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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】収納構造、及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20231109BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B60R7/04 S
B60N3/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020029701
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021133733
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 大助
(72)【発明者】
【氏名】勝部 健一
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-072841(JP,U)
【文献】特開2016-168999(JP,A)
【文献】特開2009-096219(JP,A)
【文献】特開2011-063102(JP,A)
【文献】特開2019-094027(JP,A)
【文献】特開2005-348875(JP,A)
【文献】特開2018-197064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのクッションの幅方向の少なくとも一側部に設けられたサイドフィニッシャと、
前記サイドフィニッシャを前記幅方向の外方から覆うことで、被収納物を収納可能とするカバー部であって、収納状態における前記被収納物の前記クッションの前後方向における両端部を覆うように保持可能な係合部を有し、前記係合部により前記被収納物が保持された状態で前記サイドフィニッシャに対して鉛直方向上方へ移動可能とされた前記カバー部と、
を備える、収納構造。
【請求項2】
前記サイドフィニッシャに設けられ、前記幅方向外側及び前記鉛直方向上方に向かって開放された凹部をさらに有し、
前記カバー部は、前記凹部を前記幅方向の外方から覆うことで、前記被収納物を収納可能とする、請求項1に記載の収納構造。
【請求項3】
前記カバー部は、前記鉛直方向の上方へ移動された状態で、前記幅方向の外方へ向かって回動可能とされている、請求項2に記載の収納構造。
【請求項4】
前記カバー部の下端部には、前記回動の中心軸を挟んで前記カバー部の外方へ向かって突出する突出部が設けられ、
前記突出部は、前記カバー部が前記幅方向の外方へ回動された状態で、前記サイドフィニッシャに対して係合する、請求項3に記載の収納構造。
【請求項5】
前記突出部は、前記凹部において前記カバー部と対向する壁部に設けられた第1長孔と係合する、請求項4に記載の収納構造。
【請求項6】
前記第1長孔は、上端部に前記突出部を保持可能な第1保持部を有し、
前記突出部は、前記カバー部が回動された状態で、前記第1保持部に保持される、請求項5に記載の収納構造。
【請求項7】
前記第1長孔は、前記サイドフィニッシャを貫通して形成され、
前記サイドフィニッシャにおける前記第1長孔に対応する位置には、前記第1長孔と同程度以下の大きさの第1貫通孔を有する弾性部材が取り付けられている、請求項5又は6に記載の収納構造。
【請求項8】
前記カバー部が前記凹部を覆っている状態において、前記突出部は、前記凹部の鉛直方向下方の壁部に設けられた孔部に嵌合可能とされている、請求項4~7のいずれか一項に記載の収納構造。
【請求項9】
前記カバー部は、前記クッションの前後方向の一端部と他端部とにそれぞれピンを有し、
前記凹部の前記クッションの前後方向の一側壁と他側壁とには、それぞれ前記鉛直方向を長手方向として第2長孔が形成され、
前記ピンが前記第2長孔に挿通されることで、前記カバー部が前記鉛直方向に移動可能とされている、請求項2~8のいずれか1項に記載の収納構造。
【請求項10】
前記カバー部は、前記鉛直方向の上方へ移動された状態で、前記幅方向の外方へ向かって回動可能とされ、
前記第2長孔の前記鉛直方向の上端部には、前記ピンを保持可能な第2保持部が設けられ、
前記第2保持部に保持された前記ピンを回動軸として、前記カバー部が回動可能とされている、請求項9に記載の収納構造。
【請求項11】
前記第2長孔は、前記サイドフィニッシャを貫通して形成され、
前記サイドフィニッシャにおける前記第2長孔に対応する位置には、前記第2長孔と同程度以下の大きさの第2貫通孔を有する弾性部材が取り付けられている、請求項9又は10に記載の収納構造。
【請求項12】
前記カバー部は、付勢部をさらに有し、
前記付勢部は、前記被収納物が収納された状態において、前記被収納物を前記サイドフィニッシャ側へ付勢する、請求項1~11のいずれか1項に記載の収納構造。
【請求項13】
前記付勢部は、弾性を有する材料から形成される突起形状を有する、請求項12に記載の収納構造。
【請求項14】
前記被収納物は、表示画面を有する電子機器であり、
前記係合部は、前記表示画面を露出させた状態で、前記電子機器と係合する、請求項1~13のいずれか1項に記載の収納構造。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の収納構造を備える、車両用シート。
【請求項16】
