(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】熱間等方圧加圧法のためのカプセルおよび製造方法
(51)【国際特許分類】
B22F 3/15 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
B22F3/15 G
(21)【出願番号】P 2019571693
(86)(22)【出願日】2018-07-03
(86)【国際出願番号】 GB2018051872
(87)【国際公開番号】W WO2019008348
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-07-01
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519411227
【氏名又は名称】ボディコート エイチ.アイ.ピー.リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BODYCOTE H.I.P.LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、スーザン
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515973(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068300(WO,A1)
【文献】特開2016-199804(JP,A)
【文献】国際公開第2017/112711(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/181080(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/15
B22F 10/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間等方圧加圧法(HIP)を受けるように配置された粉末を収容するための空隙を有する熱間等方圧加圧法(HIP)のためのカプセルであって、
積層造形(AM)要素であって、前記AM要素は、完全密度の98%またはそれ以上の密度を有する第1容積と、前記第1容積の一部である前記AM要素の固体壁によって完全に囲まれた第2容積であって、前記AM要素で規定される第2容積内で流動可能な未固結粉末を含む第2容積とを含む積層造形(AM)要素と、
前記空隙の少なくとも一部を画定するように配置されたカプセル要素(A)であって、そのカプセル要素(A)は前記AM要素に固定され、かつ、前記AM要素は前記空隙の少なくとも一部を画定するように配置された、前記カプセル要素(A)と、を含
み、
前記AM要素は、前記カプセルの外面である表面を含むカプセル。
【請求項2】
前記AM要素は選択表面を含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記AM要素は、前記AM要素上の第1の位置から前記AM要素上の第2の位置まで延びる開口部を含み、空隙が前記第1の位置から前記第2の位置の間に画定される、請求項1または2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記AM要素は、同一の部品の配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項5】
前記AM要素は、均質であること、および単一の材料塊を含むことの少なくとも1つに該当する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項6】
前記AM要素は、均質ではないこと、および単一の材料塊を含まないこと、および前記AM要素に組み込まれる材料塊の密度はその全体にわたって一定ではないことの少なくとも1つに該当する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項7】
前記
第2容
積は、前記
第2容
積を画定する上壁と下壁との間に延び、前記AM要素の製造中に、前記AM要素の一部を支持するように配置される支持要素を含む、請求項1に記載のカプセル。
【請求項8】
前記
第2容
積および/または前記
第2容
積を画定するそれぞれの壁は、選択的表面を組み込まない、請求項1に記載のカプセル。
【請求項9】
HIP用の前記カプセルの前記AM要素は、AM要素を作るためのAMプロセスの直接生成物(「直接AM要素」と呼ばれる)を含むか、AMプロセスの直接生成物であるAM要素に追加の粉末が組み込まれているAM要素(「補足AM要素」と呼ばれる)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項10】
前記AM要素は、気密シールを保持し、および/または高温および高圧でのHIP中に気密膜を保持できるよう設計および構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項11】
前記AM要素の外側形状および/または外面全体は、AM製造技術の直接生成物である、請求項1~10のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項12】
前記カプセル要素(A)は、前記AM要素に固定されたシート材料を含み、前記カプセルは前記AM要素に固定されるシート材料を含むカプセル要素(B)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項13】
前記AM要素は、前記カプセルの他の領域によって完全にカプセル化されていない、請求項1~12のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項14】
粉末(XX)を収容するための空隙は、少なくとも部分的に、カプセル要素(A)、カプセル要素(B)、前記AM要素によって規定される、請求項1~13のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項15】
前記カプセルの総重量の少なくとも10重量パーセントを構成する粉末(XX)を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項16】
構成要素を製造する方法であって、
請求項1~15のいずれか一項に記載のカプセルを選択するステップ(i)と、前記カプセルをHIPにさらすステップ(ii)と、を含む方法。
【請求項17】
前記ステップ(ii)に続いて、前記カプセルの一部を前記AM要素との結合から除去する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記構成要素の外表面積の50%未満が、前記構成要素に含まれない前記カプセルの一部を除去した後に処理される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一項に記載のカプセルを製造する方法であって、
積層造形(AM)要素を選択するステップと(i)、前記カプセルの第1の領域は、少なくとも部分的に前記AM要素によって規定されるカプセルを構築するステップ(ii)と、を含む方法。
【請求項20】
