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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】リサイクル用包装材料のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20231109BHJP
   C08J 11/16 20060101ALN20231109BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
C08J11/16
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021090504
(22)【出願日】2021-05-28
(65)【公開番号】P2022182777
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2021-07-19
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】敷地 渉
(72)【発明者】
【氏名】前田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】門田 昌久
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宣仁
【合議体】
【審判長】山崎 勝司
【審判官】武市 匡紘
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-183295(JP,A)
【文献】特開2021-75692(JP,A)
【文献】特開2021-80431(JP,A)
【文献】特開平9-212576(JP,A)
【文献】特開2008-173862(JP,A)
【文献】特開2019-64671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D65/40
B29B17/00-17/04
C08J11/00-11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、識別情報が付与された脱離層とを有するリサイクル用包装材料のリサイクル方法であって、
前記脱離層は、脱離性インキ層及び脱離性接着剤層の少なくとも一方を含み、
前記識別情報は、少なくとも前記基材がリサイクル可能か否かを識別するための情報を含み、
読み取り装置によって識別情報を動的検知により読み取り、基材のリサイクルの可否を識別すること、及び前記識別に応じて、リサイクル可能な基材を含むリサイクル用包装材料を選別することを含み、
前記識別情報が、蛍光X線を用いた検出、磁性を用いた検出、並びに、蛍光及び/又は蓄光による色相変化の色彩カメラを用いた検出からなる群から選ばれるいずれかの検出方法によって検出可能な化合物を用いて形成される、リサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項2】
基材と、識別情報が付与された脱離層とを有するリサイクル用包装材料のリサイクル方法であって、
前記脱離層は、脱離性インキ層及び脱離性接着剤層の少なくとも一方を含み、
前記識別情報は、少なくとも前記基材がリサイクル可能か否かを識別するための情報を含み、読み取り装置によって識別情報を動的検知により読み取り、基材のリサイクルの可否を識別すること、及び前記識別に応じて、リサイクル可能な基材を含むリサイクル用包装材料を選別することを含み、
前記識別情報は、電子透かしの印刷及び加熱により発色する感熱発色材料の印刷の少なくとも一方によって形成され、前記読み取り装置は光学的な読み取り装置である、リサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項3】
前記識別情報が、バーコード及びQRコード(登録商標)なくとも一方の形態で付与されている、請求項1又は2のいずれか1項に記載のリサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項4】
前記脱離層が、脱離性インキ層と絵柄層とを含み、前記識別情報が前記絵柄層に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のリサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項5】
前記識別情報が、前記絵柄層の全面にわたって配置されている、請求項4に記載のリサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項6】
前記識別情報が、前記脱離性インキ層及び脱離性接着剤層の少なくとも一方の全面にわたって配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載のリサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項7】
前記選別されたリサイクル用包装材料から、脱離層を除去して基材を回収することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のリサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項8】
前記脱離層の除去は、前記選別されたリサイクル用包装材料を塩基性水溶液に浸漬することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のリサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項9】
前記脱離層が、脱離性接着剤層を含み、前記脱離性接着剤層は、酸価が5.0mgKOH/g以上であり、ポリエステルポリオール成分と、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート成分とを含む接着剤から形成される、請求項1~8のいずれか1項に記載のリサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【請求項10】
前記脱離層が、脱離性インキ層を含み、前記脱離性インキは、酸価15~70mgKOH/gであるポリウレタン樹脂を含む有機溶剤系インキから形成される、請求項1~8のいずれか1項に記載のリサイクル用包装材料のリサイクル方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、リサイクル用包装材料、包装材料のリサイクル方法及びリサイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境対策及び資源の有効利用の観点から、プラスチック製品のリサイクルに関する様々な検討が行われている。近年、循環型社会の実現に向けて、マテリアルリサイクルに関する要望が特に高まっている。
【0003】
一般的に、プラスチック製品のなかでもプラスチックフィルム包装材料は、用途ごとに異なる要求性能を満たすために複層構造を有している。そのため、一般的に、プラスチックフィルム包装材料のマテリアルサイクルは困難である。例えば、食品のパッケージ、及び洗剤等のサニタリー商品の詰め替え用パウチといったプラスチックフィルム包装材料は、軟包材と呼ばれ、ポリオレフィン又はポリエステル等のプラスチックフィルムの間に、印刷インキ及び接着剤といった多素材を用いた複層構造を有する。そのため、プラスチックフィルム包装材料からプラスチックフィルムのみを分離し、回収することは困難である。
【0004】
このようなことから、プラスチックフィルム包装材料(以下、フィルム包装材料と称す)は、リサイクル可能なプラスチックフィルム等の基材を含みながらも、廃棄物として焼却されるか、又は埋め立て等において未利用のまま処理されることが多い。また、フィルム包装材料からプラスチックフィルムを分離回収した場合であっても、印刷インキを十分に取り除くことが困難であることから、通常は着色したプラスチック材料が回収されることになる。さらに、プラスチックフィルムの分離回収において、異種のプラスチック材料が混入することがある。そのため、回収されたプラスチック材料は、プラスチック性状の不安定化、及びインク汚れによる品質低下などの観点から、用途が限られている。
【0005】
したがって、回収されたプラスチック材料の用途を拡大するためには、フィルム包装材料からプラスチックフィルムを分離回収するプロセスにおいて、印刷インキを簡便かつ十分に取り除く脱墨が必要となる。また、そもそも、マテリアルリサイクルを精度高く実現するためには、多種多様の物品を含む廃棄物の中から、リサイクル可能な物品を分別し、さらに分別した物品からリサイクル可能な材料を効率よく回収及び再生できる技術が必要となる。これに対し、例えば、特許文献1では、ペットボトル本体にリサイクルのための情報を埋め込み、その情報に基づいて分別を行う方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開公報2020/186234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1で開示された方法は、ペットボトル本体の分別回収を目的としており、レーザーマーキングによってペットボトル本体に直接凹凸を形成し、リサイクルに関する情報を付与している。レーザーマーキングによって凹凸を形成するためには、ペットボトルのように基材にはある程度の厚みが必要となる。そのため、開示された方法をペットボトルよりも厚みが小さいフィルム包装材料に適用することは困難である。特に、フィルム包装材料のマテリアルリサイクルを実現するためには、廃棄物から簡便にフィルム包装材料を分別回収するだけでなく、回収したフィルム包装材料から、印刷インキなどの不要な成分を取り除き(脱墨し)、リサイクル可能なプラスチックフィルム等の材料のみを分離回収できる技術が必要となる。
【0008】
したがって、本発明の実施形態は、上述の状況に鑑み、廃棄物からフィルム包装材料を簡便に分別でき、回収したフィルム包装材料から、プラスチックフィルム等のリサイクル可能な材料のみを効率よく分離回収できる、リサイクル用包装材料を提供する。また、本発明の他の実施形態は、上記実施形態のリサイクル用包装材料のリサイクル方法、及びリサイクルシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、複層構造を有するフィルム及びフィルム包装材料におけるプラスチックフィルム(基材)の回収について鋭意検討を行った結果、基材との分離を可能にする脱離性を有する層を少なくとも含む脱離層を設け、この脱離層に少なくともリサイクルに関する識別情報を付与することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に記載する実施形態に関する。但し、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、様々な実施形態を含む。
【0011】
一実施形態は、基材と、識別情報が付与された脱離層とを有するリサイクル用包装材料であって、上記識別情報は、少なくとも上記基材がリサイクル可能か否かを識別するための情報を含む、リサイクル用包装材料に関する。
