(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】サスペンションアセンブリについての接着剤を有する形状記憶合金ワイヤ取付構造体
(51)【国際特許分類】
F03G 7/06 20060101AFI20231109BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20231109BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20231109BHJP
【FI】
F03G7/06 E
G02B7/04 E
G03B5/00 J
(21)【出願番号】P 2021124259
(22)【出願日】2021-07-29
(62)【分割の表示】P 2018564209の分割
【原出願日】2017-06-09
【審査請求日】2021-07-29
(32)【優先日】2016-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508130890
【氏名又は名称】ハッチンソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】シェーレ,ブライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,ディーン イー.
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,マイケル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ビアブラウアー,エリック ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マーク エー.
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-283146(JP,A)
【文献】特開2007-227845(JP,A)
【文献】特開2010-128262(JP,A)
【文献】特表2013-546023(JP,A)
【文献】特開2015-128267(JP,A)
【文献】国際公開第2006/016443(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 7/06
G02B 7/04
G03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の第1のワイヤ取付構造体を含む支持部材、
1つ以上の第2のワイヤ取付構造体を含む移動部材、
前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および前記1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つ
の間に延在し、前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および前記1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの側部から延在して形状記憶合金ワイヤを1つ以上のワイヤ取付構造体に固定する接着剤、ならびに、
前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体
と前記1つ以上の第2のワイヤ取付構造体との間に延在する形状記憶合金ワイヤ
を備え、
前記形状記憶合金ワイヤは、前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体、前記1つ以上の第2のワイヤ取付構造体、および前記接着剤に結合され、前記接着剤は、前記形状記憶合金ワイヤを
前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体の少なくとも1つに対し
て出射角度に維持
するように構成される、サスペンションアセンブリ。
【請求項2】
前記接着剤は、前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体の部分の間に配置されておらず、前記接着剤は、導電性接着剤である、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項3】
ストレイン緩和部材をさらに備え、前記形状記憶合金ワイヤは、前記ストレイン緩和部材の間に延在しており、そこに結合され、前記接着剤は、前記ストレイン緩和部材の側部に近接して配置されている、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項4】
前記接着剤は、前記ストレイン緩和部材の間に延在している、請求項3に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項5】
前記接着剤は、40メガパスカル~2000メガパスカルの間のヤング率を有する、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項6】
前記接着剤は、シアノアクリレートからなる、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項7】
前記接着剤は、100パーセント~300パーセントの間のストレイン破断伸びを有する、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項8】
前記接着剤は少なくとも2つの接着剤からなり、前記少なくとも2つの接着剤のうちの第1の接着剤は、前記少なくとも2つの接着剤のうちの第2の接着剤よりも低いヤング率を有する、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項9】
前記接着剤は、非導電性接着剤である、請求項1に記載のサスペンションアセンブリ。
【請求項10】
接着剤を含むサスペンションアセンブリの製造方法であって、
1つ以上の第1のワイヤ取付構造体を含む支持部材、
1つ以上の第2のワイヤ取付構造体を含む移動部材、ならびに、
前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および前記1つ以上の第2のワイヤ取付構造体に結合され、それらの間に延在する形状記憶合金ワイヤ
を含む前記サスペンションアセンブリを受けること、
前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および前記1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの側部に近接して、前記形状記憶合金ワイヤを1つ以上のワイヤ取付構造体に固定するように接着剤を配置すること
であって、前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および前記1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの間に延在する前記接着剤を配置すること、および、
前記接着剤を硬化させて、前記形状記憶合金ワイヤを
前記1つ以上の第1のワイヤ取付構造体の少なくとも1つに対し
て出射角度に維持
すること
を備える方法。
【請求項11】
前記形状記憶合金ワイヤに電気駆動信号を印加し、前記サスペンションアセンブリをある温度に加熱することをさらに備え、前記接着剤を硬化することは、ある時間だけ前記温度を維持することを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ストレイン緩和部材をさらに備え、前記形状記憶合金ワイヤは、前記ストレイン緩和部材の間に延在しており、そこに結合され、前記接着剤は、前記ストレイン緩和部材の側部に近接して配置されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記接着剤は、前記ストレイン緩和部材の間に延在している、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年6月9日に出願された米国特許出願第15/618,917号の出願日の優先権を主張し、さらに、2016年6月9日に出願された米国仮特許出願第62/348,084号の利益を主張し、その開示の両方が、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
実施形態は一般に、形状記憶合金(SMA)ワイヤを使用するサスペンションアセンブリに関する。特に実施形態は、SMAワイヤをクリンプする接着剤を有する取付構造体に関し、これは、サスペンションアセンブリの移動部材にサスペンションアセンブリの支持部材を結合する。
【背景技術】
【0003】
様々なサスペンションアセンブリが、SMAワイヤを使用してサスペンションアセンブリの移動部材にサスペンションアセンブリの支持部材を結合する。例えば、SMAワイヤを使用するサスペンションを、カメラレンズサスペンションシステムに見出すことができる。特許文献1および特許文献2は、屈曲要素またはばねプレートによって固定支持アセンブリ上に支持されている(カメラレンズ要素を搭載することができる)移動アセンブリを有しているカメラレンズ光学像安定化(OIS)サスペンションシステムを開示している。リン青銅などの金属で形成された屈曲要素は、移動プレートおよび屈曲を有している。屈曲は、移動プレートと固定支持アセンブリとの間に延在し、固定支持アセンブリに対する移動アセンブリの移動を可能にするばねとして機能する。この機械的な機能に加えて、屈曲は、移動アセンブリに搭載されたカメラレンズ要素などの構造体への支持アセンブリからの電気的接続を提供する。移動アセンブリおよび支持アセンブリは、アセンブリ間に延在する形状記憶合金(SMA)ワイヤによって結合されている。SMAワイヤのそれぞれは、支持アセンブリに取り付けられた一端部、および、移動アセンブリに取り付けられた反対側端部を有している。サスペンションは、SMAワイヤに電気駆動信号を印加することによって作動される。上記で特定したPCT刊行物は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
改良されたレンズサスペンションのための継続的な必要性が残っている。具体的には、サスペンションが使用されているときにSMAワイヤを損傷しない、および/または、損傷しているSMAワイヤの影響を受けにくい、サスペンションに電気信号を結合するための改良構造を有するこのようなサスペンション構造体が必要とされている。高度に機能的、頑丈でかつ製造効率の高いこれらのタイプのサスペンション構造体が、特に望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】PCT国際出願公開第2014/083318号
【文献】PCT国際出願公開第2013/175197号
【発明の概要】
【0006】
実施形態は、SMAワイヤを損傷する可能性を低減し得るようにしてSMAワイヤを結合する一体化電気トレースを有する改良サスペンションに関する。サスペンションは、機
能的、頑丈でかつ製造効率が高い。
【0007】
