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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】警報システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/00 20060101AFI20231109BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G08B25/00 510K
G08B17/00 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021000018
(22)【出願日】2021-01-04
(65)【公開番号】P2021061043
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-01-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】安藤 久美子
【合議体】
【審判長】高野 洋
【審判官】丸山 高政
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-225055(JP,A)
【文献】特開2011-197994(JP,A)
【文献】特開2013-092968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、前記グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループ内の警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、前記各グループの警報器は、異常を検出した場合に連動元の異常警報を出力すると共に、グループ内の他の警報器に異常連動信号を送信して連動先の異常警報を出力させる警報システムに於いて、
異常を検出した連動元の警報器から送信される異常連動信号又はグループ間移報装置から前記他方のグループのチャンネル周波数で送信される異常連動信号の少なくとも一方に、同一グループの警報器が連動元か別グループの警報器が連動元かを判別可能とする所定の判別情報が設定され、
異常を検出した警報器は、前記所定の判別情報として警報器を示す種別情報が設定された異常連動信号を送信し、
異常連動信号を受信した警報器は、受信した前記異常連動信号から前記警報器を示す種別情報を判別した場合に、同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、受信した前記異常連動信号から前記警報器を示す種別情報を判別しない場合に、別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力することを特徴とする警報システム。
【請求項2】
複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、前記グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループ内の警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、前記各グループの警報器は、異常を検出した場合に連動元の異常警報を出力すると共に、グループ内の他の警報器に異常連動信号を送信して連動先の異常警報を出力させる警報システムに於いて、
異常を検出した連動元の警報器から送信される異常連動信号又はグループ間移報装置から前記他方のグループのチャンネル周波数で送信される異常連動信号の少なくとも一方に、同一グループの警報器が連動元か別グループの警報器が連動元かを判別可能とする所定の判別情報が設定され、
前記グループ間移報装置は、一方のグループの警報器から異常連動信号を受信した場合に、前記所定の判別情報としてグループ間移報装置を示す種別情報が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信し、
異常連動信号を受信した警報器は、受信した前記異常連動信号から前記グループ間移報装置を示す種別情報を判別しない場合に、同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、受信した前記異常連動信号から前記グループ間移報装置を示す種別情報を判別した場合に、別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力することを特徴とする警報システム。
【請求項3】
請求項記載の警報システムに於いて、
前記グループ間移報装置は、他のグループ間移報装置から一方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を受信した場合に、前記グループ間移報装置を示す種別情報が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信して前記他方のグループ内の警報器に連動先の異常警報を出力させることを特徴とする警報システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常を検知して警報する複数の警報器をグループ分けにより設置して連動警報を行う警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等における火災を検知して警報する警報器が普及している。このうち、住宅用火災警報器を住警器と言う。例えば、このような住警器にあっては、電池電源で動作し、住警器内に火災を検出するセンサ部と火災を警報する警報部を一体に備え、センサ部の検出信号に基づき火災を検知すると警報部から火災警報音を出力するようにしており、所謂自動火災報知設備のように受信機等を必要とせず住警器単体で火災監視と警報報知ができることから、設置が簡単でコスト的にも安価であり、一般住宅での設置義務化に伴い広く普及している。
【0003】
また、複数の住警器間で相互に無線通信を行うことによって、任意の住警器で火災警報音が出力されると、他の住警器でも連動して火災警報音を出力させる無線連動型の住警器を用いた警報システムも実用化され、普及している。
【0004】
また、火災報知設備の設置義務のない、床面積が300平米未満の特定小規模施設、例えば高齢者や知的障害者の家事支援などを行うグループホーム等に対して、特定小規模施設用自動火災報知設備が導入されている。特定小規模施設用自動火災報知設備は、火災を検出するセンサ部と火災を警報する警報部を一体に備える感知器によって構成され、感知器同士が無線連動することでいずれの感知器で火災を検出した際に施設内の感知器全てが発報して施設全体に火災を報知させるものである。
【0005】
以降、無線連動型の住警器や特定小規模施設用自動火災報知設備に用いられる感知器を連動型警報器と呼称する。
【0006】
このような連動型の警報システムでは、連動型警報器で火災を検出した場合、当該火災を検出した連動元の連動型警報器は、例えば「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」といった火災警報音を出力すると共に警報表示用LEDを点灯し、一方、連動先の警報器では例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった火災警報音を出力すると共に警報表示用LEDを点滅するようにしている。
【0007】
しかし、このような従来の無線連動型の警報システムにあっては、ある連動型警報器が他の連動型警報器からの無線信号を受信する際に、同じ通信周波数を使用する複数の無線信号が同時に到来して信号衝突を起こす場合があり、信号衝突の発生頻度は警戒エリアに設置する連動型警報器の台数が増加するほど高くなり、そのため1つの警戒エリアに設置できる連動型警報器の台数が制約される。
【0008】
この問題を解決するため、複数の連動型警報器からなるグループを形成するにあたって、信号衝突の頻度が高くならないよう制限した連動型警報器の最大台数を設定し、このように形成した複数のグループ間に中継器を配置して連動させ、更に、グループ毎に使用する通信周波数を異ならせた警報システムを提案している(特許文献1)。
