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特許7382323車両用のバッテリシステムとこのバッテリシステムを搭載してなる車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】車両用のバッテリシステムとこのバッテリシステムを搭載してなる車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/209 20210101AFI20231109BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/224 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/231 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20231109BHJP
   H01M 50/269 20210101ALI20231109BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20231109BHJP
   B60L 50/64 20190101ALI20231109BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20231109BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/249
H01M50/224
H01M50/244 A
H01M50/231
H01M50/284
H01M50/242
H01M50/233
H01M50/269
B60L15/20 J
B60L50/64
B60K1/04 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020533485
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2019029341
(87)【国際公開番号】W WO2020026963
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2018142372
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植村 恭明
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204792966(CN,U)
【文献】中国実用新案第204441361(CN,U)
【文献】特開2016-072006(JP,A)
【文献】特開2018-073551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
B60L 15/20
B60L 50/64
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを備える複数の電池ブロックと、
複数の前記電池ブロックを収納してなる外装ケースと、
を備える車両用のバッテリシステムであって、
前記外装ケースが、
下ケースに上ケースを固定して筒状としてなる筒ケースと、
前記筒ケースの両端に固定されて前記筒ケースの両端開口部を閉塞してなる一対の端面板と、
前記筒ケースの中間部に固定してなる区画壁とを備え、
前記下ケースと前記上ケースと前記端面板と前記区画壁はプレス加工された金属板からなり、
前記下ケースは、
底板の両側に側壁が連結されて、側壁の上端縁には連結リブが連結され、さらに長手方向に離れた各部位における横断面形状を同一形状とする溝形で、
前記端面板は、下縁と両側縁に、前記下ケースの長手方向に移動可能で、該下ケースの内面に面接触状態に接触する溶接片を有し、
下縁の前記溶接片が前記底板の内面に密着して溶接され、両側縁の前記溶接片が前記側壁の内面に密着して溶接されてなり、
複数の前記電池ブロックは、前記筒ケースの長手方向に伸びる姿勢で長手方向に配置されて、前記外装ケースに固定され、
さらに、前記外装ケースは、外部固定金具を介して車両に固定されるようにしてなることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記上ケースが、平面状又は前記下ケースよりも浅い溝形の金属板であることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記端面板が多層構造の金属板からなり、
各々の前記金属板が、下縁と両側縁に、前記下ケースの内面に面接触状態に接触する前記溶接片を有することを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項4】
請求項3に記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記端面板が、前記金属板の間に隙間を設けた多層構造であることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記端面板が、外側に位置する外側金属板と、内側に位置する内側金属板とからなる2枚の金属板からなり、
前記内側金属板と前記外側金属板は、上端部が溶接構造で連結され、
前記外側金属板と前記内側金属板は、下縁と両側縁に沿って前記下ケースの内面に面接触状態に接触する溶接片を有し、
前記外側金属板と前記内側金属板の下縁の溶接片が前記底板に溶着され、
前記外側金属板と前記内側金属板の両側の溶接片は前記側壁の内面に溶着されてなることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項6】
請求項5に記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記内側金属板は、上縁に沿って直角に折曲加工してなる上縁リブを有し、
前記上縁リブは、水平リブとサブ溶接片とが直角に連結されたL字状で、
前記水平リブは一方の側縁が前記内側金属板の上縁に直角に連結されて、他方の側縁が前記サブ溶接片に連結され、
前記サブ溶接片が前記外側金属板の内面に溶接されてなることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記区画壁は、下縁と両側縁に、前記下ケースの長手方向に移動可能で、該下ケースの内面に面接触状態に接触する溶接片を有し、
下縁の溶接片が前記下ケースの底板に溶着され、両側縁の溶接片が前記下ケースの側壁に溶着されてなることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項8】
請求項に記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記区画壁が、2枚の垂直壁の上縁を水平板で連結してなる溝形で、
各々の前記垂直壁の下縁と両側縁に前記溶接片が設けられてなることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項9】
請求項7または8に記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記電池ブロックに接続してなる回路基板を備え、
前記区画壁が前記筒ケースの中間部に2列に配置して固定されて、2列の前記区画壁の間に基板スペースを設けており、
前記基板スペースに前記回路基板が配置されてなることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項10】