例では、サスペンションアセンブリは、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体を含む支持部材、1つ以上の第2のワイヤ取付構造体を含む移動部材、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの部分の間に配置された接着剤、ならびに、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体間に延在する形状記憶合金ワイヤを備え、形状記憶合金ワイヤは、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体、1つ以上の第2のワイヤ取付構造体、および接着剤に結合される。
【0008】
別の例では、サスペンションアセンブリは、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体を含む支持部材、1つ以上の第2のワイヤ取付構造体を含む移動部材、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体間に延在してそこに結合する形状記憶合金ワイヤ、ならびに、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの側部に近接した形状記憶合金ワイヤの部分に配置された接着剤、を備える。
【0009】
別の例では、サスペンションアセンブリは、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体を含む支持部材、1つ以上の第2のワイヤ取付構造体を含む移動部材、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの側部から延在するプラットフォーム部分、プラットフォーム部分に配置された接着剤、ならびに、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体間に延在して、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体、1つ以上の第2のワイヤ取付構造体および接着剤に結合される形状記憶合金ワイヤを備える。
【0010】
別の例では、接着剤を含むサスペンションアセンブリの製造方法は、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体を含む支持部材、1つ以上の第2のワイヤ取付構造体を含む移動部材、ならびに、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体に結合され、それらの間に延在する形状記憶合金ワイヤを備える支持部材を受けること、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの側部に近接して接着剤を配置すること、形状記憶合金ワイヤへ電気駆動信号を印加すること、および、接着剤を硬化させることを備える。
【0011】
別の例では、接着剤を含むサスペンションアセンブリの製造方法は、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体を含む支持部材、1つ以上の第2のワイヤ取付構造体を含む移動部材、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの部分の間に配置された未硬化接着剤、ならびに、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体間に延在し、そこに結合された形状記憶合金ワイヤを備える支持部材を受けること、形状記憶合金ワイヤへ電気駆動信号を印加すること、および、接着剤を硬化させることを備える。
【0012】
別の例では、接着剤を含むサスペンションアセンブリの製造方法は、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体を含む支持部材、1つ以上の第2のワイヤ取付構造体を含む移動部材、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つの部分の間に配置された第1の未硬化接着剤、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体のうちの少なくとも1つに近接して配置された第2の未硬化接着剤、ならびに、1つ以上の第1のワイヤ取付構造体および1つ以上の第2のワイヤ取付構造体間に延在し、そこに結合された形状記憶合金ワイヤを備える支持部材を受けること、第2の未硬化接着剤を硬化させること、および、第1の未硬化接着剤を硬化させることを備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1Aは、実施形態によるサスペンションの上面等角図である。
【
図5】
図5は、
図4Aに示す移動部材の屈曲アーム搭載領域およびワイヤ取付の詳細な上面等角図である。
【
図6】
図6は、
図4Aに示す移動部材の屈曲アーム搭載領域およびワイヤ取付の詳細な上面等角図である。
【
図7】
図7は、
図1Aに示すサスペンションの支持部材搭載領域および屈曲アーム搭載領域の詳細な上面等角図である。
【
図8】
図8は、サスペンションの実施形態の注釈つき図である。
【
図9】
図9は、サスペンションの実施形態の注釈つき図である。
【
図10】
図10は、サスペンションの実施形態の注釈つき図である。
【
図11】
図11は、サスペンションの実施形態の注釈つき図である。
【
図12】
図12は、サスペンションの実施形態の注釈つき図である。
【
図13】
図13は、サスペンションの実施形態の注釈つき図である。
【
図14】
図14は、サスペンションの実施形態の注釈つき図である。
【
図15A】
図15Aは、実施形態による、支持部材に組み込むことができる取付構造体の上面等角図である。
【
図17】
図17は、例示的な切削パッドを含む取付部材の上面等角図を示す。
【
図18】
図18は、別の例示的な切削パッドを含む取付部材の上面等角図を示す。
【
図19】
図19は、移動部材に組み込むことができる取付構造体を示す。
【
図20A】
図20Aは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの実施形態を示す。
【
図20B】
図20Bは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの実施形態を示す。
【
図20C】
図20Cは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの実施形態を示す。
【
図21】
図21は、本開示の実施形態による移動部材のベース層を示す。
【
図22A】
図22Aは、本明細書に開示された取付構造体にエッチングすることができる部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図22B】
図22Bは、本明細書に開示された取付構造体にエッチングすることができる部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図23A】
図23Aは、本明細書に開示された取付構造体にエッチングすることができる部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図23B】
図23Bは、本明細書に開示された取付構造体にエッチングすることができる部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図24A】
図24Aは、本明細書に開示された取付構造体にエッチングすることができる部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図24B】
図24Bは、本明細書に開示された取付構造体にエッチングすることができる部分エッチングパターンの実施形態を示す。
【
図26A】
図26Aは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの別の実施形態を示す。
【
図26B】
図26Bは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの別の実施形態を示す。
【
図27A】
図27Aは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの別の実施形態を示す。
【
図27B】
図27Bは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの別の実施形態を示す。
【
図27C】
図27Cは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの別の実施形態を示す。
【
図28A】
図28Aは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの別の実施形態を示す。
【
図28B】
図28Bは、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの別の実施形態を示す。
【
図29】
図29は、本開示の実施形態による移動部材の別のベース層を示す。
【
図30】
図30は、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプの別の実施形態の上面等角図を示す。
【
図33】
図33は、本明細書に示す移動部材に組み込むことができる取付構造体を示す。
【
図34】
図34は、本実施形態による固定具におけるサスペンションアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1Aおよび
図1Bは、実施形態によるサスペンションアセンブリ10を示す。示されているように、サスペンションアセンブリ10は、フレキシブルプリント回路(FPC)すなわち支持部材12および支持部材に結合されたばねクリンプ回路すなわち移動部材14を含む。形状記憶合金(SMA)ワイヤ15は、支持部材12および移動部材14間に延在し、電気的に作動させて支持部材に対する移動部材の位置を移動させて制御することができる。様々な実施形態によれば、サスペンションアセンブリ10は、例えば、携帯電話、タブレット、ラップトップコンピュータに組み込むことができるカメラレンズ光学像安定化(OIS)デバイスである。
【0015】
図2A、
図2B、
図3Aおよび
図3Bは、より詳細に支持部材12を示す。示されているように、支持部材12は、ベース層16およびベース層16上のトレース18a~18dなどの複数の導電トレース18を含む。様々な実施形態によれば、複数の導電トレース18は、支持部材12の導電層内にある。誘電体20の層は、導電トレース18およびベース層16間に位置し、ベース層16からトレースを電気的に絶縁する。クリンプ24などの複数のワイヤ取付構造体。
図2A、
図2B、
図3Aおよび
図3Bに示すものなどの様々な実施形態によれば、静的クリンプとして構成される4つのクリンプ24が、ベース層16上に位置する。図示の実施形態によれば、クリンプ24は、ベース層16の主平面部分26から(例えばz方向に)離れたレベルにおいてベース層16内のレッジ25上に一体に形成される2対の隣接構造体として編成される。他の実施形態は、これらに限定されないが、はんだパッド、およびワイヤを固定するために使用される他の機械構造体を含む、ワイヤ取付構造体を使用するものを含む。他の実施形態によれば、ワイヤ取付構造体は
