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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】宅配装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20231109BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231109BHJP
   G06Q 10/083 20230101ALI20231109BHJP
【FI】
B65G61/00 550
G05D1/02 H
G06Q10/083
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021053607
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150826
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松島 邦明
(72)【発明者】
【氏名】植松 功
(72)【発明者】
【氏名】近藤 友里恵
(72)【発明者】
【氏名】野田 望
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲作
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228112(JP,A)
【文献】特開2018-025894(JP,A)
【文献】特開2019-067090(JP,A)
【文献】特開2019-109847(JP,A)
【文献】特開2020-179984(JP,A)
【文献】特開2022-068480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G05D 1/02
G06Q 10/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅内の住戸に、荷物を自律的に配達する宅配装置であって、
前記荷物に関する情報を表示する表示部を備え、
前記表示部は、配達している荷物の重さに関する情報を表示することを特徴とする、宅配装置。
【請求項2】
集合住宅内の住戸に、荷物を自律的に配達する宅配装置であって、
前記荷物に関する情報を表示する表示部を備え、
前記表示部は、配達先に到着すると、前記荷物に関する情報を表示することを特徴とする、宅配装置。
【請求項3】
前記荷物に関する音声情報を出力する音声情報出力手段をさらに備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の宅配装置。
【請求項4】
集合住宅内の住戸に、荷物を自律的に配達する宅配装置であって、
前記荷物に関する音声情報を出力する音声情報出力手段を備え、
前記音声情報出力手段は、配達先に到着すると、配達している荷物の重さに関する音声情報を出力することを特徴とする、宅配装置。
【請求項5】
集合住宅内の住戸に、荷物を自律的に配達する宅配装置であって、
撮像手段と、
前記撮像手段が取得した人の画像に基づいて、前記人による前記荷物の受取姿勢に関する注意情報を出力する注意情報出力手段と、
を備えることを特徴とする、宅配装置。
【請求項6】
集合住宅内の住戸に、荷物を自律的に配達する宅配装置であって、
撮像手段又は収音手段と、
前記撮像手段が取得した人の画像、又は前記収音手段が収音した音に基づいて、荷物を受け取った人の様子を監視する監視手段と、
を備えることを特徴とする、宅配装置。
【請求項7】
集合住宅内の住戸に、荷物を自律的に配達する宅配装置であって、
人を識別する識別手段と、
識別された人に応じて引き渡す荷物を変更する判定手段と、
を備えることを特徴とする、宅配装置。
【請求項8】
集合住宅内の住戸に、荷物を自律的に配達する宅配装置であって、
人を識別する識別手段と、
