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特許7382265一時保持用部材、及び表示装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】一時保持用部材、及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20231109BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20231109BHJP
【FI】
G09F9/00 338
H01L33/48
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020059062
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157111
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-027808(JP,A)
【文献】特開2003-017549(JP,A)
【文献】特開2003-045901(JP,A)
【文献】特表2016-504753(JP,A)
【文献】特開2019-046889(JP,A)
【文献】国際公開第2017/164294(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1488609(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182944(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する基材シートと、
前記第1面に設けられた粘着部と、
を備え、
前記基材シートは、可撓性を備え、前記基材シートの一端から前記基材シートの他端に向かって捲ることが可能であり、
前記第1面は、無機発光ダイオードと粘着するときに前記無機発光ダイオードと対向する対向領域を有し、
前記粘着部は、前記対向領域に配置され、
前記第2面は、前記基材シートの捲りにより前記粘着部が前記無機発光ダイオードから剥離するとき、前記無機発光ダイオードの浮き上がりを抑制する抑え部材が当接する面であり、
前記粘着部は、同じ粘着材料により形成された第1粘着部と第2粘着部とを有し、
前記第2粘着部は、前記第1粘着部に対し、前記基材シートの一端から視て前記基材シートの他端が配置された捲り方向に配置され、
前記第2粘着部は、前記捲り方向と直交する直交方向の幅が前記第1粘着部よりも小さい
一時保持用部材。
【請求項2】
前記第1粘着部は、前記捲り方向に向かうにつれて前記直交方向の幅が小さくなる
請求項1に記載の一時保持用部材。
【請求項3】
前記第2粘着部は、前記捲り方向に向かうにつれて前記直交方向の幅が小さくなる
請求項1又は請求項2に記載の一時保持用部材。
【請求項4】
前記第1粘着部と前記第2粘着部とは、連続し、一体化している
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の一時保持用部材。
【請求項5】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する基材シートと、
前記第1面に設けられた粘着部と、
を備え、
前記基材シートは、可撓性を備え、前記基材シートの一端から前記基材シートの他端に向かって捲ることが可能であり、
前記第1面は、無機発光ダイオードと粘着するときに前記無機発光ダイオードと対向する対向領域を有し、
前記粘着部は、前記対向領域に配置され、
前記第2面は、前記基材シートの捲りにより前記粘着部が前記無機発光ダイオードから剥離するとき、前記無機発光ダイオードの浮き上がりを抑制する抑え部材が当接する面であり、
前記粘着部は、異なる粘着材料により形成された第1粘着部と第2粘着部とを有し、
前記第2粘着部は、前記第1粘着部に対し、前記基材シートの一端から視て前記基材シートの他端が配置された捲り方向に配置され、
前記第2粘着部の粘着力は、前記第1粘着部の粘着力よりも小さい
一時保持用部材。
【請求項6】
第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する基材シートと、
前記第1面に設けられた粘着部と、
を備え、
前記基材シートは、可撓性を備え、前記基材シートの一端から前記基材シートの他端に向かって捲ることが可能であり、
前記第1面は、無機発光ダイオードと粘着するときに前記無機発光ダイオードと対向する対向領域を有し、
前記粘着部は、前記対向領域に配置され、
前記第2面は、前記基材シートの捲りにより前記粘着部が前記無機発光ダイオードから剥離するとき、前記無機発光ダイオードの浮き上がりを抑制する抑え部材が当接する面であり、
前記基材シートの一端から視て前記基材シートの他端が配置された方向は、捲り方向であり、
前記粘着部は、前記第1面と平行であり、かつ前記捲り方向と直交する直交方向の幅が前記捲り方向に向かって均一となっており、
前記対向領域は、
前記捲り方向の第1端部と、
前記捲り方向と反対方向の第2端部と、
を有し、
前記粘着部から前記第1端部からの距離は、前記粘着部から前記第2端部までの距離よりも長い
一時保持用部材。
【請求項7】
無機発光ダイオードを保持する第1保持用基板と、アレイ基板と、を準備する準備工程と、
前記第1保持用基板から、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の一時保持用部材に、前記無機発光ダイオードを転写する第1転写工程と、
前記一時保持用部材から、前記一時保持用部材よりも粘着力が小さい第2保持用基板に前記無機発光ダイオードを転写する第2転写工程と、
前記第2保持用基板から、アレイ基板に前記無機発光ダイオードを搭載する搭載工程と、
を有し、
前記第2転写工程は、前記第2面に抑え部材を当てつつ、前記基材シートの一端から前記基材シートの他端に向かって前記基材シートを捲り、前記無機発光ダイオードが前記粘着部から剥離する
表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一時保持用部材、及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、表示装置として、無機発光ダイオード(ミニLEDやマイクロLED(micro LED))を用いた無機ELディスプレイが挙げられる。下記特許文献2に示すように、表示装置の製造は、サファイヤ基板(第1保持用基板)上で無機発光ダイオードが製造される。その後、サファイヤ基板上の無機発光ダイオードは、粘着性を有する第2保持用基板に転写される。次に、第2保持用基板上の無機発光ダイオードは、治具で一つずつピックアップされてアレイ基板に搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-529557号公報