【0012】
上記実施形態において、上記脱離層は、脱離性インキ層及び脱離性接着剤層の少なくとも一方を含むことが好ましい。
上記識別情報は、電子透かし、バーコード、及びQRコードからなる群から選択される少なくとも1種の形態で付与されていることが好ましい。
【0013】
上記実施形態において、上記脱離層は、脱離性インキ層と絵柄層とを含み、上記識別情報が上記絵柄層に配置されていることが好ましい。
【0014】
上記実施形態において、上記識別情報は、電子透かしの形態で付与され、上記絵柄層の全面にわたって配置されていることが好ましい。
【0015】
上記実施形態において、上記識別情報は、電子透かしの形態で付与され、上記脱離性インキ層及び脱離性接着剤層の少なくとも一方の全面にわたって配置されていることが好ましい。
【0016】
他の実施形態は、基材と、識別情報が付与された脱離層とを有する上記実施形態のリサイクル用包装材料のリサイクル方法であって、
読み取り装置によって識別情報を読み取り、基材のリサイクルの可否を識別すること、及び
上記識別に応じて、リサイクル可能な基材を含むリサイクル用包装材料を選別すること
を含む、リサイクル方法に関する。
【0017】
上記実施形態において、上記選別されたリサイクル用包装材料から、脱離層を除去して基材を回収することを含むことが好ましい。上記脱離層の除去は、上記選別されたリサイクル用包装材料を塩基性水溶液に浸漬することを含むことが好ましい。
【0018】
他の実施形態は、包装材料をリサイクルするシステムであって、
基材と、上記基材に積層され、少なくとも上記基材がリサイクル可能か否かを識別するための情報を含む識別情報が付与された脱離層とを有する包装材料を撮像する撮像装置と、
上記撮像装置で撮像された包装材料の画像データから上記識別情報を抽出し、抽出した識別情報に基づいて包装材料のリサイクル方法を判別する制御装置と、
上記制御装置で判別したリサイクル方法に従い包装材料を選別する選別装置と、
上記選別装置で脱墨処理対象に選別された包装材料から脱離層を除去する脱墨装置と
を含むシステムに関する。
【0019】
上記実施形態において、上記脱墨装置は、包装材料を浸して脱離層を溶解するための塩基性水溶液を満たした脱墨槽と、脱墨槽から残渣を回収する残渣回収装置とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、廃棄物からフィルム包装材料を簡便に分別でき、回収したフィルム包装材料から、プラスチックフィルムなどのリサイクル可能な材料のみを効率よく分離回収できる、リサイクル用包装材料を提供することができる。また、本発明の他の実施形態によれば、上記実施形態のリサイクル用包装材料を簡便かつ効率的にリサイクルできる、リサイクル方法、及びリサイクルシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態であるリサイクル用包装材料の構造例を示す模式図であり、(a)は正面図、(b)はI-I線断面図である。
図2】本発明の一実施形態であるリサイクル用包装材料の構造例を示す模式図であり、(a)は正面図、(b)はII-II線断面図である。
図3】本発明の一実施形態であるリサイクル用包装材料の構造例を示す模式図であり、(a)は正面図、(b)はIII-III線断面図、(c)はIV部分を拡大して示した正面図である。
図4】本発明の一実施形態であるリサイクル方法を説明する図であり、(a)は塩基性水溶液による処理前のリサイクル用包装材料の一実施形態を示す側面断面図であり、(b)は塩基性水溶液による処理後のリサイクル用包装材料の状態を示す模式図である。
図5】本発明の一実施形態である包装材料のリサイクルシステムの概略的な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。但し、本発明は以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、種々の実施形態を含む。
【0023】
<1>リサイクル用包装材料
一実施形態は、リサイクル用包装材料に関する。リサイクル用包装材料は、基材と、脱離層とを有し、上記脱離層は、基材に接し、かつ基板からの脱離能を有する層を少なくとも含み、かつ少なくとも上記基材がリサイクル可能か否かを識別するための識別情報を有する。リサイクル用包装材料は、基材からの脱離能を有するが識別情報を有さない層を、さらに含んでもよい。上記脱離層において、脱離能を有する(脱離性の)層とは、例えば、塩基性水溶液への浸漬によって、溶解又は膨潤し基材から脱離する層を意味する。脱離性の層は、脱離性インキ層、脱離性接着剤層、金属箔層、及び蒸着層からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。一実施形態において、上記脱離性の層は、脱離性インキ層、及び脱離性接着剤層の少なくとも一方であることが好ましい。
【0024】
上記基材とは、リサイクル用包装材料の脱墨処理後に回収される基材を意味する。基材は、単層構造であっても、多層構造(積層体)であってもよい。一方、上記脱離層とは、上記リサイクル用包装材料のうち、「リサイクル用包装材料から脱墨されて回収される基材」以外の層を意味する。つまり、上記脱離層とは、「基材からの脱離能を有する層」、すなわち、例えば、脱離性インキ層、脱離性接着剤層、金属箔層、及び蒸着層といった、基材に接し、かつ基材から剥がれる層のみを意味するのではなく、脱墨処理時に、当該基材から剥がれる層と共に除去される、絵柄層などの他の層の全てを含む。
【0025】
すなわち、一実施形態において、リサイクル用包装材料は、基材と、脱離層とを有し、脱離層は、上記基材に接して設けられる、脱離性インキ層、脱離性接着剤層、金属箔層、及び蒸着層からなる群から選択される少なくとも1つを含む。一実施形態において、上記脱離層は、上記脱離性インキ層、上記脱離性接着剤層、金属箔層、及び蒸着層の少なくとも1つを含み、さらに、後述するように、絵柄層などの他の層をさらに含んでもよい。
上記脱離性インキ層は、クリアおよびカラーのいずれでもよい。上記識別情報は、好ましくは、上記脱離層における、脱離性インキ層、脱離性接着剤層、及び絵柄層のいずれかの層に配置される。
【0026】
本発明の実施形態では、脱離層が剥がれた後の基材を、リサイクル基材及び再生基材として得ることを目的としている。そのため、基材から脱離層(例えば、基材から脱離する層と、絵柄層などのその他の層)を、できる限り多く除く態様が好適である。
具体的に、好適な態様とは、脱離層100質量%のうち、面積又は膜厚方向において少なくとも50質量%以上の脱離層が脱離することを意味する。上記実施形態のリサイクル用包装材料は、脱離層の全質量を基準として、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上が除去される態様で、使用されることが好ましい。上記脱離は、脱離層が溶解して剥離する場合、及び溶解せずに(例えば、膨潤などによって)剥離する場合のいずれの形態であってもよい。一実施形態において、脱離層は、塩基性水溶液によって溶解又は膨潤して、基材から脱離することが好ましい。
【0027】
なお、ソルダーレジスト又はカラーレジストなどの場合には、所望とするパターンを形成するために塩基性水溶液によってレジスト層の一部を溶解させる工程を有する。しかし、レジストに活性エネルギー線を照射して形成した硬化層は、塩基性水溶液による処理後も、一定量残すことを目的としている。一方、本発明の実施形態において、脱離層は、再生基材を得ることを目的として設けられている。そのため、上記のようなレジストの硬化層に対する塩基性水溶液による処理と、本発明の実施形態における脱離層に対する塩基性水溶液による処理とは、技術的思想が異なる。したがって、本発明の実施形態において、脱離層は、ソルダーレジスト及びカラーレジストなどの感光性樹脂組成物からなる層である場合を除く。
【0028】
上記リサイクル用包装材料において、識別情報とは、少なくとも、基材がリサイクル可能か否かを識別可能にすることを目的として設けられる。すなわち、上記脱離層は、基材からの脱離能を有し、かつ少なくとも上記基材がリサイクル可能か否かを識別するための識別情報を提示する識別部位を有する。識別情報として、必要に応じて、基材の材料に関する情報、基材のリサイクル方法に関する情報、及びその他、製品に関する情報など、所望とする情報をさらに付与してもよい。
【0029】
上記識別情報は、動的検知が可能であり、印刷によって付与されることが好ましい。「動的検知が可能である」とは、例えば、ベルトコンベア等によって包装材料が搬送される時に、例えば、光学的な読み取り装置によって識別情報を抽出できる(読み取れる)ことを意味する。識別情報は、例えば、電子透かし、バーコード、及びQRコード(登録商標)の形態であってよい。
【0030】
電子透かしは、デジマーク社の電子透かし技術であるDigimark Barcoade(登録商標)を使用して、識別情報をバーコードとして、人の目に見えない又は視認し難い状態で脱離層に印刷することによって形成することができる。情報が目に見えない又は視認し難い状態で印刷されているため、印刷された情報が消費者の視線を遮ることがない。そのため、消費者は、この電子透かしが付与された、例えば、透明な容器に収容された内容物を識別情報に遮られることなく視認できる。また、消費者は、例えば、絵柄層の全面にわたって電子透かしが配置された包装材料の絵柄層を識別情報に遮られることなく視認できる。
【0031】
一方、識別情報は、人の目に見える又は視認し易い状態で脱離層に印刷することによって形成されたバーコード、又はQRコードの形態であってもよい。このような視認できる識別情報は、例えば、加熱によって発色する感熱発色材料を印刷することによって形成することができる。
【0032】
また、識別情報は、所定の検出方法によって検出可能な化合物を用いて形成されてもよい。検出可能な化合物は、脱離層に含まれていればよく、例えば、脱離性インキ層及び/又は脱離性接着剤層に含有されていてもよい。上記「検出可能な化合物」の「検出方法」としては、特に制限されない。例えば、蛍光X線を用いた検出、磁性を用いた検出、蛍光又は/および蓄光による色相変化を色彩カメラで検出する方法が挙げられる。具体例は、以下のとおりである。
【0033】
蛍光X線による検出は、X線を物質に照射し発生する固有X線(蛍光X線)から定性および定量する方法である。このような蛍光X線で検出可能な化合物として、例えば、Fe、W、Mg、Co、Al、Ni、Cr、Mn、Sn、In、Znが挙げられる。このような化合物の含有量は、脱離性インキ層及び/又は脱離性接着剤層の全質量を基準として、好ましくは3~20質量%。より好ましくは3~15質量%、さらに好ましくは3~10質量%の範囲である。
【0034】
磁性を用いた検出が可能な化合物として、例えば、γ-酸化鉄、マグネタイト、コバルト被着酸化鉄、2酸化クロム、鉄系メタル磁性粉末、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、ジルコニア、有機処理ジルコニア等の公知の磁性粉末が挙げられる。このような化合物の含有量は、脱離性インキ層及び/又は脱離性接着剤層の全質量を基準として、好ましくは20~60質量%。より好ましくは30~55質量%、さらに好ましくは35~50質量%の範囲である。
【0035】