ステップ(i)の前に、レーザーまたは電子ビーム溶接(EBW)粉末床、またはワイヤ送りビルド技術を使用して前記AM要素を製造する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法のステップ(ii)は、前記AM要素の周囲に前記カプセルの領域を構築することを含み、前記カプセルの前記第1の領域は前記AM要素によって規定される、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記ステップ(ii)は、少なくとも3つのシートメタルから作られる個別および/または別個の要素を選択することにより前記カプセルを構築し、前記
選択された要素をAM要素と関連付けて、前記AM要素によって少なくとも部分的に画定された空隙を有するカプセルを画定することを含み、前記ステップ(ii)に続き、粉末(XX)を前記カプセル内の空隙に導入する、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構成要素に関し、特に、排他的ではないが、金属構成要素の製造方法、この方法自体で製造された構成要素、および構成要素の製造に使用するためのカプセルに関する。好ましい実施形態は、熱間等方圧加圧法(HIP)の使用を伴う。
【背景技術】
【0002】
特にオイル、ガス、化学、石油化学、核および一般産業用途では、ポンプ、パイプ、バルブ、マニホルド、および一般的な構成要素、選択された表面での強化された特性(例えば、腐食、摩耗または摩滅に対する耐性を高めるため)を備えた複雑な形状の構成要素を生産する要求が増加しているため、厳しい要件を満たすのに適したマルチメタリック構成要素を製造する必要性が高まっている。バイメタル材料要素を含む複雑な構成要素を製造するための従来の製造方法は、通常、個別に機械加工、鋳造、または鍛造された構成要素の肉盛溶接、ろう付け、または機械的オーバーレイに限定される。これらの手法に関連する問題は、2つの材料間の配置およびインターフェイスに簡単にアクセスでき、シンプルなデザインでなければならないことである。シンプルなデザインのインターフェイスでも、溶接、ろう付け、または機械的接合の故障のリスクが高く、高価な検査技術の必要性を増加させ、構成要素の再製造と再加工につながり、製造コストを大幅に増加させる。
【0003】
粉末冶金(PM)HIPを使用した比較的複雑な形状の構成要素の製造は確立された製造方法であり、軟鋼シートカプセルが金属粉末を封入し、更に形状を規定し、次にHIP圧密にさらされ、均質な微細構造および機械的特性を持つ単一のニアネットシェイプ構成要素を生成する。ただし、小から中サイズの構成要素(重量50kg未満)のシートメタルカプセルの形成や成型を一貫して行うことは難しく、PM HIPテクノロジーはより大きな構成要素に適したものである。さらに、カプセル内の2つの異なる粉末合金間の界面の配置および制御を正確に制御することは困難である。
【0004】
積層造形(AM)/3D印刷技術の使用は急速に成長しており、非常に複雑な構成要素設計の製造が確立されている。ただし、バイメタルAMビルドの製造には困難な場合があり、ビルドの大部分は単一の材料である傾向があり、ビルドサイズは最大寸法約500mmに制限される。ビルド時間は、サイズ、壁の厚さ、およびビルドの品質の関数であり、大きなまたは厚い壁のセクションでは、ビルドに3から5日かかることがある。
【0005】
レーザーシステムのビルド時間が長くなると、ビルドチャンバー内の真空度が低下し、レーザー光学系が汚染され、焦点合わせ能力とレーザーの精度が低下する。真空度の低下は、粉体のビルド品質にも影響し、ビルド全体で材料特性が変化する。AM技術の進歩は急速に成長しているが、長さ1mを超える大口径構成要素の製造能力はワイヤ送りシステムに限定されており、表面仕上げはほとんどのエンジニアリングアプリケーションのビルトイン状態では利用できない。
【0006】
製造プロセスでの選択表面の製造によって、例えばPM HIPまたは積層造形/3D印刷プロセスで製造した後に、構成要素の製造後の機械加工を制限することが望ましい。選択表面とは、比較的近い公差(例えば、+/-0.3%、下限0.3mm)で製造されている、および/または、製造後の機械加工を必要としないように寸法が制御されている構成要素の領域(または表面)である。完成した構成要素の選択表面の位置および/または機能によっては、構成要素はそのような選択表面を含む必要がある場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前述のプロセスの制限に対処することにある。
本発明の目的は、選択的表面を有する構成要素、例えば比較的大きな構成要素を製造することにある。
【0008】
本発明の目的は、比較的迅速かつ/または効率的な方法で、選択表面を備えた比較的大きな構成要素を製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、熱間等方圧加圧法(HIP)のためのカプセルが提供され、前記カプセルは以下を含む。
(i)積層造形(AM)要素;
(ii)カプセル要素(A);ここで、前記カプセル要素(A)は、熱間等方圧加圧法(HIP)を受けるように配置された粉末(本明細書では「粉末(XX)」と呼ばれる)を収容する空隙の少なくとも一部を画定するように配置される。
【0010】
前記AM要素は、選択表面を含むことが好ましい。そのような選択表面は、比較的複雑な形状を規定し、および/または選択表面のサイズに応じて、比較的狭い許容帯域に作られてよい。前記選択表面は、使用中において、HIP処理後に、協働構成要素の表面(同様に、複雑な形状であり、および/または比較的狭い許容帯域に作られてよい)と協働および/または接触するように構成されてよい。例えば、前記AM要素の前記選択表面は、弁部材と協働するように配置されたバルブシートを規定してよい。または、別の構成要素または別の歯の配列と協働および/または噛み合うように配置された歯の配列を規定してよい。
【0011】
前記カプセルは、好ましくは、HIP処理後に熱間等方圧加圧法(HIP)処理構成要素を生成するように配置され、前記AM要素は、HIP処理構成要素の選択表面の少なくとも一部、例えば全体を画定する。AM要素は、カプセル内にあるときに選択表面を含むことができ、前記選択表面は前記カプセル内に配置され、HIP処理後にAM要素の収縮がある場合を除き、HIP処理後に選択表面は実質的に同じ形状の選択表面を画定するように配置される。当業者は、どの表面がHIP処理構成要素の選択表面および/またはHIP処理構成要素を組み込んだアセンブリ内の選択表面であり得るか、および/または選択表面であるかを決定できると考えられる。例えば、選択表面には、仕様と性能基準を満たすように設計された定義済みの特性があるように見える場合がある。選択表面は、より厳しい寸法公差、または耐食性、耐熱性、耐摩耗性などの材料特性を備えている場合がある。
【0012】
AM要素は、比較的複雑な形状および/または構成を規定する場合がある。それは、好ましくは、AM要素上の第1の位置から要素上の第2の位置まで適切に延びる開口部、例えば貫通路を含む。空隙は、AM要素内で適切に、第1位置と第2位置との間に規定される。AM要素は、複数の通路を規定してよい。それは、少なくとも部分的に互いに横方向に延びる通路を含んでよい。それは、複数の空隙を含んでよい。例えば、前記第1と第2の位置との間に空隙を設けることに加えて、第3および第4の位置の間に空隙を含むことができ、適切には前記第3および第4の位置は前記第1および第2の位置から間隔を空けられる。
