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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】多目的スクリュードライバ及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/92 20060101AFI20231109BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
A61B17/92
A61B17/70
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021503036
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019042152
(87)【国際公開番号】W WO2020023259
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】16/043,372
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506298792
【氏名又は名称】ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】フォルジャー,リー・アンナ
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング,レックス・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】マイア,デービッド・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ノッケルズ,ラッセル・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ハーディング,イアン・ジェイ
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/151936(WO,A2)
【文献】特開2016-019728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバであって、
通路を規定する内面を含むスリーブであって、近位端とその反対側の遠位端との間にわたる長手方向軸線に沿って延び、さらに、前記近位端は、前記内面にグルーブを含む、スリーブと、
部分的に前記グルーブ内に配置された付勢部材と、
前記通路内に配置されたシャフトであって、外面と、第1係合部分と、第2係合部分と、を含むシャフトと、を含み、
前記スリーブは、前記シャフトに対して前記長手方向軸線に沿って軸線方向に並進移動可能であり、
前記付勢部材は、前記付勢部材が前記外面に対してまた前記第1係合部分に対してまた前記第2係合部分に対して係合している時には、前記スリーブと前記シャフトとの間に摩擦を生成して、前記スリーブと前記シャフトとの間の相対的な軸線方向移動を制限し、
前記付勢部材が前記外面に対して係合している時には、前記摩擦に打ち勝って前記スリーブを前記シャフトに対して軸線方向に移動させるために、第1量の並進駆動力が必要とされ、
前記付勢部材が前記第1係合部分に対して係合している時には、前記摩擦に打ち勝って前記スリーブを前記シャフトに対して軸線方向に移動させるために、前記第1量の並進駆動力よりも大きな第2量の並進駆動力が必要とされ、
前記付勢部材が前記第2係合部分に対して係合している時には、前記摩擦に打ち勝って前記スリーブを前記シャフトに対して軸線方向に移動させるために、前記第1量の並進駆動力よりも大きな第3量の並進駆動力が必要とされ、
前記シャフトは、多角形構成を有した駆動部分を規定する近位端と、ヘキサローブ構成を有した駆動ビットを規定する遠位端と、を含み、前記付勢部材が前記第2係合部分に対して係合している時には、前記駆動ビットは、前記通路の内部に全体的に配置されている、ドライバ。
【請求項2】
前記外面は、前記第1係合部分と前記第2係合部分との間の中間外面を含み、前記付勢部材は、前記中間外面に対して選択的に係合するものとされている、請求項1に記載のドライバ。
【請求項3】
前記第2量の並進駆動力は、前記第3量の並進駆動力とほぼ等しい、請求項1に記載のドライバ。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記付勢部材が前記外面前記第1係合部分および前記第2係合部分に係合している時には、前記スリーブと前記シャフトとの間に摩擦を生成して、前記スリーブと前記シャフトとの間の相対的な回転移動を制限し、
前記付勢部材が前記外面に対して係合している時には、前記摩擦に打ち勝って前記スリーブを前記シャフトに対して回転駆動するために、第1量の回転駆動力が必要とされ、
前記付勢部材が前記第1係合部分に対して係合している時には、前記摩擦に打ち勝って前記スリーブを前記シャフトに対して回転駆動するために、前記第1量の回転駆動力よりも小さな第2量の回転駆動力が必要とされ、
前記付勢部材が前記第2係合部分に対して係合している時には、前記摩擦に打ち勝って前記スリーブを前記シャフトに対して回転駆動するために、前記第1量の回転駆動力よりも小さな第3量の回転駆動力が必要とされる、請求項1に記載のドライバ。
【請求項5】
前記第2量の回転駆動力は、前記第3量の回転駆動力とほぼ等しい、請求項4に記載のドライバ。
【請求項6】
前記付勢部材が前記第1係合部分と前記第2係合部分との間にある時には、前記長手方向軸線に沿って前記スリーブを前記シャフトに対して並進移動させるために、前記第1量の並進駆動力が必要とされる、請求項1に記載のドライバ。
【請求項7】
前記シャフトは、多角形構成を有した駆動部分を規定する近位端と、ヘキサローブ構成を有した駆動ビットを規定する遠位端と、を含み、前記付勢部材が前記外面に対して又は前記第1係合部分に対して係合している時には、前記駆動ビットは、前記通路の外部に配置されている、請求項1に記載のドライバ。
【請求項8】
前記スリーブは、インプラントのレシーバ内へと配置するために構成された円筒状部分を含み、前記スリーブは、前記円筒状部分の外面から延びるラグを含み、前記ラグは、前記レシーバが前記スリーブに対して揺動することを防止するように構成されている、請求項1に記載のドライバ。
【請求項9】
前記第1係合部分は、前記第2係合部分から離間している、請求項1に記載のドライバ。
【請求項10】
前記第1係合部分及び第2係合部分は、それぞれ、前記シャフトの前記外面内へと延びる凹所であり、前記第1係合部分は、前記第2係合部分から離間している、請求項1に記載のドライバ。
【請求項11】
前記付勢部材は、傾斜コイルスプリングである、請求項1に記載のドライバ。
【請求項12】
外科的システムであって、
ネジ山付きネジと、前記ネジに対して複数の平面へと揺動するように構成されたレシーバと、を含む締結具であって、前記ネジは、ソケットを規定し、前記レシーバは、それらの間にインプラントキャビティを規定する互いに離間したアームを含む、締結具と、
ドライバであって、
通路を規定する内面を含むスリーブであって、近位端とその反対側の遠位端との間にわたる長手方向軸線に沿って延び、さらに、前記近位端は、前記内面へと延びるグルーブを含む、スリーブと、
前記グルーブ内に配置された付勢部材と、
前記通路内に配置されたシャフトであって、駆動部分を規定する近位端と、駆動ビットを規定する遠位端と、を含み、さらに、外面と、第1係合部分と、第2係合部分と、を含むシャフトと、を含むドライバと、を含み、
前記シャフトは、多角形構成を有した駆動部分を規定する近位端と、ヘキサローブ構成を有した駆動ビットを規定する遠位端と、を含み、前記付勢部材が前記第2係合部分に対して係合している時には、前記駆動ビットは、前記通路の内部に全体的に配置されている、外科的システム。
【請求項13】
前記スリーブは、(i)前記駆動ビットが前記ソケット内に配置され、かつ、前記スリーブの前記遠位端が前記レシーバから離間しているようにして、前記付勢部材が前記外面に対して係合している第1位置と、(ii)前記駆動ビットが前記ソケット内に配置され、かつ、前記スリーブの前記遠位端が前記インプラントキャビティ内に配置されているようにして、前記付勢部材が前記第1係合部分に対して係合している第2位置と、(iii)前記駆動ビットが前記ソケットから離間しており、かつ、前記スリーブの前記遠位端が前記インプラントキャビティ内に配置されているようにして、前記付勢部材が前記第2係合部分に対して係合している第3位置と、の間にわたって、前記シャフトに対して前記長手方向軸線に沿って並進移動可能である、請求項12に記載の外科的システム。
【請求項14】
前記ネジは、前記スリーブが前記第1位置にある時には及び前記第2位置にある時には、前記長手方向軸線と平行な向きに維持され、前記ネジは、前記スリーブが前記第3位置にある時には、前記長手方向軸線を横断する方向に延びるように構成されている、請求項13に記載の外科的システム。
【請求項15】
