IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッドの特許一覧

特許7382345UV遮断剤を含有する眼科用デバイスおよびその眼科用デバイスの調製方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】UV遮断剤を含有する眼科用デバイスおよびその眼科用デバイスの調製方法
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20231109BHJP
   A61L 12/06 20060101ALI20231109BHJP
   A61F 2/16 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G02C7/04
A61L12/06
A61F2/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020560745
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2019023627
(87)【国際公開番号】W WO2019212657
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】62/665,148
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008847
【氏名又は名称】ボシュ・アンド・ロム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BAUSCH & LOMB INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディベラ、ジェイムズ、アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】グローブ、ジョージ、エル.
(72)【発明者】
【氏名】アワスティ、アロク、クマール
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-253140(JP,A)
【文献】特開2005-292240(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047742(WO,A1)
【文献】特表2007-524857(JP,A)
【文献】特開2001-255498(JP,A)
【文献】特開平9-258145(JP,A)
【文献】特表2017-515171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
A61L 12/00 - 12/14
G02C 1/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線(UV)遮断剤を含有する眼科用デバイスを調製するための方法であって、
(a)眼科用デバイスを1つ以上の第1の溶媒溶液中に浸漬して、前記眼科用デバイスを膨潤させることと、
(b)前記膨潤した眼科用デバイスを、UV遮断剤を含む1つ以上の第2の溶媒溶液中に浸漬して、前記眼科用デバイスを脱膨潤させ、前記眼科用デバイス内に前記UV遮断剤を封入することであって、前記UV遮断剤が、式I:
【化1】

(式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、-O-基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、Rは、直鎖または分岐C~C28アルキル、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、R**は、直鎖C~Cアルキル基、分岐C~Cアルキル、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基である)のベンゾトリアゾールである、封入することと、
(c)前記脱膨潤した眼科用デバイスを滅菌することと、を含み、
ステップ(a)が、
(i)前記眼科用デバイスを、低分子量アルコール溶媒と水とのブレンドを含む前記1つ以上の第1の溶媒溶液中に、5分~120分の範囲の期間浸漬することと、
(ii)ステップ(i)の前記眼科用デバイスを、低分子量アルコール溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、およびアミド基含有溶媒のうちの1つ以上を含む別の溶媒溶液中に、5分~60分の範囲の期間浸漬すことと、を含み、
ステップ(b)が、
(i)前記膨潤した眼科用デバイスを、低分子量アルコール溶媒および前記UV遮断剤を含む前記1つ以上の第2の溶媒溶液中に、5分~20分の範囲の期間浸漬することと、
(ii)ステップ(i)の前記眼科用デバイスを、前記1つ以上の第2の溶媒溶液の同じまたは異なる低分子量アルコール溶媒と水とUV遮断剤とのブレンドを含む別の溶媒溶液中に、5分~20分の範囲の期間浸漬することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の第1の溶媒溶液の低分子量アルコール溶媒が、1~13個の炭素原子および/または200以下の分子量を有する低分子量アルコール溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(a)(i)における低分子量アルコール溶媒と水とのブレンドを含む前記1つ以上の第1の溶媒溶液が25重量%~75重量%の低分子量アルコール溶媒および75重量%~25重量%の水を含有するブレンドであり、
ステップ(a)(ii)における別の溶媒溶液が同じまたは異なる低分子量アルコール溶媒である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが分岐C~Cアルキル基であり、R**が分岐C~Cアルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の第2の溶媒溶液の低分子量アルコール溶媒が、1~13個の炭素原子および/または200以下の分子量を有する低分子量アルコール溶媒である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記UV遮断剤が、前記第2の溶媒溶液の総重量に基づいて、0.05~3重量%の範囲の量で前記1つ以上の第2の溶媒溶液中及び前記別の溶媒溶液中にそれそれ存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)(ii)における同じまたは異なる低分子量アルコール溶媒のブレンドを含む前記別の溶媒溶液が25重量%~75重量%の前記同じ又は異なる低分子量アルコール溶媒および75重量%~25重量%の水を含有するブレンドである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)の前に、前記脱膨潤した眼科用デバイスを、水を含む1つ以上の溶液中に浸漬することをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(c)が、前記眼科用デバイスをオートクレーブすることを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記眼科用デバイスにオートクレーブのステップを施す前に、前記眼科用デバイスを含有するパッケージに蓋材を適用するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記眼科用デバイスにフォトクロミック材料を組み込むことをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
眼科用デバイス中に封入されたUV遮断剤を含む眼科用デバイスであって、該眼用デバイスが1つ以上の眼科用デバイス形成モノマーを含むモノマー混合物の重合生成物であり、前記UV遮断剤が、式I:
【化3】

(式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、-O-基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、Rは分岐C~Cアルキル、及び直鎖C~C28アルキル基の一つであり、R**は直鎖C~Cアルキル基、及び分岐C~Cアルキルの一つであり、R**が直鎖C~Cアルキル基であるとき、Rは直鎖C~C28アルキル基であり、R**が分岐C~Cアルキル基であるとき、Rは分岐C~Cアルキル基である)のベンゾトリアゾールである、眼科用デバイス。
【請求項13】
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが分岐C~Cアルキル基であり、R**が分岐C~Cアルキル基であり、RおよびR**の各々は芳香環上に位置付けられ、立体障害ベンゾトリアゾールを提供し、該眼科用デバイスがUV遮断のためのFDAクラスI仕様を満たすコンタクトレンズである、請求項12に記載の眼科用デバイス。
【請求項14】
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが直鎖C~C28アルキル基であり、R**が直鎖C~Cアルキル基であり、RおよびR**の各々は芳香環上に位置付けられ、立体障害ベンゾトリアゾールを提供し、該眼科用デバイスがUV遮断のためのFDAクラスI仕様を満たすコンタクトレンズである、請求項12に記載の眼科用デバイス。
【請求項15】
前記眼科用デバイスに封入されたフォトクロミック材料をさらに含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の眼科用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、紫外線(UV)遮断剤を含有する眼科用デバイスおよびそれらの調製方法に関する。
【0002】
太陽光が、特に視力の喪失につながる可能性のある白内障の形成および加齢性黄斑変性症に関連して、人間の目を損傷する可能性があることは周知である。目へのUV損傷を最小限に抑えるために、被験者は、末梢放射線から保護される眼鏡またはコンタクトレンズを装着することができる。しかし、遮断の程度は、レンズの種類とサングラスのデザインによって異なる。ほとんどのスタイルのサングラスは、UV放射線から完全に保護されておらず、それによってUV光が眼鏡のフレームの周りで目に到達することになる。角膜全体を覆うUV遮断コンタクトレンズを装着することによって、あらゆる角度からのUV保護を得ることができる。
【0003】
太陽光のうち、最も懸念されるのは長波域と近紫外線(UVAおよびUVB)域であり、波長が280~380ナノメートル(nm)であることが特徴である。米国食品医薬品局(FDA)は、米国国家規格協会(ANSI)の規格に基づいてUV遮断コンタクトレンズの規格を制定している。特に、FDAは、UV遮断コンタクトレンズを、保護の程度に応じて、クラスIおよびクラスIIの2つのカテゴリに分類している。クラスIのコンタクトレンズは、UVAの90%超(すなわちUVAの場合は316~380nm)、およびUVBの99%(すなわち280~315nm)の放射線を遮断する必要がある。クラスIIのレンズは、UVAの50%超、UVB放射線の95%を遮断する必要がある。UVA放射線は316~400nmの波長範囲に相当するが、コンタクトレンズの分類には316~380nmの波長のみが考慮される。
【0004】
UV吸収体を充填したコンタクトレンズを調製する際の主な課題は、例えば、望ましくないあらゆる副作用を回避するために、合理的な光強度で短い硬化時間でレンズを調製することと、レンズの全領域にわたってレンズおよびUV吸収体の透明性および均一性を維持することと、レンズからのUV吸収体のあらゆる浸出を回避することと、を含む。
【0005】
したがって、現在市販されているコンタクトレンズのうち、クラスIのUV遮断剤として承認されているものはわずかであるため、有効なクラスIのUV遮断コンタクトレンズを開発する必要性が残っている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、紫外線(UV)遮断剤を含有する眼科用デバイスを調製するための方法であって、
【0007】
(a)眼科用デバイスを1つ以上の第1の溶媒溶液中に浸漬して、眼科用デバイスを膨潤させることと、
【0008】
(b)膨潤した眼科用デバイスを、UV遮断剤を含む1つ以上の第2の溶媒溶液中に浸漬して、眼科用デバイスを脱膨潤させ、眼科用デバイス内にUV遮断剤を封入することであって、UV遮断剤が、一般式I:
【化1】

