(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】画像出力装置、画像出力装置の制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231109BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231109BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20231109BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H04N1/00 838
G03G21/00 390
B41J29/00 Z
B41J29/38 201
(21)【出願番号】P 2020043348
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】大西 一幸
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-124069(JP,A)
【文献】特開2019-204993(JP,A)
【文献】特開平04-207264(JP,A)
【文献】特開2009-124256(JP,A)
【文献】特開2006-325026(JP,A)
【文献】特開2001-218037(JP,A)
【文献】特開2002-374409(JP,A)
【文献】特開2007-116234(JP,A)
【文献】特開2010-034737(JP,A)
【文献】特開平06-113134(JP,A)
【文献】特開2011-172108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
B41J 29/00 -29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段を備え、当該記憶手段に記憶された画像データを出力する画像出力装置であって、
前記画像データに特定画像情報が含まれているかどうかを検知する検知手段と、
前記画像データに前記特定画像情報が含まれていないとき、当該画像データの出力を許可し、当該画像データに当該特定画像情報が含まれているとき、当該画像データの出力を不許可とする、出力制御手段と、
前記画像データに前記特定画像情報が含まれているとき、当該画像データを前記記憶手段から消去する消去手段と、をさらに備え、
前記検知手段は、前記画像データを互いに異なる複数の倍率で変倍する変倍手段と、当該変倍手段により当該複数の倍率で変倍された後の複数の変倍後データのそれぞれについて前記特定画像情報が含まれているかどうかを検知する検知実行手段と、を含
み、
前記変倍手段は、前記画像データを複数のブロックに分割して当該ブロックごとに前記複数の倍率で順次変倍する、画像出力装置。
【請求項2】
前記画像データは、前記変倍手段に入力される順に前記ブロックに分割される、請求項
1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記検知実行手段は、前記複数の変倍後データに対応して設けられ、それぞれに対応する当該変倍後データについて前記特定画像情報が含まれているかどうかを検知する複数の個別検知手段を含む、請求項1
または2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記検知実行手段は、前記複数の変倍後データについて順次前記特定画像情報が含まれているかどうかを検知する、請求項
1または2に記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記画像データは、外部装置から取得されるデータであり、
前記画像データに前記特定画像情報が含まれているとき、前記外部装置から当該画像データを消去することを当該外部装置に指示する消去制御処理を行う消去制御手段をさらに備える、請求項1から
4のいずれかに記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記画像データに基づく画像を画像記録媒体に形成することにより当該画像データを出力する画像形成手段をさらに備える、請求項1から
5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
記憶手段を備え、当該記憶手段に記憶された画像データを出力する画像出力装置の制御プログラムであって、
前記画像データに特定画像情報が含まれているかどうかを検知する検知手順と、
前記画像データに前記特定画像情報が含まれていないとき、当該画像データの出力を許可し、当該画像データに当該特定画像情報が含まれているとき、当該画像データの出力を不許可とする、出力制御手順と、
前記画像データに前記特定画像情報が含まれているとき、当該画像データを前記記憶手段から消去する消去手順と、を前記画像出力装置のコンピュータに実行させ、
前記検知手順は、前記画像データを互いに異なる複数の倍率で変倍する変倍手順と、当該変倍手順により当該複数の倍率で変倍された後の複数の変倍後データのそれぞれについて前記特定画像情報が含まれているかどうかを検知する検知実行手順と、を含
み、
前記変倍手順では、前記画像データを複数のブロックに分割して当該ブロックごとに前記複数の倍率で順次変倍する、制御プログラム。
【請求項8】
記憶手段を備え、当該記憶手段に記憶された画像データを出力する画像出力装置の制御方法であって、
前記画像データに特定画像情報が含まれているかどうかを検知する検知ステップと、
前記画像データに前記特定画像情報が含まれていないとき、当該画像データの出力を許可し、当該画像データに当該特定画像情報が含まれているとき、当該画像データの出力を不許可とする、出力制御ステップと、
前記画像データに前記特定画像情報が含まれているとき、当該画像データを前記記憶手段から消去する消去ステップと、を含み、
前記検知ステップは、前記画像データを互いに異なる複数の倍率で変倍する変倍ステップと、当該変倍ステップにより当該複数の倍率で変倍された後の複数の変倍後データのそれぞれについて前記特定画像情報が含まれているかどうかを検知する検知実行ステップと、を含
み、
前記変倍ステップでは、前記画像データを複数のブロックに分割して当該ブロックごとに前記複数の倍率で順次変倍する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置、画像出力装置の制御プログラムおよび制御方法に関し、特に、ハードディスクドライブなどの記憶手段を備え、この記憶手段に記憶された画像データを出力する、画像出力装置、画像出力装置の制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機密文書などの重要な情報を含む紙媒体には、その複写(コピー)を禁止するための特定画像情報が付されることがある。たとえば、特許文献1には、画像出力装置の一種である画像形成装置において、原稿読み取り装置により読み取られた原稿の画像に特定画像情報としての所定のパターンが含まれる場合、複写(印刷)が実行されない技術が、つまり不正な複写が防止される技術が、開示されている。また、特許文献1には、様々な寸法のパターンが原稿に付されることで、当該原稿が複写管理機能のない画像形成装置により変倍複写された場合でも、いずれかの寸法のパターンが特定画像情報として検知(認識)され得ることが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する複合機(MultiFunction Peripheral:MFP)もまた、画像形成装置の一種であり、つまり画像出力装置の一種である。この複合機においては、たとえばサーバなどの外部装置から通信網を介して当該複合機に画像データが取り込まれ、この取り込まれた画像データが一旦、複合機内の記憶手段に記憶(保存)され、その上で、当該画像データが複合機による印刷に供されることがある。この場合、記憶手段に記憶された画像データに特定画像情報が含まれているとしても、前述の特許文献1に開示された技術では、当該特定画像情報を検知することができず、ひいては不正な印刷を防止することができない。この不都合を回避するために、たとえば記憶手段に記憶された画像データが複合機による印刷に供される段階で、言わば画像データが出力される段階で、当該画像データに含まれる特定画像情報を検知する、という方策も考えられる。しかしながら、画像データが記憶手段に記憶されている限りは、何らかの術により、とりわけ不正な術により、当該画像データの出力が可能となる余地が残る。
【0005】
そこで、本発明は、記憶手段を備え、この記憶手段に記憶された画像データを出力する画像出力装置において、出力の対象となる画像データに特定画像情報が含まれている場合に、当該画像データの出力を、とりわけ不正な術による当該画像データの出力を、確実に防止することができる、新規な技術を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、画像出力装置に係る第1の発明と、画像出力装置の制御プログラムに係る第2の発明と、画像出力装置の制御方法に係る第3の発明と、を含む。
【0007】
このうちの画像処理装置に係る第1の発明は、検知手段と、出力制御手段と、消去手段と、を備える。ここで、画像処理装置は、記憶手段を備える。そして、画像処理装置は、記憶手段に記憶された画像データを出力する。その上で、検知手段は、出力の対象となる画像データに特定画像情報が含まれているかどうかを検知する。出力制御手段は、検知手段による検知結果に基づいて、画像データの出力を許可し、または、当該画像データの出力を不許可とする。たとえば、画像データに特定画像情報が含まれていないとき、出力制御手段は、当該画像データの出力を許可する。一方、画像データに特定画像情報が含まれているとき、出力制御手段は、当該画像データの出力を不許可とし、言わばキャンセル(中止)する。そして、消去手段は、画像データに特定画像情報が含まれているとき、当該画像データを記憶手段から消去する。
【0008】
なお、検知手段は、変倍手段と、検知実行手段と、を含む。変倍手段は、画像データを互いに異なる複数の倍率で変倍する。そして、検知実行手段は、変倍手段により複数の倍率で変倍された後の複数の変倍後データのそれぞれについて、特定画像情報が含まれているかどうかを検知する。
【0010】
ここで、変倍手段は、画像データを複数の倍率で順次、言わば時分割で、変倍する。
【0011】
具体的には、変倍手段は、画像データを複数のブロックに分割して、それぞれのブロックごとに複数の倍率で順次、つまり時分割で、変倍する。
【0012】
