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<図1>
  • 特許-インターフェース・ユニット 図1
  • 特許-インターフェース・ユニット 図2
  • 特許-インターフェース・ユニット 図3
  • 特許-インターフェース・ユニット 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】インターフェース・ユニット
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/42 20060101AFI20231109BHJP
   B63H 21/21 20060101ALI20231109BHJP
   B63H 25/04 20060101ALI20231109BHJP
   B63B 79/00 20200101ALI20231109BHJP
   B63B 21/00 20060101ALI20231109BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B63H25/42 G
B63H21/21
B63H25/04 D
B63B79/00
B63B21/00 Z
G05D1/00 A
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2020531034
(86)(22)【出願日】2018-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 NO2018050303
(87)【国際公開番号】W WO2019112442
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】20171950
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(73)【特許権者】
【識別番号】521348030
【氏名又は名称】コングスベルグ・マリタイム・アーエス
【氏名又は名称原語表記】KONGSBERG MARITIME AS
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャラウェイ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】テオ、アニーテ リー ジン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイビク、ニルス シグムント
(72)【発明者】
【氏名】ドーソン、ショーン
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/167884(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02417017(GB,A)
【文献】国際公開第2016/023080(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 25/42
B63H 21/21
B63H 25/04
B63B 79/00
B63B 21/00
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラスト機能をもつ被支援船舶の制御及びセンサー・システムとマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムとの間のインターフェースを与えるインターフェース・ユニットであって、前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムが、いくつかの補助船舶を1つのユニットとして制御し、前記被支援船舶の操縦を支援するために前記被支援船舶の前記スラスト機能を制御するように構成され、
前記被支援船舶の前記スラスト機能を制御するために前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムから前記被支援船舶の前記制御及びセンサー・システムにコマンドを送信するように構成され、
前記被支援船舶の制御及びセンサー・システムから前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに情報を送信するように適応され、
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに送信される前記被支援船舶の前記制御及びセンサー・システムからの前記情報が、
前記被支援船舶の方向舵角、
前記被支援船舶の制御可能ピッチ・プロペラ(CPP)のピッチ角、
前記被支援船舶のプロペラ毎分回転数(RPM)、
前記被支援船舶のエンジン毎分回転数(RPM)、
前記被支援船舶のエンジン出力、
前記被支援船舶のスラスタ角、
前記被支援船舶のスラスタ毎分回転数(RPM)、又は
前記被支援船舶のスラスタ・パワー
のうちの少なくとも1つを含む、インターフェース・ユニット。
【請求項2】
慣性航法システムをさらに備える、請求項1に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項3】
前記慣性航法システムが、全地球測位システムとモーション・リファレンス・ユニットとを備える、請求項2に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項4】
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムが前記補助船舶のうちの1つ又は陸上施設の上に配置された、請求項1から3までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項5】
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに送信される前記被支援船舶の前記制御及びセンサー・システムからの前記情報が、
前記被支援船舶のグローバル位置、
前記被支援船舶の速度、
前記被支援船舶の船首方向、又は
自動識別システム(AIS)支援パラメータ
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項6】
前記自動識別システム(AIS)支援パラメータは、形状及び負荷状態を含む、請求項5に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項7】
ポータブルである、請求項1から6までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項8】
前記被支援船舶に搭載されている前記制御及びセンサー・システムに容易に接続可能である、請求項1から7までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項9】
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムの人間制御を可能にするように構成された、請求項1から8までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項10】
人間制御が、船長、パイロット、タグ・マスタ又は陸上オペレータからのコマンドを含む、請求項9に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項11】
前記被支援船舶に乗っている乗務員による前記被支援船舶の前記スラスト機能の制御のために、前記乗務員に音声又は視覚コマンドを与えるように構成された、請求項1から10までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項12】
前記被支援船舶に搭載されている前記制御及びセンサー・システムと通信するように構成された通信モジュールをさらに備える、請求項2から11までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項13】
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムと通信するように構成されたダイナミック・ポジショニング・インターフェース・モジュールをさらに備える、請求項1から12までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項14】
前記被支援船舶に搭載されている前記制御及びセンサー・システムからの信号を前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって理解可能な信号に変換するように構成された変換モジュールをさらに備える、請求項1から13までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項15】