前記クッションを前記鉛直方向に移動可能なリフタ又は前記クッションを車両前後方向に移動可能なスライド機構をさらに備える、請求項15に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納構造、及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用シートにおいて、乗員の利便性を向上させるため、車両用シートの周辺に収納構造が設けられることがある。例えば、下記特許文献1には、車両用シートにおいて、シートの下部側方に設けられたシートサイドガーニッシュに上方に開口した収納ボックスを一体成型により設けた技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平01-170046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の収納構造では、収納ボックスは、スライドレールに固定されている。このため、リフタ又はスライドレールによって、シートが上下方向又は前後方向に移動した際、収納ボックスとシート本体との相対位置が変化する。この結果、乗員が収納ボックスから内部に収納された被収納物(タブレット端末等)を取り出すことが困難になる場合がある。
【0005】
さらに、上記特許文献1に記載の収納ボックスは、被収納物がタブレット端末のような平板な形状を有する場合には、収納ボックスの深さが十分ではなく、内部で倒れたり、移動したりする(特に、車両の加減速時)等、収納状態が安定しないことも想定される。
【0006】
このように、車両用シートの側方に設けられた収納構造において、収納構造からの被収納物の取り出しやすさを含めた利便性には改善の余地があるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、車両用シートにおける収納構造において、収納構造からの被収納物の取り出しやすさを含めた利便性を向上させることが可能な新規かつ優れた収納構造、及び車両用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の収納構造は、車両用シートのクッションの幅方向の少なくとも一側部に設けられたサイドフィニッシャと、前記サイドフィニッシャを前記幅方向の外方から覆うことで、被収納物を収納可能とするカバー部であって、前記被収納物と係合可能な係合部を有し、前記係合部により前記被収納物と係合した状態で前記サイドフィニッシャに対して鉛直方向上方へ移動可能とされた前記カバー部と、を備える。
【0009】
請求項1記載の収納構造によれば、サイドフィニッシャに設けられたカバー部によって収納構造が形成されるので、クッションが上下、又は前後移動しても、収納位置が乗員と相対的に変化せず、さらに、カバー部と被収納物が係合して凹部から上方へ移動するので、乗員と被収納物との距離が近くなり、被収納物の取り出し易さが向上する。
【0010】
請求項2に記載の収納構造では、前記サイドフィニッシャに設けられ、前記幅方向の外側及び前記鉛直方向上方に向かって開放された凹部をさらに有し、前記カバー部は、前記凹部を前記幅方向の外方から覆うことで、前記被収納物を収納可能とする。
【0011】
請求項2記載の収納構造によれば、凹部内にカバー部が設けられるので収納構造が省スペース化される。
【0012】
請求項3記載の収納構造では、前記カバー部は、前記鉛直方向の上方へ移動された状態で、前記幅方向の外方へ向かって回動可能とされている。
【0013】
請求項3記載の収納構造によれば、カバー部がシート幅方向の外方へ回動可能とされていることで、取り出し易さが向上するとともに、回動後は被収納物をそのまま使用可能となり、利便性が向上する。
【0014】
請求項4記載の収納構造では、前記カバー部の下端部には、前記回動の中心軸を挟んで前記カバー部の外方へ向かって突出する突出部が設けられ、前記突出部は、前記カバー部が前記幅方向の外方へ回動された状態で、前記サイドフィニッシャに対して係合する。
【0015】
請求項4記載の収納構造によれば、突出部がサイドフィニッシャに対して係合するので、カバー部を回動させた状態で利用する際、サイドフィニッシャとの位置関係が安定する。この結果、カバー部内の被収納物を利用する際の利便性が向上する。
【0016】
請求項5記載の収納構造では、前記突出部は、前記凹部において前記カバー部と対向する壁部に設けられた第1長孔と係合する。
【0017】
請求項5記載の収納構造によれば、突出部がサイドフィニッシャに設けられた長孔と係合するので、別途、突出部とサイドフィニッシャの係合のための構造を設ける必要がなくなり、収納構造が小型化できる。
【0018】
請求項6記載の収納構造では、前記第1長孔は、上端部に前記突出部を保持可能な第1保持部を有し、前記突出部は、前記カバー部が回動された状態で、前記第1保持部に保持される。
【0019】
請求項6記載の収納構造によれば、突出部が第1保持部に保持されるので、カバー部が回動された状態が安定する。
【0020】
請求項7記載の収納構造では、前記第1長孔は、前記サイドフィニッシャを貫通して形成され、前記サイドフィニッシャにおける前記第1長孔に対応する位置には、前記第1長孔と同程度以下の大きさの第1貫通孔を有する弾性部材が取り付けられている。
【0021】
請求項7記載の収納構造によれば、弾性部材によって、カバー部と第2の長孔との間のがたつきが吸収される。カバー部の上下移動、又は回動が安定し、取り出しが容易になる。
【0022】