前記スリーブの前記遠位端は、前記スリーブの前記外面から外向きに延びるフランジを含み、前記スリーブが前記第2位置にある時には及び前記第3位置にある時には、前記フランジは、前記レシーバの前記アームのうちの一方の内面に対して係合する、請求項13に記載の外科的システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、筋骨格障害を処置するための医療デバイスに関し、より詳細には、脊椎インプラントシステム、及び、脊椎を処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、脊柱側弯症、前弯症及び他の湾曲異常、椎間板変性症、椎間板ヘルニア、骨粗鬆症、脊椎すべり症、狭窄症、腫瘍、及び骨折などの、脊椎の病理及び障害は、外傷、疾患、並びに、傷害及び加齢によって引き起こされる変性状態、を含む要因に起因し得る。脊椎障害は、典型的には、変形、痛み、神経損傷、並びに、可動性の部分的な又は完全な損失、を含む症状をもたらす。
【0003】
薬物療法、リハビリテーション、及び運動などの、非外科的処置は、有効ではあり得るけれども、それらの障害に関連した症状を緩和できないことがある。それらの脊椎障害の外科的処置には、矯正、癒合、固定、椎間板切除術、椎弓切除術、及び、インプラント式プロテーゼ、が含まれる。これらの外科的処置の一環として、処置部位に対して安定性を提供するために、椎骨ロッドなどの脊椎構造体がしばしば使用される。ロッドは、治療時には、損傷部位又は欠陥部位から応力を遠ざけ、これにより、適切な位置合わせを回復させて、椎骨部材を全体的に支持する。外科的処置時には、1つ又は複数の、ロッド及び骨締結具を、外科的処置部位に対して送達することができる。ロッドは、締結具を介して、2つ以上の椎骨部材の外面に対して取り付けることができる。外科的処置においては、1つ又は複数の椎骨部材を位置決めして位置合わせするために椎骨に対して係合するように操作される外科的器具及びインプラントを使用することができる。本開示においては、これらの従来技術に対する改良を説明する。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、ドライバは、通路を規定する内面を含むスリーブを含む。スリーブは、近位端とその反対側の遠位端との間にわたる長手方向軸線に沿って延びている。近位端は、内面にグルーブを含む。付勢部材が、部分的にグルーブ内に配置されている。シャフトが、通路内に配置されている。シャフトは、外面と、第1係合部分と、第2係合部分と、を含む。スリーブは、シャフトに対して長手方向軸線に沿って軸線方向に並進移動可能である。付勢部材は、付勢部材が外面に対してまた第1係合部分に対してまた第2係合部分に対して係合している時には、スリーブとシャフトとの間に摩擦を生成して、スリーブとシャフトとの間の相対的な軸線方向移動を制限する。付勢部材が外面に対して係合している時には、摩擦に打ち勝ってスリーブをシャフトに対して軸線方向に移動させるために、第1量の並進駆動力が必要とされる。付勢部材が第1係合部分に対して係合している時には、摩擦に打ち勝ってスリーブをシャフトに対して軸線方向に移動させるために、第1量の並進駆動力よりも大きな第2量の並進駆動力が必要とされる。付勢部材が第2係合部分に対して係合している時には、摩擦に打ち勝ってスリーブをシャフトに対して軸線方向に移動させるために、第1量の並進駆動力よりも大きな第3量の並進駆動力が必要とされる。
【0005】
一実施形態では、外科的システムは、ネジ山付きネジと、このネジに対して複数の平面へと揺動するように構成されたレシーバと、を含む締結具を含む。ネジは、ソケットを規定する。レシーバは、それらの間にインプラントキャビティを規定する互いに離間したアームを含む。ドライバは、通路を規定する内面を含むスリーブを含む。スリーブは、近位端とその反対側の遠位端との間にわたる長手方向軸線に沿って延びている。近位端は、内面へと延びるグルーブを含む。付勢部材が、グルーブ内に配置されている。シャフトが、通路内に配置されている。シャフトは、駆動部分を規定する近位端と、駆動ビットを規定する遠位端と、を含む。シャフトは、外面と、第1係合部分と、第2係合部分と、を含む。
【0006】
一実施形態では、外科的方法は、組織に対して隣接した締結具のネジ山付きネジの端部を位置決めする工程であって、締結具を、ネジに対して結合されたレシーバを含むものとし、レシーバを、ネジに対して複数の平面へと揺動するように構成されたものとする場合に、そのように位置決めする工程と、ドライバのシャフトの駆動ビットをネジのソケット内に位置決めする工程であって、シャフトを、シャフトのスリーブのグルーブ内に配置された付勢部材を含むものとし、付勢部材を、シャフトの外面に対して係合したものとする場合に、そのように位置決めする工程と、付勢部材がシャフトの第1係合部分に対して係合するように、かつ、スリーブの互いに反対側に位置した第1フランジ及び第2フランジがレシーバのアームの内面に対して係合するように、スリーブをシャフトに対して並進移動させる工程と、付勢部材がシャフトの第2係合部分に対して係合するように、かつ、シャフトの駆動ビットがネジのソケットから係合解除されるようにして、シャフトをスリーブに対して並進移動させる工程と、スリーブを使用してネジに対してレシーバを選択的に揺動させる工程と、を含む。
【0007】
本開示は、以下の図面を伴う具体的な説明から、より容易に明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の原理による外科的システムの一実施形態を示す側面図である。
図2図2は、第1モード/第1配置において、図1に示す外科的システムの構成要素を部分的に仮想線によって示す側面図である。
図3図3は、第1モード/第1配置において、図1に示す外科的システムの構成要素を示す側断面図である。
図4図4は、第2モード/第2配置において、図1に示す外科的システムの構成要素を部分的に仮想線によって示す側面図である。
図5図5は、第2モード/第2配置において、図1に示す外科的システムの構成要素を示す側断面図である。
図6図6は、第3モード/第3配置において、図1に示す外科的システムの構成要素を部分的に仮想線によって示す側面図である。
図7図7は、第3モード/第3配置において、図1に示す外科的システムの構成要素を示す側断面図である。
図8図8は、図1に示す外科的システムの構成要素を示す斜視図である。
図9図9は、図1に示す外科的システムの構成要素を示す斜視図である。
図10図10は、図1に示す外科的システムの構成要素を示す斜視図である。
図11図11は、本開示の原理による図1に示す外科的システムの構成要素の一実施形態を示す側面図である。
図12図12は、本開示の原理による図1に示す外科的システムの構成要素の一実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
同様の参照符号は、複数の図面にわたって同様の部材を示している。
【0010】
開示する外科的システム及び関連する使用方法に関する例示的な実施形態について、筋骨格障害を処置するための医療デバイスの観点から、より詳細には、脊椎インプラントシステム、及び、脊椎を処置するための方法、という観点から説明する。いくつかの実施形態では、本開示のシステム及び方法は、本明細書において説明するように、例えば、脊椎のうちの、頸部領域、胸部領域、腰部領域、及び/又は仙骨領域において、外科的処置と一緒に使用される外科的器具及びインプラントを含む医療デバイスを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本外科的システムは、骨ネジ及びヘッドを含むインプラントを位置決めしてインプラントを埋設するために使用するための、スリーブ及び内部シャフトを有したドライバを含む。スリーブ及び内部シャフトは、他のものとは独立して操作することができ、これにより、ユーザは、ヘッド及び骨ネジの向きを、選択的に、すなわち同時的にかつ独立的に、制御することができる。いくつかの実施形態では、本外科的システムのドライバは、骨ネジに対して一方の向きでヘッドをロックするという従来型ドライバにおける制限を、あるいは、ヘッドを制御しないという従来型ドライバにおける制限を、克服する。ドライバは、骨ネジに対する軸線方向に留まることなく、ヘッドを位置決めするために使用することができる。いくつかの実施形態では、本外科的システムのドライバは、例えば、多軸ネジ(MAS)、リダクション多軸ネジ(RMAS)、及びデュアルロッド多軸ネジ(DRMAS)、などの任意の様々な締結具又はネジと一緒に使用するように構成されており、これにより、器具の数を低減して、外科的処置の流れを単純化することができる。実際、現行では、ネジごとに異なるドライバが存在している。本外科的システムのドライバは、複数の異なるネジに対して使用するように構成されており、よって、追加的なドライバの必要性を低減させる又は排除することとなる。
【0012】
