(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】多数個取り配線基板および配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231109BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20231109BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20231109BHJP
H01L 23/13 20060101ALI20231109BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H05K1/02 G
H05K3/46 H
H05K3/00 X
H01L23/12 C
H01L23/12 N
(21)【出願番号】P 2020088605
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2022-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】糠谷 芳樹
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-186967(JP,A)
【文献】特開2007-258318(JP,A)
【文献】特開2013-207204(JP,A)
【文献】特開2006-310796(JP,A)
【文献】特開2006-210615(JP,A)
【文献】特開2008-005088(JP,A)
【文献】特開2019-047005(JP,A)
【文献】国際公開第2013/099854(WO,A1)
【文献】特開2010-182981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/46
H05K 3/00
H01L 23/13
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層が積層された積層体構造を有しており、積層方向に見たときに、複数の基板要素部が第1方向、及び前記第1方向に垂直な第2方向に並んで配置され、
前記複数の基板要素部のそれぞれの表面に形成されている複数のメッキ部と、
前記基板要素部の周囲に配置され、かつ前記複数の絶縁層の間に配置されるとともに、前記複数のメッキ部に電気的に接続される複数のメッキ用配線と
を備えている多数個取り配線基板であって、
前記複数のメッキ用配線は、積層方向に見たときに、前記第1方向に垂直な第2方向に延びており、前記複数のメッキ用配線のうち隣り合う2つのメッキ用配線は、いずれも1つの前記基板要素部を挟むように前記第1方向に並んでおり、
前記複数の基板要素部のうち前記第2方向に隣り合う2つの基板要素部は、積層方向に見たときに、いずれも絶縁層のみを介して並んでおり、
前記複数のメッキ部は、1つの前記基板要素部において互いに電気的に独立した第1メッキ部及び第2メッキ部を、前記基板要素部毎に有し、
前記メッキ用配線は、前記複数の絶縁層のうちの第1絶縁層上に形成されている第1メッキ配線と、前記複数の絶縁層のうちの第2絶縁層上に形成されている第2メッキ配線とを含み、
前記第1絶縁層上には、少なくとも1つの第1金属部が前記基板要素部のそれぞれに設けられており、
前記第2絶縁層上には、複数の第2金属部が前記基板要素部のそれぞれに設けられており、
前記少なくとも1つの第1金属部は、1つの前記基板要素部において前記第1メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記基板要素部を挟む2つの前記第1メッキ配線と第1接続部を介してそれぞれ接続されており、
前記複数の第2金属部は、1つの前記基板要素部において、1つが前記第1メッキ部及び前記第1金属部と電気的に接続され、他の1つが前記第2メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記基板要素部を挟む2つの前記第2メッキ配線のいずれか一方と第2接続部を介してそれぞれ接続される、
多数個取り配線基板。
【請求項2】
前記複数のメッキ部は、1つの前記基板要素部において前記第1メッキ部及び前記第2メッキ部と電気的に独立した第3メッキ部を、前記基板要素部毎に有し、
前記第1絶縁層上には、第3金属部がさらに設けられており、
前記第3金属部は、1つの前記基板要素部において前記第3メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記基板要素部を挟む2つの前記第1メッキ配線のいずれか一方と第3接続部を介してそれぞれ接続される、請求項1に記載の多数個取り配線基板。
【請求項3】
前記複数のメッキ部は、1つの前記基板要素部において前記第1メッキ部及び前記第2メッキ部と電気的に独立した第4メッキ部を、前記基板要素部毎に有し、
前記複数の第2金属部のうちのさらに他の1つは、1つの前記基板要素部内において、前記第4メッキ部と電気的に接続されており、前記基板要素部を挟む2つの前記第2メッキ配線のいずれか一方と接続部を介してそれぞれ接続されている、請求項1または2に記載の多数個取り配線基板。
【請求項4】
前記第1メッキ配線と前記第2メッキ配線とを電気的に接続する接続ビアをさらに備えている、請求項1から3の何れか1項に記載の多数個取り配線基板。
【請求項5】
複数の絶縁層が積層された積層体構造を有し、表面に形成されているメッキ部を有する配線基板であって、
前記メッキ部は、互いに電気的に独立した第1メッキ部及び第2メッキ部を有し、
前記複数の絶縁層の間に配置され
、メッキを形成するための給電経路である少なくとも1つの第1金属部と、
前記第1金属部が配置される位置とは異なる前記複数の絶縁層の間に配置され
、メッキを形成するための給電経路である複数の第2金属部と、
を有し、
前記少なくとも1つの第1金属部は、前記第1メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記配線基板の外側の側面のうち、互いに対向する2つの側面にのみ露出しており、
前記複数の第2金属部は、1つが前記第1メッキ部及び前記第1金属部と電気的に接続され、他の1つが前記第2メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記2つの側面のいずれか一方にのみ露出している、配線基板。
【請求項6】
前記メッキ部は、前記第1メッキ部及び前記第2メッキ部と電気的に独立した第3メッキ部をさらに有し、
前記第1金属部が配置される第1絶縁層上に、第3金属部がさらに設けられており、
前記第3金属部は、前記第3メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記2つの側面のいずれか一方にのみ露出している、請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記メッキ部は、前記第1メッキ部及び前記第2メッキ部と電気的に独立した第4メッキ部をさらに有し、
前記複数の第2金属部のうちのさらに他の1つは、前記第4メッキ部と電気的に接続されているとともに、前記2つの側面のいずれか一方にのみ露出している、
請求項5に記載の配線基板。
【請求項8】
前記メッキ部は、前記第1メッキ部、前記第2メッキ部及び前記第3メッキ部と電気的に独立した第4メッキ部をさらに有し、
前記複数の第2金属部のうちのさらに他の1つは、前記第4メッキ部と電気的に接続されているとともに、前記2つの側面のいずれか一方にのみ露出している、
請求項6に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数個取り配線基板に関する。また、本発明は、多数個取り配線基板を分割して得られる配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板要素部を含む多数個取り配線基板は、個片の配線基板となる基板領域(製品エリアとも呼ばれる)と、この基板領域の外側に位置する外周領域とを有している。多数個取り配線基板を個々の基板領域に切断することで、個片化された配線基板が得られる。
【0003】
多数個取り配線基板は、金属層を印刷形成したセラミックシートを複数積層して板状積層体とし、この板状積層体を焼結させることによって製造される。その後、板状積層体の表面に形成されている金属層には、電解めっきによってメッキ層が形成される。
【0004】