請求項8記載の収納構造では、前記カバー部が前記凹部を覆っている状態において、前記突出部は、前記凹部の鉛直方向下方の壁部に設けられた孔部に嵌合可能とされている。
【0023】
請求項8記載の収納構造によれば、突出部が、凹部の下方の底壁部に嵌合するので、がたつきがなくなり、カバー部が凹部を覆っている状態が安定する。この結果、収納構造に被収納物を収納する際の利便性が向上する。
【0024】
請求項9記載の収納構造では、前記カバー部は、前記クッションの前後方向の一端部と他端部とにそれぞれピンを有し、前記凹部の前記クッションの前後方向の一側壁と他側壁とには、それぞれ前記鉛直方向を長手方向として第2長孔が形成され、前記ピンが前記第2長孔に挿通されることで、前記カバー部が前記鉛直方向に移動可能とされている。
【0025】
請求項9記載の収納構造によれば、カバー部のピンが長孔にガイドされるので、カバー部の上下移動が安定する。この結果、被収納物が取り出しやすくなり、利便性が向上する。
【0026】
請求項10記載の収納構造では、前記カバー部は、前記鉛直方向の上方へ移動された状態で、前記幅方向外方へ向かって回動可能とされ、前記第2長孔の前記鉛直方向の上端部には、前記ピンを保持可能な第2保持部が設けられ、前記第2保持部に保持された前記ピンを回動軸として、前記カバー部が回動可能とされている。
【0027】
請求項10記載の収納構造によれば、ピンが保持された状態で回動するので、回動操作が安定する。また、回動後にカバー部に収納された被収納物を使用する際も安定性が向上する。
【0028】
請求項11記載の収納構造では、前記第2長孔は、前記サイドフィニッシャを貫通して形成され、前記サイドフィニッシャにおける前記第2長孔に対応する位置には、前記第2長孔と同程度以下の大きさの第2貫通孔を有する弾性部材が取り付けられている。
【0029】
請求項11記載の収納構造によれば、弾性部材によって、カバー部と第2の長孔との間のがたつきが吸収される。カバー部の上下移動、又は回動が安定し、取り出しが容易になる。
【0030】
請求項12記載の収納構造では、前記カバー部は、付勢部をさらに有し、前記付勢部は、前記被収納物が収納された状態において、前記被収納物を前記サイドフィニッシャ側へ付勢する。
【0031】
請求項12記載の収納構造によれば、収納構造内での走行中の振動等による被収納物のがたつきが抑制される。この結果、被収納物への影響が抑制され、収納構造の利便性が向上する。
【0032】
請求項13記載の収納構造では、前記付勢部は、弾性を有する材料から形成される突起形状を有する。
【0033】
請求項13記載の収納構造によれば、収納構造内で被収納物のがたつきが抑制されるとともに、可撓性のある突起なので、被収納物を収納する際、抵抗が少ない。
【0034】
請求項14記載の収納構造では、前記被収納物は、表示画面を有する電子機器であり、前記係合部は、前記表示画面を露出させた状態で、前記電子機器と係合する
【0035】
請求項14記載の収納構造によれば、回動させた後、被収納物の表示画面が露出されるので、被収納物としての電子機器を使用することが可能となる。
【0036】
請求項15記載の車両用シートでは、請求項1~14のいずれか1項に記載の収納構造を備える。
【0037】
請求項16記載の車両用シートでは、前記クッションを前記鉛直方向に移動可能なリフタ又は前記クッションを車両前後方向に移動可能なスライド機構をさらに備える。
【0038】
請求項15又は16に記載の車両用シートによれば、サイドフィニッシャに設けられたカバー部によって収納構造が形成されるので、クッションが上下、又は前後移動しても、収納位置が乗員と相対的に変化せず、さらに、カバー部と被収納物が係合して凹部から上方へ移動するので、乗員と被収納物との距離が近くなり、被収納物の取り出し易さが向上する。
【発明の効果】
【0039】
以上、説明したように本発明によれば、車両用シートにおける収納構造において、収納構造からの被収納物の取り出し易さを含めた利便性を向上させることが可能な収納構造、及び車両用シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一の実施形態に係る車両用シートの構成例を示す外観斜視図である。
図2】本発明の一の実施形態に係る収納構造の構成例を示す外観斜視図である。
図3】本発明の一の実施形態に係る収納構造の構成例を示す上面図である。
図4】本発明の一の実施形態に係る収納構造の構成例を示す分解図である。
図5】本発明の一の実施形態に係るカバー部の構成例を示す外観斜視図である。
図6】本発明の一の実施形態に係るカバー部の使用例を示す外観斜視図である。
図7】本発明の一の実施形態に係る収納構造の構成例を示す背面図である。
図8】本発明の一の実施形態に係る収納構造の構成例を示す斜視図である。
図9】本発明の一の実施形態に係る収納構造の構成例を示す断面図である。
図10】本発明の一の実施形態に係る収納構造の使用例を示す外観斜視図である。
図11】本発明の一の実施形態に係る収納構造の使用例を示す断面図である。
図12】本発明の一の実施形態に係るカバー部の使用例を示す断面図である。
図13】本発明の一の実施形態に係るカバー部の使用例を示す断面図である。
図14】本発明の一の実施形態に係るカバー部の使用例を示す断面図である。
図15】本発明の一の実施形態に係るカバー部の使用例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の一の実施形態に係る車両用シート10及び収納構造30について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0042】