配達先において、識別された人に応じて荷物を引き渡すか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記荷物の重さをさらに考慮して、前記荷物を引き渡すか否かを判定することを特徴とする、宅配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自律式の宅配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内を自律的に移動して、各種のサービスを行うロボットが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-220123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたロボットの活用方法の一つとして、集合住宅における荷物の宅配サービスが考えられる。一方で、ロボットが各住戸まで荷物を運搬した後は、住人が荷物を取り扱うことが想定されるが、その際に不適切な取り扱いが行われることを避けることが望ましい。
【0005】
本発明は、宅配装置が荷物を住戸まで宅配した後に、住人が適切に荷物を取り扱うことを支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る宅配装置は、以下の構成を備える。すなわち、
集合住宅内の住戸に、荷物を自律的に配達する宅配装置であって、
前記荷物に関する情報を表示する表示部を備え
前記表示部は、配達している荷物の重さに関する情報を表示する。
【発明の効果】
【0007】
宅配装置が荷物を住戸まで宅配した後に、住人が適切に荷物を取り扱うことを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)は本発明の一実施形態に係る宅配装置の側面図、(B)は図1(A)の宅配装置の内部構造の説明図。
図2図1(A)の宅配装置の制御系のブロック図。
図3】集合住宅における宅配サービスの例の説明図。
図4】表示ユニットによる表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<宅配装置の概要>
図1(A)は本発明の一実施形態に係る宅配装置1の側面図、(B)は宅配装置1の内部構造の説明図である。図中矢印Xは宅配装置1の前後方向を示しFが前をRが後を示す。矢印Y、Zは宅配装置1の幅方向(左右方向)、上下方向を示す。
【0011】
宅配装置1は、走行ユニット2を備え、バッテリ25を主電源とした電動自律式車両である。バッテリ25は例えばリチウムイオンバッテリ等の二次電池であり、バッテリ25から供給される電力により走行ユニット2によって宅配装置1は自走する。走行ユニット2は、左右一対の前輪20と、左右一対の後輪21とを備えた四輪車である。走行ユニット2は三輪車の形態等、他の形態であってもよい。
【0012】
走行ユニット2は操舵機構22を備える。操舵機構22はモータ22aを駆動源として一対の前輪20の舵角を変化させる機構である。一対の前輪20の舵角を変化させることで宅配装置1の進行方向を変更することができる。走行ユニット2は、また、駆動機構23を備える。駆動機構23はモータ23aを駆動源として一対の後輪21を回転させる機構である。一対の後輪21を回転させることで宅配装置1を前進又は後進させることができる。
【0013】
宅配装置1は、宅配装置1の周囲の物標を検知する検知ユニット8~10を備える。検知ユニット8~10は、宅配装置1の周辺を監視する外界センサ群であり、本実施形態の場合、いずれも宅配装置1の周囲の画像を撮像する撮像装置であり、例えば、レンズなどの光学系とイメージセンサとを備える。しかし、撮像装置に代えて或いは撮像装置に加えて、レーダやライダ(Light Detection and Ranging)を採用することも可能である。
【0014】
検知ユニット8は宅配装置1の前部にY方向に離間して二つ配置されており、主に、宅配装置1の前方の物標を検知する。検知ユニット9は宅配装置1の左側部及び右側部にそれぞれ配置されており、主に、宅配装置1の側方の物標を検知する。検知ユニット10は宅配装置1の後部に配置されており、主に、宅配装置1の後方の物標を検知する。
【0015】
宅配装置1は、荷物を収納する複数の収納ユニット3及び4(本実施形態の場合、合計4つ)を備える。収納ユニット3及び4はいずれも箱型の収納空間を有しており、収納ユニット4の方が収納ユニット3よりも容積が大きい。したがって、大型の荷物は収納ユニット4に、小型の荷物は収納ユニット3に、それぞれ収納することに適している。
【0016】
収納ユニット3は、宅配装置1の前側に2つ配置されている。2つの収納ユニット3のうちの一方は、宅配装置1の左側面にドア3aが設けられており、ドア3aの開放によって宅配装置1の左側から荷物の出し入れが可能である。2つの収納ユニット3のうちの他方は、宅配装置1の右側面にドア3aが設けられており、ドア3aの開放によって宅配装置1の右側から荷物の出し入れが可能である。図1(A)はドア3aが閉鎖された状態を示し、図1(B)はドア3aが開放された状態を示している。
