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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】パンツ型吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20231109BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20231109BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
A61F13/51
A61F13/496
A61F13/49 410
A61F13/49 315A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020029298
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021132733
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒沢 基成
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-204982(JP,A)
【文献】特開平08-173476(JP,A)
【文献】特開2017-064225(JP,A)
【文献】特開2019-170831(JP,A)
【文献】特開平08-141013(JP,A)
【文献】特開平08-215245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性のトップシート、液不透過性のバックシート、及び前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体を含む吸収性本体と、前記吸収性本体を支持し、腹側部、股下部及び背側部に区分される外装体と、を備えるパンツ型吸収性物品であって、
前記腹側部及び前記背側部はそれぞれ複合シートを含み、
前記複合シートは、
複数のコットン含有複合型不織布と、
前記コットン含有複合型不織布の間に配置された伸縮性フィルムと、
面方向に互いに離隔して前記コットン含有複合型不織布と前記伸縮性フィルムとを一体化する複数の接着部と、を含み、
前記コットン含有複合型不織布は、
不織布と、
前記不織布の少なくとも一方の表面に積層されたコットン繊維層と、を含み、
前記接着部の形状は、前記複合シートの伸縮方向に対して交叉する方向へ延びる長方形と、前記長方形の対角線の交点に中心が一致する円とが重なり、前記円の直径が前記長方形の短辺よりも長く、かつ長辺よりも短いものであるパンツ型吸収性物品。
【請求項2】
前記外装体において、前記コットン含有複合型不織布の一枚当たりの坪量は40g/m以上60g/m以下であり、前記不織布がスパンボンド不織布であり、前記スパンボンド不織布と前記コットン繊維層との重量構成比が40/60重量%以上10/90重量%以下である、請求項1に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項3】
前記複合シートは、熱融着及び/又は超音波接着による前記接着部を含む一体化物である、請求項1又は2に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項4】
前記複合シートは、150%以上270%以下の伸縮方向の伸び率を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【請求項5】
前記腹側部から前記股下部を経て前記背側部に及んで配設された、弾性伸縮部材をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツ型吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に示す従来のパンツ型吸収性物品100は、着用し易さや着用中の良好なフィット性を得るために、腹回り、腰回り、おしり回り等に糸ゴム等の弾性伸縮部材を配設する(特許文献1)。弾性伸縮部材の配設は、パンツ型吸収性物品100の外観上の大きな特徴となる、比較的大面積のギャザー110、111やシワを形成する。これらは、布製下着との外観上の大きな差異をもたらす。特に、腹回りやおしり回りに透けて見える糸ゴムと、その周辺に発生する多数の大きいシワ等は、布製下着には存在しない。パンツ型吸収性物品の着用を第三者に秘匿したい着用者にとって、前述の外観上の差異は望ましいものではない。したがって、布製下着により近い外観を有するパンツ型吸収性物品が強く要望されている。
【0003】
パンツ型吸収性物品の外観上の問題を改善するために、外装体として、表面材料である不織布と伸縮性フィルムとを積層した複合シートが提案されている。特許文献2は、おむつ及びパーソナルケア製品の外装体として、直交する2方向に引伸ばし可能なスパンボンド不織布と伸縮性フィルムとの積層体であり、伸縮性フィルムがポリウレタン、ポリエーテルアミド、及びポリエステルエラストマーよりなる群から選ばれた1種又は2種以上のポリマーを含むフィルムである、2軸弾性引伸ばし性の通気性複合シートを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-137287号公報