【0009】
このグループ連動の警報システムにあっては、警戒エリア内で複数のグループを連動させることで全体の連動型警報器連動台数を増やすことができ、グループが異なると連動型警報器の通信周波数が異なるため、あるグループの連動型警報器に当該グループ内の連動型警報器からの信号と他のグループの連動型警報器からの信号が同時に到来しても、信号衝突は発生せず、信号の送受信を確実に行うことができる。
【0010】
この信号衝突の問題は、無線信号を使用する場合には連動型警報器の親機と子機を区別しないシステムでも、また親機に対し複数の子機を配置する親子方式のシステムでも同様であり、親子方式の場合例えば親機は子機の個別IDを用いて子機を順次呼出し処理しているが、子機の台数が多くなると、信号衝突に伴うリトライ回数増加に起因して全体の通信に時間がかかる。そこで、親機と信号衝突の発生頻度を低減すべく子機を所定の最大台数以下に制限してグループを形成し、各グループの親機に中継機能を持たせて連動し、更に、グループ毎に使用する通信周波数を異ならせた警報システムとする。
【0011】
このため、一般住宅よりも規模が大きく通常の無線連動型の住警器からなる警報システムでは警報器最大台数の制限により全体をカバーできないが、近年、その活用が期待されている民泊として知られた旅館業法上の簡易宿所営業を行う施設や、特定小規模施設に、グループ連動を行う警報システムを設置することで、信号衝突の問題を回避しつつ施設全体の警報器連動台数を必要にして十分な数に増やし、実質的に火災報知設備を設置したと同等の火災監視機能を低コストで提供可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2011-053751号公報
【文献】特開2011-059997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このような従来のグループ連動を行う警報システムにあっては、複数のグループ間を連動させるために、グループ毎に中継器を配置して移報信号線で接続しており、無線連動型の連動型警報器は市販のものが利用できるが、グループ間を連動させるための中継器を新たに追加しなければならず、民泊施設やグループホーム等は、火災報知設備の設置が法的に義務付けられたビルやマンション等の施設に比べ、その数が少なく、生産数が限られるためにコストが嵩み、普及のネックとなっている。
【0014】
一方、無線連動型の連動型警報器を用いた警報システムにあっては、連動型警報器からの火災連動信号を受信して移報信号を出力する移報アダプタが市販されており、例えば、移報アダプタに火災通報装置を移報信号線により接続し、連動型警報器から火災連動信号を移報アダプタで受信した場合に火災移報信号を火災通報装置に出力して119番に自動通報させること等を可能としている。
【0015】
また、移報アダプタは、テスト送信を可能とするため、移報入力端子を備えており、その結果、連動型警報器との無線通信機能に加え、移報信号の入出力が可能であり、既存の製品であることから、コスト的な問題も少ない。
【0016】
このため、既存の移報アダプタを利用すれば、複数の警報器からなる複数のグループ間で火災警報を連動させるグループ間移報装置を簡単且つ低コストで実現可能となる。
【0017】
一方、このようなグループ間移報装置を用いて複数グループの連動型警報器を連動させた場合、火災を検出した連動型警報器以外の連動型警報器は、他の連動型警報器又はグループ間移報装置から火災連動信号を受信した場合、例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった連動先火災警報音を出力するだけであり、作動した連動型警報器が同一グループ内の他の連動型警報器か、それとも他のグループの連動型警報器かが区別できず、火災発生場所を確認するまでに手間と時間がかかり、初期消火や避難に支障を来たす場合がある。
【0018】
本発明は、複数の警報器からなる複数のグループ間をグループ間移報装置で連動させる場合に、警報器が作動したグループを区別できる異常警報の出力を可能とする警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(警報システム)
本発明は、複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループ内の警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、各グループの警報器は、異常を検出した場合に連動元の異常警報を出力すると共に、グループ内の他の警報器に異常連動信号を送信して連動先の異常警報を出力させる警報システムに於いて、
隣接するグループ間に、一方のグループの警報器から異常連動信号を受信した場合に、他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信して他方のグループ内の警報器に連動先の異常警報を出力させるグループ間移報装置を備え、
異常を検出した連動元の警報器から送信される異常連動信号又はグループ間移報装置から他方のグループのチャンネル周波数で送信される異常連動信号の少なくとも一方に、同一グループの警報器が連動元か別グループの警報器が連動元かを判別可能とする所定の判別情報が設定され、
異常連動信号を受信した警報器は、所定の判別情報の判別により、同一グループの警報器が連動元か別グループの警報器が連動元かを判別し、同一グループの警報器が連動元と判別した場合は同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、別グループの警報器が連動元と判別した場合は同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報とは異なる別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力することを特徴とする。
【0020】
(第1-2発明の警報システム:警報器を示す種別情報が設定された異常連動信号)
異常を検出した警報器は、所定の判別情報として警報器を示す種別情報が設定された異常連動信号を送信し、
異常連動信号を受信した警報器は、受信した異常連動信号から警報器を示す種別情報を判別した場合に、同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、受信した異常連動信号から警報器を示す種別情報を判別しない場合に、別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力する。
【0021】
(第1-3発明の警報システム:グループ間移報装置を示す種別情報が設定された異常連動信号)
グループ間移報装置は、一方のグループの警報器から異常連動信号を受信した場合に、所定の判別情報としてグループ間移報装置を示す種別情報が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信し、
異常連動信号を受信した警報器は、受信した異常連動信号からグループ間移報装置を示す種別情報を判別しない場合に、同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、受信した異常連動信号からグループ間移報装置を示す種別情報を判別した場合に、別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力する。
【0022】
(グループ間移報装置の間の直接通信)
グループ間移報装置は、他のグループ間移報装置から一方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を受信した場合に、グループ間移報装置を示す種別情報が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信して他方のグループ内の警報器に連動先の異常警報を出力させる。
【0023】
(第2-2発明の警報システム:自己の属するグループ符号が設定された異常連動信号)
