(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 7/10 20060101AFI20231109BHJP
A47K 13/10 20060101ALI20231109BHJP
F16H 1/16 20060101ALI20231109BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H02K7/10 Z
A47K13/10
F16H1/16 Z
F16H1/06
(21)【出願番号】P 2019205220
(22)【出願日】2019-11-13
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】石水 昭夫
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-200458(JP,A)
【文献】特開2014-087138(JP,A)
【文献】特開2016-077396(JP,A)
【文献】特開2018-119644(JP,A)
【文献】特開2007-068910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/10
A47K 13/10
F16H 1/16
F16H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
開閉部材が接続される出力軸と、
前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、
前記モータおよび前記伝達機構を収容するケースと、
前記出力軸が第1回転方向に回転したときに当該出力軸を前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させる弾性エネルギーを蓄積する第1アシストばねと、を備え、
前記出力軸の軸線に沿った方向を軸線方向、前記軸線方向の一方側を第1方向、他方側を第2方向とした場合に、
前記ケースは、第1ケースと、前記第1ケースの前記第1方向から前記第1ケースに重なる中間ケースと、前記中間ケースの前記第1方向から前記中間ケースに重なる第2ケースと、を備え、
前記出力軸は、
前記第1ケースおよび前記中間ケースとの間に位置する基部と、前記基部の前記第2方向で
前記第1ケースから突出する突出部と、を備え、
前記伝達機構は、出力歯車を備え、
前記第1ケースは、前記出力軸を
当該第1ケースの内側から外側に貫通させる開口部
を備え、
前記中間ケースは、前記開口部と同軸で前記基部の前記第1方向の端部分を回転可能に支持する筒部を備え、
前記筒部は、前記第2方向の端から前記軸線方向に延びる切欠き溝を備え、
前記第1アシストばねは、前記筒部を外周側から囲むコイル状の第1ばね本体部と、前記第1ばね本体部の前記第1方向の端から径方向内周側に延びて前記切欠き溝を通過する第1ケース側係止部と、前記第1ばね本体部の前記第2方向の端から前記第2方向に突出する第1突出部と、を備え、
前記基部は、前記筒部に挿入された挿入部と、前記挿入部の外周側で前記筒部に外周側から接触する環状部と、前記第1突出部が係止される第1ばね係止部と、前記挿入部の第2方向で前記出力歯車が回転不能な状態で同軸に固定される歯車固定部と、を備えることを特徴とする開閉部材駆動装置。
【請求項2】
前記筒部は、大径筒部分と、前記大径筒部分の前記第2方向で前記大径筒部分よりも外径が小さい小径筒部分と、前記大径筒部分と前記小径筒部分との間で前記第2方向を向く環状端面を備え、
前記環状部は、前記小径筒部分に外周側から接触し、前記環状端面に前記第2方向から接触することを特徴とする請求項1に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項3】
前記ケースよりも剛性が高く、前記ケースの内側に固定された補強部材、を有し、
前記基部は、前記歯車固定部の前記第2方向に円形外周面を有する被軸受部を備え、
前記補強部材は、前記基部を貫通させる貫通孔と、前記貫通孔の開口縁から前記軸線方向に延びて前記被軸受部を外周側から回転可能に支持する軸受部を備えることを特徴とする請求項2に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項4】
前記出力軸が第1回転方向に回転したときに当該出力軸を前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させる弾性エネルギーを蓄積する第2アシストばねを備え、
前記第2アシストばねは、前記第1アシストばねの外周側に配置されたコイル状の第2本体部と、前記第2ばね本体部の前記第1方向の端から突出して前記ケースに係止された第2ケース側係止部と、前記第2ばね本体部の前記第2方向の端から前記第2方向に突出する第2突出部と、を備え、
前記出力歯車は、前記第2突出部が係止される第2ばね係止部を備えることを特徴とする請求項3に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項5】
前記出力軸は、樹脂製であり、
前記基部は、前記歯車固定部と前記挿入部との間に、前記挿入部よりも外径寸法が大きい接続部を備え、
前記環状部は、前記接続部の前記第1方向の端面の外周縁から前記第1方向に突出しており、
前記接続部の前記第1方向の端面は、径方向で前記環状部と前記挿入部との間に位置する環状の端面部分に、前記第2方向に延びる穴を、備え、
前記穴は、前記被軸受部に達していることを特徴とする請求項3または4に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項6】
前記ケースは、樹脂製であり、
前記補強部材は、金属製であることを特徴とする請求項3から5のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項7】