【文献】特開2002-261335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無機発光ダイオードを第1保持用基板から第2保持用基板に転写する過程で、一時保持用部材を利用することがある。一時保持用部材は、無機発光ダイオードを保持するための粘着部を有している。そして、無機発光ダイオードを一時保持用部材から第2保持用基板に転写する場合、最初に、一時保持用部材に保持された無機発光ダイオードを第2保持用基板に粘着させる。その後、一時保持用部材の一端を捲り、一時保持用部材の粘着部を無機発光ダイオードから少しずつ剥離させ、無機発光ダイオードを一時保持用部材から分離させている。
【0005】
また、捲る際の一時保持用部材の粘着力が第2保持用基板の粘着力よりも大きい場合がある。このような場合、一時保持用部材から第2次保持用基板へ転写する際、無機発光ダイオードが一時保持用部材の方に引っ張られ、第2保持用基板に転写できない可能性がある。よって、一時保持用部材を捲るとき、一時保持用部材の背面に抑え部材を当てて、無機発光ダイオードが第2保持用基板から浮き上がらないように抑える、といった手法を取っている。しかしながら、一時保持用部材の捲りが進み、粘着部と無機発光ダイオードとの粘着面積が小さくなると、抑え部材が当接可能な一時保持用部材の背面も小さくなる。よって、無機発光ダイオードに作用する抑え部材の力も小さくなり、無機発光ダイオードが一時保持用部材の方に引っ張られてしまうことがある。
【0006】
本発明は、転写の際に抑え部材を利用する粘着シートであり、粘着力の弱い第2保持用基板に無機発光ダイオードを確実に転写できる一時保持用部材を提供することを目的とする。また、一時保持用部材を用いた表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の一時保持用部材は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する基材シートと、前記第1面に設けられた粘着部と、を備える。前記基材シートは、可撓性を備え、前記基材シートの一端から前記基材シートの他端に向かって捲ることが可能である。前記第1面は、無機発光ダイオードと粘着するときに前記無機発光ダイオードと対向する対向領域を有する。前記粘着部は、前記対向領域に配置される。前記第2面は、前記基材シートの捲りにより前記粘着部が前記無機発光ダイオードから剥離するとき、前記無機発光ダイオードの浮き上がりを抑制する抑え部材が当接する面である。前記粘着部は、同じ粘着材料により形成された第1粘着部と第2粘着部とを有する。前記第2粘着部は、前記第1粘着部に対し、前記基材シートの一端から視て前記基材シートの他端が配置された捲り方向に配置される。前記第2粘着部は、前記捲り方向と直交する直交方向の幅が前記第1粘着部よりも小さい。
【0008】
本発明の一態様の一時保持用部材は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する基材シートと、前記第1面に設けられた粘着部と、を備える。前記基材シートは、可撓性を備え、前記基材シートの一端から前記基材シートの他端に向かって捲ることが可能である。前記第1面は、無機発光ダイオードと粘着するときに前記無機発光ダイオードと対向する対向領域を有する。前記粘着部は、前記対向領域に配置される。前記第2面は、前記基材シートの捲りにより前記粘着部が前記無機発光ダイオードから剥離するとき、前記無機発光ダイオードの浮き上がりを抑制する抑え部材が当接する面である。前記粘着部は、異なる粘着材料により形成された第1粘着部と第2粘着部とを有する。前記第2粘着部は、前記第1粘着部に対し、前記基材シートの一端から視て前記基材シートの他端が配置された捲り方向に配置される。前記第2粘着部の粘着力は、前記第1粘着部の粘着力よりも小さい。
【0009】
本発明の一態様の一時保持用部材は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有する基材シートと、前記第1面に設けられた粘着部と、を備える。前記基材シートは、可撓性を備え、前記基材シートの一端から前記基材シートの他端に向かって捲ることが可能である。前記第1面は、無機発光ダイオードと粘着するときに前記無機発光ダイオードと対向する対向領域を有する。前記粘着部は、前記対向領域に配置される。前記第2面は、前記基材シートの捲りにより前記粘着部が前記無機発光ダイオードから剥離するとき、前記無機発光ダイオードの浮き上がりを抑制する抑え部材が当接する面である。前記基材シートの一端から視て前記基材シートの他端が配置された方向は、捲り方向である。前記粘着部は、前記第1面と平行であり、かつ前記捲り方向と直交する直交方向の幅が前記捲り方向に向かって均一となっている。前記対向領域は、前記捲り方向の第1端部と、前記捲り方向と反対方向の第2端部と、を有する。前記粘着部から前記第1端部からの距離は、前記粘着部から前記第2端部までの距離よりも長い。
【0010】
本発明の一態様の表示装置の製造方法は、無機発光ダイオードを保持する第1保持用基板と、アレイ基板と、を準備する準備工程と、前記第1保持用基板から、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の一時保持用部材に、無機発光ダイオードを転写する第1転写工程と、前記一時保持用部材から、前記一時保持用部材よりも粘着力が小さい第2保持用基板に前記無機発光ダイオードを転写する第2転写工程と、前記第2保持用基板から、アレイ基板に前記無機発光ダイオードを搭載する搭載工程と、を有する。前記第2転写工程は、前記第2面に抑え部材を当てつつ、前記基材シートの一端から前記基材シートの他端に向かって前記基材シートを捲り、前記無機発光ダイオードが前記粘着部から剥離する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1に係る表示装置を模式的に示す平面図である。
図2図2は、表示装置の画素回路を示す回路図である。
図3図3は、図1のIII-III’線の矢視断面図である。
図4図4は、表示装置の製造方法のうち準備工程を示すフロー図である。