、対ではなくベース層16のレッジ25上の単一ワイヤ取付構造体などの他の構成に編成される。様々な実施形態によれば、ベアリング保持凹部28がベース層16の部分26に形成される。凹部28内のベアリング(図示せず)は、移動部材14に係合し、支持部材12に対して移動部材14を移動可能に支持するように構成される。トレース18は、ベース層16上の導体層における端子30およびコンタクトパッド32を含む。トレース18のそれぞれは、端子30をコンタクトパッド32に結合する。例えば、コンタクトパッド32aおよび32bは、支持部材12の第1の搭載領域33にあり、トレース18aおよび18bは、パッド32aおよび32bに端子30aおよび30bをそれぞれ結合する。第2の搭載領域35におけるコンタクトパッド32は、同様にトレース18により端子30に結合される。コンタクトパッド32は、図示の実施形態によるクリンプ24のそれぞれに配置され、コンタクトパッドの各々は、別個のトレースにより別個の端子30に結合される(例えば、トレース18dは、端子30dをパッド32dに結合する)。端子30が配置されているベース層16の部分は、(例えば、図示の実施形態による主表面部分の平面に垂直に)主表面部分26の平面から離れて形成される。
【0016】
図3Aおよび
図3Bは、支持部材12の搭載領域33のより詳細な実施形態で示す。示されるように、搭載領域33は、第1の搭載パッド40および第2の搭載パッド42を含む。搭載パッド42は、ベース層の他の部分から電気的に絶縁されたベース層16におけるアイランドすなわちパッド部分44を含む。アイランドパッド部分44は、アイランドパッド部分44とベース層16の隣接部分との間に延在する誘電体20の領域によってベース層16の隣接部分から部分的に支持することができる。トレース18aおよびコンタクトパッド32aは、アイランドパッド部分44に延在し、実施形態において、搭載パッド42において誘電体20を通って延在するメッキまたは他のタイプのビア46などの電気的接続によりアイランドパッド部分44に電気的に接続される。他の実施形態は、ビア46の代わりにまたはそれに加えて、例えば、誘電体20の縁部上でコンタクトパッド32aとアイランドパッド部分44との間に延在する導電性接着剤などの他の電気的接続を含む。搭載パッド40は、搭載パッド42に隣接し、ベース層16におけるパッド部分48およびコンタクトパッド32bをパッド部分48に接続するビア50などの電気的接続を含む。様々な実施形態によれば、パッド部分48は、電気接地または共通構造体として機能するように構成されている。搭載領域35は、搭載領域33と同様とすることができる。
【0017】
図4A、
図4B、
図5、
図6および
図7は、より詳細に移動部材14の実施形態を示す。示されるように、移動部材14は、プレート60とプレート60から延在するばねまたは屈曲アーム62を含む。図示の実施形態によれば、プレート60は、矩形状部材であり、各屈曲アーム62は、プレート60の周縁部の2つの側部に沿って延在する第1の部分64および第2の部分66を有する細長部材である。様々な実施形態によれば、プレート60および屈曲アーム62は、ステンレス鋼などのばね金属ベース層68に形成される。移動部材14はまた、クリンプ70などのワイヤ取付構造体を含む。
図4A、
図4B、
図5、
図6および
図7に図示されるものなどの様々な実施形態によれば、移動クリンプなどの4つのクリンプ70は対で編成される。図示された実施形態によれば、クリンプ70は、プレート60から延在するアーム72の端部におけるプレート60と同じばね金属ベース層68と一体であり、それから形成される。移動部材14は、他の実施形態では異なって構成される。例えば、他の実施形態では、屈曲アーム62は、形状が異なり、数が異なり、異なって編成され、および/または、プレート60の他の場所から延在することができる。さらに他の実施形態では、クリンプ70は、別個の構造体として形成することができ、それは、プレート60に取り付けられる(すなわち、プレートと一体ではない)。他の実施形態は、これらに限定されないが、はんだパッド、およびワイヤを固定するために使用される他の機械構造体を含むワイヤ取付構造体を使用するものを含む。他の実施形態によれば、ワイヤ取付構造体は、対ではなくアーム72の端部上の単一ワイヤ取付構造体
などの他の構成で編成される。
【0018】
屈曲アーム62の端部は、支持部材12の搭載領域33および35に搭載されるように構成されている搭載領域74を有する。ベース層68上の導電性トレース76は、搭載領域74から屈曲アーム62上にて延在する。様々な実施形態によれば、トレース76はまた、プレート60の部分にわたってベース層68上において延在する。図示された実施形態によれば、アーム72上のトレース76もプレート60上にてコンタクトパッド77へと延在する。図示された実施形態によれば、コンタクトパッド77は、プレート60の主平面から離れて延在するプラットフォーム73上にある。接触パッド77は、他の実施形態では(例えば、プレート60上において)他の場所にある。誘電体78の層は、ベース層68からトレース76を電気的に絶縁するために導電性トレース76とベース層68との間に位置する。搭載領域74は、第1の搭載パッド80と第2の搭載パッド82とを含む。各搭載パッド82は、ベース層68の他の部分から電気的に絶縁されたベース層68におけるアイランドすなわちパッド部分84を含む。各トレース76は、搭載パッド80にわたって(かつ、そこから電気的に絶縁されて)搭載パッド82から延在する。図示の実施形態によれば、搭載パッド80および82間に延在するトレース76の部分は、屈曲アーム62上のトレースの部分にわたって拡大し、ベース層68においてアイランドパッド部分84についての支持を提供する。トレース76は、アイランドパッド部分84へと延在し、実施形態では搭載パッド82にて誘電体78を通って延在するメッキまたは他のタイプのビア86などの電気的接続によりアイランドパッド部分に電気的に接続されている。他の実施形態は、ビア86の代わりにまたはそれに加えて、誘電体78の縁部にわたってトレース76およびアイランドパッド部分84間に延在する導電性接着剤などの他の電気的接続を含む。搭載パッド80は、誘電体78によってトレース76から電気的に絶縁されたベース層68におけるパッド部分90を含む。図示の実施形態によれば、搭載パッド80および82にわたるトレース76の部分は、円形であり中央において開いているが、他の実施形態では他の形態をとる。
【0019】
おそらく最もよく
図1Aおよび
図7に示されているように、移動部材屈曲アーム62の搭載領域74は、支持部材12の搭載領域33および35に機械的に取り付けられている。屈曲アーム62上のトレース76は、支持部材12上で関連するトレース18に電気的に接続される。様々な実施形態によれば、移動部材14のベース層68におけるパッド部分84および90ならびに支持部材12のベース層16の対応するパッド部分44および48間の機械的接続は、溶接することによって行われる。溶接は、例えば、パッド部分84および90にてトレース76の開口を介して行うことができる。溶接はまた、移動部材14のパッド部分84および90ならびに支持部材12の対応するパッド部分44および48間の電気的接続も可能とする。これらの電気的接続により、移動部材14の金属ベース層68、およびそれによって移動クリンプなどのクリンプ70が、ビア50を通って、関連するトレース18、例えばトレース18bに共通に電気的に接続される。同様に、各屈曲アームトレース76は、ビア46を通って、関連するトレース18、例えばトレース18aに電気的に接続される。他の実施形態は、支持部材12に屈曲アーム62を機械的に搭載するための、および/または、支持部材12上の関連するトレース18へと屈曲アーム上のトレース76を電気的に接続するための他の構造を有する。図示された実施形態によれば、導電性金属領域94を、クリンプ70において移動部材14の金属ベース層68上に直接、配置し(すなわち、導電性金属領域94と金属ベース層68との間に誘電体または他の絶縁材料が存在しない)、金属ベース層68とクリンプ70によって係合されるSMAワイヤ15との間の電気的接続を強化する。
【0020】
以下でより詳細に説明されるように、支持部材12および移動部材14は、加法および/または減法プロセスにより形成することができる。ベース層16および/または68は、様々な実施形態によるステンレス鋼である。他の実施形態について、ベース層16およ
び/または68は、リン青銅などの他の金属または材料である。トレース18および76、端子30ならびにコンタクトパッド32は、銅、銅合金または他の導電性材料から形成することができる。ポリイミドまたは他の絶縁材料を、誘電体20および78として使用することができる。支持部材12および/または移動部材14の他の実施形態は、より多くのまたはより少ないトレース18および76を有し、トレース18は、異なるレイアウトで配置することができる。溶接などのクリンプ24以外の構造体を、ベース層16にSMAワイヤ15を取り付けるために使用することができる。他の実施形態は、より多くのまたはより少ないクリンプ24および70を有し、クリンプをそれぞれ、支持部材12および移動部材14上の異なる位置とすることができる。
【0021】
上述のように、サスペンションアセンブリ10は、支持部材12と移動部材14との間に延在するSMAワイヤ15を含む。SMAワイヤ15は、取付構造体を用いて支持部材12と移動部材14とに結合される。取付構造体は、例えば、
図2A~
図2Bおよび
図4A~
図4Bにそれぞれ示されるクリンプ24,70を含み得る。様々な実施形態によれば、
図1Bおよび
図4Bにそれぞれ示すように、支持部材12と移動部材14とはそれぞれ、対角上の2つのレッジ25上の取付構造体を含む。
【0022】
図8~
図14は、実施形態による改良されたカメラレンズサスペンションアセンブリを示す。サスペンションアセンブリは、2つの主要構成要素、ベースすなわち支持部材812(静的FPC(フレキシブルプリント回路)とも呼ばれる)および移動/ばね部材814(ばねクリンプ回路とも呼ばれる)を有する。静的FPC(ベース部材812)とばねクリンプ回路(移動部材814)との両方は、それらが図示の実施形態によるベース金属816(例えばステンレス鋼(SST))上に(例えば、銅「Cu」または銅合金層で)形成されたリード、コンタクトパッドおよび端子などの電気的構造体を有するという点において、図示の実施形態による一体化リード構造体である。絶縁体818(例えばポリイミドすなわち「ポリ」)の層は、ベース金属816から電気的に絶縁されるべき電気的構造体の部分を分離する(様々な実施形態について、Cu層の他の部分がベース金属816に接続される、または直接、その上にある)。いくつかの場所で、1つ以上のトレース820などの電気的構造体は、絶縁体818の層内の開口を介してベース金属816へとトレース820またはリード層から延在する電気的接続(例えば「ビア」822)によってベース金属816と電気的に接続することができる。様々な実施形態によれば、レンズは、移動部材814に搭載することができる。他の実施形態によれば、レンズを支持するオートフォーカスシステムは、移動部材814に搭載することができる。
【0023】