【文献】特開2008-279774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の複合シートを外装体とするパンツ型吸収性物品には、外観こそ布製下着に近いものの、複合シートを構成する全ての素材が合成樹脂であることから、綿、シルク等の天然繊維からなる布製下着よりも風合いや汗の吸収性等で劣り、蒸れ易いという課題がある。一方、天然繊維の中にも、肌の感受性の高い着用者に対してかぶれを生じさせ易いタンパク質系成分が含まれている場合があり、天然繊維の使用が必ずしもパンツ型吸収性物品に良い性能を付与するとは限らない。
【0006】
本発明の目的は、複合シートを外装体として用いつつ、外観が布製下着に近く、風合いが良好で、蒸れによるかゆみ、かぶれ等の肌トラブルを起こし難いパンツ型吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、所定のコットン含有複合型不織布を表面材料とし、該複合型不織布と伸縮性フィルムとを積層した複合シートを外装体として用いることにより、所望のパンツ型吸収性物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、好ましい実施形態として、例えば下記(1)~(5)のパンツ型吸収性物品を提供する。
【0008】
(1)液透過性のトップシート、液不透過性のバックシート、及び前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体を含む吸収性本体と、前記吸収性本体を支持し、腹側部、股下部及び背側部に区分される外装体と、を備えるパンツ型吸収性物品であって、前記腹側部及び前記背側部はそれぞれ複合シートを含み、前記複合シートは、複数のコットン含有複合型不織布と、前記コットン含有複合型不織布の間に配置された伸縮性フィルムと、面方向に互いに離隔して前記コットン含有複合型不織布と前記伸縮性フィルムとを一体化する複数の接着部と、を含み、前記コットン含有複合型不織布は、不織布と、前記不織布の少なくとも一方の表面に積層されたコットン繊維層と、を含むパンツ型吸収性物品。
(2)前記外装体において、前記コットン含有複合型不織布一枚あたりの坪量は40g/m以上60g/m以下であり、前記不織布がスパンボンド不織布であり、前記スパンボンド不織布と前記コットン繊維層との重量構成比が40/60重量%以上10/90重量%以下である、上記(1)のパンツ型吸収性物品。
(3)前記複合シートは、熱融着及び/又は超音波接着による前記接着部を含む一体化物である、上記(1)又は(2)のパンツ型吸収性物品。
(4)前記複合シートは、150%以上270%以下の伸縮方向の伸び率を有する、上記(1)~(3)のいずれかのパンツ型吸収性物品。
(5)前記腹側部から前記股下部を経て前記背側部に及んで配設された、弾性伸縮部材をさらに備える、上記(1)~(4)のいずれかのパンツ型吸収性物品。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複合シートを外装体として用いつつ、外観が布製下着に近く、風合いが良好で、蒸れやアレルギーを起こし難いパンツ型吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態に係るパンツ型吸収性物品の外観を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示すパンツ型吸収性物品の模式展開図である。
図3図2のX-X’切断線における幅方向の模式断面図である。
図4】接着部及びその配列パターンの各実施形態の一例を拡大して示す模式平面図である。
図5】複合シートの製造例の一実施形態を示す概略図である。
図6】従来のパンツ型吸収性物品の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第一実施形態に係るパンツ型吸収性物品1について、図面を参照しつつ説明する。本明細書では次のように定義する。パンツ型吸収性物品1の着用とは、体液の吸収前、吸収時、及び吸収後を問わず、パンツ型吸収性物品1を身体に装着した状態をいう。長手方向は、パンツ型吸収性物品1を着用したときに着用者の前後にわたる方向であり、幅方向は長手方向に対して直交する方向であり、厚み方向とは長手方向及び幅方向を含む一平面(例えば図2に示す平面)に対して略垂直な方向である。パンツ型吸収性物品1を身体に着用したときに、着用者の肌に当接するか又は該肌を臨む表面を肌側面、着用者の衣類に接触するか又は該衣類を臨む表面を非肌側面、とする。また、体液とは、尿、血液や軟便中の水分などの体内から体外に排出された液体をいう。
【0012】
<パンツ型吸収性物品>
図1は、パンツ型吸収性物品1の外観斜視図であり、図2はパンツ型吸収性物品1の模式展開平面図であり、図3はパンツ型吸収性物品1の幅方向断面図である。各図は、パンツ型吸収性物品1の外装体10や吸収性本体20等の各構成部材の形状、寸法やその大小関係を規定するものではない。各構成部材の寸法は、パンツ型吸収性物品1の用途、着用者の年齢や体形等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。図3では構成部材の各層が隙間のなく積層されているが、本実施形態は、少なくとも1つの層間に少なくとも1つの隙間を有する実施形態をも包含する。
