては、近接検知部25を含む上記の構成のほか、貨幣の受付処理を実行する貨幣処理部221、記憶媒体である遊技カード53に対応付けられた記録情報を読み書きするカードリーダライタ(カードRW)280、一般カード532をストックするカードストック部283、対応する遊技機3及び中継装置54との間の通信ポートをなすI/F部29、リモコン操作のためのリモコン受光部290などが電気的に接続されている。
【0049】
貨幣処理部221は、遊技を行うために必要な遊技価値の対価となる貨幣を受け付ける貨幣受付手段である。貨幣処理部221は、受け付けた貨幣の種類を検出し、その貨幣価値を特定する。
【0050】
遊技装置2の制御部20は、ROM202から読み出したプログラムをCPU201に実行させることにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)遊技情報取得手段:遊技機3での遊技の結果を表す遊技情報を取得する手段。
(2)傾斜情報特定手段:遊技機3のねかせ(傾斜度。傾斜情報の一例)を特定する手段。傾斜情報特定手段は、上下2か所の近接検知部25の各光電センサ250(
図7)の検知信号(検知状況を表す信号)を処理することで、遊技機3のねかせを特定する。
(3)遊技情報送信手段:遊技情報取得手段が取得した遊技情報に、遊技機3のねかせを対応付けて管理装置10に送信する手段。
【0051】
遊技装置2のI/F部29は、中継装置54を介して、管理装置10との間でシリアル通信が可能である。遊技装置2は、遊技状況を表す台データをI/F部29を介して遊技機3から受信する毎に、管理装置10に対して遊技情報を送信する。特に、遊技装置2が管理装置10に対して送信する遊技情報には、対応する遊技機3の識別情報である台番、及びその遊技機3のねかせが対応付けられている。
【0052】
(管理装置)
管理装置10は、
図9のごとく、液晶ディスプレイ及び図示しないプリンタ等の出力部11と、各種の演算処理を実行する装置本体100と、キーボードやマウス等を含む入力部12と、遊技装置2などの外部機器との通信を実現する通信I/F部13と、を備えている。装置本体100は、演算処理を実行するCPU101のほか、ROM102・RAM103などの記憶素子や、I/Oを構成する通信制御素子等が実装された電子基板(図示略)のほか、ハードディスクドライブ等の記憶装置15を備えている。
【0053】
管理装置10は、遊技機3単位で遊技情報を記憶、管理する機能を有する。管理装置10は、各遊技機3の遊技装置2から受信する遊技情報を集計等することで遊技機3単位の遊技データを生成する。
【0054】
管理装置10は、ROM102や記憶手段15から読み出したプログラムをCPU101に実行させることにより、以下の各手段としての機能を実現する。
(1)受信手段:データ通信用の回線である場内ネットワーク500を介して遊技情報送信手段としての遊技装置2と接続され、遊技装置2から遊技情報を受信する手段。なお、上記のごとく遊技情報には、ねかせが対応付けられている。
(2)遊技データ生成手段:受信した遊技情報に演算処理を施して遊技機3の遊技に関する遊技データを生成する手段。
(3)管理手段:遊技機3の識別情報である台番を対応付けて、ねかせ及び遊技データを管理する手段。特に、本例の管理手段は、ねかせを複数段階の範囲に区分し、区分毎の遊技データを管理する機能を備えている。
【0055】
次に、以上のような構成の遊技場用システム1の動作を説明する。以下、遊技装置2の動作を説明した後、管理装置10が管理する遊技データについて説明する。
(遊技装置の動作)