蛍光を用いた検出が可能な化合物として、例えば、ベンゾオキサゾールチオフィン系、ジアミノスチルベン系、イミダゾール系、クマリン系、ナフタルイミド系、希土類錯体系等の有機系、並びに無機系の公知の蛍光物質が挙げられる。市販品として、HONEYWELL社製のUMILUXシリーズ等を用いることができる。このような化合物の含有量は、脱離性インキ層及び/又は脱離性接着剤層の全質量を基準として、好ましくは0.5~35質量%。より好ましくは0.8~25質量%、さらに好ましくは1~15質量%の範囲である。
【0036】
蓄光を用いた検出が可能な化合物として、例えば、SrAl:Eu,DyあるいはSrAl1425:Eu,Dy等の公知の蓄光顔料が挙げられる。市販品として、根本特殊化学(株)のN夜光ルミノーバシリーズ等を用いることができる。このような化合物の含有量は、脱離性インキ層及び/又は脱離性接着剤層の全質量を基準として、好ましくは1~40質量%。より好ましくは5~30質量%、さらに好ましくは10~25質量%の範囲である。
【0037】
一実施形態において、識別情報は、脱離層の表面の一部、又は全面にわたって配置されてよい。識別情報が電子透かしによって付与される場合、識別情報は、脱離層の表面の全体にわたって配置されることが好ましい。識別情報が全面に配置されることによって、より多くの情報を付与することができる。そのため、例えば、包装材料が破損又は変形した場合でも、識別情報の検出が容易となる。また、包装材料が、例えば、飴の小さな個片を包装するためのものであっても、識別情報の付与が容易である。
【0038】
上記実施形態の包装材料における脱離層は、少なくとも基材からの脱離能を有する層を含む。この脱離能を有する層は、例えば、脱離性インキ層、脱離性接着層、金属箔層、及び蒸着層からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。一実施形態において、包装材料における脱離層が脱離性インキ層を含む場合、識別情報は、脱離性インキ層の表面に配置されていてよく、脱離性インキ層の上面に設けられる絵柄層などの表面に配置されてよい。一方、包装材料における脱離層が脱離性接着層を含む場合、識別情報は脱離性接着剤層の表面に配置されていてよく、脱離性接着層の上面に設けられる絵柄層などの表面に配置されてよい。
【0039】
上記実施形態の包装材料の具体例を図1図3に示す。図1に示す包装材料100は、基材10と、基材10上に設けられた脱離性インキ層(カラー)20とを有し、脱離性インキ層20の表面にバーコードの形態で識別情報Aが配置されている。
図2に示す包装材料100は、基材10と、基材10上に設けられた脱離性インキ層(クリア)22と、絵柄層30a及び30bとを有し、絵柄層の表面にバーコードの形態で識別情報Aが配置されている。
【0040】
図3に示す包装材料100は、基材10と、基材10上に設けられた脱離性インキ層(クリア)22と、脱離性インキ層(クリア)22上に設けられた絵柄層30を有し(図3(b)を参照)、絵柄層30の表面全体に電子透かしの形態で識別情報Bが配置されている(図3(a)を参照)。図3(c)は、図3(a)に示した識別情報(電子透かし)BのIVを拡大した図である。図3(c)に示すように、電子透かしは、例えば、0と1の数字で表される2値情報系列であってよく、絵柄層の上に半透明の形態で印刷される。そのため、絵柄層の全面にわたって電子透かしが配置された包装材料の絵柄層を識別情報に遮られることなく視認することができる。
【0041】
以下、上記実施形態のリサイクル用包装材料の構造についてより具体的に説明する。一実施形態において、包装材料の積層構造は、例えば、以下であってよい。下記において「クリア」とはクリアインキを表し、「カラー」とはカラーインキを表す。また、下記において「基材X1」および「基材Y」が、本発明の実施形態における「基材」に該当する。すなわち、リサイクル用包装材料から脱墨されて回収される基材である。
・基材X1/[脱離性インキ層(カラー)]
・基材X1/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層]
・[基材X2/絵柄層/脱離接着剤層]/基材Y
・[絵柄層/基材X2/脱離性接着剤層]/基材Y
・[絵柄層/脱離性インキ層(クリア)]/基材X1/[脱離性接着剤層]/基材Y
・[脱離性インキ層(カラー)]/基材X1/[脱離性接着剤層]/基材Y
・[絵柄層/脱離性インキ層(クリア)]/基材X1/接着剤層/基材Y
・[脱離性インキ層(カラー)]/基材X1/接着剤層/基材Y
・基材X1/[脱離性インキ層(カラー)/脱離性接着剤層]/基材Y
・基材X1/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/脱離性接着剤層]/基材Y
・[基材X2/絵柄層/接着剤層/基材X3/脱離性接着剤層]/基材Y
・[基材X2/絵柄層/接着剤層/基材X3/接着剤層/基材X4/脱離性接着剤層]/基材Y
・基材X1/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/接着剤層/基材X2/脱離性接着剤層]/基材Y
・基材X1/[脱離性接着剤層(クリア)/絵柄層/接着剤層/基材X2/接着剤層/基材X3/脱離性接着剤層]/基材Y
【0042】
上記包装材料の積層構造の例示では、脱離層に相当する範囲を[ ]で示している。例えば、基材X1/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層]の構成を有するリサイクル用包装材料において、脱離層は、脱離性インキ層(クリア)と絵柄層とから構成される。また、例えば、[絵柄層/脱離性インキ層(クリア)]/基材X1/接着剤層/基材Yの構成を有するリサイクル用包装材料において、基材X1と接着剤層と基材Yとがいずれも同様の樹脂系であり、積層体のままリサイクル可能である場合、基材は、基材X1と接着剤層と基材Yとから構成される積層体である。
【0043】
上記積層構造を有する包装材料において、単に「接着剤層」と記載しているものは、脱離性接着剤層を形成する接着剤以外の接着剤(一般的な接着剤も含まれる)から形成される層である。上記接着剤層を形成するために使用できる一般的な接着剤は、公知の接着剤から適宜選択され、限定されない。一般的な接着剤として、例えば、ウレタン系接着剤、オレフィン系接着剤、及びアクリル系接着剤が挙げられる。
【0044】
上記「接着剤層」は、塩基性水溶液において剥離性を示さない接着剤から構成される層を意味する。「剥離性を示さない」とは、例えば、濃度が0.5~15質量%の塩基性水溶液に、接着剤層を有する積層体又は印刷物を、70℃で、1分~24時間にわたって浸漬させた後に、目視にて剥離が確認できなことを意味する。これに対し、「脱離性接着剤層」は、塩基性水溶液において溶解又は膨潤することによって良好な剥離性を示す接着剤から構成される層を意味する。「剥離性を示す」とは、例えば、濃度が0.5~15質量%の塩基性水溶液に、接着剤層を有する積層体又は印刷物を、70℃で、1分~24時間にわたって浸漬させた後に、剥離が確認できることを意味する。このように、「脱離性接着剤層」と「接着剤層」とは、塩基性水溶液に対する異なる性質によって区別される。
【0045】
特に限定するものではないが、上記包装材料の構成材料は以下であってよい。
<基材X>
上記積層構造を有する包装材料において、基材X1は、包装用積層体に一般的に使用されている、プラスチックフィルム、及びシーラント基材等のシート状の基材であってよい。基材X2~4は、包装用積層体に一般的に使用されている、プラスチックフィルム、紙、及びシーラント基材等のシート状の基材であってよい。
【0046】
プラスチックフィルムは、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィルムが挙げられ、好ましくは熱可塑性樹脂のフィルムである。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、繊維素系プラスチックが挙げられる。
【0047】
より詳細には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等のポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体;等が用いられる。なか
でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
プラスチックフィルムの厚さは、好ましくは5μm以上200μm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。
【0048】
紙は、例えば、天然紙や合成紙等が挙げられる。
【0049】
シーラント基材は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマー等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。なかでもヒートシール性の観点から直鎖状低密度ポリエチレン、未延伸ポリプロピレンが特に好ましい。
シーラント基材の厚みは、特に限定されないが、包装材料への加工性やヒートシール性等を考慮して10~200μmの範囲が好ましく、15~150μmの範囲がより好ましい。また、シーラント基材に高低差5~20μmの凸凹を設けることで、シーラント基材に滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
【0050】
なお、シーラント基材を積層する方法は、特に限定されない。例えば、後述する脱離性接着剤層とシーラントフィルムとを熱によってラミネートする方法(熱ラミネート、ドライラミネート)や、シーラント樹脂を溶融させて脱離性接着剤層上に押出し、冷却固化させて積層する方法(押出ラミネーション法)等が挙げられる。
【0051】
<脱離性インキ層>
一実施形態において、脱離性インキ層は、バインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を含む有機溶剤系印刷インキから形成することができる。バインダー樹脂とは脱離層を形成するための主たる樹脂成分をいう。「主たる」とは脱離層を構成する樹脂成分の全質量のうち50質量%以上であることを意味する。
【0052】
一実施形態において、有機溶剤系印刷インキに使用するポリウレタン樹脂の酸価は15~70mgKOH/gあることが好ましい。他の実施形態において、有機溶剤系印刷インキに使用するポリウレタン樹脂の酸価は15~70mgKOH/gかつ、水酸基価1~35mgKOH/gであることが好ましい。さらに他の実施形態において、有機溶剤系印刷インキに使用するポリウレタン樹脂の酸価は15~70mgKOH/gであり、エステル結合濃度等を規定する。
【0053】
酸価は、酸をアルカリで滴定して算出した樹脂1g中の酸量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値である。水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化またはアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値である。酸価および水酸基価はいずれもJISK0070に従って行った値である。塩基性水溶液による脱離性とラミネート適性とのバランスの観点から、ポリウレタン樹脂は、酸価が20~50mgKOH/gが好ましく、酸価が25~40mgKOH/gであることがより好ましい。また、水酸基価が10~30mgKOH/gであることが好ましく、水酸基価が15~27mgKOH/gであることがより好ましい。
