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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】2液型コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 175/04 20060101AFI20231109BHJP
   B29C 45/14 20060101ALI20231109BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20231109BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20231109BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20231109BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20231109BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20231109BHJP
   C09D 175/06 20060101ALI20231109BHJP
   C09D 175/08 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
C09D175/04
B29C45/14
C08G18/42
C08G18/44
C08G18/48
C08G18/79 010
C08G18/79 020
C09D7/63
C09D175/06
C09D175/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020180757
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071676
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2023-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593135125
【氏名又は名称】日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100088801
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 宗雄
(72)【発明者】
【氏名】川合 貴史
(72)【発明者】
【氏名】神野 修輔
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193705(JP,A)
【文献】特開2007-177216(JP,A)
【文献】特開2004-359958(JP,A)
【文献】特表2017-534477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 175/04
B29C 45/14
C08G 18/42
C08G 18/44
C08G 18/48
C08G 18/79
C09D 7/63
C09D 175/06
C09D 175/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤および硬化剤を含む2液型コーティング組成物であって、
前記主剤は、ポリオール、硬化触媒および光安定剤を含み、
前記硬化剤は、イソシアヌレート化合物を含み、
前記ポリオールの水酸基価は、300mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下であり、
前記ポリオールの平均水酸基数は、3以上であり、
前記硬化触媒の含有量は、前記ポリオール100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下であり、
前記光安定剤は、ヒンダードアミン系化合物を含み、
前記ヒンダードアミン系化合物の塩基解離定数の常用対数pKbは、6.5以上11.4以下であり、
溶媒の含有量は、30質量%以下である、2液型コーティング組成物。
【請求項2】
前記ヒンダードアミン系化合物の分子量は、400以上800以下である、請求項1に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項3】
前記イソシアヌレート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を含む、請求項1または2に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項4】
前記主剤は、さらに、紫外線吸収剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項5】
前記ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項6】
前記イソシアネート化合物のイソシアネート基当量と前記ポリオールの水酸基当量との比:NCO/OHは、0.5/1以上2/1以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項7】
