(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】赤外線カメラシステム及び車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20231109BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20231109BHJP
F21V 9/00 20180101ALI20231109BHJP
F21V 3/10 20180101ALI20231109BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20231109BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20231109BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20231109BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20231109BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20231109BHJP
G03B 19/07 20210101ALI20231109BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20231109BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60Q1/24 Z
B60Q1/24 C
F21V9/00 300
F21V3/10
F21V5/04 650
G03B15/00 V
G03B15/02 F
G03B15/02 G
G03B15/05
G03B17/02
G03B19/07
G03B30/00
B60R11/02 C
(21)【出願番号】P 2020559080
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2019046177
(87)【国際公開番号】W WO2020116239
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2018227394
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018227395
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 重之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠晃
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
【審査官】宮本 礼子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/173855(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/073632(WO,A1)
【文献】特開2005-075282(JP,A)
【文献】特開平11-198718(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1288073(EP,A2)
【文献】国際公開第2017/073633(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G03B 15/00-15/035
G03B 15/06-15/16
B60Q 1/24
F21V 9/00
F21V 3/10
F21V 5/04
G03B 15/05
G03B 17/02
G03B 19/07
G03B 30/00
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた赤外線カメラシステムであって、
赤外線を前記車両の側方領域に向けて出射するように構成された赤外線照射ユニットと、
前記車両の側方領域における周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成された赤外線カメラと、を備え、
前記赤外線照射ユニットは、前記車両の運転モードに応じて点消灯するように構成された照明装置の付近に配置されている、赤外線カメラシステム。
【請求項2】
前記赤外線カメラは、前記車両の後方ピラーに搭載されている、請求項1に記載の赤外線カメラシステム。
【請求項3】
前記赤外線照射ユニットは、
前記車両の左側後方ピラーに搭載された左側赤外線照射ユニットと、
前記車両の右側後方ピラーに搭載された右側赤外線照射ユニットと、
を含み、
前記赤外線カメラは、
前記左側後方ピラーに搭載された左側赤外線カメラと、
前記右側後方ピラーに搭載された右側赤外線カメラと、
を含み、
前記照明装置は、
前記左側後方ピラーに搭載された左側照明装置と、
前記右側後方ピラーに搭載された右側照明装置と、
を含み、
前記左側赤外線照射ユニットは、前記左側照明装置の付近に配置されており、
前記右側赤外線照射ユニットは、前記右側照明装置の付近に配置されている、
請求項2に記載の赤外線カメラシステム。
【請求項4】
車両に設けられた赤外線カメラシステムであって、
前記車両の側方領域に向けて赤外線を出射するように構成された赤外線照射ユニットと、
前記車両の側方領域における周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成された赤外線カメラと、を備え、
前記赤外線照射ユニットは、前記車両のリアランプ内に配置されている、
赤外線カメラシステム。
【請求項5】
前記赤外線カメラは、前記リアランプ内に配置されている、請求項4に記載の赤外線カメラシステム。
【請求項6】
前記赤外線照射ユニット及び前記赤外線カメラは、前記車両の側方領域を向いた状態で前記リアランプの側方部に配置されている、請求項5に記載の赤外線カメラシステム。
【請求項7】
前記赤外線照射ユニットは、
前記車両の左側方領域に向けて赤外線を出射するように構成された左側赤外線照射ユニットと、
前記車両の右側方領域に向けて赤外線を出射するように構成された右側赤外線照射ユニットと、を含み、
前記赤外線カメラは、
前記車両の左側方領域における周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成された左側赤外線カメラと、
前記車両の右側方領域における周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成された右側赤外線カメラと、を含み、
前記左側赤外線照射ユニット及び前記左側赤外線カメラは、前記車両の左側リアランプ内に配置されていると共に、前記右側赤外線照射ユニット及び前記右側赤外線カメラは、前記車両の右側リアランプ内に配置されている、請求項4から6のうちいずれか一項に記載の赤外線カメラシステム。
【請求項8】
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の赤外線カメラシステムを備えた、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、赤外線カメラシステム及び当該赤外線カメラシステムを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車の自動運転技術の研究が各国で盛んに行われており、自動運転モードで車両(以下、「車両」は自動車のことを指す。)が公道を走行することができるための法整備が各国で検討されている。ここで、自動運転モードでは、車両システムが車両の走行を自動的に制御する。具体的には、自動運転モードでは、車両システムは、カメラ、レーダ(例えば、レーザレーダやミリ波レーダ)等のセンサから得られる車両の周辺環境を示す情報(周辺環境情報)に基づいてステアリング制御(車両の進行方向の制御)、ブレーキ制御及びアクセル制御(車両の制動、加減速の制御)のうちの少なくとも1つを自動的に行う。一方、以下に述べる手動運転モードでは、従来型の車両の多くがそうであるように、運転者が車両の走行を制御する。具体的には、手動運転モードでは、運転者の操作(ステアリング操作、ブレーキ操作、アクセル操作)に従って車両の走行が制御され、車両システムはステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御を自動的に行わない。尚、車両の運転モードとは、一部の車両のみに存在する概念ではなく、自動運転機能を有さない従来型の車両も含めた全ての車両において存在する概念であって、例えば、車両制御方法等に応じて分類される。
【0003】
このように、将来において、公道上では自動運転モードで走行中の車両(以下、適宜、「自動運転車」という。)と手動運転モードで走行中の車両(以下、適宜、「手動運転車」という。)が混在することが予想される。
【0004】