【0013】
前記AM要素は、相互に直交する2つの軸に関して対称ではない断面を有する通路を含むことができる。そのような断面は不規則な形状であってよい。前記通路は細長くてよい。通路の断面の最大寸法は、通路の長さの80%未満または20%未満であり得る。
【0014】
前記AM要素は、例えば歯のような実質的に同一の部品の配列(例えば、少なくとも10個または少なくとも20個の部材を含む)を含み得る。前記AM要素は、軸の周りに配置された実質的に同一の部品の配列を含むことができ、例えば実質的に円形の湾曲したAM要素の外面を画定する。
【0015】
前記AM要素は、(完全密度の)98%以上の密度を有する第1容積を含むことができる。第1容積の密度は、(完全密度の)100%未満、(完全密度の)99.5%未満、または(完全密度の)99.0%未満であってよい。適切には、前記要素のどの部分も、(完全密度の)99.5%を超える、例えば(完全密度の)99.9%を超える密度を持たない。前記第1の容積は、好ましくは、前述の選択表面を包含する。前記AM要素は、98%(その完全に高密度の密度)以上の密度を有する第2容積を含むことができる。第2容積の密度は、(完全密度の)100%未満、(完全密度の)99.5%未満、または(完全密度の)99.0%未満であってよい。前記第2容積は、好ましくは、前述の選択表面を包含しない。
【0016】
第1の実施形態では、前記AM要素は、好ましくは完全に固結されている。すなわち、好ましくは、前記AM要素は実質的に均質であり、および/または単一の材料塊を含む。AM要素に組み込まれる材料の質量の密度は、その全体にわたって実質的に一定であることが好ましい。前記AM要素は、好ましくは、例えばAM要素に画定された空隙内に、自由流動性粉末などの粉末材料を含まない。第1の実施形態では、前記AM要素は、(完全密度の)98%以上の密度を有することができる。AM要素の密度は、(完全密度の)100%未満、(完全密度の)99.5%未満、または(完全密度の)99.0%未満であってよい。
【0017】
第2の実施形態では、前記AM要素は完全に固結されない場合がある。この場合、それは実質的に均質ではなく、および/または単一の材料塊を含まない可能性があり、および/またはAM要素に組み込まれる材料塊の密度はその全体にわたって実質的に一定ではない可能性がある。第2の実施形態では、前記AM要素は、未固結粉末を含むことができる。第2の実施形態では、前記AM要素は、圧密化粉末を含むおよび/または(完全密度の)98%以上の密度を有する第1の容積を含むことができる。この場合、第1の容積の密度は、(完全密度の)100%未満、(完全密度の)99.5%未満、または(完全密度の)99.0%未満である。第2の実施形態では、前記AM要素は、例えば未固結粉末を有するために、第1の容積よりも低い密度を有する第2の容積を含むことができる。第2の容積の密度は、(完全密度の)80%未満、例えば(完全密度の)70%未満であり得る。第2の容積の密度は、(完全密度の)少なくとも50%、例えば(完全密度の)50~65%の範囲であり得る。
【0018】
第2の実施形態では、未固結粉末は、例えばAM要素で規定される容積(A)内で流動可能な粉末を含むことができる。容積(A)は、例えばAM要素の固体壁によって完全に囲まれ、そこからの粉末の漏れを防ぐことができる。
【0019】
前記容積(A)は、支持要素、例えば支持柱を含むことができ、支持柱は、容積(A)を画定する上壁と下壁との間に延び、好ましくは、AM要素の製造中に、AM構成要素の一部、例えば上壁を支持するように構成される。前記容積(A)は、支持要素、例えば支持柱の配列を含むことができる。前記容積(A)は、少なくとも5個、少なくとも20個、または少なくとも40個の支持要素、例えば支持柱を含むことができる。前記容積(A)は、例えば1000個未満または500個未満の支持要素、例えば支持柱を含むことができる。支持柱は、少なくとも0.1mm、例えば0.1~1mmの範囲の厚さを有してよい。
【0020】
容積(A)で、支持要素の断面積の合計の比率、例えば支持柱(AM構成要素の支持壁、例えば製造中に支持要素が支持する上壁のすぐ下)を、未固結粉末が配置される支持要素間(支持壁の直下)で規定される面積で割った値は、0.25から0.55の範囲、好ましくは0.3から0.45の範囲、より好ましくは0.33から0.42の範囲である。
【0021】
容積(A)において、すべての支持要素、例えば支持柱が占める容積の合計を、支持要素を取り囲む容積、および/または未固結粉末が占める、または占めることができる容積で割った比率は、0.25~0.55の範囲、好ましくは0.3~0.45の範囲、より好ましくは0.33~0.42の範囲である。
【0022】
前記第2の実施形態では、前記容積(A)および/または容積(A)を画定する任意の壁は、選択的表面を組み込まないことが好ましい。
言及される前記第2の容積は、前記容積(A)と同等であってよい。
【0023】
前記第2の実施形態において、前記HIP用カプセルの前記AM要素は、後述するAM要素(「直接AM要素」と呼ばれる)を作るためのAMプロセスの直接生成物を含むか、AMプロセスの直接生成物であるAM要素(すなわち、直接AM要素)に追加の粉末が組み込まれているAM要素(「補足AM要素」と呼ばれる)を含んでよい。追加の粉末は、補足AM要素の粉末と同じ化学的性質を持つ場合がある。追加の粉末は、補足AM要素とは異なる粒子サイズ分布を持つ場合がある。補足AM要素の粉末密度を高めるために、追加の粉末が適切に追加される。
【0024】
前記第1および第2の実施形態を含む好ましい実施形態では、前記AM要素は、単一タイプの材料から作られ、および/またはそれからなる。前記AM要素は、合金であり得る金属を含むことが好ましい。前記AM要素は、好ましくは酸によるエッチングに対して耐性がある。
【0025】
前記AM要素は、低合金鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、ニッケル基合金、CoCr、チタン合金、二相および超二相ステンレス鋼から選択される材料を含むことができ、好ましくは本質的にそれらからなることができる。
【0026】
前記AM要素は、前記カプセルの一部を画定できるほど十分に強いように設計および構築されることが好ましい。好ましくは、気密(例えばヘリウム)シールを保持し、高温および高圧でのHIP中にこの気密膜を保持できることが好ましい。前記AM要素は、好ましくは溶接可能な材料から作られ、および/または、前記AM要素によって画定されない前記カプセルの他の領域に溶接できるほど十分に強い。
【0027】
好ましい実施形態では、AM要素の外側形状および/または外面全体は、AM製造技術の直接生成物であり、前記AM要素は、前記カプセルに組み込む前に、機械加工による金属除去を最小限しか必要とせず、または実質的に必要としない。
【0028】
前記AM要素は、好ましくは剛性であり、自己支持性である。
前記AM要素は、前記カプセルの重量の少なくとも5重量パーセント、好ましくは少なくとも10重量パーセントに相当し得る。
【0029】