前記硬化触媒は、Bi、Zn、Al、ZrおよびSnよりなる群から選択される金属元素を含む有機金属触媒を少なくとも1種含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【請求項8】
外装用であり、かつ、インモールドコーティング用である、請求項1~7のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2液型コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
工業製品などの表面には、種々の役割を持つ塗膜が形成されている。塗膜により、被塗物が保護されると同時に、美しい外観および優れた意匠が付与される。塗膜は、一般的に、有機溶媒および/または水性溶媒などの溶媒を含む塗料組成物をスプレー塗装した後、乾燥させることにより形成される。しかし、近年、スプレー塗装時の溶媒の飛散や、乾燥工程における溶媒の大気放出、COの発生等が問題視されつつある。さらに、スプレー塗装は乾燥工程を必須とするため、生産性が低下し易い。
【0003】
そこで、スプレー塗装に代わる塗装方法として、金型内で塗装を行うインモールドコーティングが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-292638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、インモールドコーティングに好適であるとともに、特に外装体に適した2液型コーティング組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
主剤および硬化剤を含む2液型コーティング組成物であって、
前記主剤は、ポリオール、硬化触媒および光安定剤を含み、
前記硬化剤は、イソシアヌレート化合物を含み、
前記ポリオールの水酸基価は、300mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下であり、
前記ポリオールの平均水酸基数は、3以上であり、
前記硬化触媒の含有量は、前記ポリオール100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下であり、
前記光安定剤は、ヒンダードアミン系化合物を含み、
前記ヒンダードアミン系化合物の塩基解離定数の常用対数pKbは、6.5以上14以下であり、
溶媒の含有量は、30質量%以下である、2液型コーティング組成物。
【0007】
[2]
前記ヒンダードアミン系化合物の分子量は、400以上800以下である、上記[1]に記載の2液型コーティング組成物。
【0008】
[3]
前記イソシアヌレート化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を含む、上記[1]または[2]に記載の2液型コーティング組成物。
【0009】
[4]
前記主剤は、さらに、紫外線吸収剤を含む、上記[1]~[3]のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【0010】
[5]
前記ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールよりなる群から選択される少なくとも1種である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【0011】
[6]
前記イソシアネート化合物のイソシアネート基当量と前記ポリオールの水酸基当量との比:NCO/OHは、0.5/1以上2/1以下である、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【0012】
[7]
前記硬化触媒は、Bi、Zn、Al、ZrおよびSnよりなる群から選択される金属元素を含む有機金属触媒を少なくとも1種含む、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【0013】
[8]
外装用であり、かつ、インモールドコーティング用である、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の2液型コーティング組成物。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、インモールドコーティングに好適であるとともに、特に外装体に適した2液型コーティング組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
外装体は、主に屋外でいられる塗装体である。外装用の塗料は、外装体に形成される塗膜の材料である。外装体には、厳しい耐候性が要求される。そのため、外装用の塗料には、通常、光安定剤および/または紫外線吸収剤が配合される。インモールドコーティングの場合、特に光安定剤の塩基性が、塗膜の物性に大きく影響することが判明した。例えば、塩基性の高い光安定剤を用いると、得られる塗膜の密着性が低下して、耐水性もまた大きく低下する。
【0016】