【0013】
図1図3に示すように、本実施形態のパンツ型吸収性物品1は、その外形形状を構成する外装体10と、外装体10の所定領域で支持され、着用者の股間部を前後から覆う前後方向に略帯状の形態を有する吸収性本体20と、を備える。外装体10は、着用者の腹部に主に当接する腹側部11と、着用者の背部に主に当接する背側部12と、腹側部11と背側部12との間に位置して着用者の股間部に主に当接する股下部13と、を含む。外装体10は、主に股下部13の肌側面において吸収性本体20を支持し、股下部13には吸収性本体20の一部又は全部が重なるように配置されている。吸収性本体20は、着用者の体液を吸収及び保持する。
【0014】
パンツ型吸収性物品1の図2に示す展開時の長手方向寸法は例えば600mm以上1000mm以下の範囲であり、幅方向寸法は例えば450mm以上900mm以下の範囲である。この展開時寸法を有するパンツ型吸収性物品1は、必要に応じて所定領域に弾性伸縮部材を配設した後、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ等の各種サイズの成人用のパンツ型吸収性物品1とすることができる。パンツ型吸収性物品1は、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁用使い捨ておむつ等として利用できる。
以下、本実施形態のパンツ型吸収性物品1の各構成部材について、吸収性本体20、及び外装体10の順でさらに詳細に説明する。
【0015】
<吸収性本体>
本実施形態の吸収性本体20は、相対的に肌側に配置された、液透過性のトップシート21と、トップシート21に対向して相対的に非肌側に配置された、液不透過性のバックシート22と、トップシート21とバックシート22との間に配置された吸収体23と、立体ギャザー24と、を含み、吸収体23がトップシート21とバックシート22の間に挟まれた構造を有する。吸収性本体20は、外装体10の主に股間部13の肌側面に、腹側部11から背側部12に向けて延びるように配置される。吸収性本体20は、ホットメルト等の接着剤、熱融着、超音波接着等により、外装体10に固着されている。
【0016】
(トップシート)
本実施形態のトップシート21としては、体液が吸収体23へと移動するような液透過性を有する基材を特に制限なく使用でき、例えば、サーマルボンド不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布の積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、これらの2種以上を積層した複層シート等が挙げられる。また、トップシート21は、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施すことが好ましい。その加工方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。また、肌への刺激を低減させるために、トップシート21に、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させることも好ましい。さらに、強度および加工性の点から、トップシート21の坪量は、例えば、14g/m以上40g/m以下の範囲である。トップシート21の形状としては、特に制限はないが、尿等の液体を吸収体23に誘導するため、吸収体23を覆う形状であればよい。
【0017】
(バックシート)
本実施形態のバックシート22としては、吸収体23が保持する体液が漏れないような液不透過性の基材を特に限定なく使用でき、例えば、不織布、樹脂フィルム、これらの2種以上の積層体である複層シート等が挙げられる。不織布としては、製法が特に限定されることはなく、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの積層体である複合シート等が挙げられる。また、着用時の蒸れを防止するために、バックシート22は、透湿性を有することが好ましい。透湿性を付与する方法としては、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合することや、バックシート22に穿孔のためのエンボス加工を施すことが挙げられる。バックシート22の坪量は特に限定されないが、例えば15g/m以上60g/m以下の範囲である。
【0018】
(吸収体)
本実施形態の吸収体23は、例えば、吸収基材と、吸収基材に担持される吸収成分と、を含む。吸収基材としては、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿パッド等の吸収性物品に含まれる吸収基材を特に限定なく使用でき、例えば、フラップパルプ、親水性シート等が挙げられる。フラップパルプとしては、例えば、木材パルプ、合成繊維や、合成樹脂繊維等の非木材パルプ等の綿状の解繊物等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。また、アセテートトウの開繊体を吸収基材として使用できる。吸収成分としても公知のものを特に限定なく使用でき、例えば、高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下「SAP」ともいう)が挙げられる。高吸収性ポリマーとしては公知のものを使用でき、その中でも面積当たりの体液吸収量等の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。
