(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】ピンチローラの支持構造
(51)【国際特許分類】
F16C 13/00 20060101AFI20231109BHJP
F16B 21/12 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
F16C13/00 Z
F16B21/12 E
(21)【出願番号】P 2020105091
(22)【出願日】2020-06-18
【審査請求日】2023-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [公開の事実] 1.展示日:令和1年9月18日~21日 2.展示場所:PACK PRINT INTERNATIONAL展 バンコク国際貿易展示場 3.公開者:SAHA STICKER CO LTD
(73)【特許権者】
【識別番号】000105062
【氏名又は名称】グラフテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】関口 譲
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-024544(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0042874(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 35/00-39/06
F16C 43/00-43/08
F16B 21/00-21/20
B41J 11/00-11/70
F16C 21/00-27/08
F16C 13/00-15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンチローラの軸心部を貫通してピンチローラの両側方に突出し、前記ピンチローラを回転自在に支持する軸と、
前記ピンチローラの両側方にそれぞれ配置され、前記軸の前記ピンチローラから突出した両端部が貫通する状態で前記軸を支持する一対のピンチローラ支持用アームと、
前記軸の軸線方向への移動を規制する抜け止め構造とを備え、
前記抜け止め構造は、
前記軸における前記ピンチローラ支持用アームから前記ピンチローラとは反対側に突出した突出部と、
前記突出部に前記軸の軸線とは交差するように形成された貫通孔と、
前記貫通孔に挿通される第1のピン部および前記突出部の外面に係合する第2のピン部を有するスナップピンとを含み、
前記スナップピンと隣接する前記ピンチローラ支持用アームは、前記第1のピン部の先端部に対して前記ピンチローラの周方向の両側から対向するストッパーを備えていることを特徴とするピンチローラの支持構造。
【請求項2】
請求項1記載のピンチローラの支持構造において、
前記スナップピンと隣接する前記ピンチローラ支持用アームは、
前記ストッパーとは前記軸を挟んで反対側に、前記第2のピン部の通過を規制する突起を有していることを特徴とするピンチローラの支持構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のピンチローラの支持構造において、
前記スナップピンは、さらに、前記第1のピン部の基端部と前記第2のピン部の基端部とを接続する屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記軸の軸線方向から見て、前記ピンチローラ支持用アームの外に突出していることを特徴とするピンチローラの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンチローラの軸の抜け止めとしてスナップピンを備えたピンチローラの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラの軸の両端部を支持するローラの支持構造としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。特許文献1に示すローラの支持構造は、ローラの軸心部を貫通する軸と、この軸の両端部を支持する支持部材と、軸の両端部であって支持部材より外側に設けられたスナップピンとを備えている。スナップピンは、軸の貫通孔に挿通された第1のピン部と、軸の外面に係合する第2のピン部とを有し、軸が支持部材から抜けることを阻止している。
【0003】