本実施形態では、光安定剤として、塩基解離定数の常用対数pKbが6.5以上14以下であるヒンダードアミン系化合物(HALS)を用いる。このようなpKbを有するHALSは、弱塩基性から中性であるといえる。この弱塩基性から中性のHALS(以下、便宜上、中性HALSと称する場合がある。)を用いることにより、塗膜の密着性の低下が抑制される。つまり、中性HALSによれば、耐水性を低下させることなく、塗膜に耐候性を付与することができる。そのため、本実施形態に係る2液型コーティング組成物は、インモールドコーティング用であって、特に外装用として好適に用いられる。
【0017】
ただし、本実施形態に係る2液型コーティング組成物を、インモールドコーティング以外のコーティング方法において用いることを排除するものではない。例えば、2液型コーティング組成物は、オープンプレスコーティングに適用され得る。
【0018】
本実施形態に係る2液型コーティング組成物は、塗装物品の最外に位置する着色塗膜、塗装物品の最外に位置するクリヤー塗膜、クリヤー塗膜と被塗物との間に介在する中塗り塗膜および/またはベースコート塗膜の材料として用いられ得る。
【0019】
[2液型コーティング組成物]
本実施形態に係る2液型コーティング組成物は、主剤および硬化剤を含む。主剤は、ポリオールと硬化触媒と光安定剤とを含む。硬化剤は、イソシアヌレート化合物を含む。主剤および硬化剤を混合することにより、ポリオールとイソシアヌレート化合物とが反応して、硬化塗膜が得られる。主剤および/または硬化剤はそれぞれ、混合前に加温および/または真空脱気されてもよい。これにより、両者を混合して得られる2液型コーティング組成物に含まれる水分量が少なくなって、得られる塗膜の外観が向上し易くなる。
【0020】
(主剤)
主剤は、ポリオール、硬化触媒および光安定剤を含む。ポリオールは、塗膜形成樹脂である。ポリオールは、例えば加熱によって硬化剤と反応して、三次元の硬化塗膜を形成する。以下、2液型コーティング組成物に含まれるポリオールを含む硬化性の樹脂を、塗膜形成樹脂と総称する場合がある。
【0021】
以下、各成分について詳述する。
〈光安定剤〉
光安定剤は、塗膜の紫外線による劣化を抑制する。光安定剤は、紫外線によって生じるアルキルラジカル(R・)やパーオキシラジカル(ROO・)を効率よくトラップする。本実施形態で用いられる主剤は、光安定剤として、ヒンダードアミン系化合物(HALS)を含む。
【0022】
HALSの構造は特に限定されない。HALSは、例えば、分子内に、1以上のピペリジン骨格(代表的には、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン骨格)を有する。このようなHALSは、1種を単独で、2種以上を組み合わせて用いられる。
【0023】
HALSは、一般に塩基性である。本実施形態に用いられる中性HALSの塩基解離定数の常用対数pKbは、6.5以上14以下である。これにより、HALSのポリオールに対する相溶性が高くなる。中性HALSのpKbは、6.8以上が好ましく、7.0以上がさらに好ましく、8以上が特に好ましい。中性HALSのpKbは、13以下が好ましく、12以下が特に好ましい。
【0024】
中性HALSの分子量は特に限定されない。なかでも、中性HALSの分子量は400以上800以下が好ましい。これにより、ポリオールに対する相溶性が高くなり易い。加えて、塗膜からの中性HALSの溶出またはブリードアウトが抑制され易くなる。中性HALSの分子量は、410以上がより好ましく、420以上がさらに好ましい。中性HALSが分子内に水酸基を有さない場合、中性HALSの分子量は、700以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。水酸基を有する中性HALSは、比較的分子量が大きくても、ポリオールに対する相溶性が高い。そのため、水酸基を有する中性HALSの分子量の上限値は、790であってよく、780であってよい。
【0025】
さらに、水酸基を有するHALSは、塗膜からの溶出またはブリードアウトが生じ難い点でも好ましい。分子量の大きなHALSは、一般的に、塗膜から溶出またはブリードアウトし易い。しかし、水酸基を有するHALSは、その水酸基が硬化剤と反応し得るため、比較的大きな分子量を有していても、塗膜からの溶出またはブリードアウトが抑制され易い。
【0026】
中性HALSのヒンダードアミノ基を構成する窒素原子(代表的には、ピペリジン骨格の窒素原子)は、水素と結合していてよく(N-H型)、アルキル基と結合していてよく(N-R型)、エーテル結合を有していてよく(N-OR型)、エーテル結合を介して水酸基を有していてよく(N-OR-OH型)、アシル基と結合していてよい(N-CO-R型)。pKbが大きくなり易い点で、ヒンダードアミノ基は、N-OR型およびN-CO-R型が好ましい。
【0027】
中性HALSとしては、具体的には、HOSTAVIN(登録商標)3058(クラリアントケミカルズ株式会社製、pKb=11.4、分子量449、N-CO-R型)、Tinuvin(登録商標)123(以下、BASF社製、pKb=9.6、分子量737、N-OR型)、Tinuvin152(pKb=7.0,9.4、分子量757、N-OR型)、Tinuvin249(pKb=約8、N-R型)、Tinuvin5100(pKb=9.6)等が挙げられる。
【0028】