上述したように、静的部材812および移動部材814は、ベース金属816(例えばSSTなどのばね金属)、絶縁層818および例えば1つ以上のトレース820を含むトレース層の各層をオーバーレイすることにより形成することができる。絶縁カバーコートを、トレース層の全部または一部の上に塗布することができる。金(Au)および/またはニッケル(Ni)などの耐腐食性金属を、耐腐食性を提供するために、トレース層の部分にメッキまたは別様に塗布することができる。フォトリソグラフィ(例えば、パターン化されたおよび/またはパターン化されていないフォトレジストマスクの使用)に関連する、ウェット(例えば化学的)およびドライ(例えばプラズマ)エッチング、電気メッキおよび無電解メッキならびにスパッタリングプロセスなどの従来の加法堆積および/または減法プロセスだけでなく、機械的形成方法(例えばパンチおよびフォームの使用)を、実施形態による静的部材812および移動部材814を製造するために使用することができる。これらのタイプの加法および減法プロセスは例えば、ディスクドライブヘッドサスペンションの製造に関連して知られており使用され、以下の米国特許に一般的に開示されており、そのすべてがすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる:デュアルステージアクチュエーションディスクドライブサスペンションのための低抵抗接地ジョイントと題するBenninらの米国特許第8,885,299号、複数トレース構成を
有する一体化リードサスペンションと題するRiceらの米国特許第8,169,746号、一体化リードサスペンションのための多層接地プレーン構造と題するHentgesらの米国特許第8,144,430号、一体化リードサスペンションのための多層接地プレーン構造と題するHentgesらの米国特許第7,929,252号、サスペンションアセンブリのための貴金属導電性リードを作製するための方法と題するSwansonらの米国特許第7,388,733号、一体化リードサスペンションのためのメッキ接地特徴と題するPeltomaらの米国特許第7,384,531号。
【0024】
静的部材812は、実施形態による一体型部材であり、2つの取付構造体824、例えば静的部材816の2つの対角838のそれぞれの上の静的クリンプ(取付構造体)(図示された本実施形態によれば合計4つの静的クリンプ)を有する。端子パッドセクション826は、静止部材812の表面にわたってトレース820に接続されているトレース層における端子パッド826a~gを含む。
図8~
図14に示す実施形態によれば、別個のトレース820は、4つの静的クリンプなどの4つの取付構造体824の各々に延在している。取付構造体824のそれぞれにおいて、電気コンタクトまたは端子830がトレース820および1つ以上の絶縁層818により形成される。静的部材812の上面に形成されたディンプル828は、移動部材814の裏面に係合しており、静的部材812に対する移動部材814の低摩擦運動を可能にするための摺動インタフェースベアリングとして機能する。静的部材812上のトレース820はまた、(例えば、オートフォーカス(AF)アセンブリに電気信号を供給するために、および、移動部材814のベース層816へ共通または接地信号経路を提供するために)移動部材814に電気的および機械的に結合された静的部材812上の電気パッド位置832へと端子パッド828a~gを結合する。ビア822は、静的部材814上の各トレース840を足842に接続されたベース層816の部分へと結合する。
【0025】
移動部材814は、
図8~
図14に図示された実施形態による一体型部材であり、レンズまたはオートフォーカスシステムを支持するための中央部材832、および、中央部材832から延在する1つ以上のばねアーム834(図示された実施形態によると2つ)を含む。移動部材814は、移動部材814の2つの対角836のそれぞれ上の2つの移動クリンプなどの2つの取付構造体824を有する(図示の実施形態によると、全部で4つの移動クリンプがある)。(
図8~
図14に図示した実施形態によると中央部材832の反対側のばねアーム834の端部上の)ベース層818における台座または足842は、静的部材812上の対応する位置844に溶接または別様に取り付けられるように構成されている。移動部材814上のトレース820は、(例えば足842を介して)静的部材812上のトレース840に電気的に結合されて、実施形態によるとオートフォーカス(AF)端子パッドである、端子パッド830に信号を結合するように構成されている。
図8~
図14に図示された実施形態によれば、移動部材814のベース層816は、移動部材814上の取付構造体824、例えば移動クリンプに取り付けられたSMAワイヤ846の端部への信号経路として使用される。移動部材814のベース層818への静的部材812上の対応する端子パッド830とトレース840との間の電気的接続は、ばねアーム820の足842と静的部材812のベース層818との間の接続によって提供される(実施形態によると、2つの部材812,814のSST層が電気的に結合され、実施形態において共通接地ポテンシャルにある)。
【0026】
サスペンションは、様々な実施形態によれば、移動部材屈曲アーム上にトレースを有し、重要な利点を提供する。それらは例えば、効率的に製造して組み立てることができる。トレースは、プレートまたは移動部材の他の部分に搭載された構造体に電気信号を結合するために有効な構造体である。
【0027】
図15A~
図15Bは、実施形態による取付構造体91を示す。様々な実施形態によれ
ば、取付構造体91は、支持部材12の1つ以上の対角に組み込まれる。例えば取付構造体91を、支持部材12の2つの対角に組み込み得る。さらに取付構造体91は、1つ以上のクリンプ92a,92bを使用して、SMAワイヤ15aおよび15bなどの1つ以上のSMAワイヤ15をクリンプするように構成される。
【0028】
図示のように、取付構造体91は、ベース層16と一体であり、2つのクリンプ92a,92bを含む。2つのクリンプ92a,92bは、(
図2Aおよび
図2Bに示される)主平面部分26から(例えばz方向に)離間したレベルでベース層16内にてレッジ25上に形成されている。図示のように、各クリンプ92a,92bは、第1の部分94a,94bおよび第2の部分96a,96bを含む。第1の部分94a,94bは、各軸97a,97bに沿って実質的に折り畳まれ、第1の部分94a,94bおよび第2の部分96a,96bを一緒にクリンプするように構成される。一緒にクリンプされると、第1の部分94a,94bおよび第2の部分96a,96bは、クリンプ92bおよびSMAワイヤ15bによって図示されるように、所定の位置にSMAワイヤ15a,15bを保持する。
図1Aおよび
図1Bにおいて上に図示したように、SMAワイヤ15の他端が移動部材14に結合されている。
【0029】
図示されるように、第1の部分94a,94bおよび第2の部分96a,96bは、材料の一体部品である。しかし、いくつかの実施形態によれば、第1の部分94a,94bおよび第2の部分96a,96bは、以下の
図30A~
図30Bに示されるように、非一体であって、接着剤、溶接、はんだ接合および/または同様のものを使用して一緒に結合され得る。
【0030】
クリンプ92aによって図示されるように、クリンプ92aの第1の部分94aは、1組の導電性トレース98を含み、第2の部分96aは、1組の導電性トレース99を含む。様々な実施形態によれば、導電性トレース99は導電性トレース18aから突出する。クリンプ92bも同様の構成を有し得る。上述したように、導電性トレース18aおよび18bはそれぞれ、別個の端子パッド30aおよび30bに結合され得る。また、誘電体100の1つ以上の層が、導電性トレース98,99およびベース層16間に配置されて、ベース層16からトレース98,99を電気的に絶縁する。様々な実施形態によれば、導電性トレース98,99間に位置する誘電体100は、誘電体の一体部品であり得、または代替的に、導電性トレース98,99間に位置する誘電体100はそれぞれ(クリンプ92aについて
図15Bに示されるように)軸97a,97bに沿って切れ目を有し得、軸97a,97bに沿って第1の部分94a,94bの折り畳みを補助する。また、実施形態では、トレース98,99の長さを、
図15Bに示すように互い違いにし得る。トレース98,99の長さを互い違いにすることにより、SMAワイヤ15が、ベース層16にSMAワイヤ15を短絡し得る第1および第2の部分98,99間の曲がり部に接触する可能性を低減し得る。様々な実施形態によれば、トレース98,99は、銅、銅合金または他の導体から形成され得る。様々な実施形態によれば、絶縁カバーコートを、トレース98,99の全部または一部にわたって塗布することができる。金(Au)および/またはニッケル(Ni)などの耐腐食性金属を、トレース98,99の一部にメッキまたは別様に塗布して、耐腐食性を提供することができる。ポリイミドまたは他の絶縁材料を、誘電体100として使用し得る。
【0031】
誘電体100の層がベース層16からトレース98,99を絶縁するため、および、導電性トレース18a,18bがそれぞれ、端子パッド30aおよび30bを分離するよう結合され得るため、各SMAワイヤ15aおよび15bを、独立に作動させて移動部材14を移動させて制御し得る。この構成により、ベース層16は1つの部品であり得る。対照的に、従来の実施形態は、各SMAワイヤ15を互いに独立して作動させることができるように、4つに分割されたベース層を必要とし得る。いくつかの実施形態についてベー
ス層16を1つの部品から作成し得るので、ベース層16は、1つの部品で作成されていないベース層よりも高い構造的完全性および剛性を有し得る。
【0032】
図示のように、トレース98は、それらの間にスペース102を含み、トレース99も、それらの間にスペース104を含む。様々な実施形態によれば、1つ以上のスペース102は、1つ以上のトレース99に整列し、1つ以上のスペース104は、1つ以上のトレース98に整列する。様々な実施形態によれば、トレース98,99は、例えば、フィンガ、スライス、メンバおよび/または同様のものなどの細長特徴を含み得る。第1および第2の部分94a,96aが一緒にクリンプされるとトレース98がスペース104に配置されてトレース99がスペース102に配置されるように、トレース98および99は、例えば織り合わせ状に、インターリーブ状に、千鳥状に、および/または同様の関係で、互いに対してオフセットされている。クリンプ92bは、クリンプ92aと同様のトレースおよびスペース構成を含み得る。上記のように実施形態において、
図15Aに図示するように導電性トレース99は、導電性トレース18aから突出し得る。このように、第1の部分94a,94bが第2の部分96a,96bと一緒にクリンプされると、SMAワイヤ15は、
図16に示すように導電性トレース98,99の周りで曲げられる。
【0033】
図16は、クリンプ92bの断面図を示す。様々な実施形態によれば、クリンプ92aの第1および第2の部分94a,96aが一緒にクリンプされると、クリンプ92aは同様の構成を有し得る。示されるように、導電性トレース98,99は、第1の部分94bおよび第2の部分96bが一緒にクリンプされると、SMAワイヤ15の長手方向軸に垂直な力を提供する。このように、SMAワイヤ15は、トレース98,99によりスペース102,104内へと変形される。この構成により、SMAワイヤ15は、材料の2つの平坦部品によりSMAワイヤ15を所定の位置に保持する場合よりも、クリンプ92bによってより確実に所定の位置に保持され得る。