(式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、-O-基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、Rは、直鎖または分岐C~C28アルキル、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、R**は、直鎖C~Cアルキル基、分岐C~Cアルキル、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基である)のベンゾトリアゾールである、封入することと、
【0009】
(c)脱膨潤した眼科用デバイスを滅菌することと、を含む、方法が提供される。
【0010】
本発明の第2の実施形態によれば、UV遮断剤を含有する眼科用デバイスを調製するための方法であって、
【0011】
(a)眼科用デバイスを1つ以上の第1の溶媒溶液中に浸漬して、眼科用デバイスを膨潤させることと、
【0012】
(b)膨潤した眼科用デバイスを、一般式IのUV遮断剤を含む1つ以上の第2の溶媒溶液中に浸漬して、眼科用デバイスを脱膨潤させ、眼科用デバイス内にUV遮断剤を封入することと、
【0013】
(c)脱膨潤した眼科用デバイスを水に浸漬して、眼科用デバイスをさらに脱膨潤させることと、
【0014】
(d)脱膨潤した眼科用デバイスを滅菌することと、を含む、方法が提供される。
【0015】
本発明の第3の実施形態によれば、1つ以上の眼科用デバイス形成モノマーを含むモノマー混合物の重合生成物中に封入される、一般式IのUV遮断剤を含む眼科用デバイスが提供される。
【0016】
本発明は、本明細書に記載の方法を使用することによって、UV遮断剤がコンタクトレンズなどの眼科用デバイスに封入され、浸出しないという驚くべき発見に基づく。本発明はまた、得られるUV遮断眼科用デバイスが、UV遮断のためのFDAクラスIおよびIIの両方の仕様を満たすのに十分なUV光の遮断を示すという驚くべき発見に基づく。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、UV遮断のためのFDAクラスIおよびIIの両方の仕様を満たすのに十分なUV光の遮断を示すUV遮断眼科用デバイスを対象とする。上述のように、クラスIのコンタクトレンズは、UVAの90%超(すなわち放射線の場合は316~380nm)、およびUVBの99%(すなわち280~315nm)の放射線を遮断する必要がある。クラスIIのコンタクトレンズは、UVAの50%超、UVB放射線の95%を遮断する必要がある。本明細書で使用する場合、用語「眼科用デバイス」および「レンズ」とは、眼内または眼上に存在するデバイスを指す。これらのデバイスは、光学補正、創傷ケア、薬物供給、診断機能、または美顔的向上若しくは効果、あるいはこれらの特性の組み合わせを提供することができる。有用な眼科用デバイスとしては、ソフトコンタクトレンズ(例えば、ヒドロゲルソフトレンズ、および非ヒドロゲルソフトレンズなど)、ハードコンタクトレンズ(例えば、気体透過性ハードレンズ材料など)、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼内挿入物、光学挿入物などの、眼科用レンズが挙げられるが、これらに限定されない。当業者によって理解されるように、レンズが壊れることなくそれ自体に折り返すことができる場合、レンズは「柔らかい」とみなされる。本発明のコンタクトレンズなどの眼科用デバイスは、球面、トーリック、遠近両用であってもよく、美顔用の色合い、不透明な美顔用パターン、およびこれらの組み合わせを含有してもよい。
【0018】
本発明による眼科用デバイスは、上述の眼科用デバイスを形成することができる当該技術分野で既知の任意の材料であり得る。一実施形態では、眼科用デバイスは、それ自体が親水性ではない材料から形成された眼科用デバイスを含む。このようなデバイスは、当該技術分野で既知の材料から形成され、例として、ポリシロキサン、ペルフルオロポリエーテル、例えば、他の重合性カルボン酸に由来するフッ素化ポリ(メタ)アクリレート若しくは等価フッ素化ポリマー、他の重合性カルボン酸に由来するポリアルキル(メタ)アクリレート若しくは等価アルキレステルポリマー、またはフッ素化エチレンプロピレンポリマーなどのフッ素化ポリオレフィン、または好ましくはジオキソール、例えば、ペルフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールと組み合わせたテトラフルオロエチレンを含む。好適な嵩高い材料の代表的な例としては、ロトラフィルコンA、ネオフォコン、パシフォコン、テレフォコン、フルオシルフォコン、パフルフォコン、シラフォコン、エラストフィルコン、フロロフォコン、またはテフロンAF材料、例えば、約63~約73mol%のペルフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールおよび約37~約27mol%のテトラフルオロエチレン、または約80~約90mol%のペルフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソールおよび約20~約10mol%のテトラフルオロエチレンのコポリマーである、テフロンAF1600またはテフロンAF2400が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
別の実施形態では、眼科用デバイスは、反応性基、例えば、カルボキシ基、カルバモイル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、アミン基、アンモニウム基、またはヒドロキシ基が材料中に本質的に存在するので、それ自体が親水性の材料から形成された眼科用デバイスを含み、したがって、そこから製造された眼科用デバイスの表面にも存在する。このような眼科用デバイスは、当該技術分野で既知の材料から形成され、例として、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド(pDMA)、およびポリビニルアルコールなど、ならびにこれらのコポリマーを含み、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N-ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、およびビニルアルコールなどから選択される2つ以上のモノマーから形成される。好適なバルク材料の代表的な例としては、ポリマコン、テフィルコン、メタフィルコン、デルタフィルコン、ブフィルコン、フェムフィルコン、オキュフィルコン、フォコフィルコン、エタフィルコン、ヘフィルコン、ビフィルコン、テトラフィルコン、ペルフィルコン、ドロキシフィルコン、ジメフィルコン、イソフィルコン、マフィルコン、ネルフィルコン、アトラフィルコン、バラフィルコンA、ヒラフィルコンA、アルファフィルコンA、およびビラフィルコンBなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
別の実施形態では、本発明による眼科用デバイスは、結合または架橋部材を通じて結合された、少なくとも1つの疎水性セグメントおよび少なくとも1つの親水性セグメントを含有する両親媒性セグメントコポリマーである材料から形成される眼科用デバイスを含む。
【0021】
コンタクトレンズを含む、眼科用デバイスに一般的に使用される軟質材料および硬質材料の両方を含む、本明細書における生体適合性材料を使用することは、特に有用である。一般に、非ヒドロゲル材料は、その平衡状態で水を含有しない疎水性ポリマー材料である。典型的な非ヒドロゲル材料は、シリコーンアクリル、例えば、嵩高いシリコーンモノマー(例えば、一般に「トリス」モノマーとして知られるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート)、メタクリレート末端キャップポリ(ジメチルシロキサン)プレポリマー、またはフルオロアルキル側基を有するシリコーン(ポリシロキサンは一般にシリコーンポリマーとしても知られる)から形成されるものを含む。
【0022】
一方、ヒドロゲル材料は、平衡状態で水を含有する水和架橋ポリマー系を含む。ヒドロゲル材料は、約5重量パーセント以上の水(例えば、最大約80重量パーセント)を含有する。一実施形態では、コンタクトレンズなどの眼科用デバイスのためのヒドロゲル材料は、1つ以上の不飽和カルボン酸、ビニルラクタム、アミド、重合性アミン、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、オキサゾロンモノマー、およびこれらのコポリマーなどの少なくとも1つの親水性モノマーおよびこれらの混合物を含有することができる。有用なアミドとしては、アクリルアミド、例えば、N,N-ジメチルアクリルアミドおよびN,N-ジメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。有用なビニルラクタムとしては、N-ビニル-2-ピロリドンなどの環状ラクタムが挙げられる。他の親水性モノマーの例としては、重合性基で官能化されたポリ(アルケングリコール)などの親水性プレポリマーが挙げられる。有用な官能化ポリ(アルケングリコール)の例としては、モノメタクリレートまたはジメタクリレート末端キャップを含有する様々な鎖長のポリ(ジエチレングリコール)が挙げられる。好ましい実施形態では、ポリ(アルケングリコール)ポリマーは、少なくとも2つのアルケングリコールモノマー単位を含有する。更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている親水性ビニルカーボネートモノマーまたはビニルカルバメートモノマー、および米国特許第4,910,277号に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。別の実施形態では、ヒドロゲル材料は、シロキサン含有モノマー、ならびに前述の親水性モノマーおよび/またはプレポリマーのうちの少なくとも1つを含有することができる。
【0023】
他のヒドロゲル材料の例としては、疎水性モノマーが挙げられる。好適な疎水性モノマー(b)としては、エチレン系不飽和疎水性モノマー、例えば、(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N-アルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、アルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、アルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、フルオロアルキル(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキル(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキルビニルカーボネート含有疎水性モノマー、N-フルオロアルキルビニルカルバメート含有疎水性モノマー、シリコーン含有(メタ)アクリレート含有疎水性モノマー、(メタ)アクリルアミド含有疎水性モノマー、ビニルカーボネート含有疎水性モノマー、ビニルカルバメート含有疎水性モノマー、スチレン含有疎水性モノマー、およびポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート含有疎水性モノマーなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「(メタ)」とは、任意のメチル置換基を表す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレートまたはアクリレートのいずれかを表し、「(メタ)アクリルアミド」は、メタクリルアミドまたはアクリルアミドのいずれかを表す。
【0024】
一実施形態では、眼科用デバイスは、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ材料である。シリコーンヒドロゲルは、一般に、約5重量パーセントよりも大きい、より一般的には、約10~約80重量パーセントの含水率を有する。このような材料は通常、上述のように、少なくとも1つのシリコーン含有モノマーおよび少なくとも1つの親水性モノマーを含有する混合物を重合させることによって調製される。典型的には、シリコーン含有モノマーまたは親水性モノマーが、架橋剤(架橋剤は複数の重合性官能基を有するモノマーとして定義される)として機能するか、または別個の架橋剤が使用されてもよい。シリコーンヒドロゲルの形成に使用するための適用可能なシリコーン含有モノマーは、当該技術分野において周知であり、多くの例は、米国特許第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,260,000号、同第5,310,779号、および同第5,358,995号に提供されている。
【0025】
適用可能なケイ素含有モノマーの代表的な例としては、嵩高いポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。嵩高いポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーの例は、式Iの構造で表され:
【化2】