主剤は、他の光安定剤を含んでもよい。他の光安定剤としては、例えば、6.5未満のpKbを有するHALS、14を超えるpKbを有するHALSおよびヒンダードフェノール系化合物が挙げられる。他のHALSとしては、例えば、Tinuvin292(BASF社製、pKb=5.1、分子量509,370、N-R型)、Tinuvin144(BASF社製、pKb=5.5、分子量685、N-R型)、HOSTAVIN3050(クラリアントケミカルズ株式会社製、pKb=6.1、分子量616.2、N-H型)が挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物としては、例えば、IRGANOX(登録商標)1010、IRGANOX1098(いずれもBASF社製)が挙げられる。
【0029】
塗料組成物の樹脂固形分に対する光安定剤の含有量(PHR:質量%)は、1質量%以上5質量%未満が好ましい。光安定剤のPHRは、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。光安定剤のうち、中性HALSは、50質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることが好ましい。塗料組成物の樹脂固形分は、塗膜形成樹脂および硬化剤の合計の固形分である。PHRは、上記樹脂固形分100質量%に対する割合である。
【0030】
〈紫外線吸収剤〉
光安定剤とともに、紫外線吸収剤(UVA)を用いてもよい。これにより、耐候性をさらに向上することができる。UVAとしては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物およびベンゾエート系化合物が挙げられる。UVAとしては、具体的には、Tinuvin326、Tinuvin384-2、Tinuvin900、Tinuvin400、Tinuvin405、Tinuvin460、Tinuvin477、Tinuvin479(いずれもBASF社製)が挙げられる。
【0031】
塗料組成物の樹脂固形分100質量%に対するUVAの含有量(PHR:質量%)は、例えば、5質量%以下である。UVAのPHRは、4質量%以下が好ましく、0%であってよい。
【0032】
〈ポリオール〉
ポリオールは、塗膜形成樹脂である。ポリオールは、例えば加熱によって硬化剤と反応して、三次元の硬化塗膜を形成する。ポリオールは、1分子あたり水酸基を2またはそれ以上有する。本実施形態において、主剤は、1分子あたり平均3以上の水酸基を有するポリオールを含む。これにより、得られる塗膜の硬度が高くなり易い。ポリオールは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0033】
主剤は、1分子あたり3以上の水酸基を有するポリオール(A1)とともに、1分子あたり2つの水酸基を有するポリオール(A2)を含んでいてもよい。ポリオール(A2)の割合は特に限定されない。ポリオール(A2)の割合は、ポリオール(A1)およびポリオール(A2)の合計の50質量%以下であってよく、40質量%以下であってよく、30質量%以下であってよい。
【0034】
ポリオールの水酸基価は、300mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下である。ポリオールの水酸基価が上記範囲内であることにより、主剤および硬化剤を混合した際、ポリオールとイソシアネート化合物との反応速度が大きくなる。そのため、塗装品を金型から速やかに離型させることができて、生産性が向上する。また、反応の際、ある程度の反応熱が生じるため、特に樹脂基材に対する塗膜の密着性が向上し易くなる。
【0035】
2種以上のポリオールが含まれる場合、各ポリオールの水酸基価および質量割合に基づいて算出される、みかけの水酸基価が300mgKOH/g以上1000mgKOH/g以下であればよい。すなわち、主剤は、水酸基価が300mgKOH/g未満のポリオールおよび/または水酸基価が1000mgKOH/gを超えるポリオールを含んでよい。
【0036】
ポリオールの水酸基価(みかけの水酸基価を含む。以下、同じ。)は、350mgKOH/g以上が好ましく、500mgKOH/g以上がより好ましい。ポリオールの水酸基価は、800mgKOH/g以下が好ましく、700mgKOH/g以下がより好ましい。
【0037】
ポリオールの種類は特に限定されない。ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリレートポリオールおよび多価アルコールが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。なかでも、ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0038】
ポリエステルポリオールは、分岐構造を有することが好ましい。分岐構造を有するポリエステルポリオールは、例えば、3価またはそれ以上の多価アルコール化合物に、2またはそれ以上の多価カルボン酸を反応させ、必要に応じて上記反応を繰り返すことにより調製される。
【0039】