このとき、画像データは、変倍手段に入力される順にブロックに分割されるのが、望ましい。
【0013】
さらに、検知実行手段は、複数の個別検知手段を含んでもよい。これら複数の個別検知手段は、複数の変倍後データに対応して設けられる。そして、複数の個別検知手段は、それぞれに対応する変倍後データについて、特定画像情報が含まれているかどうかを検知する。要するに、複数の変倍後データのそれぞれについて、特定画像情報が含まれているかどうかを検知するための言わば検知処理が、複数の個別検知手段により並行して行われてもよい。
【0014】
これとは別に、検知実行手段は、複数の変倍後データについて順次、言わば時分割で、特定画像情報が含まれているかどうかを検知してもよい。
【0015】
加えて、画像データは、外部装置から取得されるデータであってもよい。この場合、消去制御手段が、さらに備えられるのが、望ましい。消去制御手段は、画像データに特定画像情報が含まれているとき、外部装置から当該画像データを消去することを当該外部装置に指示する消去制御処理を行う。
【0016】
また、本第1の発明においては、画像形成手段が、さらに備えられてもよい。画像形成手段は、画像データに基づく画像を画像記録媒体に形成することにより、当該画像データを出力する。
【0017】
本発明のうちの第2の発明に係る画像出力装置の制御プログラムは、当該画像出力装置のコンピュータに、検知手順と、出力制御手順と、消去手順と、を実行させる。ここで、画像出力装置は、記憶手段を備える。そして、画像出力装置は、記憶手段に記憶された画像データを出力する。その上で、検知手順では、出力の対象となる画像データに特定画像情報が含まれているかどうかを検知する。出力制御手順では、検知手順による検知結果に基づいて、画像データの出力を許可し、または、当該画像データの出力を不許可とする。たとえば、画像データに特定画像情報が含まれていないとき、出力制御手順では、当該画像データの出力を許可する。一方、画像データに特定画像情報が含まれているとき、出力制御手順では、当該画像データの出力を不許可とし、言わばキャンセルする。そして、消去手順では、画像データに特定画像情報が含まれているとき、当該画像データを記憶手段から消去する。ここで、検知手順は、変倍手順と、検知実行手順と、を含む。変倍手順では、画像データを互いに異なる複数の倍率で変倍する。そして、検知実行手順では、変倍手順により複数の倍率で変倍された後の複数の変倍後データのそれぞれについて、特定画像情報が含まれているかどうかを検知する。さらに、変倍手順では、画像データを複数のブロックに分割して、それぞれのブロックごとに複数の倍率で順次、つまり時分割で、変倍する。
【0018】
本発明のうちの第3の発明に係る画像出力装置の制御方法は、検知ステップと、出力制御ステップと、消去ステップと、を含む。ここで、画像出力装置は、記憶手段を備える。そして、画像出力装置は、記憶手段に記憶された画像データを出力する。その上で、検知ステップでは、出力の対象となる画像データに特定画像情報が含まれているかどうかを検知する。出力制御ステップでは、検知ステップによる検知結果に基づいて、画像データの出力を許可し、または、当該画像データの出力を不許可とする。たとえば、画像データに特定画像情報が含まれていないとき、出力制御ステップでは、当該画像データの出力を許可する。一方、画像データに特定画像情報が含まれているとき、出力制御ステップでは、当該画像データの出力を不許可とし、言わばキャンセルする。そして、消去ステップでは、画像データに特定画像情報が含まれているとき、当該画像データを記憶手段から消去する。ここで、検知ステップは、変倍ステップと、検知実行ステップと、を含む。変倍ステップでは、画像データを互いに異なる複数の倍率で変倍する。そして、検知実行ステップでは、変倍ステップにより複数の倍率で変倍された後の複数の変倍後データのそれぞれについて、特定画像情報が含まれているかどうかを検知する。さらに、変倍ステップでは、画像データを複数のブロックに分割して、それぞれのブロックごとに複数の倍率で順次、つまり時分割で、変倍する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、記憶手段を備え、この記憶手段に記憶された画像データを出力する画像出力装置において、出力の対象となる画像データに特定画像情報が含まれている場合に、当該画像データの出力を、とりわけ不正な術による当該画像データの出力を、確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例に係る複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施例における複写禁止マークを示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施例におけるマーク検知回路の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施例における主記憶部のRAM内の構成を概念的に示すメモリマップである。
【
図5】
図5は、第1実施例における画像出力制御タスクの流れを示すフロー図である。
【
図6】
図6は、第1実施例におけるマーク検知回路により検知可能な複写禁止マークの大きさの範囲を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施例におけるマーク検知回路により検知可能な複写禁止マークの大きさの範囲を示す図である。
【
図8】
図8は、第2実施例におけるマーク検知回路の構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施例におけるマーク検知回路の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態における画像データが複数のブロックに分割された状態を概念的に示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4実施例における外部装置としてのパーソナルコンピュータの構成を概略的に示す図である。
【
図12】
図12は、第4実施例における画像出力制御タスクの一部分の流れを示すフロー図である。
【
図13】
図13は、第4実施例における画像出力制御タスクの別の部分の流れを示すフロー図である。
【
図14】
図14は、第4実施例における通知対処タスクの流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施例]
本発明の第1実施例について、
図1に示される複合機10を例に挙げて説明する。
【0022】
本第1実施例に係る複合機10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する。このため、複合機10は、画像読取部12と、画像処理部14と、画像形成部16と、制御部18と、補助記憶部20と、通信部22と、外部記憶媒体通信部24と、操作表示部26と、を備える。これらは、互いに共通のバス30を介して接続される。
【0023】
画像読取部12は、画像読取手段の一例であり、いわゆる原稿読取装置である。すなわち、画像読取部12は、原稿100の画像を読み取って、この読み取られた画像に応じた2次元の読取画像データを生成する、画像読取処理を担う。この画像読取処理を実現するために、画像読取部12は、原稿100が載置(セット)される不図示の原稿台を有する。併せて、画像読取部12は、不図示の光源、ミラー、レンズ、ラインセンサなどを含む画像読取ユニットを有する。さらに、画像読取部12は、画像読取ユニットによる画像読取位置を移動させるための不図示の駆動機構を備える。なお、画像読取部12は、オプション装置の1つである不図示の自動原稿送り装置(Auto Document Feeder:ADF)を備えることがある。
【0024】
画像処理部14は、画像処理手段の一例である。すなわち、画像処理部14は、画像読取部12により生成された読取画像データなどの各種の画像データに適宜の画像処理を施す。ここで言う画像処理としては、RGBモードの画像データをCMYKモードの画像データに変換するための色空間変換処理や、画像データ(に基づく画像)を拡大または縮小するための変倍処理、画像データを網点化するためのディザ処理などがある。これらの画像処理を実現するために、画像処理部14は、不図示のDSP(Digital Signal Processor)などの画像処理実行手段を有する。併せて、画像処理部14は、マーク検知回路14aを有する。このマーク検知回路14aについては、後で詳しく説明するが、当該マーク検知回路14aは、たとえばハードウェア要素により構成され、とりわけ不図示のASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成される。
【0025】
画像形成部16は、画像形成手段の一例である。すなわち、画像形成部16は、画像処理部14による画像処理後のデータなどの適宜の画像データに基づく画像を不図示のシート状の画像記録媒体としての用紙に形成し、つまり印刷する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式により行われる。このため、画像形成部16は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置などを備える。この画像形成部16による画像形成処理により画像が形成された後の画像記録媒体、言わば印刷物は、不図示の排紙トレイに排出される。なお、画像形成部16は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他の方式により、画像形成処理を行うものであってもよい。
【0026】
制御部18は、複合機10の全体的な制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部18は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU(Central Processing Unit)18aを、有する。併せて、制御部18は、CPU18aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部18bを有する。主記憶部18bは、不図示のROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。このうちのROMには、CPU18aの動作を制御するための制御プログラム(ファームウェア)が記憶される。RAMは、CPU18aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0027】