異常を検出した警報器は、所定の判別情報として自己の属するグループを示すグループ符号が設定された異常連動信号を送信し、
異常連動信号を受信した警報器は、受信した異常連動信号から自己の属するグループのグループ符号を判別した場合に、同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、受信した火災連動信号から自己の属するグループ符号を判別しない場合に、別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力する。
【0024】
(第2-3発明の警報システム:一方のグループのグループ符号が設定された異常連動信号)
グループ間移報装置は、一方のグループの警報器から異常連動信号を受信した場合に、所定の判別情報として一方のグループのグループ符号が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信し、
異常連動信号を受信した警報器は、受信した異常連動信号からグループ符号を判別しない場合に、同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、受信した異常連動信号からグループ符号を判別した場合に、別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力する。
【0025】
(異常発生場所を示す連動先異常警報)
グループ間移報装置は、受信した異常連動信号にグループ符号が設定されていない場合に一方のグループのグループ符号が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信し、受信した異常連動信号にグループ符号が既に設定されている場合に当該設定されているグループ符号が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信し、
警報器は、他のグループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報として、他のグループの警報器が設置された場所が異常発生場所であること示す異常警報を出力させる。
【0026】
(グループ間移報装置の間の直接通信)
グループ間移報装置は、他のグループ間移報装置から一方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を受信した場合に、グループ符号が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信して他方のグループ内の警報器に連動先の異常警報を出力させる。
【0027】
(第3-2発明の警報システム:異常を検出した警報器のアドレスが設定された異常連動信号)
異常を検出した警報器は、所定の判別情報として他の警報器とは異なるアドレスが割り 当てられた所定のアドレスが設定された異常連動信号を送信し、
異常連動信号を受信した警報器は、受信した異常連動信号から同一グループに属する他の警報器に割り当てられたアドレスを判別した場合に、同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、受信した異常連動信号から同一グループに属する他の警報器に割り当てられたアドレスを判別しない場合に、別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力する。
【0028】
(第3-3発明の警報システム:グループ間移報装置のアドレスが設定された異常連動信号)
グループ間移報装置は、一方のグループの警報器から異常連動信号を受信した場合に、所定の判別情報としてグループ間移報装置に割り当てられた所定のアドレスが設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信し、
異常連動信号を受信した警報器は、受信した異常連動信号からグループ間移報装置に割り当てられたアドレスを判別しない場合に、同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、受信した異常連動信号からグループ間移報装置に割り当てられたアドレスを判別した場合に、別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力する。
【0029】
(グループ間移報装置の間の直接通信)
グループ間移報装置は、他のグループ間移報装置から一方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を受信した場合に、グループ間移報装置に割り当てられた所定のアドレスが設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信して他方のグループ内の警報器に連動先の異常警報を出力させる。
【発明の効果】
【0030】
(基本的な効果)
本発明は、複数の警報器からなる複数のグループを構成すると共に、グループ毎に異なるチャンネル周波数を設定してグループ内の警報器間で同一チャンネル周波数により信号を無線で送受信し、各グループの警報器は、異常を検出した場合に連動元の異常警報を出力すると共に、グループ内の他の警報器に異常連動信号を送信して連動先の異常警報を出力させる警報システムに於いて、隣接するグループ間に、一方のグループの警報器から異常連動信号を受信した場合に、他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信して他方のグループ内の警報器に連動先の異常警報を出力させるグループ間移報装置を備え、異常を検出した連動元の警報器から送信される異常連動信号又はグループ間移報装置から他方のグループのチャンネル周波数で送信される異常連動信号の少なくとも一方に、同一グループの警報器が連動元か別グループの警報器が連動元かを判別可能とする所定の判別情報(種別情報、グループ符号、アドレス等)が設定され、異常連動信号を受信した警報器は、所定の情報の判別情報により、同一グループの警報器が連動元か別グループの警報器が連動元かを判別し、同一グループの警報器が連動元と判別した場合は同一グループに属する他の警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力し、別グループの警報器が連動元と判別した場合は別グループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報を出力するため、警報システムに設けられた警報器は、所定の判別情報(種別情報、グループ符号、アドレス等)を元に同一グループ又は別グループの警報器が連動元かの判別した連動先の火災警報の出力し、当該警報により同一グループ内の他の警報器の作動か、又は、別グループの警報器の作動かが分かり、火災発生場所の特定を迅速に行って初期消火や避難誘導を適切に行うことを可能とする。
【0031】
また、グループ間移報装置をグループ境界等の隣接したグループからの異常連動信号を受信可能な場所に設置することで、あるグループの警報器が異常を検出した場合のグループ内での異常連動警報に加え、グループ間移報装置による異常連動信号の移報により他のグルーブの警報器の全てから異常連動警報を出力させることができる。
【0032】
(グループ間移報装置の間の直接通信による効果)
また、グループ間移報装置は、他のグループ間移報装置から一方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を受信した場合に、所定の判別情報(種別情報、グループ符号、アドレス等)が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信して他方のグループ内の警報器に連動先の異常警報を出力させるようにしたため、例えば、複数のグループ間移報装置の間で無線通信が不可能な場合には、一方のグループの警報器が異常を検出した場合には、異常を検出した警報器からの異常連動信号は、グループ間移報装置を経由して隣接した他方のグループの警報器に送られ、続いて、他方のグループとさらに異なるグループの間に設けられた別のグループ間移報装置からさらに異なるグループの警報器に順次送られるが、グループ間に配置された複数のグループ間移報装置の間で無線通信が可能な場合には、他のグループの警報器を経由することなく複数のグループ間移報装置の間を異常連動信号が順次送られることで、全グループの警報器で所定の判別情報(種別情報、グループ符号、アドレス等)に基づく連動先異常警報を出力させることができる。