また、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両用シート10に着座した乗員から見た前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印F Rは前方向、矢印UPは上方向、矢印RHは右方向、矢印LHは左方向をそれぞれ示すものとする。また、左右の方向は、シート幅方向と一致している。
【0043】
<1.車両用シートの構成>
図1を参照しながら、本発明の一の実施形態に係る車両用シート10の概略構成について説明する。本実施形態に係る車両用シート10は、車両(例えば、自動車等)の車室内に設置される。図1に示すように、車両用シート10は、ヘッドレスト11、シートバック12、及びシートクッション13を備えている。
【0044】
また、車両用シート10は、シートクッション13の側部にサイドフィニッシャ20を備えている。具体的には、図1に示すように、サイドフィニッシャ20は、シートクッション13の幅方向の右側部に設けられている。また、図示しないが、サイドフィニッシャ20は、シートクッション13のシート幅方向の左側方にも設けられている。サイドフィニッシャ20は、金属製のシートサイドフレーム(後述するシートサイドフレーム13Aに相当)を外方から覆うことで、シートクッション13の外観意匠を構成している。サイドフィニッシャ20は、例えば、樹脂材料から成り、射出成型によって所定の形状に形成される。
【0045】
また、図1に示すように、車両用シート10は、シートクッション13の下部にシートスライド機構14を備えている。かかるシートスライド機構14によって、車両用シート10は、車両前後方向に移動可能とされている。さらに、車両用シート10は、シートスライド機構14とシートクッション13との間に図示しないシートリフタ機構を備えている。かかるシートリフタ機構によって、車両用シート10は、鉛直方向に沿って移動可能とされている。以上、本実施形態に係る車両用シート10の概略構成について説明した。
【0046】
<2.収納構造の構成>
続いて、図2図9を用いて本実施形態に係る収納構造30について説明する。図2に示すように、本実施形態に係る収納構造30は、サイドフィニッシャ20の前後方向の中間部に設けられている。具体的には、サイドフィニッシャ20は、クッションサイドフレームの前端側を覆う前端部21と、クッションサイドフレームの後端側であってシートバック12と連結される部位を覆う後端部23とを有している。収納構造30は、サイドフィニッシャ20の前端部21と後端部23との間に設けられている。
【0047】
図2に示すように、収納構造30は、サイドフィニッシャ20を幅方向の外方から覆うカバー部31を有している。カバー部31は、サイドフィニッシャ20を幅方向の外方から覆うことにより、被収納物(後述する被収納物Tに相当)を収納可能としている。
【0048】
具体的には、サイドフィニッシャ20は、前端部21と後端部23との間に凹部25を有している。図3に示すように、凹部25は、サイドフィニッシャ20において、シートクッション13に向かって凹形状となった部位である。凹部25は、幅方向外側及び鉛直方向上方に向かって開放された形状を有している。図3に示すように、カバー部31は、かかる凹部25を幅方向の外方から覆っている。換言すれば、カバー部31は、サイドフィニッシャ20に対して、凹部25に対応する位置に取り付けられている。この結果、収納構造30は、サイドフィニッシャ20に被収納物を収納可能としている。
【0049】
図4に示すように、カバー部31は、サイドフィニッシャ20とは、別体の部品として形成されている。図5に示すように、カバー部31は、Y方向に沿って長手方向を有し、X方向に沿って短手方向を有する直方体状の略筐体形状を有している。カバー部31の筐体形状の内、上方側及びサイドフィニッシャ20と対向する側は、開放されている。また、カバー部31の長手方向の両端部は、被収納物の端部を覆うように形成されている。換言すれば、カバー部31は、筐体形状によって被収納物の一部と係合することで、ホルダとしての機能を奏することができる。
【0050】
具体的には、図5に示すように、カバー部31は、本体部32と、本体部32の両端部に設けられた一対の第1係合部33と、本体部32の下端部に設けられた第2係合部34とを有している。本体部32は、図5に示すように、Y方向に沿って長手方向を有する平板な部位である。本体部32は、例えば、被収納物が平板な形状を有する場合に、かかる被収納物の長手方向に沿って設けられる。図6に示すように、被収納物Tがタブレット端末等の電子機器であり、液晶画面等の表示画面Sを有する場合には、本体部32は、かかる電子機器の表示画面Sが設けられた面とは反対側の面と対向するように設けられる。
【0051】
係合部としての第1係合部33は、本体部32の長手方向(図5に示すY方向)の両端部に設けられ、被収納物Tの両端部を外方から覆う部位である。具体的には、第1係合部33は、平面視(図5におけるZ方向視)でL字形状を有している。すなわち、第1係合部は、本体部32の両端部から図5におけるX方向に沿って立設された側面部33Aと、さらにY方向に沿って屈曲され、本体部32と対向する対向部33Bとを有している。また、第1係合部33は、その底面部33Cにおいて下方には閉塞されている。このように第1係合部33は、上方及び一対の第1係合部33が互いに対向する側が開放された筐体状の部位である。