請求項1ないしのいずれかに記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記下ケースと前記外部固定金具が異なる厚さの金属板であることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記下ケースと前記端面板とが異なる厚さの金属板であることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記下ケースと前記区画壁とが異なる厚さの金属板であることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記下ケースが、前記外部固定金具の固定位置を嵌合構造で特定する嵌合部を有し、
前記嵌合部が前記下ケースの前記側壁の長手方向に離して複数カ所に設けられてなることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載する車両用のバッテリシステムであって、
前記下ケースの両側に複数の前記外部固定金具が固定されてなることを特徴とする車両用のバッテリシステム。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載する車両用のバッテリシステムを搭載してなる車両であって、
前記バッテリシステムと、
該バッテリシステムから電力供給される走行用のモータと、
該バッテリシステム及び前記モータを搭載してなる車両本体と、
該モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪と、
を備え、
前記バッテリシステムが前記外部固定金具を介して車両に固定されてなることを特徴とするバッテリシステムを搭載してなる車両。
【請求項16】
請求項15に記載するバッテリシステムを搭載してなる車両であって、
前記バッテリシステムが車両のシャシーに固定されてなることを特徴とするバッテリシステムを搭載してなる車両。
【請求項17】
請求項16に記載するバッテリシステムを搭載してなる車両であって、
前記車両のシャシーが、上面に突出して互いに平行に伸びる凸条を有し、
隣接する前記凸条の間に前記バッテリシステムが配置されて、前記外装ケースが前記外部固定金具を介して前記凸条に固定されてなることを特徴とするバッテリシステムを搭載してなる車両。
【請求項18】
請求項17に記載するバッテリシステムを搭載してなる車両であって、
前記バッテリシステムが、複数の前記外部固定金具を介して前記シャシーに固定されてなることを特徴とするバッテリシステムを搭載してなる車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドカー、プラグインハイブリッドカー、電気自動車等の電動車両を駆動するモータの電源に使用される車両用のバッテリシステム及びこのバッテリシステムを搭載してなる車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー等の電動車両に搭載されて走行モータに電力を供給するバッテリシステムは、搭載される車種に要求される最大出力や充放電容量を実現するために、複数の電池ブロックを直列や並列に接続している。さらに、現在市販されている殆どのハイブリッドカーは、同じ車種でエンジンのみで走行するタイプも製造されているのが実情である。また、エンジンのみで走行するタイプと、ハイブリッドカーの両方が製造されている車種においては、ハイブリッドカーが全体の一部であって、エンジンのみで走行する車両に、バッテリシステムと走行モータを搭載してハイブリッドカーとしているのが実情である。この種のハイブリッドカーは、車両のシャシーなどを大きく設計変更する必要がないので、多くの車種に採用されている。一方で、この種のハイブリッドカーは、エンジンのみで走行するタイプを基本に車両のシャシーが設計されるため、各々の車種のシャシーにバッテリシステムが適合するように、バッテリシステムを専用設計する必要がある。そのため、異なる車種で同じバッテリシステムを使用できるようにバッテリシステムの設計を規格化することは難しく、各々の車種に適合するように専用設計する必要があって製造コストが高くなる弊害が発生する。
【0003】
さらに、種々の車種に搭載されるバッテリシステムは、車両に適した最大出力や充放電容量を実現するために、直列や並列に接続している電池ブロックの個数を変更し、さらに各々の電池ブロックの出力や容量を変更して、システムとしての出力や容量を最適値に設定する必要がある。複数の電池ブロックを外装ケース内に配置するバッテリシステムとして、2組の電池ブロックを平行姿勢に並べて電池の平行ユニットとし、2組の平行ユニットを長手方向に配置して外装ケースに収納している構造が開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-020855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように車両用のバッテリシステムは、搭載される車種に適合する外形とする必要があり、さらに、車種に要求される最大出力や充放電容量を実現するために、搭載される種々の車種毎に専用設計して製造する必要があり、このことが、車両用のバッテリシステムの製造コストを高騰させる原因となっているのが実情である。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消することを目的として開発されたもので、本発明の目的の一は、製造コストを低減しながら、バッテリシステムを種々の車両に搭載できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様の車両用のバッテリシステムは、複数の電池セルを備える複数の電池ブロックと、複数の電池ブロックを収納してなる外装ケースとを備えるバッテリシステムであって、前記外装ケースが、下ケースに上ケースを固定して筒状としてなる筒ケースと、前記筒ケースの両端に固定されて前記筒ケースの両端開口部を閉塞してなる一対の端面板と、前記筒ケースの中間部に固定してなる区画壁とを備え、前記下ケースと前記上ケースと前記端面板と前記区画壁はプレス加工された金属板からなり、前記下ケースは、底板の両側に側壁が連結されて、側壁の上端縁には連結リブが連結され、さらに長手方向に離れた各部位における横断面形状を同一形状とする溝形で、前記端面板は、下縁と両側縁に、前記下ケースの長手方向に移動可能で、該下ケースの内面に面接触状態に接触する溶接片を有し、下縁の前記溶接片が前記底板の内面に密着して溶接され、両側縁の前記溶接片が前記側壁の内面に密着して溶接されてなり、複数の前記電池ブロックが筒ケースの長手方向に伸びる姿勢で長手方向に配置されて前記外装ケースに固定され、さらに、前記外装ケースは外部固定金具を介して車両に固定されている。
【0008】
さらに、以上の態様の構成要素を備えたバッテリシステムを搭載してなる車両は、前記バッテリシステムと、該バッテリシステムから電力供給される走行用のモータと、該バッテリシステム及び前記モータを搭載してなる車両本体と、該モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪とを備え、前記バッテリシステムが外部固定金具を介して車両に固定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のある態様の車両用のバッテリシステムは、種々の車両に搭載できる構造としながら、製造コストを低減できる特徴がある。それは、以上のバッテリシステムが、下ケースに上ケースを固定して筒ケースとし、筒ケースの両端を端面板で閉塞して、中間部には区画壁を設け内部を区画して、下ケースと上ケースと端面板と区画壁とを金属板をプレス加工して製作し、さらに下ケースの形状を、底板の両側に側壁を連結して、側壁の上端縁に連結リブを連結して、長手方向に離れた各部位における横断面形状を同一形状とする溝形として、複数の電池ブロックを筒ケースの長手方向に伸びる姿勢で長手方向に配置して外装ケースに固定し、さらに外装ケースを、外部固定金具を介して車両に固定する構造としているからである。