前記出力軸は、樹脂製の出力軸本体と、前記出力軸本体に同軸に固定された金属製の柱状部材と、を備え、
前記挿入部は、前記柱状部材の前記第1方向の端部分であることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置。
【請求項8】
請求項1から7うちのいずれか一項に記載の開閉部材駆動装置を有し、
前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする便蓋開閉ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材を駆動する開閉部材駆動装置、および開閉部材としてトイレユニットの便蓋を開閉する便蓋開閉ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
便蓋などの開閉部材を開閉する開閉部材駆動装置は特許文献1に記載されている。特許文献1の開閉部材駆動機構は、モータと、出力軸と、モータの駆動力を出力軸に伝達する伝達機構と、モータおよび伝達機構を収容するケースと、を備える。出力軸は、ケースに設けられた開口部から外部に突出する突出部と、ケースの内側に位置する基部とを備える。突出部には、開閉部材が接続される。基部における突出部とは反対側の端部分には、伝達機構からの駆動力を受ける歯車部が設けられている。
【0003】
同文献の開閉部材駆動機構には、出力軸を付勢して開閉部材の開閉を補助するアシストばねが組み込まれている。アシストばねは、コイルばねであり、基部を外周側から囲んで配置される。アシストばねは、出力軸の軸線方向で、歯車部と突出部との間に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
歯車部と突出部との間にアシストばねが位置する構成では、出力軸において、開閉部材が接続される突出部と、モータからの駆動力が伝達される歯車部とが、アシストばねを配置した分だけ軸線方向で離間する。
【0006】
ここで、出力軸は、突出部が開閉部材の端部に接続されて、開閉部材を片持ち状態で開閉する。従って、出力軸には、開閉部材の側から負荷がかかる。また、歯車部には、伝達機構からの負荷がかかる。従って、突出部と歯車部とが軸線方向で離間すると、開閉部材の開閉時に、出力軸に応力が発生しやすく、出力軸の変形などを招く可能性がある。
【0007】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、出力軸において開閉部材が接続される突出部と、モータからの駆動力が伝達される部分とが、アシストばねの配置に起因して軸線方向で離間するとがない開閉部材駆動装置および便蓋開閉ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の開閉部材駆動装置は、モータと、開閉部材が接続される出力軸と、前記モータの駆動力を前記出力軸に伝達する伝達機構と、前記モータおよび前記伝達機構を収容するケースと、前記出力軸が第1回転方向に回転したときに当該出力軸を前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させる弾性エネルギーを蓄積する第1アシストばねと、を備え、前記出力軸の軸線に沿った方向を軸線方向、前記軸線方向の一方側を第1方向、他方側を第2方向とした場合に、前記ケースは、第1ケースと、前記第1ケースの前記第1方向から前記第1ケースに重なる中間ケースと、前記中間ケースの前記第1方向から前記中間ケースに重なる第2ケースと、を備え、前記出力軸は、前記第1ケースおよび前記中間ケースとの間に位置する基部と、前記基部の前記第2方向で前記第1ケースから突出する突出部と、を備え、前記伝達機構は、出力歯車を備え、前記第1ケースは、前記出力軸を当該第1ケースの内側から外側に貫通させる開口部を備え、前記中間ケースは、前記開口部と同軸で前記基部の前記第1方向の端部分を回転可能に支持する筒部を備え、前記筒部は、前記第2方向の端から前記軸線方向に延びる切欠き溝を備え、前記第1アシストばねは、前記筒部を外周側から囲むコイル状の第1ばね本体部と、前記第1ばね本体部の前記第1方向の端から径方向内周側に延びて前記切欠き溝を通過する第1ケース側係止部と、前記第1ばね本体部の前記第2方向の端から前記第2方向に突出する第1突出部と、を備え、前記基部は、前記筒部に挿入された挿入部と、前記挿入部の外周側で前記筒部に外周側から接触する環状部と、前記第1突出部が係止される第1ばね係止部と、前記挿入部の第2方向で前記出力歯車が回転不能な状態で同軸に固定される歯車固定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1アシストばねは、出力軸の挿入部を回転可能に支持する筒部の外周側に位置する。また、出力軸において、モータからの駆動力が伝達される歯車固定部は挿入部の第2方向に位置する。さらに、開閉部材が接続される突出部は、歯車固定部の第2方向に位置する。これにより、第1アシストばねは、モータからの駆動力が伝達される歯車固定部と、開閉部材が接続される突出部との間に位置しない。従って、第1アシストばねの配置により、出力軸において開閉部材が接続される突出部と、モータからの駆動力が伝達される部分とが軸線方向で離間することを回避できる。
【0010】
ここで、第1アシストばねの第1ケース側係止部は、ケースの筒部に設けられた切欠き溝を径方向に貫通した状態で筒部に係止されている。従って、出力軸が第1回転方向に回転して第1アシストばねが弾性エネルギーを蓄積する際には、第1アシストばねの変形に起因して第1ケース側係止部が切欠き溝の周方向の一方側の内壁に接触して、切欠き溝を押し広げようとする。切欠き溝が広がると、出力軸を支持する筒部が変形或いは破損してしまう可能性がある。このような問題に対して、基部は、筒部に挿入される挿入部の外周側に、当該筒部に外周側から接触する環状部を備える。従って、切欠き溝が設けられた筒部は内周側および外周側から基部に保持される。よって、第1アシストばねの変形によって第1ケース側係止部から筒部を変形させる力が加わった場合でも、筒部が変形或いは破損することを防止或いは抑制できる。