式中、Xは-O-または-NR-を表し、Rは水素またはC-Cアルキルを表し、各Rは独立して水素またはメチルを表し、各Rは独立して低級アルキルラジカル、フェニルラジカル、または以下の式で表される基を表し:
【化3】

式中、各R2′は独立して低級アルキルまたはフェニルラジカルを表し、hは1~10である。
【0026】
他の適用可能なケイ素含有モノマーの代表的な例としては、一般に、式Iaに示すような嵩高いポリシロキサニルアルキルカルバメートモノマーが挙げられるが、これに限定されない:
【化4】

式中、Xは-NR-を示し、Rは水素またはC-Cアルキルを示し、Rは水素またはメチルを示し、各Rは独立して、低級アルキルラジカル、フェニルラジカル以下の式で表される基を表す:
【化5】

式中、各R2′は独立して、低級アルキルまたはフェニルラジカルを表し、hは1~10などである。
【0027】
嵩高いモノマーの例としては、3-メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチル-シロキシ)シランまたはトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(トリスと呼ばれることもある)、およびトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルビニルカルバメート(TRIS-VCと呼ばれることもある)、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
このような嵩高いモノマーは、分子の2つ以上の末端に不飽和基でキャップされたポリ(オルガノシロキサン)であるシリコーンマクロモノマーと共重合してよい。米国特許第4,153,641号は、例えば、アクリロキシまたはメタクリロキシ基などの種々の不飽和基を開示している。
【0029】
別のクラスの代表的なシリコーン含有モノマーとしては、シリコーン含有ビニルカーボネートまたはビニルカルバメートモノマー、例えば、1,3-ビス[4-ビニルオキシカルボニルオキシ]ブタ-1-イル]テトラメチルジシロキサン、3-(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t-ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、およびトリメチルシリルメチルビニルカーボネートなど、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
別のクラスのケイ素含有モノマーとしては、ポリウレタン-ポリシロキサンマクロモノマー(プレポリマーとも呼ばれる)が挙げられ、これは、従来のウレタンエラストマーのような硬質-軟質ブロックを有し得る。これらは、HEMAなどの親水性モノマーで末端キャップされてもよい。このようなシリコーンウレタンの例は、Lai,Yu-Chin,”TheRoleofBulkyPolysiloxanylalkylMethacryatesinPolyurethane-PolysiloxaneHydrogels,”JournalofAppliedPolymerScience,Vol.60,1193-1199(1996)を含む、様々なまたは出版物に開示されている。PCT公開出願第WO96/31792号は、このようなモノマーの例を開示し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。シリコーンウレタンモノマーの更なる例は、式IIおよび式IIIで表され、
E(*D*A*D*G)*D*A*D*E’、または(II)
E(*D*G*D*A)*D*A*D*E’、または(III)
式中、
Dは独立して、6~約30個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、芳香族ジラジカル、またはアルキル芳香族ジラジカルを表し、
Gは独立して、1~約40個の炭素原子を有するアルキルジラジカル、シクロアルキルジラジカル、アルキルシクロアルキルジラジカル、芳香族ジラジカルまたはアルキル芳香族ジラジカルを表し、主鎖にエーテル、チオまたはアミン結合を含有してもよく、
*は、ウレタンまたはウレイド結合を表し、
aは少なくとも1であり、
Aは独立して、式IVの二価の重合性ラジカルを表し:
【化6】

式中、各Rは独立して、炭素原子間のエーテル結合を含有し得る1~約10個の炭素原子を有するアルキルまたはフルオロ置換アルキル基を表し、m′は少なくとも1であり、pは、約400~約10,000の部位重量を提供する数であり、
EおよびE′の各々は独立して、式Vで表される重合性不飽和有機ラジカルを表し:
【化7】

式中、Rは水素またはメチルであり、
は、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキルラジカル、または-CO-Y-Rラジカルであり、Yは-O-、-S-、もしくは-NH-であり、
は、1~約10個の炭素原子を有する二価アルキレンラジカルであり、
は、1~約12個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、
Xは、-CO-または-OCO-を表し、
Zは、-O-または-NH-を表し、
Arは、約6~約30個の炭素原子を有する芳香族ラジカルを表し、
wは0~6であり、xは0または1であり、yは0または1であり、zは0または1である。
【0031】
好ましいシリコーン含有ウレタンモノマーは、式VIで表され:
【化8】