遊技機3との協調動作を含めて遊技装置2の基本動作を説明する。遊技場では、遊技装置2に貨幣を投入等することで、対応する遊技機3での遊技を開始できる。遊技装置2が貨幣を受付する(貨幣受付処理)と、遊技機3と遊技装置2との双方において、入金額が残高に加算されて表示される。残高がある状態で遊技機3の貸玉ボタン352を押下(貸出操作、付与操作)すると貸出1単位(例えば125玉)分が貸出玉(売上玉)としてポイント(対価付与価値)に変換され(貸出処理、対価付与処理)、遊技レート(以下、レート)に応じた対価分が残高から引落とされる。なお、遊技装置2は、複数回の対価付与処理に対応可能な額の貨幣を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0056】
遊技機3は、上記の通り、所謂封入式の遊技機であり、盤面330に打ち出された玉が循環し、入賞した場合であっても遊技機3の外に玉が払出されない。この遊技機3では、遊技玉ポイントが管理され、盤面330への玉の打出し(使用)に応じてポイントが減算され、入賞に応じて付与されたポイントが加算される(入賞付与処理)。
【0057】
遊技装置2は持玉を管理している。この持玉を直接、遊技に使用することは出来ないが、遊技ボタン24の押下に応じて貸出1単位分の持玉が変換玉として遊技玉ポイントに変換される変換処理(対価付与処理)が行われる。この場合、変換率を別途設けても良いが、本例では1:1の等価変換としている。なお、この等価変換については、下記の計数処理についても同様である。
【0058】
遊技に応じて遊技機3の遊技玉ポイントが増加した場合、遊技機3の計数ボタン357の押下に応じて遊技玉ポイントを計数玉とし、持玉に変換できる(計数処理)。この場合、計数ボタン357の押下げ1回に応じて1玉が変換対象となるが、計数ボタン357の押下状態を継続させると連続的、且つ加速的に複数玉を計数玉に変換できる。このようにして遊技玉ポイントと持玉とが更新され、残高や持玉が残存する状態で遊技機3の返却ボタン353を押下する等の発行操作が行われると、遊技装置2は、ストックしていた持玉券としての一般カード532に残高や持玉を対応付けて発行する(発行処理)。なお、遊技装置2は、持玉の一部や残高のみを発行対象とする分割発行にも対応している。
【0059】
発行処理については、遊技機3における遊技玉ポイントに応じた発行条件が設けられ、本例では遊技玉ポイントが所定数(ゼロ)以下となることで発行条件が成立し遊技カード53の発行処理が可能となる。よって、上記した遊技機3との通信により、遊技への使用や計数処理等により遊技玉ポイントがゼロになるとその旨が遊技装置2に通知され、発行条件が成立すると発行処理が許可される。遊技装置2は、例えば遊技機3から遊技玉ポイントを特定可能なポイント信号を受信することで、遊技玉ポイントの数量を更新して発行条件が成立した旨を特定すれば良いが、遊技玉ポイントがゼロになった旨を表す信号を別途受信するような他の特定方法を採用しても良い。
【0060】
発行された一般カード(持玉券)532により特定可能な持玉は、POS端末55(
図1)にて景品との交換が許容され、残高は残高精算機57(
図1)にて貨幣に精算可能である。なお、遊技装置2が受付ける貨幣を含め、貨幣価値としては現金が例示できるが、例えば電子マネーやクレジット決済といったように現金以外の貨幣価値を受付対象や精算対象としても良い。また、持玉や残高を一般カード532に対応付けて発行処理を行うことを例示したが、例えば会員カード531や遊技者の携帯電話等の他の記憶媒体に対応付けた発行処理を行っても勿論よい。
【0061】
遊技機3⇔遊技装置2でやり取りされる信号あるいは情報としては以下のものがある。
(1)状態確認要求信号:状態確認応答(台データ)の要求信号。遊技装置2が200m秒毎に遊技機3に送信する。
(2)台データ:状態確認要求信号に応じて遊技機3が遊技装置2に返信する状態確認応答。なお、台データの内訳は後述の通りである。
(3)カード挿入通知:遊技カード53を受け付けた旨の遊技装置2による通知。
(4)カード挿入応答:カード挿入通知に対する遊技機3の応答。
(5)返却要求信号:遊技カード53の返却を求めて遊技機3が送信する信号。返却ボタン353の操作に応じて遊技機3が送信する。