自動運転技術の一例として、特許文献1には、先行車に後続車が自動追従走行した自動追従走行システムが開示されている。当該自動追従走行システムでは、先行車と後続車の各々が照明システムを備えており、先行車と後続車との間に他車が割り込むことを防止するための文字情報が先行車の照明システムに表示されると共に、自動追従走行である旨を示す文字情報が後続車の照明システムに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動運転技術の発展において、周辺環境に対する車両の認識範囲を飛躍的に増大させる必要がある。この点において、車両に複数の異なる種類のセンサ(例えば、カメラ、LiDARユニット、ミリ波レーダ等)を搭載することが現在検討されている。例えば、車両の前面及び後面の各々にLiDARユニットと可視光カメラを搭載することが現在検討されている。さらに、車両の側方領域における周辺環境に対する車両の認識範囲を向上させるために、車両の左側面及び右側面にもLiDARユニットと可視光カメラを搭載することが考えられる。
【0007】
しかしながら、車両に搭載されるセンサの数の増大に伴い、周辺環境に対する車両の認識範囲は向上する一方で、車両価格は飛躍的に増大してしまう。特に、LiDARユニットの単価は高額であるため、車両に搭載されるLiDARユニットの数の増大に伴い車両価格が飛躍的に増大してしまう。
【0008】
この問題を解決するために、車両の左側面及び右側面に可視光カメラだけを搭載することが考えられる。一方で、車両が夜間に走行中の場合では、可視光カメラによって車両の側方領域における周辺環境を示す画像データを取得するためには、車両の側方領域に向けて可視光を出射する必要がある。しかしながら、車両の側方領域に向けて可視光が出射されると、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えてしまう虞がある。したがって、車両が夜間に走行中の場合では、車両の側方領域に向けて可視光を出射することは現実的には困難であるため、車両の左側面及び右側面に搭載された可視光カメラを用いて車両の側方領域の周辺環境を検出することは困難である。上記観点より車両のセンシングシステムをさらに改善する余地がある。
【0009】
本開示は、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えずに車両の側方領域における周辺環境を検出可能な赤外線カメラシステム及び車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様の赤外線カメラシステムは、車両に設けられており、赤外線を前記車両の側方領域に向けて出射するように構成された赤外線照射ユニットと、前記車両の側方領域における周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成された赤外線カメラと、を備える。前記赤外線照射ユニットは、前記車両の運転モードに応じて点消灯するように構成された照明装置の付近に配置されている。
【0011】
上記構成によれば、車両の走行環境が暗い場合でも車両に搭載された赤外線カメラを用いて車両の側方領域における周辺環境を検出することができる。さらに、赤外線カメラ用の光として可視光ではなく赤外線が車両の側方領域に向けて出射されるので、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えてしまう状況を防止することができる。このように、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えずに、車両の側方領域における周辺環境を検出可能な赤外線カメラシステムを提供することができる。
【0012】
さらに、赤外線照射ユニットから出射された赤外線(近赤外線)に赤色波長帯の光が含まれる場合には、車両の外部に存在する他車両の乗員や歩行者等は、出射された赤外線を赤みがかった光として認識する。一方、歩行者等は、赤外線(赤みがかった光)よりも当該赤外線照射ユニットの付近に配置された照明装置から出射された光に注目する。このため、歩行者等が赤外線照射ユニットから出射された赤外線(赤みがかかった光)に対して大きな違和感を覚えることが好適に防止されうる。
【0013】
また、前記赤外線カメラは、前記車両の後方ピラーに搭載されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、赤外線カメラが後方ピラーに搭載されているため、赤外線カメラの外表面に汚れが付着しにくくなる。このため、赤外線カメラを洗浄するためのクリーナ装置を別途設ける必要がないため、赤外線カメラシステムの製造コストを抑えることが可能となる。さらに、汚れの付着により赤外線カメラに不具合が生じにくくなるため、赤外線カメラの信頼性を向上させることが可能となる。
【0015】
また、前記赤外線照射ユニットは、前記車両の左側後方ピラーに搭載された左側赤外線照射ユニットと、前記車両の右側後方ピラーに搭載された右側赤外線照射ユニットと、を含んでもよい。前記赤外線カメラは、前記左側後方ピラーに搭載された左側赤外線カメラと、前記右側後方ピラーに搭載された右側赤外線カメラと、を含んでもよい。前記照明装置は、前記左側後方ピラーに搭載された左側照明装置と、前記右側後方ピラーに搭載された右側照明装置と、を含んでもよい。前記左側赤外線照射ユニットは、前記左側照明装置の付近に配置されてもよい。前記右側赤外線照射ユニットは、前記右側照明装置の付近に配置されてもよい。
【0016】
上記構成によれば、車両の走行環境が暗い場合でも左側赤外線カメラを用いて車両の左側方領域における周辺環境を検出することができると共に、右側赤外線カメラを用いて車両の右側方領域における周辺環境を検出することができる。さらに、左側赤外線照射ユニットが左側照明装置の付近に配置されていると共に、右側赤外線照射ユニットが右側照明装置の付近に配置されている。このため、歩行者等は、左側赤外線照射ユニットから出射された赤外線(赤みがかった光)よりも左側照明装置から出射された光に注目する。同様にして、歩行者等は、右側赤外線照射ユニットから出射された赤外線(赤みがかった光)よりも右側照明装置から出射された光に注目する。このように、歩行者等が赤外線(赤みがかかった光)に対して大きな違和感を覚えることが好適に防止されうる。
【0017】
本開示の他の一態様の赤外線カメラシステムは、車両に設けられており、前記車両の側方領域に向けて赤外線を出射するように構成された赤外線照射ユニットと、前記車両の側方領域における周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成された赤外線カメラとを備える。前記赤外線照射ユニットは、前記車両のリアランプ内に配置されている。
【0018】
上記構成によれば、車両の走行環境が暗い場合でも車両に搭載された赤外線カメラを用いて車両の側方領域における周辺環境を検出することができる。さらに、赤外線カメラ用の光として可視光ではなく赤外線が車両の側方領域に向けて出射されるので、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えてしまう状況を防止することができる。このように、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えずに、車両の側方領域における周辺環境を検出可能な赤外線カメラシステムを提供することができる。
【0019】
さらに、赤外線照射ユニットから出射された赤外線(近赤外線)に赤色波長帯の光が含まれる場合には、車両の外部に存在する他車両の乗員や歩行者等は、出射された赤外線を赤みがかった光として認識する。一方、赤外線照射ユニットがリアランプ内に配置されているため、赤外線照射ユニットから出射された赤外線(赤みがかかった光)がリアランプの存在(特に、赤いテール&ストップランプの存在)によって目立たなくなる。このため、歩行者等が赤外線照射ユニットから出射された赤外線(赤みがかかった光)に対して大きな違和感を覚えることが好適に防止されうる。
【0020】
また、前記赤外線カメラは、前記リアランプ内に配置されてもよい。
【0021】
上記構成によれば、赤外線カメラがリアランプ内に配置されているので、赤外線カメラの外表面に汚れが付着しにくくなる。このため、赤外線カメラを洗浄するためのクリーナ装置を別途設ける必要がないため、赤外線カメラシステムの製造コストを抑えることが可能となる。さらに、汚れの付着により赤外線カメラに不具合が生じにくくなるため、赤外線カメラの信頼性を向上させることが可能となる。
【0022】
また、前記赤外線照射ユニット及び前記赤外線カメラは、前記車両の側方領域を向いた状態で前記リアランプの側方部に配置されてもよい。
【0023】
また、前記赤外線照射ユニットは、前記車両の左側方領域に向けて赤外線を出射するように構成された左側赤外線照射ユニットと、前記車両の右側方領域に向けて赤外線を出射するように構成された右側赤外線照射ユニットと、を含んでもよい。
前記赤外線カメラは、前記車両の左側方領域における周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成された左側赤外線カメラと、前記車両の右側方領域における周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成された右側赤外線カメラとを含んでもよい。