式中、mは少なくとも1であり、好ましくは3または4であり、aは少なくとも1であり、好ましくは1であり、pは約400~約10,000の部分重量を提供する数であり、好ましくは少なくとも約30であり、Rは、イソホロンジイソシアネートのジラジカルなどのイソシアネート基の除去後のジイソシアネートのジラジカルであり、各Eは、以下によって表される基である:
【化9】
【0032】
本発明の別の実施形態では、シリコーンヒドロゲル材料は、(バルクでは、すなわち、共重合されるモノマー混合物中で)を約5~約50重量パーセント、好ましくは約10~約25重量パーセントの1つ以上のシリコーンマクロモノマー、約5~約75重量パーセント、好ましくは約30~約60重量パーセントの1つ以上のポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマー、および約10~約50重量パーセント、好ましくは約20~約40重量パーセントの親水性モノマーを含む。一般に、シリコーンマクロモノマーは、分子の2つ以上の末端に不飽和基でキャップされたポリ(オルガノシロキサン)である。上記の構造式中の末端基に加えて、米国特許第4,153,641号は、アクリロキシまたはメタクリロキシを含む追加の不飽和基を開示している。フマル酸塩含有材料、例えば、米国特許第5,310,779号、同第5,449,729号、および同第5,512,205号に開示されているものなども、本発明による有用な基質である。シランマクロモノマーは、ケイ素含有ビニルカーボネートもしくはビニルカルバメート、または1つ以上の硬質-軟質ブロックを有し、親水性モノマーで末端キャップされたポリウレタン-ポリシロキサンであってもよい。
【0033】
代表的なシリコーン含有モノマーの別のクラスは、フッ素化モノマーを含む。このようなモノマーは、例えば、米国特許第4,954,587号、同第5,010,141号、および同第5,079,319号に開示されるように、フルオロシリコーンヒドロゲルの形成において、それから作製されたコンタクトレンズ上の堆積物の蓄積を減少させるために使用されてきた。また、ある特定のフッ素化側基、すなわち-(CF)-Hを有するシリコーン含有モノマーの使用は、親水性モノマー単位とシリコーン含有モノマー単位との間の適合性を改善することが見出されている。例えば、米国特許第5,321,108号および同第5,387,662号を参照されたい。
【0034】
上記のシリコーン材料は単なる例示であり、本発明によるUV遮断剤を有することによって利益を得ることができ、様々な刊行物に開示されており、コンタクトレンズおよび他の医療デバイスで使用するために継続的に開発されている他の材料を使用することもできる。例えば、眼科用デバイスは、カチオン性シリコーン含有モノマーまたはカチオン性フッ素化シリコーン含有モノマーなどの少なくともカチオン性モノマーから形成され得る。
【0035】
本発明を適用するためのコンタクトレンズなどの眼科用デバイスは、所望の後部および前部レンズ表面を有する成形物品を得るために、様々な従来の技術を使用して製造することができる。例として、スピンキャストおよびスタティックキャストを含む、コンタクトレンズの製造におけるモノマー混合物の硬化のための様々なプロセスが既知である。例えば、スピンキャスト法は、凹状底面を有する開放鋳型、すなわちワンピース鋳型にモノマー混合物を充填することと、モノマー混合物をUV光などの光に曝露しながら、制御された方法で鋳型を回転させることと、を含む。スタティックキャスト法は、レンズの前側表面を形成するように成形された一方の鋳型部分とレンズの後側表面を形成するように成形された他方の鋳型部分とを有する2つの鋳型部分の間にモノマー混合物を充填することと、レンズを形成するために鋳型アセンブリ内に保持された状態でモノマー混合物を硬化させ、例えば混合物のフリーラジカル重合によってレンズを形成することと、を含む。スピンキャスト法は、米国特許第3,408,429号および同第3,660,545号に開示され、スタティックキャスト法は、米国特許第4,113,224号、同第4,197,266号および同第5,271,875号に開示されている。加えて、モノマー混合物は、ロッドまたはボタンの形状に鋳造されてもよく、これらは、次いで、所望のレンズ形状に旋盤で切断される。
【0036】
重合は、混合物を熱および/または紫外線、可視光、または高エネルギー放射線などの放射線に曝露することによって促進され得る。重合開始剤は、重合ステップを促進するために混合物中に含まれてもよい。フリーラジカル熱重合開始剤の代表的な例としては、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾイル、テルチアロマチブチルペルオキシピバレート、およびペルオキシジカーボネートなどの有機過酸化物、ならびに2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、および4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)などのアゾ化合物が挙げられる。代表的なUV開始剤は、当該技術分野で既知のものであり、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、Darocure 1173、1164、2273、1116、2959、3331(EM Industries)、ならびにIrgacure 651および184(BASF)などを含む。可視光開始剤の代表的な例としては、Irgacure 819、Darocure TPO(BASF)、Lucirin TPO、Lucirin TPO-L(BASF)などのホスフィンオキシドが挙げられる。一般に、反応開始剤は、全モノマー混合物の約0.01~約5重量パーセントの濃度で混合物中に使用されることになる。
【0037】
一般に、UVまたは可視光(「青色光」)硬化重合条件下での重合は、約15分間~約60分間、および例えば、窒素またはアルゴンの不活性雰囲気下で行うことができる。熱硬化条件下での重合は、一般に、約10~約72時間の期間、より高い温度(例えば、約40~約120℃)を必要とする。
【0038】
鋳造後、重合生成物(眼科用デバイス)を鋳型から乾燥離型する。鋳型が後側鋳型半部および前側鋳型半部を含む2部の鋳型アセンブリである場合、乾燥離型は、鋳型半部の一方が取り外されたとき、すなわちキャップ除去されたときに行われ、鋳造された重合生成物は他方の鋳型半部に付着したままである。多くのプロセスでは、重合生成物が前側鋳型半部と一緒に残ることが望ましい。概して、乾燥離型プロセスは、水性媒体を添加することなく、乾燥状態で鋳型半部から重合生成物を離型することを含む。理論に束縛されることを望まないが、C~C一価アルコールのホウ酸エステルが硬化中に重合生成物と架橋し、重合生成物が鋳型からの乾燥離型を可能にするのに十分な硬度を持つようになると考えられている。当業者であれば、「十分な硬度」という用語は、得られた重合生成物が、乾燥離型プロセス中に(例えば、機械的グリッパーで鋳型から除去されるときに)破れるように柔らかすぎないこと、または乾燥離型プロセス中に発生する機械的な力にさらされたときに、破裂または破断するように脆すぎないことを意味することを容易に理解するであろう。
【0039】
一実施形態では、重合生成物は、単純に重合生成物を乾燥状態で鋳型から除去することによって乾燥離型することができる。別の実施形態では、乾燥離型は、重合生成物が破れないように注意しながら、ピンセットなどの機械的グリッパーを使用して重合生成物を鋳型から機械的に除去するという機械的な動作によって達成される。機械的に除去することができない場合、重合生成物を含有する鋳型半部を機械的に変形させて強制的に乾燥離型する。
【0040】
コンタクトレンズなどの眼科用デバイスを乾燥離型すると、次いで、それらを任意選択の機械加工操作を施すことができる。他の任意選択の機械加工ステップは、レンズ縁部および/または表面のバフ加工または研磨を含み得る。一般に、このような機械加工プロセスは、生成物が鋳型部分から離型される前または後に実施されてもよく、例えば、レンズは、真空ピンセットを使用してレンズを鋳型から持ち上げることによって鋳型から乾燥離型され、その後、レンズは、機械的ピンセットによって第2のセットの真空ピンセットに移され、表面または縁部を滑らかにするために回転する表面に対して配置される。次いで、レンズの反対側を機械加工するために、レンズを裏返してもよい。
【0041】
このように形成された得られる眼科用デバイスは、次いで、UV遮断剤をデバイス内に組み込むために、本発明による方法のステップが施される。本発明による方法のステップ(a)では、眼科用デバイスを、眼科用デバイスを膨潤さるのに十分な期間、1つ以上の第1の溶媒溶液中に浸漬する。概して、1つ以上の第1の溶媒溶液は、眼科用レンズを膨潤させることができる溶媒を含む。一実施形態では、1つ以上の第1の溶媒溶液としては、例えば、低分子量アルコール溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、アミド基含有溶媒、およびこれらの混合物が挙げられる。好適な低分子量アルコールとしては、例えば、約1~約13個の炭素原子および/または約200以下の分子量を有する低分子量アルコールが挙げられる。好適な低分子アルコールは、各々が約1~約13個の炭素原子を含む様々な低分子量一価アルコールから選択され得る。好適な一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、およびドデカノールなどが挙げられる。好適な脂肪族または脂環式炭化水素溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンなどが挙げられる。
【0042】
好適なケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、エチルプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルsec-ブチルケトン、メチルtert-ブチルケトン、エチルブチルケトン、エチルイソブチルケトン、エチルsec-ブチルケトン、エチルtert-ブチルケトン、プロピルブチルケトン、イソプロピルブチルケトン、プロピルイソブチルケトン、プロピルsec-ブチルケトン、プロピルtertブチルケトン、イソプロピルイソブチルケトン、イソプロピルsec-ブチルケトン、イソプロピルtert-ブチルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジ-sec-ブチルケトン、ジ-tert-ブチルケトン、ブチルイソブチルケトン、ブチルtert-ブチルケトン、イソブチルsec-ブチルケトン、イソブチルtert-ブチルケトン、sec-ブチルtert-ブチルケトン、5-ヘプタノン、5-メチル-2-ヘキサノン(メチルイソアミルケトン)、4-メチル-2-ヘキサノン、3-メチル-2-ヘキサノン、3,4-ジメチル-2-ペンタノン、3,3-ジメチル-2-ペンタノン、4,4-ジメチル-2-ペンタノン、3-オクタノン、4-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、6-メチル-3-ヘプタノン、4,4-ジメチル-3-ヘキサノン、4,5-ジメチル-3-ヘキサノン、5,5-ジメチル-3-ヘキサノン、4-ノナノン、5-メチル-4-オクタノン、6-メチル-4-オクタノン、7-メチル-4-オクタノン、5,5-ジメチル-4-ネプタノン、5,6-ジメチル-4-ヘプタノン、6,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2-ウンデカノン、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、およびシクロドデカノンなど、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、ケトン溶媒は、アセトンである。
【0043】
好適なニトリル溶媒としては、例えば、ニトリル基を含有する飽和または不飽和脂肪族、脂環式、または芳香族化合物が挙げられる。ニトリルには、ヘテロ原子を含有する化合物、例えば、元素周期表の第13族、第14族、第15族、第16族、および第17族から選択される化合物などが含まれる。本明細書で使用するためのニトリルの代表的な例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソプロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプタンニトリル、シアン化ヘプチル、オクタンニトリル、ウンデカネニトリル、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、セバコニトリル、シアン化アリル、アクリロニトリル、クロトノニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、テトラシアノエチレン、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、ジクロロアセトニトリル、フルオロアセトニトリル、トリクロロアセトニトリル、ベンゾニトリル、シアン化ベンジル、2-メチルベンジルシアナイド、2-クロロベンゾニトリル、3-クロロベンゾニトリル、4-クロロベンゾニトリル、o-トルニトリル、m-トルニトリル、およびp-トルニトリルなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、ニトリル溶媒は、アセトニトリルである。
【0044】
好適なエーテル溶媒としては、例えば、アルキル基が同じまたは異なっており、1~約12個の炭素原子であるジアルキルエーテルが挙げられる。エーテル溶媒の代表的な例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ-i-プロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、およびピランなど、ならびにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、エーテル溶媒は、テトラヒドロフランである。
【0045】
好適なアミド基含有溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-ホルミルピペリジン、N-ホルミルモルホリン、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルベンズアミド、およびこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、アミド基含有溶媒は、N-メチルピロリドンである。
【0046】
一実施形態では、1つ以上の第1の溶媒溶液は、前述の第1の溶媒のうちのいずれかと組み合わせた水をさらに含むことができる。例えば、1つ以上の第1の溶媒溶液は、約25重量%~約75重量%の1つ以上の第1の溶媒溶液および約75重量%~約25重量%の水を含有するブレンドであり得る。別の実施形態では、ブレンドは、約40重量%~約60重量%の1つ以上の第1の溶媒溶液および約60重量%~約40重量%の水を含有することができる。
【0047】
眼科用デバイスを、1つ以上の第1の溶媒溶液中に、眼科用デバイスを膨潤さるのに十分な期間浸漬する。一般に、眼科用デバイスを、1つ以上の第1の溶媒溶液中に、約5分~約120分の範囲の期間浸漬する。一実施形態では、眼科用デバイスを、1つ以上の第1の溶媒溶液中に、約5分~約60分の範囲の期間浸漬する。一実施形態では、眼科用デバイスを、1つ以上の第1の溶媒溶液中に、約10分~約35分の範囲の期間浸漬する。
【0048】
一実施形態では、眼科用デバイスを、一連の1つ以上の第1の溶媒溶液中に浸漬する。例えば、眼科用デバイスを、まず、本明細書で上述された1つ以上の第1の溶媒溶液中または1つ以上の第1の溶媒と水とのブレンド中に、約5分~約30分、または約5分~約20分の範囲の期間浸漬する。次に、眼科用デバイスを溶液またはブレンドから除去し、前述の1つ以上の第1の溶媒のうちのいずれかの別の溶媒溶液中に、約5分~約120分の範囲の期間浸漬する。一実施形態では、眼科用デバイスを、別の溶媒溶液中に約5分~約60分の範囲の期間浸漬する。一実施形態では、眼科用デバイスを、別の溶媒溶液中に、約10分~約35分の範囲の期間浸漬する。
【0049】
本発明による方法のステップ(b)では、膨潤した眼科用デバイスを、UV遮断剤を含む1つ以上の第2の溶媒溶液中に浸漬して、眼科用デバイスを脱膨潤させ、UV遮断剤を眼科用デバイスに封入する。概して、1つ以上の第2の溶媒溶液は、UV遮断剤を溶解することができる任意の溶媒を含む。好適な第2の溶媒溶液としては、例えば、水と、前述の低分子量アルコール溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、および本明細書で上述したアミド基含有溶媒のうちのいずれかとが挙げられる。
【0050】
一実施形態では、1つ以上の第2の溶媒溶液は、低分子量アルコール溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、およびアミド基含有溶媒のうちのいずれかと一緒に水のブレンドを含む。例えば、1つ以上の第2の溶媒溶液は、約25重量%~約75重量%の低分子量アルコールなどの1つ以上の第2の溶媒溶液、および約75重量%~約25重量%の水を含有するブレンドであり得る。別の実施形態では、ブレンドは、低分子量アルコールなどの約40重量%~約60重量%の1つ以上の第2の溶媒溶液、および約60重量%~約40重量%の水を含有することができる。ブレンドを使用する場合、UV遮断剤を最初に1つ以上の第2の溶媒溶液中に添加して溶液を形成する。次に、UV遮断剤が溶液から沈殿しないような量で水を溶液中に添加する。
【0051】
一実施形態では、眼科用デバイスに組み込まれるUV遮断剤は、ベンゾトリアゾールである。例えば、本明細書で使用するためのベンゾトリアゾールは、一般式VIIのベンゾトリアゾールとでき:
【化10】