【0019】
吸収体23は、例えば、上記の吸収基材及び吸収成分を用いて、単層又は複層のシート状に構成される。これらの中でも、木材パルプフラッフのような、フラッフパルプのウェブの親水性繊維マトリックスをSAP粒子と混合して形成したものが好ましい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体23の形状を安定させるために、吸収体23をティシュー等の親水性シート(図示せず)に包むことが好ましい。さらに、吸収体23の表面にエンボス加工を施すと、体液の拡散をコントロールすると共に、使用者の体型に応じて吸収体23が容易に変形するので好ましい。吸収体23中の高吸収性ポリマーの坪量は特に限定されないが、例えば50g/m以上500g/m以下の範囲である。
【0020】
(立体ギャザー)
立体ギャザー24は、例えば、体液の横漏れ等を防止するために設けられる。本実施形態の立体ギャザー24は、幅方向一端がバックシート22の肌側面の幅方向両端付近に長手方向に沿って固定され、幅方向途中部がトップシート21の肌側面の幅方向両端付近に長手方向に沿って固定され、幅方向他端が自由端である立体ギャザーシート24bと、前記幅方向他端(自由端)付近に長手方向に沿って配設され、前記幅方向他端に起立性を付与する立体ギャザー用弾性伸縮部材24aと、を含む。起立性を有する幅方向他端は、着用者の体型に合わせて伸縮自在かつ変形可能である。
【0021】
立体ギャザーシート24bには例えば各種不織布を限定なく使用でき、立体ギャザー用弾性伸縮部材24aには例えば糸ゴム等の一般的な弾性伸縮部材を特に限定なく使用できる。なお、立体ギャザーシート24bの幅方向一端(固定端)は、バックシート22の肌側面の幅方向両端付近、トップシート21の周縁とバックシート22の周縁とを接合し、吸収体23を内包する袋体の幅方向両端付近、トップシート21の肌側面の幅方向両端付近、バックシート22の非肌側面の幅方向両端付近のいずれかに、長手方向に沿って固定してもよい。本実施形態の吸収性本体20は、立体ギャザー24を含まない実施形態をも包含する。
【0022】
<外装体>
外装体10は、主に着用者の腹側に当接する腹側部11と、主に着用者の背側に当接する背側部12と、腹側部11と背側部12との間に介在し、主に着用者の股間部に当接する股下部13と、を有し、主に股下部13の肌面側で吸収性本体20を支持している。さらに、本実施形態の外装体10は、図2及び図3に示すように、幅方向端部に沿って腹側部11から股下部13を経て背側部12に及ぶ、左右一対のレッグギャザー16を備えている。
【0023】
本実施形態では、腹側部11及び背側部12には、複合シート17が用いられる。一方、股下部13は、腹側部11及び背側部12と同様の複合シート17で構成してもよく、また、従来と同様の不織布で構成してもよい。股下部分の資材厚みによる着用時のもたつきを低減するために,資材厚みを可能な限り薄くするという観点からは、股下部13には、例えば、不織布が使用される。不織布の種類としては特に限定されず、例えば、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等の不織布が挙げられ、これらの不織布は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる繊維を構成繊維として含むことが好ましい。なお、所定の通気抵抗値及び強度を有する股下部13を得る観点から、股下部13の不織布の坪量は、例えば、15g/m以上40g/m以下の範囲又は18g/m以上40g/m以下の範囲である。
【0024】
<複合シート>
腹側部11及び背側部12に複合シート17を用いると、図1に示すように、表面のギャザー量やシワ量を,図6のギャザー110、111よりも顕著に減らすことができる。したがって、パンツ型吸収性物品1の着用を他者に認識される可能性が,図6の従来のパンツ型吸収性物品100と比べて大きく減少する。さらに、腹側部11及び背側部12に配設された複合シート17が良好な通気性を有することから、パンツ型吸収性物品1自体が優れた通気性を有し、長時間の着用でも蒸れが非常に起こり難くなり、良好な着用感が得られる。
【0025】
本実施形態の複合シート17は、2枚のコットン含有複合型不織布14(以下単に「複合型不織布14」ともいう)と、2枚の複合型不織布14の間に介在する伸縮性フィルム15と、複合型不織布14と伸縮性フィルム15との間に介在して面方向に互いに離隔し、複合型不織布14と伸縮性フィルム15とを一体化する複数の接着部30と、を備える。本実施形態の複合シート17は2枚の複合型不織布14を含むものであるが、これに限定されず、3枚以上の複合型不織布14とそれらの間に配置された2枚以上の伸縮性フィルム15とを含むものでもよい。また、複合型不織布14とは、例えば,米国特許第5284703号明細書に開示されているような、ポリプロピレン製スパンボンド不織布にコットン繊維を水流交絡してシート化したもの等である。