【0033】
(異常発生場所を示す連動先異常警報による効果)
また、グループ間移報装置は、受信した異常連動信号にグループ符号が設定されていない場合に一方のグループのグループ符号が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信し、受信した異常連動信号にグループ符号が既に設定されている場合に当該設定されているグループ符号が設定された他方のグループのチャンネル周波数の異常連動信号を送信し、警報器は、他のグループに属する警報器の作動を示す連動先の異常警報として、他のグループの警報器が設置された場所が異常発生場所であること示す異常警報を出力させるようにしたため、例えば、階別にグループ分けしていた場合には、警報器から異常発生階を示す連動先の異常警報が出力され、異常発生場所を簡単且つ確実に判別して迅速且つ適切な異常に対する対処を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】階層構造の建物に配置した警報システムの実施形態を示した説明図
図2】連動型警報器の機能構成を示したブロック図
図3】グループ間移報装置の機能構成を示したブロック図
図4】グループ間移報装置に組込まれた移報アダプタ装置の制御動作を示したフローチャート
図5】火災連動信号に設定された種別情報に基づき連動先火災警報を出力させる連動型警報器の制御動作を示したフローチャート
図6】火災連動信号に設定されたグループ符号に基づき連動先火災警報を出力させる連動型警報器の制御動作を示したフローチャート
図7】火災連動信号に設定された送信元アドレスに基づき連動先火災警報を出力させる連動型警報器の制御動作を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0035】
[警報システムの概要]
図1は階層構造の建物に配置した警報システムの実施形態を示した説明図である。
図1に示すように、本実施形態の警報システムは、例えば民泊施設等の4階建ての建物11に設置されており、警戒エリアは1F~4Fの階別の警戒エリアであり、階別の警戒エリアの各々に、警報器として機能する例えば5台の無線連動型の連動型警報器10が設置されている。
【0036】
ここで、1F~4Fに設置された5台ずつの連動型警報器10は、建物11の左側に示すように、グループG1,G2,G3,G4を構成しており、グループG1,G2,G3,G4の各々には、異なるチャンネル周波数f1,f2,f3,f4が割り当てられており、各グループG1~G4の連動型警報器10は、自己のグループに割り当てられたチャンネル周波数f1~f4を使用して信号の送受信を行う。
【0037】
グループG1~G4に設けられた連動型警報器10は、火災を検出した場合に連動元を示す火災警報を出力すると共に、自己のグループ内の他の連動型警報器10に火災連動信号を送信して連動先を示す火災警報を出力させる。
【0038】
また、連動型警報器10は、火災を検出した場合に、自己の種別情報として警報器であることを示す警報器種別符号を設定した火災連動信号を送信する。火災連動信号の信号形式は、例えば、送信元符号、種別符号及びイベント符号で構成されている。送信元符号は、送信元を示す符号であり、例えば警報器のシリアル番号等を利用している。種別符号は警報器やアダプタ等の機器種別を示す。イベント符号は、火災、警報停止、障害等のイベント内容を表す符号である。
【0039】
建物11の階別の警戒エリアに対応したグループG1~G4の間には、グループ間移報装置12-12,12-23,12-34が設置される。グループ間移報装置12-12,12-23,12-34は、隣接した階のグループに設けられた両方の連動型警報器10との間で信号の送受信を可能とするため、例えば、各階を結ぶ階段の踊り場の壁面等に設置される。
【0040】
グループ間移報装置12-12,12-23,12-34には、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16が組み込まれている。
【0041】
例えば、1階のグループG1と2階のグループG2の間に設置されたグループ間移報装置12-12を例にとると、第1移報アダプタ14には1FのグループG1の連動型警報器10と同じチャンネル周波数f1が設定されており、1階に設置されたグループG1の連動型警報器10との間で火災連動信号を含む各種の信号の送受信を行う。
【0042】
また、第2移報アダプタ16には、2FのグループG2の連動型警報器10と同じチャンネル周波数f2が設定されており、2階に設置されたグループG2の連動型警報器10との間で火災連動信号を含む各種の信号の送受信を行う。
【0043】
グループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16は例えばシリアル伝送を行う伝送部を備え、内部配線となるパラレル伝送線により接続している。
【0044】
グループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14は、自己のグループG1に属する連動型警報器10からチャンネル周波数f1の火災連動信号を受信した場合に、火災移報信号を生成し、伝送部36に指示して第2移報アダプタ16に火災移報信号を送信する。
【0045】
第1移報アダプタ14からの火災移報信号が受信された第2移報アダプタ16は、チャンネル周波数f2のアダプタ種別符号が設定された火災連動信号を自己のグループG2内の連動型警報器10に送信し、アダプタ種別符号に基づき他のグループの警報器作動を示す連動先火災警報を出力させる。
【0046】
また、グループ間移報装置12-12に組み込まれた第2移報アダプタ16は、自己のグループG2に属する連動型警報器10からチャンネル周波数f2の火災連動信号を受信した場合に、火災移報信号を生成し、伝送部36に指示して第1移報アダプタ14に火災移報信号を送信する。
【0047】
第2移報アダプタ16からの火災移報信号が受信された第1移報アダプタ14は、アダプタ種別符号を設定したチャンネル周波数f1の火災連動信号を自己のグループG1内の連動型警報器10に送信し、アダプタ種別情報に基づき他のグループの警報器作動を示す連動先火災警報を出力させる。
【0048】
上記のように種別情報を用いて連動型警報器からの火災連動信号と移報アダプタからの火災連動信号を区別する方法によれば、移報アダプタ間の信号のやり取りは火災移報信号の有無だけで良く、複雑な通信を必要としない。
【0049】
なお、第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16は、火災連動信号又は火災移報信号を受信した場合に、火災移報警報を出力するようにしても良いが、この点は、後の説明で明らかにする。
【0050】
このような第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16の機能は、グループ間移報装置12-23,12-34についても、使用するチャンネル周波数が相違する以外は同じになる。
【0051】
このため、グループ間移報装置12-23の第1移報アダプタ14にはグループG2のチャンネル周波数f2が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG3のチャンネル周波数f3が設定される。
【0052】
また、グループ間移報装置12-34の第1移報アダプタ14にはグループG3のチャンネル周波数f3が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG4のチャンネル周波数f4が設定される。
【0053】