前記変換モジュールが、前記被支援船舶に搭載されている前記制御及びセンサー・システムと前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムとの間の変換情報をもつデータベースをさらに備える、請求項14に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項16】
前記通信モジュールが、ケーブル・ベース接続又はワイヤレス接続を介して、前記被支援船舶に搭載されている前記制御及びセンサー・システムに接続可能である、請求項12に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項17】
前記ワイヤレス接続が、衛星、アンテナ又は無線信号のうちの少なくとも1つである、請求項16に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項18】
前記ワイヤレス接続がセキュアな接続である、請求項16又は17に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項19】
前記ダイナミック・ポジショニング・インターフェース・モジュールと前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムとの間、
前記ダイナミック・ポジショニング・インターフェース・モジュールと前記被支援船舶の前記制御及びセンサー・システムとの間、又は
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムと前記補助船舶との間
のうちの少なくとも1つの通信においてセキュアな接続が実装される、請求項13に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項20】
前記スラスト機能が、方向舵、プロペラ、アジマシング・スラスタ、ウォータージェット、又はトンネル・スラスタのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から19までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項21】
前記補助船舶がタグボートである、請求項1から20までの一項に記載のインターフェース・ユニット。
【請求項22】
請求項1から21までの一項に記載のインターフェース・ユニットを備えるマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム。
【請求項23】
ダイナミック・ポジショニング制御システムが、複数の入力パラメータに基づいて前記補助船舶と前記被支援船舶の前記スラスト機能とを制御するように構成され、前記複数の入力パラメータが、
前記被支援船舶の速度、
前記被支援船舶の船首方向、
前記被支援船舶の位置、
海面交通、
気象データ、
環境データ、
前記補助船舶の速度、
前記補助船舶の船首方向、
前記補助船舶の位置、
前記補助船舶のワイヤ、ロープ引張り若しくはウインチ許容荷重、又は
電子航法図
のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載のマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム。
【請求項24】
スラスト機能をもつ被支援船舶の操縦を支援するためのシステムであって、
いくつかの補助船舶を、被支援船舶の操縦を支援するための1つのユニットとして制御する、請求項22又は23の一項に記載のマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムと
請求項1から21までの一項に記載のインターフェース・ユニットと
を備える、船舶の操縦を支援するためのシステム。
【請求項25】
スラスト機能をもつ被支援船舶の操縦を支援するための方法であって、
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって補助船舶の各々のダイナミック・ポジショニング・システムを制御することによって、いくつかの前記補助船舶を、前記被支援船舶の操縦を支援するための1つのユニットとして制御することと、
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって前記被支援船舶の前記スラスト機能を制御することと
を含む、船舶の操縦を支援するための方法。
【請求項26】
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムが、前記被支援船舶に搭載されている前記スラスト機能の制御を可能にするインターフェース・ユニットを与えられた、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって、前記インターフェース・ユニットを介して前記被支援船舶から制御及びセンサー情報を受信することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記インターフェース・ユニットを前記被支援船舶上に配置することをさらに含む、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって、前記インターフェース・ユニット中に与えられた慣性航法システムから情報を受信することを含む、請求項26から28までの一項に記載の方法。
【請求項30】
前記慣性航法システムが全地球測位システムとモーション・リファレンス・ユニットとを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項25から30までの一項に記載の方法を実行するためのコンピュータ・プログラム。
【請求項32】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムを与えられたタグボートであって、前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムが、いくつかのタグボートを、スラスト機能を有する被支援船舶の操縦を支援するための1つのユニットとして制御し、前記被支援船舶に搭載されている前記スラスト機能を制御するように適応され、
前記マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムが、前記被支援船舶に搭載されている前記スラスト機能の制御を可能にする請求項1から21までの一項に記載のインターフェース・ユニットに接続可能である、タグボート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いくつかの補助船舶、たとえばタグボートを制御するマスタ・ダイナミック・ポジショニング(DP:dynamic positioning)システムと被支援船舶に搭載されている制御システムとの間のインターフェースを与えるインターフェース・ユニットに関する。本発明はまた、そのインターフェース・ユニットを備えるマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム、そのマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムを与えられたタグボート、並びに被支援船舶の操縦を支援するための方法及びシステム、並びにその方法を実行するためのコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
タグ、又はタグボートは、海上船舶を牽引するために及び押すために使用される強力なボート又は船である。海上船舶を牽引すること及び押すことによって、1つ又は複数のタグは、港湾、狭い運河、支援タグが必要とされる危険なエリア、又は遭難した船舶の救援作業中など、困難な操縦動作中に船舶を操縦し得る。1つ又は複数のタグはダイナミック・ポジショニング・システム(DPシステム)によって制御され得る。ダイナミック・ポジショニング(DP)は、1つ又は複数の位置基準に関して、それ自体のプロペラとスラスタとを使用することによる、船舶の位置及び船首方向の自動又は半自動制御を伴う。ダイナミック・ポジショニング(DP)システムは、船舶の位置を所与のパラメータ内に固定したままに保つか、又はダイナミック・ポジショニング・システムなしでは不可能であった方法で船舶を操縦し得る。ダイナミック・ポジショニング(DP)システムは、いくつかの入力パラメータに基づいて船舶を操縦し得る。
【0003】
これらの入力パラメータは、たとえば
ロケーション、船首方向、速度のためのセンサー、
風、波、潮流など、外的要因のためのセンサー、及び
位置を維持する、又は特定のパターンで移動するなど、ミッションを実行するためのユーザからの入力
から来得る。
【0004】
ダイナミック・ポジショニング(DP)システムの制御アルゴリズムは、センサーとユーザ入力パラメータとを取り込み、外力が変化しても、搭載されたプロペラとスラスタとを制御することによって船舶の操縦を実行する。
【0005】