(6)計数要求信号:遊技機3が備える計数ボタン357が操作されたときに遊技機3が送信する信号。計数要求信号は、遊技機3が記憶する遊技玉ポイントのうちの1P分の計数を要求する信号である。
【0062】
台データには、以下のデータや情報等が含まれている。なお、以下の説明では、遊技機3が遊技装置2に送信する台データを遊技情報という。
(1)アウト(ポイント数):前回データ送信時からの消費価値(使用価値、打込価値、アウト)を1ポイント単位で表す。
(2)セーフ(ポイント数):前回データ送信時からの入賞に応じて付与された入賞付与価値(セーフ)を1ポイント単位で表す。
(3)S入賞(回数):前回データ送信時からの始動入賞(S入賞)を1回単位で表す。
(4)スタート(回数):前回データ送信時からのS入賞を契機として作動(変動)する役物(液晶表示部390)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を表す。
(5)大当り(回数):前回データ送信時から発生した大当り数を1回単位で表す。
(6)大当り(状態):データ送信時に大当り状態の発生中であればON、大当り状態の発生中でなければOFFが示されるので、ONとなってからOFFとなるまでの期間を大当り中として特定できる。
(7)甘中(状態):データ送信時に、特別状態中(甘中)あるいは大当り状態の発生中であればON、それ以外であればOFFになるので、ONへの切換後、OFFとなるまでの期間を甘中あるいは大当り状態の発生中として特定できる。例えば甘中(状態)がONの場合、大当り(状態)がONであれば大当り状態の発生中、大当り(状態)がOFFなら甘中と特定できる。大当り(状態)と甘中(状態)のいずれもOFFであれば通常状態と特定できる。なお、大当り状態の発生中では、甘中(状態)が必ずしもONにならなくとも良い。
【0063】
特に、本例の遊技装置2は、遊技機3の傾斜度を表すねかせを特定可能である。遊技装置2による遊技機3のねかせの特定方法について、
図10及び
図11を参照して説明する。遊技装置2の側面図である
図10中の領域FPは、上記のごとく、遊技装置2の側面に対して遊技機3(外枠3F)が対面する領域を例示している。領域FPの境界BDは、遊技装置2の側面の奥行方向に長い矩形状の近接検知部25を横断している。
図10に例示の場合、上下2か所の近接検知部25の検知状態が例えば
図11のようになる。
【0064】
近接検知部25は、遊技機3の外枠3Fを検知している光電センサ250(
図11中のハッチング表示のもの)と、未検知の光電センサ250(同図中の白抜き表示のもの)と、の境目として、領域FPの境界BDを特定可能である。例えば上部の近接検知部25の検知状態を例示する
図11(a)の場合、上段の1番から4番の光電センサ250が検知状態にあると共に、下段の1.5番から3.5番の光電センサ250が検知状態にある。領域FPの境界BDは、4番と4.5番の光電センサ250の間に位置している。領域FPの境界BDの奥行方向の位置は、遊技機3の奥行方向の位置として取り扱い可能な指標である。本例では、例えば境界BDの奥行方向の位置が4番と4.5番の間に位置する
図10(a)の場合、遊技機3の上部の奥行方向の位置を4番と特定している。
【0065】
一方、例えば下部の近接検知部25を例示する
図11(b)の場合、上段の1番と2番の光電センサ250が検知状態にあると共に、下段の1.5番と2.5番の光電センサ250が検知状態にある。本例では、例えば領域FPの境界BDが2.5番と3番の間に位置する同図の場合、遊技機3の下部の奥行き方向の位置を2.5番と特定している。
【0066】
上記のごとく、遊技装置2では、上部の近接検知部25の各光電センサ250と、下部の近接検知部25の各光電センサ250とで、奥行方向の位置的な仕様が同一である。本例では、上部の近接検知部25によって特定された遊技機3の奥行き方向の位置と、下部の近接検知部25によって特定された遊技機3の奥行き方向の位置と、の差を遊技機3の傾斜度を表すねかせとして取り扱っている。