【0054】
上記ポリウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は6以下であることが好ましい。Mwとは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。Mw/Mnは6以下である場合、過剰な高分子量成分および、未反応成分、副反応成分その他の低分子量成分に起因する影響を回避することができ、脱離性、乾燥性、ラミネート適性が良好となる。また、より分子量分布が小さい(分子量分布がシャープである)と塩基性水溶液との均一に接触する作用を奏し、塩基性水溶液による脱離性がより良好となる。
分子量分布としては、5以下であることがより好ましく、4以下であることがさらに好ましい。また、分子量分布は、1.5以上が好ましく、1.2以上がより好ましい。なお、Mw、MnおよびMw/Mnは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により求めることができる、ポリスチレン換算値を使用した値である。なお分子量分布が該当範囲であり、かつ上記酸価範囲であれば、アルカリによる脱離性と乾燥性、基材密着性、耐レトルト適性等を満たす。
【0055】
分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲とするためには、ポリウレタン樹脂合成においてウレタン合成原料/有機溶剤の比率(固形分比率)、ポリイソシアネートなどの反応性原料の滴下速度、さらには反応中の撹拌速度や反応液の均一性などを適切に設定することで分子量分布(Mw/Mn)を範囲内とすることができる。なお、さらに鎖延長反応を行う場合には、特に、後述のポリアミンとウレタンプレポリマーの滴下・接触速度および撹拌速度のバランス、さらに鎖延長時の温度範囲制御についても一定幅とすることが、所定範囲の分子量分布を得る観点から好ましい。
【0056】
また、反応原料の仕込み比率を適切な比率に設定することが、所定範囲の分子量分布を得る観点から好ましい。仕込み比率とは、例えばポリオールおよびヒドロキシ酸の水酸基、さらにポリイソシアネートのイソシアネート基の比率である、NCO/OH比率が挙げられる。また、ポリアミンのアミノ基と、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基との比率である、アミノ基/NCO比率などが挙げられる。また、分子量分布を制御するためには、過剰な重合反応を防止する目的で、重合停止剤(反応停止剤ともいう)を用いることが好ましい。重合停止剤としては、モノアルコールやモノアミンが好適に挙げられる。
【0057】
上記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10,000~100,000であることが好ましい。15,000~70,000であることがより好ましく、15,000~50,000であることがさらに好ましい。Mwが上記範囲である場合、耐ブロッキング性および有機溶剤系印刷インキの印刷工程における作業効率、印刷適性などが良好となる。また、さらに上記分子量分布(Mw/Mn)であることによって、塩基性水溶液による脱離性が良好となる。
【0058】
上記ポリウレタン樹脂は、アミン価を有していてもよい。ポリウレタン樹脂がアミン価を有する場合、アミン価は、0.1~20mgKOH/gであることが好ましく、1~10mgKOH/gであることがより好ましい。アミン価が上記範囲である場合、基材密着性が良好となる。アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数である。アミン価の測定は、JIS K0070(1992年)に準じて以下の方法により行うことができる。
まず、試料を0.5~2g精秤する(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させる。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行う。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記式によりアミン価を求めることができる。
アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S [mgKOH/g]
【0059】
ポリウレタン樹脂は、その製造方法によって限定されるものではないが、例えば、ポリイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシ酸を反応させてなるポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
また、ポリイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシ酸を反応させてなるウレタンプレポリマーを、さらにポリアミンと反応させて(鎖延長反応という)なるポリウレタン樹脂を用いることがより好ましい。ポリウレタン樹脂は、上記いずれの場合においてもヒドロキシ酸を使用することで、ポリウレタン樹脂に酸価を付与させることができる。
【0060】
(ポリイソシアネート)
有機溶剤系印刷インキに使用されるポリウレタン樹脂に用いるポリイソシアネートとしては、ジイソシアネートおよびまたはトリイソシアネートが好ましく、芳香族、脂肪族または脂環族のジイソシアネートを好適に使用することができる。
例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートその他の芳香族ジイソシアネート、
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートその他の脂肪族ジイソシアネート、
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等のその他の脂環族ジイソシアネートが好適に挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0061】
上記のうち、反応性等の面から、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種の使用が好ましい。なお、これらジイソシアネートは三量体となりイソシアヌレート構造を有するトリイソシアネートである場合も好ましい。
【0062】
(ポリオール)
上記ポリウレタン樹脂は、ポリオール由来の構成単位を有する。ポリオールとしては、特に制限はなく、以下に限定されないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが好適に用いられる。ポリオールとは、1つの分子内に少なくとも2つの水酸基を有する化合物の総称であるが、後述のヒドロキシ酸を含まないものとする。
さらに、ポリオールとして、その他ダイマージオール、水添ダイマージオール、ひまし油変性ポリオールなどを使用してもよい。ポリウレタン樹脂は、ポリエーテル構成単位、ポリエステル構成単位およびポリカーボネート構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位を有することが好ましく、ポリエステルポリオール由来の構成単位を含有することがより好ましい。
ポリウレタン樹脂の全質量中にポリオール由来の構成単位を10~75質量%含むことが好ましく、15~70質量%含むことがより好ましい。20~65質量%含むことがさらに好ましい。
【0063】
ポリオールの使用形態としては、ポリオール由来の構成単位の全質量中、ポリエステルポリオール由来の構成単位を5質量%以上含むことが好ましい。一実施形態において、ポリオール由来の構成単位の全質量を基準として、上記ポリエステルポリオール由来の構成単位の含有量は、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。
なお、後述するヒドロキシ酸をポリウレタン樹脂に組み込むことによって、アルカリによる脱離性、すなわち塩基性水溶液によってプラスチック基材から脱離層および絵柄層を脱離する性能を付与することができる作用に加えて、ポリエステルポリオールのエステル結合部位がアルカリ加水分解することによって脱離性をさらに向上させることができる。このような観点から、ポリウレタン樹脂の全質量を基準として、ヒドロキシ酸を、45質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがより好ましく、60質量%以上含むことがさらに好ましく、70質量%以上含むことがさらになお好ましい。80質量%以上含むことが特に好ましい。
【0064】
ポリオールの数平均分子量は、500~10,000であることが好ましい。ここでポリオールに用いる数平均分子量は水酸基価から算出されるものである。なお当該水酸基価とはJISK0070による測定値をいう。ポリオールの数平均分子量が10,000以下であると、プラスチックフィルムに対する耐ブロッキング性に優れる。また、ポリオールの数平均分子量が500以上であると、ポリウレタン樹脂被膜の柔軟性に優れプラスチックフィルムへの密着性に優れる。以上の理由より、より好ましくは、ポリオールの数平均分子量は1,000~5,000であってよい。
【0065】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸とジオールとの縮合物からなるポリエステルポリオールや、環状エステル化合物の開環重合物であるポリラクトンポリオールからなるポリエステルポリオールが好適に挙げられる。ポリエステルジオールであることが好ましい。当該二塩基酸としてはアジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が好適に挙げられ、なかでもアジピン酸、コハク酸などが好ましい。
【0066】
当該ジオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が好適に挙げられる。
【0067】
ポリエステルポリオールは、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。さらにポリエステルポリオールの原料としてヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。上記環状エステル化合物としては、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトンなどが好適に挙げられる。
【0068】
上記実施形態の脱離性インキ層を形成する印刷インキとは、クリアインキまたはカラーインキである形態を含む。ただし、本発明の趣旨を変更しない範囲で、有機溶剤や他のインキ等をさらに含む形態を除外するものではない。
【0069】
<クリアインキ>