図5図5は、表示装置の製造方法のうち第1転写工程を示すフロー図である。
図6図6は、表示装置の製造方法のうち第2転写工程の前半部分を示すフロー図である。
図7図7は、表示装置の製造方法のうち第2転写工程の後半部分を示すフロー図である。
図8図8は、表示装置の製造方法のうち搭載工程を示すフロー図である。
図9図9は、一時保持用部材の対向領域を拡大した平面図である。
図10図10は、変形例1の粘着部を拡大した平面図である。
図11図11は、変形例2の粘着部を拡大した平面図である。
図12図12は、変形例3の粘着部を拡大した平面図である。
図13図13は、変形例4の粘着部を拡大した平面図である。
図14図14は、変形例5の粘着部を拡大した平面図である。
図15図15は、変形例6の粘着部を拡大した平面図である。
図16図16は、変形例7の粘着部を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る表示装置を模式的に示す平面図である。図1に示すように、表示装置1は、アレイ基板2と、複数の画素Pixと、駆動回路12と、駆動IC(Integrated Circuit)7と、カソード配線26と、を含む。アレイ基板2は、各画素Pixを駆動するための配線基板である。アレイ基板2は、バックプレーン又はアクティブマトリックス基板とも呼ばれる。なお、本開示の配線基板は、アレイ基板2に限定されない。アレイ基板2は、基板21と、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2等と、トランジスタTrG(図4参照)と、各種配線等を含む。第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2等は、画素Pix毎に設けられたスイッチング素子である。トランジスタTrGは、駆動回路12に含まれるスイッチング素子である。
【0014】
図1に示すように、表示装置1は、表示領域AAと、周辺領域GAとを有する。表示領域AAは、複数の画素Pixと重なって配置され、画像を表示する領域である。周辺領域GAは、複数の画素Pixと重ならない領域であり、表示領域AAの外側に配置される。
【0015】
複数の画素Pixは、基板21の表示領域AAにおいて、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列される。第1方向Dxは、第2方向Dyと直交する。ただし、本開示の表示装置において、第1方向Dxは、第2方向Dyと直交しないで交差する場合を含む。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、積層方向という場合がある。
【0016】
駆動回路12は、駆動IC7からの各種制御信号に基づいて複数のゲート線を駆動する回路である。複数のゲート線には、図2に示す第1ゲート線GCL1及び第2ゲート線GCL2が含まれる。駆動回路12は、複数のゲート線を順次又は同時に選択し、選択されたゲート線にゲート駆動信号を供給する。これにより、駆動回路12は、ゲート線に接続された複数の画素Pixを選択する。
【0017】
駆動IC7は、表示装置1の表示を制御する回路である。駆動IC7は、基板21の周辺領域GAにCOG(Chip On Glass)として実装される。これに限定されず、駆動IC7は、基板21の周辺領域GAに接続されたフレキシブルプリント基板やリジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。
【0018】
カソード配線26は、基板21の周辺領域GAに設けられる。カソード配線26は、表示領域AAの複数の画素Pix及び周辺領域GAの駆動回路12を囲んで設けられる。複数の発光素子3のカソードは、共通のカソード配線26に接続され、例えば、グランド電位が供給される。
【0019】
画素Pixは、発光素子3を有する。発光素子3は、画素Pixに対応して設けられ、異なる色の光を出射する第1発光素子3R、第2発光素子3G、及び第3発光素子3Bを含む。第1発光素子3Rは、赤色の光を出射する。第2発光素子3Gは、緑色の光を出射する。第3発光素子3Bは、青色の光を出射する。なお、以下の説明において、第1発光素子3R、第2発光素子3G及び第3発光素子3Bを区別して説明する必要がない場合には、単に発光素子3と表す。なお、複数の発光素子3は、4色以上の異なる光を出射してもよい。
【0020】
画素Pixの配列は、第1発光素子3Rを有する画素Pix、第2発光素子3Gを有する画素Pix、第3発光素子3Bを有する画素Pix、の順で第1方向Dxに繰り返し配列される。つまり、第1発光素子3R、第2発光素子3G及び第3発光素子3Bは、この順で第1方向Dxに繰り返し配列される。また、第1発光素子3R、第2発光素子3G及び第3発光素子3Bは、それぞれ第2方向Dyに複数配列される。
【0021】
発光素子3は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有する無機発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)チップであり、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。各画素にマイクロLEDを備える表示装置は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、無機発光ダイオードの大きさを限定するものではない。また、発光素子3は、ミニLEDであってもよい。
【0022】
図2は、表示装置の画素回路を示す回路図である。画素回路28は、発光素子3を駆動する駆動回路である。図2に示すように、画素回路28は、複数のスイッチング素子(第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4)と、第1ゲート線GCL1、第2ゲート線GCL2、信号線SGL及び電源線LVddを有する。各トランジスタは、それぞれ薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)である。
【0023】
第1トランジスタTr1は駆動用TFTである。第2トランジスタTr2は、発光期間と、非発光期間とのスイッチング用TFTである。第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4は、電流切替用TFTである。信号線SGLは、定電流源に接続されている。電源線LVddは、定電圧源に接続されている。