ポリエステルポリオールの市販品としては、例えば、デスモフェンVPLS2249/1(住化コベストロウレタン株式会社製)、デスモフェン800(住化コベストロウレタン株式会社製)、デスモフェンXP2488(住化コベストロウレタン株式会社製)、クラレポリオールP-510(株式会社クラレ製)およびクラレポリオールF-510(株式会社クラレ製)が挙げられる。
【0040】
ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよびそれらのブロック体が挙げられる。ポリエーテルポリオールを、多価アルコール化合物に、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドを付加することによって、調製してもよい。上記手順により、1分子あたりのOH官能基数が2価、3価またはそれ以上であるポリエーテルポリオールを調製することができる。
【0041】
ポリエーテルポリオールの市販品としては、例えば、三洋化成工業株式会社製サンニックスシリーズが挙げられる。具体的には、サンニックスGP-250、サンニックスGP-400、サンニックスPP-200およびサンニックスGP-600などが挙げられる。
【0042】
ポリカーボネートポリオールは、例えば、多価ポリオールに炭酸ジメチルを反応させることによって、調製することができる。
【0043】
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、例えば、デュラノールT5650E(旭化成株式会社製)、C-590(株式会社クラレ製)およびETERNACOLL PH-50(宇部興産株式会社製)が挙げられる。
【0044】
多価アルコールとして、例えば、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールおよびペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0045】
ポリオールの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。ポリオールのMwは、水酸基価等に応じて、適宜設定すればよい。
【0046】
主剤は、平均水酸基数が3未満のポリオールを含んでもよい。主剤は、ポリオール以外の他の塗膜形成樹脂を含んでもよい。塗膜形成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびカルボジイミド樹脂が挙げられる。他の塗膜形成樹脂は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0047】
〈硬化触媒〉
硬化触媒は、硬化反応を促進する。硬化触媒は特に限定されない。促進効果の観点から、硬化触媒としては、例えば、Bi、Zn、Al、ZrおよびSnよりなる群から選択される金属元素を含む有機金属触媒の少なくとも1種が好ましい。なかでも、Bi、Zn、AlおよびZrよりなる群から選択される金属元素を含む有機金属触媒の少なくとも1種が好ましい。
【0048】
Biを含む有機金属触媒として、例えば、ビスマスカルボン酸およびその塩が挙げられる。Znを含む有機金属触媒として、例えば、亜鉛錯体触媒が挙げられる。Alを含む有機金属触媒として、例えば、アルミニウム錯体触媒が挙げられる。Zrを含む有機金属触媒として、例えば、ジルコニウムキレート触媒が挙げられる。Snを含む有機金属触媒として、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテートなどのジアルキルスズジカルボキシレート;ジブチルスズオキサイドなどのスズオキサイド化合物;2-エチルヘキサン酸スズなどのスズカルボン酸塩が挙げられる。
【0049】
Biを含む有機金属触媒の市販品としては、例えば、K-KAT 348(楠本化成株式会社製)、K-KAT XK-640(楠本化成株式会社製)が挙げられる。Zrを含む有機金属触媒の市販品としては、例えば、K-KAT 4205、K-KAT XC-9213、K-KAT XC-A209、K-KAT 6212(以上、楠本化成株式会社製)が挙げられる。Alを含む有機金属触媒の市販品としては、例えば、K-KAT 5218(楠本化成株式会社製)が挙げられる。Znを含む有機金属触媒の市販品としては、例えば、K-KAT XK-314、K-KAT XK-635、K-KAT XK-639、K-KAT XK-620(以上、楠本化成株式会社製)が挙げられる。Snを含む有機金属触媒の市販品としては、例えば、TVS TIN LAU(日東化成株式会社製)が挙げられる。
【0050】
硬化触媒の含有量は、例えば、塗膜形成樹脂100質量部に対して0.25質量部以上10質量部以下である。これにより、塗膜形成樹脂の硬化反応が速やかに進行する。よって、インモールドコーティングによる層形成により、外観および物性に優れた塗膜が得られる。硬化触媒の含有量は、塗膜形成樹脂100質量部に対して0.5質量部以上がより好ましい。硬化触媒の含有量は、塗膜形成樹脂100質量部に対して7質量部以下がより好ましい。
【0051】
(硬化剤)
硬化剤により、ポリオール等の塗膜形成樹脂が架橋されて、得られる塗膜の耐食性および耐久性が向上する。
【0052】
硬化剤は、イソシアヌレート化合物を含む。イソシアヌレート化合物は、イソシアネート化合物の三量体であって、環構造を有する。
【0053】