前記左側赤外線照射ユニット及び前記左側赤外線カメラは、前記車両の左側リアランプ内に配置されていると共に、前記右側赤外線照射ユニット及び前記右側赤外線カメラは、前記車両の右側リアランプ内に配置されてもよい。
【0024】
上記構成によれば、車両の走行環境が暗い場合でも左側赤外線カメラを用いて車両の左側方領域における周辺環境を検出することができると共に、右側赤外線カメラを用いて車両の右側方領域における周辺環境を検出することができる。
【0025】
さらに、左側赤外線照射ユニットが左側リアランプ内に配置されていると共に、右側赤外線照射ユニットが右側リアランプ内に配置されている。このため、左側赤外線照射ユニットから出射された赤外線が左側リアランプの存在によって目立たなくなると共に、右側赤外線照射ユニットから出射された赤外線が右側リアランプの存在によって目立たなくなる。このように、歩行者等が左側赤外線照射ユニット及び右側赤外線照射ユニットから出射された赤外線(赤みがかかった光)に対して大きな違和感を覚えることが好適に防止されうる。
【0026】
また、上記赤外線カメラシステムを備えた車両が提供されてもよい。
【0027】
上記によれば、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えずに、車両の側方領域における周辺環境を検出可能な車両を提供することができる。
【0028】
また、上記赤外線カメラシステムを備えた車両が提供されてもよい。
【0029】
上記によれば、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えずに、車両の側方領域における周辺環境を検出可能な車両を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えずに車両の側方領域における周辺環境を検出可能な赤外線カメラシステム及び車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1実施形態に係る車両システムが搭載された車両の上面図である。
【
図2】第1実施形態に係る車両システムのブロック図である。
【
図3】左側赤外線照射ユニットの光軸、左側赤外線カメラの光軸、右側赤外線照射ユニットの光軸及び右側赤外線カメラの光軸をそれぞれ示す図である。
【
図4】(a)は、車両の左側面図を示すと共に、左側赤外線カメラモジュール及び左側照明モジュールの拡大正面図を示す。(b)は、左側赤外線カメラモジュール及び左側照明モジュールの断面図を示す。
【
図5】左側赤外線照射ユニットの照射範囲と一つの左側照明装置の照射範囲が互いに重複する様子を示す概略図である。
【
図6】(a)は、第2実施形態に係る車両システムが搭載された車両の上面図である。(b)は、車両の背面図を示す。
【
図7】第2実施形態に係る車両システムのブロック図である。
【
図8】(a)は、車両の左側面図を示す。(b)は、左側リアランプ内に配置された左側赤外線照射ユニットと左側カメラを示す図である。
【
図9】左側赤外線照射ユニットの光軸、左側赤外線カメラの光軸、右側赤外線照射ユニットの光軸及び右側赤外線カメラの光軸をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0033】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、
図1に示す車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」及び「右方向」を含む方向である。「上下方向」は、「上方向」及び「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」及び「後方向」を含む方向である。上下方向は、
図1では示されていないが、左右方向及び前後方向に直交する方向である。
【0034】
最初に、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る車両システム2について以下に説明する。
図1は、車両システム2が設けられた車両1の上面図である。
図2は、車両システム2のブロック図である。車両1は、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)である。
【0035】
図2に示すように、車両システム2は、車両制御部3と、前方センサモジュール4と、後方センサモジュール5を備える。さらに、車両システム2は、左側赤外線カメラモジュール6Lと、右側赤外線カメラモジュール6Rと、左側照明モジュール7Lと、右側照明モジュール7Rとを備える。さらに、車両システム2は、HMI(Human Machine Interface)8と、GPS(Global Positioning System)9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。さらに、車両システム2は、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。
【0036】
車両制御部3は、車両1の走行を制御するように構成されている。車両制御部3は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により構成されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC(System on a Chip)等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)及びTPU(Tensor Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。CPUは、複数のCPUコアによって構成されてもよい。GPUは、複数のGPUコアによって構成されてもよい。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。ROMには、車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、車両制御プログラムは、自動運転用の人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有り又は教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラム(学習済みモデル)である。RAMには、車両制御プログラム、車両制御データ及び/又は車両の周辺環境を示す周辺環境情報が一時的に記憶されてもよい。プロセッサは、ROMに記憶された各種車両制御プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。さらに、コンピュータシステムは、ノイマン型コンピュータと非ノイマン型コンピュータの組み合わせによって構成されてもよい。
【0037】
前方センサモジュール4は、LiDARユニット41と、カメラ42とを備える。LiDARユニット41は、車両1の前方領域における周辺環境を示す3Dマッピングデータ(点群データ)を取得した上で、当該取得された3Dマッピングデータを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された3Dマッピングデータに基づいて前方領域における周辺環境を示す情報(以下、「周辺環境情報」という。)を特定するように構成されている。周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物に関する情報を含んでもよい。例えば、周辺環境情報は、車両1の外部に存在する対象物の属性に関する情報と、車両1に対する対象物の距離や位置に関する情報を含んでもよい。カメラ42は、車両1の前方領域における周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該取得された画像データを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された画像データに基づいて前方領域における周辺環境情報を特定するように構成されている。
【0038】
LiDARユニット41の検出領域とカメラ42の検出領域は少なくとも部分的に互いに重複してもよい。前方センサモジュール4は、車両1の前面の所定位置に配置されている。例えば、前方センサモジュール4は、フロントグリル又はフロントバンパーに配置されてもよいし、左側ヘッドランプ30L及び/又は右側ヘッドランプ30R内に配置されてもよい。車両1が2つの前方センサモジュール4を有する場合、一方の前方センサモジュール4が左側ヘッドランプ30L内に配置されると共に、他方の前方センサモジュール4が右側ヘッドランプ30R内に配置されてもよい。
【0039】
後方センサモジュール5は、LiDARユニット51とカメラ52とを備える。LiDARユニット51は、車両1の後方領域における周辺環境を示す3Dマッピングデータ(点群データ)を取得した上で、当該取得された3Dマッピングデータを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された3Dマッピングデータに基づいて後方領域における周辺環境情報を特定するように構成されている。カメラ52は、車両1の後方領域における周辺環境を示す画像データを取得した上で、当該取得された画像データを車両制御部3に送信するように構成されている。車両制御部3は、送信された画像データに基づいて後方領域における周辺環境情報を特定するように構成されている。