【0024】
また、第2トランジスタTr2のドレインと、発光素子3のアノードとの間に保持容量CS1が形成される。また、発光素子3のアノードと電源線LVddとの間に保持容量CS2が形成される。画素回路28は、保持容量CS1と保持容量CS2により、第2トランジスタTr2の寄生容量とリーク電流とによるゲート電圧の変動を抑制する。
【0025】
非発光期間では、駆動回路12(図1参照)は、第1ゲート線GCL1の電位を高レベルとし、第2ゲート線GCL2の電位を低レベルとする。これにより、第2トランジスタTr2及び第3トランジスタTr3がオンとなり、第4トランジスタTr4がオフとなる。発光素子3のアノードには、信号線SGLから電流Idataが供給される。
【0026】
発光期間では、駆動回路12(図1参照)は、第1ゲート線GCL1の電位を低レベルとし、第2ゲート線GCL2の電位を高レベルとする。これにより、第2トランジスタTr2及び第3トランジスタTr3がオフとなり、第4トランジスタTr4がオンとなる。発光素子3のアノードには、電源線LVddから電流Idが供給される。なお、図2は、あくまで一例であり、画素回路28の構成及び表示装置1の動作は適宜変更することができる。
【0027】
図3は、図1のIII-III’線の矢視断面図である。図3に示すように、発光素子3は、アレイ基板2の上に設けられる。アレイ基板2は、基板21と、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2等のスイッチング素子と、各種配線及び各種絶縁膜を有する。基板21の周辺領域GAには、複数のトランジスタとして、駆動回路12に含まれるトランジスタTrGが設けられている。基板21は絶縁基板であり、例えば、ガラス基板、樹脂基板又は樹脂フィルム等が用いられる。
【0028】
本明細書において、基板21の表面に垂直な方向において、基板21から平坦化膜27の上面27aに向かう方向を「上側」とする。また、平坦化膜27の上面27aから基板21に向かう方向を「下側」とする。また、「平面視」とは、基板21の表面に垂直な方向から見た場合を示す。
【0029】
第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、及びトランジスタTrGは、基板21の一方の面側に設けられる。第1トランジスタTr1は、半導体61、ソース電極62、ドレイン電極63、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bを含む。第1ゲート電極64Aは、第1絶縁膜91を介して基板21の上に設けられる。第1絶縁膜91等の絶縁膜は、シリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(SiN)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)等の無機絶縁材料が用いられる。また、各無機絶縁膜は、単層に限定されず積層膜であってもよい。
【0030】
第2絶縁膜92は、第1ゲート電極64Aを覆って第1絶縁膜91の上に設けられる。半導体61は、第2絶縁膜92の上に設けられる。第3絶縁膜93は、半導体61を覆って第2絶縁膜92の上に設けられる。第2ゲート電極64Bは、第3絶縁膜93の上に設けられる。半導体61は、第3方向Dzにおいて、第1ゲート電極64Aと第2ゲート電極64Bとの間に設けられる。半導体61において、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bで挟まれた部分にチャネル領域が形成される。
【0031】
図3に示す例では、第1トランジスタTr1は、いわゆるデュアルゲート構造である。ただし、第1トランジスタTr1は、第1ゲート電極64Aが設けられ、第2ゲート電極64Bが設けられないボトムゲート構造でもよく、第1ゲート電極64Aが設けられず、第2ゲート電極64Bのみが設けられるトップゲート構造でもよい。
【0032】
半導体61は、例えば、アモルファスシリコン、微結晶酸化物半導体、アモルファス酸化物半導体、ポリシリコン、低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicone)又は窒化ガリウム(GaN)で構成される。酸化物半導体としては、IGZO、酸化亜鉛(ZnO)、ITZOが例示される。IGZOは、インジウムガリウム亜鉛酸化物である。ITZOは、インジウムスズ亜鉛酸化物である。
【0033】
第4絶縁膜94は、第2ゲート電極64Bを覆って第3絶縁膜93の上に設けられる。ソース電極62及びドレイン電極63は、第4絶縁膜94の上に設けられる。本実施形態では、ソース電極62は、コンタクトホールH5を介して半導体61と電気的に接続される。ドレイン電極63は、コンタクトホールH3を介して半導体61と電気的に接続される。
【0034】
第5絶縁膜95は、ソース電極62及びドレイン電極63を覆って、第4絶縁膜94の上に設けられる。第5絶縁膜95は、第1トランジスタTr1や、各種配線で形成される凹凸を平坦化する平坦化膜である。
【0035】
第2トランジスタTr2は、半導体65、ソース電極66、ドレイン電極67、第1ゲート電極68A及び第2ゲート電極68Bを含む。第2トランジスタTr2は第1トランジスタTr1と類似した層構成を有しており、詳細な説明は省略する。第2トランジスタTr2のドレイン電極67は、コンタクトホールH8を介して接続配線69に接続される。接続配線69は、第1トランジスタTr1の、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bに接続される。
【0036】
なお、半導体65、ソース電極66、ドレイン電極67、第1ゲート電極68A及び第2ゲート電極68Bは、それぞれ、第1トランジスタTr1の、半導体61、ソース電極62、ドレイン電極63、第1ゲート電極64A及び第2ゲート電極64Bと同層に設けられているが、異なる層に設けられていてもよい。
【0037】
トランジスタTrGは、半導体71、ソース電極72、ドレイン電極73、第1ゲート電極74A及び第2ゲート電極74Bを含む。トランジスタTrGは、駆動回路12に含まれるスイッチング素子である。トランジスタTrGも第1トランジスタTr1と類似した層構成を有しており、詳細な説明は省略する。また、第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4(図2参照)も第1トランジスタTr1と類似した層構成を有する。
【0038】