このような構成を有する多数個取り配線基板において、電解めっきによって形成されるメッキ層の厚みのバラツキを低減させるための方法が提案されている。例えば、特許文献1には、複数のパッケージpが配置される製品領域Aを有する多数個取り配線基板において、メタライズ層に被覆されるメッキ層の厚みのバラツキを抑えることのできる構成が開示されている。特許文献1に開示された多数個取り配線基板は、第1方向Xに隣接する各パッケージpの表面メタライズ層10との間を接続するタイバー12、および隣接する各パッケージpの内部メタライズ層11との間を接続する第2方向Yに沿ったタイバー13を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている多数個取り配線基板は、基板の周辺領域に設けられたメッキ用電極と、個々の基板要素部(パッケージp)内の配線層(メタライズ層)とを導通可能とするメッキ用配線として、第1方向Xおよび第2方向Yという2つの方向に延びるタイバーを有している。このような構成を有する多数個取り配線基板を分割して得られる配線基板には、個々の配線基板の切断端面のそれぞれに、メッキ用配線(すなわち、タイバー)と接続するための個々の基板要素部内の配線層が露出する箇所が存在する。
【0007】
多数個取り配線基板を分割して得られる個々の配線基板において、このような配線層の露出箇所は、被覆などの後処理を必要とする。配線基板の各端面にメッキ用配線の露出箇所が存在すると、後処理の作業に手間がかかることになる。
【0008】
また、多数個取り配線基板には、各基板要素部に電気的に独立した複数のメッキ部を有するものも存在する。このような構成において、各基板要素部のメッキ厚みを均一にしながら、メッキ用配線が露出する端面の数を減らすことを試みると、配線の構造が複雑化するという問題がある。
【0009】
そこで、本発明では、多数個取り配線基板を分割して得られる配線基板の端面におけるメッキ用配線と接続するための接続部(配線層)の露出箇所を減らすことのできる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面にかかる多数個取り配線基板は、複数の絶縁層が積層された積層体構造を有しており、積層方向に見たときに、複数の基板要素部が第1方向、及び前記第1方向に垂直な第2方向に並んで配置され、前記複数の基板要素部のそれぞれの表面に形成されている複数のメッキ部と、前記基板要素部の周囲に配置され、かつ前記複数の絶縁層の間に配置されるとともに、前記複数のメッキ部に電気的に接続される複数のメッキ用配線とを備えている。この多数個取り配線基板において、前記複数のメッキ用配線は、積層方向に見たときに、前記第1方向に垂直な第2方向に延びており、前記複数のメッキ用配線のうち隣り合う2つのメッキ用配線は、いずれも1つの前記基板要素部を挟むように前記第1方向に並んでおり、前記複数の基板要素部のうち前記第2方向に隣り合う2つの基板要素部は、積層方向に見たときに、いずれも絶縁層のみを介して並んでおり、前記複数のメッキ部は、1つの前記基板要素部において互いに電気的に独立した第1メッキ部及び第2メッキ部を、前記基板要素部毎に有し、前記メッキ用配線は、前記複数の絶縁層のうちの第1絶縁層上に形成されている第1メッキ配線と、前記複数の絶縁層のうちの第2絶縁層上に形成されている第2メッキ配線とを含み、前記第1絶縁層上には、少なくとも1つの第1金属部が前記基板要素部のそれぞれに設けられており、前記第2絶縁層上には、複数の第2金属部が前記基板要素部のそれぞれに設けられており、前記少なくとも1つの第1金属部は、1つの前記基板要素部において前記第1メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記基板要素部を挟む2つの前記第1メッキ配線と第1接続部を介してそれぞれ接続されており、前記複数の第2金属部は、1つの前記基板要素部において、1つが前記第1メッキ部及び前記第1金属部と電気的に接続され、他の1つが前記第2メッキ部電気的に接続されるとともに、前記基板要素部を挟む2つの前記第2メッキ配線のいずれか一方と第2接続部を介してそれぞれ接続される。
【0011】
上記の構成によれば、第1金属部41が基板要素部を挟む2つの第1メッキ配線と第1接続部を介してそれぞれ接続されていることで、基板要素部11の両側に配置されている2つの第1メッキ配線の間の給電経路を形成することができる。また、第1金属部41とは別の絶縁層に上記の構成を有する第2金属部が形成されていることで、第1金属部を介して、第2金属部への給電経路を形成することができる。
【0012】
また、上記の構成によれば、複数の基板要素部のうち第2方向に隣り合う2つの基板要素部は、積層方向に見たときに、いずれも絶縁層のみを介して並んでいる。これにより、各基板要素部のメッキ厚みを均一にしながら、メッキ用配線が露出する端面の数を減らすことができる。
【0013】
上記の本発明の一局面にかかる多数個取り配線基板において、前記複数のメッキ部は、1つの前記基板要素部において前記第1メッキ部及び前記第2メッキ部と電気的に独立した第3メッキ部を、前記基板要素部毎に有し、前記第1絶縁層上には、第3金属部がさらに設けられており、前記第3金属部は、1つの前記基板要素部において前記第3メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記基板要素部を挟む2つの前記第1メッキ配線のいずれか一方と第3接続部を介してそれぞれ接続されていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、各基板要素部に電気的に独立した複数のメッキ部を有するような比較的複雑な配線構造する多数個取り配線基板であっても、配線の構造が複雑化することを抑えつつ、各基板要素部のメッキ厚みを均一にしながら、メッキ用配線が露出する端面の数を減らすことができる。
【0015】
上記の本発明の一局面にかかる多数個取り配線基板において、前記複数のメッキ部は、1つの前記基板要素部において前記第1メッキ部及び前記第2メッキ部と電気的に独立した第4メッキ部を、前記基板要素部毎に有し、前記複数の第2金属部のうちのさらに他の1つは、1つの前記基板要素部内において、前記第4メッキ部と電気的に接続されており、前記基板要素部を挟む2つの前記第2メッキ配線のいずれか一方と接続部を介してそれぞれ接続されていてもよい。また、多数個取り配線基板が第3メッキ部を有している構成では、前記メッキ部は、前記第1メッキ部、前記第2メッキ部及び前記第3のメッキ部と電気的に独立していてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、各基板要素部に電気的に独立した複数のメッキ部を有するような比較的複雑な配線構造する多数個取り配線基板であっても、配線の構造が複雑化することを抑えつつ、各基板要素部のメッキ厚みを均一にしながら、メッキ用配線が露出する端面の数を減らすことができる。
【0017】
上記の本発明の一局面にかかる多数個取り配線基板は、前記第1メッキ配線と前記第2メッキ配線とを電気的に接続する接続ビアをさらに備えていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、異なる絶縁層上に形成されている第1メッキ配線および第2メッキ配線の間でより通電を行い易くすることができる。これにより、電解メッキ処理時の層間の給電を補強することができる。
【0019】
また、本発明のもう一つの局面は、複数の絶縁層が積層された積層体構造を有し、表面に形成されているメッキ部を有する配線基板に関する。この配線基板において、前記メッキ部は、互いに電気的に独立した第1メッキ部及び第2メッキ部を有する。また、この配線基板は、前記複数の絶縁層の間に配置される少なくとも1つの第1金属部と、前記第1金属部が配置される位置とは異なる前記複数の絶縁層の間に配置される複数の第2金属部とを有する。前記少なくとも1つの第1金属部は、前記第1メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記配線基板の外側の側面のうち、互いに対向する2つの側面にのみ露出しており、前記複数の第2金属部は、1つが前記第1メッキ部及び前記第1金属部と電気的に接続され、他の1つが前記第2メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記2つの側面のいずれか一方にのみ露出している。
【0020】
上記の構成によれば、電気的に独立した複数のメッキ部を有するような比較的複雑な配線構造する配線基板であっても、配線の構造が複雑化することを抑えつつ、メッキ用配線が露出する側面の数を減らすことができる。これにより、配線基板の側面における配線層の露出箇所の後処理の作業の手間を軽減することができる。
【0021】
また、本発明のもう一つの局面にかかる配線基板において、前記メッキ部は、前記第1メッキ部及び前記第2メッキ部と電気的に独立した第3メッキ部をさらに有し、前記第1金属部が配置される第1絶縁層上に、第3金属部がさらに設けられており、前記第3金属部は、前記第3メッキ部と電気的に接続されるとともに、前記2つの側面のいずれか一方にのみ露出していてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、第1メッキ部及び第2メッキ部と電気的に独立した第3メッキ部を有するより複雑な配線構造する配線基板であっても、配線の構造が複雑化することを抑えつつ、メッキ用配線が露出する端面の数を減らすことができる。
【0023】