補助記憶部20は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部20には、前述の読取画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。この補助記憶部20は、たとえば不図示のハードディスクドライブを含む。また、補助記憶部20は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを含む場合がある。
【0028】
通信部22は、通信手段の一例である。すなわち、通信部22は、不図示の通信網と接続されることで、当該通信網を介しての双方向通信を担う。ここで言う通信網としては、LAN(Local Area Network)やインターネット、公衆交換電話網などがある。また、LANには、無線LAN(IEEE_802.11規格に従う無線LAN、いわゆるWi-Fi(登録商標))が含まれる。
【0029】
外部記憶媒体通信部24は、外部記憶媒体通信手段の一例である。すなわち、外部記憶媒体通信部24は、不図示の外部記憶媒体との間での双方向通信を担う。このため、外部記憶媒体通信部24は、外部記憶媒体が装着可能な不図示の外部記憶媒体装着部を有する。ここで言う外部記憶媒体としては、たとえばUSB(Universal Serial Bus)メモリがある。
【0030】
操作表示部26は、いわゆる操作パネルであり、表示手段の一例としてのディスプレイ26aと、操作受付手段の一例としてのタッチパネル26bと、を有する。ディスプレイ26aは、概略矩形状の表示面を有し、タッチパネル26bは、当該ディスプレイ26aの表示面に重なるように設けられる。なお、ディスプレイ26aは、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)であるが、これに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの他方式のディスプレイであってもよい。そして、タッチパネル26bは、たとえば静電容量方式のパネルであるが、これに限らず、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他方式のパネルであってもよい。また、操作表示部26は、不図示の発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。併せて、操作表示部26は、不図示の押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチ手段を有する。
【0031】
さて、本第1実施例に係る複合機10によれば、たとえばコピー機能によれば、原稿100にその複写を禁止するための特定画像情報の一例としての複写禁止マーク100aが付されている場合に、当該原稿100の複写が実行されず、つまり不正な複写が防止される。すなわち、本第1実施例に係る複合機10は、複写禁止マーク100aが付された原稿100の複写を防止する、厳密には複写禁止マーク100aを含む画像データの出力を防止する、画像出力制御機能を備える。
【0032】
具体的には、機密文書などの重要な情報を含む原稿100については、所定の複写禁止マーク100aが付されることがある。この複写禁止マーク100aは、たとえば
図2に示されるような円形の記号(図形)であり、原稿100(の情報が記録された面)の一部の領域または全領域に所定の配列で付され、つまり複数付される。また、複写禁止マーク100aは、肉眼では認識し難い態様で付される。たとえば、個々の複写禁止マーク100aの直径は、1mmに満たない。言い換えれば、個々の複写禁止マーク100aは、一辺が1mmに満たない正方形の領域内に収まる程度の大きさで付される。併せて、複写禁止マーク100aは、黄色などの肉眼では認識し難い色彩で付される。なお、複写禁止マーク100aは、当該複写禁止マーク100aを付する機能を有する画像形成装置により付され、たとえば原稿100の作成時に(そのための印刷時に)付される。本第1実施例に係る複合機10もまた、複写禁止マーク100aを付する機能を有する。
【0033】
コピー機能においては、原稿100の画像が画像読取部12により読み取られ、その読取画像データが一旦、補助記憶部20に記憶される。ここでたとえば、原稿100に複写禁止マーク100aが付されている場合には、当該複写禁止マーク100aを含む読取画像データが補助記憶部20に記憶される。この補助記憶部20に記憶された読取画像データは、当該補助記憶部20から読み出され、画像処理部14に入力される。画像処理部14に入力された読取画像データは、当該画像処理部14により適宜の画像処理を施されるが、その過程で、たとえばマーク検知回路14aによるマーク検知処理に供されるのに適当な態様に整形された段階で、当該マーク検知回路14aに入力される。
【0034】
マーク検知回路14aは、
図3に示される如く自身に入力される画像データ、つまりマーク検知処理の対象となる画像データSd、について、当該マーク検知処理を実行する。このマーク検知処理においては、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれているかどうかが検知され、詳しくは前述の所定の配列に従う複数(所定数以上)の複写禁止マーク100aの存在が認められるかどうかが検知される。そして、マーク検知回路14aは、マーク検知処理の結果を表す検知結果信号Srを出力する。この検知結果信号Srは、CPU18aに入力される。
【0035】
CPU18aは、検知結果信号Srに基づいて、つまりマーク検知処理の結果に基づいて、読取画像データに基づく印刷を許可し、または、当該印刷を不許可とする。たとえば、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合、つまりはそのような検知結果信号Srが入力された場合、CPU18aは、読取画像データに基づく印刷を許可する。これにより、読取画像データに基づく印刷が実行され、厳密には画像処理部14による適宜の画像処理後のデータ(いわゆる印刷用ラスタデータ)に基づく印刷が実行される。一方、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、読取画像データに基づく印刷を不許可とし、言わばキャンセルする。これにより、読取画像データに基づく印刷は実行されず、また、当該印刷が既に実行中であるときには、当該印刷は直ちに停止(中断)される。併せて、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合は、CPU18aは、読取画像データを補助記憶部20から消去する。なお、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合も、換言すれば読取画像データに基づく印刷が実行された場合も、CPU18aは、当該印刷の完了後に当該読取画像データを補助記憶部20から消去する。
【0036】
このようにコピー機能においては、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、言わば印刷の対象となる読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該読取画像データに基づく印刷が実行され、つまり原稿100の複写が実行される。一方、印刷の対象となる読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該読取画像データに基づく印刷は実行されず、また、当該印刷が既に実行中であるときには、当該印刷は直ちに停止される。これにより、不正な複写が防止される。併せて、印刷の対象となる読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該読取画像データが補助記憶部20から消去される。すなわち、複写禁止マーク100aを含む読取画像データは、補助記憶部20に残されない。
【0037】
このような画像出力制御機能は、コピー機能に限らず、たとえばプリンタ機能にも、適用される。
【0038】
具体的には、プリンタ機能においては、印刷の対象となる画像データが、たとえば不図示のパーソナルコンピュータなどの外部装置から前述の通信網を介して複合機10へ送信される。この外部装置から複合機10へ送信される画像データについても、複写禁止マーク100aが含まれることがある。言い換えれば、複写禁止マーク100aを含む画像データが、外部装置から複合機10へ送信されることがある。
【0039】
外部装置から複合機10へ送信された画像データは、複合機10により受信された後、一旦、補助記憶部20に記憶される。そして、補助記憶部20に記憶された画像データは、補助記憶部20から読み出されて、画像処理部14に入力される。画像処理部14に入力された画像データは、当該画像処理部14により適宜の画像処理を施され、その過程で、たとえばマーク検知回路14aによるマーク検知処理に供されるのに適当な態様に整形された段階で、当該マーク検知回路14aに入力される。これ以降は、コピー機能におけるのと同様である。
【0040】
すなわち、マーク検知回路14aは、自身に入力される画像データ、つまりマーク検知処理の対象となる画像データSd、について、当該マーク検知処理を実行する。そして、マーク検知回路14aは、マーク検知処理の結果を表す検知結果信号Srを出力する。この検知結果信号Srは、CPU18aに入力される。
【0041】
CPU18aは、検知結果信号Srに基づいて、印刷の対象となる画像データ、つまり外部装置から受信された画像データ、に基づく印刷を許可し、または、当該印刷を不許可とする。たとえば、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合、CPU18aは、印刷の対象となる画像データに基づく印刷を許可する。一方、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、印刷を不許可とする。併せて、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、印刷の対象となる画像データを補助記憶部20から消去する。なお、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合も、換言すれば印刷の対象となる画像データに基づく印刷が実行された場合も、CPU18aは、当該印刷の完了後に当該画像データを補助記憶部20から消去する。
【0042】