支援タグはまた、中央制御ユニットによってそれぞれ遠隔制御され、被支援船舶を所望のロケーションに移動するために一緒に動作させられ得る。タギング動作において使用されるタグの数は船舶のサイズに依存し得る。各タグは、全地球測位システム(GPS:global positioning system)と、中央制御ユニットにワイヤレスで送信される各タグボートのGPS位置とを与えられ得る。各タグボートのリアルタイムGPSロケーションは、次いで、各タグボートを制御するときに考慮に入れられ得る。中央制御ユニットはまた、操縦動作において、風向及び速度についての各タグボートからのリアルタイム・センサー・データ、並びにロール及びピッチ・インクリノメータを考慮に入れ得る。しかしながら、中央制御は、被支援船舶がそれ自体の機能を有しないかのように被支援船舶を移動するために各タグボートをワイヤレスで制御する。
【0006】
海上船舶は、たとえば、限定はしないが、タグボートからフェリー、クルーズ船、スタンバイ船、漁船、積荷船、コンテナ船、LNG船、薬品タンカーにわたる、特定の用途に適応された様々な形式のものがある。すべての海上船舶は異なるレベルの自律、制御及びセンサー・システムを有し得る。海上船舶は、しばしば、簡単な自動化及び制御システムを有する。これらのシステムは、ダイナミック・ポジショニング(DP)システムのような洗練されたシステムとリンクされないことがある。海上船舶上の制御及びセンサー・システムは、今日、他の海上船舶に搭載された制御及びセンサー・システム又はダイナミック・ポジショニング・システムと通信又は対話しないことがある。これは、海上船舶が補助船舶によって、たとえば1つ又は複数のタグボートによって操縦を支援されるとき、動作における危険をもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、スラスト機能をもつ被支援船舶の制御及びセンサー・システムとマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムとの間のインターフェースを与えるインターフェース・ユニットを提供する。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、いくつかの補助船舶を1つのユニットとして制御し、被支援船舶の操縦を支援するための被支援船舶のスラスト機能を制御するように構成される。
【0008】
インターフェース・ユニットは、被支援船舶の制御及びセンサー・システムからマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに情報を送信するように適応され得る。
【0009】
インターフェース・ユニットは慣性航法システム(inertial navigation system)をさらに備え得る。慣性航法システムは、全地球測位システムと、モーション・リファレンス・ユニット(motion reference unit)とを備え得る。
【0010】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは補助船舶のうちの1つ又は陸上施設の上に配置され得る。
【0011】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに送信される被支援船舶の制御及びセンサー・システムからの情報は、
被支援船舶の方向舵角、
被支援船舶の制御可能ピッチ・プロペラ(CPP:controllable pitch propeller)のピッチ角、
被支援船舶のプロペラ毎分回転数(RPM:revolutions per minute)、
被支援船舶のエンジン毎分回転数(RPM)
被支援船舶のエンジン出力、
被支援船舶のスラスタ角、
被支援船舶のスラスタ毎分回転数(RPM)、又は
被支援船舶のスラスタ・パワー
のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0012】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに送信される被支援船舶の制御及びセンサー・システムからの情報は、
被支援船舶のグローバル位置、
被支援船舶の速度、
被支援船舶の船首方向、又は
形状及び負荷状態など、自動識別システム(AIS:automatic identification system)支援パラメータ
のうちの少なくとも1つをさらに含み得る。
【0013】
インターフェース・ユニットはポータブルであり得る。インターフェース・ユニットは、被支援船舶に搭載されている制御及びセンサー・システムに容易に接続可能であり得る。インターフェース・ユニットは、被支援船舶のスラスト機能を制御するためにマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムから被支援船舶の制御及びセンサー・システムにコマンドを送信するように構成され得る。インターフェース・ユニットは、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムの人間制御を可能にするように構成され得る。人間制御は、船長、パイロット、タグ・マスタ又は陸上オペレータからのコマンドを含み得る。インターフェース・ユニットはさらに、被支援船舶に乗っている乗務員による被支援船舶のスラスト機能の制御のために、乗務員に音声又は視覚コマンドを与えるように構成され得る。
【0014】
インターフェース・ユニットは、被支援船舶に搭載されている制御及びセンサー・システムと通信するように構成された通信モジュールをさらに備え得る。
【0015】
インターフェース・ユニットは、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムと通信するように構成されたダイナミック・ポジショニング・インターフェース・モジュールをさらに備え得る。
【0016】
インターフェース・ユニットは、船舶に搭載されている制御及びセンサー・システムからの信号をマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって理解可能な信号に変換するように構成された変換モジュールをさらに備え得る。変換モジュールは、被支援船舶に搭載されている制御及びセンサー・システムとマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムとの間の変換情報をもつデータベースを含み得る。
【0017】
通信モジュールは、ケーブル・ベース接続又はワイヤレス接続を介して被支援船舶制御及びセンサー・システムに接続可能であり得る。ワイヤレス接続は、衛星、アンテナ又は無線信号のうちの少なくとも1つであり得る。ワイヤレス接続はセキュアな接続であり得る。セキュアな接続は、
ダイナミック・ポジショニング・インターフェース・モジュールとマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム、
ダイナミック・ポジショニング・インターフェース・モジュールと被支援船舶の制御及びセンサー・システム、又は
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムと補助船舶
との間のうちの少なくとも1つの通信において実装され得る。
【0018】
スラスト機能は、方向舵、プロペラ、アジマシング・スラスタ、ウォータージェット、又はトンネル・スラスタのうちの少なくとも1つを備え得る。補助船舶はタグボートであり得る。
【0019】
本発明はまた、上記で定義されたインターフェース・ユニットを備えるマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムを提供する。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、複数の入力パラメータに基づいて補助船舶と被支援船舶のスラスト機能とを制御するように構成されたダイナミック・ポジショニング制御システムを備え得、複数の入力パラメータが、
被支援船舶の速度、
被支援船舶の船首方向、
被支援船舶の位置、
海面交通、
気象データ、
環境データ、
補助船舶の速度、
補助船舶の船首方向、
補助船舶の位置、
補助船舶のワイヤ、ロープ引張り又はウインチ許容荷重、又は
電子航法図
のうちの少なくとも1つを備える。
【0020】
本発明はまた、スラスト機能をもつ船舶の操縦を支援するためのシステムを提供し、本システムは、
いくつかの補助船舶を、被支援船舶の操縦を支援するための1つのユニットとして制御する、上記で定義したマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムと
上記で説明したインターフェース・ユニットと
を備える。
【0021】
本発明はまた、スラスト機能をもつ船舶の操縦を支援するための方法を提供し、本方法は、
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって補助船舶の各々のダイナミック・ポジショニング・システムを制御することによって、いくつかの補助船舶を、被支援船舶の操縦を支援するための1つのユニットとして制御することと、
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって被支援船舶のスラスト機能を制御することと