【0026】
(コットン含有複合型不織布)
本実施形態のコットン含有複合型不織布14は、その構成素材として主にコットン繊維層と不織布とを含む。コットン繊維層は液体への濡れ性が高すぎて、かつ強度が低すぎて、吸収性物品1の構成部材として単独では使用し難いものである。これに対し、本実施形態によれば、吸収性物品1の構成部材として使用できない程度の極薄のコットン繊維層を不織布と積層又は一体化して補強することにより、コットン繊維層の過剰な濡れ易さを緩和し、実用上十分な程度の吸液性、液拡散性を発揮させることを可能にしている。また、コットン繊維層は風合いや柔らかさに優れ、着用感を向上させる。したがって、コットン含有複合型不織布14を用いた本実施形態のパンツ型吸収性物品1は、パンツ型吸収性物品に必要とされる吸液性、吸収速度、吸収体23中での液拡散性、風合い、着用感等の各種特性を高水準で併せ持つ上に、肌トラブルを起こしにくいという利点をも有する。
【0027】
コットン含有複合型不織布14は、不織布と、不織布の少なくとも一方の表面に積層したコットン繊維層と、を含む。好ましい実施形態のコットン含有複合型不織布は、不織布と、不織布の少なくとも一方の表面に一体化したコットン繊維層と、を含む。ここで、「一体化」とは、少なくとも吸収性物品1の使用前後に不織布とコットン繊維層とが部分的でも剥離してその機能が大きく低減することがない状態にあることを意味する。不織布の坪量は例えば7g/m以上30g/m以下の範囲であり、コットン繊維層の坪量は例えば30g/m以上50g/m以下の範囲である。不織布及びコットン繊維層の各坪量を前記範囲とすることにより、コットン含有複合型不織布14の坪量を後述する適切な範囲に調整することが容易になる。
【0028】
コットン含有複合型不織布14の中でも、水流交絡による一体化物が好ましい。該一体化物は、例えば、不織布の表面に、バインダーを用いることなく、木材パルプ繊維をウォータージェットで交絡し、一体化してコットン繊維層を設けたコットン含有複合型不織布14である。このようなコットン含有複合型不織布14では、不織布の一方の表面において不織布を構成する繊維とコットン繊維とが絡み合ってコットン繊維層が一体化されると共に、コットン繊維の一部が不織布を厚み方向に突き抜けて他方の面に露出した状態になっており、不織布とコットン繊維層とが極めて強固に結合している。
【0029】
不織布とコットン繊維層との重量割合(不織布/コットン繊維層)は、例えば40/60重量%以上10/90重量%以下の範囲である。コットン繊維層の含有量が40質量%未満であると、コットン含有複合型不織布14が風合いや汗の吸収に乏しく蒸れやすくなる傾向があり、60質量%を超えると、コットン含有複合型不織布14が硬くなる傾向がある。なお、コットン繊維層と一体化される不織布としては、特に限定されないが、コットン繊維層に対する支持性、複合型不織布14全体の強度や柔らかさ、風合い等の観点から、スパンボンド不織布が好ましく、ポリプロピレン繊維を含むスパンボンド不織布がより好ましく、ポリプロピレン繊維からなるスパンボンド不織布が更に好ましい。
【0030】
コットン含有複合型不織布14の坪量は、強度や風合い等の観点から、例えば40g/m以上60g/m以下の範囲又は40g/m以上50g/m以下の範囲である。40g/m未満では,コットン含有複合型不織布14がより柔らかくなるものの,製造時に安定して固定されず,製造歩留まりが低下する傾向にあり,60g/m以上ではコットン含有複合型不織布14が硬さや厚みを増すことで、伸縮性フィルム15との一体化の際,より高いエネルギーが必要となり,製造設備への負荷が増加する懸念が高まる。
【0031】
(伸縮性フィルム)
伸縮性フィルム15は,伸縮方向に伸縮した状態(伸縮方向の伸び率が所定範囲にある状態)で複合シート17中に含まれる。伸縮性フィルム15としては、伸縮性を備えたものであれば特に限定はないが、フィルム化により伸縮性を示す合成樹脂からなるフィルムが好ましい。該合成樹脂としては、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、これらの2種以上のアロイ等が挙げられる。これらのなかでも、コスト及び伸縮性能の観点から、ポリウレタン系樹脂を含むフィルムが好ましく、ポリウレタン系樹脂からなるフィルムがより好ましい。所定の通気抵抗値及び伸縮方向の伸び率を有する複合シート17を得る観点から、伸縮性フィルム15の厚みは例えば20μm以上60μm以下の範囲であり、伸縮性フィルム15の伸縮方向の伸び率は例えば150%以上270%以下の範囲である。
【0032】
(接着部)
接着部30は、複合型不織布14と伸縮性フィルム15とが接着し、一体化した部分である。本明細書において、複合型不織布14と伸縮性フィルム15との一体化とは、複合型不織布14と伸縮性フィルム15とが接着し、少なくともパンツ型吸収性物品1の使用終了時点まではこの接着が維持されることを意味する。接着部30は、所定の平面形状を有するが、それについては後述する。また、コットン含有複合型不織布14と伸縮性フィルム15との一体化には、熱融着、超音波接着等の方法を利用するのが好ましい。これらの一体化方法を利用することにより、所定の平面形状を有する接着部30を容易に形成できる。一体化方法についても後述する。