このようにプリンタ機能においても、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、つまり印刷の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該画像データに基づく印刷が実行される。一方、印刷の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合は、印刷は実行されず、また、当該印刷が既に実行中であるときには、当該印刷は直ちに停止される。これにより、不正な印刷が防止される。併せて、印刷の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該画像データが補助記憶部20から消去される。すなわち、外部装置から受信された画像データについても、これに複写禁止マーク100aが含まれる場合には、補助記憶部20に残されない。
【0043】
なお、プリンタ機能においては、印刷の対象となる画像データが、外部装置以外の要素から、たとえば前述のUSBメモリから、複合機10に取り込まれることがある。このUSBメモリなどの外部装置以外の要素から取り込まれる画像データについても、外部装置から取り込まれる画像データと同様に取り扱われる。すなわち、USBメモリなどの外部装置以外の要素から取り込まれる画像データについても、これに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該画像データに基づく印刷が実行される。一方、USBメモリなどの外部装置以外の要素から取り込まれる画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、印刷は実行されず、また、当該印刷が既に実行中であるときには、当該印刷は直ちに停止される。併せて、画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、(補助記憶部20に記憶された)当該画像データが補助記憶部20から消去される。
【0044】
さらに、画像出力制御機能は、イメージスキャナ機能にも適用される。
【0045】
具体的には、イメージスキャナ機能においては、原稿100の画像が画像読取部12により読み取られ、その読取画像データが一旦、補助記憶部20に記憶される。そして、補助記憶部20に記憶された読取画像データは、前述の外部装置やUSBメモリなどの適宜の出力先へ出力されることを目的として、当該補助記憶部20から読み出され、画像処理部14に入力される。画像処理部14に入力された読取画像データは、当該画像処理部14により適宜の画像処理を施され、その過程で、たとえばマーク検知回路14aによるマーク検知処理に供されるのに適当な態様に整形された段階で、マーク検知回路14aに入力される。
【0046】
マーク検知回路14aは、前述と同様、自身に入力される画像データ、つまりマーク検知処理の対象となる画像データSd、について、当該マーク検知処理を実行する。そして、マーク検知回路14aは、マーク検知処理の結果を表す検知結果信号Srを出力する。この検知結果信号Srは、CPU18aに入力される。
【0047】
CPU18aは、検知結果信号Srに基づいて、出力の対象となる読取画像データの出力を許可し、または、当該出力を不許可とする。たとえば、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合、CPU18aは、読取画像データの出力を許可する。これにより、読取画像データが適宜の出力先へ出力され、厳密には画像処理部14による適宜の画像処理後のデータが当該出力先へ出力される。一方、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、読取画像データの出力を不許可とする。併せて、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、読取画像データを補助記憶部20から消去する。なお、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合も、換言すれば読取画像データが適宜の出力先へ出力された場合も、CPU18aは、当該読取画像データの出力完了後に当該読取画像データを補助記憶部20から消去する。
【0048】
このようにイメージスキャナ機能においては、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、つまり出力の対象となる読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該読取画像データが出力される。一方、出力の対象となる読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合は、当該読取画像データは出力されず、言わば当該読取画像データの出力が禁止される。併せて、出力の対象となる読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該読取画像データが補助記憶部20から消去される。すなわち、複写禁止マーク100aを含む読取画像データは、補助記憶部20に残されない。
【0049】
画像出力制御機能は、ファクス機能にも適用される。
【0050】
具体的には、ファクス機能においては、たとえばファクス受信機能においては、不図示の相手方装置から受信されたファクス受信データに複写禁止マーク100aが含まれることがある。このファクス受信データは、一旦、補助記憶部20に記憶される。そして、補助記憶部20に記憶されたファクス受信データは、印刷に供されることを目的として、または、前述の外部装置やUSBなどの適宜の出力先へ出力されることを目的として、つまり印刷を含む出力を目的として、補助記憶部20から読み出され、画像処理部14に入力される。画像処理部14に入力された読取画像データは、当該画像処理部14により適宜の画像処理を施され、その過程で、たとえばマーク検知回路14aによるマーク検知処理に供されるのに適当な態様に整形された段階で、マーク検知回路14aに入力される。
【0051】
マーク検知回路14aは、前述と同様、自身に入力される画像データ、つまりマーク検知処理の対象となる画像データSd、について、当該マーク検知処理を実行する。そして、マーク検知回路14aは、マーク検知処理の結果を表す検知結果信号Srを出力する。この検知結果信号Srは、CPU18aに入力される。
【0052】
CPU18aは、検知結果信号Srに基づいて、ファクス受信データの(印刷を含む)出力を許可し、または、当該出力を不許可とする。たとえば、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合、CPU18aは、ファクス受信データの出力を許可する。これにより、ファクス受信データが、厳密には画像処理部14による適宜の画像処理後のデータが、印刷に供され、または、適宜の出力先へ出力される。一方、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、ファクス受信データの出力を不許可とする。併せて、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、ファクス受信データを補助記憶部20から消去する。なお、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合も、換言すればファクス受信データが出力された場合も、CPU18aは、当該ファクス受信データの出力完了後に当該ファクス受信データを補助記憶部20から消去する。
【0053】
このようにファクス受信機能においては、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、つまりファクス受信データに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該ファクス受信データが出力される。一方、ファクス受信データに複写禁止マーク100aが含まれている場合は、当該ファクス受信データは出力されない。併せて、ファクス受信データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該ファクス受信データが補助記憶部20から消去される。すなわち、ファクス受信データについても、これに複写禁止マーク100aが含まれる場合には、補助記憶部20に残されない。
【0054】
そして、ファクス機能のうちのファクス送信機能においては、たとえば原稿100の画像が画像読取部12により読み取られ、その読取画像データが一旦、補助記憶部20に記憶される。この補助記憶部20に記憶された読取画像データは、当該補助記憶部20から読み出され、画像処理部14に入力される。画像処理部14に入力された読取画像データは、当該画像処理部14により適宜の画像処理を施され、その過程で、たとえばマーク検知回路14aによるマーク検知処理に供されるのに適当な態様に整形された段階で、マーク検知回路14aに入力される。
【0055】
マーク検知回路14aは、前述と同様、自身に入力される画像データ、つまりマーク検知処理の対象となる画像データSd、について、当該マーク検知処理を実行する。そして、マーク検知回路14aは、マーク検知処理の結果を表す検知結果信号Srを出力する。この検知結果信号Srは、CPU18aに入力される。
【0056】
CPU18aは、検知結果信号Srに基づいて、読取画像データのファクス送信データとしての送信を、つまり出力を、許可し、または、当該出力を不許可とする。たとえば、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合、CPU18aは、ファクス送信データの出力を許可する。これにより、読取画像データが、厳密には画像処理部14による適宜の画像処理後のデータが、ファクス送信データとして相手方装置へ送信される。一方、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、ファクス送信データの出力を不許可とする。併せて、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、ファクス送信データとしての(厳密にはファクス送信データの元データである)読取画像データを補助記憶部20から消去する。なお、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合も、つまりファクス送信データが相手方装置へ送信された場合も、CPU18aは、当該ファクス送信データの送信完了後に当該ファクス送信データとしての読取画像データを補助記憶部20から消去する。
【0057】