図11の場合、遊技機3のねかせは、遊技機3の上部の奥行き方向の位置である4番から下部の奥行き方向の位置である2.5番を差し引いた1.5番となる。上記のように1番は一分、すなわち一分五厘(およそ4.6mm)となる。
【0067】
遊技装置2は、各遊技機3の遊技状況を表す遊技情報を管理装置10に送信する。管理装置10側では、遊技装置2から受信した遊技情報が遊技機3単位で集計等されて遊技データが生成される。なお、遊技装置2は、対応する遊技機3のねかせを対応付けた状態で遊技情報を送信する。ねかせを遊技情報に対応付ける方法としては、遊技装置2が送信する遊技情報に対して直接、ねかせを対応付けても良い。あるいは、遊技機3の識別IDを遊技情報に対応付けると共に、識別IDを対応付けたねかせを管理装置10に送信することも良い。この場合、管理装置10は、遊技機3の識別IDを利用して、遊技情報に対してねかせを対応付け可能である。
【0068】
なお、一定時間毎にねかせを送信するように遊技装置2を構成しても良いが、例えば、営業開始時の遊技装置2の初期化処理によりねかせを特定し管理装置10に送信することも良い。なお、ねかせを一定時間毎に送信すれば、遊技者が遊技機を揺する等の不正行為を発見できる可能性もある。勿論、ねかせの変化を随時特定し、変化があった場合に上記不正行為のような異常が発生した旨を検知したり、管理装置10にそれらの検知結果を送信したりしても良い。
【0069】
(管理装置が管理する遊技データ)
管理装置10は、遊技機3側から受信した遊技情報を集計等して遊技データを生成し、管理している。管理装置10が管理する遊技データについて、
図12~
図14を参照して説明する。
【0070】
図12は、機種Aの各遊技機3が出力した遊技情報(台データ)を遊技機3毎に集計した遊技データの一覧(素データ一覧)の例示である。各遊技機3の遊技データには、その遊技機3の傾斜情報の一例であるねかせが対応付けられている。なお、同図中の「平均」は、機種Aの遊技機3全体の平均データを示している。同図における各データ項目は以下の通りである。
【0071】
(1)モード:遊技機3に設定された設定値。遊技者側の有利度合いを表すモードは、遊技場側の設定操作により設定される。
(2)ねかせ:遊技機3の傾斜度を示す傾斜情報の一例。本例のねかせは、遊技機3の上端部に相対する下端部の手前側への張り出し量である。ねかせの単位は、例えば尺貫法における「分」である。
(3)アウト:遊技機3にて消費された遊技価値。なお、アウトは以下の各データと同様、遊技機3→遊技装置2に送信される遊技情報(台データ)に基づいて特定される。
(4)セーフ:遊技機3での入賞に応じて付与された遊技価値。
(5)スタート、S入賞:スタートは遊技機3における役物の作動回数。S入賞は始動入賞数。なお、上記の通り、以下も含め「甘中」とは時短状態や確変状態などの特別状態期間に対応した遊技情報を表す。また「通常」は、通常時に対応した遊技情報を表す。
(6)売上玉:対応する遊技装置2にて貨幣価値を対価として付与された遊技価値(貸出玉数、対価付与価値)。
(7)大当り数:大当りした回数。「通常」は通常時に発生した大当り数で所謂「初当り」数を表す。「特定」は特定の条件を満たす大当りである特定大当りの発生回数を表す。特定の条件は、例えば、T1Y(後述)が基準範囲(例えば1000~2000)内となったこと等の条件である。
(8)Tアウト/Tセーフ:T中(大当り中、及び甘中)のアウト/セーフ。
(9)T1アウト/T1セーフ:T1中(大当り中)のアウト/セーフ。
(10)特T1アウト/特T1セーフ:特定大当りのみを対象としたT1中のアウト/セーフ。
【0072】
図13は、
図12に例示する各遊技機3の遊技データ(素データ)に演算処理を施して取得される遊技機3単位(機種A)の遊技データ集計を示している。各遊技機3の遊技情報には、対応する遊技機3のねかせが対応付けられている。なお、「平均」は、機種Aの遊技機3全体の平均を示している。