特許文献1に示すローラの支持部材は、軸と平行に延びる板状部を有しており、この板状部にスナップピンの第2のピン部が当接するように構成されている。このようなローラの支持構造であれば、例えば軸が支持部材に対して回転可能な構造であったとしてもスナップピンが回転することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すようにスナップピンを使用して軸の抜け止めを行う支持構造は、軸の両端部を一対のアームで支持するピンチローラの支持構造には適用することができない。ピンチローラの軸は、ピンチローラを交換するときにアームから引き抜かれるものであり、アームに対して回転可能に形成されている。また、アームは、小型化を図るために、特許文献1に示されているような板状部を設けることができない部品である。このため、ピンチローラを使用するときに、軸の抜け止めを行うスナップピンが軸とともに回転し、ピンチローラによって押される媒体にスナップピンが接触するおそれがある。このような不具合は、スナップピンを媒体に接触することがないように短く形成することにより解消することができる。しかし、このような小型のスナップピンを使用すると、着脱作業の作業性が著しく悪くなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、着脱し易いスナップピンを使用できるとともに、軸が回転してスナップピンが媒体に接触することがないピンチローラの支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明に係るピンチローラの支持構造は、ピンチローラの軸心部を貫通してピンチローラの両側方に突出し、前記ピンチローラを回転自在に支持する軸と、前記ピンチローラの両側方にそれぞれ配置され、前記軸の前記ピンチローラから突出した両端部が貫通する状態で前記軸を支持する一対のピンチローラ支持用アームと、前記軸の軸線方向への移動を規制する抜け止め構造とを備え、前記抜け止め構造は、前記軸における前記ピンチローラ支持用アームから前記ピンチローラとは反対側に突出した突出部と、前記突出部に前記軸の軸線とは交差するように形成された貫通孔と、前記貫通孔に挿通される第1のピン部および前記突出部の外面に係合する第2のピン部を有するスナップピンとを含み、前記スナップピンと隣接する前記ピンチローラ支持用アームは、前記第1のピン部の先端部に対して前記ピンチローラの周方向の両側から対向するストッパーを備えているものである。
【0008】
本発明は、前記ピンチローラの支持構造において、前記スナップピンと隣接する前記ピンチローラ支持用アームは、前記ストッパーとは前記軸を挟んで反対側に、前記第2のピン部の通過を規制する突起を有していてもよい。
【0009】
本発明は、前記ピンチローラの支持構造において、前記スナップピンは、さらに、前記第1のピン部の基端部と前記第2のピン部の基端部とを接続する屈曲部を有し、前記屈曲部は、前記軸の軸線方向から見て、前記ピンチローラ支持用アームの外に突出していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸の回転をストッパーがスナップピンを介して規制するから、軸がピンチローラ支持用アームに対して回ることはない。したがって、大型で着脱し易いスナップピンを使用できるとともに、軸が回転してスナップピンが媒体に接触することがないピンチローラの支持構造を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明に係るピンチローラの支持構造を採用したカッティングプロッタの斜視図である。
【
図2】
図2は、媒体駆動式搬送装置とカッティングヘッドの一部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、要部を左斜め前上方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、要部を右斜め前上方から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、ピンチローラの支持構造の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るピンチローラの支持構造の一実施の形態を
図1~
図6を参照して詳細に説明する。この実施の形態においては、本発明に係るピンチローラの支持構造をカッティングプロッタに適用する場合の一例を説明する。
【0013】
(カッティングプロッタの説明)
図1に示すカッティングプロッタ1は、
図1の上部に描かれている媒体駆動式搬送装置2(以下、単に搬送装置2という)によって搬送ステージ3の上にシート状の媒体4を引き出し、搬送ステージ3の上でこの媒体4にカッティング加工を施すものである。カッティング加工後の媒体4は、搬送ステージ3から
図1の手前側に送られて、搬送ステージ3より低い位置に配置されている巻取装置5に巻取られる。
【0014】
(媒体の説明)
シート状の媒体4は、詳細には図示してはいないが、例えば粘着剤付きのフィルムシートに剥離紙を貼り合わせたものを使用することができる。この媒体4に施すカッティング加工は、フィルムシートを粘着剤とともに所定の形状に切断する切断加工である。この実施の形態によるカッティングプロッタ1は、