いくつかの実施形態では、本外科的システムのドライバは、負荷位置、駆動位置、及びヘッド操作位置、という3つの位置で使用するように構成されている。負荷位置又は負荷範囲では、位置決めスリーブは、ドライバトルクス(登録商標)などのドライバシャフトを骨ネジに対して係合させる際に、より良好な視覚化のために、邪魔にならないところにロックすることができる。スリーブがロックされる位置は、1つではなく、スリーブは、シャフトの負荷領域内の任意のポイントにおいてその位置が保持されることとなる。特に、ユーザが力を印加していない時には、付勢部材(すなわち、スプリング)とシャフトとの間の摩擦が、移動を防止する。これにより、ドライバは、この範囲にロックされる。スリーブは、この負荷範囲に沿ってシャフトのどこにでも配置されることができ、その向きを保持することができる。この位置では、ドライバは、また、ヘッドに対して係合していない標準的なドライバとして使用することもできる。駆動位置では、ドライバシャフトは、骨ネジに対して係合し、かつ、スリーブは、ネジヘッドに対して係合することにより、スリーブによってヘッドの回転を独立的に制御しつつ、骨ネジを駆動することができる。ヘッド操作位置では、ドライバシャフトは、骨ネジから係合解除されており、このため、骨ネジが埋設された後には、ユーザは、ネジのヘッドを任意の平面へと配向させることができる。これは、インプラントから器具を係合解除することなく、行うことができる。いくつかの実施形態では、ヘッド操作位置は、また、ドライバを実質的に「2in1」デバイスとし、これにより、外科医は、別個の器具を必要とすることなく、ヘッドを整列して配向させることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、本外科的システムのドライバは、スリーブの中間グリップのグルーブなどのスリーブのグルーブ内に着座していて内側駆動シャフトを押圧している傾斜コイルスプリングを有した機構を含む。例えば負荷範囲モードなどの第1モードでは、スプリングは、外側スリーブに関する所望に応じた手動での容易な移動を可能とするものの、そうでなければ外側スリーブを所定位置に留まらせる量の分だけ、内側駆動シャフトを押圧して、内側駆動シャフトに対しての摩擦を生成する。これは、(無限数の)位置がなす範囲内のどこにでも外側スリーブを配置することを可能とし、このことは、駆動シャフトを骨ネジに対して係合させる際に、良好で所望の視覚化を可能とするのに有用である。例えば駆動位置モードなどの第2モードでは、ドライバシャフトが骨ネジに対して係合するような及びスリーブがネジヘッドに対して係合するような駆動機能のために、内側駆動シャフトの第1凹所が、スプリングを受領し、その位置でスリーブを解放可能にロックし、この場合、スリーブのグルーブは、第1凹所とほぼ位置合わせされている。例えばヘッド操作モードなどの第3モードでは、ヘッド操作機能のために、内側駆動シャフトは、第1凹所から離間した第2凹所を含むとともに、スリーブをその第2凹所に解放可能にロックする。
【0014】
いくつかの実施形態では、外科的システムの1つ又はすべての構成要素は、使い捨ての、ピールパックされ、事前包装された無菌デバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、外科的システムの構成要素は、1回の使用のために構成されるとともに、それらが1回使用された後には、廃棄される。しかしながら、外科的システムの1つ又はすべての構成要素を再使用可能としてもよいことが、想定される。外科的システムは、複数のサイズの様々に構成された構成要素を有したキットとして構成することができる。いくつかの実施形態では、外科的システムの1つ又は複数の構成要素は、滅菌されるように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、開示する、ドライバ、外科的方法、及び外科的システムは、患者を腹臥位又は仰臥位にした状態で外科的処置において代替的に使用することができる、並びに/若しくは、任意の身体領域において、前方アプローチ、後方アプローチ、後方正中線アプローチ、直接側方、後方側方アプローチ、前方側方アプローチ、等を含む様々な外科的アプローチを使用することができる。本開示における、ドライバ、方法、及びシステムは、また、例えば、訓練、試験、及び実演などで、動物、骨モデル、及び他の非生体基質に関して、使用することもできる。
【0016】
本開示は、本開示の一部を形成する添付図面に関連して解釈される本開示に関する以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本開示が、本明細書において説明した及び/又は図示した特定のデバイスや方法や条件やパラメータに限定されないこと、また、本明細書において使用される用語が、特定の実施形態を単なる一例として説明する目的のためのものであって、請求された開示を限定することを意図していないことは、理解されよう。また、添付の特許請求の範囲を含めて本明細書において使用された時には、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、複数形を含み、特定の数値の参照は、文脈的に明確に指示されない限り、少なくともその特定の値を含む。範囲は、本明細書では、「約」又は「およそ」付きのある特定値から、及び/又は、「約」又は「およそ」付きの別の特定値まで、として表現され得る。そのようにして範囲が表現された場合には、他の実施形態は、そのある特定値から、及び/又は、その別の特定値まで、を含む。同様に、先行詞「約」の使用によって、値が近似値として表現される場合には、その特定の値が別の実施形態を形成することは、理解されよう。また、例えば、水平、鉛直、上、上側、下側、下、左、及び右などの、すべての空間的な基準が、例示の目的のためだけのものであって、本開示の範囲内において変更され得ることは、理解されよう。例えば、「上側」及び「下側」という基準は、相対的なものであって、他方との関連のみで使用され、必ずしも「優位」及び「劣位」ではない。
【0017】
さらに、添付の特許請求の範囲を含めて本明細書において使用された時には、疾患又は状態を「処置すること」又は「処置」は、疾患又は状態の徴候又は症状を緩和するための手順を実行することを意味する。緩和は、疾患又は状態の徴候又は症状が出現する前に、また、それらの出現の後に、起こり得る。よって、処置すること又は処置は、疾患又は望ましくない状態を予防すること又はその予防(例えば、疾患に罹患しやすいかもしれないが、疾患しているとまだ診断されていない患者に疾患が起こることを防止すること)を含む。加えて、処置すること又は処置は、徴候又は症状の完全な緩和を必要とせず、治癒を必要とせず、特に、患者にわずかな影響しか及ぼさない手順を含む。処置は、疾患を抑制すること、例えば、その発生を抑止すること、あるいは、疾患を緩和すること、例えば、疾患の退行を引き起こすこと、を含むことができる。例えば、処置は、急性又は慢性の炎症を低減させること、痛みを緩和して鎮静化させさらに新しい靭帯や骨や他の組織の再生を誘発すること、外科的処置の補助とすること、及び/又は、任意の修復手順、を含むことができる。また、添付の特許請求の範囲を含めて本明細書において使用された時には、「組織」という用語は、他に特段の言及がない限り、軟組織、靭帯、腱、軟骨、及び/又は骨を含む。
【0018】
以下の説明は、本開示の原理による外科的システム、及び、そのようなシステムを使用するための関連した方法、に関する説明を含む。代替的な実施形態についても開示する。以下、添付図面に図示した本開示の例示的な実施形態について、詳細に参照する。ここで図1図12を参照すると、本開示の原理による外科的システム20の構成要素が図示されている。
【0019】
外科的システム20の構成要素は、特定の用途に応じて及び/又は医師の好みに応じて、金属、合成ポリマー、セラミクス、骨材料、及び/又はこれらの複合材を含む、医療用途に適した生物学的に許容可能な材料から作製することができる。例えば、外科的システム20の構成要素は、個別的に又は集合的に、ステンレス鋼合金、商業的な意味で純度が高いチタン、チタン合金、グレード5チタン、超弾性チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼合金、超弾性金属合金(例えば、ニチノール、日本国トヨタマテリアルインコーポレーテッド社製のGUM METAL(登録商標)などの超弾塑性金属)、リン酸カルシウムなどのセラミクス及びその複合材(例えば、Biologix Inc.社製のSKELITE(登録商標))、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEK)やポリエーテルケトンケトン(PEKK)やポリエーテルケトン(PEK)を含むポリアリールエーテルケトン(PAEK)などの熱可塑性プラスチック、炭素-PEEK複合材、PEEK-BaSO4高分子ゴム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、布地、シリコーン、ポリウレタン、シリコーン-ポリウレタン共重合体、高分子ゴム、ポリオレフィンゴム、ヒドロゲル、半剛性材料及び剛性材料、エラストマ、ゴム、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、エラストマ複合材、ポリフェニレンを含む剛性ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、エポキシ、自家移植片や同種移植片や異種移植片又は遺伝子組み換え皮質骨及び/又は皮質海綿骨と、組織増殖因子又は分化因子と、を含む骨材料、例えば金属及びカルシウムをベースとしたセラミクス複合材やPEEK及びカルシウムをベースとしたセラミクス複合材やPEEKと再吸収性ポリマーとの複合材などの部分吸収材料、例えばリン酸カルシウムやリン酸三カルシウム(TCP)やヒドロキシアパタイト(HA)-TCPや硫酸カルシウムなどのカルシウムをベースとしたセラミクスなどの完全吸収材料、あるいは、ポリアエチドやポリグリコリドやポリチロシンカーボネートやポリカロプラエトヘやこれらの組合せなどの他の吸収性ポリマー、などの材料から作製することができる。外科的システム20の様々な構成要素は、強度、剛性、弾性、柔軟性、生体力学的性能、耐久性、放射線透過性又は画像化選好、などの様々な所望の特性を達成するために、上記の材料を含む材料複合材を有することができる。外科的システム20の構成要素は、また、個別的に又は集合的に、上述した材料のうちの2つ以上の材料の組合せなどの異種材料から作製することもできる。外科的システム20の構成要素は、本明細書において説明するように、一体的に形成することができる、あるいは、一体的に接続することができる、あるいは、締結部材及び/又は締結器具を含むことができる。