【0034】
様々な実施形態によれば、導電性トレース98,99の幅106、スペース102,104の幅108、および、導電性トレース98および導電性トレース99間の距離110は、SMAワイヤ15の柔軟性に依存して様々であり得る。例えば、第1のSMAワイヤ15が第2のSMAワイヤ15よりも剛性であり、第1のSMAワイヤ15が使用される場合、スペース104の幅108と導電性トレース98,99間の距離110とは、第2のSMAワイヤ15を使用する場合よりも大きくあり得る。別の例として、第1のSMAワイヤ15が使用される場合、トレース98の幅106は、SMAワイヤ15により局所的な垂直力を提供するために、第2のSMAワイヤ15が使用される場合よりも小さくあり得る。
【0035】
様々な実施形態によれば、1つ以上のSMAワイヤ15がクリンプ92a,92b間にクリンプされた後、SMAワイヤ15は、SMAワイヤ15のスプールから切断される必要があり得る。追加的または代替的に、クリンプ92a,92bの縁部を越えて延在し得る余分のSMAワイヤ15を除去する必要があり得る。様々な実施形態によれば、SMAワイヤ15は、ベース層16からトレース18を分離する、ベース層16および/または誘電体100内でワイヤを押圧する工具を使用して剪断され得る。いくつかの場合はしかし、これによりSMAワイヤ15をベース層16に接触させて短絡させ得る。このように様々な実施形態によれば、パッドを、誘電体100の上部およびSMAワイヤ15の下方に配置し得る。
【0036】
図17および
図18は、本実施形態による、例示の切断パッド112a,112bをそれぞれ含む取付構造体91を示す。上述したように、切断パッド112a,112bを、スプールからSMAワイヤ15を切断および/または不要の余分SMAワイヤ15を切断するために使用し得る。これにより、SMAワイヤ15がベース層16に短絡される可能
性を低減し得る。様々な実施形態によれば、パッド112a,112bは、クリンプ92a,92bの縁部113a,113bにそれぞれ近接する位置にてレッジ25上に配置され得る。クリンプ92a,92bがクリンプされるとパッド112a,112bが露出されるようにパッド112a,112bが、クリンプ92a,92bの外側に配置され得、および/または、クリンプ92a,92bがクリンプされるとパッド112a,112bが露出されるようにパッド112a,112bが、クリンプ92a,92bの縁部113a,113bを越えて延在する部分を含み得る。
【0037】
様々な実施形態によれば、パッド112a,112bは、金属で作成され得る。例えば、パッド112a,112bは、銅、銅合金または他の導体などのトレース18と同じ材料で作成され得る。このように、
図17に示すように、パッド112aは、トレース18に結合され得る。あるいは、
図18に示すように、パッド112bは、トレース18に結合されなくともよい。他の実施形態によれば、パッド112a,112bは、非金属材料で作成され得、および/または、パッド112a,112bにわたるカバーコートを含み得る。
【0038】
図19は、実施形態による、移動部材14に組み込むことができる取付構造体114を示す。図示のように、取付構造体114は、2つのクリンプ115を含む。2つのクリンプ115は、プレート60と一体であり、それぞれのクリンプ115は、第1の部分116と第2の部分118とを含む。第1の部分116は、実質的にそれぞれの軸120a,120bに沿って折り畳まれるように構成され、第1の部分116と第2の部分118とを一緒にクリンプする。第1および第2の部分116,118を一緒にクリンプすると、それらは所定の位置にSMAワイヤ15を保持する。
図1Aおよび
図1Bにて上に図示したように、SMAワイヤ15の他端は、支持部材12に結合される。
【0039】
第1および第2の部分116,118は、プレート60上に配置された細長特徴122a~122dを含む。さらに、細長特徴122a~122dは、それらの間にスペース124a~124dを含む。様々な実施形態によれば、1つ以上のスペース124a~124dは、1つ以上の細長特徴122a~122dと整列する。様々な実施形態によれば、細長特徴122a~122dは、例えばフィンガ、スライス、メンバおよび/または同様のものであり得る。第1および第2の部分116,118が一緒にクリンプされると細長特徴122a,122bがスペース124c,124dに配置されて細長特徴122c,122dがスペース124a,124bに配置されるように、細長特徴122a,122bおよび細長特徴122c,122dは、例えば織り合わせ状に、インターリーブ状に、千鳥状に、および/または同様の関係で、互いに対してオフセットされている。このように、第1の部分116が第2の部分118と一緒にクリンプされると、細長特徴122a~122dは、SMAワイヤ15の長手方向軸に垂直な力を提供する。このように、SMAワイヤ15は、細長特徴122a~122dによりスペース124a~124d内へと変形される。この構成により、SMAワイヤ15は、材料の2つの平坦部品によりSMAワイヤ15を所定の位置に保持する場合よりも、クリンプ115によってより確実に所定の位置に保持され得る。
【0040】
様々な実施形態によれば、細長特徴122a~122dは、導電性材料または誘電体から作成され得る。例えば、細長特徴122a~122dは、銅、銅合金もしくは他の導体、または、ポリイミドもしくは他の絶縁材料から形成され得る。
【0041】
様々な実施形態によれば、導電層126は、細長特徴122上に配置され得る。しかし、細長特徴122の部分がスペース124a~124を含むので、SMAワイヤ15は、細長特徴122a~122dが誘電体で作成されている場合、導電層126を介してプレート60に電気的に結合され得る。前述のスペース104の幅108および導電性トレー
ス98,99間の距離110と同様、細長特徴122a~122dの幅およびスペース124a~124dの幅は、SMAワイヤ15の柔軟性に依存して様々であり得る。様々な実施形態によれば、導電層126は、銅、銅合金または他の導体から形成され得る。様々な実施形態によれば、絶縁カバーコートを、導電層126の全部または一部にわたって塗布することができる。金(Au)および/またはニッケル(Ni)などの耐腐食性金属を、耐腐食性を提供するために、導電層126の部分にメッキまたは別様に塗布することができる。細長特徴122として、ポリイミドまたは他の絶縁材料を使用し得る。
【0042】
図20A~
図20Cは、本明細書で論じた1つ以上の取付構造体に組み込むことができるクリンプ128の別の実施形態を示す。様々な実施形態によれば、複数のクリンプ128は、移動部材14の1つ以上の対角のそれぞれに組み込まれ得る。例えば、4つのクリンプ128、各対角について2つのクリンプ128が、
図21に示すように移動部材14の2つの対角に組み込まれ得る。
【0043】
図示のように、クリンプ128は、プレート60と一体であり、第1の部分130および第2の部分132を含む。第1の部分130は、第1および第2の部分130,132を一緒にクリンプするために、実質的に軸134に沿って折り畳まれるように構成されている。第1および第2の部分130,132を一緒にクリンプすると、それらは
図20Bおよび
図20Cに図示されるように所定の位置にSMAワイヤ15を保持する。
図1Aおよび
図1Bに上で図示したように、SMAワイヤ15の他端は、支持部材12に結合される。
【0044】
実施形態では、クリンプ128は凹部136を含む。凹部136は、
図20Aに示すようにプレート60の第2の部分132からエッチングされ得る。また、第1の部分130は、それらの間にスペースを含む複数の細長部材138,140を含み得る。3つの細長部材138,140が図示されているが、代替実施形態は、より多くのまたはより少ない細長部材138,140を含み得る。第1および第2の部分130,132が一緒にクリンプされると、細長部材の少なくとも1つ、例えば、細長部材140が、凹部136内に延在する。1つの細長部材140のみが凹部136内に延在するように示されているが、他の実施形態では、他の細長部材がそれぞれの凹部内に、または同じ凹部内に延在し得る。さらに第1および第2の部分130,132が一緒にクリンプされると、細長部材138は、
図20Bおよび
図20Cに示すように、第2の部分132の上部と接触し得る。様々な実施形態によれば、SMAワイヤ15が細長部材140によって凹部136内に押し込まれるときにSMAワイヤ15が破損しにくいように、凹部136の縁部および細長部材138,140の縁部は、丸みを帯び得る。
【0045】
細長部材140が凹部136内に延在しているので、細長部材140は、第1および第2の部分130,132を一緒にクリンプするとSMAワイヤ15の長手方向軸に垂直な力を提供する。このように、SMAワイヤ15は、細長部材140により凹部136内へと変形される。この構成により、SMAワイヤ15は、SMAワイヤ15が材料の2つの平坦部品によって所定の位置に保持される場合よりも、クリンプ128によって所定の位置に、より確実に保持され得る。
【0046】
様々な実施形態によれば、細長部材140は、細長部材140の(
図20Cに示されている)底部側143および/または上部側144上に材料の追加層142を含み得、これにより、細長部材140が凹部136内に延在し、および/または、細長部材140が、細長部材140が別様に延在する場合よりもさらに奥に凹部136内に延在する。したがって、平坦クリンプ工具を、第1および第2の部分130,132を一緒にクリンプするために使用し得る。
【0047】
図21は、様々な実施形態による移動部材14のベース層60を示す。図示のように、ベース層60は、実質的に平面であり得、取付構造体146を含む。様々な実施形態によれば、プレート60の2つの対角148は、2つの取付構造体146を含み得る。各取付構造体146は、クリンプ、例えばそれぞれ
図19および
図20A~
図20Cに示されるクリンプ115,128を含み得る。追加的または代替的に、プレート60の取付構造体146は、1つ以上の凹部、例えば複数凹部のアレイ、1つ以上のエッチングパターンおよび/または部分エッチングパターンのアレイを含み得る。取付構造体146に含まれる1つ以上の凹部は、SMAワイヤ15が材料の2つの平坦部品によって所定の位置に保持される場合よりもSMAワイヤ15をより確実に保持し得る。
図8~
図14に関連して上述した1つ以上のエッチング方法を、エッチングパターンを作成するために使用し得る。様々な実施形態によれば、誘電体および導電層が、エッチングパターンにわたって配置され得る。エッチングパターンが作成された後、部分エッチングパターンの角は、SMAワイヤ15の損傷の可能性を低減するために丸みを帯び得る。
【0048】
図22A~
図24Bは、取付構造体146内にエッチングされ得る部分エッチングパターンの実施形態を示す。
図22A~
図24Bに示す実施形態の各々において、取付構造体146に固定されたSMAワイヤ15は、部分エッチングパターンによって変形され得る。このように、SMAワイヤ15は、SMAワイヤ15が材料の2つの平坦部品によって所定の位置に保持される場合よりも、取付構造体146によって所定の位置により確実に保持され得る。
【0049】