上記の本発明のもう一つの局面にかかる配線基板において、前記メッキ部は、前記第1メッキ部及び前記第2メッキ部と電気的に独立した第4メッキ部をさらに有し、前記複数の第2金属部のうちのさらに他の1つは、前記第4メッキ部と電気的に接続されているとともに、前記2つの側面のいずれか一方にのみ露出していてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、第1メッキ部及び第2メッキ部と電気的に独立した第4メッキ部を有するより複雑な配線構造する配線基板であっても、配線の構造が複雑化することを抑えつつ、メッキ用配線が露出する端面の数を減らすことができる。
【0025】
上記の本発明のもう一つの局面にかかる配線基板において、前記メッキ部は、前記第1メッキ部、前記第2メッキ部及び前記第3メッキ部と電気的に独立した第4メッキ部をさらに有し、前記複数の第2金属部のうちのさらに他の1つは、前記第4メッキ部と電気的に接続されているとともに、前記2つの側面のいずれか一方にのみ露出していてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、第1メッキ部、第2メッキ部、および第3メッキ部と電気的に独立した第4メッキ部を有するより複雑な配線構造する配線基板であっても、配線の構造が複雑化することを抑えつつ、メッキ用配線が露出する端面の数を減らすことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、多数個取り配線基板を分割して得られる配線基板の端面におけるメッキ用配線と接続するための接続部の露出箇所を減らすことのできる構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1の実施形態にかかる多数個取り配線基板の第1セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図2】第1の実施形態にかかる多数個取り配線基板の第2セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる多数個取り配線基板に含まれる基板要素部の内部構成を模式的に示す断面図である。
【
図4】第1の実施形態にかかる多数個取り配線基板から製造される配線基板の概略構成を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す配線基板を別の方向から見た状態を示す斜視図である。
【
図6】第1の実施形態にかかる配線基板の第1セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図7】第1の実施形態にかかる配線基板の第2セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図8】第1の実施形態の変形例にかかる配線基板の第1セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図9】第2の実施形態にかかる多数個取り配線基板の第1セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図10】第2の実施形態にかかる多数個取り配線基板の第2セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図11】第3の実施形態にかかる多数個取り配線基板の構成を示す平面図である。
【
図12】第3の実施形態にかかる配線基板の構成を示す平面図である。
【
図13】第3の実施形態にかかる多数個取り配線基板に含まれる基板要素部の内部構成を模式的に示す断面図である。
【
図14】第3の実施形態にかかる配線基板の第1セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図15】第3の実施形態にかかる配線基板の第2セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図16】第3の実施形態にかかる配線基板のもう一つの第2セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図17】第3の実施形態にかかる配線基板の最下層のセラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図18】他の実施形態にかかる多数個取り配線基板の第1セラミックシート上の構成を示す平面模式図である。
【
図19】他の実施形態にかかる多数個取り配線基板の構成を示す平面模式図である。
【
図20】他の実施形態にかかる多数個取り配線基板の構成を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0030】
〔第1の実施形態〕
本実施形態では、多数個取り配線基板1を例に挙げて説明する。多数個取り配線基板1を個片化して得られる配線基板10は、電子機器などの配線基板、回路基板などとして利用される。
【0031】
(多数個取り配線基板の構成)
図1および
図2には、多数個取り配線基板1の平面構成を示す。
図1では、多数個取り配線基板1の第1セラミックシート31a上に形成されている各導電パターンの構成を模式的に示す。また、
図2では、多数個取り配線基板1の第2セラミックシート31b上に形成されている各導電パターンの構成を模式的に示す。
図3は、多数個取り配線基板1を構成する基板要素部11の断面構成を示す図である。
図3は、
図1に示す多数個取り配線基板1に含まれる1つの基板要素部11を、一点鎖線Xで切断したときの断面構成を示す図である。なお、
図1および
図2では、多数個取り配線基板1の表面(上面または下面)に形成されているメッキ部との接続ビア(例えば、接続ビア57、接続ビア58など)の図示は省略している。
【0032】
多数個取り配線基板1は、略平板状の外形を有している。多数個取り配線基板1は、複数の基板要素部11を含む製品エリアと、この製品エリアの外側に位置する外周エリア3とを有している。
【0033】
製品エリアは、基板の中央部分を構成している。製品エリアには、分割されて個々の配線基板10となる複数の基板要素部11が縦横に並んで配置されている。本実施形態では、複数の基板要素部11の配列方向について、
図1に示す横方向を第1方向D1とし、第1方向Dに垂直な縦方向を第2方向D2とする。また、
図3に示すように、多数個取り配線基板1を構成する複数のセラミックシート(絶縁層)31の積層方向を、第3方向D3とする。
【0034】
各基板要素部11には、導電性を有する各種金属層などからなる導電パターンによって内部回路素子が形成されている。また、各基板要素部11の表面には、複数のメッキ部(例えば、第1メッキ部61~第4メッキ部64)が形成されている。各メッキ部は、外部との接続端子(接合部)などとして機能する。
図3に示すように、各メッキ部は、表面金属層12を覆うように設けられている。
【0035】
外周エリア3は、基板の外周部分を構成している。外周エリア3は、製品エリアを取り囲むように設けられている。外周エリア3は配線基板10の要素とはならないため、外周エリア3には、内部回路素子は形成されていない。外周エリア3には、複数のメッキ用端子21、メッキ用配線22などが形成されている。
【0036】
メッキ用端子21は、多数個取り配線基板1の端部に形成されている。本実施形態では、略長方形の平板形状を有する多数個取り配線基板1の長手方向(
図1では、第2方向D2)に延びる各端辺に、複数のメッキ用端子21が互いに略等間隔に並んで配置されている。メッキ用端子21は、メッキ用電源に電気的に接続される。また、メッキ用端子21は、メッキ用配線22と接続されている。
【0037】
メッキ用配線22は、基板要素部11が配置されている製品エリアの周囲に配置されている。メッキ用配線22は、複数のセラミックシート(絶縁層)31の間に配置されている。メッキ用配線22は、各基板要素部11の表面に形成されている複数のメッキ部(例えば、第1メッキ部61~第4メッキ部64)に電気的に接続されている。
【0038】
メッキ用配線22は、製品エリア内で複数のメッキ用配線22a~22fに分岐している。本実施形態では、これら複数のメッキ用配線22a~22fは、第3方向(積層方向)に見たときに(すなわち、上面視で)、第2方向D2に延びている。そして、複数のメッキ用配線22a~22fのうち隣り合う2つのメッキ用配線は、いずれも1つの基板要素部11を挟むように第1方向D1に並んでいる。例えば、隣り合う2つのメッキ用配線22aおよび22bの間に、第2方向D2に沿って配列された複数の基板要素部11が配置されている。後述するように、メッキ用配線22は、複数のセラミックシート31のうちの2つ以上のセラミックシート31上に形成されている。
【0039】
基板要素部11は、例えば、長方形、正方形などの矩形状を有している。多数個取り配線基板1が製造されると、その後、多数個取り配線基板1は切断され、個々の基板要素部11に分割される。これにより、個々の配線基板10が得られる。
図4および
図5には、配線基板10の外観構成を示す。
【0040】
また、