【0040】
LiDARユニット51の検出領域とカメラ52の検出領域は少なくとも部分的に互いに重複してもよい。後方センサモジュール5は、車両1の後面の所定位置に配置されている。例えば、後方センサモジュール5は、リアグリル又はリアバンパーに配置されてもよいし、左側リアランプ40L及び/又は右側リアランプ40R内に配置されてもよい。車両1が2つの後方センサモジュール5を有する場合、一方の後方センサモジュール5が左側リアランプ40L内に配置されると共に、他方の後方センサモジュール5が右側リアランプ40R内に配置されてもよい。
【0041】
左側赤外線カメラモジュール6L(左側赤外線カメラシステムの一例)は、車両1の左側Cピラー50L(左側後方ピラーの一例)に搭載されており、左側赤外線照射ユニット22Lと、左側カメラ23Lと、制御部21Lを備える。左側カメラ23Lは、左側赤外線カメラ26Lと、左側可視光カメラ27Lとを有する。
【0042】
左側赤外線照射ユニット22Lは、車両1の左側方領域に向けて赤外線(特に、近赤外線)を出射するように構成されている。左側赤外線照射ユニット22Lから出射される赤外線の波長帯は、例えば、700nmから2500nmの範囲内である。さらに、赤外線のピーク波長は、例えば、850nm、940nm又は1050nmである。左側赤外線カメラ26Lは、車両1の左側方領域の周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成されている。左側可視光カメラ27Lは、車両1の左側方領域の周辺環境を示す可視光画像データを取得するように構成されている。例えば、可視光画像データの1画素のRGB要素の各々が8ビットのデータ量を有する場合、可視光画像データは、1画素当たり24ビットのデータ量を有する。車両制御部3又は制御部21Lは、赤外線画像データ及び/又は可視光画像データに基づいて左側方領域における周辺環境情報を特定するように構成されている。また、
図3に示すように、左側赤外線照射ユニット22Lの光軸AL1と左側赤外線カメラ26Lの光軸AL2は互いに略平行であってもよい。この場合、左側赤外線カメラ26Lの検出領域における赤外線の光量不足を好適に防止することができる。
【0043】
さらに、左側赤外線カメラ26Lと左側可視光カメラ27Lは一体的に構成されてもよいし、別々に構成されてもよい。左側赤外線カメラ26Lと左側可視光カメラ27Lが一体的に構成される場合、左側カメラ23Lには、RGBカラーフィルターと赤外線フィルターとがアレイ状に配置されたカラーフィルターアレイ(CFA)が用いられてもよい。左側赤外線カメラ26Lと左側可視光カメラ27Lが一体的に構成される場合、左側赤外線カメラモジュール6Lを構成するデバイスの数を減らすことができる。
【0044】
制御部21Lは、左側赤外線照射ユニット22Lの動作を制御すると共に、左側赤外線カメラ26Lと左側可視光カメラ27Lの動作を制御するように構成されている。制御部21Lは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、CPU、MPU、GPU及びTPUのうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。
【0045】
例えば、制御部21Lは、車両1に搭載された照度センサ(図示せず)から取得された照度データに基づいて車両1の走行環境が明るいと判断した場合(具体的には、測定された照度が閾値照度よりも大きい場合)には、左側カメラ23Lのうち左側可視光カメラ27Lのみを動作させてもよい。一方、制御部21Lは、照度データに基づいて車両1の走行環境が暗いと判断した場合(具体的には、測定された照度が閾値照度以下である場合)には、左側カメラ23Lのうち左側赤外線カメラ26Lのみを動作させてもよい。この場合、制御部21Lは、左側赤外線照射ユニット22Lを点灯させてもよい。このように、車両1の走行環境の明るさに依存せずに、車両1の左側方領域における周辺環境情報を特定することができる。
【0046】
尚、左側赤外線カメラモジュール6Lは、左側Cピラー50L以外の左側後方ピラー(例えば、左側Dピラー)に配置されていてもよい。また、本実施形態では、左側赤外線カメラシステムは、左側赤外線カメラモジュール6Lとして構成されているが、本実施形態はこれには限定されない。この点において、左側赤外線カメラシステムは1つのモジュールとしてパッケージ化されていなくてもよい。この場合、左側赤外線照射ユニット22Lと左側赤外線カメラ26Lが車両1の左側後方ピラー(例えば、左側Cピラー50L)に配置されていれば、左側赤外線カメラシステムの構成は特に限定されない。さらに、制御部21Lは、制御部21R及び/又は車両制御部3と一体的に構成されていてもよい。
【0047】
右側赤外線カメラモジュール6R(右側赤外線カメラシステムの一例)は、車両1の右側Cピラー50R(右側後方ピラーの一例)に搭載されており、右側赤外線照射ユニット22Rと、右側カメラ23Rと、制御部21Rを備える。右側カメラ23Rは、右側赤外線カメラ26Rと、右側可視光カメラ27Rとを有する。
【0048】
右側赤外線照射ユニット22Rは、車両1の右側方領域に向けて赤外線(近赤外線)を出射するように構成されている。右側赤外線照射ユニット22Rから出射される赤外線の波長帯は、例えば、700nmから2500nmの範囲内である。さらに、赤外線のピーク波長は、例えば、850nm、940nm又は1050nmである。右側赤外線カメラ26Rは、車両1の右側方領域の周辺環境を示す赤外線画像データを取得するように構成されている。右側可視光カメラ27Rは、車両1の右側方領域の周辺環境を示す可視光画像データを取得するように構成されている。車両制御部3又は制御部21Rは、赤外線画像データ及び/又は可視光画像データに基づいて右側方領域における周辺環境情報を特定するように構成されている。また、
図3に示すように、右側赤外線照射ユニット22Rの光軸AR1と右側赤外線カメラ26Rの光軸AR2は互いに略平行であってもよい。この場合、右側赤外線カメラ26Rの検出領域における赤外線の光量不足を好適に防止することができる。
【0049】
右側赤外線カメラ26Rと右側可視光カメラ27Rは一体的に構成されてもよいし、別々に構成されてもよい。右側赤外線カメラ26Rと右側可視光カメラ27Rが一体的に構成される場合、右側カメラ23Rには、RGBカラーフィルターと赤外線フィルターとがアレイ状に配置されたカラーフィルターアレイ(CFA)が用いられてもよい。右側赤外線カメラ26Rと右側可視光カメラ27Rが一体的に構成される場合、右側赤外線カメラモジュール6Rを構成するデバイスの数を減らすことができる。
【0050】
制御部21Rは、右側赤外線照射ユニット22Rの動作を制御すると共に、右側赤外線カメラ26Rと右側可視光カメラ27Rの動作を制御するように構成されている。制御部21Rは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、CPU、MPU、GPU及びTPUのうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。
【0051】
例えば、制御部21Rは、車両1に搭載された照度センサ(図示せず)から取得された照度データに基づいて車両1の走行環境が明るいと判断した場合(具体的には、測定された照度が閾値照度よりも大きい場合)には、右側カメラ23Rのうち右側可視光カメラ27Rをのみを動作させてもよい。一方、制御部21Rは、照度データに基づいて車両1の走行環境が暗いと判断した場合(具体的には、測定された照度が閾値照度以下である場合)には、右側カメラ23Rのうち右側赤外線カメラ26Rのみを動作させてもよい。このように、車両1の走行環境の明るさに依存せずに、車両1の右側方領域における周辺環境情報を特定することができる。
【0052】
尚、右側赤外線カメラモジュール6Rは、右側Cピラー50R以外の右側後方ピラー(例えば、右側Dピラー)に配置されていてもよい。また、本実施形態では、右側赤外線カメラシステムは、右側赤外線カメラモジュール6Rとして構成されているが、本実施形態はこれには限定されない。この点において、右側赤外線カメラシステムは1つのモジュールとしてパッケージ化されていなくてもよい。この場合、右側赤外線照射ユニット22Rと右側赤外線カメラ26Rが車両1の右側後方ピラー(例えば、右側Cピラー50R)に配置されていれば、右側赤外線カメラシステムの構成は特に限定されない。さらに、制御部21Rは、制御部21L及び/又は車両制御部3と一体的に構成されていてもよい。
【0053】
左側照明モジュール7Lは、少なくとも一つの左側照明装置73Lと、制御部72Lとを備える。左側照明モジュール7Lは、