【0010】
本発明のある態様のバッテリシステムを搭載してなる車両は、バッテリシステムの製造コストを低減しながら、バッテリシステムを車両の最適位置に固定できる特徴がある。それは、以上の車両が、搭載するバッテリシステムの構造を、下ケースに上ケースを固定して筒ケースとし、筒ケースの両端を端面板で閉塞して、中間部には区画壁を設け内部を区画して、下ケースと上ケースと端面板と区画壁とを金属板をプレス加工して製作し、さらに下ケースの形状を、底板の両側に側壁を連結して、側壁の上端縁に連結リブを連結して、長手方向に離れた各部位における横断面形状を同一形状とする溝形として、複数の電池ブロックを筒ケースの長手方向に伸びる姿勢で長手方向に配置して外装ケースに固定し、さらにバッテリシステムを、外部固定金具を固定して車両に固定しているからである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかるバッテリシステムの垂直縦断面図である。
図2】本発明の一実施形態にかかるバッテリシステムの分解斜視図である。
図3図1に示すバッテリシステムの内部構造を示す平面図である。
図4】電池ブロックの分解斜視図である。
図5】外装ケースの分解斜視図である。
図6】外装ケースの端面板を示す要部拡大断面斜視図である。
図7】外装ケースの区画壁を示す要部拡大断面斜視図である。
図8】外装ケースの他の一例を示す分解斜視図である。
図9】外装ケースと外部固定金具を示す斜視図である
図10】外装ケースと外部固定金具の他の連結構造を示す底面斜視図である。
図11】バッテリシステムを車両に固定する一例を示す断面図である。
図12】エンジンとモータで走行するハイブリッド自動車にバッテリシステムを搭載する例を示すブロック図である。
図13】モータのみで走行する電気自動車にバッテリシステムを搭載する例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のある態様の車両用のバッテリシステムは、以下の構成により特定されてもよい。バッテリシステムは、複数の電池セルからなる複数の電池ブロックと、複数の電池ブロックを収納してなる外装ケースとを備えている。外装ケースは、下ケースに上ケースを固定して筒状としてなる筒ケースと、筒ケースの両端に固定されて筒ケースの両端開口部を閉塞してなる一対の端面板と、筒ケースの中間部に固定してなる区画壁とを備え、下ケースと上ケースと端面板と区画壁はプレス加工された金属板からなり、下ケースは、底板の両側に側壁が連結されて、側壁の上端縁には連結リブが連結され、さらに長手方向に離れた各部位における横断面形状を同一形状とする溝形としている。複数の電池ブロックは、筒ケースの長手方向に伸びる姿勢で長手方向に配置されて、外装ケースに固定されている。さらに、外装ケースは、外部固定金具を介して車両に固定するようにしている。
【0013】
また、車両用のバッテリシステムは、上ケースを、平面状又は下ケースよりも浅い溝形の金属板で構成してもよい。
以上のバッテリシステムは、下ケースの両側を高さのある側壁で補強して曲げ強度を向上でき、強いケースに重い電池ブロックを固定して外装ケースを頑丈な構造にできる。さらに、頑丈な外装ケースを、外装ケースとは別の金属板で製作された別パーツの外部固定金具を介して車両に固定するので、外部固定金具を外装ケースに固定する位置を調整して、外装ケースの振動、変形、共振周波数などを考慮して最適な状態で車両のシャシー等に固定できる特徴がある。
【0014】
さらに、車両用のバッテリシステムは、端面板を多層構造の金属板で構成し、各々の金属板が、下縁と両側縁に、下ケースの長手方向に移動して内面に面接触状態に接触する溶接片を有し、下縁の溶接片を底板の内面に密着して溶接し、両側縁の溶接片を側壁の内面に密着して溶接してもよい。
【0015】
以上のバッテリシステムは、端面板を強靭な構造にでき、さらに筒ケースの固定位置を微調整して最適位置に強固に固定できる特徴がある。それは、以上のバッテリシステムの端面板が、多層構造の金属板として、各々の金属板の下縁と両側縁に、下ケースの長手方向に移動して内面に面接触状態に接触する溶接片を設けて、下縁に設けた溶接片を底板の内面に密着して溶接し、両側縁に設けた溶接片を側壁の内面に密着して溶接して固定しているからである。とくに、下ケースの長手方向に移動して内面に面接触状態に接触する溶接片は、固定位置を微調整でき、しかも固定位置を変更しても面接触状態で密着するので、理想的な状態でスポット溶接して強固に固定できる特徴がある。
【0016】
さらに、車両用のバッテリシステムは、端面板が、金属板の間に隙間を有する多層構造としてもよい。
以上のバッテリシステムは、金属板の間に隙間を設けていので、下ケースを複数カ所で補強して曲げ強度をさらに強くできる特徴がある。
【0017】
さらに、車両用のバッテリシステムは、端面板を、外側に位置する外側金属板と、内側に位置する内側金属板とからなる2枚の金属板で構成し、内側金属板と外側金属板の上端部を溶接構造で連結し、外側金属板と内側金属板は、下縁と両側縁に沿って下ケースの内面に面接触状態に接触する溶接片を有し、外側金属板と内側金属板の下縁の溶接片を底板に溶着し、外側金属板と内側金属板の両側の溶接片を側壁の内面に溶着する構成としてもよい。
【0018】
以上のバッテリシステムは、端面板を外側の外側金属板と、内側の内側金属板とからなる2枚の金属板で構成して、内側金属板と外側金属板とを上端部で溶接して連結し、外側金属板と内側金属板の両方の下縁と両側縁に、下ケースの内面に面接触状態に接触する溶接片を設けて、外側金属板と内側金属板の下縁の溶接片を底板に溶着し、さらに外側金属板と内側金属板の両側の溶接片を側壁の内面に溶接して下ケースに固定しているので、外側金属板と内側金属板の両方で下ケースの強度、とくに捻れ方向の強度をより向上できる。このため、強靭な外装ケースに重い電池ブロックを固定して、変形、振動、共振などの弊害をより効果的に防止できる特徴がある。
【0019】
さらに、車両用のバッテリシステムは、内側金属板が上縁に沿って直角に折曲加工してなる上縁リブを有し、上縁リブは水平リブとサブ溶接片とが直角に連結されたL字状で、水平リブは一方の側縁を内側金属板の上縁に直角に連結して、他方の側縁をサブ溶着片に連結し、サブ溶接片を外側金属板の内面に溶接する構成としてもよい。
以上のバッテリシステムは、内側金属板の下縁に設けた断面形状をL字状とする上縁リブで端面板の下縁を補強できる特徴がある。
【0020】
さらに、車両用のバッテリシステムは、区画壁を2枚の垂直壁の上縁を水平板で連結してなる溝形とし、各々の垂直壁の下縁と両側縁に溶接片を設けて、下縁の溶接片を下ケースの底板に溶着し、両側縁の溶接片を下ケースの側壁に溶着する構成としてもよい。
【0021】
以上のバッテリシステムは、区画壁が、2枚の垂直壁を上縁で連結している溝形として、各々の垂直壁の下縁と両側縁に設けた溶接片を下ケースの底板と側壁に溶接して固定しているので、2枚の垂直壁で下ケースの中間部を補強して、下ケースの曲げ強度と捻れ強度を著しく向上して、重い電池ブロックを固定して、下ケースの変形、振動、共振などをより効果的に防止できる特徴がある。
【0022】
さらに、車両用のバッテリシステムは、下ケースと外部固定金具とを異なる厚さの金属板で構成してもよい。
【0023】
以上のバッテリシステムは、下ケースと外部固定金具とを異なる板厚の金属板とすることで、外装ケースは重い複数の電池ブロックを固定して充分な強度を実現する構造としながら、これを車両に固定する外部固定金具は、車両に固定する状態で、重い電池ブロックを固定している外装ケースの振動や変形を防止し、さらに共振周波数などを調整して外装ケースや電池ブロックの共振による弊害、たとえば、防振、破損、変形等を有効に防止できる特徴がある。
【0024】