イソシアネート化合物は特に限定されず、2液反応型組成物の硬化剤として公知のものが用いられる、イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
【0054】
なかでも、粘度が比較的低い点で、脂肪族ジイソシアネートが好ましく、HDIがより好ましい。これらのイソシアネートの三量体は、ポリオールとの反応性が特に高い。そのため、インモールドコーティングによるコーティング層形成方法に、より好適に用いられる。
【0055】
イソシアネート化合物のイソシアネート基当量とポリオールの水酸基当量との比:NCO当量/OH当量は、0.5/1.0以上2.0/1.0以下が好ましく、0.9/1.0以上1.2/1.0以下がより好ましい。当量比が上記範囲内であると、硬化性が高く、特にインモールドコーティングによるコーティング層形成用として好適に用いられる。
【0056】
硬化剤は、イソシアヌレート化合物以外の他の硬化剤を含んでいてよい。他の硬化剤としては、例えば、アミノ樹脂、上記イソシアネート化合物の単量体またはダイマー、上記イソシアネート化合物のビウレット体、上記イソシアネート化合物のブロック化物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0057】
硬化剤の含有量は、例えば、塗料組成物の樹脂固形分の35質量%以上90質量%以下である。硬化剤の上記含有量は、45質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましい。硬化剤の上記含有量は、85質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。
【0058】
(溶媒)
塗料組成物に含まれる溶媒の含有量は、30質量%以下である。これにより、速やかに硬化塗膜が得られる。よって、インモールドコーティングによる層形成により、外観および物性に優れた塗膜が得られる。溶媒の含有量は、10質量%以下が好ましく、0%であってよい。
【0059】
溶媒は特に限定されない。溶媒は、通常、有機溶媒である。有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール、エトキシプロパノール、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコール-t-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、メトキシブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール、プロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;スワゾール、シェルゾール、ミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素系溶剤;キシレン、トルエン、ソルベッソ-100(S-100)、ソルベッソ-150(S-150)などの芳香族系溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0060】
〈顔料〉
主剤は、顔料を含んでよい。顔料としては、例えば、着色顔料、光輝性顔料および体質顔料が挙げられる。顔料の含有量は特に限定されない。顔料の含有量は、その種類や目的等に応じて、適宜設定すればよい。
【0061】
光輝性顔料としては、例えば、金属片(アルミニウム、クロム、金、銀、銅、真鍮、チタン、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等)、金属酸化物片、パール顔料、金属あるいは金属酸化物で被覆されたガラスフレーク、金属酸化物で被覆されたシリカフレーク、グラファイト、ホログラム顔料およびコレステリック液晶ポリマー挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0062】
着色顔料としては、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料および金属錯体顔料等の有機系着色顔料:黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラックおよび二酸化チタン等の無機系着色顔料が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0063】
体質顔料として、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレーおよびタルクが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0064】
(その他)
2液型コーティング組成物は、必要に応じて他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、コーティング分野および塗料分野において通常用いることができる添加剤が挙げられる。具体的には、各種顔料、表面調整剤、粘性調整剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤、触媒助剤、防錆剤、沈降防止剤、分散剤等が挙げられる。 これらの添加剤は、主剤に添加されてもよいし、硬化剤に添加されてもよい。添加剤の量は特に限定されず、必要に応じて適宜設定できる。