図1などに示すように、製品エリア内で隣接する各基板要素部11の間は、切断予定領域4となっている。複数のメッキ用配線(例えば、メッキ用配線22b~22e)は、この切断予定領域4内に配置されている。多数個取り配線基板1から配線基板10を製造する際には、多数個取り配線基板1は切断予定線Cで切断され、切断予定領域4が切り取られる。この切断予定線Cには、基板要素部11を個々に区画するために縦横に延びるスリット、切り込み、溝などが形成されていてもよい。
【0041】
多数個取り配線基板1は、複数のセラミックシート(絶縁層)31(例えば、31a、31b、および31cなど)が積層された積層体構造を有している(
図3参照)。セラミックシート31は、例えばアルミナ(Al
2O
3)を主成分とする高温焼成セラミックで形成することができる。また、別の態様では、セラミックシート31は、ガラス-セラミックなどの中温焼成セラミック(MTCC)で形成されてもよい。
【0042】
図3には、3枚のセラミックシート31(具体的には、第1セラミックシート(第1絶縁層)31a、第2セラミックシート(第2絶縁層)31b、および第3セラミックシート31c)を有する多数個取り配線基板1が例示されているが、セラミックシートの枚数はこれに限定されない。セラミックシート31の枚数は、最終的に得られる配線基板10の用途、仕様などに応じて適宜決められる。
【0043】
複数のセラミックシート31の間には、導電パターンとなる金属層が形成されている。金属層は、銅(Cu)、タングステン(W)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、またはマンガン(Mn)などの金属材料、あるいはこれらの金属材料を主成分とする合金材料によって形成することができる。金属層は、最終的に得られる配線基板10に所望される回路構成に応じて任意の形状(パターン)となるように各セラミックシート31上に印刷される。
【0044】
多数個取り配線基板1の表面には、表面金属層12が形成されている。
図3に示す例では、最上層の第3セラミックシート31cの上及び最下層の第1セラミックシート31aの下に、に、表面金属層12が形成されている。表面金属層12は、多数個取り配線基板1の内部に形成されている金属層と同様の材料で形成することができる。
【0045】
表面金属層12の表面には、メッキ部が形成されている。メッキ部は、例えば、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、および銀(Ag)などで形成された表面金属層12の表面に、ニッケル(Ni)めっきおよび金(Au)めっきなどを施すことによって形成される。メッキ部は、例えば、従来公知の電解めっき法によって形成することができる。
【0046】
本実施形態では、1つの基板要素部11において互いに電気的に独立した複数のメッキ部が形成されている。これら複数のメッキ部は、各々の基板要素部11に形成されている。具体的には、1つの基板要素部11には、互いに電気的に独立した第1メッキ部61、第2メッキ部62、第3メッキ部63、および第4メッキ部64が形成されている(
図4参照)。ここで、複数のメッキ部が1つの基板要素部11において互いに電気的に独立しているとは、多数個取り配線基板1が個片化された状態(
図4などに示す配線基板10の状態)で、第1メッキ部61、第2メッキ部62、第3メッキ部63、および第4メッキ部64などの各メッキ部が、互いに電気的に独立していることを意味する。
【0047】
各メッキ部は、多数個取り配線基板1の内部においてメッキ用配線22と電気的に接続されている。具体的には、
図3に示すように、各メッキ部(例えば、第1メッキ部61、第2メッキ部62、および第4メッキ部64など)の下に形成されている表面金属層12が、第3セラミックシート31cを貫通する接続ビア57を介して内部の金属層(例えば、第2金属部42など)と電気的に接続されている。また、各メッキ部(例えば、第3メッキ部63など)の下に形成されている表面金属層12が、第1セラミックシート31aを貫通する接続ビア58を介して内部の金属層(例えば、第3金属部43など)と電気的に接続されている。そして、各金属層は、セラミックシート31上に形成されている第1メッキ配線23または第2メッキ配線24と電気的に接続されている。
【0048】
メッキ用配線22は、複数のセラミックシート31のうちの2つ以上のセラミックシート31上に形成されている。例えば、
図3に示すように、3層のセラミックシート31(すなわち、第1セラミックシート31a、第2セラミックシート31b、および第3セラミックシート31c)を有する多数個取り配線基板1の場合には、メッキ用配線22は、第1セラミックシート31a上に形成されている第1メッキ配線23と、第2セラミックシート31b上に形成されている第2メッキ配線24とを含む。
【0049】
図1に示すように、第1メッキ配線23は、第2方向D2に延びる各メッキ用配線22a~22fを構成する第1メッキ配線23a~23fを含む。また、
図2に示すように、第2メッキ配線24は、第2方向D2に延びる各メッキ用配線22a~22fを構成する第2メッキ配線24a~24fを含む。第1メッキ配線23a~23fおよび第2メッキ配線24a~24fは、所定の形状(パターン)となるように所定のセラミックシート31上に印刷される。
【0050】
メッキ用配線22を構成する第1メッキ配線23および第2メッキ配線24の形成位置は、上記のものに限定はされない。なお、第1メッキ配線23は、1つのセラミックシート(例えば、第1セラミックシート31a)のみに形成されている。一方、第2メッキ配線24は、複数のセラミックシートに形成されていてもよい。すなわち、多数個取り配線基板1は、複数の第2セラミックシート31bを有していてもよい。
【0051】
例えば、多数個取り配線基板1が8層のセラミックシート31で構成されている場合には、8層のセラミックシート31のうちの3層のセラミックシート31に第1メッキ配線23または第2メッキ配線24が形成される。そして、上記3層のセラミックシート31のうちの1層(すなわち、第1セラミックシート31a)に、第1メッキ配線23が形成され、残りの2層のセラミックシート(すなわち、第2セラミックシート31b)に、第2メッキ配線24が形成される。
【0052】
図1および
図2に示すように、各メッキ配線23および24は、外周エリア3にも延びている。外周エリア3において、各メッキ配線23および24は、メッキ用端子21と接続されている。これにより、電解メッキ処理時にメッキ用電源から供給される電力を、各メッキ配線23および24を介して表面金属層12まで供給することができる。
【0053】
各メッキ配線23および24は、多数個取り配線基板1の内部に形成されている金属層と同様の材料で形成することができる。例えば、メッキ配線23および24は、銅(Cu)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、および銀(Ag)などで形成することができる。
【0054】
多数個取り配線基板1を構成する各セラミックシート31の間には、導電パターンとなる金属層が形成されている。これらの金属層には、第1金属部41、第2金属部42(具体的には、第2金属部42a、42b、42c)、および第3金属部43などが含まれる。第1金属部41、第2金属部42、および第3金属部43は、最上層の第3セラミックシート31cの上、または最下層の第1セラミックシート31aの下に形成されている表面金属層12と電気的に接続されている。
【0055】
第1金属部41は、第1セラミックシート31a上に形成されている。第1金属部41は、各基板要素部11に設けられている。第1金属部41は、1つの基板要素部11において接続ビア(例えば、接続ビア51、接続ビア57、接続ビア58など)を介して、第1メッキ部61と電気的に接続されている。また、
図1に示すように、第1金属部41は、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23と、第1接続部53aおよび53bを介してそれぞれ接続されている。例えば、第1メッキ配線23aと第1メッキ配線23bとの間に位置する基板要素部11の場合、第1金属部41と第1メッキ配線23aとは、第1接続部53aを介して接続されており、第1金属部41と第1メッキ配線23bとは、第1接続部53bを介して接続されている。
【0056】
第2金属部42は、第2セラミックシート31b上に形成されている。第2金属部42は、各基板要素部11に設けられている。1つの基板要素部11において、第2金属部42は、複数の金属部を含んでいる。本実施形態では、第2金属部42は、3つの第2金属部42a、42b、および42cを有している。これらの第2金属部42は、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第2メッキ配線24の何れか一方のみと接続されている。
【0057】
第2金属部42のうちの1つ(本実施形態では、第2金属部42a)は、1つの基板要素部11内において(すなわち、
図4などに示す配線基板10の状態で)、第1メッキ部61および第1金属部41と電気的に接続されている。例えば、