さらに、車両用のバッテリシステムは、下ケースと端面板とを異なる厚さの金属板で構成してもよい。
【0025】
以上のバッテリシステムは、下ケースと端面板の厚さを調整して、外装ケースの立体的な方向の曲げ強度を最適設計して、電池ブロックに与える振動や変形による弊害を少なくできる特徴がある。たとえば、端面板を下ケースよりも厚くして、外装ケース両端部をより強く補強し、反対に下ケースよりも端面板を薄くして、外装ケースの共振周波数や撓り状態を調整することで、外装ケースが衝撃を吸収する特性をコントロールできる特徴がある。
【0026】
さらに、車両用のバッテリシステムは、下ケースと区画壁とを異なる厚さの金属板で構成してもよい。
【0027】
以上のバッテリシステムは、下ケースと区画壁の厚さを調整して、外装ケースの中央部における立体的な方向の曲げ強度を最適設計して、電池ブロックに与える振動や変形による弊害を少なくできる特徴がある。たとえば、区画壁を下ケースよりも厚くして、外装ケース中央部をより強く補強し、反対に下ケースよりも区画壁を薄くして、外装ケースの共振周波数や撓り状態を調整することで、外装ケースが衝撃を吸収する特性をコントロールできる特徴がある。
【0028】
さらに、車両用のバッテリシステムは、電池ブロックに接続してなる回路基板を備え、区画壁が筒ケースの中間部に2列に配置して固定されて、2列の区画壁の間に基板スペースを設けて、基板スペースに回路基板を配置する構成としてもよい。
【0029】
以上のバッテリシステムは、外装ケースに回路基板を内蔵させながら、外形を細くできる特徴がある。また、回路基板を外装ケースの中央部に配置できるので、各々の電池ブロックと回路基板の配線を最短距離として、電力ロスを少なくでき、またノイズによる影響なども少なくできる特徴がある。さらに、両側の区画壁で回路基板をシールドすることによって、さらに回路基板のノイズによる悪影響を少なくできる特徴がある。
【0030】
さらに、車両用のバッテリシステムは、下ケースが、外部固定金具の固定位置を嵌合構造で特定する嵌合部を有し、嵌合部を下ケースの側壁の長手方向に離して複数カ所に設ける構成としてもよい。
【0031】
以上のバッテリシステムは、外部固定金具を下ケースに固定する位置を長手方向に調整しながら、位置ずれしないように固定できる特徴がある。このバッテリシステムは、外装ケースの長さや内蔵する電池ブロックの個数や配置を考慮して、外装ケースの最適位置を車両に取り付けできる特徴がある。
【0032】
さらにまた、車両用のバッテリシステムは、下ケースの両側に複数の外部固定金具を固定する構成としてもよい。
【0033】
さらに、以上の態様の構成要素を備えたバッテリシステムを搭載してなる車両は、以下の構成により特定されてもよい。バッテリシステムを搭載してなる車両は、バッテリシステムと、バッテリシステムから電力供給される走行用のモータと、バッテリシステム及びモータを搭載してなる車両本体と、モータで駆動されて車両本体を走行させる車輪とを備え、バッテリシステムを外部固定金具を介して車両に固定している。
【0034】
さらに、バッテリシステムを搭載してなる車両は、バッテリシステムを車両のシャシーに固定する構成としてもよい。
【0035】
以上の車両は、各々のシャシーの最適位置にバッテリシステムを固定して、車両の重心位置を低くして優れたハンドリングを実現し、さらに、シャシーに固定される外装ケースでシャシーの一部を補強して、車両のボディー剛性を向上でき、また、シャシーに固定される外部固定金具や外装ケースの剛性を調整し、また外装ケースや外部固定金具の硬度や連結位置を変更して、シャシー全体を最適設計でき、しかもシャシーの振動や共振などを抑制して好ましいハンドリングや乗り心地をコントロールできる特徴がある。とくに、車両は、シャシーを全く変形しない剛体として理想的なハンドリングを実現できない。車両のハンドリングは、ボディー剛性、車両を支持しているスプリングの弾性、ショックアブソーバの減衰力などを調整して理想的な状態にコントロールしており、とくにシャシーの部分的な剛性はハンドリングに影響を与えるので、外装ケースと外部固定金具の剛性などをどを調整できることも大切である。バッテリシステムをシャシーに固定しており、しかも、外装ケースを下ケースと上ケースと端面板と区画壁とに分離して異なる金属板で製作し、さらにこの外装ケースをシャシーに固定する外部固定金具をも別パーツとして、シャシーに固定している車両は、各々のパーツの剛性を最適値に調整することで、シャシーの部分的な剛性をコントロールしてハンドリングを向上できる特徴がある。
【0036】
さらに、バッテリシステムを搭載してなる車両は、車両のシャシーが、上面に突出して互いに平行に伸びる凸条を有し、隣接する凸条の間にバッテリシステムを配置して、外装ケースを外部固定金具を介して凸条に固定する構成としてもよい。
【0037】
以上の車両は、隣接する平行な凸条の間に外装ケースを固定しているので、外装ケースが隣接する凸条間の剛性を強くでき、バッテリシステムを車両のボディー剛性の向上に併用できる特徴がある。
【0038】
さらにまた、バッテリシステムを搭載してなる車両は、バッテリシステムを、複数の外部固定金具を介してシャシーに固定する構成としてもよい。
以上の車両は、複数の外部固定金具により、外装ケースをシャシーに固定する位置を調整できるので、衝撃や曲げ応力が作用する状態で、シャシーの変形状態を理想的な方向にコントロールできる特徴がある。
【0039】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示すものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0040】
図1図3は、本発明の一実施形態に係る車両用のバッテリシステムを例示している。これらの図に示すバッテリシステム100は、主としてハイブリッドカー、プラグインハイブリッドカー、電気自動車などの車両に搭載されて、車両の走行モータに電力を供給して、車両を走行させる電源として使用される。
【0041】
(バッテリシステム100)
図1図3に示すバッテリシステム100は、複数の電池セル1からなる複数の電池ブロック10と、複数の電池ブロック10を収納してなる外装ケース2とを備えている。図のバッテリシステム100は、外装ケース2の外観を細長い略箱形として、この外装ケース2の内部に複数の電池ブロック10を収納している。図2図3のバッテリシステム100は、4組の電池ブロック10を外装ケース2の定位置に収納している。
【0042】
(電池ブロック10)
図4に示す電池ブロック10は、複数の電池セル1を積層している電池積層体12と、この電池積層体12の両端に配置している一対のエンドプレート13と、両端をエンドプレート13に固定して、電池積層体12を加圧状態に固定するバインドバー14とを備えている。この電池ブロック10は、図4に示すように、電池セル1を多数積層して電池積層体12とし、電池積層体12を積層方向の両端面からエンドプレート13で挟み、両端のエンドプレート13をバインドバー14で連結して電池積層体12を加圧状態に固定して全体形状を細長い箱形としている。
【0043】
(電池セル1)
電池セル1は、図に示すように、厚さに比べて幅が広い、言い換えると幅よりも薄い角形電池で、厚さ方向に積層されて電池積層体12としている。電池セル1は、リチウムイオン二次電池などの非水系電解液二次電池である。電池セル1をリチウムイオン二次電池とするバッテリシステム100は、容積と重量に対する充放電容量を大きくできる。ただし、電池セル1は、リチウムイオン電池には特定されず、充電できる全ての電池、たとえばニッケル水素電池なども使用できる。
【0044】