【0011】
本発明において、前記筒部は、大径筒部分と、前記大径筒部分の前記第2方向で前記大径筒部分よりも外径が小さい小径筒部分と、前記大径筒部分と前記小径筒部分との間で前記第2方向を向く環状端面を備え、前記環状部は、前記小径筒部分に外周側から接触し、前記環状端面に前記第2方向から接触するものとすることができる。このようにすれば、筒部の環状端面により、出力軸を第1方向の側から受けることができる。
【0012】
本発明において、前記ケースよりも剛性が高く、前記ケースの内側に固定された補強部材、を有し、前記基部は、前記歯車固定部の前記第2方向に円形外周面を有する被軸受部を備え、前記補強部材は、前記基部を貫通させる貫通孔と、前記貫通孔の開口縁から前記軸線方向に延びて前記被軸受部を外周側から回転可能に支持する軸受部を備えるものとすることができる。このようにすれば、出力軸を、ケースの筒部と補強部材の軸受部とによって回転可能に支持できる。また、軸受部を備える補強部材は、ケースよりも剛性が高い。従って、開閉部材を開閉する際に、出力軸が傾くことを防止或いは抑制できる。
【0013】
本発明において、前記出力軸が第1回転方向に回転したときに当該出力軸を前記第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転させる弾性エネルギーを蓄積する第2アシストばねを備え、前記第2アシストばねは、前記第1アシストばねの外周側に配置されたコイル状の第2本体部と、前記第2ばね本体部の前記第1方向の端から突出して前記ケースに係止された第2ケース側係止部と、前記第2ばね本体部の前記第2方向の端から前記第2方向に突出する第2突出部と、を備え、前記出力歯車は、前記第2突出部が係止される第2ばね係止部を備えるものとすることができる。このようにすれば、第1アシストばねおよび第2アシストばねにより、出力軸の第2回転方向の回転をアシストできる。また、第2アシストばねは、第1アシストばねの外周側に配置されている。従って、第2アシストばねは、軸線方向で、開閉部材が接続される突出部と、モータの駆動力が伝達される歯車固定
部との間に位置しない。よって、第2アシストばねの配置により、出力軸において開閉部材が接続される突出部と、モータからの駆動力が伝達される歯車固定部とが軸線方向で離間することを回避できる。
【0014】
本発明において、前記出力軸は、樹脂製であり、前記基部は、前記歯車固定部と前記挿入部との間に、前記挿入部よりも外径寸法が大きい接続部を備え、前記環状部は、前記接続部の前記第1方向の端面の外周縁から前記第1方向に突出しており、前記接続部の前記第1方向の端面は、径方向で前記環状部と前記挿入部との間に位置する環状の端面部分に、前記第2方向に延びる穴を、備え、前記穴は、前記被軸受部に達しているものとすることができる。このようにすれば、穴によって出力軸の肉厚を調整できるので、射出成型などによって出力軸を成形する際に、成形後の樹脂の収縮を抑制できる。よって、出力軸を所望の形状に成形することが容易となる。
【0015】
本発明において、前記ケースは、樹脂製であり、前記補強部材は、金属製であるものとすることができる。このようにすれば、ケースの形状を所望の形状とすることが容易である。また、補強部材の剛性をケースより高いものとすることが容易である。さらに、金属製の補強部材によって出力軸を回転可能に支持するので、出力軸が傾斜することを防止或いは抑制しやすい。
【0016】
本発明において、前記出力軸は、樹脂製の出力軸本体と、前記出力軸本体に同軸に固定された金属製の柱状部材と、を備え、前記挿入部は、前記柱状部材の前記第1方向の端部分であるものとすることができる。このようにすれば、出力軸が金属部分を備えるので、出力軸7剛性が高まる。従って、筒部に保持された出力軸が傾斜することを防止或いは抑制できる。
【0017】
次に、本発明の便蓋開閉ユニットは、上記の開閉部材駆動装置を有し、前記開閉部材は、便蓋であることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、開閉部材駆動装置が第1アシストばねを備えるので、出力軸の突出部に接続した便蓋を平伏した姿勢から起立した姿勢に開く際などに、モータによる出力軸の回転駆動を補助できる。また、第1アシストばねは、モータからの駆動力が伝達される歯車固定部と、便蓋が接続される突出部との間に位置しない。従って、第1アシストばねの配置により、出力軸において便蓋が接続される突出部と、モータからの駆動力が伝達される部分とが軸線方向で離間することがない。よって、便蓋の側から出力軸にかかる負荷によって、出力軸が変形することを防止或いは抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、第1アシストばねは、出力軸の第1方向の端に位置する挿入部の外周側に配置されている。これにより、第1アシストばねは、モータからの駆動力が伝達される歯車固定部と、開閉部材が接続される突出部との間に位置しない。従って、第1アシストばねの配置により、出力軸において開閉部材が接続される突出部と、モータからの駆動力が伝達される部分とが軸線方向で離間して、出力軸の変形などを招くことを防止或いは抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図6】出力軸、出力歯車、第1アシストばねおよび第2アシストばねを軸線方向から見た場合の分解斜視図である。
【
図7】出力軸、出力歯車、第1アシストばねおよび第2アシストばねを
図6とは反対側から見た場合の分解斜視図である。
【
図8】モータ、伝達機構、出力軸を軸線方向から見た場合の斜視図である。
【
図9】モータ、伝達機構、出力軸を
図8とは反対側から見た場合の斜視図である。
【