図1の紙面の裏側となる位置に不図示のシートロールを備えている。このシートロールは、未加工のシート状の媒体4がロール状に巻かれて形成されたものである。このシートロールから引き出された媒体4が搬送ステージ3の上に載せられ、搬送装置2によって送られる。
【0015】
このため、この実施の形態によるシート状の媒体4は、長手方向が搬送方向となるように搬送される。搬送方向は、
図1においては右上側から左下側に向かう方向である。以下において、カッティングプロッタ1の部品を説明するうえで方向を示すにあたっては、搬送装置2より搬送方向の上流側(
図1においては右上側)をカッティングプロッタ1の「後側」とし、搬送装置2より搬送方向の下流側(
図1においては左下側)をカッティングプロッタ1の「前側」として行う。
また、以下の説明で左右方向と上下方向とを示すにあたっては、設置状態にあるカッティングプロッタ1を前方から見たときの方向で行う。すなわち、
図1の右側がカッティングプロッタ1の右側になり、
図1の上側がカッティングプロッタ1の上側になる。カッティングプロッタ1の左右方向は、媒体4の搬送方向とは直交する水平方向であり、媒体4の幅方向である。
【0016】
(搬送装置の説明)
搬送装置2は、
図2に示すように、媒体4より下に位置する搬送ローラ11と、媒体4より上に位置するピンチローラ12と、搬送ローラ11を駆動するモータ(図示せず)とを有している。
図2は、搬送装置2およびその周辺の部品を簡略化して描いてある。搬送ローラ11とピンチローラ12は、それぞれ左右方向に延びる軸線を中心にして回転する。搬送ローラ11は、上端部が搬送ステージ3の貫通孔13に下方から挿入され、搬送ステージ3から上方に突出するように構成されている。また、搬送ローラ11と貫通孔13は、左右方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ配置されている。
【0017】
ピンチローラ12は、詳細は後述するが、本発明に係る支持構造14によって押圧用レバー15の先端部に組み付けられている。押圧用レバー15は、図示していない押圧機構に支持されており、搬送ステージ3の上方近傍で前後方向に延びるように配置されている。押圧用レバー15の前端部に支持構造14を介してピンチローラ12が支持されている。この押圧用レバー15は、上下方向へは移動することができないが、搬送ステージ3に対する左右方向の位置を変更することができるように構成されている。
【0018】
押圧機構は、ピンチローラ12が下方に付勢されて媒体4に上方から押し付けられる使用形態と、ピンチローラ12が媒体4から上方に離れる退避形態とを切り替えることができるように構成されている。押圧機構が使用形態となることにより、ピンチローラ12が媒体4を上方から搬送ローラ11に押し付け、搬送ローラ11と協働して媒体4を挟む。このように搬送ローラ11に媒体4が押し付けられた状態で搬送ローラ11が左右方向の軸線回りに回転することによって、媒体4が送られる。
【0019】
(カッティング装置の説明)
カッティング加工は、搬送ステージ3の上方近傍に配置されたカッティングヘッド21によって実施される。カッティングヘッド21は、昇降可能なカッティングペン22を備え、左右方向に延びるガイドレール23に左右方向へ移動自在に支持されている。この実施の形態によるカッティングヘッド21は、左右方向に延びる無端ベルト24に取付けられており、この無端ベルト24が図示していないモータによって駆動されて回転することによって、ガイドレール23に沿って左右方向に移動する。
【0020】
カッティングペン22は、下端に刃25を有し、カッティング加工を行わないときには刃25が媒体4より上に位置するように上昇し、カッティング加工時には刃25が媒体4に刺さるように下降する。
このカッティングヘッド21によるカッティング加工は、刃25が媒体4に刺さった状態でカッティングヘッド21が左右方向に移動するとともに、搬送装置2によって媒体4が前後方向(搬送方向の下流側と上流側)に移動することによって行われる。
【0021】
また、カッティングヘッド21は、媒体4を分断するための切断刃26を備えている。この切断刃26は、搬送ステージ3に左右方向に延びるように形成されたクロスカット穴27の中を通って左右方向に移動し、媒体4の搬送方向の上流側に対して下流側を切り離す。
図2に示すクロスカット穴27は、上方に向けて開放される溝によって構成されており、
図1に示すように、搬送ステージ3の左側端部から右側端部まで途切れることなく延びるように形成されている。
【0022】
(ピンチローラの支持構造の説明)
ピンチローラ12を支持する支持構造14は、
図3および