式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、-O-基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、Rは、直鎖または分岐C~C28アルキル、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、R**は、直鎖C~Cアルキル基、分岐C~Cアルキル、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基である、ベンゾトリアゾールである。
【0052】
ハロゲン基の代表的な例としては、例として、Cl、I、F、およびBrが挙げられる。本明細書で使用するためのアルコキシ基の代表的な例としては、例として、分子の残りの部分に酸素連結を介して付着した本明細書で定義されるアルキル基、すなわち、一般式-ORのアルキル基が挙げられ、ここでRは、本明細書で定義されるアルキル基、シクロアルキル基、または芳香族基であり、例えば、置換または非置換であり得る-OCH、-OC、または-OCである。
【0053】
本明細書で使用するためのアルキル基の代表的な例としては、例として、不飽和の有無にかかわらず、分子の残りの部分に、1~約30個の炭素原子および水素原子を含有する直鎖または分岐炭化水素鎖ラジカル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、1-メチルエチル(イソプロピル)、n-ブチル、およびn-ペンチルなどが挙げられ、このようなものが挙げられる。
【0054】
本明細書で使用するためのシクロアルキル基の代表的な例としては、例として、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ペルヒドロナフチル基、アダマンチル基、およびノルボルニル基、架橋された環状基、またはスプリロビシクロ基など、例えば、スプリオ-(4,4)-ノン-2-イル、およびそのようなものなどの、任意選択的に1つ以上のヘテロ原子、例えば、OおよびNなどを含有する、約3~約30個の炭素原子を有する置換または非置換の非芳香族単環式または多環式環系が挙げられる。
【0055】
本明細書で使用するためのアルケニル基の代表的な例としては、例として、例えば、プロペニル、ブテニル、およびペンテニルなどの少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、約3~約30個の炭素原子を含有する直鎖または分岐炭化水素鎖ラジカルが挙げられる。
【0056】
本明細書で使用するためのアルキニル基の代表的な例としては、例えば、プロピニル、ブチニル、およびペンチニルなどの少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する約3~約30個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖炭化水素鎖ラジカルが挙げられる。
【0057】
本明細書で使用するための複素環基の代表的な例としては、例えば、炭素原子と、1~5個のヘテロ原子、例えば、窒素、リン、酸素、硫黄、およびこれらの混合物とを含有する、置換または非置換の安定な3~約15員環ラジカルが挙げられる。本明細書で使用するのに好適な複素環ラジカルは、単環式、二環式、または三環式環系であってもよく、これは、縮合環系、架橋環系、またはスピロ環系を含んでもよく、複素環ラジカル中の窒素、リン、炭素、酸素、または硫黄原子は、任意選択で様々な酸化状態に酸化され得る。そのような複素環基の例としては、アゼチジニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフニル、カルバゾリル、シノリニル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、ペルヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピリジル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロイソウイノリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピロリジニル、2-オキソアゼピニル、アゼピロリル、ピロリル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサソリジニル、トリアゾリル、インダニル、イソキサゾリル、イソキサソリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフルチル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスフラニル、オキサジアゾリル、クロマニル、およびイソクロマニルなど、ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用するための芳香族基の代表的な例としては、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、およびビフェニルなどの、任意選択で1つ以上のヘテロ原子、例えば、OおよびNなどを含有する、約5~約30個の炭素原子を含有する、置換または非置換の単環芳香族または多環芳香族ラジカルが挙げられる。
【0059】
本明細書で使用するためのアミン含有基の代表的な例としては、例えば、一般式-RNRのアミンが挙げられ、式中、R、R、およびRは独立して、例えば、本明細書に定義されるアルキル基、芳香族基、もしくはシクロアルキル基などの水素またはC~C30炭化水素である。
【0060】
一実施形態では、Rは水素であり、Rは分岐C~Cアルキル基であり、R**は分岐C~Cアルキル基である。一実施形態では、Rは水素であり、Rは直鎖C~C28アルキル基であり、R**は直鎖C~Cアルキル基である。一実施形態では、Rは水素であり、Rは直鎖C10~C28アルキル基であり、R**は直鎖C~Cアルキル基である。一実施形態では、Rは水素であり、Rは直鎖C10~C22アルキル基であり、R**は直鎖C~Cアルキル基である。一実施形態では、Rは分岐C~Cアルキル基であり、R**は分岐C~Cアルキル基である。一実施形態では、Rは直鎖C~C28アルキル基であり、R**は直鎖C~Cアルキル基である。一実施形態では、Rは直鎖C10~C28アルキル基であり、R**は直鎖C~Cアルキル基である。一実施形態では、Rは直鎖C10~C22アルキル基であり、R**は直鎖C~Cアルキル基である。一実施形態では、RおよびR**の各々は芳香環上に位置付けられ、立体障害ベンゾトリアゾールを提供する。一実施形態では、RおよびR**の各々は、メタ位置で芳香環上に位置付けられる。1つの好ましいベンゾトリアゾールは、一般式VIIIを有する:
【化11】