を含む。
【0022】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、被支援船舶に搭載されているスラスト機能の制御を可能にするインターフェース・ユニットを与えられ得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムはさらに、インターフェース・ユニットを介して被支援船舶から制御及びセンサー情報を受信し得る。インターフェース・ユニットは被支援船舶上に配置され得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、インターフェース・ユニット中に与えられた慣性航法システムから情報を受信し得る。慣性航法システムは全地球測位システムとモーション・リファレンス・ユニットとを備え得る。
【0023】
本発明はまた、上記で定義した方法を実行するためのコンピュータ・プログラムを提供する。
【0024】
本発明はまた、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムを与えられたタグボートを提供し、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、いくつかのタグボートを、スラスト機能を有する被支援船舶の操縦を支援するための1つのユニットとして制御し、被支援船舶に搭載されているスラスト機能を制御するように適応される。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、被支援船舶に搭載されているスラスト機能の制御を可能にするインターフェース・ユニットに接続可能であり得る。タグボートは、上記で説明したようにインターフェース・ユニットを備え得る。
【0025】
インターフェース・ユニットは、被支援船舶上の既存の船自動化及び制御システムにリンクし、データを被支援船舶のセンサー及び制御装置からマスタ・ダイナミック・ポジショニング(DP)システムに送信することができる。マスタ・ダイナミック・ポジショニング(DP)システムはまた、被支援船舶にコマンドを返信することができる。
【0026】
マスタ・ダイナミック・ポジショニングDPシステムは、いくつかの補助船舶と、また被支援船舶のスラスト機能とを制御する。被支援船舶のスラスト機能は、主要な推進、方向舵、及びバウ・スラスタと考えられ得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは被支援船舶のスラスト機能をも制御するので、これは所望の操縦を実行する能力を大いに改善する。所望の操縦は、たとえば、危険な水域におけるステーション保持又は操縦であり得る。被支援船舶とともにそれのミッションを達成するために、被支援船舶の動きをより良く制御するためにマスタDPシステムを援助することができるすべてのデータ及び制御情報が、被支援船舶からマスタDPシステムに送信され得る。
【0027】
インターフェース・ユニットはまた、慣性航法システム(INS:Inertial Navigation System)を含み得る。慣性航法システムは、加速度、速度/船首方向、及び最終的なロケーションを決定するためにモーション・リファレンス・ユニット(MRU:Motion Reference Unit)を使用する。慣性航法システムはまた、極めて正確な測定を行うためのリファレンスとしてGPSデータを組み込むことができる。これをインターフェース・ユニット中に組み込むことによって、船舶の実際の動きは、タグの操縦におけるマスタ・ダイナミック・ポジショニング(DP)システムと、被支援船舶のスラスト機能の被支援制御とによって考慮に入れられ得る。これにより、船舶を支援するミッションにおける安全性と効率の両方が向上する。
【0028】
インターフェース・ユニットは、被支援船舶に搭載されている異なる制御及びセンサー・システムとタグボートのマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムとの間の通信を可能にするので、被支援船舶は、タグボートのダイナミック・ポジショニング・エコシステムの一部になり、被支援船舶がこのマルチユニット・システムの一部になることを可能にする。
【0029】
本発明は、被支援操縦動作における向上した効率と向上した安全性とを提供する。被支援船舶制御及びセンサー・システムと、タグボートを制御するマスタ・ダイナミック・ポジショニング(DP)システムとの間の対話は、以前は非効率的な操縦又はアクシデントさえ生じた、被支援船舶とタグボートとの間の誤解の可能性をかなり低減するか又はさらには排除する。本発明はまた、マスタ・ダイナミック・ポジショニング(DP)システムがタグボートを1つのユニットとして動作させると同時に被支援船舶のスラスト機能も制御するため、支援動作のために必要とされるタグボートの数を減らし得る。ミッションの実行における自動化の向上により、燃料消費を低減したコスト効率の高い動作も可能になる。
【0030】
次に、以下の図面を参照しながら、本発明の例示的な実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ダイナミック・ポジショニングDPシステムをもつ3つのタグボートと、船舶を支援するために一緒に働くマスタ・ダイナミック・ポジショニングDPシステムを示す図である。
図2】マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムと被支援船舶の制御及びセンサー・システムとの間のインターフェースの例を示す図である。
図3】慣性航法システムと通信モジュールとコネクタ・モジュールと変換モジュールとダイナミック・ポジショニングDPインターフェース・モジュールとをもつインターフェース・ユニットの例を示す図である。
図4】例示的なマスタ・ダイナミック・ポジショニングDPシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明について図面を参照しながら説明する。すべての図面において及び説明の全体にわたって、同じ又は同様の特徴のために同じ参照番号が使用される。
【0033】
図1は、3つのタグボート2(補助船舶)によって支援されるべき船舶1を示す斜視図である。タグボート2は、船舶が所望の位置と船首方向とを制御することを可能にするために、船舶1の所望の操縦動作において船舶1を支援する。船舶は、港湾中、狭い運河中、危険なエリア中、又は船舶の救援動作中など、たとえば困難な操縦動作中に、そのような支援を必要とし得る。
【0034】
被支援船舶1は、それの固有のミッションによって必要とされる、それ自体のスラスト機能3を与えられる。被支援船舶のスラスト機能3は、主推進4、方向舵6、及びバウ・スラスタ7と考えられ得る。スラスト機能は、したがって、限定はしないが、方向舵、プロペラ、アジマシング・スラスタ、ウォータージェット、又はトンネル・スラスタ(TT)を含み得る。アジマシング・スラスタは被支援船舶の主推進又は補助推進であり得る。トンネル・スラスタ(tt)は、横方向パワーを与えることが可能な固定のスラスタであり、しばしば船首又は船尾のロケーションにある。被支援船舶のパワー・システムは、限定はしないが、機械、電気、及び/又はハイブリッド構成であり得る。
【0035】
タグボート2は、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40によって1つのユニットとして一緒に動作するように制御される。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40は、上記で説明したように、それの操縦動作において船を支援するために、被支援船舶1とともに実行されるべきミッションを有する。ミッション入力データは、被支援船舶のために達成されるべき所望の位置、速度、船首方向、経路又は軌跡のうちの少なくとも1つに関する情報を含み得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40は、限定はしないが、被支援船舶の接近、被支援船舶への接触、ステーション保持の支援、牽引動作と港湾の両方における被支援船舶の操縦、ドッキング及び係留を含む、牽引動作のすべてのフェーズにおいて、補助船舶2を1つのユニットとして協調させ得る。
【0036】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40は補助船舶2のうちの1つ又は陸上施設12上に配置され得る。
【0037】