電池セル1は、密閉構造の外装缶に正負の電極板を電解液と共に収容している。外装缶は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属板を角形にプレス成形され、開口部を封口板で気密に密閉している。封口板は、外装缶と同じアルミニウムやアルミニウム合金で、両端部に正負の電極端子11を固定している。さらに、封口板は、正負の電極端子11の間に、ガス排出弁の開口部を設けている。ガス排出弁は、電池セル1の内圧が設定値よりも高くなると開弁して、外装缶や封口板が破損するのを防止する。
【0045】
(電池積層体12)
複数の電池セル1は、各電池セル1の厚み方向が積層方向となるように積層されて電池積層体12を構成している。電池セル1は、正負の電極端子11を設けている端子面を同一平面に配置して、複数の電池セル1を積層して電池積層体12としている。電池積層体12は、隣接する電池セル1の正負の電極端子11に金属製のバスバー17が接続されて、バスバー17でもって複数の電池セル1を直列又は並列に、あるいは直列と並列に接続される。図に示す電池ブロック10は、20個の電池セル1を直列に接続している。ただ、本発明は、電池積層体12を構成する電池セル1の個数とその接続状態を特定しない。
【0046】
(セパレータ15)
電池積層体12は、図4に示すように、積層している電池セル1の間にセパレータ15を挟着している。セパレータ15は、電池積層体12を構成する電池セル1の間に挟着されて、隣接する電池セル1同士を絶縁している。セパレータ15は、両面を電池セル1に嵌着できる形状として、隣接する電池セル1の位置ずれを阻止して積層できる。図4のセパレータ15は、隣接する電池セル1の外装缶を絶縁すると共に、電池セル1との間に電池セル1を冷却する冷却隙間16を設けている。このセパレータ15は、絶縁材のプラスチックを成形して製作している。図のセパレータ15は、両面に送風溝15Aを設けて、電池セル1との間に冷却隙間16を設けている。セパレータ15は、図において水平方向、いいかえると電池セル1の両側に開口するように送風溝15Aを設けている。このセパレータ15により形成される冷却隙間16は、冷却気体を水平方向に送風して電池セル1を冷却する。
【0047】
以上のセパレータ15は、送風溝15Aを設けており、冷却隙間16に冷却気体を通過させて電池セル1を冷却するが、セパレータは、必ずしも表面に送風溝を設ける必要はない。それは、図示しないが、電池積層体の表面に冷却プレートを熱結合状態に固定し、この冷却プレートで電池セルを表面から冷却することができるからである。この場合、セパレータは、電池セルに挟着される部分を送風溝のない平面状として、電池セルの間に冷却隙間を設けない構造にでき、あるいは、絶縁材で薄いシート状に製作することができる。また、セパレータは、隣接する電池セル同士の伝熱を抑制するために、絶縁性に加え、断熱性を有していても良い。
【0048】
(エンドプレート13)
エンドプレート13は、電池積層体12の両端に配置されている。エンドプレート13は、バインドバー14に連結されて、電池積層体12を両端面から加圧し、電池積層体12の各電池セル1を所定の締め付け圧で加圧状態に固定する。エンドプレート13は、電池セル1の外形にほぼ等しい外形を有しており、両側部にバインドバー14を連結して、電池積層体12を加圧状態に固定して変形しない四角形の板状としている。エンドプレート13は、十分な強度を発揮する材質、例えば金属製とする。ただ、エンドプレートは、樹脂製とし、あるいは、樹脂製のエンドプレートを金属製の部材で補強する構成としても良い。
【0049】
(バインドバー14)
バインドバー14は、図4に示すように、電池積層体12の両側面に配置されて、電池積層体12の両端に積層されたエンドプレート13を連結して、複数の電池セル1を積層方向に加圧状態で固定する。図のバインドバー14は、その両端部を止ネジ19を介してエンドプレート13の両側面に固定している。ただ、バインドバーは、両端部に折曲片を設けて、この折曲片をエンドプレートの外側面に固定することもできる。止ネジ19でバインドバー14が固定されるエンドプレート13は、止ネジ19をねじ込む雌ネジ孔13aを側面に設けている。エンドプレート13は、バインドバー14を貫通する止ネジ19が両側面の雌ネジ孔13aにねじ込まれてバインドバー14が連結される。
【0050】
バインドバー14は、所定の厚さの金属板を所定の幅に加工して製作される。バインドバー14は、端部をエンドプレート13に固定して、一対のエンドプレート13で電池積層体12を加圧状態に固定する。バインドバー14は、一対のエンドプレート13を所定の寸法に固定して、その間に積層される電池セル1を所定の加圧状態に固定する。電池セル1の膨張圧力でバインドバー14が伸びると、電池セル1の膨張を阻止できない。したがって、バインドバー14には、電池セル1の膨張圧に耐える強度の金属板、たとえばSUS304等のステンレス板や鋼板等の金属板を十分な強度を有する幅と厚さに加工して製作される。さらに、バインドバーは、金属板を溝形に加工することもできる。この形状のバインドバーは、曲げ強度を強くできるので、幅を狭くしながら、積層する角形電池をしっかりと所定の圧縮状態に固定できる特長がある。
【0051】
図のバインドバー14は、電池積層体12の側面に配置される側面プレート部14Aを備えている。バインドバー14は、止ネジ19を挿通するための貫通穴を側面プレート部14Aの両端部に設けて止め穴14aとしている。さらに、バインドバー14は、側面プレート部14Aの外周縁部を除く内側に送風開口14Dを設けて、電池積層体12の内部に冷却気体を送風できる構造としている。図のエンドプレート13は、側面プレート部14Aの中央部とその両側に開口部を設けて送風開口14Dとしている。バインドバー14は、送風開口14Dを大きくすることで、バインドバー14の軽量化を図ると共に、使用する金属の量を少なくして製造コストを低減できる。さらに、図のバインドバー14は、側面プレート部14Aの両端部を除く中間部分の上端部に沿って、電池積層体12の上面を保持する上面側折曲部14Bを設けると共に、中間部分の下端部に沿って、電池積層体12の下面を保持する下面側折曲部14Cを備えている。
【0052】
以上の構造の電池ブロック10は、外装ケース2の定位置に収納される。図3に示す外装ケース2は、4組の電池ブロック10を2行2列に収納している。すなわち、2組の電池ブロック10を互いに平行な姿勢で2列に配置すると共に、平行に配置された2組ずつの電池ブロック10を長手方向に直線状に配置して4組の電池ブロックを2行2列に並べて外装ケースに収納している。平行に配置される2列の電池ブロックは離間して配置して間にスペースを設けており、これらの電池ブロック10の間のスペースには、電池セル間に設けた冷却隙間16に冷却気体を送風するための送風ダクト6を配置している。
【0053】
(外装ケース2)
外装ケース2は、図2の分解斜視図に示すように、平面視を長方形状とする箱形である。この外装ケース2は、下ケース21に上ケース22を固定して筒状としてなる筒ケース20と、筒ケース20の両端に固定されて筒ケース20の両端開口部を閉塞してなる一対の端面板3と、筒ケース20の中間部に固定してなる区画壁4とを備えている。
【0054】
(下ケース21)
下ケース21は、一方向に延長された溝形となるように、金属板をプレス加工して製造している。図5の下ケース21は、底板23の両側に側壁24が連結されて、側壁24の上端縁には連結リブ25が連結された溝形であって、長手方向に離れた各部位における横断面形状を同一形状とする溝形に成形している。さらに、溝形に成形される下ケース21は、所定数の電池ブロック10を収納可能な全長(L)となるように加工されている。このように、底板23の両側に高さのある側壁24を設ける構造は、底板23を側壁24で補強して、強い外装ケース2を実現できる。さらに、側壁24の上端縁に連結リブ25を設けることで側壁24の強度も高めて下ケース21全体の曲げ強度を向上して頑丈な構造にできる。
【0055】
(上ケース22)