式中、R、R、およびR**は前述の意味を有する。
【0061】
本明細書で使用するためのUV遮断剤の代表的な例としては2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノールおよび2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジtertペンチルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するためのUV遮断剤は、既知の、例えば、米国特許第9,075,187号であり、例えば、BASFおよびSigma Aldrichなどの供給源から市販されているか、または当業者の範囲内の方法によって作製することができる。
【0062】
概して、UV遮断剤は、約0.05~約3重量%または約0.05~約0.75重量%の範囲の量で1つ以上の第2の溶媒溶液中に存在する。
【0063】
眼科用デバイスを、1つ以上の第2の溶媒溶液中に、眼科用デバイスを脱膨潤させ、UV遮断剤を封入するのに十分な期間浸漬する。概して、眼科用デバイスを、1つ以上の第2の溶媒溶液中に、約5分~約120分の範囲の期間浸漬する。一実施形態では、眼科用デバイスを、1つ以上の第2の溶媒溶液中に、約10分~約35分の範囲の期間浸漬する。
【0064】
一実施形態では、眼科用デバイスを、一連の1つ以上の第2の溶媒溶液中に浸漬する。例えば、眼科用デバイスを、まず、低分子量アルコール溶媒およびUV遮断剤を含む1つ以上の第2の溶媒溶液中に、約5分~約20分の範囲の期間浸漬する。次に、眼科用デバイスを溶媒溶液から除去し、同じまたは異なる第2の低分子量アルコール溶媒と水とのブレンド、およびUV遮断剤を含む別の溶媒溶液中に、約5分~約20分の範囲の期間さらに浸漬する。
【0065】
眼科用デバイスを脱膨潤した後、眼科用デバイスを除去し、任意選択で1つ以上の一連の水溶液中に浸漬して、デバイスをさらに脱膨潤する。概して、眼科用デバイスを、1つ以上の水溶液中に、約5分~約20分の範囲の期間浸漬する。
【0066】
ステップ(c)において、脱膨潤した眼科用デバイスを滅菌する。一実施形態では、脱膨潤した眼科用デバイスをホウ酸塩緩衝生理食塩水に沈め、次いで、それを少なくとも約5分間、または少なくとも約20分間、または少なくとも24時間、または最大約72時間オートクレーブ条件を施すことによって、脱膨潤した眼科用デバイスを滅菌する。次いで、滅菌された眼科用デバイスを水ですすぎ、ホウ酸塩緩衝生理食塩水でそれらのパッケージに位置付ける。パッケージを密封し、再び眼科用デバイスにオートクレーブ条件を施す。
【0067】
あるいは、脱膨潤した眼科用デバイスを、脱膨潤した眼科用デバイスを保持するためのレセプタクル部分と滅菌包装溶液とを含む容器に入れてもよい。容器の例は、従来の眼科用デバイスブリスターパッケージである。溶液中に浸漬された脱膨潤した眼科用デバイスを含有するこのレセプタクルは、例えば、レセプタクルの上にパッケージ上の蓋材を密封することによって、気密に密封される。例えば、蓋材は、レセプタクルの周囲に密封される。溶液および脱膨潤した眼科用デバイスは、パッケージレセプタクルに密封されたまま滅菌される。滅菌技術の例としては、溶液および脱膨潤した眼科用デバイスに熱エネルギー、マイクロ波放射線、ガンマ放射線、または紫外線放射線を施すことが挙げられる。具体的な例は、パッケージ容器に密封されている間に、溶液および脱膨潤した眼科用デバイスを、オートクレーブなどによって、少なくとも100℃、または少なくとも120℃の温度に加熱することを伴う。
【0068】
一実施形態では、フォトクロミック材料も眼科用デバイスに組み込まれる。いくつかの実施形態では、フォトクロミック材料が広帯域である場合に有利である。広帯域フォトクロミック材料は、本明細書において、高輝度で可視波長の少なくとも200nmの帯域について、光の少なくとも50%を遮断する材料として定義される。(200nmの帯域は、可視帯域内で連続してもよいし、連続していなくてもよい。)例えば、(3H-ナフト[2,1-b]ピラン、2H-ナフト[1,2-b]ピランなどのナフトピランは、広帯域フォトクロミック材料として使用してもよい。いくつかの実施形態では、広帯域フォトクロミック材料は、現在既知であるか、または後に開発された中性密度フォトクロミック材料であってもよい。このような中性密度材料は、少なくとも一部の光量レベルの少なくとも可視スペクトルにわたってほぼ均一に光を遮断する。所与の発色団のスペクトル応答は、光への曝露時間の関数、および光の強度の関数として変化し得ることが理解されよう。
【0069】
いくつかの実施形態では、不均一なスペクトル応答を有するフォトクロミック材料(すなわち、非神経密度材料)は、利点を提供し得る。フォトクロミック材料は、短い可視波長で遮断された光と比較して、より長い可視波長の光を遮断し得る。例えば、フォトクロミック材料は、可視波長のローパスフィルタであってもよい。
【0070】
あるいは、フォトクロミック材料は、より長い可視波長で遮断された光と比較して、より短い可視波長でより多くの光を遮断し得る。例えば、フォトクロミック材料は、可視波長のハイパスフィルタであってもよい。例えば、そのような実施形態では、James Robinson Ltd.から入手可能なAzo-dyes、3,3-ジアニルスル-6-ピペリジン-3H-ナフトピラン[2,1-b]またはPPG Industriesから入手可能なPhotosol 5-3(黄色)などの青色遮断剤が使用されてもよい。別の実施形態において、ヒドロキシアクリドンなどの青色遮断剤が使用されてもよい。ハイパスフォトクロミック材料は、現在既知であるか、または後に開発された任意の他の好適なフォトクロミック材料であってもよい。
【0071】
さらに別の代替として、フォトクロミック材料は、中間の可視波長で遮断された光と比較して、より長い可視波長およびより短い可視波長でより多くの光を遮断し得る。例えば、フォトクロミック材料は、可視波長のバンドパスフィルタであってもよい。
【0072】
さらに別の代替として、フォトクロミック材料は、より長い可視波長およびより短い可視波長で遮断された光と比較して、中間の可視波長でより多くの光を遮断し得る。例えば、フォトクロミック材料は、可視波長のノッチフィルタであってもよい。
【0073】
フォトクロミック材料は、ステップ(a)から得られた膨潤した眼科用デバイスを、フォトクロミック材料を含有する1つ以上の第3の溶媒溶液中に浸漬することによって、眼科用デバイスに組み込まれてもよい。概して、1つ以上の第3の溶媒溶液は、フォトクロミック材料を溶解することができる溶媒を含む。好適な1つ以上の第3の溶媒溶液としては、例えば、上述のケトン溶媒などが挙げられる。一実施形態では、ケトン溶媒は、アセトンである。1つ以上の第3の溶媒溶液は、本明細書で上述したように、1つ以上の低分子量アルコール溶媒をさらに含有することになる。
【0074】
概して、フォトクロミック材料は、約0.05~約3重量%または約0.05~約0.75重量%の範囲の量で1つ以上の第3の溶媒溶液中に存在する。眼科用デバイスを、1つ以上の第3の溶媒溶液中に、眼科用デバイスにフォトクロミック材料を封入するのに十分な期間浸漬する。概して、眼科用デバイスを、1つ以上の第3の溶媒溶液中に、約5分~約120分または約10分~約35分の範囲の期間浸漬する。
【0075】
以下の実施例は、当業者が本発明を実施することを可能にするために提供され、単なる本発明の例示である。実施例は、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものとして読まれるべきではない。
【0076】
実施例では、以下の略語が使用される。
【0077】
ヒドロキシアクリドン-以下の構造に由来する化合物:
【化12】
【0078】
B12T-以下の構造を有する2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール:
【化13】
【0079】
BTDT-以下の構造を有する2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール:
【化14】
【0080】
メチルトリアゾール-以下の構造を有する2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:
【化15】
【0081】
BTT-以下の構造を有する2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール:
【化16】
【0082】
実施例1
まず、青色遮断剤として0.0538gのヒドロキシアクリドンを20mLのバイアルに添加し、続いて3.3147gのアセトンおよび6.6828gのIPAを添加することによって、30:70のアセトン:IPA中の0.5重量%の青色遮断剤溶液を調製した。次いで、この溶液を、遮断剤が完全に溶解するまで撹拌した。
【0083】
次に、ネソフィルコン-Aレンズを青色遮断剤溶液中に10分間浸漬し、続いてレンズを100%脱イオン水中に15分間浸漬し、次いで蒸気滅菌器で121℃で30分間、温度を30分間上昇させて滅菌した。次いで、レンズをUV吸光度について試験したところ、ISO18369-4:2017を使用して、UVAの95%およびUVBの99.5%に加えて、415~450nmの範囲の青色光の50%を遮断することが見出された。
【0084】
実施例2
2つのUV溶液を調製した。まず、1LのビーカーにUV遮断剤として3.5gのB12Tを添加し、続いて、500gのIPAを添加することによって、IPA中の0.7重量%のUV溶液(溶液-1)を調製した。次いで、この溶液を、遮断剤が完全に溶解するまで撹拌した。次に、1Lのビーカーに0.5gの2B12Tを添加し、続いて、250gのIPAを添加することによって、50:50 IPA:HO中の0.1%のUV遮断剤の溶液(溶液-2)を調製した。次いで、この混合物を遮断剤が完全に溶解するまで撹拌し、次いで、250gのHOを溶液中にゆっくりと添加した。
【0085】
シリコーンヒドロゲルレンズ(サムフィルコンA)を、最初に50:50イソプロピルアルコール(IPA):HO溶液中に10分間浸漬し、続いて、レンズを100%のIPA溶液中に30分間浸した。次に、レンズを溶液-1に10分間浸漬し、続いて、レンズを溶液-2に10分間浸漬した。次いで、レンズにHOで10分間の浸漬を2回施し、次いで、蒸気滅菌器で121℃で30分間、温度を30分間上昇させて滅菌した。このレンズは、UV遮断のためのFDAクラスI仕様を満たすのに十分なUV光の遮断を示すと判断された。
【0086】
実施例3
2つのUV溶液を調製した。まず、1LのビーカーにUV遮断剤として4.0gのBTTを添加し、続いて、500gのIPAを添加することによって、IPA中の0.8重量%のUV溶液(溶液-1)を調製した。次いで、この溶液を、遮断剤が完全に溶解するまで撹拌した。次に、1Lのビーカーに0.5gのBTDTを添加し、続いて、250gのIPAを添加して、50:50 IPA:HO中の0.1%のUV遮断剤の溶液(溶液-2)を調製した。次いで、この混合物を遮断剤が完全に溶解するまで撹拌し、次いで、250gのHOを溶液中にゆっくりと添加した。
【0087】
サムフィルコンAレンズを、最初に50:50イソプロピルアルコール(IPA):HO溶液中に10分間浸漬し、続いて、レンズを100%のIPA溶液中に30分間浸した。次に、レンズを溶液-1に10分間浸漬し、続いて、レンズを溶液-2に10分間浸漬した。次いで、レンズにHOで10分間の浸漬を2回施し、次いで、蒸気滅菌器で121℃で30分間、温度を30分間上昇させて滅菌した。このレンズは、UV遮断のためのFDAクラスI仕様を満たすのに十分なUV光の遮断を示すと判断された。
【0088】
比較例A
2つのUV溶液を調製した。まず、1LのビーカーにUV遮断剤として1.5gのメチルトリアゾールを添加し、続いて、500gのIPAを添加することによって、IPA中の0.3重量%のUV溶液(溶液-1)を調製した。次いで、この溶液を、遮断剤が完全に溶解するまで撹拌した。次に、1Lのビーカーに0.5gのメチルトリアゾールを添加し、続いて、250gのIPAを添加することによって、50:50 IPA:HO中の0.1%のUV遮断剤の溶液(溶液-2)を調製した。次いで、この混合物を遮断剤が完全に溶解するまで撹拌し、次いで、250gのHOを溶液中にゆっくりと添加した。
【0089】
サムフィルコンAレンズを、最初に50:50イソプロピルアルコール(IPA):HO溶液中に10分間浸漬し、続いて、レンズを100%のIPA溶液中に30分間浸した。次に、レンズを溶液-1に10分間浸漬し、続いて、レンズを溶液-2に30分間浸漬した。次いで、レンズにHOで10分間の浸漬を2回施し、次いで、蒸気滅菌器で121℃で30分間、温度を30分間上昇させて滅菌した。次いで、レンズをホウ酸緩衝液を含有するバイアルに入れ、121℃で1時間オートクレーブを施した。4時間後、メチルトリアゾールUV遮断剤は、レンズ内で結晶化した。
【0090】
比較実施例B
2つのUV溶液を調製した。まず、1LのビーカーにUV遮断剤として3.5gのBTTを添加し、続いて、500gのIPAを添加することによって、IPA中の0.7重量%のUV溶液(溶液-1)を調製した。次いで、この溶液を、遮断剤が完全に溶解するまで撹拌した。次に、1Lのビーカーに0.5gのBTTを添加し、続いて、250gのIPAを添加することによって、50:50 IPA:HO中の0.1%のUV遮断剤の溶液(溶液-2)を調製した。次いで、この混合物を遮断剤が完全に溶解するまで撹拌し、次いで、250gのHOを溶液中にゆっくりと添加した。
【0091】
サムフィルコンAレンズを、最初に50:50イソプロピルアルコール(IPA):HO溶液中に10分間浸漬し、続いて、レンズを100%のIPA溶液中に30分間浸した。次に、レンズを溶液-1に10分間浸漬し、続いて、レンズを溶液-2に10分間浸漬した。次いで、レンズにHO中の10分間の浸漬を施した。次いで、レンズをホウ酸緩衝液を含有するバイアルに入れ、121℃で1時間オートクレーブを施した。120時間後、BTT UV遮断剤は、レンズ内で結晶化した。
【0092】
本明細書に開示される実施形態に様々な修正を加えることができることが理解されるであろう。したがって、上記の説明は、限定的と解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の例示としてのみ解釈されるべきである。例えば、上述され、本発明を動作させるためのベストモードとして実装される機能は、例示目的のみのためである。本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、他の構成および方法を当業者によって実施することができる。さらに、当業者は、本明細書に添付される特徴および利点の範囲および趣旨内の他の修正を想定するであろう。
なお、下記[1]から[35]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
紫外線(UV)遮断剤を含有する眼科用デバイスを調製するための方法であって、
(a)眼科用デバイスを1つ以上の第1の溶媒溶液中に浸漬して、前記眼科用デバイスを膨潤させることと、
(b)前記膨潤した眼科用デバイスを、UV遮断剤を含む1つ以上の第2の溶媒溶液中に浸漬して、前記眼科用デバイスを脱膨潤させ、前記眼科用デバイス内に前記UV遮断剤を封入することであって、前記UV遮断剤が、式I:
【化17】