クリアインキとしては、インキまたは印刷層が、およそ白濁もしくは無色・透明である形態を意味し、バインダー樹脂や体質顔料、添加剤等に起因する僅かな着色等をも除外するものではない。クリアインキはインキ全質量中の固形分は5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。さらにバインダー樹脂は、インキ全質量中に固形分で0.5~50質量%含有することが好ましく、5~30質量%含有することがより好ましい。上記範囲であることによってクリアインキの粘度が適性となり、任意の印刷方式を用いてインキをプラスチックフィルムに塗布した際の、網点再現性などの印刷適性が良好となる。なお、「固形分」とは不揮発成分の全質量%をいう。
【0070】
(体質顔料)
クリアインキは、体質顔料を含有することが好ましい。体質顔料としては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムや、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物などが好ましい。これらは流動性,被膜強度,光学的性質の改善のために用いられる。なかでもシリカの使用が好ましく、親水性であることが好ましい。体質顔料は平均粒子径が0.5~10μmであることが好ましく、1~8μmであることがより好ましい。体質顔料はインキ全質量中に0.5~40質量%含有することが好ましく、1~30質量%含有することがより好ましい。クリアインキ層のブロッキング性が良好となり、絵柄インキを重ね印刷するとき絵柄インキの濡れ性が良好となるためである。
【0071】
<カラーインキ>
カラーインキとは、着色剤を含有する有機溶剤系印刷インキをいい、上記クリアインキである場合を含まない。当該着色剤成分としては着色染料および/または着色顔料であることが好ましい。カラーインキはインキ全質量中の固形分は5~50質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。着色剤は、インキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキ全質量中に1~50質量%含有することが好ましく、5~25質量%含有することがより好ましい。バインダー樹脂はインキ全質量中に固形分で0.5~50質量%含有することが好ましく、5~30質量%含有することがより好ましい。上記範囲であることによってカラーインキの粘度が適性となり、任意の印刷方式を用いてインキをプラスチックフィルムに塗布した際の、網点再現性などの印刷適性が良好となる。カラーインキは、補助的に体質顔料を使用してもよく、体質顔料としては上記クリアインキの場合と同様のものが好ましい。
【0072】
(着色顔料)
着色剤は顔料であることが好ましく、バインダー樹脂と着色顔料の質量比率(バインダー樹脂/顔料)は99/1~10/90であることが好ましい。さらには80/20~20/80であることがより好ましい。なお、着色顔料は、有機顔料、無機顔料であることが好ましく、無機顔料では、酸化チタンを含むもの、有機顔料では、有機化合物、有機金属錯体からなるものの使用が好ましい。
【0073】
着色顔料のうち有機顔料は、以下の例には限定されないが、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。
また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
【0074】
着色顔料のうち無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化クロムなどの白色無機顔料が挙げられる。無機顔料の中では酸化チタンの使用が特に好ましい。酸化チタンは、白色を呈し、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から好ましく、印刷性能の観点から該酸化チタンはシリカおよび/またはアルミナ処理を施されているものが好ましい。
【0075】
着色顔料のうち白色以外の無機顔料としては、例えば、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられ、アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングタイプまたはノンリーフィングタイプいずれでもよい。
【0076】
(その他の成分)
クリアインキ、及びカラーインキは、包装材料の外観を向上させるため、さらにレベリング剤又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチンが挙げられる。消泡剤としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物等の公知のものが挙げられる。
【0077】
<印刷インキの製造>
上記印刷インキは、バインダー樹脂、体質顔料または着色顔料等を有機溶剤中に溶解および/または分散することにより製造することができる。
例えば、顔料、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂等のバインダー樹脂、シリカ粒子および必要に応じて有機溶剤を分散させておき、顔料分散体に、ポリウレタン樹脂、必要に応じて有機溶剤、その他樹脂や添加剤などを配合することにより有機溶剤系印刷インキを製造することができる。有機溶剤は、複数の有機溶剤からなる混合溶液であってもよい。また、有機溶剤系印刷インキの粘度や色味は分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを適宜調節することにより、調整することができる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いることができる。サンドミルを用いて製造することが好ましい。
【0078】
印刷インキの粘度は、20~500mPa・sの範囲であることが好ましく、30~300mPa・sであることがより好ましい。印刷インキの粘度を上記範囲に調整した場合、印刷工程において適切な印刷適性が容易に得られる。印刷インキの粘度は、上記ポリウレタン樹脂及びその他のバインダー樹脂の量、有機溶剤の量、さらには顔料の分散条件によって調節をすることができる。
【0079】
<脱離性接着剤層>
一実施形態において、脱離性接着剤層を形成する接着剤は、積層体からの脱離性を有する。接着剤は、ラミネート用接着剤として用いることができる。該接着剤は、酸価が5.0mgKOH/g以上であり、ポリエステルポリオール成分と、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート成分とを含む。
ポリエステルポリオール成分と、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネート成分とを組み合わせ、さらに特定の酸価を有することにより、優れた接着性およびボイル・レトルト適性とアルカリ脱離性とを両立する効果を奏する接着剤となる。
【0080】
(ポリエステルポリオール成分)
ポリエステルポリオール成分は、特に制限されず、従来公知のポリエステルポリオールから選択することができ、単独又は2種以上を併用してもよい。ポリエステルポリオールを含むことにより、塩基性水溶液との親和性が高いエステル結合を有すると脱離性が向上するため好ましい。
ポリエステルポリオールは、特に限定されないが、具体例として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物(以下、カルボキシル基成分ともいう)と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3′-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等のジオール類若しくはそれらの混合物(以下、水酸基成分ともいう)とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。上記カルボキシル基成分及び水酸基成分は、2種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールの他の具体例として、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0081】
ポリエステルポリオール成分は、ウレタン結合を有していることが好ましく、ジイソシアネートを反応させたポリエステルポリウレタンポリオールであってもよい。また、ポリエステルポリオールおよびポリエステルポリウレタンポリオールは、さらに酸無水物を反応させたものであってもよい。
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができる。
酸無水物としては、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物等が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物としては、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等が挙げられる。
【0082】
なかでも、ポリエステルポリオール成分は、ポリエステルポリウレタンポリオールの酸無水物変性物を含むことが好ましい。ポリエステルポリオール成分がウレタン結合を有することで、優れた耐熱性、接着性を発揮することができる。ポリエステルポリオールが酸無水物変性物であると、酸価の細かい制御が可能となり、後述に示すような好適な酸価範囲のポリエステルポリオールを容易に得ることができるため好ましい。
【0083】
一実施形態において、接着剤は、酸価が5.0mgKOH/g以上であるため、ポリエステルポリオール成分が酸価を有していることが好ましい。接着剤が酸価を有していると、アルカリとの中和作用により、塩基性水溶液での基材の剥離が容易になる。ポリエステルポリオール成分の酸価は、好ましくは8.0mgKOH/g以上であり、より好ましくは10.0mgKOH/g以上である。また、ポリエステルポリオール成分の酸価は、好ましくは100mgKOH/g以下であり、より好ましくは80mgKOH/g以下である。ポリエステルポリオール成分が上記範囲の酸価を有することにより、本実施形態の接着剤からなる脱離性接着剤層が、2つのシート状基材の間に積層された積層体は、塩基性水溶液と接触させた際に、塩基性水溶液が浸透して分解され、積層体からの優れた剥離性を発揮する。
【0084】
接着剤が複数のポリエステルポリオール成分を含む場合、ポリエステルポリオール成分の酸価は、各々のポリエステルポリオール成分の酸価とその質量比率から求めることができる。
【0085】
ポリエステルポリオール成分は、脱離性接着剤層の耐加熱殺菌処理の点及び塗工性の点から、数平均分子量(Mn)が好ましくは3,000~25,000、より好ましくは5,000~20,000、特に好ましくは7,000~15,000である。
ポリエステルポリオール成分の数平均分子量(Mn)が3,000以上であると、塗工性だけでなく十分なレトルト適性を発揮することができ、20,000以下であると塗工性だけでなく脱離性が向上するため好ましい。
【0086】
ポリエステルポリオール成分は、包装材料に要求される各種物性を満たすために、複数のポリエステルポリオール成分を併用してもよく、例えば、数平均分子量5,000~20,000のポリエステルポリオールを含むことが好ましく、さらに、基材密着性を向上させるために、数平均分子量3,000未満のポリエステルポリオールを含むことが好ましい。