図10】第2ケース、第1アシストばねおよび第2アシストばねの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の便蓋開閉ユニットの実施の形態を説明する。
【0022】
(全体構成)
図1は、開閉部材駆動装置の外観斜視図である。
図2は、便蓋開閉ユニットの説明図である。
図3は、開閉部材駆動装置の断面図である。
図4は、開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
図5は、中間ケースの斜視図である。
図6は、出力軸、出力歯車、第1アシストばねおよび第2アシストばねを軸線方向から見た場合の分解斜視図である。
図7は、出力軸、出力歯車、第1アシストばねおよび第2アシストばねを
図6とは反対側から見た場合の分解斜視図である。
図8は、モータ、伝達機構、出力軸を軸線方向から見た場合の斜視図である。
図9は、モータ、伝達機構、出力軸を
図8とは反対側から見た場合の斜視図である。
図10は、第2ケース、第1アシストばねおよび第2アシストばねの平面図である。
【0023】
図1に示す開閉部材駆動装置1は、蓋や扉などの開閉部材を回動させて開閉する。便蓋開閉ユニット3は、開閉部材駆動装置1に、開閉部材としてトイレユニット200の便蓋201が接続されたものである。より具体的には、
図2に示すように、トイレユニット200は、便器本体202、便座203、便蓋201、およびタンク204を有する。便蓋201は、タンク204の側の端部分が開閉部材駆動装置1の出力軸7に連結される。便蓋201は、出力軸7の回転により、平伏して便器本体202に被さる閉位置と、便器本体202から立ち上がる開位置と、の間を移動する。なお、トイレユニット200に第2の開閉部材駆動装置1を設け、第2の開閉部材駆動装置1の出力軸7に、開閉部材として、便座203を連結することもできる。
【0024】
開閉部材駆動装置1は、
図3に示すように、モータ6と、便蓋201が接続される出力軸7と、モータ6の駆動力を出力軸7に伝達する伝達機構8と、モータ6および伝達機構8を収容するケース9と、を有する。
【0025】
出力軸7は、ケース9のケース開口部10から突出する突出部11と、ケース9に収容された基部12と、を備える。出力軸7の突出部11には、便蓋201の端部が接続される。従って、開閉部材駆動装置1は、片持ち状態で便蓋201を開閉する。
図1に示すように、ケース9は、出力軸7の軸線Lに沿った方向から見た場合に、一方向に細長い形状を備える。出力軸7は、ケース9における長手方向の端部分からケース9の外側に突出する。
【0026】
以下の説明では、互いに直交する3方向を、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向とする。Z軸方向は、出力軸7の軸線Lに沿った軸線方向であり、Y軸方向はケース9の長手方向であり、X軸方向は、ケース9の短手方向である。Z軸方向において、出力軸7が突出している側を+Z方向、その反対側を-Z方向とする。また、X軸方向の一方側を-X方向、他方側を+X方向とする。Y軸方向の一方側を-Y方向、他方側を+Y方向とする。出力軸7は、ケース9におけるY軸方向の+Y方向の端部分からケース9の外側に突出す
る。また、軸線L周りの方向を周方向、軸線Lと直交する方向を径方向とする。
【0027】
ケース9は樹脂製である。
図1に示すように、ケース9は、Y軸方向に平行に延びる第1側壁13および第2側壁14を備える。また、ケース9は、X軸方向に延びて第1側壁13の-Y方向の端および第2側壁14の-Y方向の端を接続する第3側壁15を備える。さらに、ケース9は、+Y方向の端を接続する第4側壁16を備える。第4側壁16は、第1側壁13と第2側壁14との間が+Y方向に突出する形状を備える。
【0028】
また、ケース9は、
図1、
図3に示すように、Z軸方向に沿って配列された第1ケース21、中間ケース22および第2ケース23を備える。第1ケース21は中間ケース22の-Z方向に位置し、第2ケース23は中間ケース22の+Z方向に位置する。
【0029】
図4に示すように、第1ケース21は、ケース9の-Z方向の端面となる底壁部25と、底壁部25の外周縁から+Z方向に延びる第1枠部26とを備える。第1枠部26は、ケース9の第1側壁13、第2側壁14、第3側壁15、および第4側壁16の-Z方向の端側部分を構成する。第1ケース21にはモータ6が固定されている。モータ6は、モータ本体28と、モータ本体28から突出する回転軸27と、モータ本体28から回転軸27とは反対側に突出する一対のモータ端子29を備える。出力軸7は、モータ本体28の-Y方向に位置する。回転軸27は、出力軸7の軸線Lと交差する方向を向く。本例では、回転軸27は、出力軸7の軸線Lと直交する方向を向く。また、回転軸27は、Z軸方向から見た場合に、Y軸方向(ケース9の長手方向)に対して傾斜している。回転軸27の先端は、軸受部材30によって回転可能に支持されている。
【0030】
中間ケース22は、中間底部31と、中間底部31の外周縁から+Z方向に延びる中間枠部32とを備える。中間枠部32は、ケース9の第1側壁13、第2側壁14、第3側壁15、および第4側壁16のZ軸方向の中間部分を構成する。中間ケース22には、伝達機構8を構成する複数の歯車のうちの一部の歯車が収容されている。
【0031】
図5に示すように、中間ケース22の中間底部31には+Z方向に突出する筒部24が設けられている。筒部24は、出力軸の-Z方向の端部分を回転可能に支持する軸受けである。筒部24は、+Z方向の端からZ軸方向方向に延びる切欠き溝24aを備える。また、筒部24は、-Z方向の側から+Z方向の側に向かって大径筒部分24bと、大径筒部分24bよりも外径が小さい小径筒部分24cと、大径筒部分24bと小径筒部分24cとの間で+Z方向を向く環状端面24dと、を備える。
【0032】