(式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、-O-基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、Rは、直鎖または分岐C~C28アルキル、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、R**は、直鎖C~Cアルキル基、分岐C~Cアルキル、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基である)のベンゾトリアゾールである、封入することと、
(c)前記脱膨潤した眼科用デバイスを滅菌することと、を含む、方法。
[2]
前記1つ以上の第1の溶媒溶液が、低分子量アルコール溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、およびアミド基含有溶媒のうちの1つ以上を含む、[1]に記載の方法。
[3]
前記低分子量アルコール溶媒が、約1~約13個の炭素原子および/または約200以下の分子量を有する低分子量一価アルコールである、[2]に記載の方法。
[4]
前記1つ以上の第1の溶媒溶液が、低分子量アルコール溶媒と水とのブレンドを含む、[1に記載の方法。
[5]
前記眼科用デバイスが、前記1つ以上の第1の溶媒溶液中に、約5分~約120分の範囲の期間浸漬される、[1]~[4]に記載の方法。
[6]
ステップ(a)が、
(i)前記眼科用デバイスを、低分子量アルコール溶媒と水とのブレンドを含む前記1つ以上の第1の溶媒溶液中に、約5分~約120分の範囲の期間浸漬することと、
(ii)ステップ(i)の前記眼科用デバイスを、1つ以上の低分子量アルコール溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、およびアミド基含有溶媒を含む別の溶媒溶液中に、約5分~約60分の範囲の期間浸漬すことと、を含む、[1]~[5]に記載の方法。
[7]
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが分岐C~Cアルキル基であり、R**が分岐C~Cアルキル基である、[1]~[6]に記載の方法。
[8]
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが直鎖C~C28アルキル基であり、R**が直鎖C~Cアルキル基である、[1]~[6]に記載の方法。
[9]
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが直鎖C10~C28アルキル基であり、R**が直鎖C~Cアルキル基である、[1]~[6]に記載の方法。
[10]
前記式Iのベンゾトリアゾールが、式II:
【化18】