このようにファクス送信機能においては、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、つまりファクス送信データとしての読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該ファクス送信データが出力される。一方、ファクス送信データとしての読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合は、当該ファクス送信データは出力されない。併せて、ファクス送信としての読取画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該読取画像データが補助記憶部20から消去される。すなわち、ファクス送信データとしての読取画像データについても、これに複写禁止マーク100aが含まれる場合には、補助記憶部20に残されない。
【0058】
なお、ファクス送信機能においては、前述の外部装置やUSBメモリから複合機10に取り込まれた画像データが、ファクス送信データとして送信されることがあり、つまり出力の対象とされることがある。このように外部装置やUSBメモリから取り込まれた画像データについても、読取画像データが出力の対象とされるときと同様に取り扱われる。すなわち、外部装置やUSBメモリから取り込まれた画像データについても、これに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該画像データがファクス送信データとして送信される。一方、外部装置やUSBメモリから取り込まれた画像データに複写禁止マーク100aが含まれる場合には、当該画像データのファクス送信データとしての送信が見送られるとともに、(補助記憶部20に記憶された)当該画像データが補助記憶部20から消去される。
【0059】
加えて、複合機10においては、たとえば外部装置やUSBメモリから適宜の画像データが複合機10に取り込まれ、この取り込まれた画像データが補助記憶部20への一時的または永続的な記憶を目的として当該補助記憶部20に記憶されることがある。このような言わばデータ保存機能においては、補助記憶部20に記憶された画像データ、言わば保存データが、必要に応じて補助記憶部20から読み出される。そして、補助記憶部20から読み出された保存データは、印刷に供され、または、適宜の出力先へ出力され、つまり印刷を含め、適宜に出力される。このデータ保存機能においても、画像出力制御機能が適用される。
【0060】
具体的には、データ保存機能においても、補助記憶部20から読み出された保存データ(画像データ)は、画像処理部14に入力される。そして、画像処理部14に入力された保存データは、当該画像処理部14により適宜の画像処理を施され、その過程で、たとえばマーク検知回路14aによるマーク検知処理に供されるのに適当な態様に整形された段階で、当該マーク検知回路14aに入力される。
【0061】
マーク検知回路14aは、前述と同様、自身に入力される保存データ、つまりマーク検知処理の対象となる画像データSd、について、当該マーク検知処理を実行する。そして、マーク検知回路14aは、マーク検知処理の結果を表す検知結果信号Srを出力する。この検知結果信号Srは、CPU18aに入力される。
【0062】
CPU18aは、検知結果信号Srに基づいて、保存データの(印刷を含む)出力を許可し、または、当該出力を不許可とする。たとえば、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合、CPU18aは、保存データの出力を許可する。これにより、保存データが、厳密には画像処理部14による適宜の画像処理後のデータが、印刷に供され、または、適宜の出力先へ出力される。一方、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、保存データの出力を不許可とする。併せて、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれている場合、CPU18aは、保存データを補助記憶部20から消去する。なお、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合は、CPU18aは、保存データを補助記憶部20から消去せず、つまり当該保存データを補助記憶部20に残す。
【0063】
このようにデータ保存機能においては、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、つまり保存データに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該保存データが出力される。一方、保存データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該保存データは出力されない。併せて、保存データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、保存データが補助記憶部20から消去される。すなわち、保存データについても、これに複写禁止マーク100aが含まれる場合には、補助記憶部20に残されない。
【0064】
ここで、
図4に、主記憶部18bのRAM内の構成を概念的に表すメモリマップ200を示す。
【0065】
このメモリマップ200に示されるように、RAMは、プログラム記憶領域210と、データ記憶領域250と、を有する。このうちのプログラム記憶領域210には、前述の制御プログラムが記憶されている。具体的には、制御プログラムは、表示制御プログラム212と、操作検出プログラム214と、画像読取プログラム216と、画像処理プログラム218と、画像形成プログラム220と、記憶制御プログラム222と、通信制御プログラム224と、外部記憶媒体通信制御プログラム226と、を含む。併せて、制御プログラムは、画像出力制御プログラム228を含む。
【0066】
表示制御プログラム212は、ディスプレイ26aに適宜の操作画面などの各種画面を表示させるのに必要な表示画面データを生成するためのプログラムである。操作検出プログラム214は、タッチパネル26bに対する操作状態を検出するためのプログラムである。画像読取プログラム216は、画像読取部12を制御するためのプログラムである。画像処理プログラム218は、画像処理部14を制御するためのプログラムである。画像形成プログラム220は、画像形成部16を制御するためのプログラムである。記憶制御プログラム222は、補助記憶部20を制御するためのプログラムである。通信制御プログラム224は、通信部22を制御するためのプログラムである。外部記憶媒体通信制御プログラム226は、外部記憶媒体通信部24を制御するためのプログラムである。そして、画像出力制御プログラム228は、CPU18aに後述する画像出力制御タスクを実行させるためのプログラムである。
【0067】
一方、データ記憶領域250には、各種のデータが記憶される。ここで言う各種のデータとしては、表示画像生成データ252や操作データ254などがある。
【0068】
表示画像生成データ252は、前述の表示制御プログラム212に基づく表示画面データの生成に用いられるポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。操作データ254は、タッチパネル26bに対する操作状態を表すデータであり、詳しくは当該タッチパネル26bに対するユーザのタッチ位置(座標)を表す時系列のデータである。
【0069】
前述したように、本第1実施例に係る複合機10によれば、とりわけ画像出力制御機能によれば、出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該画像データが出力される。一方、出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該画像データは出力されず、また、当該画像データが補助記憶部20から消去される。このような画像出力制御機能を実現するために、CPU18aは、前述の画像出力制御プログラム228に従って画像出力制御タスクを実行する。この画像出力制御タスクの流れを、
図5に示す。なお、画像出力制御タスクは、補助記憶部20から出力の対象となる画像データが読み出されるタイミングが到来したときに実行される。
【0070】
この画像出力制御タスクによれば、CPU18aは、まず、ステップS1において、出力の対象となる画像データを補助記憶部20から読み出す。この補助記憶部20から読み出された画像データは、画像処理部14へ入力される。このステップS1の実行後、CPU18aは、処理をステップS3へ進める。
【0071】
ステップS3において、CPU18aは、マーク検知回路14aを含む画像処理部14を制御して、当該マーク検知回路14aによるマーク検知処理を実行させる。そして、CPU18aは、処理をステップS5へ進める。
【0072】
ステップS5において、CPU18aは、ステップS3におけるマーク検知処理により複写禁止マーク100aが検知されたかどうかを判定する。この判定は、前述の検知結果信号Srに基づいて行われる。ここでたとえば、複写禁止マーク100aが検知された場合、つまり出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれる場合(S5:YES)、CPU18aは、処理をステップS7へ進める。一方、複写禁止マーク100aが検知されない場合は(S5:NO)、CPU18aは、処理を後述するステップS13へ進める。
【0073】
ステップS7において、CPU18aは、出力の対象となる画像データの出力を不許可とする。これにより、出力の対象となる画像データの出力が見送られる。そして、CPU18aは、処理をステップS9へ進める。
【0074】
ステップS9において、CPU18aは、画像データの出力が不許可とされたことを表す所定の警告メッセージを出力し、たとえば不図示の警告メッセージ画面をディスプレイ26aに表示する。なお、複合機10が不図示のスピーカなどの音声出力手段を備える場合には、当該音声出力手段から音声により警告メッセージが出力されてもよい。この警告メッセージの出力は、一定期間にわたって、たとえば数秒間にわたって、継続される。その後、CPU18aは、処理をステップS11へ進める。
【0075】
ステップS11において、CPU18aは、出力が不許可とされた画像データを補助記憶部20から消去する。このステップS11の実行をもって、CPU18aは、画像出力制御タスクを終了する。
【0076】