その場合のポリエステルポリオール成分の数平均分子量は、各々のポリエステルポリオール成分の数平均分子量とその質量比率から求めることができる。数平均分子量が3,000未満のポリエステルポリオールの含有量は、ポリエステルポリオール成分の全量に対して、好ましくは0~30質量%であり、好ましくは0~20質量%である。30質量%以下である場合、耐レトルト性は低下しないため好ましい。
【0087】
本明細書等における数平均分子量は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem-21」を用い、溶媒としてテトロヒドロフランを用いて、標準ポリスチレン換算した値である。
【0088】
(その他のポリオール成分)
接着剤は、ポリエステルポリオール成分以外のその他ポリオール成分を含有してもよい。ポリエステルポリオール成分以外に含有してもよいポリオール成分は、特に限定されず、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオール等が挙げられる。これらは単独で使用、又は2種類以上を併用してもよい。
【0089】
(ポリイソシアネート成分)
ポリイソシアネート成分は、特に制限されず、従来公知の脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートから選択することができ、単独又は2種以上を併用してもよい。
【0090】
(脂肪族ポリイソシアネート)
脂肪族ポリイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、従来公知の脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートから誘導された化合物を用いることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;
1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(以下、イソホロンジイソシアネート)、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;又は、
上記脂肪族ジイソシアネート又は脂環式ジイソシアネートから誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。
誘導体として好ましくは、ヌレートタイプ、アダクトタイプの誘導体であり、特に好ましくはアダクトタイプである。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、脱離性とラミネート物性のバランスが確保しやすいヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIともいう)から誘導されたポリイソシアネートが好ましい。
【0091】
(芳香脂肪族ポリイソシアネート)
芳香脂肪族ポリイソシアネート成分としては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;又は、
上記芳香脂肪族ジイソシアネートから誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。
【0092】
(その他ポリイソシアネート成分)
接着剤は、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート以外のその他ポリイソシアネート成分を含有してもよい。脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート以外に含有してもよいポリイソシアネート成分は、特に限定されず、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート;又は、
上記芳香族ジイソシアネートの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。
誘導体として好ましくは、アダクトタイプの誘導体である。
【0093】
(その他成分)
接着剤は、さらに、その他成分を含有してもよい。その他成分は、ポリオール成分又はポリイソシアネート成分のいずれに配合してもよいし、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを配合する際に添加してもよい。
【0094】
(シランカップリング剤)
接着剤は、耐熱水性を高めるため、さらにシランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤の添加量は、接着剤の固形分を基準として0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~3質量%であることがより好ましい。
【0095】
(リンの酸素酸又はその誘導体)
接着剤は、耐酸性を高めるため、さらにリンの酸素酸又はその誘導体を含有することができる。リンの酸素酸又はその誘導体の内、リンの酸素酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類が挙げられる。また、リンの酸素酸の誘導体としては、上記のリンの酸素酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。
これらのアルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール、フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール等が挙げられる。
リンの酸素酸又はその誘導体は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。リンの酸素酸又はその誘導体の添加量は、接着剤の固形分を基準として0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~5質量%であることがより好ましく、0.1~1質量%であることが特に好ましい。
【0096】
(レベリング剤又は消泡剤)
接着剤は、積層体の外観を向上させるため、さらにレベリング剤又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチン等が挙げられる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物等の公知のものが挙げられる。
【0097】
(反応促進剤)
接着剤は、ウレタン化反応を促進するため、さらに反応促進剤を含有することができる。反応促進剤としては、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種又は2種以上の反応促進剤を使用できる。
【0098】
接着剤は、本実施形態の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、硬化反応を調整するための触媒等が挙げられる。
【0099】
接着剤は、その粘度が常温~150℃、好ましくは常温~100℃で100~10,000mPa・s、好ましくは100~5,000mPa・sの場合は、無溶剤型で用いることができる。接着剤の粘度が上記範囲より高い場合は、有機溶剤で希釈してもよい。
有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル等のエステル系、メチルエチルケトン等のケトン系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系等の、ポリイソシアネート成分に対して不活性なものが好適に用いられ、適宜選択して使用できる。
【0100】
上記実施形態の接着剤は、ポリエステルポリオール成分及びポリイソシアネート成分を含む2液硬化型のウレタン系ラミネート接着剤であってもよく、配合直後の酸価は、5.0mgKOH/g以上であり、より好ましくは7.0mgKOH/g以上であり、特に好ましく10.0mgKOH/g以上である。また、本実施形態の接着剤の配合直後の酸価は、好ましくは80mgKOH/g以下である。
【0101】
接着剤を使用する具体的な処方の一例としては、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを、ポリオール中の水酸基に対して、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基が当量比(NCO/OH)にして0.3~10.0になるよう配合する。より好ましくは、0.3~7.0であり、特に好ましくは0.5~5.0である。次いで、溶剤型又は無溶剤型のラミネーターによって接着剤をシート状基材表面に塗布し、溶剤型の場合は溶剤を揮散させた後、無溶剤型ではそのまま接着面を貼り合せ、常温又は加温下に硬化させる。
【0102】
<金属箔層>
一実施形態において、脱離層は、金属箔層を含む。金属箔は、金属を圧延することによって得られた部材であり、リサイクル用包装材料を透過する酸素や水蒸気の透過を抑制するために設けられたバリア層としても機能する。金属箔としては、従来から公知の金属箔を用いることができる。金属箔は、加工性及びコスト等の観点から、好ましくはアルミニウム箔である。
金属箔層の厚みは、好ましくは3~50μmであり、より好ましくは3~20μmであり、さらに好ましくは5~15μmである。
【0103】
<蒸着層>
一実施形態において、脱離層は、蒸着層を含む。蒸着層は、金属、又は、無機酸化物を用いて形成することができる。上記蒸着層は、リサイクル用包装材料を透過する酸素や水蒸気の透過を抑制するために設けられたバリア層としても機能する。上記蒸着層は、広義の蒸着法によって形成された膜を意味し、真空蒸着法のみならず、スパッタリングなどによって形成された膜であってもよい。
【0104】
蒸着層に使用される金属は、基板からの脱離能を有するものであれば限定されず、包装材料として用いる観点から、好ましくは、アルミニウムの蒸着層である。
蒸着層に使用される無機酸化物としては、金属酸化物である酸化アルミニウムの他、シリコン(Si)の酸化物であるシリカが挙げられる。特に、包装材料として用いる観点から、好ましくは、酸化アルミニウム、又はシリカの蒸着膜である。
【0105】
蒸着層の厚みは、用途に応じて異なるが、例えば、5nm以上、200nm以下、好ましくは、10nm以上、100nm以下の範囲内で、任意に選択して形成することが好ましい。
蒸着層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、及びイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)が挙げられる。
【0106】
<絵柄層>
絵柄層は、装飾、美感の付与、内容物、賞味期限、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。絵柄層は、例えば、脱離性インキ層(クリア)に隣接する層として設けることができる。また、例えば、基材と脱離性接着剤層との間に設けることができる。絵柄層は、基材の全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。