【0017】
収納ユニット4は、宅配装置1の後側に2つ配置されている。2つの収納ユニット4のうちの一方は、宅配装置1の左側面にドア4aが設けられており、ドア4aの開放によって宅配装置1の左側から荷物の出し入れが可能である。2つの収納ユニット4のうちの他方は、宅配装置1の右側面にドア4aが設けられており、ドア4aの開放によって宅配装置1の右側から荷物の出し入れが可能である。図1(A)はドア4aが閉鎖された状態を示し、図1(B)はドア4aが開放された状態を示している。
【0018】
各収納ユニット3及び4には、それぞれ、切替ユニット11と、収納センサ12とが個別に設けられている。本実施形態の切替ユニット11は、ソレノイド或いはモータ等のアクチュエータを駆動源としたドア3a、4aのロック、アンロック機構である。
【0019】
切替ユニット11のロックによって収納ユニット3、4の収納空間がドア3a、4aによって閉鎖され、収納ユニット3、4は荷物を出し入れ困難な閉鎖状態となる。また、切替ユニット11のアンロックによって、ドア3a、4aが開放可能となり、収納ユニット3、4は荷物を出し入れ可能な開放状態となる。
【0020】
収納センサ12は例えば光センサや圧力センサであり、収納ユニット3、4の収納空間に荷物が収納されているか否かを検知する。
【0021】
宅配装置1の上部の周面には、表示ユニット5~7が配置されている。表示ユニット5~7は、例えば液晶表示パネルであり、配達員、受取人、その他周囲の人々に情報を表示する。表示ユニット5は宅配装置1の前部に配置されている。表示ユニット6は宅配装置1の左側部及び右側部にそれぞれ配置されている。表示ユニット7は宅配装置1の後部に配置されている。
【0022】
宅配装置1の天部にはマニピュレータ24が収納可能に配置されている。マニピュレータ24は、集合住宅の入り口の入場用ボタン、エレベータの行き先階ボタン、住戸の玄関のインターフォンのボタン等のボタン類を操作するために設けられている。
【0023】
宅配装置1の天部には、また、操作パネル13やリーダ14が設けられている。操作パネル13は例えばタッチパネルであり、配達員や受取人の各種の要求操作を受け付ける。また、リーダ14は例えば二次元コードを光学的に読み取る装置であり、配達員や受取人から提示されるコードを読み取って対応する処理を行う。配達員は、操作パネル13又はリーダ14から荷物に関する情報の入力を行うことができる。また、受取人は操作パネル13又はリーダ14から荷物の引き渡し要求に関する情報の入力を行うことができる。
【0024】
<制御系>
図2は宅配装置1の制御系のブロック図である。宅配装置1は、制御ユニット(ECU)15を備える。制御ユニット15は、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。プロセッサ、記憶デバイス、インタフェースは、宅配装置1の機能別に複数組設けられて互いに通信可能に構成されてもよい。
【0025】
制御ユニット15は、検知ユニット8~10の検知結果、操作パネル13及びリーダ14の入力情報、収納センサ12の検知結果を取得して、対応する処理を実行する。音声入力装置19は、配達員や受取人、或いは、その他の人の音声を収音する。制御ユニット15は、入力された音声を認識して、対応する処理を実行可能である。GNSS(Global Navigation Satellite system)センサ16は、GNSS信号を受信して宅配装置1の現在位置を検知する。記憶装置17は、配達先の集合住宅の情報、配達先の住戸の情報、荷物の情報等を記憶する大容量記憶デバイスである。
【0026】
制御ユニット15は、モータ22a、23aの制御(走行ユニット2の走行制御)、マニピュレータ24の動作制御、表示ユニット5~7の表示制御、切替ユニット11のロック・アンロック制御を行う。制御ユニット15は、また、音声出力装置18により配達員や受取人、或いは、その他の人に音声による報知、情報の出力を行う。通信装置30は、配達員や受取人の携帯端末、集合住宅における通信端末と近距離無線通信が可能な装置である。通信装置31は、インタネーット等の通信ネットワークを介して、宅配装置1や宅配サービス全般を管理するサーバ50と無線通信が可能な装置である。宅配装置1は、例えば、集合住宅の管理組合又は配達業者により管理される。