図4に示すように、中間ケース22における第2ケース23の側の端部分には、板状の補強部材35が固定されている。補強部材35は、金属製であり、ケース9よりも剛性が高い。本例において、補強部材35は板金である。補強部材35には、基部がZ軸方向に貫通する補強部材開口部35aが設けられている。また、補強部材には、補強部材開口部35aの開口縁から+Z方向に突出する筒状の軸受部36が設けられている。さらに、補強部材35には、ポテンショメータ37が取り付けられている。ポテンショメータ37は、Y軸方向において、出力軸7とは反対側の端部分に位置する。
【0033】
第2ケース23(ケース部分)は、板状であり、+Z方向から補強部材35に被せられて、中間ケース22に固定される。第2ケース23は、ケース9の+Z方向の端面を構成する。第2ケース23は、ケース9の+Z方向の端面となる板部17を備える。板部17は、出力軸7を貫通させる板部貫通孔17aを備える。また、第2ケース23は、板部17における板部貫通孔17aの開口縁から+Z方向に突出する軸支持部18を備える。板部貫通孔17aおよび軸支持部18は、同軸に設けられている。出力軸7は、ケース9の内側において、板部貫通孔17aおよび軸支持部18を貫通し、軸支持部18の+Z方向
の端であるケース開口部10からケース9の外側に突出する。
【0034】
ここで、中間ケース22の中間底部31に設けられた筒部24は、Z軸方向から見た場合にケース開口部10と重なる位置に設けられている。筒部24は、ケース開口部10、板部貫通孔17aおよび軸支持部18と同軸である。
【0035】
出力軸7は、樹脂製である。
図3に示すように、出力軸7の基部12は、-Z方向の端に筒部24に挿入される挿入部39を備える。また、
図6、
図7に示すように、基部12は、挿入部39の第2方向で出力歯車53が回転不能な状態で同軸に固定される歯車固定部40を備える。歯車固定部40の外径は、挿入部39の外径よりも大きい。さらに、基部12は、
図3、
図6に示すように、歯車固定部40と挿入部39とを接続する接続部41を備える。接続部41の外径は、挿入部39の外径よりも大きく、歯車固定部40の外径よりも小さい。
図6に示すように、歯車固定部40と接続部41との間には、-Z方向を向く環状の端面40aが設けられている。また、接続部41と挿入部39との間には、-Z方向を向く環状の端面41aが設けられている。
【0036】
歯車固定部40の端面40aには、+Z方向に延びる第1ばね係止穴42(第1ばね係止部)が形成されている。接続部41の端面41aには、外周縁から-Z方向に突出する環状部43が設けられている。環状部43は、挿入部39の外周側に位置する。環状部43と挿入部39との間には隙間がある。
【0037】
また、基部12は、
図6、
図7に示すように、歯車固定部40から+Z方向に向かって、径方向外側を向く円形外周面を有する被軸受部44と、径方向外側を向く円形外周面を有する被支持部45とを、この順に備える。被軸受部44の外径は、歯車固定部40および被支持部45の外径よりも大きい。被支持部45は、Z軸方向の途中に環状溝70を備える。環状溝70には、Oリング71が取り付けられている。
【0038】
ここで、
図3に示すように、接続部41の-Z方向の端面41aにおいて、径方向で環状部43と挿入部39との間に位置する環状の端面部分には、周方向の複数個所に穴46が設けられている。穴46は、接続部41の端面部分から+Z方向に延びる。穴46の+Z方向の端は、被軸受部44に達する。出力軸7に穴46が設けられることにより、出力軸7の肉厚が調整されている。従って、射出成型などによって出力軸7を成形する際に、成形後の樹脂の収縮を抑制できる。よって、出力軸7を所望の形状に成形することが容易となる。
【0039】
次に、
図8、
図9に示すように、伝達機構8は、モータ6から出力軸7に至る駆動力伝達経路の上流側から下流側に向かって、ウォーム48、第1歯車49、第2歯車50、第3歯車51、第4歯車52(前段歯車)、および出力歯車53を備える。ウォーム48は、回転軸27の外周側に固定されている。ウォーム48および第1歯車49は第1ケース21内に位置する。第2歯車50、第3歯車51、第4歯車52、および出力歯車53は中間ケース22内に位置する。ウォーム48、第1歯車49、第2歯車50、第3歯車51、第4歯車52、および出力歯車53は、モータ6の駆動力を出力軸7に伝達する伝達経路を構成する。
【0040】
第1歯車49は、モータ6の回転軸27の+X方向に位置する。第1歯車49は、ウォーム48に噛合する第1大径歯車49aと、第1大径歯車49aと同軸で第1大径歯車49aよりも外径寸法が小さい第1小径歯車49bと、を備える。第1大径歯車49aは、第1小径歯車49bの-Z方向に位置する。第1歯車49は、Z軸方向に延びる第1支軸55に回転可能に支持されている。第1支軸55は、-Z方向の端部分が第1ケース21の底壁部25に保持され、+Z方向の端部分が中間ケース22の中間底部31に保持され
ている。
図3に示すように、第1歯車49は、第1大径歯車49aと第1小径歯車49bとの間に駆動力の伝達を継断するトルクリミッタ56を備える。
【0041】
図8、
図9に示すように、第2歯車50は、第1小径歯車49bに噛合する第2大径歯車50aと、第2大径歯車50aと同軸で第2大径歯車50aよりも外径寸法が小さい第2小径歯車50bを備える。第2大径歯車50aは、第2小径歯車50bの-Z方向に位置する。第2大径歯車50aは、中間ケース22の中間底部31に設けられた中間ケース開口部33を介して第1小径歯車49bに噛合する(
図5参照)。第2歯車50は、Z軸方向に延びる第2支軸58に回転可能に支持される。第2支軸58は、-Z方向の端部分が中間ケース22の中間底部31に保持され、+Z方向の端部分が補強部材35に保持されている。
【0042】