図13中の各遊技データの項目は以下の通りである。
【0073】
(1)ベース:状態(通常時、甘中)別の出率を表す。「通常」は、Bセーフ÷BOにて、「甘中」は、BセーフA÷BOAにて演算される。以下も含め、通常中のアウトを表すBOは、アウト-Tアウト、通常中のセーフを表すBセーフは、セーフ-Tセーフ、甘中のアウトを表すBOAは、Tアウト-T1アウト、甘中のセーフを表すBセーフAは、Tセーフ-T1セーフにて特定されるが、BO、Bセーフ、BOA、BセーフAを素データとして求めても良い。なお、以下では通常中のベースを単にベース、甘中のベースをBAともいう。
(2)平均S、平均S入賞:平均Sは、アウトに対する図柄変動数の割合を示し、同様に平均S入賞は、アウトに対する始動入賞数の割合を表す。平均Sは、通常(甘中)スタート÷BO(BOA)にて、平均S入賞は、通常(甘中)S入賞÷BO(BOA)にて演算される。
(3)有効率:通常時の始動入賞数に対する図柄変動数の割合を示し、通常スタート÷通常S入賞にて演算される。なお、通常時だけでなく甘中の有効率を管理しても良い。
(4)BY、BYmin:BYは、図柄変動分を除いたベースを示し、BYminは、始動入賞分を除いたベースを表す。BYは、通常(甘中)ベース-通常(甘中)平均S×始動賞球にて、BYminは、通常(甘中)ベース-通常(甘中)平均S入賞×始動賞球にて演算される。なお、始動賞球は始動入賞1回当りのセーフを示し、本例では3Pである。
(5)T1Y、T1O:T1Yは、平均大当り中出玉数を示し、(T1セーフ-T1アウト)÷合計大当り数にて演算される。T1Oは、平均大当り中アウトを示し、T1アウト÷合計大当り数にて演算される。なお、合計大当り数は、通常大当り数+甘中大当り数にて演算される。
(6)特T1Y、特T1O:特定大当りを対象としたT1Y、T1Oを表す。特T1Yは、(特T1セーフ-特T1アウト)÷特定大当り数、特T1Oは、特T1アウト÷特定大当り数にて演算される。
(7)出率、Bサ、客滞率:出率は、アウトに対するセーフの割合(払出率、付与率)を示し、セーフ÷アウトにて演算される。Bサは、通常時の差玉数を示し、BO-Bセーフにて演算される。客滞率は、売上玉に対するBサの割合を示し、Bサ÷売上玉にて演算される。
(8)粗利:遊技に応じた遊技場側の営業利益を示し、売上額-獲得玉×貸単価×原価率にて演算される。なお、獲得玉(獲得価値)は、売上玉+セーフ-アウト、売上額は、売上玉×貸単価にて演算される。ここで、貸単価は4円、原価率は75%である。
(9)玉単価、玉粗利:玉単価は、アウト1当りの売上額を示し、売上額÷アウトにて演算される。玉粗利は、アウト1当りの粗利を示し、粗利÷アウトにて演算される。
(10)営業割数:実際の売上額(売上玉)に対する遊技場側の損益額(損失玉)の割合を示し、獲得玉÷売上玉にて演算される。
【0074】
ここで、遊技機3の傾斜度を示す傾斜情報の一例であるねかせと、入賞率等の遊技情報と、の関係について考察してみる。パチンコの玉は完全な球体ではなく、あえて長径と短径が設けられている。遊技機3では、このように不完全な球体である玉を採用することで、クギとの玉ハネの軌道を複雑にして遊技の興趣を向上している。
【0075】
さらに、遊技機3の玉は、クギで跳ねるだけでなく、盤面330でも跳ねるので、遊技機3のねかせに応じて盤面330で玉が跳ねる度合いが変化する。このように玉の動きに大きな影響を与える遊技機3のねかせについては、従来より調節可能な範囲が規定されており、各遊技場では、規定された範囲内でねかせを調節している。
【0076】
遊技機3のねかせの度合いが強くなれば、玉が盤面330で跳ねる度合いが高まり、玉の軌道がより複雑になって盤面330の玉の滞留時間が長くなる傾向がある。しかし、このように遊技機3のねかせに応じて玉の軌道が複雑になり、盤面330上の玉の滞留時間が長くなった場合に、入賞の頻度がどのように変化するか、遊技機3の機種に応じて変化の傾向が相違するか等、ねかせの影響が定かではないという実情がある。遊技機3のねかせと入賞率など遊技情報との関係性を明確化する等、遊技機3のねかせを管理できれば、遊技場を経営する上で非常に有効である。