図3に示すように、第2金属部42aは、接続ビア51を介して第1金属部41と接続されているとともに、接続ビア57および表面金属層12を介して第1メッキ部61と接続されている。また、第2金属部42aは、基板要素部11を挟むようにして配置されている2つの第2メッキ配線24のいずれか一方と第2接続部54aを介して接続されている。例えば、2つの第2メッキ配線24aおよび24bの間に配置されている基板要素部11の場合、当該基板要素部11内の第2金属部42aは、第2メッキ配線24aと第2接続部54aを介して接続されている。
【0058】
第2金属部42のうちの他の1つ(本実施形態では、第2金属部42b)は、1つの基板要素部11内において(すなわち、
図4などに示す配線基板10の状態で)、第2メッキ部62と電気的に接続されている。例えば、第2金属部42bは、接続ビア57および表面金属層12を介して第2メッキ部62と接続されている。また、第2金属部42bは、基板要素部11を挟むようにして配置されている2つの第2メッキ配線24のいずれか一方と第2接続部54bを介して接続されている。例えば、2つの第2メッキ配線24aおよび24bの間に配置されている基板要素部11の場合、当該基板要素部11内の第2金属部42bは、第2メッキ配線24aと第2接続部54bを介して接続されている。
【0059】
第2金属部42のうちのさらに他の1つ(本実施形態では、第2金属部42c)は、1つの基板要素部11内において(すなわち、
図4などに示す配線基板10の状態で)、第4メッキ部64と電気的に接続されている。例えば、第2金属部42cは、接続ビア57および表面金属層12を介して第4メッキ部64と接続されている。また、第2金属部42cは、基板要素部11を挟むようにして配置されている2つの第2メッキ配線24のいずれか一方と第2接続部54cを介して接続されている。例えば、2つの第2メッキ配線24aおよび24bの間に配置されている基板要素部11の場合には、当該基板要素部11内の第2金属部42cは、第2メッキ配線24bと第2接続部54cを介して接続されている。
【0060】
第3金属部43は、第1セラミックシート31a上に形成されている。第3金属部43は、各基板要素部11に設けられている。第3金属部43は、1つの基板要素部11において(すなわち、
図4などに示す配線基板10の状態で)、第3メッキ部63と電気的に接続されている。また、第3金属部43は、基板要素部11を挟むようにして配置されている2つの第1メッキ配線23のいずれか一方と第3接続部55を介して接続されている。例えば、2つの第1メッキ配線23aおよび23bの間に配置されている基板要素部11の場合、当該基板要素部11内の第3金属部43は、第1メッキ配線23bと第3接続部55を介して接続されている。
【0061】
以上のように、本実施形態にかかる多数個取り配線基板1では、メッキ配線が形成されている複数のセラミックシート31のうちの一つ(すなわち、第1セラミックシート31a)が、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23とそれぞれ接続されている第1金属部41を有している。これにより、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23の間の給電経路を形成することができる。
【0062】
また、多数個取り配線基板1は、メッキ配線が形成されている複数のセラミックシート31のうちのその他(すなわち、第2セラミックシート31b)に、第1金属部41と接続ビア51を介して接続されている第2金属部42aを有している。第2金属部42aは、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23の何れか一方と接続されている。そして、上記その他のセラミックシート31(すなわち、第2セラミックシート31b)には、第2金属部42aとは別の第2金属部(すなわち、第2金属部42bおよび42c)が形成されている。これらの第2金属部42bおよび42cは、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23の何れか一方と接続されている。これにより、第1金属部41と接続されている第2金属部42aを介して、他の第2金属部42bおよび42cなどへメッキ用電源からの電気を送ることができる。
【0063】
したがって、本実施形態にかかる多数個取り配線基板1によれば、第1セラミックシート31aとは別のセラミックシート31(例えば、第2セラミックシート31b)上に形成されている第2金属部42にメッキ用電源からの電気を送ることができる。これにより、各基板要素部11において電気的に独立した複数のメッキ部を有する多数個取り配線基板1において、各基板要素部11のメッキ厚みのバラツキを低減させることができる。
【0064】
また、多数個取り配線基板1が上記のような第1金属部41を有していることで、基板要素部11内に、第1方向D1に隣り合う2つの第1メッキ配線23の間の給電経路が形成される。これにより、第2方向D2に隣り合う2つの基板要素部11の間に、メッキ用配線やこれと接続される配線層などを設ける必要性が小さくなる。
【0065】
そのため、本実施形態にかかる多数個取り配線基板1では、複数の基板要素部11のうち第2方向D2に隣り合う2つの基板要素部11が、第3方向D3に見たときに、いずれもセラミックシート31のみを介して並んでいる構成とすることができる。言い換えると、第2方向D2に隣り合う2つの基板要素部11の間に、メッキ配線23また24と接続するための接続部(配線層)が露出しない構成とすることができる。
【0066】
(配線基板の構成)
続いて、配線基板10の構成について
図4から
図7を参照しながら説明する。
図4には、本実施形態にかかる配線基板10の外観構成を模式的に示す。
図5は、
図4に示す配線基板10を別の方向から見たときの斜視図である。
図6には、配線基板10を構成する第1セラミックシート31a上の平面構成を示す。
図7には、配線基板10を構成する第2セラミックシート31b上の平面構成を示す。なお、
図6および
図7では、接続ビア51以外の接続ビアの図示は省略している。
【0067】
本実施形態にかかる配線基板10は、本実施形態にかかる多数個取り配線基板1を、焼成した後電解メッキを施し、ダイシング等にて分割して製造することができる。
図4に示すように、配線基板10は、略直方体の外形を有している。ここでは、略直方体形状の配線基板10の各面の名称を、メッキ部が形成されている面を、上面10aおよび下面10bとして、下面10b、第1側面10c、第2側面10d、第3側面10e、および第4側面10fとする。
【0068】
第1側面10cおよび第2側面10dは、第1方向D1および第3方向D3に沿って延びている。第3側面10eおよび第4側面10fは、第2方向D2および第3方向D3に沿って延びている。上面10aおよび下面10bは、第3方向D3に対して直交する面上に配置されている。
【0069】
図4および
図5に示すように、配線基板10は、複数のセラミックシート(絶縁層)31(例えば、31a、31b、および31cなど)が積層された積層体構造を有している。
【0070】
図4には、3枚のセラミックシート31(具体的には、第1セラミックシート(第1絶縁層)31a、第2セラミックシート(第2絶縁層)31b、および第3セラミックシート31c)を有する配線基板10が例示されているが、セラミックシートの枚数はこれに限定されない。セラミックシート31の枚数は、配線基板10の用途、仕様などに応じて適宜決められる。
【0071】
配線基板10の内部構成は、上述した基板要素部11と同様の構成が適用できる。例えば、配線基板10は、
図3に示すような断面構造を有している。
図3は、配線基板10を
図7に示す一点鎖線Xで切断したときの断面構成を示す図である。
【0072】
配線基板10の表面(すなわち、配線基板10の上面10a及び下面10b)には、表面金属層12が形成されている。表面金属層12の表面には、メッキ部が形成されている。メッキ部には、互いに電気的に独立した複数のメッキ部が含まれる。具体的には、配線基板10の上面10aまたは下面10bには、互いに電気的に独立した第1メッキ部61、第2メッキ部62、第3メッキ部63、および第4メッキ部64が形成されている(
図4参照)。なお、本実施形態では、第1メッキ部61、第2メッキ部62、および第4メッキ部64は、配線基板10の上面10aに設けられており、第3メッキ部63は、配線基板10の下面10bに設けられている。
【0073】
配線基板10を構成する各セラミックシート31の間には、導電パターンとなる金属層が形成されている。これらの金属層には、第1金属部41、第2金属部42(具体的には、第2金属部42a、42b、42c)、および第3金属部43などが含まれる。第1金属部41、第2金属部42、および第3金属部43は、最上層の第3セラミックシート31cの上、または最下層の第1セラミックシート31aの下に形成されている表面金属層12と電気的に接続されている。
【0074】