図1に示すように、左側赤外線カメラモジュール6Lを囲むように左側Cピラー50Lに配置されている。左側照明モジュール7Lは、車両1の運転モードに応じて点消灯するように構成されたIDランプとして構成されている。このように、左側照明モジュール7Lは、車両1の左側方領域に向けて可視光を出射することで車両1の現在の運転モードを視覚的に提示するように構成されている。特に、左側照明モジュール7L(具体的には、左側照明装置73L)は、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する一方で、車両1の運転モードが運転支援モード又は手動運転モードの場合に消灯するように構成されている。尚、車両1の運転モードについての詳細については後述する。
【0054】
左側照明装置73Lは、可視光(特に、ターコイズブルーの光)を外部に向けて出射するように構成されており、車両1の運転モードに応じて点消灯する。本実施形態では、後述する
図4に示すように、4つの左側照明装置73Lが左側赤外線カメラモジュール6L(特に、左側赤外線照射ユニット22L)を囲むように左側照明モジュール7L内に配置されている。左側照明装置73Lの具体的構成の一例については後述する。
【0055】
制御部72Lは、左側照明装置73Lの点消灯を制御するように構成されている。特に、制御部72Lは、車両制御部3から車両1の運転モードを示す信号を受信した上で、当該受信した信号に基づいて左側照明装置73Lを駆動制御する。制御部72Lは、電子制御ユニット(ECU)により構成されており、図示しない電源に電気的に接続されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成されるアナログ処理回路とを含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU及び/又はGPUである。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。アナログ処理回路は、左側照明装置73Lの駆動を制御するように構成されたドライバ回路を備える。
【0056】
右側照明モジュール7Rは、少なくとも一つの右側照明装置73Rと、制御部72Rとを備える。右側照明モジュール7Rは、
図1に示すように、右側赤外線カメラモジュール6Rを囲むように右側Cピラー50Rに配置されている。右側照明モジュール7Rは、車両1の運転モードに応じて点消灯するように構成されたIDランプとして構成されている。このように、右側照明モジュール7Rは、車両1の右側方領域に向けて可視光を出射することで車両1の現在の運転モードを視覚的に提示するように構成されている。特に、右側照明モジュール7R(具体的には、右側照明装置73R)は、車両1の運転モードが高度運転支援モード又は完全自動運転モードの場合に点灯する一方で、車両1の運転モードが運転支援モード又は手動運転モードの場合に消灯するように構成されている。
【0057】
右側照明装置73Rは、可視光(特に、ターコイズブルーの光)を外部に向けて出射するように構成されており、車両1の運転モードに応じて点消灯する。本実施形態では、4つの右側照明装置73Rが右側赤外線カメラモジュール6R(特に、右側赤外線照射ユニット22R)を囲むように右側照明モジュール7R内に配置されている(図示せず)。
【0058】
制御部72Rは、右側照明装置73Rの点消灯を制御するように構成されている。特に、制御部72Rは、車両制御部3から車両1の運転モードを示す信号を受信した上で、当該受信した信号に基づいて右側照明装置73Rを駆動制御する。制御部72Rは、電子制御ユニット(ECU)により構成されており、図示しない電源に電気的に接続されている。電子制御ユニットは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステム(例えば、SoC等)と、トランジスタ等のアクティブ素子及びパッシブ素子から構成されるアナログ処理回路とを含む。プロセッサは、例えば、CPU、MPU及び/又はGPUである。メモリは、ROMと、RAMを含む。また、コンピュータシステムは、ASICやFPGA等の非ノイマン型コンピュータによって構成されてもよい。アナログ処理回路は、右側照明装置73Rの駆動を制御するように構成されたドライバ回路を備える。
【0059】
HMI8は、運転者からの入力操作を受付ける入力部と、走行情報等を運転者に向けて出力する出力部とから構成される。入力部は、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、車両1の運転モードを切替える運転モード切替スイッチ等を含む。出力部は、各種走行情報を表示するディスプレイ(例えば、Head Up Display(HUD)等)である。GPS9は、車両1の現在位置情報を取得し、当該取得された現在位置情報を車両制御部3に出力するように構成されている。
【0060】
無線通信部10は、車両1の周囲にいる他車に関する情報(例えば、走行情報等)を他車から受信すると共に、車両1に関する情報(例えば、走行情報等)を他車に送信するように構成されている(車車間通信)。また、無線通信部10は、信号機や標識灯等のインフラ設備からインフラ情報を受信すると共に、車両1の走行情報をインフラ設備に送信するように構成されている(路車間通信)。また、無線通信部10は、歩行者が携帯する携帯型電子機器(スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス等)から歩行者に関する情報を受信すると共に、車両1の自車走行情報を携帯型電子機器に送信するように構成されている(歩車間通信)。車両1は、他車両、インフラ設備若しくは携帯型電子機器とアドホックモードにより直接通信してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して通信してもよい。
【0061】
記憶装置11は、ハードディスクドライブ(HDD)やSSD(Solid State Drive)等の外部記憶装置である。記憶装置11には、2次元又は3次元の地図情報及び/又は車両制御プログラムが記憶されてもよい。例えば、3次元の地図情報は、3Dマッピングデータ(点群データ)によって構成されてもよい。記憶装置11は、車両制御部3からの要求に応じて、地図情報や車両制御プログラムを車両制御部3に出力するように構成されている。地図情報や車両制御プログラムは、無線通信部10と通信ネットワークを介して更新されてもよい。
【0062】
車両1が自動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号のうち少なくとも一つを自動的に生成する。ステアリングアクチュエータ12は、ステアリング制御信号を車両制御部3から受信して、受信したステアリング制御信号に基づいてステアリング装置13を制御するように構成されている。ブレーキアクチュエータ14は、ブレーキ制御信号を車両制御部3から受信して、受信したブレーキ制御信号に基づいてブレーキ装置15を制御するように構成されている。アクセルアクチュエータ16は、アクセル制御信号を車両制御部3から受信して、受信したアクセル制御信号に基づいてアクセル装置17を制御するように構成されている。このように、車両制御部3は、走行状態情報、周辺環境情報、現在位置情報、地図情報等に基づいて、車両1の走行を自動的に制御する。つまり、自動運転モードでは、車両1の走行は車両システム2により自動制御される。
【0063】
一方、車両1が手動運転モードで走行する場合、車両制御部3は、アクセルペダル、ブレーキペダル及びステアリングホイールに対する運転者の手動操作に従って、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号を生成する。このように、手動運転モードでは、ステアリング制御信号、アクセル制御信号及びブレーキ制御信号が運転者の手動操作によって生成されるので、車両1の走行は運転者により制御される。
【0064】
次に、車両1の運転モードについて説明する。運転モードは、自動運転モードと手動運転モードとからなる。自動運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードとからなる。完全自動運転モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはない。高度運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御の全ての走行制御を自動的に行うと共に、運転者は車両1を運転できる状態にはあるものの車両1を運転しない。運転支援モードでは、車両システム2がステアリング制御、ブレーキ制御及びアクセル制御のうち一部の走行制御を自動的に行うと共に、車両システム2の運転支援の下で運転者が車両1を運転する。一方、手動運転モードでは、車両システム2が走行制御を自動的に行わないと共に、車両システム2の運転支援なしに運転者が車両1を運転する。
【0065】