上ケース22は、下ケース21よりも浅い溝形である蓋部26を有する形状となるように金属板をプレス加工して製造している。図2の筒ケース20は、上ケース22を浅い溝形として、下ケース21を深い溝形とするので、深い下ケース21に重い電池ブロック10を収納、固定して外装ケース2を頑丈にできる。ただ、上ケースは、溝形の蓋部を設けることなく、全体を平面状とすることもできる。
【0056】
さらに、図2に示す上ケース22は、蓋部26の外周に沿って鍔部27を設けている。下ケース21と上ケース22は、下ケース21の両側に突出する連結リブ25と上ケース22の両側に突出する鍔部27とを連結する状態で、横断面視を四角形状とする筒ケース20が形成される。筒ケース20は、これらの連結リブ25と鍔部27とを連結具、例えば、ボルトとナットで固定して全体を筒状としている。
【0057】
(端面板3)
端面板3は、図2図5、及び図6に示すように、筒ケース20の両端に固定されて筒ケース20の両端開口部を閉塞している。端面板3は、多層構造の金属板で構成しており、各々の金属板の下縁と両側縁に、下ケース21の内面に面接触状態に接触する溶接片33を設けている。図に示す端面板3は、外側に位置する外側金属板31と、内側に位置する内側金属板32とからなる2枚の金属板で構成している。外側金属板31と内側金属板32は、上端部を溶接構造で連結しており、対向する内側金属板32と外側金属板31の間に隙間34を設けた多層構造としている。
【0058】
(外側金属板31)
外側金属板31は、筒ケース20の開口部を閉塞する大きさの四角形状であって、下縁と両側縁に沿って、下ケース21の内面に面接触状態に接触する溶接片33を設けている。図に示す外側金属板31は、下縁と両側縁に、下ケース21の内面に沿って外側方向に直角に折曲された折曲片を設けて溶接片33としている。外側金属板31の下縁に設けた溶接片33aは、下ケース21の底板23の内面に密着した状態で配置されると共に、底板23の内面に溶接して固定される。外側金属板31の両側縁に設けた溶接片33bは、下ケース21の側壁24の内面に密着した状態で配置されると共に、側壁24の内面に溶接して固定される。
【0059】
さらに、図に示す外側金属板31は、上縁に沿って、上ケース22の鍔部27に沿って外側方向に直角に折曲された折曲片を設けて連結片36としている。この連結片36は、上ケース22の長手方向の両端に設けた鍔部27に連結されて、筒ケース20の両端開口部が閉塞される。端面板3の連結片36と上ケース22の鍔部27は、例えば、ボルトとナット等の連結具で固定される。このようにして、下ケース21の両端は、下ケース21に溶着された端面板3を介して上ケース22に連結される。
【0060】
(内側金属板32)
内側金属板32は、外側金属板31の内側に連結されており、下縁と両側縁に沿って、下ケース21の内面に面接触状態に接触する溶接片33を設けている。図に示す内側金属板32は、下縁と両側縁に、下ケース21の内面に沿って内側方向に直角に折曲された折曲片を設けて溶接片33としている。内側金属板32の下縁に設けた溶接片33cは、下ケース21の底板23の内面に密着した状態で配置されると共に、底板23の内面に溶接して固定される。内側金属板32の両側縁に設けた溶接片33dは、下ケース21の側壁24の内面に密着した状態で配置されると共に、側壁24の内面に溶接して固定される。
【0061】
さらに、内側金属板32は、上縁に沿って直角に折曲加工してなる上縁リブ35を有している。この上縁リブ35は、水平リブ35Aとサブ溶接片35Bとを直角に連結して横断面視をL字状としている。上縁リブ35は、水平リブ35Aの一方の側縁を内側金属板32の上縁に直角に連結し、他方の側縁をサブ溶接片35Bに連結している。この形状の内側金属板32は、サブ溶接片35Bを外側金属板31の上端部の内面に溶接して固定している。内側金属板32は、上縁リブ35のサブ溶接片35Bが外側金属板31に固定されることで、外側金属板31との間に、水平リブ35Aの幅に相当する間隔の隙間34が形成される。
【0062】
さらに、上縁リブ35の水平リブ35Aは、両側縁に沿って、下ケース21の内面に面接触状態に接触する溶接片33eを設けている。図に示す水平リブ35Aは、両側縁に、下ケース21の内面に沿って上側方向に直角に折曲された折曲片を設けて溶接片33eとしている。水平リブ35Aの両側縁に設けた溶接片33eは、下ケース21の側壁24の内面に密着した状態で配置されると共に、側壁24の内面に溶接して固定される。
【0063】
以上の構造の端面板3は、金属板をプレス加工することにより、外側金属板31と内側金属板32とを所定の形状に形成している。すなわち、外側金属板31は、プレス加工により、下縁と両側縁に溶接片33a、33bが形成されると共に、上縁に連結片36が形成される。また、内側金属板32は、プレス加工により、下縁と両側縁に溶接片33c、33dが形成されると共に、上縁に上縁リブ35が形成される。この上縁リブ35は、プレス加工により、水平リブ35Aに対して、サブ溶接片35Bと溶接片33eが形成される。さらに、内側金属板32のサブ溶接片35Bを、外側金属板31の内側面の上端部に溶接して固定することにより、内側金属板32と外側金属板31からなる多層構造の端面板3を形成している。
【0064】
以上の端面板3は、下ケース21と異なる厚さの金属板で製造することができる。外装ケース2は、たとえば、端面板3を下ケース21よりも厚くすることで、外装ケース2の両端部をより強く補強することができ、反対に下ケース21よりも端面板3を薄くすることで、外装ケース2の共振周波数や撓り状態を調整して、外装ケース2が衝撃を吸収する特性をコントロールできる。このように、外装ケース2は、下ケース21と端面板3の厚さを調整することで、外装ケース2の立体的な方向の曲げ強度を最適な状態に設計して、電池ブロック10に与える振動や変形による弊害を少なくできる。
【0065】
(区画壁4)
区画壁4は、図2図5、及び図7に示すように、筒ケース20の中間部に固定されて、筒ケース20の内部を複数の領域に区画している。区画壁4は、2枚の垂直壁41の上縁を水平板42で連結してなる溝形としている。区画壁4は、各々の垂直壁41の下縁と両側縁に溶接片43を設けている。図に示す垂直壁41は、下縁と両側縁に、下ケース21の内面に沿って直角に折曲された折曲片を設けて溶接片43としている。これらの溶接片43も、下ケース21の内面に面接触状態に接触する構造としている。垂直壁41の下縁に設けた溶接片43aは、下ケース21の底板23の内面に密着した状態で配置されると共に、底板23の内面に溶接して固定される。垂直壁41の両側縁に設けた溶接片43bは、下ケース21の側壁24の内面に密着した状態で配置されると共に、側壁24の内面に溶接して固定される。以上の構造の区画壁4は、金属板をプレス加工することにより、垂直壁41と水平板42とを所定の形状に形成すると共に、垂直壁41の下縁と両側縁に溶接片43a、43bを形成している。
【0066】
区画壁4は、図2に示すように、筒ケース20の中間部に配置して固定される。図2の外装ケース2は、下ケース21の中間部に2列の区画壁4を固定しており、2列の区画壁4の間に基板スペース29を設けている。バッテリシステム100は、電池ブロック10に接続してなる回路基板9を備えており、この回路基板9や電池ブロック10に接続される種々の電子部品(図示せず)を基板スペース29に配置している。このように、外装ケース2の中央部に基板スペース29を設けて回路基板9を配置する構造は、各々の電池ブロック10と回路基板9の配線を最短距離にできる。このため、配線作業を簡単にできると共に、電力ロスを少なくでき、さらには、ノイズによる影響も少なくできる。さらに、両側の区画壁4で回路基板9をシールドできるので、回路基板9へのノイズによる悪影響を低減できる特徴もある。
【0067】