第1金属部41は、第1セラミックシート31a上に形成されている。第1金属部41は、接続ビア(例えば、接続ビア51、接続ビア57など)を介して、第1メッキ部61と電気的に接続されている。また、第1金属部41は、配線基板10の外側の側面(例えば、第1側面10c、第2側面10d、第3側面10e、および第4側面10f)のうち、互いに対向する2つの側面(例えば、第3側面10e、および第4側面10f)にのみ露出している。
【0075】
なお、本実施形態では、
図4および
図6に示すように、第1金属部41は、第1金属部41に接続された第1接続部53aとして、配線基板10の第3側面10eに露出している。また、
図4および
図6に示すように、第1金属部41は、第1金属部41に接続された第1接続部53bとして、配線基板10の第4側面10fに露出している。しかし、配線基板10の第1側面10cおよび第2側面10dには、金属部(配線層)は露出していない。
【0076】
第2金属部42は、第1セラミックシート31aとは異なるセラミックシート(例えば、第2セラミックシート31b)上に形成されている。第2金属部42は、複数の金属部を含んでいる。本実施形態では、第2金属部42は、3つの第2金属部42a、42b、および42cを有している(
図7参照)。
【0077】
第2金属部42のうちの1つ(本実施形態では、第2金属部42a)は、第1メッキ部61および第1金属部41と電気的に接続されている。例えば、第2金属部42aは、接続ビア51を介して第1金属部41と接続されているとともに、接続ビア57および表面金属層12を介して第1メッキ部61と接続されている。また、第2金属部42aは、第1接続部53aおよび53bが露出している2つの側面(例えば、第3側面10e、および第4側面10f)のうちの何れか一方(例えば、第3側面10e)にのみ露出している。なお、本実施形態では、
図4および
図7に示すように、第2金属部42aは、第2金属部42aに接続された第2接続部54aとして、配線基板10の第3側面10eに露出している。
【0078】
第2金属部42のうちの他の1つ(本実施形態では、第2金属部42b)は、第2メッキ部62と電気的に接続されている。例えば、第2金属部42bは、接続ビア57および表面金属層12を介して第2メッキ部62と接続されている。また、第2金属部42bは、第1接続部53aおよび53bが露出している2つの側面(例えば、第3側面10e、および第4側面10f)のうちの何れか一方(例えば、第3側面10e)にのみ露出している。なお、本実施形態では、
図4および
図7に示すように、第2金属部42bは、第2金属部42bに接続された第2接続部54bとして、配線基板10の第3側面10eに露出している。
【0079】
第2金属部42のうちのさらに他の1つ(本実施形態では、第2金属部42c)は、第4メッキ部64と電気的に接続されている。例えば、第2金属部42cは、接続ビア57および表面金属層12を介して第4メッキ部64と接続されている。また、第2金属部42cは、第1接続部53aおよび53bが露出している2つの側面(例えば、第3側面10e、および第4側面10f)のうちの何れか一方(例えば、第4側面10f)にのみ露出している。なお、本実施形態では、
図5および
図7に示すように、第2金属部42cは、第2金属部42cに接続された第2接続部54c(接続部)として、配線基板10の第4側面10fに露出している。
【0080】
第3金属部43は、第1セラミックシート31a上に形成されている。第3金属部43は、接続ビアなどを介して第1セラミックシート31aの下にある第3メッキ部63と電気的に接続されている。また、第3金属部43は、第1接続部53aおよび53bが露出している2つの側面(例えば、第3側面10e、および第4側面10f)のうちの何れか一方(例えば、第4側面10f)にのみ露出している。なお、本実施形態では、
図5および
図6に示すように、第3金属部43は、第3金属部43に接続された第3接続部55として、配線基板10の第4側面10fに露出している。
【0081】
以上のように、本実施形態にかかる配線基板10において、第1金属部41の両端部(すなわち、第1接続部53aおよび53b)は、配線基板10の外側の側面(例えば、第1側面10c、第2側面10d、第3側面10e、および第4側面10f)のうち、互いに対向する2つの側面(例えば、第3側面10e、および第4側面10f)にのみ露出している。また、配線基板10において、各第2金属部42a、42b、42cの端部(すなわち、第2接続部54a、54b、54c)、および第3金属部43の端部(すなわち、第3接続部55)は、第1金属部41の両端部が露出している2つの側面の何れか(例えば、第3側面10eおよび第4側面10fの何れか)に露出している。
【0082】
このように、配線基板10において、基板内に含まれる各金属部(多数個取り配線基板1の設けられたメッキ配線との接続部)が露出している端面を対向する2面とすることで、配線基板10の実装時における各金属部間がショートするリスクを低減させることができる。また、多数個取り配線基板1を切断した後に行われる各配線基板10の端面の後処理の手間を軽減させることができる。
【0083】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる多数個取り配線基板1は、第1金属部41が形成されている第1セラミックシート31aを有している。第1金属部41は、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23と、第1接続部53aおよび53bを介してそれぞれ接続されている。これにより、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23の間の給電経路を形成することができる。
【0084】
また、多数個取り配線基板1は、第1金属部41と電気的に接続されている第2金属部42aが形成されている第2セラミックシート31bを有している。また、第2セラミックシート31bには、さらに他の第2金属部42bおよび42cが形成されている。これらの第2金属部42a、42b、および42cは、第2接続部54a、54b、および54cを介して、一つの第2メッキ配線24と接続されている。
【0085】
これにより、別の層に形成されている第1金属部41から第2金属部42aへ伝わった電流を、第2メッキ配線24を介して他の第2金属部42bおよび42cへ伝えることができる。
【0086】
このように、本実施形態にかかる構成によれば、基板要素部11内の第1金属部41を経由して、第1方向D1の給電を行うことができるため、各基板要素部11間のメッキ厚のバラツキを低減させることができる。
【0087】
また、本実施形態にかかる多数個取り配線基板1には、複数のセラミックシート(すなわち、第1セラミックシート31a、および第2セラミックシート31b)上の第1方向D1に電解メッキ時の給電経路を形成している一方、第2方向D2には隣り合う基板要素部11同士を接続するような接続部は設けられていない。すなわち、複数の基板要素部11のうち第2方向D2に隣り合う2つの基板要素部11は、積層方向(第3方向D3)に見たときに、いずれも絶縁層(セラミックシート)のみを介して並んでいる。
【0088】
これにより、多数個取り配線基板1を分割して得られる個々の配線基板10においては、略直方体形状の4つの側面(例えば、第1側面10c、第2側面10d、第3側面10e、および第4側面10f)のうち、対向する2つの側面(例えば、第3側面10e、および第4側面10f)のみにおいてメッキ用配線との接続部が露出する。すなわち、略直方体形状の配線基板10の4つの側面のうち、2つの側面では、配線層が露出した箇所が存在しない構成とすることができる。したがって、個々の配線基板10に切断した後に行われる配線層の露出箇所の後処理の作業の手間を軽減することができる。
【0089】
以上のように、本実施形態によれば、各基板要素部に電気的に独立した複数のメッキ部を有するような比較的複雑な配線構造する多数個取り配線基板であっても、配線の構造が複雑化することを抑えつつ、各基板要素部のメッキ厚みを均一にしながら、メッキ用配線が露出する端面の数を減らすことができる。
【0090】
(変形例)
上述の第1の実施形態では、第1セラミックシート31a上に1つの第1金属部41が形成されている構成を例に挙げて説明した。しかし、第1セラミックシート31a上に形成されている第1金属部は、複数個存在してもよい。そこで、以下では、第1の実施形態の変形例として、第1金属部が複数に分割されている構成について説明する。
【0091】
図8には、変形例にかかる配線基板110を示す。配線基板110は、多数個取り配線基板1の各基板要素部を分割して得られる。
図8は、配線基板110の第1セラミックシート31a上の構成を示す平面模式図である。
【0092】
図8に示すように、配線基板110は、2つの第1金属部141aおよび141bを有している。2つの第1金属部141aおよび141bは、第1セラミックシート31aとは別のセラミックシート31上に形成された金属部と接続ビア158・158を介して導通している。なお、