また、車両1の運転モードは、運転モード切替スイッチを操作することで切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、運転モード切替スイッチに対する運転者の操作に応じて、車両1の運転モードを4つの運転モード(完全自動運転モード、高度運転支援モード、運転支援モード、手動運転モード)の間で切り替える。また、車両1の運転モードは、自動運転車が走行可能である走行可能区間や自動運転車の走行が禁止されている走行禁止区間についての情報または外部天候状態についての情報に基づいて自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、これらの情報に基づいて車両1の運転モードを切り替える。さらに、車両1の運転モードは、着座センサや顔向きセンサ等を用いることで自動的に切り替えられてもよい。この場合、車両制御部3は、着座センサや顔向きセンサからの出力信号に基づいて、車両1の運転モードを切り替える。
【0066】
次に、
図4を参照して左側赤外線カメラモジュール6L及び左側照明モジュール7Lの具体的な構造について以下に説明する。
図4(a)は、車両1の左側面図を示すと共に、左側赤外線カメラモジュール6L及び左側照明モジュール7Lの拡大正面図を示す。
図4(b)は、左側赤外線カメラモジュール6L及び左側照明モジュール7Lの断面図を示す。
【0067】
図4に示すように、左側赤外線カメラモジュール6L及び左側照明モジュール7Lは、車両1の左側Cピラー50Lの所定位置に搭載されている。特に、左側赤外線カメラモジュール6L及び左側照明モジュール7Lは、左側Cピラー50Lの所定位置に形成された貫通穴56L内に嵌め込まれている。
【0068】
左側赤外線カメラモジュール6Lは、左側赤外線カメラ26Lと左側可視光カメラ27Lを含む左側カメラ23Lと、左側赤外線照射ユニット22Lと、制御部21Lと、開口部を有するハウジング61Lと、ハウジング61Lの開口部を覆うカバー62Lとを備える。尚、本図面では、左側赤外線カメラ26Lと左側可視光カメラ27Lは一体的に構成されているものとする。
【0069】
左側カメラ23L、左側赤外線照射ユニット22L及び制御部21Lは、ハウジング61Lとカバー62Lによって形成された空間内に配置されている。具体的には、ハウジング61Lとカバー62Lによって形成された空間は、第1空間S1と、第1空間S1から隔離された第2空間S2とを有する。左側カメラ23Lは第1空間S1内に配置されている一方で、左側赤外線照射ユニット22L及び制御部21Lは第2空間S2内に配置されている。上記構成によれば、第1空間S1と第2空間S2が互いに隔離されているので、左側赤外線照射ユニット22Lから出射された赤外線が左側赤外線カメラ26Lに直接入射することが好適に防止されうる。このように、左側赤外線カメラ26Lによって取得された赤外線画像データの信頼性を向上させることができる。
【0070】
左側赤外線照射ユニット22Lは、ヒートシンク34Lと、ヒートシンク34L上に配置されたサブマウント33Lと、サブマウント33L上に配置された赤外線光源32Lと、ヒートシンク34L上に配置されたリフレクター35Lとを備える。ヒートシンク34Lは、赤外線光源32Lより発生した熱を外部に向けて放出するように構成されている。つまり、赤外線光源32Lより発生した熱は、サブマウント33L及びヒートシンク34Lを介して第2空間S2の空気中に放出される。
【0071】
赤外線光源32Lは、例えば、赤外線を出射するように構成された赤外線LEDから構成されている。リフレクター35Lは、赤外線光源32Lから出射された赤外線を外部に向けて反射するように構成されている。リフレクター35Lは、例えば、パラボリックリフレクターとして構成されている。この場合、赤外線光源32Lは、リフレクター35Lの焦点付近に配置され、赤外線光源32Lから出射された赤外線は、リフレクター35Lによって略平行光に変換されてもよい。
【0072】
制御部21Lは、第2空間S2内に配置されているが、制御部21Lの配置位置は特に限定されない。例えば、制御部21Lは、左側赤外線カメラモジュール6Lの外部に配置されてもよい。特に、制御部21Lは、車両1の所定の位置に配置されてもよい。
【0073】
カバー62Lは、例えば、赤外線(特に、近赤外線)を透過させる赤外線透過フィルターとして機能する。このため、カバー62Lは、左側赤外線照射ユニット22Lから出射された赤外線(近赤外線)を透過させるように構成されている一方で、少なくとも600nm以下の波長の可視光を透過させないように構成されている。さらに、車両1の外部からカバー62Lの色は黒色として認識される。また、カバー62Lは、左側カメラ23Lと対向する位置に貫通穴63Lを有する。尚、左側カメラ23Lが左側赤外線カメラ26Lのみによって構成されている場合には、貫通穴63Lがカバー62Lに形成されていなくてもよい。さらに、左側赤外線カメラ26Lと左側可視光カメラ27Lが互いに分離している場合には、左側可視光カメラ27Lに対向する位置に貫通穴63L又は可視光透過フィルターが形成されてもよい。
【0074】
また、カバー62Lの外表面上にはコーティング層66Lが形成されている。コーティング層66Lは、撥水コーティング層又は親水コーティング層であってもよい。コーティング層66Lが撥水コーティング層である場合には、水滴がカバー62Lの外表面上に付着することが好適に防止されうる。このため、左側カメラ23Lに水滴が写り込むことが好適に防止されるため、左側カメラ23Lによって取得された画像データの信頼性を向上させることができる。一方、コーティング層66Lが親水コーティング層である場合には、ウォータースポットがカバー62Lの外表面上に形成されることが好適に防止される。このため、左側カメラ23Lにウォータースポットが写り込むことが好適に防止されるため、左側カメラ23Lによって取得された画像データの信頼性を向上させることができる。
【0075】
左側照明モジュール7Lは、左側赤外線カメラモジュール6Lを囲むように左側Cピラー50Lの貫通穴56L内に嵌め込まれている。左側照明モジュール7Lは、4つの左側照明装置73Lと、各左側照明装置73Lを駆動制御するように構成された制御部72L(
図4には図示せず)と、開口部77Lを有するハウジング64Lと、開口部77L内に嵌め込まれた拡散レンズ78Lとを備える。
【0076】
各左側照明装置73Lは、ハウジング64Lと拡散レンズ78Lとによって形成された第3空間S3内に配置されている。各左側照明装置73Lは、左側赤外線カメラモジュール6L(特に、左側赤外線照射ユニット22L)の付近に配置されている。この点において、各左側照明装置73Lの照射範囲と左側赤外線照射ユニット22Lの照射範囲とが互いに重複するように、各左側照明装置73Lは、左側赤外線照射ユニット22Lの付近に配置されてもよい。例えば、
図5に示すように、一つの左側照明装置73Lの照射範囲Saと左側赤外線照射ユニット22Lの照射範囲Sbは互いに重複する。しかしながら、同図に示されているように、照射範囲Saと照射範囲Sbが完全に重複していなくてもよい。この点において、左側赤外線照射ユニット22Lの照射範囲Saには、照射範囲Saと重複しない非重複領域Scが存在してもよい。
【0077】
また、第1空間S1と第3空間S3とが互いに隔離されているので、各左側照明装置73Lから出射された可視光が左側可視光カメラ27Lに直接入射することが好適に防止されうる。このように、左側可視光カメラ27Lによって取得された可視光画像データの信頼性を向上させることができる。
【0078】
左側照明装置73Lの各々は、ヒートシンク170Lと、ヒートシンク170L上に配置されたサブマウント172Lと、サブマウント172L上に配置された可視光光源173Lと、レンズ175Lとを備える。ヒートシンク170Lは、可視光光源173Lより発生した熱を外部に向けて放出するように構成されている。つまり、可視光光源174Lより発生した熱は、サブマウント172L及びヒートシンク170Lを介して第3空間S3の空気中に放出される。
【0079】
可視光光源173Lは、例えば、可視光(例えば、ターコイズブルーの光)を出射するように構成された可視光LEDから構成されている。レンズ175Lは、可視光光源173Lから出射された可視光を拡散レンズ78Lに向けて導くように構成されている。拡散レンズ78Lは、拡散レンズ78Lの外表面上に形成された複数のステップを有する。拡散レンズ78Lに入射した可視光は、拡散レンズ78Lのステップによって拡散された上で、外部に向けて出射される。尚、本実施形態では、4つの左側照明装置73Lが左側照明モジュール7Lに設けられているが、左側照明装置73Lの個数は特に限定されるものではない。
【0080】
制御部72Lは、
図4において示されていないが、第3空間S3内に配置されてもよいし、第3空間S3以外の車両1の所定の位置に配置されてもよい。ハウジング64Lは、左側赤外線カメラモジュール6Lを囲むように上面視においてリング状に形成されている。ハウジング64Lは、カバー62L及び/又はハウジング61Lに接着されてもよい。また、ハウジング64Lは、ハウジング64Lの外側面163Lから外部に向けて突出した鍔部162Lと、一対のランス67Lとを有する。鍔部162Lと左側Cピラー50Lとの間にはシートパッキン68Lが設けられている。
【0081】
尚、本実施形態では、左側赤外線カメラモジュール6L及び左側照明モジュール7Lの具体的な構造について説明したが、右側赤外線カメラモジュール6Rも左側赤外線カメラモジュール6Lと同様の構成を有する。また、右側照明モジュール7Rも左側照明モジュール7Lと同様の構成を有する。
【0082】