第3歯車51は、第2小径歯車50bに噛合する第3大径歯車51aと、第3大径歯車51aと同軸で第3大径歯車51aよりも外径寸法が小さい第3小径歯車51bを備える。第3大径歯車51aは、第3小径歯車51bの-Z方向に位置する。第3歯車51は、Z軸方向に延びる第3支軸59に回転可能に支持される。第3支軸59は、-Z方向の端部分が中間ケース22の中間底部31に保持され、+Z方向の端部分が第2ケース23に保持されている。第3支軸59は、補強部材35を貫通している。
【0043】
第4歯車52は、第3小径歯車51bおよび出力歯車53に噛合する平歯車である。第4歯車52と出力歯車53とはY軸方向に配列されている。第4歯車52は、第2歯車50と同軸に配置されて、第2支軸58に回転可能に支持されている。
図3に示すように、第2支軸58は、-Z方向の端部分が中間ケース22に保持され、+Z方向の端部分が補強部材35に保持されている。すなわち、中間ケース22の中間底部31は、第2歯車50および第4歯車52を支持する第2支軸58を保持する軸保持部34を備える(
図5参照)。補強部材35は、第2歯車50および第4歯車52を支持する第2支軸58を保持する軸保持部57を備える(
図3参照)。
【0044】
出力歯車53は、金属製である。出力歯車53は、出力軸7の歯車固定部40に同軸に固定される。すなわち、
図6、
図7に示すように、出力歯車53は、環状であり、その中心穴に出力軸7の歯車固定部40が挿入される。出力歯車53の内周面には周方向に複数の凹部61が設けられており、出力軸7の歯車固定部40の外周面には、出力歯車53の内周面の凹部61に嵌る複数の凸部62が設けられている。これにより、出力歯車53と出力軸7とは、軸線L回りに相対回転不能な状態で、連結されている。
【0045】
ここで、伝達機構8は、第1アシストばね63および第2アシストばね64を備える。第1アシストばね63および第2アシストばね64は、いずれもコイルばねであり、出力歯車53の-Z方向に位置する。第1アシストばね63は、中間ケース22の中間底部31の筒部24を外周側から囲むコイル状の第1ばね本体部63aと、第1ばね本体部63aの-Z方向の端から径方向内周側に延びる第1ケース側係止部63bと、第1ばね本体部63aの+Z方向の端から+Z方向に突出する第1突出部63cとを備える。第1ばね本体部63aは、接続部41、環状部43、挿入部39の径方向外側に位置する。
図3、
図10に示すように、第1ケース側係止部63bは、中間ケース22の筒部24の切欠き溝24aを通過して、筒部24の内周側に突出する。第1突出部63cは、出力軸7の歯車固定部40の端面40aに設けられた第1ばね係止穴42に挿入される。
【0046】
第2アシストばね64は、第1アシストばね63の外周側に配置されたコイル状の第2ばね本体部64aと、第2ばね本体部64aの-Z方向の端から-Z方向に突出する第2ケース側係止部64bと第2ばね本体部64aの+Z方向の端から+Z方向に突出する第2突出部64cと、を備える。第2ケース側係止部64bは、
図10に示すように、中間
ケース22の中間底部31に設けられた貫通穴65から-Z方向に突出し、第1ケース21に設けられた第2コイルばね第1係止部66(
図4参照)に係止される。第2突出部64cは、出力歯車53の外周面に設けられた第2コイルばね第2係止部67に係止可能に挿入される。
図6、
図7に示すように、第1コイルばね第2係止部67は、出力歯車53の歯部に設けた切欠き部である。第2突出部64cは、出力歯車53に対して、周方向から当接可能である。第2アシストばね64の断面は、矩形である。
【0047】
(出力軸の支持構造)
図3に示すように、出力軸7は、-Z方向の端に位置する挿入部39が中間ケース22の中間底部31の筒部24に挿入されて回転可能に支持される。挿入部39が筒部24に挿入された状態では、挿入部39の外周側に位置する環状部43は、筒部24の+Z方向の端部分に外周側から接触する。すなわち、環状部43は、筒部24の小径筒部分24cの外周面に接触する。また、環状部43の-Z方向の端面は、大径筒部分24bと小径筒部分24cとの間で+Z方向を向く環状端面24dに接触する。これにより、出力軸7の-Z方向の端部分は、筒部24によって軸線L回りに回転可能に支持されるとともに、筒部24の環状端面24dによって、-Z方向の側から支持される。
【0048】
また、出力軸7は、被軸受部44が、補強部材35の軸受部36によって、外周側から回転可能に支持される。さらに、出力軸7は、被支持部45が、第2ケース23の軸支持部18によって外周側から回転可能に支持される。被支持部45に固定されたOリング71は、出力軸7と軸支持部18との間で径方向に圧縮される。
【0049】
(補強部材の固定構造)
次に、補強部材35は、Y軸方向における軸受部36と軸保持部57との間で中間ケース22に固定されている。
【0050】
すなわち、
図5に示すように、中間ケース22は、中間枠部32において、Y軸方向に平行に延びる第1枠部分32aおよび第2枠部分32bに、それぞれ内周側に突出する第1突部73および第2突部74を備える。第1突部73および第2突部74のそれぞれには、ねじ穴が設けられている。また、第1枠部分32aは第1突部73が設けられた位置に矩形の第1切欠き部32cを備える。第2枠部分32bは第2突部74が設けられた位置に矩形の第2切欠き部32dを備える。第1突部73と第2突部74とは、X軸方向で対向する。
【0051】
一方、補強部材35は、
図4に示すように、Y軸方向における軸受部36と軸保持部57との間に、X軸方向の両側に突出する一対の突出部35b、35cを備える。各突出部35b、35cには貫通溝が設けられている。補強部材35は、-X方向の突出部35bが、第1枠部分32aの第1切欠き部32cに+Z方向から挿入されて、第1突部73に当接する。また、補強部材35は、+X方向の突出部35cが、第2枠部分32bの第2切欠き部32dに+Z方向から挿入されて第2突部74に当接する。そして、補強部材35は、第2ケース23を貫通し、さらに、突出部35bの貫通溝を貫通して第1突部73のねじ穴に捩じ込まれるねじ75により、中間ケース22に固定される。また、補強部材35は、第2ケース23を貫通し、さらに、突出部35cの貫通溝を貫通して第2突部74のねじ穴に捩じ込まれるねじ75により、中間ケース22に固定される。