【0052】
これにより、図6に示すように、第1係合部33は、被収納物Tと係合し、被収納物Tを下方から支持している。すなわち、収納状態において、第1係合部33の底面部33Cが被収納物Tと当接している。
【0053】
係合部としての第2係合部34は、本体部32の下端部からX方向に沿って立設されるとともに、一対の第1係合部33の底面部33C同士を連結する壁状の部位である。図6に示すように、第2係合部34は、被収納物Tの側面(収納時に下側となる側面)と係合し、被収納物Tを下方から支持する。
【0054】
図6に示すように、被収納物Tがタブレット端末等の表示画面Sを有する電子機器である場合には、カバー部31は、表示画面Sを露出させた状態で、電子機器と係合するように構成されている。このように、カバー部31は、電子機器のホルダとしての機能を奏することができる。
【0055】
また、図4に示すように、カバー部31は、サイドフィニッシャ20の凹部25に対応する位置に取り付けられる。凹部25は、一対の側壁部25Aと、内壁部25Bと、底壁部25Cとを有している。これらの壁状の部位によって囲われることで、凹部25は、上述したように、幅方向外側及び鉛直方向上方に向かって開放された形状を有している。カバー部31は、かかる壁状の部位と対向して、凹部25内に収容された状態とされる。
【0056】
また、カバー部31は、サイドフィニッシャ20に対して鉛直方向上方へ移動可能とされている。すなわち、カバー部31は、凹部25内に収容された状態から、凹部25から上方へ向かって移動することが可能とされている。これにより、収納された被収納物Tの取り出しが容易になる。
【0057】
具体的には、図6及び図7に示すように、カバー部31は、いわゆるガイドピン構造によって、鉛直方向に移動可能とされている。ガイドピン構造の一例として、カバー部31は、一対の第1係合部33にそれぞれピン33Dを有している。ピン33Dは、カバー部31の長手方向に沿ってカバー部31の外方へ突出している。
【0058】
また、凹部25の一対の側壁部25Aには、長孔25A1が形成されている。長孔25A1は、鉛直方向を長手方向として形成されている。ピン33Dは、かかる長孔25A1(第2長孔に相当)に挿通される。これにより、カバー部31は、ピン33Dを介してサイドフィニッシャ20と係合しながら、サイドフィニッシャ20に対して鉛直方向に沿って移動可能とされている。
【0059】
ここで、長孔25A1は、サイドフィニッシャ20を板厚方向に貫通して形成されてもよい。すなわち、長孔25A1は、貫通孔であってもよい。
【0060】
さらに、長孔25A1が、貫通孔である場合には、凹部25のカバー部31が取り付けられている側とは反対側(サイドフィニッシャ20の内部側)に、弾性部材40が取り付けられてもよい。具体的には、図4及び図7に示すように、サイドフィニッシャ20における長孔25A1に対応する位置には、一対の弾性部材40が取り付けられている。弾性部材40は、長孔25A1に沿って形成された貫通孔41(第2貫通孔に相当)を有している。すなわち、貫通孔41は、鉛直方向に長手方向を有し、弾性部材40において長孔25A1に対応する位置に設けられる。
【0061】
貫通孔41は、貫通孔である長孔25A1と同程度以下の大きさを有している。貫通孔41の大きさ(例えば、孔の幅、長さ)は、ピン33Dの上下動を阻害しない程度で、かつ、ピン33Dと長孔25A1とのがたつきを抑制できる程度に適宜設定される。ここで、ピン33Dと長孔25A1との寸法差(ピンの径と孔の幅の差)は、中間ばめとなるように設定される。例えば、寸法差は、-0.1~0.1mm程度とされている。弾性部材40は、ゴム等の弾性を有する材料から形成されている。
【0062】
さらに、貫通孔41の上端部には、ピン33Dを保持可能な保持部41A(第2保持部に相当)が形成されている。保持部41Aは、ピン33Dと同等の径を有する孔部であり、貫通孔41の一部の幅が狭窄されて形成されている。ピン33Dが貫通孔41を上方に移動すると、狭窄された部位を乗り越えて保持部41Aに保持される。これにより、カバー部31が上方へ移動した状態が保持される。また、詳細は後述するが、保持部41Aに保持されたピン33Dを回動軸として、カバー部31がシート幅方向の外方へ回動可能とされる。
【0063】
また、図7に示すように、貫通孔41は、下端部にも保持部41Bがあってもよい。保持部41Bにピン33Dが保持されることで、カバー部31が凹部25に収容された状態が安定する。また、カバー部31に対して、サイドフィニッシャ20からピン33Dを介して伝達される振動が抑制される。
【0064】
さらに、本実施形態に係る収納構造30においては、さらに利便性を向上させるために、サイドフィニッシャ20に対して上方に移動した後のカバー部31をそのままホルダとして機能させるように構成することができる。これにより、例えば、自動運転機能を有する車両において、自動運転時に乗員の車室内における快適性をより向上できる。
【0065】
そこで、カバー部31は、上方へ移動した状態の上端を起点として回転可能とされている。すなわち、カバー部31は、鉛直方向の上方へ移動された状態で、車両用シート10のシート幅方向の外方へ向かって回動可能とされている。特に、カバー部31は、車両用シート10において、車幅方向の車体中央側に向かって回動可能とされてもよい。
【0066】
カバー部31がホルダとしての機能を有することで、カバー部31と被収納物Tとが係合した状態で、シート幅方向に回動される。さらに、カバー部31と係合した被収納物Tを乗員が利用することができる。
