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特許7382305選択的にシールドされたコネクタチャネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】選択的にシールドされたコネクタチャネル
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6461 20110101AFI20231109BHJP
【FI】
H01R13/6461
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020218575
(22)【出願日】2020-12-28
(62)【分割の表示】P 2018553900の分割
【原出願日】2017-06-16
(65)【公開番号】P2021061248
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2020-12-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】62/363,635
(32)【優先日】2016-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ロールクス
(72)【発明者】
【氏名】チェンリン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヴェク シャー
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】吉田 昌弘
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-511810(JP,A)
【文献】特開2015-158992(JP,A)
【文献】特開2010-212154(JP,A)
【文献】特開2014-165175(JP,A)
【文献】特開2016-29670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタシステムを使用する方法であって、
第1のコネクタを提供することであって、該第1のコネクタが、第1のウェハ、第2のウェハ、及び前記第1のウェハと第2のウェハとの間に第3のウェハを支持することができる空間を有し、前記第1のウェハ、第2のウェハが、垂直構成で配置され、前記第1のウェハ及び第2のウェハの各々が、N対の信号端子を有する、第1のコネクタを提供することと、
水平構成で配置されたN個のウェハを有する第2のコネクタを提供することであって、該第2のコネクタが、前記第1のコネクタに直交直接接続され、前記第1のウェハ及び第2のウェハが、前記第2のコネクタ内のN個のウェハに接続する高速信号伝達用に構成された対の端子を提供するように構成されている、水平構成で配置されたN個のウェハを有する第2のコネクタを提供することと、
前記第2のウェハ内で受信高速信号を受信するとともに、前記第1のウェハ内に送信高速信号を提供することであって、前記第1のウェハと第2のウェハとの間の空間が、高速信号を送信するために使用されないことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のコネクタが、前記第1のウェハと第2のウェハとの間に位置づけされた第3のウェハを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のコネクタが、前記第1のウェハと第2のウェハとの間に位置付けされた第3のウェハを有しない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高速信号が、20GHzの信号伝達周波数で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記高速信号が、28GHzのナイキスト周波数を有する信号伝達周波数で提供される、請求項4に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/363,635号の優先権を主張するものであり、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、コネクタの分野、より詳細には、高速データ速度用途における使用に適したシールドされたコネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
バックプレーンコネクタのような高速データ速度対応コネクタが知られている。最先端のコネクタの1つの特徴は、非ゼロ復帰(NRZ)符号化を使用して25~40Gbpsのデータ速度をサポートできることである。現在のコネクタ設計は、このようなデータ速度をサポートするのに適しているが、50Gbps及び100Gbpsチャネルを実装する計画がある。このようなデータ速度は、高速信号伝達と考えることができる。
【0004】
50Gbpsまたは100Gbpsのチャネルを実装する際の問題点の1つは、信号伝達周波数が25GHz以上に拡大するようになることである(50Gbpsは、NRZ符号化で満たされ、100Gbpsデータ速度では、レベル4のパルス振幅変調(PAM4)が必要になる)。しかしながらいずれの場合も、ナイキスト周波数は、約25~28GHzの範囲にある。このような周波数を使用すると、信号の完全性に大きな問題が生じ、既存の方法はしばしば不十分である。例えば、40Gbpsのデータ速度でもうまく動作し、NRZ符号化を使用する特定のアプリケーションで50Gbpsをサポートできるコネクタであっても、振幅レベルの変動が小さく、検出が困難なため、100Gbpsのデータ速度をサポートするには不十分であり、したがって、特にクリーンなチャネルを必要とする。結果として、特定の個人は、特により高い周波数において、さらに信号完全性の改善を提供することができるバックプレーンコネクタを理解するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