【0033】
図4は、複合シート17の表面上での接着部30の平面形状及び配列パターンの一例を拡大して示す模式平面図である。図4に示すように、複合シート17は、平面視において四角形と円が組み合わされた平面形状を有する、複数の接着部30により一体化されている。接着部30は、四角形に由来する角部と、円に由来する部分円弧線と、が連結された平面形状を有し、好ましくは四角形に由来する複数の前記角部と、円に由来する複数の前記部分円弧線と、が連結された平面形状を有する。
【0034】
より具体的には、本実施形態の接着部30は、複合シート17の伸縮方向Yに対して直交して延びる長方形40と、円41とが一体化された形状であり、長方形40の対角線の交点と円41の中心とが一致し(重なり)、円41の直径が長方形40の短辺よりも長く、かつ長辺よりも短いものである。本実施形態の接着部30は、長方形40由来の角部を4つ有し、かつ円41由来の部分円弧線を2つ有し、該部分円弧線は一方が伸縮方向Yの一方向及び他方が伸縮方向の他方向にそれぞれ突出している。本実施形態の接着部30は、長方形40部分が伸縮方向Yに対して略直交する方向に延びているが、これに限定されず、該直交方向に対して長方形40部分の延びる方向が例えば30°、45°、60°、90°等任意の角度で傾いていてもよい。以下、長方形40部分の伸縮方向に対する傾きを、単に「傾きZ」(表1)ともいう。このような接着部30が、複合シート17の伸縮方向Yに沿って、パターンX及び/又はパターンYで配列されている。パターンX又はYで列毎に所定の位相差を設けてもよい。また、接着部30を、碁盤目配置、格子配置等で配置してもよい。
【0035】
このような平面形状を有する複数の接着部30で一体化された複合シート17は、適度な機械的強度と伸縮性と締め付け性とを併せ持つことから、弾性伸縮部材の配設によるギャザーの形成を必要とせず、また、従来の複合シートの欠点であった通気性の低さを改善したものであることから、パンツ型吸収性物品1の外装体として非常に好適である。
【0036】
図4において、接着部30の各寸法の好ましい一例を示せば、符号「A」で示す接着部30の長方形40部分の寸法(伸縮方向の長さ)は、伸縮方向Yに250%伸長させたときに例えば0.2mm以上0.4mm以下の範囲であり、符号「B」で示される、接着部30の伸縮方向Yに対してほぼ直交する方向の寸法は、例えば、0.8mm以上2.0mm以下の範囲であり、符号「C」で示される、接着部30の円部分41の直径は、例えば、0.3mm以上0.8mm以下の範囲であり、符号「D」で示される、伸縮方向Yに隣り合う接着部30の最短長さは、複合シート17を伸縮方向Yに250%伸長させたときに、例えば、1.0mm以上3.0mm以下の範囲であり、符号「D」で示される、伸縮方向Yに略直交する方向に隣り合う接着部30の最短長さは、例えば、1.0mm以上3.0mm以下の範囲であり、符号「E」で示される、配列Yにおける伸縮方向Yに隣り合う接着部30の最短長さは、複合シート17を伸縮方向Yに250%伸長させたときに、例えば、2.0mm以上5.0mm以下の範囲である。接着部30を上述の範囲とすることにより、複合シート17の通気性がさらに向上し、かつ、伸縮性フィルム15の耐久性の低下が緩和される。
【0037】
複合シート17は、接着部30の接着面積率が例えば4%以上18%以下の範囲である。ここで、接着面積率とは、複合シート17の単位面積当たりの、当該単位面積中に存在する接着部30の総面積の割合を百分率で示したものである。接着面積率が4%未満であると、複合シート17の通気性が低下する傾向がある。一方、接着面積率が18%を超えると、複合シート17の強度が低下する傾向がある。
【0038】
(複合シートの伸縮特性等)
前述したように、本実施形態の複合シート17は、2枚のコットン含有複合型不織布14と1枚の伸縮性フィルム15との積層体の接着部30による一体化物であり、断面視が一方向に延びる層状であり、かつ平坦な表面を有する立体形状を有する複合シート17でもよく、また、断面視が一方向に延びる波線状であり、かつ表面に規則的な凹凸が存在する立体形状を有する複合シート17でもよい。風合い,肌触り、クッション性等の観点から、後者の断面視が一方向に延びる波線状である複合シート17が好ましい。
【0039】
複合シート17は、その伸縮方向に250%伸長した後に測定した通気抵抗値は、例えば、0.01kPa・s/m以上0.5kPa・s/m以下の範囲又は0.05kPa・s/m以上0.35kPa・s/m以下の範囲である。複合シート17が上記範囲の通気抵抗値を有することで、股下部13に複合シート17を用い、かつ股下部13の肌側面に吸収性本体20を固着しても、腹側部11及び背側部12を構成する複合シート17により良好な通気性が保たれる。通気抵抗値が0.01kPa・s/m未満では、パンツ型吸収性物品1の保温性が低下し、着用感が低下する傾向がある。通気抵抗値が0.5kPa・s/mを超えると、パンツ型吸収性物品1の通気性が低下し、着用時に蒸れが生じる傾向がある。
【0040】