【0052】
補強部材35が中間ケース22に固定された状態で、補強部材35と第1枠部分32aとの間には、部分的に隙間76が設けられ、補強部材35と第2枠部分32bとの間には、部分的に隙間77が設けられている。すなわち、補強部材35がケース9に固定された状態で、補強部材35と第1側壁13との間には、互いに接触していない部分(隙間76)が設けられている。また、補強部材35と第2側壁14との間には、互いに接触しない
部分(隙間77)が設けられている。
【0053】
(ポテンショメータ)
ポテンショメータ37は、
図8に示すように、伝達機構8を構成する複数の歯車のうちのいずれかの歯車に噛合するポテンショ歯車81を備える。また、ポテンショメータ37は、
図4に示すように、ポテンショ歯車81の回転角度位置を検出する検出部82を備える。ポテンショ歯車81は、補強部材35の-Z方向に位置して、第3歯車51の第3小径歯車51bに噛合する。検出部82は、基板83を介して補強部材35に固定される。ここで、基板83と一対のモータ端子29との間には、モータ6に電力を供給するための配線(不図示)が接続されている。基板83には配線およびポテンショメータ37に接続された複数の端子ピン86が固定されている。
図5に示すように、中間ケース22は、中間枠部32のY軸方向の一方側Y1の端に、端子ピン保持部87を備える。
【0054】
(動作)
端子ピン86を介した電力の供給によってモータ6が正方向、或は、逆方向に、駆動されると、モータ6の駆動力が伝達機構8を介して出力軸7に伝達される。従って、出力軸7に固定された便蓋201は、
図2に示すように、閉位置に向かう閉方向A(第1回転方向)、或は、開位置に向かう開方向B(第2回転方向)に回転する。便蓋201が回転すると、ポテンショメータ37からは、便蓋201の回転角度位置に対応する信号が出力される。
【0055】
また、出力軸7に接続された便蓋201が閉方向Aに回転すると、第1アシストばね63および第2アシストばね64は、出力軸7を軸線L回りで開方向Bに回転させる弾性エネルギーを蓄える。従って、第1アシストばね63および第2アシストばね64は、便蓋201を開方向Bに回転させる際に、モータ6によって開方向Bに駆動される出力軸7を開方向Bに付勢して、その開動作をアシストする。さらに、伝達機構8は、第1歯車49にトルクリミッタ56を備える。従って、便蓋201から出力軸7を介して伝達機構8に過大な負荷が加わった場合には、トルクリミッタ56が機能して、伝達機構8による駆動力の伝達を遮断する。これにより、外部からの過大な負荷に起因して、伝達機構8が破損することを防止する。
【0056】
(作用効果)
本発明によれば、第1アシストばね63は、出力軸7の基部12の挿入部39を回転可能に支持する筒部24の外周側に配置されている。また、出力軸7において、モータ6からの駆動力が伝達される歯車固定部40は、挿入部39の+Z方向に位置する。さらに、出力軸7において、便蓋201が接続される突出部11は、歯車固定部40の+Z方向に位置する。これにより、第1アシストばね63は、Z軸方向において、モータ6からの駆動力が伝達される歯車固定部40と、便蓋201が接続される突出部11との間に位置しない。よって、第1アシストばね63の配置により、出力軸7において便蓋201が接続される突出部11と、モータ6からの駆動力が伝達される歯車固定部40とがZ軸方向で離間することを回避できる。
【0057】
ここで、第1アシストばね63の第1ケース側係止部63bは、筒部24に設けられた切欠き溝24aを径方向に貫通した状態で筒部24に係止されている。従って、出力軸7が便蓋201を閉じる閉方向Aに回転して第1アシストばね63が弾性エネルギーを蓄積する際には、第1アシストばね63の変形によって第1ケース側係止部63bが、切欠き溝24aの周方向の一方側の内壁に接触して、切欠き溝24aを押し広げようとする。切欠き溝24aが広がると、出力軸7を支持する筒部24が変形或いは破損してしまう可能性がある。このような問題に対して、基部12は、挿入部39の外周側で筒部24に外周側から接触する環状部43を備える。従って、切欠き溝24aが設けられた筒部24は内
周側および外周側から基部12に保持される。よって、第1アシストばね63の変形によって第1ケース側係止部63bから筒部24を変形させる力が加わった場合でも、筒部24が変形或いは破損することを防止或いは抑制できる。
【0058】
また、本例では、筒部24は、大径筒部分24bと、大径筒部分24bの+Z方向で大径筒部分24bよりも外径が小さい小径筒部分24cと、大径筒部分24bと小径筒部分24cとの間で+Z方向を向く環状端面24dを備える。そして、出力軸7の環状部43は、小径筒部分24cに外周側から接触し、環状端面24dに+Z方向から接触する。従って、筒部24の環状端面24dにより、出力軸7を-Z方向から受けることができる。
【0059】
さらに、本例では、ケース9よりも剛性が高く、ケース9の内側に固定された補強部材35、を有する。補強部材35は、出力軸7の被軸受部44を外周側から回転可能に支持する軸受部36を備える。従って、出力軸7をケース9の筒部24と補強部材35の軸受部36とによって回転可能に支持できる。また、軸受部36を備える補強部材35は、ケース9よりも剛性が高い。従って、便蓋201を開閉する際に、出力軸7が傾くことを防止或いは抑制できる。
【0060】