【0067】
ここで、図4及び図6に示すように、カバー部31は、突出部35を備えている。突出部35は、カバー部31の外方に向かって突出した円柱状の部位である。突出部35は、第1係合部33の底面部33Cにそれぞれ設けられている。
【0068】
突出部35は、カバー部31が回動する際の回動の中心軸となるピン33Dを挟んで、カバー部31から突出するように構成されている。これにより、突出部35は、カバー部31が回動中または回動された状態において、凹部25においてカバー部31と対向する内壁部25Bに設けられた長孔25B1(第1長孔に相当)と係合する。具体的には、図8に示すように、長孔25B1は、鉛直方向を長手方向として形成されている。カバー部31の回動中に突出部35は、長孔25B1に挿通されながら、上方へ移動する。
【0069】
ここで、長孔25B1は、サイドフィニッシャ20を板厚方向に貫通して形成されてもよい。すなわち、長孔25B1は、貫通孔であってもよい。
【0070】
さらに、長孔25B1が、貫通孔である場合には、凹部25のカバー部31が取り付けられている側とは反対側(サイドフィニッシャ20の内部側)に、弾性部材40が取り付けられてもよい。具体的には、図4及び図7に示すように、サイドフィニッシャ20における長孔25B1に対応する位置には、一対の弾性部材40が取り付けられている。弾性部材40は、長孔25B1に沿って形成された貫通孔43(第1貫通孔に相当)を有している。すなわち、貫通孔43は、鉛直方向に長手方向を有し、弾性部材40において長孔25B1に対応する位置に設けられる。
【0071】
貫通孔43は、貫通孔である長孔25B1と同程度以下の大きさを有している。貫通孔43の大きさ(例えば、孔の幅、長さ)は、突出部35の回動を阻害しない程度で、かつ、突出部35と長孔25B1とのがたつきを抑制できる程度に適宜設定される。
【0072】
さらに、貫通孔43の上端部には、突出部35を保持可能な保持部43A(第2保持部に相当)が形成されている。保持部43Aは、突出部35と同等の径を有する孔部であり、貫通孔43の一部の幅が狭窄されて形成されている。突出部35が貫通孔43を上方に移動するように回動すると、狭窄された部位を乗り越えて保持部43Aに保持される。これにより、カバー部31が回動した状態が保持される。
【0073】
ここで、上述した貫通孔41と貫通孔43とが一体の部材である弾性部材40に設けられてもよい。図7に示すように、弾性部材40は、凹部25の側壁部25Aと、内壁部25Bとの間に亘って取り付けられる。弾性部材40は、凹部25の側壁部25Aに対向する第1部位42と、内壁部25Bに対向する第2部位44とを有している。第1部位42には、貫通孔41が設けられている。また、第2部位44には、貫通孔43が設けられている。このように、貫通孔41と貫通孔43とが一体の部材である弾性部材40に設けられてもよい。一方、その他の例として、貫通孔41と貫通孔43とは、別々の部材である弾性部材40に設けられてもよい。
【0074】
さらに、図9に示すように、凹部25の底壁部25Cには、孔部25C1が形成されている。突出部35は、カバー部31が凹部25を覆っている状態、すなわちカバー部31が上下方向に移動していない状態において、孔部25C1に嵌合可能とされている。具体的には、底壁部25Cには、一対の孔部25C1が設けられている。一対の孔部25C1は、カバー部31の突出部35の位置に対応するように、凹部25の長手方向において離間して設けられている。孔部25C1は、例えば、サイドフィニッシャ20を板厚方向に貫通することで、形成されてもよい。なお、図9は、図8におけるA-A断面図である。
【0075】
孔部25C1には、ストッパ50が取り付けられている。ストッパ50は、突出部35が嵌合される筒状部51と、筒状部51の基端に設けられた平板部52を有している。例えば、突出部35が円柱状の部位である場合、突出部35の外周面が筒状部51の内周面と当接し、突出部35とストッパ50とが嵌合される。また、平板部52は、第1係合部33の底面部33Cと当接する。突出部35は、カバー部31が凹部25を覆っている状態において、ストッパ50を介して孔部25C1に嵌合されている。ストッパ50は、ゴム等の弾性を有する材料から形成される。
【0076】
ストッパ50が取り付けられていることにより、突出部35がサイドフィニッシャ20に設けられた孔部25C1と係合する際に、ストッパ50が変形することで寸法誤差を許容することができる。また、ストッパ50がゴム等の弾性を有する場合に、車両用シート10のサイドフィニッシャ20からカバー部31に伝わる振動を吸収することができ、被収納物Tへの影響を抑制できる。
【0077】
また、図4図5及び図9に示すように、カバー部31は、付勢部37をさらに有してもよい。付勢部37は、被収納物Tが収納された状態において、被収納物Tをサイドフィニッシャ20側へ付勢する。カバー部31が回動された状態においては、付勢部37は、被収納物Tを上方へ付勢する。
【0078】
具体的には、付勢部37は、突起形状を有している。かかる突起形状の付勢部37は、その基端がカバー部31の本体部32に取り付けられ、その先端が被収納物Tに当接する。付勢部37によってサイドフィニッシャ20側へ付勢された被収納物Tは、カバー部31の第1係合部33と係合する。具体的には、第1係合部33の対向部33Bに当接して、係合する。また、付勢部37としての突起は、ゴム等の弾性を有する材料から形成されてもよい。
【0079】