また、CPU18aは、前述のステップS5からステップS13へ処理を進めた場合、当該ステップS13において、出力の対象となる画像データの出力を許可する。これにより、画像データが出力され、厳密には当該画像データの出力が開始される。そして、CPU18aは、処理をステップS14へ進める。
【0077】
ステップS14において、CPU18aは、ステップS13で開始された画像データの出力が完了するのを待つ(S14:NO)。この画像データの出力が完了すると(S14:YES)、CPU18aは、処理をステップS15へ進める。
【0078】
ステップS15において、CPU18aは、画像データの出力が完了したことを表す所定の完了メッセージを出力し、たとえば不図示の完了メッセージ画面をディスプレイ26aに表示する。なお、複合機10が前述の音声出力手段を備える場合には、当該音声出力手段から音声により完了メッセージが出力されてもよい。この完了メッセージの出力もまた、一定期間にわたって、たとえば数秒間にわたって、継続される。その後、CPU18aは、処理をステップS17へ進める。
【0079】
ステップS17において、CPU18aは、出力に供された画像データが前述の保存データであるかどうかを判定する。ここでたとえば、出力に供された画像データが保存データである場合(S17:YES)、CPU18aは、そのまま画像出力制御タスクを終了する。一方、出力に供された画像データが保存データでない場合には(S17:NO)、CPU18aは、当該画像データを補助記憶部20から消去するべく、処理をステップS11へ進める。
【0080】
以上のように、本第1実施例に係る複合機10によれば、とりわけ画像出力制御機能によれば、出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれていない場合にのみ、当該画像データが出力される。一方、出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該画像データは出力されず、併せて、当該画像データが補助記憶部20から消去される。したがって、複写禁止マーク100aが含まれている画像データが出力されることはなく、つまり当該画像データの出力が確実に防止される。すなわち、複写が禁止された画像データの保全が図られる。
【0081】
なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、出力の対象となる画像データについては、当該画像データに基づくプレビュー画像をディスプレイ26aに表示させることができ、言わば当該プレビュー画像として出力させることができる。このいわゆるプレビュー機能においても、画像出力制御機能が適用されてもよい。この場合、出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれていないときにのみ、当該画像データに基づくプレビュー画像がディスプレイ26aに表示される。そして、出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれているときは、当該画像データに基づくプレビュー画像は表示されず、併せて、当該画像データが補助記憶部20から消去される。
【0082】
本第1実施例におけるマーク検知回路14aは、複写禁止マーク100aの大きさに関して、たとえば
図6に示されるような検知可能範囲を有する。すなわち、本来の(理想的な)複写禁止マーク100aの大きさが100%である、とすると、マーク検知回路14aは、この本来の大きさの80%~125%の大きさの複写禁止マーク100aを検知することができる。これにより、複写禁止マーク100aを含む画像データの不正な手段による出力が防止される。
【0083】
具体的にはたとえば、本来の大きさの複写禁止マーク100aが付された原稿100が、画像出力制御機能を持たない不図示の複合機またはコピー機により80%~125%の範囲の適当な倍率で変倍複写(拡大複写または縮小複写)される、とする。そして、この変倍複写された原稿100の画像が、つまり本来の大きさの80%~125%の大きさの複写禁止マーク100aを含む画像が、画像読取部12によって読み取られ、この読取画像データが、補助記憶部20に記憶される、とする。このような言わば本来の大きさではない複写禁止マーク100aを含む読取画像データが、出力の対象となる場合であっても、マーク検知回路14aは、当該読取画像データ(厳密にはマーク検知回路の対象となる画像データSd)に含まれる複写禁止マーク100aを検知することができる。これにより、本来の大きさではない複写禁止マーク100aを含む読取画像データの出力が防止される。すなわち、複写禁止マーク100aを含む画像データの不正な手段による出力が防止される。このことはたとえば、本来の大きさの複写禁止マーク100aが付された原稿100の画像が、デジタルスチルカメラによって80%~125%の範囲の適当な倍率で撮影され、その撮影画像データが、複合機10に転送されて、当該複合機10による出力の対象となる場合も、同様である。
【0084】
本第1実施例における補助記憶部20は、本発明に係る記憶手段の一例である。そして、本第1実施例におけるマーク検知回路14aは、本発明に係る検知手段の一例である。さらに、本第1実施例におけるCPU18aは、とりわけ画像出力制御タスクを実行するCPU18aは、本発明に係る出力制御手段の一例であり、また、本発明に係る消去手段の一例でもある。
【0085】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について、説明する。
【0086】
本第2実施例においては、マーク検知回路14aにより検知可能な複写禁止マーク100aの大きさの範囲が、
図7に示される如く拡張される。すなわち、前述の第1実施例においては、マーク検知回路14aにより検知可能な複写禁止マーク100aの大きさの範囲が、
図6に示される如く本来の大きさの80%~125%の範囲である。これに対して、本第2実施例におけるマーク検知回路14aにより検知可能な複写禁止マーク100aの大きさの範囲は、
図7に示される如く本来の大きさの64%~156%の範囲である。そのために、本第2実施例におけるマーク検知回路14aは、
図8に示されるような構成である。
【0087】
この
図8に示されるように、本第2実施例におけるマーク検知回路14aは、第1変倍回路50aおよび第2変倍回路50bという2つの変倍回路を有する。これら2つの変倍回路50aおよび50bは、前述の変倍処理を担う要素(画像処理実行手段)とは別の要素であり、飽くまでもマーク検知回路14aの一部を成す要素である。そして、これら2つの変倍回路50aおよび50bのそれぞれに、マーク検知処理の対象となる画像データSdが入力される。
【0088】
第1変倍回路50aは、自身に入力される画像データSdに対して80%の倍率で変倍処理を施し、いわゆる縮小処理を施す。この縮小処理後の画像データSd1は、第1変倍回路50aに対応して設けられた、換言すれば縮小処理後の画像データSd1に対応して設けられた、第1検知回路52aに入力される。一方、第2変倍回路50bは、自身に入力される画像データSdに対して125%の倍率で変倍処理を施し、いわゆる拡大処理を施す。この拡大処理後の画像データSd1は、第2変倍回路50bに対応して設けられた、換言すれば拡大処理後の画像データSd2に対応して設けられた、第2検知回路52bに入力される。
【0089】
第1検知回路52aは、縮小処理後の画像データSd1についてマーク検知処理を行い、つまり縮小処理後の画像データSd1に複写禁止マーク100aが含まれているかどうかを検知する。そして、第1検知回路52aは、自身によるマーク検知処理の結果を表す第1検知結果信号Sr1を出力する。この第1検知結果信号Sr1は、論理和回路54に入力される。一方、第2検知回路52bは、拡大処理後の画像データSd2についてマーク検知処理を行い、つまり拡大処理後の画像データSd2に複写禁止マーク100aが含まれているかどうかを検知する。そして、第2検知回路52bは、自身によるマーク検知処理の結果を表す第2検知結果信号Sr2を出力する。この第2検知結果信号Sr2もまた、論理和回路54に入力される。
【0090】
論理和回路54は、第1検知結果信号Sr1および第2検知結果信号Sr2の論理和を取り、その結果を表す検知結果信号Srを出力する。たとえば、第1検知回路52aおよび第2検知回路52bのいずれによっても複写禁止マーク100aが検知されない場合、つまりはそのような第1検知結果信号Sr1および第2検知結果信号Sr2が入力された場合、論理和回路54は、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれないこと表す検知結果信号Srを出力する。一方、第1検知回路52aおよび第2検知回路52bの少なくともいずれかによって複写禁止マーク100aが検知された場合、論理和回路54は、画像データSdに複写禁止マーク100aが含まれることを表す検知結果信号Srを出力する。
【0091】
この論理和回路54から出力される検知結果信号Srは、つまりマーク検知回路14aの出力信号としての当該検知結果信号Srは、CPU18aに入力される。これ以降は、CPU18aによる処理を含め、第1実施例と同様である。
【0092】
このように本第2実施例によれば、マーク検知回路14aにより検知可能な複写禁止マーク100aの大きさの範囲が拡張され、詳しくは
図7に示される如く本来の大きさの64%~156%に拡張される。したがって、本第2実施例によれば、複写禁止マーク100aの大きさに関して、より広い範囲で(言わば柔軟に)対応することができ、ひいては複写禁止マーク100aを含む画像データの不正な手段による出力をより確実に防止することができる。すなわち、複写が禁止された画像データのより確実な保全が図られる。
【0093】
なお、本第2実施例においては、第1変倍回路50aおよび第2変倍回路50bという2つの変倍回路が設けられたが、つまりマーク検知処理の対象となる画像データSdが80%および125%という互いに異なる2つの倍率で変倍されたが、これに限らない。たとえば、3つ以上の変倍回路が設けられてもよく、つまり互いに異なる3つ以上の倍率で画像データSdが変倍されてもよい。この場合は、たとえば変倍回路の数に応じた、つまりそれぞれの変倍回路に対応する、3つ以上の検知回路が設けられる。そして、それぞれの検知回路の出力信号である検知結果信号が、論理和回路54に与えられる。この構成によれば、マーク検知回路14aにより検知可能な複写禁止マーク100aの大きさの範囲が、さらに拡張される。
【0094】