前記AM要素は、少なくとも50mm、例えば少なくとも250mmの最大寸法を有し得る。
前記カプセルは、少なくとも250mm、例えば少なくとも500mmの最大寸法を有し得る。
【0030】
好ましくは、前記AM要素は、粉末(XX)を収容するための空隙の少なくとも一部を画定するように配置される。前記AM要素は、粉末(XX)を収容するための空隙の壁を画定してよい。前記空隙の前記壁は、少なくとも部分的に平坦であってよい。好ましくは、前記空隙の壁を画定するAM要素の壁の面積の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも80%、さらには90%が平面である。
【0031】
カプセル要素(A)は、AM要素に(できれば直接)固定されてよい。前記カプセル要素(A)は、前記AM要素の少なくとも一部の上にあってもよく、前記AM要素の開口部、例えばチャネルまたはパイプ部分の上に重なるように配置されてよい。前記カプセル要素(A)およびAM要素は、好ましくは、2つの要素の間に気密(例えばヘリウムに対する)シールが画定されるよう、固定され、例えば溶接される。
【0032】
前記カプセル要素(A)は、前記AM要素の材料と比較して、同じ材料または異なる材料から作られてよい。好ましくは、カプセル要素(A)は、前記AM要素の材料と比較して異なる材料から作られる。
【0033】
前記カプセル要素(A)は、好ましくは金属を含み、より好ましくは本質的に金属からなる。前記カプセル要素(A)は、続くプロセスでAM要素とカプセル要素(A)の組み合わせと接触させることができる液体製剤に可溶であるため、溶解によりカプセル要素(A)を除去することができる。カプセル要素(A)は、(例えば、第2の態様で説明したように)下流プロセスで犠牲になるように配置されてよいし、除去されず、所定の場所に残されてよい。ただし、カプセル要素(A)は、(例えば、第2の態様で説明したように)下流プロセスで犠牲になるように配置される、つまり、(例えば、第2の態様で説明したように)下流プロセスで除去され、最終構成要素に残らないことが望ましい。前記カプセル要素(A)は、好ましくは、例えば、軟鋼、ステンレス鋼、チタンおよびアルミニウムから選択される金属を含む、より好ましくは本質的にそれからなる。
【0034】
前記カプセル要素(A)は、AM要素に固定されたシート材料を含むことが好ましい。シート材料は、好ましくは、前記カプセルを使用して作製される最終構成要素のニアネットシェイプ領域を画定するように成形される。前記カプセル要素(A)、例えば前記シート材料は、好ましくは2~5mmの範囲の厚さを有し、形状および方向の高密度化を制御するためにより厚い部分を有してよい。
【0035】
前記カプセルは、AM要素に(好ましくは直接)固定されるカプセル要素(B)を含むことができる。カプセル要素(B)は、前記AM要素の開口部、例えばチャネルまたはパイプ部分の上に重なるように配置されてよい。前記カプセル要素(B)およびAM要素は、好ましくは2つの要素の間に気密(例えば、ヘリウム)シールが画定されるように固定され、例えば溶接される。
【0036】
カプセル要素(A)およびカプセル要素(B)は、好ましくは離間している。それらは連続していないことが好ましい。
記カプセル要素(B)は、前記AM要素のものと比較して、同じ材料または異なる材料から作られてよい。
【0037】
前記カプセル要素(B)は、好ましくは金属を含み、より好ましくは本質的に金属からなる。前記カプセル要素(B)は、カプセル要素(B)を溶解により除去できるように、続くプロセスでAM要素とカプセル要素(B)の組み合わせと接触させることができる液体製剤に可溶であってよい。しかしながら、好ましくは、カプセル要素(B)は、(例えば、第2の態様で説明されるように)下流のプロセスで犠牲になるように構成される。つまり、(例えば、第2の態様で説明したように)下流プロセスで除去され、最終構成要素には残らない。前記カプセル要素(B)は、好ましくは、例えば軟鋼、ステンレス鋼、チタンおよびアルミニウムから選択される金属を含む、より好ましくは本質的にそれからなる。
【0038】
前記カプセル要素(B)は、好ましくは、AM要素に固定されたシート材料を含む。シート材料は、好ましくは、最終構成要素のニアネットシェイプ領域を画定するように成形される。前記カプセル要素(B)、例えば前記シート材料は、好ましくは2~5mmの範囲の厚さを有し、形状および方向の高密度化を制御するためにより厚い部分を有してよい。
【0039】
前記AM要素は、前記カプセルの外面である表面、すなわち、外部に露出しているカプセルの表面を含むことができる。前記表面は、少なくとも部分的に選択的表面を規定してよい。前記AM要素は、好ましくは、前記カプセルの他の領域によって完全にカプセル化されていない。
【0040】
粉末(XX)を収容するための前記空隙は、少なくとも部分的に、カプセル要素(A)、カプセル要素(B)、前記AM要素、および任意にカプセル要素(A)および/または(B)の特徴を有し得る他のカプセル要素によって適宜規定されてよい。
【0041】
前記空隙は、カプセルの外側からカプセルへの、例えばカプセルの前記空隙へのアクセスを提供する開口部を含むことができる。パイプは、固体および/または流体を空隙に送達するため、および/または空隙から流体を除去するため、例えば空気の空隙を排出するために、上記開口部と関連付けられてよい。
【0042】
前記空隙は、例えば、粉末(XX)で充填する前は、実質的に空であり得る。ただし、空隙には粉末(XX)が含まれている場合がある。
粉末(XX)は、好ましくは金属を含み、より好ましくは本質的に金属からなる。金属は、オーステナイト、フェライト、マルテンサイト系ステンレス鋼を含むステンレス鋼、二相および超二相ステンレス鋼、Ni、Ti、およびCoCr合金と金属マトリックス/複合合金から選択できる。金属粉末は、直径が500ミクロン未満であることが好ましい。金属粉末は、カプセルの空隙の100%まで充填することができる。
【0043】
粉末(XX)は、AM要素を構成する材料と比較して、同じものでも異なるものでもよく、例えば化学的に異なってよい。好ましくは、異なる性質を持つ。粉末(XX)は、(例えば、主要量として)第1の金属を含むことができ、前記AM要素は第2の金属を含むことができ、適切には、前記第1および第2の金属は異なる。
【0044】
粉末(XX)は、前記カプセルの総重量の少なくとも10重量パーセント、好ましくは少なくとも20重量パーセント、例えば20~80重量パーセントを構成してよい。
カプセルの外側表面の形状は、AM要素の形状に対応していない、および/または異なる場合がある。
【0045】
本発明の第2の態様によれば、構成要素を製造する方法が提供され、この方法は以下を含む。
(i)第1の態様に従ってカプセルを選択する。
(ii)カプセルをHIPにさらす。
【0046】
HIP後、HIP前の前記カプセル内の前記AM要素の選択表面は、高密度化され、収縮、例えば等軸収縮を受けた可能性があることを除いて、HIP後の形態と実質的に同一であり得る。前記カプセルの選択後、AM要素の形状は、好ましくは、前記最終構成要素を規定する際に、HIPを受けることによってもたらされる変化による以外は実質的に変化しない。
【0047】