図5に示すように、付勢部37は、複数の突起を有することで構成される。図5においては、4つの突起が設けられている例を示しているが、付勢部37としての突起の数、または配置は、被収納物Tに対して付与する付勢力に応じて適宜設定される。
【0080】
さらに、付勢部37は、さらにカバー部31に対して内部に格納されるにように変位可能な構成とされてもよい。これにより、被収納物Tから受ける反力によって付勢部37の基端側が、本体部32内に移動する。以上、本実施形態に係る収納構造30の概略構成について説明した。
【0081】
<3.収納構造の使用例>
続いて、図10図15を用いて本実施形態に係る収納構造30の使用例について説明する。図11図15は、図10におけるB-B線に対応する位置の断面図である。図10及び図11に示すように、被収納物Tが、シートサイドフレーム13Aを側方から覆うサイドフィニッシャ20に設けられた収納構造30に収納される。具体的には、図11に示すように、被収納物Tがカバー部31の本体部32と第1係合部33とを含んで構成される略筐体状の空間内に挿入されて、収納される。
【0082】
収納動作の際、付勢部37が被収納物Tと当接するが、付勢部37は、変形、又は本体部32側へ変位するので、収納動作における大きな抵抗にはならない。図11に示すように、被収納物Tは、収納構造30に収納された状態で、その両端部の下方側の側面が第1係合部33の底面部33Cによって下方から支持される。また、被収納物Tは、収納された状態で、その下方側の側面が第2係合部34によって下方から支持される。
【0083】
さらに、図11に示すように、被収納物Tは、付勢部37によりサイドフィニッシャ20側に向かって付勢される。すなわち、被収納物Tは、第1係合部33の対向部33Bに当接することで係合する。
【0084】
図12に示すように、被収納物Tを収納構造から取り出す際、例えば、被収納物Tをシート幅方向の外方へ向かって傾倒させた後、上方へ引き上げるようにして取り出すことができる。被収納物Tを傾倒させることで、付勢部37を変形又は変位させることで、被収納物Tを取り出しやすくできる。もちろん、収納された状態の被収納物Tをそのまま上方へ引き上げて取り出すようにしてもよい。
【0085】
続いて、カバー部31ごと被収納物Tを引き上げる例について説明する。図13に示すように、カバー部31が、内部の被収納物Tと係合した状態で、鉛直方向の上方へ引き上げられる。このとき、カバー部31のピン33Dは、長孔25A1及び弾性部材40の貫通孔41にガイドされながら、上方へ移動する。カバー部31が最も上方側まで引き上げられた状態で、ピン33Dは、保持部41Aに保持される。この結果、ピン33Dを中心軸として、シート幅方向へ回動可能とされる。なお、カバー部31が最も上方側に位置した状態で、被収納物Tをカバー部31内から取り出すようにしてもよい。
【0086】
図14に示すように、ピン33Dが中心軸となってカバー部31がシート幅方向の外方側へ回動される。カバー部31が回動される間、カバー部31の突出部35は、長孔25B1へ挿通される。すなわち、突出部35は、凹部25の内壁部25Bに設けられた長孔25B1及び弾性部材40の貫通孔43によってガイドされる。カバー部31が最も外方側へ回動された状態で、突出部35は、保持部43Aに保持される。この結果、カバー部31が外方側へ回動された状態が保持される。すなわち、カバー部31が被収納物Tから受ける荷重を、回動の中心軸を挟んで反対側に突出された突出部35が、サイドフィニッシャ20に係合することで支持している。
【0087】
また、図15に示すように、カバー部31が回動された状態で被収納物Tを利用することができる。例えば、被収納物Tがタブレット端末等の電子機器である場合には、カバー部31は、電子機器の表示画面Sが露出されるように、電子機器と係合している。このため、カバー部31が回動された状態でも電子機器の表示画面Sを操作し、電子機器を利用することができる。また、被収納物Tは、本体部32に設けられた付勢部37によって第1係合部33と当接して、係合している。このため、被収納物Tがカバー部31に対して動くことが抑制され、被収納物Tの操作時も、がたつきが少なくなる。以上、本実施形態に係る収納構造30の使用例について説明した。
【0088】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0089】
図1に示すように、本実施形態に係る収納構造30は、サイドフィニッシャ20に設けられる。このため、乗員と被収納物Tとの位置が変化しにくく、例えば、スライドレールに収納構造を設ける場合と比較して、被収納物Tの取り出しが容易となり、利便性が向上する。例えば、乗員が、比較的体格が小さかったり、又は高齢者であったりする等、取り出し動作の可能な範囲が狭い場合でも、被収納物Tの取り出しが容易となる。
【0090】
特に、車両用シート10が、シート本体を鉛直方向に移動させるリフタ構造、又はシート本体を車両前後方向に移動させるスライダ構造を有する場合、これらの構造が作動し、シート本体の位置が変化することがある。この場合にも、本実施形態に係る収納構造30は、サイドフィニッシャ20に設けられているので、シート本体とともに移動し、乗員との位置が変化しにくい。
【0091】