図4に示すように、押圧用レバー15の先端部から前方に向けて突出するアーム部材31を備えている。アーム部材31は、押圧用レバー15に連結用の軸32を介して上下方向に揺動自在に支持されている。押圧用レバー15から突出したアーム部材31の前端部は、ピンチローラ12を挟むように二股状に形成されており、左右方向に一対となる左側アーム33と右側アーム34とを有している。左側アーム33は、アーム部材31の左側の端部に設けられ、ピンチローラ12の左方に配置されている。右側アーム34は、アーム部材31の右側の端部に設けられ、ピンチローラ12の右方に配置されている。この実施の形態においては、これらの左側アーム33と右側アーム34とが本発明でいう「ピンチローラ支持用アーム」に相当する。
【0023】
アーム部材31の図示していない後端部は、押圧機構のばね部材によって上方に向けて付勢されるとともに、押圧機構の押圧子(図示せず)により下方へ押し付けられている。押圧子が上に移動することによりアーム部材31の後端部が上昇し、アーム部材31の前端部が下がる。一方、押圧子の位置が下がることによって、アーム部材31の後端部が下降し、アーム部材31の前端部が上昇する。
アーム部材31の前端部に設けられた左側アーム33と右側アーム34とには、
図6に示すように、軸孔33a,34aが左右方向に貫通するように形成されている。これらの軸孔33a,34aには、支軸35が左右方向に貫通している。支軸35は、ピンチローラ12の軸心部の軸孔12aに挿通されている。この支軸35は、ピンチローラ12を左右方向に貫通してピンチローラ12の両側方に突出しており、ピンチローラ12を回転自在に支持している。この実施の形態においては、支軸35が本発明でいう「軸」に相当する。また、支軸35は、ピンチローラ12に対して着脱可能である。
【0024】
左側アーム33と右側アーム34は、支軸35のピンチローラ12から突出した両端部が貫通する状態で支軸35を支持している。
支軸35は、その両端部と左側アーム33および右側アーム34とを用いて構成された抜け止め構造41によって、ピンチローラ12、左側アーム33および右側アーム34に対して、軸線方向への移動が規制されている。以下においては、支軸35の左側の端部と左側アーム33などを用いて構成された抜け止め構造41を第1の抜け止め構造41A(
図3参照)といい、支軸35の右側の端部と右側アーム34などを用いて構成された抜け止め構造41を第2の抜け止め構造41B(
図4参照)という。
【0025】
第1の抜け止め構造41Aは、支軸35がピンチローラ12、左側アーム33および右側アーム34に対して右方へ移動することを規制するためのもので、
図3に示すように、スナップピン42を用いて構成されている。詳述すると、第1の抜け止め構造41Aは、支軸35における左側アーム33から左方に(ピンチローラ12とは反対側に)突出した第1の突出部35aと、この第1の突出部35aに形成された貫通孔43(
図6参照)と、この貫通孔43に通された第1のピン部42aを有するスナップピン42などによって構成されている。
【0026】
貫通孔43は、支軸35の軸線C(
図6参照)とは交差するように形成されている。この実施の形態による貫通孔43は、支軸35の軸線Cと直交している。
スナップピン42は、
図5に示すように、貫通孔43に挿通できるように直線状に形成された第1のピン部42aと、支軸35の第1の突出部35aの外面に係合する第2のピン部42bと、第1のピン部42aの基端部と第2のピン部42bの基端部とを接続する屈曲部42cとによって構成されている。
【0027】
スナップピン42と隣り合う左側アーム33の側面であって、第1のピン部42aの先端部の近傍には、第1および第2のストッパー44,45が設けられている。これらの第1および第2のストッパー44,45は、第1のピン部42aの先端部に対してピンチローラ12の周方向の両側から対向するように形成されている。この実施の形態による第1および第2のストッパー44,45は、第1のピン部42aと平行に延びる突条によって構成されており、左側アーム33に一体成型により一体に形成されている。
【0028】
第1および第2のストッパー44,45は、
図5に示すように、
図5において左斜め下に向けて、言い換えれば後ろ斜め下方に向けて傾斜するように形成されている。このため、第1のストッパー44と第2のストッパー45との間に第1のピン部42aが挿入されることにより、スナップピン42の屈曲部42cが左側アーム33の前側上端部の近傍に位置するようになる。この実施の形態によるスナップピン42は、
図5に示すように、支軸35の軸線方向から見て、支軸35に装着された状態で屈曲部42cが左側アーム33の外(前方であって
図5においては右方)に突出している。この屈曲部42cは、支軸35の軸線方向から見てピンチローラ12より径方向の外側に突出している。
【0029】