図2の区画壁4は、中間部に切欠部44を設けており、この切欠部44を外装ケース2の基板スペース29に配置される部材の位置決め部としている。図に示す区画壁4は、中間部に設けた切欠部44を電池ブロック10の間に配置される送風ダクト6の位置決め部としている。すなわち、切欠部44に送風ダクト6を案内することで、送風ダクト6を外装ケース2の定位置に配置するようにしている。
【0068】
以上の区画壁4は、下ケース21と異なる厚さの金属板で製造することができる。外装ケース2は、たとえば、区画壁4を下ケース21よりも厚くすることで、外装ケース2の中央部をより強く補強することができ、反対に下ケース21よりも区画壁4を薄くすることで、外装ケース2の共振周波数や撓り状態を調整して、外装ケース2が衝撃を吸収する特性をコントロールできる。このように、外装ケース2は、下ケース21と区画壁4の厚さを調整することで、外装ケース2の中央部における立体的な方向の曲げ強度を最適設計して、電池ブロック10に与える振動や変形による弊害を少なくできる。
【0069】
以上の外装ケース2は、筒ケース20の中間部に2列の区画壁4を配置して固定すると共に、筒ケース20の両端にそれぞれ端面板3を配置して固定している。この外装ケース2は、中間部に配置される2組の区画壁4の間に基板スペース29を形成すると共に、区画壁4と端面板3との間には電池ブロック10を収納する電池収納部28を形成している。電池収納部28は、外装ケース2の長手方向の両端部であって、2列の区画壁4よりも外側の領域にそれぞれ形成されている。外装ケース2は、図2図3に示すように、各電池収納部に2組の電池ブロック10を平行な姿勢で並べて収納するようにしている。
【0070】
以上の端面板3と区画壁4は、下ケース21の長手方向に移動させる状態で、下ケース21の内面に面接触状態に接触する溶接片33、43を備えている。言い換えると、端面板3と区画壁4は、外側金属板31や内側金属板32、または垂直壁41の下縁と両側縁に設けた溶接片33、43を、下ケース21の内面に面接触状態に接触させながら下ケース21の長手方向にスライド移動できる構造としている。この構造の端面板3と区画壁4は、溝形の下ケース21に対して、その連結位置を調整しながら配置して、溶接して固定できる。下ケース21は、長手方向に離れた各部位における横断面形状を同一形状の溝形としている。したがって、この形状の下ケース21に対して、端面板3や区画壁4をスライドさせながら固定位置を変更し、さらに、下ケース21の内面に対して溶接片33、43を面接触状態で配置して溶接できる。
【0071】
この構造の外装ケース2は、バッテリシステム100が搭載される車両の車種に応じて下ケース21の全長を変更しながら、収納される電池ブロック10や回路基板9に最適な位置に端面板3と区画壁4を固定して理想的に電池ブロック10を収納して固定できる。図8は、車種に応じて下ケース21の全長を変更する例を示している。図8に示す下ケース21は、図5に示す下ケース21の全長(L)を実線で示すと共に、これよりも全長(L1)を長くした状態を鎖線で示し、さらに全長(L2)を長くした状態を二点鎖線で示している。この下ケース21は、長手方向における横断面形状を同一形状とすることで、同一の金型を使用してプレス加工しながら、その全長を車種に応じて変更することで、バッテリシステム100を搭載する車両に最適な外形の外装ケース2を安価に多量生産できる。全長が異なる下ケース21は、その内面に沿って端面板3を移動することで、最適な位置に端面板3を配置し、さらに、下ケース21の内面に面接触状態で配置される溶接片33を溶接することで、下ケース21の所望の位置に端面板3を固定できる。
【0072】
図8の外装ケース2は、2列の区画壁4の間隔(K)を一定の間隔としており、下ケース21の全長を変化させることで、区画壁4と端面板3の間隔を変化させて、電池収納部28の全長を、収納される電池ブロック10に最適な間隔となるように調整する例を示している。ただ外装ケースは、2列の区画壁4の間隔(K)を種々に変更することもできる。
【0073】
(送風ダクト6)
さらに、バッテリシステム100は、外装ケース2に収納される電池ブロック10の各電池セル1を放熱するために、外装ケース2の内部に送風ダクト6を配置しており、この送風ダクト6を介して外部から冷却気体を供給する構造としている。図2図3に示す送風ダクト6は、外部から供給される冷却気体を外装ケース2の内部に供給するための吸入部63と、吸入部63から供給される冷却気体を2方向に分岐する分岐部62と、分岐部62の両側に連結されて、互いに隣接する電池ブロック10の間に配置される送風ガイド部61とを備えている。吸入部63は、外部に配置された送風ファン(図示せず)に連結されており、外部から冷却気体が強制的に供給される。送風ガイド部61は、電池ブロック10の側面に対して開口された枠形状であって、2列に配置された電池ブロック10の間に配置されている。吸入部63と分岐部62と送風ガイド部61は、内部に設けた送風通路64を介して連通されており、外部から供給される冷却気体を送風ガイド部61から電池ブロック10の冷却隙間16に供給できるようにしている。図に示す送風ガイド6は、吸入部63を下ケース21の中央部の側壁24に貫通させて分岐部62を基板スペース29に配置すると共に、分岐部62の先端に連結された送風ガイド部61を電池収納部28の内部に配置して、2列に配列された電池ブロック10の間に配置している。送風ダクト6は、分岐部62の先端部が区画壁4に設けた切欠部44に案内されると共に、送風ガイド部61の先端を端面板3に設けた連結部37に連結して電池収納部28の定位置に配置している。
【0074】
(外部固定金具5)
以上のように、外装ケース2の内部の定位置に複数の電池ブロック10が収納されたバッテリシステム100は、外部固定金具5を介して車両に固定される。図9に示す外部固定金具5は、金属板からなる第1の連結部51と第2の連結部52をL字状に連結した形状としている。さらに、図に示す外部固定金具5は、第1の連結部51と第2の連結部52の中間部に中間段差部53を設けて曲げ剛性を向上させている。外部固定金具5は、バッテリシステム100の外装ケース2に連結するための連結穴54を第1の連結部51に開口して設けている。また、外部固定金具5は、車両に固定するための固定穴55を第2の連結部52に開口して設けている。
【0075】
以上の外部固定金具5は、第1の連結部51がバッテリシステム100の外装ケース2に連結される。図10に示す下ケースは21は側壁24に複数の連結孔56を所定の間隔で開口して設けている。複数の連結孔56の開口ピッチは、外部固定金具5の第1の連結部51に設けた連結穴54の開口ピッチと等しくしている。これにより、外部固定金具5と下ケース21との連結位置を選択しながら最適な位置に連結できる。このため、外装ケース2と外部固定金具5との連結位置を、車両側の取り付け位置に合わせて任意に選択可能となる。この外部固定金具5は、図示しないが、ボルトとナット等の連結具を介して連結することができる。具体的には、連結孔56と連結穴54に挿通されるボルトにナットがねじ込まれて外部固定金具5が下ケース21の側壁24に連結される。外部固定金具5は、図10に示すように、外装ケース2の両側に複数個が固定される。
【0076】
さらに、下ケース21は、図11に示すように、外部固定金具5の固定位置を嵌合構造で特定することもできる。この図に示す下ケース21は、側壁24の外側面に、外部固定金具5の第1の連結部51を案内する嵌合部57を設けている。図に示す下ケース21は、側壁24を部分的に切り出しして外側に突出する連結プレート部58を設けている。連結プレート部58は、四角形状であって下辺を除く3辺を切断して側壁24から切り離している。連結プレート部58は、側壁24に対して所定の隙間を形成する状態で外側に押し出されており、連結プレート部58と側壁24との間に、外部固定金具5の第1の連結部51を挿入する隙間を設けて嵌合部57としている。図11に示す下ケース21は、複数の嵌合部57を長手方向に離間して設けている。複数の嵌合部57は、その間隔が、外部固定金具5の第1の連結部51に設けた中間段差部53の幅と等しくなるようにしている。これにより、隣接する嵌合部57の間に中間段差部を案内する状態で、第1の連結部51の両端部を嵌合部57に挿入して外部固定金具5を下ケース21の側壁24に連結できるようにしている。この構造によると、外部固定金具5と下ケース21との連結位置を選択しながら最適な位置に連結できる。