【0020】
外科的システム20は、位置決めスリーブを備えたドライバ22を含み、位置決めスリーブは、例えば、近位端26とその反対側の遠位端28との間にわたる長手方向軸線LA1に沿って延びるスリーブ24などである。スリーブ24は、端部26と端部28との間に延びる管状シャフト30を含む。様々な実施形態では、端部26は、例えばグリップ32などの中間グリップを含む。いくつかの実施形態では、グリップ32は、使用者がスリーブを容易に把持するために、シャフト30の最大直径よりも大きな最大直径を有している。いくつかの実施形態では、グリップ32は、例えば、互いに離間した複数の突起及び/又はキャビティ34を含むことなどによって、グリップ32の把持を容易とする形状とされている。いくつかの実施形態では、キャビティ34は、グリップ32の周縁まわりにおいて径方向に配置されている。いくつかの実施形態では、キャビティ34は、確実な把持性を提供するために、そしてそれによりユーザの疲労感を低減するために、2つ以上の行及び/又は2つ以上の列で配置される。いくつかの実施形態では、グリップ32の外表面は、例えば、粗面、円弧状、起伏付き、多孔性、半多孔性、窪み付き、研磨済み、及び/又は、特定の用途における要求に応じたテクスチャ付きなどの、把持性を増強するための様々な表面構成を有することができる。
【0021】
スリーブ24は、例えば図3図5、及び図7に示すように、スリーブ24の全長にわたって延びる通路36を規定する内面35を含む。端部26は、開口38を含み、端部28は、開口40を含む。開口38、40は、通路36と連通している。いくつかの実施形態では、通路36及び開口38、40は、それぞれ、軸線LA1に対して平行に延びている。いくつかの実施形態では、開口40は、開口38に対して同軸的である。いくつかの実施形態では、通路36及び開口38、40は、軸線LA1に対して、例えば、横方向、垂直方向、及び/又は、鋭角又は鈍角や同軸的などの他の角度配向性、といったような代替的な配向性で配置することができる、並びに/若しくは、オフセットすることができる又はジグザグ状とすることができる。いくつかの実施形態では、通路36及び/又は開口38、40は、その全長に沿って一様な直径を有している。いくつかの実施形態では、通路36及び/又は開口38、40は、例えば、楕円形、長円形、三角形、長方形、正方形、多角形、不規則形状、均一形状、不均一形状、可変形状、管状形状、及び/又はテーパー形状などの、様々な断面構成を有することができる。
【0022】
端部26は、表面35内へと延びる周縁方向グルーブ42を含む。様々な実施形態におけるグルーブ42は、スリーブ24の反対側の外面にまでは、スリーブ壁を貫通していない。例えばスプリングなどの付勢部材44が、グルーブ42内に配置されている。いくつかの実施形態では、スプリング44は、コイルスプリングである。いくつかの実施形態では、スプリング44は、傾斜コイルスプリングである。いくつかの実施形態では、スプリング44は、カリフォルニア州Foothill RanchのBal Seal Engineering, Inc.から入手可能なBAL SPRING(登録商標)コイルスプリングである。
【0023】
ドライバ22は、例えばシャフト46などの内部シャフトを含み、シャフト46は、インプラント内に配置されるように構成された端部と、シャフト46を回転駆動するようにアクチュエータに対して係合するように構成された端部と、を有し、これにより、本明細書において説明するように、例えば骨などの組織内へとインプラントを駆動することができる。スプリング44は、様々な構成において、具体的には、本明細書において説明するように、第1位置と第2位置と第3位置との間にわたって、シャフト46とスリーブ24とを係合させるように構成されている。
【0024】
様々な実施形態では、端部28は、シャフト30の最大外径よりも小さな最大外径を有する円筒状部分48を含む。例えばラグ50などのフランジが、部分48の第1側部から外向きに延びており、例えばラグ52などのフランジが、部分48の反対側の第2側部から延びている。ラグ50、52は、それぞれ、図8図10に最も明瞭に示すように、端面54と、その反対側の端面56と、いくつかの実施形態では端面54から端面56へと凸状に湾曲した外面58と、を含む。ラグ50の端面56は、いくつかの実施形態では、部分48の円弧状外面60の分だけラグ52の端面54から離間しており、ラグ50の端面54は、部分48の円弧状外面62の分だけラグ52の端面56から離間している。いくつかの実施形態では、端面54、56は、完全に平面であり、軸線LA1に対して平行に延びている。いくつかの実施形態では、表面60は、ラグ50の端面56からラグ52の端面54へと凸状に湾曲しており、表面62は、ラグ50の端面54からラグ52の端面56へと凸状に湾曲している。いくつかの実施形態では、表面60は、ラグ50の端面56からラグ52の端面54へと連続した曲率半径を有し、表面62は、ラグ50の端面54からラグ52の端面56へと連続した曲率半径を有している。ラグ50、52は、本明細書において説明するように、スリーブ24を骨締結具に対して接続するために、例えば骨締結具80(図8)などのインプラントに対して、特に骨締結具のヘッドレシーバ82に対して、係合するように構成されている。
【0025】
シャフト46は、通路36内に配置されているとともに、駆動部分66を規定する近位端64と、駆動ビット70を規定する遠位端68と、の間に延びている。シャフト46は、シャフト46が通路36内に配置されている時には、軸線LA1に対して同軸的である。駆動部分66は、本明細書において説明するように、軸線LA1まわりにおいてスリーブ24に対してシャフト46を回転駆動するために、本明細書において説明するように、アクチュエータに対して係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、駆動部分66は、アクチュエータの対応形状部分に対して係合するように構成された、正方形、三角形、多角形、星形、又はヘキサローブ、という断面構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、駆動ビット70は、本明細書において説明するように、骨締結具の対応形状ソケットに対して係合するように構成された、正方形、三角形、多角形、星形、又はヘキサローブ、という断面構成を含むことができる。
【0026】
シャフト46は、1つ又は複数の係合部分を規定する外面74を有したシャフト72の一部である、あるいは、そのようなシャフト72に対して接続されている。例えば、いくつかの実施形態では、シャフト74は、例えば外面74内へと延びる第1係合部分76などの凹所と、例えば外面74内へと延びる第2係合部分78などの凹所と、を含む。係合部分76は、シャフト72の長さに沿って、係合部分78から離間している。スプリング44は、本明細書において説明するように、図2及び図3に示す第1位置においては、スリーブ24をシャフト46に対して配向させるために、外面74に対して係合するように構成されている。係合部分76は、様々な実施形態では、本明細書において説明するように、図4及び図5に示す第2位置においては、スリーブ24をシャフト46に対して配向させるために、スプリング44を配置するように構成された周縁方向凹所である。係合部分78は、様々な実施形態では、本明細書において説明するように、図6及び図7に示す第3位置においては、シャフト46に対してスリーブ24を配向させるためにスプリング44を配置するように構成された周縁方向凹所である。
【0027】