第1のストッパー44と第2のストッパー45とのうち、左側アーム33の前端に近い方の第1のストッパー44は、屈曲部42cの近傍まで支軸35を挟んで反対側に延びている。第1のストッパー44における屈曲部42cの近傍となる前端部には、突起46が設けられている。突起46は、支軸35の第1の突出部35aを前方から覆うように形成されている。スナップピン42の第1のピン部42aを貫通孔43に挿入する際に第2のピン部42bが下側に位置していると、突起46が邪魔になって第2のピン部42bをそれ以上進めることができなくなる。
【0030】
すなわち、突起46は、第2のピン部42bの通過を規制する。このように突起46が邪魔になるために、第2のピン部42bを上に位置付けて第1のピン部42aを貫通孔43に挿入することになり、スナップピン42を正しく支軸35に装着することができる。突起46は、第1のストッパー44を支軸35側に延長した位置に設けられている。このため、突起46に屈曲部42cが接近するようにスナップピン42を進めることによって、第1のピン部42aが第1のストッパー44と第2のストッパー45との間に挿入されるようになる。すなわち、突起46は、スナップピン42を正しく装着するための目安となる。
【0031】
第2の抜け止め構造41Bは、支軸35がピンチローラ12、左側アーム33および右側アーム34に対して左方へ移動することを規制するためのもので、
図4に示すように、Eリング51を用いて構成されている。詳述すると、第2の抜け止め構造41Bは、支軸35における右側アーム34から右方に(ピンチローラ12とは反対側に)突出した第2の突出部35bと、この第2の突出部35bに形成された環状溝52(
図6参照)と、この環状溝52に係合したEリング51などによって構成されている。
【0032】
(動作の説明)
このように構成されたピンチローラ12の支持構造14においては、スナップピン42を支軸35から引き抜くことによって支軸35の左端部の抜け止めが失われ、支軸35をピンチローラ12、左側および右側アーム33,34から右方に引き抜くことができる。スナップピン42を引き抜くときには、作業者が指で屈曲部42cを摘まんで行うことができる。
【0033】
このように支軸35を外すことによって、ピンチローラ12の交換が可能になる。ピンチローラ12の交換後に復旧する際には、支軸35を上記とは逆方向に挿入し、第1の突出部35aの貫通孔43にスナップピン42の第1のピン部42aを挿入する。このとき、突起46が邪魔になるから、第2のピン部42bが上に位置する状態でスナップピン42を進めることができる。そして、屈曲部42cが突起46に接近するようにスナップピン42を進めることにより、第1のピン部42aが第1のストッパー44と第2のストッパー45との間に挿入されるとともに、第2のピン部42bが第1の突出部35aに係合する。
【0034】
このようにスナップピン42の第1のピン部42aが第1のストッパー44と第2のストッパー45との間に挿入されることにより、支軸35の回転を第1および第2のストッパー44,45がスナップピン42を介して規制するようになる。このため、支軸35が左側アーム33および右側アーム34に対して回ることはない。したがって、大型で着脱し易いスナップピン42を使用できるとともに、支軸35が回転してスナップピン42が媒体に接触することがないピンチローラの支持構造を提供するができる。
【0035】
この実施の形態において、スナップピン42と隣接する左側アーム33は、第1のストッパー44とは支軸35を挟んで反対側に、第2のピン部42bの通過を規制する突起46を有している。このため、スナップピン42を正しい姿勢で支軸35の貫通孔43に挿入することができるから、スナップピン42を簡単に組み付けることができる。
【0036】
この実施の形態によるスナップピン42は、第1のピン部42aの基端部と第2のピン部42bの基端部とを接続する屈曲部42cを有している。屈曲部42cは、支軸35の軸線方向から見て、左側アーム33の外に突出している。このため、作業者が指で屈曲部42cを摘まむときに左側アーム33が邪魔になり難いから、スナップピン42の着脱をより一層簡単に行うことができる。
【0037】
上述した実施の形態においては、本発明に係るピンチローラ12の支持構造14をカッティングプロッタ1に用いる場合の一例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、印刷用紙を送る搬送装置を有する印刷機や、描画用のプロッタにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…カッティングプロッタ、12…ピンチローラ、14…支持構造、33…左側アーム(ピンチローラ支持用アーム)、34…右側アーム(ピンチローラ支持用アーム)、35…支軸(軸)、35a…第1の突出部(突出部)、41…抜け止め構造、42…スナップピン、42a…第1のピン部、42b…第2のピン部、42c…屈曲部、43…貫通孔、44…第1のストッパー、45…第2のストッパー、46…突起。