ステップ(ii)の前に、気密であることを適切に確認するために、前記カプセルをテストしてよい。これは、カプセル内に定められた空隙にヘリウムなどのガスを導入し(カプセルの外側からカプセルへのアクセスを提供するように配置された開口部などを介して)、ガスがカプセルから漏れているかどうかを評価することを含んでよい。
【0048】
選択されたカプセルが粉末(XX)を含まない場合、この方法は、粉末(XX)をカプセルの空隙に導入することを含み得る。
前記空隙に粉末(XX)を適切に含むカプセルは、好ましくは粉末(XX)の既知の充填重量および最適な包装密度を達成するために振動されてよい。
【0049】
カプセルの外側表面の形状は、AM要素の形状に対応していない、および/または異なる場合がある。したがって、外表面の形状は、AM要素を、実質的に一定の厚さの前記粉末(XX)に由来する層で被覆するように単純に構成されていなくてよい。
【0050】
ステップ(ii)の前に、この方法は、カプセル、例えばカプセル内に画定された空隙を空にすることを含むことが好ましい。例えば、カプセルへのアクセスを提供するように配置された前記開口部に真空装置を取り付けることにより、カプセル内を真空にすることができる。カプセルの真空化後、この方法は、好ましくは、カプセルを密封すること、例えば、カプセルへのアクセスを提供するように配置された前記開口部を閉じることを含む。
【0051】
ステップ(ii)は、好ましくは、カプセルをHIPシステムに配置し、例えば構成要素の材料壁の厚さと全体の重量とに基づいて、所定の時間、所定の圧力(例:100-200MPaの範囲)および温度(例:500-1250°Cの範囲)にカプセルをさらすことを含む。
【0052】
ステップ(ii)は、好ましくは、AM要素および粉末(XX)の100%密度を達成するために行われる。
したがって、構成要素は、好ましくは完全に高密度であり、好ましくは、本明細書で説明される最終構成要素を規定する。
【0053】
ステップ(ii)において、適切に導入された粉末(XX)は、AM要素、例えばその金属に拡散接合する。結合金属粉末(XX)は、最小の偏析を伴う微細で均質な粒子サイズであり、AM要素は、従来のプロセスから得られるものよりも微細で偏析の少ない構造で構成される。AM要素は拡散接合プロセスによって接合されているため、接合された金属粉末(XX)とAM要素の間に熱影響ゾーンは実質的には存在しない。
【0054】
ステップ(ii)に続いて、この方法は、好ましくは、溶体化熱処理のために従来の熱処理炉にカプセルを配置し、その後、構成要素の最適な材料特性を達成するために時効または析出硬化を含む。
【0055】
ステップ(ii)に続いて、カプセルの一部をAM要素との結合から除外し、適切に前記AM要素および固化しHIP化した粉末(XX)を含む、処理後構成要素を残すことができる。あるいは、カプセルは、本明細書に記載されるように、最終構成要素の一部を形成するために適所に残されていてよい。
【0056】
前述のカプセルの一部の除去は、機械加工によるものであってよい。有利には、除去は、例えば酸エッチングの使用による溶解によるものであり得る。カプセル要素(A)は除去されてよい。カプセル要素(B)は除去されてよい。カプセルに組み込まれたすべてのシート材料は除去されてよい。
【0057】
前記構成要素は、好ましくは、前記AM要素およびHIP処理された粉末を含み、好ましくは、シート材料、例えば鋼板によって画定される領域を含まない。
適切には、カプセルの一部を除去した後、構成要素は最小限の機械加工にさらされる。これは、カプセルがニアネットシェイプを生成するように配置されているために可能である。最終構成要素に含まれないカプセルの部分の除去後に、適切には、構成要素の外表面積の50%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは10%未満が処理され、例えば、機械加工される。好ましくは、最終構成要素に含まれないカプセルの一部(例えばシート材料)の除去後、構成要素はその形状を変化させるように構成された、いかなるプロセスも受けない。好ましくは、最終構成要素に含まれないカプセルの部分を除去した後、構成要素は、構成要素の他の部分よりも構成要素の任意の部分を優先的に除去するプロセスにさらされない。
【0058】
カプセルの一部を除去した後、構成要素は、構成要素の少なくともアクセス可能な外側表面の実質的に全体を同じ方法で処理するプロセスにかけられてよい。例えば、プロセスは、研磨および/または洗浄プロセスを含んでよい。
【0059】
この方法で作成された構成要素は、産業プロセスで使用される装置、機械、またはデバイスを規定する、または使用される最終構成要素を規定することができる。
本発明の第3の態様によれば、第1の態様のカプセルを製造する方法が提供され、この方法は以下を含む。
(i)積層造形(AM)要素を選択する。
(ii)前記カプセルの第1の領域は、少なくとも部分的に前記AM要素によって規定されるカプセルを構築する。
【0060】
前記カプセルの前記第1の領域は湾曲していても平面であってよい。前記カプセルの前記第1の領域は、好ましくは、前記カプセルの内壁を画定する。
好ましくは、前記カプセルの第2の領域は、少なくとも部分的に、前記AM要素によって画定される。前記カプセルの前記第2の領域は、湾曲していても平面であってよい。前記カプセルの前記第2の領域は、前記カプセルの内壁を画定してよい。
【0061】
前記カプセルの他の1つ以上の領域は、前記AM要素によって画定されてよい。
前記AM要素は、前記カプセルの1つ以上の領域、例えば参照される前記第1および第2の領域、および任意に他の領域を画定してよい。
【0062】
この方法は、ステップ(i)の前に、例えばレーザーまたは電子ビーム溶接(EBW)粉末床、およびワイヤ送りビルド技術(wire fed build techniques)を使用してAM要素を製造することを含み得る。
【0063】
ステップ(ii)において、前記方法は適切には、前記AM要素の周囲にカプセルの領域を構築することを適切に含み、適切には前記カプセルの前記第1の領域は前記AM要素および任意に、しかし好ましくは前記カプセルの前記第2の領域(提供される場合)は、AM要素によって規定される。好ましくは、前記AM要素は、前記カプセルの内壁を画定する。
【0064】
この方法のステップ(ii)は、カプセル要素(A)を選択し、それをAM要素に(好ましくは直接)固定することを含むことができる。前記カプセル要素(A)は、前記AM要素の少なくとも一部の上に重なるように配置されてよい。それはAM要素の端部に重なるように配置されてよい。それは、前記AM要素の開口部、例えばチャネルまたはパイプ部分の上に重なるように配置されてよい。それは、AM要素の第1の領域(提供される場合)の少なくとも一部の上に配置されてよい。前記カプセル要素(A)およびAM要素は、例えばタングステン不活性ガス(TIG)溶接、金属不活性ガス(MIG)溶接または電子ビーム溶接などの溶接によって一緒に固定することができる。前記カプセル要素(A)およびAM要素は、好ましくは固定され、例えば溶接され、その結果、2つの要素の間に気密(例えばヘリウムに対する)シールが画定される。
【0065】
前記カプセル要素(A)は、第1の態様に記載された通りであってよい。