各タグボートは、タグボートの位置、速度、及び船首方向を制御するダイナミック・ポジショニング・システム(DPシステム)50を与えられる。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40は、タグ2の各々を操縦するために各タグボートのダイナミック・ポジショニング・システム50に命令することによって、タグボート2を1つのユニットとして制御する。マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システム41は各タグボートのダイナミック・ポジショニング・システム50に移動命令を出力する。各タグボートのダイナミック・ポジショニング・システム50は、これらの移動命令を処理し、必要に応じて船舶を支援するように各タグの制御パラメータを適応させる。各タグの制御パラメータは、限定はしないが、タグボートの各々による押し/引きの力と押し/引きの方向との組合せから被支援船舶にかかる力の得られた方向と強度とを達成するための、各タグボートのための推進の速度、力及び方向を含み得る。また、風、潮流及び波など外部環境力が各タグボートのダイナミック・ポジショニング・システムによって考慮に入れられ得る。したがって、さらなる制御パラメータはまた、風向及び風速、潮流の方向及び速度、並びに波の高さ及び方向及び速度を含み得る。
【0038】
被支援船舶の効率的で安全な操縦のために、1つのユニットとして動作するタグボートは、被支援船舶と一緒に働かなければならない。ミッションを達成するために、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、被支援船舶1の操縦を支援するための1つのユニットとして補助船舶2(たとえばタグボート)を制御し、また、被支援船舶1のスラスト機能3を制御する。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40は、したがって、また、被支援船舶自体のスラスト機能3を通じて被支援船舶にスラストを与えることによって、被支援船舶1とのそれのミッションを実行し得る。
【0039】
被支援船舶1は制御システムとセンサー・システムとを与えられる。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって被支援船舶に搭載されているスラスト機能の制御を可能にするために、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40からのコマンドは、被支援船舶に搭載されているスラスト機能制御システムに通信される。また、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40は、被支援船舶とのミッションを達成する際に使用するために、被支援船舶に搭載されている制御及びセンサー・システム10へのアクセスを可能にされるべきである。
【0040】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40は、補助船舶2を1つのユニットとして制御し、被支援船舶からの受信された制御及びセンサー・システム・パラメータを考慮に入れて、被支援船舶の操縦を支援するミッションを解決するように被支援船舶1のスラスト機能3を制御する。被支援船舶1は、したがって、被支援船舶自体のスラスト機能3を使用することと、タグボート2からの外部スラスト力9を使用することの両方によって、被支援船舶がより良く操縦することを可能にする、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに対するスレーブとして動作し得る。
【0041】
説明したように、すべての船舶は、異なる自律レベルと、異なる制御及びセンサー・システムとを有する。支援されるべき船舶に搭載されている制御及びセンサー・システムは、センサー及び制御システムの数、センサー及び制御システムのタイプにおいて多くのバリエーションを有し得、制御及びセンサー・システムは、デジタル若しくはアナログであり得るか、又はアナログ・システムとデジタル・システムの組合せを有し得る。タグボートのためのマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、被支援船舶に搭載されている異なる制御及びセンサー・システムと直接通信しないことがある。
【0042】
図2に示されているように、被支援船1に搭載されている制御及びセンサー・システム10とタグボートのためのマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40との間のリンクとして働くインターフェース・ユニット20が与えられる。インターフェース・ユニットの実施例が図3に示されている。インターフェース・ユニット20は、被支援船舶に搭載されている制御及びセンサー・システム10と通信するように構成された通信モジュール24を含む。インターフェース・ユニット20は、したがって、被支援船舶1の既存の制御及びセンサー・システム10中にリンクし、被支援船舶のセンサー及び制御システムからマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40にデータを送信し、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40から被支援船舶1に制御コマンドと情報とを送信し得る。
【0043】
インターフェース・ユニット1は、被支援船舶に搭載されている制御及びセンサー・システム10に容易に接続されるように設計される。インターフェース・ユニットは、制御及びセンサー・システム10に接続するための通信モジュール24を含み得る。制御及びセンサー・システムは、通常、船舶のブリッジ上に集中した物理的インターフェースを有する。接続は物理的/機械的又はワイヤレスであり得る。接続はセキュア又は非セキュアであり得る。通信モジュール24は、船舶に搭載されている制御及びセンサー・システムのための最も一般的なブリッジ・ソリューションに接続することが可能であるように設計される。通信モジュール24は、物理的/機械的接続のためのマルチコネクタ・システムを与えられ得る。通信モジュール24は、ケーブル、ワイヤ、光ファイバーによって、又はワイヤレスで、タグボート上のマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40に接続され得る。物理的ソリューションは、好適なデータ通信プロトコルを使用し得る。ワイヤレス・ソリューションは、セキュア又は非セキュアであり得る、標準通信プロトコルによるブリッジ上の制御及びセンサー・システムとのワイヤレス通信に基づき得る。ワイヤレス通信は、任意の好適なワイヤレス・データ通信プロトコル、たとえば、限定はしないが、セルラー・データ・サービス、モバイル衛星通信、ワイヤレス・センサー・ネットワーク・プロトコル又はWi-Fiを利用し得る。例示的なセルラー・データ・サービス・プロトコルは、限定はしないが、モバイル通信用のグローバル・システム(GSM:Global System for Mobile Communications)、符号分割多元接続(CDMA:Code division multiple access)、汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Service)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)、CDMA2000、GSMエボリューションのための拡張データ・レート(EDGE:Enhanced Data rates for GSM Evolution)、モバイルWiMAX、ロング・ターム・エボリューション(LTE:Long Term Evolution)を含む。
【0044】
セキュアな通信は、船舶を支援するミッションに関与するすべての当事者間の好ましい通信の方法である。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40と、被支援船舶1と、タグボート2上のダイナミック・ポジショニング・システム50との間のセキュアな通信が好ましい。オープンな通信は、サイバー犯罪攻撃、たとえばハッキングを受けやすい。サイバー犯罪攻撃は、たとえば、船舶を異なる目的地まで操縦する、他の船舶との衝突によって事故を引き起こす、又は船舶を陸上若しくは水中ハザード上で操縦するといった、第三者による被支援船舶の悪意のある乗っ取りを生じ得、それにより、生命の損失に加えて、大きい環境災害をも生じ得る。無許可の第三者は、支援船舶に到着した他の敵船舶に搭乗している乗務員であり得るか、又はサイバー・ハッキング、コンピュータ・ウイルス、ワーム、ランサムウェア、クリプトロッカー(CryptoLocker)又はトロイの木馬(Trojans)又はインターフェース・ユニットに感染する他の無許可のデータ・プログラムのような、悪意のあるコンピュータ・プログラムの使用によって、通信チャネルにアクセスしている世界中のどこにでも存在し得る。サイバー犯罪攻撃はまた、悪意のある命令がインターフェース・ユニットによって発行されることを引き起こし得るか、又はインターフェース・ユニットの故障若しくは誤動作を生じ得る。ケーブル、ワイヤレス及び光ファイバー・ソリューションのために、船舶を支援する牽引動作における許可された当事者間のセキュアな通信が好ましい。
【0045】