ドライバ22は、例えば骨締結具80などの骨締結具に対して係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、締結具80は、2015年8月25日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第15/139,395号明細書に開示された複数の締結具のうちの任意のものと同一又は同様のものであり、この文献は、その全体が参照により本明細書に明示的に援用される。締結具80は、いくつかの場合においては、組織に対して係合するように構成されたDRMASであり、レシーバ82を含む。レシーバ82は、互いに離間したアーム84、84a、84bを含む。アーム84、84aは、U字形状通路86を規定する内面を含む。通路86を規定する内面は、それぞれ、止めネジに対して係合するように構成されたネジ山付き形状を含む。止めネジは、本明細書において説明するように、例えばレシーバ82付き脊椎ロッドなどのインプラントを、取り付けたり、固定したり、及び/又はロックしたり、するために、アーム84、84aに対して螺着することができる。アーム84aは、図8図10に最も明瞭に示すように、円弧状部分94の分だけ平面部分92から離間した平面部分90を有した内面88を含む。部分90、92、94は、図9及び図10に示すように、スリーブ24をレシーバ82に対して結合するために、ラグ50の端面56と、ラグ52の端面54と、部分48の表面60と、のそれぞれ対応するものに対して係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、部分94は、部分90から部分92へと凸状に湾曲している。いくつかの実施形態では、部分94は、部分90から部分92へと連続した曲率半径を有している。アーム84bは、図8図10に最も明瞭に示すように、円弧状部分102の分だけ平面部分100から離間された平面部分98を有した内面96を含む。部分98、100、102は、図9及び図10に示すように、スリーブ24を締結具80に対して結合するために、ラグ52の端面54と、ラグ50の端面56と、部分48の表面62と、のそれぞれ対応するものに対して係合するように構成されている。いくつかの実施形態では、部分102は、部分98から部分100へと凸状に湾曲している。いくつかの実施形態では、部分102は、部分98から部分100へと連続した曲率半径を有している。離間したアーム84a、84bは、通路86に対して隣接して配置されたU字形状通路104を規定する。表面88、96は、それぞれ、例えばレシーバ82付き第2脊椎ロッドなどの第2インプラントを、取り付けたり、固定したり、及び/又はロックしたり、するために、止めネジに対して係合するように構成されたネジ山付き形状を含む。
【0028】
締結具80は、組織を貫通するように構成されたネジ山付きネジ106を含む。ネジ106は、近位ヘッド108と遠位先端110との間にわたって長手方向軸線LA2に沿って延びている。ヘッド108は、駆動ビット70を配置するように構成されたソケット114を規定する内面112を含み、これにより、本明細書において説明するように、軸線LA2まわりにおいてネジ106を回転駆動することができる。いくつかの実施形態では、ソケット114は、本明細書において説明するように、駆動ビット70の対応形状ソケットに対して係合するように構成された、正方形、三角形、多角形、星形、又はヘキサローブ、という断面構成を含むことができる。ヘッド108は、ネジ106がレシーバ82に対して複数の平面へと揺動可能であるようにして、レシーバ82の開口内に配置される。いくつかの実施形態では、ネジ106は、単一のネジ山又は複数の離散的なネジ山を含み得る外部ネジ山付き形状を有している。いくつかの実施形態では、組織に対してのネジ106の係合を容易とするために、例えば、爪の形態、返し、拡張部材、隆起部材、及び/又はスパイク、などの他の係合構造を、ネジ106上に配置することができる。
【0029】
組立、操作、及び使用においては、外科的処置部位に対してのアクセスが得られ、特定の外科的処置手順が実行される。外科的システム20、ドライバ22、及び締結具80、の構成要素は、外科的処置を増強するために使用される。例えば、ネジ106の先端110は、本明細書において説明するように、レシーバ82がネジ106に対して結合された状態で、例えば骨などの組織に対して隣接して配置される。ドライバ22は、駆動ビット70の視覚化を可能とするために、スリーブ24が第1位置(図2及び図3)においてシャフト46に対して配向された状態で、外科的処置部位へと送達される。すなわち、スリーブ24が第1位置にある時には、スリーブ24の部分60は、図8に示すように、駆動ビット70から充分に離れており、これにより、ユーザによって又は視覚システムによって、駆動ビット70の視覚化を可能とすることができる。スリーブ24が第1位置にある時には、スプリング44は、係合部分76と駆動部分66との間において外面74に対して直接的に係合する。スリーブ24が第1位置にある時には、スプリング44は、係合部分76と駆動部分66との間のどこにおいても外面74に対して係合し得ることが想定されている。スプリング44は、軸線LA1まわりにおけるスリーブ24に対してのシャフト46の回転及び軸線LA1に沿ったスリーブ24に対してのシャフト46の並進移動が防止されるように、スリーブ24をシャフト46に対して暫定的に固定するような、シャフト72に対しての第1摩擦量を生成する。すなわち、軸線LA1まわりにおけるスリーブ24に対してのシャフト46の回転及び軸線LA1に沿ったスリーブ24に対してのシャフト46の並進移動を可能とするためには、第1摩擦量に打ち勝つだけの、第1量の力が必要とされる。駆動ビット70は、図8に示すように、軸線LA1が軸線LA2に対して平行及び/又は同軸的であるようにして、ソケット114内へと挿入される。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1摩擦量に打ち勝って軸線LA1まわりにおけるスリーブ24に対してのシャフト46の回転を可能とし得るよう、少なくとも第1量の力が、軸線LA1に沿ってシャフト46に対してスリーブ24を移動させるために、図8において矢印Aによって示す向きに及び/又は図8において矢印Bによって示す向きに印加される。例えば人間の手などの、電動及び/又は手動のアクチュエータが、アクチュエータをシャフト46に対して接続するために、駆動部分66に対して係合される。アクチュエータは、特定の外科的処置に応じて、駆動ビット70がソケット114内へと挿入される前の時点でもあるいはそのような挿入の後の時点でも、シャフト46に対して接続することができる。アクチュエータは、シャフト46をスリーブ24に対して回転駆動し、これにより、シャフト46がネジ106を回転駆動して、ネジ106を組織内へと駆動することができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1摩擦量に打ち勝つために、少なくとも第1量の力が、図8において矢印Aによって示す向きに軸線LA1に沿ってシャフト46に対してスリーブ24を移動させるために、スリーブ24に対して印加される。スリーブは、図4及び図5に示すように、スプリング44が係合部分76内に配置されるまで、及び、スリーブ24の部分60が、図9に示すように通路104内に配置され、これにより、スリーブ24を第2位置においてシャフト46に対して配向させるまで、図8において矢印Aによって示す向きに軸線LA1に沿ってシャフト46に対して並進移動される。特に、スリーブ24に対してのレシーバ82の回転を防止するために、スリーブ24は、図9に示すように、ラグ50の端面56が部分90に対して直接的に係合し、ラグ52の端面54が部分92に対して直接的に係合し、表面60が部分94に対して直接的に係合し、ラグ50の端面54が部分98に対して直接的に係合し、ラグ52の端面56が部分100に対して直接的に係合し、表面62が部分102に対して直接的に係合するようにして、通路104内に配置される。スリーブ24が第2位置にある時には、駆動ビット70は、ソケット114内に挿入されたままであり、これにより、図9に示すように、軸線LA1は、軸線LA2に対して平行及び/又は同軸的である。スリーブ24が第2位置にある時には、スプリング44は、スプリング44がシャフト72に対して第2回転摩擦量及び第2並進摩擦量を生成するように、係合部分76内に配置される。すなわち、スリーブ24は、軸線LA1まわりにおいてはシャフト46に対して360度にわたって自由に回転することができ、軸線LA1に沿ったスリーブ24に対してのシャフト46の並進移動が、暫定的に防止される。軸線LA1に沿ったスリーブ24に対してのシャフト46の並進移動を可能とし得るよう、スプリング44を係合部分76から係合解除するためには、第2量の並進駆動力が必要とされる。第2回転摩擦量は、第1回転摩擦量よりも小さく、第2並進摩擦量は、第1並進摩擦量以上であり、第2量の並進駆動力は、第1量の並進駆動力以上である。電動及び/又は手動のアクチュエータが、シャフト46に対してアクチュエータを接続するために駆動部分66に対して係合され、他方、第2の電動及び/又は手動のアクチュエータが、グリップ32に対して係合される。第1アクチュエータは、軸線LA1まわりにおいてスリーブ24に対してシャフト46を回転駆動し、これにより、シャフト46が軸線LA2まわりにおいてネジ106を回転駆動してネジ106を組織内へと駆動し、他方、第2アクチュエータは、スリーブ24の配向を回転及び/又は維持するとともに、スリーブ24と一緒にレシーバ82を軸線LA1まわりにおいて回転及び/又は維持する。
【0032】