この方法のステップ(ii)は、(適切にはカプセル要素(A)を選択することに加えて)カプセル要素(B)を選択し、好ましくはAM要素に(好ましくは直接)固定することを含む。カプセル要素(B)は、AM要素の端部に重なるように配置されてよい。それは、開口部、例えば、前記AM要素のチャネルまたはパイプ部分の上に重なるように配置されてよい。それは、AM要素の第2の領域(提供される場合)の少なくとも一部の上に配置されてよい。前記カプセル要素(B)およびAM要素は、溶接によって一緒に固定されてよい。前記カプセル要素(B)およびAM要素は、好ましくは固定され、例えば溶接され、その結果、2つの要素の間に気密(例えば、ヘリウム)シールが画定される。
【0066】
前記カプセル要素(B)は、第1の態様に記載された通りであってよい。
この方法のステップ(ii)では、AM要素の少なくとも一部の周りに適切に画定された空隙を有する前記AM要素を含むカプセルが適切に構築される。前記カプセルがカプセル要素(A)を含む場合、カプセル要素(A)と前記AM要素との間に空隙を画定することができる。AM要素と、カプセル要素(A)および(B)とが提供される場合、空隙は、AM要素と、カプセル要素(A)および(B)との間に少なくとも部分的に画定されてよい。
【0067】
方法のステップ(ii)において、前記カプセルは、好ましくは、カプセルの外側からカプセルへの、例えばカプセルの空隙へのアクセスを提供する開口部を備えて構成される。パイプは、固体および/または流体を空隙に送達するため、および/または空隙から流体を除去するため、例えば空隙の空気を排出するために、上記開口部と関連付けられてよい。
【0068】
好ましい実施形態では、ステップ(ii)は、シート材料、例えばシートメタルから作られる、少なくとも3つの個別および/または別個の要素(例えば、カプセル要素(A)、(B)および少なくとも1つの他のカプセル要素から選択されるカプセル要素)を選択することにより前記カプセルを構築することと、前記3つの要素をAM要素と関連付けて、AM要素によって少なくとも部分的に画定された空隙を有するカプセルを画定することと、を含む。
【0069】
ステップ(ii)に続いて、カプセルが適切に気密であることを確認するために、前記カプセルをテストしてよい。これは、(例えば、カプセルへのアクセスを提供するように配置された前記開口部を介して)ガス、例えばヘリウムをカプセル内の画定された空隙に導入し、ガスがカプセルから漏れるかどうかを評価することを含み得る。
【0070】
ステップ(ii)に適切に続くステップ(iii)では、粉末(本明細書では粉末(XX)と呼ぶ)をカプセルに、例えばカプセルに画定された前記空隙に導入することが好ましい。
【0071】
本発明の第4の態様によれば、好ましくは例えば、レーザーまたはEBW粉末床またはワイヤフェドビルド技術を使用するAMプロセスでAM要素を適切に製造した後に得られる製品であるAM要素(本明細書では「製造時AM要素」)を含む補足AM要素が提供される。好ましくは、製造時AM要素には、粉末などの未固結粒子状物質が含まれる。ここで、好ましくは、補足AM要素は、製造時AM要素内の未固結粒子状物質に加えて、粒子状物質、例えば粉末を含む。追加の粒状材料は、製造時AM要素が作られるプロセス(例えば、AMプロセス)で使用される材料と比較して同一であっても異なっていてよい。好ましくは、前記追加の粒状材料は、製造時AM要素が作られるプロセスで使用される材料と比較して(例えば、同一性または粒子サイズ/サイズ分布において)異なる。
【0072】
第4の態様のAM要素、製造時AM要素、および補足AM要素は、第1の態様で説明された通りであってよい。
本発明の第5の態様によれば、第4の態様における補足AM要素を作成する方法が提供され、この方法は以下を含む。
(i)レーザーまたはEBW粉末床またはワイヤフェドビルド技術を使用してAMプロセスでAM要素(ここでは「製造時AM要素」)を製造した後に得られる製品であるAM要素を選択する。製造時AM要素には、粉末など、未固結粒子状物質が含まれている。
(ii)追加の粒状材料、例えば粉末を、製造時AM要素に組み込み、補足AM要素を規定する。
【0073】
前記追加の粒状材料は、前記製造時AM要素に組み込まれた未固結粒子状物質と接触および/または混合されてよい。
本発明の第6の態様によれば、最終構成要素自体が提供される。
【0074】
本明細書に記載された任意の発明または実施形態の任意の特徴は、必要な変更を加えて、本明細書に記載の他の任意の発明または実施形態の任意の特徴と組み合わせることができる。
【0075】
本発明の特定の実施形態を、添付図面を参照して、例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】バルブシートアセンブリのカプセルの断面図である。
【
図2】
図1のアセンブリのAM要素の一部切り欠き斜視図である。
【
図3】
図1のアセンブリの製造における段階を示している。
【
図4】
図1のアセンブリの製造における段階を示している。
【
図5】
図1のアセンブリの製造における段階を示している。
【
図6】
図1のアセンブリの製造における段階を示している。
【
図7a】明確にするために閉鎖板が省略された流量計本体の斜視図である。
【
図7b】充填/排出管を含む
図7aの流量計本体の図である。
【
図8】
図7の流量計本体を含むカプセルの形成に含まれる一連のステップを示す図である。
【
図9】
図7の流量計本体を含むカプセルの形成に含まれる一連のステップを示す図である。
【
図10】
図7の流量計本体を含むカプセルの形成に含まれる一連のステップを示す図である。
【
図11】
図7の流量計本体を含むカプセルの形成に含まれる一連のステップを示す図である。
【
図12】タービンディスクの一部切り欠き斜視図である。
【
図13】
図12のタービンディスクを含むカプセルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図において、同じまたは類似の部分は同じ参照番号を有する。
図1から6を参照すると、HIP用カプセル2は、冷却チャンネル管8、10が貫通する内側および外側の円筒状ライナー4、6に溶接された剛性の自立型AM構成要素3を備えている(
図1に管8のみが示されている。ただし、両方の管8、10が他の図に示されている)。固体エンドプレート11は、ライナー4、6の端部に溶接され、管8、10は、エンドプレート11を通って延び、外側に開いている。充填管12は、粉末16で満たされたライナー4、6の間に画定された環状空隙14と連通している。使用中、カプセル2は、以下に説明するようにHIPを受ける。その後、内側および外側ライナー4、6を取り外して、AM構成要素3、管8、10、HIP粉末16、およびエンドプレート11を含むバルブシートアセンブリを形成する。
【0078】
カプセル2およびその製造は、以下により詳細に記載される。
AM構成要素3は、単一のレーザーヘッドを備えたレーザー粉末床3D印刷プロセスを使用して製造される。ビルドに使用される粉末は、ステンレス鋼またはニッケルベースの合金である。AM構成要素は、AMビルドのプログラミング用にCADモデルを作成できるように、STEP形式で設計されている。AM構成要素は、最適化されたビルド速度を使用してレイヤーごとにビルドされ、多孔性ではなく、かつ、欠陥のない高密度の壁を実現する。ビルド後、AM構成要素は応力緩和され、ビルドプレートから外され、サポート構造が外される。