【0065】
[インモールドコーティング]
インモールドコーティングは、金型内でコーティング層を形成する方法である。インモールドコーティングにおいて、塗装体は、被塗物の表面と、金型のキャビティ表面および/またはコア表面との間に、上記2液型コーティング組成物を注入する工程と、注入された2液型コーティング組成物を硬化する工程と、を備える方法により製造される。硬化工程は、金型内で行われてもよい。
【0066】
インモールドコーティングによれば、金型内でコーティング層が形成されるため、被塗物とコーティング層との間にゴミ等が付着することや、コーティング層の内部にゴミ等が混入することが抑制される。また、被塗物の表面状態の影響を受け難いため、金型の模様を高精度でコーティング層に転写することができる。加えて、コーティング組成物に含まれる溶媒量が少ないため、溶媒を除去するための乾燥工程を要せず、生産性が向上する。さらに、ダレやワキの抑制された厚いコーティング層を形成することができる。
【0067】
樹脂製の被塗物もまた、同じ金型内で成形されてもよい。この場合、塗装体は、金型内で樹脂製の被塗物を成形する工程と、得られた被塗物の表面と、金型のキャビティ表面および/またはコア表面との間に、上記2液型コーティング組成物を注入する工程と、注入された2液型コーティング組成物を硬化する工程と、を備える方法により製造される。硬化工程は、金型内で行われてもよい。
【0068】
金型に注入される際の2液型コーティング組成物の粘度は、100mPa・s以上500mPa・s以下が好ましい。必要に応じて、2液型コーティング組成物の主剤および/または硬化剤を加温して、粘度を調節してもよい。
【0069】
樹脂製の被塗物は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。上記樹脂製の被塗物を構成する樹脂として、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート(PC)/ABS樹脂、PC/アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン共重合体(AES樹脂)、AES樹脂、PC/ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、PC/ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、PC樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、GF-PBT樹脂、GF-ポリアミド(PA)樹脂、ノリル・GTX樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC樹脂)、アクリロニトリル・スチレン・アクリル(ASA)樹脂、炭素繊維強化プラスチック(CFRP樹脂)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP樹脂)が挙げられる。
【0070】
上記2液型コーティング組成物によって形成されるコーティング層は、優れた耐候性および耐水性を備える。そのため、得られる塗装体は、例えば、自動車の外装体、建築用途に好適に用いられる。
【実施例
【0071】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
【0072】
[実施例1]
ポリオール(サンニックス GP-250、三洋化成工業株式会社製、水酸基価670mgKOH/g、平均水酸基数3)100部、HALS(HOSTAVIN3058、クラリアントケミカルズ株式会社製、pKb=11.4、分子量449、N-CO-R型)、硬化触媒(K-KAT XK-640、楠本化成株式会社製、Biを含む有機金属触媒)3部(有効成分量)、UVA(Tinuvin384-2、BASF社製、ベンゾトリアゾール系化合物)、UVA(Tinuvin400、BASF社製、トリアジン系化合物)を混合して、主剤を調製した。表中、HALSおよび各UVAの量は、樹脂固形分(ポリオールおよび硬化剤)100質量%に対する割合(PHR)として記載されている。
別途、硬化剤として、イソシアヌレート化合物(デスモジュールN3600、住化コベストロウレタン株式会社製、HDIのヌレート体)218部を準備した。
NCO/OH=1.0/1.0であり、2液型コーティング組成物としての溶媒含有量は0%であった。
【0073】
[実施例2~19および比較例1~11]
各成分の種類および量を、表1~表3に記載の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様の手順により、主剤および硬化剤を調製した。
なお、実施例13~15および比較例9においては、有機溶媒である酢酸エチルを主剤に混合した。表1~表3には、溶媒量を、2液型コーティング組成物に対する割合として記載している。
【0074】
上記表中の成分は、以下の通りである。
(ポリオール)
サンニックスGP-250:三洋化成工業株式会社製、ポリエーテルポリオール、水酸基価670mgKOH/g、平均水酸基数3