絵柄層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、顔料や染料を含む絵柄用インキを用いて形成してもよく、その形成方法は特に限定されない。絵柄層は、単層あるいは複数の層から形成されていてもよい。
絵柄層の厚さは、好ましくは0.1μm以上、10μm以下、より好ましくは1μm以上、5μm以下、さらに好ましくは1μm以上、3μm以下である。
【0107】
絵柄層を形成するための絵柄用インキとしては、例えば、顔料、バインダー、溶剤又は水等の媒体を含み、脱離機能を有さないインキを意味する。例えば、スクリーンインキ、グラビアインキ、フレキソインキ、インクジェットインキ、オフセットインキ、及びその他の印刷インキからなる群から選択される少なくとも1種を好適に使用することができる。ただし、これらに限定されない。なかでも、グラビアインキ、フレキソインキ、及びはインクジェットインキからなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。グラビアインキ及びフレキソインキの少なくとも一方を使用することがさらに好ましい。
【0108】
上記絵柄用インキにおけるバインダーとしては、例えば、ニトロセルロース系、セルロースアセテート・プロピオネート等の繊維素材、塩素化ポリプロピレン系、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系及びアクリルウレタン系、ポリアミド系、ポリブチラール系、環化ゴム系、及び塩化ゴム系であってよく、これらを適宜併用してもよい。
【0109】
絵柄用インキの塗工方法は、特に限定されない。例えば、グラビアコート法、フレキソコート法、オフセット法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、インクジェット法等の方法によって塗布することができる。絵柄用インキを塗工したものを放置するか、必要により送風、加熱、減圧乾燥、紫外線照射等を行うことによって絵柄層を形成することができる。
【0110】
<基材Y>
基材Yは先に説明した基材Xと同様であってよく、基材Xと同一でも異なっていてもよい。一実施形態において、基材Yは熱可塑性基材(シーラントと称する場合がある)であることが好ましく、無延伸ポリエチレン基材、無延伸ポリプロピレン基材、及び無延伸ポリエステル基材等が好ましい。
【0111】
リサイクル用包装材料の積層構造は特に限定されないが、一実施形態において、少なくとも1層以上のプラスチックフィルム又はガスバリア基材と、シーラントとを積層した構成であることが好ましい。以下に、積層体の構成の一例を挙げるが、これらに限定されない。下記において「透明蒸着層」は、アルミナ蒸着層又はシリカ蒸着層を意味する。
・2軸延伸ポリプロピレン(OPP)/[脱離性インキ層/絵柄層/脱離性接着剤層]/無延伸ポリプロピレン(CPP)
・OPP/[脱離性インキ層(カラー)/脱離性接着剤層]/無延伸ポリプロピレン(CPP)
・[OPP/絵柄層/脱離性接着剤層]/CPP
・[OPP/絵柄層/脱離性接着剤層]/CPP
・[絵柄層/脱離性インキ層(クリア)]/OPP/[脱離性接着剤層]/CPP
・[脱離性インキ層(カラー)]/OPP/[脱離性接着剤層]/CPP
・[脱離性インキ層(カラー)]/OPP/接着剤層/CPP
・OPP/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/接着剤層/アルミニウム(AL)蒸着層]/CPP
・OPP/[脱離性インキ層(カラー)/接着剤層/AL蒸着層]/CPP
・[OPP/絵柄層/接着剤層/AL蒸着層]/CPP
・[NY/絵柄層/脱離性接着剤層]/PE
・[NY/絵柄層/脱離性接着剤層]/PE
・NY/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/脱離性接着剤層]/PE
・NY/[脱離性インキ層(クリア)/脱離性接着剤層]/PE
・[NY/絵柄層/脱離性接着剤層]/CPP
・NY/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/脱離性接着剤層]/CPP
・NY/[脱離性インキ層(カラー)/脱離性接着剤層]/CPP
・[PET/絵柄層/接着剤層/NY/脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[脱離性インキ層(カラー)/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/CPP
・[NY/絵柄層/接着剤層/AL蒸着層]/PET/[脱離性接着剤層]/PE
・NY/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/接着剤層/AL蒸着層]/PET/[脱離性接着剤層]/PE
・NY/[脱離性インキ層(カラー)/接着剤層/AL蒸着層]/PET/[脱離接着剤層]/PE
・PET/[透明蒸着層/絵柄層/接着剤層/NY/脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[透明蒸着層/脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[透明蒸着層/脱離性インキ層(カラー)/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/CPP
・[PET/絵柄層/接着剤層/NY/脱離性接着剤層]/PE
・PET/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[脱離性インキ層(カラー)/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/CPP
・[PET/絵柄層/接着剤層/AL蒸着層]/PET/[脱離性接着剤層]/PE
・PET/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/接着剤層/AL蒸着層]/PET/[脱離性接着剤層]/PE
・PET/[脱離性インキ層(カラー)/接着剤層/AL蒸着層]/PET/[脱離性接着剤層]/PE
・[PET/絵柄層/接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/接着剤層/AL蒸着層]/PET/[脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[脱離性インキ層(カラー)/接着剤層/AL蒸着層]/PET/[脱離性接着剤層]/CPP
・[PET/絵柄層/接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/PE
・PET/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/脱離性接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/PE
・PET/[脱離性インキ層(カラー)/脱離性接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/PE
・[PET/絵柄層/接着剤層/NY/接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/PE
・PET/[脱離性インキ層(カラー)/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/PE
・[PET/絵柄層/接着剤層/AL箔/接着剤層/NY/脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/CPP
・PET/[脱離性インキ層(カラー)/接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/CPP
・[PET/絵柄層/接着剤層/AL箔/接着剤層/NY/脱離性接着剤層]/PE
・PET/[脱離性インキ層(クリア)/絵柄層/接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/PE
・PET/[脱離性インキ層(カラー)/接着剤層/AL箔/脱離性接着剤層]/NY/[脱離性接着剤層]/PE
【0112】
なお、上記の積層構造を有する包装材料において、単に「接着剤層」と記載しているものは、脱離性接着剤層を形成する接着剤以外の接着剤(一般的な接着剤も含まれる)から形成される層である上記接着剤層を形成するために使用できる一般的な接着剤は、公知の接着剤から適宜選択され、限定されない。一般的な接着剤として、例えば、ウレタン系接着剤、オレフィン系接着剤、及びアクリル系接着剤が挙げられる。
【0113】
上記「接着剤層」は、塩基性水溶液において剥離性を示さない接着剤から構成される層を意味する。「剥離性を示さない」とは、例えば、濃度が0.5~15質量%の塩基性水溶液に、接着剤層を有する積層体又は印刷物を、70℃で、1分~24時間にわたって浸漬させた後に、目視にて剥離が確認できなことを意味する。これに対し、「脱離性接着剤層」は、塩基性水溶液において溶解又は膨潤することによって良好な剥離性を示す接着剤から構成される層を意味する。「剥離性を示す」とは、例えば、濃度が0.5~15質量%の塩基性水溶液に、接着剤層を有する積層体又は印刷物を、70℃で、1分~24時間にわたって浸漬させた後に、目視にて剥離が確認できることを意味する。このように、「脱離性接着剤層」と「接着剤層」とは、塩基性水溶液に対する異なる性質によって区別される。
【0114】
上記包装材料の積層構造の例示では、脱離層に相当する範囲を[ ]で示している。例えば、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)/[脱離性インキ層/絵柄層/脱離性接着剤層]/無延伸ポリプロピレン(CPP)の構成を有するリサイクル用包装材料において、脱離層は、脱離性インキ層と、絵柄層と、脱離性接着剤層とから構成される。したがって、識別情報は、脱離層を構成するいずれかの層に付与されていればよい。例えば、絵柄層及び/又は脱離性インキ層(クリア、カラー)が、電子透かし、バーコード、QRコードを有していてもよい。また、脱離性インキ層(クリア、カラー)、脱離性接着剤層又は絵柄層が、検出可能な化合物を含んでいてもよい。
これらの積層構造を有する積層体は、レトルトパウチ等に好適に用いることができ、必要に応じて、トップコート層等を有してもよい。
【0115】
上記実施形態によれば、種々のプラスチック基材等を積層した包装材料において、包装材料から接着剤を脱離することができるため、かつ、優れたレトルト適性を発現する包装材料から脱離性を有する接着剤や該接着剤を用いた積層体を得ることができる。また、該接着剤が塩基性水溶液による優れた脱離性を示すため、塩基性水溶液によって積層体から接着剤を脱離し、基材を分離回収することによって基材をリサイクルすることができる。得られた基材は、押出機等によってペレット状に加工し、再生樹脂としてリサイクルすることができる。
【0116】
<2>リサイクル方法