ネジ106が組織内へと充分に駆動されて組織に対してネジ106が固定された後には、少なくとも第2並進摩擦量に打ち勝ち得るよう、シャフト46を軸線LA1に沿ってスリーブ24に対して移動させるために、シャフト46に対して、図8において矢印Bによって示す向きに、少なくとも第2量の並進駆動力が印加される。シャフト46は、スプリング44が、図6及び図7に示すように、係合部分78内に配置されるまで、そしてこれにより、図10に示すように、スリーブ24がシャフト46に対して第3位置に配向されるまで、図8において矢印Bによって示す向きに軸線LA1に沿ってスリーブ24に対して並進移動される。スリーブ24が第2位置から第3位置へと移動するにつれて、駆動ビット70は、ソケット114から出て通路36内へと移動し、これにより、図7に示すように、駆動ビット70は、通路36内へと完全に配置される。ソケット114からの駆動ビット70の取り外しは、レシーバ82がネジ106に対して1つ又は複数の平面へと揺動することを可能とする。部分48は、スリーブ24に対してのレシーバ82の回転を防止するために、ラグ50の端面56が部分90に対して直接的に係合し、ラグ52の端面54が部分92に対して直接的に係合し、表面60が部分94に対して直接的に係合し、ラグ50の端面54が部分98に対して直接的に係合し、ラグ52の端面56が部分100に対して直接的に係合し、表面62が部分102に対して直接的に係合するようにして、通路104内に配置されたままである。
【0033】
いくつかの実施形態では、シャフト46をスリーブ24に対して第3位置に配向させることなく、部分48が通路104から取り外されるとともに、駆動ビット70がソケット114から取り外され、これにより、ドライバ22が締結具80から係合解除される。例えば、通路86及び/又は通路104が、例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントに対しての係合及び/又は配置のために適切に配向されている場合には、ドライバ22を締結具80から係合解除する前の時点では、レシーバ82は、ネジ106に対して揺動しない。いくつかの実施形態では、ドライバ22を使用した例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントの係合及び/又は配置のために、通路86及び/又は通路104をネジ106に対して選択的に配向させるよう、レシーバ82を、ドライバ22を使用してネジ106に対して揺動させ、これにより、部分48を通路104から取り外す前に、図10に示すように、軸線LA1を軸線LA2に対して横方向に延びるものとする。通路86及び/又は通路104が、ネジ106に対して選択的に配向された後には、部分48が、通路104から取り外され、これにより、ドライバ22がレシーバ82から係合解除される。その後、ドライバ22は、外科的処置部位から取り外される。いくつかの実施形態では、例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントが、通路86及び/又は通路104内に配置され、例えば止めネジなどの結合部材が、アーム84、84aのネジ山に対して及び/又はアーム84a、84bのネジ山に対して、螺着され、これにより、止めネジが、通路86及び/又は通路104内に配置された1つ又は複数のインプラントに対して直接的に係合し、これにより、そのような1つ又は複数のインプラントが、レシーバ82に対して固定される。
【0034】
本明細書において説明するように、ドライバ22は、複数の骨締結具と共に使用するように構成されている。すなわち、ドライバ22は、締結具80以外の締結具のネジを組織内へと駆動するために使用することができる。例えば、図11に示す一実施形態では、外科的システム20は、締結具80と同様の骨締結具116を含む。いくつかの実施形態では、締結具116は、2015年8月25日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第15/139,395号明細書に開示された複数の締結具のうちの1つと同一又は同様のものであり、この文献は、その全体が参照により本明細書に明示的に援用される。締結具116は、組織に対して係合するように構成されたMASであり、互いに離間した一対のアーム120、120aを有したレシーバ118を含む。レシーバ118は、本明細書において説明するように、ドライバ22に対して係合するように構成されている。アーム120、120aは、U字形状通路122を規定する内面を含む。通路122は、ドライバ22をレシーバ118に対して結合するための部分48を配置するように構成されている。いくつかの実施形態では、通路122の全部又は一部のみが、例えば、楕円形、長円形、三角形、正方形、多角形、不規則形状、均一形状、不均一形状、オフセット形状、ジグザグ形状、及び/又はテーパー形状、などの代替的な断面構成を有することができる。いくつかの実施形態では、アーム120、120aは、締結具116の長手方向軸線に対して、例えば、横方向、垂直方向、及び/又は、鋭角又は鈍角や同軸的などの他の角度配向性、といったような代替的な配向性で配置することができる、並びに/若しくは、オフセットすることができる又はジグザグ状とすることができる。レシーバ118の内面は、止めネジに対して係合するように構成されたネジ山付き形状を含む。止めネジは、本明細書において説明するように、矯正処置のための外科的器具に対しての組織の接続を容易とし得るよう、例えば締結具116付きの脊椎ロッドなどのインプラントを、取り付けたり、固定したり、及び/又はロックしたり、するために、レシーバ118に対して螺着することができる。
【0035】
締結具116は、組織を貫通するように構成されたネジ124を含む。ネジ124のヘッドは、ネジ124がレシーバ118に対して複数の平面へと回転可能であるようにして、レシーバ118の開口内に配置される。ネジ124のヘッドは、ソケット114と同一又は同様のソケットを含む。ネジ124は、円筒状の断面形状を有するとともに、外部ネジ山付き形状を有した外面を含む。いくつかの実施形態では、外部ネジ山付き形状は、単一のネジ山又は複数の離散的なネジ山を含むことができる。いくつかの実施形態では、組織に対してのネジ124の係合を容易とするために、例えば、爪の形態、返し、拡張部材、隆起部材、及び/又はスパイク、などの他の係合構造を、ネジ124上に配置することができる。いくつかの実施形態では、ネジ124の全部又は一部のみが、例えば、楕円形、長円形、三角形、正方形、多角形、不規則形状、均一形状、不均一形状、オフセット形状、ジグザグ形状、起伏形状、円弧形状、可変形状、及び/又はテーパー形状、などの代替的な断面構成を有することができる。いくつかの実施形態では、ネジ124の外面は、1つ又は複数の開口を含むことができる。いくつかの実施形態では、ネジ124の外表面の全部又は一部のみが、例えば、粗面、円弧状、起伏付き、メッシュ、多孔性、半多孔性、窪み付き、及び/又は、テクスチャ付きなどの、組織に対しての固定を増強するための代替的な表面構成を有することができる。いくつかの実施形態では、ネジ124のすべて又は一部のみが、その長手方向軸線に対して、例えば、横方向、垂直方向、及び/又は、鋭角又は鈍角や同軸的などの他の角度配向性、といったような代替的な配向性で配置することができる、並びに/若しくは、オフセットすることができる又はジグザグ状とすることができる。いくつかの実施形態では、ネジ124の全部又は一部のみに対して、カニューレを挿入することができる。
【0036】
組立、操作、及び使用においては、外科的処置部位に対してのアクセスが得られ、特定の外科的処置手順が実行される。外科的システム20、ドライバ22、及び締結具116、の構成要素は、外科的処置を増強するために使用される。例えば、ネジ124の先端は、本明細書において説明するように、レシーバ82がネジ124に対して結合された状態で、例えば骨などの組織に対して隣接して配置される。ドライバ22は、駆動ビット70の視覚化を可能とするために、スリーブ24が第1位置(図2及び図3)においてシャフト46に対して配向された状態で、外科的処置部位へと送達される。駆動ビット70は、軸線LA1が、ネジ124によって規定される軸線に対して平行及び/又は同軸的であるようにして、ネジ124のソケット内へと挿入される。
【0037】
電動及び/又は手動のアクチュエータが、アクチュエータをシャフト46に対して接続するために、駆動部分66に対して係合される。アクチュエータは、特定の外科的手順に応じて、駆動ビット70がネジ124のソケット内へと挿入される前の時点でもあるいはそのような挿入の後の時点でも、シャフト46に対して接続することができる。アクチュエータは、シャフト46をスリーブ24に対して回転駆動し、これにより、シャフト46がネジ124を回転駆動して、ネジ124を組織内へと駆動することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1摩擦量に打ち勝つために、少なくとも第1量の力が、図8において矢印Aによって示す向きに軸線LA1に沿ってシャフト46に対してスリーブ24を移動させるために、スリーブ24に対して印加される。スリーブは、図4及び図5に示すように、スプリング44が係合部分76内に配置されるまで、及び、スリーブ24の部分60が、通路122内に配置され、これにより、スリーブ24を第2位置においてシャフト46に対して配向させるまで、図8において矢印Aによって示す向きに軸線LA1に沿ってシャフト46に対して並進移動される。いくつかの実施形態では、スリーブ24は、本明細書において説明するように、スリーブが通路104内に配置されるのと同一又は同様の態様で、通路122内に配置される。例えば、ラグ50、52の端面、及び、表面60、62は、スリーブ24に対してのレシーバ118の回転を防止するために、レシーバ118のうちの、部分90、部分92、部分94、部分98、部分100、及び部分102と同一又は同様の表面に対して、係合することができる。スリーブ24が第2位置にある時には、駆動ビット70は、ネジ124のソケット内に挿入されたままであり、これにより、軸線LA1は、ネジ124によって規定される軸線に対して平行及び/又は同軸的である。電動及び/又は手動のアクチュエータが、シャフト46に対してアクチュエータを接続するために駆動部分66に対して係合され、他方、第2の電動及び/又は手動のアクチュエータが、グリップ32に対して係合される。第1アクチュエータは、シャフト46をスリーブ24に対して回転駆動し、これにより、シャフト46がネジ124を回転駆動してネジ124を組織内へと駆動し、他方、第2アクチュエータは、スリーブ24の配向を回転及び/又は維持するとともに、スリーブ24と一緒にレシーバ118を軸線LA1まわりにおいて回転及び/又は維持する。