ここで、グループG1~G4の間の火災連動信号の通信ルートは、例えばグループG1の連動型警報器10で火災を検出した場合を例にとると、グループG1の連動型警報器10、グループ間移報装置12-12、グループG2の連動型警報器10、グループ間移報装置12-23、グループG3の連動型警報器10、グループ間移報装置12-34及びグループG4の連動型警報器10となる第1ルートと、グループG1の連動型警報器10からグループ間移報装置12-12、12-23、12-34と送られ、グループ間移報装置12-12、12-23、12-34から各グループG2,G3,G4の連動型警報器10に送られる第2ルートがある。
【0054】
図1に示すように、グループ間移報装置12-12、12-23、12-34が階段の踊り場等に配置され、隣接したもの同士での無線による信号の送受信が可能な場合は、第2ルートによる通信が行われる。これに対しグループ間移報装置12-12、12-23、12-34が互いに通信可能エリアから離れている場合には、第1ルートに従った通信となる。また、第1ルートと第2ルートは混在した通信も想定される。
【0055】
なお、以下の説明でグループ間移報装置12-12~12-34を区別する必要がない場合は、グループ間移報装置12という場合がある。
【0056】
[連動型警報器の機能構成]
図2は連動型警報器の機能構成を示したブロック図である。図2に示すように、連動型警報器10は、連動型警報器制御部18、アンテナ22を備えた通信部20、センサ部24、動作表示灯26、スピーカ28及び警報停止スイッチ30で構成され、図示しない電池電源で動作する。
【0057】
連動型警報器制御部18は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成している。
【0058】
通信部20は、初期設定等に基づく連動型警報器制御部18からの指示に基づき例えば400MHz帯の4つのチャンネル周波数f1,f2,f3,f4の内の1つ、例えばチャンネル周波数f1を設定し、同一グループに属する他の連動型警報器10との間で信号を無線により送受信できるようにしている。
【0059】
通信部20としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)に準拠した構成を備える。もちろん通信部20としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0060】
センサ部24には検煙部が設けられ、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。検煙部以外に、火災による温度を検出するサーミスタ等の温度検出素子や、火災に伴うその他の物理現象変化を検出する各種素子を設けても良い。
【0061】
動作表示灯26は、連動型警報器制御部18の指示に基づきLEDの点滅や点灯、明滅などにより、火災などの異常を表示する。また、2色LEDや表示色の異なる2つのLEDを設け、連動元の表示と連動先の表示で表示色を異ならせても良い。
【0062】
スピーカ28は、連動型警報器制御部18の指示に基づき音声合成による音声メッセージや警報音を出力する。
【0063】
警報停止スイッチ30は、点検スイッチとしての機能を兼ねており、スピーカ28の警報音と動作表示灯26の警報表示を行っているときにのみ警報停止指示を入力することができ、通常状態で警報停止スイッチ30が操作されると機能点検を実施して結果が報知される。
【0064】
連動型警報器制御部18の制御機能はプログラムの実行により実現され、次の制御機能を備える。
【0065】
連動型警報器制御部18は、センサ部24に設けた検煙部から煙検出信号に基づいて火災を検出した場合、スピーカ28から連動元の警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点灯して連動元の火災警報を出力させる制御を行う。
【0066】
また、連動型警報器制御部18は、火災検出時に、自己の種別情報として警報器種別符号を設定した火災連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器に向けて送信させる制御を行う。
【0067】
また、連動型警報器制御部18は、他の連動型警報器からのチャンネル周波数f1の火災連動信号を通信部20で受信し、受信した火災連動信号から警報器種別符号を判別した場合、スピーカ28から連動先警報音として例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時に動作表示灯26を例えば点滅させ、同一グループの他の連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる制御を行う。
【0068】
また、連動型警報器制御部18は、受信した火災連動信号からアダプタ種別符号を判別した場合、この火災連動信号はグループ間移報装置12を経由して他のグループから送られてきた火災連動信号であることから、スピーカ28から連動先警報音として例えば「ウーウー 別のグループの火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時に動作表示灯26を例えば点滅させ、他のグループの連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる制御を行う。
【0069】
また、連動型警報器は警報器種別符号の火災連動信号を受信したときと、アダプタ種別符号の火災連動信号を受信したときの動作表示灯の点滅速度を異ならせることで、表示での区別も可能となる。
【0070】
また、連動型警報器制御部18は、火災警報又は障害警報の出力中に警報停止スイッチ30の警報停止操作を検出した場合、スピーカ28からの警報音を停止させる制御・警報停止連動信号をグループ内の他の警報器に送信する制御を行う。
【0071】
更に、連動型警報器制御部18は、通信テスト、電池電圧の低下監視、回路故障監視等の障害監視を行っており、通信エラー、電池電圧低下、又は、回路故障を検出すると、スピーカ28から所定の障害警報音を出力させると共に動作表示灯26を点滅して障害警報を出力させ、更に、障害連動信号を通信部20からチャンネル周波数f1を使用して他の連動型警報器に向けて送信させる制御を行う。
【0072】
[グループ間移報装置の機能構成]
図3はグループ間移報装置の機能構成を示したブロック図であり、図1の1FのグループG1と2FのグループG2の間に設置されたグループ間移報装置12-12を例にとっているが、他のグループ間移報装置12-23,12-34も同様となる。
【0073】
図3に示すように、グループ間移報装置12-12は、1つの装置筐体内に、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16が設けられている。第1移報アダプタ14にはグループG1のチャンネル周波数f1が設定され、第2移報アダプタ16にはグループG2のチャンネル周波数f2が設定されている点で相違するが、それ以外の構成及び機能は、基本的に同じになる。
【0074】
第1移報アダプタ14は、アダプタ制御部32、アンテナ35が接続された通信部34、動作表示灯42、スピーカ44、テストスイッチ46、伝送部36で構成され、図示しない電池電源で動作する。第2移報アダプタ16も同様の構成となる。
【0075】
第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16の伝送部36は例えばシリアル伝送機能を備え、伝送線38により接続されている。伝送線38はグループ間移報装置12-12の筐体内に設けられた内部配線となり、このため筐体外部の配線に必要とされる断線監視機能を設ける必要はない。
【0076】
アダプタ制御部32は、CPU、メモリ、各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路で構成している。
【0077】
通信部34は、図2の連動型警報器10に設けられた通信部20と同じであり、初期設定等に基づくグループG1に割り当てられたチャンネル周波数f1を設定し、同じグループG1に属する連動型警報器10との間で信号を無線により送受信できるようにしており、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD-30(小電力セキュリティシステム無線局無線設備標準規格)に準拠した構成を備える。