また、図5及び図6に示すように、本実施形態に係る収納構造30において、カバー部31において、被収納物Tが第1係合部33及び第2係合部34によって係合される。このため、カバー部31に収容された被収納物Tは、カバー部31と一体的に移動することが可能となる。この結果、図13及び図14に示すように、カバー部31と被収納物Tが一体的に移動できる。例えば、被収納物Tが上方に移動したり、さらにサイドフィニッシャ20において、幅方向の外方へ回動したりすることが可能となる。
【0092】
また、図2に示すように、カバー部31が凹部25を覆うように配置されている。すなわち、カバー部31は、凹部25の内部に収容されている。これにより、カバー部31は、サイドフィニッシャ20のシート幅方向の寸法内に収まるので、収納構造30が省スペース化できる。
【0093】
また、図15に示すように、カバー部31が上方へ移動された状態でシート幅方向外側へ回動可能とされている。このため、カバー部31に係合された被収納物Tを利用可能となる。特に、被収納物Tが電子機器である場合に、係合部が表示画面Sを露出するように被収納物Tと係合するので、図15に示すように、回動された状態で被収納物Tとしての電子機器においてタッチパネル等のインターフェースを操作することができる。
【0094】
電子機器を利用した操作の例としては、電子メールの確認、動画像の視聴、または音声の再生等が挙げられる。また、電子機器の操作例としては、車両用シート10のリクライニング動作、回転動作等の指示を行うようにしてもよい。さらに、車両が自動運転機能を有する場合には、自動運転中に上記したような操作を乗員が行うために、本実施形態に係る収納構造30が利用され得る。
【0095】
また、付勢部37としてのゴム製の突起によって、被収納物Tがカバー部31と係合するように付勢されているので、カバー部31が被収納物Tを所定の位置に保持するホルダとしての機能をより奏するようになる。このため、被収納物Tが電子機器である場合に安定した操作性が得られる。
【0096】
また、図7に示すように、カバー部31は、いわゆるガイドピン構造によって鉛直方向上方へ移動可能とされている。このため、上下移動が安定して行われる。さらに、ピン33Dをガイドする長孔25A1には、弾性部材40が取り付けられているので、上下動の際のがたつきが抑制される。特に、弾性部材40には、長孔25A1と同程度以下の大きさの貫通孔43が設けられている。このため、ピン33Dとサイドフィニッシャ20との間のがたつきが抑制される。
【0097】
また、貫通孔41の上端には、弾性部材40によって保持部41Aが形成される。これにより、ピン33Dが上方において保持され、さらに幅方向の外方への回動も安定する。
【0098】
また、図9に示すように、カバー部31の下端部には、カバー部31の外方へ突出する突出部35が設けられている。かかる突出部35は、図9に示すように、カバー部31が凹部25内に収容された状態では、孔部25C1に嵌合するので、カバー部31とサイドフィニッシャ20の間のがたつきが抑制される。また、孔部25C1取り付けられた樹脂製のストッパ50に突出部35が嵌合されることで、ストッパ50の変形により、さらにがたつきが抑制される。このため、収納状態における被収納物Tへの振動の影響が抑制される。
【0099】
また、図14及び図15に示すように、カバー部31が回動された状態で、突出部35は、サイドフィニッシャ20に設けられた長孔25B1と係合する。これにより、回転軸となるピン33Dを挟んで、被収納物Tが載置された本体部32とは反対側の突出部35がサイドフィニッシャ20に支持されて、回動された状態が安定する。
【0100】
さらに、長孔25B1に対応する位置に設けられる弾性部材40には、長孔25B1と同程度以下の大きさの貫通孔43が設けられている。このため、突出部35とサイドフィニッシャ20との間のがたつきが抑制され、回動動作が安定する。さらに、貫通孔43の上端部には、保持部43Aが設けられている。このため、カバー部31が回動された状態で、突出部35が保持され、かかる状態が安定する。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0102】
例えば、上記実施形態において、付勢部37が樹脂材料から成る突起である例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、固定端がカバー部31の本体部32に取り付けられ、自由端が被収納物Tと当接可能な構成とされた板ばね構造であってもよい。
【0103】
また、上記実施形態において、被収納物Tがタブレット端末である例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、電子機器としては、タブレット型パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又は電子書籍リーダであってもよい。また、被収納物Tのその他の例としては、雑誌、地図等の書籍であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 車両用シート
13 シートクッション
14 スライダ構造
20 サイドフィニッシャ
25 凹部
25A1 長孔(第2長孔)
25B1 長孔(第1長孔)
30 収納構造
31 カバー部
33 第1係合部(係合部)
33D ピン
34 第2係合部(係合部)
35 突出部
37 付勢部
40 弾性部材
41 貫通孔(第2貫通孔)
41A 保持部(第2保持部)
43 貫通孔(第1貫通孔)
43A 保持部(第2保持部)
50 ストッパ
T 被収納物
S 表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15