【0039】
ネジ124が組織内へと充分に駆動されて組織に対してネジ124が固定された後には、少なくとも第2並進摩擦量に打ち勝ち得るよう、シャフト46を軸線LA1に沿ってスリーブ24に対して移動させるために、シャフト46に対して、図8において矢印Bによって示す向きに、少なくとも第2量の並進駆動力が印加される。シャフト46は、スプリング44が、図6及び図7に示すように、係合部分78内に配置されるまで、そしてこれにより、スリーブ24がシャフト46に対して第3位置に配向されるまで、図8において矢印Bによって示す向きに軸線LA1に沿ってスリーブ24に対して並進移動される。スリーブ24が第2位置から第3位置へと移動するにつれて、駆動ビット70は、ネジ124のソケットから出て通路36内へと移動し、これにより、図7に示すように、駆動ビット70は、通路36内へと完全に配置される。ネジ124のソケットからの駆動ビット70の取り外しは、レシーバ118がネジ124に対して1つ又は複数の平面へと揺動することを可能とする。部分48は、スリーブ24に対してのレシーバ118の回転を防止するために、通路122内に配置されたままである。
【0040】
いくつかの実施形態では、シャフト46をスリーブ24に対して第3位置に配向させることなく、部分48が通路122から取り外されるとともに、駆動ビット70がネジ124のソケットから取り外され、これにより、ドライバ22が締結具116から係合解除される。例えば、通路122が、例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントに対しての係合及び/又は配置のために適切に配向されている場合には、ドライバ22を締結具116から係合解除する前の時点では、レシーバ118は、ネジ124に対して揺動しない。いくつかの実施形態では、ドライバ22を使用した例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントの係合及び/又は配置のために、通路122をネジ124に対して選択的に配向させるよう、レシーバ118を、ドライバ22を使用してネジ124に対して揺動させ、これにより、部分48を通路122から取り外す前に、軸線LA1を、ネジ124によって規定された軸線に対して横方向に延びるものとする。通路122が、ネジ124に対して選択的に配向された後には、部分48が、通路122から取り外され、これにより、ドライバ22がレシーバ118から係合解除される。その後、ドライバ22は、外科的処置部位から取り外される。いくつかの実施形態では、例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントが、通路122内に配置され、例えば止めネジなどの結合部材が、アーム120、120aのネジ山に対して螺着され、これにより、止めネジが、通路122内に配置された1つ又は複数のインプラントに対して直接的に係合し、これにより、そのような1つ又は複数のインプラントが、レシーバ118に対して固定される。
【0041】
図12に示す一実施形態では、外科的システム20は、締結具80及び締結具116と同様の骨締結具126を含む。いくつかの実施形態では、締結具126は、2017年7月25日付けで出願された米国特許出願シリアル番号第15/658,635号明細書に開示された複数の締結具のうちの1つと同一又は同様のものであり、この文献は、その全体が参照により本明細書に明示的に援用される。締結具126は、組織に対して係合するように構成されたRMASであり、レシーバ128及びネジ130を含む。レシーバ128は、例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントを配置するように構成された通路136をそれらの間に規定する互いに離間した一対のアーム132、134を含む。アーム132、134は、それぞれ、一対をなす側面どうしの間に延びる円弧状外面を含む。アーム132、134の外面及び側面の少なくとも1つは、挿入ツール、圧縮器具、及び/又は、骨締結具126を挿入して張力付与するための器具、を受領するように構成された少なくとも1つの凹所又はキャビティを、内部に有している。
【0042】
アーム132は、部分140においてアーム132に対して壊れやすく接続された分離タブ138を含む。いくつかの実施形態では、部分140は、破断性の材料及び/又は壊れやすい材料から作製されており、これにより、本明細書において説明するように、アーム140に対してのタブ138の操作は、力及び/又はトルクに関する所定限界でもって、部分140に沿ってアーム132からタブ138を破断させて分離することができる。いくつかの実施形態では、力及び/又はトルクが、タブ138に対して印加されて、抵抗が増加するにつれて、例えば、トルク及び力に関する所定限界へと近づく。アーム134は、部分144においてアーム134に対して壊れやすく接続された分離タブ142を含む。いくつかの実施形態では、部分144は、破断性の材料及び/又は壊れやすい材料から作製されており、これにより、本明細書において説明するように、アーム134に対してのタブ142の操作は、力及び/又はトルクに関する所定限界でもって、部分144に沿ってアーム134からタブ142を破断させて分離することができる。いくつかの実施形態では、力及び/又はトルクが、タブ142に対して印加されて、抵抗が増加するにつれて、例えば、トルク及び力に関する所定限界へと近づく。
【0043】
いくつかの実施形態では、タブ138、142は、およそ2ニュートンメートル(N-m)~8Nmという範囲とし得る力又はトルクに関する所定限界でもって、破断させて分離することができる。いくつかの実施形態では、タブ138、142及びアーム132、134は、同一の又は代替的な断面構成を有してもよく、均質な材料から作製されてもよく又は異なる材料から不均質に作製されてもよく、並びに/若しくは、代替的には、アーム132、134からのタブ138、142の破断及び分離を容易とするために、塑性変形性や脆性特性や破断品質に関して、より大きな程度、より大きな特性、又はより大きな属性を有した材料から形成されてもよい。
【0044】
通路136は、実質的にU字形状である。いくつかの実施形態では、通路136の全部又は一部のみが、例えば、閉鎖形状、V字形状、W字形状、楕円形、長円形、三角形、正方形、多角形、不規則形状、均一形状、不均一形状、オフセット形状、ジグザグ形状、及び/又はテーパー形状などの、代替的な断面構成を有することができる。レシーバ128は、例えば、通路136内に脊椎ロッドを保持するための止めネジなどの結合部材に対して係合するように構成されたねじ山付き形状を含む。いくつかの実施形態では、レシーバ128の内面は、例えば、摩擦嵌合、圧入、ロック用の突起/凹所、ロック用のキー溝、及び/又は接着剤、などの代替的な固定構成によって、結合部材に対して配置することができる。いくつかの実施形態では、レシーバ128の内面の全部又は一部のみが、例えば、粗面、円弧状、起伏付き、メッシュ、多孔性、半多孔性、窪み付き、及び/又は、テクスチャ付きなどの、脊椎ロッド及び/又は止めネジに対しての係合を増強するための代替的な表面構成を有することができる。いくつかの実施形態では、レシーバ128は、例えば、閉塞したアクセス、開放したアクセス、及び/又は、側方アクセス、などの代替構成を含むことができる。締結具126は、脊椎ロッドの位置決めを容易とするように構成されたクラウン146を含む。
【0045】