【0078】
動作表示灯42は、アダプタ制御部32の指示に基づきLEDの点滅や点灯、明滅などにより、火災移報警報、障害警報等を表示する。スピーカ44は、アダプタ制御部32の指示に基づき音声合成による音声メッセージや警報音を出力する。テストスイッチ46は、警報停止、通信テスト、移報停止、移報停止解除等の操作を行う。
【0079】
第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32の制御機能はプログラムの実行により実現され、次の制御機能を備える。
【0080】
第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1の連動型警報器10から第1チャンネル周波数f1の火災連動信号を受信した場合、アダプタ種別符号を設定した火災移報信号を生成し、伝送部36に指示して第2移報アダプタ16に火災移報信号を送信する制御を行う。
【0081】
第1移報アダプタ14からの火災移報信号を伝送部36を介して受信した第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、アダプタ種別符号が設定された火災連動信号を生成し、通信部34に指示してグループG2に設定されたチャンネル周波数f2の火災連動信号を自己のグループG2内の連動型警報器10に送信し、アダプタ種別符号に対応した連動先災警報を出力させる制御を行う。
【0082】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、第2移報アダプタ16から伝送部36を介してアダプタ種別符号が設定された火災移報信号を受信すると、アダプタ種別符号が設定された火災連動信号を生成し、通信部34に指示してチャンネル周波数f1の火災連動信号を自己のグループG1内の連動型警報器10に送信し、アダプタ種別符号に基づき別グループ内の連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる制御を行う。
【0083】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1内の連動型警報器10から警報器種別符号が設定された火災連動信号を受信した場合に、警報器種別符号の判別に基づき、スピーカ44から「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時に動作表示灯42を例えば点滅して同一グループ内の連動型警報器の作動を示す火災移報警報を出力させる制御を行う。
【0084】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、第2移報アダプタ16からアダプタ種別符号が設定された火災移報信号を受信した場合、スピーカ44から「ウーウー 別のグループの火災警報器が作動しました 確認してください」となる警報音を繰り返し出力させ、同時に動作表示灯42を例えば遅く点滅して別グループの連動型警報器の作動を示す火災移報警報を出力させる制御を行う。
【0085】
なお、第1移報アダプタ14による火災移報警報は、警報音は出力せず、動作表示灯42による火災移報警報の表示のみとしても良い。
【0086】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、火災移報警報中や障害警報中に、自己のグループG1内の連動型警報器10から警報停止連動信号を受信した場合に、火災移報警報や障害警報を停止させる制御を行う。
【0087】
また、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、自己のグループG1内の連動型警報器10で通信障害、故障、又は電池電圧の低下を検出して送信された障害連動信号を受信した場合に、スピーカ44から障害内容を示す音声メッセージを出力すると共に、動作表示灯42を所定回数点滅する動作を所定時間置きに繰り返すことで障害警報を出力させる制御を行う。
【0088】
このようなアダプタ制御部32の制御機能は、第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32も同様となる。
【0089】
また、自己のグループG1内の連動型警報器10より火災警報連動信号を受けた第1移報アダプタ14は火災移報警報の出力及び第2移報アダプタ16への火災移報信号送信を行うが、火災移報信号が受信された第2移報アダプタ16は自己のグループG2内の連動型警報器10に対してアダプタ種別符号が設定された火災連動信号を送信するが、火災移報警報の出力は行わないようにしても良い。
【0090】
このような第1移報アダプタ14の警報動作は、第2移報アダプタ16が自己のグループG2内の連動型警報器より火災警報連動信号を受けた場合も同様となる。
【0091】
これにより第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16が同時に警報すると音声が混ざり聞き取りづらくなるが、火災移報信号が受信された側の移報アダプタの警報動作を行わないことで、聞き取りづらくなることを回避する。
【0092】
また、第2移報アダプタ16は、図1に示した隣接するグループ間移報装置12-23から送信されたグループG2に割り当てられたチャンネル周波数f2のアダプタ種別符号が設定された火災連動信号を受信する場合がある。この場合、第2移報アダプタ16のアダプタ制御部32は、伝送部36に指示して第1移報アダプタ14にアダプタ種別符号が設定された火災移報信号を送信する制御を行う。
【0093】
第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、第2移報アダプタ16から火災移報信号を受信した場合、アダプタ種別符号が設定された火災連動信号を生成し、通信部34に指示してグループG1に割り当てられたチャンネル周波数f1のアダプタ種別符号が設定された火災連動信号を自己のグループG1内の連動型警報器10に送信し、アダプタ種別符号に基づき他グループでの連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる制御を行う。
【0094】
このようにグループ間移報装置12-12,12-23,12-34を経由した火災連動信号の移報は、その間に各グループの連動型警報器10を経由した通信が入らないことから、より短い通信時間で火災が検出された例えばグループG1から最も離れたグループG4の火災警報の連動を行うことが可能となる。
【0095】
[移報アダプタの制御動作]
図4はグループ間移報装置に組込まれた移報アダプタ装置の制御動作を示したフローチャートであり、図3のグループ間移報装置12-12に組み込まれた第1移報アダプタ14の制御を例にとって説明すると次のようになる。
【0096】
図4に示すように、第1移報アダプタ14のアダプタ制御部32は、電池電源の投入に伴うステップS1の初期設定で、所定の登録操作等により自己に割り当てられたグループG1のチャンネル周波数f1が設定される。
【0097】
続いて、アダプタ制御部32はステップS2で自己のグループG1内の連動型警報器10から送信されたチャンネル周波数f1による火災連動信号の受信を判別するとステップS3に進み、伝送部36から第2移報アダプタ16に対しアダプタ種別符号が設定された火災移報信号を送信し、続いて、ステップS4で火災移報信号に設定された警報器種別符号を判別してグループG1内の連動型警報器の作動を示す連動先火災警報をスピーカ44からの警報音と動作表示灯42の作動により出力させる。
【0098】
また、アダプタ制御部32は、ステップS5で伝送部36による第2移報アダプタ16からのアダプタ種別符号が設定された火災移報信号の受信を判別するとステップS6に進み、アダプタ種別符号が設定された火災連動信号を生成し、通信部34に指示して自己のグループG1に割り当てられたチャンネル周波数f1の火災連動信号を送信し、続いて、ステップS7で火災移報信号に設定されたアダプタ種別符号を判別してグループG2内の連動型警報器の作動を示す火災移報警報をスピーカ44からの警報音と動作表示灯42の作動により出力させる。