サイバー・セキュリティ対策は、インターフェース・ユニット20及び/又はマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40並びに被支援船舶1に搭載されているセンサー及び制御システム10のハードウェア、ファームウェア又はソフトウェア構成要素のうちの少なくとも1つに実装され得る。サイバー・セキュリティ対策は、限定はしないが、たとえば、ユーザ・アクセス制御、暗号化、ファイアウォール、侵入検知システム、2ファクタ認証などを伴い得る。セキュアな通信は、限定はしないが、暗号セキュリティ、エミッション・セキュリティ、送信セキュリティ、物理的セキュリティ、通信信号の暗号化、セキュア・インスタント・メッセージング、クライアント・ツー・サーバ暗号化又はボイス・オーバー・セキュア・インターネット・プロトコル(VOSIP:Voice over secure internet protocol)を伴い得る。
【0046】
インターフェース・ユニット20はポータブルであり得る。ポータブル・インターフェース・ユニットは、たとえば、パイロットが必要とされる水域において乗務員が被支援船舶を操縦するのを支援するために搭乗するパイロットによって、被支援船舶に搭載され得る。ポータブル・インターフェース・ユニットはまた、船舶を支援するために到着するタグボート上の乗務員によって被支援船舶に搭載され得る。ポータブル・インターフェース・ユニットはまた、たとえば、人間の介入なしにタグボートのうちの1つに搭載されているクレーンによって被支援船舶に取り付けられ得るか、又はドローンの使用によって被支援船舶に輸送され及び/若しくは取り付けられ得る。インターフェース・ユニットはまた、固定式であり得、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムをもつタグボートが、支援のための船舶に到着したときに、インターフェース・ユニットと通信することを可能にするために、購入され及び被支援船舶上に設置され得る。
【0047】
インターフェース・ユニット20はまた、被支援船舶1とのマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40のミッションを支援するために到着したダイナミック・ポジショニング・システムのないタグボート上に設置され得る。これらのタグボートは、次いで、また、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって制御されるダイナミック・ポジショニング・エコシステムの一部になり得る。これらのインターフェース・ユニットは、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムが所望のミッションを実行する際にそれらを正しく処理するように、被支援船舶としてではなく支援船舶としての指定を受ける。
【0048】
インターフェース・ユニット20はまた、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40と一緒にタグに搭載され得る。タグが支援されるべき船舶に接近しているとき、インターフェース・ユニット20の通信モジュール24と被支援船舶制御及びセンサー・システム10との間のハンドシェイク・プロシージャが、被支援船舶制御及びセンサー・システムへのインターフェース・ユニット20の接続のために開始され得る。このプロシージャは、タグ乗務員によって手動で開始され、被支援船舶乗務員によって手動で確認され得る。しかしながら、また、タグボートによる自動、半自動又は手動開始と、被支援船舶乗務員による半自動又は手動確認との任意の組合せが可能である。また、被支援船舶への物理的接続を供給するためにドローンが使用され得る。物理的接続は、次いで、制御及びセンサー・システムに結合され、タグに搭載されているマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムとのワイヤレス通信を可能にし得る。
【0049】
インターフェース・ユニットは、被支援船舶1に搭載されている制御及びセンサー・システム10によって与えられる制御及びセンサー・システム信号を、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40にとって理解可能な信号に変換するための変換モジュール27を含む。変換モジュール27はまた、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムからのコマンドを、被支援船舶1に搭載されている制御及びセンサー・システム10にとって理解可能な信号に変換する。インターフェース・ユニット20は、上記で説明したように、制御及びセンサー信号とマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムからのコマンドとを変換するためのプロセッサと、メモリとソフトウェアとを与えられ得る。変換モジュール27は、船舶において使用されるすべての異なる制御及びセンサー・システムのための制御及びセンサー信号を変換するための情報と、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムからのコマンドをすべての制御及びセンサー・システムにとって理解可能な信号に変換するための情報とをもつデータベース26を含み得る。代替的に、変換モジュールは、変換を実行するための物理的電子構成要素を含み得る。変換はまた、信号生成器において実行され得る。変換モジュールは、インターフェース・ユニットを制御及びセンサー・システムに接続した後に制御及びセンサー・システムのタイプを自動的に認識し得る。代替的に、被支援船舶に搭載される制御及びセンサー・システムのタイプは、たとえば、インターフェース・ユニット上のディスプレイにおいて、又はインターフェース・ユニット上のスイッチを選択することによって手動で選択され得る。
【0050】
インターフェース・ユニットはまた、変換された制御及びセンサー信号をマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40に送信し、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40からコマンドを受信する、ダイナミック・ポジショニング・インターフェース・モジュール25を含む。送信はケーブル式又はワイヤレスであり得る。送信はセキュア又は非セキュアであり得る。インターフェース・ユニット20が被支援船舶に搭載されているとき、送信は、好ましくはセキュアな接続を介したワイヤレスである。ワイヤレス送信は、セキュア又は非セキュアであり得る、好適な標準ワイヤレス通信プロトコル、たとえば、セルラー・データ・サービスのためのワイヤレス・データ通信プロトコル、モバイル衛星通信、ワイヤレス・センサー・ネットワーク・プロトコル又はWi-Fiによって実行され得る。ケーブル式送信はまた、標準通信プロトコルによって実行され得る。そのようなプロトコルの例は、被支援船舶システムとのインターフェースについて上記で識別されている。
【0051】
図2におけるインターフェース・ユニット20はまた、慣性航法システム21を含む。慣性航法システムはさらに、全地球測位システム23(GPS)とモーション・リファレンス・ユニット22(MRU)とを組み込む。モーション・リファレンス・ユニット22(MRU)は、加速度、速度/船首方向、及び最終的にロケーションを決定する。モーション・リファレンス・ユニット(MRU)は、海を航行する船舶が今日通常有しないモーション・センサー機能を与える。組み込まれたGPSシステム23は、改善された正確さを有する専用GPSである。モーション・リファレンス・ユニット22(MRU)は、好ましくは、船舶の動きの6自由度の動き情報を与える、任意のタイプのモーション・センサーを備え得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、次いで被支援船舶の実際の動きに関する情報を受信し、その情報は、次いでタグの操縦と被支援船舶に搭載されているスラスト機能の制御とにおいて考慮に入れられ得るので、インターフェース・ユニットが被支援船舶に搭載されているとき、モーション・リファレンス・ユニット22が好ましい。これは、たとえば、タグが被支援船舶船体と衝突したり、又は制御できずに被支援船舶船体にぶつかったりしないように、又は牽引ロープ13における衝撃荷重を避けるように注意しなければならない、荒れた海においてであり得る。別の例では、タグは、たとえば過大な傾きが避けられるべきである安全な操縦において船舶を支援すべきである。
【0052】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40に送信される、上記で説明した制御システムとセンサー・システム・パラメータとのための入力はまた、被支援船舶に搭乗している乗務員によって手動で入力され得る。インターフェース・ユニットはまた、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムの人間制御30を可能にするように構成され得る。人間制御は、たとえば、船長、パイロット、タグ・マスタ又は陸上オペレータからのコマンドを含み得る。