また、本第2実施例においては、第1検知回路52aおよび第2検知回路52bという2つの検知回路が設けられたが、つまり第1変倍回路50aおよび第2変倍回路50bという2つの変倍回路に対応する2つの検知回路が設けられたが、これに限らない。たとえば、検知回路が1つのみ設けられ、この1つの検知回路によって、2つの変倍回路50aおよび50bによる2つの変倍処理後の画像データSd1およびSd2について順次、言わば時分割で、マーク検知処理が行われてもよい。このことは、前述の如く3つ以上の変倍回路が設けられる場合も、同様である。
【0095】
本第2実施例における第1変倍回路50aおよび第2変倍回路50bは、本発明に係る変倍手段の一例であり、とりわけ本発明に係る個別変倍手段の一例である。そして、本第2実施例における第1検知回路52aおよび第2検知回路52bは、本発明に係る検知実行手段の一例であり、とりわけ本発明に係る個別検知手段の一例である。
【0096】
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について、説明する。
【0097】
本第3実施例においては、第2実施例とは別の構成によって、マーク検知回路14aにより検知可能な複写禁止マーク100aの大きさの範囲が拡張される。具体的には、マーク検知回路14aが、
図9に示される如く構成される。
【0098】
この
図9に示されるように、本第3実施例におけるマーク検知回路14aは、第1前段バッファ回路60aおよび第2前段バッファ回路60bという2つの前段バッファ回路を有する。そして、これら2つの前段バッファ回路60aおよび60のそれぞれに、マーク検知処理の対象となる画像データSdが入力される。
【0099】
ここで、画像データSdは、つまりマーク検知回路14aに入力される画像データSdは、
図10に示されるように、当該マーク検知回路14aに入力される順に複数の、たとえばN(N:2以上の整数)個の、ブロックsdに分割される。そして、第1前段バッファ回路60aには、奇数番目のブロックsd_oが順次、たとえば1ブロックsd_o分ずつ、記憶される。併せて、第2前段バッファ回路60bには、偶数番目のブロックsd_eが順次、たとえば1ブロックsd_e分ずつ、記憶される。さらに、第1前段バッファ回路60aに記憶された奇数番目のブロックsd_oと、第2前段バッファ回路60bに記憶された偶数番目のブロックsd_eとは、交互に出力され、変倍回路62に入力される。すなわち(最初の(1番目の)ブロックsdと最後の(N番目の)ブロックsdとを除いて)、第1前段バッファ回路60aおよび第2前段バッファ回路60bの一方に或る(n番目の)ブロックsdが記憶されるとき、当該第1前段バッファ回路60aおよび第2前段バッファ回路60bの他方に記憶された(n-1番目の)ブロックsdが出力され、変倍回路62に入力される。つまりはそうなるように、第1前段バッファ回路60aは、詳しくは第1前段バッファ回路60aの書込/読出動作は、時分割制御回路64から与えられる第1前段バッファ制御信号Sp1によって制御される。そして、第2前段バッファ回路60bは、詳しくは第2前段バッファ回路60bの書込/読出動作は、時分割制御回路64から与えられる第2前段バッファ制御信号Sp2によって制御される。なお、画像データSdの分割数(ブロックsdの数)Nは、たとえば当該画像データSdのサイズ(容量)によって変わり、とりわけ画素数によって変わる。
【0100】
変倍回路62は、第1前段バッファ回路60aから入力される奇数番目のブロックsd_oと、第2前段バッファ回路60bから入力されるおよび偶数番目のブロックsd_eと、のそれぞれについて、80%という倍率による変倍処理(縮小処理)と、125%という倍率による変倍処理(拡大処理)と、を順次、言わば時分割で、行う。そのために、変倍回路62は、これら2つの倍率による変倍処理を時分割で行い得る程度の高い処理能力を持つ。そして、変倍回路62は、これら2つの倍率による変倍処理後のデータを、つまり80%という倍率による変倍処理後のブロックsd1と、125%という変倍処理後のブロックsd2と、を順次、つまり時分割で、出力する。この変倍回路62から出力される各ブロックsd1およびsd2は、第1後段バッファ回路66aおよび第2後段バッファ回路66bのそれぞれに入力される。なお、変倍回路62は、とりわけ80%および125%という2つの倍率による変倍処理の切替動作は、時分割制御回路64から与えられる変倍制御信号Smによって制御される。
【0101】
第1後段バッファ回路66aには、前述の如く80%という倍率による変倍処理後のブロックsd1と、125%という倍率による変倍処理後のブロックsd2と、が入力されるが、このうちの80%という倍率による変倍処理後のブロックsd1が、当該第1後段バッファ回路66aに記憶され、たとえば1ブロックsd1分ずつ記憶される。併せて、第2後段バッファ回路66bにも、80%という倍率による変倍処理後のブロックsd1と、125%という倍率による変倍処理後のブロックsd2と、が入力されるが、このうちの125%という倍率による変倍処理後のブロックsd2が、当該第2後段バッファ回路66bに記憶され、たとえば1ブロックsd2分ずつ記憶される。そして、第1後段バッファ回路66aに記憶されたブロックsd1と、第2後段バッファ回路66bに記憶されたブロックsd2とは、交互に出力され、検知回路68に入力される。つまりはそうなるように、第1後段バッファ回路66aは、詳しくは第1後段バッファ回路66aの書込/読出動作は、時分割制御回路64から与えられる第1後段バッファ制御信号St1によって制御される。併せて、第2後段バッファ回路66bは、詳しくは第2後段バッファ回路66bの書込/読出動作は、時分割制御回路64から与えられる第2後段バッファ制御信号St2によって制御される。
【0102】
検知回路68は、第1後段バッファ回路66aから入力されるブロックsd1と、第2後段バッファ回路66bから入力されるブロックsd2と、のそれぞれについて、順次、言わば時分割で、マーク検知処理を行う。そのために、検知回路68は、各ブロックsd1およびsd2についてのマーク検知処理を時分割で行い得るほどの高い処理能力を持つ。そして、検知回路68は、各ブロックsd1およびsd2の少なくともいずれかに複写禁止マーク100aが含まれていることを検知すると、そのことを表す、換言すれば出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれていることを表す、検知結果信号Srを出力する。一方、各ブロックsd1およびsd2のいずれにも複写禁止マーク100aが含まれていない場合には、そのことを表す、つまり出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれていないことを表す、検知結果信号Srを出力する。なお、検知回路68は、とりわけ各ブロックsd1およびsd2についてのマーク検知処理の切替動作は、時分割制御回路64から与えられる検知制御信号Scによって制御される。
【0103】
この検知回路68から出力される検知結果信号Srは、つまりマーク検知回路14aの出力信号としての検知結果信号Srは、CPU18aに入力される。これ以降は、CPU18aによる処理を含め、第1実施例(および第2実施例)と同様である。
【0104】
このように本第3実施例によれば、第2実施例とは別の構成によって、マーク検知回路14aにより検知可能な複写禁止マーク100aの大きさの範囲が拡張される。そして、本第3実施例によっても、第2実施例と同様、複写禁止マーク100aの大きさに関して、より広い範囲で対応することができ、ひいては複写禁止マーク100aを含む画像データの不正な手段による出力をより確実に防止することができる。すなわち、複写が禁止された画像データのより確実な保全が図られる。
【0105】
なお、本第3実施例においては、変倍回路62によって、それぞれのブロックsdが80%および125%という互いに異なる2つの倍率で変倍されたが、これに限らない。たとえば、それぞれのブロックsdが互いに異なる3つ以上の倍率で変倍されてもよい。この場合は、それぞれの倍率に対応する、つまり3つ以上の、後段バッファ回路が設けられる。そして、それぞれの後段バッファ回路に記憶された変倍処理後のブロックが、順番に、つまり時分割で、出力され、検知回路68に入力される。この構成によれば、マーク検知回路14aにより検知可能な複写禁止マーク100aの大きさの範囲が、さらに拡張される。
【0106】
また、本第3実施例においては、検知回路68が1つのみ設けられたが、これに限らない。たとえば、第1後段バッファ回路66aおよび第2後段バッファ回路66bという2つの後段バッファ回路に対応する2つの検知回路が設けられ、これら2つの検知回路に当該2つの後段バッファ回路66aおよび66bから変倍処理後のブロックが個別に入力されてもよい。そして、各検知回路によって、各変倍処理後のブロックについて、個別に、言わば並行して、マーク検知処理が行われてもよい。このことは、前述の如く3つ以上の後段バッファ回路が設けられる場合も、同様である。
【0107】
本第3実施例における変倍回路62もまた、本発明に係る変倍手段の一例である。そして、本第3実施例における検知回路68は、本発明に係る検知実行手段の一例である。
【0108】
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について、説明する。
【0109】
本第4実施例においては、出力の対象となる画像データが外部装置から複合機10に取り込まれるデータであって、当該画像データに複写禁止マーク100aが含まれる場合に、当該画像データをその提供元である外部装置から消去するための処理が行われる。なお、本第4実施例においても、第1実施例(~第3実施例)と同様、外部装置から複合機10に取り込まれる画像データに複写禁止マーク100aが付されていない場合にのみ、当該画像データが出力される。一方、外部装置から複合機10に取り込まれるデータに複写禁止マーク100aが付されている場合には、当該画像データは出力されず、併せて、(補助記憶部20に記憶された)当該画像データが補助記憶部20から消去される。
【0110】
具体的にはたとえば、
図11に示されるような外部装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)70がハードディスクドライブなどの記憶部70aを備えており、この記憶部70aに記憶された画像データが(印刷を含む)出力の対象として当該パーソナルコンピュータ70から複合機10に取り込まれる、とする。なお、パーソナルコンピュータ70から複合機10に取り込まれる画像データには、当該画像データを識別するための個別の識別情報としてのID(IDentification)が付される。このIDには、画像データの提供元を表す情報、ここではパーソナルコンピュータ70を表す情報、が含まれる。