【0077】
そこで、
図12及び
図13の遊技機3毎の遊技データに基づき、ねかせの範囲毎に区分して遊技データを集計すれば、例えば
図14中の各欄の遊技データを生成でき、同図を完成できる。
図14のごとく、ねかせの範囲毎に区分された遊技データに基づけば、ねかせとスタートとの関係や、ねかせと平均S入賞との関係や、ねかせとベースとの関係などの傾向を把握できる。ねかせと遊技データとの関係が分かれば、遊技機3の傾斜度合いを表すねかせが遊技に与える影響を精度高く把握できる。なお、
図14におけるねかせの範囲毎の遊技データを、さらにモード毎に区分することも良い。
【0078】
ねかせと遊技データとの関係を把握できれば、例えば平均S入賞を高くしたいときや、ベースを高くしたいときなど、遊技機3のねかせをどのように調節すれば良いのかを精度高く判断できる。例えば経験の少ない遊技場の管理者等であっても、各遊技機3のねかせを的確に調節できるようになり、例えばスタートなど各遊技機3の遊技データを加減するための調整が可能になる。
【0079】
以上のように詳述した本例の遊技場用システム1は、遊技機3の側方に隣り合わせで遊技装置2が設置された遊技場を対象とするシステムである。この遊技場用システム1は、遊技装置2の姿勢を基準として遊技機3の相対的な傾斜度を示す傾斜情報の一例であるねかせを特定する傾斜情報特定手段を備えている。傾斜情報特定手段は、遊技装置2に設けられる近接検知部25(検知手段)の検知状況に基づいて遊技機3のねかせを特定する。遊技場用システム1は、各遊技機3のねかせの管理を含めて、遊技場に設置された遊技機3を管理する上で極めて有用である。
【0080】
遊技装置2が検知手段の一例として備える近接検知部25は、遊技機3の傾斜度(ねかせ)の度合いに応じて遊技機3の側面を検知するか否かが切り換わる光電センサ250(検知センサの一例)を含んで構成されている。光電センサ250によれば、比較的簡便な構成により非接触で遊技機3の側面を確実性高く検知可能である。なお、検知センサとしては、例示した光電センサ250のほか、音波センサ、遊技機3の側面により押圧されて押し込まれる押込スイッチ、金属製の外枠3Fを磁気的に検出するギャップセンサなど様々なセンサを利用できる。
【0081】
検知手段の一例をなす近接検知部25は、遊技装置2の側面において、鉛直方向に離間する上下2か所に配置されている。1か所の近接検知部25によれば、遊技装置2に対して隣り合う遊技機3の側面が検知されるか否かに応じて、遊技機3の奥行方向の位置の情報を得ることができる。鉛直方向に離間する上下2か所において遊技機3の奥行方向の位置の情報を得られれば、奥行方向の位置の差分に基づいて、遊技機3のねかせ(傾斜度)を把握できる。鉛直方向に離間する上下2か所の近接検知部25によれば、遊技機3の傾斜角度を直接的に計測することなく、遊技装置2に対する遊技機3の相対的なねかせを把握できる。なお、近接検知部25を鉛直方向に離間して配置する構成としては、本例の2カ所には限定されず、3か所や4か所など近接検知部25の数を増やすことも良い。
【0082】
なお、上側の島枠の奥行方向の位置精度が十分に高く、島枠への取付に応じて遊技機3の上端部の奥行方向の位置が規定され得る場合であれば、遊技装置2の下部に近接検知部25を1か所のみ設ける構成を採用できる。この場合には、遊技機3の上端部を、奥行方向の位置が既知の固定端のように取り扱いでき、下部の近接検知部25で遊技機3の下端部の奥行方向の位置を計測するだけで、遊技機3のねかせを特定できる。
【0083】
検知手段の一例をなす近接検知部25は、奥行方向に配列される複数の光電センサ250(検知センサ)を含んで構成されている。奥行方向に配列された複数の光電センサ250によれば、検知手段である近接検知部25に対面する位置に遊技機3の側面が有るか無いかに加えて、遊技機3の奥行方向の位置をより細かく把握できる。