複合シート17は、伸縮方向の伸び率が例えば150%以上270%以下の範囲又は180%以上250%以下の範囲である。ここで、伸縮方向の伸び率とは、初期チャック間隔(標線間距離)を150mmとし、引張速度を300mm/minとする引張試験により、弾性領域内で伸長するときに測定される引張応力(N/50mm)を負荷したときの,伸長されて増加した分の長さの,非伸縮状態の自然長に対する割合である。伸び率は、例えば、島津製作所製のオートグラフを用いて測定することができる。複合シート17の伸縮方向の伸び率が上記範囲であることにより、着用者の着脱が容易であり、適度な締め付けを有して履き心地が良く、さらにずり落ちが起こりにくく安心感のあるパンツ型吸収性物品1が得られる。
【0041】
複合シート17は、例えば、伸縮方向に120%伸長したときに、0.8N/50mm以上2.0N/50mm以下の伸長荷重を有し、かつ、伸縮方向に150%伸長したときに、2.0N/50mm以上3.5N/50mm以下の伸長荷重を有する。なお、着用者の体型によって、伸長率が変化するため、120%及び150%の伸張荷重を規定した。このようにすることで、体型によってフィット感の差異が生じない。また、複合シート17は、例えば、200%以上270%以下の伸縮方向の伸び率を有する。このため、従来と比較して200%以上の伸張が可能となったため、着用者にとって、はき易く、かつ脱ぎ易いパンツ型吸収性物品1が提供できる。
【0042】
また、複合シート17は、例えば、伸縮方向に210%以上280%以下の範囲の破断伸度を有する。破断伸度とは、非伸縮状態の自然長にある複合シート17の長さをL1とし、複合シート17を伸縮方向に伸長させて破断させたときの長さをL2とすると、破断伸度=(L2/L1)×100(%)となる。この範囲に破断伸度を有することにより、着脱の際にパンツを大きく広げても突っ張ったり破れたりしにくくなるという効果が生じる。破断伸度は、例えば、島津製作所製のオートグラフを用いて測定することができる。
【0043】
<複合シートの製造方法>
複合シート17は、例えば、図5に示す製造方法により作製できる。図5は複合シート17の製造方法を模式的に示す図面である。図5(a)は、複合シート17の製造方法の全工程を示す模式側面図である。図5(b)は、第3工程(接着工程)を拡大して示す模式断面図である。図5に示す製造方法は、超音波接着、熱融着等を利用する方法であり、第1~第3工程をこの順で含んでいる。
【0044】
第1工程では、送給ローラ51に巻き付けられた伸縮性フィルム15に所定の張力を負荷しながら搬送する。伸縮性フィルム15は、所定の張力により搬送方向に伸長しながら搬送される。所定の張力とは、伸縮性フィルム15を、例えば、200%以上の範囲又は250±30%の範囲に伸張させる張力である。
【0045】
第1工程に続く第2工程では、2つの送給ローラ52に巻き付けられた各不織布14を、伸張状態で搬送される伸縮性フィルム15の上下に積層し、一体化前の積層体を得る。
第2工程に続く第3工程では、一体化前の積層体を第1、第2の接合ローラ53、54の圧接部分(以下「ニップ部」ともいう)に通過させて所定の接着部30が形成されるように一体化し、複合シート17を得る。第1の接合ローラ53は、その周面に、幅方向に延びて所定寸法及び所定の内部空間形状を有する凹部55が周方向に所定間隔で複数設けられている。第2の接合ローラ54は、その周面に、幅方向に延びて所定寸法及び所定の立体形状(前記積層体の介在下に先端部分を凹部55内に挿入可能な立体形状)を有する凸部56が周方向に所定の間隔で複数設けられている。第1、第2の接合ローラ53、54は、凹部55内に凸部56の先端部分が挿入可能になるように噛み合わされ、所定の圧力で圧接されている。第1、第2の接合ローラ53、54のニップ部には、ローラ周面の幅方向に実質的に連続するシール線が、伸縮方向に例えば0.5mm以上2.0mm以下の間隔で形成されている。第1、第2の接合ローラ53、54は、いずれか一方又は両方が、超音波発生装置又は加熱装置を備え、凹部55の内壁面又は凸部56の少なくとも先端部分に超音波を印可可能に又は加熱可能に構成されている。
【0046】
第3工程において、第2工程で得られた積層体を、加圧下に第1、第2の接合ローラ53、54のニップ部に通過させ、凹部55の内壁面と凸部56の先端部分との接点であるシール線を超音波印可又は加熱することにより、所定の平面形状を有する複数の接着部30が形成され、不織布14と伸縮性フィルム15とが複数の接着部30により一体化され、表面のシワが少なく、滑らかな肌触りを有する複合シート17が得られる。すなわち、図4に示す平面形状を有する複数の接着部30が、図4に示す所定の間隔で形成され。不織布14と伸縮性フィルム15とが一体化された複合シート17が得られる。
【0047】
<レッグギャザー>
レッグギャザー16は、図2、3に示すように、弾性伸縮部材16aと、レッグギャザー用シート16bと、を含む。弾性伸縮部材16aとしては特に限定されず、例えば、糸ゴム等を使用できる。レッグギャザー用シート16bとしては、例えば、各種不織布等を使用できる。レッグギャザー16を設けることにより、伸縮方向(幅方向)のみならず、伸縮方向と交差する方向(長手方向)にも伸縮可能となり、股下周りの部位におけるフィット感が向上する。レッグギャザー16は、パンツ型吸収性物品1を着用して着衣したときに、着衣表面にはその形状が現れにくい。なお、本実施形態のパンツ型吸収性物品1は、レッグギャザー16を含まない実施形態をも包含する。
【0048】