【0111】
ここでたとえば、外部装置としてのパーソナルコンピュータ70から複合機10に取り込まれた出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが付されていない場合、当該画像データが出力される。一方、出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが付されている場合には、当該画像データは出力されず、併せて、(補助記憶部20に記憶された)当該画像データが補助記憶部20から消去される。さらに、出力の対象となる画像データに複写禁止マーク100aが含まれている場合には、当該画像データの供給元であるパーソナルコンピュータ70の記憶部70aから当該画像データを消去するよう、複合機10からパーソナルコンピュータ70へ指示が与えられる。この指示を受けて、パーソナルコンピュータ70側では、記憶部70aから当該指示に対応する画像データが消去される。
【0112】
このような本第4実施例においても、CPU18aは、前述(
図5)の出力制御タスクを実行するが、とりわけステップS7の実行後に、
図12に示されるステップS101を実行する。すなわち、CPU18aは、ステップS7において、出力の対象となる画像データの当該出力を不許可とした後に、処理をステップS101へ進める。
【0113】
このステップS101において、CPU18aは、前述のステップS7で出力が不許可とされた画像データにIDが付されているかどうかを判定する。言い換えれば、CPU18aは、出力が不許可とされた画像データにIDが付されているかどうかに基づいて、当該画像データがパーソナルコンピュータ70を含むいずれかの外部装置から取り込まれたデータであるかどうかを判定する。ここでたとえば、出力が不許可とされた画像データにIDが付されている場合、つまり当該画像データが外部装置から取り込まれたデータである場合(S101:YES)、CPU18aは、処理をステップS103へ進める。一方、出力が不許可とされた画像データにIDが付されていない場合は、つまり当該画像データが外部装置から取り込まれたデータでない場合は(S101:NO)、CPU18aは、ステップS103をスキップして、処理をステップS9へ進める。なお前述したように、ステップS9においては、CPU18aは、所定の警告メッセージを一定期間にわたって出力する。
【0114】
ステップS103において、CPU18aは、出力の対象となる画像データの当該出力が不許可とされたことを表す出力判定結果を、当該画像データの提供元である外部装置へ、ここではパーソナルコンピュータ70へ、通知する。この出力判定結果通知には、出力が不許可とされた画像データについてのIDが付される。このステップS103の実行後、CPU18aは、処理をステップS9へ進める。
【0115】
また、CPU18aは、前述(
図5)のステップS13の実行後に、
図13に示されるステップS111を実行する。すなわち、CPU18aは、ステップS13において、出力の対象となる画像データの出力を許可した後に、処理をステップS111へ進める。
【0116】
このステップS111において、CPU18aは、前述のステップS13で出力が許可された画像データにIDが付されているかどうかを判定する。言い換えれば、CPU18aは、出力が許可された画像データにIDが付されているかどうかに基づいて、当該画像データがパーソナルコンピュータ70を含むいずれかの外部装置から取り込まれたデータであるかどうかを判定する。ここでたとえば、出力が許可された画像データにIDが付されている場合、つまり当該画像データが外部装置から取り込まれたデータである場合(S111:YES)、CPU18aは、処理をステップS113へ進める。一方、出力が許可された画像データにIDが付されていない場合は、つまり当該画像データが外部装置から取り込まれたデータでない場合は(S111:NO)、CPU18aは、ステップS113をスキップして、処理をステップS14へ進める。なお前述したように、ステップS14においては、CPU18aは、出力が許可された画像データの当該出力が完了するのを待つ。
【0117】
ステップS113において、CPU18aは、出力の対象となる画像データの当該出力が許可されたことを表す出力判定結果を、当該画像データの提供元である外部装置へ、ここではパーソナルコンピュータ70へ、通知する。この出力判定結果通知には、出力が許可された画像データについてのIDが付される。このステップS113の実行後、CPU18aは、処理をステップS14へ進める。
【0118】
これに対して、パーソナルコンピュータ70側では、当該パーソナルコンピュータ70の不図示のCPUによって、
図14に示されるような流れで通知対処タスクが実行される。この通知対処タスクは、たとえば複合機10用のデバイスドライバに組み込まれた通知対処プログラムに従って実行される、
この通知対処タスクによれば、パーソナルコンピュータ70のCPUは、まず、ステップS201において、複合機10から出力判定結果通知が送られてくるのを待つ(S201:NO)。そして、複合機10からの出力判定結果通知を受け付けると(S201:YES)、CPUは、処理をステップS203へ進める。
【0119】
ステップS203において、パーソナルコンピュータ70のCPUは、ステップS201で受け付けられた出力判定結果通知から、出力の対象となる画像データの当該出力が不許可とされたかどうかを判定する。ここでたとえば、出力の対象となる画像データの当該出力が不許可とされた場合(S203:YES)、CPUは、当該画像データを記憶部70aから消去するよう指示を受けたものと認識して、処理をステップS205へ進める。一方、出力の対象となる画像データの当該出力が許可された場合は(S203:NO)、CPUは、通知対処タスクを終了する。
【0120】
ステップS205において、パーソナルコンピュータ70のCPUは、ステップS201で受け付けられた出力判定結果通知に付されたIDに対応する画像データを記憶部70aから消去する。これをもって、CPUは、通知対処タスクを終了する。
【0121】
このように第4実施例によれば、出力の対象となる画像データがパーソナルコンピュータ70などの外部装置から複合機10に取り込まれるデータであって、当該画像データに複写禁止マーク100aが含まれる場合に、当該画像データをその提供元である外部装置から消去するための処理が行われる。すなわち、出力の対象となる画像データが外部装置から取り込まれるデータであっても、これに複写禁止マーク100aが含まれる場合には、当該画像データの提供元である外部装置から当該画像データが消去される。これにより、複写禁止マーク100aを含む画像データの出力がより確実に防止され、つまり当該画像データのより確実な保全が図られる。
【0122】
なお、本第4実施例においては、出力の対象となる画像データの提供元がパーソナルコンピュータ70である場合について説明したが、これに限らない。サーバなどのパーソナルコンピュータ70以外の外部装置が出力の対象となる画像データの提供元である場合も、同様である。また、出力の対象となる画像データの提供元が前述のUSBメモリである場合であって、当該画像データに複写禁止マーク100aが付されている場合には、当該画像データがUSBメモリから消去されるように構成されてもよい。
【0123】
本第4実施例におけるCPU18aは、とりわけ画像出力制御タスクのうちのステップS103を実行するCPU18aは、本発明に係る消去制御手段の一例である。そして、CPU18aにより実行されるステップS103は、つまり出力の対象となる画像データの出力が不許可とされたことを通知する処理は、本発明に係る消去制御処理の一例である。
【0124】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0125】
たとえば、特定画像情報として、
図2に示されるような円形の複写禁止マーク100aを例示したが、これ以外のマークや模様などが、当該特定画像情報として採用されてもよい。
【0126】
そして、マーク検知回路14aについては、ASICにより構成されることとしたが、これに限らない。CPLD(Complex Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのPLD(Programmable Logic Device)によって、または、それ以外のハードウェア要素によって、マーク検知回路14aが構成されてもよい。さらに、CPUやDSPなどのソフトウェアと組み合わされる要素によって、マーク検知回路14aが構成されてもよい。
【0127】
加えて、マーク検知回路14aによるマーク検知処理については、画像処理部14による画像処理の過程(言わば途中の段階)で行われることとしたが、これに限らない。たとえば、出力の対象となる画像データが画像処理部14による画像処理に供される前に、あるいは、当該画像処理部14による(変倍処理などの)画像処理が施された後に、マーク検知処理が行われてもよい。
【0128】
また、各実施例においては、画像出力装置の一種である複合機10に、本発明が適用される場合について説明したが、これに限らない。コピー機やプリンタ、イメージスキャナ、ファクス装置などの言わば単体の機能専用の画像出力装置にも、本発明を適用することができる。
【0129】
併せて、本発明は、画像出力装置という物の形に限らず、画像出力装置の制御プログラムというプログラムの形や、画像出力装置の制御方法という方法の形で、提供することもできる。
【0130】
さらに、本発明は、画像出力装置の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体という記憶媒体の形で提供することもできる。ここで言う記録媒体としては、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、フレキシブルディスクなどのディスク媒体がある。また、USBメモリやSD(Secure Digital)メモリカードなどの半導体媒体も、ここで言う記録媒体として適用可能である。加えて、可搬型の媒体ではなく、ROMやハードディスクドライブなどのような画像出力装置に組み込まれる組込み型(内蔵型)の媒体もまた、ここで言う記録媒体として適用可能である。
【符号の説明】
【0131】
10 … 複合機
12 … 画像読取部
14 … 画像処理部
14a … マーク検知回路
16 … 画像形成部
18 … 制御部
18a … CPU
20 … 補助記憶部
22 … 通信部
24 … 外部記憶媒体通信部
100 … 原稿
100a … 複写禁止マーク