発光素子3は、n型クラッド層、活性層、p型クラッド層が順に積層された発光層を有し、例えば、窒化ガリウム(GaN)、アルミニウムインジウム燐(AlInP)等の化合物半導体が用いられる。発光素子3は、n型クラッド層に接続するカソード3aと、p型クラッド層に接続するアノード3bと、が下側に設けられた、いわゆるフェースダウン構造である。なお、発光素子3は、いわゆるフェースアップ構造であってもよい。
【0039】
図3に示すように、アレイ基板2は、第1電極22、第2電極23、第3電極24、及び第4電極25を有する。第1電極22は、第6絶縁膜96の第1面96aに設けられ、周辺領域GAに設けられたカソード配線26(図1参照)と接続している。第1電極22は、発光素子3のカソード3aと溶着により接合している。第2電極23は、発光素子3のアノード3bと溶着により接合している。また、第2電極23は、第6絶縁膜96の第1面96aに設けられる。第2電極23は、図3に示すように、コンタクトホールH7を介して第3電極24と接続される。
【0040】
第3電極24は、第5絶縁膜95の上に設けられ、コンタクトホールH2を介してドレイン電極63と接続される。このように、第2電極23及び第3電極24は、発光素子3のアノードと、第1トランジスタTr1のドレイン電極63とを接続する。また、第4電極25は第3電極24と同層に設けられ、コンタクトホールH4を介してソース電極62と接続される。
【0041】
第4電極25は、第5絶縁膜95の上で延在して、第3方向Dzにおいて第6絶縁膜96を介して第1電極22と対向する。これにより、第1電極22と第4電極25との間に容量が形成される。第1電極22と第4電極25との間に形成される容量は、画素回路28の保持容量CSとして用いられる。
【0042】
第7絶縁膜97は、第1電極22と、第2電極23と、第6絶縁膜96との上に設けられる。第7絶縁膜97の上には、平坦化膜27が設けられている。平坦化膜27は、表示領域AAから周辺領域GAに亘って設けられている。平坦化膜27は、透光性を有する有機絶縁膜であり、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料が用いられる。また、平坦化膜27の上には、例えばガラスなど、光を透過する部材で構成されるカバー部5が設けられている。
【0043】
図4は、表示装置の製造方法のうち準備工程を示すフロー図である。図5は、表示装置の製造方法のうち第1転写工程を示すフロー図である。図6は、表示装置の製造方法のうち第2転写工程の前半部分を示すフロー図である。図7は、表示装置の製造方法のうち第2転写工程の後半部分を示すフロー図である。図8は、表示装置の製造方法のうち搭載工程を示すフロー図である。図9は、一時保持用部材の対向領域を拡大した平面図である。
【0044】
次に、表示装置1の製造方法について説明する。表示装置1の製造方法は、準備工程S1(図4を参照)と、第1転写工程S2(図5を参照)と、第2転写工程S3(図6図7を参照)と、搭載工程S4(図8を参照)と、を有する。
【0045】
(準備工程)
準備工程S1は、発光素子3を保持する第1保持用基板100と、アレイ基板2と、を準備する工程である。なお、アレイ基板2について、上記したため、説明を省略する。図4に示すように、第1保持用基板100は、平面状の粘着シートであり、粘着力を発揮する第1面101を有している。なお、第1面101は、作業台102と当接する面と反対側の面である。発光素子3は、アノード3b及びカソード3aが設けられた端子面3cが第1面101と粘着し、第1保持用基板100に保持されている。また、発光素子3のアノード3b及びカソード3aは、第1面101に差し込まれた状態となっている。
【0046】
また、第1保持用基板100は、複数の発光素子3を保持している。複数の発光素子3は、第1方向Exに互いに間隔を空けながら配列している。また、複数の発光素子3は、列毎に第2方向Eyに互いに間隔を空けながら配列している。つまり、複数の発光素子3が、格子状に配置されている。
【0047】
なお、第1方向Exと第2方向Eyは、第1面101と平行な方向を指す。第1方向Exと第2方向Eyとは、互いに直交する方向を指す。さらに、第1方向Ex及び第2方向Eyと直交する方向を第3方向Ezと呼ぶ。そのほか、第3方向Ezのうち、作業台102から視て第1保持用基板100や第2保持用基板300(図6等を参照)が配置される方向を上側と呼ぶ。
【0048】
以上から、発光素子3は、第1保持用基板100に対し、端子面3cと反対側の被保持面3dが上方を向いて保持される。なお、実施形態において、第1保持用基板100の例として粘着シートを挙げているが、本開示の製造方法は、第1保持用基板100がサファイヤガラスであってもよい。
【0049】
(第1転写工程)
第1転写工程S2は、第1保持用基板100から一時保持用部材200に発光素子3を転写する工程である。図5に示すように、一時保持用部材200は、基材シート210と、複数の粘着部220と、を有している(特に図5のS21を参照)。
【0050】
基材シート210は、可撓性を有したシート部材である。基材シート210は、平面視で矩形状を成し、4つの辺を有している。そして、4つの辺のうち1つの辺は、捲り部211となっている。捲り部211は、一時保持用部材200から第2保持用基板300に発光素子3を転写する際、最初に捲り始める部分である(図6のS32を参照)。また、4つの辺のうち捲り部211の対辺は、最後に捲られる最後尾部分212となっている。以下、捲り部211から視て最後尾部分212が配置される方向を捲り方向Mという。
【0051】
図5に示すように、基材シート210は、第1面213と、第1面213と反対側を向く第2面214と、を有する。第1面213は、発光素子3を保持する側の面である。図9に示すように、第1面213は、対向領域215と、非対向領域216と、を有している。
【0052】
対向領域215は、第1保持用基板100から一時保持用部材200に発光素子3を転写する際(図5のS21参照)、発光素子3の被保持面3dと対向する領域である。なお、特に図示しないが、実施形態の発光素子3の被保持面3dは長方形状となっている。よって、対向領域215も対応して長方形状となっている。また、対向領域215には、粘着部220が接着されている。言い換えると、非対向領域216は、粘着部220が設けられていない領域である。
【0053】
粘着部220は、発光素子3の被保持面3dと粘着し、発光素子3を保持するためのものである。粘着部220は、発光素子3と同じ数、基材シート210に設けられている。以下、複数の粘着部220について、捲り部211に近い方から、第1列目の粘着部220、第2列目の粘着部220、と呼ぶ場合がある。