【0099】
また、アダプタ制御部32は、ステップS8で通信部34を介して自己のグループの連動型警報器10からの警報停止連動信号の受信を判別するとステップS9に進み、火災移報警報中又は障害警報中にあることを判別するとステップS10に進み、火災移報警報を停止させる。
【0100】
また、アダプタ制御部32は、ステップS11で通信部34を介して自己のグループの連動型警報器10から障害連動信号の受信を判別するとステップS12に進み、スピーカ44からの警報音と動作表示灯42の作動により障害警報を出力させる。
【0101】
[火災連動に種別符号が設定された連動型警報器の制御動作]
図5は火災連動信号に設定された種別情報に基づき連動先火災警報を出力させる連動型警報器の制御動作を示したフローチャートであり、図2に示した連動型警報器制御部18による制御動作となる。
【0102】
図5に示すように、連動型警報器10に設けられた連動型警報器制御部18はステップS21で火災監視を行っており、ステップS22でセンサ部24からの例えば煙濃度検出信号が所定閾値を超えることで火災を判別するとステップS23に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点灯して連動元火災警報を出力させる。
【0103】
続いて連動型警報器制御部18はステップS24に進み、警報器種別符号が設定された火災連動信号を生成し、通信部20に指示して割り当てられたチャンネル周波数の火災連動信号を送信する。
【0104】
続いて連動型警報器制御部18はステップS25で警報停止スイッチ30による警報停止操作を判別するとステップS26に進み、連動元火災警報の出力を停止すると共に、警報停止連動信号を生成し、通信部20に指示して割り当てられたチャンネル周波数の警報停止連動信号を送信する。
【0105】
また、連動型警報器制御部18はステップS27で同一グループ内の他の連動型警報器からの火災連動信号の受信を判別すると、ステップS28に進んで警報器種別符号であることを判別した場合はステップS29に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー 他の火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点滅し、同一グループ内の他の連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる。
【0106】
一方、ステップS28で警報器種別符号が判別できない場合はステップS30に進み、アダプタ種別符号を判別するとステップS31に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー他のグループの火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に動作表示灯26を例えば点滅し、別グループの連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる。
【0107】
続いて、連動型警報器制御部18はステップS32で警報停止連動信号の受信を判別するか、又は、ステップS33で警報停止スイッチ30の操作を判別すると、ステップS34に進んでステップ29で出力した連動先火災警報を停止させる。
【0108】
[火災連動信号にグループ符号が設定される実施形態]
本発明の他の実施形態にあっては、連動型警報器10とグループ間移報装置12との間で送受信する火災連動信号にグループ符号を設定するようにしたことを特徴とする。
【0109】
図1に示した警報システムにあっては、連動型警報器10が火災を検出して火災連動信号を送信する場合、予め割り当てられた自己のグループを示すグループ符号が設定された火災連動信号を送信する。
【0110】
更に、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16の間で伝送部36により火災移報信号を送信する場合、受信した火災連動信号に設定されているグループ符号は変更せず、同じグループ符号が設定された火災移報信号を送信する。
【0111】
図2に示した連動型警報器10の連動型警報器制御部18は、グループ符号が設定された火災連動信号を受信した場合、グループ符号が自己グループであることを判別した場合には、「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」とする音声メッセージを含む同一グループ内の連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる制御を行う。
【0112】
また、連動型警報器10の連動型警報器制御部18は、受信した火災連動信号のグループ符号が他のグループのグループ符号であることを判別した場合には、例えば「ウーウー グループGi(グループ名)の火災警報器が作動しました 確認してください」とする他のグループの連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる制御を行う。
【0113】
更に、連動型警報器10の連動型警報器制御部18による他のグループの警報器作動を示す連動先火災警報としては、警報メッセージの中の「グループGi」を、そのグループGiが割り当てられた監視対象施設の設置場所を示す内容とすることが望ましい。例えは図1のグループG1の連動型警報器10が作動した場合には、グループG1は建物11の1階に設定されていることから、例えば「ウーウー 1階の火災警報器が作動しました 確認してください」とする警報メッセージが出力される。
【0114】
図6は火災連動信号に設定されたグループ符号に基づき連動先火災警報を出力させる連動型警報器の制御動作を示したフローチャートであり、図5のステップS21~S34が図6のステップS44~S54に対応しており、ステップS44、S48~S51がグループ符号に固有な制御動作となる。
【0115】
図6に示すように、連動型警報器10に設けられた連動型警報器制御部18はステップS41で火災監視を行っており、ステップS42で火災を判別するとステップS43に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点灯して連動元火災警報を出力させる。
【0116】
続いて連動型警報器制御部18はステップS44に進み、自己の属するグループを示すグループ符号を設定した火災連動信号を生成し、通信部20に指示して割り当てられたチャンネル周波数の火災連動信号を送信する。
【0117】
続いて連動型警報器制御部18はステップS45で警報停止操作を判別するとステップS46に進み、連動元火災警報の出力を停止すると共に、警報停止連動信号を生成し、通信部20に指示して警報停止連動信号を送信する。
【0118】
また、連動型警報器制御部18はステップS47で同一グループ内の他の連動型警報器からの火災連動信号の受信を判別すると、ステップS48に進んでグループ符号から同一グループの警報器であることを判別した場合はステップS49に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー 他の火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点滅し、同一グループ内の他の連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる。
【0119】
一方、ステップS48でグループ符号が同一グループでない場合はステップS50に進み、グループ符号が別グループであることを判別するとステップS51に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー グループGi(グループ名)の火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に動作表示灯26を例えば点滅し、別グループの連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる。