また、本実施形態では、左側カメラ23Lが第1空間S1以外の左側Cピラー50Lの所定の位置に配置されている場合には、左側赤外線照射ユニット22Lと各左側照明装置73Lは、共通の基板上に配置されてもよい。この場合には、左側赤外線照射ユニット22Lには、リフレクター35Lの代わりにレンズ175Lが設けられてもよい。
【0083】
以上より、本実施形態によれば、車両1の走行環境が暗い場合でも、車両1の左側Cピラー50Lに搭載された左側赤外線カメラ26Lを用いて車両1の左側方領域における周辺環境を検出することができると共に、車両1の右側Cピラー50Rに搭載された右側赤外線カメラ26Rを用いて車両1の右側方領域における周辺環境を検出することができる。さらに、赤外線カメラ用の光として可視光ではなく赤外線が外部に向けて出射されるので、車両1の外部に存在する他車両や歩行者等に大きな違和感を与えてしまう状況を防止することができる。このように、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えずに、車両1の側方領域(左側方領域及び右側方領域)における周辺環境を検出することができる。
【0084】
さらに、左側赤外線照射ユニット22Lから出射された赤外線(特に、近赤外線)に赤色波長帯の光が含まれている場合には、車両1の外部に存在する他車両の乗員や歩行者等は、出射された赤外線を赤みがかった光として認識する。一方、
図5に示すように、左側赤外線照射ユニット22Lの照射範囲Sbと左側照明装置73Lの照射範囲Saが重複しているため、歩行者等は、左側赤外線照射ユニット22Lから出射された赤外線(赤みがかった光)よりも左側照明装置73Lから出射された可視光に注目する。換言すれば、可視光(例えば、ターコイズブルー)によって赤みを帯びた赤外線を目立たなくさせることが可能となる。このため、歩行者等が赤外線に対して大きな違和感を覚えることが好適に防止されうる。
【0085】
同様に、歩行者等は、右側赤外線照射ユニット22Rから出射された赤外線(赤みがかった光)よりも右側照明装置73Rから出射された可視光に注目する。このため、歩行者等が赤外線に対して大きな違和感を覚えることが好適に防止されうる。
【0086】
さらに、左側赤外線カメラモジュール6L(特に、左側カメラ23L)が左側Cピラー50Lに搭載されているため、左側カメラ23Lに汚れが付着しにくくなる。このため、左側カメラ23Lを洗浄するためのクリーナ装置を別途設ける必要がないため、左側赤外線カメラモジュール6Lの製造コストを抑えることが可能となる。さらに、汚れの付着により左側カメラ23Lに不具合が生じにくくなるため、左側カメラ23Lの信頼性を向上させることが可能となる。
【0087】
上記と同様に、右側赤外線カメラモジュール6R(特に、右側カメラ23R)が右側Cピラー50Rに搭載されているため、右側カメラ23Rに汚れが付着しにくくなる。このため、右側カメラ23Rを洗浄するためのクリーナ装置を別途設ける必要がないため、右側赤外線カメラモジュール6Rの製造コストを抑えることが可能となる。さらに、汚れの付着により右側カメラ23Rに不具合が生じにくくなるため、右側カメラ23Rの信頼性を向上させることが可能となる。
【0088】
また、本実施形態では、左側赤外線照射ユニット22Lと、左側カメラ23Lと、制御部21Lがハウジング61Lとカバー62Lとによって形成された空間内に収容されており、左側赤外線カメラシステムが1つのモジュールとしてパッケージ化されている。このため、左側赤外線カメラモジュール6Lの車両1への取付けを容易に行うことができる。
【0089】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。また、以降では、第1実施形態において既に説明された構成要素と同一の参照番号を有する構成要素については特に説明をしない。
【0090】
最初に、
図6及び
図7を参照して、本実施形態に係る車両システム2Aについて以下に説明する。
図6(a)は、車両システム2Aが設けられた車両1Aの上面図である。
図6(b)は、車両1Aの背面図である。
図7は、車両システム2Aのブロック図である。車両1Aは、自動運転モードで走行可能な車両(自動車)である。
【0091】
図7に示すように、車両システム2Aは、車両制御部3と、前方センサモジュール4と、後方センサモジュール5と、左側赤外線カメラシステム60Lと、右側赤外線カメラシステム60Rとを備える。さらに、車両システム2Aは、HMI8と、GPS9と、無線通信部10と、記憶装置11とを備える。さらに、車両システム2Aは、ステアリングアクチュエータ12と、ステアリング装置13と、ブレーキアクチュエータ14と、ブレーキ装置15と、アクセルアクチュエータ16と、アクセル装置17とを備える。前方センサモジュール4は、LiDARユニット41と、カメラ42とを備える。後方センサモジュール5は、LiDARユニット51とカメラ52とを備える。
【0092】
左側赤外線カメラシステム60Lは、左側赤外線照射ユニット122Lと、左側カメラ23Lと、制御部21Lとを備える。
【0093】
左側赤外線照射ユニット122Lは、左側リアランプ40L内に配置されている。特に、左側赤外線照射ユニット122Lは、車両1Aの左側方領域を向いた状態で左側リアランプ40Lの側方部に配置されている。また、
図6(b)に示すように、左側リアランプ40Lの後方部には、左側テール&ストップランプ46L、左側バックアップランプ44L及び左側ターンシグナルランプ43Lがそれぞれ配置されている。この点において、左側テール&ストップランプ46Lは、赤色レンズと赤色LED等の赤色光源とによって構成されてもよい。このように、左側テール&ストップランプ46Lの色は、車両1Aの外部から赤色として認識される。
【0094】
左側赤外線照射ユニット122Lは、車両1Aの左側方領域に向けて赤外線(特に、近赤外線)を出射するように構成されている。左側赤外線照射ユニット122Lから出射される赤外線の波長帯は、例えば、700nmから2500nmの範囲内である。さらに、赤外線のピーク波長は、例えば、850nm、940nm又は1050nmである。
【0095】
左側カメラ23Lは、左側赤外線カメラ26Lと、左側可視光カメラ27Lとを有する。左側カメラ23Lは、左側リアランプ40L内に配置されている。特に、左側カメラ23Lは、車両1の左側方領域を向いた状態で左側リアランプ40Lの側方部に配置されている。
【0096】
また、
図9に示すように、左側赤外線照射ユニット122Lの光軸AL3と左側赤外線カメラ26Lの光軸AL4は互いに略平行であってもよい。この場合、左側赤外線カメラ26Lの検出領域における赤外線の光量不足を好適に防止することができる。また、光軸AL3,AL4は、車両1Aの左方向を向いていてもよいし(実線で示された光軸AL3,AL4を参照)、車両1Aの左前方向を向いていてもよい(点線で示された光軸AL3,AL4を参照)。
【0097】
例えば、制御部21Lは、車両1Aに搭載された照度センサ(図示せず)から取得された照度データに基づいて車両1Aの走行環境が明るいと判断した場合(具体的には、測定された照度が閾値照度よりも大きい場合)には、左側カメラ23Lのうち左側可視光カメラ27Lのみを動作させてもよい。一方、制御部21Lは、照度データに基づいて車両1Aの走行環境が暗いと判断した場合(具体的には、測定された照度が閾値照度以下である場合)には、左側カメラ23Lのうち左側赤外線カメラ26Lのみを動作させてもよい。この場合、制御部21Lは、左側赤外線照射ユニット122Lを点灯させてもよい。このように、車両1Aの走行環境の明るさに依存せずに、車両1Aの左側方領域における周辺環境情報を特定することができる。
【0098】
尚、左側赤外線照射ユニット122L及び左側カメラ23Lは、左側リアランプ40Lの後方部に配置されてもよい。また、左側赤外線照射ユニット122Lが左側リアランプ40L内に配置されている一方、左側カメラ23Lが左側リアランプ40L以外の車両1Aの所定の位置(例えば、左側Cピラー)に配置されてもよい。また、制御部21Lは、左側リアランプ40L内に配置されてもよいし、左側リアランプ40L以外の車両1Aの所定の位置に配置されてもよい。さらに、制御部21Lは、制御部21R及び/又は車両制御部3と一体的に構成されていてもよい。
【0099】
右側赤外線カメラシステム60Rは、右側赤外線照射ユニット122Rと、右側カメラ23Rと、制御部21Rを備える。
【0100】
右側赤外線照射ユニット122Rは、右側リアランプ40R内に配置されている。特に、右側赤外線照射ユニット122Rは、車両1Aの右側方領域を向いた状態で右側リアランプ40Rの側方部に配置されている。また、
図6(b)に示すように、右側リアランプ40Rの後方部には、右側テール&ストップランプ46R、右側バックアップランプ44R及び右側ターンシグナルランプ43Rがそれぞれ配置されている。この点において、右側テール&ストップランプ46Rは、赤色レンズと赤色LED等の赤色光源とによって構成されてもよい。このように、右側テール&ストップランプ46Rの色は、車両1Aの外部から赤色として認識される。
【0101】