サンニックスGP-400:三洋化成工業株式会社製、ポリエーテルポリオール、水酸基価400mgKOH/g、平均水酸基数3
サンニックス GP-600:三洋化成工業株式会社製、ポリエーテルポリオール、水酸基価280mgKOH/g、平均水酸基数3
デスモフェンVPLS2249/1:住化コベストロウレタン株式会社製、ポリエステルポリオール、水酸基価512mgKOH/g、平均水酸基数3以上
デスモフェンXP2488:住化コベストロウレタン株式会社製、ポリエステルポリオール、水酸基価528mgKOH/g、平均水酸基数3以上
サンニックス PP-200:三洋化成工業株式会社製、ポリエーテルポリオール、水酸基価560mgKOH/g、平均水酸基数2
サンニックス PP-600:三洋化成工業株式会社製、ポリエーテルポリオール、水酸基価187mgKOH/g、平均水酸基数2
デュラノールT5650E:旭化成株式会社製、ポリカーボネートポリオール、水酸基価225mgKOH/g、平均水酸基数2
【0075】
(HALS)
Tinuvin292:BASF社製、pKb=5.1、分子量509,370、N-R型
HOSTAVIN3050:クラリアントケミカルズ株式会社製、pKb=6.1、分子量616.2、N-H型
Tinuvin152:BASF社製、pKb=7.0、9.4、分子量757、N-OR型
【0076】
(硬化触媒)
TVS TIN LAU:日東化成株式会社製、Snを含む有機金属触媒
【0077】
(硬化剤)
デュラネート24A-100:旭化成株式会社製、HDIのビウレット体
デスモジュールN3400:住化コベストロウレタン株式会社製、HDIのダイマー
【0078】
実施例および比較例で調製した2液型コーティング組成物を用いて、下記評価を行った。評価結果を表1~表3に示す。
【0079】
(1)コーティング作業性
調製された主剤に硬化剤を添加した。硬化剤の添加後、15秒間混合して、サンプルを取り出した。サンプルを取り出した時間を、塗工作業時間スタート:0秒とし、取り出したサンプルをスパチュラで攪拌した。主剤および硬化剤の硬化反応により流動性がなくなり、サンプルが直ちに落下しない状態に達するまでに要した時間を、塗工作業時間として測定し、下記基準により評価した。
【0080】
(評価基準)
良:塗工作業時間が10秒以上60秒未満
可:塗工作業時間が60秒以上180秒未満
不良:塗工作業時間が10秒未満、または、180秒以上
【0081】
(2)コーティング層の外観
まず、評価用の試験板を作製した。
得られた2液型コーティング組成物の主剤および硬化剤を混合した。ABS板を金型内(金型内面積:100cm)に配置し、コーティング組成物を注入した。次いで、金型を、80℃で5分間加熱した。このようにして、ABS板と、その表面に形成された厚さ150μmのコーティング層と、を有する試験板を得た。
【0082】
上記評価試験板を23℃で72時間放置し、次いで80℃で20分間加熱した。得られた試験板の外観を、下記基準に従って目視にて評価した。
【0083】
(評価基準)
良:粒状物発生、泡の巻き込み、巣穴(空気がたまりやすい穴)の発生のいずれも認められない
可:泡の巻き込みが若干認められる
不良:粒状物発生、泡の巻き込み、巣穴(空気がたまりやすい穴)の発生のうち、1またはそれ以上が明確に認められる
【0084】
(3)耐候性
上記と同様にして得られた試験板に対し、サンシャインウェザオメーターS80(サンシャインカーボンアーク式促進耐候試験機、スガ試験機社製)を用いて、JIS B 7753に準拠して、800時間の促進耐候性試験を行った。試験前後の塗膜の60°光沢値を光沢計GN-268Plus(コニカミノルタ社製)により測定し、以下の式を用いて光沢保持率を算出した。算出された光沢保持率を、以下の基準に従って評価した。
光沢保持率=100×{(試験前の60°光沢値)-(試験後の60°光沢値)}/(試験前の60°光沢値)
【0085】
(評価基準)
良:光沢保持率が80%以上
可:光沢保持率が60%以上80%未満
不良:光沢保持率が60%未満
【0086】
(4)耐水性
上記と同様にして得られた試験板を、40℃に保持された水槽に240時間浸漬した。その後、試験板を水から引き揚げて、常温で1時間乾燥した。次いで、試験板の塗膜に、カッターにより1mmの間隔で縦横10本ずつの切れ目を入れ、その上にセロテープ(登録商標)(ニチバン社製)を貼付した後、はがした。100個のマス目のうち、塗膜が残存しているマス目の数をカウントした。塗膜が残存しているマス目が多いほど、耐水試験後の付着性に優れており、耐水性が高い。カウントされたマス目の数を、以下の基準に従って評価した。
【0087】
(評価基準)
良:カウントされたマス目の数が81個以上
可:カウントされたマス目の数が60個以上80個以下
不良:カウントされたマス目の数が59個以下
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の2液型コーティング組成物は、インモールドコーティングによるコーティング層形成方法などの、従来のスプレー塗装とは異なる塗装方法において好適に用いることができる。本発明の2液型コーティング組成物によれば、耐候性および耐水性に優れる塗膜が得られるため、特に、外装用として好適に用いられる。