【0120】
続いて、連動型警報器制御部18はステップS52で警報停止連動信号の受信を判別するか、又は、ステップS53で警報停止操作を判別すると、ステップS54に進んでステップ49で出力した連動先火災警報を停止させる。
【0121】
[火災連動信号にアドレスが設定される実施形態]
本発明の他の実施形態にあっては、連動型警報器10とグループ間移報装置12との間で送受信する火災連動信号に送信元アドレスを設定するようにしたことを特徴とする。
【0122】
図1の警報システムにおけるアドレスの割り当ては、グループG1~G4に配置された例えば5台の連動型警報器10にアドレスA1~A5がグループ単位に割り当てられ、また、グループ間移報装置12-12~12-34に設けられた第1移報アダプタ14と第2アダプタ16には、異なるアドレスA14,A15が設定される。なお、連動型警報器10を含む全てのアドレスを異ならせても良い。
【0123】
同一グループ内においてグループ間移報装置は2つ存在する可能性があり、移報アダプタも第1移報アダプタと第2移報アダプタが存在する可能性がある。例えば、
2FのグループG2において、グループ間移報装置12-12の第2移報アダプタとグループ間移報装置12-23の第1移報アダプタがグループ内の移報アダプタとなる。
【0124】
移報アダプタのアドレスはグループが異なれば重複可能であるため、本実施例のようなグループ内の移報アダプタが最大2個であるような場合は移報アダプタに割り当てられるアドレスは2つとなる。この2つのアドレスは第1移報アダプタ・第2移報アダプタそれぞれで固有のアドレスとするようにしても良い。この場合、上側のグループによる移報か下側のグループによる移報か区別することが出来るようになる。
【0125】
図1の警報システムに示した連動型警報器10が火災を検出して火災連動信号を送信する場合、又は、図3に示したグループ間移報装置12に設けられた第1移報アダプタ14または第2移報アダプタ16から火災連動信号を送信する場合、予め割り当てられた自己アドレスが送信元アドレスに設定された火災連動信号が送信される。
【0126】
更に、第1移報アダプタ14と第2移報アダプタ16の間で伝送部36により火災移報信号を送信する場合に、自己アドレスが送信元アドレスに設定された火災移報信号が送信される。
【0127】
図2に示した連動型警報器10の連動型警報器制御部18は、受信した火災連動信号に設定された送信元アドレスが連動型警報器の割り当てアドレスA1~A5の何れかであることを判別した場合には、「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」とする音声メッセージを含む同一グループ内の警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる制御を行う。
【0128】
また、連動型警報器10の連動型警報器制御部18は、受信した火災連動信号に設定された送信元アドレスが第1移報アダプタ14及び第2移報アダプタ16の割り当てアドレスA14、A15の何れかであることを判別した場合には、例えば「ウーウー 他のグループの火災警報器が作動しました 確認してください」とする他のグループの連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる制御を行う。
【0129】
図7は火災連動信号に設定された送信元アドレスに基づき連動先火災警報を出力させる連動型警報器の制御動作を示したフローチャートであり、図5のステップS21~S34が図7のステップS61~S74に対応しており、ステップS64、S68~S71がアドレス設定に固有な制御動作となる。
【0130】
図7に示すように、連動型警報器10に設けられた連動型警報器制御部18はステップS61で火災監視を行っており、ステップS62で火災を判別するとステップS63に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点灯して連動元火災警報を出力させる。
【0131】
続いて連動型警報器制御部18はステップS64に進み、自己アドレスが送信元アドレスに設定された火災連動信号を生成し、通信部20に指示して割り当てられたチャンネル周波数の火災連動信号を送信する。
【0132】
続いて連動型警報器制御部18はステップS65で警報停止操作を判別するとステップS66に進み、連動元火災警報の出力を停止すると共に、警報停止連動信号を生成し、通信部20に指示して警報停止連動信号を送信する。
【0133】
また、連動型警報器制御部18はステップS67で同一グループ内の他の連動型警報器からの火災連動信号の受信を判別すると、ステップS68に進んで送信元アドレスが連動型警報器の割り当てアドレスの何れかであることを判別した場合はステップS69に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー 他の火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に、動作表示灯26を例えば点滅し、同一グループ内の他の連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる。
【0134】
一方、ステップS68で送信元アドレスが連動型警報器の割り当てアドレスでない場合はステップS70に進み、送信元アドレスがアダプタ割り当てアドレスであることを判別するとステップS71に進み、スピーカ28から例えば「ウーウー 他のグループの火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共に動作表示灯26を例えば点滅し、別グループの連動型警報器の作動を示す連動先火災警報を出力させる。
【0135】
続いて、連動型警報器制御部18はステップS72で警報停止連動信号の受信を判別するか、又は、ステップS73で警報停止操作を判別すると、ステップS74に進んでステップ69で出力した連動先火災警報を停止させる。
【0136】
[本発明の変形例]
上記の実施形態は、火災連動信号及び火災移報信号に、種別符号、グループ符号又はアドレスを設定して送信させているが、例えば種別符号とグループ符号の両方を設定してもよいし、それ以外の適宜の識別符号を設定しても良い。
【0137】
警報器で自己のグループからの連動警報か他のグループからの連動警報かを区別できるなら適宜の方法を取ってよい。
【0138】
上記の実施形態は親機/子機の区別無くそれぞれの警報器が相互に通信するものであるが、各チャンネルグループに親機と子機を設け、隣接するグループの親機に入出力接続した2台の移報アダプタをグループ間移報装置に組み込んで内部配線により移報を入出力接続するようにしても良い。
【0139】
また、上記の実施形態は、第1移報アダプタと第2移報アダプタとの間の火災移報信号の伝送にシリアル伝送を用いているが、これに限定されず、パラレル伝送としても良い。
【0140】
また、上記の実施形態は火災を検出して警報する連動型警報器を例にとるものであったが、ガス漏れ警報器、CO警報器、各種の防犯用警報器を配置した警報システムについても同様に適用できる。
【0141】
また、上記の実施形態におけるフローチャートは処理の概略例を説明したもので、処理の順番等はこれに限定されない。また各処理や処理と処理の間に必要に応じて遅延時間を設けたり、他の判定を挿入する等が出来る。
【0142】
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0143】
10:連動型警報器
11:建物
12-12~12-34:グループ間移報装置
14:第1移報アダプタ
16:第2移報アダプタ
18:連動型警報器制御部
20,34:通信部
24:センサ部
26,42:動作表示灯
28,44:スピーカ
30:警報停止スイッチ
32:アダプタ制御部
36:伝送部
38:伝送線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7