例として、
図22A~
図22Bに示すように部分エッチングパターン150は、互い違いの直線状凹部であり得る。様々な実施形態によれば、取付構造体146に含まれるクリンプがクリンプされると、部分エッチングパターン150は、例えば織り合わせ状に、インターリーブ状に、千鳥状に、および/または同様の関係で、互いに対してオフセットされ得る。別の例として、部分エッチングパターン152は、
図23A~
図23Bに示すように、凹部のアレイであり得る。さらに別の例として、部分エッチングパターン154は、
図24A~
図24Bに示すように平行ジグザグであり得る。
【0050】
図25A~
図25Cは、実施形態による、移動部材14に組み込むことができる別の取付構造体160を示す。様々な実施形態によれば、以下に説明する取付構造体160の特徴は、本明細書で論じる他の取付構造体に組み込まれ得る。図示のように、取付構造体160は、2つのクリンプ162を含む。クリンプ162は、プレート60と一体であり、第1の部分164と第2の部分166とを含む。第1の部分164は、第1および第2の部分164,166を一緒にクリンプするために、実質的に軸168に沿って折り畳まれるように構成される。第1および第2の部分164,166を一緒にクリンプすると、それらは、所定の位置にSMAワイヤ15を保持することができる。
図1Aおよび
図1Bにおいて上に図示したように、SMAワイヤ15の他端が支持部材12に結合されている。
【0051】
図示されるように、第1の部分164は凹部170を含み、第2の部分166は細長部材172を含む。第1および第2の部分164,166が一緒にクリンプされると、細長部材172は、凹部170内に延在する。SMAワイヤ15は、第1および第2の部分164,166が一緒にクリンプされると、細長部材172によって凹部170内へと変形される。この構成により、SMAワイヤ15は、SMAワイヤ15が材料の2つの平坦部品によって所定の位置に保持される場合よりも、クリンプ162により、より確実に保持され得る。様々な実施形態によれば、第1および第2の部分164,166が一緒にクリンプされると
図25B、
図25Cに示すように第1の部分164が第2の部分166にフィットするように、縁部176は、縁部174を越えて延在する部分177を含み得る。
【0052】
また、第1の部分164は縁部174を含み、第2の部分166は縁部174からオフ
セットされた縁部176を含む。第1および第2の部分164,166が一緒にクリンプされると、縁部174,176はSMAワイヤ15を切断可能な切断縁部を作成するように構成される。
図25Bは、閉じられたクリンプ162の両方を有する取付構造体160を示し、
図25Cは、縁部174,176がSMAワイヤ15の端部を切断した後の取付構造体160を示す。
【0053】
図26A~
図26Bは、本開示の実施形態によるクリンプ178の別の実施形態を示す。上に示したクリンプと同様、クリンプ178は、上に示した移動部材14および/または取付構造体に組み込むことができる。クリンプ178は、プレート60と一体であり、一緒に折り畳まれるように構成された第1および第2の部分180,182を含む。第1および第2の部分180,182が一緒に折り畳まれると、
図26Bに示すように、それらはSMAワイヤ15を所定の位置にクリンプすることができる。
【0054】
図示のように、クリンプ178は、エッチングされた凹部184を含む。第1および第2の部分180,182が一緒にクリンプされるとクリンプ178が曲がる箇所186に凹部184は実質的に配置されている。また、凹部184は、曲がり部186の外側部分上に配置される。凹部184は、曲がり部186の応力を低下させ得、第1および第2の部分180,182が一緒にクリンプされるとプレート60が割れる可能性を低減することができる。様々な実施形態によれば、プレート60がより厚い金属で作成されている場合、および/または、プレート60がより少ない延性および/またはより少ない展性の金属で作成されている場合、これは有利であり得る。様々な実施形態によれば、凹部184は、
図8~
図14に関連して上述したエッチング方法などのエッチングにより形成され得る。
【0055】
様々な実施形態によれば、エッチングされた凹部184と同様のエッチングされた凹部は、支持部材12に含まれ得る。すなわち例えば、エッチングされた凹部は、第1の部分94a,94bおよび第2の部分96a,96bが一緒にクリンプされるとクリンプ92a、92bが曲がる箇所に実質的に位置し得る。
【0056】
図27A~
図27Cは、実施形態によるクリンプ187の別の実施形態を示す。本明細書に記載のクリンプと同様に、クリンプ187は、支持部材12、移動部材14ならびに/または支持および移動部材12,14にそれぞれ関連して本明細書に示される取付構造体に組み込むことができる。
図27A~
図27Cに示す実施形態によれば、クリンプ187は、プレート60と一体であり、一緒に折り畳まれるように構成された第1および第2の部分188,190を含む。第1および第2の部分164,166が一緒に折り畳まれると、図示のように、それらはSMAワイヤ15を所定の位置にクリンプすることができる。
【0057】
クリンプ187は、クリンプ187の少なくとも1つの側部から延在するストレイン緩和部材192を含み、SMAワイヤ15にクリンプ力を支持および/または提供する。図示のように、ストレイン緩和部材192はクリンプ187の両側部から延在するが、しかし、他の実施形態によれば、ストレイン緩和部材192は、クリンプ187の1つの側から延在しているのみである。
【0058】
従来の実施形態では、サスペンションアセンブリ10に応力がかかっている場合、SMAワイヤ15は、SMAワイヤがクリンプの側部から出る箇所に近接して損傷および/または破壊され得、これは、SMAがクリンプの側部から出る箇所が固有の高応力エリアであるからである。ストレイン緩和部材192がSMAワイヤ15とともに曲がり得、それによりサスペンションアセンブリ10に応力がかかっている場合にSMAワイヤ15の曲げ半径を増加させるため、ストレイン緩和部材192は、SMAワイヤ15の応力を減少
させる。すなわち、例えば角度θで曲がり得る幅xを有するSMAワイヤ15のセクションの代わりに、ストレイン緩和部材192は、角度θで曲がるセクションの幅を例えば2*x、3*x、4*x等に増加させ得る。これは、SMAワイヤ15の大部分にわたってSMAワイヤ15への応力を分散する。様々な実施形態によれば、ストレイン緩和部材192がクリンプ187の側部から突出する距離は、例えばSMAワイヤ15について使用される材料のタイプ、剛性および/または厚さに応じて様々であり得る。
【0059】
様々な実施形態によれば、ストレイン緩和部材192は金属で作成され得る。例えば、ストレイン緩和部材192は、銅、銅合金または他の導体などの、トレース18と同じ材料で作成され得る。このように、ストレイン緩和部材192は、トレース18に結合され得る。様々な実施形態によれば、絶縁カバーコートを、ストレイン緩和層192のすべてまたは部分にわたって塗布することができる。金(Au)および/またはニッケル(Ni)などの耐腐食金属を、耐腐食性を提供するために、ストレイン緩和層192の部分にメッキまたは別様に塗布することができる。追加的または代替的に、ストレイン緩和部材192は、誘電体から作成され得る。例えば、ストレイン緩和部材192は、本明細書に記載されるように、誘電体と同じ材料で作成され得る。誘電体の例には、ポリイミドまたは他の絶縁材料が含まれ得る。追加的または代替的に、ストレイン緩和部材192は、ストレイン緩和の内部に、
図27Bおよび
図27Cに図示するように金属パッド194を含み得る。様々な実施形態によれば、金属パッド194は、SMAワイヤ15のグリップを助け、SMAワイヤ15がストレイン緩和部材192からスリップ抜けする可能性を低減し得る。
【0060】
図28A~
図28Bは、クリンプ196の別の実施形態を示す。上に示したクリンプと同様に、クリンプ196を、支持部材12、移動部材14および/またはそれぞれ支持および移動部材12,14に関連して本明細書に示した取付構造体に組み込むことができる。クリンプ196は、一緒に折り畳まれるように構成されている2つの部分、第1の部分198と第2の部分200とを含む。第1および第2の部分198,200が一緒に折り畳まれると、それらは、所定の位置にSMAワイヤ15をクリンプすることができる。上述した実施形態のうちの1つ以上を、クリンプ196に組み込むことができ、クリンプ196の保持強度を増大させる、および/または、支持部材10に応力がかかっているときにSMAワイヤ15のストレインを低減する。
【0061】
第2の部分200は、プレート60と一体であり得る。第1の部分198は、第2の部分200と非一体であるが、接着剤、溶接、はんだ接合および/または同様のものを用いて第2の部分200に結合され得る。第1および第2の部分198,200は、SMAワイヤ15の両側にて互いに結合され得る。すなわち、実施形態では、第1および第2の部分198,200は、クリンプ196の内側202上またはクリンプの外側204上にて結合され得る。
【0062】
図29は、本開示の実施形態によれば、移動部材14のベース層60を示す。図示のように、ベース層60は実質的に平面であり得、取付構造体206を含み得る。様々な実施形態によれば、プレート60の2つの対角208は、2つの取付構造体206を含み得る。各取付構造体206は、クリンプ210、例えば
図28A~
図28Bに示されたクリンプ196を含み得る。例えば、取付構造体206に含まれるクリンプ210は、第1の部分212を含み得、これは、第2の部分214と非一体であるが、接着剤、溶接、はんだ接合および/または同様のものを使用して、第2の部分214に結合される。追加的または代替的に、プレート60の取付構造体206は、エッチングパターンを含み得る。取付構造体206に含まれるエッチングパターンは、SMAワイヤ15が材料の2つの平坦部品によって所定の位置に保持される場合よりも、より確実にSMAワイヤ15を保持し得る。
図8~
図14に関連して上述したエッチング方法のうちの1つ以上を使用して、本明
細書に記載の実施形態などのエッチングパターンを作成し得る。様々な実施形態によれば、誘電体および導電層は、エッチングパターンにわたって配置され得る。エッチングパターンが作成された後、部分エッチングパターンの角は、SMAワイヤ15の損傷の可能性を低減するために丸みを帯び得る。
【0063】
図30~
図32は、本明細書に開示された取付構造体に組み込むことができるクリンプ216の別の実施形態を示す。特に、
図30は、クリンプ216の上面等角図を示す。
図31は、クリンプ216のトップダウン図を示し、
図32は、クリンプ16の
図31のA-A軸に沿った断面図を示す。
【0064】
本明細書に示されるクリンプと同様に、クリンプ216は、上に示した支持部材12および/または移動部材14の取付構造体に組み込まれ得る。様々な実施形態によれば、クリンプ216は、支持部材12に組み込まれ得、ベース層16と一体であり得る。追加的または代替的に、クリンプ216は、移動部材14に組み込まれ得、プレート60と一体であり得る。
【0065】