【0084】
遊技場用システム1は、遊技機3の識別情報である台番に対応付けて、各遊技機3の傾斜情報であるねかせを管理する管理手段としての管理装置10を含むシステムである。遊技機3の台番にその遊技機3のねかせを対応付ければ、各遊技機3のねかせを効率良く管理できる。特に本例の管理装置10は、ねかせの範囲毎に遊技機3の遊技データを集計し管理している。このように遊技データを管理すれば、ねかせと遊技データとの関係を把握できる。ねかせと遊技データとの関係は、ねかせを調節する際に有効な指標となり得る。
【0085】
各遊技機3の台番をねかせに対応付ければ、各遊技機3の遊技結果を表す遊技データに対して効率良くねかせを対応付けできる。この場合には、ねかせに応じた遊技データの傾向の把握が容易となり、遊技場経営にねかせを効率良く活用できるようになる。
【0086】
本例の構成に代えて、あるいは加えて以下のような構成を採用することも良い。また、以下の各構成を適宜組み合わせて採用することも良い。
遊技装置2から中継装置54を経由して管理装置10にデータ送信する構成を例示したが、遊技装置2から直接、管理装置10にデータ送信する構成を採用しても良い。
遊技機3と遊技装置2は直接的に信号や情報を送受信する構成を例示したが、中継装置54を介してこれらを送受信しても良い。遊技機3のアウト信号などの台データを中継装置54経由で出力する構成としても良い。
【0087】
例示した全ての遊技情報は、入力した信号により直接的に特定しても良く、演算式を利用して間接的に特定しても良い。また、遊技信号としてシリアル通信による電文情報等を例示したが、どのような遊技信号を対象としても良い。
説明中の数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。また、出力としては印字、表示出力が少なくとも想定される。
対象となる遊技機3としては例示したパチンコ遊技機3以外のパチンコ遊技機や、スロットマシン等にも採用できる。なお、例示した封入式を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
例示した封入式の遊技機3に代えて、従来の遊技媒体を払い出す払出式の遊技機を対象としても良い。また、本例では、機種毎の区分でねかせを管理する例を説明したが、例えばレート別やフロア別に遊技機をグループ化する等、ねかせを管理する区分を変更しても良い。
【0088】
本例では遊技機に向かって左側に配置される遊技装置に検知手段を設ける構成を例示したが、例えばスロットマシンのように遊技機に向かって右側に配置される遊技装置に検知手段を設けても良い。また、本例にて示した遊技装置における検知手段を設ける側面の反対側面にも検知手段を設け、遊技機の両隣の遊技装置に設けられる検知手段により遊技機のねかせを検知すれば更に検知精度を高めることが可能となり、両者の違いを管理することで遊技機のねかせが左右均等であるかといった更なる傾斜情報を特定、或いは管理することも可能となる。
【0089】
遊技装置2が行う処理の一部を中継装置54、表示装置51、或いは管理装置10等にて行っても良い等、どの様に構成しても良い。さらに例示した構成は変形例も含めて、どのように組合わせても良いし、適宜、採用しない構成を設けても良い。
【0090】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0091】
1 遊技場用システム
10 管理装置(受信手段、遊技データ生成手段、管理手段)
17 ねかせ調節機構
2 遊技装置
20 制御部(遊技情報取得手段、傾斜情報特定手段、遊技情報送信手段)
25 近接検知部(検知手段)
250 光電センサ(検知センサ)
3 パチンコ遊技機(遊技機)
330 盤面(遊技領域)
40 主回路(遊技実行手段、遊技価値付与手段)
500 場内ネットワーク
51 表示装置
54 中継装置