複数のウェハを支持するコネクタが開示されている。ウェハの各々は、差動的に連結されるように構成された対の端子を支持する絶縁性フレームを含む。各々のウェハは、複数のチャネルを含む第1のシールドを含むことができ、各々のチャネルは、差動的に連結されたそれぞれの信号端子の対を部分的に囲み、シールドは、1つのチャネルが隣接チャネルに共通するように構成される。ウェハは、シールドに隣接して設けられ、シールドと隣接するウェハとの間にあるように意図された分離シールドをさらに含むことができる(このようなウェハが存在する場合)。実施形態では、コネクタは、信号を送信するための第1の対、信号を受信するための第2の対、及び第1及び第2の対に位置付けされた第3の対の少なくとも3つの差動対を含む。導電性インサートは、第1の対と第2の対との間に追加のシールドを提供するのを助けるために、第3の対上に取り付けることができる。導電性インサートは、少なくとも部分的に導電性であり、シールド及び分離シールドのうちの少なくとも1つに電気的に接続される。
【0006】
本発明は、一例として例示され、添付図面に限定されるものではなく、図面中、同様の符号は、類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】高速データ速度をサポートするように構成されたコネクタシステムの実施形態の斜視図である。
図2】コネクタが互いに嵌合する図1に示された実施形態の斜視図である。
図3図2に示された実施形態の別の斜視図である。
図4】ウェハの実施形態の斜視図である。
図5A図4に示された実施形態の別の斜視図である。
図5B図5Aに示された実施形態の拡大されかつ単純化された斜視図である。
図6】ウェハの実施形態の正面図である。
図7図6に示された実施形態の拡大図である。
図8図7に描かれている実施形態の斜視図である。
図9】2つの隣接するウェハを含む実施形態の斜視図である。
図10図9に示された実施形態の正面斜視図である。
図11図10に示された実施形態の拡大正面図である。
図12】説明のためにフレームと端子を省略した2つの隣接するウェハの実施形態の斜視概略図である。
図13図12に示された実施形態の拡大され、かつ単純化された斜視図である。
図14図13に示された実施形態の別の斜視図である。
図15】ウェハの別の実施形態の斜視図である。
図16】ウェハの別の実施形態の斜視図である。
図17】導電性インサートを有するコネクタ及び有しないコネクタの実施形態に対するクロストーク対挿入損失のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の「発明を実施するための最良の形態」は、例示的な実施形態を説明するものであり、明示的に開示された組み合わせ(複数可)に限定することを意図しない。したがって、別途記載のない限り、本明細書で開示される特徴は、一緒に組み合わせて、簡潔さのために別途示されることがなかった、更なる組み合わせを形成することができる。
【0009】
図1図3から理解できるように、図示されたコネクタ設計は、直交直接接続構成である。これは、2つの直角コネクタ50、100が回路基板5、10にそれぞれ取り付けられ、回路基板5,10(各々がコネクタ50、100からテールを受けるように構成されたビアパターン6を有する)が、それらが互いに直交するように配置されている。この構成は、コネクタ50内の単一のウェハによって提供される対の信号端子の列が、コネクタ100内のいくつかの異なるウェハの間で分割される状況をもたらす。
【0010】
図示されているように、コネクタ50は、3つ以上のウェハを含むウェハセット80と、嵌合コネクタとの係合インタフェースを支持し、これを提供するように助けるハウジング70とを含む。同様に、コネクタ100は、ウェハセット130のための係合インタフェースをサポートしかつ提供するのを助けるハウジング120を含む。当然のことながら、ハウジング70及び/またはハウジング120は、必要に応じて、省略または実質的に異なる形状を備えることができる。理解できるように、一般に、ハウジングの機械的利点は、多くの用途において望ましいハウジングの使用を可能にする。
【0011】
NRZ符号化を使用して50Gbpsなどのより高速のデータ速度をサポートするために、出願人が成功裏に見出した1つのアプローチは、コネクタ50が、第1の側部の1つ以上のウェハ(好ましくは3つまたは4つのウェハ)が信号を送信するために使用され、第1の側部と反対側の第2の側部の1つ以上のウェハ(好ましくは3つまたは4つのウェハ)が信号を受信するために使用されるように構成されることである。送信ウェハと受信ウェハとの間に通常位置付けられる1つまたは2つのウェハは省略することができ、または低速データ速度の可能な信号を提供するために使用することができる。コネクタ50がそのように構成されている場合、各々のウェハが信号を受信するためのいくつかの対の端子と、信号を送信するためのいくつかの対の端子の対を有するように、コネクタ100が配置される。送信信号の対と受信信号の対との間には、空白スペースが存在してもよく、または信号端子が低速信号伝達のために使用されてもよい。以下でこれについてさらに議論する。
【0012】
ウェハセット80、130の各々は、複数のウェハ150を含む。図4図5Bに示されるウェハ150は、絶縁性材料で形成されたフレーム155を含み、8つの差動対180を提供するように構成されている(但し、3~12の範囲のいくつかの他の数は合理的に実現可能である)。各々の差動対180は、2つの端子181からなり、各々の端子181は、テール182と、コンタクト183と、それらの間に延在する本体184とを有する。