【0079】
AM構成要素は、TIG、MIG、および/またはEBW溶接が可能でなければならず、また、カプセル2のライナー4、6など、他の構成要素への溶接による接合にも適合している必要がある。
【0080】
AM構成要素3は、適切な耐摩耗性材料で作られた環状の弁座を画定する。それは、円錐台形状の摩耗面17と、管8、10と連通する冷却ギャラリー20が画定された本体18とを含む。管8、10は、使用中の摩耗面を冷却するため、摩耗面に向かっておよび摩耗面から離れるように冷却流体を移送するように配置される。
【0081】
AM構成要素の最大直径は約150mm、最大厚さ(最大直径に垂直に測定)は約20mmである。
AM構成要素3はまた、ライナー4、6の端部26を越えて延び、エンドプレート11の外面28から突出する管8、10を受け入れるように配置された直径方向に離間した開口部22、24(
図2)を含む。管8、10は、溶接線30、32(
図3)で表される位置に溶接される。
【0082】
AM構成要素3はまた、内側および外側環状ステップ領域34、36を含む。内側ステップ領域34は、円形断面内側ライナー4と係合するように配置され、外側ステップ領域36は、外側ライナー6と係合するように配置される。内側ライナー4は、溶接線38(
図4)によって表されるAM構成要素に溶接され、外側ライナー6は、溶接線40(
図5)によって表されるAM構成要素3に溶接されるように配置される。
【0083】
内側および外側ライナー4、6は、軟鋼、ステンレス鋼およびアルミニウムから選択され得るシートメタルを含む。
AM構成要素の反対側の端部で、カプセル2は、ステンレス鋼、鋼またはニッケルベースの合金であり得る固体材料を含むエンドプレート11を含む。エンドプレートは、
図5のアセンブリと係合するように配置される。この目的のために、エンドプレートはライナー4、6の自由端と係合するように配置される環状溝を含み、管8、10を配置できる開口部を含む。エンドプレート11は、溶接線42、44、46、48によって表されるように、ライナー4、6および管8、10に溶接される。そのように配置されると、エンドプレート11、ライナー4、6およびAM構成要素3の間に空隙14が画定される。空隙14へのアクセスを提供するために、充填管12は、ライナー6の外向きの壁に溶接される。
【0084】
図1のカプセル2を製造するためのステップは、
図2から6に連続して表されている。
図1のカプセルの構築後、真空ラインを管12に接続して排気し、ヘリウムリークテストを行ってカプセルの気密性を確認する。次に、管12を介して粉末金属がそれに充填される。粉末金属は、オーステナイト、フェライト、マルテンサイト系ステンレス鋼を含むステンレス鋼、二相および超二相ステンレス鋼、Ni、Ti、CoCr合金、金属マトリックス/複合合金から選択される。金属粉末は、カプセルの空隙の100%まで充填することができる。粉末充填重量は、カプセル設計と金属粉末の粒度分布に基づいて計算される。金属粉末は、カプセルの空隙に充填され、好ましくは振動して、既知の粉末充填重量および最適な粉末充填密度を達成する。
【0085】
カプセルを満たした後、真空ラインを管12に接続して真空を引くことにより、閉じ込められた空気を排出する。次に、管12がクリンプされてアセンブリが密閉される。
次に、カプセルは、HIPシステムに配置され、所定の時間、所定の温度および圧力にさらされることにより、HIPにさらされる。HIP温度は、AM構成要素が作られる金属粉末と材料の両方に適している必要があり、通常、最も低い固相線温度の材料(合金など)によって駆動される。
【0086】
HIP後、カプセルは、最終構成要素の最適な材料特性を実現するために、所定の温度で所定の時間、熱処理炉処理に供される。
HIPの後、最終構成要素に含まれないカプセルの部分を除去することができる。これは、構成要素を包む鋼板を溶解するのに適した時間、様々な酸と段階にHIP後のアセンブリを浸漬することにより行うことができる。特に、ライナー4、6は溶解され、前記AM構成要素3、そこを貫通する管8、10を有するHIP粉末16、およびエンドプレート12を含むバルブシートアセンブリが残る。AM構成要素3は、HIP処理されているために完全に高密度であり、強化された粉末金属16も、HIP処理されているために完全に高密度である。AM構成要素と圧密化された粉末金属は、HIPプロセスによって互いに拡散接合されている。製造された金属またはバイメタル構成要素には、気孔や欠陥はない。統合された粉末金属構成要素は、微細で均質な粒子サイズを持ち、AM構成要素は、HIPサイクル中のAM要素の処理により、構築時の状態よりも均質化され、偏析が少ない非常に微細な粒子構造で構成される。AM構成要素の粉末構成要素への接合は、粉末粒子表面のAM構成要素への拡散接合により行われ、熱影響ゾーンの存在を排除した、溶融相または液相を有しない状態のもと行われる。これは粉末とAM構成要素間の薄い10~50ミクロン拡散ゾーンに置き換えられる。
【0087】
同様に、エンドプレート11と固化した粉末金属は、HIPプロセスにより互いに拡散接合されている。これは、熱影響ゾーンの存在を排除した、溶融相または液相を有しない状態のもと行われる。これは、粉末とAM構成要素間の薄い(10-50ミクロン)拡散ゾーンに置き換えられる。
【0088】
有利には、AM構成要素3は、HIPおよび最終構成要素に含まれないカプセルの部分の除去後、機械加工(または他の金属除去プロセス)を必要としない。AM構成要素は、バルブの別の部分(例えば、吸気バルブまたは排気バルブ)(図示せず)と協働する選択的表面である摩耗面17を規定する。摩耗面17は、バルブの他の部分と正確に係合できるように、プロセス中に厳密な公差(例えば、+/-0.2~0.3mm)で作られている。
【0089】
最終構成要素の他の部分(選択的表面を含まない可能性があり、および/またはAM構成要素の許容誤差よりも低い公差に作成できる)は、何らかの機械加工(例えば、エンドプレート11および/またはボアのクリーンアップ操作)に供することができる。
【0090】
図7aを参照すると、AM構成要素52は、HIPプロセスで処理された流体流量測定装置の選択的表面を画定するように配置されている。
図7aのAM構成要素52は、
図1の実施形態について説明したように、レーザー粉末床3D印刷プロセスを使用して製造される。しかしながら、
図1の実施形態とは対照的に、AM構成要素は、製造プロセスにおけるレーザー処理によって固化されていない粉末を含む。したがって、AM構成要素52は、
図7aに示される線56の左側に画定される完全に融合した領域54を含む。完全に融合した領域は、一般にポストHIP機械加工を必要としない構成要素52の選択的表面を規定する。
【0091】
線56の右側では、部分的に円形である比較的薄くて中実の外壁58が、粉末床内のレーザーで完全に融合する粉末によって規定される。外壁は、粉末床内のレーザーで完全に融合する粉末によって規定されるほぼ円形の中実平面ベース60から上に延びている。外壁58の内側には、粉末床内のレーザーで完全に融合する粉末によって生成される支持柱62が規定されている。支持柱62は、ベース60から上方に延び、レーザーからのエネルギーによる粉末の融合によって形成される平坦な頂部64(明確にするために
図7aから省略されているが、