レシーバ128は、本明細書において説明するように、ネジ130のヘッド148を配置するように構成されたキャビティを規定する。ヘッド148は、本明細書において説明するように、例えば、外科的ツール又は外科的器具に対して係合するように構成されたソケットなどの、ツール係合部分を含む。ネジ130は、例えば骨などの組織を貫通するように構成されているとともに、外部ネジ山付き形状を有した外面を含む。いくつかの実施形態では、外部ネジ山付き形状は、単一のネジ山又は複数の離散的なネジ山を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、レシーバ128は、本明細書において説明するように、非計装組立において、ヘッド148に対して手動で係合可能である。いくつかの実施形態では、レシーバ128及びヘッド148の手動係合及び/又は非計装組立は、組立を行うに際して、構成要素に対して係合した別個の及び/又は独立した器具を使用することなく、結合することを含む。いくつかの実施形態では、手動係合及び/又は非計装組立は、医師、外科医、及び/又は医療スタッフが、レシーバ128及びネジ130を把持するとともに、構成要素どうしを強制的に組み立てることを含む。いくつかの実施形態では、手動係合及び/又は非計装組立は、本明細書において説明するように、医師、外科医、及び/又は医療スタッフが、レシーバ128及びネジ130を把持するとともに、構成要素どうしを強制的に互いにスナップフィットすることを含む。いくつかの実施形態では、手動係合及び/又は非計装組立は、本明細書において説明するように、医師、外科医、及び/又は医療スタッフが、レシーバ128及びネジ130を把持するとともに、構成要素どうしを強制的に互いにポップフィットすることを含む、及び/又は、レシーバ128をネジ130上へとポップフィットすることを含む。いくつかの実施形態では、レシーバ128及びネジ130を手動で係合させて、構成要素どうしを強制的に組み立てるに際しては、2N~50Nという範囲の力が必要とされる。いくつかの実施形態では、レシーバ128及びネジ130を手動で係合させて、構成要素どうしを強制的に組み立てるに際しては、5N~10Nという範囲の力が必要とされる。
【0047】
いくつかの実施形態では、レシーバ128は、例えば、支柱ネジ、椎弓根ネジ、ボルト、側板用骨ネジ、椎体間ネジ、一軸ネジ(UAS)、固定角ネジ(FAS)、多軸ネジ(MAS)、サイドローディングネジ、矢状調整ネジ(SAS)、横方向矢状調整ネジ(TSAS)、突き錐先端ネジ(ATS)、デュアルロッド多軸ネジ(DRMAS)、正中腰椎癒合ネジ、及び/又は、仙骨ネジ、などの様々な構成を含むように、ネジ130に対して接続可能である。
【0048】
組立、操作、及び使用においては、外科的処置部位に対してのアクセスが得られ、特定の外科的処置手順が実行される。外科的システム20、ドライバ22、及び締結具126、の構成要素は、外科的処置を増強するために使用される。例えば、ネジ130の先端は、本明細書において説明するように、レシーバ128がネジ130に対して結合された状態で、例えば骨などの組織に対して隣接して配置される。ドライバ22は、駆動ビット70の視覚化を可能とするために、スリーブ24が第1位置(図2及び図3)においてシャフト46に対して配向された状態で、外科的処置部位へと送達される。駆動ビット70は、軸線LA1が、ネジ130によって規定される軸線に対して平行及び/又は同軸的であるようにして、ネジ130のソケット内へと挿入される。
【0049】
電動及び/又は手動のアクチュエータが、アクチュエータをシャフト46に対して接続するために、駆動部分66に対して係合される。アクチュエータは、特定の外科的手順に応じて、駆動ビット70がネジ130のソケット内へと挿入される前の時点でもあるいはそのような挿入の後の時点でも、シャフト46に対して接続することができる。アクチュエータは、シャフト46をスリーブ24に対して回転駆動し、これにより、シャフト46がネジ130を回転駆動して、ネジ130を組織内へと駆動することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1摩擦量に打ち勝つために、少なくとも第1量の力が、図8において矢印Aによって示す向きに軸線LA1に沿ってシャフト46に対してスリーブ24を移動させるために、スリーブ24に対して印加される。スリーブ24は、図4及び図5に示すように、スプリング44が係合部分76内に配置されるまで、及び、スリーブ24の部分60が、通路136内に配置され、これにより、スリーブ24を第2位置においてシャフト46に対して配向させるまで、図8において矢印Aによって示す向きに軸線LA1に沿ってシャフト46に対して並進移動される。いくつかの実施形態では、スリーブ24は、本明細書において説明するように、スリーブが通路104内に及び/又は通路122内に配置されるのと同一又は同様の態様で、通路136内に配置される。例えば、ラグ50、52の端面、及び、表面60、62は、スリーブ24に対してのレシーバ128の回転を防止するために、レシーバ128のうちの、部分90、部分92、部分94、部分98、部分100、及び部分102と同一又は同様の表面に対して、係合することができる。スリーブ24が第2位置にある時には、駆動ビット70は、ネジ130のソケット内に挿入されたままであり、これにより、軸線LA1は、ネジ130によって規定される軸線に対して平行及び/又は同軸的である。電動及び/又は手動のアクチュエータが、シャフト46に対してアクチュエータを接続するために駆動部分66に対して係合され、他方、第2の電動及び/又は手動のアクチュエータが、シャフト46のグリップ32に対して係合される。第1アクチュエータは、シャフト46をスリーブ24に対して回転駆動し、これにより、シャフト46がネジ130を回転駆動してネジ130を組織内へと駆動し、他方、第2アクチュエータは、スリーブ24の配向を回転及び/又は維持するとともに、スリーブ24と一緒にレシーバ124を軸線LA1まわりにおいて回転及び/又は維持する。
【0051】
ネジ130が組織内へと充分に駆動されて組織に対してネジ130が固定された後には、少なくとも第2並進摩擦量に打ち勝ち得るよう、シャフト46を軸線LA1に沿ってスリーブ24に対して移動させるために、シャフト46に対して、図8において矢印Bによって示す向きに、少なくとも第2量の並進駆動力が印加される。シャフト46は、スプリング44が、図6及び図7に示すように、係合部分78内に配置されるまで、そしてこれにより、スリーブ24がシャフト46に対して第3位置に配向されるまで、図8において矢印Bによって示す向きに軸線LA1に沿ってスリーブ24に対して並進移動される。スリーブ24が第2位置から第3位置へと移動するにつれて、駆動ビット70は、ネジ130のソケットから出て通路36内へと移動し、これにより、図7に示すように、駆動ビット70は、通路36内へと完全に配置される。ネジ130のソケットからの駆動ビット70の取り外しは、レシーバ128がネジ130に対して1つ又は複数の平面へと揺動することを可能とする。部分48は、スリーブ24に対してのレシーバ128の回転を防止するために、通路136内に配置されたままである。
【0052】
いくつかの実施形態では、シャフト46をスリーブ24に対して第3位置に配向させることなく、部分48が通路136から取り外されるとともに、駆動ビット70がネジ130のソケットから取り外され、これにより、ドライバ22が締結具126から係合解除される。例えば、通路136が、例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントに対しての係合及び/又は配置のために適切に配向されている場合には、ドライバ22を締結具126から係合解除する前の時点では、レシーバ128は、ネジ130に対して揺動しない。いくつかの実施形態では、ドライバ22を使用した例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントの係合及び/又は配置のために、通路136をネジ130に対して選択的に配向させるよう、レシーバ128を、ドライバ22を使用してネジ130に対して揺動させ、これにより、部分48を通路136から取り外す前に、軸線LA1をネジ130によって規定された軸線に対して横方向に延びるものとする。通路136が、ネジ130に対して選択的に配向された後には、部分48が、通路136から取り外され、これにより、ドライバ22がレシーバ128から係合解除される。その後、ドライバ22は、外科的処置部位から取り外される。いくつかの実施形態では、例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどのインプラントが、通路136内に配置され、例えば止めネジなどの結合部材が、アーム132、134のネジ山に対して螺着され、これにより、止めネジが、通路136内に配置された1つ又は複数のインプラントに対して直接的に係合し、これにより、そのような1つ又は複数のインプラントが、レシーバ118に対して固定される。
【0053】
いくつかの実施形態では、外科的システム20の1つ又は複数の構成要素を含むキットが提供される。キットは、本明細書において説明した任意の実施形態からの構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、締結具80、116、126のうちの1つ又は複数を含む。いくつかの実施形態では、キットは、ドライバ22と、例えば1つ又は複数の脊椎ロッドなどの1つ又は複数のインプラントと、を含む。いくつかの実施形態では、キットは、例えば、1つ又は複数の止めネジなどの1つ又は複数の結合部材を含む。
【0054】
本明細書において開示した実施形態に対して様々な変更を加え得ることは、理解されよう。したがって、上記の説明は、限定的なものとして解釈されるべきではなく、単に様々な実施形態に関する例示として解釈されるべきである。当業者であれば、添付の特許請求の範囲における精神及び範囲内において、他の変更を想起するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12