右側赤外線照射ユニット122Rは、車両1Aの右側方領域に向けて赤外線(特に、近赤外線)を出射するように構成されている。右側赤外線照射ユニット122Rから出射される赤外線の波長帯は、例えば、700nmから2500nmの範囲内である。さらに、赤外線のピーク波長は、例えば、850nm、940nm又は1050nmである。
【0102】
右側カメラ23Rは、右側赤外線カメラ26Rと、右側可視光カメラ27Rとを有する。右側カメラ23Rは、右側リアランプ40R内に配置されている。特に、右側カメラ23Rは、車両1Aの右側方領域を向いた状態で右側リアランプ40Rの側方部に配置されている。
【0103】
また、
図9に示すように、右側赤外線照射ユニット122Rの光軸AR3と右側赤外線カメラ26Rの光軸AR4は互いに略平行であってもよい。この場合、右側赤外線カメラ26Rの検出領域における赤外線の光量不足を好適に防止することができる。また、光軸AR3,AR4は、車両1Aの右方向を向いていてもよいし(実線で示された光軸AR3,AR4を参照)、車両1Aの右前方向を向いていてもよい(点線で示された光軸AR3,AR4を参照)。
【0104】
例えば、制御部21Rは、車両1Aに搭載された照度センサから取得された照度データに基づいて車両1Aの走行環境が明るいと判断した場合(具体的には、測定された照度が閾値照度よりも大きい場合)には、右側カメラ23Rのうち右側可視光カメラ27Rのみを動作させてもよい。一方、制御部21Rは、照度データに基づいて車両1Aの走行環境が暗いと判断した場合(具体的には、測定された照度が閾値照度以下である場合)には、右側カメラ23Rのうち右側赤外線カメラ26Rのみを動作させてもよい。この場合、制御部21Rは、右側赤外線照射ユニット122Rを点灯させてもよい。このように、車両1Aの走行環境の明るさに依存せずに、車両1Aの右側方領域における周辺環境情報を特定することができる。
【0105】
尚、右側赤外線照射ユニット122R及び右側カメラ23Rは、右側リアランプ40Rの後方部に配置されてもよい。また、右側赤外線照射ユニット122Rが右側リアランプ40R内に配置されている一方、右側カメラ23Rが右側リアランプ40R以外の車両1Aの所定の位置(例えば、右側Cピラー)に配置されてもよい。また、制御部21Rは、右側リアランプ40R内に配置されてもよいし、右側リアランプ40R以外の車両1Aの所定の位置に配置されてもよい。さらに、制御部21Rは、制御部21L及び/又は車両制御部3と一体的に構成されていてもよい。
【0106】
次に、
図8を参照して左側リアランプ40L内に配置された左側赤外線照射ユニット122L及び左側カメラ23Lについて以下に具体的に説明する。
図8(a)は、車両1Aの左側面図を示す。
図8(b)は、左側リアランプ40L内に配置された左側赤外線照射ユニット122Lと左側カメラ23Lを示す図である。尚、本図面では、左側赤外線カメラ26Lと左側可視光カメラ27Lは一体的に構成されているものとする。
【0107】
図8に示すように、左側赤外線照射ユニット122L及び左側カメラ23Lは、左側リアランプ40Lの側方部における空間S4内に配置されている。空間S4は、図示しないハウジングと当該ハウジングの開口部を覆う透明のカバー262Lによって形成される。カバー262Lは、左側赤外線照射ユニット122Lから出射された赤外線を拡散させるように構成された複数の拡散ステップ263を有する。
【0108】
左側赤外線照射ユニット122Lは、ヒートシンク134Lと、ヒートシンク134L上に配置されたサブマウント133Lと、サブマウント133L上に配置された赤外線光源132Lと、レンズ135Lとを備える。ヒートシンク134Lは、赤外線光源132Lより発生した熱を外部に向けて放出するように構成されている。つまり、赤外線光源132Lより発生した熱は、サブマウント133L及びヒートシンク134Lを介して空間S4の空気中に放出される。
【0109】
赤外線光源132Lは、例えば、赤外線を出射するように構成された赤外線LEDから構成されている。レンズ135Lは、赤外線光源132Lから出射された赤外線をカバー262L(特に、カバー262Lに形成された拡散ステップ263)に導くように構成されている。
【0110】
赤外線光源132Lから出射された赤外線は、レンズ135Lに入射した後に、レンズ135Lによって屈折する。その後、レンズ135Lを透過した赤外線は、拡散ステップ263によって拡散された後に外部に向けて出射される。このように、レンズ135Lと拡散ステップ263によって赤外線の照射範囲を調整することができる。
【0111】
左側カメラ23Lは、左側赤外線照射ユニット122Lと並んだ状態で空間S4内に配置されている。左側カメラ23Lは、透明のカバー262Lを通じて車両1Aの周辺環境を撮像するように構成されている。尚、左側赤外線照射ユニット122Lから出射された赤外線の一部がカバー262Lによって反射された結果、左側カメラ23Lに入射することが考えられる。このように、カバー262Lによって反射された赤外線の反射光が左側カメラ23Lに入射する状況を防止するために、空間S4における左側赤外線照射ユニット122Lと左側カメラ23Lとの間に仕切板が設けられてもよい。また、空間S4におけるカバー262Lと左側赤外線照射ユニット122Lとの間に赤外線透過フィルターが設けられてもよい。
【0112】
尚、本実施形態では、左側赤外線照射ユニット122Lと左側カメラ23Lについて具体的に説明したが、右側赤外線照射ユニット122Rも左側赤外線照射ユニット122Lと同一の構成を有してもよい。さらに、右側カメラ23Rも左側カメラ23Lと同一の構成を有してもよい。また、右側リアランプ40Rのカバーも左側リアランプ40Lのカバー262Lと同一の構成を有してもよい。
【0113】
以上より、本実施形態によれば、車両1Aの走行環境が暗い場合でも、車両1Aの左側リアランプ40L内に搭載された左側赤外線カメラ26Lを用いて車両1Aの左側方領域における周辺環境を検出することができると共に、車両1Aの右側リアランプ40R内に搭載された右側赤外線カメラ26Rを用いて車両1Aの右側方領域における周辺環境を検出することができる。さらに、赤外線カメラ用の光として可視光ではなく赤外線が外部に向けて出射されるので、車両1Aの外部に存在する他車両や歩行者等に大きな違和感を与えてしまう状況を防止することができる。このように、他車両や歩行者等に大きな違和感を与えずに、車両1Aの側方領域(左側方領域及び右側方領域)における周辺環境を検出することができる。
【0114】
さらに、左側赤外線照射ユニット122L及び右側赤外線照射ユニット122Rから出射された赤外線(近赤外線)に赤色波長帯の光が含まれている場合には、車両1Aの外部に存在する他車両の乗員や歩行者等は、出射された赤外線を赤みがかった光として認識する。一方で、本実施形態では、左側赤外線照射ユニット122Lが左側リアランプ40L内に配置されているため、左側赤外線照射ユニット122Lから出射された赤外線(赤みがかった光)が左側リアランプ40Lの存在(特に、赤い左側テール&ストップランプ46Lの存在)によって目立たなくなる。同様に、右側赤外線照射ユニット122Rが右側リアランプ40R内に配置されているため、右側赤外線照射ユニット122Rから出射された赤外線(赤みがかった光)が右側リアランプ40Rの存在(特に、赤い右側テール&ストップランプ46Rの存在)によって目立たなくなる。
【0115】
このように、歩行者等が左側赤外線照射ユニット122L及び右側赤外線照射ユニット122Rから出射された赤外線に対して大きな違和感を覚えることが好適に防止されうる。
【0116】
さらに、左側カメラ23Lが左側リアランプ40L内に配置されているため、左側カメラ23Lに汚れが付着しにくくなる。同様に、右側カメラ23Rが右側リアランプ40R内に配置されているため、右側カメラ23Rに汚れが付着しにくくなる。このため、左側カメラ23L及び右側カメラ23Rを洗浄するためのクリーナ装置を別途設ける必要がないため、左側赤外線カメラシステム60L及び右側赤外線カメラシステム60Rの製造コストを抑えることが可能となる。さらに、汚れの付着により左側カメラ23L及び右側カメラ23Rに不具合が生じにくくなるため、左側カメラ23L及び右側カメラ23Rの信頼性を向上させることが可能となる。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0118】
本実施形態では、車両の運転モードは、完全自動運転モードと、高度運転支援モードと、運転支援モードと、手動運転モードとを含むものとして説明したが、車両の運転モードは、これら4つのモードに限定されるべきではない。車両の運転モードの区分は、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って適宜変更されてもよい。同様に、本実施形態の説明で記載された「完全自動運転モード」、「高度運転支援モード」、「運転支援モード」のそれぞれの定義はあくまでも一例であって、各国における自動運転に係る法令又は規則に沿って、これらの定義は適宜変更されてもよい。
【0119】
本出願は、2018年12月4日に出願された日本国特許出願(特願2018-227394号)に開示された内容と、2018年12月4日に出願された日本国特許出願(特願2018-227395号)に開示された内容を適宜援用する。