【0053】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40からのコマンドは、上記で説明したように被支援船舶に搭載されている制御及びセンサー・システム10に送信され得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムからのコマンドはまた、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40のコマンドによって被支援船舶1を手動で動作させるためにブリッジ上の乗務員に与えられ得る。したがって、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムとの乗務員インターフェースがブリッジ上に与えられ得る。乗務員インターフェース28は、図3に示されているように、インターフェース・ユニット20中に含まれ得る。ダイナミック・ポジショニング・システムからのコマンドは視覚コマンド又は音声コマンドであり得る。視覚コマンドは、たとえばディスプレイによって与えられ得、音声コマンドは、たとえばラウドスピーカー、ヘッドセット又はイヤフォンによって与えられ得る。乗務員インターフェースは、たとえば、ディスプレイ、ポータブル・コンピュータ、タッチ・スクリーン、スマート・フォン、又はタブレットなどの形態であり得る。
【0054】
乗務員インターフェース28はまた、乗務員が、たとえばキーボード、ジョイスティック若しくはタッチ・スクリーンによって、又はたとえばマイクロフォンを通して音声によってマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに入力を物理的に与えることを可能にし得る。乗務員インターフェース28はまた、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40が、被支援船舶1に搭載されているスラスト機能3を直接制御する自動制御モードにあるときも、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40からの情報を乗務員に与え得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40はまた、部分的に被支援船舶上の乗務員を伴う、半自動制御モードで動作し得る。タグボート2はまた、自動、半自動又は手動制御モードで動作させられ得る。
【0055】
制御システムは、いくつかの制御パラメータ、たとえば、被支援船舶の方向舵角、被支援船舶の制御可能ピッチ・プロペラ(CPP)のピッチ角、被支援船舶のプロペラ毎分回転数(RPM)、被支援船舶のエンジン毎分回転数(RPM)、被支援船舶のエンジン出力、被支援船舶のスラスタ角、被支援船舶のスラスタの毎分回転数(RPM)、又は被支援船舶のスラスタ・パワーのうちの少なくとも1つを制御する。
【0056】
センサー・システムは、たとえば、位置、速度又は船首方向を検出するためのセンサーのうちの少なくとも1つからいくつかのセンサー・パラメータを与える。被支援船舶の制御及びセンサー・システム10からの情報は、被支援船舶の方向舵角、被支援船舶の制御可能ピッチ・プロペラ(CPP)のピッチ角、被支援船舶のプロペラ毎分回転数(RPM)、被支援船舶のエンジン毎分回転数(RPM)、被支援船舶のエンジン出力、被支援船舶のスラスタ角、被支援船舶のスラスタの毎分回転数(RPM)、又は被支援船舶のスラスタ・パワーのうちの少なくとも1つをも含み得る。
【0057】
アジマシング・スラスタの場合、制御パラメータは、たとえば、スラスタ角、制御可能ピッチ・プロペラ(CPP)角、毎分回転数(RPM)又はモーター・パワーのうちの少なくとも1つに関し得る。トンネル・スラスタ(tt)の場合、制御パラメータは、たとえば、制御可能ピッチ・プロペラ(CPP)角、プロペラ毎分回転数(RPM)、モーター・パワー、又はスラストの方向のうちの少なくとも1つであり得る。軸線プロペラの場合、制御パラメータは、たとえば、方向舵角、シャフト毎分回転数(RPM)、エンジン毎分回転数(RPM)、又はエンジン出力のうちの少なくとも1つを含み得る。制御及びセンサー・システム情報は、被支援船舶のグローバル位置(GPS)、被支援船舶の速度、被支援船舶の船首方向、又は形状及び負荷状態など、AIS(Automatic Identification System:自動識別システム)被支援パラメータのうちの少なくとも1つをさらに含み得る。
【0058】
被支援船舶上の制御システムの例はAcon(Automation control:自動化制御)システムであり得る。そのようなシステムは、船の機器及び機械の制御と監視とのための一体化された自動化システムである。必要な情報をもつグラフィカルな画像がマンマシン・インターフェース上に表示され、システムを乗務員にとって動作しやすくする。制御システムは、一般に、機械機器の条件についての情報を乗務員に与えるアラーム及び監視システムを有する。そのようなシステムは、たとえば、デッド・マン・システム、ポンプ及びバルブ制御、積荷処理及び/若しくは機械システムのための制御及び概観システム、又は船舶タンク・レベル・ゲージング・システムをも含み得る。
【0059】
インターフェース・ユニット20はまた、監視目的のためにマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムからの制御パラメータを被支援船舶に伝達し得る。監視は、たとえば視覚インターフェースを介して、船舶に搭乗しているパイロット又は乗務員によって手動で実行され得る。インターフェース・ユニット20が被支援船舶1上に永久的に設置される場合、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40からの制御パラメータはまた、制御及びセンサー・システムの物理インターフェース、たとえば、ナビゲーション・パラメータ及びいくつかの制御パラメータとともに被支援船舶及び補助船舶の位置の視覚指示中に表示され得る。
【0060】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40による半自動制御の例として、被支援船舶1のスラスト機能3を制御するためのマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムからのコマンドは、プロペラ毎分回転数(RPM)、エンジン出力、制御可能ピッチ・プロペラ(CPP)のピッチ、方向舵角、バウ・スラスト又はシュテルン(stern)・スラストのうちの少なくとも1つのためのコマンドを含み得る。乗務員は、方向舵6の角度とエンジン9のパワーとを手動で制御するためのインターフェース・ユニット20によって、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムからコマンドを受信し得る。
【0061】
被支援船舶及びタグボートに搭乗している乗務員は、人間、ヒューマノイド、ロボット、又は人工知能をもつロボットであり得る。
【0062】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム40は、インターフェース・ユニット20を介して、船舶に搭載されている制御及びセンサー・システム10から複数の入力パラメータを受信する。複数の入力パラメータに基づいて、マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムは、タグボートの各々の位置を制御し、被支援船舶に搭載されているスラスト機能を制御する。被支援船舶に搭載されている制御及びセンサー・システムが、たとえばブラックアウト又は緊急事態で機能していない場合、マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムは、タグに搭載されているセンサー及びナビゲーション・システムから複数の入力パラメータを受信し、この情報から、被支援船舶を移動するために、各タグの動きを1つのユニットとして決定し、協調させ得る。
【0063】