【0027】
<集合住宅における配達の形態>
図3は集合住宅100における宅配装置1による宅配サービスの例の説明図である。集合住宅100は複数の階層を有しており、エレベータ103によって階層間を移動可能である。タワーマンションのように住戸数が多い集合住宅において、宅配装置1による宅配サービスが有利であり、配達員の負担を軽減しつつ、より短時間で荷物の配達を行うことができる。
【0028】
宅配装置1には地上において配達員200によって荷物201が収納され、配達先等の情報が配達員200によって入力される。情報の入力は、配達員200の携帯端末と通信装置30との無線通信、操作パネル13に対する配達員200の操作、或いは、リーダ14に対するコードの提示のいずれかによって可能である。なお、本実施形態では宅配装置1に対する荷積みを行う例を例示したが、荷積みを別の場所で行い、宅配装置1を輸送する態様も採用可能である。
【0029】
宅配装置1は、事前に集合住宅100内を自律的に移動するために必要な情報を記憶装置17に格納している。この情報は、例えば、集合住宅100の管理組合から提供される集合住宅100のフロアマップ、或いは、宅配装置1が過去の配達記録或いは事前の学習から得た情報を含む。こうした情報と検知ユニット8~10やGNSSセンサ16の検知結果とを利用して配達先の住戸101aへ自律的に移動する。
【0030】
宅配装置1は階層間の移動の際にはエレベータ103を利用する。宅配装置1は、かご103aに搭乗し、行き先階の指定は、マニピュレータ24による操作、或いは、エレベータ103側の通信端末と通信装置30との通信により行う。行き先階に到着すると走行ユニット2によって共用廊下102を走行して配達先の住戸101に向かう。配達先の住戸101において、受取人である住人Pに荷物201を引き渡す。複数の配達先の荷物を収納している場合には、それらの配達先を順次移動して荷物の配達を行う。
【0031】
荷物を引き渡す際には、収納ユニット3及び4のうち、配達対象の荷物が収納されている収納ユニットに対応する切替ユニット11を駆動して、その収納ユニットを開放状態とする。荷物が取り出されると、切替ユニット11を駆動して、その収納ユニットを閉鎖状態とする。荷物が取り出されたか否かは収納センサ12の検知結果から判定することができる。以上により荷物の配達が完了する。
【0032】
<荷物に関する情報の提供>
宅配装置1が配達先の住戸101に到着すると、荷物201は住人Pによって取り扱われる。例えば、住人Pは収納ユニット3~4から荷物201を取り出し、住戸101内へと運搬する。本実施形態に係る宅配装置1は、荷物に関する情報を住人Pへと提供することにより、住人Pが適切に荷物201を取り扱うことを支援することができる。
【0033】
例えば、一実施形態において、宅配装置1が有する表示ユニット5~7は、荷物に関する情報を表示する。以下では、表示ユニット5が表示する情報の例について説明するが、他の表示ユニット6~7が同様の表示を行ってもよい。表示ユニット5は、配達先に到着すると、荷物に関する情報を表示することができる。一方で、集合住宅の他の住人に知られないように、表示ユニット5は、配達先へと移動している間は、荷物に関する情報を表示することを差し控えてもよい。
【0034】
荷物に関する情報としては、配達している荷物201の重さに関する情報が挙げられる。例えば、表示ユニット5は、配達先に到着すると、配達している荷物201の重さに関する情報を表示することができる。表示ユニット5が荷物201の重さに関する情報を表示する構成によれば、例えば、荷物201が重いことを住人Pに知らせることができるため、住人Pは腰を痛めないように用心しながら荷物201を取り出すことができる。また、荷物201が重いことを知った住人Pは、同じ住戸101に済んでいる別の住人に荷物201を取り出すことを依頼することもできる。図4は、表示ユニット5による、荷物201の重さに関する情報(10kg)の表示例を示す。
【0035】
さらに、住人Pは、荷物に関する情報を考慮して、荷物201を受け取ることを拒否してもよい。住人Pは、操作パネル13を介して、又は住人Pが有する携帯端末40及び通信装置30を介して、受け取りを拒否することを示す入力を行うことができる。例えば、荷物201が重いことを知った住人Pは、荷物201を受け取ることを拒否することができる。この場合、宅配装置1は、後の時刻に、又は住人Pが指定した時刻に、再度荷物201を住戸101に配達することができる。こうして、荷物201を取り出せる住戸101の別の住人が荷物201を取り出すことが可能になる。