図8に示されている)を支持するように配置されている。
【0092】
外壁58の内側に画定されているのは、粉末床内の粉末をレーザーで完全に溶融することによって生成される壁66によって画定される開口部65である。外壁58、壁66、基部60、および頂部65の間で、AM構成要素52は、未固結粉末、すなわちまだレーザーによって衝突されて溶融していない粉末を含む容積53を含む。
【0093】
支柱(平面上部64のすぐ下)の断面積の合計を未固結粉末が配置される支柱(平面頂部64のすぐ下)の間に規定される面積で除算した割合は、0.25~0.55、好ましくは0.3~0.45の範囲、より好ましくは0.33~0.42の範囲であってよい。
【0094】
すべての支持柱が占める容積の合計を支柱の周囲および/または未固結粉末が占める容積で割った比は、0.25~0.55の範囲、好ましくは0.3~0.45の範囲、より好ましくは0.33~0.42の範囲であってよい。
【0095】
AM構成要素の厚さx(
図7a)は約40mm、幅yは約30mm、Q点とR点との間の直径は約100mmである。
したがって、
図7aのAM構成要素52は、選択された表面(カットアウトボリューム55を含む)および完全に融合された粉末を含む他の領域を画定し、固化されないが支持柱62の間に配置される粉末の容積を共に画定する。この構成により、積層造形中に構成要素52に使用される粉末全体がレーザーで固められる場合と比較して、AM構成要素をはるかに迅速に(そしてより少ないエネルギー使用で)製造することができる。
【0096】
AM構成要素52は、
図8から
図11を参照して説明したように、カプセル70(
図11)に含めることができる。しかし、組み込む前に、その中の粉末を補うために追加の粉末が充填/排出管57(
図7b)を介して容積53に導入される。追加の粉末は容積53に詰められ、配置され、そのため、AM構成要素52のHIP後、容積53内の粉末および柱62は、(完全密度の)98%より大きい密度を有する容積を画定し、その容積は実質的に完全に密であり得る。
【0097】
有利には、管57は、AM構成要素の製造中にAM構成要素52に組み込まれてよい。
図8を参照すると、AM構成要素52は、その構成要素52内の未固結粉末74を示すために上部67の切り欠き部分72を含んで表されているが、粉末を含む容積は実際にはAM構成要素の一部によって完全に閉じられていることが理解されよう。AM構成要素52は、未固結粉末74を含む状態のカプセル70に組み込むことができる。しかしながら、好ましい実施形態では、
図7bを参照して説明したように追加の粉末を容積53に組み込み、次に構成要素52をカプセル70に組み込む前に本明細書で説明するようにHIPする。これにより、AM構成要素52の故障のリスクを減らすことができる。
【0098】
図9を参照すると、正方形の断面を有するテーパ管78が、開口部65の周りに溶接されている(溶接線80を参照)。管78は、ニッケル合金から作られてよい。
次に、
図10を参照すると、円形断面の外側スリーブ80が管78の周りに配置され、溶接線82に沿ってAM構成要素52に溶接される。外側スリーブ80は、軟鋼、ステンレス鋼、チタンまたはアルミニウムから作製され得る。
【0099】
次に、
図11を参照すると、(外側スリーブ80と同じ材料で作ることができる)閉鎖板84が、溶接線86に沿ってスリーブ80に溶接され、溶接線88に沿ってテーパ管78の外縁に溶接される。充填管90は、閉鎖板84を貫通して延び、閉鎖板84に溶接されている。
【0100】
図11のカプセルの構築後、カプセルは排気され、テストされ、粉末で充填され、
図1から6の実施形態について説明したようにHIPに供される。HIPの後、それは上記のように熱処理炉に配置され、その後、外側スリーブ80、閉鎖板84および充填管90は、例えば酸に溶解することにより除去される。
【0101】
図12を参照すると、タービンホイールアセンブリの選択的表面を画定するために、タービンディスク100(200mmの直径および20mmの厚さ)が配置されている。ディスク100は、
図7の実施形態について説明したように、レーザー粉末床3D印刷プロセスを使用して製造され、したがってAM構成要素を規定する。このディスクは、その全周に弓形のベーン103を組み込んだ環状ブレードリング102を含む。ブレードリング102の内側には、円形の閉鎖板104、106が間隔をおいて配置されている(
図14)。プレート104、106の間に延在するのは、ディスク100の製造中に粉末床内でレーザーにより完全に溶融された粉末によって形成される間隔を空けた、支持柱108の配列である。プレート104、106と柱108の間で、ディスク100は固結していない粉末を含む容積、つまり、レーザーがそれを溶かすために衝突していない容積を含む。柱および未固結粉末が占める面積/容積は、構成要素52について説明したとおりであり得る。
【0102】
したがって、
図12のタービンディスクは、選択的表面(すなわち、リング102と複数のベーン103とを含む)、および、固化されていない粉末108の容積とともに、完全に溶融した粉末を含む他の領域(例えば、プレート104、106および柱108)を画定する。
図7の実施形態について説明したように、未固結粉末が存在しない対応するディスクと比較して、ディスクをより迅速に(およびより少ないエネルギー使用で)作成することができる。好ましい実施形態では、
図12のディスク100は、追加の粉末が粉末108を補充するために導入される充填/排出管(図示せず)を含む。HIP処理後、ディスク100は実質的に完全に高密度になり得る。
【0103】
図13および14に示すように、ディスク100(好ましくは上述のようにHIPされている)を組み込んだカプセルを製造することができる。図を参照すると、充填管112を組み込んだ円筒形キャップ110は、114で示すように、その周囲で閉鎖板106に溶接されている。充填管111を含む段付きキャップ116は、その下端でその周囲118の周りで閉鎖板104に溶接される。
【0104】
円筒状キャップ110および段付きキャップ116は、軟鋼、ステンレス鋼、チタンまたはアルミニウムから作製され得る。
図13および14のカプセルの構築後、前の実施形態について説明したように、カプセルを真空にし、テストし、粉末で充填し、HIPに供する。HIPの後、説明したように熱処理炉に入れられ、その後、それぞれの充填管112、111を含むキャップ110、116が、例えば酸に溶解することにより、除去される。
【0105】
有利には、この方法を使用して、例えば、正確に生成される(および使用中に別の表面または構成要素と協働するように配置される)選択表面および選択的でない他の表面、および/または選択面と比較して、精度が低くなったり、および/または公差が大きくなったりする表面を組み込んだ、例えば約400mmの最大寸法を有する比較的大きな構成要素を生成することができる。上記の方法を使用すると、構成要素を比較的迅速かつ効率的に製造することができる。
【0106】
本発明は、前述の実施形態の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約および図面を含む)に開示された特徴の新規なもの、または新規な組み合わせ、または開示された方法またはプロセスのステップの新規なもの、または新規な組み合わせに及ぶ。