図4は例示的なマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムを示す。マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムは、地上、岩石及び他の固定のハザードに対して被支援船舶の実際の位置に関するパラメータを検査し得る。実際の位置パラメータは、被支援船舶若しくはタグボートに搭載されているナビゲーション・システムから、又はマスタ制御システムに接続されたナビゲーション・システム42から取得され得る。ナビゲーション・システムは、DECCA、LORAN、GEE及びOmegaなど、地上ベース無線ナビゲーション・システム、又はGPS、GLONASS、Galileo及びBeiDouなど、衛星ナビゲーション・システムであり得る。衛星ナビゲーション・システムの場合、実際のロケーションの正確さは、ディファレンシャル全地球測位システム(DGPS:Differential Global Positioning System)からのマスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムへの入力によって改善され得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システム40はまた、電子航法図43から入力パラメータを受信し得る。ナビゲーション・システム42からの入力パラメータと組み合わせられると、これにより、ダイナミック・ポジショニング制御システム41は、地上、岩石及び他の固定のハザードと衝突することからタグ及び被支援船舶を安全に制御する移動命令を決定することが可能になる。この目的のために、ダイナミック・ポジショニング制御システム41はまた、ソナー、海洋レーダー、及び/又はカメラを使用した光学システムなど他のセンサー44から入力パラメータを受信し得る。ソナーは、地上、岩石、水中船舶など、水中ハザードに関する情報を与え得る。海洋レーダー及び/又は光学システムは、地上及び他の海面船舶又は浮遊物など、水面上のハザードに関する情報を与え得る。海洋レーダー及び/又は光学システムはまた、ビーコン、ブイ、レーコン(racon)、ケルン(cairn)及び灯台など海路標識からのナビゲーション情報を与え得る。被支援船舶が固定のハザードに非常に近いとマスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムが決定した場合、マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムは、被支援船舶を固定のハザードから安全に離すための移動命令を出力する。
【0064】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システム41はまた、他の海面交通に対する被支援船舶の位置に関係するパラメータを検査し、関連する航法規則に鑑みて海面交通パラメータ45を評価し得る。タグは、他の船又は船舶との衝突を防ぐために航法規則に準拠するべきである。タグの動作ロケーションのための関連する航法規則を含むデータベースがマスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システム41中に含まれ得る。被支援船舶が他の海面交通から離れるべきであるとマスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムが決定した場合、マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムは、相応して被支援船舶を移動するための移動命令を出力する。風、波及び海流は被支援船舶及び補助船舶に作用し、被支援船舶を所望のロケーション又は経路から移動させ得る。この情報は、船舶を支援する際に考慮に入れられる。この情報は、風向、風の強度、水温、気温、気圧、波の高さなど、気象パラメータ及び環境入力パラメータのうちの少なくとも1つを含み得る。これらの入力パラメータは、風速計(anemometer)、温度センサー、大気圧センサーなど、制御システムに接続された関連があるセンサー44によって与えられ得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムは、ドリフトを計算し、ドリフトを相殺するための移動命令を出力し得る。ドリフトを計算するための他の入力パラメータは、ジャイロ、加速度計、ジャイロコンパス及びターンレート・インジケータなど、動きセンサーからのデータを含み得る。
【0065】
入力パラメータ46はまた、タグボートの速度、船首方向又は位置のうちの少なくとも1つを含み得る。タグボートはまた、ロープ又はワイヤ13を牽引することによって被支援船舶に作用し得、入力パラメータは、ロープ/ワイヤの引張り又はウインチ許容荷重のうちの少なくとも1つを含み得る。入力パラメータは、マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システム若しくは各タグボートのダイナミック・ポジショニング・システムに接続された関連するセンサー、又は被支援船舶に搭載されているセンサー・システム中のセンサーによって与えられ得、入力パラメータは、次いでマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに通信される。入力パラメータは、ワイヤード接続若しくはワイヤレス接続、モバイル通信若しくは衛星通信、又は上記で説明したようにワイヤレス・センサー・ネットワーク・プロトコル又はWi-Fiなど、好適なワイヤレス・データ通信プロトコルによって、マスタ・ダイナミック・ポジショニング制御システムによって受信され得る。
【0066】
被支援船舶の動きはまた、手動で、部分的に手動で、又は制御システムによってのいずれかで、所望のロケーションに対する被支援船舶の実際の位置パラメータから計算され得る。実際の位置パラメータは、制御システムに接続されたナビゲーション・システムから取得され得る。ナビゲーション・システムは、DECCA、LORAN、GEE及びOmegaなど、地上ベース無線ナビゲーション・システム、又はGPS、GLONASS、Galileo及びBeiDouなど、衛星ナビゲーション・システムであり得る。衛星ナビゲーション・システムの場合、実際のロケーションの正確さは、ディファレンシャル全地球測位システム(DGPS)からのダイナミック・ポジショニング制御システムへの入力によって改善され得る。
【0067】
制御システムはまた、電子航法図から入力パラメータを受信し得る。ナビゲーション・システムからの入力パラメータと組み合わせられると、これにより、地上、岩石及び他の固定のハザードと衝突することから被支援船舶を安全に制御する移動命令を決定することが可能になる。また、ソナー、海洋レーダー、及び/又はカメラを使用する光学システムは、船舶をそれの目的地に安全に操縦するために考慮に入れられるパラメータを与える。ソナーは、地上、岩石、水中船舶など、水中ハザードに関する情報を与え得る。海洋レーダー及び/又は光学システムは、地上及び他の海面船舶又は浮遊物など、水面上のハザードに関する情報を与え得る。海洋レーダー及び/又は光学システムはまた、ビーコン、ブイ、レーコン、ケルン及び灯台など海路標識からのナビゲーション情報を与え得る。光センサーは、他の海面船舶を観測し、認識し得る。海面交通に関する入力パラメータは、海洋レーダー、自動識別システム(AIS)及び自動衝突予防援助装置(ARPA:automatic radar plotting aid)など、センサーとシステムとによって与えられ得るか、又はカメラなど光センサーによって与えられ得る。また、海面交通の観測及びナビゲーション情報は、被支援船舶に搭乗している乗務員によって視覚的に観測され得る。
【0068】
国内及び国際水域において、被支援船舶は、他の船又は船舶との衝突を防ぐために、それぞれの国内及び国際航法規則を遵守するべきである。航法規則の遵守は、乗務員によって、制御システムによって、又はマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムによって実行され得る。被支援船舶の動作ロケーションについての関連する航法規則を含むデータベースは、被支援船舶上の制御システム中に含まれ、マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムに与えられ得るか、又はマスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム中に含まれ得る。マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システムはまた、被支援船舶がいつ及びどこに移動されるべきか、並びに所望の位置、軌跡、船首方向及び速度を決定するとき、他の海面交通に関係する入力パラメータを受信し、関連する航法規則に鑑みて海面交通パラメータを評価し得る。
【0069】
マスタ・ダイナミック・ポジショニング・システム及びインターフェース・ユニットの機能は、ソフトウェア又はハードウェア、或いはソフトウェアとハードウェアの組合せとして実装され得る。ソフトウェアは、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを有するコンピュータにおいて実行されるように実装され得る。オペレーティング・システムは少なくとも1つのプロセッサ上で動作する。システムによって制御されるカスタム・プログラムはメモリの中及び外に移動される。システムはさらに、画像、マップ、命令又はプログラムを移すためのリムーバブル・メモリ構成要素を含み得る。ソフトウェアはコンピュータ可読媒体に記憶され得る。
【0070】
本発明の好ましい実施例について説明したが、本概念を組み込んだ他の実施例が使用され得ることが当業者に明らかになろう。上記で示された本発明のこれら及び他の例は単に例としてのものであり、本発明の実際の範囲は以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4