クリンプ216は、一緒に折り畳まれるように構成されている第1および第2の部分218,220を含む。第1および第2の部分218,220が一緒に折り畳まれると、図示のように、それらはSMAワイヤ15をクリンプし、所定の位置にSMA15を保持することができる。図示のように、第1および第2の部分218,220は、材料の一体部品である。しかし、実施形態では、第1および第2の部分218,220は、非一体であり得、接着剤、溶接、はんだ接合および/または同様のものを使用して互いに結合され得る。
【0066】
様々な実施形態によれば、クリンプ216はストレイン緩和部材192を含み得、これは、クリンプ216の少なくとも1つの側部216a,216bから延在し、SMAワイヤ15にクリンプ力を支持および/または提供する。様々な実施形態によれば、ストレイン緩和部材192は、クリンプ216の両側部216a,216bから延在し得る。これらの実施形態では、ストレイン緩和部材192は、図示のように、クリンプ216の側部216a,216bから異なる距離だけ延在し得る。代替的に、ストレイン緩和部材192は、クリンプ216に含まれなくともよい。
【0067】
様々な実施形態によれば、接着剤222が、クリンプ216の第1および第2の部分218,220間に配置され得る。これらの実施形態のいくつかによれば、接着剤222は、第1および第2の部分218,220間に配置されるのみであり得る。ストレイン緩和部材192を含む様々な実施形態によれば、接着剤222は、ストレイン緩和部材192の第1および第2の部分192a,192b間に配置され得る。しかし、これらの実施形態のいくつかによれば、接着剤222は、第1および第2の部分192a,192bの部分間に配置されるのみであり得る。追加的または代替的に、実施形態では、接着剤222は、クリンプ216の少なくとも1つの側部216a,216bおよび/またはストレイン緩和部材192の少なくとも1つの側部192c,192dから延在(例えば突出)し得る。例えば、接着剤222が第1および第2の部分192a,192b間に配置されると、接着剤222の一部がSMA15を伝い出て、クリンプ216の側部216aを超えて、および/または、ストレイン緩和部材192の側部192cを超えて延在し得る。
【0068】
様々な実施形態によれば、クリンプ216の第1および第2の部分218,220間および/またはストレイン緩和部材192の第1および第2の部分192a,192b間に接着剤222を配置するために、クリンプの第1および第2の部分218,220を一緒にクリンプし得、接着剤222をクリンプ216の側部216a,216bに塗布し得る。様々な実施形態によれば、接着剤222を、いずれのストレイン緩和部材192もそこ
からは延在しないクリンプ216の側部216a,216b、または、クリンプ216の側部216a,216bからより小さな距離でストレイン緩和部材192が延在するクリンプ216の側部216a,216bに塗布し得る。例えば、ストレイン緩和部材192は、クリンプ216の側部216aに比べてクリンプ216の側部216bからより小さな距離で延在する。このように、接着剤222をクリンプ216の側部216bに塗布し得る。様々な実施形態によれば、接着剤222を、SMAワイヤ15上のストレイン緩和部材192の側部192c,192dから50ミクロン、および/または、ストレイン緩和部材192の内側のストレイン緩和部材192の側部192c,192dから100ミクロン内に塗布し得る。接着剤222を硬化させた後、接着剤をクリンプ216の縁部216aから100~250ミクロンに配置し得る。
【0069】
様々な実施形態によれば、十分な接着剤222を、接着剤222が第1および第2の部分218,220間に延在するようクリンプの第1の側部216a,216b(例えば側部216b)に、第1の側部216a,216bと対向するクリンプ216の第2の側部216a,216b(例えば側部216a)から離れて塗布し得る。様々な実施形態によれば、十分な接着剤222をまた塗布し得、それにより、接着剤222が、クリンプ216の第2の側部216a,216bを越えて延在し、第2の側部216a,216bから突出するストレイン緩和部材192内に延在する。追加的または代替的に、接着剤222はSMAワイヤ15を伝い出て、これにより、接着剤222をストレイン緩和要素119の側部192c,192d(例えば側部192c)を越えて延在させ得、および/または、
図32に示すようにSMAワイヤ15をテーパダウンし得る。例えば、接着剤222は、約10~50ミクロンだけストレイン緩和部材192の側部192c,192dを越えて延在し得る。後述するように、サスペンションアセンブリ10が使用されると、接着剤222のテーパはSMAワイヤ15のストレインを低減し得る。
【0070】
様々な実施形態によれば、接着剤222は、クリンプ216の側部216a,216bに近接および/または隣接するSMAワイヤ15の部分15c,15d上に配置され得る。例えば、接着剤222は、クリンプ216の側部216aに近接および/または隣接するSMAワイヤ15の部分15c上に配置され得る。様々な実施形態によれば、部分15c,15dはまた、ストレイン緩和部材192の側部192c,192dに近接および/または隣接し得る。例えば、部分15cは、ストレイン緩和部材192の側部192cに近接および/または隣接し得る。接着剤222がクリンプ216の側部216a,216bに近接および/または隣接する、および/または、ストレイン緩和部材192に近接および/または隣接する様々な実施形態によれば、接着剤222はまた、第1および第2の部分218,220間に配置され、および/または、第1および第2の部分192a,192b間に配置され得る。
【0071】
様々な実施形態によれば、SMAワイヤ15の部分15cがクリンプ216の側部216aから出る、および/または、ストレイン緩和部材192の側部192cから出る角度を制御するように、接着剤222が塗布および/または硬化され得る。例えば、制御信号がSMAワイヤ15に印加され得、支持部材12に対して移動部材14を作動させる。その後、接着剤222を塗布および/または硬化させ得、略0度の、SMAワイヤ15の部分15cがクリンプの側部216aおよびストレイン緩和部材192の側部192cから出る出射角度が得られる。
【0072】
別の例では、
図34に示すものなどの実施形態による固定具340が、本明細書に記載のものを含むタイプの支持部材12および移動部材14の両方を含むサスペンションアセンブリ10を受けるように構成されている。固定具340は、SMAワイヤ15を受けるように構成されたワイヤストップピン342を含む。ワイヤストップピン342は、SMAワイヤ15を受けて維持するために固定具340に固定される任意の構造であり得、こ
れらに限定されないが、ロッド、フック、または、サスペンションアセンブリに対してワイヤの位置を受けて維持するように構成される他の構造を含む。
【0073】
実施形態によれば、固定具340は、SMAワイヤ15を有するサスペンションアセンブリを受けるように構成され、それにより、出射角度344,346と本明細書で称する、側部216aまたはクリンプのストレイン緩和部材の側部192cに垂直な軸から測定したときにSMAワイヤ15の部分15cがクリンプ216の側部216aから出る、および/または、ストレイン緩和部材192の側部192cから出る角度に、ワイヤストップピン342がSMAワイヤ15を維持する。このような実施形態では、接着剤222は、本明細書に記載のものを含む技術を用いて硬化される。具体的な例は、少なくとも未硬化の接着剤と固定具340に搭載されたサスペンションアセンブリのSMAワイヤ15との加熱を含む。電気信号を使用せずにSMAワイヤ15が硬化熱により収縮および直線化するので、加熱は、接着剤を硬化し、SMAワイヤ15を作動させ、出射角度344,346を設定する。これにより、出射角度344,346でSMAワイヤ15を維持するために使用される、ワイヤストップピン342を有する固定具340は、1つ以上のSMAワイヤ15に制御信号を印加する必要なしに出射角度を設定する能力を提供する。特定の例は、SMAワイヤ15が支持部材12上のクリンプから5度の出射角度344および移動部材14上のクリンプから6度の出射角度346を有するように、サスペンションアセンブリのSMAワイヤ15を維持するために、ワイヤストップピン342を有する固定具340を使用することを含む。ワイヤストップピン342を有する固定具340は、様々な実施形態によれば、1つ以上のクリンプからの任意の出射角度でSMAワイヤ15を維持するように構成され得、1つ超のクリンプからの出射角度344,346は、均等であってもよい。
【0074】
従来の実施形態では、(
図1A~
図1Bの)サスペンションアセンブリ10に応力がかかる場合、SMAワイヤ15は、SMAワイヤ15がクリンプ216の側部216aから出る箇所に近接して損傷および/または破壊され得る。その理由は、クリンプ216の側部216aがSMAワイヤ15についての固有の高応力領域であるからである。様々な実施形態によれば、接着剤222は、SMAワイヤ15上の応力を減少させ得る。例えば、クリンプ216の第1および第2の部分218,220間に配置された接着剤222を使用することにより、より少ない機械的な力を使用してクリンプ216を閉じ、これは、接着剤222が所定の位置にSMAワイヤ15を保持するのを助けるためである。クリンプ216を閉じるのにより少ない機械的な力を使用することにより、第1および第2の部分218,220間に配置されたSMAワイヤ15の部分に発生し得る損傷および/または短絡リスクは、より少ない。追加的または代替的には、クリンプ216の側部216aに近接するSMAワイヤ15の部分15cに発生し得る損傷および/または短絡リスクは、より少ない。クリンプ218をクリンプする際にあまりにも大きな機械的な力を印加すると、ベース層16からSMAワイヤ15を絶縁する誘電体層(例えば
図15A~
図15Bの誘電体層100)の破壊から短絡リスクが発生し得る。
【0075】
別の例として、接着剤222は、クリンプ216の側部216a,216bおよび/またはストレイン緩和部材192の側部192c,192dから延在し得る。例えば、接着剤はクリンプ216の側部216aおよび/またはストレイン緩和部材192の側部192cから延在し得る。接着剤222はクリンプ216および/またはストレイン緩和部材192よりも低い剛性を有するため、接着剤222は、曲げ応力が別様に分散され得る場合に比べてSMA15のより大きな部分にわたって、クリンプ216の側部216a,216b近傍および/またはストレイン緩和部材192の側部192c,192d近傍に発生する任意の曲げ応力の分散を助け得る。すなわち、接着剤222はクリンプ216および/またはストレイン緩和部材192よりも低い剛性を有するため、接着剤222は、クリンプ216またはストレイン緩和部材192のいずれよりも、SMAワイヤ15ととも
により多く屈曲し得、それにより、(
図1の)サスペンションアセンブリ10に応力がかかっている場合、SMAワイヤ15の曲げ半径を増加させる。例えば、角度θで屈曲する幅xを有するSMAワイヤ15のセクションの代わりに、接着剤222は、例えば2x、3x、4x等で角度θで屈曲するセクションの幅を増大させ得る。これは、SMAワイヤ15の大部分にわたってSMAワイヤ15上で応力を分散する。様々な実施形態によれば、接着剤222がクリンプ216の側部216a,216bおよび/またはストレイン緩和部材192の側部192c,192dから突出している距離は、例えば、接着剤222のタイプ、剛性、厚さおよび/またはどのように接着剤222が塗布されているかに応じて、様々であり得る。