【0036】
表示ユニット5が表示する情報は、荷物の重さに関する情報に限られない。例えば、表示ユニット5は、荷物の壊れやすさに関する情報、荷物の保管方法に関する情報(例えば常温又は冷蔵)、又は荷物の内容に関する情報のような、荷物自体に関する情報を表示してもよい。さらに、表示ユニット5は、荷物の差出人、又は荷物の受取人のような、荷物の配達に関する情報を表示してもよい。このような情報を表示することによっても、住人Pが適切に荷物201を取り扱うことを支援することができる。
【0037】
宅配装置1は、これらの荷物に関する情報を、配達員200の携帯端末と通信装置30との無線通信、操作パネル13に対する配達員200の操作、或いは、リーダ14に対するコードの提示によって、取得することができる。
【0038】
なお、荷物に関する情報の通知方法は、表示ユニット5における情報表示には限られない。具体例として、音声出力装置18が荷物に関する音声情報を出力してもよい。別の例として、制御ユニット15は、通信装置30を介して、住人Pが有する携帯端末40へと荷物に関する音声情報を出力する、音声情報出力部として機能してもよい。さらなる別の例として、配達物の通知に、荷物に関する情報を含めてもよい。例えば、荷物201を配達することを予告する、住人Pが有する携帯端末40へと送られるメールに、配達物の重さを示す情報が含まれていてもよい。
【0039】
一実施形態においては、表示ユニット5が荷物に関する情報を表示する一方で、宅配装置1は、上記のように荷物に関する音声情報を出力する。例えば、宅配装置1は、配達先に到着すると、荷物に関する情報を表示するとともに、配達している荷物の重さに関する音声情報を出力することができる。このような構成によれば、住人Pが荷物に関する情報を確認する可能性が高くなるため、住人Pがより適切に荷物201を取り扱うことが期待できる。
【0040】
<受取姿勢に関する情報の提供>
宅配装置1は、住人Pによる荷物201の受取姿勢に関する情報を提供してもよい。例えば、制御ユニット15は、撮像装置である検知ユニット8~10が取得した人の画像に基づいて、人による荷物の受取姿勢に関する注意情報を出力する注意情報出力部として機能してもよい。例えば、制御ユニット15は、住人Pが片手で荷物を持ち上げようとしている場合に、受取姿勢が正しくないことを通知し、又は両手で荷物を持つように提案することができる。また、重い荷物を持ち上げる時には、膝を曲げて荷物をつかみ、膝を伸ばしながら荷物を持ち上げることにより、腰を痛めることを防止できる。このため、制御ユニット15は、住人Pが膝を伸ばした状態で荷物を持ち上げようとしている場合に、受取姿勢が正しくないことを通知し、又は膝を曲げてから荷物を持つように提案することができる。制御ユニット15は、例えば、深層学習技術又は関節点検出技術を用いた画像に対する姿勢認識処理により、人の姿勢を検出することができる。
【0041】
制御ユニット15は、さらに荷物に関する情報に基づいて、荷物201の受取姿勢に関する情報を提供してもよい。例えば、制御ユニット15は、荷物201の重さに対して住人Pの受取姿勢が適切ではない場合に、注意情報を出力することができる。具体例として、荷物201の重さが閾値以上であり、かつ住人Pが片手で荷物を持ち上げようとしている場合に、制御ユニット15は両手で荷物を持つように提案することができる。この閾値は、住人Pに応じて定められていてもよい。例えば、閾値が住人Pごとに予め設定されていてもよいし、閾値が住人Pの年齢又は性別に応じて決定されてもよい。このような構成によれば、住人Pがより適切に荷物201を取り扱うことが期待できる。
【0042】
なお、荷物201の受取姿勢に関する情報の提供方法は特に限定されない。制御ユニット15は、表示ユニット5にこの情報を表示させてもよいし、音声出力装置18にこの情報を音声出力させてもよいし、通信装置30を介して、住人Pが有する携帯端末40へとこの情報を出力してもよい。
【0043】
<荷物を受け取った人の監視>
宅配装置1は、荷物を受け取った人の様子を監視してもよい。例えば、宅配装置1は、荷物201を受け取った住人Pの様子に異常がないかどうかを監視することができる。このような構成によれば、重い荷物201を受け取った際に住人Pが腰を痛めても、宅配装置1はこの旨を通報することができる。