(式中、R、R、およびR**は前述の意味を有する)のベンゾトリアゾールである、[1]~[6]に記載の方法。
[11]
前記一般式Iのベンゾトリアゾールが、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノールおよび2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジtert-ペンチルフェノールからなる群から選択される、[1]~[6]に記載の方法。
[12]
前記1つ以上の第2の溶媒溶液が、水、低分子量アルコール溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、脂環式炭化水素溶媒、ケトン溶媒、ニトリル溶媒、エーテル溶媒、およびアミド基含有溶媒のうちの1つ以上を含む、[1]~[11]に記載の方法。
[13]
前記低分子量アルコール溶媒が、約1~約13個の炭素原子および/または約200以下の分子量を有する低分子量一価アルコールである、[12]に記載の方法。
[14]
前記1つ以上の第2の溶媒溶液が、低分子量アルコール溶媒と水とのブレンドを含む、[1]~[11]に記載の方法。
[15]
前記UV遮断剤が、前記第2の溶媒溶液の総重量に基づいて、約0.05~約3重量%の範囲の量で前記1つ以上の第2の溶媒溶液中に存在する、[1]~[14]に記載の方法。
[16]
前記眼科用デバイスが、前記1つ以上の第2の溶媒溶液中に、約5分~約120分の範囲の期間浸漬される、[1]~[15]に記載の方法。
[17]
ステップ(b)が、
(i)前記膨潤した眼科用デバイスを、低分子量アルコール溶媒および前記UV遮断剤を含む前記1つ以上の第2の溶媒溶液中に、約5分~約20分の範囲の期間浸漬することと、
(ii)ステップ(i)の前記眼科用デバイスを、前記1つ以上の第2の溶媒溶液の同じまたは異なる低分子量アルコール溶媒と水とUV遮断剤とのブレンドを含む別の溶媒溶液中に、約5分~約20分の範囲の期間浸漬することと、を含む、[1]~[15]に記載の方法。
[18]
ステップ(c)の前に、前記脱膨潤した眼科用デバイスを、水を含む1つ以上の溶液中に浸漬することをさらに含む、[1]~[17]に記載の方法。
[19]
ステップ(c)が、前記眼科用デバイスをオートクレーブすることを含む、[1]~[18]に記載の方法。
[20]
前記眼科用デバイスにオートクレーブのステップを施す前に、前記眼科用デバイスを含有するパッケージに蓋材を適用するステップをさらに含む、[19]に記載の方法。
[21]
前記眼科用デバイスにフォトクロミック材料を組み込むことをさらに含む、[1]~[20]に記載の方法。
[22]
前記フォトクロミック材料が、青色遮断剤である、[21]に記載の方法。
[23]
前記眼科用デバイスが、コンタクトレンズ、眼内レンズ、および角膜インプラントのうちの1つ以上である、[1]~[22]に記載の方法。
[24]
前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズ、非シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ、および気体透過性硬質コンタクトレンズのうちの1つである、[23]に記載の方法。
[25]
1つ以上の眼科用デバイス形成モノマーを含むモノマー混合物の重合生成物中に封入されたUV遮断剤を含む眼科用デバイスであって、前記UV遮断剤が、式I:
【化19】

(式中、各Rは、独立して、水素、ハロゲン、-O-基、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、Rは直鎖または分岐C~C28アルキル、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基であり、R**は直鎖C~Cアルキル基、分岐C~Cアルキル、ハロゲン、ニトロ基、ニトリル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケン基、芳香族基、アミン基、カルボニル基、および複素環基である)のベンゾトリアゾールである、眼科用デバイス。
[26]
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが分岐C~Cアルキル基であり、R**が分岐C~Cアルキル基である、[25]に記載の眼科用デバイス。
[27]
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが直鎖C~C28アルキル基であり、R**が直鎖C~Cアルキル基である、[25]に記載の眼科用デバイス。
[28]
前記式Iのベンゾトリアゾールについて、各Rが水素であり、Rが直鎖C10~C28アルキル基であり、R**が直鎖C~Cアルキル基である、[25]に記載の眼科用デバイス。
[29]
前記式Iのベンゾトリアゾールが、式II:
【化20】

(式中、R、R、およびR**は前述の意味を有する)のベンゾトリアゾールである、[25]に記載の眼科用デバイス。
[30]
前記眼科用デバイスに封入されたフォトクロミック材料をさらに含む、[25]~[29]に記載の眼科用デバイス。
[31]
前記フォトクロミック材料が、青色遮断剤である、[30]に記載の眼科用デバイス。
[32]
コンタクトレンズ、眼内レンズ、および角膜インプラントのうちの1つ以上である、[25]~[31]に記載の眼科用デバイス。
[33]
前記コンタクトレンズが、ソフトコンタクトレンズ、ヒドロゲルコンタクトレンズ、および気体透過性硬質コンタクトレンズのうちの1つである、[32]に記載の眼科用デバイス。
[34]
UV遮断のための少なくともFDAクラスII仕様を満たすのに十分なUV光の遮断を示す、[25]~[33]に記載の眼科用デバイス。
[35]
UV遮断のための少なくともFDAクラスI仕様を満たすのに十分なUV光の遮断を示す、[25]~[33]に記載の眼科用デバイス。