図8では、接続ビア51および接続ビア158以外の接続ビアの図示は省略している。
【0093】
配線基板110に個片化される前の多数個取り配線基板1の状態で、一方の第1金属部141aは、基板要素部11を挟む2つの第1メッキ配線23(例えば、第1メッキ配線23aおよび23b)のうちの一方(例えば、第1メッキ配線23a)と、第1接続部53aを介して接続されている。また、他方の第1金属部141bは、基板要素部11を挟む2つの第1メッキ配線23(例えば、第1メッキ配線23aおよび23b)のうちの他方(例えば、第1メッキ配線23b)と、第1接続部53bを介して接続されている。
【0094】
以上のように、第1金属部は、第1セラミックシート31a上において複数に分割されており、分割された各部分は、第1セラミックシート31aとは別のセラミックシート31上に形成された金属部と接続ビアを介して導通していてもよい。
【0095】
〔第2の実施形態〕
第2実施形態では、多数個取り配線基板201を例に挙げて説明する。
図9および
図10には、多数個取り配線基板201の平面構成を示す。
図9では、多数個取り配線基板201の第1セラミックシート31a上に形成されている各導電パターンの構成を模式的に示す。また、
図10では、多数個取り配線基板201の第2セラミックシート31b上に形成されている各導電パターンの構成を模式的に示す。なお、
図9および
図10では、多数個取り配線基板201の表面(すなわち、上面または下面)に形成されているメッキ部との接続ビアの図示は省略している。
【0096】
第2の実施形態にかかる多数個取り配線基板201は、メッキ用配線22を有している。メッキ用配線22は、第1メッキ配線223および第2メッキ配線224を有している。より具体的には、第1セラミックシート31a上に、第1メッキ配線223a~223fが形成されており(
図9参照)、第2セラミックシート31b上に、第2メッキ配線224a~224fが形成されている(
図10参照)。メッキ用配線22の基本的な構成は、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0097】
図9および
図10に示すように、第2方向D2に沿って配置されている第1メッキ配線223a~223fと第2メッキ配線224a~224fとの間には、互いを電気的に接続する接続ビア226が複数個設けられている。この構成により、異なるセラミックシート31上に形成されている第1メッキ配線223a~223fおよび第2メッキ配線224a~224fの間でより通電を行い易くすることができる。これにより、電解メッキ処理時の層間の給電を補強することができる。
【0098】
多数個取り配線基板201の上記以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0099】
〔第3の実施形態〕
第3実施形態では、複数の第2セラミックシート(第2絶縁層)31bを有している多数個取り配線基板301を例に挙げて説明する。
【0100】
図11は、多数個取り配線基板301を積層方向(第3方向D3)に見たときの平面図である。
図12は、多数個取り配線基板301を分割して得られる配線基板310の構成を示す上面図である。
図13は、多数個取り配線基板301を構成する基板要素部11の断面構成を示す図である。
【0101】
図11に示すように、多数個取り配線基板301は、複数の基板要素部11を含む製品エリアと、この製品エリアの外側に位置する外周エリア3とを有している。多数個取り配線基板301において、第1の実施形態と同様の構成が適用できる部材については、多数個取り配線基板1と同一の符号を付してある。但し、多数個取り配線基板301における導電パターンの詳細な構成は、第1の実施形態とは異なっている。
【0102】
本実施形態にかかる多数個取り配線基板301の基板要素部11および配線基板310は、基板の中央部に貫通穴313を有している(
図12および
図13参照)。この貫通穴313は、導電パターンが印刷された各セラミックシート31を積層し、圧着した後に、打ち抜き加工(パンチング加工)などを行うことによって形成することができる。
【0103】
図12に示すように、多数個取り配線基板301は、5層のセラミックシート(絶縁層)31が積層された積層体構造を有している。具体的には、多数個取り配線基板301は、下層から順に、第4セラミックシート31d、第2セラミックシート31b-2、第2セラミックシート31b-1、第1セラミックシート31a、および第3セラミックシート31cを有している。
【0104】
複数のセラミックシート31の間には、導電パターンとなる金属層(例えば、第1金属部41、第2金属部など)が形成されている。多数個取り配線基板301の表面には、表面金属層12が形成されている。
【0105】
本実施形態にかかる配線基板310においては、最上層の第3セラミックシート31c上に、表面金属層12が形成されているとともに、最下層の第4セラミックシート31dの一部露出した表面にも表面金属層12が形成されている。表面金属層12の表面には、メッキ部60が形成されている。
【0106】
本実施形態では、1つの基板要素部11において互いに電気的に独立した複数のメッキ部60が形成されている。これら複数のメッキ部60は、各々の基板要素部11に形成されている。具体的には、1つの基板要素部11および1つの配線基板310には、互いに電気的に独立した複数のメッキ部(例えば、第1メッキ部61、第2メッキ部62、第3メッキ部63、第4メッキ部64、第5メッキ部65、第6メッキ部66、第7メッキ部67、第8メッキ部68、第9メッキ部69、第10メッキ部69-1、および第11メッキ部69-2など)が形成されている(
図12参照)。
【0107】
各メッキ部60は、多数個取り配線基板1の内部においてメッキ用配線22と電気的に接続されている。具体的には、
図13に示すように、各メッキ部60の下に形成されている表面金属層12が、第3セラミックシート31cを貫通する接続ビア57を介して内部の金属層(例えば、第1金属部41、第2金属部42など)と電気的に接続されている。そして、各金属層は、セラミックシート31上に形成されている第1メッキ配線23または第2メッキ配線24と電気的に接続されている。
【0108】
メッキ用配線22は、複数のセラミックシート31のうちの2つ以上のセラミックシート31上に形成されている。
図14には、第1メッキ配線23が形成されている第1セラミックシート31a上の導電パターンを示す。
図15には、第2メッキ配線24が形成されている第2セラミックシート31b-1上の導電パターンを示す。
図16には、第2メッキ配線24が形成されている第2セラミックシート31b-2上の導電パターンを示す。
図17には、メッキ用端子21と接続されるメッキ用配線22が形成されている第4セラミックシート31d上の導電パターンを示す。
【0109】
第4セラミックシート31d上にあるメッキ結線22は、接続ビア326(
図14,15,16,17参照)を経由して、第2セラミックシート31b-2上のメッキ結線24、第2セラミックシート31b-1上のメッキ結線24、及び、第1セラミックシート31a上のメッキ結線23に電気的に接続されている。これにより、メッキ用端子から各メッキ結線への給電が行われる。
【0110】
図14に示すように、第1セラミックシート31a上には、第1金属部41および第3金属部43などが形成されている。
図14に示す例では、少なくとも2つの第3金属部43が形成されている。第1の実施形態と同様に、第1金属部41は、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23(例えば、第1メッキ配線23eおよび23f)と、第1接続部53aおよび53bを介してそれぞれ接続されている。また、第1の実施形態と同様に、第3金属部43は、基板要素部11を挟むようにして配置されている2つの第1メッキ配線23(例えば、第1メッキ配線23eおよび23f)のいずれか一方(例えば、第1メッキ配線23f)と第3接続部55を介して接続されている。
【0111】
図15に示すように、第2セラミックシート31b-1上には、第2金属部42が形成されている。第2金属部42は、複数の金属部を含んでいる。本実施形態では、第2金属部42は、例えば、第2金属部42a、42b、および42cなどを有している。これらの第2金属部42は、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第2メッキ配線24(例えば、第2メッキ配線24eおよび24f)の何れか一方(例えば、第2メッキ配線24f)のみと接続されている。
【0112】
図16に示すように、もう一つの第2セラミックシート31b-2上にも、第2金属部42が形成されている。第2金属部42は、複数の金属部を含んでいる。本実施形態では、第2金属部42は、例えば、第2金属部42a、42b、および42cなどを有している。これらの第2金属部42は、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第2メッキ配線24の何れか一方のみと接続されている。