【0044】
例えば、制御ユニット15は、撮像装置である検知ユニット8~10が取得した人の画像に基づいて、荷物を受け取った人の様子を監視する監視部として機能することができる。この場合、制御ユニット15は、画像に対する姿勢認識処理により住人Pの姿勢を検出し、住人Pが倒れた場合、住人Pの姿勢が急激に変化した場合、又は住人Pが一定時間動かなくなった場合に、住人Pの様子に異常があると判定することができる。
【0045】
また、制御ユニット15は、音声入力装置19が集音した音に基づいて、荷物を受け取った人の様子を監視する監視部として機能することもできる。この場合、制御ユニット15は、うめき声が集音された場合、又は大きな音が集音された場合に、住人Pの様子に異常があると判定することができる。
【0046】
荷物201を受け取ることによる腰の状態を監視するために、制御ユニット15は、住人Pが荷物201を受け取った直後における住人Pの様子を監視してもよい。また、住人Pの様子に異常があると判定された場合、制御ユニット15は、通信装置30を介して、集合住宅の管理室に備えられた端末、住人Pに関連付けられた家族が有する携帯端末、又は救急サービスへと通報を行ってもよい。
【0047】
<人に応じた荷物の引き渡し>
宅配装置1は、荷物を受け取ろうとする人を識別し、識別結果に応じて荷物の引き渡し動作を変更してもよい。この場合、制御ユニット15は、人を識別する識別部として動作することができる。例えば、制御ユニット15は、撮像装置である検知ユニット8~10による撮像画像に対する顔認証により、人を識別することができる。この場合、認証のために用いる人の特徴情報は、サーバ50又は記憶装置17に登録することができる。別の例として、制御ユニット15は、通信装置30を介して周囲の携帯端末40と通信することにより、携帯端末40を所持している人を識別することができる。
【0048】
一実施形態において、制御ユニット15は、識別された人に応じて引き渡す荷物を変更する判定部として機能することができる。また、制御ユニット15は、配達先において、識別された人に応じて荷物を引き渡すか否かを判定する判定部として機能することもできる。
【0049】
例えば、宅配装置1が宛先である住戸101に荷物201を運搬した場合、住戸101の任意の住人が荷物201を取り出すことが考えられる。一方で、荷物201の受取人を限定することが望まれる場合がある。例えば、宅配装置1は、住戸101の特定の住人に対してこの住人宛の荷物を引き渡す一方で、住戸101の別の住人に対してこの住人宛の別の荷物を引き渡すことができる。また、宅配装置1は、荷物201の受取人を指定する情報と、荷物を受け取ろうとする人の識別結果とに基づいて、荷物201を引き渡すか否かを制御することができる。具体的には、荷物201について指定された受取人が存在することが識別された場合に、宅配装置1は荷物201を引き渡すことができる。このような構成によれば、荷物201を指定された受取人以外が受け取ることを防止することができる。別の例として、宛先である住戸101において、荷物201について指定された受取人と同居している人が識別された場合に、宅配装置1は荷物201を引き渡すことを差し控えることができる。このような構成によれば、指定された受取人は、荷物201を秘密裏に受け取ることができる。この場合、宅配装置1は、荷物201の受取人を指定する情報を、配達員200の携帯端末と通信装置30との無線通信、操作パネル13に対する配達員200の操作、或いは、リーダ14に対するコードの提示によって、取得することができる。
【0050】
また、制御ユニット15は、荷物201の重さをさらに考慮して、荷物201を引き渡すか否かを判定してもよい。このような構成によれば、荷物201が重い場合、荷物201を取り出し可能な人に受取人を限定することができる。例えば、住人ごとに、取り出し可能な荷物の重さの上限値が予め登録されていてもよい。この場合、制御ユニット15は、荷物201の重さが、識別された人について設定された上限値以下である場合に、荷物201を引き渡すことができる。一方で、制御ユニット15は、荷物201の重さが、識別された人について設定された上限値を超える場合、荷物201を引き渡すことことを差し控えることができる。別の例として、制御ユニット15、荷物を受け取ろうとする人の年齢又は性別を識別し、識別結果及び荷物201の重さに応じて、荷物201を引き渡すか否かを判定してもよい。このような構成によれば、重い荷物を引き渡した結果として、荷物が落下するなど、荷物が適切に取り扱われないことを防止することができる。