【0054】
粘着部220は、第1保持用基板100から一時保持用部材200に発光素子3を転写する際、粘着部220の全面が発光素子3の被保持面3dと粘着する。粘着部220の面積は、第1保持用基板100の粘着力よりも大きい粘着力を発揮できる程度の大きさとなっている。これにより、第1保持用基板100から一時保持用部材200に発光素子3が転写される(図5のS23を参照)。
【0055】
一方で、一時保持用部材200から第2保持用基板300に発光素子3を転写する際、基材シート210の捲りにより、粘着部220を発光素子3の被保持面3dから少しずつ剥離し、最終的には粘着部220の全体が被保持面3dから剥離する。つまり、粘着部220と被保持面3dとの剥離部分は、捲り方向Mに次第に移行する。また、粘着部220の剥離部分は、基材シート210の捲りに対応して発光素子3を上方に持ち上げようとする。よって、一時保持用部材200から第2保持用基板300に発光素子3を転写する際、下向きの力(第2保持用基板300に向かう力。図6のS33及び図7のS34の矢印Fを参照)であって、粘着部220と被保持面3dとの剥離部分に作用する粘着力以上の力が発光素子3に作用すると、粘着部220の剥離部分は、被保持面3dから剥離する。なお、粘着部220の剥離部分の粘着力は、剥離部分の幅W(図9参照)に比例する。
【0056】
粘着部220は、第1粘着部221と、第1粘着部221よりも捲り方向Mに配置された第2粘着部222と、を有している。また、第1粘着部221と第2粘着部222とは、同じ粘着材料で形成されており、単位面積当たりの粘着力は同じとなっている。例えば、一時保持用部材200は、一時保持用部材200自体が粘着性を有する粘着シートであり、発光素子3を転写した後(図5のS23)、第1粘着部221と第2粘着部222以外の領域を粘着力が低下する処理(例えば紫外線照射処理)を行う、すなわち第1粘着部221と第2粘着部222のみを粘着部220として残すことで形成されるものであってもよい。ただし第1粘着部221及び第2粘着部220を含む粘着部220の形成については上記の例に限るものではなく、対向領域215に相当する位置の第1面213に貼り付けられた粘着部材であってもよい。
【0057】
第1粘着部221は、対向領域215を捲り方向Mに2等分する仮想線Kよりも、捲り部211(図5のS21参照)寄りに配置されている。一方で、第2粘着部222は、仮想線Kよりも最後尾部分212(図5のS21参照)寄りに配置されている。そして、第1粘着部221と第2粘着部222とは、仮想線Kを挟むように配置されている。ここで、仮に第1粘着部221と第2粘着部222との両方が仮想線Kより捲り部211寄り、又は最後尾部分212寄りに配置されると、粘着部220に粘着し保持された発光素子3の姿勢が安定しない。この結果、第2保持用基板300に発光素子3を転写する際、アノード3bやカソード3aが曲がったり、発光素子3が所定の位置からずれたりしてしまう可能性がある。よって、本実施形態の第1粘着部221と第2粘着部222によれば、粘着部220に粘着する発光素子3の姿勢が安定する。
【0058】
第1粘着部221は、捲り方向Mに向かうにつれて幅Wが狭くなり、台形状を成している。第2粘着部222は、捲り方向に向かうにつれて幅Wが狭くなり、三角形状を成している。なお、幅Wとは、第1面213と平行であり、かつ捲り方向Mと直交する直交方向の長さである。第1粘着部221と第2粘着部222とは、仮想線K上で連続し、第1粘着部221と第2粘着部222とが一体化している。よって、粘着部220は、全体で三角形を成し、捲り方向Mに向かうにつれて次第に幅W方向が小さくなる。そして、このような粘着部220によれば、第2粘着部222を被保持面3dから剥離する際に必要な下向きの力Fは、第1粘着部221を被保持面3dから剥離する際に必要な下向きの力Fよりも小さくて済む。さらに、第1粘着部221及び第2粘着部222は、発光素子3との剥離部分が捲り方向Mに向かうにつれて、剥離に必要な下向きの力Fが次第に低減する。
【0059】
そのほか、図9に示すように、粘着部220は、対向領域215における最後尾部分212寄りの第1端部213bから離隔している。粘着部220は、対向領域215における捲り部211寄りの第2端部213aから離隔している。
【0060】
図5に示すように、第1転写工程S2は、最初に、一時保持用部材200を第1保持用基板100の上方に配置し、一時保持用部材200の第1面213と第1保持用基板100の第1面101と対向させる(S21)。また、一時保持用部材200の対向領域215と、発光素子3の被保持面3dとが、上下方向に重なるように位置合わせをする。さらに、一時保持用部材200の捲り方向Mと、複数の発光素子3が配列する第1方向Exと、が平行となるように配置する。次に、一時保持用部材200を複数の発光素子3に重ね合わせ、粘着部220を発光素子3の被保持面3dに粘着させる(S22)。次に、一時保持用部材200を上方に持ち上げる。これによれば、粘着部220の粘着力は、第1保持用基板100の粘着力よりも大きいため、発光素子3は、第1保持用基板100から剥離し、一時保持用部材200に保持される(S23)。以下、複数の発光素子3について、捲り部211の近い方から、第1列目の発光素子3、第2列目の発光素子3、第3列目の発光素子3と呼ぶ。
【0061】
(第2転写工程)
図6図7に示すように、第2転写工程S3は、一時保持用部材200から第2保持用基板300に発光素子3を転写する工程である。なお、第2保持用基板300は、平面状の粘着シートであり、粘着力を発揮する第1面301を有している(図6のS31を参照)。
【0062】
図6に示すように、第2転写工程S3は、最初に、一時保持用部材200を第2保持用基板300の上方に配置し、一時保持用部材200の第1面213を第2保持用基板300の第1面301に対向させる。次に、一時保持用部材200を下降させ、発光素子3のアノード3b及びカソード3aを第2保持用基板300の第1面301に粘着させる(S31)。
【0063】
次に、一時保持用部材200の第2面214に抑え部材400を当てる(S32)。抑え部材400は、剛性が高い平板であり、発光素子3の浮き上がりを抑制する部材である。抑え部材400は、全ての発光素子3を上方から抑えることができる大きさとなっている。よって、全ての発光素子3には、下向きの力F(第2保持用基板300に向かう力)が作用している。次に、基材シート210の捲り部211を上方に移動させ、一時保持用部材200を捲る(S32の矢印参照)。