【0076】
様々な実施形態によれば、接着剤222は、導電性または非導電性であり得る。例えば、接着剤は、シアノアクリレートから構成され得る。導電性接着剤222が使用される様々な実施形態によれば、接着剤222は、支持部材12に組み込まれるクリンプに塗布されなくともよく、これは、(
図1の)サスペンションアセンブリ10の動作が、接着剤222が支持部材12の金属ベース層16に短絡すると影響を受け得るからである。
【0077】
様々な実施形態によれば、接着剤222は、熱、紫外線、接着剤222を囲むガスの維持湿度レベル、化学添加剤および/または同様のもののうちの1つ以上を用いて硬化され得る。硬化機構として熱を使用する様々な実施形態によると、クリンプ216全体および/またはクリンプ216が一体化される構造が、加熱され得る。様々な実施形態によれば、接着剤222を硬化する前に、制御信号がSMAワイヤ15に送信され得、支持部材12に対して移動部材14を作動させて、部分15cがクリンプ216の側部216aを出るおよび/またはストレイン緩和部材192の側部192cを出る角度を制御する。
【0078】
様々な実施形態によれば、接着剤222は、接着剤のヤング率に基づいて選択され得る。例えば、20メガパスカル~2000メガパスカルの間のヤング率を有する接着剤が、接着剤222として選択され得る。追加的または代替的に、接着剤222は、接着剤のストレイン破断伸び率に基づいて選択され得る。例えば、100%~300%の間のストレイン破断伸びを有する接着剤が、接着剤222として選択され得る。別の例として、2%~4%の間のストレイン破断伸びを有する接着剤が、接着剤222として選択され得る。
【0079】
様々な実施形態によれば、1つ超の接着剤が接着剤222として使用され得る。例えば、第1の接着剤は、クリンプ216の縁部216aに近接および/または隣接して、および/または、応力緩和部材192の側部192cに近接および/または隣接して配置され得、第2の接着剤は、第1および第2の部分218,220間および/または第1および第2の部分192a,192b間に配置され得る。様々な実施形態によれば、第1の接着剤は、第2の接着剤が第1および第2の部分216a,216b間および/または第1および第2の部分192a,192b間に配置される前または後に硬化され得る。様々な実施形態によれば、第1の接着剤が硬化される前または後に、接着剤222の第2の接着剤は、第1および第2の部分216a,216b間および/または第1および第2の部分192a,192b間に配置されて硬化され得る。様々な実施形態によれば、接着剤222の第1の接着剤は、SMAワイヤ15を伝い出得る。さらに、第2の接着剤が塗布される前に接着剤222の第1の接着剤を硬化させること、または、第2の接着剤(例えば約50センチポアズの粘度を有する)より高い粘度を有する(例えば約50,000センチポアズの粘度を有する)第1の接着剤を使用することのいずれかによって、第1の接着剤は、第2の接着剤がSMAワイヤ15を伝い出ることをブロックし得る。このように、接着剤222の第1の接着剤が第2の接着剤(例えば1500メガパスカル超)より低い弾性率(例えば1500メガパスカル未満)を有している場合、接着剤222を作成する接着剤の組み合わせは、サスペンションアセンブリ10が使用中であるときのSMAワイヤ15上の応力を減少させ得る。
【0080】
図33は、取付構造体224の別の実施形態を示す。様々な実施形態によれば、取付構造体224は、支持部材12および/または移動部材14の1つ以上の対角に組み込まれる。例えば、取付構造体224は、支持部材12の2つの対角および/または移動部材14の2つの対角に組み込まれ得る。さらに、取付構造体224は、1つ以上のクリンプ226a,226bを使用してSMAワイヤ15aおよび15bなどの1つ以上のSMAワイヤ15をクリンプするように構成されている。
【0081】
図33に示された実施形態によれば、取付構造体224は、ベース層16と一体であり、2つのクリンプ226a,226bを含む。2つのクリンプ226a,226bは、(
図2A~
図2Bの)主平面部分26から(例えばz方向に)離間したレベルでベース層16にてレッジ25上に形成されている。図示のように、それぞれのクリンプ226a,226bは、第1の部分228a,228bおよび第2の部分230a,230bを含む。第1の部分228a,228bは、第1の部分228a,228bおよび第2の部分230a,230bを一緒にクリンプするために、それぞれ各軸232a,232bに沿って実質的に折り畳まれるように構成されている。一緒にクリンプすると、第1の部分228a,228bおよび第2の部分230a,230bは、所定の位置にSMAワイヤ15a,15bを保持する。
図1Aおよび
図1Bに上に図示したように、SMAワイヤ15の他端が移動部材14に結合されている。
【0082】
様々な実施形態によれば、第1の部分228a,228bおよび第2の部分230a,230bは、材料の一体部品であり得る。しかし、実施形態では、第1の部分228a,228bおよび第2の部分230a,230bは、非一体であり得、接着剤、溶接、はんだ接合および/または同様のものを使用して一緒に結合され得る。
【0083】
様々な実施形態によれば、第1および第2のクリンプ226a,226bは、取付構造体224のクリンプ226a,226bの少なくとも1つの側部から延在するプラットフォーム234a,234bを含み得る。様々な実施形態によれば、プラットフォーム236a,236bは、第2の部分230a,230bと一体であり得る。例えば、第1の部分228a,228bの一部は、第2の部分230a,230bの上部を露出させるために除去され得る。代替的に、プラットフォーム236a,236bは、第2の部分230a,230bと非一体であり得る。例えば、プラットフォーム236a,236bは、ストレイン緩和部材の底部(例えば
図30~
図32に示すストレイン緩和部材192の第2の部分192b)であり得、上部(例えば
図30~
図32に示すストレイン緩和部材192の第1の部分192a)を除去し得る。しかし、これは例にすぎず、制限することを意味しない。
【0084】
接着剤236a,236bは、プラットフォーム234a,234bのそれぞれの上に配置され得る。様々な実施形態によれば、接着剤236a,236bは、SMAワイヤ15a,15bをプラットフォーム234a,234bへと結合し得る。上述の接着剤222と同様に、接着剤236a,236bは、より大きな領域にわたってSMAワイヤ15a,15bの曲がりを分散させること、または、クリンプ226a,226bの側部から離れるようSMAワイヤ15a,15bを曲げることのいずれかにより、クリンプ226a,226bの側部近くでSMAワイヤ15a,15b上の応力を低減し得る。
【0085】
様々な実施形態によれば、接着剤236a,236bは、
図30~
図32に関連して上述した接着剤222と同一または類似の1つ以上の特性を有し得る。例えば、接着剤236a,236bは、導電性または非導電性であり得る。例えば、接着剤236a,236bは、シアノアクリレートから構成され得る。導電性接着剤が接着剤236a,236bとして使用される場合の様々な実施形態によれば、接着剤236a,236bは、支持部
材12に組み込まれたクリンプに塗布されなくともよく、これは、支持部材12の金属ベース層16に接着剤236a,236bが短絡すればサスペンションアセンブリ10の動作がより影響を受けやすいからである。様々な実施形態によれば、同じタイプの接着剤が、接着剤236aおよび接着剤236bについて使用され得、または、異なるタイプの接着剤が、接着剤236aおよび接着剤236bについて使用され得る。
【0086】
様々な実施形態によれば、接着剤236a,236bは、熱、紫外線、接着剤236a,236bを囲むガスの維持湿度レベル、化学添加剤および/または同様のもののうちの1つ以上を使用して硬化され得る。硬化機構として熱を使用する様々な実施形態によれば、クリンプ226a,226bおよび/またはクリンプ226a,226bが組み込まれる構造体を加熱し得る。様々な実施形態によれば、接着剤236a,236bが硬化される前に、制御信号がSMAワイヤ15a,15bに送信され、支持部材12に対して移動部材14を作動させてSMAワイヤ15a,15bがクリンプ226a,226bの側部から出る、および/または、ストレイン緩和部材の側部から出る角度を制御する。
【0087】
接着剤222と同様に、接着剤236a,236bは、接着剤のヤング率に基づいて選択され得る。例えば、40メガパスカル~2000メガパスカルの間のヤング率を有する接着剤は、接着性接着剤236a,236bとして使用され得る。追加的または代替的に、接着性接着剤236a,236bは、接着剤のストレイン破断伸び率に基づいて選択され得る。例えば、100%~300%の間のストレイン破断伸びを有する接着剤が、接着剤236a,236bとして使用され得る。別の例として、2%~4%の間のストレイン破断伸びを有する接着剤が、接着剤236a,236bとして選択され得る。
【0088】
追加的または代替的に、接着剤236a,236bは、およそ低から中のデュロメータ定格を有し得る。例えば、接着剤236a,236bは、90未満のショアOOデュロメータを有し得る。しかし、これは例にすぎず、制限することを意味しない。
【0089】
様々な実施形態によれば、取付構造体224は、接着剤も含み得、これは
図30~
図32に示す接着剤222と同一または類似である。例えば、接着剤は、クリンプ226a,226bの第1の部分228a,228bおよび第2の部分230a,230b間に配置され得、および/または、クリンプ226a,226bの1つ以上の側部から延在し得る。追加的または代替的に、ストレイン緩和部材(例えばストレイン緩和部材192)がクリンプ226a,226bに組み込まれる場合、接着剤は、ストレイン緩和部材の第1および第2の部分(例えば部分192a,192b)間に配置され得、および/または、ストレイン緩和部材の側部(例えば側部192c)から延在し得る。接着剤236a,236bが硬化される前または後に、接着剤(例えば接着剤222)は、第1の部分228a,228bおよび第2の部分230a,230b間に配置され得る。接着剤(例えば接着剤222)が第1の部分228a,228bおよび第2の部分230a,230b間および/またはストレイン緩和部材の第1および第2の部分間に配置された後、接着剤236a,236bの硬化と同時またはその後に、接着剤が硬化され得る。
【0090】
本開示の実施形態を、好ましい実施形態を参照して説明してきたが、当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。例えば、図示の実施形態は、支持部材と反対側の屈曲アーム上の(すなわち屈曲アームの上側の)トレースを含むが、他の実施形態では、代替的または追加的に、静的部材に面する屈曲アームの側に(すなわち屈曲アームの底側に)トレースを含むことができる。移動部材の底側にあるトレースに加えて、ワイヤ取付構造体は、図に示すように、静的部材から離れる代わりにそれに向かって面することができる(例えば、
図19の第1の部分116を、示されるように上側とする代わりにワイヤ取付構造体の底側に向けることができる)。