<パンツ型吸収性物品の製造方法>
パンツ型吸収性物品1は、腹側部11及び背側部12、又は腹側部11、背側部12及び股下部13の外装体10として複合シート17を用いる以外は、従来のパンツ型吸収性物品と同様にして作製できる。例えば、複合シート17により腹側部11及び背側部12を作製し、股下部13を従来の不織布の積層体又は複合シート17により構成し、これらを所定の順序で長手方向に接合して外装体10を得る工程と、外装体10の肌側面の所定位置(主に股下部13)に吸収性本体20を固着する工程と、外装体10の肌側面における吸収性本体20の幅方向両端近傍にレッグギャザー16を接合する工程と、を含む製造方法により、パンツ型吸収性物品1が得られる。なお、腹側部11、背側部12及び股下部13を複合シート17で構成する場合には、複合シート17を所定の形状(例えば図2に示す展開平面図の形状)に型抜きして外装体10として用いてもよい。こうして得られるパンツ型吸収性物品1は、所定の順序で折り畳んで袋詰めすることにより、製品化される。
【0049】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例
【0050】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1~3、比較例1~4>
【0051】
(外装体の作成)
腹側部、背側部及び股下部の外装体としては、図4に示す平面形状及び配列(配列Xと配列Yとが列に垂直な方向に交互に配列される)を有し、かつ表1に示す各寸法(図4に示すA、B、C、D、D、Eの各寸法)を有し、超音波接着で形成された実施例1~3の各接着部により、2枚のコットン含有複合型不織布(実施例1,2,3の順に坪量40、50、60g/m)の間に、ポリウレタン製フィルム(厚み20μm、伸縮方向の伸縮率250%)が配置され、一体化された複合シートを用いた。なお、比較例1~3では、コットン含有複合型不織布に代えてポリプロピレン製スパンボンド不織布(比較例1,2,3の順に坪量18、25、40g/m)を用いる以外は、実施例1~3と同様にして複合シートを作製した。比較例4では、コットン含有複合型不織布に代えてパルプ含有複合型不織布(商品名:ハイドロニット不織布、米国キンバリークラーク社製)を用いる以外は、実施例1~3と同様にして複合シートを作製した。
【0052】
また、トップシートとして坪量30g/mのエアスルー不織布、バックシートとして坪量28g/mの通気性ポリエチレンフィルムを使用し、トップシートとバックシートの間に、フラッフパルプ12g、ポリアクリル酸系樹脂からなる高吸水性ポリマー11gの混合物からなる吸収体を配置して吸収性本体を作製し、外装体の主に股下部の肌側面にホットメルト系接着剤で接合した。また、吸収性本体の幅方向両端部の外装体の肌側面に、スパンボンド不織布に長手方向に延びる940デシテックスのウレタン系糸ゴムを200%に伸長した状態でそれぞれ2本ずつ配設した足回りギャザーを接合し、パンツ型吸収性物品を作製した。
【0053】
実施例1~3、及び比較例1~3の各パンツ型吸収性物品について、以下の評価試験、及び官能評価を実施した。結果を表1に示す。
【0054】
<伸縮方向の伸び率評価>
伸縮方向の伸び率を、島津製作所製のオートグラフを用い、初期チャック間隔(標線間距離)を150mmとし、引張速度を300mm/minとする引張試験において、弾性領域内で伸長するときに測定される引張応力(N/50mm)を負荷したときに,伸長されて増加した分の長さの、非伸縮状態の自然長に対する割合として求めた。
【0055】
<通気性評価>
実施例1~3、及び比較例1~3の各パンツ型吸収性物品から腹側部を切り取った測定用試験片を、1度伸長方向に250%伸長した後に伸長を解放し、通気性試験機(商品名:KES-F8、カトーテック(株)製)を使用して、通気抵抗値R(kPa・s/m)を測定した。
【0056】
<官能評価>
吸収性物品の伸縮性、フィット性、お腹周りの蒸れ,及び外装体部分の肌触りについて、官能試験を実施した。実施例1~3、及び比較例1~3の各パンツ型吸収性物品を20名のモニターに着用してもらい、伸縮性(はき易いか否か)、フィット性、お腹周りの蒸れ具合,外装体部分の肌触り(布に近い柔らかさや風合いを有するか否か)について、官能評価を行った。官能評価については、いずれの評価も、「よい」と「悪い」の二択で調査を行い、以下の基準により評価した。
◎:「よい」が17人以上20人以下のとき
〇:「よい」が12人以上16人以下のとき
△:「よい」が5人以上11人以下のとき
×:「よい」がいないか、1人以上4人以下のとき
【0057】
【表1】
【0058】
表1より,コットン含有複合型不織布を外装体用の不織布として使用した実施例1~3は,肌触りが比較例1~3よりも優れていた。特に,実施例1は,蒸れ具合でも比較例1~3よりも優れていた。
【符号の説明】
【0059】
1 パンツ型吸収性物品
10 外装体
11 腹側部
12 背側部
13 股下部
14 コットン含有複合型不織布
15 伸縮性フィルム
16 レッグギャザー
17 複合シート
20 吸収性本体
21 トップシート
22 バックシート
23 吸収体
24 立体ギャザー
30 接着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6