【0113】
上記の2つの第2セラミックシート31b-1、31b-2において、第2金属部42のうちの1つ(本実施形態では、第2金属部42a)は、1つの基板要素部11内において、接続ビア(例えば、接続ビア51、接続ビア57など)を介して第1メッキ部61および第1金属部41と電気的に接続されている。また、第2金属部42aは、基板要素部11を挟むようにして配置されている2つの第2メッキ配線24のいずれか一方と第2接続部54aを介して接続されている。
【0114】
上記の2つの第2セラミックシート31b-1、31b-2において、第2金属部42のうちの他の1つ(本実施形態では、第2金属部42b)は、1つの基板要素部11内において、接続ビア(例えば、接続ビア57など)を介して第2メッキ部62と電気的に接続されている。また、第2金属部42bは、基板要素部11を挟むようにして配置されている2つの第2メッキ配線24のいずれか一方と第2接続部54bを介して接続されている。
【0115】
上記の2つの第2セラミックシート31b-1、31b-2において、第2金属部42のうちのさらに他の1つ(本実施形態では、第2金属部42c)は、1つの基板要素部11内において、接続ビア(例えば、接続ビア57など)を介して第4メッキ部64と電気的に接続されている。また、第2金属部42cは、基板要素部11を挟むようにして配置されている2つの第2メッキ配線24のいずれか一方と第2接続部54cを介して接続されている。
【0116】
以上のように、本実施形態にかかる多数個取り配線基板301において、第1メッキ配線23は、1つのセラミックシート(例えば、第1セラミックシート31a)のみに形成されている。一方、第2メッキ配線24は、2つ以上のセラミックシート(例えば、第2セラミックシート31b-1および31b-2)に形成されている。このように、第2メッキ配線24は、複数のセラミックシートに形成されていてもよい。すなわち、多数個取り配線基板は、複数の第2セラミックシート31bを有していてもよい。
【0117】
上記のように、多数個取り配線基板301は、第1金属部41が形成されている第1セラミックシート31aを有している。第1金属部41は、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23と、第1接続部53aおよび53bを介してそれぞれ接続されている。これにより、
図14において矢印で示すように、基板要素部11の左右両側に配置されている2つの第1メッキ配線23の間の給電経路を形成することができる。
【0118】
また、多数個取り配線基板301は、第1金属部41と電気的に接続されている第2金属部42aが形成されている第2セラミックシート31b-1および31b-2を有している。また、第2セラミックシート31b-1および31b-2には、さらに他の第2金属部42bおよび42cが形成されている。これらの第2金属部42a、42b、および42cは、第2接続部54a、54b、および54cを介して、一つの第2メッキ配線24と接続されている。
【0119】
これにより、
図15および
図16において矢印で示すように、別の層に形成されている第1金属部41から第2金属部42aへ伝わった電流を、第2メッキ配線24を介して他の第2金属部42bおよび42cへ伝えることができる。
【0120】
このように、本実施形態にかかる構成によれば、基板要素部11内の第1金属部41を経由して、第1方向D1の給電を行うことができるため、各基板要素部11間のメッキ厚のバラツキを低減させることができる。
【0121】
また、本実施形態にかかる多数個取り配線基板301には、複数のセラミックシート(すなわち、第1セラミックシート31a、並びに第2セラミックシート31b-1および31b-2)上の第1方向D1に電解メッキ時の給電経路を形成している一方、第2方向D2には隣り合う基板要素部11同士を接続するような接続部は設けられていない。すなわち、複数の基板要素部11のうち第2方向D2に隣り合う2つの基板要素部11は、積層方向(第3方向D3)に見たときに、いずれも絶縁層(セラミックシート)のみを介して並んでいる。
【0122】
これにより、多数個取り配線基板301を分割して得られる個々の配線基板310においては、略直方体形状の4つの側面のうち、対向する2つの側面のみにおいてメッキ用配線との接続部が露出する。すなわち、略直方体形状の配線基板310の4つの側面のうち、2つの側面では、配線層が露出した箇所が存在しない構成とすることができる。したがって、個々の配線基板310に切断した後に行われる配線層の露出箇所の後処理の作業の手間を軽減することができる。
【0123】
〔その他の実施形態〕
図18から
図20には、その他の実施形態にかかる多数個取り配線基板401・501・601の構成を示す。
【0124】
図18は、多数個取り配線基板401の第1セラミックシート31a上に形成されている各導電パターンの構成を模式的に示す。
図18では、多数個取り配線基板401の一部分の構成を示している。多数個取り配線基板401において、第1の実施形態と同様の構成が適用できる部材については、多数個取り配線基板1と同一の符号を付してある。但し、多数個取り配線基板401における導電パターンの詳細な構成は第1の実施形態とは異なっている。
【0125】
図18に示す多数個取り配線基板401は、第2方向D2に沿って配置されている第1メッキ配線23a~23fに加えて、第1方向D1に沿って配置されている第3メッキ配線425を有している。第3メッキ配線425は、第2方向D2に隣接する各基板要素部11同士の間にそれぞれ設けられている。図示はしていないが、第2セラミックシート31bにも、第3メッキ配線425と対応する位置にメッキ配線が設けられている。この構成によれば、電解メッキ処理時の層間の給電をさらに補強することができる。
【0126】
図19は、多数個取り配線基板501の一つのセラミックシート31上に形成されている各導電パターンの構成を模式的に示す。多数個取り配線基板501において、第1の実施形態と同様の構成が適用できる部材については、多数個取り配線基板1と同一の符号を付してある。但し、多数個取り配線基板501における導電パターンの詳細な構成は第1の実施形態とは異なっている。
【0127】
図19に示す多数個取り配線基板501の外周エリア3には、複数のメッキ用端子521、メッキ用配線22などが形成されている。メッキ用端子521は、多数個取り配線基板501の端部に形成されている。第1の実施形態では、略長方形の平板形状を有する多数個取り配線基板1の長手方向(第2方向D2)に延びる各端辺に、複数のメッキ用端子21が互いに略等間隔に並んで配置されている。これに対して、
図19に示す多数個取り配線基板501では、略長方形の平板形状を有する多数個取り配線基板1の短手方向(第1方向D1)に延びる各端辺に、複数のメッキ用端子521が互いに略等間隔に並んで配置されている。
【0128】
メッキ用端子521は、メッキ用電源に電気的に接続される。また、メッキ用端子521は、メッキ用配線22と接続されている。なお、各メッキ用端子521は、複数のセラミックシート31のうちの一つの層(例えば、メッキ用配線22が形成されている層)のみに形成されていてもよいし、複数のセラミックシート31の各層に形成されていてもよい。
【0129】
図20は、多数個取り配線基板601の一つのセラミックシート31上に形成されている各導電パターンの構成を模式的に示す。多数個取り配線基板601において、第1の実施形態と同様の構成が適用できる部材については、多数個取り配線基板1と同一の符号を付してある。但し、多数個取り配線基板601における導電パターンの詳細な構成は第1の実施形態とは異なっている。
【0130】
図20に示す多数個取り配線基板601の外周エリア3には、複数のメッキ用端子21および521、メッキ用配線22などが形成されている。メッキ用端子21および521は、多数個取り配線基板501の端部に形成されている。
【0131】
複数のメッキ用端子21は、略長方形の平板形状を有する多数個取り配線基板1の長手方向(第2方向D2)の各端辺に、互いに略等間隔に並んで配置されている。また、複数のメッキ用端子521は、略長方形の平板形状を有する多数個取り配線基板1の短手方向(第1方向D1)の各端辺に、互いに略等間隔に並んで配置されている。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0133】
1・201・301・401・501・601:多数個取り配線基板
10・110・310:配線基板
11:基板要素部
21・521:メッキ用端子
22:メッキ用配線
23:第1メッキ配線
24:第2メッキ配線
31:セラミックシート(絶縁層)
31a:第1セラミックシート
31b:第2セラミックシート
41:第1金属部
42:第2金属部
43:第3金属部
53a・53b:第1接続部
54a・54b・54c:第2接続部
55:第3接続部
60:メッキ部
61:第1メッキ部
62:第2メッキ部
63:第3メッキ部
64:第4メッキ部
D1:第1方向
D2:第2方向
D3:第3方向(積層方向)