また、本例では、出力軸7が便蓋201を閉じる閉方向Aに回転したときに当該出力軸7を閉方向Aとは反対の開方向Bに回転させる弾性エネルギーを蓄積する第2アシストばね64を備える。従って、第1アシストばね63および第2アシストばね64により、出力軸7の開方向Bの回転を補助できる。ここで、第2アシストばね64は、第1アシストばね63の外周側に配置されている。従って、第2アシストばね64は、Z軸方向において、モータ6からの駆動力が伝達される歯車固定部40と、便蓋201が接続される突出部11との間に位置しない。よって、第2アシストばね64の配置により、出力軸7において便蓋201が接続される突出部11と、モータ6からの駆動力が伝達される部分とがZ軸方向で離間することを回避できる。
【0061】
さらに、出力軸7は、樹脂製であり、接続部41の-Z方向の端面41aに+Z方向に延びて被軸受部44に達する穴46を備える。このようにすれば、穴46によって出力軸7の肉厚を調整できるので、射出成型などによって出力軸7を成形する際に、成形後の樹脂の収縮を抑制できる。よって、出力軸7を所望の形状に成形することが容易となる。
【0062】
また、ケース9は、樹脂製であり、補強部材35は、金属製である。従って、ケース9の形状を所望の形状とすることが容易である。また、補強部材35の剛性をケース9より高いものとすることが容易である。さらに、金属製の補強部材35によって出力軸7を回転可能に支持するので、出力軸7が傾斜することを防止或いは抑制しやすい。
【0063】
さらに、本例では、剛性の高い補強部材35が、出力歯車53が固定された出力軸7を回転可能に支持するともに、出力歯車53と噛み合う第4歯車52の第2支軸58を支持する。これにより、外部からの負荷により、第4歯車52と出力歯車53とが互いに離間する方向に変位することを防止できるので、第4歯車52と出力歯車53の噛合を正常な状態で維持できる。よって、便蓋201へのトルクの伝達効率が劣化することがない。
【0064】
また、本例では、出力歯車53と第4歯車52とは、Y軸方向に沿って配列されており、補強部材35は、Y軸方向における軸受部36と軸保持部57との間でケース9に固定されている。すなわち、補強部材35は、Y軸方向で軸受部36と軸保持部57との間に位置する一対の突出部35b、35cがケース9に固定されている。これにより、補強部材35は、出力歯車53に近い位置でケース9に固定される。従って、出力軸7を介して出力歯車53に負荷がかかった場合に、補強部材35が撓むことを防止できる。
【0065】
ここで、本例の便蓋開閉ユニット3によれば、開閉部材駆動装置1が第1アシストばね63および第2アシストばね64を備える。従って、出力軸7の突出部11に接続した便蓋201を平伏した姿勢から起立した姿勢に開く際などに、モータ6による出力軸7の回転駆動を、第1アシストばね63および第2アシストばね64が蓄積した弾性エネルギーによって補助できる。
【0066】
(その他の実施の形態)
図11は、変形例の出力軸の説明図である。
図11では、変形例の出力軸を軸線Lに沿って切断して示す。開閉部材駆動装置1では、出力軸7に替えて
図11の出力軸7Aを採用できる。なお、出力軸7Aは、出力軸7と対応する構成を備えるので、対応する構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0067】
図11に示すように、出力軸7Aは、樹脂製の出力軸本体100と、出力軸本体100に同軸に固定された金属製の柱状部材101と、を備える。出力軸本体100は、歯車固定部40、接続部41、環状部43、被軸受部44、被支持部45、および突出部11を備える。接続部41は、-Z方向の端面41aの中央に円形凹部100aを備える。接続部41の-Z方向の端面41aの外周縁からは環状部43が-Z方向に延びている。
【0068】
柱状部材101は、円柱形状である。柱状部材101は出力軸本体100と同軸に配置され、円形凹部100aに部分的に挿入されている。柱状部材101の-Z方向の端部分であって、接続部41から-Z方向に突出する突出部分は、挿入部39である。このようにすれば、出力軸7Aが金属部分を備えるので、出力軸7Aの剛性が高まる。従って、筒部24に保持された出力軸7が傾斜することを防止或いは抑制できる。
【符号の説明】
【0069】
1…開閉部材駆動装置、3…便蓋開閉ユニット、6…モータ、7…出力軸、8…伝達機構、9…ケース、10…ケース開口部、11…突出部分、12…基部、13…第1側壁、14…第2側壁、15…第3側壁、16…第4側壁、17…板部、17a…板部貫通孔、18…軸支持部、21…第1ケース、22…中間ケース、23…第2ケース、24…筒部、24a…切欠き溝、24b…大径筒部分、24c…小径筒部分、24d…環状端面、25…底壁部、26…第1枠部、27…回転軸、28…モータ本体、30…軸受部材、31…中間底部、32…中間枠部、32a…第1枠部分、32b…第2枠部分、32c…第1切欠き部、32d…第2切欠き部、33…中間ケース開口部、34…軸保持部、35…補強部材、35a…補強部材開口部、35b…突出部、35c…突出部、36…軸受部、37…ポテンショメータ、39…挿入部、40…歯車固定部、40a…端面、41…接続部、41a…端面、42…第1ばね係止穴、43…環状部、44…被軸受部、45…被支持部、46…穴、48…ウォーム、49…第1歯車、49a…第1大径歯車、49b…第1小径歯車、50…第2歯車、50a…第2大径歯車、50b…第2小径歯車、51…第3歯車、51a…第3大径歯車、51b…第3小径歯車、52…第4歯車、53…出力歯車、55…第1支軸、56…トルクリミッタ、57…軸保持部、58…第2支軸、59…第3支軸、61…凹部、62…凸部、63a…第1ばね本体部、63b…第1ケース側係止部、63c…第1突出部、64a…第2ばね本体部、64b…第2ケース側係止部、64c…第2突出部、65…貫通穴、66…第2コイルばね第1係止部、67…第2コイルばね第2係止部、70…環状溝、71…Oリング、73…第1突部、74…第2突部、76…隙間、77…隙間、77…部分的に隙間、81…ポテンショ歯車、82…検出部、83…基板、86…端子ピン、87…端子ピン保持部、100…出力軸本体、101…柱状部材、200…トイレユニット、201…便蓋、202…便器本体、203…便座、204…タンク