【0064】
これにより、第1列目の粘着部220の第1粘着部221は、基材シート210とともに上方に持ち上げられる。よって、第1粘着部221と粘着する発光素子3には、上方に持ち上げられる力が作用する。一方で、発光素子3には、抑え部材400の抑え力Fが作用している。また、抑え部材400の抑え力Fは、第1粘着部221の粘着力よりも大きい。よって、第1粘着部221は、発光素子3の被保持面3dと剥離し始める(S33)。また、図9に示すように、粘着部220は、対向領域215の第2端部213aから離隔しているため、第1粘着部221と発光素子3との剥離がスムーズに生じやすくなっている。
【0065】
また、第1粘着部221と被保持面3dとの剥離時(S33)、第1粘着部221と発光素子3との剥離を阻害しないように、抑え部材400を捲り方向Mに移動させる。よって、第1粘着部221と発光素子3との剥離部分が捲り方向Mに移行するにつれて、抑え部材400は、発光素子3との当接面積が減少し、発光素子3に作用する抑え力Fが低減する。しかしながら、本実施形態の第1粘着部221は、捲り方向Mに向かうにつれて剥離部分の粘着力が低減する。よって、第1粘着部221の粘着力が抑え部材400の抑え力Fを超えないようになっている。
【0066】
そして、抑え部材400を捲り方向Mに移動させつつ、基材シート210の捲りを継続していくと、粘着部220と被保持面3dとの剥離部分は、第2粘着部222に移行する(S34)。ここで、第2粘着部222の剥離部分の粘着力は、第1粘着部221より小さい。よって、抑え部材400は、捲り方向Mに移動し、抑え力Fが低減しているものの、第2粘着部222の剥離部分の粘着力よりも大きい。このため、発光素子3は持ち上がることなく、第2粘着部222と剥離し始める。
【0067】
また、第2粘着部222においても、捲り方向Mに向かうにつれて幅Wが狭く、第2粘着部222の剥離部分の粘着力が低減するようになっている。よって、第2粘着部222の粘着力は、抑え部材400の抑え力Fを超えないようになっている。そして、第2粘着部222の全面が発光素子3の被保持面3dと剥離すると、第1列目の発光素子3が第2保持用基板300に転写される。
【0068】
そのほか、図9に示すように、粘着部220は、対向領域215の第1端部213bから離隔して設けられている。よって、粘着部220のすべてが発光素子3の被保持面3dから剥離した後であっても、被保持面3dに対向領域215が当接し、抑え板440の抑え力が作用する。よって、発光素子3は確実に第2保持用基板300に転写される。
【0069】
次に、第1列目の発光素子3の転写が完了したら、抑え部材400を捲り方向Mに移動させつつ、基材シート210の捲りを継続する(S35)。これにより、第2列目の発光素子3の転写、と第3列目の発光素子3の転写が完了し(S36)、第2転写工程S3が終了する。
【0070】
(搭載工程)
搭載工程S4は、第2保持用基板300から発光素子3を一つずつピックアップし、アレイ基板2に搭載する工程である。最初に、発光素子3に被保持面3dに真空吸着ノズル500を当て、真空吸着ノズル500に発光素子3を吸着させて保持する(S41)。次に、真空吸着ノズル500を上方に移動させて、発光素子3を第2保持用基板300から分離させる。
【0071】
次に、真空吸着ノズル500をアレイ基板2の上方に配置する。また、発光素子3のカソード3aが第1電極22の上方に位置し、かつアノード3bが第2電極23の上方に位置するように位置合わせをする。また、第1電極22及び第2電極23にレーザを当てて溶融させる。次に、真空吸着ノズル500を下方に移動させ、カソード3a及びアノード3bを第1電極22及び第2電極23に接合させる(S42)。つぎに、第1電極22及び第2電極23が硬化したら、真空吸着ノズル500の吸着を停止し、真空吸着ノズル500をアレイ基板2から離隔し、搭載工程S4が完了となる。
【0072】
このような実施形態によれば、第1保持用基板100よりも粘着力が弱い第2保持用基板300に発光素子を転写することができる。よって、真空吸着ノズル500は、吸着力が小さいものを選択できる。また、第2転写工程S3による第2保持用基板300への発光素子3の転写が容易となり、表示装置1の生産効率が向上する。
【0073】
以上、一時保持用部材200及び表示装置1の製造方法について説明したが、本開示の一時保持用部材及び表示装置の製造方法は、これに限定されない。以下、一時保持用部材200の粘着部220の変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0074】
(変形例1)
図10は、変形例1の粘着部を拡大した平面図である。変形例1の粘着部220Aは、第1粘着部221Aと、第2粘着部222Bと、を備える。第1粘着部221Aは、幅Wが捲り方向Mに向かうにつれて小さくなり、台形状となっている。同様に、第2粘着部222Aも、幅Wが捲り方向Mに向かうにつれて小さくなり、台形状となっている。第1粘着部221Aと第2粘着部222Aとは、仮想線K上で連続し、第1粘着部221Aと第2粘着部222Aとが一体化している。よって、粘着部220Aは、全体で台形状を成しており、捲り方向Mに向かうにつれて、連続して幅W方向が小さくなっている。以上から、変形例1の粘着部220Aによれば、第2粘着部222Aが発光素子3と剥離する場合、第2粘着部222Aの剥離部分の粘着力は、第1粘着部221Aの剥離部分の粘着力よりも小さい。また、粘着部220Aの剥離部分の粘着力は、捲り方向Mに向かうにつれて次第に低減し、抑え部材400の抑え力Fを超えないようになっている。よって、第2保持用基板330に発光素子3を確実に転写することができる。
【0075】
また、変形例1の粘着部220Aは、対向領域215の第1端部215bまでの距離が実施形態1の粘着部220よりも大きい。さらに、変形例1の粘着部220Aは、対向領域215の第2端部215aまでの距離が実施形態1の粘着部220よりも大きい。このため、粘着部220Aの粘着力が小さく抑えられている。よって、第1保持用基板100の粘着力が小さい場合、変形例1の粘着部220Aに発光素子3を転写することができる。
【0076】
(変形例2)