本発明の一実施形態である包装材料のリサイクル方法は、上記実施形態のリサイクル用包装材料をリサイクルする方法に関する。この方法では、基材と、リサイクル用包装材料のリサイクル方法であって、読み取り装置により識別情報を読み取り、基材の種別及びリサイクルの可否を識別すること、及び前記識別に応じて、リサイクル可能な基材を含むリサイクル用包装材料を選別することを含む。上記実施形態によれば、廃棄物の中からリサイクル可能な基材を含むフィルム包装材料などの積層体を簡単に分離回収することができる。
【0117】
上記実施形態のリサイクル方法は、分離回収した積層体からリサイクル可能な基材を分離回収することをさらに含むことが好ましい。基材の分離回収は、脱墨方法、例えば、塩基性溶液中に積層体を浸漬することによって実施することができる。
【0118】
一実施形態において、上記リサイクル方法は、印刷物またはラミネート積層体を塩基性水溶液に浸漬する工程を含む。脱離能を有する層、絵柄層、及びその他の各層を含む脱離層の除去条件として、塩基性水溶液の濃度は0.5~15質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
塩基性水溶液の濃度が上記範囲内にあることで、塩基性水溶液は脱離に充分なアルカリ性を保持することができる。脱離において、印刷層を有する印刷物においては、その印刷層の表面から塩基性水溶液が浸透して脱離層が溶解又は膨潤することによって基材からの脱離が生じる。また、ラミネート積層体においては、その積層体の端部分から塩基性水溶液が浸透して脱離層と接触して脱離層が溶解又は膨潤することによって脱離が生じる。
このように、印刷物または積層体の断面に脱離層を有する場合、断面から塩基性水溶液と接触しやすくなることから、より短時間で絵柄インキ層、及び基材等を脱離することができる。このような観点から、印刷物又は積層体は細かく裁断されてもよい。
【0119】
塩基性水溶液への浸漬時間としては1分~24時間であることが好ましく、1分~12時間であることがより好ましく、1分~6時間であることがさらに好ましい。なお、表刷り印刷の形態であるならば、浸漬時間としては1分~12時間であることが好ましく、1分~6時間であることがより好ましい。裏刷り(ラミネート積層体)の形態であるならば、浸漬時間としては1分~24時間であることが好ましく、1分~12時間であることがさらに好ましい。
【0120】
その後に、水洗及び乾燥することによって、リサイクル基材を得ることができる。基材1、基材2などの基材から脱離層とそれに伴う絵柄層及び接着剤層などの除去率は、脱離層の脱離能が面方向に一様であるならば(部分硬化などしていない)、基材の脱離層のうち好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。なお、浸漬時には撹拌をしながら脱離を行うことが好ましい。例えば、撹拌装置回転羽根で撹拌する場合、100~3000rpmであることが好ましく、500~2000rpmであることがより好ましく、800~1500rpmであることがさらに好ましい。
【0121】
浸漬時の塩基性水溶液の温度は25~120℃が好ましく、110℃以下がより好ましく、30~90℃であることがさらに好ましく、30~80℃であることが特に好ましい。表刷り印刷形態の場合、裏刷り(ラミネート積層体)形態の場合いずれも同様である。なお、塩基性水溶液の濃度としては0.5~15質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、0.5~5質量%であることがさらに好ましい。
【0122】
表刷り印刷形態の場合、塩基性水溶液の濃度としては0.5~15質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがなお好ましく、裏刷り(ラミネート積層体)ではアルカリ水溶液の濃度としては1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。その後プラスチック基材(リサイクル基材)を水洗・乾燥したときの、脱離層とそれに伴う絵柄インキ層・接着剤層等の除去率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
【0123】
塩基性水溶液の使用量は、印刷物または積層体の質量に対して10~100万倍量が好ましく、10~1000倍量がより好ましい。また、効率向上のために循環式の洗い流し、印刷物または積層体の粉砕、撹拌を行ってもよい。
【0124】
図4は、本発明の一実施形態であるリサイクル方法を説明する図であり、図4(a)は塩基性水溶液による処理前のリサイクル用包装材料の一実施形態を示す側面断面図であり、図4(b)は塩基性水溶液による処理後のリサイクル用包装材料の状態を示す模式図である。
図4(a)に示すように、一実施形態において、リサイクル用包装材料100は、基材X1(10)/脱離性インキ層(クリア)(22)/識別情報(電子透かし)を有する絵柄層30B/脱離性接着層40/基材Y(12)の積層構造を有してよい。このリサイクル用包装材料100を、塩基性水溶液50を含む容器60に浸漬させ、必要に応じて撹拌する。その結果、図4(b)に示すように、脱離性インキ層(クリア)(22)及び脱離性接着層40の溶解又は膨潤によって、脱離層(脱離性インキ層(クリア)(22)、識別情報(電子透かし)を有する絵柄層30B、及び脱離性接着層40)を基材X1(10)及び基材Y(12)から容易に剥離させることができる。このようにして上記実施形態のリサイクル方法によれば、基材からインキなどの不要な成分を除去することによって、基材を着色の少ない状態で容易に回収することができる。
【0125】
上記実施形態によれば、印刷物あるいは積層体に対し、塩基性水溶液中で脱離層の除去を行い、基材を水洗・乾燥することで、再生プラスチック基材(リサイクル基材)を得ることができる。また、再生プラスチック基材をペレタイザー等によりペレット状に再生して再利用することができる。
【0126】
<3>リサイクルシステム
本発明の一実施形態である包装材料のリサイクルシステムは、
基材と、上記基材に積層され、少なくとも上記基材がリサイクル可能か否かを識別するための情報を含む識別情報が付与された脱離層とを有する包装材料を撮像する撮像装置と、
撮像装置で撮像された包装材料の画像データから電子透かしによる識別情報を抽出し、抽出した識別情報に基づいて包装材料のリサイクル方法を判別する制御装置と、
上記制御装置で判別したリサイクル方法に従い包装材料を選別する選別装置と、
上記選別装置で脱墨処理対象に選別された包装材料から脱離層を除去して脱墨する脱墨装置と
を含む。一実施形態において、脱墨装置は、包装材料を浸して脱離層を溶解又は膨潤させるための溶媒(塩基性水溶液)を満たした脱墨槽と、脱墨槽から残渣を回収する残渣回収装置とを含むことが好ましい。
【0127】
以下、図面に沿って、より具体的に説明する。図5は、包装材料のリサイクルシステムを説明する概略図である。本実施形態においては、プラスチックフィルムを含む基材に、電子透かしなどの識別情報が印刷された脱離層が積層された包装材料を想定している。なお、識別情報は電子透かしに限らず、バーコードなど他の形態であってもよい。また、基材は、プラスチックフィルムに限らず、リサイクル可能な材料から構成されてよい。
【0128】
包装材料は、消費者に使用された後、自治体や事業者などによって回収されて集積場所に集められる。集積場所は、例えば倉庫など適当な施設であってもよい。
図5に示すように、集積場所に集められた包装材料は、ベルトコンベヤなどの適切な搬送装置によって、選別装置300bに向かって運ばれる。選別装置300bは、集積場所と同じ施設に設けられていてもよい。搬送装置によって運ばれている包装材料は、ビデオカメラなどの適切な撮像装置300aによって個別に外観を撮像される。
【0129】
撮像装置により取得された包装材料の外観は、画像データとして制御装置に送られる。制御装置は、包装材料の外観の画像データから電子透かしなどの識別情報の画像データを切り出して、識別情報の画像データから識別情報を抽出する識別情報抽出部を有している。また、抽出した識別情報の内容に従い、包装材料のリサイクル方法を判別するリサイクル方法判別部を有している。制御装置は、例えばパーソナルコンピュータによって構成されてもよい。
【0130】
選別装置300bは、搬送装置によって送られてきた各包装材料を制御装置からの指示に従い選別する。上記実施形態のリサイクル用包装材料は、少なくとも基材がリサイクル可能か否かを識別するための情報を含んでいる。そのため、包装材料の識別情報が抽出され、リサイクル可能であると判別された場合、包装材料は、脱墨処理などの基材のリサイクルを行う経路に振り分けられる。包装材料の識別情報が、基材の構成材料に関する情報を有する場合、基材に適したリサイクル方法に応じて経路をさらに振り分けることもできる。一方、包装材料が識別情報を有さないか、又は識別情報によってリサイクル不可と判別された場合は、基材のリサイクルを行う記経路とは別の経路に振り分けることもできる。
【0131】
一例として、図5では、第1の選別場所に向かう第1の経路と、第2の選別場所に向かう第2の経路と、第3の選別場所に向かう第3の経路とに振り分けている。第1から第3の経路は、それぞれベルトコンベヤによって構成されていてもよい。第1から第3の選別場所は、リサイクル方法によって異なってよい。例えば、図5に示すように、第1及び第2の選別場所では脱墨処理を施す回収材料が選別され、第3の選別場所は脱墨処理しない包装材料が選別されてもよい。第1から第3の選別場所は、集積場所と同じ施設に設けられていてもよい。
【0132】
例えば、脱墨処理可能と判別され第1及び第2の選別場所に選別された包装材料100a、100bは、それぞれ脱墨処理を施す施設に運ばれ、それぞれ第1及び第2の脱墨槽50に投入されて溶媒(塩基性水溶液)によって脱離層が溶解される。これに伴い、脱離層に印刷された電子透かしなどの識別情報の印刷も除去されて脱墨される。脱墨された包装材料は、脱墨槽50から取り出され、溶媒が取り除かれる。これによって、リサイクル品として、脱墨された基材10a、10bが得られる。第1及び第2の脱墨槽からは、残渣32が回収されて別にリサイクルされてもよい。脱墨処理を施す施設は、集積場所や選別装置を設けた施設と同じであってもよいし、別の施設であってもよい。一方、脱墨処理不可と判別され第3の選別場所に選別された包装材料100cは、脱墨を施すことができないため、そのまま従来のリサイクル品としてもよい。
このようにして、集積場所に集められた廃棄物の中から、リサイクル用包装材料のみを簡便に分別でき、さらに、回収したフィルム包装材料から、脱墨処理によってプラスチックフィルム等のリサイクル可能な材料を効率よく分離、回収することができる。
【符号の説明】
【0133】
10 基材X1
10a、10b 脱墨された基材
12 基材Y
20 脱離性インキ層(カラー)
22 脱離性インキ層(クリア)
30 絵柄層
30B 識別情報(電子透かし)を含む絵柄層
32 残渣
40 脱離性接着層
50 脱墨槽(塩基性水溶液)
60 容器
100 リサイクル用包装材料
100a、100b(脱墨処理可能と判別された包装材料)
100c(脱墨処理不可と判別された包装材料)
300a 撮像装置
300b 選別装置
A 識別情報(バーコード)
B 識別情報(電子透かし)
図1
図2
図3
図4
図5