【0077】
以上のバッテリシステム100は、車両の定位置に配置されて、外部固定金具5を介して車両に固定される。バッテリシステム100は、例えば、図11に示すように、シートの下にできるスペースであって、車両のシャシー92に固定される。図11に示すシャシー92は、上面に突出して互いに平行に伸びる凸条92Aを有しており、隣接する凸条92Aの間にバッテリシステム100を配置している。バッテリシステム100は、外装ケース2に固定された外部固定金具5を、固定具59を介して凸条92Aに固定している。バッテリシステム100は、下ケース21の両側に固定された複数の外部固定金具5を介してシャシー92に固定される。バッテリシステム100は、長手方向を車両の前後方向して水平姿勢で車両に搭載し、あるいは長手方向を車両の幅方向として水平姿勢で車両に搭載することができる。
【0078】
車両のシャシー92は、金属板をプレス加工して複数の凸条92Aを設けることで全体としての剛性を高めているが、シャシー全体を一つの剛体として衝撃や振動等で変形しない状態として強度を高くするのではなく、車両の走行状態や路面状態等に応じて多少のねじれや変形を許容する構造とすることで、走行中の衝撃や振動を吸収しながら全体として優れた強度を実現できるようにしている。したがって、シャシー92に固定されるバッテリシステム100は、このようなシャシー92の特性を低下させることなく定位置に配置することが大切になる。以上のバッテリシステム100は、外装ケース2を直接、シャシー92に固定するのではなく、外装ケース2とは別パーツである外部固定金具5を介してシャシー92に固定するので、外部固定金具5を外装ケース2に固定する位置を調整して、外装ケースの振動、変形、共振周波数などを考慮して最適な状態で車両のシャシー92に固定できる。
【0079】
さらに、バッテリシステム100は、下ケース21と外部固定金具5とを異なる厚さの金属板とすることができる。このバッテリシステム100は、外装ケース2に複数の電池ブロック10を固定して充分な強度を実現するように下ケース21を最適な厚さの金属板としながら、バッテリシステム100を車両に固定する外部固定金具5には、重い電池ブロックを固定している外装ケース2の振動や変形を防止し、さらに共振による弊害を有効に防止できる最適な厚さの金属板を使用する。
【0080】
(バッテリシステムを備える車両)
以上のバッテリシステムは、車両を走行させるモータに電力を供給する電源に最適である。バッテリシステムを備える車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、車両を駆動する電力を得るために、上述したバッテリシステムを直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電源装置を構築して搭載することもできる。
【0081】
(ハイブリッド車用バッテリシステム)
図12は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車にバッテリシステムを搭載する例を示す。この図に示すバッテリシステム100を備える車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給するバッテリシステム100と、バッテリシステム100の電池セルを充電する発電機94と、エンジン96、モータ93、バッテリシステム100、及び発電機94を搭載してなる車両本体91と、エンジン96又はモータ93で駆動されて車両本体91を走行させる車輪97とを備えている。バッテリシステム100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、バッテリシステム100の電池セルを充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、バッテリシステム100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、バッテリシステム100の電池を充電する。また、図に示す車両EVは、充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続してバッテリシステム100を充電できる。
【0082】
(電気自動車用バッテリシステム)
また、図13は、モータのみで走行する電気自動車にバッテリシステムを搭載する例を示す。この図に示すバッテリシステム100を備える車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給するバッテリシステム100と、このバッテリシステム100の電池セルを充電する発電機94と、モータ93、バッテリシステム100、及び発電機94を搭載してなる車両本体91と、モータ93で駆動されて車両本体91を走行させる車輪97とを備えている。バッテリシステム100、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、バッテリシステム100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、バッテリシステム100の電池セルを充電する。また、図に示す車両EVは、充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続してバッテリシステム100を充電できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明に係る車両用のバッテリシステムは、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等のバッテリシステムとして好適に利用できる。
【符号の説明】
【0084】
100…バッテリシステム、1…電池セル、2…外装ケース、3…端面板、4…区画壁、5…外部固定金具、6…送風ダクト、9…回路基板、10…電池ブロック、11…電極端子、12…電池積層体、13…エンドプレート、13a…雌ネジ孔、14…バインドバー、14A…側面プレート部、14a…止め穴、14B…上面側折曲部、14C…下面側折曲部、14D…送風開口、15…セパレータ、15A…溝、16…冷却隙間、17…バスバー、19…止ネジ、20…筒ケース、21…下ケース、22…上ケース、23…底板、24…側壁、25…連結リブ、26…蓋部、27…鍔部、28…電池収納部、29…基板スペース、31…外側金属板、32…内側金属板、33、33a、33b、33c、33d、33e…溶接片、34…隙間、35…上縁リブ、35A…水平リブ、35B…サブ溶接片、36…連結片、37…連結部、41…垂直壁、42…水平板、43、43a、43b…溶接片、44…切欠部、51…第1の連結部、52…第2の連結部、53…中間段差部、54…連結穴、55…固定穴、56…連結孔、57…嵌合部、58…連結プレート部、59…固定具、61…送風ガイド部、62…分岐部、63…吸入部、64…送風通路、91…車両本体、92…シャシー、92A…凸条、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、98…充電プラグ、HV…車両、EV…車両。
図1
図2
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13