【0013】
ウェハ150は、第1の縁部150a及び第2の縁部150bを有し、さらに、肩部167によって形成された複数のチャネル166を形成するシールド165を含む。シールド165は、いかなるコンタクトも含まないが、嵌合コネクタ上のシールドは、シールド165に係合するコンタクトを含むことが予想される。チャネル166は、差動対180と整列しており、第1の縁部150aから第2の縁部150bまで延在することができる。チャネル166は、別個の接地端子を必要とせずに、接地端子と同等のものを提供し、シールドするのを助ける。これにより、差動対180をより接近して位置付けしながら、依然として望ましい信号完全性性能を提供することが可能になる。シールド165は、分離シールドに連結されて、ウェハ間の追加の分離を提供し、チャネル166は、クロスバー168を介して互いに接続される。
【0014】
端子対180は、上部領域195a、底部領域195b及び中央領域195c内に配置することができる。上部領域195aは、高速信号を送信するために使用され、底部領域195bは、高速信号を受信するために使用され得る。逆に、上部領域195aは、高速信号を受信するために使用され、底部領域は高速信号を送信するために使用され得る。どちらの場合でも、中央領域は低速信号に使用できる。
【0015】
図5A図14から理解できるように、導電性インサート160を使用して、上部領域195a内の差動対180と底部領域195b内の差動対180との間のシールドを強化することができる。図示された実施形態は3つの差動対を有するが、いくつかの他の数の差動対を使用することもできる。実施形態では、導電性インサート160は、低速データ速度で信号を提供する際に使用するように構成された差動対の周りに位置付けすることができる。導電性インサート160は、(例えば、肩部167をリッジ164と係合させることによって)シールド165及び/または支持ウェハ上の分離シールド170に電気的に接続されるように構成することができ、導電性インサート160と対応する分離シールド170との間にわずかな干渉を最初に加えることによって、隣接するウェハ150上の分離シールド170に電子的に接続することができる上部壁161及び側部壁162を有する。導電性インサート160は、隣接する分離シールド170を押圧して係合する上部壁161の外面161a上の突起163を含んでよい。
【0016】
図15に示すように、ウェハ150’は、中央領域195c内の1対以上の信号端子を省略できるように構成することができる。多くの状況において、より低速の信号の送信をサポートするために中央領域195c内に信号端子を有することが有益である。しかし、低速信号端子が不要な状況では、導電性インサート160は、ウェハ内の送信チャネルと受信チャネルとの間に垂直分離/障壁を提供するので、送信信号対と受信信号対との間のシールドをなおも高めることができる。
【0017】
図16から理解できるように、導電性インサートは、壁として形成することもできる。図示のように、導電性インサート160’は壁形状を有し、信号を送信するように構成された差動対180と、信号を受信するように構成された差動対180との間に位置付けすることができる。導電性インサート160’は、フレーム155’のスロット155aに押し込むことができ、隣接するウェハの分離シールド170に係合している間、分離シールド170及び/または導電性インサート160’を支持するシールド160と係合することができる。導電性インサート160’の1つの利点は、単一の壁の使用が、ウェハ150上の高速信号対のための追加の空間を提供することである。このような構成では、送信対と受信対との間の分離がそれほど多くないため、遠端クロストークがわずかに高くなることが予想されるが、すべての対を高速信号伝達に使用できるという利点がある。したがって、図16に示す設計は、パフォーマンスのトレードオフ対サイズがアプリケーションに適している状況で柔軟性を提供する。
【0018】
代替的に、導電性インサートは、壁であるのではなく、または(図示のように)1つの差動対を覆うだけでなく、複数の差動対を覆うことができる。複数の差動対を覆うように(好ましくは、各対が隣接する対から覆われて分離されている)導電性インサートのサイズを増やすことは、追加のシールドを設けることが予期され、したがってクロストークに特に敏感な用途には望ましい場合がある。当然のことながら、より大きな導電性インサートでは、複数の列に追加の突起を設けることができる(突起の列は直線ではなく、代わりにインサートの形状に従うことが理解される)。
【0019】
図17から理解できるように、シミュレーション試験は、導電性インサートを含むシステムに対する導電性インサートを含まないシステムに対して、20~25GHzの間のいくつかの利点と、25~30GHzの間のより大きな利点とを示している。クロストークノイズレベルと挿入損失との間の追加の3~5dBの信号は、PAM4符号化を使用して100~112Gbpsに適したコネクタに対してNRZ符号化を使用して50~56Gbpsに適したコネクタを採用して、25~28GHzでのPAM4信号伝達をサポートするのに十分であり得るため、25~30Ghzの間の利点は、重要である。言い換えれば、信号伝達が約28GHzのナイキスト周波数を有する構成の場合、導電性インサートの利点は重要であり得る。
【0020】
本明細書で提供される開示は、その好ましい例示的な実施形態の観点で特徴を説明している。添付の請求項の範囲及び趣旨の範囲内で、数多くの他の実施形態、修正、及び変形が、本開示の検討から当業者に想起されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17