【0051】
荷物201を配達することを差し控えると判定した場合、宅配装置1は、後の時刻に、又は住人が指定した時刻に、再度荷物201を住戸101に配達することができる。こうして、荷物201を取り出せる住戸101の別の住人が荷物201を取り出すことが可能になる。
【0052】
上記の、荷物に関する情報を提供する構成、受取姿勢に関する情報を提示する構成、荷物を受け取った人を監視する構成、及び人に応じた荷物の引き渡しを行う構成は、任意に組み合わせることができる。例えば、表示ユニット5に荷物に関する情報を表示する宅配装置1が、さらに、受取姿勢に関する情報を提示する構成、荷物を受け取った人を監視する構成、及び/又は人に応じた荷物の引き渡しを行う構成を有していてもよい。
【0053】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は以下の宅配装置を少なくとも開示する。
【0054】
1.上記実施形態の宅配装置(1)は、
集合住宅(100)内の住戸(101)に、荷物(201)を自律的に配達する宅配装置であって、
前記荷物(201)に関する情報を表示する表示部(5~7)を備える。
この実施形態によれば、荷物に関する情報を住人へと提供することができるため、住人が適切に荷物を取り扱うことが期待される。
【0055】
2.上記実施形態では、
前記表示部(5~7)は、配達している荷物(201)の重さに関する情報を表示する。
この実施形態によれば、住人が荷物の重さに応じた適切な取り扱いを行うことが期待される。
【0056】
3.上記実施形態では、
前記表示部(5~7)は、配達先に到着すると、配達している荷物(201)の重さに関する情報を表示する。
この実施形態によれば、配達先の住人のみに対して荷物に関する情報を知らせることができる。
【0057】
4.上記実施形態の宅配装置(1)は、
前記荷物(201)に関する音声情報を出力する音声情報出力手段(15,18,40)をさらに備える。
この実施形態によれば、住人が荷物に関する情報を確認する可能性を高めることができる。
【0058】
5.上記実施形態では、
前記音声情報出力手段(15,18,40)は、配達先に到着すると、配達している荷物(201)の重さに関する音声情報を出力する。
この実施形態によれば、住人が荷物の重さに関する情報を確認する可能性が高まり、住人が荷物の重さに応じた適切な取り扱いを行うことが期待される。
【0059】
6.上記実施形態の宅配装置(1)は、
撮像手段(8~10)と、
前記撮像手段(8~10)が取得した人の画像に基づいて、前記人による前記荷物(201)の受取姿勢に関する注意情報を出力する注意情報出力手段(15)と、
をさらに備える。
この実施形態によれば、住人が正しい姿勢で荷物を受け取ることが期待できる。
【0060】
7.上記実施形態の宅配装置(1)は、
撮像手段(8~10)又は収音手段(19)と、
前記撮像手段(8~10)が取得した人の画像、又は前記収音手段(19)が収音した音に基づいて、荷物(201)を受け取った人の様子を監視する監視手段(15)と、
をさらに備える。
この実施形態によれば、荷物を受け取った住人の様子に異常が生じたことを検出し、必要に応じて通報を行うことができる。
【0061】
8.上記実施形態の宅配装置(1)は、
人を識別する識別手段(15)と、
識別された人に応じて引き渡す荷物(201)を変更する判定手段(15)と、
を備える。
この実施形態によれば、適切な人に荷物を引き渡すことができる。
【0062】
9.上記実施形態の宅配装置(1)は、
人を識別する識別手段(15)と、
配達先において、識別された人に応じて荷物(201)を引き渡すか否かを判定する判定手段(15)と、
を備える。
この実施形態によれば、適切な人に荷物を引き渡すことができる。
【0063】
10.上記実施形態では、
前記判定手段(15)は、前記荷物(201)の重さをさらに考慮して、前記荷物(201)を引き渡すか否かを判定する。
この実施形態によれば、荷物を取り出し可能な人に対して荷物を引き渡すことができる。
【0064】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 宅配装置、5~7 表示ユニット、8~10 検知ユニット、15 制御ユニット、100 集合住宅、101 住戸、201 荷物
図1
図2
図3
図4