図11は、変形例2の粘着部を拡大した平面図である。変形例2の粘着部220Bは、第1粘着部221Bと、第2粘着部222Bと、を備える。変形例2の粘着部220Bは、幅W方向の長さが捲り方向Mに段階的に小さくなっている点において、幅W方向の長さが捲り方向Mに連続して段階的に小さくなっている実施形態1の粘着部220と異なる。このような粘着部220Bであっても、第2粘着部222Bの剥離部分の粘着力は、第1粘着部221Bの剥離部分の粘着力よりも小さい。また、粘着部220Bの剥離部分の粘着力は、捲り方向Mに向かうにつれて次第に低減し、抑え部材400の抑え力Fを超えないようになっている。よって、第2保持用基板330に発光素子3を容易に転写することができる。
【0077】
(変形例3)
図12は、変形例3の粘着部を拡大した平面図である。変形例3の粘着部220Cは、第1粘着部221Cと、第2粘着部222Cと、を備える。また、変形例3の粘着部220Cは、第1粘着部221Cと第2粘着部222Cとが連続していない点で、実施形態1の粘着部220と異なる。このような粘着部220Cであっても、第2粘着部222Cの剥離部分の粘着力は、第1粘着部221Cの剥離部分の粘着力よりも小さい。また、粘着部220Cの剥離部分の粘着力は、捲り方向Mに向かうにつれて次第に低減し、抑え部材400の抑え力Fを超えないようになっている。よって、第2保持用基板330に発光素子3を容易に転写することができる。以上から、本開示の粘着部は、第1粘着と第2粘着部とが一体化してものに限定されない。
【0078】
(変形例4)
図13は、変形例4の粘着部を拡大した平面図である。変形例4の粘着部220Dは、第1粘着部221Dと、第2粘着部222Dと、第3粘着部223Dと、を備える。なお、第1粘着部221D及び第2粘着部222Dは、第3変形例の第1粘着部221C及び第2粘着部222Cと同形状である。第3粘着部223Dは、第1粘着部221Dと、第2粘着部222Dと、の間に配置されている。第3粘着部223Dにおける幅W方向の長さは、捲り方向Mに向かって一旦大きくなり、仮想線Kを超えるあたりから小さくなっている。このような変形例4の粘着部220Dによれば、第3粘着部223Dが発光素子3と剥離する際、第3粘着部223Dの持ち上げ力が大きくなるものの、発光素子3を保持する保持力が大きくなり、発光素子3の姿勢の安定化を図ることができる。また、第2粘着部222Dの剥離部分の粘着力は、第1粘着部221Dの剥離部分の粘着力よりも小さい。よって、抑え部材400の抑え力Fが低減しても、第2粘着部222Dと発光素子3とを剥離させることができ、第2保持用基板330に発光素子3を容易に転写することができる。以上から、本開示の粘着部は、第1粘着と第2粘着部と以外の粘着部を備えていてもよい。
【0079】
(変形例5)
図14は、変形例5の粘着部を拡大した平面図である。変形例5の粘着部220Eは、第1粘着部221Eと、第2粘着部222Eと、を備える。第1粘着部221Eは、幅Wが捲り方向Mに向かうにつれて小さくなり、台形状を成している。第2粘着部222Eは、幅Wが捲り方向Mに向かうにつれて小さくなる台形部224と、幅Wが一定の長方形部225と、を有している。長方形部225は、台形部224よりも幅Wが小さい。このような粘着部220Eであっても、第2粘着部222Eの剥離部分の粘着力は、第1粘着部221Eの剥離部分の粘着力よりも小さい。よって、抑え部材400の抑え力Fが低減しても、第2粘着部222Eと発光素子3とを剥離させることができ、第2保持用基板330に発光素子3を容易に転写することができる。以上から、本開示の第1粘着部及び第2粘着部は、捲り方向Mに向かうにつれて次第に又は段階的に幅Wが小さくなるものに限定されない。言い換えると、本開示の第1粘着部は、長方形状を成し、一方で、第2粘着部は第1粘着部よりも幅Wの長さが小さい長方形状を成すものであってもよい。
【0080】
(変形例6)
図15は、変形例6の粘着部を拡大した平面図である。次に変形例6の一時保持用部材の粘着部について説明する。変形例6の粘着部220Fは、平面視で長方形状となっており、幅Wが捲り方向Mに向かって変化せず、均一となっている。よって、この粘着部220Fによれば、粘着部220Fの剥離部分の粘着力は一定であり、低減しない。一方で、粘着部220Fと第1端部215bとの距離L11は、粘着部220Fと第2端部215aまでの距離L12よりも長い。よって、抑え部材400の抑え力Fが粘着部220Fの剥離部分の粘着力よりも小さくなる前に、粘着部220Fのすべてが発光素子3から剥離するようになっている。第2保持用基板330に発光素子3を転写することができる。
【0081】
(変形例7)
図16は、変形例7の粘着部を拡大した平面図である。変形例7の一時保持用部材の粘着部について説明する。変形例7粘着部220Gは、第1粘着部221Gと、第2粘着部222Gと、を備える。第1粘着部221Gと第2粘着部222Gは、ともに長方形状となっており、面積が同じとなっている。また、第1粘着部221Gの粘着材料は、第2粘着部222Gの粘着材料と異なり、単位面積当たりの粘着力が大きいものが使用されている。よって、第1粘着部221Gは、第2粘着部222Gよりも粘着力が大きい。この粘着部220Gによれば、第2粘着部222Gの剥離部分の粘着力は、第1粘着部221Gの剥離部分の粘着力よりも小さいため、第2保持用基板330に発光素子3を容易に転写することができる。なお、変形例7では、第1粘着部221Gと第2粘着部222Gとを異なる粘着材料で形成した場合を挙げているが、第1粘着部221Gと第2粘着部222Gの形状については、長方形状に限定されず、台形状や三角形状としてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 表示装置
2 アレイ基板
3 発光素子(無機発光ダイオード)
3a カソード
3b アノード
3c 端子面
3d 被保持面
22 第1電極
23 第2電極
100 第1保持用基板
101 第1面
102 作業台
200 一時保持用部材
210 基材シート
211 捲り部
212 最後尾部分
213 第1面
214 第2面
215 対向領域
216 非対向領域
220、220A、220B、220C、220D、220E、220F、220G 粘着部
221、221A、221B、221C、221D、221E、221G 第1粘着部
222、222A、222B、222C、222D、222E、222G 第2粘着部
223D 第3粘着部
300 第2保持用基板
301 第1面
400 抑え部材
500 真空吸着ノズル
F 抑え力
M 捲り方向
S1 準備工程
S2(S21、S22、S23) 第1転写工程
S3(S31、S32、S33、S35、S36) 第2転写工程
S4(S41、S42) 搭載工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16